以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
先ず、図1,2には、本発明の1実施形態としての採血管ホルダ10が製品出荷状態で示されている。この採血管ホルダ10は、皮膚に穿刺される医療用の採血針12(図3等参照)とホルダ部13を備えている。そして、ホルダ部13には安全機構14が取り付けられており、採血針12の穿刺後、安全機構14を構成するプロテクタ15をホルダ部13に対して回動変位させることで採血針12がプロテクタ15により側方から覆われて保護されるようになっている。なお、図1に示す初期状態(製品出荷状態)では、採血針12が露出しないように、採血針12が外側からキャップ16により覆われている。また、以下の説明において、軸方向とは、採血針12の針軸方向である図2中の上下方向をいう。さらに、先端側とは、採血針12の皮膚に穿刺される側である図2中の上側をいう一方、基端側とは、採血針12において採血管17(図3等参照)が接続される側である図2中の下側をいう。
より詳細には、本実施形態の採血針12は中空の両頭針とされており、即ち採血針12の先端と基端には、それぞれ鋭利な針先18,20(図9参照)が設けられている。特に、先端側の針先18には、穿刺し易いように刃面22(図3等参照)が形成されており、当該刃面22が、軸方向に対して傾斜する傾斜面とされている。また、本実施形態では、当該採血針12の長さ方向中間部分において、周壁の一部が切り欠かれた切欠部23(図9参照)が形成されている。
かかる採血針12は、その長さ方向中間部分またはその基端側において、ハブとしての針ハブ24(図4等参照)に固定支持されている。この針ハブ24は、略筒状とされており、中心孔に採血針12が挿通されて接着剤で接着されることなどにより、採血針12が針ハブ24に固定支持されている。また、針ハブ24の長さ方向中間部分の外周面には雄ねじ26(図9参照)が形成されているとともに、基端の外周面には、外周側に突出する大径の固定部28(図9参照)が形成されている。
一方、針ハブ24の先端部分は小径筒部30(図4等参照)とされており、当該小径筒部30の外周面には、外周側に放射状に突出する複数の(本実施形態では4つの)突出部32(図4等参照)が設けられている。そして、小径筒部30の内周側に採血針12の切欠部23が位置するように採血針12と針ハブ24が軸方向で位置合わせされた状態で、採血針12が針ハブ24に固定支持されている。
この針ハブ24には、例えば特開2002−325750号公報に示す如きフラッシュバック観察部34が設けられている。すなわち、この針ハブ24は、透明な合成樹脂材料により一体形成されており、採血針12を皮膚に穿刺することで採血針12内に血液が流入して、透明な針ハブ24を介して切欠部23によりフラッシュバックが観察または確認できるようになっている。したがって、小径筒部30の周壁において、切欠部23の外周側に位置する部分がフラッシュバック観察部34とされている。
なお、本実施形態では、フラッシュバックが観察または確認できるように、採血針12の軸方向中間部分に切欠部23を設けていたが、採血針は、特開2002−325750号公報の図1,3,4等に示すように先端側針管と基端側針管の2部材からなるようにしてもよいし、針ハブ24の形状等も、例えば特開2002−325750号公報の図1〜4等に記載のものなど、従来公知の形状が採用され得る。尤も、かかるフラッシュバック観察部は、本発明において、必須なものではない。
そして、かかる針ハブ24の基端には、ラバースリーブ36(図9参照)が取り付けられて、採血針12の基端側が当該ラバースリーブ36により覆われている。このラバースリーブ36は、ゴム製の略有底円筒形状の部材とされており、中心孔に採血針12の基端側が挿入されるとともに、先端側開口部が針ハブ24の基端の固定部28に係止されることで針ハブ24に液密的に取り付けられている。これにより、未使用時における採血針12の基端側の針先20の露出が回避されている。
かかる針ハブ24は、ホルダ部13に取り付けられている。ホルダ部13は、全体として筒状とされており、本体部38と、当該本体部38の基端側から挿入される保持部40(図9参照)とから構成されている。
本体部38は、透明な合成樹脂材料により形成されることが好適であり、全体として、略有底円筒形状とされている。すなわち、本体部38は、略軸直角方向に広がると共に中央に貫通孔41(図9参照)を有する環状の底壁部42と、当該底壁部42の外周縁部から基端側に向かって僅かに拡径しながら延びる略テーパ筒状の側壁としての周壁部44とを備えている。
そして、底壁部42の径方向中間部分において、先端側端面である天面45からは、先端側(軸方向外方)に突出する筒状の外周筒部46が形成されているとともに、内周縁部からは、先端側に突出する筒状の内周筒部47(図9参照)が形成されている。この内周筒部47の突出高さ寸法(軸方向寸法)は、外周筒部46の突出高さ寸法(軸方向寸法)よりも小さくされている。すなわち、本体部38の先端側は、内周筒部47の形成位置において、二重筒構造とされている。したがって、ホルダ部13の外面13aが、外周筒部46の外周面48を含んで構成されており、当該外周筒部46の外周面48には、その軸方向中間部分において、周方向の全周に亘って連続して延びる規制部としての突出リブ49が形成されている。一方、内周筒部47の内周面には、針ハブ24の雄ねじ26に対応する雌ねじ50(図9参照)が形成されている。
また、周壁部44の基端側開口部52(図9参照)には、径方向外方に突出するフランジ54が一体形成されている。本実施形態では、当該フランジ54が、周方向の全周に亘って連続して形成されており、周方向でその突出寸法が異ならされている。すなわち、フランジ54の径方向1方向の両側(本実施形態では、図2中の左右方向の両側)には、突出寸法が大きくされた大径部55a,55aが設けられている一方、これら大径部55a,55aの対向方向と直交する方向の両側(図4中の上下方向両側)には、突出寸法が小さくされた小径部55b,55bが設けられている。特に、本実施形態では、両大径部55a,55aのそれぞれの周方向中央部分に、当該大径部55a,55aよりも突出寸法の小さくされた凹部55c,55cが設けられている。
一方、保持部40は、全体として、略円筒形状とされており、内面が略ストレートとされた筒状部56(図9参照)の先端から、径方向で弾性変形可能な保持爪部58(図9参照)が先端側に突出している。本実施形態では、4つの保持爪部58が設けられており、筒状部56の先端において、周方向に等間隔で形成されている。なお、これらの保持爪部58は、それぞれ略くの字状に屈曲する形状とされているが、相互に当接することなく、それぞれ所定の周方向距離を隔てて位置している。
以上の如き構造とされた本体部38の基端側開口部52から保持部40が挿入されて一体的に組み付けられることで、ホルダ部13が構成されている。なお、保持爪部58の突出先端は、底壁部42までは至らずに、ホルダ部13内で自由端として位置せしめられている。また、本体部38と保持部40との固定手段は、何等限定されるものではなく、溶着や接着などであってもよいが、本実施形態では、本体部38の内周面と保持部40の外周面との間に凹凸が設けられて、これらの凹凸嵌合により相互に係止固定されるようになっている。
また、かかるホルダ部13の基端側開口部52は、空気透過性シート59で覆われている。この空気透過性シート59は、気体は透過する一方、細菌は透過しない、例えば多孔性のシートとされており、当該空気透過性シート59が、ホルダ部13の基端に設けられたフランジ54の基端面に対して溶着や接着などの手段により固着されている。
そして、かかる構造とされたホルダ部13に対して、採血針12が固定された針ハブ24が取り付けられている。すなわち、ホルダ部13の本体部38における内周筒部47の先端側開口から採血針12が固定された針ハブ24が挿入されて、雄ねじ26と雌ねじ50が螺合することで、ホルダ部13に対して採血針12および針ハブ24が取り付けられている。すなわち、ホルダ部13の先端部分に針ハブ24が取り付けられており、換言すれば、針ハブ24からフランジ54までの軸方向間においてホルダ部13が形成されている。そして、ホルダ部13は、基端よりも先端が小径とされていることから、針ハブ24はホルダ部13の基端よりも小径とされている。
かかる採血針12および針ハブ24のホルダ部13への取付状態では、これら採血針12および針ハブ24が外周筒部46および内周筒部47に囲まれている一方、採血針12の先端側の針先18がホルダ部13よりも先端側に突出している。それとともに、採血針12の切欠部23および針ハブ24のフラッシュバック観察部34が、本体部38の内周筒部47よりも先端側、且つ外周筒部46の内周側に位置している。一方、採血針12の基端側の針先20は、ラバースリーブ36に覆われた状態で底壁部42の貫通孔41に挿通されて、ホルダ部13の内部に位置している。特に、本実施形態では、かかる採血針12の基端側の針先20が、保持爪部58の軸方向中間部分に相当する軸方向位置で、各保持爪部58の内周側に位置している。
一方、キャップ16は、基端側に開口する略有底の筒形状とされており、基端側開口部の外径寸法がホルダ部13の本体部38における外周筒部46の内径寸法と略等しくされている。そして、キャップ16の基端側開口から採血針12の針先18が挿入されて、当該キャップ16の基端が外周筒部46に内嵌されることにより、ホルダ部13に対してキャップ16が、採血針12を覆った状態で取り付けられるようになっている。なお、キャップ16の基端側開口部における内周面には、内周側に突出する突部が周方向で複数設けられており、針ハブ24の先端に設けられた突出部32と係合することで、キャップ16がホルダ部13に対して周方向で回転することが防止されている。
以上の如き採血針12を備えたホルダ部13に対して、安全機構14が取り付けられることにより、本実施形態の採血管ホルダ10が構成されている。この安全機構14は、ホルダ部13に取り付けられるカラー60と、ホルダ部13に対して回動することで採血針12を側方から覆って保護するプロテクタ15とを含んで構成されている。
このカラー60は、本実施形態では、周方向の全周に亘って連続して延びる略筒状とされており、その内周面が嵌着内周面64(図9参照)とされている。
一方、プロテクタ15は、全体として溝幅寸法に対して溝長さ寸法が大きくされた長手の凹溝状とされており、即ち、長手の底壁としての溝底壁部66と、当該溝底壁部66の周方向両端から、溝底壁部66の厚さ方向のうちの一方の側に突出する一対の側壁部68,68を備えている。そして、これら溝底壁部66と両側壁部68,68により、採血針12を側方から覆うための側方開口部70が形成されている。換言すれば、プロテクタ15には、回動方向において、採血針12に向かって開口する側方開口部70が形成されている。
また、かかるプロテクタ15の凹溝(側方開口部70)は、長さ方向一方の側(図1,2中の上方)で基端側開放部72をもって開放されている一方、長さ方向他方の側(図1,2中の下方)で先端側壁部74(図3等参照)をもって閉塞する行き止まり形状とされている。
さらに、プロテクタ15は、その基端側(長さ方向一方の側)における側壁部68,68の対向面間距離(側方開口部70の開口幅)が、先端側における側壁部68,68の対向面間距離(側方開口部70の開口幅)よりも大きくされており、すなわち、プロテクタ15の基端側が幅広部76とされている一方、プロテクタ15の先端側が狭幅部78とされている。
なお、プロテクタ15の長さ寸法は、側方開口部70の開口側(図2中の右側)に比べて、側方開口部70における溝底壁部66側(図2中の左側)の方が短くされている。すなわち、プロテクタ15の基端面80が、長さ方向に直交する方向に広がる平坦面とされている一方、先端面82は、先端側に向かうに従って側方開口部70の開口側に傾斜する傾斜面とされている。特に、本実施形態では、プロテクタ15の先端面82が湾曲して傾斜する湾曲傾斜面とされている。
一方、プロテクタ15における両側壁部68,68の対向内面84,84(図3等参照)には、対向方向内方に向かって突出する案内突部86,86(図3等参照)が形成されている。これらの案内突部86,86は、これらの対向間に採血針12を挿入できるだけの対向間距離を有するように、その突出高さが設定されている。なお、これら案内突部86,86における側方開口部70の開口方向側の端面は、溝深さ方向(図2中の左方)に向かって突出高さ寸法が大きくなる傾斜面とされており、当該傾斜面により、採血針12の収容時に、採血針12を案内突部86,86間に案内する収容ガイド面88,88(図3等参照)が構成されている。本実施形態では、一方(図8中の左方)の側壁部68において、3つの案内突部86,86,86が長さ方向で相互に距離を隔てて形成されているとともに、他方(図8中の右方)の側壁部において、2つの案内突部86,86が長さ方向で相互に距離を隔てて形成されており、プロテクタ15において、合計5つの案内突部86,86,86,86,86が形成されている。
また、プロテクタ15の凹溝内には、採血針12がプロテクタ15に収容された際に、採血針12を係止して収容状態を保持する係止部90(図3等参照)が形成されている。本実施形態では、係止部90が、溝底壁部66から側方開口部70の開口側に向かって突出しており、その突出先端において溝底壁部66側に折り返されて略レの字状とされている。そして、かかる屈曲部分に採血針12が係止されることで、プロテクタ15が採血針12の収容状態に保持されるようになっている。なお、本実施形態では、プロテクタ15の凹溝内において、2つの係止部90,90が、軸方向で相互に離隔して形成されている。
かかる形状とされたプロテクタ15がカラー60の外周側に位置しており、これらカラー60とプロテクタ15とが、連結部92により相互に接続されている。すなわち、連結部92は、カラー60から外周側に延び出しており、カラー60の外周面と、プロテクタ15の溝底壁部66における側壁部68,68が突出していない側の端面とが、連結部92により相互に接続されている。特に、この連結部92は、カラー60における先端と、プロテクタ15の溝底壁部66における長さ方向一方の側(基端側開放部72が形成されている側)の端部を接続している。
本実施形態では、かかる連結部92が、プロテクタ15の回動に伴って折れ曲がることが可能な連結アーム93と、プロテクタ15に回動するための付勢力を与える付勢アーム94とから構成されている。特に、本実施形態では、付勢アーム94の周方向両側のそれぞれに連結アーム93,93が形成されている。すなわち、連結アーム93,93が、それぞれカラー60およびプロテクタ15に対して、接続点95,96をもって接続している一方、付勢アーム94が、カラー60およびプロテクタ15に対して接続点97,98をもって接続している。なお、本実施形態では、付勢アーム94の一端であるプロテクタ15への接続点98が、連結アーム93,93におけるプロテクタ15への接続点96,96よりも、プロテクタ15の溝底壁部66における長さ方向他方の側(先端側、即ち先端側壁部74が形成されている側)に位置している。
これらの連結アーム93,93は全体としてそれぞれ略板状とされており、その長さ方向中間部分に厚さ寸法が小さくされたヒンジ状の薄肉部100,100を有しているとともに、当該薄肉部100を挟んだ両側が厚肉部101,101とされている。かかる薄肉部100,100により連結アーム93,93が自由に折れ曲がる、即ち両厚肉部101,101が形成する角度を自由に変更することが可能とされており、当該薄肉部100,100により連結アーム93,93の幅方向に延びる回動軸Lc(図4参照)が構成されている。
なお、連結アーム93,93におけるプロテクタ15への接続点96,96は、カラー60の先端よりも先端側に位置しており、回動軸(薄肉部)100,100を含む連結アーム93,93の略全体がカラー60の先端よりも先端側且つ外周側に位置している。そして、図1,2に示される初期状態および図3,4の採血針12の穿刺状態では、連結アーム93,93が薄肉部(回動軸)100,100で所定の角度α1 (図2参照)をもって折れ曲がっており、即ちカラー60に接続する厚肉部101が針軸方向に対して所定の傾斜角度β(図2参照)をもってカラー60から延び出している一方、プロテクタ15に接続する厚肉部101が針軸方向に対して略直交する方向に延びている。かかる角α1 や角βの大きさは何等限定されるものではないが、本実施形態では、それぞれ180°<α1 <270°、90°<β<180°とされている。
また、薄肉部(回動軸)100,100は、軸方向の投影において、ホルダ部13における本体部38の最大外径部分(基端部分)102よりも内周側に位置している。すなわち、図2中において、採血針12の針軸中心を示す直線Lに対して、薄肉部(回動軸)100,100の径方向位置を示す直線L1が、本体部38の最大外径部分102の径方向位置を示す直線L2よりも接近して(図2中左側に位置して)いる。
一方、付勢アーム94は、板状の部材の長さ方向中間部分を基端側へ湾曲または屈曲せしめて弾性を付与した弾性片により構成されており、当該長さ方向中間部分が屈曲部103とされている。なお、本実施形態では、付勢アーム94の一端であるプロテクタ15への接続点98が、カラー60の先端と略同じ軸方向位置か僅かに基端側に位置している一方、屈曲部103の頂部103aが、ホルダ部13における底壁部42の天面45よりも先端側に位置している。特に、本実施形態では、図1,2に示される初期状態において、屈曲部103の頂部103aが、回動軸(薄肉部)100,100よりも内周側に位置している。すなわち、図2中において、採血針12の針軸中心を示す直線Lに対して、屈曲部103の頂部103aの径方向位置を示す直線L3が、回動軸100,100の径方向位置を示す直線L1よりも接近して(図2中の左側に位置して)いる。これにより、付勢アーム94の略全体が、ホルダ部13の底壁部42と連結アーム93,93との軸方向間に設けられている。
そして、かかる付勢アーム94を採用することで、プロテクタ15を、接続点97を中心にして回動変位させて付勢アーム94を弾性変形させることにより、プロテクタ15が初期位置とは他の安定位置へ向かって付勢されるようになっている。要するに、かかる付勢アーム94により、カラー60に対してプロテクタ15を複数の安定位置で選択的に位置決めすることができるようになっている。
すなわち、採血針12の初期状態または穿刺時における安定位置では、付勢アーム94が屈曲部103において湾曲または屈曲せしめられて接続点97,98の離隔距離が小さくされているが、プロテクタ15の回動に伴って付勢アーム94の屈曲部103が伸長せしめられて接続点97,98の離隔距離が大きくされることにより、付勢アーム94には元の湾曲または屈曲の状態に戻ろうとする復元力(接続点97,98が接近しようとする方向の力)が及ぼされる。そして、更なるプロテクタ15の回動により付勢アーム94における屈曲部103が湾曲または屈曲する状態に復元して接続点97,98の離隔距離が小さくされることで、プロテクタ15が他の安定位置に位置せしめられるようになっている。
なお、本実施形態では、安全機構14(カラー60)をホルダ部13に組み付けた際において、プロテクタ15と付勢アーム94との接続点98が、ホルダ部13の周壁部44よりも外周側に位置している。また、当該接続点98は、フランジ54よりも内周側に設けられており、本実施形態では、フランジ54の小径部55bと略同じ径方向位置、即ち採血針12の針軸中心(後述する図13中の直線L)からの径方向距離が略等しくされているか、僅かに内周側に設けられている。換言すれば、本実施形態では、プロテクタ15が、フランジ54の大径部55aと周上の同位置にあるが、後述する図12,13のように、プロテクタ15をホルダ部13に対して周方向で90度回転させてプロテクタ15とフランジ54の小径部55bとを周上の同位置に位置せしめた場合、接続点98と小径部55bとの外周端部とが軸方向に延びる直線L4(図13参照)上に位置しているか、接続点98の方が小径部55bの外周端部より僅かに内周側に位置している。要するに、採血針12の穿刺前(初期状態)においては、軸方向の投影において、連結部92がフランジ54よりも内周側に位置している。
また、かかる付勢アーム94の長さ寸法や形状等は何等限定されるものではないが、開閉に伴う変形に際して、プロテクタ15の、ホルダ部13などの他部材への干渉を回避するように設定されることが好適である。
なお、以上の如き安全機構14は、カラー60とプロテクタ15と連結部92(連結アーム93,93および付勢アーム94)とを備えた合成樹脂の一体成形品として形成されている。
ここにおいて、かかる安全機構14が採血針12を備えるホルダ部13に取り付けられている。すなわち、安全機構14におけるカラー60が、ホルダ部13の本体部38における外周筒部46に対して先端側から外嵌されている。これにより、採血針12がホルダ部13から先端側に突出している一方、プロテクタ15がホルダ部13の外周側に位置している。そして、プロテクタ15が連結部92を中心に回動変位することで採血針12を側方から覆って保護するようになっている。
かかるカラー60の外周筒部46への外嵌の際、カラー60が、外周筒部46の外周面48に設けられた突出リブ49を乗り越えるようになっており、カラー60が突出リブ49よりも基端側(内周筒部47の外周側)に位置せしめられるようになっている。換言すれば、カラー60と外周筒部46との重ね合わせ部分よりも先端側に突出リブ49が設けられている。要するに、外周筒部46の基端側が、カラー60が取り付けられるカラー取付部104とされており、当該カラー取付部104の外周面48に突出リブ(規制部)49が設けられている。そして、当該突出リブ49により、カラー60の外周筒部46からの軸方向先端側への抜出しが防止されている。
また、針ハブ24に設けられるフラッシュバック観察部34は、内周筒部47よりも先端側に設けられることから、カラー60は、フラッシュバック観察部34を避けた位置(フラッシュバック観察部34よりも基端側)において、外周筒部46に外挿されて取り付けられる。
そして、外周筒部46に対してカラー60が外挿状態で取り付けられることにより、カラー60(安全機構14)が外周筒部46に対して周方向に移動可能(回転可能)とされている。尤も、カラー60の内周面である嵌着内周面64と外周筒部46の外周面48とは、ある程度の摩擦力をもって当接しており、安全機構14がホルダ部13に対して自由に回転しない、周方向での位置決め状態で取り付けられている。すなわち、安全機構14に対して所定量以上の周方向の外力を加えることで、安全機構14がホルダ部13に対して周方向で回転可能とされている。
なお、本実施形態において、図1,2に示す製品出荷状態では、安全機構14におけるプロテクタ15の周方向位置がホルダ部13の基端に設けられたフランジ54の一方の大径部55a(図2中の右方)の延出方向と周上で同位置とされている。換言すれば、採血管ホルダ10の初期状態では、プロテクタ15と一方の大径部55aが軸方向の投影で相互に重なっている。
このような採血管ホルダ10は、例えば滅菌ガスによって効果的に滅菌され得る。すなわち、ホルダ部13の基端側開口部52が空気透過性シート59で覆われていることから、ホルダ部13内に滅菌ガスが導入されてホルダ部13内が滅菌される一方、ホルダ部13内への細菌等の侵入が防止されて、ホルダ部13内が滅菌状態で保持され得る。なお、かかる滅菌処理は、安全機構14をホルダ部13に組み付ける前であってもよい。
以上の如き構造とされた本実施形態の採血管ホルダ10は、図1,2に示されるように、製品出荷状態では、安全機構14のプロテクタ15の長さ方向が針軸方向と平行になる、即ちプロテクタ15がホルダ部13に沿った状態となる安定位置で保持せしめられている。この際、ホルダ部13の周壁部44とプロテクタ15の溝底壁部66との間には、所定の大きさの隙間105が形成されており、本実施形態では、プロテクタ15における長さ方向の略全長に亘って隙間105が形成されている。
なお、かかるプロテクタ15は、連結部92を中心として採血針12に接近する方向へ回動変位することが可能であるが、例えば手指で押圧することなどにより、採血針12から離隔する方向へ回動変位することも可能である。かかる採血針12から離隔する方向への変位は、例えばプロテクタ15の溝底壁部66の先端部や長さ方向中間部が、ホルダ部13の周壁部44に当接することで制限され得る。特に、本実施形態では、プロテクタ15の先端面82が湾曲傾斜面とされていることから、プロテクタ15の溝底壁部66の先端部や長さ方向中間部がホルダ部13の周壁部44に当接する場合であっても、ホルダ部13とプロテクタ15との間に安定して隙間105が形成され得る。
そして、採血時には、先ず、キャップ16を回転させることなく先端側に引き抜き、図3,4に示されるように、採血針12の針先18を露出させる。なお、かかる状態では、図3,4に示されるように、針先18に形成された刃面22の向きと、プロテクタ15とが、周上で同位置(図4中の右方)にあることが好ましい。これにより、採血針12の穿刺時に、刃面22を上方に向けて穿刺する際に、プロテクタ15が下方(皮膚側)に位置することがなく、皮膚に対する角度を小さくして採血針12を穿刺することができる。この結果、患者が痛みを感じたり、血管が損傷したりするおそれが低減され得る。
その後、採血針12を患者に穿刺する。その際、針ハブ24およびホルダ部13の本体部38が透明の部材とされていることから、これらを通じてフラッシュバック観察部34により血液のフラッシュバックが確認され得る。なお、採血針12の基端側にはラバースリーブ36が被せられていることから、基端側の針先20からの血液の漏出が防止され得る。
続いて、ホルダ部13の基端側開口部52に固着された空気透過性シート59を引き剥がし、採血管17を挿入して、採血針12に接続する。採血管17の構造は限定されるものではないが、本実施形態では、管本体106の先端開口部にゴム栓108が装着されて、減圧状態で密閉された構造とされている。そして、ホルダ部13の基端側開口部52から採血管17を挿入することにより、各保持爪部58が外周側に押し込まれるとともに、その復元反力によりホルダ部13の、特に保持部40により採血管17が保持されるようになっている。それと共に、採血針12の基端側の針先20がラバースリーブ36を介してゴム栓108に当接する。その後、更に採血管17を押し込むことにより、針先20がラバースリーブ36とゴム栓108を貫通して、管本体106内に挿入される。これにより、採血針12を通じて採血管17内に血液が採取される。
そして、血液の採取後に、プロテクタ15を、接続点97および回動軸(薄肉部)100を中心として採血針12に接近する方向へ回動変位させる。すなわち、ホルダ部13とプロテクタ15との隙間105に手指を挿し入れて、プロテクタ15に回動方向の外力を及ぼすことにより、付勢アーム94における屈曲部103が伸長する方向(接続点97,98が離隔する方向)に弾性変形せしめられて、それと共に、付勢アーム94に湾曲する方向(接続点97,98が接近する方向)の力が及ぼされる。そして、プロテクタ15を更に回動変位させることにより、図5に示すように、付勢アーム94の屈曲部103が湾曲または屈曲する状態に復元して、プロテクタ15が安定位置へと自動的に変位せしめられる。要するに、プロテクタ15の安定位置として、図1,2に示される如き採血針12から離れる離隔位置と図5に示される如き採血針12に近づく接近位置とが設定されており、これらのうちの何れかの安定位置が、付勢アーム94の弾性変形により選択され得るようになっている。したがって、本実施形態では、初期状態において、プロテクタ15を安定位置である離隔位置(プロテクタ15をホルダ部13に沿わせた状態)に位置決めする位置決め機構が、連結部92によって構成されている。
なお、これら離隔位置と接近位置とは、プロテクタ15の回動方向で90度以上離れている(図5中の角度θが90度以上)であることが好適であり、より好ましくは120度以上とされる。すなわち、離隔位置と接近位置とが回動方向で90度以上離れていることで、プロテクタ15が離隔位置にある場合には、採血針12の針先18がより確実に露出されて、穿刺操作の際に、プロテクタ15により穿刺部位が見えなくなるなどのおそれが低減され得る。また、プロテクタ15が接近位置にある場合には、プロテクタ15を採血針12により近づけることができることから、その後の採血針12の保護操作を行い易くすることができる。
なお、離隔位置と接近位置とは、プロテクタ15の回動方向で160度以上離れていることが好適であり、より好ましくは180度以上離れていることが好適である。このようであることで、離隔位置でも接近位置でも器具自体がコンパクトになり、使用中において例えばプロテクタの一部が使用者の邪魔をしたり、他器具に当たってしまったりといったことが防止できる。
また、プロテクタ15が接近位置にある場合において、連結アーム93,93の厚肉部101,101が形成する角α2 (図5参照)は何等限定されるものではないが、本実施形態では45°≦α2 ≦120°とされている。
そして、接近位置に位置するプロテクタ15を採血針12に更に接近する方向(回動方向)に手指などで押圧することにより、図6〜図11に示されるように、プロテクタ15を、採血針12を収容する収容位置に位置せしめる。これにより、採血針12が側方からプロテクタ15により覆われて、保護され得る。なお、かかる収容位置では、プロテクタ15に接続する厚肉部101,101が、針軸方向に対して略直交する方向に延びており、図1,2に示される離隔位置と比べて、回動軸100,100を挟んで反対側に延びている。これにより、本実施形態では、厚肉部101,101が形成する角α3 (図7参照)が、0°<α3 <90°とされている。特に、0°<α3 とされることで、厚肉部101,101が相互に当接することに伴う戻り方向への弾性(スプリングバック)も抑えられ得る。また、本実施形態では、プロテクタ15の内面84,84に案内突部86,86および収容ガイド面88,88が設けられていることから、採血針12がプロテクタ15内に安定して案内されて、より確実に保護されるようになっている。
かかる収容状態は、採血針12が係止部90,90に係止されることで保持され得る。すなわち、採血針12または係止部90,90、或いはその両方が相互に当接することで弾性変形する一方、採血針12が係止部90,90の折り返された先端を乗り越えることで、採血針12または係止部90,90、或いはその両方が復元変形して、採血針12が係止部90,90に係止されるようになっている。これにより、プロテクタ15による採血針12の収容後に、プロテクタ15が採血針12から離隔する方向に回動変位して採血針12が再露出することが防止されている。
特に、本実施形態では、接近位置から収容位置への回動変位に際して、図6に示されるように、プロテクタ15の幅広部76における両側壁部68,68の内面84,84が、ホルダ部13の本体部38における外周筒部46の外周面48に当接されて、ホルダ部13に対するプロテクタ15の横方向(軸直角方向)へのぐらつきが抑制され得る。すなわち、本実施形態では、外周筒部46により、プロテクタ15の両側壁部68,68の内面84,84と共働してプロテクタ15の回動をガイドするガイド部が構成されている。
なお、採血針12を側方から覆うためのプロテクタ15の回動方向の変位は、採血針12がプロテクタ15の溝底壁部66に当接することによっても制限され得るが、例えばプロテクタ15の基端面80(幅広部76)がカラー60に当たることや、外周筒部46に設けられた突出リブ(規制部)49に当たること、プロテクタ15の内側に設けられた案内突部86,86が外周筒部46の先端面に当たることなどによって制限されてもよい。なお、規制部49は、可撓片のような撓む部分は適さない。
以上の如き構造とされた採血管ホルダ10によれば、初期状態において、採血針12がキャップ16で覆われている一方、基端側開口部52が空気透過性シート59で覆われていることから、ホルダ部13内の滅菌状態が安定して保持され得る。これにより、ブリスター容器のように個別包装を行うことなく、そのままの状態で梱包容器中に収納することができる。
そして、初期状態には、プロテクタ15が、連結部(位置決め機構)92によりホルダ部13に沿った状態で位置決めされることから、プロテクタが外周側に大きく突出することなどが回避されて、梱包容器中に収納される際に必要とされるスペースを小さくすることができる。これにより、採血管ホルダ10をよりコンパクトとすることができて、梱包容器中により多くの採血管ホルダ10を収納することができる。
また、初期状態には、連結部92を構成する、回動軸(薄肉部)100,100を含む連結アーム93,93が、カラー60の先端よりも先端側に延びていることから、例えば連結アーム93,93が径方向外方に真っ直ぐ延びる場合に比べて、プロテクタ15が内周側に位置せしめられる。これにより、初期状態における採血管ホルダ10を、更にコンパクトとすることができる。また、プロテクタ15が接近位置にある場合においても、連結アーム93,93において薄肉部100,100を挟んだ両側の厚肉部101,101が相互に当接することがなく、これらの隙間が大きく確保されて、接近位置から収容位置へのプロテクタ15の変位が阻害されることが回避される。それに加えて、カラー60よりも外周筒部46が先端側に大きく突出する場合であっても、外周筒部46とプロテクタ15とが相互に当接するおそれが低減されることから、例えば接近位置から収容位置へのプロテクタ15の変位等が確実に実現され得る。
それに加えて、本実施形態では、回動軸(薄肉部)100,100が、ホルダ部13におけるホルダ本体38の最大外径部分(基端部分)102よりも内周側に位置していることから、例えば回動軸100,100がホルダ本体38の最大外径部分102よりも外周側に位置している場合に比べて、連結部92の径方向寸法を小さくすることも可能であり、採血前においてプロテクタ15を、より内周側に位置させることもできる。さらに、連結部92は、フランジ54よりも内周側に位置しており、フランジ54よりも外周側にまで延び出す場合に比べて、連結部92の径方向外方への突出寸法が小さく抑えられて、採血前においてプロテクタ15が、より内周側に位置せしめられる。
特に、かかる採血管ホルダ10では、付勢アーム94の弾性変形により、プロテクタ15が複数の位置で位置決め可能とされることから、例えば採血針12の穿刺時にプロテクタ15を採血針12から離隔する離隔位置で保持することにより、プロテクタ15が意図せず変位することが回避されて、穿刺部位などが見えなくなるなどのおそれも低減され得る。
そして、このようなプロテクタ15を安定位置へと選択的に付勢する付勢アーム94が弾性片により構成されていることから、例えば初期状態においてプロテクタ15をホルダ部13に沿って位置決めする位置決め機構(連結部)92が、当該弾性片を含んで構成され得て、特別な位置決め機構を設ける必要もないことから、安全機構14、ひいては採血管ホルダ10の構造が簡単なものとされ得る。
さらに、付勢アーム94の周方向両側に連結アーム93,93が形成されていることから、付勢アーム94によるプロテクタ15の回動変位時に、プロテクタ15がぐらつくおそれも効果的に防止され得る。また、仮に、一方の連結アーム93が破断した場合であっても、カラー60とプロテクタ15の連結状態が維持されることから、耐久性の向上も図られ得る。
特に、連結アーム93,93がカラー60の先端から先端側に延び出していることから、連結アーム93,93とホルダ部13における底壁部42の天面45との軸方向における空間が大きく確保される。ここにおいて、付勢アーム94の一端であるプロテクタ15への接続点98が、連結アーム93,93のプロテクタ15への接続点96よりもプロテクタ15の長さ方向先端側に位置しているとともに、付勢アーム94における屈曲部103の頂部103aが、ホルダ部13における底壁部42の天面45よりも針軸方向先端側に位置していることから、付勢アーム94の略全体が、連結アーム93,93と底壁部42との軸方向間に配置されて、採血管ホルダ10をよりコンパクトとすることができる。それに加えて、屈曲部103の頂部103aが、回動軸100,100よりも内周側に位置することから、付勢アーム94の長さ寸法を十分に確保することができる。
また、本実施形態では、プロテクタ15の採血針12に対する離隔位置と接近位置とが回動方向で90度以上離れていることから、プロテクタ15が離隔位置にある場合には、採血針12の針先18や穿刺部位の視認性が良好に確保される。さらに、付勢アーム94を弾性変形させることにより、離隔位置から接近位置にプロテクタ15が自動的に変位することから、接近位置から収容位置までの使用者による操作量を小さく抑えることもできる。
更にまた、接近位置から収容位置への回動変位時には、プロテクタ15の幅広部76における内面84,84と、ホルダ部13における外周筒部(ガイド部)46の外周面48とが相互に当接することから、プロテクタ15が横方向(軸直角方向)にぐらつくことが抑制される。これにより、採血針12がプロテクタ15内に安定して収容されて、採血針12がプロテクタ15により一層確実に保護され得る。
また、かかる接近位置から収容位置への回動変位は、幅広部76の基端面80が、例えばカラー60や外周筒部46の基端側(カラー取付部104)に設けられた突出リブ49に当接することなどによって制限され得る。これにより、プロテクタ15が、回動方向で変位し過ぎて、採血針12が折れ曲がるなどのおそれが効果的に防止され得る。
さらに、カラー60が、ホルダ部13の外周筒部46に外挿状態で取り付けられることから、安全機構14のホルダ部13への取付けも容易とされ得る。特に、カラー60がホルダ部13に外挿状態で取り付けられることから、安全機構14をホルダ部13に対して周方向で回転変位させることもできて、穿刺操作時に、針先18や穿刺部位が見えなくなるおそれが一層低減され得る。
特に、かかる取付部位(カラー取付部104)が針ハブ24のフラッシュバック観察部34を避けた位置とされることで、安全機構14を取り付けることでフラッシュバックが確認できなくなるなどの不具合が回避され得る。
更にまた、プロテクタ15内には、案内突部86,86が設けられるとともに、その端面が収容ガイド面88,88とされていることから、採血針12が案内突部86,86間に精度良く案内され得る。それ故、採血針12がプロテクタ15により一層安定して保護され得る。
特に、プロテクタ15内には、プロテクタ15を収容状態に保持する係止部90,90が設けられていることから、プロテクタ15を収容位置にまで変位させた後に、プロテクタ15が再び回動方向(採血針12から離隔する方向)に変位して、採血針12の針先18が再露出するおそれも効果的に低減され得る。
さらに、プロテクタ15の先端側が先端側壁部74で閉塞されていることから、採血針12のプロテクタ15による収容時に、採血針12の針先18が針軸方向で露出することが防止され得る。これにより、プロテクタ15による収容後に、採血針12に外力が及ぼされた場合であっても、採血針12がプロテクタ15から突出するおそれが効果的に低減され得る。
また、プロテクタ15の先端面82が傾斜湾曲面とされて、ホルダ部13の周壁部44とプロテクタ15の溝底壁部66との間に隙間105が形成されていることから、当該隙間105に手指を挿し入れてプロテクタ15を回動変位させることが容易とされ得る。
更にまた、本実施形態では、プロテクタ15と、ホルダ部13の基端に設けられたフランジ54の大径部55aとが、周上で同位置(軸方向の投影で相互に重なる位置)に形成されていることから、小径部55b,55bの対向方向における採血管ホルダ10の幅寸法が小さくされる。これにより、採血管ホルダ10を梱包容器に収納する際に、嵩張ることなく収納することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はかかる実施形態における具体的な記載によって限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良などを加えた態様で実施可能である。
たとえば、前記実施形態では、プロテクタ15がホルダ部13の基端のフランジ54における一方の大径部55aと周上で同方向(図2中の右方)に位置していたが、かかる態様に限定されるものではない。すなわち、図12,13に示される採血管ホルダ110のように、プロテクタ15をホルダ部13の基端のフランジ54において小径部55b,55bの位置する方向(例えば図12中の右方)に位置させてもよい。これにより、採血針12の穿刺時において、プロテクタ15を皮膚と反対側(上方)に向けて穿刺する際には、皮膚側には大径部55a,55aやプロテクタ15が位置しないことから、これらが邪魔になることがなく、採血針12を皮膚に対してより小さい角度で穿刺することができる。これにより、患者が痛みを感じたり、血管が損傷したりするおそれが一層低減され得る。特に、プロテクタ15がホルダ部13に対して周方向で回転可能とされている場合には、出荷状態には図1等のようにプロテクタ15を大径部55aと周上の同方向に位置させておき、使用時にはプロテクタ15をホルダ部13に対して回転させて図12,13のようにプロテクタ15と小径部55bとを周上で同方向に位置させることも可能である。
また、前記実施形態では、ホルダ部13と安全機構14とを図1,2に示す状態で組み付けて、そのままの状態、即ちプロテクタ15がホルダ部13に沿った状態で、例えば梱包容器中に梱包されて製品出荷状態とされていたが、かかる態様に限定されるものではない。すなわち、図14に示される採血管ホルダ120のように、図1,2に示されるよりもプロテクタ15が採血針12に接近する方向に回動変位せしめられた状態で梱包容器中に梱包されて製品出荷状態とされてもよい。なお、プロテクタ15の、採血針12に接近する方向への回動変位は、付勢アーム94の弾性変形によってプロテクタ15が安定位置に位置決めされることで制限されてもよいし、例えばプロテクタ15の内側に設けられた案内突部86,86が、キャップ16に当接することなどで制限されてもよい。そして、採血時には、プロテクタ15をホルダ部13に沿った安定位置へと採血針12から離隔する方向に回動変位させてから、前記実施形態と同様の操作を行うことにより、採血が実施され得る。したがって、本発明に係る採血管ホルダは、プロテクタをホルダ部に沿わせた状態で位置決めする位置決め機構を備えていればよく、初期状態(製品出荷状態)におけるプロテクタの位置は何等限定されるものではない。また、位置決め機構はホルダ部とプロテクタに突起を設けて係合固定させてもよいし、引っ掛ける等して固定してもよく、更にまた、連結部とプロテクタに突起を設けて係合固定させたり、引っ掛けたりしてもよい。
さらに、前記実施形態では、ホルダ部13の底壁部42から外周筒部46が突出しており、当該外周筒部46の基端側がカラー取付部104とされて安全機構14のカラー60が取り付けられるようになっていたが、かかる態様に限定されるものではない。すなわち、ホルダ部に外周筒部や内周筒部が設けられず、針ハブがホルダ部の底壁部から先端側に突出する場合には、安全機構のカラーは針ハブに取り付けられてもよい。また、かかる場合には、プロテクタの回動に際して、プロテクタの両側壁部の内面と共働してプロテクタの回動をガイドするガイド部が針ハブによって構成されてもよい。
更にまた、前記実施形態では、ホルダ部13が、本体部38と保持部40とにより構成されていたが、かかる態様に限定されるものではなく、例えば保持部は必須なものではない。
また、前記実施形態では、ホルダ部13の基端において、フランジ54が周方向の全周に亘って連続して設けられていたが、フランジは周方向の少なくとも一部に形成されていればよい。さらに、前記実施形態では、フランジ54において、周方向における突出量が異ならされて、大径部55a,55aおよび小径部55b,55bが形成されていたが、フランジの突出量は周方向の全周に亘って略一定とされてもよい。
更にまた、前記実施形態では、ホルダ部13とプロテクタ15との隙間105が、プロテクタ15の長さ方向における略全長に亘って形成されていたが、かかる隙間は、少なくともホルダ部とプロテクタの先端部との間に設けられることが好適である。これにより、当該隙間に手指を挿し入れて、プロテクタを回動変位させることができる。尤も、本発明において、ホルダ部とプロテクタとの隙間は必須なものではない。
ところで、本明細書および図面に開示した内容には、上述の明細書中の記載(従来技術(背景技術)、課題及び発明の効果の記載を含む)に拘わらず、以下に記載する第1〜13の態様に係る発明も含まれる。
[第1の態様]
筒状のホルダ部の先端側に採血針が装着された採血管ホルダにおいて、
前記採血針を覆う取り外し可能なキャップと、前記ホルダ部の基端側の開口を覆う取り外し可能な蓋シートとを有している一方、
前記キャップが取り外された使用済の前記採血針を覆うプロテクタが、前記ホルダ部に対して周方向で回転可能に取り付けられていると共に、
該プロテクタが該ホルダ部に対して回動可能に連結されており、一方向への回動によって該プロテクタの先端側が該ホルダ部の基端側に向けられて該ホルダ部の周壁部に沿う位置まで至るようになっていると共に、他方向への回動によって該プロテクタの先端側が前記採血針の先端側に向けられて前記キャップが取り外された該採血針を覆う位置まで至るようになっており、
前記ホルダ部の周壁部に沿った前記回動位置へ前記プロテクタを保持する位置決め手段が設けられていること
を、特徴とする採血管ホルダ。
本態様の採血管ホルダは、採血針がキャップで覆われると共に、ホルダ部の基端側の開口が蓋シートで覆われた状態で提供されて、ホルダ内の外部空間への暴露が防止されて、内部が滅菌状態に保持され得る。それ故、例えば個別のブリスター容器等に収容せずとも、簡易な容器に収容することができ、更に複数の採血管ホルダを一つの容器の収容空間へまとめて収容して、市場に提供することも可能になる。加えて、プロテクタは、回動可能とされていることから、適宜の回動位置に設定することで、容器へ収容する際にプロテクタが邪魔になることを回避して、コンパクトに収容することができ、例えば複数の採血管ホルダを優れたスペース効率をもって容器に収容することも可能になる。
[第2の態様]
前記ホルダ部と前記プロテクタとを連結する連結部が、屈曲可能な回動軸部を有する連結アームと、該ホルダ部と該プロテクタとの間に付勢力を及ぼす付勢アームとを含んで構成されており、
該回動軸部において該プロテクタが該ホルダ部に対して回動可能とされていると共に、
前記プロテクタが前記ホルダ部の周壁部に沿った前記回動位置へ該付勢アームで保持されることで前記位置決め手段が構成されている一方、
前記連結アームの前記回動軸部が、該連結アームにおける前記ホルダ部に対する接続点と、前記付勢アームにおける該ホルダ部に対する接続点との、何れよりも該ホルダ部の外周側で且つ先端側に位置している
第1の態様に記載の採血管ホルダ。
本態様の採血管ホルダは、連結アームの回動軸部が特定位置に設定されることで、連結アームとホルダ部との間に、付勢アーム等を配する領域としての空間を効率的に確保することができると共に、プロテクタを所定の回動位置へ保持するための付勢アームによる付勢力も良好に得ることが可能になる。なお、連結アームと付勢アームによって実現される具体的な機構と作用は、後述する第3の態様に関する説明が参照され得る。
[第3の態様]
筒状のホルダ部の先端側に採血針が装着されていると共に、使用済の該採血針を覆うプロテクタが設けられた採血管ホルダにおいて、
前記ホルダ部と前記プロテクタとを連結する連結部が、屈曲可能な回動軸部を有する連結アームと、該ホルダ部と該プロテクタとの間に付勢力を及ぼす付勢アームとを含んで構成されており、
該回動軸部における該プロテクタの該ホルダ部に対する回動により、該プロタクタの先端側が該ホルダ部の基端側に向けられて該ホルダ部の周壁部に沿う位置まで至るようになっていると共に、該ホルダ部の周壁部に沿う位置において該プロテクタの回動位置が該付勢アームによって保持されることで位置決め手段が構成されている一方、
前記連結アームの前記回動軸部が、該連結アームにおける前記ホルダ部に対する接続点と、前記付勢アームにおける該ホルダ部に対する接続点との、何れよりも該ホルダ部の外周側で且つ先端側に位置していること
を、特徴とする採血管ホルダ。
本態様の採血管ホルダは、第1〜2の態様に係る採血管ホルダや前記実施形態に記載の採血管ホルダ10とは異なり、ホルダ部13においてキャップ16や空気透過性シート59(蓋シート)は必須でない。例えば蓋シート等を備えていなくても、ブリスター包装を採用することで滅菌状態の採血管ホルダを医療現場等へ提供することができる。
また、本態様の屈曲可能の回動軸部は、プロテクタの先端がホルダ部の基端側に向かって延びる位置と、プロテクタの先端がホルダ部の先端側(採血針の針先側)に向かって延びる位置との間で、プロテクタのホルダ部に対する回動を許容するものであれば良い。それ故、蝶番のように直線的に延びる明確な回動軸を備えているものに限定されず、例えば湾曲変形可能な可撓性のシート状部を、連結アーム上に設けることなどによっても、回動軸部が実現可能であるし、連結アームの長さ方向に離隔して複数の屈曲可能部分を設けて全体としてプロテクタのホルダ部に対する回動が実現されるようにしても良い。更に、連結アームは、回動軸部をもってホルダ部とプロテクタとを連結するものであれば良く、ロッド状やアーム状などの具体的形状は限定されない。例えば、ホルダ部やプロテクタ部の一部を厚肉化等して突出させて、該突出させた部位の先端に屈曲可能な回動軸部を設けること等により、ホルダ部やプロテクタ部の特定部位を連結アームとして利用したり、当該特定部位によって連結アームを構成することなども可能である。
更にまた、本態様の連結アームや付勢アームは互いに別部品とされても良いし、別部品からなる連結アームや付勢アームをプロテクタへ組み付けても良い。例えば付勢アームとして、樹脂や金属の板ばねやコイルバネなどを利用することも可能であるし、付勢アームの回動位置に対する装着態様に応じて、付勢アームとして引張力と離隔力との何れの付勢力を有するものも適宜に採用することができる。なお、連結アームのホルダ部に対する接続点と、付勢アームのホルダ部に対する接続点とは、ホルダ部の長さ方向で同じ位置にある必要はない。
また、連結アームや付勢アームにおけるホルダ部やプロテクタに対する接続点では、プロテクタの回動作動が実現され得る各種の接続構造が採用可能である。例えば、ホルダ部の先端側に突設された小径筒状のノズル部分(外周筒部46)に対して、連結アームや付勢アームを、直接に又は周方向に回転可能なリング状やC字状のカラーなどを介して、接続することが可能である他、ホルダ部のノズル部分に装着される採血針のハブ(針ハブ24)をノズル部分から外方に突出させて、当該ハブに対して接続することも可能である。
そして、本態様の連結アームでは、従来のプロテクタとホルダ部と連結部の構造では実現できなかった、プロテクタのホルダ部に対する良好な回動性能が実現可能となる。
具体的な一例を図15〜16に基づいて説明する。なお、図15〜16は、本態様に従う構造とされた連結部の一具体例を、ホルダ部及び採血針の軸方向に対して直交する側方視において機構モデルで示す説明図である。この機構モデルは、例えば図1〜14に示された実施形態に記載の具体的構造をもって実現され得るが、本態様の連結部の構造は、かかる機構モデルの構造および実施形態の記載に限定されない。
図15は、ホルダ部13としての固定側に対して、プロテクタ15としての可動側が、開状態(離隔位置)となる回動位置に保持された状態を示している。前記実施形態では、図15中の固定側は、前記実施形態においてホルダ部13の先端側に設けられた小径のノズル部(外周筒部46)に対して外嵌装着されたリング状のカラー60に相当する。一方、図15中の可動側は、プロテクタ部15の基端側部分を図示している。そして、これら固定側と可動側とが連結部92で連結されており、かかる連結部92は、連結アーム93と付勢アーム94によって構成されている。
連結アーム93は、固定側と可動側との両端部間の適宜の部位(図15では、略中央部分)においてヒンジ状に折り畳まれるようにして屈曲可能とされた回動軸O(薄肉部100)を有しており、この回動軸Oの回りでの所定角度範囲に亘る往復移動により、可動側が固定側に対して回動可能とされている。なお、連結アーム93の固定側への接続点(95)は、図15中にB2で示されているように、固定側から外周側に向かって厚肉とされた突出部分が設けられていることで、固定側の外周面よりも所定距離だけ外周側に位置して設定されている。このようにすることで、プロテクタとホルダとが干渉する事態を低減することができる。尤も、このような固定側の突出部分は、必ずしも必要でなく、突出部分を設けないで固定側の外周面上に連結アーム93の接続点(95)を設定することも可能であり、その場合には図15中のB1と略同じ位置が接続点(95)とされる。また、連結アームにおいて、回動軸から外周側に向かって突出部分が形成されている。このようにすることで、ホルダ側面に沿う離隔位置から収容位置に移動するにあたり、プロテクタが径方向内側に大きく位置を移動する仕様となる。なお、プロテクタ本体の一部(連結アームとの接続部分)を大型化することで、当該突出部をなくすこともできるが、その場合、使用中においてプロテクタが使用者等に干渉しやすい形状となってしまう。
付勢アーム94は、全体として連結アーム93よりもホルダ部13の基端側に位置している。特に付勢アーム94は、長さ方向の略中央部分が円弧状に湾曲したバネ部とされてており、全体として略V字状又は拡開した略U字状とされている。付勢アームは、合成樹脂や金属のように弾性材で形成されており、例えば可動側であるプロテクタ15や固定側のカラー60等と一体成形された樹脂部品とされ得る。
また、付勢アーム94の固定側への接続点(97)は、図15中にB1で示されているように、連結アーム93の接続点B2に近く、僅かにホルダ部13の基端側へずれた位置とされている。一方、付勢アーム94の可動側への接続点(98)は、図15中にA1で示されているように、連結アーム93の接続点B2や回動軸Oよりも、ホルダ部13の基端側(図15中の右側)に位置している。
特に図15の態様では、付勢アーム94の固定側への接続点B1よりも可動側への接続点A1の方が、ホルダ部13の基端側(図15中の右側)に位置している。これにより、略両側対称な略V字状又は拡開した略U字状の付勢アーム94が、固定側と可動側との間で僅かに傾いた状態とされて、バネ部の頂点が、可動側よりも固定側に近い位置(図15中で下方)に偏倚して設定されている。
このような連結部(92)による連結機構では、可動側が固定側に対して中心軸Oの回りに回動されることで、プロテクタ15(可動側)の先端がホルダ13(固定側)の基端側に向かう図15の開状態から、図16に薄色で示されているように、プロテクタ15(可動側)の先端がホルダ13(固定側)の先端側に向かうことでホルダ13に装着された採血針を覆う閉状態(図示の態様では(収容位置)兼(接近位置))へと移動せしめられる。その際、付勢アーム94において、固定側への接続点B1は不変であるが、可動側への接続点A1は、A2を経てA3へと、図中の矢印の如く、回動軸Oを中心とした円(軌跡円弧)上を移動することとなる。
かかる接続点A1の移動に伴って、付勢アーム94の両端B1−A間の直線距離が変化することとなり、B1とOを通る直線が軌跡円弧に対してB1と反対側で交差する中間点A2において、付勢アーム94の両端間の直線距離が最大となる。換言すれば、付勢アーム94の両端間の直線距離は、中間点A2を境として、軌跡円弧の周方向両側に向かって次第に小さくなる。
それ故、付勢アーム94が、図15に示す閉状態で安定形状とされている場合には、プロテクタ15(可動側)が回動されて接続点A1がA2に向けて移動するにつれて、付勢アーム94は、両端を次第に広げられてバネ部が延びて曲率が小さくなるように弾性変形せしめられる。このようにB1とAとの両端を引き離すように変形された付勢アーム94には、両端B1とAとを近づける方向の弾性復元力が発生し、ホルダ部13とプロテクタ15との各接続点間に引張方向の付勢力が及ぼされることとなる。そして、接続点がA2の位置において付勢アーム94の弾性変形量が最大となり、接続点がA2を越えてA3に向けて移動するにつれて、付勢アーム94の弾性変形量は次第に小さくなる。
このような付勢アーム94の弾性変形量の変化に基づいて、付勢アーム94の弾性によってホルダ13(固定側)とプロテクタ15(可動側)との間に及ぼされる付勢力も、その方向と大きさが変化する。即ち、付勢アーム94のプロテクタ15への接続点がA1とA2との間に位置した状態では、接続点をA2からA1に向けて移動させてプロテクタ15を開状態とすることで付勢アーム94が安定形状となる方向へ付勢力が作用することとなる。これにより、図15に示されたプロテクタ15の開状態では、多少の外力が及ぼされてA1がA2に向けて移動しても、自動的にA1へ戻ることで、プロテクタ15が開状態へ安定して保持されることとなる。
一方、付勢アーム94の付勢力に抗してプロテクタ15が回動操作されて、付勢アーム94のプロテクタ15への接続点がA2を越えると、接続点をA2からA3に向けて移動させてプロテクタ15を閉状態とする方向への回転力が、接続点B1とA間に対する付勢力として作用することとなる。それ故、採血後にプロテクタ15を回動操作して接続点がA2まで至ると、その後は自動的にプロテクタ15が略閉状態又はそれに近い位置まで回動され得る。そして、図16に示された態様では、付勢アーム94の初期の安定位置における開状態での接続点の位置A1に対して、閉状態での接続点の位置A3が、回動中心軸Oを通る径線上に略設定されており、A2とA1との距離に対してA2とA3との距離が略等しくされていることから、付勢アーム94の閉状態における位置が、上述の開状態と同様に、付勢力を利用して安定して保持され得る。
ここにおいて、図15に示された態様では、付勢アーム94の接続点B1が接続点A1よりもホルダ部13の先端側(図15中の左側)に位置しており、バネ部の頂点がホルダ部13側に近く設定されている。それ故、例えば付勢アーム94の接続点B1を、ホルダ部13の軸方向で、接続点A1と同じ位置に設定した場合に比して、付勢アーム94の有効長さ即ち有効な付勢力を確保しつつ、バネ部の頂点の位置を低く(ホルダ部13の先端側に)設定することが可能になる。その結果、付勢アーム94の配設スペースを小さくして、例えばホルダ13の先端側の周壁や底壁に対する付勢アーム94の干渉を回避することも可能になる。
なお、図15〜16に例示された態様では、図17に例示されるように、プロテクタ15の開状態において、プロテクタ15の先端側がホルダ部13の基端側に向かって延びて、プロテクタ15がホルダ部13の外周面に沿って軸方向で略並んで配される。因みに図17では、プロテクタ15の溝深さ(溝側壁の高さ)が、プロテクタ15の基端側(図17中の左端側)から先端側(図17中の右端側)に向かって次第に小さくなっており、プロテクタ15の回動方向の幅寸法(図17中の上下方向寸法)が基端側から先端側に向かって次第に小さくされている。そして、プロテクタ15の回動方向の前方縁部のライン(図17中の上端縁部のライン)が、ホルダ部13の中心軸と略平行とされると共に、プロテクタ15の回動方向の後方縁部のライン(図17中の下端縁部のライン)が、ホルダ部13においてテーパが付された周壁部の外周面と略平行とされている。
また、図17に示されているように、かかるプロテクタ15の開状態では、ホルダ部13の外周面とプロテクタ15とが直接に当接(接触)しないで回動位置が保持されるようになっている。このようにプロテクタ15とホルダ部13との間に、プロテクタ15の長さ方向の中間部分又は先端部分において隙間が設定されていることで、かかる隙間に指先を入れるようにして閉状態にあるプロテクタ15を引き起こし、閉状態へと操作する際の作業性の向上が図られ得る。特に、図17の態様では、プロテクタ15の回動方向の後方縁部のライン(図17中の下端縁部のライン)が、プロテクタ15の先端部分において湾曲形状をもってホルダ部13から離隔する方向へ立ち上がっていることで、プロテクタ15の最先端部分にも隙間が形成されて、指先を挿し入れて引き起こす操作をより行い易くされている。
更にまた、図17に示された態様では、付勢アーム94の頂点と、連結アーム93の回動軸とが、何れも、ホルダ部13の軸方向視(図17中の左側面図視)において、ホルダ部13の筒状の周壁部(44)における基端側の大径の外周面よりも内周側を通るように設定されており、より好適には、ホルダ部13の筒状の周壁部(44)における先端側の小径の外周面よりも内周側を通るように設定されている。
また、図17に示されるように、プロテクタ15をホルダ部13の外周に沿わせた開状態において、付勢アーム94の頂点がホルダ部13の底壁部(42)側に最も突出して位置することとなるが、プロテクタ15の位置に拘わらず、付勢アーム94はプロテクタ15へ接触しないようになっている。この際、前述のように、付勢アーム94の頂点がホルダ部13側へずれて設定されていることも、付勢アーム94のホルダ部13への接触を回避するのに有利である。加えて、連結アーム93における回動軸Oが、ホルダ部13の先端部分から斜め先端側に突出した位置に設定されていることから、連結アーム93とホルダ部13の底壁部(42)との間の距離が大きくされて、付勢アーム94の配設領域の確保と、付勢アーム94のホルダ部13の底壁面(45)への干渉防止について、更なる向上が図られている。
さらに、図15に示されているように、プロテクタ15の開状態で、付勢アーム94が連結アーム93から離れる方向(図中の右方向)へ湾曲した形状とされていると共に、連結アーム93の固定側片が、ホルダ部13の接続点B2から軸方向先端側(図中左側)に向かって外周側に傾斜して突設されている。そして、連結アーム93の接続点B2と付勢アーム94の接続点B1との何れに対しても、回動軸Oが、ホルダ部13の外周側で且つ先端側に位置している。
そして、プロテクタ15の開状態で、付勢アーム94と連結アーム93との間には、図15に示される側面視において略矩形乃至は多角形状の空間が画成されるようになっており、プロテクタ15をホルダ部13へ連結する連結部の連結機構における機械的な強度や形状安定性の確保が図られている。
また、付勢アーム94のホルダ部13への接続点B1よりも、回動軸Oが、ホルダ部13の斜め先端側に突出した位置に設定されていることから、プロテクタ15における開状態での接続点A1と閉状態での接続点A3とを、中間点A2を挟んだ周方向両側に略等距離を隔てて設定するに際して、中間点A2から各点A2,A3に至るまでの周上の移動距離を適切に設定することができる。
なお、例えばB1の位置をホルダ13の基端側に少し移動して、中間点A2の位置を軌道円弧上でA3側にずらせて設定することにより、閉状態での安定位置A3を軌道円弧上で矢印方向へ更に進めて設定しても良い。これにより、図16に示されたプロテクタ15の閉状態において、付勢アーム94の弾性で及ぼされる矢印方向の付勢力が更に矢印方向に及ぼされることで、プロテクタ15が採血針に対して押し付けられる方向の付勢力が作用せしめられて、プロテクタ15が採血針を覆う状態へ一層安定して位置決め保持され得ることとなる。
また、付勢アーム94のホルダ部13への接続点Bは、図15の例示においてプロテクタ15への接続点Aの軌跡円弧上に略位置設定されているが、これに限定されるものでない。例えば付勢アーム94のホルダ部13への接続点Bを、回動軸Oへより近い位置(例えばB2)に設定したり、回動軸Oからより遠い位置(例えばB3)に設定することも可能である。かかる接続点Bを、B1の位置よりも、B2に設定することで、プロテクタ15の回動に伴う付勢アーム94の弾性変形量(歪量)を抑えることができるし、一方、B3に設定することで、プロテクタ15の回動に伴う付勢アーム94の弾性変形量(歪量)を大きく生ぜしめることができる。それ故、プロテクタ15の材質や特性などを考慮して、接続点Bの位置を適宜に調節することにより、付勢アーム94の弾性に基づいてプロテクタ15に及ぼされる付勢力を適切に設定することも可能となる。
上述の説明から理解されるように、第3の態様に係る発明には、より好適な態様が幾つも存在する。それらの幾つかを、以下の第4〜16の態様として挙げておく。
[第4の態様]
前記連結アームは、前記ホルダ部に対する接続点から該ホルダ部の先端側に向かって外周へ斜め方向に延びる傾斜突出部を有しており、該傾斜突出部よりも先端側に前記回動軸部が設けられている一方、
前記付勢アームは、前記プロテクタが前記ホルダ部の周壁部に沿う前記回動位置において、前記ホルダ部の基端側に頂点が位置するように屈曲した形状とされており、該連結アームと該付勢アームとの間には側方視で空間が画成されるようになっている
前記第2又は3の態様に係る採血管ホルダ。
[第5の態様]
前記プロテクタが前記ホルダ部の周壁部に沿う前記回動位置において、前記付勢アームの前記プロテクタに対する接続点が、前記連結アームにおける該ホルダ部に対する接続点よりも該ホルダ部の基端側に位置している前記第2〜4の何れか1態様に記載の採血管ホルダ。
[第6の態様]
前記プロテクタが前記ホルダ部の周壁部に沿う前記回動位置において、前記付勢アームの前記ホルダ部に対する接続点が、前記連結アームにおける前記回動軸部よりも該ホルダ部の基端側に位置している前記第2〜5の何れか1態様に記載の採血管ホルダ。
[第7の態様]
前記プロテクタが前記ホルダ部の周壁部に沿う前記回動位置において、前記付勢アームの前記プロテクタに対する接続点が、前記連結アームにおける前記回動軸部よりも該ホルダ部の基端側に位置している前記第2〜6の何れか1態様に記載の採血管ホルダ。
[第8の態様]
前記付勢アームは、前記プロテクタが前記ホルダ部の周壁部に沿う前記回動位置において、前記ホルダ部の基端側に頂点が位置するように屈曲した形状とされており、且つ、該頂点が該プロテクタよりも該ホルダ部に近い位置へずれている前記第2〜7の何れか1態様に記載の採血管ホルダ。
[第9の態様]
前記プロテクタの前記ホルダ部に対する回動の中心軸が、該ホルダ部の軸方向視において、該ホルダ部の周壁部の外周面よりも内側を通っている前記第1〜8の何れか1態様に記載の採血管ホルダ。
[第10の態様]
前記ホルダ部と前記プロテクタとを連結する連結部が、該ホルダ部の先端部分に対して周方向で回転可能に装着されるカラーを備えていると共に、
該プロテクタの該ホルダ部に対する回動の中心軸が、該カラーよりも該ホルダ部の先端側に位置しており、
該カラーよりも該ホルダ部の先端側にはフラッシュバック観察部が設けられている前記第1〜8の何れか1態様に記載の採血管ホルダ。
[第11の態様]
前記採血針に向かって回動せしめられる前記プロテクタにおける基端側の端部が、前記カラーの先端面に対して当接することにより、該プロテクタの回動端が規制されている前記第10の態様に記載の採血管ホルダ。
[第12の態様]
前記プロテクタが、回動方向で前記採血針に向かって開口する溝部を有しており、
該溝部が該プロテクタの先端側で閉じて該採血針の先端を覆うようになっている一方、該溝部が該プロテクタの基端側に開放されていると共に、
該採血針に向かって回動せしめられる該プロテクタにおける基端側の該溝部の両側壁を案内して、該採血針を該溝部内へ導くガイド部が、前記ホルダ部の先端側に設けられている前記第1〜11の何れか1態様に記載の採血管ホルダ。
[第13の態様]
前記プロテクタの先端部分又は中間部分が前記ホルダ部の周壁部に対して当接するまで、該プロテクタが回動可能とされていると共に、
前記位置決め手段によって該プロテクタが該ホルダ部の周壁部に沿う位置に保持された状態では、該プロテクタと該ホルダ部の周壁部との間に隙間が設定されている前記第1〜12の何れか1態様に記載の採血管ホルダ。
[第14の態様]
前記採血針を覆う取り外し可能なキャップを備えている一方、
前記プロテクタの回動により該プロテクタの先端側が前記採血針の先端側に向けられて前記キャップが取り外された該採血針を覆う位置まで至るようになっていると共に、
該キャップの装着状態では、該プロテクタが該採血針を覆う位置に至るまでの回動位置で該キャップに当接し、前記付勢アームによる付勢力によって、該プロテクタが該キャップへ当接した回動位置へ保持されるようになっている前記第2〜13の何れか1態様に記載の採血管ホルダ。
[第15の態様]
前記プロテクタが、回動方向で前記採血針に向かって開口する溝部を有しており、
該プロテクタが前記キャップへ当接した前記回動位置において、該プロテクタにおける基端側の該溝部の両側壁の対向間に該キャップが入り込むようになっている前記第14の態様に記載の採血管ホルダ。
[第16の態様]
前記プロテクタが、回動方向で前記採血針に向かって開口する溝部を有していると共に、溝幅方向の両側部分において溝底から開口側に向かって突出する案内突部が設けられており、
前記キャップを取り外した前記採血針を該プロテクタが覆う回動位置において該両側の案内突部間に該採血針が差し入れられて該プロテクタに収容されるようになっている一方、
該キャップの装着状態では、該プロテクタが該採血針を覆う位置に至るまでの回動位置で該プロテクタの該案内突部がキャップに当接し、前記付勢アームによる付勢力によって該回動位置へ保持されるようになっている前記第14又は15の態様に記載の採血管ホルダ。