JP6877392B2 - 粒状組成物及びその製造方法、分散剤、並びに水硬性組成物 - Google Patents

粒状組成物及びその製造方法、分散剤、並びに水硬性組成物 Download PDF

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本発明は、粒状組成物及びその製造方法、分散剤、並びに水硬性組成物に関する。
リグニンは、樹木中に存在する天然高分子成分であり、木材を原料として使用する製紙産業で、大規模かつ商業的に発生している。例えば、クラフトパルプ廃液からはクラフトリグニンが得られ、亜硫酸パルプ廃液からはリグニンスルホン酸が得られる。クラフトリグニンとリグニンスルホン酸、又はそれらの加工品は、分散剤として染料、水硬性組成物(例えば、セメント、石膏)、無機及び有機顔料、石炭−水スラリー、農薬、窯業、油田掘削用泥水等の広範囲な工業分野で多用されている。
例えば、特許文献1には、スルホン基量及びカルボキシル基量、ならびに分子量が制御された変性リグニンスルホン酸塩の染料分散剤としての用途が開示されている。また、特許文献2には、所定範囲の分子量分布を有するリグニンスルホン酸とアクリル系又はビニル系モノマーとのグラフト共重合体の、セメント分散剤としての用途が開示されている。さらに、特許文献3には、油田掘削用泥水分散安定剤として、アクリル酸とリグニンスルホン酸塩とのグラフト共重合体が開示されている。そして、特許文献4には、リグニンスルホン酸塩とポリアルキレンオキシド鎖を有する水溶性単量体との反応物からなるリグニン誘導体が開示されている。
特開2002−146028号公報 特開平01−145358号公報 米国特許第4322301号明細書 特許第5769930号公報
上記の高性能リグニン誘導体は、液状品である。液状であると、施工現場で水分量を再計算する必要があるため、固形物であることが取扱い利便性の点で望まれている。また、液状物であると、固形品での個装形態などが困難で、施工現場にて所定量を計量する必要がある。
また、リグニン誘導体の固形物として使用する場合、モルタルやセメントペースト、生コン等に溶解し、所望の効果を発揮する必要がある。
本発明の課題は、分散剤用途等に利用でき、コンクリート等の施工現場等で簡便に使用でき、さらには水硬性組成物と混合したプレミックス用途にも使用できる高性能リグニン誘導体の固形物を提供することである。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、リグニンスルホン酸系化合物と芳香族系水溶性化合物との反応物であるリグニン誘導体を含み、所定の条件を満たすことにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明者らは、下記の〔1〕〜〔11〕を提供する。
〔1〕リグニンスルホン酸系化合物と芳香族系水溶性化合物との反応物であるリグニン誘導体を含み、下記条件(A)及び条件(B)を満たす粒状組成物。
条件(A):平均粒子径が30〜250μmの範囲にあること。
条件(B):粒度分布中、粒子径が100μm以下の蓄積面積が15.0%以上であること。
〔2〕下記条件(C)をさらに満たす上記〔1〕に記載の粒状組成物。
条件(C):タッピング見掛け比重が0.1〜0.7g/mlの範囲であること。
〔3〕前記リグニン誘導体が、アニオン性官能基を有する上記〔1〕又は〔2〕に記載の粒状組成物。
〔4〕前記リグニン誘導体が、アルキレンオキサイド平均付加モル数が25以上であるポリアルキレンオキシド鎖を有する、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の粒状組成物。
〔5〕前記リグニン誘導体において、前記リグニンスルホン酸系化合物〔L〕と前記芳香族系水溶性化合物〔M〕との反応重量比率(〔L〕/〔M〕)が1〜99/99〜1である、上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の粒状組成物。
〔6〕前記芳香族系水溶性化合物が、ポリアルキレンオキシド鎖を有する芳香族系水溶性化合物、カルボキシル基を有する芳香族系水溶性化合物、及びスルホ基を有する芳香族系水溶性化合物からなる群より選ばれる1以上を含む、上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の粒状組成物。
〔7〕前記芳香族系水溶性化合物の反応率が、50%以上であるリグニン誘導体を含む上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の粒状組成物。
〔8〕上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の粒状組成物を含有する分散剤。
〔9〕水硬性材料、及び上記〔8〕に記載の分散剤を含有する水硬性組成物。
〔10〕セメント組成物又は石膏組成物である、上記〔9〕に記載の水硬性組成物。
〔11〕リグニンスルホン酸系化合物と芳香族系水溶性化合物との反応物であるリグニン誘導体を含む液状組成物を調製する工程と、前記液状組成物を乾燥して乾燥固形物を得る工程と、を有し、前記乾燥固形物が、下記条件(A)及び条件(B)を満たす粒状組成物である、粒状組成物の製造方法。
条件(A):平均粒子径が30〜250μmの範囲にあること。
条件(B):粒度分布中、粒子径が100μm以下の蓄積面積が15.0%以上であること。
本発明によれば、分散剤用途等に利用でき、コンクリート等の施工現場等で簡便に使用でき、さらには水硬性組成物と混合したプレミックス用途にも使用できる高性能リグニン誘導体の固形物を提供することができる。
図1は、製造例1で製造したリグニン誘導体(1)の粒度分布を示すチャートである。 図2は、製造例2で製造したリグニン誘導体(2)の粒度分布を示すチャートである。 図3は、市販品であるサンフローRHの粒度分布を示すチャートである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。なお、本明細書中、「AA〜BB」という表記は、AA以上BB以下を意味する。
[1.粒状組成物]
本発明の粒状組成物は、リグニンスルホン酸系化合物と芳香族系水溶性化合物との反応物であるリグニン誘導体を含み、条件(A)及び条件(B)を満たすものであり、条件(C)をさらに満たすものであることが好ましい。
条件(A):平均粒子径が30〜250μmの範囲にあること。
条件(B):粒度分布中、粒子径が100μm以下の蓄積面積が15.0%以上であること。
条件(C):タッピング見掛け比重が0.1〜0.7g/mlの範囲であること。
[条件(A)]
条件(A)は、平均粒子径が30〜250μmの範囲にあることである。平均粒子径が30〜250μmの範囲にあるので、粉舞が少なく、また溶解性にも優れる。
なお、条件(A)で特定する平均粒子径は、粉末サンプル3gをレーザー回折式粒度分布測定装置(マスターサイザー3000(Malvern社製))により、乾式条件で測定し得られた分子量分布より、横軸を粒度(μm)、縦軸を体積(%)として表し、蓄積分布が50%となる値である。
[条件(B)]
条件(B)は、粒度分布中、粒子径が100μm以下の蓄積面積が15.0%以上であることである。粒度分布の上限としては、95.0%以下が好ましく、85.0%以下がさらに好ましい。粒度分布中、粒子径が100μm以下の蓄積面積が上記範囲であることで、水硬性組成物に添加した際に、均一に混合しやすい。
なお、条件(B)で特定する粒度分布は、各粉末サンプル3gをレーザー回折式粒度分布測定装置(マスターサイザー3000(Malvern社製))により、乾式条件で測定し得られた分子量分布より、横軸を粒度(μm)、縦軸を体積(%)とした蓄積分布である。また、蓄積面積は、該蓄積分布の粒子径が100μm以下の蓄積面積である。
[条件(C)]
条件(C)は、タッピング見掛け比重が0.1〜0.7g/mlの範囲であることである。タッピング見掛け比重が0.1〜0.7g/mlの範囲であると、粉舞を低減でき、かつ溶液への溶解性にも優れるものとし得る。
条件(C)は、次のようにして測定した値である。まず、粒状組成物を目盛り付試験管(容量20mL)に10〜15g採取する。試験管を比容積試験機(石山科学機器製作所製)にかけて落下高さ5cmで50回振動(40回転/min)し、試験管の容積を測定する。測定結果を下記式に代入することでタッピング見掛け比重を算出する。
式:タッピング見掛け比重(g/mL)=粒状組成物の質量(g)/振動後の試験管の容積(mL)
[制御方法]
条件(A)〜(C)は、リグニンスルホン酸系化合物と芳香族系水溶性化合物との反応条件と、反応物を乾燥する条件を適宣設計することで調整し得る。より詳細には、反応開始剤の種類や量、酸触媒の種類や量、反応液の濃度、リグニンスルホン酸系化合物と芳香族系水溶性化合物の比率、芳香族系水溶性化合物の側鎖官能基の種類や量、反応温度、反応時間、乾燥条件等を適宣変更することで調整し得る。
[1−1.リグニン誘導体]
リグニン誘導体は、リグニンスルホン酸系化合物と芳香族系水溶性化合物との反応物である。リグニン誘導体は、通常、リグニンスルホン酸系化合物由来の構成単位と芳香族系水溶性化合物由来の構成単位とを含むポリマーである。なお、リグニン誘導体は、他の芳香族系化合物〔E〕由来の構成単位を含んでもよい。
リグニン誘導体は、その分子中にアニオン性官能基及び/又はポリアルキレンオキシド鎖を有することが好ましい。これにより得られる分散剤の分散性が向上し得る。
アニオン性官能基とは、水中でアニオンの形態をとる官能基を意味し、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基(スルホン酸基)、リン酸基、フェノール性水酸基が挙げられる。このうち、カルボキシル基、スルホ基が好ましい。
アニオン性官能基は、リグニン誘導体のうち、芳香族系水溶性化合物由来の構成単位に含まれていてもよいし、リグニンスルホン酸系化合物由来の構成単位の一部に含まれていてもよいし、両者に含まれていてもよい。
なお、リグニン誘導体中のアニオン性官能基は、NMR、IR等の機器分析により、定量・定性的に観測できる。
リグニン誘導体は、その分子中にポリアルキレンオキシド鎖を有することが好ましい。ポリアルキレンオキシド鎖を構成するアルキレンオキシド単位の炭素原子数は特に限定されず、通常、2〜18であり、好ましくは2〜4であり、より好ましくは2〜3である。アルキレンオキシド単位としては、例えば、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位、ブチレンオキシド単位が挙げられる。中でも、エチレンオキシド単位又はプロピレンオキシド単位が好ましい。
アルキレンオキシド単位の平均付加モル数は、25以上が好ましく、30以上がより好ましく、35以上がさらに好ましい。これにより、分散性が良好となり得る。上限は、300以下が好ましく、200以下がより好ましく、150以下がさらに好ましい。これにより分散保持性の低下が抑制され得る。従って、平均付加モル数は、好ましくは25〜300であり、より好ましくは30〜200であり、さらに好ましくは35〜150である。
ポリアルキレンオキシド鎖は、リグニン誘導体のうち、リグニンスルホン酸系化合物由来の構成単位の一部に含まれていてもよいし、芳香族系水溶性化合物に由来する構成単位に含まれていてもよいし、両者に含まれていてもよく、後者に含まれることが好ましい。 なお、リグニン誘導体中のポリアルキレンオキシド鎖は、NMR、IR等の機器分析により、定量・定性的に観測することができる。
以下、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族系水溶性化合物、他の芳香族系化合物、リグニン誘導体の調製、リグニン誘導体の物性の順に説明する。
[1−1−1.リグニンスルホン酸系化合物]
リグニンスルホン酸系化合物とは、リグニンのヒドロキシフェニルプロパン構造の側鎖α位の炭素が開裂してスルホ基が導入された骨格を有する化合物である。上記骨格部分の構造を式(1)に示す。
Figure 0006877392
リグニンスルホン酸系化合物は、上記式(1)で示される骨格を有する化合物の変性物(以下、「変性リグニンスルホン酸系化合物」ともいう)であってもよい。変性方法は特に限定されないが、加水分解、アルキル化、アルコキシル化、スルホン化、スルホン酸エステル化、スルホメチル化、アミノメチル化、脱スルホン化など化学的に変性する方法;リグニンスルホン酸系化合物を限外濾過により分子量分画する方法が例示される。このうち、化学的な変性方法としては、加水分解、アルコキシル化、脱スルホン化及びアルキル化から選ばれる1又は2以上の変性方法が好ましい。
リグニンスルホン酸系化合物は、塩の形態を取りうる。塩としては、例えば、一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩が挙げられる。これらの中でも、カルシウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、カルシウム・ナトリウム混合塩等が好ましい。
リグニンスルホン酸系化合物の製造方法及び由来は特に限定されず、天然物及び合成品のいずれでもよい。リグニンスルホン酸系化合物は、酸性条件下で木材を蒸解して得られる亜硫酸パルプの廃液の主成分の一つである。このため、亜硫酸パルプ廃液由来リグニンスルホン酸系化合物を用いてもよい。
リグニンスルホン酸系化合物(変性リグニンスルホン酸系化合物)は、市販品に豊富に含まれているので、本発明においてはこのような市販品を用いてもよい。市販品としては、バニレックスHW(日本製紙社製)、サンエキスM(日本製紙社製)、パールレックスNP(日本製紙社製)、サンフローRH(日本製紙社製)が例示される。
リグニンスルホン酸系化合物は、通常、芳香族系水溶性化合物と反応し得る官能基部位を少なくとも1つ有している。斯かる部位としては、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基(フェノール性水酸基、アルコール性水酸基)、チオール基、スルホ基、芳香環、エーテル結合、アルキル鎖が挙げられる。
[1−1−2.芳香族系水溶性化合物]
芳香族系水溶性化合物とは、芳香族骨格を少なくとも1つ有し、水溶性を示す化合物を意味する。芳香族系水溶性化合物は、亜硫酸パルプ廃液、すなわち亜硫酸パルプ廃液の主成分と反応し得る化合物が好ましく、リグニンスルホン酸系化合物に含まれる官能基(例えば、フェノール性水酸基やアルコール性水酸基、カルボキシル基、チオール基)と化学反応により結合しうる化合物が好ましい。化学反応の形式も特に限定されず、ラジカル反応、イオン結合、配位結合、縮合反応、加水分解を伴う反応、脱水を伴う反応、酸化を伴う反応、還元を伴う反応、中和を伴う反応が例示される。
芳香族系水溶性化合物は、極性基を少なくとも1つ有することが好ましい。これにより、リグニンスルホン酸系化合物に対し反応性が良好となる。極性基は、イオン性官能基であってもよい。極性基としては、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホ基、ニトロキシル基、カルボニル基、リン酸基、アミノ基、エポキシ基等の官能基が挙げられる。芳香族系水溶性化合物は、1種単独でもよく、2種類以上の組み合わせでもよい。
芳香族系水溶性化合物としては、例えば、下記〔A〕〜〔D〕が挙げられる。芳香族系水溶性化合物は、〔A〕〜〔C〕から選ばれる少なくとも1つが好ましく、〔A〕のみ、或いは〔A〕と〔B〕及び/又は〔C〕との組み合わせがより好ましい。
(〔A〕ポリアルキレンオキシド鎖を有する芳香族系水溶性化合物)
ポリアルキレンオキシド鎖(基)を構成するアルキレンオキシド単位の炭素原子数は特に限定されず、通常、2〜18であり、好ましくは2〜4であり、より好ましくは2〜3である。アルキレンオキシド単位としては、例えば、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位、ブチレンオキシド単位が挙げられる。中でも、エチレンオキシド単位又はプロピレンオキシド単位が好ましい。
アルキレンオキシド単位の平均付加モル数は、25以上が好ましく、30以上がより好ましく、35以上がさらに好ましい。これにより、分散性が良好となり得る。上限は、300以下が好ましく、200以下がより好ましく、150以下がさらに好ましい。これにより、分散保持性の低下が抑制され得る。従って、平均付加モル数は、好ましくは25〜300であり、より好ましくは30〜200であり、さらに好ましくは35〜150である。なお、上述の平均付加モル数は目安であり、上述の範囲を満たすか否かに拘らず、〔A〕は、アルキレンオキシド単位が繰り返し付加していないもの(モノアルキレンオキシド基)を有していてもよい。
ポリアルキレンオキシド鎖は、1種単独又は2種以上のアルキレンオキシド基から構成され得る。2種以上のアルキレンオキシド基から構成されるポリアルキレンオキシド鎖の、各アルキレンオキシド基の付加形態は、ランダム、ブロック及びこれらの混合のいずれでもよい。ポリアルキレンオキシド鎖の末端のユニットは、通常、ヒドロキシル基であるが、これに限定されず、リグニンスルホン酸系化合物との結合を妨げない限りにおいて、アルキルエーテル又はカルボン酸エステルであってもよい。
〔A〕としては、例えば、フェノール、クレゾール、ノニルフェノール、ナフトール、メチルナフトール、ブチルナフトール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族化合物へのオキシアルキレン基付加物が挙げられる。より詳しくは、ポリアルキレンオキシドアルキルフェニルエーテル類、ポリアルキレンオキシドフェニルエーテル類、ポリアルキレンオキシドアルキルナフチルエーテル類、ポリアルキレンオキシドナフチルエーテル類が挙げられる。これらの中でも、共縮合性が良好となり得るので、ベンゼン環誘導体が好ましく、ポリアルキレンオキシドアルキルフェニルエーテル類及びポリアルキレンオキシドフェニルエーテル類の少なくともいずれかがより好ましく、ポリアルキレンオキシドフェニルエーテル類(中でも、フェノールへのオキシアルキレン基付加物)(例えば、ポリ(エチレンオキシド)モノフェニルエーテル、ポリ(プロピレンオキシド)モノフェニルエーテル、エチレンオキシド単位及びプロピレンオキシド単位の平均付加モル数の好ましい範囲は上述のとおり)がさらに好ましい。〔A〕は、1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
(〔B〕カルボキシル基を有する芳香族系水溶性化合物)
〔B〕としては、例えば、少なくとも1つのカルボキシル基を有する、ナフタレン環又はベンゼン環誘導体が挙げられる。より詳細には、イソフタル酸、オキシナフトエ酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、これらの異性体が挙げられる。反応性が良好であるため、o−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸が好ましい。〔B〕は、1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
(〔C〕スルホ基を有する芳香族系水溶性化合物)
〔C〕としては、例えば、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルフェノールスルホン酸、アニリンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸が挙げられる。より詳細には、ナフタレンスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、アニリンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、これらの異性体及び縮合物が挙げられる。縮合物としては、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。反応性が良好であるため、スルホ基を有するフェノール誘導体、アニリンスルホン酸が好ましく、フェノールスルホン酸、アニリンスルホン酸がより好ましい。〔C〕は、1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
(〔D〕他の芳香族系水溶性化合物)
〔D〕としては、〔A〕〜〔C〕以外の芳香族系水溶性化合物であればよく、例えば、フェノール、クレゾール等の(アルキル)フェノールが挙げられる。〔D〕は、1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
[1−1−3.〔E〕他の芳香族系化合物]
〔E〕としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン等の単純芳香族炭化水素化合物が挙げられる。〔E〕は、1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
芳香族系水溶性化合物や他の芳香族系化合物の反応比率は特に規定されないが、〔A〕:〔B〕:〔C〕:(〔D〕+〔E〕)=50〜100重量%:0〜50重量%:0〜50重量%:0〜10重量%となる比率であることが好ましい。但し、〔A〕+〔B〕+〔C〕+〔D〕+〔E〕=100重量%である。
[1−1−4.リグニン誘導体の調製]
リグニン誘導体の調製は、リグニンスルホン酸系化合物、芳香族系水溶性化合物、必要に応じて他の芳香族系化合物を反応させる方法であればよい。例えば、リグニンスルホン酸系化合物と芳香族系水溶性化合物とを化学的に結合する方法(リグニンスルホン酸系化合物中の官能基(例えば、フェノール性水酸基やアルコール性水酸基、カルボキシル基、チオール基)と、芳香族系水溶性化合物中の官能基とを結合させる方法、或いはリグニンスルホン酸系化合物の芳香族骨格部分と芳香族系水溶性化合物や他の芳香族系化合物を反応させる方法)が挙げられる。
リグニンスルホン酸系化合物と芳香族系水溶性化合物とを化学的に結合する方法としては、リグニンスルホン酸系化合物に芳香族系水溶性化合物を縮合(例えば、ホルムアルデヒド縮合)させる方法、ラジカル反応、イオン結合が例示される。より詳細には、リグニンスルホン酸系化合物にホルムアルデヒドを付加し、芳香族系水溶性化合物と結合させる方法;リグニンスルホン酸系化合物にラジカル開始剤を作用させる等して水素ラジカルを引き抜き、発生させたラジカルと少なくとも1種類の芳香族系水溶性化合物をラジカル反応させる方法が挙げられる。
反応温度は、用いる溶媒によって適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、通常、0〜200℃であり、好ましくは45〜150℃である。また、反応溶媒として低沸点の化合物を用いる場合には、反応速度を向上させるために、オートクレーブを用いて加圧下で反応させることが好ましい。
リグニンスルホン酸系化合物に芳香族系水溶性化合物を反応させる際には、溶液反応及び塊状反応のいずれの反応形式もとりうる。溶液反応の場合には、溶媒を用いてもよい。溶媒としては、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサン、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類が挙げられる。中でも、水及び低級アルコールの少なくともいずれかを用いることが好ましく、水を用いることがより好ましい。これにより、原料単量体及び得られる共重合体の溶解性の面や、脱溶媒工程を省略できる。
なお、溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用(例えば、水−アルコール混合溶剤)してもよい。
リグニン誘導体の調製時に、消泡剤を使用してもよい。これにより、反応中の発泡を抑制することができ、均一な反応系を構築できる。
リグニン誘導体の調製においては、反応を安定に進行させることが好ましい。そのために、溶液重合により反応させる場合には、使用する溶媒の25℃における溶存酸素濃度を、好ましくは5ppm以下、より好ましくは0.01〜4ppm、さらに好ましくは0.01〜2ppm、さらにより好ましくは0.01〜1ppmの範囲に調節し得る。溶存酸素濃度の調節は、反応槽で行ってもよく、反応前に予め済ませてもよい。
反応の進行は、粘度の明確な増大によって特徴付けられる。所望の粘度に達した時に、冷却又は中和によって反応を停止すればよい。
リグニン誘導体の調製において、縮合粘度と縮合時間をコントロールするために水の添加調整を行ってもよい。また、反応中のpHを適当な数値となるように調整してもよい。反応は、通常、酸性条件下で行う。スルホ基を有する芳香族化合物及びこれに含まれる未反応の酸により反応系がすでに酸性の場合、このまま酸性領域で反応を行えばよい。また、反応系が酸性ではない場合、予め塩酸、リン酸、硫酸、硝酸、p−トルエンスルホン酸等の酸触媒を加えてpH2以下にして反応を行ってもよい。好ましい酸は、硫酸であるが、上記具体例以外でもよく、限定されない。
リグニン誘導体を構成するリグニンスルホン酸系化合物〔L〕と芳香族系水溶性化合物〔M〕との反応重量比率(〔L〕/〔M〕)は、特には限定されないが、好ましくは99〜1/1〜99(重量%)であり、より好ましくは90〜2/10〜98(重量%)であり、さらに好ましくは70〜5/30〜95(重量%)である。芳香族系水溶性化合物〔M〕の比率が1.0重量%以上であることにより、得られるリグニン誘導体は、元来リグニン骨格が有する性能、すなわち分散性を向上させる効果を発現できる。一方、芳香族系水溶性化合物〔M〕の比率が99重量%以下であることにより、分子量が適度な範囲となり、凝集性の発揮が抑制され、分散性能を発揮できる。〔L〕/〔M〕は、(反応前のリグニンスルホン酸系化合物の固形分重量)/(反応前の芳香族系水溶性化合物の固形分重量)で定義され、後述の実施例でもこの方法で測定している。
芳香族系水溶性化合物の反応率は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上である。該反応率が50%以上であることにより、得られるリグニン誘導体の分散性が良好に発揮され得る。芳香族系水溶性化合物の反応率は、以下のようにして測定でき、後述の実施例でもこの方法で測定している。まず、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)測定において、UV(検出波長280nm)を用いた場合の、反応前後のピーク面積を比較する。次に、反応前のピーク面積を〔b〕、反応後のピーク面積を〔a〕とした場合に、反応率を式:(〔b〕−〔a〕)/〔b〕で算出し得る。
リグニン誘導体の調製の際の原料として使用されるリグニンスルホン酸系化合物は、粉末乾燥処理等の処理を経た粉末加工品を用いてもよい。粉末状であることにより取り扱いが容易となる。
なお、リグニン誘導体の化学構造を、一般式などで一律に特定することは困難である。その理由は、リグニン誘導体を構成するリグニンスルホン酸系化合物の骨格であるリグニンが非常に複雑な分子構造をしているためである。
縮合反応終了後の反応溶液を、8.0〜13.0のpH条件下で60〜120℃の温度での熱による後処理に付すことが好ましい。熱による後処理は、通常、10分〜3時間連続して行われる。これにより反応溶液のアルデヒド含有量(例えば、ホルムアルデヒド含有量)を著しく低減し得る。上記のいわゆるカニッツァロ反応による遊離ホルムアルデヒドの除去に加え又はこれに替えて、当然ながら、例えば、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂及びフェノール−ホルムアルデヒド樹脂の化学の分野で既知の、過剰のホルムアルデヒドを低減させる他の方法を行ってもよい。このような方法としては、例えば、ホルムアルデヒド吸収剤の添加(亜硫酸水素ナトリウムの少量添加、過酸化水素の添加)が挙げられる。
反応溶液のpHを1.0〜4.0、好ましくは1.5〜2.0に調整し、それにより反応生成物を固体として沈殿させて反応容器の底に沈降させてもよい。この場合、次いで、上清の塩水溶液を分離除去する。そして、残存する大半が塩不含である遊離反応生成物を、所望の固体濃度が得られるような量の水にて再度溶解してリグニン誘導体を取得できる。
中和は、反応生成物及び触媒を中和できる中和剤を用いればよい。中和剤としては、塩基性化合物(その塩及び水酸化物を含む)が挙げられる。より詳細には、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、Ba(OH)等の塩基性化合物が挙げられる。これにより、可溶性の低い硫酸カルシウム、硫酸バリウムが遊離型の硫酸と共に形成され、石膏等の形態で沈殿する。そのため、その後の濾過により沈殿物を分離除去でき、塩不含のポリマーを得ることができる。さらに、透析又は限外濾過によって、望ましくない硫酸ナトリウムを分離除去してもよい。
塩基性化合物の添加及び中和において、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、それらの水和物等の副生成物が生じる場合には、反応後の加温状態で塩基性化合物を添加し、加温状態を保つことでその副生成物の除去性を向上させることが好ましい。加温は、40℃以上への加温が好ましい。加温状態の保持時間は、30分以上が好ましい。
リグニン誘導体は、上述した反応により得られる反応生成物であればよく、遊離酸及びその中和塩のいずれでもよい。ポリマーの保存及び使用が容易であることから、中和塩が好ましい。反応生成物の中和塩としては、例えば、ナトリウム塩又はカリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;有機アミンの塩が挙げられる。
得られたリグニン誘導体は、反応終了後、必要に応じて、濃度調整を行ってもよい。
[1−1−5.リグニン誘導体の物性]
リグニン誘導体の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、好ましくは1,000〜500,000であり、より好ましくは2,000〜300,000であり、さらに好ましくは5,000〜100,000である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)にてポリエチレングリコール換算する公知の方法にて測定できる。
GPCの測定条件は、以下の条件である。
測定装置;東ソー製
使用カラム;Shodex Column OH−pak SB−806HQ、SB−804HQ、SB−802.5HQ
溶離液;0.05mM硝酸ナトリウム/アセトニトリル 8/2(v/v)
標準物質;ポリエチレングリコール(東ソー製又はGLサイエンス製)
検出器;示差屈折計(東ソー製)
[1−2.任意成分]
本発明の粒状組成物は、本発明の効果を損なわない限り、リグニン誘導体に加えて任意成分を含んでもよい。任意成分としては、未反応のリグニンスルホン酸系化合物、未反応の芳香族系水溶性化合物等の原料成分に加え、水硬性組成物分散剤(例えば、セメント分散剤、石膏分散剤)、油田掘削用泥水分散剤、染料分散剤、キレート剤、洗浄剤、凝集剤、増粘剤、コーティング剤、塗料、接着剤、吸水性樹脂等が挙げられる。
[2.粒状組成物の製造方法]
本発明の粒状組成物の製造方法は、リグニンスルホン酸系化合物と芳香族系水溶性化合物との反応物であるリグニン誘導体を含む液状組成物を調製する工程と、液状組成物を乾燥して乾燥固形物を得る工程と、を有し、乾燥固形物が、条件(A)及び条件(B)を満たす粒状組成物である、粒状組成物の製造方法である。
条件(A):平均粒子径が30〜250μmの範囲にあること。
条件(B):粒度分布中、粒子径が100μm以下の蓄積面積が15.0%以上であること。
リグニン誘導体を含む液状組成物を調製する工程と、条件(A)及び条件(B)については上記した通りである。そこで、以下、乾燥固形物を得る方法について説明する。
乾燥固形物を得る方法としては、例えば、カルシウム、マグネシウム等の二価金属の水酸化物で中和して多価金属塩とした後に乾燥する方法;シリカ系微粉末等の無機粉体に担持して乾燥する方法;乾燥装置(例えば、ドラム型乾燥装置、ディスク型乾燥装置又はベルト式乾燥装置)の支持体上に薄膜状に乾燥固化する方法;スプレードライヤによって乾燥固化する方法が挙げられる。
[3.分散剤]
本発明の分散剤は、上記の粒状組成物を含有し、種々の用途に利用できる。例えば、水硬性組成物用分散剤(例えば、セメント用分散剤、石膏用分散剤)、油田掘削用泥水分散剤、染料用分散剤、キレート剤、洗浄剤、凝集剤、増粘剤、コーティング剤、塗料、接着剤、吸水性樹脂が挙げられる。粒状組成物は、コンクリート等の施工現場等で分散剤用途等に使用し得る高性能リグニン誘導体の固形物である。そのため、施工現場で水分量の再計算を省略し得るとともに、添加の際に専用の設備を要せず、ワーカビリティの向上に資する。従って、水硬性組成物分散剤、油田掘削用泥水分散剤が好ましく、水硬性組成物自体との混合によりプレミックスコンクリートの調製が可能であるので、水硬性組成物分散剤がより好ましい。
本発明の分散剤を油田掘削用泥水分散剤として使用する場合、油田掘削用泥水は、油田掘削作業及び/又は回収作業の際、坑井内を循環させる流体として用いられる泥水であればよく、その組成は特に限定されない。油田掘削用泥水は、通常、水系と油系に分類されるが、水系泥水が好ましい。水系泥水は、通常、粘土を含む。
粘土としては、例えば、モンモリロナイト、ベントナイトが挙げられる。中でも、ベントナイトが好ましい。
油田掘削用泥水のpHは特に限定されないが、好ましくは9〜13であり、より好ましくは9.5〜11.5であり、さらに好ましくは11前後である。油田掘削用泥水の温度は特に限定されず、高温(例えば、80℃以上、好ましくは90℃以上)でもよい。本発明の分散剤の油田掘削用泥水への添加量は、泥水中の粘土の重量に対し、0.1重量%以上が好ましく、0.5重量%以上がより好ましい。上限は、30重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましい。
本発明の分散剤は、染料分散剤としても使用され得る。染料としては、例えば、C.I.Disperse Red17等のアゾ系分散染料や、C.I.Disperse Red60等のアントラキノン系分散染料等の、溶媒に分散させて用いられる分散染料が挙げられる。被染色材料は特に限定されず、布、紙のいずれでもよいが、高温染着工程(例えば、100℃以上、110℃以上、120℃以上)を経て得る材料が好ましく、合成繊維(例えば、ポリエステル、アセテート、ナイロン)が好ましい。
高温先着染色の際の温度条件も特に限定されないが、本発明の分散剤の染料への添加量は、染料溶液中の染料の重量に対し、1重量%以上が好ましく、5重量%以上がより好ましい。上限は、100重量%以下が好ましく、70重量%以下がより好ましい。染料、及び染料分散剤を含む染料組成物は、インク、塗料として、各種材料への染色用途で利用できる。また、染料組成物は、各種用途に応じて、任意の添加剤を含有してもよい。
本発明の分散剤を水硬性組成物用分散剤として使用する場合、本発明の水硬性組成物を構成し得るので、以下に説明する。
[4.水硬性組成物]
本発明の水硬性組成物は、水硬性材料、及び上記の分散剤を含有する。水硬性材料は、セメントや石膏等のセメント組成物と、それ以外の水硬性材料とに分類されるが、そのいずれであってもよい。なお、水を含有しない場合、プレミックスコンクリートとして利用し得る。
水硬性組成物は、さらに必要に応じて、細骨材(砂等)や粗骨材(砕石等)を含み得る。水硬性材料としては、例えば、セメントペースト、モルタル、コンクリート、プラスターが挙げられる。
[4−1.セメント組成物]
水硬性組成物の中では、水硬性材料としてセメントを使用するセメント組成物(本発明の分散剤、及びセメントを必須成分として含有する組成物)が最も一般的であり、好ましい実施形態の1つである。以下、水硬性組成物がセメントを含む場合(セメント分散剤)について説明する。
セメント組成物に使用され得るセメントは、特に限定されるものではないが、具体的には以下のもが挙げられる。
ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩及びそれぞれの低アルカリ形);各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント);白色ポルトランドセメント;アルミナセメント;超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント);グラウト用セメント;油井セメント;低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント);超高強度セメント;セメント系固化材;エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の1種以上を原料として製造されたセメント)。
セメント組成物には、上記セメント以外の成分を添加してもよい。かかる成分としては以下のものが挙げられる。
微粉体(高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石灰石粉末等);石膏;骨材(砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材等)。
水を含有する場合、セメント組成物1mあたりの単位水量、使用セメント量及び水/セメント比(重量比)は特に限定されず、貧配合から富配合まで幅広く使用可能である。
単位水量は、好ましくは100〜185kg/mであり、より好ましくは120〜175kg/mである。
使用セメント量は、好ましくは200〜800kg/mであり、より好ましくは250〜800kg/mである。
水/セメント比(重量比)は、好ましくは0.15〜0.7であり、より好ましくは0.25〜0.65である。
本発明の分散剤は、高減水率領域、すなわち、水/セメント比(重量比)の低い領域(例えば0.15〜0.5)のセメント組成物において使用してもよい。さらに、単位セメント量が多く、水/セメント比が小さい高強度コンクリートや、使用セメント量(単位セメント量)が少ない(例えば、約300kg/m以下の)貧配合コンクリートのいずれにも有効である。
セメント組成物(例えば、水硬セメントを用いるモルタルやコンクリート等に使用する場合)において、本発明の分散剤の配合量の下限は、固形分換算で、セメントの重量に対して、好ましくは0.01重量%以上であり、より好ましくは0.02重量%以上であり、さらに好ましくは0.05重量以上%である。配合量が0.01重量%以上であると、分散性能を十分に発揮できる。また、その上限は、好ましくは10.0重量%以下であり、より好ましくは7.0重量%以下であり、さらに好ましくは5.0重量%以下である。10.0重量%以下であると、分散性を向上させる効果が実質的に飽和することがなく経済面で有利となり得、硬化遅延、強度低下等の、モルタル及びコンクリートの諸性状への悪影響が抑制され得る。
そのため、本発明の分散剤の配合量は、セメントの重量に対して、好ましくは0.01〜10.0重量%であり、より好ましくは0.02〜7.0重量%であり、さらに好ましくは0.05〜5.0重量%である。このような配合量により、単位水量の低減、強度の増大、耐久性の向上などの各種の好ましい諸効果がもたらされる。
セメント組成物は、高減水率領域においても高い分散性と分散保持性能を発揮できる。そして、低温時においても十分な初期分散性と粘性低減性とを発揮でき、優れたワーカビリティを有し得る。従って、上記セメント組成物は、硬化させることにより各種コンクリートの原材料として有効である。
コンクリートとしては、例えば、レディーミクストコンクリート、コンクリート2次製品(プレキャストコンクリート)用のコンクリート、遠心成形用コンクリート、振動締め固め用コンクリート、蒸気養生コンクリート、吹付けコンクリートが挙げられる。さらに、中流動コンクリート(スランプ値が22〜25cmのコンクリート)、高流動コンクリート(スランプ値が25cm以上で、スランプフロー値が50〜70cmのコンクリート)、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材等の高い流動性が要求されるモルタル又はコンクリートも挙げられる。
[4−2.石膏組成物]
水硬性材料として、石膏を使用する石膏組成物(本発明の分散剤、石膏を必須成分として含有する組成物)も一般的であり、本発明の好ましい実施形態の一つである。以下、水硬性組成物が石膏を含む場合(石膏用分散剤)について説明する。
石膏は硫酸カルシウム(CaSO)を主成分とする鉱物であれば特に限定されず、例えば、硫酸カルシウム・1/2水和物(CaSO・1/2HO:半水石膏)、硫酸カルシウム・2水和物(CaSO・2HO:二水石膏)、無水硫酸カルシウム(CaSO:無水石膏)が挙げられる。一般的な石膏は、半水石膏である。石膏は、天然石膏及び化学石膏の何れでもよい。天然石膏について、産地や性状は限定されない。化学石膏としては、例えば、リン酸石膏、排煙脱硫石膏、チタン石膏、製錬石膏、フッ酸石膏が挙げられる。
石膏組成物において、本発明の分散剤の配合量は、固形分換算で、石膏の重量に対して、好ましくは0.01重量%以上であり、より好ましくは0.05重量%以上であり、さらに好ましくは0.10重量以上%である。配合量が0.01重量%以上であると、所定の分散性を発現できる。また、その上限は、好ましくは5.00重量%以下であり、より好ましくは3.00重量%以下であり、さらに好ましくは1.00重量%以下である。5.00重量%以下であると、石膏の硬化を遅延させること無く、石膏スラリーを作製することが可能となる。
そのため、本発明の分散剤の配合量は、石膏の重量に対して、好ましくは0.01〜5.00重量%であり、より好ましくは0.05〜3.00重量%であり、さらに好ましくは0.10〜1.00重量%である。このような配合量により、単位水量の低減、強度の増大、耐久性の向上等の各種の好ましい諸効果がもたらされる。
水を含有する場合、石膏組成物における水の含有量は、適宜決定でき、石膏の重量に対して、通常、20重量%以上、好ましくは40重量%以上である。上限は、通常、150重量%以下、好ましくは100重量%以下である。石膏組成物は、石膏、本発明の分散剤以外の通常用いられる添加剤を含んでいてもよい。
石膏組成物は、加熱、乾燥等の硬化処理を経て、石膏ボード、石膏プラスター等の建築材料、トンネル補強、地盤改良等の土木材料、陶磁器型材料、歯科模型材料、石膏鋳造型材料等に利用できる。
[4−3.他の添加剤]
本発明の水硬性組成物は、さらに他のセメント分散剤の有効成分や他のコンクリート用添加剤の有効成分を含んでいてもよい。また、他のセメント分散剤や他のコンクリート用添加剤と併用することも可能である。本明細書中、これらを総称して「他の添加剤」と称する。
他のセメント分散剤の有効成分や他のコンクリート用添加剤の有効成分としては、例えば、以下に列挙したものを使用できる。なお、他のセメント分散剤の有効成分や他のコンクリート用添加剤の有効成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
リグニンスルホン酸塩;ポリオール誘導体;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物;ポリスチレンスルホン酸塩;アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物などのアミノスルホン酸系化合物(例えば、特開平1−113419号公報参照);
ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系化合物と(メタ)アクリル酸系化合物との共重合体及びその塩の少なくともいずれかである(a)成分と、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル系化合物と無水マレイン酸との共重合体、その加水分解物、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくともいずれかである(b)成分と、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル系化合物とポリアルキレングリコール系化合物のマレイン酸エステルとの共重合体及びその塩の少なくともいずれかである(c)成分とからなる組成物(例えば、特開平7−267705号公報参照);
(メタ)アクリル酸のポリアルキレングリコールエステルと(メタ)アクリル酸(塩)との共重合体からなる成分であるA成分と、特定のポリエチレングリコールポリプロピレングリコール系化合物からなる成分であるB成分と、特定の界面活性剤からなる成分であるC成分とからなる組成物(例えば、特許第2508113号公報参照);
(メタ)アクリル酸のポリエチレン(プロピレン)グリコールエステル又はポリエチレン(プロピレン)グリコールモノ(メタ)アリルエーテル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、及び、(メタ)アクリル酸(塩)のそれぞれからなる構成単位を含むビニル共重合体(例えば、特開昭62−216950号公報参照);
(メタ)アクリル酸のポリエチレン(プロピレン)グリコールエステル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、及び(メタ)アクリル酸(塩)を水溶液重合させて得られる水溶性ビニル共重合体(例えば、特開平1−226757号公報参照);
(メタ)アクリル酸のポリエチレン(プロピレン)グリコールエステル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)又はp−(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸(塩)、及び(メタ)アクリル酸(塩)から得られる共重合体(例えば、特公平5−36377号公報参照);
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテルとマレイン酸(塩)とのそれぞれから形成される単量体単位を有する共重合体(例えば、特開平4−149056号公報参照);
(メタ)アクリル酸のポリエチレングリコールエステルに由来する構成単位、(メタ)アリルスルホン酸(塩)に由来する構成単位、(メタ)アクリル酸(塩)に由来する構成単位、アルカンジオールモノ(メタ)アクリレートやポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートに由来し分子中にアミド基を有するα,β−不飽和単量体をラジカル重合して得られる重合体ブロックを含む構成単位で構成されたグラフト共重合体(例えば、特開平5−170501号公報参照);
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸(塩)、及び(メタ)アリルスルホン酸(塩)又はp−(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸(塩)を水系ラジカル共重合して得られる水溶性ビニル共重合体(例えば、特開平6−191918号公報参照);
ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、マレイン酸系単量体、及びこれらの単量体と共重合可能な単量体を用いて得られる共重合体(例えば、特公昭58−38380号公報参照);
ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体、及びこれらの単量体と共重合可能な単量体を用いて得られる共重合体を、アルカリ性物質で中和して得られる共重合体(例えば、特公昭59−18338号公報参照);
スルホ基を有するポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル及び必要によりこれと共重合可能な単量体を用いて得られる重合体、又はこれをアルカリ性物質で中和して得られた重合体(例えば、特開昭62−119147号公報参照);
アルコキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体と、末端にアルケニル基を有するポリアルキレンオキシド誘導体とのエステル化反応物(例えば、特開平6−271347号公報参照);
アルコキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体と、末端にヒドロキシ基を有するポリアルキレンオキシド誘導体とのエステル化反応物(例えば、特開平6−298555号公報参照);
3−メチル−3−ブテン−1−オールなどの特定の不飽和アルコールにエチレンオキシドなどを付加したアルケニルエーテル系単量体、不飽和カルボン酸系単量体、及びこれらの単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体、又はその塩などのポリカルボン酸(塩)(例えば、特開昭62−68806号公報参照)。
他のセメント分散剤及び他のコンクリート用添加剤としては、例えば、水溶性高分子、高分子エマルジョン、空気連行剤、セメント湿潤剤、膨張剤、防水剤、遅延剤、増粘剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、効果促進剤、消泡剤、AE剤、分離低減剤、セルフレベリング剤、防錆剤、着色剤、防カビ剤その他の界面活性剤が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
水溶性高分子としては、例えば以下のものが挙げられる。
ポリアクリル酸又はその塩(例えば、ナトリウム塩)、ポリメタクリル酸又はその塩(例えば、ナトリウム塩)、ポリマレイン酸又はその塩(例えば、ナトリウム塩)、アクリル酸・マレイン酸共重合物又はその塩(例えば、ナトリウム塩)等の不飽和カルボン酸重合物;
メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の非イオン性セルロースエーテル類;
多糖類のアルキル化又はヒドロキシアルキル化誘導体(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース)を骨格とする多糖誘導体であって、一部若しくは全部のヒドロキシ基の水素原子が、炭素原子数8〜40の炭化水素鎖を部分構造として有する疎水性置換基と、スルホ基又はそれらの塩を部分構造として有するイオン性親水性置換基とで置換されてなる多糖誘導体;
酵母グルカン、キサンタンガム、β−1,3グルカン類(直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、例えば、カードラン、パラミロン、パキマン、スクレログルカン、ラミナラン)等の微生物醗酵によって製造される多糖類;
ポリアクリルアミド;ポリビニルアルコール;デンプン;デンプンリン酸エステル;
アルギン酸ナトリウム;ゼラチン;分子内にアミノ基を有するアクリル酸のコポリマー及びその四級化合物等。
高分子エマルジョンとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキル等の各種ビニル単量体の共重合物が挙げられる。
オキシカルボン酸系化合物以外の硬化遅延剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
単糖類(例えば、グルコース、フラクトース、ガラクトース、サッカロース、キシロース、アピオース、リボース、異性化糖)、二糖類、三糖類、オリゴ糖類(例えば、デキストリン)、多糖類(例えば、デキストラン)、これらの少なくともいずれかを含む糖組成物(例えば、糖蜜)等の糖類;ソルビトール等の糖アルコール;ケイフッ化マグネシウム;リン酸及びその塩又はホウ酸エステル類;アミノカルボン酸及びその塩;アルカリ可溶タンパク質;フミン酸;タンニン酸;フェノール;グリセリン等の多価アルコール;ホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、これらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等のホスホン酸及びその誘導体類等。
早強剤・促進剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等の可溶性カルシウム塩;塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸塩;水酸化カリウム;水酸化ナトリウム;炭酸塩;チオ硫酸塩;ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩;アルカノールアミン;アルミナセメント;カルシウムアルミネートシリケート等。
オキシアルキレン系以外の消泡剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
燈油、流動パラフィン等の鉱油系消泡剤;動植物油、ごま油、ひまし油、これらのアルキレンオキシド付加物等の油脂系消泡剤;オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物等の脂肪酸系消泡剤;グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、天然ワックス等の脂肪酸エステル系消泡剤;オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、グリコール類等のアルコール系消泡剤;アクリレートポリアミン等のアミド系消泡剤;リン酸トリブチル、ナトリウムオクチルホスフェート等のリン酸エステル系消泡剤;アルミニウムステアレート、カルシウムオレエート等の金属石鹸系消泡剤;ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン等のポリオルガノシロキサン)、フルオロシリコーン油等のシリコーン系消泡剤等。
AE剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
樹脂石鹸;飽和又は不飽和脂肪酸;ヒドロキシステアリン酸ナトリウム;ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル、及びそれらの塩;ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル又はその塩;蛋白質材料;アルケニルスルホコハク酸;α−オレフィンスルホネート等。
その他界面活性剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
オクタデシルアルコールやステアリルアルコール等の、分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂肪族1価アルコール;アビエチルアルコール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂環式1価アルコール;ドデシルメルカプタン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する1価メルカプタン;ノニルフェノール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアルキルフェノール;ドデシルアミン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアミン;ラウリン酸やステアリン酸等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するカルボン酸に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを10モル以上付加させたポリアルキレンオキシド誘導体類;アルキル基又はアルコキシ基を置換基として有してもよい、スルホ基を有する2個のフェニル基がエーテル結合した、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩類;
上記以外の各種アニオン性界面活性剤;アルキルアミンアセテート、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の各種カチオン性界面活性剤;各種ノニオン性界面活性剤;及び各種両性界面活性剤等。
防水剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコーン、パラフィン、アスファルト、ワックス等。
防錆剤としては、例えば、亜硝酸塩、リン酸塩、酸化亜鉛が挙げられる。
ひび割れ低減剤としては、例えば、ポリオキシアルキルエーテルが挙げられる。
膨張材としては、例えば、エトリンガイト系、石炭系が挙げられる。
本発明の水硬性組成物が、他の添加剤を含有する場合、本発明の分散剤と他の添加剤との配合比率(即ち、固形分換算による本発明の分散剤/他の添加剤:重量比)は、好ましくは1〜99/99〜1であり、より好ましくは5〜95/95〜5であり、さらに好ましくは10〜90/90〜10であり、さらにより好ましくは20〜80/80〜20である。
[4−4.オキシカルボン酸系化合物]
本発明の水硬性組成物は、上記の他のセメント分散剤や他のコンクリート用添加剤以外に、オキシカルボン酸系化合物を含有してもよい。これにより、高温の環境下においても、より高い分散保持性能を発揮し得る。
オキシカルボン酸系化合物としては、炭素原子数4〜10のオキシカルボン酸又はその塩が好ましい。より詳細には、グルコン酸、グルコヘプトン酸、アラボン酸、リンゴ酸、クエン酸や、これらのナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、トリエタノールアミン等の無機塩又は有機塩等が挙げられる。これらのオキシカルボン酸系化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記のオキシカルボン酸系化合物の中でも、グルコン酸又はその塩が好ましい。とりわけ、貧配合コンクリートの場合には、分子中にスルホ基を有するスルホン酸系分散剤としてリグニンスルホン酸塩系の分散剤を使用し、オキシカルボン酸系化合物としてグルコン酸又はその塩を使用することが好ましい。
本発明の水硬性組成物がオキシカルボン酸系化合物を含有する場合、本発明の分散剤とオキシカルボン酸系化合物との配合比率(即ち、固形分換算における本発明の分散剤/オキシカルボン酸系化合物:重量比)は、好ましくは1〜99/99〜1であり、より好ましくは5〜95/95〜5であり、さらに好ましくは10〜90/90〜10であり、さらにより好ましくは20〜80/80〜20である。
本発明の水硬性組成物が、他の添加剤及びオキシカルボン酸系化合物の3成分を含有する場合、本発明の分散剤、他の添加剤及びオキシカルボン酸系化合物の配合比率(即ち、固形分換算による本発明の分散剤/他の添加剤/オキシカルボン酸系化合物:重量比)は、好ましくは1〜98/1〜98/1〜98であり、より好ましくは5〜90/5〜90/5〜90であり、さらに好ましくは10〜90/5〜85/5〜85であり、さらにより好ましくは20〜80/10〜70/10〜70である。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。以下の実施例は、本発明を好適に説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。なお、物性値等の測定方法は、別途記載がない限り、上記に記載した測定方法である。実施例中、特に断りの無い限り、「%」は、重量%を示し、「部」は、重量部を示す。
[粒度分布]:各粉末サンプル3gをレーザー回折式粒度分布測定装置(マスターサイザー3000(Malvern社製))により、乾式条件で測定し得られた分子量分布から、横軸を粒度(μm)、縦軸を体積(%)として算出した。
[平均粒子径(μm)]:粒度分布から、蓄積面積が50%となるときの平均粒径で特定した。
[タッピング見掛け比重(g/mL)]:粒状組成物を目盛り付試験管(容量20mL)に10〜15g採取した。試験管を比容積試験機(石山科学機器製作所製)にかけて落下高さ5cmで50回振動(40回転/min)し、試験管の容積を測定した。そして、測定結果を下記式に代入することでタッピング見掛け比重を算出した。
式:タッピング見掛け比重(g/mL)=粒状組成物の質量(g)/振動後の試験管の容積(mL)
[製造例1:粒状組成物(1)の製造]
温度計、撹拌装置、還流装置、及び滴下装置を備えたガラス反応容器に、水229g、ポリ(エチレンオキシド)モノフェニルエーテル(EO付加モル数:50)92g、サンフローRH(リグニンスルホン酸塩、日本製紙社製)60g、37%ホルムアルデヒド水溶液13g、72%硫酸水溶液55g、及び消泡剤プロナール753(東邦化学社製)0.05gを仕込み、撹拌下で反応容器を105℃に昇温した。反応は、液温が105℃、14時間で完結した。反応終了後、反応物温度を90℃に降温し、250g/L水酸化カルシウム水溶液93g及び31%水酸化ナトリウム水溶液24gを反応容器に添加して、さらに1時間撹拌した。これら混合物を濾過して中和で生じた石膏を除去することで、重量平均分子量41,300の共重合体からなるリグニン誘導体(1)を水溶液として得た。
このリグニン誘導体(1)をスプレードライヤ(商品名「TR120」、プリス社製)を用いて180℃で乾燥を行い、本発明の粒状組成物(1)を固形物として得た。得られた粒状組成物(1)の粒度分布を示すチャートを図1に示す。リグニンスルホン酸系化合物〔L〕と芳香族系水溶性化合物〔M〕との反応重量比率は〔L〕/〔M〕=39/61であり、芳香族系水溶性化合物の反応率は95%であった。
[製造例2:粒状組成物(2)の製造]
温度計、撹拌装置、還流装置、及び滴下装置を備えたガラス反応容器に、水275g、ポリ(エチレンオキシド)モノフェニルエーテル(EO付加モル数:50)69g、サンフローRH(リグニンスルホン酸塩、日本製紙社製)150g、37%ホルムアルデヒド水溶液12g、72%硫酸水溶液40g、及び消泡剤プロナール753(東邦化学社製)0.05gを仕込み、撹拌下で反応容器を105℃に昇温した。反応は、液温が105℃、10時間で完結した。反応液を冷却後に、250g/L水酸化カルシウム水溶液85gを反応容器に添加した。これら混合物を濾過して中和で生じた石膏を除去することで、重量平均分子量22,800の共重合体からなるリグニン誘導体(2)を水溶液として得た。
このリグニン誘導体(2)をスプレードライヤ(商品名「TR120」、プリス社製)を用いて180℃で乾燥を行い、本発明の粒状組成物(2)を固形物として得た。得られた粒状組成物(2)の粒度分布を示すチャートを図2に示す。リグニンスルホン酸系化合物〔L〕と芳香族系水溶性化合物〔M〕との反応重量比率は〔L〕/〔M〕=68/32であり、芳香族系水溶性化合物の反応率は89%であった。
[実施例1]
製造例1で製造した粒状組成物(1)を用いた。
[実施例2]
製造例2で製造した粒状組成物(2)を用いた。
[比較例1]
従来のリグニン系分散剤(a)として、サンフローRH(変性リグニンスルホン酸系化合物、日本製紙社製)を用いた。サンフローRHの粒度分布を示すチャートを図3に示す。
図1〜図3の粒度分布から得られた平均粒子径の値、粒度分布中、粒子径が100μm以下の蓄積面積の値、タッピング見掛け比重の値を表1に記す。
Figure 0006877392
[実施例3〜4及び比較例2〜4:分散剤試験]
実施例1〜2、比較例1、リグニン誘導体(1)の水溶液、リグニン誘導体(2)の水溶液のサンプルを、それぞれ添加したセメント組成物(モルタル)を下記手順により調製した。環境温度(20℃)において、表2(W/C=45%)のように配合した砂、セメント、及び水、並びに表3に記載の量の各サンプルを強制二軸ミキサに投入して、強制二軸ミキサによる機械練りにより90秒間練り混ぜることによりセメント組成物を得た。なお粉末品のサンプルに関しては表2記載の水をあらかじめ少量分取しておき、セメント・砂・各サンプルを混合した後(プレミックス)、水を投入した。得られたセメント組成物について、以下の手順でスランプ試験を行った。評価結果を表3に併せて記す。
[スランプ試験]:JIS A 1101(フレッシュセメント組成物の頂点からの落下距離をスランプ値として、広がりをフロー値として測定)に準拠して測定した。なお、経過時間は、強制二軸ミキサから排出した直後からの経過時間である。
Figure 0006877392
表2の脚注
C:以下の3種を等量混合
普通ポルトランドセメント(宇部三菱セメント社製、比重3.16)
普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製、比重3.16)
普通ポルトランドセメント(トクヤマ製、比重3.16)
W:水道水
S:掛川産山砂(細骨材、比重2.57)
Figure 0006877392
表3の脚注
添加量(重量%):セメント組成物100重量%に対するセメント分散剤の固形分添加量
SL:スランプ値(cm)
表3から以下のことが明らかである。本発明の粒状組成物(1)又は(2)を用いた場合、添加直後、15分後、30分後、60分後のスランプ値は、それぞれ、約220cm、約195cm、約165cm、約123cmと、水硬性材料の分散性を保持し得るものであった(実施例3,4参照)。一方、既存のリグニンスルホン酸系分散剤を粉末として添加した場合、添加直後のスランプ値は192cmと、水硬性材料の分散性が観測されたが、15分後のスランプ値は110cmと、水硬性材料の分散性が著しく劣化していた(比較例2参照)。
また、乾燥して粒状組成物とすることなく、リグニン誘導体の水溶液である液体状態で投入した場合、添加直後のスランプ値は約193cmと、水硬性材料の分散性が観測されたが、15分後のスランプ値は約102.5cmと、水硬性材料の分散性が著しく劣化していた(比較例3〜4参照)。
以上の結果から、本発明の粒状組成物は既存のリグニンスルホン酸系分散剤よりも良好な分散性を示し、加えて粉末で使用することで、初期の分散性のみでなく、経時後の分散性も向上させることができる。

Claims (10)

  1. リグニンスルホン酸系化合物と芳香族系水溶性化合物との反応物であり、アルキレンオキサイド平均付加モル数が35〜150であるポリアルキレンオキシド鎖を有すリグニン誘導体を含み、
    下記条件(A)及び条件(B)を満たす粒状組成物。
    条件(A):平均粒子径が30〜250μmの範囲にあること。
    条件(B):粒度分布中、粒子径が100μm以下の蓄積面積が15.0%以上であること。
  2. 下記条件(C)をさらに満たす請求項1に記載の粒状組成物。
    条件(C):タッピング見掛け比重が0.1〜0.7g/mlの範囲であること。
  3. 前記リグニン誘導体が、アニオン性官能基を有する請求項1又は2に記載の粒状組成物。
  4. 前記リグニン誘導体において、前記リグニンスルホン酸系化合物〔L〕と前記芳香族系水溶性化合物〔M〕との反応重量比率(〔L〕/〔M〕)が1〜99/99〜1である、請求項1〜のいずれか1項に記載の粒状組成物。
  5. 前記芳香族系水溶性化合物が、ポリアルキレンオキシド鎖を有する芳香族系水溶性化合物、カルボキシル基を有する芳香族系水溶性化合物、及びスルホ基を有する芳香族系水溶性化合物からなる群より選ばれる1以上を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の粒状組成物。
  6. 前記芳香族系水溶性化合物の、リグニンスルホン酸系化合物との反応前の量に対する反応後の量の割合である反応率が、50%以上であるリグニン誘導体を含む請求項1〜のいずれか1項に記載の粒状組成物。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の粒状組成物を含有する分散剤。
  8. 水硬性材料、及び請求項に記載の分散剤を含有する水硬性組成物。
  9. セメント組成物又は石膏組成物である、請求項に記載の水硬性組成物。
  10. リグニンスルホン酸系化合物と芳香族系水溶性化合物との反応物である、アルキレンオキサイド平均付加モル数が35〜150であるポリアルキレンオキシド鎖を有するリグニン誘導体を含む液状組成物を調製する工程と、
    前記液状組成物を乾燥して乾燥固形物を得る工程と、を有し、
    前記乾燥固形物が、下記条件(A)及び条件(B)を満たす粒状組成物である、粒状組成物の製造方法。
    条件(A):平均粒子径が30〜250μmの範囲にあること。
    条件(B):粒度分布中、粒子径が100μm以下の蓄積面積が15.0%以上であること。
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