JP6877633B2 - インクジェット用黒色系インク組成物、遮光膜及び光学部材、並びに、画像形成方法 - Google Patents

インクジェット用黒色系インク組成物、遮光膜及び光学部材、並びに、画像形成方法 Download PDF

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Description

本開示は、インクジェット用黒色系インク組成物、遮光膜及び光学部材、並びに、画像形成方法に関する。
遮光性の膜又は部材は、様々な分野で利用されており、光を遮る用途のみならず、光を吸収する用途及び加飾機能を持たせる用途等にも使用され、用途は多岐に亘っている。
遮光性の膜は、例えば光学用途にも利用されている。
光学用途の一例としてレンズが知られており、レンズには、レンズの側面、つまり光の入射方向を軸としてみた際のレンズ外周面に遮光膜を付設することが行われている。レンズ外周面に遮光膜を付設することで、レンズとエア間の界面に比べ、レンズと遮光膜間の界面における屈折率差が小さくなるので、例えばレンズに斜めに入射した光がレンズの側面部にあたった際に生じる内面反射を軽減することができる。これにより、画像中に発生しやすいフレア又はゴーストといった光学故障を抑制することが可能になる。
近年、光学用ガラスとして、屈折率が1.8以上の高屈折率のガラスが開発され利用されるに至っている。この光学用ガラスを例えばレンズに用いた場合には、従来以上に遮光膜との間の屈折率の差が広がることになり、結果として、レンズは高屈折率を有しても、高屈折レンズとしての性能が十分に発揮できていないことが推察される。
上記に関連する技術として、少なくとも樹脂と着色剤を含有し、遮光膜全体の波長400nmから波長700nmにおける消衰係数の平均値である平均消衰係数を0.03以上0.15以下とした光学素子用の遮光膜が開示されている(例えば、特開2011−186437号公報参照)。
上記のように、光学部材の一例であるレンズに遮光膜を付設して光学故障を抑制しようとする場合、レンズと遮光膜との間の屈折率差を小さくすることが重要である。しかしながら、屈折率が1.8以上の光学用ガラスを用いた場合には、レンズとの間の屈折率差を小さく維持するため、遮光膜の屈折率を高める必要が生じる。
上記した特開2011−186437号公報には、染料を主成分として必要に応じて黒顔料を加えて黒色を実現し、更に必要に応じて黒顔料の量を超えない範囲で非黒色粒子が含有された例が開示されている。
このような組成では、遮光膜の吸収が高いわりに屈折率の向上効果が期待できないため、レンズと遮光膜の界面での内面反射が抑制されるに至っていないものと推察される。また、特開2011−186437号公報に記載の遮光膜は、反応性のエポキシ系塗料により製膜された膜であるため、この塗料を、単純にインクジェット法を利用した製膜法に適用して製膜することは困難である。
本開示は、上記に鑑みなされたものである。
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、黒系の色調を有し、高屈折率(好ましくは1.75以上)な膜が形成されるインクジェット用黒色系インク組成物を提供することにある。
本発明の他の実施形態が解決しようとする課題は、黒系の色調を有し、高屈折率(好ましくは1.75以上)の遮光膜及び光学部材並びに画像形成方法を提供することにある。
課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> カーボンブラック粒子と、二酸化チタン粒子と、塩基性分散剤と、を含有し、
二酸化チタン粒子の含有量が、組成物全質量に対して、15質量%以上45質量%以下であり、カーボンブラック粒子の含有量に対する二酸化チタン粒子の含有量の質量比が、2.0以上15.0以下である、インクジェット用黒色系インク組成物である。
<2> 塩基性分散剤は、アミン価が10mgKOH/g以上80mgKOH/g以下である<1>に記載のインクジェット用黒色系インク組成物である。
<3> 二酸化チタン粒子は、平均一次粒子径が10nm以上100nm以下である<1>又は<2>に記載のインクジェット用黒色系インク組成物である。
<4> カーボンブラック粒子の含有量が、組成物全質量に対して、1質量%以上6質量%以下である<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインクジェット用黒色系インク組成物である。
<5> 更に、沸点120℃以上の有機溶媒を含有する<1>〜<4>のいずれか1つに記載のインクジェット用黒色系インク組成物である。
<6> 有機溶媒の含有量が、組成物全質量に対して、10質量%以上55質量%以下である<5>に記載のインクジェット用黒色系インク組成物である。
<7> 沸点120℃以上の有機溶媒を少なくとも2種含有し、沸点120℃以上の有機溶媒のうち、1種の有機溶媒の沸点をBPaとし、他の1種の有機溶媒の沸点をBPbとした場合、120℃<BPa<BPb<250℃の関係を満たし、かつ、沸点120℃以上の有機溶媒のうち、1種の有機溶媒の、mN/mを単位とする表面張力をγaとし、他の1種の、mN/mを単位とする有機溶媒の表面張力をγbとした場合、γa<γbの関係を満たす、<5>又は<6>に記載のインクジェット用黒色系インク組成物である。
<8> γa及びγbは、γa<30mN/m<γbで表される関係を満たす、<7>に記載のインクジェット用黒色系インク組成物である。
<9> 更に、光硬化性モノマー及び光硬化性樹脂から選ばれる少なくとも一種の硬化性化合物を含有する<1>〜<8>のいずれか1つに記載のインクジェット用黒色系インク組成物である。
<10> <1>〜<9>のいずれか1つに記載のインクジェット用黒色系インク組成物の硬化物である遮光膜である。
<11> 屈折率が1.75以上である<10>に記載の遮光膜である。
<12> 染料の含有量が10質量%未満である<10>又は<11>に記載の遮光膜である。
<13> 光学部材に用いられる<10>〜<12>のいずれか1つに記載の遮光膜である。
<14> 基材と、<10>〜<13>のいずれか1つに記載の遮光膜と、を備えた光学部材である。
<15> 基材がガラス基材又は樹脂基材であり、ガラス基材又は樹脂基材の厚み方向を軸とした際の外周面に遮光膜を有する<14>に記載の光学部材である。
<16> 基材上に、<1>〜<9>のいずれか1つに記載のインクジェット用黒色系インク組成物をインクジェット法により付与する工程を有する画像形成方法である。
本発明の一実施形態によれば、黒系の色調を有し、高屈折率(好ましくは1.75以上)な膜が形成されるインクジェット用黒色系インク組成物が提供される。
本発明の他の実施形態によれば、黒系の色調を有し、高屈折率(好ましくは1.75以上)の遮光膜及び光学部材並びに画像形成方法が提供される。
以下、インクジェット用黒色系インク組成物、遮光膜及び光学部材、並びに、画像形成方法について詳細に説明する。
本明細書において、「黒色系」又は「黒系」とは、厚み1μmあたりの光学濃度(OD)が0.1以上(OD≧0.1/μm)であり、480nmの吸光度に対する580nmの吸光度の比が0.3〜3であることをいう。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
なお、本明細書において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。また、本明細書において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
<インクジェット用黒色系インク組成物>
本開示のインクジェット用黒色系インク組成物(以下、単に「本開示の黒系インク」又は「黒系インク」ともいう。)は、カーボンブラック粒子と、二酸化チタン粒子と、塩基性分散剤と、を含有し、二酸化チタン粒子の含有量を、組成物全質量に対して、15質量%以上45質量%以下とし、カーボンブラック粒子の含有量に対する二酸化チタン粒子の含有量の質量比を、2.0以上15.0以下としたものである。
遮光膜は、多岐の用途で使用されるに至っており、例えば光学用途にも利用されている。光学用途の一例として知られるレンズには、レンズの側面、つまり光の入射方向を軸としてみた際の外周面に遮光膜が付設され、これによりレンズ内における光の内面反射を抑えている。この内面反射を抑えるには、レンズの屈折率と遮光膜の屈折率とが近いこと、及び遮光膜自体が光を反射しにくいこと等が重要である。
一方、近年では、光学用ガラスとして屈折率が1.8以上の高屈折率のガラスが開発されている。この光学用ガラスを例えばレンズに用いた場合、遮光膜との間の屈折率の差が広がる結果、高屈折レンズとしての性能が十分に発揮できない状況と推察される。
従来の技術のうち、特開2011−186437号公報に記載の遮光膜等は、遮光膜自体の光吸収性の点では良好と考えられるものの、レンズと遮光膜の界面での内面反射については抑制効果に改善の余地があると推察される。加えて、特開2011−186437号公報に記載の技術は、反応性のエポキシ系塗料を用いた製膜法であるため、インクジェット法を利用した製膜法には適していない。
本開示では、上記に鑑み、インクジェット法に適用し得る黒系の色調のインク組成物として、黒系の色調を有しつつも、屈折率を高める観点から特定量の二酸化チタン粒子を含め、かつ、カーボンブラック粒子と二酸化チタン粒子とを、二酸化チタン粒子がカーボンブラック粒子より多い比率にて含有する。加えて、カーボンブラック粒子及び二酸化チタン粒子の異なる2種を良好に分散させる点から、塩基性分散剤を選択的に用いる。
これにより、黒系の色調としつつ、インクジェット適性と高屈折率化との両立を実現することができる。換言すると、本開示のインクジェット用黒色系インク組成物は、インクジェット適性を確保することができ、かつ、膜に光の吸収性(遮光性)を持たせながらも、膜の屈折率を飛躍的に高めることができる。
以下、本開示の黒系インクに含まれる各成分について説明する。
−カーボンブラック粒子−
本開示の黒系インクは、カーボンブラック粒子の少なくとも一種を含有する。
本開示の黒系インクは、黒色系の着色成分として、カーボンブラックを粒子成分として含有している。
カーボンブラックとしては、特に制限はなく、公知のカーボンブラックを用いることができる。カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
カーボンブラックの具体例としては、Raven1250、Raven1200、Raven1190 ULTRA、Raven1170、Raven1255、Raven1080ULTRA、Raven1060ULTRA、Raven1040、Raven1035、Raven1020、Raven1000、Raven900、Raven890、Raven850、Raven780ULTRA、Raven860Ultra、Raven520、Raven500、Raven450、Raven460、Raven415、Raven14、Conductex7055 Ultra(以上、コロンビアン・カーボン社製)、Regal400R、Regal330R、Regal660R、Mogul L、Black Pearls L、Regal99、Regal350、MONARCH280、MONARCH120(以上、キャボット社製)、Color Black S160、Color Black S170、Printex35、Printex U、Printex V、Printex140U、Printex140V、Printex300、Printex25、Printex200、PrintexA、PrintexG、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black4、Special Black550、Special Black 350、Special Black250、Special Black100、NEROX3500、NEROX1000、NEROX2500(以上、オリオンエンジニアドカーボンズ社製)、No.10、No.20、No.25、No.33、No.40、No.45、No.47、No.52、No.85、No.95、No.260、MA7、MA8、MA11、MA77、MA100、MA220、MA230、MA600(以上、三菱化学社製)等を挙げることができる。
但し、本開示は、これらに限定されるものではない。
カーボンブラックの平均一次粒子径としては、20nm〜100nmが好ましく、30nm〜80nmがより好ましい。
平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡TEM2010(加圧電圧200kV;日本電子株式会社製)を用いて撮影された画像から、任意に選択した一次粒子1000個の粒子径(面積円相当径)を測定してその算術平均として算出される値である。即ち、平均一次粒子径は、面積円相当径の算術平均粒子径を表す。
カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP;Dibutyl phthalate)吸収量には、特に制限はなく、色調とインク濃度の観点から、30ml/100g以上200ml/100g以下が好ましく、40ml/100g以上150ml/100g以下がより好ましい。
なお、DBP吸収量は、JIS K6221 A法(1982年)により測定される値である。
カーボンブラックのBET比表面積としては、インク濃度と保存安定性の観点から、30m/g以上450m/g以下が好ましく、200m/g以上400m/g以下がより好ましい。
カーボンブラック粒子の含有量としては、インクジェット用黒インク組成物の全質量に対して、1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1質量%以上6質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上4質量%以下であることが更に好ましい。
カーボンブラック粒子の含有量が1質量%以上であると、所望とする黒系の色調に調整しやすく、例えば遮光膜を形成する場合には遮光性能を付与しやすい。また、カーボンブラック粒子の含有量が10質量%以下であると、良好な経時安定性が得られやすい。カーボンブラック粒子の含有量は、経時安定性の点で7質量%以下がより好ましい。
−二酸化チタン粒子−
本開示の黒系インクは、二酸化チタン粒子の少なくとも一種を含有する。
本開示の黒系インクは、二酸化チタンを粒子成分として含有し、含有される二酸化チタンの粒子の形状には、特に制限はなく、粒状、針状などのいずれでもよい。
二酸化チタンの結晶構造には、ルチル型(正方晶)、アナターゼ型(正方晶)、ブルッカイト型(斜方晶)があり、特に制限されるものではない。中でも、好ましい二酸化チタンは、結晶の安定性及び入手性の観点から、ルチル型二酸化チタンが好ましい。
二酸化チタンは、気相法又は液相法で製造することができる。結晶性の高いものが得られやすい点で、気相法で製造された二酸化チタンが好ましい。また、二酸化チタンは、未処理のもの、表面処理されたもののいずれも使用可能である。二酸化チタンが表面処理されている場合の表面処理としては、アルミナ(Al)、シリカ(SiO)等の無機物による表面処理、又はチタンカップリング剤、シランカップリング剤、シリコーンオイル等の有機物による表面処理等が挙げられる。
二酸化チタンは、光触媒活性による有機物分解性を有するため、粒子表面をアルミナ等の無機酸化物で表面処理したもの、又は亜鉛、マグネシウム、ジルコニウム等を含有する無機水和物を被覆して表面処理したものが好ましい。また、粒子表面の酸性又は塩基性の状態を調整する点及び耐久性の点から、アルミナとシリカを併用して表面処理したものも好ましい。
二酸化チタンは、上市されている市販品を用いてもよい。
ルチル型二酸化チタンの市販品の例として、石原産業株式会社製のタイペーク(登録商標)Rシリーズ(ルチル型;例えば、R−550、R−630、R−680、R−820)、タイペークCRシリーズ(ルチル型;例えば、CR−50、CR−80)、同PFシリーズ、超微粒子酸化チタンTTOシリーズ(ルチル型;例えば、TTO−51シリーズ(例:TTO−51A、TTO−51B等)、TTO−55シリーズ(例:TTO−55A、TTO−55B等)、TTO−Sシリーズ(例:TTO−S−1等)、TTO−Vシリーズ(例:TTO−V−3等)、TTO−Fシリーズ、TTO−W−5シリーズ)、堺化学工業株式会社製の商品名:Rシリーズ、テイカ株式会社製のJRシリーズ、MTシリーズ、微粒子酸化チタンMTシリーズ(例えば、MT−01、MT−10EX、MT−05、MT−100S、MT−100SA、MT−500SA、MT−150EX、MT−150W)、チタン工業株式会社製のKURONOS KRシリーズ、富士チタン工業株式会社製のTRシリーズ等が挙げられる。
二酸化チタン粒子の平均一次粒子径としては、10nm以上300nm以下であることが好ましく、透明性が高く色調、屈折率に影響しにくく、分散性にも優れる観点では、10nm以上100nm以下であることが好ましく、10nm以上80nm以下であることがより好ましく、30nm以上80nm以下であることが更に好ましい。
二酸化チタンの平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡TEM2010(加圧電圧200kV;日本電子株式会社製)を用いて撮影された画像から、任意に選択した一次粒子1000個の粒子径(面積円相当径)を測定してその算術平均として算出される値である。ここでの平均一次粒子径は、面積円相当径の算術平均粒子径を表す。
二酸化チタン粒子の含有量の、既述のカーボンブラック粒子の含有量に対する質量比は、2.0以上15.0以下の範囲である。
カーボンブラック粒子に対する二酸化チタン粒子の含有比率が2.0以上であると、高い屈折率(1.75以上の屈折率)が得られやすく、かつ、良好な経時安定性が得られやすい。また、カーボンブラック粒子に対する二酸化チタン粒子の含有比率が15.0以下であると、カーボンブラック粒子による黒着色への影響が小さく、所望とする黒調が得られやすいので、遮光性を保持しやすい。
中でも、カーボンブラック粒子に対する二酸化チタン粒子の含有比率としては、上記と同様の理由から、3.0以上13.0以下がより好ましく、3.0以上10.0以下が更に好ましい。
二酸化チタン粒子の含有量は、インクジェット用黒色系インク組成物全質量に対して、15質量%以上45質量%以下の範囲である。二酸化チタン粒子の含有量が15質量%以上であると、高い屈折率(1.75以上の屈折率)が得られやすく、黒系インクの経時安定性の点でも有利である。また、二酸化チタン粒子の含有量が45質量%以下であると、良好な経時安定性が得られやすい。
中でも、二酸化チタン粒子の含有量としては、上記と同様の理由から、20質量%以上35質量%以下の範囲がより好ましく、23質量%以上32質量%以下の範囲が更に好ましい。
−塩基性分散剤−
本開示の黒系インクは、塩基性分散剤の少なくとも一種を含有する。塩基性分散剤を含有すると、分子内の塩基性の極性官能基が粒子表面に作用しやすく、二酸化チタン粒子とカーボンブラック粒子とを併用した場合の両者の分散安定性を良好に保つことが可能である。
塩基性分散剤は、塩基性の極性官能基を有するポリマーであり、重量平均分子量が1,000以上のものを意味する。なお、重量平均分子量は、GPCにより測定される値である。測定方法の詳細は、後述の光硬化性樹脂の項において詳述する。
塩基性分散剤における塩基性の極性官能基としては、例えば、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、含窒素複素環基などが挙げられる。中でも、分散性の点でアミノ基が好ましい。
塩基性分散剤のアミン価は、10mgKOH/g以上150mgKOH/gの範囲で選択することができ、10mgKOH/g以上80mgKOH/g以下であることが好ましい。
アミン価が10mgKOH/g以上であると、カーボンブラック粒子及び二酸化チタン粒子の両方の分散性を良好に保持することができ、高屈折率が得られやすい。また、アミン価が150mgKOH/g以下であると、カーボンブラック粒子及び二酸化チタン粒子の凝集を抑えて経時安定性を良好に保持し得、高屈折率を確保しやすくなる。
中でも、アミン価としては、高屈折率が得られ、黒系インクの経時安定性の点で、10mgKOH/g以上50mgKOH/g以下がより好ましい。
なお、アミン価とは、遊離塩基及び塩基の総量を示すもので、試料1gを中和するのに要する塩酸に対して当量の水酸化カリウムのmg数で表したものである。
アミン価はJIS−K7237(1995年)に準拠した方法で測定される値である。
塩基性分散剤としては、例えば、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルとの塩;長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルとの塩;ポリエステルポリアミン;ステアリルアミンアセテート;ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩もしくは(部分)アルキルアミン塩;不飽和ポリアミド;長鎖ポリアミノアミドリン酸塩;ポリエチレンイミン系化合物〔例:ポリ低級アルキレンイミンと遊離カルボキシ基含有ポリエステルとの反応物であるアミド〕;ポリアリルアミン系化合物〔例:ポリアリルアミンと遊離のカルボキシル基を有するポリエステル、ポリアミド及びポリエステルアミド(エステルとアミドの共縮合物)の3種から選ばれる少なくとも1種の化合物との反応生成物〕などが挙げられる。
中でも、ポリエステルポリアミン骨格を有する化合物、又はポリエチレンイミン骨格を有する化合物が好ましく、ポリエチレンイミン骨格を有する化合物が好ましい。
塩基性分散剤としては、上市されている市販品を使用してもよい。
市販品の例としては、日本ルーブルリゾール株式会社製のソルスパースシリーズ〔例えば、商品名:ソルスパース24000(アミン価:41.6mgKOH/g)、商品名:ソルスパース32000(アミン価:31.2mgKOH/g)、商品名:ソルスパース35100(アミン価:14mgKOH/g)、商品名:ソルスパース39000(アミン価:35.7mgKOH/g)、商品名:ソルスパース71000(アミン価:78mgKOH/g)、商品名:ソルスパースJ100、商品名:ソルスパースJ200等〕、ビックケミー・ジャパン株式会社製のDisperBYKシリーズ〔商品名:DisperBYK−109(アミン価:140mgKOH/g)、DisperBYK−162(アミン価:13mgKOH/g)、商品名:DisperBYK−163(アミン価:10mgKOH/g)、商品名:DISPERBYK−168(アミン価:11mgKOH/g)、商品名:DISPERBYK−2050(アミン価:30.7mgKOH/g)、商品名:DISPERBYK−2200(30.7mgKOH/g)、商品名:DISPERBYK−2150(アミン価:56.7mgKOH/g)等〕、ビックケミー・ジャパン株式会社製のBYKJETシリーズ〔商品名:BYKJET−9151(アミン価:17.2mgKOH/g)、商品名:BYKJET−9152(アミン価:27.3mgKOH/g)等〕、味の素ファインテクノ株式会社製のアジスパーシリーズ〔商品名:アジスパーPB821(アミン価:11.2mgKOH/g)、商品名:アジスパーPB−822(アミン価:18.2mgKOH/g)、商品名:アジスパーPB−881(アミン価:17.4mgKOH/g)、商品名:アジスパーPB−824(アミン価:17mgKOH/g)等〕、BASF社製のEFKA PX4731(アミン価:25mgKOH/g)などが挙げられる。
塩基性分散剤のインクジェット用黒色系インク組成物中における含有量としては、インクの全質量に対して、3質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
塩基性分散剤の含有量が3質量%以上であると、二酸化チタン粒子とカーボンブラック粒子とを併用した場合の両者の分散安定性を良好に保つのに適している。また、塩基性分散剤の含有量が20質量%以下であると、インクジェットの吐出安定性の点で有利である。
−沸点120℃以上の有機溶媒−
本開示の黒系インクは、沸点120℃以上の有機溶媒を含有することが好ましい。沸点120℃以上の有機溶媒を含有すると、本開示の黒系インクは顔料粒子を比較的多く含有するものの、インク粘度を低く維持しやすく、かつ、インク組成物の粘度上昇を抑えやすくなる。
沸点120℃以上の有機溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル(沸点:124℃)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点:143℃)、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート(沸点:146℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:162℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(DEGdEE)(沸点:180℃)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(沸点:179℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点:230℃)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点:255℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:216℃)等のグリコールエーテル系溶剤;安息香酸メチル(沸点:199℃)、安息香酸エチル(沸点:213℃)、安息香酸ブチル(沸点:250℃)等の安息香酸アルキル系溶剤;γブチロラクトン(沸点:204℃)、1,3−ブタンジオール(沸点:208℃)、シクロヘキサノン(沸点:156℃)、テルピネオール(沸点:218℃)、フェネトール(沸点:170℃)、イソホロン(沸点:215℃)、1,4−ブタンジオールジアセテート(沸点:232℃)、1,3−ブチレングリコールジアセテート(沸点:232℃)等が挙げられる。
有機溶媒は、2種以上を併用することが好ましい。有機溶媒を2種以上併用することにより、画像形成時と乾燥後の表面張力を変化させることが可能になり、画像形成時におけるパターニング性を向上させることができる。
有機溶媒を2種以上併用する場合、乾燥速度を制御する観点から、2種以上の、沸点120℃以上の有機溶媒のうち、1種の有機溶媒の沸点をBPaとし、他の1種の有機溶媒の沸点をBPbとした場合、下記式で表される関係を満たすことが好ましい。
120℃<BPa<BPb<250℃
更には、下記式で表される関係を満たすことが好ましい。
150℃<BPa<BPb<230℃
また、BPaとBPbの差の絶対値は、10℃〜50℃であることが好ましい。
沸点は、1気圧(101325Pa)下における沸点を意味する。
沸点は、沸点計により測定される値であり、例えばタイタンテクノロジーズ(株)製のDosaTherm300を用いて測定することができる。
また、有機溶媒を2種以上併用する場合、乾燥が進むにつれて表面張力を高くする観点から、2種以上の、沸点120℃以上の有機溶媒のうち、1種の有機溶媒の表面張力をγa(mN/m)とし、他の1種の有機溶媒の表面張力をγb(mN/m)とした場合、下記式で表される関係を満たすことが好ましい。
γa<γb
更には、下記式で表される関係を満たすことが好ましい。
γa<30mN/m<γb
なお、有機溶媒の表面張力は、表面張力計(DY−700、協和界面化学株式会社)を用い、液温30℃の条件で測定される値である。
表面張力の高い(好ましくは、表面張力が30mN/mを超える)有機溶媒としては、以下に示す溶媒が好ましい。
Figure 0006877633

表面張力の高い有機溶媒の中では、γブチロラクトン、安息香酸メチル、1,3ブタンジオール、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、テルピネオール、及びイソホロンから選ばれる少なくとも1種が好ましく、γブチロラクトン、安息香酸メチル、1,3ブタンジオール、テルピネオール、及びイソホロンから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
また、有機溶媒を2種以上用いる場合、表面張力の差の絶対値が5mN/m〜20mN/mである2種の有機溶媒を併用することが好ましい。
本開示の黒系インクが有機溶媒を含有する場合、有機溶媒の含有量としては、インクジェット用黒色系インク組成物の全質量に対して、10質量%以上55質量%以下であることが好ましく、30質量%〜50質量%がより好ましく、35質量%〜45質量%が更に好ましい。
有機溶媒の含有量が10質量%以上であると、インク組成物自体の粘度をインクジェット法で吐出するのに適した粘度に維持しやすい。また、有機溶媒の含有量が55質量%以下であると、黒色インクの経時安定性がより良好になり、かつ、吐出後の乾燥が容易に行える点で有利である。
−硬化性化合物−
本開示の黒系インクは、上記成分に加え、さらに硬化性化合物を含有し、硬化性に調製されていることが好ましい。黒系インクが硬化性を有することで、非吸収性基材(例えば、ガラス、プラスチック)への付着性が向上し、耐久性に優れたものとなる。
硬化性化合物としては、光硬化性モノマー及び光硬化性樹脂から選ばれる少なくとも一種の化合物が好ましい。
(光硬化性モノマー)
光硬化性モノマーは、重合性基を有する重合性モノマーを指し、単官能の重合性モノマー及び多官能の重合性モノマーが含まれる。重合性基とは、エチレン性不飽和二重結合を有する基のことである。
本開示の黒系インクは、単官能の重合性モノマー及び多官能の重合性モノマーから選ばれる少なくとも一種のモノマーを含有することが好ましく、単官能の重合性モノマー及び2官能の重合性モノマーから選ばれるモノマーを含有することがより好ましい。本開示の黒系インクは、3官能以上の重合性モノマーを含有することもできる。
更には、本開示の黒系インクの態様は、
1)単官能の重合性モノマーの少なくとも1種を含有し、2官能の重合性モノマーを含有しない態様であってもよいし、
2)2官能の重合性モノマーの少なくとも1種を含有し、単官能の重合性モノマーを含有しない態様であってもよいし、
3)単官能の重合性モノマーの少なくとも1種と2官能の重合性モノマーの少なくとも1種との両方を含有する態様であってもよい。
重合性モノマーは、黒系インクに光硬化性(即ち光によって硬化する性質)を付与する機能に加え、インクの液体状態を保持する機能をも有することができる。
単官能の重合性モノマーとしては、
N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;
2−フェノキシエチルアクリレート(PEA)、ベンジルアクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート(CTFA)、イソボルニルアクリレート(IBOA)、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、トリデシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート(TMCHA)、ジシクロペンテニルアクリレート(DCPA)、4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、カプロラクトン変性アクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレート等の単官能アクリレート化合物;
2−フェノキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート(IBOA)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート(TMCHA)、ジシクロペンテニルメタクリレート(DCPA)、4−t−ブチルシクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、カプロラクトン変性メタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールメタクリレート等の単官能メタクリレート化合物;
ノルマルプロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ノルマルブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル等の単官能ビニルエーテル化合物;
アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド、N−ドデシルアクリルアミド、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、等の単官能アクリルアミド化合物;
メタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−(メトキシメチル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−tert−ブチルメタクリルアミド、等の単官能メタクリルアミド化合物;
等が挙げられる。
2官能の重合性モノマーとしては、
ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ノナンジオールジアクリレート、デカンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール変性ビスフェノールAジアクリレート、ジオキサングリコールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート等の2官能アクリレート化合物;2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルアクリレート(VEEA);
1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル(DVE3)等の2官能ビニル化合物;
ヘキサンジオールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ノネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール変性ビスフェノールAジメタクリレート等の2官能メタクリレート化合物;
等が挙げられる
光硬化性モノマーとしては、上述の単官能の重合性モノマー及び2官能の重合性モノマーの他にも、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品、又は業界で公知の、単官能若しくは2官能の重合性モノマーを用いることができる。
光硬化性モノマーの重量平均分子量は、好ましくは100以上1,000未満であり、より好ましくは100以上800以下であり、更に好ましくは150以上700以下である。
光硬化性モノマーの本開示の黒系インクにおける含有量としては、黒系インクの全質量に対して、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。また、重合性モノマーの含有量の上限については、特に制限はなく、例えば、95質量%以下とすることができ、50質量%以下とすることができ、20質量%以下とすることができる。
(光硬化性樹脂)
光硬化性樹脂としては、重合性基を有し、光で重合反応して硬化する重合性樹脂を指し、重合性基を有するオリゴマー(光硬化性オリゴマー)及び重合性基を有するポリマー(光硬化性ポリマー)が含まれる。重合性基とは、エチレン性不飽和二重結合を有する基のことである。
光硬化性樹脂のベースとなる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリブタジエン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、硬化収縮低減の観点から、ハードセグメントとソフトセグメントを合わせ持ち、硬化時の応力緩和が可能な樹脂が好ましく、特にウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、及びエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることがより好ましい。
光硬化性樹脂に含まれる重合性基としては、エチレン性二重結合を含む基が好ましく、ビニル基及び1−メチルビニル基の少なくとも一方を含む基が更に好ましい。
重合性基としては、重合反応性及び形成される膜の硬度の観点から、(メタ)アクリロイル基が特に好ましい。
これらの重合性基は、高分子反応や共重合によって、樹脂(ポリマー又はオリゴマー)に導入することができる。
例えば、カルボキシ基を側鎖に有するポリマー(又はオリゴマー)とグリシジルメタクリレートとの反応、又はエポキシ基を有するポリマー(又はオリゴマー)とメタクリル酸等のエチレン性不飽和基含有カルボン酸との反応を利用することにより、ポリマー(又はオリゴマー)に重合性基を導入することができる。これらの基は併用してもよい。
光硬化性樹脂としては、上市されている市販品を用いてもよい。
重合性基を有するアクリル樹脂の市販品の例としては、(ACA)Z200M、(ACA)Z230AA、(ACA)Z251、(ACA)Z254F(以上、ダイセル・オルネクス(株))、ヒタロイド7975D(日立化成(株))等が挙げられる。
重合性基を有するウレタン樹脂の市販品の例としては、EBECRYL(登録商標)8402、EBECRYL(登録商標)8405、EBECRYL(登録商標)9270、EBECRYL(登録商標)8311、EBECRYL(登録商標)8701、KRM8667、KRM8528(以上、ダイセル・オルネクス(株))、CN964、CN9012、CN968、CN996、CN975、CN9782(以上、サートマー社)、UV−6300B、UV−7600B、UV−7605B、UV−7620EA、UV−7630B、UV−1700B(以上、日本合成化学(株))、U−6HA、U−15HA、U−108A、U−200PA、UA−4200(以上、新中村化学工業(株))、テスラック2300、ヒタロイド4863、テスラック2328、テスラック2350、ヒタロイド7902−1(以上、日立化成(株))、8UA−017、8UA−239、8UA−239H、8UA−140、8UA−585H、8UA−347H、8UX−015A(以上、大成ファインケミカル(株))等が挙げられる。
重合性基を有するポリエステル樹脂の市販品の例としては、CN294、CN2254、CN2260、CN2271E、CN2300、CN2301、CN2302、CN2303、CN2304(以上、サートマー社)、EBECRYL(登録商標)436、EBECRYL(登録商標)438、EBECRYL(登録商標)446、EBECRYL(登録商標)524、EBECRYL(登録商標)525、EBECRYL(登録商標)811、EBECRYL(登録商標)812(以上、ダイセル・オルネクス(株))等が挙げられる。
重合性基を有するポリエーテル樹脂の市販品の例としては、ブレンマー(登録商標)ADE−400A、ブレンマー(登録商標)ADP−400(以上、日油(株))等が挙げられる。
重合性基を有するポリカーボネート樹脂の市販品の例としては、ポリカーボネートジオールジアクリレート(宇部興産(株))等が挙げられる。
重合性基を有するエポキシ樹脂の市販品の例としては、EBECRYL(登録商標)3708(ダイセル・オルネクス(株))、CN120、CN120B60、CN120B80、CN120E50(以上、サートマー社)、ヒタロイド7851(日立化成(株))等が挙げられる。
重合性基を有するポリブタジエン樹脂の市販品の例としては、CN301、CN303、CN307(以上、サートマー社)等が挙げられる。
光硬化性樹脂の重量平均分子量は、密着性及び分散安定性の両立の観点から、好ましくは1000以上100000以下であり、より好ましくは1000以上40000以下であり、更に好ましくは1000以上10000以下である。
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される値である。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定は、測定装置として、HLC(登録商標)−8020GPC(東ソー(株))を用い、カラムとして、TSKgel(登録商標)Super Multipore HZ−H(4.6mmID×15cm、東ソー(株))を3本用い、溶離液として、THF(テトラヒドロフラン)を用いる。また、測定条件としては、試料濃度を0.45質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、及び測定温度を40℃とし、RI検出器を用いて行う。
検量線は、東ソー(株)の「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、及び「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
本開示のインク組成物が光硬化性樹脂を含有する場合、光硬化性樹脂の含有量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。また、光硬化性樹脂の含有量の上限については、特に制限はなく、例えば、95質量%以下とすることができ、50質量%以下とすることができ、20質量%以下とすることができる。
−光重合開始剤−
本開示の黒系インクは、更に、光重合開始剤を含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、活性エネルギー線を吸収して重合開始種であるラジカルを生成する公知の光重合開始剤を用いることができる。
活性エネルギー線としては、例えば、紫外線(UV)、可視光線、電子線等を挙げることができ、中でも、汎用性の観点から、紫外線が好ましい。
光重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類等のカルボニル化合物、(b)アシルホスフィンオキシド化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。
光重合開始剤は、上記(a)〜(m)の化合物を1種単独もしくは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(a)カルボニル化合物、(b)アシルホスフィンオキシド化合物、及び、(e)チオ化合物の好ましい例としては、”RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY”,J.P.FOUASSIER,J.F.RABEK(1993)、pp.77〜117に記載のベンゾフェノン骨格又はチオキサントン骨格を有する化合物等が挙げられる。
より好ましい例としては、特公昭47−6416号公報記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報記載のジアルコキシベンゾフェノン、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報記載のベンゾインエーテル類、特公平1−34242号公報、米国特許第4,318,791号パンフレット、ヨーロッパ特許0284561A1号公報に記載のα−アミノベンゾフェノン類、特開平2−211452号公報記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報記載のアシルホスフィン、特公昭63−61950号公報記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報記載のクマリン類等を挙げることができる。
また、特開2008−105379号公報、特開2009−114290号公報に記載の重合開始剤も好ましい。
光重合開始剤の中でも、(a)カルボニル化合物又は(b)アシルホスフィンオキシド化合物がより好ましく、具体的には、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(例えば、BASF社製のIRGACURE(登録商標)819)、2−(ジメチルアミン)−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジル−1−ブタノン(例えば、BASF社製のIRGACURE(登録商標)369)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(例えば、BASF社製のIRGACURE(登録商標)907)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(例えば、BASF社製のIRGACURE(登録商標)184)、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(例えば、BASF社製のIRGACURE(登録商標)2959)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキシド(例えば、DAROCUR(登録商標)TPO、LUCIRIN(登録商標)TPO(いずれもBASF社製))などが挙げられる。
これらの中でも、感度向上の観点及びLED光への適合性の観点等から、光重合開始剤としては、(b)アシルホスフィンオキシド化合物が好ましく、モノアシルホスフィンオキシド化合物(特に好ましくは、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキシド)、又は、ビスアシルホスフィンオキシド化合物(特に好ましくは、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド)がより好ましい。
光重合開始剤は、1種のみで用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本開示の黒系インクが光重合開始剤を含有する場合、光重合開始剤の含有量としては、インクジェット用黒色系インク組成物の全質量に対して、0.5質量%〜25.0質量%が好ましく、0.5質量%〜20.0質量%がより好ましく、1.0質量%〜15.0質量%が更に好ましい。
−他の成分−
本開示の黒系インクは、上記した各成分に加え、必要に応じて、更に他の成分を含有することができる。
(着色剤)
本開示の黒系インクは、黒系の色調及び高屈折率を損なわない範囲で、着色剤の少なくとも1種を含有していてもよい。
着色剤としては、上記のカーボンブラック及び二酸化チタン以外の顔料、染料等の公知の色材から任意に選択することができる。
しかしながら、本開示の黒系インクは、黒系の色調を有しつつ高い屈折率を確保する観点から、カーボンブラック粒子及び二酸化チタン粒子を用いた組成となっているため、着色剤の含有量は少ないことが好ましい。特に染料の含有量については、黒系インクの全質量に対して、10質量%未満が好ましく、1質量%未満がより好ましく、0.1質量%未満が更に好ましい。染料の含有量が10質量%未満であることは、染料を多く含む組成ではないことを示し、また、染料の含有量が0.1質量%未満であることは、染料を実質的に含有していないことを示す。
顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の有機顔料及び無機顔料などが挙げられる。また、染料で染色した樹脂粒子、市販の顔料分散体や表面処理された顔料(例えば、顔料を分散媒として水、液状化合物や不溶性の樹脂等に分散させたもの、及び、樹脂や顔料誘導体等で顔料表面を処理したもの等)も挙げられる。
有機顔料及び無機顔料としては、例えば、黄色顔料、赤色顔料、マゼンタ顔料、青色顔料、シアン顔料、緑色顔料、橙色顔料、紫色顔料、褐色顔料、黒色顔料、白色顔料等が挙げられる。
着色剤として顔料を用いる場合には、顔料粒子を調製する際に、必要に応じて顔料分散剤を用いてもよい。
顔料等の着色剤及び顔料分散剤については、特開2011−225848号公報の段落0152〜0158、特開2009−209352号公報の段落0132〜0149、等の公知文献を適宜参照することができる。
本開示の黒系インクが着色剤(染料を除く)を含有する場合、着色剤の含有量は、黒系インクの全質量に対して、例えば0.1質量%〜20質量%とすることができる。
なお、本開示の黒系インクは、着色剤を実質的に含有しないインクとして用いることも好ましい。ここで、「実質的に含有しない」とは、着色剤の含有量が黒系インクの全質量に対して0.1質量%未満であることをいう。
(バインダー)
本開示の黒系インクが硬化性化合物を含有しない場合には、バインダーを含有することができる。
バインダーとしては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、アクリル樹脂、ゴム系樹脂等の公知のバインダーポリマーを使用することができ、中でも、アクリル樹脂又はポリエステル樹脂が好ましく、不活性な、メチルメタクリレート単独重合体及び/又は共重合体がより好ましい。
バインダーは上市されている市販品を用いてもよく、例えば、Aldrich社製のポリメチルメタクリレート(分子量10,000、カタログ番号81497;分子量20,000、カタログ番号81498;分子量50,000、カタログ番号81501)、メチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート共重合体(質量比85/15、分子量75,000;カタログ番号474029)等;Lucite Intenational
社製のELVACITE2013(メチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート共重合体、質量比36/64、分子量37,000)、2021、2614、4025、4026、4028等;Rohm and Haas社製のParaloid DM55、B
66等;三菱レイヨン(株)製のBR113、115等が挙げられる。
バインダーポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1,000以上であることが好ましく、1,000〜1,000,000であることがより好ましく、5,000〜200,000であることが更に好ましく、8,000〜100,000であることが特に好ましい。
なお、重量平均分子量は、GPCによって測定される値であり、測定方法は、既述の光硬化性樹脂と同様である。
バインダーポリマーのガラス転移温度(Tg)としては、50〜120℃が好ましく、60〜100℃がより好ましい。Tgは、示差走査熱量測定(DSC)により測定される値である。
バインダーポリマーは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
(重合禁止剤)
本開示の黒系インクは、重合禁止剤を含有していてもよい。
重合禁止剤としては、p−メトキシフェノール、キノン類(例えば、ハイドロキノン、ベンゾキノン、メトキシベンゾキノン等)、フェノチアジン、カテコール類、アルキルフェノール類(例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等)、アルキルビスフェノール類、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅、サリチル酸銅、チオジプロピオン酸エステル類、メルカプトベンズイミダゾール、ホスファイト類、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル(TEMPOL)、クペロンAl、トリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン)アルミニウム塩などが挙げられる。
中でも、p−メトキシフェノール、カテコール類、キノン類、アルキルフェノール類、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl、及びトリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン)アルミニウム塩から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
本開示の黒系インクが重合禁止剤を含有する場合、重合禁止剤の含有量は、黒系インクの全質量に対して、0.01質量%〜2.0質量%が好ましく、0.02質量%〜1.0質量%がより好ましい。
(増感剤)
本開示の黒系インクは、補助的に増感剤を含有してもよい。
増感剤は、特定の活性エネルギー線を吸収して電子励起状態となる物質である。電子励起状態となった増感剤は、光重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱等の作用を生じる。これにより、光重合開始剤の化学変化、即ち、分解、ラジカル、酸又は塩基の生成等が促進される。
増感剤としては、例えば、ベンゾフェノン(BP)、チオキサントン、イソプロピルチオキサントン(ITX)、4−(ジメチルアミノ)安息香酸エチル(EDB)、アントラキノン、3−アシルクマリン誘導体、ターフェニル、スチリルケトン、3−(アロイルメチレン)チアゾリン、ショウノウキノン、エオシン、ローダミン、エリスロシン等が挙げられる。
また、増感剤としては、特開2010−24276号公報に記載の一般式(i)で表される化合物、及び特開平6−107718号公報に記載の一般式(I)で表される化合物も、好適に使用できる。
中でも、増感剤としては、発光ダイオード(LED)光への適合性及び光重合開始剤との反応性の観点から、チオキサントン、イソプロピルチオキサントン、4−(ジメチルアミノ)安息香酸エチル、及びベンゾフェノンから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
本開示の黒系インクが増感剤を含有する場合、増感剤の含有量は、0.5質量%〜10質量%が好ましい。
(界面活性剤)
本開示の黒系インクは、界面活性剤を含有していてもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載された界面活性剤が挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、脂肪酸塩等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、アセチレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、変性ポリジメチルシロキサン等のシロキサン類、等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤、カルボベタイン、スルホベタイン等のベタイン系界面活性剤が挙げられる。
本開示の黒系インクが界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量は、黒系インクの全質量に対して、0.01質量%〜5.0質量%が好ましい。
(水)
本開示の黒系インクは、少量の水を含有していてもよい。
本開示の黒系インクは、実質的に水を含有しない非水性インクであることが好ましい。具体的には、本開示の黒系インクの全質量に対する水の含有量は、好ましくは3質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下である。
(その他の成分)
本開示の黒系インクは、上記以外のその他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、紫外線吸収剤、共増感剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩等が挙げられる。その他の成分については、特開2011−225848号公報、特開2009−209352号公報等の公知文献を適宜参照することができる。
〜インクジェット用黒色系インク組成物の物性〜
(粘度)
本開示のインクジェット用黒色系インク組成物の25℃における粘度は、10mPa・s〜50mPa・sであることが好ましく、10mPa・s〜30mPa・sであることがより好ましく、10mPa・s〜25mPa・sであることが更に好ましい。インクの粘度は、例えば、含有される各成分の組成比を調整することによって調整できる。インクの粘度が上記好ましい範囲であると、インクジェット法による吐出時の吐出安定性をより向上させることができる。
粘度は、25℃に温調されたインク組成物に対して粘度計(VISCOMETER RE−85L、東機産業株式会社)を用いて測定される値である。
(表面張力)
本開示のインクジェット用黒色系インク組成物の30℃における表面張力は、20mN/m〜30mN/mであることが好ましく、23mN/m〜28mN/mであることがより好ましい。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙等の様々な基材に膜を形成する場合、濡れ性の点では30mN/m以下が好ましく、画像の滲み抑制及び浸透性の点では20mN/m以上が好ましい。
表面張力は、30℃に温調されたインク組成物に対して表面張力計(DY−700、協和界面化学株式会社)を用いて測定される値である。
<画像形成方法>
本開示の黒系インクは、膜の形成に好適に用いることができる。
画像形成は、インクジェット法を利用した方法により行え、好ましくは、基材上に、既述の本開示のインクジェット用黒色系インク組成物(黒系インク)をインクジェット法により付与する工程(以下、「付与工程」ともいう。)を有する方法(本開示の画像形成方法)により行うことができる。
本開示の画像形成方法は、付与工程後において、更に、基材上に付与された黒系インクに対して活性エネルギー線を照射する工程(以下、「照射工程」ともいう。)を有している態様が好ましい。黒系インクとして、硬化性化合物を含有するインクを用い、付与工程後に照射工程を設けることにより、基材に対して密着性により優れた膜を形成することができる。
なお、基材の詳細については、後述の遮光膜の項にて詳述する。
(付与工程)
付与工程では、基材上に本開示の黒系インクをインクジェット法により付与する。
インクジェット法による黒系インクの付与は、公知のインクジェット記録装置を用いて行うことができる。インクジェット記録装置としては、特に制限はなく、公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。
インクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、加熱手段を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、インク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドを備えたものが好ましい。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1pl〜100pl(より好ましくは8pl〜30pl)のマルチサイズドットを、好ましくは320dpi(dot per inch)×320dpi〜4000dpi×4000dpi(より好ましくは400dpi×400dpi〜1600dpi×1600dpi、さらに好ましくは720dpi×720dpi〜1600dpi×1600dpi)の解像度で吐出できるよう駆動可能なものが好ましい。
なお、dpiは、2.54cm(1inch)当たりのドット数を表す。
(照射工程)
照射工程は、基材上に付与された黒系インクに活性エネルギー線を照射する。
黒系インクに活性エネルギー線が照射されることで、黒系インク中の硬化性化合物の重合反応が進行する。結果、膜(例えば画像)を硬化させて定着し、膜強度を向上させることできる。
照射工程で照射する活性エネルギー線としては、例えば、紫外線(UV)、可視光線、電子線等を挙げることができ、中でも、汎用性の観点から、紫外線が好ましい。
活性エネルギー線のピーク波長は、200nm〜405nmであることが好ましく、220nm〜390nmであることがより好ましく、220nm〜385nmであることが更に好ましい。
活性エネルギー線が照射された照射面における照度は、例えば、10mW/cm〜2000mW/cmが好ましく、20mW/cm〜1000mW/cmがより好ましい。
活性エネルギー線を照射するための光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外(UV)蛍光灯、ガスレーザー、固体レーザー等が挙げられる。また、例示した光源の半導体紫外発光デバイスへの置き換えは、産業上及び環境上の点で有用である。
半導体紫外発光デバイスの中でも、LED(Light Emitting Diode)及びLD(Laser Diode)は、小型、高寿命、高効率、及び低コストであり、光源として期待されている。
上記のうち、光源としては、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、LED、又は青紫レーザーが好ましい。中でも、増感剤と光重合開始剤とを併用する場合は、波長365nm、405nmもしくは436nmの光照射が可能な超高圧水銀ランプ、波長365nm、405nmもしくは436nmの光照射が可能な高圧水銀ランプ、又は、波長355nm、365nm、385nm、395nmもしくは405nmの光照射が可能なLEDがより好ましく、波長355nm、365nm、385nmの光照射が可能なLEDが最も好ましい。
照射工程において、基材上に付与されたインク組成物に対する活性エネルギー線の照射時間は、例えば0.01秒間〜120秒間とすることができ、好ましくは0.1秒間〜90秒間である。
照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている照射条件及び照射方法を同様に適用することができる。
活性エネルギー線の照射方式として、具体的には、インク組成物の吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニット及び光源を走査する方式、又は、駆動を伴わない別光源によって活性エネルギー線の照射を行う方式が好ましい。
活性エネルギー線の照射は、インク組成物を着弾して加熱乾燥を行った後、一定時間(例えば0.01秒間〜120秒間、好ましくは0.01秒間〜60秒間)をおいて行うことが好ましい。
(加熱乾燥工程)
画像形成に際しては、必要に応じて、付与工程後、又は付与工程後であって照射工程前に、更に、加熱乾燥工程を設けてもよい。
加熱乾燥工程では、付与工程で基材上に付与された黒系インクを乾燥させる。
乾燥は、加熱手段を用いて行うことができる。
加熱手段には、特に制限はなく、例えば、ヒートドラム、温風器、赤外線ランプ、熱オーブン、ヒート板等を用いることができる。
乾燥時の加熱温度は、40℃以上が好ましく、40℃〜150℃程度がより好ましく、40℃〜80℃程度が更に好ましい。
なお、加熱時間は、黒系インクの組成及び膜(画像)の形成速度を加味して適宜設定することができる。
<遮光膜>
本開示の遮光膜は、既述の本開示のインクジェット用黒色系インク組成物の硬化物である。そのため、黒系の色調を有し、屈折率が高いものとなる。
本開示の遮光膜は、高屈折率の膜であり、屈折率としては1.75以上であることが好ましく、1.80以上であることがより好ましい。
屈折率は、波長590nmでエリプソメトリーによって測定される値であり、高速分光エリプソメーターM−2000(ジェー・エー・ウーラム・ジャパン株式会社)を用いて測定することができる。
本開示の遮光膜は、カーボンブラック粒子、二酸化チタン粒子、及び塩基性分散剤を少なくとも含有し、必要に応じて、硬化性化合物及び他の成分を含有することができる。カーボンブラック粒子、二酸化チタン粒子及び塩基性分散剤、並びに、硬化性化合物及び他の成分等の成分の詳細については既述の通りであり、ここでは説明を省略する。
遮光膜に含有される着色剤については、カーボンブラック及び二酸化チタン以外の顔料、染料等の公知の色材から任意に選択することができる。
既述の通り、本開示の遮光膜には、既述の黒系インクが用いられ、カーボンブラック粒子及び二酸化チタン粒子を用いた組成となっているため、着色剤の含有量は少ないことが好ましい。特に染料の含有量は、遮光膜の全質量に対して、10質量%未満が好ましく、1質量%未満がより好ましく、0.1質量%未満が更に好ましい。染料の含有量が10質量%未満であることは、染料を多く含む組成ではないことを示し、また、染料の含有量が0.1質量%未満であることは、染料を実質的に含有していないことを示す。
遮光膜の厚みとしては、0.5μm〜20μmの範囲とすることができ、0.5μm〜10μmの範囲が好ましく、0.5μm〜5μmの範囲がより好ましい。
本開示の遮光膜は、光を遮る用途のみならず、光を吸収する用途及び加飾機能を持たせる用途等にも使用することができる。
中でも、本開示の遮光膜は、光学部材に用いられることが好ましい。光学部材の詳細については後述する。
<光学部材>
本開示の光学部材は、基材と、上記した本開示の遮光膜と、を備えている。
本開示の光学部材は、既述の本開示のインクジェット用黒色系インク組成物を用いて形成された高屈折率の遮光膜を備えるので、基材と遮光膜との間の屈折率差が小さくなるように調整されており、入射光が基材内で内面反射した際の反射光を効果的に吸収することができる。
遮光膜の詳細については既述の通りであるので、記載を省略する。
−基材−
基材としては、特に制限されるものではなく、インクを吸収しない非吸収性基材及びインクを吸収する吸収性基材のいずれも用いることができる。
「非吸収性」とは、ASTM試験法のASTM D570で吸水率(質量%、24hr
.)が0.2未満である性状を指す。
非吸収性基材としては、ガラス基材、樹脂(プラスチック)基材〔例:ポリ塩化ビニル(PVC)基材、ポリスチレン(PS)基材、ポリカーボネート(PC)基材、ポリエステル基材(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート)、ポリオレフィン基材(例えば、ポリプロピレン(PP))、アクリル樹脂基材等〕などが挙げられる。
吸収性基材としては、紙、不織布などが挙げられる。
本開示の光学部材は、基材としてガラス基材又は樹脂基材を用いたものが好ましく、ガラス基材又は樹脂基材の厚み方向を軸とした際の外周面に遮光膜を有するものとすることができる。
光学部材の好ましい具体例として、レンズ、プリズム、光学用ガラス等が挙げられる。
光学部材が例えばレンズの場合、例えばガラス基材又は樹脂基材を用い、ガラス基材又は樹脂基材の厚み方向、つまり光の入射方向を軸とした際の同心円の外周面に遮光膜を有している。この場合、レンズ内に斜めに入射した光は、レンズを通り抜ける前にレンズ外周面(即ち、レンズと遮光膜との界面)にあたった際、遮光膜に吸収されて界面での内面反射を抑制することができる。これにより、画像に関係しない光が入射することによるフレア又はゴーストの発生を抑えることができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
(実施例1〜17、比較例1〜7)
−インク組成物の調製−
下記表1〜表2に示す各成分をそれぞれ混合し、ビーズミルNPM(シンマルエンタープライゼス社製)並びに循環式の配管及び投入タンクを使用して下記条件にて分散処理を行い、表1〜表2に示す組成のインク組成物5000gをそれぞれ調製した。
<分散条件>
ビーズ径:φ0.05mm
ビーズ充填率:60体積%
ミル周速:10m/秒
分散処理する混合液量:5000g
循環流量(ポンプ供給量):30kg/hour
処理液温度:25℃〜30℃
冷却水:水道水
処理時間:30パス
−製膜−
上記のようにして調製した各インク組成物を用い、ガラス基板(コーニング1737(コーニング社製)、厚さ0.7mm)上に各インクを滴下して、スピンコート法(2000rpm(revolutions per minute)、60秒)により塗布した。塗布膜を70℃の加熱炉で30分乾燥させ、乾燥後の塗布膜に対し、更に紫外発光ダイオードNC4U134(日亜化学工業株式会社製)を用いて紫外光(波長365nm)を、1200mJ/cmの露光エネルギー量(即ち紫外光の積算光量)にて照射し、塗布膜を硬化させた。
このようにして、硬化後の厚みが1.0μmの遮光膜を形成した。
−評価−
上記のようにして調製したインク組成物及び遮光膜に対して、以下の測定及び評価を行なった。測定及び評価の結果は、表1〜表3に示す。なお、表1の有機溶媒の欄に記載の「γ」、「b.m.」は、それぞれ「表面張力」、「沸点」を表す。
(1)遮光膜の屈折率
高速分光エリプソメーターM−2000(ジェー・エー・ウーラム・ジャパン株式会社)を用いて波長590nmにて遮光膜の屈折率を測定し、測定値をもとに以下の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
AA:屈折率が1.85以上である。
A:屈折率が1.80以上1.85未満である。
B:屈折率が1.75以上1.80未満である。
C:屈折率が1.75未満である。
(2)遮光膜の遮光性
遮光膜が形成されたガラス基板について、卓上式透過濃度計361T(X−Rite社製)を用い、透過での光学濃度(透過OD;「OD」はOptical Densityの略)を測定した。測定結果に基づき、以下の評価基準にしたがって評価した。
測定値が大きいほど、遮光性に優れていることを示す。
<評価基準>
AA:透過ODが0.4以上である。
A:透過ODが0.3以上0.4未満である。
B:透過ODが0.1以上0.3未満である。
C:透過ODが0.1未満である。
(3)インク組成物の経時安定性
上記のようにして調製した各インク組成物を温度60℃の環境下で7日間静置し、静置前後での平均粒子径の変動(粒径変動;%)を測定した。粒子変動は、下記式から算出した。そして、粒径変動の値を指標として、以下の評価基準にしたがって経時安定性を評価した。
粒径変動(%)=(静置後の平均粒子径)/(静置前の平均粒子径)×100
なお、平均粒子径の測定は、粒径アナライザー(FPAR、大塚電子(株)製)により行った。測定の際、濃度調整のための希釈溶剤として、ジエチレングリコールジエチルエーテルを用いた。
<評価基準>
AA:粒子変動が10%未満である。
A:粒子変動が10%以上15%未満である。
B:粒子変動が15%以上20%未満である。
C:粒子変動が20%以上25%未満である。
(4)パターニング性
塗布膜を形成する操作を、ラインパターン10本を描画する操作に変更したこと以外は、上記「−製膜−」と同様の操作を行い、狙いの線幅が1mmである遮光パターン(即ち、紫外光照射により硬化されたラインパターン)10本を形成した。
ここで、ラインパターンの形成は、富士フイルム株式会社製のインクジェットプリンターDMP−3000を用い、ガラス基板上にインクをインクジェット法により付与することにより行った。この際、ドット密度を1200dpi×1200dpiとし、インクジェットヘッドから吐出される1滴あたりのインク吐出量を10pL(ピコリットル)とした。
遮光パターン10本について、遮光パターン1本につき10箇所(即ち、合計で100箇所)の線幅を測定し、得られた測定値群の算術平均値として平均線幅を算出し、得られた平均線幅に基づき、下記式により線幅の平均変動幅を求めた。
線幅の平均変動幅(%)=(平均線幅−1)×100
求めた平均変動幅に基づき、下記評価基準によりパターニング性を評価し、表3に評価結果を示す。
下記評価基準において、パターニング性に最も優れるランクは、「A」である。
<評価基準>
A:平均変動幅が10%未満である。
B:平均変動幅が10%以上18%未満である。
C:平均変動幅が18%以上である。
D:吐出不良又はラインパターン描画不良のため、線幅の測定が不能である。
Figure 0006877633

Figure 0006877633

Figure 0006877633

表1及び表2に記載の各成分の詳細は、以下の通りである。
−カーボンブラック粒子−
Special black 250:オリオンエンジニアドカーボンズ社製(ファーネスブラック;平均一次粒子径:56nm、DBP吸収量:48ml/100g)
−チタニア粒子−
TTO−55A:石原産業株式会社製
(ルチル型;平均一次粒子径:50nm、表面処理:Al(OH)
R−550:石原産業株式会社製
(ルチル型;平均一次粒子径:240nm、表面処理:Al,Si)
−ジルコニア粒子−
TECNAPOW−ZNO:TECNAN社製(平均一次粒子径:15nm)
−分散剤−
EFKA PX4731:BASF社製(塩基性分散剤、アミン価:25mgKOH/g;ポリエチレンイミン骨格を有する化合物)
DisperBYK−168:ビックケミー・ジャパン株式会社製(塩基性分散剤、アミン価:11mgKOH/g)
solsperse71000:日本ルーブリゾール株式会社製(塩基性分散剤、アミン価:78mgKOH/g)
DisperBYK−109:ビックケミー・ジャパン株式会社製(塩基性分散剤 アミン価:140mgKOH/g)
solsperse39000:日本ルーブリゾール株式会社製(塩基性分散剤、アミン価:35.7mgKOH/g)
solsperse36000:日本ルーブリゾール株式会社製(酸性分散剤)
DisperBYK−111:ビックケミー・ジャパン株式会社製(酸性分散剤)
−硬化性化合物−
UV−1700B:ウレタンアクリレート(日本合成化学株式会社製;光硬化性オリゴマー)
PEA:2−フェノキシエチルアクリレート(単官能の光硬化性モノマー)
DPGDA:ジプロピレングリコールジアクリレート(2官能の光硬化性モノマー)
−光重合開始剤−
IRG819:IRGACURE(登録商標)819(BASF社製;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド))
IRG2959:IRGACURE(登録商標)2959(BASF社製;2−ヒドロキシ−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノン)
−重合禁止剤−
MEHQ:p−メトキシフェノール(東京化成工業株式会社製)
−有機溶媒−
・DEGdEE:ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点180℃、表面張力25.0mN/m)
表1及び表2に示すように、特定量の二酸化チタン粒子を含め、かつ、カーボンブラック粒子と二酸化チタン粒子とを、二酸化チタン粒子がカーボンブラック粒子より多い比率にて含有し、更に塩基性分散剤を選択的に用いた組成とした実施例では、遮光性が良好であり、かつ、高い屈折率が得られている。また、経時での分散安定性も良好であり、インクジェット適性に優れたものであった。
特に、二酸化チタン粒子の粒子サイズが大きい実施例7に比べ、二酸化チタン粒子の粒子サイズが100μm以下の実施例1等において、より高い屈折率が得られ、経時安定性の点でも優れていた。
また同様に、塩基性分散剤のアミン価が高めの実施例10に比べ、アミン価が80mgKOH/g以下の塩基性分散剤を用いた実施例1等において、より高い屈折率が得られ、経時安定性の点で優れていた。
更には、実施例2と実施例12との対比から、カーボンブラック粒子の含有量に対する二酸化チタン粒子の含有量の質量比は、13以下であることが好ましいことが分かる。
また、表3に示すように、一定の範囲で複数種の有機溶媒を組み合わせて用いた実施例13〜16では、実施例1に対し、パターニング性の点でより良好な結果が得られた。
これに対して、比較例では、実施例に比べて屈折率の向上効果に劣るか、又はインク組成物の経時安定性に劣る結果となっており、黒系の色調としつつ、インクジェット適性と高屈折率化との両立を実現することは困難であった。
本開示のインクジェット用黒色系インク組成物は、屈折率の高い黒系の色調が要求される用途に好適であり、高屈折率を有する点で加飾用途にも適用することができる。具体的な例として、カメラ、双眼鏡、顕微鏡、半導体露光装置等の光学機器に使用される光学素子(例:レンズ、プリズム、光学ガラス部材)用の遮光膜の用途、表面光沢を有する黒系の色調の加飾膜の用途に好適である。
また、本開示の遮光膜及び光学部材は、遮光が要求される用途に広く利用が可能である。
2018年3月27日に出願された日本出願特願2018−059958及び2019年2月13日に出願された日本出願特願2019−023498の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (16)

  1. カーボンブラック粒子と、二酸化チタン粒子と、塩基性分散剤と、を含有し、
    前記二酸化チタン粒子の含有量が、組成物全質量に対して、15質量%以上45質量%以下であり、
    前記カーボンブラック粒子の含有量に対する前記二酸化チタン粒子の含有量の質量比が、2.0以上15.0以下である、インクジェット用黒色系インク組成物。
  2. 前記塩基性分散剤は、アミン価が10mgKOH/g以上80mgKOH/g以下である請求項1に記載のインクジェット用黒色系インク組成物。
  3. 前記二酸化チタン粒子は、平均一次粒子径が10nm以上100nm以下である請求項1又は請求項2に記載のインクジェット用黒色系インク組成物。
  4. 前記カーボンブラック粒子の含有量が、組成物全質量に対して、1質量%以上6質量%以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット用黒色系インク組成物。
  5. 更に、沸点120℃以上の有機溶媒を含有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット用黒色系インク組成物。
  6. 前記有機溶媒の含有量が、組成物全質量に対して、10質量%以上55質量%以下である請求項5に記載のインクジェット用黒色系インク組成物。
  7. 前記沸点120℃以上の有機溶媒を少なくとも2種含有し、
    前記沸点120℃以上の有機溶媒のうち、1種の有機溶媒の沸点をBPaとし、他の1種の有機溶媒の沸点をBPbとした場合、120℃<BPa<BPb<250℃の関係を満たし、
    かつ、
    前記沸点120℃以上の有機溶媒のうち、1種の有機溶媒の、mN/mを単位とする表面張力をγaとし、他の1種の、mN/mを単位とする有機溶媒の表面張力をγbとした場合、γa<γbの関係を満たす、
    請求項5又は請求項6に記載のインクジェット用黒色系インク組成物。
  8. 前記γa及び前記γbは、γa<30mN/m<γbで表される関係を満たす、請求項7に記載のインクジェット用黒色系インク組成物。
  9. 更に、光硬化性モノマー及び光硬化性樹脂から選ばれる少なくとも一種の硬化性化合物を含有する請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のインクジェット用黒色系インク組成物。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のインクジェット用黒色系インク組成物の硬化物である遮光膜。
  11. 屈折率が1.75以上である請求項10に記載の遮光膜。
  12. 染料の含有量が10質量%未満である請求項10又は請求項11に記載の遮光膜。
  13. 光学部材に用いられる請求項10〜請求項12のいずれか1項に記載の遮光膜。
  14. 基材と、
    請求項10〜請求項13のいずれか1項に記載の遮光膜と、
    を備えた光学部材。
  15. 前記基材がガラス基材又は樹脂基材であり、
    前記ガラス基材又は前記樹脂基材の厚み方向を軸とした際の外周面に前記遮光膜を有する請求項14に記載の光学部材。
  16. 基材上に、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のインクジェット用黒色系インク組成物をインクジェット法により付与する工程を有する画像形成方法。
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