JP6880565B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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本発明は、タイヤ耐久性を改良するようにした空気入りタイヤに関する。
近年、空気入りタイヤへの要求性能が高くなってきており、タイヤの耐摩耗性を高くすることが求められている。空気入りタイヤのトレッド部は、スチールコードをコートゴム(スチールコード被覆用ゴム組成物)で被覆したカーカス層およびベルト層で構成されることがある。しかし、タイヤトレッドの耐摩耗性を高くすると、コートゴム(スチールコード被覆用ゴム組成物)の耐久性が相対的に低下することがある。
特許文献1は、ジエン系ゴムに有機酸コバルト塩を配合したゴム組成物により、スチールコードの接着性を改良することを提案している。しかし、需要者がタイヤ耐久性の改良に求めるレベルは高く更なる改良が求められていた。特に長期使用の後、アンダートレッドとベルト層との間に剥離が起こり易く、タイヤ耐久性を改良するため更なる改良が求められていた。
特開2007−99868号公報
本発明の目的は、アンダートレッドおよびベルト層の剥離を抑制しタイヤ耐久性を改良するようにした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成する本発明の空気入りタイヤは、アンダートレッド用ゴム組成物からなるアンダートレッドおよびベルト用ゴム組成物からなるベルト層を有する空気入りタイヤであって、前記アンダートレッド用ゴム組成物が、ジエン系ゴム100質量部に、有機酸コバルトをコバルト量で0.22〜0.35質量部、硫黄を2.0〜8.0質量部配合してなり、前記ベルト用ゴム組成物がジエン系ゴム100質量部に対し有機酸コバルトをコバルト量でCoB質量部、硫黄をSB質量部配合してなり、前記アンダートレッド用ゴム組成物がジエン系ゴム100質量部に対し有機酸コバルトをコバルト量でCoU質量部、硫黄をSU質量部配合してなるとき、前記アンダートレッド用ゴム組成物およびベルト用ゴム組成物のコバルト量の比(CoU/CoB)が1.0〜1.5、かつ硫黄量の比(SU/SB)が0.3〜1.0であることを特徴とする。
アンダートレッド用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に、有機酸コバルトをコバルト量で0.22〜0.35質量部、硫黄を2.0〜8.0質量部配合したので、このゴム組成物からなるアンダートレッドとベルト層との剥離を抑制しタイヤ耐久性を改良することができる。
本発明の空気入りタイヤは、前記アンダートレッド用ゴム組成物からなるアンダートレッドおよびベルト用ゴム組成物からなるベルト層を有し、前記ベルト用ゴム組成物がジエン系ゴム100質量部に対し有機酸コバルトをコバルト量でCoB質量部、硫黄をSB質量部配合し、前記アンダートレッド用ゴム組成物がジエン系ゴム100質量部に対し有機酸コバルトをコバルト量でCoU質量部、硫黄をSU質量部配合してなるとき、両者のコバルト量の比(CoU/CoB)を1.0〜1.5、かつ硫黄量の比(SU/SB)が0.3〜1.0にしたので、アンダートレッドとベルト層との剥離を抑制しタイヤ耐久性を改良することができる。
また前記アンダートレッド用ゴム組成物の100%引張応力(MU)および前記ベルト用ゴム組成物の100%引張応力(MB)の比(MU/MB)が0.96〜1.12であるとよい。
本発明の空気入りタイヤの実施形態の一例を示すタイヤ子午線方向の部分断面図である。
図1は、本発明の空気入りタイヤの実施形態の一例を示す断面図である。空気入りタイヤは、トレッド部1、サイドウォール部2、ビード部3からなる。
図1において、左右のビード部3間にタイヤ径方向に延在する補強コードをタイヤ周方向に所定の間隔で配列してゴム層に埋設した2層のカーカス層4が延設され、その両端部がビード部3に埋設したビードコア5の周りにビードフィラー6を挟み込むようにしてタイヤ軸方向内側から外側に折り返されている。カーカス層4の内側にはインナーライナー層7が配置されている。トレッド部1のカーカス層4の外周側には、タイヤ周方向に傾斜して延在するスチールコードをタイヤ軸方向に所定の間隔で配列してゴム層に埋設した2層のベルト層8が配設されている。この2層のベルト層8のスチールコードは層間でタイヤ周方向に対する傾斜方向を互いに逆向きにして交差している。ベルト層8の外周側には、ベルトカバー層9が配置されている。このベルトカバー層9の外周側に、トレッド部1がキャップトレッド10aおよびアンダートレッド10bにより形成される。
アンダートレッド10bは、本発明のアンダートレッド用ゴム組成物により構成される。またベルト層8のスチールコードを被覆するコートゴムは、ベルト用ゴム組成物により構成される。本発明のアンダートレッド用ゴム組成物は、アンダートレッド10bのうち、ベルト層の外周に配置されるトレッドアンダーシートに使用することが好ましい。トレッドアンダーシートを配置することにより、アンダートレッド10bおよびベルト層8の接着を優れたものにすることができる。
本発明のアンダートレッド用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に、有機酸コバルトをコバルト量で0.05〜0.35質量部、硫黄を2.0〜8.0質量部配合してなる。ジエン系ゴムは、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム等を挙げることができる。なかでも天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ハロゲン化ブチルゴムがよい。これらジエン系ゴムは、単独又は任意のブレンドとして使用することができる。
アンダートレッド用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量%中、好ましくは天然ゴムを80質量%以上、より好ましくは90〜100質量%含有するとよい。天然ゴムの含有量をこのような範囲にすることにより、空気入りタイヤの耐摩耗性を高くすることができる。
アンダートレッド用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、有機酸コバルトをコバルト量で0.05〜0.35質量部、好ましくは0.10〜0.25質量部配合してなる。有機酸コバルトがコバルト量で0.05質量部未満であると、ベルトエッジセパレーションを起こし易くなる。また有機酸コバルトがコバルト量で0.35質量部をこえると、タイヤ耐久性が却って低下する。
有機酸コバルトとしては、例えばナフテン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、ロジン酸コバルト、バーサチック酸コバルト、トール油酸コバルト、ホウ酸ネオデカン酸コバルト、アセチルアセトナートコバルト等を挙げることができる。また、これらの有機酸コバルト塩のなかでも、ホウ素を含む有機酸コバルト塩が好ましく、例えば有機酸の一部をホウ酸等で置き換えた複合塩であるとよい。ホウ素を含有する有機酸コバルト塩はコバルト含量が20〜23重量%であるオルトホウ酸コバルトが好ましい。ホウ素を含有する有機酸コバルト塩としては、例えばローディア社製マノボンドC22.5及びマノボンド680C、Jhepherd社製CoMend A及びCoMend B、DIC CORPORATION社製DICNATE NBC−II等を例示することができる。
アンダートレッド用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、硫黄を2.0〜8.0質量部、好ましくは4.0〜6.0質量部配合してなる。硫黄の配合量が2.0質量部未満であると、100%引張応力が低くなり、ベルトエッジセパレーションを起こし易くなる。また硫黄の配合量が8.0質量部を超えると、タイヤ耐久性が却って低下する。なお本明細書において、硫黄の配合量は、加硫のために配合する硫黄および/または加硫剤中に含まれる硫黄の正味の配合量とする。
本発明のアンダートレッド用ゴム組成物は、フェノール系樹脂およびその硬化剤を配合することができる。フェノール系樹脂および硬化剤を配合することにより、アンダートレッド用ゴム組成物の100%引張応力を向上し、タイヤ耐久性を優れたものにすることができる。
フェノール系樹脂としては、例えばクレゾール樹脂、レゾルシン樹脂、アルキルフェノール樹脂、変性フェノール樹脂を挙げることができる。変性フェノール樹脂としてはカシュー変性フェノール樹脂、オイル変性フェノール樹脂、エポキシ変性フェノール樹脂、アニリン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂等が例示される。
クレゾール樹脂は、クレゾールとホルムアルデヒドとを反応させた化合物であり、特にm−クレゾールを用いた化合物が好適である。クレゾール樹脂としては例えば住友化学社製スミカノール610、日本触媒社製SP7000等を例示することができる。
レゾルシン樹脂は、レゾルシンとホルムアルデヒドとを反応させた化合物であり、例えばINDSPEC Chemical Corporation社製Penacolite B−18−S、同B−19−S、同B−20−S、同B−21−S等を例示することができる。またレゾルシン樹脂として、変性したレゾルシン樹脂を使用してもよく、例えばアルキルフェノール等により変性したレゾルシン樹脂が挙げられ、レゾルシン・アルキルフェノール・ホルマリン共重合体等を例示することができる。
カシュー変性フェノール樹脂は、カシュー油を用いて変性したフェノール樹脂であり、例えば住友ベークライト社製スミライトレジンPR−YR−170、同PR−150、大日本インキ化学工業社製フェノライトA4−1419等を例示することができる。フェノール樹脂は、フェノールとホルムアルデヒドとの反応によって得られた未変性の樹脂であり、例えば住友化学社製スミカノール620等を例示することができる。
フェノール系樹脂の配合量は、アンダートレッド用ゴム組成物を構成するジエン系ゴム100質量部に対し好ましくは0.5質量部以上10質量部以下、より好ましくは3.0〜6.0質量部にするとよい。フェノール系樹脂の配合量が0.5質量部未満であると、ゴム組成物の100%引張応力を改良する作用が十分に得られず、タイヤ耐久性が不足する虞がある。またフェノール系樹脂の配合量が10質量部を超えるとであると、タイヤ耐久性が却って低下する虞がある。
本発明において、上述したフェノール系樹脂を硬化させる硬化剤として、例えばヘキサメチレンテトラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミン、ペンタメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、パラ−ホルムアルデヒドのポリマー、メラミンのN−メチロール誘導体等が挙げられる。これらのメチレン供与体は、単独又は任意のブレンドとして使用することができる。
ヘキサメチレンテトラミンとしては、例えば三新化学工業社製サンセラーHT−PO等を例示することができる。ヘキサメトキシメチロールメラミン(HMMM)としては、例えばCYTEC INDUSTRIES社製CYREZ 964RPC等を例示することができる。ペンタメトキシメチルメラミン(PMMM)としては、例えばBARA CHEMICAL Co.,LTD.社製スミカノール507A等を例示することができる。
硬化剤の配合量は、アンダートレッド用ゴム組成物を構成するジエン系ゴム100質量部に対し好ましくは0.25〜5質量部、より好ましくは1.5〜3.0質量部にするとよい。硬化剤の配合量が0.25質量部未満であると、ゴム組成物の100%引張応力を改良する作用が十分に得られず、タイヤ耐久性が不足する虞がある。また硬化剤の配合量が5質量部を超えると、タイヤ耐久性が却って低下する虞がある。
アンダートレッド用ゴム組成物は、無機充填剤として、カーボンブラック、シリカ、クレー、タルク、マイカ、炭酸カルシウム等を任意に配合することができる。なかでもカーボンブラック、シリカが好ましい。カーボンブラックを配合することにより動的貯蔵弾性率(E′)を大きくすることができる。シリカを配合することにより60℃のtanδを小さくすることができる。
ゴム組成物には、加硫促進助剤、老化防止剤、素練促進剤、各種オイル、可塑剤などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。本発明の空気入りタイヤを構成するゴム組成物は、通常のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用して、上記各成分を混合することによって製造することができる。
本発明の空気入りタイヤにおいて、ベルト層を構成するベルト用ゴム組成物は、ジエン系ゴムに、有機酸コバルトおよび硫黄を配合してなる。ベルト用ゴム組成物を構成するジエン系ゴムは、天然ゴムを含むとよい。天然ゴムの含有量は、ジエン系ゴム100質量%中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90〜100質量%である。天然ゴムの含有量が80質量%未満であるとスチールコードに対する接着性(例えばクロスプライ剥離力)が低下し、ベルトエッジセパレーションを抑制することができない虞がある。
ベルト用ゴム組成物を構成するジエン系ゴムは、天然ゴム以外の他のジエン系ゴムを配合することができる。他のジエン系ゴムとしては、例えばイソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム等を例示することができる。なかでもイソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ハロゲン化ブチルゴムがよい。これらジエン系ゴムは、単独又は任意のブレンドとして使用することができる。他のジエン系ゴムの含有量は、ジエン系ゴム100質量%中、好ましくは20質量%以下、より好ましくは0〜10質量%である。
ベルト用ゴム組成物は、有機酸コバルトを配合することにより、スチールコードに対する接着性を高くする。ベルト用ゴム組成物に配合する有機酸コバルトとしては、前述した有機酸コバルトのなかから適切に選ぶことができる。なかでもネオデカン酸ホウ酸コバルトが好ましい。ネオデカン酸ホウ酸コバルトは下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 0006880565
本明細書において、ベルト用ゴム組成物に配合する有機酸コバルトの量を、ベルト用ゴム組成物を構成するジエン系ゴム100質量部に対しコバルト量でCoB質量部とする。また、前述したアンダートレッド用ゴム組成物に配合する有機酸コバルトの量を、アンダートレッド用ゴム組成物を構成するジエン系ゴム100質量部に対しコバルト量でCoU質量部とする。このとき、アンダートレッド用ゴム組成物のコバルト量(CoU)およびベルト用ゴム組成物のコバルト量(CoB)の比(CoU/CoB)は0.25〜1.5であり、好ましくは0.5〜1.2である。アンダートレッド用ゴム組成物およびベルト用ゴム組成物のコバルト量の比(CoU/CoB)が0.25未満であると、ベルトの老化後酸素濃度が高くなる。またコバルト量の比(CoU/CoB)が1.5を超えると、ベルトとの物性バランスが崩れ、タイヤ耐久性が却って低下する。
本明細書において、ベルト用ゴム組成物に配合する硫黄の量を、ベルト用ゴム組成物を構成するジエン系ゴム100質量部に対しSB質量部とする。またアンダートレッド用ゴム組成物に配合する硫黄の量を、アンダートレッド用ゴム組成物を構成するジエン系ゴム100質量部に対しSU質量部とする。このとき、アンダートレッド用ゴム組成物の硫黄量(SU)およびベルト用ゴム組成物の硫黄量(SB)の比(SU/SB)は0.3〜1.4であり、好ましくは0.8〜1.2である。アンダートレッド用ゴム組成物およびベルト用ゴム組成物の硫黄量の比(SU/SB)が0.3未満であると、ベルトの老化後酸素濃度が高くなる。また硫黄量の比(SU/SB)が1.25を超えると、ベルトとの物性バランスが崩れ、タイヤ耐久性が却って低下する。
本発明の空気入りタイヤにおいて、アンダートレッド用ゴム組成物の100%引張応力(MU)およびベルト用ゴム組成物の100%引張応力(MB)の比(MU/MB)が好ましくは0.9〜1.2であるとよい。100%引張応力の比(MU/MB)が0.9未満であったり、1.2を超えるとベルトとの物性バランスが崩れ、タイヤ耐久性が低下する。アンダートレッド用ゴム組成物およびベルト用ゴム組成物の組成および温度、時間などの加硫条件により増減することができる。本明細書において、100%引張応力は、JIS K6251に準拠する引張り試験において100%変形させたときの引張応力とする。
ベルト用ゴム組成物は、フェノール系樹脂およびその硬化剤を配合することができる。フェノール系樹脂および硬化剤を配合することにより、ゴム組成物の100%引張応力およびスチールコードに対する接着性能を向上し、タイヤ耐久性を優れたものにすることができる。フェノール系樹脂および硬化剤の種類は、前述したなかから適切に選択することができる。
本発明において、アンダートレッド用ゴム組成物および/またはベルト用ゴム組成物に配合する加硫促進剤としては特に限定されるものではないが、好ましくはスルフェンアミド系加硫促進剤が好ましい。スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えばN,N−ジシクロヘキシル−1,3−ベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(DZ)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CZ)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(OBS)、N−(tert−ブチル)ベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(NS)を挙げることができる。これらスルフェンアミド系加硫促進剤は単独でまたは複数を組合わせて配合することができる。なかでもN,N−ジシクロヘキシル−1,3−ベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(DZ)および/またはN−(tert−ブチル)ベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(NS)を配合することが好ましい。
本発明の空気入りタイヤは、アンダートレッドおよびベルト層を構成するゴム組成物の関係を特定したことにより、アンダートレッドおよびベルト層の剥離を抑制し、空気入りタイヤの耐久性を従来レベル以上に維持・向上することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1,2に示す配合からなる10種類のゴム組成物(ベルト用ゴム組成物、アンダートレッド用ゴム組成物の実施例1〜5、比較例1〜4)を調製するに当たり、それぞれ硫黄及び加硫促進剤を除く成分を秤量し、1.7L密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、そのマスターバッチを放出し室温冷却した。このマスターバッチを1.7L密閉式バンバリーミキサーに供し、硫黄及び加硫促進剤を加え、混合しゴム組成物を得た。表1,2において、硫黄の配合量は、硫黄からなる加硫剤(製品)に含まれる硫黄の正味の配合量を括弧内に記載した。また有機酸コバルトの配合量は、それぞれのコバルト量を括弧内に記載した。アンダートレッド用ゴム組成物のコバルト量(CoU)およびベルト用ゴム組成物のコバルト配合量(CoB)の比(CoU/CoB)を表1,2に記載した。またアンダートレッド用ゴム組成物の硫黄配合量(SU)およびベルト用ゴム組成物の硫黄配合量(SB)の比(SU/SB)を表1,2に記載した。
上記で得られたゴム組成物を、それぞれ所定形状の金型中で、170℃、10分間加硫して試験片を作製し、下記に示す方法により100%引張応力を測定した。また後述する方法でアンダートレッドおよびベルト層の老化後の酸素濃度(単位:%)を測定した。
100%引張応力
得られた試験片を使用し、JIS K6251に準拠してJIS3号ダンベル型試験片を切り出した。JIS K6251に準拠して引張試験を行い、100%変形時の引張応力を測定し、表1,2に記載した。またアンダートレッド用ゴム組成物の100%引張応力(MU)およびベルト用ゴム組成物の100%引張応力(MB)の比(MU/MB)を算出し合わせて記載した。
アンダートレッドおよびベルト層の老化後の酸素濃度
上記で得られたゴム組成物を用いて、タイヤ(195/65R15)を作成し、完成タイヤをリムに組み付け、酸素を充填し内圧を300kPaとし、この状態で80℃のオーブンに7日間保管処理した後、タイヤから各部材を切り出した。切り出したサンプルの酸素含有量をCHN元素分析法により測定した。
老化後のベルト/ワイヤーゴム付き
上記で得られたゴム組成物を用いて、タイヤ(195/65R15)を作成し、完成タイヤをリムに組み付け、酸素を充填し内圧を300kPaとし、この状態で80℃のオーブンに7日間保管処理した後、タイヤからベルト部材を切り出した。切り出したサンプルを用いて、ワイヤーの剥離試験を実施し表面のゴム被覆率をゴム付きとし、比較例1の被覆率を100として指数表示した。数字の大きい方がゴム被覆率が高く、耐久性に優れる。
Figure 0006880565
Figure 0006880565
表1,2において使用した原材料の種類を下記に示す。
・NR:天然ゴム、TSR20
・CB:カーボンブラック、東海カーボン社製シースト300
・ネオデカン酸ホウ酸Co:ネオデカン酸ホウ酸コバルト、DIC CORPORATION社製DICNATE NBC−II(コバルト含量22質量%)
・フェノール系樹脂:レゾルシン樹脂、INDSPEC Chemical Corporation社製Penacolite B−18−S
・硬化剤:ヘキサメトキシメチロールメラミン(HMMM)、CYTEC INDUSTRIES社製CYREZ 964RPC
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・老化防止剤:フレキシス社製サントフレックス 6PPD
・ステアリン酸:日油社製ステアリン酸
・硫黄:四国化成工業社製ミュークロン OT−20(硫黄含有量が80質量%)
・加硫促進剤:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、大内新興化学工業社製ノクセラーCZ−G(CZ)
表2から明らかなように実施例1〜5の空気入りタイヤは、ベルトの酸素濃度の上昇が抑制されることが確認された。
表1から明らかなように、比較例1の空気入りタイヤは、アンダートレッド用ゴム組成物に有機酸コバルトを配合しないので、100%引張応力の比が小さく、かつベルト老化後の酸素濃度が高い。
比較例2の空気入りタイヤは、アンダートレッド用ゴム組成物に硫黄を8.0質量部を超えて配合したので、100%引張応力の比が大きくベルトとの物性バランスが崩れ、タイヤ耐久性が低下する。
比較例3の空気入りタイヤは、アンダートレッド用ゴム組成物に有機酸コバルトをコバルト量で0.35質量部を超えて配合したので、100%引張応力の比が小さく、かつベルト老化後の酸素濃度が高い。また老化後のベルト/ワイヤーゴム付きが少なく、耐久性が不足する。
比較例4の空気入りタイヤは、アンダートレッド用ゴム組成物に硫黄を2.0質量部未満配合したので、100%引張応力の比が小さく、かつベルト老化後の酸素濃度が高い。また老化後のベルト/ワイヤーゴム付きが少なく、耐久性が不足する。
1 トレッド部
4 カーカス層
8 ベルト層
10a キャップトレッド
10b アンダートレッド

Claims (2)

  1. アンダートレッド用ゴム組成物からなるアンダートレッドおよびベルト用ゴム組成物からなるベルト層を有する空気入りタイヤであって、前記アンダートレッド用ゴム組成物が、ジエン系ゴム100質量部に、有機酸コバルトをコバルト量で0.22〜0.35質量部、硫黄を2.0〜8.0質量部配合してなり、前記ベルト用ゴム組成物がジエン系ゴム100質量部に対し有機酸コバルトをコバルト量でCoB質量部、硫黄をSB質量部配合してなり、前記アンダートレッド用ゴム組成物がジエン系ゴム100質量部に対し有機酸コバルトをコバルト量でCoU質量部、硫黄をSU質量部配合してなるとき、前記アンダートレッド用ゴム組成物およびベルト用ゴム組成物のコバルト量の比(CoU/CoB)が1.0〜1.5、かつ硫黄量の比(SU/SB)が0.3〜1.0であることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記アンダートレッド用ゴム組成物の100%引張応力(MU)および前記ベルト用ゴム組成物の100%引張応力(MB)の比(MU/MB)が0.96〜1.12であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
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