本発明の好ましい形態を以下に示す。
前記操作部材は、この操作部材の移動方向に直線状に延出する長溝を有し、前記ハウジングは、前記操作部材の移動方向に沿った長さの中央に、支軸を有し、前記支軸は、前記長溝に挿入され、前記操作部材の移動時に、前記長溝に対する相対位置を変位させつつ前記長溝に摺接する構成になっているとよい。これによれば、操作部材が長溝と支軸との係合によって移動案内されるため、操作部材を外側から覆うカバー部(上記特許文献1を参照)のような部材をハウジングに設けなくて済む。このため、ハウジングの外面に第1ロック部と第2ロック部とを金型成形する場合に、型抜き構造が複雑にならずに済む。
前記第1ロック部及び前記第2ロック部は、弾性ロックとされ、前記長溝の溝縁を弾性的に係止するとよい。これによれば、長溝が操作部材を移動案内する機能と操作部材を移動規制する機能とを兼備することになるため、両機能が別々の部分に設けられる場合に比べ、構造を簡易にすることができる。
前記第1ロック部及び前記第2ロック部は、弾性ロックとされ、前記ハウジングに設けられた空間部側に撓み変形可能となっており、前記相手ハウジングは、前記ハウジングに対して斜め姿勢をとって不正に嵌合されるときには、前記ハウジングの壁面と干渉して嵌合動作を規制する一方、前記ハウジングに対して正規に嵌合されるときには、前記空間部に進入して前記弾性ロックと並んで配置され、前記弾性ロックの撓みを規制し得るこじり防止突部を有しているとよい。これによれば、ハウジングに設けられた空間部がこじり防止突部の進入スペースとして有効に活用されるため、デッドスペースにならずに済む。また、こじり防止突部が両ハウジングのこじり嵌合を防止する機能と弾性ロックの不用意な撓みを規制する機能とを兼備するため、両機能毎に専用の構造部位を設ける必要がなく、構造を簡素化することができる。
前記こじり防止突部は、前記第1ロック部及び前記第2ロック部と対応するように、前記相手ハウジングの長辺方向の両側部に対をなして設けられているとよい。このように、こじり防止突部が相手ハウジングの長辺方向の両側部に対をなして設けられていると、両ハウジングが不正嵌合される際に、相手ハウジングが任意の斜め姿勢をとっていても、嵌合動作を効果的に規制することができ、こじり嵌合を防止する信頼性を高めることができる。
<実施例1>
以下、本発明の実施例1を図1〜図16によって説明する。本実施例1のコネクタは、ハウジング10と操作部材11とを備えている。ハウジング10は相手ハウジング12に嵌合可能とされている。なお、以下の説明において、前後方向については、両ハウジング10、12が嵌合開始時に互いに向き合う面側を前側とする。上下方向については、図13を基準とし、図1の紙面手前側を上側とする。また、左右方向については、図1を基準とする。
相手ハウジング12は合成樹脂製であって、図2に示すように、フード部13を有している。フード部13は、左右方向に細長い角筒状をなし、長辺方向に沿った上下壁の内面の左右中央部に、円柱状のカムフォロア14が突出して設けられている。上下壁の内面の左右一端部には、前後方向に延出するリブ状の解除部15が設けられている。フード部13内には、図示しない雄端子金具のタブが複数突出して配置されている。
ハウジング10は合成樹脂製であって、図11〜図13に示すように、ハウジング本体16を有している。ハウジング本体16は、左右方向に細長い角ブロック状をなし、フード部13に内嵌可能とされている。図13に示すように、ハウジング本体16には、複数のキャビティ17が前後に貫通して設けられている。各キャビティ17は、上下2段で且つ幅方向に並んで配置され、内部に、図示しない雌端子金具が挿入されて保持される。雌端子金具は、図示しない電線の端部に圧着により接続され、両ハウジング10、12の正規嵌合時に、相手側の雄端子金具と導通接続される。
ハウジング本体16の上下両面(長辺方向に沿った面)の左右中央部には、円柱状の支軸18が突出して設けられている。支軸18は、円柱部分の先端部から径方向に張り出す鍔部19を有している。鍔部19は、円柱部分の先端部において周方向に複数分割して配置されている。具体的には鍔部19は、平面視方形状をなし、円柱部分の先端部の前後左右に90度間隔で配置されている。
図13に示すように、ハウジング本体16のうち、各キャビティ17の上方となる上端部には、左右方向に扁平な空間部21が前後に貫通して設けられ、且つ、空間部21の上方を閉塞するようにして、左右方向に平坦な板状の薄肉壁22が設けられている。また、空間部21の内部は、左右両側に設置された隔壁23によって分断されている。
図11に示すように、薄肉壁22の左右両端部には、空間部21に連通しつつ前後方向に延出して後端に開口する切欠溝24が設けられている。切欠溝24の内側縁部は、隔壁23の壁面に連続して配置されている。そして、薄肉壁22の左右両端部における切欠溝24の内側には、前端から後方へ片持ち状に延出する板片部分を有し、この板片部分が前端を支点として上下方向に撓み変形可能となる弾性ロック25、26が設けられている。
弾性ロック25、26は、後述するように、操作部材11を係止してハウジング10に操作部材11を移動規制状態に保持する機能を有し、第1ロック部25(図11の右側)及び第2ロック部26(図11の左側)からなる。第1ロック部25及び第2ロック部26は、ハウジング本体16の左右中央部(支軸18が位置する部分)を挟んだ線対称の位置に線対称の形状で対をなして配置されている。なお、以下の説明において、特に第1ロック部25及び第2ロック部26を区別する必要がない場合は、弾性ロック25、26と総称する。
図11に示すように、弾性ロック25、26の板片部分の後端は、ハウジング10の後端よりも前方へ引っ込んだ位置に設定されている。弾性ロック25、26の板片部分の先端部(後端部)には、ロック突起27が上方に突出して設けられている。ロック突起27は、平面視円形状をなし、後面及び左右両側面に、突出方向の先端へ向けて上り勾配となるテーパ状の斜面28を有している。ロック突起27は、前後方向に関して支軸18と同じ位置に、左右に並んで配置されている。
図13に示すように、弾性ロック25、26の板片部分の先端部には、下向きに突出して空間部21に進入する過度撓み規制片29が設けられている。過度撓み規制片29は、板片部分から垂下する垂直部分とその下端から隔壁23へ向けて直角に屈曲する水平部分とからなり、正面視L字形をなしている。
隔壁23の壁面には、過度撓み規制片29の水平部分よりも上方に、過度撓み規制受片31が突出して設けられている。過度撓み規制受片31は、過度撓み規制片29と所定間隔をあけて平行に配置されている。弾性ロック25、26が上方に撓み変形し、過度撓み規制片29が過度撓み規制受片31に下方から当接することにより、弾性ロック25、26のそれ以上の撓み動作が規制される。したがって、ループ状の電線等の異物が弾性ロック25、26に引っ掛かっても、弾性ロック25、26が外側にめくれて破損される事態を回避することが可能となっている。なお、図11に示すように、弾性ロック25、26の先端部のうち、隔壁23側(支軸18側)の側縁部は、過度撓み規制受片31の成形に起因して切り欠かれた形態になっている。
図13に示すように、ハウジング本体16の上下両面の左右一端部には、係止受部32が設けられている。係止受部32は、ハウジング本体16の中心(ハウジング本体16を正面から見たときの軸中心)に対して点対称の位置に点対称の形状で対をなして配置されている。図11に示すように、係止受部32は、前後方向に延出するリブ状部分を有し、弾性ロック25、26の前方で且つ側方(図11の右側)に配置されている。係止受部32の側方には、両ハウジング10、12の嵌合時に相手ハウジング12の解除部15が進入するスペースが確保されている。
図11〜13に示すように、係止受部32には、リブ状部分の突出方向先端部の後端側に、後方及び側方へ屈曲して張り出す受片33が設けられている。図4に示すように、受片33とリブ状部分との間には、操作部材11の後述する係止突起49が嵌合可能な挿入凹部34が区画されている。
図13に示すように、ハウジング本体16の上下両面の左右他端部には、前後方向に延出する板片状のストッパ部35が設けられている。ストッパ部35は、ハウジング本体16の中心に対して点対称の位置に点対称の形状で対をなし、図11に示すように、係止受部32よりも前後寸法が長く、ハウジング本体16の側面に沿って配置されている。図4に示すように、ストッパ部35の後端は、上下方向に張り出して垂直に配置され、操作部材11が後述する初期位置に至ったときに、操作部材11を当て止め可能とされている。
続いて操作部材11について説明する。操作部材11は合成樹脂製であって、図15に示すように、連結部36と、連結部36の両端から互いに平行に突出する一対のアーム部37とを有し、門型板状をなしている。この操作部材11は、ハウジング10に対し、アーム部37が前後方向及び左右方向に対して約45度の傾斜角をもって斜め後方に突出して配置される組付位置(図1を参照)と、アーム部37が左右方向に沿ってハウジング10の側方に大きく突出して配置される初期位置(図2を参照)と、アーム部37が左右方向に沿ってハウジング10の側方に小さく突出し、もしくは実質的に突出せずに配置される嵌合位置(図8を参照)とに、順次変位可能とされている。
また、操作部材11は、ハウジング10に対して組付位置から初期位置にかけて回動変位し、初期位置へ向けて次第に側方への突出量を増加させる回動機構と、初期位置から嵌合位置にかけてハウジング10に沿って左右方向に直線状に移動変位し、嵌合位置へ向けて次第に側方への突出量を減少させるスライド機構とを有している。さらに、操作部材11は、スライド機構において嵌合位置へ向かう際に、第1ロック部25側から第2ロック部26側へと移動する第1移動路(図2の矢印Aを参照)と、第1移動路の移動姿勢から上下反転され、第2ロック部26側から第1ロック部25側へと移動する第2移動路(図9の矢印Bを参照)とに、選択可能とされている。
連結部36は、上下方向に延出する板片部分であって、作業者が指で摘むことが可能な形態になっている。
両アーム部37は、図14に示すように、連結部36から離れた側が前後方向に拡張された平板状の本体部分となり、この本体部分に、カム溝38が設けられている。カム溝38は、アーム部37の本体部分の外面に凹設される有底溝であって、湾曲状に延出して本体部分の前端縁に開口する形態になっている。カム溝38は、操作部材11が初期位置と嵌合位置との間を移動する際に相手ハウジング12のカムフォロア14とカム係合し、両ハウジング10、12の嵌合動作を進めるものである。
両アーム部37の本体部分におけるカム溝38の後方領域には、直線状に延出する長溝39が設けられている。長溝39は、アーム部37を板厚方向に貫通する形態であって、操作部材11が初期位置及び嵌合位置にあるときに左右方向に沿って配置される。長溝39には支軸18が挿入され、操作部材11が初期位置と嵌合位置との間を移動する際に長溝39の縁部(後述する係合縁部44)に支軸18が摺接し、操作部材11の移動操作が案内されるようになっている。
具体的には、長溝39は、連結部36から離間した側の端部41において支軸18を受け入れ(図1を参照)、端部41から連結部36へ向けて直線状に延出する延出部42において支軸18と摺接可能となっている。長溝39の縁部のうち、アーム部37の板厚方向の内側部分(ハウジング本体16側の部分)には、後述する逃げ凹部45を除く全周にわたって張り出す係合縁部44が設けられている。図8に示すように、係合縁部44は、支軸18の鍔部19の張出量よりも少し小さい張出量で構成されている。この係合縁部44は、初期位置を除いて長溝39に挿入された支軸18の鍔部19に内側から当接(摺接)し、アーム部37が外側に拡開変形(開き変形)するのを規制するように作用する。
図1及び図14に示すように、長溝39の端部41には、係合縁部44を一部切り欠くようにして逃げ凹部45が設けられている。逃げ凹部45は、鍔部19が適合して内嵌可能な断面方形及び断面三角形状をなし、操作部材11が組付位置に配置され、アーム部37が斜め45度に傾斜した姿勢をとる場合に、係合縁部44の前後左右に90度間隔で開口するようになっている。
両アーム部37の本体部分の内面には、図16に示すように、長溝39の他の端部43(連結部36側の端部)から前方へ延出する有底のガイド溝46が設けられている。ガイド溝46は、カム溝38よりも浅底とされ、操作部材11が組付位置と初期位置との間を回動変位する際、内部に、弾性ロック25、26のロック突起27が摺接可能に進入する。このガイド溝46は、操作部材11の回動中心を中心とする円弧に沿って湾曲する形態になっている。
また、両アーム部37のうち、本体部分と連結部36との間をつなぐ板片部分の内面には、有底の逃げ溝47が設けられている。逃げ溝47は、前後方向に関して長溝39と同じ位置に配置され、左右方向に延出し、アーム部37の板片部分の前端縁に開口する形態とされている。逃げ溝47には、操作部材11が初期位置と嵌合位置との間を移動する際に、弾性ロック25、26のロック突起27が進入して逃がされる。
また、両アーム部37のうちの一方のアーム部37には、本体部分の外縁からアーム部37の板面に沿いつつ側方(連結部36が位置する側)に突出する弾性片48が設けられている。弾性片48は、両端がアーム部37の本体部分に連結された両持ち梁状をなし、アーム部37の本体部分の板厚よりも薄肉でU字形に湾曲する形態になっている。弾性片48の突出方向の先端部(U字の中央部)には、前方へ突出する爪状の係止突起49が設けられている。
次に、コネクタの作用を説明する。
搬送時において、操作部材11はハウジング10に装着されず、操作部材11及びハウジング10はそれぞれ分離された状態でコネクタの嵌合作業現場に搬送される。嵌合作業現場においては、雌端子金具がハウジング10のキャビティ17に挿入され、次いで、操作部材11がハウジング10に対して組付位置に組み付けられる(図1を参照)。組み付けに際し、操作部材11は、ハウジング10に対して斜め後方から跨るように押し込まれる。すると、両アーム部37の拡開動作を伴ったあと長溝39の逃げ凹部45が支軸18の鍔部19を通過し、支軸18が長溝39の端部41に嵌り込む。
操作部材11が組付位置に至ると、第1ロック部25のロック突起27がアーム部37のガイド溝46に挿入される。このとき、ロック突起27がガイド溝46の前端部(延出方向の先端部)に当接することにより、操作部材11が初期位置へ向かう方向とは逆向きに回動変位するのが規制される(図1を参照)。なお、作業者は、操作部材11の連結部36を摘みながら一連の作業を連続して行うことが可能となっている。
続いて、操作部材11が長溝39の端部41に挿入された支軸18を回動中心として組付位置から初期位置へ向けて図1の時計回り方向に回動させられる。操作部材11が回動変位する間、ロック突起27の後側の斜面28がガイド溝46の奥面を摺接し、第1ロック部25が撓み変形させられる。もっとも、操作部材11に対してハウジング10側から大きな抵抗が加わることはない。また、操作部材11が組付位置から初期位置へ向けて回動されるに伴い、長溝39の係合縁部44が支軸18の鍔部19に内側から摺接し、これによってアーム部37が支軸18から外れるのが規制される。
操作部材11が初期位置に至ると、第1ロック部25が復帰方向に弾性変位し、ロック突起27がガイド溝46から長溝39の他の端部43に移行して挿入される(図3を参照)。ここで、長溝39の係合縁部44がロック突起27に前方から当接することにより、操作部材11が組付位置に戻る方向に回動されるのが規制される。また、他方(弾性片48が設けられていない側)のアーム部37の板片部分がストッパ部35の後端に当て止めされることで、操作部材11が初期位置よりも先方に回動されるのが規制される(図4を参照)。
また、操作部材11が初期位置に至ると、弾性片48の係止突起49が係止受部32のリブ状部分の後端に側方から当接可能に配置され、これによって操作部材11が初期位置から嵌合位置へ向けて移動するのが規制される(図5を参照)。このとき、弾性片48の係止突起49が受片33の内側における挿入凹部34に嵌合状態で挿入される(図4を参照)。これにより、係止突起49が受片33によって保護された状態となり、外側からの異物が係止突起49と干渉して、係止突起49と係止受部32との係止が不用意に解除される事態が回避される。さらに、初期位置では、支軸18が長溝39の端部41に挿入された状態が維持されて端部41に当接可能に配置されることから、操作部材11が嵌合位置へ向かう方向とは逆向きに移動するのも規制される(図2を参照)。
上記の状態で、相手ハウジング12のフード部13がハウジング10に浅く嵌合される。すると、カムフォロア14がカム溝38の入り口に進入する(図6を参照)。また、解除部15が弾性片48の突出方向の先端部を押圧し、弾性片48がアーム部37の板面方向に沿いつつ後方へ倒れるように撓み変形させられる。これにより、係止突起49が係止受部32のリブ状部分から離間し、弾性片48と係止受部32との係止が解除され、操作部材11の嵌合位置への移動変位が可能となる。また、弾性片48が受片33の内面に沿って撓み変形させられることで、弾性片48と受片33との干渉が回避される。
続いて、操作部材11が、嵌合位置(第2ロック部26が位置する側)へ向けて第1移動路に沿って直線状に移動させられる。操作部材11が嵌合位置へ向かう移動初期の段階で、アーム部37がロック突起27の側方の斜面28を摺動し、第1ロック部25が内側に撓み変形させられる。さらに操作部材11が嵌合位置へ向けて移動すると、ロック突起27が逃げ溝47に進入して逃がされ、第1ロック部25が弾性的に復帰して自然状態に戻る。
操作部材11が第1移動路に沿って移動する過程においては、長溝39に対する支軸18の相対位置が端部41から離れる向きに変位し、支軸18の前後の鍔部19が長溝39の係合縁部44に外側から摺接する。これにより、操作部材11の移動案内がなされる。また、操作部材11が移動する過程においては、相手ハウジング12のカムフォロア14がカム溝38の溝縁を摺接し、操作部材11と相手ハウジング12との間にカム機構が作用し、両ハウジング10、12の嵌合動作が低嵌合力で進行する。この間、操作部材11のアーム部37が嵌合抵抗を受けて外側(ハウジング本体16の外面から離れる側)に拡開変形する懸念があるものの、本実施例1の場合、長溝39の係合縁部44が前後の鍔部19に内側から当接することにより、アーム部37の拡開動作が規制される。その結果、アーム部37が拡開変形してハウジング10から外れる事態が回避される。
操作部材11が嵌合位置に至る直前の段階では、アーム部37の移動方向先端部が第2ロック部26のロック突起27の側方の斜面28を摺動し、第2ロック部26が内側に撓み変形させられる。操作部材11が嵌合位置に至ると、第2ロック部26が復帰方向に弾性変位し、ロック突起27が長溝39の端部41に内側から挿入される(図8を参照)。このとき、ロック突起27が長溝39の端部41に対して側方(第1移動路の移動方向)から当接することにより、操作部材11が初期位置に戻る方向に移動するのが規制される。また、操作部材11が嵌合位置に至ると、支軸18が長溝39の他の端部43に当接可能に配置されるとともに、連結部36がハウジング10の側面に当接可能に配置され、これによって操作部材11が嵌合位置より先方に移動するのが規制される。さらに、第2ロック部26のロック突起27が長溝39の端部41に配置され、支軸18が長溝39の他の端部43に配置されることで、操作部材11が回動変位するのが規制される。そして、嵌合位置では、カムフォロア14がカム溝38の終端部分に到達し、両ハウジング10、12が正規嵌合された状態になる。
一方、ハウジング10の側方(図2の右側)に周辺部品等の干渉物が存在し、初期位置の操作部材11の連結部36等が干渉物と干渉する可能性があって、操作部材11を第1移動路に沿って移動させることができない等といった事情がある場合は、第1移動路とは逆向きの第2移動路に沿って操作部材11を移動させる選択がなされる。
この場合、操作部材11が上下反転され、連結部36がハウジング10に対して第1移動路をとる場合とは反対側(図9の左側)に位置するように配置される。まず、操作部材11は組付位置に組み付けられる。組付位置では、第2ロック部26のロック突起27がアーム部37のガイド溝46に挿入されてガイド溝46の前端部に当接することにより、操作部材11が初期位置へ向かう方向とは逆向きに回動変位するのが規制される。
次いで、操作部材11が支軸18を回動中心として組付位置から初期位置へ向けて反時計回り方向に回動させられる。操作部材11が初期位置に至ると、第2ロック部26のロック突起27が長溝39の他の端部43に内側から弾性的に挿入され、長溝39の係合縁部44がロック突起27に前方から当接することによって、操作部材11の組付位置への戻り変位が規制される。また、他方(弾性片48が設けられていない側)のアーム部37の板片部分がストッパ部35の後端に当て止めされることで、操作部材11が初期位置よりも先方に回動されるのが規制される(図9を参照)。さらに、弾性片48の係止突起49が係止受部32を係止することで、操作部材11の嵌合位置への移動が規制される。この場合に、係止突起49は、第1移動路をとる場合とは反対側となるハウジング10の下面(弾性ロック25、26が設けられていない側の面)に設けられた係止受部32を係止する。また、初期位置においてアーム部37を当て止めするストッパ部35は、第1移動路をとる場合はハウジング10の下面に設けられるものであり、第2移動路をとる場合はハウジング10の上面に設けられるものである。
続いて、両ハウジング10、12が浅く嵌合され、カムフォロア14がカム溝38の入り口に進入した状態とされる。そうすると、弾性片48が解除部15に押圧されて係止受部32から離間する後方へ撓み変形させられ、これによって操作部材11の嵌合位置への移動変位が可能となる。次いで、操作部材11が嵌合位置(第1ロック部25が位置する側)へ向けて第2移動路に沿って直線状に移動させられる。操作部材11が嵌合位置に至ると、第1ロック部25のロック突起27が長溝39の端部41に内側から弾性的に挿入され、長溝39の端部41がロック突起27に初期位置に戻る方向で当接することにより、操作部材11の初期位置への戻り変位が規制される(図10を参照)。また、第2ロック部26のロック突起27は、アーム部37の逃げ溝47に進入して逃がされる。
このように、操作部材11が第1移動路をとる場合と第2移動路をとる場合とでは、初期位置と嵌合位置のそれぞれにおける第1ロック部25及び第2ロック部26のロック機能の役割が互いに交替するようになっているが、ロック機能自体は同じである。
以上説明したように、本実施例1によれば、次の各効果を奏し得る。
操作部材11は、組付位置から初期位置へと回動され、組付位置では初期位置に比べてハウジング10の側方への突出量が小さく抑えられるため、組付位置においてハウジング10の側方に侵入する異物と干渉しにくくなる。一方、操作部材11は、初期位置では回動機構による回動操作からスライド機構による直線移動操作へと移行するため、初期位置に長く留まることはなく、初期位置においても異物と干渉しにくくなる。その結果、異物との干渉に起因して操作部材11が初期位置から嵌合位置へと不用意に移動し、または損傷する事態を防止することができる。
また、操作部材11のアーム部37は、従来のカバー部のような部材によって外側を覆われていないが、長溝39の係合縁部44が支軸18の鍔部19と当接することにより、拡開動作が抑えられ、ハウジング10から外れるのが防止される。そして、従来のカバー部を省略できることで、ハウジング10が大型になるのを回避することができる。これは、操作部材11がハウジング10に覆われず外面に露出した状態で配置されることによって担保される。
また、操作部材11が初期位置から嵌合位置へと直線状に移動させられ、嵌合位置への移動経路が第1移動路と第2移動路のいずれかに選択可能となっているため、設置状況などに応じて操作部材11の移動経路を決することができ、有用性が高められる。しかも、操作部材11を初期位置と嵌合位置とに留め置くロック手段が第1ロック部25と第2ロック部26とで賄われ、各移動路及び各位置毎に対応する4つのロック手段を設けていないため、構造を簡易にすることができる。この場合に、ハウジング10の外面には操作部材11を覆う従来のカバー部のような部材が存在しないため、ハウジング10の外面に第1ロック部25と第2ロック部26とを金型成形する際の型抜き構造が複雑にならずに済む。
また、操作部材11がハウジング10に対して直線状に移動する際には、長溝39の係合縁部44が支軸18と摺動することにより、操作部材11の移動案内がなされる。このように、長溝39は、操作部材11を移動案内する機能と、弾性ロック25、26に係止されて操作部材11を移動規制する機能と、係合縁部44に支軸18の鍔部19を当接させて操作部材11の開き変形を抑える機能とを、それぞれ兼備するようになっている。このため、各機能が個別に設けられる場合に比べ、操作部材11の構造を簡易にすることができる。
また、弾性ロック25、26は、操作部材11が組付位置にあるときにロック突起27をガイド溝46の前端部に係止させることで操作部材11が組付位置から初期位置に向かう方向とは逆方向に変位するのを規制するとともに、操作部材11が初期位置にあるときにロック突起27を長溝39の他の端部43に係止させることで操作部材11が初期位置から組付位置に戻る方向に変位するのを規制するようになっている。このため、操作部材11が初期位置及び組付位置のいずれにおいても弾性ロック25、26に係止保持され、初期位置及び組付位置の各位置毎にロック構造を設ける必要がないため、構造をより簡易にすることができる。
また、操作部材11が初期位置にあるときに、相手ハウジング12の解除部15が弾性片48を押圧することにより、弾性片48がアーム部37の板面に沿う方向に撓み変形して係止受部32との係止を解除し、操作部材11が嵌合位置へ向けて変位可能な状態になる。この場合に、係止受部32に対する弾性片48の係止代は、アーム部37の板面に沿う方向に定まるため、設定の自由度が高く、十分な大きさに設定することができる。その結果、初期位置における操作部材11の係止強度を高めることができる。
また、弾性片48がアーム部37の本体部分に対して両端を連結させた両持ち梁状をなしているため、アーム部37にループ状の電線等の異物が引っ掛かりにくくなるとともに、アーム部37の撓み強度を高めることができる。
また、弾性片48の係止相手となる係止受部32がハウジング10の外面に設けられ、ハウジング10の外面には従来のカバー部のような部材が存在していないため、係止受部32を金型成形する際の型抜き構造が複雑にならずに済む。
<実施例2>
図17〜図24は、本発明の実施例2を示す。実施例2は、ハウジング10A及び操作部材11Aの一部構造が実施例1とは異なるものの、基本構造は実施例1と共通している。また、相手ハウジング12の構造が具体化されている。なお、以下の説明において、実施例1と同一又は相当する部位については同一の符号又は同符号にAを追加して付し、重複する説明を省略する。
相手ハウジング12のフード部13は、図23に示すように、上下方向及び左右方向にほぼ沿った奥壁51を有している。奥壁51には、相手側の雄端子金具52が複数装着されている。図24に示すように、各雄端子金具52は、細長く延出して側面視L字形に屈曲する形状をなし、前後方向に延出して奥壁51を貫通する端子接続部53と、上下方向に延出して図示しない回路基板の接続孔に接続される基板接続部54とを有している。このように、相手ハウジング12は回路基板に実装されるものである。
また、図23に示すように、フード部13には、奥壁51の左右両側部で且つ上端寄りの位置から前方に突出する一対のこじり防止突部55が設けられている。両こじり防止突部55は、左右方向に関してカムフォロア14を挟んだ両側で、且つ上段に配置された大型の各雄端子金具52B間に、これら雄端子金具52と並んで配置されている。また、両こじり防止突部55は、それぞれ、左右方向に扁平な板片状をなし、図24に示すように、上面後部に、奥壁51から前後途中位置にかけて前後方向に沿って配置される直線部56を有し、上面前部に、前後途中位置から前端部にかけて次第に前下がりに傾斜する傾斜部57を有している。両こじり防止突部55の左右中央部は、下面に、前後方向に延出して奥壁51の後面に開口する肉抜き溝58を有し、肉抜き溝58を有することで、直線部56から傾斜部57にわたってほぼ一定の厚さに形成されている。そして、両こじり防止突部55の前端(先端)は、フード部13内において各雄端子金具52の前端よりも前方に突出して配置されている。図23に示すように、相手ハウジング12は、上下一対のカムフォロア14が位置する左右中央を対称軸として線対称な形状になっている。
図18に示すように、ハウジング10Aも、上下一対の支軸18Aが位置する左右中央を対称軸として線対称な形状になっている。ハウジング本体16Aの上下両面には、実施例1の係止受部32に相当する部分が設けられていない。また、支軸18Aの鍔部19Aは、円柱部分の前後両側のみに設けられている。
ストッパ部35Aは、ハウジング本体16Aの上下両面の左右両端部にそれぞれ対をなして設けられている。各ストッパ部35Aは、図17に示すように、ハウジング本体16Aの側面に沿って前後方向に延出する板片状をなし、後端部に左右中央側へ向けて屈曲する受端部59を有している。受端部59の後面は、左右方向に沿って配置され、左右長がストッパ部35Aの他の部分(受端部59を除く部分)の左右寸法よりも大きくされている。
ハウジング本体16Aの上面には、支軸18Aを挟んだ左右両側に、一対ずつの切欠溝24Aが設けられている。図17及び図19に示すように、各切欠溝24Aは、前後方向に一定幅及び一定深さで延出し、ハウジング本体16Aの後面に上下方向にスリット状に開口する形態とされている。
弾性ロック25A、26Aは、ハウジング本体16Aの左右両側部の第1ロック部25A及び第2ロック部26Aにおいて、それぞれ対をなす切欠溝24A間に配置されている。弾性ロック25A、26Aは、その下方に位置する空間部21Aを区画している。空間部21Aは、各切欠溝24Aに連通してハウジング本体16Aの上壁部分の前部及び後壁部分の上部によっても区画され、且つ、図18に示すように、ハウジング本体16Aの前面に断面略矩形に開口している。空間部21Aは、ハウジング本体16Aの左右両側部において、相手ハウジング12の両こじり防止突部55と対応する位置に配置されている。
図24に示すように、弾性ロック25A、26Aは、前端がハウジング本体16Aの上壁部分の前部に段差なく連なり、後端がハウジング本体16Aの後壁部分の上部に後下がりに傾斜して連なる形態とされている。このため、弾性ロック25A、26Aは、前後両端を撓み支点として空間部21A側に撓み変形可能な両持ち状をなすものであり、片持ち状をなす実施例1とは異なる。弾性ロック25A、26Aには過度撓み規制片29(図13を参照)が設けられておらず、また、空間部21Aには過度撓み規制受片31が突出して配置されていない。これら過度撓み規制片29及び過度撓み規制受片31に代わる過度撓み規制構造は、後述するように、こじり防止突部55によって実現されることになる。
また、実施例1と異なり、ハウジング本体16Aの上部の左右中央側には、空間部21、薄肉壁22及び隔壁23が形成されておらず、実施例2の場合、空間部21Aは、弾性ロック25A、26Aと対応する位置のみに形成されている。図18及び図19に示すように、ハウジング本体16Aの上部の左右中央部及び左右両端部には、相手側の大型の各雄端子金具52Bと対応する位置に、図示しない大型の各雌端子金具を収容可能な大型のキャビティ17Bが左右に並んで設けられている。左右の空間部21Aは、大型の各キャビティ17B間にこれらキャビティ17Bと並んで配置されている。
操作部材11Aは、実施例1と同様、カム溝38及び長溝39Aを有する一対のアーム部37Aを有しているが、図20に示すように、アーム部37Aに、弾性片48(図2を参照)に相当する部分が設けられていない。長溝39Aの端部41には、係合縁部44Aを前後方向に対して斜めに切り欠く形態の逃げ凹部45Aが設けられている。操作部材11Aが前後方向に対して斜め姿勢をとる組付位置にあるときに、支軸18Aが逃げ凹部45Aを通過して長溝39Aの端部41内に嵌り込むことが可能となっている。
アーム部37Aは、カム溝38及び長溝39Aを有して前後方向に拡張された拡張部分から連結部36へ向けて左右方向に延出する帯板部分を有し、この帯板部分の前端に、ストッパ部35Aの受端部59に摺動可能な摺動面61が左右方向に沿って形成されている。また、両アーム部37Aの外面には、帯板部分の連結部36寄りの位置に、滑り止め部63、64が設けられている。図22に示すように、滑り止め部63、64は、両アーム部37Aの外面において、前後方向に延出するリブ状部63と、リブ状部63に対し連結部36とは反対側から隣接して階段状に切り欠かれた形態の多段部64とからなり、操作部材11Aの移動時に、作業者の手指で把持されることで、手指の引っ掛かり、滑り止めとして機能するようになっている。
次に、実施例2の作用効果を説明する。
両ハウジング10A、12の嵌合操作を行うに先立ち、操作部材11Aが初期位置に留め置かれる。図20に示すように、実施例1と同様、初期位置では、長溝39Aの他の端部43に第1ロック部25Aのロック突起27が当接することで、操作部材11Aが嵌合位置へ向けて移動するのが規制され、長溝39Aの端部41に支軸18Aが当接することで、操作部材11Aが嵌合位置へ向かう方向とは逆向きに移動するのが規制される。
次いで、ハウジング10Aが操作部材11Aの前部とともに相手ハウジング12のフード部13に浅く嵌合される。その状態で、操作部材11Aに嵌合位置への押し込み力が付与され、長溝39Aの他の端部43と第1ロック部25Aのロック突起27との係止が解除される。続いて、操作部材11Aが嵌合位置へ向けて第1移動路に沿ってスライド移動させられる。操作部材11Aが嵌合位置へ向かう過程では、支軸18Aが長溝39Aの係合縁部44Aを摺接するとともに、ストッパ部35Aの受端部59がアーム部37Aの摺動面61を摺接することで、操作部材11Aの移動案内がなされる。このとき、第1ロック部25Aのロック突起27は、アーム部37Aの摺動面61の前方に離間して配置される。このため、アーム部37Aには、実施例1と異なり、ロック突起27を逃がす逃げ溝47(図7を参照)に相当する部分が設けられていない。
また、操作部材11Aが嵌合位置へ向かう過程では、カムフォロア14がカム溝38の溝面を摺接することで、両ハウジング10A、12の嵌合動作が進行するとともに、両こじり防止突部55がそれぞれ対向する空間部21Aに挿入される。ここで、仮に、相手ハウジング12がハウジング10Aに対して正規の嵌合姿勢から傾いた斜め姿勢をとっていると、両こじり防止突部55の前端がハウジング本体16Aの前面等に当接して、両ハウジング10A、12の嵌合動作が停止される。このため、各雄端子金具52の端子接続部53の前端がハウジング本体16Aの前面等に当接するのが防止され、各雄端子金具52が折損、破損される事態が回避される。
操作部材11Aが嵌合位置に至る手前では、アーム部37Aが第2ロック部26Aのロック突起27と干渉してロック突起27の斜面28を摺接し、第2ロック部26Aが空間部21A側に撓み変形させられる。このとき、第2ロック部26Aは、この第2ロック部26A側の空間部21Aに進入したこじり防止突部55と干渉する懸念があるものの、ロック突起27の下方に位置する傾斜部57が第2ロック部26Aの撓み方向に退避する傾斜形状になっていることにより、こじり防止突部55と強く干渉するのが回避される。
操作部材11Aが嵌合位置に至ると、第2ロック部26Aが実質的に弾性復帰し、ロック突起27が長溝39Aの端部41内に挿入される。図21に示すように、実施例1と同様、嵌合位置では、長溝39Aの端部41に第2ロック部26Aのロック突起27が当接することで。操作部材11Aが初期位置に戻る方向に移動するのが規制され、長溝39Aの他の端部43に支軸18Aが当接することで、操作部材11Aが嵌合位置より先方に移動するのが規制される。また、嵌合位置では、カムフォロア14がカム溝38の終端部分に到達し、両ハウジング10A、12が正規に嵌合され、雌雄の両端子金具も正規に接続された状態になる。
ところで、第2ロック部26Aは、操作部材11Aが嵌合位置に至る手前でアーム部37Aと干渉する間、一時的に空間部21A側に撓み変形させられるに過ぎない。このため、第2ロック部26Aがこじり防止突部55と当接するとしても格別大きな摺動抵抗を発生させることはない。
図24に示すように、操作部材11Aが嵌合位置に至ると、両こじり防止突部55が空間部21A内において弾性ロック25A、26A(図示する場合は、第2ロック部26A)と並んで配置され、傾斜部57が弾性ロック25A、26Aの前端部から離間して配置される一方、直線部56が弾性ロック25A、26Aの後端部に当接又は近接して配置される。したがって、弾性ロック25A、26Aが異物との干渉等による外力を受けて空間部21A側に大きく撓み変形させられるのが両こじり防止突部55によって阻止される。その結果、弾性ロック25A、26Aと操作部材11Aの長溝39Aとの係止状態が安定して維持される。また、弾性ロック25A、26Aが弾性限度を超えて過度に撓み変形させられる事態を回避することができる。なお、操作部材11Aが上記の第1移動路に沿って移動する間、第1ロック部25Aは、この第1ロック部25A側の空間部21Aに進入したこじり防止突部55と非干渉の状態に保たれる。また、操作部材11Aが上記第1移動路とは逆向きの第2移動路に沿って移動して初期位置及び嵌合位置で移動規制される点は、実施例1と同様の機構である。
以上説明したとおり、実施例2によれば、相手ハウジング12にこじり防止突部55が設けられ、相手ハウジング12がハウジング10Aに対して斜め姿勢をとって不正に嵌合されるときには、こじり防止突部55がハウジング10Aの壁面と干渉して嵌合動作を規制する一方、両ハウジング10A、12が正規に嵌合されるときには、こじり防止突部55が空間部21Aに進入して弾性ロック25A、26Aと並んで配置され、弾性ロック25A、26Aの撓みを規制することができるようになっている。このため、ハウジング10Aに設けられた空間部21Aがこじり防止突部55の進入スペースとして有効に活用され、デッドスペースにならずに済む。また、こじり防止突部55が両ハウジング10A、12のこじり嵌合を防止する機能と弾性ロック25A、26Aの不用意な撓みを規制する機能とを兼備するため、両機能毎に専用の構造部位を設ける必要がなく、構造を簡素化することができる。
また、相手ハウジング12は、操作部材11Aのスライド移動方向で、且つ第1ロック部25A及び第2ロック部26Aの並び方向を、長辺方向(図23の左右方向)としており、こじり防止突部55は、第1ロック部25A及び第2ロック部26Aと対応するように、相手ハウジング12の長辺方向の両側部に対をなして設けられているため、両ハウジング10A、12が不正嵌合される際に、相手ハウジング12が任意の斜め姿勢をとっていても、嵌合動作を効果的に規制することができ、こじり嵌合を防止する信頼性を高めることができる。
<他の実施例>
以下、他の実施例を簡単に説明する。
(1)上記実施例1とは逆に、支軸が操作部材のアーム部の内面に突出して設けられ、長溝がハウジングの外面に開口して設けられ、支軸が長溝に外側から摺接可能に挿入される構成としてもよい。
(2)長溝は、有底の形状であってもよい。
(3)支軸に設けられた鍔部の形状及び個数は任意であり、逃げ凹部は鍔部に対応して設けられていればよい。
(4)雌端子金具に接続された電線がハウジングの後方に引き出され、ハウジングの後面を覆うように電線カバーが設置される場合に、本発明のハウジングは電線カバーを含む概念となる。このため、支軸、係止受部及び弾性ロックは、電線カバーに設けられていてもよい。
(5)こじり防止突部は、相手ハウジングに1つだけ設けられるものであってもよく、あるいは、相手ハウジングに3つ以上設けられるものであってもよい。こじり防止突部が3つ以上設けられる場合、空間部に進入しないこじり防止突部が含まれていてもよい。