<実施形態>
図1〜図19を参照して、本発明の実施形態のタイルカーペット解体システム1000(図1)を説明する。
[タイルカーペットT]
タイルカーペット解体システム1000によって解体されるタイルカーペットの一例は、図2(a)に示すような、平面視正方形のタイルカーペットTである。タイルカーペットTは、通常、オフィスや住居等の建物の床に敷き詰められて、躯体(オフィスビル等)の床面や、床面に設置されて配線用の空間を画成するフロアパネルの上面に接着剤により固定される。建物の改築や解体の際、あるいはタイルカーペットの劣化により交換が必要となった際などに、タイルカーペットTが床面からはく離され、タイルカーペット解体システム1000により解体されることになる。
タイルカーペットTは、図2(b)に示す通り、パイル層L1と、接着層(中間層)L2と、バッキング層(裏打ち層)L3とを含む3層構造を有する。
パイル層L1は、タイルカーペットTが床面に敷かれた状態において上側(表側)に位置する層であり、カーペット特有の風合いを有する。パイル層L1においては、パイル糸Pを基布Fに縫い付けて形成された逆U字状の多数の突起pが、タイルカーペットTの全面に渡って設けられている。多数の突起pの各々の高さ(パイル高さ)は、互いに略同一である。
パイル糸Pの材質は、一例としてポリプロピレン(PP)やポリアミド(PA)である。図2(b)においては、単一のパイル糸Pのみが描かれているが、実際のタイルカーペットにおいては多数のパイル糸によりパイル層L1が形成されている。
接着層(中間層)L2は、パイル層L1をバッキング層(裏打ち層)L3に固定するための層である。接着層L2においては、基布Fの、多数の突起pが形成された面とは反対側の面が、接着剤によりバッキング層L3に固定されている。
バッキング層L3は、タイルカーペットTが床面に敷かれた状態において下側(裏側)に位置する層であり、オフィスビル等の躯体の床面やフロアパネルに接着される層である。バッキング層L3は、一例としてポリ塩化ビニル(PVC)により形成されている。
タイルカーペットTは、図2(b)に示す通り、パイル層高さ(パイル高さ)h1、接着層高さh2、バッキング層高さh3、及びタイル高さHを有する。パイル層高さh1は、基布Fの上面から突起pの頂部までの高さである。接着層高さh2は、バッキング層L3の上面から基布Fの下面までの高さである。バッキング層高さh3は、バッキング層L3の下面から上面までの高さである。タイル高さHは、バッキング層L3の下面から突起pの頂部までの高さ、即ちタイルカーペットTの厚さである。タイル高さHはパイル層高さh1、接着層高さh2、及びバッキング層高さh3の合計に略等しい。
[タイルカーペット解体システム1000]
図1に示す通り、タイルカーペット解体システム1000は、コンベヤ(搬送コンベヤ)100、センサユニット200、除去装置(解体装置)310、320、330、340、バッキング層裁断ユニット400、及びこれらに接続された制御部CONTを主に備える。
センサユニット200、及び除去装置310、320、330、340は、コンベヤ100上に、コンベヤ100の搬送方向上流側から、この順番で配置されている。バッキング層裁断ユニット400はコンベヤ100の搬送方向下流側に設置されている。
タイルカーペット解体システム1000、及びタイルカーペット解体システム1000を構成する各装置に関する以下の説明においては、上流側、下流側という文言は、特に説明のない場合はコンベヤ100及びバッキング層裁断ユニット400における搬送方向の上流側、下流側を意味する。また、搬送方向に直交する水平方向を直交方向と呼び、搬送方向の上流側から下流側を見た際の右側、左側を直交方向の右側、左側と呼ぶ。搬送方向及び直交方向に直交する方向が上下方向である。
[コンベヤ100]
コンベヤ(搬送コンベヤ)100は、解体対象のタイルカーペットTに対して所定の処理が順次行われるように、タイルカーペットTを搬送方向に沿って搬送する。
図1に示す通り、コンベヤ100は主に、搬送方向に延在するフレーム101、フレーム101の上流側端部に設けられた一対の上流側スプロケット102、フレーム101の下流側端部に設けられた一対の下流側スプロケット103、及び一対の上流側スプロケット102と一対の下流側スプロケット103との間に掛け渡された一対のコンベヤチェーン104を含む。
フレーム101は、図3(a)に示す通り、直交方向に離間して対向する一対の側板101sと、直交方向に延びて一対の側板101sを連結する複数の連結部材101cとを含む。一対の側板101sの各々は搬送方向に延びる長手の板状部材であり、長手方向の両端部の近傍に支持脚105が固定されている。一対の側板101sの各々の外面の、支持脚105に挟まれる領域には、上縁及び下縁に沿って搬送方向に延びる一対の補強梁101eが固定されている。
一対の上流側スプロケット102は、直交方向に離間して軸102Aにより連結されている。軸102Aは、一対の側板101sの上流側端部近傍において、一対の側板101sに回動可能に支持されている。同様に、一対の下流側スプロケット103は、直交方向に離間して軸103Aにより連結されている。軸103Aは、一対の側板101sの下流側端部近傍において、一対の側板101sに回動可能に支持されている。
上流側スプロケット102の下方にはモータ(不図示)が設けられている。このモータは、上流側スプロケット102を回動させるように、チェーンやギア等を含む不図示の動力伝達系を介して上流側スプロケット102に接続されている。
一対のコンベヤチェーン104は、各々が上流側スプロケット102と下流側スプロケット103との間に掛け渡された状態で、直交方向に離間している。コンベヤ100の上側において搬送方向に延びるコンベヤチェーン104の下方には、側板101sから庇状に内側に突出した板部101p(図4)が位置している。板部101pは、コンベヤチェーン104を下から支えることにより、コンベヤチェーン104のたわみを防止している。
コンベヤチェーン104を構成する複数のチェーン要素104eの各々には、図3(a)内の拡大図に示す通り、チェーン要素104eの上縁から直交方向内側に突出する平板状の取付部104aが固定されている。直交方向に並ぶ一対のチェーン要素104eの各対の間には、取付部104aを介して、搬送用プレートTPが架設されている。
搬送用プレートTPの各々は、ステンレス等の金属により形成された、直交方向を長手方向とし搬送方向を短手方向とする矩形の板材である。搬送用プレートTPは、直交方向の一端部において一対のコンベヤチェーン104の一方の取付部104aに固定されており、他端部において一対のコンベヤチェーン104の他方の取付部104aに固定されている。
搬送用プレートTPの各々の上面には、搬送用プレートTPと同一の平面視形状を有する樹脂プレート(載置部、載置板)RPが固定されている。樹脂プレートRPの各々は、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)により形成されている。樹脂プレートRPは、搬送用プレートTPに位置合わせされて搬送用プレートTPの上面全域を覆った状態で、樹脂プレートRPの四隅の近傍に設けられた貫通孔を介して、搬送用プレートTPにねじ止めされている。
なお、本明細書及び本発明において、超高分子量ポリエチレンとは、分子量が100万以上のポリエチレンを意味する。本実施形態における超高分子量ポリエチレンは、分子量が100万以上のポリエチレンであってよいが、分子量が400万以上のポリエチレンであることが更に好ましい。
搬送方向に並ぶ複数の樹脂プレートRPの上面により、コンベヤ100の搬送面TSが形成される。搬送面TSにおいては、搬送方向に隣接する樹脂プレートRPの間に、隙間gが画成されている。隙間gの大きさは一例として1〜3mm程度、樹脂プレートRPの搬送方向の寸法Dは一例として120〜130mm程度とし得る。隙間gの大きさは、寸法Dに対して0.01D〜0.03D程度とし得る。
なお、図3(a)においては、図面の煩雑化を避けるため、搬送用プレートTP及び樹脂プレートRPは、搬送方向の一部の領域のみにおいて点線で示している。
[センサユニット200]
センサユニット200は、解体対象のタイルカーペットTの側面情報(側面画像)を取得し、当該側面情報に含まれる高さ情報、即ち、パイル高さh1、接着層高さh2、バッキング層高さh3、及びタイル高さHを取得するユニットである。
センサユニット200は、図4に示す通り、コンベヤ100のフレーム101に固定された支持アーム201と、支持アーム201によって支持されたセンサ本体202及び照明装置203を主に有する。
支持アーム201は、略L字状に屈曲した長手部材であり、下端部がフレーム101の補強梁101eに固定されている。
センサ本体202は、検出対象物(ここではタイルカーペットT)の画像を撮像するカメラ202cと、カメラ202cにより撮像された画像を処理することにより所望の情報(ここでは高さ情報)を取得するプロセッサ202pとを含む画像センサである。
センサ本体202は、カメラ202cの光軸が直交方向に水平に延びて載置面TSの上を通るような位置及び姿勢で、支持アーム201に固定されている。このように配置することにより、カメラ202cは、コンベヤ100の搬送面TSに載置されたタイルカーペットTの側面を撮像することができる。また、センサ本体202は、制御装置CONTに接続されており、プロセッサ202pが取得した高さ情報を制御装置CONTに送ることが出来る。
照明装置203は、カメラ202cによる検出対象物の撮像が良好に行われるよう、検出対象物を照明する。照明装置203は、コンベヤ100の搬送面TSに載置されたタイルカーペットTの側面を照明し得る態様で、支持アーム201の上端近傍に固定されている。照明装置203は、具体的には例えば白色LED照明装置とし得る。
[除去装置310〜340の構造]
除去装置310〜340の内、除去装置310、320はタイルカーペットTのパイル層L1を切削により除去し、除去装置330、340はタイルカーペットTの接着層L2を切削により除去する。
除去装置310〜340は互いに同一の構造を有するため、以下では除去装置310について説明する。
除去装置310は、図1に示す通り、可動フレーム10、回転カッター20、押さえ機構30、送り機構40、40’、吸引機構50、及び回転カッター冷却機構60を主に備える。
[可動フレーム10]
可動フレーム10は、回転カッター20を上下移動可能に支持する機構である。
可動フレーム10は、図5、図6に示す通り、コンベヤ100のフレーム101に固定された4本の支柱11と、4本の支柱11により支持された天板12と、4本の支柱11に沿って上下方向に移動する移動筐体13と、移動筐体13を上下方向に移動させる移動機構14とを含む。
4本の支柱11は、コンベヤ100の直交方向の両側に2本ずつ、搬送方向に並んで配置されている。4本の支柱の各々は直線状の円管であり、下端部がコンベヤ100のフレーム101に固定されている。なお、図6においては、図面の煩雑化を避けるため各支柱11の中心軸のみを描いている。
天板12は、4本の支柱11により支持されて、コンベヤ100を直交方向に跨いで水平に配置されている。天板12は、直交方向を長手方向とし搬送方向を短手方向とする矩形の板状部材であり、四隅の近傍に4本の支柱11の上端部がそれぞれ固定されている。天板12の中央部には貫通孔12h1が設けられており、貫通孔12h1の近傍には貫通孔12h2が設けられている。
移動筐体13は、周壁131と、周壁131の上縁に固定された天板132とを含む。
周壁131は、一対の側壁131sと、一対の側壁131sの前端を直交方向に繋ぐ前壁131fと、一対の側壁131sの後端を直交方向に繋ぐ後壁131rとを含む。
一対の側壁131sの各々は、搬送方向を長手方向とし上下方向を短手方向とする略矩形の板状部材であり、搬送方向の略中央部に下方に突出した凸部131s1が設けられている。一対の側壁131sの各々の搬送方向の中央には、貫通孔131sh(図5参照。図6では図面煩雑化を避けるため図示省略)が設けられている。
前壁131f及び後壁131rは、直交方向を長手方向とし上下方向を短手方向とする矩形の板状部材である。前壁131fには、直交方向を長手方向とし上下方向を短手方向とする矩形の開口131faが設けられている。
天板132は、直交方向を長手方向とし搬送方向を短手方向とする板状部材である。天板132の直交方向の寸法は直交方向に対向する一対の側壁131sの外面間の距離よりも大きく、天板132の搬送方向の寸法は搬送方向に対向する前壁131fと後壁131rの外面間の距離よりも大きい。そのため周壁131に天板132が固定された状態においては、天板132の外縁近傍の領域が、周壁131の直交方向両側及び搬送方向両側に突出する。この突出部を庇領域132eと呼ぶ。
天板132の四隅の近傍にはそれぞれ、円形の貫通孔132hが設けられている。4つの貫通孔132hはいずれも庇領域132eに設けられている。4つの貫通孔132h1の各々には、4本の支柱11の各々が挿入されている。
天板132の左側の短辺の中央部には、切欠き132nが設けられている。切欠き132nは、庇領域132eに設けられている。
移動機構14は、ボールねじ移動部材141と、ボールねじ142と、サーボモータ143と、サーボモータ143の出力軸143aに固定されたプーリ144と、ボールねじ移動部材141とプーリ144との間に掛け渡されたベルト145とを主に含む。
ボールねじ移動部材141は、第1円環部R1、第2円環部R2、第3円環部R3を同軸状に接続した形状を有し、中心軸に沿って、第1円環部R1、第2円環部R2、第3円環部R3を貫通する雌ねじfsが形成されている。
第1円環部R1は天板12の上側に、第2円環部R2は天板12の貫通孔12h1内に、第3円環部R3は天板12の下側に、それぞれ位置している。第2円環部R2の外周面と貫通孔12h1の内周面との間には、不図示のベアリングが配置されている。
第1円環部R1の外径及び第3円環部R3の外径は、貫通孔12h1の内径より大きい。そのためボールねじ移動部材141は、天板12に対して、回動のみが可能であり、上下方向に移動することはできない。
ボールねじ142の下端は、移動筐体13の天板132の上面中央に固定されている。ボールねじ142の上端は、ボールねじ移動部材141の雌ねじfsにねじ込まれている。
サーボモータ143は、天板12の上面に設けられている。サーボモータ143の出力軸143aは、垂直下方に延びて天板12の貫通孔12h2を通過している。出力軸143aには、天板12の下側においてプーリ144が固定されている。
サーボモータ143は制御装置CONTに接続されており、出力軸143aの回転量が制御装置CONTにより精密に制御される。出力軸143aの回転量は、サーボモータ143に内蔵された回転位置検出器(エンコーダ)により検出され、制御装置CONTに送られる。
ベルト145は、ボールねじ移動部材141の第3円環部R3の外周面と、プーリ144との間に掛け渡されている。
サーボモータ143の出力軸143aが制御装置CONTに制御されて回転すると、プーリ144、ベルト145を介してボールねじ移動部材141が回転する。これにより、ボールねじ142が上下方向に移動し、移動筐体13及び回転カッター20が上下方向に移動する。制御装置CONTはサーボモータ143の出力軸143aの回転量を精密に制御することが可能であり、ひいては回転カッター20の上下方向の位置を精密に制御することが可能である。回転カッター20の上下位置の位置決め分解能は、一例として0.02mm〜0.05mm程度である。
[回転カッター20]
回転カッター20は、コンベヤ100の搬送面TSに載置されたタイルカーペットTの表面(ここではパイル層L1)を切削するカッターである。
回転カッター20は回転軸20Aに固定されている(図7(a))。回転軸20Aは、移動筐体13の一対の側壁131sに設けられた一対の貫通孔131shに回動自在に支持されて、直交方向に延びている。一対の貫通孔131shの各々と回転軸20Aとの間には不図示のベアリングが配置されている。
回転カッター20は、図7(a)に示す通り、9個の回転刃21と、8個のスペーサ22とを含む。9個の回転刃21と8個のスペーサ22とは回転軸20Aに沿って交互に配置されており、隣接する2個の回転刃21の間に1個のスペーサ22が設けられている。
9個の回転刃21の各々は、図8に示す通り、円環状の本体部211と、本体部211の外周に沿って等間隔で設けられた12個の支持台212と、支持台212の各々に固定されたチップ213とを含む。
支持台212は、回転カッター20の回転方向の前側を向く前面212fと、回転カッター20の径方向外側を向く頂面212tと、回転カッター20の回転方向の後側を向く後面212rとを有する側面視略台形の凸部である。
チップ213は略直方体であり、12個の稜線のうちの1つが切れ刃213eである。チップ213は、切れ刃213eが回転方向前側且つ径方向外側において回転カッター20の回転軸の方向に延びるように、支持台212の前面212fにボルト等により固定されている。
8個のスペーサ22の各々は、円環形状を有する。スペーサ22の厚さは、回転刃21の本体部211の厚さよりもわずかに小さい。スペーサ22の外径は、回転刃21の本体部211の外径よりも小さい。
9個の回転刃21及び8個のスペーサ22は、それぞれ、回転軸20Aに同軸状に固定されている。なお切削負荷(切断抵抗)を回転カッター20の周方向に分散させるため、9個の回転刃21は、各々の有するチップ213の位置が周方向において異なるよう、互いに対して周方向にシフトした位置で回転軸20Aに固定されている。
回転カッター20を駆動するためのモータMは、移動筐体13の天板132の上面に設置されている(図5、図6)。モータMは、モータMの出力軸Maが直交方向に延びて天板132の切欠き132nの上方に位置するように、天板132の直交方向の左端近傍に配置されている。
回転カッター20とモータMとは、回転軸20Aの直交方向左側に位置する端部に固定された第1プーリPL1、モータMの出力軸Maに固定された第2プーリPL2、及び第1、第2プーリPL1、PL2に掛け渡されたベルトBL(図6では図示省略)により接続されている。ベルトBLは、天板132の切欠き132nを通る。
[押さえ機構30]
押さえ機構30は、回転カッター20がタイルカーペットTのパイル層L1を切削する際に、タイルカーペットTの浮き上がりや位置ずれ、回転カッター20への巻き付きを防止すべく、タイルカーペットTを搬送面TSに押し付ける機構である。押さえ機構30は、回転カッター20の下方に設けられている。
押さえ機構30は、押さえ部材31と、押さえ部材31を上下移動可能に支持する支持機構(押さえ部材位置調整機構)32とを含む。
図6に示す通り、押さえ部材31は略直方体であり、一例として例えば超高分子量ポリエチレン等の樹脂で形成されている。押さえ部材31の上面の略全域に凹部31rが設けられている。凹部31rの内部には、回転カッター20の下部と、移動筐体13の下端部が収容される。
図9(a)に示す通り、凹部31rは、平面視においては直交方向を長手方向とする矩形である。凹部31r内には、9か所の回転刃収容領域31r1と8か所のスペーサ収容領域31r2とが直交方向に交互に設けられている。また、直交方向の両端部に位置する回転刃収容領域31r1の外側には、筐体収容領域31r3が設けられている。
押さえ部材31が回転カッター20の下方に配置された状態において、回転刃収容領域31r1は、回転カッター20の回転刃21の下方に位置する。そのため、回転刃収容領域31r1には、回転カッター20の回転刃21の下部が収容される。
押さえ部材31が回転カッター20の下方に配置された状態において、スペーサ収容領域31r2は、回転カッター20のスペーサ22の下方に位置する。そのため、スペーサ収容領域31r2には、回転カッター20のスペーサ22の下部が収容される。
押さえ部材31が回転カッター20の下方に配置された状態において、筐体収容領域31r3は、移動筐体13の側壁131sの下方に位置する。そのため、筐体収容領域31r3には、移動筐体13の側壁131sの下部が収容される。
凹部31rは、回転刃収容領域31r1においては、図9(b)に示す断面図の通り、一対の円弧状の底面b1と、底面b1の間に設けられた貫通部thを有する。凹部31rに回転カッター20の下部が収容された状態においては、カッター20の切れ刃213eが、貫通部thを介して、押さえ部材31の下方に突出する。
凹部31rは、スペーサ収容領域31r2、筐体収容領域31r3においては、図9(c)、(d)に示す断面図の通り、円弧状の底面b2、b3を有する。凹部31rに回転カッター20の下部が収容された状態においては、カッター20のスペーサ22が底面b2に対向し、移動筐体13の側壁131sの下縁が底面b3に対向する。
図9(a)〜図9(d)に示す通り、押さえ部材31の直交方向の両端近傍を除く領域においては、前面及び後面に円弧面31cが設けられている。円弧面31cは、送り機構40、40’の送りローラ41(後述)と対向する。
図9(b)〜図9(d)に示す通り、押さえ部材31の直交方向の両端近傍を除く領域においては、下面31uの搬送方向両端部に、押さえ部材31の搬送方向中央部から離間するにしたがって上方に向かうテーパ面31tが形成されている。
押さえ部材31の、直交方向の両端部近傍には、それぞれ、搬送方向に並んで上下方向に延びる2つの貫通孔31hが設けられている。
支持機構(押さえ部材位置調整機構)32は、4本の支柱(案内部材)321と、2つの止め板(抜け止め部)322と、4つのコイルばね(付勢部材)323とを含む。
4本の支柱321は、コンベヤ100の直交方向両側に2本ずつ、搬送方向に並んで設けられている。4本の支柱321の各々は直線状の丸棒であり、下端部において補強梁101eの上面に固定されて、上下方向に延びている。4本の支柱321はそれぞれ、押さえ部材31の貫通孔31hに挿入されている。
2つの止め板322の各々は、搬送方向を長手方向とし直交方向を短手方向とする平板であり、搬送方向に並ぶ2本の支柱321の上端に固定されている。
4つのコイルばね323の各々は、4本の支柱321の各々を囲んで配置されており、上端部において止め板322に接続され、下端部において押さえ部材31に接続されている。
以上の構成により、支持機構32が押さえ部材31を、止め板322及びコイルバネ323を介して上下移動可能に懸垂した状態で支持する。コイルバネ323の各々は、押さえ部材31に重力のみが作用する場合(即ち押さえ部材31がタイルカーペットTに当接していない場合)に、押さえ部材31の下面31uと搬送面TSとの間にわずかな隙間が画成されるような自然長及びばね定数を有する。
[切削チャンバCC]
可動フレーム10の移動筐体13と、押さえ機構30の押さえ部材31とにより切削チャンバCC(図5)が画成される。切削チャンバCCは、具体的には、天板132の下面を上面、周壁131の内面を側面、押さえ部材31の上面を下面とする、ほぼ閉じられた空間である。移動筐体13に支持された回転カッター20は、切削チャンバCCの内部に位置する。
移動筐体13の前壁131fに設けられた開口131faには、屑排出ダクトDTの一端が接続されている。屑排出ダクトDTの他端には吸気装置AINが接続されている。開口131fa及び屑排出ダクトDTは、図6では図示を省略している。
[回転カッター冷却機構60]
回転カッター冷却機構60は、回転カッター20に冷気を噴きつけて回転カッター20を冷却する機構である。回転カッター冷却機構60は、移動筐体13に固定的に支持されて、切削チャンバCC内に配置されている。
図5に示す通り、回転カッター冷却機構60は、回転カッター20の回転方向においては、回転カッター20がタイルカーペットTを切削する位置(即ち、回転カッター20の下端)の後ろ側に設置されている。また回転カッター冷却機構60は、搬送方向においては、回転カッター20がタイルカーペットTを切削する位置の下流側に設置されている。
回転カッター冷却機構60は、4つのボルテックスチューブ(ジェットクーラー。ボルテックスクーラー)(冷気生成装置)61と、ボルテックスチューブ61から供給される冷気(低温空気)を回転カッター20の回転刃21の各々に向けて噴き付けるマニホールド62と、ボルテックスチューブ61への圧縮空気の供給及びボルテックスチューブ61からの熱気(高温空気)の回収を行う補助ユニット63とを有する。本実施形態及び本発明において「冷気」とは10℃以下の気体を意味する。
4つのボルテックスチューブ61の各々は、内部に供給された圧縮空気を冷気と熱気とに分離して噴き出す装置であり、市販の任意のボルテックスチューブを使用することができる。
4つのボルテックスチューブ61の各々は、円管状の本体部611、本体部611の一端に設けられた冷気噴出口612、本体部611の他端に設けられた熱気噴出口613、及び本体部611の外周面に設けられた圧縮空気供給口614を有する。
マニホールド62は、直交方向に延びる直線状且つ円管状の主管621と、主管621の外周面から主管621の径方向に延びる4つの供給管622と、主管621の外周面から主管621の径方向に延びる9つのノズル623とを含む。
本実施形態では、図7(b)に示す通り、ノズル623は主管621の中心軸の方向に沿って略等間隔で配置されている。また、供給管622は、主管621の一端から1つ目と2つ目のノズル623の間、3つ目と4つ目のノズル623の間、6つ目と7つ目のノズル623の間、8つ目と9つ目のノズル623の間に位置するように配置されている。
本実施形態では、図5に示す通り、4つの供給管622の各々と、9つのノズル623の各々とが、主管621の中心軸を含む単一の平面上に延びるように形成されている。
マニホールド62は、不図示のフレームを介して、主管621の中心軸が直交方向に一致するように、移動筐体13に固定されている。この状態において、9つのノズル623の各々は回転カッター20の径方向に沿って延び、9つのノズル623の先端が、9つの回転刃21の外周部にそれぞれ対向する。回転カッター20の径方向におけるノズル623の先端と回転刃21の外周部(切れ刃213e)との間の距離(離間距離)は、一例として、両者の周方向の位置が揃っている状態において10mm〜15mm程度とし得る。
マニホールド62の4つの供給管622は、4つのボルテックスチューブ61の冷気噴出口612にそれぞれ接続されている。
補助ユニット63は、圧縮空気を生成するコンプレッサ631と、コンプレッサ631で生成された圧縮空気を4つのボルテックスチューブ61の各々に送る圧縮空気供給路632と、ボルテックスチューブ61から排出される熱気を排出する熱気排出路633とを含む。
圧縮空気供給路632は、一端においてコンプレッサ631に接続されており、経路上で4つに分岐して、他端において4つのボルテックスチューブ61の圧縮空気供給口614に接続されている。圧縮空気供給路632は、移動筐体13の後壁131rに形成された4つの貫通孔(不図示)を通っている。
熱気排出路633は、一端が開口しており、経路上で4つに分岐して、他端において4つのボルテックスチューブ61の熱気排出口613に接続されている。熱気排出路633は、移動筐体13の後壁131rに形成された4つの貫通孔(不図示)を通っている。
[送り機構40、40’]
送り機構40は、搬送面TSに載置されて搬送されるタイルカーペットTを安定的に押さえ部材30の下方に送り込むための機構であり、送り機構40’は、押さえ部材30から下流側に送られるタイルカーペットTを安定的に押さえ部材30の下方から取り出すための機構である。送り機構40は押さえ機構30の搬送方向上流側に配置されており、送り機構40’は押さえ機構30の搬送方向下流側に配置されている。
送り機構40、40’は略同一の構成を有する。以下では主に送り機構40について説明し、送り機構40’については送り機構40との相違点のみを説明する。
送り機構40は、送りローラ41と、一対のローラ支持体42と、一対の可動支柱43と、2つのコイルバネ44を含む。
送りローラ41は、主に図5に示すように、搬送面TS上のタイルカーペットTの上面に当接して、タイルカーペットTを下流側に送るローラであり、押さえ部材31の上流側に、軸方向を直交方向に一致させて配置されている。送りローラ41の軸方向の寸法は、直交方向における搬送面TSの寸法よりもわずかに小さい。
一対のローラ支持体42は、送りローラ41の直交方向の両側に配置されており、不図示の回転軸を介して送りローラ41を支持している。また、直交方向右側に配置されたローラ支持体42には、送りローラ41を回動させるためのモータ(不図示)が接続されている。モータは、制御装置CONTにより制御されて、コンベヤ100の搬送速度に同期した速度で送りローラ41を回転させる。
一対の可動支柱43は、送りローラ41及びローラ支持体42を上下移動可能に支持する支柱である。一対の可動支柱43の各々は、下端部に大径のフランジ部43fを有する直線状の丸棒である。一対の可動支柱43の各々は、コンベヤ100の補強梁101eに設けられた貫通孔101ehを通って配置されており、上端近傍がローラ支持体42の前面に固定されている。
2つのコイルばね44の各々は、一対の可動支柱43の各々を囲んで配置されており、上端部において補強梁101eに接続され、下端部においてフランジ部43fに接続されている。
以上の構成により、送りローラ41は、搬送面TSの上方に、上下移動可能に支持される。コイルバネ44の各々は、送りローラ41に重力のみが作用する場合(即ち送りローラ41がタイルカーペットTに当接していない場合)に、送りローラ41と搬送面TSとの間にわずかな隙間が画成されるような自然長及びばね定数を有する。可動支柱43とコイルばね44とによりローラ位置調整機構が構成される。
送り機構40’は、可動支柱43がローラ支持体42の後面に固定されている点を除き、送り機構40と同一の構成を有する。
[吸引機構50]
吸引機構50は、回転カッター20がタイルカーペットTのパイル層L1を切削する際に、タイルカーペットTの浮き上がりや位置ずれ、回転カッター20への巻き付きを防止すべく、タイルカーペットTの下面を吸引して、タイルカーペットTを搬送面TS上に保持する機構である。
吸引機構50は、回転カッター20、押さえ部材31、及び一対の送りローラ41の下方において、搬送面TSの下側に配置されている(図18(c))。なお、本明細書及び本発明においては、吸引機構50が搬送面TSの下側に配置されるとは、吸引機構50のうちの、外気に接して周囲に負圧を与える部分が搬送面TSの下側に配置されることを意味する。吸引機構50を構成する一部の装置(後述する吸気装置523、送風装置524等)は、搬送面TSの下側とは異なる位置に配置され得る。
吸引機構50は、図10、図11(a)、図11(b)に示すように、チャンバ本体51と、吸気ユニット52(図11(a))と、屑排出コンベヤ53とを主に含む。
チャンバ本体51は、周壁511と、2つの仕切り壁512と、底板513(図11(b))とを含む槽状の構造体である。チャンバ本体51は、周壁511の上縁が搬送プレートTPの下面からわずかに離間した状態で配置されている。
周壁511は、一対の側壁511sと、一対の側壁511sの前端を直交方向に繋ぐ前壁511fと、一対の側壁511sの後端を直交方向に繋ぐ後壁511rとを含む。
一対の側壁511sの各々は、搬送方向を長手方向とし上下方向を短手方向とする矩形の板状部材である。直交方向左側の側壁511sには、搬送方向に並ぶ3つの貫通孔511shが設けられている。
直交方向左側の側壁511sの下辺近傍には、側壁511sを貫通し且つ搬送方向に延びるスリット511ssが設けられている。直交方向右側の側壁511sの内面には、スリット511ssに対応する位置に、搬送方向に延びる溝511sg(図11(a)、(b))が設けられている。
前壁511f及び後壁511rは、直交方向を長手方向とし上下方向を短手方向とする矩形の板状部材である。前壁511f及び後壁511rの内面には、直交方向に延びる溝511fg、511rgが設けられている(図11(a))。溝511fg、511rgは、一端においてスリット511ssに接続し、他端において溝511sgに接続している。
2つの仕切り壁512の各々は、直交方向を長手方向とし上下方向を短手方向とする矩形の板状部材である。2つの仕切り壁512の各々は、直交方向の両端において一対の側壁511sの内面に固定されており、これにより周壁511の内部が搬送方向に略三等分されている。
底板513は、直交方向を長手方向とし搬送方向を短手方向とする平板である。底板513は、直交方向左側の側壁511sのスリット511ss、直交方向右側の側壁511sの溝511sg、前壁511fの溝511fg、及び後壁511rの溝511rgにより構成されるガイドGに外周縁を支持された状態で周壁511の下端近傍に配置される。この状態において、底板513の上面は、2つの仕切り壁512の下辺に当接する。
周壁511の内側には、周壁511の内面と、2つの仕切り壁512と、底板513とにより、上方に開口した3つのチャンバが画成される。以下、搬送方向の上流側から順に、第1吸引チャンバSC1、第2吸引チャンバSC2、第3吸引チャンバSC3と呼ぶ。
第1吸引チャンバSC1〜第3吸引チャンバSC3は、直交方向においては搬送面TSの略全域に位置している。また搬送方向においては、概ね、第1吸引チャンバSC1が送り機構40の送りローラ41の下方に位置しており、第2吸引チャンバSC2が回転カッター20及び押さえ部材31の下方に位置しており、第3吸引チャンバSC3が送り機構40’の送りローラ41の下方に位置している(図18(c))。
吸気ユニット52は、3つの吸気ポート521と、3つの円筒フィルタ522と、吸気装置523と、送風装置524と、空気流路525とを主に含む。
3つの吸気ポート521は、それぞれ、チャンバ本体51の左側の側壁511sに設けられた3つの貫通孔511shに取り付けられている。3つの吸気ポート521の各々は略円筒形を有する。
円筒フィルタ522は一端が閉塞された円筒状のフィルタであり、3つの吸気ポート521に、開口された他端を介し且つ軸方向を直交方向に一致させて1つずつ取り付けられている。これにより、3つの円筒フィルタ522は、第1〜第3吸引チャンバSC1〜SC3の内部に1つずつ配置される。
吸気装置523は吸気ポート521を介して空気を吸引する装置、送風装置524は吸気ポート521から空気を噴出させる装置であり、いずれも、一例としてコンプレッサである。
空気流路525は、ホース、ダクト、蛇腹などの任意の構造とし得る。空気流路525は、3つの吸気ポート521に対して1つずつ設けられている。空気流路525は途中で分岐を有し、吸気ポート521を吸気装置523及び送風装置524の両方に繋いでいる。なお、吸気装置523、及び/又は送風装置524を、3つの吸気ポート521の各々に対して1つずつ設けても良い。
屑排出コンベヤ53は、チャンバ本体51から排出される切削屑(即ち、搬送面TSの隙間gを介してチャンバ本体51に流入したパイル層L1及び接着層L2の屑。詳細後述)を排出するコンベヤである。屑排出コンベヤ53は、チャンバ本体51の下方に設けられている。
屑排出コンベヤ53は主に、直交方向に延在するフレーム531、フレーム531の両端部に設けられた一対のローラ532、及び一対のローラ532に掛け渡されたベルト533を含む。一対のローラ532の一方には、ローラ532を回動させるためのモータ(不図示)が連結されている。
屑排出コンベヤ53の一対のローラ532間の距離は、チャンバ本体51の直交方向の寸法よりも大きく、ベルト533の幅(搬送方向の寸法)は、チャンバ本体51の搬送方向の寸法よりも大きい。そのため、チャンバ本体51の下方に屑排出コンベヤ53が設置された状態において、ベルト533は、第1吸気チャンバSC1の全域、第2吸気チャンバSC2の全域、及び第3吸気チャンバSC3の全域の下方に位置する。
[除去装置320〜340の配置]
除去装置320は、除去装置310の下流側に、除去装置310に対して直交方向にシフトした位置に設けられている。
除去装置320は、具体的には、直交方向において除去装置310の回転カッター20のスペーサ22が位置する位置に除去装置320の回転カッター20の回転刃21が位置するように、除去装置310に対して、直交方向に、スペーサ22の厚さ程度シフトした位置に設けられている。これにより、除去装置320は、タイルカーペットTのパイル層L1の内、除去装置310においてはスペーサ22の下方を通過したため除去されなかったパイル糸Pを除去することが出来る(詳細後述)。
除去装置330は、除去装置320の下流側に、直交方向の位置が除去装置310に一致するように設けられている。除去装置340は、除去装置330の下流側に、直交方向の位置が除去装置320に一致するように設けられている。
[バッキング層裁断ユニット400]
バッキング層裁断ユニット400は、タイルカーペットTのバッキング層L3を細かく裁断(細断)するユニットである。
バッキング層裁断ユニット400は、図12に示す通り、コンベヤ100の下流端から斜め下方に延びる上流側スロープSL1と、上流側スロープSL1上に配置された姿勢調整機構70と、上流側スロープSL1の下流端に配置された送り機構80と、送り機構80の下流端から斜め下方に延びる下流側スロープSL2と、下流側スロープSL2の下流側に配置された裁断機構90とを有する。
上流側スロープSL1は、コンベヤ100から供給されるバッキング層L3を、搬送方向下流側に流すスロープである。上流側スロープSL1は、上流端がコンベヤ100の下流端に対向するように配置されている。
上流側スロープSL1の上面は、一例として、超高分子量ポリエチレンにより形成することができる。また、上流側スロープSL1は、超高分子量ポリエチレンで形成された上面を下側から支持する金属製の板部を有しても良い。
姿勢調整機構70は、上流側スロープSL1上を滑り落ちるバッキング層L3の姿勢を調整し、バッキング層L3の一辺を搬送方向に揃える機構である。
姿勢調整機構70は、図13、図14(a)、図14(b)に示す通り、上流側スロープSL1を直交方向に挟んで対向する一対の側壁71、一対の側壁71に保持されて上流側スロープSL1の上面の上方に位置する梁部72、梁部73に支持された左側エアシリンダ731及び右側エアシリンダ732、左側エアシリンダ731に取り付けられた左側調整板741、右側エアシリンダ732に取り付けられた右側調整板742、及び側壁71に取り付けられたセンサ75を主に有する。
一対の側壁71の各々は、搬送方向を長手方向とし上下方向を短手方向とする矩形の平板である。一対の側壁71は、上流側スロープSL1の直交方向の両側に、上流側スロープSL1の上面に対して垂直に配置されている。
梁部72は、断面矩形の棒材である。梁部72の両端は、一対の側壁71の搬送方向中央部の上端近傍において、一対の側壁71に固定されている。
左側エアシリンダ731は、円筒状のシリンダ731sと、シリンダ731sの左端からシリンダ731sの中心軸に沿って左方に突出するロッド731rとを有する。左側エアシリンダ731は、上下方向に延びる支持アーム731aを介して、梁部72に固定されている。これにより、シリンダ731sの中心軸は、直交方向に沿って水平に配置される。
右側エアシリンダ732は、円筒状のシリンダ732sと、シリンダ732sの右端からシリンダ732sの中心軸に沿って右方に突出するロッド732rとを有する。右側エアシリンダ732は、上下方向に延びる支持アーム732aを介して、梁部72に固定されている。これにより、シリンダ732sの中心軸は、シリンダ731sの中心軸に一致するように、直交方向に沿って水平に配置される。
左側エアシリンダ731、右側エアシリンダ732はそれぞれ、空気管路(不図示)を介して気圧制御部(不図示)に接続されている。また気圧制御部は制御部CONTに接続されている。気圧制御部は、空気管路を介してシリンダ731s、732sの内部の空気圧を調整することにより、ロッド731r、732rを、シリンダ731s、732sの中心軸方向に移動させる。
左側調整板741、右側調整板742はそれぞれ、矩形の板材であり、一例としてポリアセタールにより形成されている。
左側調整板741は、長手方向が搬送方向に、短手方向が上下方向に、厚さ方向が直交方向にそれぞれ一致するように、左側エアシリンダ731のロッド731rの先端に固定されている。同様に、右側調整板742は、長手方向が搬送方向に、短手方向が上下方向に、厚さ方向が直交方向にそれぞれ一致するように、右側エアシリンダ732のロッド732rの先端に固定されている。左側調整板741の下端、及び右側調整板742の下端は、上流側スロープSL1の上面に摺接する。
上記の構成により、左側調整板741と右側調整板742とが、直交方向に対向して配置される。また、左側調整板741と右側調整板742との間の直交方向の距離は、左側エアシリンダ731及び右側エアシリンダ732の動作に応じて変化する。
センサ75はバッキング層L3の通過を検知するためのセンサであり、側壁71の上流端近傍に配置されている。センサ75は一例として光学式のセンサを用い得る。センサ75は制御部CONTに接続されている。
センサ75がバッキング層L3の通過を検知した場合に、左側調整板741、右側調整板742がバッキング層L3を直交方向に挟むように移動され、バッキング層L3の姿勢が調整される(詳細後述)。
送り機構80は、姿勢調整機構70によって姿勢が調整されたバッキング層L3を、姿勢を維持しつつ、所定の速度で裁断機構90に送る機構である。
送り機構80は、図13、図14(a)、図14(b)に示す通り、直交方向に並ぶ一対の送りコンベヤ81と、一対の送りコンベヤ81の間に配置された一対の停止用エアシリンダ82と、一対の送りコンベヤ81の上方に配置された送りローラ(押さえローラ)83と、一対の送りコンベヤ81の間且つ送りローラ83の下方に配置されたセンサ84を主に有する。
一対の送りコンベヤ81はそれぞれ、バッキング層L3を所望の速度で裁断機構90へと送るためのコンベヤである。
一対の送りコンベヤ81の各々は、搬送方向に延在するフレーム811、フレーム811の両端部に設けられた一対のローラ812、及び一対のローラ812に掛け渡されたベルト813を含む。一対のローラ812の一方には、ローラ812を回動させるためのモータ(不図示)が連結されている。
一対の送りコンベヤ81は、直交方向に間隔を有して並んでいる。一対の送りコンベヤ81の各々のベルト813の上面813uは、上流側スロープSL1の上面と面一である。
一対の停止用エアシリンダ82は、搬送方向に移動するバッキング層L3の前側端部に当接して、バッキング層L3の進行を一時的に停止させる機構である。一対の停止用エアシリンダ82は、一対の送りコンベヤ81の下流側のローラ812よりも上流側において、一対の送りコンベヤ81の間に、直交方向に並んで配置されている。
一対の停止用エアシリンダ82の各々は、円筒状のシリンダ82sと、シリンダ82sの一端から、シリンダ82sの中心軸に沿って突出するロッド82rとを有する。一対の停止用エアシリンダ82の各々は、シリンダ82sの中心軸が上下方向に一致するように設置されている。一対の停止用エアシリンダ82の各々には、空気管路(不図示)及び気圧制御部(不図示)が接続されており、気圧制御部は制御部CONTに接続されている。
送りローラ83は、一対の送りコンベヤ81と共にバッキング層L3を上下方向に挟んだ状態で、所望の速度で裁断機構90に送るためのローラである。
送りローラ83は、一対の送りコンベヤ81の下流側端部に、回転軸が直交方向に一致するように設けられている。また、搬送方向において、送りローラ83の回転軸の位置と、一対の送りコンベヤ81の下流側のローラ812の回転軸の位置とが一致している。
送りローラ83の回転軸方向の長さは、上流側スロープSL1の直交方向の幅に略等しい。また、送りローラ83の下端部と送りコンベヤ81のベルト813の上面813uとの間には、送りローラ83と送りコンベヤ81とによってバッキング層L3を上下に挟むのに適した所定の隙間が設けられている。
送りローラ83は、支持部(不図示)により支持されている。また当該支持部にはモータ(不図示)が接続されている。送りローラ83は、当該モータに接続された制御部CONTの制御により、所定の速度で回転する。なお送りローラ83を、モータに接続されない従動ローラとしてもよい。送りローラ83の支持部による支持は、上下方向に移動しない態様でなされていてもよい。あるいは、送りローラ83は、除去装置310〜340の送り機構40、40’と同様の機構により上下方向に移動可能に支持されていてもよい。
センサ84は、送りローラ83の下流側にバッキング層L3が存在するか否かを検知するためのセンサであり、一例として光学式のセンサを用い得る。センサ84は、一対の送りコンベヤ81の間、且つ送りローラ83の下方に配置されている。センサ84は制御部CONTに接続されている。
センサ84が送りローラ83の下流側にバッキング層L3が存在しないことを検知した場合、一対の停止用エアシリンダ82のロッド82rがシリンダ82s内に収容され、送りコンベヤ81及び送りローラ83が駆動して次に裁断するバッキング層L3の裁断機構90への送り込みが開始される(詳細後述)。
下流側スロープSL2は、送り機構80によって裁断機構90へと送られるバッキング層L3を下方から支持する。下流側スロープSL2は、上流端が送りコンベヤ81の下流端に対向し、下流端が裁断機構90の裁断刃ユニットCU(後述)の近傍に位置するように配置されている。
裁断機構90は、送り機構80により送られるバッキング層L3を細かく裁断する機構である。
裁断機構90は、筐体91と、筐体91内に配置された上側裁断刃92及び下側裁断刃93を含む裁断刃ユニットCUと、裁断刃ユニットCUを回転させるモータ94とを主に有する。
筐体91は、上面に開口部91Aを有する箱体である。
開口部91Aの搬送方向下流側には、上下方向に対向する上側裁断刃92、及び下側裁断刃93が設けられている。
図15(a)に示す通り、上側裁断刃92は、回転軸92Aと多数の回転裁断刃921とを有し、下側裁断刃93は、回転軸93Aと多数の回転裁断刃931とを有する。
図15(b)に示す通り、回転裁断刃921、931はそれぞれ、円環状の本体部921M、931Mと、本体部921M、931Mの外周に周方向に沿って設けられた複数の刃先部921E、931Eとを有する。複数の刃先部921E、931Eの各々は、回転方向の前側に切り刃921Ee、931Eeを有する。
多数の回転裁断刃921、931は、回転軸92A、93Aに同軸状に固定されている。なお切削負荷(切断抵抗)を上側裁断刃92、下側裁断刃93の周方向に分散させるため、回転裁断刃921、931は、各々の有する切り刃921Ee、931Eeの位置が周方向において異なるよう、互いに対して周方向にシフトした位置で回転軸92A、93Aに固定されている。切り刃921Ee、931Eeの位置を繋いだ仮想線Leを図15(a)に点線で示す。なお、本明細書及び本発明においては、仮想線Leと軸方向との間の角度θをリード角と呼ぶ。
上側裁断刃92は回転軸92Aを直交方向に一致させて、回転軸92Aの両端部において筐体91に回動可能に支持されている。下側裁断刃93は回転軸93Aを直交方向に一致させて、回転軸93Aの両端部において筐体91に回動可能に支持されている。
上側裁断刃92と下側裁断刃93とは、図15(a)に示すように、上側裁断刃92の回転裁断刃921が軸方向において下側裁断刃93の回転裁断刃931の間に位置し、下側裁断刃93の回転裁断刃931が軸方向において上側裁断刃92の回転裁断刃921の間に位置するように配置されている。
モータ94は、筐体91の内部に配置されている。モータ94は不図示の動力伝達機構により上側裁断刃92に接続されており、上側裁断刃92は不図示の動力伝達機構により下側裁断刃93に接続されている。またモータ94は、制御部CONTに接続されている。モータ94の駆動力は、不図示の動力伝達機構を介して上側裁断刃92、下側裁断刃93に伝達され、上側裁断刃92及び下側裁断刃93を、バッキング層L3を搬送方向下流側に引き込む方向に回転させる。
次に、タイルカーペット解体システム1000を用いてタイルカーペットTを解体する方法について説明する。
タイルカーペット解体システム1000を用いたタイルカーペットTの解体方法は、図16に示す通り、コンベヤ100の搬送面TSにタイルカーペットTを載置するタイルカーペット載置工程S1と、センサユニット200を用いてタイルカーペットTの高さ情報を取得する高さ情報取得工程S2と、除去装置310、320を用いてパイル層L1を除去するパイル層除去工程S3と、除去装置330、340を用いて接着層L2を除去する接着層除去工程S4と、バッキング層裁断ユニット400を用いてバッキング層L3を裁断するバッキング層裁断工程S5とを含む。
[タイルカーペット載置工程S1]
タイルカーペット載置工程S1においては、解体すべく集積された多数のタイルカーペットTを順次、コンベヤ100の搬送面TSに載置する。
タイルカーペットTは、オフィス等の床面に接着剤で固定された状態から、回収されて集積されたものであり、タイルカーペットTのバッキング層L3の下面(裏面)には、通常、接着剤が残留している。また、接着剤を介して屑などの汚れが付着している場合もある。
また、タイルカーペットは多数のメーカーの各々が多種類の製品を製造、販売しているため、非常に多くの種類が流通し、使用されている。そのため、回収、集積されたタイルカーペットのパイル層高さh1、接着層高さh2、バッキング層高さh3、タイル高さHは製品ごとに異なり、且つ同一製品間でも異なり得る。例えば、同一製品であっても、使用年数の長いタイルカーペットほどパイル層L1が圧縮されてパイル層高さh1は小さくなり得る。
タイルカーペットTの搬送面TSへの載置は、パイル層L1を上にして、タイルカーペットTの一辺がコンベヤ100の搬送方向に一致するように行う。タイルカーペットTの搬送面TSへの載置は、作業者が手作業で行っても良く、自動フィーダを用いて行っても良い。また、バッキング層裁断ユニット400の姿勢調整機構70と同様の機構をセンサユニット200の上流側に設けてタイルカーペットTの姿勢を調整してもよい。
タイルカーペットTが搬送面TSに載置された状態においては、バッキング層L3の下面が、超高分子量ポリエチレン製の樹脂プレートRPにより画成された搬送面TSに当接する。この時、超高分子量ポリエチレンが優れた非粘着性を有するため搬送面TSへの接着剤等の付着が抑制される。
搬送面TSに接着剤が付着している場合には、例えばコンベヤ100の下流端においてバッキング層裁断ユニット400へとタイルカーペットTを送る際にタイルカーペットTが良好に搬送面TSを離れないという問題や、搬送面TSの接着剤を除去するためにタイルカーペット解体システム1000にダウンタイムが生じるという問題が起こり得る。搬送面TSへの接着剤等の付着を抑制することは、これらの問題を軽減し得る点で有利である。
[高さ情報取得工程S2]
高さ情報取得工程S2においては、センサユニット200が、搬送面TSに載置されて搬送方向に搬送されるタイルカーペットTの高さ情報を取得し、これを制御装置CONTに送る。
具体的には、まずセンサ本体202のカメラ202cが、タイルカーペットTの側面画像(側面情報)を撮像する。次いで、センサ本体部202のプロセッサ202pが、撮像された側面画像に含まれる高さ情報、即ちパイル層高さh1、接着層高さh2、バッキング層高さh3、及びタイル高さHを求める。
プロセッサ202pは、パイル層高さh1、接着層高さh2、バッキング層高さh3、及びタイル高さHのそれぞれについて、タイルカーペットTの一辺沿いの3カ所(一例として、搬送方向前端近傍、搬送方向中央部、及び搬送方向後端近傍)において計測値を求め、これら3つの計測値の算術平均値をパイル層高さh1、接着層高さh2、バッキング層高さh3、及びタイル高さHとして制御装置CONTに送る。
[パイル層除去工程S3]
パイル層除去工程S3においては、除去装置310、320が、搬送面TSに載置されて搬送方向に搬送されるタイルカーペットTのパイル層L1を切削により除去する。
上述の通り、除去装置310、320の回転カッター20の回転刃21は、直交方向において、スペーサ22を介在させて離散的に配置されている。そして、除去装置310の回転カッター20の回転刃21と除去装置320の回転カッター20の回転刃21とは、直交方向にシフトして配置されている。
そのため、除去装置310は、タイルカーペットTの上面のうち、回転刃21の下方を通過する縞状の第1領域TA1(図17)においてパイル層L1の切削を行う。除去装置320はタイルカーペットTの上面の残りの領域、即ち除去装置310においてはスペーサ22の下方を通過し、除去装置320において回転刃21の下方を通過する縞状の第2領域TA2(図17)においてパイル層L1の切削を行う。
除去装置310による第1領域TA1の処理においては、まず、制御装置CONTが回転カッター20の上下位置を調整する。制御装置CONTは、センサユニット200から受け取ったタイルカーペットTの高さ情報を用いて、パイル層高さh1に応じた回転カッター20の最適な位置を求めた後、可動フレーム10を駆動して回転カッター20の位置調整を行う。
具体的には例えば、回転カッター20の最下点(即ち、回転する切れ刃213eが通過し得る最も低い位置)を、搬送面TSから、(接着層高さh2)+(バッキング層高さh3)だけ上方の位置を基準位置とした最適位置へと調整する。最適位置は例えば、予め設定された一定値αを用いて、「基準位置−α」で表される位置である。図2に示す通り、αが正の値である場合は、回転カッター20の最下点は基準位置よりもわずかに下方に配置され、回転カッター20は、パイル層L1の高さ方向の全域を除去する。一方で、αが負の値である場合は、回転カッター20の最下点は基準位置よりもわずかに上方に配置され、回転カッター20は、パイル層L1の根元をわずかに残しつつパイル層L1の高さ方向のほぼ全域を除去する。なお、基準位置は「(接着層高さh2)+(バッキング層高さh3)」に代えて「(タイル高さH)−(パイル層高さh1)」を用いて設定してもよい。その他、基準位置、及び一定値αは、所望の切削態様に応じて適宜設定し得る。
制御装置CONTは、回転カッター20の最適位置を求めた後、可動フレーム10の移動機構14のサーボモータ143を駆動し、回転カッター20を当該最適位置に移動させる(図18(a))。
次いで、タイルカーペットTが送り機構40に至り、搬送面TSと、搬送面TSに同期して回転する送りローラ41とに挟まれる(図18(b))。タイルカーペットTは、送りローラ41及び可動支柱43を上方に持ち上げながら送りローラ41の下方に進入し、可動支柱43を囲んで配置されたコイルバネ44は圧縮される。これにより、送りローラ41の上下位置がタイルカーペットTの厚さに応じた最適な高さに調整される。また、送りローラ41はコイルバネ44により下方(搬送面TS側)に付勢された状態で、搬送面TSと共に十分な力でタイルカーペットTを挟む。
次いで、タイルカーペットTが押さえ機構30に至り、押さえ部材31のテーパ面31tを押圧して押さえ部材31を上方に持ち上げつつ、押さえ部材31の下方まで流れる(図18(c))。この時、タイルカーペットTは送り機構40において送りローラ41と搬送面TSに十分な力で挟まれて下流側に流されているため、搬送方向への移動の停滞、直交方向への位置ずれ、又は上下方向を軸とした傾きを生じることなく、良好に押さえ部材31の下方まで流れる。
タイルカーペットTは、押さえ部材31を上方に持ち上げながら押さえ部材31の下方に進入し、4本の支柱321を囲んで配置された4つのコイルバネ323は圧縮される。これにより、押さえ部材31の上下位置が、回転カッター20の上下位置とは独立に、タイルカーペットTの厚さに応じた最適な高さに調整される。換言すれば、回転カッター20と押さえ部材31との間の上下方向の間隔が、切削するパイル層L1のパイル層高さh1に応じた最適間隔に調整される。また、押さえ部材31は4つのコイルバネ323により下方(搬送面TS側)に付勢された状態で、タイルカーペットTを十分な力で搬送面TSに押し付ける。
この状態において、タイルカーペットTの第1領域TA1の下流側には、押さえ部材31の回転刃収容領域31r1の貫通孔thを介して下方に突出した回転刃21が存在している。一方でタイルカーペットTの第2領域TA2の下流側には、押さえ部材31のスペーサ収容領域31r2の下側の下面31uが存在するのみである。
押さえ機構30、及び送り機構40、40’の下方においては、吸引機構50が、タイルカーペットTを吸引して搬送面TSに保持している(図18(c))。タイルカーペットTの吸引は、具体的には次のように行われる。
吸引機構50は、多数のタイルカーペットTを解体する間、吸気装置523を継続的に駆動している。これにより、空気流路525、吸気ポート521、及び円筒フィルタ522を介して第1〜第3吸引チャンバSC1〜SC3の各々が真空引きされる。チャンバ本体51の内側が、体積の小さい第1〜第3吸引チャンバSC1〜SC3に分割されているため、吸気装置523が小出力であっても各チャンバ内の負圧を大きくすることができる。
タイルカーペットTが載置された搬送面TSと第1〜第3吸引チャンバSC1〜SC3とは隙間gを介して流体的に接続されているため、搬送面TS上のタイルカーペットTの下面は、第1〜第3吸引チャンバSC1〜SC3に与えた負圧により、搬送面TSへと吸引される。この吸引によりタイルカーペットTが搬送面TS上に保持され、タイルカーペットTの搬送方向への移動の停滞、直交方向への位置ずれ、又は上下方向を軸とした傾きが防止される。
次いで回転カッター20の切れ刃213eが、回転カッター20の下方まで流れてきたタイルカーペットTの第1領域TA1のパイル糸Pに搬送方向下流側から当接する。これにより、パイル糸Pが切削され、第1領域TA1のパイル層L1が除去される(図18(d))。この処理は、制御装置CONT及び可動フレーム10により最適な位置に調整された回転カッター20により、押さえ機構30及び吸引機構50により搬送面TSに十分に押し付けられたタイルカーペットTに対して行われる。
即ち、回転カッター20の上下位置がタイルカーペットTの高さ情報に基づいて調整されているため、切れ刃213eのタイルカーペットTに対する切り込み量が適切であり、パイル層L1を過不足なく切削できる。
また、切れ刃213eとタイルカーペットTに対する切り込み量が大きすぎると、切削抵抗が大きくなりタイルカーペットTを引っかけて巻き上げてしまったり、切れ刃213eとの摩擦により発熱して軟化したバッキング層L1を回転カッター20に巻き込んでしまうことがある。切れ刃213eのタイルカーペットTに対する切り込み量を最適化することで、これらの不具合も防止できる。
また、回転カッター20による切削時に、回転カッター20とは独立に最適位置に調整された押さえ機構30と、吸引機構50とがタイルカーペットTを搬送面TSに押し付けているため、回転カッター20による切削中も、タイルカーペットTの位置を安定させることができる。即ち、タイルカーペットTにおける、搬送方向への移動の停滞、直交方向への位置ずれ、上下方向を軸とした傾き、浮き上がり、回転カッター20への巻き付きの発生が防止される。また、回転カッター20による切削時には、送り機構40は、回転刃21の力に抗してタイルカーペットTを下流側に送る役割も果たす。
回転カッター20による切削時には、カッター冷却機構60が回転刃21に冷気(低温空気)を噴き付けて、回転刃21を冷却している。
具体的には、コンプレッサ631が駆動して、圧縮空気供給路632を介して4つのボルテックスチューブ61に圧縮空気を供給している。4つのボルテックスチューブ61は、圧縮空気を冷気と熱気とに分離し、冷気噴出口612を介してマニホールド62に冷気を送る。マニホールド62は、ボルテックスチューブ62から供給された冷気を9つのノズル623を介して9つの回転刃21に噴き付ける。
冷気の温度は一例として0℃〜−40℃程度、冷却を行わない場合の回転カッター20の最高温度は一例として60℃〜100℃(瞬間値)程度、冷却を行う場合の回転カッター20の最高温度は一例として20℃〜40℃程度である。
このように、回転刃21の温度上昇を抑制することによっても、タイルカーペットTの回転カッター20への巻き付きを防止することができる。
回転刃21の温度は切削中のタイルカーペットTとの摩擦により上昇する。回転刃21の温度が上昇すると、回転刃21の熱がタイルカーペットTに伝達されてバッキング層L3の温度が上昇し、バッキング層L3が軟化して回転カッター20に巻き付き易い状態となる。
また、回転刃21の温度が上昇すると回転刃21に熱膨張が生じ、回転刃21のタイルカーペットTに対する切り込み量が設定された最適値よりも大きくなり得る。これにより切削抵抗が大きくなり、タイルカーペットTを引っかけて巻き上げ易い状態となる。
本実施形態においては、カッター冷却機構60が冷気の噴き付けにより回転カッター20の温度上昇を抑制しているため、回転刃21の温度上昇に起因するタイルカーペットTの回転カッター20への巻き付きが防止される。
なお、カッター冷却機構60を設けることなく、例えば解体前のタイルカーペットTを冷凍庫等に保存して予め冷却することにより、タイルカーペットTの温度上昇を抑制することも考えられる。この場合も、バッキング層L3の温度上昇及び軟化を抑制して回転カッター20への巻き付きを抑制することができるが、カッター冷却機構60を用いる本実施形態の方が、タイルカーペットTを冷却する時間を要しない分、多数のタイルカーペットをより効率よく解体することができる。
回転カッター20による切削によって生じたパイル糸Pの屑は、切削チャンバCC内に閉じ込められ、開口131faを介して外部に吸い出される。本実施形態では、屑排出ダクトDTが回転カッター20の回転方向の前側に配置されているため、パイル層L1の切削により回転カッター20の回転方向前側に巻き上がるパイル糸Pの屑が良好に吸い出される。
回転カッター20により第1領域TA1のパイル層L1が除去されたタイルカーペットTは、送り機構40’に至り、搬送面TSと、搬送面TSに同期して回転する送りローラ41とに挟まれる(図18(e))。送り機構40’の送りローラ41の上下位置は、送り機構40の送りローラ41と同様に、タイルカーペットTの厚さに応じた最適な高さに調整される。また、送りローラ41はコイルばね44により下方(搬送面TS側)に付勢された状態で、搬送面TSと共に十分な力でタイルカーペットTを挟み、これにより、タイルカーペットTは、押さえ機構30から下流側へと送られる。送り機構40’は、タイルカーペットTにおける、搬送方向への移動の停滞、直交方向への位置ずれ、上下方向を軸とした傾き、浮き上がりを防止するとともに、回転刃21の力に抗してタイルカーペットTを下流側に送る役割も果たす。
続いて、除去装置320が、除去装置310と同様の工程により、第2領域TA2のパイル層L1を除去する。
[接着層除去工程S4]
接着層除去工程S4においては、除去装置330、340が、搬送面TSに載置されて搬送方向に搬送されるタイルカーペットTの接着層L2を切削により除去する。
具体的には、除去装置330がタイルカーペットTの第1領域TA1の接着層L2の除去を行い、次いで除去装置340がタイルカーペットTの第2領域TA2の接着層L2の除去を行う。この工程は、回転カッター20が、パイル層L1ではなく接着層L2の除去に適した上下位置に調整される点を除いて、除去装置310、320による第1領域TA1、第2TA2のパイル層L1の除去と同様に行われる。
回転カッター20の上下位置の調整においては、例えば、回転カッター20の最下点を、搬送面TSから、バッキング層高さh3だけ上方の基準位置へと調整する。回転カッター20をこのような位置に配置することにより、切れ刃213eにより、タイルカーペットTの接着層L2を過不足なく除去することができる。また、除去装置310、320の場合と同様に、予め設定された一定値βを用いて「基準位置−β」で表される位置へと調整してもよい。
[バッキング層裁断工程S5]
バッキング層裁断工程S5においては、バッキング層裁断ユニット400が、パイル層L1、接着層L2が除去されてバッキング層L3のみとなったタイルカーペットTを細かく裁断する。
具体的には、まずコンベヤ100の下流端から上流側スロープSL1へとバッキング層L3が送られる。バッキング層L3は、上流側スロープSL1の上面を滑り、送り機構80へと進む(図19(a))。
この時、姿勢調整機構70は、バッキング層L3が左側調整板741及び右側調整板742に接近したことをセンサ75を用いて検知したことに応じて、左側エアシリンダ731、右側エアシリンダ732を駆動して、左側調整板741及び右側調整板742を直交方向内側に移動させる。左側調整板741及び右側調整板742はバッキング層L3を直交方向に挟むことにより、バッキング層L3の一辺が搬送方向に一致し、且つバッキング層L3の直交方向の中央部が上流側スロープSL1及び裁断刃ユニットCUの直交方向の中央部に一致するように、バッキング層L3の姿勢を調整する(図19(b))。
姿勢調整機構70により姿勢が調整されたバッキング層L3は、上流側スロープSL1上を更に滑って送り機構80に至り、一対の停止用エアシリンダ82のロッド82rに当接して停止する(図19(c))。その後、1つ前の裁断対象であるバッキング層L3が下流側に存在しないことをセンサ84を用いて検知したことに応じて、一対の停止用エアシリンダ82のロッド82rを下方に移動すると共に、一対の送りコンベヤ81及び送りローラ83が駆動し、バッキング層L3を裁断機構90へと送る(図19(d))。
バッキング層L3は、一対の送りコンベヤ81と送りローラ83とによって上下方向に挟まれた状態で、所定の送り速度V80で裁断機構90に送られる。送り速度V80は、裁断刃ユニットCUの裁断速度VC、即ち上側裁断刃92と下側裁断刃93とが回転によりバッキング層L3を搬送方向に引き込む速度よりも小さい。具体的には例えば、送り速度V80を裁断速度VCの0.8倍〜0.9倍程度とし得る。この理由は後述する。
なお、本明細書及び本発明において、「裁断速度」とは、回転刃の回転に応じて、被処理物、例えばタイルカーペットが裁断される速度(裁断時に被処理物が搬送方向に移動する速度)を意味し、「送り速度」とは、ローラの回転に応じて、被処理物、例えばタイルカーペットが搬送方向に送られる速度を意味する。即ち「裁断速度」及び「送り速度」は、回転刃及びローラの接線速度である。
バッキング層L3は、搬送方向の後側において一対の送りコンベヤ81と送りローラ83とに挟まれて送られながら、搬送方向の前側が裁断機構90の上側裁断刃92と下側裁断刃93との間に至り、上側裁断刃92と下側裁断刃93とにより細かく裁断される。裁断後の寸法及び形状は、例えば、2mm×8mm程度の矩形である(図19(e))。
このように、バッキング層L3の姿勢を調整した上で、裁断刃ユニットCUの裁断速度VCよりも小さい送り速度V80でバッキング層L3を送りながらバッキング層L3を裁断することにより、バッキング層L3を良好に裁断することができる。具体的には次の理由による。
図15(a)に示す通り、上側裁断刃92の回転裁断刃921の切り刃921Eeは、仮想線Leに示されるように、回転方向にシフトして配置されている。下側裁断刃93の回転裁断刃931の切り刃931Eeも同様である。本発明者により、送り機構80を用いない場合、即ちバッキング層L3の移動をなんら規制しない状態で上側裁断刃92と下側裁断刃93との間にバッキング層L3を投入した場合には、回転方向にシフトする切り刃921Ee、931Eeの配置に起因して、バッキング層L3に傾きが生じ得ることが観察されている。即ち、バッキング層L3が、前端の延びる方向を仮想線Leの延びる方向に一致させるように傾斜し、バッキング層L3の一辺が搬送方向に一致しない状態で裁断刃ユニットCUに引き込まれ、裁断される。
本発明者の知見によれば、このような状態でバッキング層L3を裁断した場合、バッキング層L3を十分に細かく裁断することは困難であり得る。また、搬送方向から逸脱した方向に引き込まれながら裁断が行われるため、バッキング層L3が裁断刃ユニットCUに詰まったり、直交方向においてバッキング層L3の一部が裁断刃ユニットCUの端部よりも外側にはみ出してしまうこともある。この場合は、裁断刃ユニットCUの異常停止や、上側裁断刃92、下側裁断刃93へのバッキング層L3の巻き付き、極端に大きな裁断屑の発生という問題が生じ得る。
本実施形態では、姿勢調整機構70がバッキング層L3の姿勢を調整し、送り機構80が調整後の姿勢を維持するため、バッキング層L3は、一辺が搬送方向に一致した好適な姿勢で裁断刃ユニットCUに導入される。
また本実施形態では、送り機構80が、裁断刃ユニットCUの裁断速度VCよりも小さい送り速度V80でバッキング層L3を送りながらバッキング層L3を裁断刃ユニットCUに導入する。そのため、バッキング層L3の前端が裁断刃ユニットCUに引き込まれる際には、バッキング層L3の前端は裁断刃ユニットCUの裁断速度VCで移動しようとする。一方この時、バッキング層L3の後端は送り機構80の一対の送りコンベヤ81と送りローラ82とに挟まれており、送り速度V80での移動を維持しようとする。即ち、送りコンベヤ81と送りローラ83が、裁断ユニットCUによるバッキング層L3の搬送方向への移動を制限する。そのためバッキング層L3には搬送方向に引っ張る力が加えられ、この引張力により、バッキング層L3の傾きが防止される。
これにより、バッキング層L3を好適な姿勢で裁断刃ユニットCUに導入することができ、バッキング層L3を好適に裁断することができる。
裁断刃ユニットCUから排出されるバッキング層L3の裁断屑は、筐体91内の不図示の収容部に収容される。その後、例えば、リサイクルのための次工程に送られる。
次に、吸引機構50のメンテナンス方法について説明する。
除去装置310〜340において、回転カッター20によりタイルカーペットTのパイル層L1、接着層L2の除去を行う際、除去されたパイル層L1、接着層L2の屑(以下、切削屑と総称する)の大部分は、切削チャンバCC内に閉じ込められて、吸引装置AINにより吸い取られる。しかしながら、その一部分は、隙間gを通過して吸引機構50の第1吸気チャンバSC1〜第3吸気チャンバSC3に混入し、吸気ユニット52の円筒フィルタ522に付着する。
したがって、タイルカーペット解体システム1000の非稼働時には、円筒フィルタ522の清掃を行う。清掃は、具体的には次の手順により行う。
まず、送風装置524を駆動して、空気流路525を介して吸気ポート521からの第1吸気チャンバSC1〜第3吸気チャンバSC3内に向けて空気を噴出する。これにより、円筒フィルタ522に付着した切削屑が吹き飛ばされ、底板513上に堆積する。
次いで、底板513を直交方向左側に引っ張り、チャンバ本体51から取り外す。これにより、底板513上に堆積していた切削屑が落下し、屑排出コンベヤ53のベルト533上に堆積する。その後、屑排出コンベヤ53の直交方向一方側に集塵箱を配置して屑排出コンベヤ53を駆動し、集塵箱内に切削屑を落下させる。
本実施形態のタイルカーペット解体システム1000、及びタイルカーペット解体方法の有利な効果を以下にまとめる。
[コンベヤ100]
本実施形態のタイルカーペット解体システム1000が備えるコンベヤ100は、超高分子量ポリエチレンにより形成された樹脂プレートRPにより搬送面TPを形成している。超高分子量ポリエチレンは優れた非粘着性を有するため、タイルカーペットTのバッキング層L3の裏面に残留した接着剤や汚れ等の搬送面TPへの付着が抑制される。そのため、コンベヤ100は、裏面に接着剤が残留したタイルカーペットをも良好に搬送することができる。また、仮に付着が生じた場合も容易にふき取ることができため、搬送面TSのクリーニング等、コンベヤ100のメンテナンスの手間が軽減され、多量のタイルカーペットTを効率よく解体することができる。
[除去装置310〜340]
本実施形態のタイルカーペット解体システム1000が備える除去装置310〜340は、可動フレーム10により上下移動可能に支持された回転カッター20を備えており、センサユニット200が取得したタイルカーペットTの高さ情報、ひいては側面情報に基づいて回転カッター20の上下位置を調整した上で、タイルカーペットTのパイル層L1、接着層L2の除去を行う。このように、次に処理するタイルカーペットTに応じた最適な位置に回転カッター20が調整されるため、タイルカーペットを分類する手間や、タイルカーペットの種類に合わせて回転カッターの高さを手作業で調整する手間がなく、多種類のタイルカーペットTを効率よく解体することができる。
また、上述の通り、タイルカーペットの側面情報は、同種類のタイルカーペットの間でも使用状況等に応じて異なり得る。したがって、タイルカーペットの種類に合わせて回転カッターの高さを手作業で調整する従来の方法においては、回転カッターの位置調整を行っても、タイルカーペットの回転カッターへの巻き付き等の問題が生じ得ることが本発明者により観察されている。
この点、本実施形態のタイルカーペット解体システム1000が備える除去装置310〜340は、回転カッター20の上下位置を、切削対象となるタイルカーペットの現物の側面情報に基づいて行う。そのため、タイルカーペットTの浮き上がりや、回転カッター20への巻き付き等はより良好に防止される。
本実施形態のタイルカーペット解体システム1000が備える除去装置310〜340においては、押さえ部材31は支持機構32により上下移動可能に支持されており、押さえ部材31の上下位置は回転カッター20の上下位置から独立して調整される。このように、押さえ部材31が、回転カッター20の移動の影響を受けることなく次に処理するタイルカーペットTの高さに応じた最適な位置に配置されるため、タイルカーペットを分類する手間や、タイルカーペットの種類に合わせて押さえ部材の高さを手作業で調整する手間がなく、多種類のタイルカーペットTを効率よく解体することができる。
また、上述の通り、タイルカーペットの側面情報は、同種類のタイルカーペットの間でも異なり得る。したがって、タイルカーペットの種類に合わせて押さえ部材の高さを手作業で調整する従来の方法においては、押さえ部材の位置調整を行っても、タイルカーペットの浮き上がりや、回転カッターへの巻き付き等の問題が生じ得ることが本発明者により観察されている。
この点、本実施形態のタイルカーペット解体システム1000が備える除去装置310〜340は、押さえ部材31の上下位置を、回転カッター20の上下位置とは独立に且つ切削対象となるタイルカーペットの現物に基づいて行う。そのため、タイルカーペットTの回転カッター20への巻き付き等はより良好に防止される。
本実施形態のタイルカーペット解体システム1000が備える除去装置310〜340は、冷気を用いて回転カッター20を冷却するカッター冷却機構60を備える。そのため、回転カッター20の温度上昇を抑制することができ、タイルカーペットTの温度上昇によるタイルカーペットTの軟化、及び回転カッター20の熱膨張を抑制することができる。
タイルカーペットTの軟化が抑制されることにより、タイルカーペットTの回転カッター20への巻き付きも抑制される。また、回転カッター20の熱膨張が抑制されることにより、回転カッター20のタイルカーペットTに対する切り込み量が適正値に保たれ、タイルカーペットTの回転カッター20への巻き付きが抑制される。
本実施形態の冷却装置310〜340が備えるカッター冷却機構60は、冷気を回転カッター20に噴き付けて回転カッター20を冷却する。そのため、回転カッター20をより効率よく冷却することができる。また、回転カッター20に付着した切削屑を吹き飛ばして除去することができる。
本実施形態のタイルカーペット解体システム1000が備える除去装置310〜340においては、送りローラ41はローラ保持体42、可動支柱43を介して上下移動可能に支持されており、送りローラ41の上下位置は回転カッター20から独立して調整される。したがって、送りローラ41は、回転カッター20の移動の影響を受けることなく最適位置に配置され、タイルカーペットTの押さえ機構30への送り込み、及びタイルカーペットTの押さえ機構30からの送り出しを十分な力で行うことができる。また、タイルカーペットを分類する手間や、タイルカーペットの種類に合わせて送りローラの位置を手作業で調整する手間がなく、多種類のタイルカーペットTを効率よく解体することができる。
本実施形態のタイルカーペット解体システム1000が備える除去装置310〜340においては、搬送面TSの下に、タイルカーペットTを搬送面TSに保持する吸引機構50が設けられている。回転カッター20がタイルカーペットTのパイル層L1、接着層L2を除去する際に、吸引機構50によりタイルカーペットTの下面を吸引してタイルカーペットTを搬送面TSに保持することにより、タイルカーペットTの浮き上がりや位置ずれ、タイルカーペットTの回転カッター20への巻き付きを防止できる。また、タイルカーペットTを下側から吸引する吸引機構50は、多種類のタイルカーペットTをタイルカーペットTの厚さとは無関係に均一に保持できるため、タイルカーペットを分類する手間を省き、多種類のタイルカーペットTを効率よく解体することができる。
また、吸引機構50は、送風装置524、取り外し可能な底板513、及び屑排出コンベヤ53を備えるため、第1吸引チャンバSC1〜第3吸引チャンバSC3に混入した切削屑を、容易に除去することができる。
[バッキング層裁断ユニット400]
本実施形態のタイルカーペット解体システム1000が備えるバッキング層裁断ユニット400においては、送り機構80が、裁断刃ユニットCUの裁断速度VCよりも小さい送り速度V80でバッキング層L3を送ることにより、裁断刃ユニットCUにより引き込まれるバッキング層L3の移動を制限し、バッキング層L3に搬送方向の張力を与えている。これにより、裁断刃ユニットCUの上側裁断刃92、下側裁断刃93の有するリード角に起因するバッキング層L3の傾きが抑制され、裁断刃ユニットCUによるバッキング層L3の裁断を好適に行うことが出来る。また、バッキング層L3を搬送方向にほぼ沿って引き込むことが出来るため、上側裁断刃92、下側裁断刃93の軸方向の寸法に余裕を持たせる必要がなく、裁断刃ユニットCUを小型化できる。
本実施形態のタイルカーペット解体システム1000が備えるバッキング層裁断ユニット400においては、姿勢調整機構70が送り機構80の上流側においてバッキング層L3の姿勢を調整し、送り機構80は、姿勢調整機構70により調整された姿勢を維持したまま、バッキング層L3を裁断刃ユニットCUに送る。したがって、バッキング層L3を適切な姿勢で裁断刃ユニットCUに送ることができ、裁断刃ユニットCUによるバッキング層L3の裁断をより一層好適に行うことが出来る。
本実施形態のタイルカーペット解体システム1000の除去装置310〜340が備えるカッター冷却機構60は、回転カッター20を冷却することにより、また切削チャンバCC内の温度を低下させることにより、コンベヤ100の樹脂プレートRPや樹脂製の押さえ部材31の温度上昇も抑制するという効果を奏する。押さえ部材31や樹脂プレートRPの温度上昇を抑制することで、これらを形成する樹脂材料に熱膨張が生じることが抑制でき、タイルカーペット解体システム1000をより安定的に長期間稼働させることができる。
本実施形態のタイルカーペット解体システム1000の除去装置310〜340においては、カッター冷却機構60が、回転カッター20の搬送方向下流側から回転カッター20に向けて冷気を噴き付けている。したがって切削チャンバCC内において、搬送方向下流側から、屑排出ダクトDTが接続された搬送方向上流側に向かう空気の流れが促進されており、タイルカーペットTの切削により生じた切削屑をより良好に屑排出ダクトDTに導くことが出来る。これにより、吸引機構50の吸引チャンバSC1〜SC3への切削屑の混入が抑制されている。
本実施形態のタイルカーペット解体システム1000の除去装置310〜340が備える吸引機構50は、吸引チャンバSC1〜SC3を真空引きすることにより搬送面TSの上方の切削チャンバCCの空気を、樹脂プレートRPの間の隙間を介して吸引している。したがって、特にタイルカーペットTが存在しないタイミングで生じる空気の流れにより、コンベヤ100の樹脂プレートRPや樹脂製の押さえ部材31の温度上昇も抑制するという効果を奏する。この温度上昇の抑制は、カッター冷却機構60を備える場合により顕著であるが、カッター冷却機構60を備えない場合であっても、空気の流れにより、ある程度は温度上昇が抑制される。
本実施形態のタイルカーペット解体システム1000の除去装置310〜340は、タイルカーペットTを適切な押圧力で押さえることのできる押さえ機構30と、粘着物の付着が抑制された超高分子量ポリエチレン製の搬送面TPを共に備えることにより、タイルカーペットTの裏面に残留した粘着物の搬送面TPへの付着がより良好に抑制される。
<変形例>
タイルカーペット解体システム1000、タイルカーペット解体システム1000を構成する各装置、及びこれらを用いたタイルカーペット解体方法において、次の変形態様を用いることもできる。
[タイルカーペットTの変形例]
パイル層L1、接着層L2、バッキング層L3を備えるタイルカーペットTを解体する場合を例としてタイルカーペット解体システム1000、タイルカーペット解体システム1000を構成する各装置、及びこれらを用いたタイルカーペット解体方法の実施形態を説明したが、解体対象はこれには限られない。解体対象は、積層構造を有する任意のタイルカーペットであってよく、例えば、防音を目的とした追加的な層や、抗菌を目的とした追加的な層を備えるタイルカーペットであってもよい。
[タイルカーペット解体システム1000の変形例]
上記実施形態のタイルカーペット解体システム1000、及びタイルカーペット解体方法においては、パイル層L1を除去する除去装置310、320、接着層L2を除去する除去装置330、340の全ての回転カッター20の位置調整を、除去装置310の上流側に設けた単一のセンサユニット200の検出結果に基づいて行っている。しかしながら、これには限られず、除去装置310の下流側の任意の位置に、単一の又は複数のセンサユニット200を追加し得る。
具体的には例えば、除去装置310の上流側に加えて、除去装置330の直前(即ち除去装置320の下流側且つ除去装置330の上流側)にセンサユニット200を設け、除去装置330、340の回転カッター20の位置制御を当該センサユニット200の検出結果に基づいて行っても良い。これにより、接着層L2を除去する除去装置330、340の回転カッター20の上下位置を、パイル層L1が除去された後のタイルカーペットTの状態、即ち接着層除去の直前のタイルカーペットTの状態(側面情報)に応じた最適な位置に調整することができる。
同様に、除去装置320の直前(即ち除去装置310の下流側且つ除去装置320の上流側)、除去装置340の直前(即ち除去装置330の下流側且つ除去装置340の上流側)にも、各除去装置の回転カッター20の位置制御に用いるためのセンサユニット200を設け得る。これにより、各除去装置の回転カッター20の上下位置を、処理直前のタイルカーペットTの状態(側面情報)に応じた最適な位置に調整することができる。
上記実施形態のタイルカーペット解体システム1000、及びタイルカーペット解体方法においては、上流側の2つの除去装置によりパイル層L1を除去し、下流側の2つの除去装置により接着層L2を除去している。しかしながら、これには限られず、搬送方向に沿って2つの除去装置のみを設け、上流側の除去装置により第1領域TA1のパイル層L1及び接着層L2を除去し、下流側の除去装置により第2領域TA2のパイル層及び接着層L2を除去してもよい。
或いは、特許文献1に記載されるように搬送方向に沿って6つの除去装置を配置し、上流側の2つの除去装置によりパイル層L1の突起pの頭部を切断し、続く2つの除去装置によりパイル層L1を除去し、下流側の2つの除去装置により接着層L2を除去してもよい。
このように、タイルカーペットTのパイル層L1、接着層L2を、何台の除去装置を用いて、いくつの工程に分けて除去するかは任意である。
[コンベヤ100の変形例]
上記実施形態のコンベヤ100においては、搬送プレートTPの上面に超高分子量ポリエチレンで形成された樹脂プレートRPを固定して、超高分子量ポリエチレンで形成された搬送面TPを形成しているが、これには限られない。具体的には例えば、搬送プレートTPを省略し、一対のコンベヤチェーン104の間に樹脂プレートRPのみを架設してもよい。
上記実施形態のコンベヤ100においては、搬送プレートTPに樹脂プレートRPをねじ止めしていたが、これには限られない。搬送プレートTPに樹脂プレートRPを固定する方法は任意であり、例えば接着剤を用いた固定を行っても良い。
上記実施形態のコンベヤ100は一対のコンベヤチェーン104に搬送プレートTPを掛け渡したチェーンコンベヤであったが、これには限られない。コンベヤ100は、搬送方向に対向する一対のローラの間に掛け渡した搬送用ベルトにより搬送を行うベルトコンベヤや、搬送方向に並ぶ多数の搬送用ローラにより搬送を行うローラコンベヤ等、各種のコンベヤであってよい。
コンベヤ100としてベルトコンベヤを使用する場合は、例えば、搬送用ベルトの上面に多数の樹脂プレートRPを貼り付けることで、上記実施形態と同様に、超高分子量ポリエチレンによる搬送面TPを形成することができる。コンベヤ100としてローラコンベヤを使用する場合は、例えば、搬送用ローラ(載置部の一例)を囲むように超高分子量ポリエチレンの円筒部材を被せることで、超高分子量ポリエチレンによる搬送面TPを形成することができる。
また、樹脂プレートRPや円筒部材を用いることなく、搬送プレートTPや搬送用ローラの表面に超高分子量ポリエチレンのコーティングを施したり、超高分子量ポリエチレンのテープを貼り付けることにより、超高分子量ポリエチレンで形成された搬送面TSを与えることもできる。
樹脂プレートRPの搬送プレートTPへの取付けは、中央部において樹脂プレートRPを搬送プレートTPに固定的に締結すると共に、樹脂プレートTPの四隅には締結具(ねじ、ボルト等)の軸径よりも径の大きい貫通孔を設け、当該貫通孔を介して搬送プレートTPに締結してもよい。この取り付け方法によれば、樹脂プレートRPに膨張が生じた場合でも、樹脂プレートRPの周縁部は貫通孔が有する余裕の分だけ移動可能である。したがって、金属製の搬送プレートTPと樹脂製の樹脂プレートRPとの間の熱膨張率の差にかかわらず、樹脂プレートRPの搬送プレートTPへの取付け状態を良好に維持できる。
上記実施形態及び変形例のコンベヤ100において、超高分子量ポリエチレンに代えて、ポリアセタール(POM)を用いることもできる。具体的には例えば、クオドラントポリペンコジャパン株式会社より入手可能なポリペンコ(登録商標)アセタールのPOM‐NC/POM‐BCを用い得る。ポリアセタールも超高分子量ポリエチレンと同等の非粘着性を示す。
コンベヤ100においては、樹脂プレートRPを省略して、搬送プレートTPの上面により搬送面TSを形成しても良い。
[センサユニット200の変形例]
上記実施形態のセンサユニット200のセンサ本体202は、カメラ202cとプロセッサ202pとを備える画像センサであったが、これには限られない。センサ本体202として、画像センサに代えてレーザセンサ等を用いてもタイル高さHを測定することができる。
上記実施形態のタイルカーペット解体方法の高さ情報取得工程S2においては、センサ本体部202は、タイルカーペットTのパイル層高さh1、接着層高さh2、バッキング層高さh3、及びタイル高さHの全てを検出しているが、これには限られない。センサ本体部202は、これらの内、後続する除去装置において使用される必要最低限の高さ情報を検出するのみでもよい。また、タイルカーペットTの一辺沿いの3か所において計測値を求め、これらの算術平均値からタイル高さH等の高さ情報を求めることも必須ではなく、タイルカーペットTの一辺沿いの1か所における計測値、又はタイルカーペットTの一辺沿いの2か所若しくは4ヶ所以上における計測値の算術平均値をタイル高さH等の高さ情報としてもよい。
[除去装置の変形例]
上記実施形態の除去装置310〜340において、可動フレーム10は、回転カッター20を上下移動可能に支持する任意の構成とし得る。
具体的には例えば、移動機構14に代えてラックアンドピニオン機構により移動筐体13を上下移動させてもよい。この場合は例えば、支柱11にラックを設け、移動筐体13にサーボモータと、その出力軸に取り付けられたピニオンを設ける。或いは、支柱11に代えて、油圧等により長さが調整される伸縮支柱を用い、当該伸縮支柱の上端により移動筐体13の天板132を支持してもよい。その他、移動筐体13の天板132を、シザーリフトのようにパンタグラフ式のアームで支持することによっても、回転カッター20を上下移動可能に支持し得る。
可動フレーム10の更なる変形例として、天板132に設置されたサーボモータと移動筐体13とをクランク機構で接続し、サーボモータの回転によりクランク機構を介して移動筐体13を移動させるダイレクトドライブ方式を用いえる。この場合は例えば、出力軸が水平方向に延びるようにサーボモータを設置し、サーボモータの出力軸と移動筐体13とをスライダクランク機構により接続する。可動フレーム10の更なる変形例として、リニアモータ(リニアアクチュエータ)を用いて移動筐体13を移動させる上下動方式を用い得る。この場合は例えば、支柱11をリニアガイド、移動筐体13を可動部として構成し得る。
上記実施形態の除去装置310〜340において、回転カッター20は、9個の回転刃21と8個のスペーサ22により形成されているが、これには限られない。回転カッター20を構成する回転刃21、スペーサ22の数は任意である。
上記実施形態の除去装置310〜340においては、押さえ機構30の押さえ部材31は支持機構32に上下移動可能に支持されており、移動筐体13及び回転カッター20から独立して移動し、コイルばね323により位置調整されるが、これには限られない。
具体的には例えば、支持機構32を省略して押さえ部材31を移動筐体13に固定してもよい。この態様では、押さえ部材31の下面31uよりも下方に突出する回転刃21の突出量は一定となる。押さえ部材31の位置調整は、回転カッター20の上下位置が調整される時に、回転カッター20と一体に、回転カッター20と同じ距離だけ移動することによりなされる。
或いは、支持機構32に代えて、制御装置CONTの制御に基づいて押さえ部材31の上下位置を調整可能な支持機構(押さえ部材位置調整機構)により押さえ部材31を支持してもよい。具体的には例えば、支柱321にラックを設け、押さえ部材31にサーボモータ及びピニオンを設けたラックアンドピニオン機構や、支柱321を油圧により伸縮可能とした油圧支持機構を用い得る。制御装置CONTは、例えば、センサユニット200が取得するタイルカーペットTの高さ情報(側面情報)に基づいて、押さえ部材31の下面31uが搬送面TSからタイル高さHだけ上方に位置するように押さえ部材31の上下位置を調整する。
上記実施形態の除去装置310〜340においては、4つのボルテックスチューブ61により生成した冷気を、マニホールド62の9つのノズル623を介して9つの回転刃21に噴き付けているがこれには限られない。ボルテックスチューブ61の数、ノズル623の数は任意である。具体的には例えば、回転刃21の数が9つ以下である場合はノズル623の数も9つ以下であってよく、回転刃21の数よりも少なくてもよい。また、マニホールド62を省略して、ボルテックスチューブ61からの冷気を回転刃21に直接噴き付ける構造としてもよい。また、カッター冷却機構60を回転カッター20の切削位置の回転方向前側に配置してもよい。
上記実施形態の除去装置310〜340においては、ノズル623は、回転カッター20の回転刃21に向けて、回転刃21の径方向に沿って冷気を噴き付けるように配置されているがこれには限られない。ノズル623の配置は任意であり、例えは回転刃21の接線方向や軸方向に沿って冷気を噴き付けるよう配置されてもよい。
上記実施形態の除去装置310〜340においては、カッター冷却機構60は回転カッター20の回転刃21の外周面に向けて冷気を噴き付けるよう構成されているがこれには限られない。カッター冷却機構60は、例えば、回転刃21の側面やスペーサ22に冷気を噴き付ける構成であってもよい。また、カッター冷却機構60は、回転カッター20に冷気を噴き付けない構成であってもよい。例えば、カッター冷却機構60は、切削チャンバCC内に冷気を供給して切削チャンバCC内の温度を低下させることにより回転カッター20を冷却する構成であってもよい。
上記実施形態の除去装置310〜340においては、カッター冷却機構60はボルテックスチューブ61により冷気を生成しているがこれには限られない。例えば、切削チャンバCCの外部に冷凍庫と同様の原理により気体を冷却するユニットクーラ(冷気生成装置)を配置し、ユニットクーラにより冷気を生成してもよい。なお、ボルテックスチューブ61を用いる場合も、ボルテックスチューブ61を切削チャンバCCの外部に配置し得る。なお、冷気は空気には限られず使用可能な任意の気体を用い得る。
上記実施形態の除去装置310〜340においては、送り機構40、40’の送りローラ41は、ローラ支持体42及び可動支柱43を介して上下移動可能に支持されており、コイルばね44により位置調整される。しかしながら、これには限られず、可動支柱43を省略してローラ支持体42を回転カッター20を支持する移動筐体13、又は押さえ部材31に固定してもよい。
また、回転カッター20、押さえ部材31、及び送りローラ41を所望の位置関係で配置した状態で、押さえ部材31及びローラ支持体42を移動筐体13に固定してもよい。この態様においては、移動筐体13を上下移動させることにより、回転カッター20、押さえ部材31、及び送りローラ41が一体として移動し、これらの上下位置が調整される。
制御装置CONTの制御に基づいて送りローラ41の上下位置を調整可能な支持機構により送りローラ42を支持してもよい。具体的には例えば、可動支柱43に代えてラックを備える固定支柱を設け、ローラ支持体42にサーボモータ及びピニオンを設けたラックアンドピニオン機構や、可動支柱43に代えて油圧により伸縮可能な支柱を備える油圧支持機構を用い得る。制御装置CONTは、例えば、センサユニット200が取得するタイルカーペットTの高さ情報(側面情報)に基づいて、送りローラ41の下端部が搬送面TSからタイル高さHだけ上方に位置するように押さえ部材31の上下位置を調整する。
上記実施形態の除去装置310〜340においては、吸引機構50のチャンバ本体51の内部が仕切り壁512により3つのチャンバに分割されているが、これには限られず、単一のチャンバ、或いは任意の複数のチャンバを画成してもよい。また、吸引機構50の屑排出コンベヤ53に代えて、例えば板状の屑受け部材を配置し、底板513から落下する切削屑を屑受け部材により受け止めて回収してもよい。
吸引機構50は、コンベヤ100がベルトコンベヤであり、搬送面TSがベルトにより画成されている場合も、ベルトに微小な空孔を設けることにより、或いはベルトが繊維状である場合は繊維の隙間を利用することにより、搬送面を介したタイルカーペットの吸引を行うことが出来る。また、ベルトが気体を通さない態様であっても、例えばベルトの直交方向外側の部分を介してタイルカーペットの吸引を行うことができる。
吸引機構50は、チャンバ本体51を有さなくてもよい。この場合は例えば、吸気ポート521を、載置面TSの下側に直接配置して、タイルカーペットTの吸引を行い得る。
[タイルカーペット解体装置]
上記の実施形態において、センサユニット200と除去装置310〜340のいずれかとを組み合せて、センサ部(センサユニット)及び除去部(除去装置)を備えるタイルカーペット解体装置を構成することもできる。
[除去装置320〜340の配置の変形例]
上記実施形態のタイルカーペット解体システム1000においては、除去装置310、330と同一の構造を有する除去装置320、340を、除去装置310、330に対して直交方向にシフトした位置に設置することにより、除去装置310、330の回転カッター20の回転刃21、スペーサ22の直交方向における位置と、除去装置320、340の回転カッター20の回転刃21、スペーサ22の直交方向における位置とを異ならせていたが、これには限られない。
具体的には例えば、除去装置320、340が有する回転刃21が、除去装置310、330が有する回転刃21に対して直交方向にシフトした位置となるように、除去装置320、340が備える回転カッター20、押さえ部材31等の形状を、除去装置310、330が備える回転カッター20及び押さえ部材31の形状とわずかに異ならせてもよい。
[バッキング層裁断ユニット400の変形例]
上記実施形態のタイルカーペット解体システム1000のバッキング層裁断ユニット400において、上流側スロープSL1、下流側スロープSL2に変えて、複数の搬送ローラを用いてもよい。
上記実施形態のタイルカーペット解体システム1000のバッキング層裁断ユニット400において、姿勢調整機構70は、バッキング層L3の姿勢を調整可能な任意の構成とし得る。具体的には例えば、側板71に、エアシリンダを、ロッドが直交方向の内側を向くように配置し、当該ロッドの先端に調整板を取り付けてもよい。また、センサ75は、左側、右側調整板731、741の上流側でバッキング層L3を検知できるよう任意の位置に設けることができる。上流スロープSL1に変えて複数の搬送ローラが用いられている場合には、センサ75を、搬送ローラの下側に、搬送ローラの隙間を介してバッキング層L3を検知するように設けてもよい。
また、上流スロープSL1に変えて複数の搬送ローラが用いられている場合には、搬送ローラの下方に配置された一対のエアシリンダにより搬送ローラの上方の一対の調整板を移動させる構成とし得る。この場合は例えば、搬送ローラの下方に配置された一対のエアシリンダの各々のロッドに、複数の搬送ローラの間を通って上下方向に延びるアームを固定し、当該アームの上部に搬送方向に延びる調整板を固定する。
上記実施形態のタイルカーペット解体システム1000において、バッキング層裁断ユニット400の姿勢調整機構70を省略してもよい。この場合は、制御機構80の有する一対の停止用エアシリンダ82にバッキング層L3を当接させて、バッキング層L3の一辺を直交方向に揃えることにより、バッキング層L3の姿勢調整を行っても良い。一対の停止用エアシリンダ82は、直交方向に並ぶ2点によりバッキング層L3に当接するため、このような姿勢調整を行う姿勢調整部として機能し得る。一対の停止用エアシリンダ82に変えて単一のエアシリンダを用いてもよい。この場合、当該エアシリンダのロッドに直交方向に延びる長手部材を当該ロッドに直交させて固定し、当該長手部材の両端近傍から上方に向けてピンを突出させる。これにより、単一のエアシリンダの操作により一対のピンを上下に移動させることができ、当該一対のピンによりバッキング層L3の停止、及び姿勢調整を行うことができる。また、一対の停止用エアシリンダ82に代えて、同様の機能を奏する任意の機構、一例として、板状部材を、バッキング層L3の前辺に当接して姿勢調整を行う起立位置と、バッキング層L3の搬送方向の移動を許容する倒伏位置との間で移動させる機構によりバッキング層L3の停止、姿勢調整を行い得る。
上記実施形態のタイルカーペット解体システム1000において、バッキング層裁断ユニット400の送り機構80は、一対の送りコンベヤ81と、送りローラ83とによりバッキング層L3を裁断機構90に送っているがこれには限られない。
具体的には例えば、一対の送りコンベヤ81に変えて、回転軸が直交方向を向いた駆動ローラを、搬送方向に2つ、又は3つ以上配置してもよい。この構成においては、送りローラ83は、搬送方向の最も下流側に位置する駆動ローラと対向し、バッキング層L3はこれらに挟まれて裁断機構90へと送られる。またこの構成においては、一対の停止用エアシリンダ82は、搬送方向に並ぶ2つの駆動ローラの間に配置される。
その他、送り機構80は、バッキング層L3を姿勢を維持したまま裁断機構90に送ることのできる任意の構成であってよい。具体的には例えば、上下方向に対向する一対の送りローラによりバッキング層L3を送る構成、上下方向に対向する一対の送りコンベヤによりバッキング層L3を送る構成等を用い得る。或いは、上下方向に対向する一対の送りローラによりバッキング層L3を挟んだ状態で、一対の送りローラ及びバッキング層L3を搬送方向下流側に一体的にスライドさせてバッキング層L3を裁断機構90に送る構成であってもよい。この場合は、バッキング層L3が裁断刃ユニットCUに引き込まれる際には、一対の送りローラはブレーキの利いた状態で回転しながらバッキング層L3を繰り出し、裁断刃ユニットCUによるバッキング層L3の移動を制限する。
上記実施形態のタイルカーペット解体システム1000においては、バッキング層裁断ユニット400の裁断機構90は、上側裁断刃92と下側裁断刃93とを有する裁断刃ユニットCUによりバッキング層L3を裁断しているが、これには限られない。裁断機構90は例えば、上側裁断刃92と下側裁断刃93の下流側において裁断屑を更に細かく裁断するスパイラルカッターを備える三軸細断シュレッダーであってよい。あるいは、裁断機構90は、上側裁断刃92のみを有する一軸細断シュレッダーであってもよい。
上記実施形態及び変形例の除去装置310〜340は、押さえ機構30、吸引機構50のいずれか一方を有するのみでもよい。
上記実施形態及び変形例のタイルカーペット解体システム1000が備えるコンベヤ100は、タイルカーペットを解体する任意の解体システムにおいて用いることができる。そのようなシステムは、回転カッターや押さえ部材の上下位置が固定されたものであってよい。このようなシステムにおいても、タイルカーペットTの裏面の接着剤等の搬送面TSへの付着を抑制してカーペットタイルを良好に搬送し、多量のタイルカーペットを効率よく解体することができる。
上記実施形態及び変形例の除去装置310〜340において、回転カッター20の上下位置が固定されていてもよい。即ち、回転カッター20の上下位置は調整不能としつつ、押さえ部材31の上下位置を調整可能とするのみでも、解体対象のタイルカーペットTを順次適切に押さえて、多種類且つ多量のタイルカーペットTを効率よく解体することができる。また、回転カッター20の上下位置は調整不能とつつ、吸引機構50により切削中のタイルカーペットTの保持を行うのみでも、解体対象のタイルカーペットTを順次適切に押さえて、多種類且つ多量のタイルカーペットTを効率よく解体することができる。
上記実施形態及び変形例の除去装置310〜340において、押さえ部材31の上下位置が固定されていてもよい。即ち、押さえ部材31の上下位置は調整不能としつつ、回転カッター20の上下位置を調整可能とするのみでも、解体対象のタイルカーペットTに対して順次適切に回転カッター20を配置して、多種類且つ多量のタイルカーペットTを効率よく解体することができる。
上記実施形態及び変形例のカッター冷却機構60を、上下位置が固定された回転カッター20と共に用いることもできる。この場合でも、回転カッター20の温度上昇を抑制して、タイルカーペットTの巻き付きの抑制という効果を奏する。
上記実施形態及び変形例のバッキング層裁断ユニット400は、上記実施形態及び変形例の除去装置310〜340によりパイル層L1、接着層L2が除去されたタイルカーペットTに限らず、任意の方法により提供されるバッキング層L3に対して用いることができる。即ちバッキング層裁断ユニット400は、タイルカーペット解体システム1000から独立した態様においても使用し得る。
本発明の特徴を維持する限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。