JP6882624B2 - ターボ分子ポンプ - Google Patents
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Description
さらに好ましい態様では、前記第2環状スペーサの前記傾斜面と前記第2回転翼は、気流方向において、前記第2回転翼の最上位位置が前記傾斜面に対向する相対位置関係となるように配置される。
本発明の好ましい態様によるターボ分子ポンプは複数の環状スペーサによって支持される複数の固定翼およびロータモータで回転駆動される複数の回転翼を有し、吸気口から気体を吸気し、排気口から気体を排気するターボ分子ポンプにおいて、前記吸気口に隣接する気体流路に面する第1環状スペーサの内径は、前記排気口に隣接する気体流路に面する第2環状スペーサの内径より大径であり、前記第2環状スペーサの内周面の上流側には、気体流路下流に向かって下り勾配を有する傾斜面が設けられ、前記複数の回転翼は、上流側の第1回転翼と下流側の第2回転翼とを含み、前記第2回転翼の外径は前記第1回転翼の外径より小径であり、前記傾斜面は、前記第2回転翼の先端に対向し、前記第2回転翼と前記第2環状スペーサとは、前記第2回転翼の気流方向における領域が前記第2環状スペーサの前記傾斜面の全ての領内に収まるように対向して配置される。
さらに好ましい態様では、前記複数の回転翼と複数の固定翼とで構成されるターボポンプ部の下流側にはネジ溝ポンプ部が設けられ、前記第2環状スペーサは、前記ターボポンプ部から前記ネジ溝ポンプ部へ気体が導入される導入流路の入口部に設けられる。
さらに好ましい態様では、前記ネジ溝ポンプ部は、前記ロータモータで駆動力が伝達されるロータシャフトの下流側に設けられるロータ円筒部と、前記ロータ円筒部と径方向に隙間を介して対向するとともに取り付け用のフランジを有するステータとを有し、前記ロータ円筒部および前記ステータのいずれか一方にネジ溝が形成され、前記導入流路に面する前記フランジの吸気口側の面には、気流下流側に下がり勾配の傾斜面が設けられる。
図1は、本発明の一実施の形態によるターボ分子ポンプの概略構成を説明する断面図である。ターボ分子ポンプは、図1に示すポンプ本体1と、ポンプ本体1を駆動する不図示の制御装置とにより構成される。
なお、図1には磁気浮上式のターボ分子ポンプを例示するが、本発明は、磁気浮上式のターボ分子ポンプに限定されない。例えば、油潤滑式の軸受装置を備えるものであってもよい。
(ターボポンプ部TP)
図1において、ポンプ本体1は、ロータ10と、ロータ10を回転駆動するロータモータ34とを備える。ロータ10は、ポンプケーシング23内の上流側から下流側に延在するロータシャフト11と、ロータシャフト11の方向(回転軸の方向)に並設される複数の回転翼120と、ロータシャフト11の下流側に形成されたロータ円筒部13とを有する。また、ロータシャフト11の方向に並設されている複数の回転翼120に対応して積層されるように、複数の固定翼210が配置されている。複数の固定翼210は、それぞれスペーサ29を介してロータシャフト11の方向に積層されている。図2から図4を参照して後で詳細に説明するが、固定翼210はそれぞれ一対の半割れ環状部材で構成され、スペーサ29は環状に形成されている。ベース20の上に環状のスペーサ29を1段積層し、その上面に一対の固定翼210を回転翼120の間にそれぞれ挿し込んで位置決めする。1段目の固定翼210の上面に2段目のスペーサ29を積層し、その上面に固定翼210を積層する。このような積層工程を繰り返し行うことにより、複数の回転翼120の段と、複数の固定翼210の段との翼段構造を有するタービン翼部が構成される。これらの複数の回転翼120と複数の固定翼210よるタービン翼部によりターボポンプ部TPが構成される。
(ネジ溝ポンプ部SP)
ロータ円筒部13の外周側には、円筒形状のステータ22が微少隙間を介して配置される。ステータ22は、そのフランジ部220(図3)がベース20にボルト(不図示)で固定されている。ロータ円筒部13の外周面またはステータ22の内周面のいずれか一方にはネジ溝が形成されている。これらのロータ円筒部13およびステータ22によりネジ溝ポンプ部SPが構成される。図1に示す例では、ステータ22の内周面にネジ溝22gが形成されている。
ターボポンプ部TPにより排気された気体分子は、ネジ溝ポンプ部SPによりさらに圧縮され、ベース20の排気管26に接続された不図示のバックポンプにより排気される。
固定翼210は、外周側リブ212を環状スペーサ29(図1)によって上下から挟むことにより、ベース20上において各回転翼120の間に位置決めされ、固定される。なお、図示を省略するが、回転翼120(図1)にも、それぞれ所定の翼角度でタービン翼が形成されている。
なお、図4では、下側の環状スペーサ29aについて、その断面形状をハッチングで示している。
なお、図3ではタービン翼部の領域を斜線で示す。
なお、図5では、上側の環状スペーサ29について、その断面形状をハッチングで示している。
図7(a)は、図3において環状スペーサ29Xより上流に位置する環状スペーサ29の断面を示す図である。図7(b)は、面29Yをロータシャフト11に対して垂直にした場合の環状スペーサ29Xの断面を例示する図であり、図6(a)に対応する。図7(c)は、面29Yを下流に向かって下り勾配にした本実施の形態による環状スペーサ29Xの断面を例示する図であり、図6(b)に対応する。
(1)実施形態によるターボ分子ポンプは、複数の環状スペーサ29によって支持される複数の固定翼210およびロータモータ34で回転駆動される複数の回転翼120を有し、吸気口から気体を吸気し、排気口から気体を排気する。このターボ分子ポンプは、吸気口に隣接する気体流路に面する箇所に設けられる環状スペーサ(第1環状スペーサと呼ぶ)29の内径は、排気口側の気体流路に面する箇所に設けられた環状スペーサ(第2環状スペーサと呼ぶ)29Xの内径より大径である。第2環状スペーサ29Xの内周面の上流側には、気体流路の下流に向かって下り勾配を有する傾斜面29Yが設けられている。
実施形態によるターボ分子ポンプのターボポンプ部TPの気体流路の径は吸気口に比べて排気口側が小径とされ、気体分子が第2環状スペーサ29Xに衝突してターボポンプTPに逆流するとも考えられる。しかしながら、実施形態の第2環状スペーサ29Xの内周面には傾斜面29Yが形成されているので、傾斜面29Yに衝突して散乱された気体分子が上流へ逆流する確率が低くなり、ターボポンプ部TPに滞留する気体分子の滞留時間が短くなる。これにより、環状スペーサ29X等に反応生成物が堆積するのを抑制することができる。
上述した説明では、環状スペーサ29Xの面29Yが下流に向かって下り勾配を有する例として、環状スペーサ29Xの断面における面29Yの傾斜が直線で表される形状としたが、面29Yの傾斜形状は、図5、図7に例示した形状に限られるものではない。
例えば、図7(c)において、面29Yの直線状の傾斜の始点Qから終点Rまでのロータシャフト11の方向の距離d1は、環状スペーサ29Xの上面293と下面294との間の距離d2よりも短い。上述した実施の形態の変形例1として、d2>d1の関係を保ちつつ、面29Yの傾斜の始点Qを環状スペーサ29Xの上面293に近づけたり、面29Yの傾斜の終点Rを環状スペーサ29Xの下面294に近づけたりしてもよい。
図7(c)において、面29Yの直線状の傾斜の始点Qから終点Rまでのロータシャフト11の方向の距離d1と、環状スペーサ29Xの上面293と下面294との間の距離d2とを等しくしてもよい。図9は、上述した実施の形態の環状スペーサ29Xを変形例2による環状スペーサ29X2に置換した上で、図3の破線Bで囲む領域の近傍を拡大した図である。図9の例では、面29Yの傾斜の始点Qが環状スペーサ29X2の上面293と一致し、終点Rが環状スペーサ29X2の下面294と一致する。
面29Yの直線状の傾斜の傾斜角度を、多段階に変化させてもよい。図10は、上述した実施の形態の環状スペーサ29Xを変形例3による環状スペーサ29X3に置換した上で、図3の破線Bで囲む領域の近傍を拡大した図である。図10の例では、面29Yの傾斜の始点Qから終点Rまでの間で、傾斜角度を2段階に変化させる。
なお、傾斜角度を変化させる場合の変化点は、始点Qと終点Rの中央でなくてもよい。また、傾斜角度を2段階に限らず、3段階や5段階に変化させてもよい。
面29Yの傾斜を、直線状から曲線状に変更してもよい。図11は、上述した実施の形態の環状スペーサ29Xを変形例4による環状スペーサ29X4に置換した上で、図3の破線Bで囲む領域の近傍を拡大した図である。図11の例では、面29Yの傾斜の始点Qから終点Rまでの間を、凹曲線によって構成する。
面29Yの傾斜を、平面でなく微小な多段構造によって構成してもよい。図12は、上述した実施の形態の環状スペーサ29Xを変形例5による環状スペーサ29X5に置換した上で、図3の破線Bで囲む領域の近傍を拡大した図である。図12の例では、面29Yの傾斜の始点Qから終点Rまでの間を、微小な階段状に構成する。
上記実施の形態(図3)および各変形例において、面29Yの傾斜の始点Qから終点Rまでのロータシャフト11の方向の距離d1は、回転翼120Xのタービン翼部のロータシャフト11方向の厚さTrよりも長くした。
しかしながら、面29Yの傾斜の始点Qから終点Rまでのロータシャフト11の方向の距離d1を、回転翼120Xのタービン翼部のロータシャフト11方向の厚さTrよりも短くしてもよい。この場合には、少なくとも、面29Yの傾斜の始点Qのロータシャフト11の方向の位置を、回転翼120Xの上面の位置F1と等しい、または上流側にする。図13(a)、図13(b)は、上述した実施の形態の環状スペーサ29Xを変形例6による環状スペーサ29X6に置換した上で、図3の破線Bで囲む領域の近傍を拡大した図である。
10…ロータ
11…ロータシャフト
13…ロータ円筒部
20…ベース
22…ステータ
22g…ネジ溝部
22Y…傾斜面
29、29X、29X1〜29X6…環状スペーサ
29Y…傾斜面
34…ロータモータ
120、120X…回転翼
210、210X…固定翼
220…フランジ部
SP…ネジ溝ポンプ部
TP…ターボポンプ部
Claims (5)
- 吸気口から気体を吸気し、排気口から気体を排気するターボ分子ポンプにおいて、
内周側リブと外周側リブと複数のブレードとを有する固定翼と、
ロータモータで回転駆動される複数の回転翼と、
前記固定翼の外周側リブを上下から挟むことにより、前記各回転翼の間に前記固定翼を位置決めし、固定する複数の環状スペーサとを備え、
前記吸気口に隣接する気体流路に面する第1環状スペーサの内径は、前記排気口に隣接する気体流路に面する第2環状スペーサの内径より大径であり、
前記複数の回転翼は、上流側の第1回転翼と下流側の第2回転翼とを含み、前記第2回転翼の外径は前記第1回転翼の外径より小径であり、
前記第2環状スペーサの内周面の上流側には、気体流路下流に向かって内径が小径になっていくように下り勾配を有する傾斜面が設けられ、前記傾斜面は、前記第2回転翼の先端に対向しているターボ分子ポンプ。 - 請求項1に記載のターボ分子ポンプにおいて、
前記第2環状スペーサの前記傾斜面と前記第2回転翼は、気流方向において、前記第2回転翼の最上位位置が前記傾斜面に対向する相対位置関係となるように配置されているターボ分子ポンプ。 - 複数の環状スペーサによって支持される複数の固定翼およびロータモータで回転駆動される複数の回転翼を有し、吸気口から気体を吸気し、排気口から気体を排気するターボ分子ポンプにおいて、
前記吸気口に隣接する気体流路に面する第1環状スペーサの内径は、前記排気口に隣接する気体流路に面する第2環状スペーサの内径より大径であり、
前記第2環状スペーサの内周面の上流側には、気体流路下流に向かって下り勾配を有す
る傾斜面が設けられ、
前記複数の回転翼は、上流側の第1回転翼と下流側の第2回転翼とを含み、前記第2回転翼の外径は前記第1回転翼の外径より小径であり、
前記傾斜面は、前記第2回転翼の先端に対向し、
前記第2回転翼と前記第2環状スペーサとは、前記第2回転翼の気流方向における領域が前記第2環状スペーサの前記傾斜面の全ての領内に収まるように対向して配置されているターボ分子ポンプ。 - 請求項1から3までのいずれか一項に記載のターボ分子ポンプにおいて、
前記複数の回転翼と複数の固定翼とで構成されるターボポンプ部の下流側にはネジ溝ポンプ部が設けられ、前記第2環状スペーサは、前記ターボポンプ部から前記ネジ溝ポンプ部へ気体が導入される導入流路の入口部に設けられているターボ分子ポンプ。 - 請求項4に記載のターボ分子ポンプにおいて、
前記ネジ溝ポンプ部は、前記ロータモータで駆動力が伝達されるロータシャフトの下流側に設けられるロータ円筒部と、前記ロータ円筒部と径方向に隙間を介して対向するとともに取り付け用のフランジを有するステータとを有し、前記ロータ円筒部および前記ステータのいずれか一方にネジ溝が形成され、前記導入流路に面する前記フランジの吸気口側の面には、気流下流側に下がり勾配の傾斜面が設けられているターボ分子ポンプ。
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