JP6879549B2 - 排ガスを電解還元して有価物を回収する装置及び方法 - Google Patents

排ガスを電解還元して有価物を回収する装置及び方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6879549B2
JP6879549B2 JP2017088892A JP2017088892A JP6879549B2 JP 6879549 B2 JP6879549 B2 JP 6879549B2 JP 2017088892 A JP2017088892 A JP 2017088892A JP 2017088892 A JP2017088892 A JP 2017088892A JP 6879549 B2 JP6879549 B2 JP 6879549B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
storage tank
solution
cathode chamber
anode chamber
chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017088892A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018184655A (ja
Inventor
敬介 夏井
敬介 夏井
池宮 範人
範人 池宮
泰明 栄長
泰明 栄長
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Keio University
Original Assignee
Keio University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Keio University filed Critical Keio University
Priority to JP2017088892A priority Critical patent/JP6879549B2/ja
Publication of JP2018184655A publication Critical patent/JP2018184655A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6879549B2 publication Critical patent/JP6879549B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Electrodes For Compound Or Non-Metal Manufacture (AREA)
  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)

Description

本発明は、排ガスを電解還元して有価物を回収する装置及び方法に関する。より詳細には本発明は、導電性ダイヤモンド電極を用いて、排ガスを電解還元して有価物を回収する装置及び方法に関する。
窒素酸化物を主成分とする排ガスについて電解還元を行い、窒素酸化物を窒素まで処理する技術は公知である。公知の方法では金属電極が使用されている。
二酸化炭素を含有するカソード液を電解還元する方法に関しては、いくつか報告がある。例えば非特許文献1は鉛電極上での二酸化炭素のギ酸への電気化学的変換を記載している。しかしながら、こうした報告において電解処理はすべてバッチ式であり、また運転時間はせいぜい数時間であり、数日間といった長期間の稼働は考慮されていない。
特許文献1は排ガスの処理方法及び処理装置を記載している。この文献は「カソード側については、硝酸イオンの電解還元に活性を有する導電性材料が使用され、例えば、銅、ニッケル、鉄、チタン、タングステン、モリブデン、クロム、白金、錫、アルミニウム、亜鉛、カドミウム等の一種又は複数の金属を用いた材料や、真鍮、高力黄銅等の合金が挙げられる。」と教示している(段落[0031])。実施例での装置運転時間は3時間である。
特許文献2は二酸化炭素の電解還元装置を記載している。この文献の方法では7M程度の高濃度の炭酸カリウム水溶液に二酸化炭素を飽和させて、電解還元を行っている。生成物は酢酸やギ酸と記載されている。
特許文献3は、ダイヤモンド電極を用いる電気化学的還元装置を記載している。この文献の方法では、高圧下で二酸化炭素をメタノール溶液に飽和させて、電解還元を行っている。
特許文献4はギ酸生成装置及び方法を記載している。使用されている電極は酸化ガリウム電極である。実施例における電解時間は6934秒(約115分)であり、ギ酸の生成量は168.3μmolである。
長期間にわたり持続運転できる排ガス処理装置が求められている。
特開2013−027864号公報(特許第6003245号) 特開2011−174139号公報 特開2014−167151号公報 特開2015−129343号公報
S. Kaneko, R. Iwao, K. IIba, K. Ohta and T. Mizuno, Energy, 23 (1998) No.12, p1107-1112.
従来の排ガス処理装置は想定されている運転時間がせいぜい数時間であり、長期間の運転に適していなかった。
また従来の方法として、スズ(Sn)、鉛(Pb)あるいは水銀(Hg)といった金属電極をカソード電極として構成し、二酸化炭素を含有する電解液からギ酸を生成する方法が開示されているが、電流効率が時間とともに減少していき、電極の耐久性が乏しいといった問題があった。また、電解液には、メタノールなどの有機溶媒が利用され、電解条件も加圧条件とされるなど、電解反応装置として設備が複雑になる、といった問題点があった。またカソード電極材料もスズ(Sn)、鉛(Pb)あるいは水銀(Hg)といった毒性を有し環境負荷の高いものが使用されていた。
従来の電解反応装置としては、バッチ式のものが主流であり、連続通液式の装置は、電解還元処理では使用されていない。
本発明は、こうした従来の問題点に鑑み、長期間運転しても電流効率が低下せず、温和な条件(室温、常圧)において、排ガスを効率よく電解還元して有価物に変換する方法及び装置を提供することを目的とする。有価物としては、ギ酸やホルムアルデヒド、一酸化炭素、メタン、酢酸、エチレングリコール、シュウ酸、イオウや窒素等が挙げられる。
導電性ダイヤモンド電極を利用して、排ガスを電解還元し、有価物を回収する方法および装置に関しては、排ガスが二酸化炭素である場合を除いて公知例がない。
本発明は、ホウ素をドープした導電性ダイヤモンド電極を陰極にして、フローセル型の電解反応装置で通電することにより排ガスを連続的に電解還元する方法および装置に関する。さらに、本発明は、電解還元の電流効率が低下したら、導電性ダイヤモンド電極を電解質水溶液中で酸化処理により再生して、導電性ダイヤモンド電極を繰り返し利用できる、排ガスからの有価物の回収装置及び方法に関する。
すなわち本発明は、以下を包含する:
[1] 排ガスを電解還元して有価物を生成するためのフローセル型電解反応装置であって、
カソード電極、及びカソード電極を収容するカソード室を有し、
アノード電極、及びアノード電極を収容するアノード室を有し、
カソード電極がホウ素をドープした導電性ダイヤモンド電極であり、
カソード室とアノード室とを仕切る固体電解質膜を有し、
カソード室に接続された溶液供給ラインを有し、
カソード室に接続された溶液排出ラインを有し、
アノード室に接続された溶液供給ラインを有し、
アノード室に接続された溶液排出ラインを有し、
第1貯留槽及び第2貯留槽を有し、
第1貯留槽は、カソード室に接続された溶液供給ライン及びカソード室に接続された溶液排出ラインを介して、カソード室と連通しており、
第2貯留槽は、アノード室に接続された溶液供給ライン及びアノード室に接続された溶液排出ラインを介して、アノード室と連通しており、
カソード室と連通している第1貯留槽の溶液を循環させる第1送液手段、及び
アノード室と連通している第2貯留槽の溶液を循環させる第2送液手段を有する、
前記装置。
[2] さらに電極再生処理用の連通切り替え手段を有し、
該連通切り替え手段は、電解還元時の第1貯留槽とカソード室との連通を、再生処理時には第1貯留槽とアノード室との連通に切り替えるものであり、
電解還元時の第2貯留槽とアノード室との連通を、再生処理時には第2貯留槽とカソード室との連通に切り替えるものである、
1に記載の装置。
[3] 連通切り替え手段が、第1〜第4の再生処理用ライン、開閉手段制御機構、並びに第3送液手段及び第4送液手段を有し、
第1再生処理用ラインは第1貯留槽とアノード室とを連通させることができるものであり、
第2再生処理用ラインは第2貯留槽とカソード室とを連通させることができるものであり、
第3再生処理用ラインはアノード室と第1貯留槽とを連通させることができるものであり、
第4再生処理用ラインはカソード室と第2貯留槽とを連通させることができるものであり、
該第1〜第4の再生処理用ラインは、それぞれ開閉手段を有し、並びに
開閉手段制御機構は
電解還元時には、
第1貯留槽の溶液がカソード室に供給された後、カソード室から第1貯留槽へと循環し、
第2貯留槽の溶液がアノード室に供給された後、アノード室から第2貯留槽へと循環するよう、該第1〜第4の再生処理用ラインの開閉手段を制御し、
再生処理時には、
第1貯留槽の溶液がアノード室に供給された後、アノード室から第1貯留槽へと循環し、
第2貯留槽の溶液がカソード室に供給された後、カソード室から第2貯留槽へと循環するよう、該第1〜第4の再生処理用ラインの開閉手段を制御するものであり、
第3送液手段は再生処理時にアノード室と連通している第1貯留槽の溶液を循環させるものであり、
第4送液手段は再生処理時にカソード室と連通している第2貯留槽の溶液を循環させるものである、
2に記載の装置。
[4] 連通切り替え手段が、第1〜第4の再生処理用ライン、第1〜第4のライン切り替え手段及びライン切り替え手段制御機構を有し、
第1再生処理用ラインは第1貯留槽とアノード室とを連通させることができるものであり、
第2再生処理用ラインは第2貯留槽とカソード室とを連通させることができるものであり、
第3再生処理用ラインはカソード室と第2貯留槽とを連通させることができるものであり、
第4再生処理用ラインはアノード室と第1貯留槽とを連通させることができるものであり、
第1ライン切り替え手段は、カソード室に接続された溶液供給ラインに配置され、第1貯留槽からの、電解還元時のカソード室への送液と再生処理時の第1再生処理用ラインを介したアノード室への送液とを切り替えることができ、
第2ライン切り替え手段は、アノード室に接続された溶液供給ラインに配置され、第2貯留槽からの、電解還元時のアノード室への送液と再生処理時の第2再生処理用ラインを介したカソード室への送液とを切り替えることができ、
第3ライン切り替え手段は、カソード室に接続された溶液排出ラインに配置され、カソード室からの、電解還元時の第1貯留槽への排出と再生処理時の第3再生処理用ラインを介した第2貯留槽への排出とを切り替えることができ、
第4ライン切り替え手段は、アノード室に接続された溶液排出ラインに配置され、アノード室からの、電解還元時の第2貯留槽への排出と再生処理時の第4再生処理用ラインを介した第1貯留槽への排出とを切り替えることができ、
ライン切り替え手段制御機構は、
電解還元時には、
第1貯留槽の溶液がカソード室に供給された後、カソード室から第1貯留槽へと循環し、
第2貯留槽の溶液がアノード室に供給された後、アノード室から第2貯留槽へと循環するよう、該第1〜第4のライン切り替え手段を制御し、
再生処理時には、
第1貯留槽の溶液がアノード室に供給された後、アノード室から第1貯留槽へと循環し、
第2貯留槽の溶液がカソード室に供給された後、カソード室から第2貯留槽へと循環するよう、該第1〜第4ライン切り替え手段を制御するものであり、
第1送液手段は電解還元時にはカソード室と連通している第1貯留槽の溶液を循環させ、再生処理時にはアノード室と連通している第1貯留槽の溶液を循環させ、
第2送液手段は電解還元時にはアノード室と連通している第2貯留槽の溶液を循環させ、再生処理時にはカソード室と連通している第2貯留槽の溶液を循環させるものである、
2に記載の装置。
[5] 第1のライン切り替え手段と第2のライン切り替え手段とが一体型となった第1クロスバルブであり、
第3のライン切り替え手段と第4のライン切り替え手段とが一体型となった第2クロスバルブであり、
ライン切り替え手段制御機構が第1クロスバルブ及び第2クロスバルブの切り替えを制御する、4に記載の装置。
[6] 3に記載の構成、4に記載の構成、及び5に記載の構成からなる群より選択される構成を備えた、2に記載の装置。
[7] さらに、電極再生処理用の連通切り替え手段、第3貯留槽及び第4貯留槽を有し、
第3貯留槽は再生処理時にカソード室に循環させる溶液を貯留するためのものであり、
第4貯留槽は再生処理時にアノード室に循環させる溶液を貯留するためのものであり、
該電極再生処理用の連通切り替え手段は、電解還元時の第1貯留槽とカソード室との連通を、再生処理時には第3貯留槽とカソード室との連通に切り替えるものであり、
電解還元時の第2貯留槽とアノード室との連通を、再生処理時には第4貯留槽とアノード室との連通に切り替えるものである、1に記載の装置。
[8] 電極再生処理用の連通切り替え手段が、第1〜第4の再生処理用ライン、開閉手段制御機構、及び第3送液手段及び第4送液手段を有し、
第1再生処理用ラインは第3貯留槽とカソード室とを連通させることができるものであり、
第2再生処理用ラインは第4貯留槽とアノード室とを連通させることができるものであり、
第3再生処理用ラインはカソード室と第3貯留槽とを連通させることができるものであり、
第4再生処理用ラインはアノード室と第4貯留槽とを連通させることができるものであり、
該第1〜第4の再生処理用ラインは、それぞれ開閉手段を有し、並びに
開閉手段制御機構は
電解還元時には、
第1貯留槽の溶液がカソード室に供給された後、カソード室から第1貯留槽へと循環し、
第2貯留槽の溶液がアノード室に供給された後、アノード室から第2貯留槽へと循環するよう、該第1〜第4の再生処理用ラインの開閉手段を制御し、
再生処理時には、
第3貯留槽の溶液がカソード室に供給された後、カソード室から第3貯留槽へと循環し、
第4貯留槽の溶液がアノード室に供給された後、アノード室から第4貯留槽へと循環するよう、該第1〜第4の再生処理用ラインの開閉手段を制御するものであり、
第3送液手段は再生処理時にカソード室と連通している第3貯留槽の溶液を循環させるものであり、
第4送液手段は再生処理時にアノード室と連通している第4貯留槽の溶液を循環させるものである、
7に記載の装置。
[9] 電極再生処理用の連通切り替え手段が、第1〜第4の再生処理用ライン、第1〜第4のライン切り替え手段及びライン切り替え手段制御機構を有し、
第1再生処理用ラインは第3貯留槽とカソード室とを連通させることができるものであり、
第2再生処理用ラインは第4貯留槽とアノード室とを連通させることができるものであり、
第3再生処理用ラインはカソード室と第3貯留槽とを連通させることができるものであり、
第4再生処理用ラインはアノード室と第4貯留槽とを連通させることができるものであり、
第1ライン切り替え手段は、カソード室に接続された溶液供給ラインに配置され、電解還元時の第1貯留槽からのカソード室への送液と再生処理時の第3貯留槽からの第1再生処理用ラインを介したカソード室への送液とを切り替えることができ、
第2ライン切り替え手段は、アノード室に接続された溶液供給ラインに配置され、電解還元時の第2貯留槽からのアノード室への送液と再生処理時の第4貯留槽からの第2再生処理用ラインを介したアノード室への送液とを切り替えることができ、
第3ライン切り替え手段は、カソード室に接続された溶液排出ラインに配置され、カソード室からの、電解還元時の第1貯留槽への排出と再生処理時の第3再生処理用ラインを介した第3貯留槽への排出とを切り替えることができ、
第4ライン切り替え手段は、アノード室に接続された溶液排出ラインに配置され、アノード室からの、電解還元時の第2貯留槽への排出と再生処理時の第4再生処理用ラインを介した第4貯留槽への排出とを切り替えることができ、
ライン切り替え手段制御機構は、
電解還元時には、
第1貯留槽の溶液がカソード室に供給された後、カソード室から第1貯留槽へと循環し、
第2貯留槽の溶液がアノード室に供給された後、アノード室から第2貯留槽へと循環するよう、該第1〜第4のライン切り替え手段を制御し、
再生処理時には、
第3貯留槽の溶液がカソード室に供給された後、カソード室から第3貯留槽へと循環し、
第4貯留槽の溶液がアノード室に供給された後、アノード室から第4貯留槽へと循環するよう、該第1〜第4ライン切り替え手段を制御するものであり、
第1送液手段は電解還元時にはカソード室と連通している第1貯留槽の溶液を循環させ、再生処理時にはカソード室と連通している第3貯留槽の溶液を循環させ、
第2送液手段は電解還元時にはアノード室と連通している第2貯留槽の溶液を循環させ、再生処理時にはアノード室と連通している第4貯留槽の溶液を循環させるものである、
7に記載の装置。
[10] 第1のライン切り替え手段と第3のライン切り替え手段とが一体型となった第1クロスバルブであり、
第2のライン切り替え手段と第4のライン切り替え手段とが一体型となった第2クロスバルブであり、
ライン切り替え手段制御機構が第1クロスバルブ及び第2クロスバルブの切り替えを制御する、9に記載の装置。
[11] 8に記載の構成、9に記載の構成、及び10に記載の構成からなる群より選択される構成を備えた、7に記載の装置。
[12] さらに通液線速度を測定するための流量計及び通液線速度制御機構を備えた、1〜11のいずれか1項に記載の装置。
[13] 送液手段及び通液線速度制御機構が、カソード室への通液線速度及び/又はアノード室への通液線速度を10〜1,000m/hとすることができるものである、12に記載の装置。
[14] 外部電源機構、及び再生処理時に電流の極性を反転させる制御機構を備えた、1〜13のいずれか1項に記載の装置。
[15] 外部電源機構が、±2〜±200mA/cm2の電流密度を電極に供給することができるものである、14に記載の装置。
[16] 第1貯留槽がさらに、排ガスをバブリングする手段を備えている、1〜15のいずれか1項に記載の装置。
[17] 7〜16のいずれか1項に記載の第4貯留槽を有する装置において、該第4貯留槽がさらに、排ガスをバブリングする手段を備えている、16に記載の装置。
[18] 排ガスが二酸化炭素を含むものであり、電解還元によりギ酸、ホルムアルデヒド、メタン、一酸化炭素、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される生成物を生成するための、1〜17のいずれか1項に記載の装置。
[19] アノード電極がホウ素をドープした導電性ダイヤモンド電極又は金属電極である、1〜18のいずれか1項に記載の装置。
[20] カソード電極の導電性ダイヤモンドのホウ素のドープ量が0.01%〜5%である、1〜18のいずれか1項に記載の装置、及び/又はアノード電極が導電性ダイヤモンド電極でありアノードの導電性ダイヤモンドのホウ素のドープ量が0.01%〜5%である、19に記載の装置。
[21] さらに、第1貯留槽及び第2貯留槽、又は第1〜第4貯留槽の溶液を入れ替える手段、及び溶液入れ替え手段制御機構を有し、
溶液入れ替え手段制御機構は、有価物の生成量又は電解還元反応の電流効率に基づき、自動的に溶液が入れ替わるよう、溶液入れ替え手段を制御する、
1〜20のいずれか1項に記載の装置。
[22] 第1貯留槽が支持電解質溶液を含み、該支持電解質溶液が、ハロゲン化カリウム、ハロゲン化セシウム、ハロゲン化ルビジウム、塩化カリウム、塩化セシウム、塩化ルビジウム、臭化カリウム、臭化セシウム、臭化ルビジウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化ルビジウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム又は水酸化カリウム、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される支持電解質を含む、1〜21のいずれか1項に記載の装置。
[23] 第2貯留槽が支持電解質溶液を含み、該支持電解質溶液が、ハロゲン化カリウム、ハロゲン化セシウム、ハロゲン化ルビジウム、塩化カリウム、塩化セシウム、塩化ルビジウム、臭化カリウム、臭化セシウム、臭化ルビジウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化ルビジウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム又は水酸化カリウム、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される支持電解質を含むか、又は、
硫酸、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸ルビジウム、硫酸セシウム、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される支持電解質を含む、1〜22のいずれか1項に記載の装置。
[24] 第3貯留槽が支持電解質溶液を含み、該支持電解質溶液が、硫酸、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸ルビジウム、硫酸セシウム、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される支持電解質を含む、7〜23のいずれか1項に記載の装置。
[25] 第4貯留槽が支持電解質溶液を含み、該支持電解質溶液が、ハロゲン化カリウム、ハロゲン化セシウム、ハロゲン化ルビジウム、塩化カリウム、塩化セシウム、塩化ルビジウム、臭化カリウム、臭化セシウム、臭化ルビジウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化ルビジウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム又は水酸化カリウム、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される支持電解質を含むか、又は、
硫酸、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸ルビジウム、硫酸セシウム、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される支持電解質を含む、7〜24のいずれか1項に記載の装置。
[26] 支持電解質が0.1〜8Mの硫酸を含む23〜25のいずれか1項に記載の装置。
[27] 第1貯留槽の支持電解質溶液が0.1M〜2M塩化カリウムを含み、カソード電極の導電性ダイヤモンド電極のホウ素のドープ量が0.1%〜1%である、22〜26のいずれか1項に記載の装置。
[28] 1〜27のいずれか1項に記載の装置を用いる排ガスの電解還元方法。
本発明によれば、長期間にわたり連続的に、穏和な条件下(常温、常圧)で、排ガスから有価物を生成することができる。
本発明のフロー型装置の概略図を示す。 再生機構を備え、貯留槽を2つ備えたた実施形態の装置を示す。 再生機構を備え、貯留槽を2つ備えたた実施形態の装置を示す。 再生機構を備え、貯留槽を4つ備えた実施形態の装置を示す。 再生機構を備え、貯留槽を4つ備えた実施形態の装置を示す。 耐久性試験の結果を示す。再生処理によりファラデー効率が回復した。
フローセル型電解反応装置
ある実施形態において、本発明は、排ガスを電解還元することにより有価物を生成するためのフローセル型電解反応装置を提供する。排ガスは支持電解質溶液中に溶解(溶存)したものであり得る。排ガスは二酸化炭素を含むものであり得る。有価物はギ酸、ホルムアルデヒド、メタン、一酸化炭素、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される生成物であり得る。
ある実施形態において本発明の装置は、カソード電極、及びカソード電極を収容するカソード室を有し、アノード電極、及びアノード電極を収容するアノード室を有する。カソード電極はホウ素をドープした導電性ダイヤモンド電極である。アノード電極はホウ素ドープした導電性ダイヤモンド電極又は金属電極であり得る。金属電極としては、銀、金、白金、炭素、ステンレス鋼、イリジウム、パラジウム、オスミウム、ロジウム、ルテニウム等を使用しうる。
ある実施形態において本発明の装置は、カソード室とアノード室とを仕切る固体電解質膜を有する。固体電解質膜は、例えば固体高分子膜、例えばナフィオン(登録商標)膜(THE CHEMOURS COMPANY FC LLC)等のスルホン酸基を持ったフッ素系ポリマー膜、スルホ系イオン交換樹脂膜、Flemion(商標)イオン交換膜、Aciplex(商標)イオン交換膜等でありうるがこれに限らない。固体電解質膜がカソード室とアノード室とを仕切るため、カソード電極で生成した有価物はアノード電極で酸化されない。
ある実施形態において本発明の装置は、カソード室に接続された溶液供給ラインを有し、カソード室に接続された溶液排出ラインを有し、アノード室に接続された溶液供給ラインを有し、アノード室に接続された溶液排出ラインを有し、第1貯留槽及び第2貯留槽を有する。貯留槽(貯槽)は支持電解質溶液を収容する槽である。第1貯留槽は、カソード室に接続された溶液供給ライン及びカソード室に接続された溶液排出ラインを介して、カソード室と連通しており、第2貯留槽は、アノード室に接続された溶液供給ライン及びアノード室に接続された溶液排出ラインを介して、アノード室と連通している。また、本発明の装置は、カソード室と連通している第1貯留槽の溶液を循環させる第1送液手段、及びアノード室と連通している第2貯留槽の溶液を循環させる第2送液手段を有する。カソード室は、供給される支持電解質溶液がカソード電極に接触するように構成されている。アノード室は、供給される支持電解質溶液がアノード電極に接触するように構成されている。
ある実施形態において本発明の装置は、カソード電極とアノード電極との間に電圧を印加するための外部電源機構を備えてなる。外部電源機構はポテンシオ・ガルバノスタット機構等でありうる。ある実施形態において、本発明の装置は、場合により電解質溶液のpHを調整する手段を有してもよい。pHを調整する手段としては、緩衝液若しくはpH調整剤が挙げられる。
ある実施形態において、本発明の電解還元装置は、さらに排ガスの気泡を支持電解質溶液にバブリングする手段を備えている。ある実施形態では、第1貯留槽がこの排ガスバブリング手段を備えている。別の実施形態では、第4貯留槽が排ガスバブリング手段を備えている。別の実施形態では、第1貯留槽及び第4貯留槽が排ガスバブリング手段を備えている。排ガスでバブリングすることにより、支持電解質に排ガスを溶存させることができる。バブリングは飽和濃度まで行ってもよい。別の実施形態では、予め排ガスでバブリング済みの水溶液を、第1貯留槽(及び/又は第4貯留槽)に供給することができる。バブリングは、電解還元中に継続して行ってもよく、例えば電解還元を長時間行う場合は特にそうである。ある実施形態では、電解質溶液の酸素を除くために予め窒素をバブリングしてもよい。その後、排ガスをバブリングしてもよい。ある実施形態ではバブリングされる排ガスは二酸化炭素を含む。別の実施形態では排ガスは炭酸ガスである。
ある実施形態において、第1貯留槽中の電解質溶液は、第2貯留槽中の電解質溶液と同一の水溶液とすることができ、例えば同一の水酸化物溶液、又は同一の塩化物溶液とすることができる。第1及び第2貯留槽中の電解質溶液はpHを調整してもよく、又は調整せずともよい。
本発明において、電解還元は、定電位電解でもよく、定電圧電解でもよく、電流密度を一定としてもよい。電流は直流でありうる。
ある実施形態において、本発明の電解還元反応における、導電性ダイヤモンド電極の印加電位は、参照電極に対して-5.0〜-0.5Vの範囲内の所定の電位とすることができる。
ある実施形態において、本発明の電解還元反応における、導電性ダイヤモンド電極の電流を-100mA〜-0.1mA、-50mA〜-0.1mA、-40mA〜-0.5mA、-30mA〜-1mA、-20mA〜-2mA、例えば-20mA、-15mA、-10mA、-5mA又は-2mAとすることができる。
ある実施形態において、本発明の電解還元反応における、導電性ダイヤモンド電極の電流密度を-0.1mA/cm2〜-100mA/cm2、-0.1mA/cm2〜-50mA/cm2、-0.2mA/cm2〜-40mA/cm2、-0.3mA/cm2〜-30mA/cm2、-0.4mA/cm2〜-25mA/cm2、-0.5mA/cm2〜-20mA/cm2、-1mA/cm2〜-15mA/cm2、-2mA/cm2〜-10mA/cm2、例えば-2mA/cm2、-5mA/cm2、-10mA/cm2、-15mA/cm2又は-20mA/cm2とすることができる。
ある実施形態において、本発明の装置はさらに、通液線速度を測定するための流量計及び通液線速度制御機構を備え得る。送液手段及び通液線速度制御機構より、カソード室への通液線速度及び/又はアノード室への通液線速度を例えば1〜10,000 m/h、2〜5,000 m/h、5〜2,000 m/h、例えば10〜1,000 m/hとすることができる。電解により生じた気泡が電極表面に残留すると電流効率が低下することがある。この場合、通液線速度を大きくすることで気泡による効率低下を抑制することができる。
再生処理機構
別の実施形態において、本発明の装置はさらに電極再生処理機構を有する。電極再生処理機構は、電解還元反応を行うことにより電流効率の低下したカソード電極に、正の電位を印加し、すなわちカソード電位を反転させて、酸処理する。酸処理によってカソード電極の電流効率が回復する。特定の作用機序に限定されることを望むものではないが、これはカソード電極の表面に付着した不純物が除去されることによるものと考えられる。本明細書において、このような酸処理を、電極再生処理、再生処理、回復処理、又は電極回復処理ということがあるが、これらの用語は同義であり、相互に置き換え可能である。
電解還元時の電位をV1とし、再生処理時の電位をV2とすると、V1は負の電位であり、V2は正の電位である。再生処理機構を有する装置では、外部電源機構は、再生処理時に電流の極性を反転させる制御機構を備えうる。
ある実施形態において、本発明の再生処理反応における、カソード電極の電流を+100mA〜+0.1mA、+50mA〜+0.1mA、+40mA〜+0.5mA、+30mA〜+1mA、+20mA〜+2mA、例えば+20mA、+15mA、+10mA、+5mA又は+2mAとすることができる。
ある実施形態において、本発明の再生処理反応における、カソード電極の電流密度を+0.1mA/cm2〜+200mA/cm2、+0.1mA/cm2〜+100mA/cm2、+0.1mA/cm2〜+50mA/cm2、+0.2mA/cm2〜+40mA/cm2、+0.3mA/cm2〜+30mA/cm2、+0.4mA/cm2〜+25mA/cm2、+0.5mA/cm2〜+20mA/cm2、+1mA/cm2〜+15mA/cm2、+2mA/cm2〜+10mA/cm2、例えば+2mA/cm2、+5mA/cm2、+10mA/cm2、+15mA/cm2又は+20mA/cm2とすることができる。
ある実施形態において、再生処理は、電解反応の電流効率(ファラデー効率)が一定以下まで低下したら行うことができる。例えば初期(0時間)のファラデー効率と比較して、ファラデー効率が5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%又は80%以上低下したら、再生処理を行うことができる。別の実施形態では、再生処理は、電解還元反応を一定時間行った後、定期的に行うことができる。再生処理は例えば5分〜24時間、10分〜12時間、15分〜6時間、20分〜3時間、30分〜2時間、例えば40分〜1時間行うことができる。好ましくは再生処理は10分〜2時間程度とすることができる。再生処理による電流効率の回復は、印加電位及び印加時間に応じて変化する。当業者であれば、適宜、目的や用いる材料溶液に応じて再生処理の印加電位及び印加時間を決定することができる。
再生処理の際には、カソード電極に正の電位を印加することから、支持電解質中に有価物が存在するとこれが酸化され得る。そこで再生処理時には、カソード室の支持電解溶液には、有価物が含まれないかほとんど含まれない支持電解質を供給することが好ましい。
ある実施形態において、再生処理時にカソード室に供給される支持電解質溶液は、第2貯留槽の支持電解質である。この場合において、本発明の装置は電極再生処理用の連通切り替え手段を有する。該連通切り替え手段は、電解還元時の第1貯留槽とカソード室との連通を、再生処理時には第1貯留槽とアノード室との連通に切り替え、電解還元時の第2貯留槽とアノード室との連通を、再生処理時には第2貯留槽とカソード室との連通に切り替える。
別の実施形態では、本発明の装置は電極再生処理用の連通切り替え手段を有し、さらに第3貯留槽及び第4貯留槽を備える。この実施形態では、第3貯留槽は再生処理時にカソード室に循環させる溶液を貯留するためのものであり、第4貯留槽は再生処理時にアノード室に循環させる溶液を貯留するためのものであり、該電極再生処理用の連通切り替え手段は、電解還元時の第1貯留槽とカソード室との連通を、再生処理時には第3貯留槽とカソード室との連通に切り替え、電解還元時の第2貯留槽とアノード室との連通を、再生処理時には第4貯留槽とアノード室との連通に切り替える。
本発明の装置又は方法におけるカソードには導電性ダイヤモンド電極を用いる。この導電性ダイヤモンド電極には微量の不純物をドープすることが好ましい。不純物をドープすることにより、電極として望ましい性質が得られる。不純物としては、ホウ素(B)、硫黄(S)、窒素(N)、酸素(O)、ケイ素(Si)等が挙げられる。例えば炭素源を含む原料ガスに、ホウ素を得るためにはジボラン、トリメトキシボラン、酸化ホウ素を、硫黄を得るためには酸化硫黄、硫化水素を、酸素を得るためには酸素若しくは二酸化炭素を、窒素を得るためにはアンモニア若しくは窒素を、ケイ素を得るためにはシラン等を加えることができる。特に高濃度でホウ素をドープした導電性ダイヤモンド電極は広い電位窓と、他の電極材料と比較してバックグランド電流が小さいといった有利な性質を有することから好ましい。そこで本発明では以下にホウ素ドープダイヤモンド電極について例示的に記載する。他の不純物をドープした導電性ダイヤモンド電極を用いてもよい。本明細書では、特に断らない限り、電位と電圧は同義に用い相互に置き換え可能とする。また本明細書では導電性ダイヤモンド電極を単にダイヤモンド電極と記載することがあり、ホウ素ドープダイヤモンド電極をBDD電極と記載することがある。
ある実施形態において、本発明のBDD電極の電極部は、基板表面に0.01〜8%w/wホウ素原料混入ダイヤモンドを蒸着したダイヤモンド層を有する。基板はSi基板、SiO2等のガラス基板や石英基板、Al2O3等のセラミックス基板、タングステン、モリブデン等の金属でありうる。基板表面の全部又は一部をダイヤモンド層とすることができる。別の実施形態において、BDD電極の電極部は、バルク状のダイヤモンドを有し得る。
本発明の導電性ダイヤモンド電極の電極部の大きさは特に限定されないが、1cm2以上、5cm2以上、10cm2以上、50cm2以上の面積とすることができる。ダイヤモンド層の全部又は一部をカソード溶液に接触させて有価物生成反応に用いることができる。電極部の面積や形状は装置の構成に応じて適宜決定することができる。
ある実施形態において、本発明のBDD電極の電極部は、Si基板表面が高ホウ素原料混入(原料仕込みとして0.01〜8%w/wホウ素原料)ダイヤモンドで蒸着されたダイヤモンド層を有する。ホウ素原料混入率は例えば0.01〜5%w/w、0.02〜4%w/w、0.03〜3%w/w、0.04〜2%w/w、0.05〜1%w/w、例えば0.1〜1.0%w/w程度である。
基板へのホウ素原料混入ダイヤモンドの蒸着処理は、例えば700〜900℃で2〜12時間行うことができる。導電性ダイヤモンド薄膜は化学気相成長法(CVD)、例えばマイクロ波プラズマ化学気相成長法(MPCVD)で作製されうる。例えばシリコン単結晶(100)等の基板を成膜装置内にセットし、高純度水素ガスを担体ガスとした成膜用ガスを流す。成膜用ガスには、炭素、ホウ素が含まれている。炭素、ホウ素を含む高純度水素ガスを流している成膜装置内にマイクロ波を与えてプラズマ放電を起こさせると、成膜用ガス中の炭素源から炭素ラジカルが生成し、Si単結晶上にsp3構造を保ったまま、かつホウ素を混入しながら堆積してダイヤモンドの薄膜が形成される。
ダイヤモンド薄膜の膜厚は成膜時間の調整により制御することができる。ダイヤモンド薄膜の厚さは、例えば100nm〜1mm、1μm〜0.1mm、1μm〜100μm、2μm〜20μm等とすることができる。
基板表面へのホウ素ドープダイヤモンドの蒸着処理の条件は基板材料に応じて決定すればよい。一例としてプラズマ出力は500〜7000W、例えば3kW〜5kWとすることができ、好ましくは5kWとしうる。プラズマ出力がこの範囲であれば、合成が効率よく進行し、副生成物の少ない、品質の高い導電性ダイヤモンド薄膜が形成される。
BDD電極の製造方法としては、公知のあらゆる手法を用いることができ、CVD手法(ホットフィラメント法を用いるものを含む)の他に、真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオン注入法等の方法を用いることもできる。
ある実施形態において、本発明のBDD電極は、水素終端化又は陰極還元されていてもよい。ある実施形態において、本発明のBDD電極は、酸素終端化又は陽極酸化されていてもよい。水素終端化の具体的な方法としては、導電性ダイヤモンド電極を水素雰囲気下でアニーリング(加熱)又は水素プラズマ処理することが挙げられる。陰極還元の具体的な方法としては、例えば、0.1M過塩素酸ナトリウム溶液中で-3Vの電位を5〜10分間印加して水素を連続発生させること、などが挙げられる。酸素終端化の具体的な方法としては、前記導電性ダイヤモンド電極を酸素雰囲気下(空気中)でアニーリング(加熱)又は酸素プラズマ処理することが挙げられる。陽極酸化の具体的な方法としては、例えば、0.1M過塩素酸ナトリウム溶液中で+3Vの電位を5〜10分間印加して酸素を連続発生させること、などが挙げられる。
上記の電極は、特開2006−98281号公報、特開2007−139725号公報、特開2011−152324号公報、又は特開2015−172401号公報等に開示されており、これらの公報の記載に従って作製することができる。
本発明の導電性ダイヤモンド電極は、熱伝導率が高く、硬度が高く、化学的に不活性であり、電位窓が広く、バックグラウンド電流が低く、電気化学的安定性に優れている。
貯留槽を2つ備えたフロー型装置
ある実施形態における装置の一例を図1に示す。この実施形態における装置は、カソード電極1、及びカソード電極を収容するカソード室2、アノード電極3、及びアノード電極を収容するアノード室4、カソード室とアノード室とを仕切る固体電解質膜5、カソード室に接続された溶液供給ライン6、アノード室に接続された溶液供給ライン7、カソード室に接続された溶液排出ライン8、アノード室に接続された溶液排出ライン9、第1貯留槽10及び第2貯留槽11を有する。
第1貯留槽10は、カソード室に接続された溶液供給ライン6及びカソード室に接続された溶液排出ライン8を介して、カソード室2と連通しており、第2貯留槽11は、アノード室に接続された溶液供給ライン7及びアノード室に接続された溶液排出ライン9を介して、アノード室4と連通している。また、本発明の装置は、カソード室2と連通している第1貯留槽10の溶液を循環させる第1送液手段12、及びアノード室4と連通している第2貯留槽11の溶液を循環させる第2送液手段13を有する。第1送液手段12及び第2送液手段13が配置される位置は図に示された位置に限定されず、溶液が循環可能であれば、それぞれカソード室に接続された溶液排出ライン8、及びアノード室に接続された溶液排出ライン9に配置されてもよい。カソード室2は、供給される支持電解質溶液がカソード電極1に接触するように構成されている。アノード室4は、供給される支持電解質溶液がアノード電極3に接触するように構成されている。図1には外部電源機構30を示しているが、これは装置の一部であってもよく、又は、装置に含まれなくともよい。他の図では外部電源機構は省略してある。
図1ではカソード電極はBDD電極であり、アノード電極は金属電極であるが、本発明はこれに限られない。第1貯留槽は排ガスを含有しうる第1支持電解質溶液を収容する。第2貯留槽は第2支持電解質溶液を収容する。図1には示していないが第1貯留槽はバブリング機構を有していてもよい。図2〜5についても同様である。
ある実施形態において、本発明の装置は場合により、電流を一定に制御する手段(ガルバノスタット、アンペロスタットともいう)をさらに備え得る。ガルバノスタット等により、電解還元反応時に電流を一定に制御することができる。ある実施形態において、本発明の装置は、さらに参照電極を有し得る。参照電極としては、銀−塩化銀電極(Ag/AgCl)等があげられる。この場合において、本発明の装置は、さらにポテンショスタットを有し得る。
貯留槽を2つ備え、再生処理機構を有するフロー型装置(ライン独立型)
ある実施形態における装置の一例を図2に示す。図2に示す装置は、図1の構成に加え、さらに電極再生処理機構を有する。すなわち、図2に示す装置は、連通切り替え手段として、第1再生処理用ライン14、第2再生処理用ライン15、第3再生処理用ライン16、第4再生処理用ライン17、開閉手段制御機構18、第3送液手段19及び第4送液手段20を有する。
第1再生処理用ライン14は、第1再生処理用ライン用開閉手段21を有し開放状態では第1貯留槽10とアノード室4とを連通させることができる。前記開放状態では、カソード室に接続された溶液供給ライン6に配置される第1再生処理用ライン用開閉手段21により、第1貯留槽10とカソード室2とは連通しない。第2再生処理用ライン15は第2再生処理用ライン用開閉手段22を有し開放状態では第2貯留槽11とカソード室2とを連通させることができる。前記開放状態では、アノード室に接続された溶液供給ライン7に配置される第2再生処理用ライン用開閉手段22により、第2貯留槽11とアノード室4とは連通しない。第3再生処理用ライン16は第3再生処理用ライン用開閉手段23を有し開放状態ではアノード室4と第1貯留槽10とを連通させることができる。前記開放状態では、アノード室に接続された溶液排出ライン9に配置される第3再生処理用ライン用開閉手段23により、アノード室4と第2貯留槽11とは連通しない。第4再生処理用ライン17は第4再生処理用ライン用開閉手段24を有し開放状態ではカソード室2と第2貯留槽11とを連通させることができる。前記開放状態では、カソード室に接続された溶液排出ライン8に配置される第4再生処理用ライン用開閉手段24により、カソード室2と第1貯留槽10とは連通しない。全ての接続関係を図に示していないが、開閉手段制御機構18は、第1〜4再生処理用ライン用開閉手段21〜24を制御し、電解還元時には、第1貯留槽10の溶液がカソード室2に供給された後、カソード室2から第1貯留槽10へと循環し、第2貯留槽11の溶液がアノード室4に供給された後、アノード室4から第2貯留槽11へと循環するよう、該第1〜4再生処理用ライン用開閉手段21〜24を制御し、再生処理時には、第1貯留槽10の溶液がアノード室4に供給された後、アノード室4から第1貯留槽10へと循環し、第2貯留槽11の溶液がカソード室2に供給された後、カソード室2から第2貯留槽11へと循環するよう、該第1〜4再生処理用ライン用開閉手段21〜24を制御する。第3送液手段19は再生処理時にアノード室と連通している第1貯留槽の溶液を循環させ、第4送液手段20は再生処理時にカソード室と連通している第2貯留槽の溶液を循環させる。
貯留槽を2つ備え、再生処理機構を有するフロー型装置(ライン切り替え型)
別の実施形態における本発明の装置の例を図3に示す。図3に示す装置は、図1の構成に加え、さらに電極再生処理機構を有する。すなわち、図3に示す装置は、連通切り替え手段として、第1再生処理用ライン14、第2再生処理用ライン15、第3再生処理用ライン16、第4再生処理用ライン17、第1ライン切り替え手段25、第2ライン切り替え手段26、第3ライン切り替え手段27、第4ライン切り替え手段28及びライン切り替え手段制御機構29を有する。
第1再生処理用ライン14は、第1ライン切り替え手段25により、第1貯留槽10とアノード室4とを連通させることができる。第2再生処理用ライン15は、第2ライン切り替え手段26により、第2貯留槽11とカソード室2とを連通させることができる。第3再生処理用ライン16は、第3ライン切り替え手段27により、カソード室2と第2貯留槽11とを連通させることができる。第4再生処理用ライン17は、第4ライン切り替え手段28により、アノード室4と第1貯留槽10とを連通させることができる。
第1ライン切り替え手段25は、カソード室2に接続された溶液供給ライン6に配置され、第1貯留槽10からの、電解還元時のカソード室2への送液と再生処理時の第1再生処理用ライン14を介したアノード室4への送液とを切り替えることができる。
第2ライン切り替え手段26は、アノード室4に接続された溶液供給ライン7に配置され、第2貯留槽11からの、電解還元時のアノード室4への送液と再生処理時の第2再生処理用ライン15を介したカソード室2への送液とを切り替えることができる。
第3ライン切り替え手段27は、カソード室2に接続された溶液排出ライン8に配置され、カソード室2からの、電解還元時の第1貯留槽10への排出と再生処理時の第3再生処理用ライン16を介した第2貯留槽11への排出とを切り替えることができる。
第4ライン切り替え手段28は、アノード室4に接続された溶液排出ライン9に配置され、アノード室4からの、電解還元時の第2貯留槽11への排出と再生処理時の第4再生処理用ライン17を介した第1貯留槽10への排出とを切り替えることができる。
ライン切り替え手段制御機構29は、電解還元時には、第1貯留槽10の溶液がカソード室2に供給された後、カソード室2から第1貯留槽10へと循環し、第2貯留槽11の溶液がアノード室4に供給された後、アノード室4から第2貯留槽11へと循環するよう、該第1〜第4のライン切り替え手段25〜28を制御し、再生処理時には、第1貯留槽10の溶液がアノード室4に供給された後、アノード室4から第1貯留槽10へと循環し、第2貯留槽11の溶液がカソード室2に供給された後、カソード室2から第2貯留槽11へと循環するよう、該第1〜第4ライン切り替え手段25〜28を制御する。
この実施形態では、第1送液手段12は電解還元時にはカソード室2と連通している第1貯留槽10の溶液を循環させ、再生処理時にはアノード室4と連通している第1貯留槽10の溶液を循環させる。第2送液手段13は電解還元時にはアノード室4と連通している第2貯留槽11の溶液を循環させ、再生処理時にはカソード室2と連通している第2貯留槽11の溶液を循環させる。
ある実施形態において、第1ライン切り替え手段25と第2ライン切り替え手段26とは、一体型となった第1クロスバルブであり得る。別の実施形態において、第3ライン切り替え手段27と第4ライン切り替え手段28とは、一体型となった第2クロスバルブであり得る。これらの場合において、ライン切り替え手段制御機構29は第1クロスバルブ及び/又は第2クロスバルブの切り替えを制御することができる。
図2及び図3では代表的な構成を例示したが、図2の構成の一部を図3の構成の一部と組み合わせることもできる。そのような組み合わせも本発明に包含される。例えば、ある実施形態において、本発明の装置は第1〜第4ブラックボックスを有する。第1ブラックボックスは第1貯留槽からの1又は2本以上の流入ラインと、カソード室及びアノード室への流出ラインとを有する。第2ブラックボックスは第2貯留槽からの1又は2本以上の流入ラインと、カソード室及びアノード室への流出ラインとを有する。第3ブラックボックスはカソード室及びアノード室からの流入ラインと第1貯留槽への1又は2本以上の流出ラインとを有する。第4ブラックボックスはカソード室及びアノード室からの流入ラインと第2貯留槽への1又は2本以上の流出ラインとを有する。第1〜4ブラックボックスは電解還元時と再生処理時とで、第1〜2貯留槽とカソード室及びアノード室との連通状態を切り替えることができる。第1〜4ブラックボックスの内部は、それぞれ独立に、図2のように構成されていてもよく、図3の様に構成されていてもよい。
貯留槽を4つ備え、再生処理機構を有するフロー型装置(ライン独立型)
別の実施形態における本発明の装置の例を図4に示す。図4に示す装置は、図1の構成に加え、さらに電極再生処理機構を有する。すなわち、図4に示す装置は、連通切り替え手段として、第1再生処理用ライン14、第2再生処理用ライン15、第3再生処理用ライン16、第4再生処理用ライン17、開閉手段制御機構18、並びに第3送液手段19及び第4送液手段20を有する。第1再生処理用ライン14は、第1再生処理用ライン用開閉手段21を有し、第3貯留槽31とカソード室2とを連通させることができる。このとき、カソード室に接続された溶液供給ライン6に配置される第1再生処理用ライン用開閉手段21により、第1貯留槽10とカソード室2とは連通しない。第2再生処理用ライン15は、第2再生処理用ライン用開閉手段22を有し、第4貯留槽32とアノード室4とを連通させることができる。このとき、アノード室に接続された溶液供給ライン7に配置される第2再生処理用ライン用開閉手段22により、第2貯留槽11とアノード室4とは連通しない。第3再生処理用ライン16は、第3再生処理用ライン用開閉手段23を有し、カソード室2と第3貯留槽31とを連通させることができる。このとき、カソード室に接続された溶液排出ライン8に配置される第3再生処理用ライン用開閉手段23により、カソード室2と第1貯留槽10とは連通しない。第4再生処理用ライン17は、第4再生処理用ライン用開閉手段24を有し、アノード室4と第4貯留槽32とを連通させることができる。このとき、アノード室に接続された溶液排出ライン9に配置される第4再生処理用ライン用開閉手段24により、アノード室4と第2貯留槽11とは連通しない。
開閉手段制御機構18は、電解還元時には、第1貯留槽10の溶液がカソード室2に供給された後、カソード室2から第1貯留槽10へと循環し、第2貯留槽11の溶液がアノード室4に供給された後、アノード室4から第2貯留槽11へと循環するよう、該第1〜第4再生処理用ラインの開閉手段21〜24を制御し、再生処理時には、第3貯留槽31の溶液がカソード室2に供給された後、カソード室2から第3貯留槽31へと循環し、第4貯留槽32の溶液がアノード室4に供給された後、アノード室4から第4貯留槽32へと循環するよう、該第1〜第4の再生処理用ラインの開閉手段21〜24を制御する。
第3送液手段19は再生処理時にカソード室2と連通している第3貯留槽31の溶液を循環させることができる。第4送液手段20は再生処理時にアノード室4と連通している第4貯留槽32の溶液を循環させることができる。
貯留槽を4つ備え、再生処理機構を有するフロー型装置(ライン切り替え型)
別の実施形態における本発明の装置の例を図5に示す。図5に示す装置は、図1の構成に加え、さらに電極再生処理機構を有する。すなわち、図5に示す装置は、連通切り替え手段として、第1再生処理用ライン14、第2再生処理用ライン15、第3再生処理用ライン16、第4再生処理用ライン17、第1ライン切り替え手段25、第2ライン切り替え手段26、第3ライン切り替え手段27、第4ライン切り替え手段28、及びライン切り替え手段制御機構29を有する。
第1再生処理用ライン14は第3貯留槽31とカソード室2とを連通させることができる。第2再生処理用ライン15は第4貯留槽32とアノード室4とを連通させることができる。第3再生処理用ライン16はカソード室2と第3貯留槽31とを連通させることができる。第4再生処理用ライン17はアノード室4と第4貯留槽32とを連通させることができる。
第1ライン切り替え手段25は、カソード室2に接続された溶液供給ライン6に配置され、電解還元時の第1貯留槽10からのカソード室2への送液と再生処理時の第3貯留槽31からの第1再生処理用ライン14を介したカソード室2への送液とを切り替えることができる。第2ライン切り替え手段26は、アノード室4に接続された溶液供給ライン7に配置され、電解還元時の第2貯留槽11からのアノード室4への送液と再生処理時の第4貯留槽32からの第2再生処理用ライン15を介したアノード室4への送液とを切り替えることができる。第3ライン切り替え手段27は、カソード室2に接続された溶液排出ライン8に配置され、カソード室2からの、電解還元時の第1貯留槽10への排出と再生処理時の第3再生処理用ライン16を介した第3貯留槽31への排出とを切り替えることができる。第4ライン切り替え手段28は、アノード室4に接続された溶液排出ライン9に配置され、アノード室4からの、電解還元時の第2貯留槽11への排出と再生処理時の第4再生処理用ライン17を介した第4貯留槽32への排出とを切り替えることができる。
ライン切り替え手段制御機構29は、電解還元時には、第1貯留槽10の溶液がカソード室2に供給された後、カソード室2から第1貯留槽10へと循環し、第2貯留槽11の溶液がアノード室4に供給された後、アノード室4から第2貯留槽11へと循環するよう、該第1〜第4のライン切り替え手段25〜28を制御し、再生処理時には、第3貯留槽31の溶液がカソード室2に供給された後、カソード室2から第3貯留槽31へと循環し、第4貯留槽32の溶液がアノード室4に供給された後、アノード室4から第4貯留槽32へと循環するよう、該第1〜第4ライン切り替え手段25〜28を制御する。
第1送液手段12は電解還元時にはカソード室2と連通している第1貯留槽10の溶液を循環させ、再生処理時にはカソード室2と連通している第3貯留槽31の溶液を循環させる。第2送液手段13は電解還元時にはアノード室4と連通している第2貯留槽11の溶液を循環させ、再生処理時にはアノード室4と連通している第4貯留槽32の溶液を循環させる。
ある実施形態において、第1のライン切り替え手段25と第3のライン切り替え手段27とは、一体型となった第1クロスバルブであり得る。別の実施形態において、第2のライン切り替え手段26と第4のライン切り替え手段28とは、一体型となった第2クロスバルブであり得る。これらの場合において、ライン切り替え手段制御機構29は、第1クロスバルブ及び/又は第2クロスバルブの切り替えを制御しうる。
図4及び図5では代表的な構成を例示したが、図4の構成の一部を図5の構成の一部と組み合わせることもできる。そのような組み合わせも本発明に包含される。例えば、ある実施形態において、本発明の装置は第1〜第4ブラックボックスを有する。第1ブラックボックスは第1貯留槽及び第3貯留槽からの流入ラインと、カソード室及びアノード室への流出ラインとを有する。第2ブラックボックスは第2貯留槽及び第4貯留槽からの流入ラインと、カソード室及びアノード室への流出ラインとを有する。第3ブラックボックスはカソード室及びアノード室からの流入ラインと第1貯留槽及び第3貯留槽への流出ラインとを有する。第4ブラックボックスはカソード室及びアノード室からの流入ラインと第2貯留槽及び第4貯留槽への流出ラインとを有する。第1〜4ブラックボックスは電解還元時と再生処理時とで、第1〜4貯留槽とカソード室及びアノード室との連通状態を切り替えることができる。第1〜4ブラックボックスの内部は、それぞれ独立に、図4のように構成されていてもよく、図5の様に構成されていてもよい。図4、5には示していないが第4貯留槽はバブリング機構を有していてもよい。
ある実施形態において、本発明の装置はさらに、第1貯留槽及び第2貯留槽、又は第1〜第4貯留槽の溶液を入れ替える手段、及び溶液入れ替え手段制御機構を有し得る。溶液入れ替え手段制御機構は、有価物の生成量又は電解還元反応の電流効率に基づき、自動的に溶液が入れ替わるよう、溶液入れ替え手段を制御する。
送液手段としては、ポンプ、容積ポンプ、回転式ポンプ、ギヤポンプ、ネジ型ポンプ、ベーンポンプ、往復式ポンプ、ダイヤフラムポンプ、ピストンポンプ、真空ポンプ、スムーズフローポンプが挙げられるがこれに限らない。開閉手段としては、弁、電磁弁、電気的駆動弁、電動弁、電動機駆動弁、バルブ、仕切弁、玉形弁、球体弁、蝶型弁、ニードルバルブ、ストップバルブ、チェックバルブ、逆流防止弁、スライドバルブ、ポケットバルブ、クロスバルブ、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれに限らない。切り替え手段としては、流路切替弁、チェンジバルブ、三方弁、三方電磁弁が挙げられるがこれに限らない。クロスバルブは四方弁であり得るがこれに限らない。開閉手段制御機構は、電気的信号又は電磁的信号により開閉手段を制御するものであり得るがこれに限らない。ライン切り替え手段制御機構は、電気的信号又は電磁的信号によりライン切り替え手段を制御するものであり得るがこれに限らない。
ある実施形態において、本発明の装置は循環溶液の通液線速度を調節することができる。通液線速度は、送液手段、開閉手段、切り替え手段、及びこれらの組み合わせにより調節することができる。
ある実施形態において、本発明は、排ガスを電解還元することにより有価物を製造する方法を提供する。例えば排ガスは炭酸ガスを含んでもよく、有価物はギ酸、ホルムアルデヒド、一酸化炭素、メタン、酢酸、エチレングリコール、シュウ酸、イオウ、窒素及びそれらの組み合わせを含みうる。ある実施形態において、本発明の方法は、カソードに導電性ダイヤモンド電極を使用し、電解還元反応時のカソード室の支持電解質溶液が、ルビジウムイオン、セシウムイオン又はカリウムイオンを含み、かつ、排ガスを含み、導電性ダイヤモンド電極を用いて支持電解質溶液に電圧を印加する工程を含む。この方法では、カソード室の支持電解質溶液が循環され、連続的に有価物を生成することができる。
ある実施形態において、電解還元時にカソード室に供給される支持電解質溶液に含まれるルビジウムイオン、セシウムイオン又はカリウムイオンは、それぞれ、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化カリウムでありうる。電解質溶液のpHは5〜8、例えば6〜7、6〜6.6、6.05〜6.4、例えば6.1〜6.35でありうる。
ある実施形態において、電解還元時にカソード室に供給される支持電解質溶液に含まれるルビジウムイオン、セシウムイオン又はカリウムイオンは、それぞれ、ハロゲン化ルビジウム、例えば塩化ルビジウム、臭化ルビジウム若しくはヨウ化ルビジウム、ハロゲン化セシウム、例えば塩化セシウム、臭化セシウム若しくはヨウ化セシウム、又はハロゲン化カリウム、例えば塩化カリウム、臭化カリウム若しくはヨウ化カリウムでありうる。電解質溶液のpHは3.5〜5.5、3.8〜5.0、3.8〜4.5、例えば3.8〜4.2、例えば3.8〜4.0でありうる。
ある実施形態において、電解還元時にカソード室に供給される支持電解質溶液に含まれる水酸化ルビジウム濃度は10mM〜0.5M、15mM〜0.4M、20mM〜0.3M、25mM〜0.25M、例えば25mM〜0.2Mとすることができ、水酸化セシウム濃度は10mM〜50mM、例えば15〜30mMとすることができ、水酸化カリウム濃度は0.1M〜0.7M、0.2M〜0.6M、0.25M〜0.55M、例えば0.25M〜0.5Mとすることができる。
ある実施形態において、電解還元時にカソード室に供給される支持電解質溶液に含まれる塩化ルビジウム濃度は10mM〜0.5M、15mM〜0.4M、20mM〜0.3M、25mM〜0.25M、例えば25mM〜0.2Mとすることができ、塩化セシウム濃度は10mM〜50mM、例えば15mM〜30mMとすることができ、塩化カリウム濃度は0.1M〜0.7M、0.2M〜0.6M、0.25M〜0.55M、例えば0.25M〜0.5Mとすることができる。
ある実施形態において、電解還元時にカソード室に供給される支持電解質溶液に含まれる水酸化ルビジウム濃度は50mM〜80mMとすることができ、導電性ダイヤモンド電極は0.1〜1.0%のホウ素ドープダイヤモンド電極とすることができ、溶液のpHは6〜7とすることができる。
ある実施形態において、アノードにBDD電極又は金属電極を使用することができる。アノード室用の支持電解質溶液はカソード室用の支持電解質溶液と同一又は異なる電解質を含みうる。
ある実施形態では、アノード電極も導電性ダイヤモンド電極とすることができる。このような実施形態において、再生処理時に、電解還元時にカソード室に供給されていた支持電解質溶液がアノード電極に供給されると、又は有価物生成に適した支持電解質溶液がアノード電極に供給されると、カソード電極の酸化処理中に、アノード電極では電解還元反応が進行する。これを利用して、再生処理時にも(アノード電極において)有価物を生成させることができる。有価物生成に適した支持電解質溶液は第4貯留槽に貯留されうる。ある実施形態では第1貯留槽が排ガスバブリング機構を備えていてもよく、場合により第4貯留槽も排ガスバブリング機構を備えていてもよい。バブリング機構により第1貯留槽及び/又は第4貯留槽を循環する支持電解質溶液に排ガスが供給される。なお、本明細書では、特に断らない限り、電解還元反応時に負の電位を印加する電極をカソード電極といい、電解還元反応時に正の電位を印加する電極をアノード電極という。再生処理時にはカソード電位を反転させて、酸化処理するが、この場合にも便宜上、電解還元反応時に負の電位を印加していた電極をカソード電極とよび、電解還元反応時に正の電位を印加していた電極をアノード電極とよぶ。別の実施形態では、電解還元反応時に負の電位を印加する電極を第1電極といい、電解還元反応時に正の電位を印加する電極を第2電極という。この実施形態では、第1電極は導電性ダイヤモンド電極であり、再生処理時に第1電極に正の電荷が印加され第2電極に負の電位が印加される。
ある実施形態では、カソード電極もアノード電極も導電性ダイヤモンド電極であり、電解還元時に有価物がカソード電極で生成されその間にアノード電極は再生処理が行われ、再生処理時にも有価物がアノード電極で生成されその間にカソード電極は再生処理が行われ、これを交互に繰り返すことで、導電性ダイヤモンド電極を半永久的に使用しうる。
ある実施形態において、アノード室用の支持電解質溶液は、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、ハロゲン化ルビジウム、例えば塩化ルビジウム、ハロゲン化セシウム、例えば塩化セシウム、若しくはハロゲン化カリウム、例えば塩化カリウム、又は水酸化ナトリウムを含む。ある実施形態において、例えばカソード室用の支持電解質溶液にハロゲン化ルビジウム、ハロゲン化セシウム、又はハロゲン化カリウムを使用する場合において、アノード室用の支持電解質溶液は水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムを含みうる。別の実施形態において、アノード室用の支持電解質溶液は、硫酸、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸ルビジウム、硫酸セシウム等の適当な酸若しくは塩を含みうる。本明細書において支持電解質溶液のことを単に電解質溶液、電解溶液、電解液ということがある。
ある実施形態において、排ガスの電解還元は次の手順にて行うことができる:
(1) 作用電極をBDD電極とし、電解セルにBDD電極及び対極を設ける。また必要に応じて参照電極を設ける。
(2) 支持電解質溶液を各貯留槽に保持する。アノード室用の支持電解質溶液とカソード室用の支持電解質溶液とは同一でも異なってもよい。電解還元時のカソード室用の支持電解質溶液を第1貯留槽に用意する。電解還元時のアノード室用の支持電解質溶液を第2貯留槽に用意する。
(3) 場合により、第1貯留槽の水溶液中の酸素を除去するために窒素をバブリングする。
(4) 第1貯留槽の水溶液中に排ガスをバブリングする。
(5) 第1貯留槽の支持電解質溶液のpHを有価物生成反応に適したpHに調整する。
(6) 送液手段により貯留槽から支持電解質溶液をカソード室及びアノード室に送液する。
(7) 電位を印加し、排ガスの電解還元を行う。
ある実施形態において、排ガスの電解還元は上記工程(1)〜(7)に加え、さらに次の工程を含みうる:
(8) 電解還元の効率が低下したところで、又は定期的に、連通切り替え手段により貯留槽と電極室の連通状態を切り替え、送液手段により貯留槽から再生処理用の支持電解質溶液をカソード室及びアノード室に送液する。
(9) カソードに正の電位を印加してカソード電極の再生処理を行う。
(10) 再び連通切り替え手段により貯留槽と電極室の連通状態を切り替え、排ガスを含む支持電解質水溶液を送液手段によりカソード室へ送液する。
(11) 電位を印加し、排ガスの電解還元を行う。
(12) 必要に応じて工程(7)〜(11)を繰り返す。
別の実施形態では、排ガスの電解還元は次の手順にて行うことができる:
(1) 作用電極をBDD電極とし、対極をBDD電極とし、電解セルにBDD電極及び対極を設ける。また必要に応じて参照電極を設ける。
(2) 支持電解質溶液を第1〜4貯留槽に保持する。電解還元時のカソード室用の支持電解質溶液を第1貯留槽に用意する。電解還元時のアノード室用の支持電解質溶液を第2貯留槽に用意する。再生処理時のカソード室用の支持電解質溶液を第3貯留槽に用意する。再生処理時のアノード室用の支持電解質溶液を第4貯留槽に用意する。各貯留槽の支持電解質溶液は同一でも異なってもよい。ある実施形態において、第1貯留槽と第4貯留槽の支持電解質溶液は同一であってもよい。別の実施形態において、第2貯留槽と第3貯留槽の支持電解質溶液は同一であってもよい。
(3) 場合により、第1貯留槽の水溶液中の酸素を除去するために窒素をバブリングする。
(4) 第1貯留槽の水溶液中に排ガスをバブリングする。
(5) 第1貯留槽の電解質溶液のpHを有価物生成反応に適したpHに調整する。
(6) 送液手段により貯留槽から支持電解質溶液をカソード室及びアノード室に送液する。
(7) 電位を印加し、排ガスの電解還元を行う。
(8) 第4貯留槽の水溶液中に窒素をバブリングする。
(9) 第4貯留槽の水溶液中に排ガスをバブリングする。
(10) 連通切り替え手段により、貯留槽と電極室の連通状態を切り替える。切り替え後は、第3貯留槽とカソード室とが連通し、第4貯留槽とアノード室とが連通するようにする。その後、第4送液手段により、第4貯留槽の支持電解質溶液をアノード室に送液する。
(11) 前記(7)における印加電位と極性を反転させた電位を印加する。印加電位の絶対値は(7)のそれと同一としうる。例えば+100 mAで24時間反応を行う。このとき、切り替え後に第4貯留槽と連通している電極で電解還元反応が進行し、第3貯留槽と連通している電極で再生処理が行われる。
(12) 再び連通切り替え手段により連通状態を切り替える。切り替え後は第1貯留槽とカソード室とが連通し、第2貯留槽とアノード室とが連通する。
(13) 必要に応じて工程(7)〜(12)を繰り返す。なお工程(4)のバブリングは工程(7)において継続してもよく、工程(9)のバブリングは工程(11)において継続してもよい。これと同時に、または独立に、工程(11)の間に工程(4)を行ってもよい。場合により工程(7)の間に工程(9)を行ってもよい。
再生処理は、硫酸イオンを含む水溶液中で導電性ダイヤモンド電極に正の電位を印加することにより行うことができる。硫酸イオンを含む水溶液としては、硫酸、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸ルビジウム、硫酸セシウム等の適当な酸若しくは塩を含む水溶液が挙げられる。硫酸又は硫酸イオンの濃度は、約0.5M〜8M、例えば0.5M〜4M、0.5M〜3M、例えば0.5M〜2Mであり得る。
本発明の電解還元は常温又は室温で行うことができる。反応は低温で行ってもよい。本発明の電解還元は常圧で行うことができる。反応は高圧で行ってもよい。再生処理についても同様である。
ある実施形態において、本発明の装置は使用説明書を有しうる。使用説明書は、電解還元を行う反応条件(例えばpH、各成分の濃度、電流密度等)を本明細書に記載の条件とする説明を含みうる。ある実施形態において使用説明書はさらに、再生処理を行う条件を本明細書に記載の条件とする説明を含みうる。本発明の装置は、そのような条件で電解還元及び/又は再生処理を行うための制御プログラム又は該プログラムを実装するソフトウェアを備え得る。プログラム又はソフトウェアは、記録媒体に格納されていてもよい。
ある実施形態において、本発明の装置又は方法により高いファラデー効率にて有価物を長期間にわたり連続的に生成することができる。ファラデー効率は、全反応電荷量に対する反応生成物の生成に用いられた電荷量の割合(パーセンテージ)である:
ファラデー効率(%)=100×(反応生成物の生成に用いられた電荷量)/(全反応電荷量)
ファラデー効率は、反応生成物として特定の有価物に着目して規定することができる。例えばある実施形態では便宜上、有価物としてギ酸に着目し、ファラデー効率を生成したギ酸に基づき評価しうるが、本発明の装置又は方法により生成される有価物はこれに限らない。本明細書において電流効率と言う場合、特に断らない限り、これは生成物についてのファラデー効率をいう。
本発明により、長期間にわたり連続的に、穏和な条件下で、排ガスから有価物を生成することができる。有価物としてはギ酸やホルムアルデヒド、一酸化炭素、メタン、酢酸、エチレングリコール、シュウ酸、イオウや窒素等が挙げられる。ある実施形態では、排ガスとして炭酸ガスを使用し、有価物としてギ酸に着目しうる。ある実施形態では、ギ酸生成のファラデー効率が60〜96%と顕著に高く、半永久的に運転可能である、耐久性のある電解反応装置が提供される。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、それらの例により何ら限定されるものではない。
電極の製造
ホウ素ドープダイヤモンド電極をCVD法により作製した。具体的には前処理としてシリコン基板Si(100)表面をダイヤモンドパウダーで核付けし、次に炭素源としてアセトン50 mLとトリメチルボラン(ホウ素濃度1%)4 mLを用いて、プラズマ出力5000Wで6時間、圧力110Torrの条件で基板上に製膜した(コーンズテクノロジー社製、モデルA×5400)。
作製したBDD電極を作用電極とし、白金メッシュ電極を対極とし、銀塩化銀(Ag/AgCl)電極を参照電極とした三極電極を構成した。作用電極の電解面積は5cm2とした。これはスケールアップが可能である。アノード槽とカソード槽とを仕切る固体電解質膜はナフィオン(登録商標)膜(アルドリッチ:カタログ番号676470-1EA)であった。
[実施例1]
図1に示すようなフロー型装置による電解還元を以下の条件で行った:
作用極:ホウ素ドープ量0.1%であるBDD電極
対極:Pt電極
電極間距離:3cm
第1貯留槽の支持電解質溶液:0.5M KCl水溶液(pH 6.5)
第2貯留槽の支持電解質溶液:0.5M KOH水溶液(pH 13.7)
流速:100 mL/min 又は 500 mL/min
N2バブリング:30 min
CO2バブリング:60 min + 電解還元中
印加電流密度: -2 mA/cm2 又は -5 mA/cm2
電解還元時間:1 hr
各工程は次のとおりである:
(1) 支持電解質溶液を第1貯留槽及び第2貯留槽に用意した。
(2) 第1貯留槽の支持電解質溶液に窒素ガスを30分バブリングした。バブリング速度は200 mL/minであった。
(3) 第1貯留槽の支持電解質溶液に二酸化炭素を1時間バブリングした。バブリング速度は500 mL/minであった。バブリング後の溶液pHは4.0であった。
(4) その後、第1送液手段(第1ポンプ)により、第1貯留槽の支持電解質溶液をカソード室に送液した。CO2バブリングは電解還元反応中も継続した。また、第2送液手段(第2ポンプ)により第2貯留槽の支持電解質溶液をアノード室に送液した。
(5) カソード電極に負の電位を印加し、電解還元反応を1時間行った。
上記の条件で電解還元反応を行ったところ、送液によって二酸化炭素が供給されやすくなり、効率的に電解還元が行われた。結果を以下の表に示す。効率はいずれもファラデー効率である。
Figure 0006879549
上記のとおり電流効率96.7%(ギ酸)を達成した。電流密度を高く設定すると、生成物の生成量は増大したが、電流密度を低く設定した場合と比較して電流効率は若干低かった。供給する支持電解質溶液の流速を上げることによって生成量及び電流効率は向上した。
[実施例2]
耐久性試験1
次にフロー型ではない装置を用いて電解還元を長時間行った場合について調べた:
作用極:ホウ素ドープ量0.1%であるBDD電極
対極:Pt電極
カソード室とアノード室の間をナフィオン(登録商標)膜で仕切った。
カソード室の支持電解質溶液:75mM RbOH水溶液(pH 6.2)
アノード室の支持電解質溶液:0.5M KOH水溶液(pH 13.7)
N2バブリング:30 min
CO2バブリング:60 min + 電解還元中
印加電流密度: -2 mA/cm2 又は -5 mA/cm2
電解還元時間:1 hr
各工程は次のとおりである:
(1) 支持電解質溶液をアノード室及びカソード室に用意した。
(2) カソード室の支持電解質溶液に窒素ガスを30分バブリングした。バブリング速度は200 mL/minであった。
(3) カソード室の支持電解質溶液に二酸化炭素を1時間バブリングした。バブリング速度は200 mL/minであった。第1貯留槽の支持電解質溶液のpHを塩酸で6.2に調整した。
(4-1) 電流を-10mAとし、電解還元を1〜48時間、連続で行った(電流密度-2mA/cm2)。
その結果、ギ酸生成のファラデー効率は3時間後に79.9%であり、48時間後でも76.7%と高効率が維持された。フロー型の装置を長時間運転した場合も同程度かさらなるファラデー効率となると考えられる。
[実施例3]
耐久性試験2
実施例2の装置を使用し、(1)〜(3)を上記耐久性試験1と同じ条件とした。ただし電流密度を-20mA/cm2とした。
(4-2) 電流を-100mAとし、電解還元を1〜24時間、連続で行った(電流密度-20mA/cm2)。
その結果、ギ酸生成のファラデー効率は当初70%程度であったものが、24時間後には30%未満まで低下した。そこで以下の条件で再生処理を行った。
カソード室の支持電解質溶液:2MのH2SO4水溶液(pH 0)
アノード室の支持電解質溶液:2M H2SO4水溶液(pH 0)
印加電流密度: +20 mA/cm2
再生処理時間:20 min or 60 min
(5) 2MのH2SO4水溶液中で、電流密度+20mA/cm2にてBDD電極の再生処理を行った。
その結果、20分の再生処理でも電流効率の回復が見られ、また、60分の再生処理を行った後にさらに24時間の電解還元反応でも60%程度の電流効率を維持した。なお、比較例として、BDD電極の代わりにSn電極を用いた場合についても試験した。その結果、24時間の電解還元反応によりBDD電極では、Sn電極の1.5倍(21 g/L)のギ酸が生成した。これらの結果を図6に示す。
[実施例4]
長期運転試験
フロー型装置による電解還元及び再生処理を以下の条件で行った:
作用極:ホウ素ドープ量0.1%であるBDD電極
対極:Pt電極
電極間距離:3cm
第1貯留槽の支持電解質溶液:0.5M KCl水溶液(pH 6.5)
第2貯留槽の支持電解質溶液:0.5M KOH水溶液(pH 13.7)
第3貯留槽の支持電解質溶液:2M H2SO4水溶液(pH 0)
第4貯留槽の支持電解質溶液:2M H2SO4水溶液(pH 0)
流速:100 mL/min 又は 500 mL/min
N2バブリング:30 min
CO2バブリング:60 min + 電解還元中
印加電流密度: -2 mA/cm2 又は -5 mA/cm2
電解還元時間:24 hr
再生処理時間:1 hr
電解還元及び再生処理の手順は次のとおりとした:
(1) 支持電解質溶液として0.5Mの塩化カリウム水溶液を第1貯留槽及び第2貯留槽に用意した。
(2) 第1貯留槽の支持電解質溶液に窒素をバブリングした。バブリング速度は200 mL/minであった。
(3) 第1貯留槽の支持電解質溶液に二酸化炭素をバブリングした。バブリング速度は500 mL/minであった。その後、第1送液手段(第1ポンプ)により、第1貯留槽の支持電解質溶液をカソード室に送液した。
(4) カソード電極に負の電位を印加し、電解還元反応を-100 mAで24時間行った。
(5) 支持電解質溶液として2Mの硫酸水溶液を第3貯留槽に用意した。支持電解質溶液として2Mの硫酸水溶液を第4貯留槽に用意した。
(6) 連通切り替え手段により、貯留槽と電極室の連通状態を切り替えた。切り替え後は、第3貯留槽とカソード室とが連通し、第4貯留槽とアノード室とが連通するようにした。
(7) BDD電極に正の電位を印加し、再生処理を+100 mAで1時間行った。
(8) 再び連通切り替え手段により連通状態を切り替え、二酸化炭素の還元を行った。
上記の運転を1年継続したところ、電流効率の低下もなく、二酸化炭素からギ酸への変換が実施できた。
[実施形態5]
連続運転装置(2槽型)
フロー型装置による電解還元及び再生処理を以下の条件で行うことができる。条件は例示であり、これに限らない:
作用極:ホウ素ドープ量0.1%であるBDD電極
対極:ホウ素ドープ量0.1%であるBDD電極
電極間距離:3cm
第1貯留槽の支持電解質溶液:0.075M RbOH水溶液(pH 6.2)
第2貯留槽の支持電解質溶液:0.5M 硫酸カリウム水溶液
流速:100 mL/min 〜 500 mL/min
N2バブリング:30 min
CO2バブリング:60 min + 電解還元中(電解還元側の支持電解質溶液に供給)
電解還元の印加電流密度: -2 mA/cm2 〜 -100 mA/cm2
印加時間:1〜48時間、例えば24時間
電解還元及び再生処理の手順は次のとおりとし得る:
(1) 支持電解質溶液として0.075M RbOH水溶液を第1貯留槽に、0.5M 硫酸カリウム水溶液を第2貯留槽に用意する。
(2) 第1貯留槽の支持電解質溶液に窒素をバブリングする。バブリング速度は例えば200 mL/minとしうる。
(3) 第1貯留槽の支持電解質溶液に二酸化炭素をバブリングする。バブリング速度は500 mL/minとしうる。その後、第1送液手段(第1ポンプ)により、第1貯留槽の支持電解質溶液をカソード室に送液する。第1貯留槽の支持電解質溶液のpHは塩酸で調整しうる。
(4) カソード電極に負の電位を印加し、電解還元反応を-100 mAで、例えば24時間行う。
(5) 連通切り替え手段により、貯留槽と電極室の連通状態を切り替える。切り替え後は第2貯留槽とカソード室とが連通し、第1貯留槽とアノード室とが連通するようにする。
(6) 前記(4)における印加電位と極性を反転させた電位を印加する。印加電位の絶対値は(4)のそれと同一としうる。例えば+100 mAで24時間反応を行う。このとき、切り替え後に第1貯留槽と連通している電極で電解還元反応が進行し、第2貯留槽と連通している電極で再生処理が行われる。
(7) 再び連通切り替え手段により連通状態を切り替える。切り替え後は第1貯留槽とカソード室とが連通し、第2貯留槽とアノード室とが連通するようにする。
(8) 必要に応じて工程(4)〜(7)を繰り返す。
この構成により、各電極で電解還元と再生処理を交互に行うことができる。すなわち、一方の電極の再生処理中にも他方の電極で有価物が生成され、再生処理のみのための時間を省略できる。
[実施形態6]
連続運転装置(4槽型)
フロー型装置による電解還元及び再生処理を以下の条件で行うことができる。条件は例示であり、これに限らない:
作用極:ホウ素ドープ量0.1%であるBDD電極
対極:ホウ素ドープ量0.1%であるBDD電極
電極間距離:3cm
第1貯留槽の支持電解質溶液:0.075M RbOH水溶液(pH 6.2)
第2貯留槽の支持電解質溶液:0.5M 硫酸カリウム水溶液
第3貯留槽の支持電解質溶液:0.5M 硫酸カリウム水溶液
第4貯留槽の支持電解質溶液:0.075M RbOH水溶液(pH 6.2)
流速:100 mL/min 又は 500 mL/min
N2バブリング:30 min
CO2バブリング:60 min + 電解還元中(電解還元側の支持電解質溶液に供給)
電解還元の印加電流密度: -2 mA/cm2 〜 -100 mA/cm2
印加時間:1〜48時間、例えば24時間
電解還元及び再生処理の手順は次のとおりとし得る:
(1) 支持電解質溶液として0.075M RbOH水溶液を第1貯留槽に、0.5M 硫酸カリウム水溶液を第2貯留槽に用意する。
(2) 第1貯留槽の支持電解質溶液に窒素をバブリングする。バブリング速度は例えば200 mL/minとしうる。
(3) 第1貯留槽の支持電解質溶液に二酸化炭素をバブリングする。バブリング速度は500 mL/minとしうる。その後、第1送液手段(第1ポンプ)により、第1貯留槽の支持電解質溶液をカソード室に送液する。第1貯留槽の支持電解質溶液のpHは塩酸で調整しうる。
(4) カソード電極に負の電位を印加し、電解還元反応を-100 mAで、例えば24時間行う。
(5) 支持電解質溶液として0.5M 硫酸カリウム水溶液を第3貯留槽に、0.075M RbOH水溶液を第4貯留槽に用意する。
(6) 連通切り替え手段により、貯留槽と電極室の連通状態を切り替える。切り替え後は、第3貯留槽とカソード室とが連通し、第4貯留槽とアノード室とが連通するようにする。
(7) 第4貯留槽の支持電解質溶液に窒素をバブリングする。バブリング速度は例えば200 mL/minとしうる。
(8) 第4貯留槽の支持電解質溶液に二酸化炭素をバブリングする。バブリング速度は500 mL/minとしうる。その後、第4送液手段(第4ポンプ)により、第4貯留槽の支持電解質溶液をアノード室に送液する。第4貯留槽の支持電解質溶液のpHは塩酸で調整しうる。
(9) 前記(4)における印加電位と極性を反転させた電位を印加する。印加電位の絶対値は(4)のそれと同一としうる。例えば+100 mAで24時間反応を行う。このとき、切り替え後に第4貯留槽と連通している電極で電解還元反応が進行し、第3貯留槽と連通している電極で再生処理が行われる。
(10) 再び連通切り替え手段により連通状態を切り替える。切り替え後は第1貯留槽とカソード室とが連通し、第2貯留槽とアノード室とが連通する。
(11) 必要に応じて工程(4)〜(10)を繰り返す。なお工程(3)のバブリングは、工程(4)において継続してもよく、工程(8) のバブリングは、工程(9)において継続してもよい。これと同時に、または独立に、工程(9)の間に工程(3)を行ってもよい。また、工程(4)の間に工程(8)を行ってもよい。
この構成により、各電極で電解還元と再生処理を交互に行うことができる。すなわち、一方の電極の再生処理中にも他方の電極で有価物が生成され、再生処理のみのための時間を省略できる。また、バブリング時間を短縮することもできる。
本発明の装置及び方法により、長期間にわたり電解還元反応を効率的に行うことができる。またファラデー効率が低下した場合には再生処理を行うことにより、BDD電極を再生させ、ファラデー効率を回復させることができる。これにより工業原料等を大規模に長期間継続して生成することができる。
1 カソード電極
2 カソード室
3 アノード電極
4 アノード室
5 固体電解質膜
6 カソード室に接続された溶液供給ライン
7 アノード室に接続された溶液供給ライン
8 カソード室に接続された溶液排出ライン
9 アノード室に接続された溶液排出ライン
10 第1貯留槽
11 第2貯留槽
12 第1送液手段
13 第2送液手段
14 第1再生処理用ライン
15 第2再生処理用ライン
16 第3再生処理用ライン
17 第4再生処理用ライン
18 開閉手段制御機構
19 第3送液手段
20 第4送液手段
21 第1再生処理用ライン用開閉手段
22 第2再生処理用ライン用開閉手段
23 第3再生処理用ライン用開閉手段
24 第4再生処理用ライン用開閉手段
25 第1ライン切り替え手段
26 第2ライン切り替え手段
27 第3ライン切り替え手段
28 第4ライン切り替え手段
29 ライン切り替え手段制御機構
30 外部電源機構
31 第3貯留槽
32 第4貯留槽

Claims (16)

  1. 二酸化炭素を含む排ガスを電解還元してギ酸を生成するためのフローセル型電解反応装置であって、
    カソード電極、及びカソード電極を収容するカソード室を有し、
    アノード電極、及びアノード電極を収容するアノード室を有し、
    カソード電極がホウ素をドープした導電性ダイヤモンド電極であり、
    カソード室とアノード室とを仕切る固体電解質膜を有し、
    カソード室に接続された溶液供給ラインを有し、
    カソード室に接続された溶液排出ラインを有し、
    アノード室に接続された溶液供給ラインを有し、
    アノード室に接続された溶液排出ラインを有し、
    第1貯留槽及び第2貯留槽を有し、
    第1貯留槽は、カソード室に接続された溶液供給ライン及びカソード室に接続された溶液排出ラインを介して、カソード室と連通しており、
    第2貯留槽は、アノード室に接続された溶液供給ライン及びアノード室に接続された溶液排出ラインを介して、アノード室と連通しており、
    カソード室と連通している第1貯留槽の溶液を循環させる第1送液手段、及び
    アノード室と連通している第2貯留槽の溶液を循環させる第2送液手段を有し、
    さらに電極再生処理用の連通切り替え手段を有し、
    該連通切り替え手段は、電解還元時の第1貯留槽とカソード室との連通を、再生処理時には第1貯留槽とアノード室との連通に切り替えるものであり、
    電解還元時の第2貯留槽とアノード室との連通を、再生処理時には第2貯留槽とカソード室との連通に切り替えるものである、
    前記装置。
  2. 連通切り替え手段が、第1〜第4の再生処理用ライン、開閉手段制御機構、並びに第3送液手段及び第4送液手段を有し、
    第1再生処理用ラインは第1貯留槽とアノード室とを連通させることができるものであり、
    第2再生処理用ラインは第2貯留槽とカソード室とを連通させることができるものであり、
    第3再生処理用ラインはアノード室と第1貯留槽とを連通させることができるものであり、
    第4再生処理用ラインはカソード室と第2貯留槽とを連通させることができるものであり、
    該第1〜第4の再生処理用ラインは、それぞれ開閉手段を有し、並びに
    開閉手段制御機構は
    電解還元時には、
    第1貯留槽の溶液がカソード室に供給された後、カソード室から第1貯留槽へと循環し、第2貯留槽の溶液がアノード室に供給された後、アノード室から第2貯留槽へと循環するよう、該第1〜第4の再生処理用ラインの開閉手段を制御し、
    再生処理時には、
    第1貯留槽の溶液がアノード室に供給された後、アノード室から第1貯留槽へと循環し、第2貯留槽の溶液がカソード室に供給された後、カソード室から第2貯留槽へと循環するよう、該第1〜第4の再生処理用ラインの開閉手段を制御するものであり、
    第3送液手段は再生処理時にアノード室と連通している第1貯留槽の溶液を循環させるものであり、
    第4送液手段は再生処理時にカソード室と連通している第2貯留槽の溶液を循環させるものである、
    請求項1に記載の装置。
  3. 連通切り替え手段が、第1〜第4の再生処理用ライン、第1〜第4のライン切り替え手段及びライン切り替え手段制御機構を有し、
    第1再生処理用ラインは第1貯留槽とアノード室とを連通させることができるものであり、
    第2再生処理用ラインは第2貯留槽とカソード室とを連通させることができるものであり、
    第3再生処理用ラインはカソード室と第2貯留槽とを連通させることができるものであり、
    第4再生処理用ラインはアノード室と第1貯留槽とを連通させることができるものであり、
    第1ライン切り替え手段は、カソード室に接続された溶液供給ラインに配置され、第1貯留槽からの、電解還元時のカソード室への送液と再生処理時の第1再生処理用ラインを介したアノード室への送液とを切り替えることができ、
    第2ライン切り替え手段は、アノード室に接続された溶液供給ラインに配置され、第2貯留槽からの、電解還元時のアノード室への送液と再生処理時の第2再生処理用ラインを介したカソード室への送液とを切り替えることができ、
    第3ライン切り替え手段は、カソード室に接続された溶液排出ラインに配置され、カソード室からの、電解還元時の第1貯留槽への排出と再生処理時の第3再生処理用ラインを介した第2貯留槽への排出とを切り替えることができ、
    第4ライン切り替え手段は、アノード室に接続された溶液排出ラインに配置され、アノード室からの、電解還元時の第2貯留槽への排出と再生処理時の第4再生処理用ラインを介した第1貯留槽への排出とを切り替えることができ、
    ライン切り替え手段制御機構は、
    電解還元時には、
    第1貯留槽の溶液がカソード室に供給された後、カソード室から第1貯留槽へと循環し、第2貯留槽の溶液がアノード室に供給された後、アノード室から第2貯留槽へと循環するよう、該第1〜第4のライン切り替え手段を制御し、
    再生処理時には、
    第1貯留槽の溶液がアノード室に供給された後、アノード室から第1貯留槽へと循環し、第2貯留槽の溶液がカソード室に供給された後、カソード室から第2貯留槽へと循環するよう、該第1〜第4ライン切り替え手段を制御するものであり、
    第1送液手段は電解還元時にはカソード室と連通している第1貯留槽の溶液を循環させ、再生処理時にはアノード室と連通している第1貯留槽の溶液を循環させ、
    第2送液手段は電解還元時にはアノード室と連通している第2貯留槽の溶液を循環させ、再生処理時にはカソード室と連通している第2貯留槽の溶液を循環させるものである、
    請求項1に記載の装置。
  4. 第1のライン切り替え手段と第2のライン切り替え手段とが一体型となった第1クロスバルブであり、
    第3のライン切り替え手段と第4のライン切り替え手段とが一体型となった第2クロスバルブであり、
    ライン切り替え手段制御機構が第1クロスバルブ及び第2クロスバルブの切り替えを制御する、請求項3に記載の装置。
  5. さらに、電極再生処理用の連通切り替え手段、第3貯留槽及び第4貯留槽を有し、
    第3貯留槽は再生処理時にカソード室に循環させる溶液を貯留するためのものであり、
    第4貯留槽は再生処理時にアノード室に循環させる溶液を貯留するためのものであり、
    該電極再生処理用の連通切り替え手段は、電解還元時の第1貯留槽とカソード室との連通を、再生処理時には第1貯留槽とアノード室との連通ではなくそれに代えて第3貯留槽とカソード室との連通に切り替え、かつ、第1貯留槽とカソード室とが連通しないようにするものであり、電解還元時の第2貯留槽とアノード室との連通を、再生処理時には第2貯留槽とカソード室との連通ではなくそれに代えて第4貯留槽とアノード室との連通に切り替え、かつ、第2貯留槽とアノード室とが連通しないようにするものであさらに、
    電極再生処理用の連通切り替え手段が、第1〜第4の再生処理用ライン、開閉手段制御機構、及び第3送液手段及び第4送液手段を有し、
    第1再生処理用ラインは第3貯留槽とカソード室とを連通させることができるものであり、
    第2再生処理用ラインは第4貯留槽とアノード室とを連通させることができるものであり、
    第3再生処理用ラインはカソード室と第3貯留槽とを連通させることができるものであり、
    第4再生処理用ラインはアノード室と第4貯留槽とを連通させることができるものであり、
    該第1〜第4の再生処理用ラインは、それぞれ開閉手段を有し、並びに
    開閉手段制御機構は
    電解還元時には、
    第1貯留槽の溶液がカソード室に供給された後、カソード室から第1貯留槽へと循環し、第2貯留槽の溶液がアノード室に供給された後、アノード室から第2貯留槽へと循環するよう、該第1〜第4の再生処理用ラインの開閉手段を制御し、
    再生処理時には、
    第3貯留槽の溶液がカソード室に供給された後、カソード室から第3貯留槽へと循環し、第4貯留槽の溶液がアノード室に供給された後、アノード室から第4貯留槽へと循環するよう、該第1〜第4の再生処理用ラインの開閉手段を制御するものであり、
    第3送液手段は再生処理時にカソード室と連通している第3貯留槽の溶液を循環させるものであり、
    第4送液手段は再生処理時にアノード室と連通している第4貯留槽の溶液を循環させるものである、
    請求項1に記載の装置
  6. さらに、電極再生処理用の連通切り替え手段、第3貯留槽及び第4貯留槽を有し、
    第3貯留槽は再生処理時にカソード室に循環させる溶液を貯留するためのものであり、
    第4貯留槽は再生処理時にアノード室に循環させる溶液を貯留するためのものであり、
    該電極再生処理用の連通切り替え手段は、電解還元時の第1貯留槽とカソード室との連通を、再生処理時には第1貯留槽とアノード室との連通ではなくそれに代えて第3貯留槽とカソード室との連通に切り替え、かつ、第1貯留槽とカソード室とが連通しないようにするものであり、電解還元時の第2貯留槽とアノード室との連通を、再生処理時には第2貯留槽とカソード室との連通ではなくそれに代えて第4貯留槽とアノード室との連通に切り替え、かつ、第2貯留槽とアノード室とが連通しないようにするものであり、さらに、
    電極再生処理用の連通切り替え手段が、第1〜第4の再生処理用ライン、第1〜第4のライン切り替え手段及びライン切り替え手段制御機構を有し、
    第1再生処理用ラインは第3貯留槽とカソード室とを連通させることができるものであり、
    第2再生処理用ラインは第4貯留槽とアノード室とを連通させることができるものであり、
    第3再生処理用ラインはカソード室と第3貯留槽とを連通させることができるものであり、
    第4再生処理用ラインはアノード室と第4貯留槽とを連通させることができるものであり、
    第1ライン切り替え手段は、カソード室に接続された溶液供給ラインに配置され、電解還元時の第1貯留槽からのカソード室への送液と再生処理時の第3貯留槽からの第1再生処理用ラインを介したカソード室への送液とを切り替えることができ、
    第2ライン切り替え手段は、アノード室に接続された溶液供給ラインに配置され、電解還元時の第2貯留槽からのアノード室への送液と再生処理時の第4貯留槽からの第2再生処理用ラインを介したアノード室への送液とを切り替えることができ、
    第3ライン切り替え手段は、カソード室に接続された溶液排出ラインに配置され、カソード室からの、電解還元時の第1貯留槽への排出と再生処理時の第3再生処理用ラインを介した第3貯留槽への排出とを切り替えることができ、
    第4ライン切り替え手段は、アノード室に接続された溶液排出ラインに配置され、アノード室からの、電解還元時の第2貯留槽への排出と再生処理時の第4再生処理用ラインを介した第4貯留槽への排出とを切り替えることができ、
    ライン切り替え手段制御機構は、
    電解還元時には、
    第1貯留槽の溶液がカソード室に供給された後、カソード室から第1貯留槽へと循環し、第2貯留槽の溶液がアノード室に供給された後、アノード室から第2貯留槽へと循環するよう、該第1〜第4のライン切り替え手段を制御し、
    再生処理時には、
    第3貯留槽の溶液がカソード室に供給された後、カソード室から第3貯留槽へと循環し、第4貯留槽の溶液がアノード室に供給された後、アノード室から第4貯留槽へと循環するよう、該第1〜第4ライン切り替え手段を制御するものであり、
    第1送液手段は電解還元時にはカソード室と連通している第1貯留槽の溶液を循環させ、再生処理時にはカソード室と連通している第3貯留槽の溶液を循環させ、
    第2送液手段は電解還元時にはアノード室と連通している第2貯留槽の溶液を循環させ、再生処理時にはアノード室と連通している第4貯留槽の溶液を循環させるものである、
    請求項に記載の装置。
  7. 第1のライン切り替え手段と第3のライン切り替え手段とが一体型となった第1クロスバルブであり、
    第2のライン切り替え手段と第4のライン切り替え手段とが一体型となった第2クロスバルブであり、
    ライン切り替え手段制御機構が第1クロスバルブ及び第2クロスバルブの切り替えを制御する、請求項に記載の装置。
  8. さらに通液線速度を測定するための流量計及び通液線速度制御機構を備えた、請求項1〜のいずれか1項に記載の装置。
  9. 送液手段及び通液線速度制御機構が、カソード室への通液線速度及び/又はアノード室への通液線速度を10〜1,000m/hとすることができるものである、請求項に記載の装置。
  10. 外部電源機構、及び再生処理時に電流の極性を反転させる制御機構を備えた、請求項1〜のいずれか1項に記載の装置。
  11. 外部電源機構が、±2〜±200mA/cm2の電流密度を電極に供給することができるものである、請求項10に記載の装置。
  12. 第1貯留槽がさらに、排ガスをバブリングする手段を備えている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置。
  13. 第4貯留槽を有する請求項5〜のいずれか1項に記載の装置において、該第4貯留槽がさらに、排ガスをバブリングする手段を備えており、かつ、第1貯留槽がさらに、排ガスをバブリングする手段を備えている、請求項5〜のいずれか1項に記載の装置。
  14. アノード電極がホウ素をドープした導電性ダイヤモンド電極又は金属電極である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置。
  15. (i)カソード電極の導電性ダイヤモンドのホウ素のドープ量が0.01% (w/w)〜5%(w/w)である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置、
    (ii)アノード電極が導電性ダイヤモンド電極でありアノードの導電性ダイヤモンドのホウ素のドープ量が0.01%(w/w)〜5%(w/w)である、請求項14に記載の装置、又は
    (iii)カソード電極の導電性ダイヤモンドのホウ素のドープ量が0.01%(w/w)〜5%(w/w)であり、かつ、アノード電極が導電性ダイヤモンド電極でありアノードの導電性ダイヤモンドのホウ素のドープ量が0.01%(w/w)〜5%(w/w)である、カソード電極及びアノード電極を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の装置を用いる排ガスの電解還元方法。
JP2017088892A 2017-04-27 2017-04-27 排ガスを電解還元して有価物を回収する装置及び方法 Active JP6879549B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017088892A JP6879549B2 (ja) 2017-04-27 2017-04-27 排ガスを電解還元して有価物を回収する装置及び方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017088892A JP6879549B2 (ja) 2017-04-27 2017-04-27 排ガスを電解還元して有価物を回収する装置及び方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018184655A JP2018184655A (ja) 2018-11-22
JP6879549B2 true JP6879549B2 (ja) 2021-06-02

Family

ID=64355528

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017088892A Active JP6879549B2 (ja) 2017-04-27 2017-04-27 排ガスを電解還元して有価物を回収する装置及び方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6879549B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2019401616A1 (en) * 2018-12-18 2021-07-22 Twelve Benefit Corporation Electrolyzer and method of use
JP2022143980A (ja) 2021-03-18 2022-10-03 株式会社東芝 炭素化合物製造システムおよび炭素化合物制御システムの制御方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010000600A1 (de) * 2008-06-30 2010-01-07 Basf Se Verfahren zur elektrochemischen direktaminierung von kohlenwasserstoffen
JP5544181B2 (ja) * 2010-01-29 2014-07-09 公立大学法人 滋賀県立大学 オゾン微細気泡の電解合成方法
JP5368340B2 (ja) * 2010-02-25 2013-12-18 株式会社神戸製鋼所 二酸化炭素の電解還元装置
JP2013189694A (ja) * 2012-03-15 2013-09-26 Satoshi Kaneko 銅を利用した環境修復方法
JP6042749B2 (ja) * 2013-02-28 2016-12-14 株式会社神戸製鋼所 ダイヤモンド電極を用いる電気化学的還元装置
DE102015202117A1 (de) * 2015-02-06 2016-08-11 Siemens Aktiengesellschaft Verfahren und Elektrolysesystem zur Kohlenstoffdioxid-Verwertung
DE102015212504A1 (de) * 2015-07-03 2017-01-05 Siemens Aktiengesellschaft Elektrolysesystem und Reduktionsverfahren zur elektrochemischen Kohlenstoffdioxid-Verwertung, Alkalicarbonat- und Alkalihydrogencarbonaterzeugung

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018184655A (ja) 2018-11-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Wen et al. Continuous CO2 electrolysis using a CO2 exsolution-induced flow cell
Lim et al. Electrochemically deposited Sn catalysts with dense tips on a gas diffusion electrode for electrochemical CO 2 reduction
Bloor et al. Low pH electrolytic water splitting using earth-abundant metastable catalysts that self-assemble in situ
Shinagawa et al. New insight into the hydrogen evolution reaction under buffered near-neutral pH conditions: Enthalpy and entropy of activation
JP2022515169A (ja) 電解反応により二酸化炭素(co2)をcoに変換する方法
JPH10314740A (ja) 酸性水製造用電解槽
CN107841760B (zh) 电化学还原co2制碳氢化合物的气体扩散电极制备方法
JP6879549B2 (ja) 排ガスを電解還元して有価物を回収する装置及び方法
CN109534457B (zh) 电解电极
AU2018232301A1 (en) Electrodes comprising metal introduced into a solid-state electrolyte
de Tacconi et al. Composite copper oxide–copper bromide films for the selective electroreduction of carbon dioxide
CN114293201A (zh) 一种用于电解水制氢的镍铁催化剂的制备方法
JP6840359B2 (ja) 導電性ダイヤモンド電極を用いたギ酸製造方法及び装置
Cheng et al. Comprehensive understanding and rational regulation of microenvironment for gas‐involving electrochemical reactions
Tarantseva et al. Catalytic Activity of Bimetallic Catalysts with a Heterogeneous Structure Based on Copper Foam, Graphene Oxide, and Silver in Alkaline Alcohol Electrolytes
JP6221067B2 (ja) ギ酸生成装置および方法
CN112520818B (zh) 一种用于废水中硝态氮还原的金属电极的制备方法及应用
CN115976592A (zh) 一种铁钴镍纳米材料、电解水制氢装置及其制备方法和应用
Brandon et al. Simultaneous recovery of Pb and PbO 2 from battery plant effluents. Part II
JP2015224392A (ja) 酸素脱分極電極およびこれらの製造プロセス
JP6200475B2 (ja) 二酸化炭素の電気化学的還元のためのシステムおよびその方法
AU2018232323B2 (en) Low solubility salts as an additive in gas diffusion electrodes for increasing the CO2 selectivity at high current densities
CN108385146B (zh) 在温和条件下制备暴露不同晶面AgO析氧催化剂膜材料的方法
KR102553793B1 (ko) 수소 발생 반응 촉매 전극, 이의 제조방법, 및 이를 이용한 수소 제조 방법
KR102343270B1 (ko) 막걸리 폐수 및 미생물 전기분해 전지를 이용한 수소 생산 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191213

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200827

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201006

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201130

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210119

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210303

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210330

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210422

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6879549

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150