JP6879688B2 - 皮膚水分量の推定方法、美容手段の評価方法、肌の評価装置 - Google Patents
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Description
そのため、皮膚水分量の測定において、より簡便な方法が望まれている。
そのため、より簡便に皮膚水分量を測定することにより、皮膚外用剤を評価する方法が望まれていた。
肌の好不調実感を客観的に測定することができれば、皮膚外用剤、その他美容手段の提供において、ユーザーの主観を重視し、商品や施術の提案を行うことができ、ユーザーの満足度をより高めることが可能となる。
また、皮膚外用剤、その他の美容方手段法の研究開発にあたっても、肌の好不調実感を客観的に図ることができれば、ユーザーの満足度を高めるための美容手段の設計のための一つの指針となる。
そこで、本発明は、肌の好不調実感を、客観的に簡便に推定する技術を提供することを課題とする。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものである。
本発明によれば、簡便に皮膚水分量を推定することができ、これに基づいて肌の評価を行うことができる。
VASを用いることにより、被験者の肌の好不調の実感値を精度よく取得することができる。
本発明の評価方法によれば、特に前記部位の皮膚水分量を効率よく推定することができる。
好不調の実感値に加えカサつきの評価値を指標とすることにより、より精度よく皮膚水分量を推定することが可能となる。
本発明によれば、客観的指標を用いて、被験者の主観的な実感値を推定することができる。
前記部位の皮膚水分量を測定することにより、肌の好不調の実感値を推定することができる。
このような評価方法によれば、美容手段の適用による保湿効果を簡便に評価することが可能となる。
このような評価方法によれば、美容手段を被験者に適用した際の当該被験者の実感を踏まえた美容手段の評価をすることが可能となる。
本発明の肌の評価方法は、被験者の肌の好不調の実感値を指標として、皮膚水分量を推定することを特徴とする。
被験者の肌の好不調の実感値を取得する方法は特に制限されないが、好ましくは、ビジュアルアナログスケール(VAS)を用いる方法が挙げられる。
ビジュアルアナログスケール(VAS)は、紙に引いた一本の線の両端をそれぞれ最大評価点及び最小評価点と定義し、評価者に対して、その時点での評価が線の何れの位置にあるか感覚的に記してもらう方法である。この方法は、一般的には、痛みの度合いの評価に用いられている。
本発明においては、この方法を利用することができる。具体的には、紙に10cm(限定されない)の一本の線を引き、その一端を最も好調、他端を最も不調と定義し、被験者に、評価時点での肌が何れの状態にあるか、前記一本の線に交差する線を引いてもらう。続いて、前記一本の線の一端から、該一本の線と被験者が引いた線との交点までの距離を測ることにより、被験者の肌の好不調の実感を数値に変換することができ、被験者の肌の好不調の実感値を簡便に或いは精度よく得ることができる。
また、化粧料の販売店舗におけるカウンセリングや、エステティック施術前に、アンケートへの記入により取得することも好ましく挙げられる。
推定のためには、予め複数の対象についての解析により得られた肌の好不調の実感値と皮膚水分量との相関関係を利用することができる。
すなわち、統計的に有意な数の対象に対し、例えば、前記方法により肌の好不調の実感値を取得しておき、一方で、同じ対象に対し皮膚水分量を測定しておく。この皮膚水分量の測定には、従来用いられている皮表角層水分量測定装置 SKICON-200EX(I.B.S社)等の機器を用いることができる。また、皮膚水分量の測定部位は、顔であることが好ましく、特に頬部及び/又は口横部であることが好ましい。中でも、頬部を含むことが好ましい。この皮膚水分量の測定に際しては、実感値の取得の前後10分間以内に行うことが好ましい。また、皮膚上の皮膚外用剤自体の水分の一時的な影響を排除するために、皮膚外用剤やその他美容施術等の適用直後を避けること、例えば、これらの適用後15分間以上経過した後に測定することが好ましい。
このようにして得られた好不調の実感値と皮膚水分量との間で相関解析を行い、相関関係を求めておく。相関関係は、回帰分析等の多変量解析により求めることができる。
カサつきの評価値の取得方法は、肌の好不調の実感値の取得と同様に、ビジュアルアナログスケール(VAS)を用いて得ることができる。
この場合の皮膚水分量の測定部位は、顔であることが好ましく、特に口横部であることが好ましい。
このようにして得られたカサつきの評価値と皮膚水分量との間で相関解析を行い、相関関係を求めておく。
そして、推定した皮膚水分量に基づいて、肌の評価を行うことができる。
同一の被験者については、一定の期間、経時的に皮膚水分量を推定することにより、肌の状態の変化を捉えることができる。
また、被験者の年齢に応じて、前述した年代ごとの相関関係を用いて推定をすることにより、同年代の対象と比較して、皮膚水分量が高いか否かの評価を行うこともできる。
前述した本発明は、皮膚外用剤を含む美容手段の評価方法に応用することができる。
すなわち、皮膚外用剤等の美容手段の適用後において、被験者の肌の好不調の実感値を取得し、皮膚水分量を推定することにより、皮膚外用剤等の美容手段の保湿効果を評価することができる。美容手段としては、皮膚外用剤の適用の他、エステティック施術、食品の摂取等を挙げることができる。
従来、皮膚外用剤の適用後に、装置で皮膚の水分量を測定する際には、皮膚外用剤自体の水分を含めて測定しないように、一度洗顔して皮膚外用剤を除去し、恒温恒湿環境下においてしばらく順化した後に測定することが必要であった。本発明によれば、被験者の肌の好不調の実感値を用いることで皮膚水分量が推定できるので、皮膚外用剤の適用後の評価を、皮膚外用剤を除去せず行えるため継時的効果が評価できること、また評価の時間を短縮することが期待できる。そのため、本発明の評価方法は、特に皮膚外用剤の評価に有用である。
本発明の肌の評価方法、及び皮膚外用剤の評価方法に使用する装置の例を示す。
本発明の評価装置の一形態では、肌の好不調の実感値の入力を受け付ける実感値入力受付手段と、肌の好不調の実感値と皮膚水分量との相関関係を示す相関データを記憶する記憶手段と、入力を受け付けた被験者の肌の好不調の実感値を、前記記憶手段に記憶された相関データと照合して、前記被験者の皮膚水分量を算出する水分量算出手段と、を備える。
23〜34歳の健常女性13名を対象とし、6日間毎日同時間帯において、メーク落としと洗顔をした素肌の状態で、恒温恒湿環境下で一定時間順化した後、肌の好不調実感を評価してもらった。同時間に、“カサつき”、“疲れ”、“精神的ストレス”、“睡眠満足度”、“フリー項目”についても評価してもらった。肌の好不調実感値(好調である程高得点)及びその他の評価値は、VASを用いて得た。なお、“フリー項目”については、事前に自らの肌の好不調を評価するときの項目を自由に設定してもらい(ニキビ5名、くすみ4名、かゆみ2名、目の下のキメ1名、赤み1名の項目が設定された)、その項目に対しての評価値を得た。同時間に、同じ対象の左右の頬部及び口横部の合計4部位の皮膚水分量を皮表角層水分量測定装置 SKICON-200EX(I.B.S社)を用いて測定した。また、前夜の“睡眠時間”も取得した。
なお、測定値の数はN=76であった(6日間中1日測定できない対象が2名いたため)。
結果を図1に示す。図1に示す通り、肌の好不調の実感値と、左右それぞれの頬部、口横部の皮膚水分量との間に正の相関がみられた。特に、頬部の皮膚水分量との間に高い正の相関がみられた。また、肌の好不調の実感値とカサつきの評価値との間にも負の相関がみられた。また、カサつきの評価値と口横部の角層水分量との間に負の相関がみられた。
表1に、肌の好不調の実感値と各部位の皮膚水分量との間の相関係数及びP値を示す。
Claims (10)
- 被験者の肌の好不調の実感値を指標として、肌の好不調の実感値と皮膚水分量との相関関係を利用して、皮膚水分量を推定することを特徴とする、皮膚水分量の推定方法。
- 被験者の肌の好不調の実感値が、ビジュアルアナログスケール(VAS)を用いて得られた値であることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚水分量の推定方法。
- 前記皮膚水分量は、頬部及び口横部から選ばれる少なくとも1か所の皮膚水分量であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚水分量の推定方法。
- 前記皮膚水分量は、頬部の皮膚水分量であることを特徴とする、請求項3に記載の皮膚水分量の推定方法。
- 被験者の肌の好不調の実感値の取得と同時に、被験者の肌のカサつきの評価値を取得し、さらに該評価値を指標として、被験者の肌のカサつきの評価値と皮膚水分量との相関関係を利用して、皮膚水分量を推定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚水分量の推定方法。
- 美容手段の適用前後における被験者の肌の好不調の実感値を指標として、肌の好不調の実感値と皮膚水分量との相関関係を利用して、美容手段の適用前後における皮膚水分量の変化量を推定し、美容手段の保湿効果を評価することを特徴とする、美容手段の評価方法。
- 美容手段が、皮膚外用剤であることを特徴とする、請求項6に記載の美容手段の評価方法。
- 被験者の肌の好不調の実感値が、ビジュアルアナログスケール(VAS)を用いて得られた値であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の美容手段の評価方法。
- 被験者の肌の好不調の実感値の取得と同時に、美容手段の適用前後における被験者の肌のカサつきの評価値を取得し、さらに該評価値を指標として、被験者の肌のカサつきの評価値と皮膚水分量との相関関係を利用して、美容手段の適用前後における皮膚水分量を推定することを特徴とする、請求項6〜8の何れかに記載の美容手段の評価方法。
- 被験者の肌の好不調の実感値の入力を受け付ける実感値入力受付手段と、肌の好不調の実感値と皮膚水分量との相関関係を示す相関データを記憶する記憶手段と、入力を受け付けた被験者の肌の好不調の実感値を、前記記憶手段に記憶された相関データと照合して、前記被験者の皮膚水分量を算出する水分量算出手段と、を備えることを特徴とする、肌の評価装置。
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