しかし、メカニカルリレーの接点固着や、メカニカルリレーの動作指令を行うためのマイコンの暴走等の異常や、マイコンの動作指令に基づいてメカニカルリレーに駆動信号を出力する駆動回路の故障などによって、メカニカルリレーが開状態のまま固定された状態(以下、かかる状態を「開固定故障」という。)となってしまうことがあり、この場合は凍結が発生する低温になっても凍結予防ヒータへの通電が行われず、温水路内で凍結が生じることにより温水路の破損のおそれがある。
また、長期不在等で温水路内の水が抜けているときに、メカニカルリレーが閉状態のまま固定された状態(以下、かかる状態を「閉固定故障」という。)になってしまうと、内部に水の無い温水路が常時加熱されてしまうため、配管焼けが生じたり、意図しない高温出湯が生じるおそれがある。
そこで、本発明は、マイコンに開閉制御されるリレー(通電路開閉手段)の閉固定故障が発生したときでも、温水路が常時加熱されてしまうことを防止することを第1の目的とする。さらに本発明は、凍結予防ヒータに通電されない故障の発生を検出することによりエラー報知可能にすることを第2の目的とし、さらに好ましくは故障部位をある程度特定可能にすることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、温水路と、該温水路の所定部位に設けられた凍結予防ヒータと、該凍結予防ヒータへの通電路を開閉する第1の通電路開閉手段と、所定の空間乃至部位の温度(例えば、雰囲気温度や、温水路の配管温度など)に応じた検出信号(典型的には電圧信号)を出力する温度検出手段と、該温度検出手段の検出信号を入力するとともに前記第1の通電路開閉手段を閉動作させるための第1のヒータON指令を出力するか否かを制御する制御部とを備える温水機器において、次の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明の温水機器は、前記第1の通電路開閉手段と直列に設けられて前記通電路を開閉する第2の通電路開閉手段と、前記温度検出手段から入力する検出信号と所定の判定基準値とに基づいて前記第2の通電路開閉手段を閉動作させる第2のヒータON指令を出力するか否かが切り替わるよう構成された駆動回路とをさらに備え、これにより前記第1及び第2のヒータON指令の双方が出力されると前記凍結予防ヒータに通電されるよう構成されていることを特徴とするものである(請求項1)。
かかる本発明の温水機器によれば、第1の通電路開閉手段を開閉動作制御する制御部とは別に、温度検出手段から入力する検出信号と所定の判定基準値とに基づいて(典型的には検出信号と判定基準値との比較結果に基づいて)第2の通電路開閉手段を閉動作させる第2のヒータON指令を出力するか否かが切り替わるように構成された駆動回路を設けたので、制御部の異常や、第1の通電路開閉手段の故障などによって、第1の通電路開閉手段の閉固定故障が生じた場合でも、駆動回路が第2の通電路開閉手段を開動作させる条件を満たせば第2の通電路開閉手段が開動作することによって凍結予防ヒータへの通電を停止させることができる。
典型的には制御部はマイコンにより構成することができ、駆動回路は比較器や分圧回路などからなるアナログ回路により構成することができる。また、駆動回路は、前記検出信号が示す温度が判定基準値が示す基準温度未満であるとき第2のヒータON指令を出力する(例えばHigh信号を第2のヒータON信号として出力する)よう構成できるとともに、検出信号が示す温度が判定基準値が示す基準温度以上であるときは第2のヒータON指令を出力しない(例えばLow信号を出力する)よう構成できる。駆動回路が第2のヒータON指令を出力する条件(判定基準値の設定値)は、制御部が第1のヒータON指令を出力する条件と同じであってもよいし、異なる条件であってもよい。例えば、制御部は、温度検出手段の検出信号が示す検出温度が凍結のおそれのある所定の凍結予防運転開始温度、例えば4℃まで低下すると第1のヒータON指令を出力開始するよう構成でき、この場合、駆動回路も、検出温度が4℃まで低下すると第2のヒータON指令を出力開始するよう構成することもできるし、また、駆動回路は、制御部が第1のヒータON指令を出力開始する上記温度よりも高い所定の温度、例えば20℃未満のときは第2のヒータON指令を出力し、20℃以上になると第2のヒータON指令を出力しないよう構成することもできる。
制御部による第1のヒータON指令の出力制御は適宜のものであってよいが、好ましくは、温度検出手段の検出信号が示す検出温度が所定の凍結予防運転開始温度以上から凍結予防運転開始温度未満に低下すると第1のヒータON指令を出力開始し、検出温度が所定の凍結予防運転終了温度以上に上昇すると第1のヒータON指令の出力を終了するよう構成できる。凍結予防運転開始温度と凍結予防運転終了温度とは同一であってもよいが、第1の通電路開閉手段のチャタリング防止のために凍結予防運転終了温度は凍結予防運転開始温度よりも若干高く(例えば2〜3℃程度)なるよう設定しておくことが好ましい。
駆動回路も適宜の構成とすることができるが、好ましくは、温度検出手段の検出信号が示す検出温度が判定基準値以上から判定基準値未満に低下すると第2のヒータON指令を出力開始し、検出温度が判定基準値若しくは判定基準値よりも若干高い値まで上昇すると第2のヒータON指令の出力を終了するよう構成できる。このような駆動回路のヒステリシスは、例えば、比較器の正帰還回路によって実現できる。
また、駆動回路は、第1の通電路開閉手段の開閉状態に応じて判定基準値が変動するよう回路構成することもできるが、前記第1の通電路開閉手段が閉動作しているか否かにかかわらず判定基準値が一定となるよう構成することが好ましい。
上記本発明の温水機器において、前記駆動回路は、前記第2の通電路開閉手段の開閉動作状態に応じた駆動回路監視信号を前記制御部に出力するよう構成され、前記制御部は、前記温度検出手段の検出信号が前記判定基準値との関係で第2のヒータON指令が出力されない範囲内(例えば、検出信号が示す検出温度が判定基準値が示す基準温度以上)であるにもかかわらず「第2の通電路開閉手段が閉動作している」ことを示す前記駆動回路監視信号が入力されると、前記駆動回路の異常であると判定するよう構成されていてよい(請求項1)。これによれば、駆動回路に異常があることを簡単な構成及び判定処理によって特定できる。なお、かかる特定は厳密なものでなくてもよく、駆動回路の異常である蓋然性が高いという程度の判定とすることができる。また、駆動回路の異常としては、駆動信号を生成出力する回路部分の故障や、駆動回路監視信号を生成出力する回路部分の故障などを含むことができる。
なお、温度検出手段の故障(オープン故障及び/又はショート故障など)を制御部が判定可能に構成することが好ましく、上記駆動回路の異常判定は、温度検出手段の故障判定により正常が確認されているときにのみ実行されるものであってよい。これによれば、温度検出手段の故障による異常な検出温度に基づいて、正常動作している駆動回路が「異常である」と判定されてしまうことを防止できる。
さらに、本発明の温水機器は、前記凍結予防ヒータに通電されているか否かに応じたヒータ監視信号を前記制御部に出力するヒータ監視回路を備えることができる。そして、制御部は、前記温度検出手段の検出信号が前記判定基準値との関係で第2のヒータON指令が出力される範囲内(例えば、検出信号が示す検出温度が、判定基準値が示す基準温度未満)であるときに、前記第1のヒータON指令を出力していないにもかかわらず「凍結予防ヒータに通電されている」ことを示す前記ヒータ監視信号が入力されると、前記第1の通電路開閉手段の閉固定故障であると判定するよう構成されていてよい(請求項2)。これによれば、第1の通電路開閉手段の閉固定故障が生じていることを簡単な構成及び判定処理によって特定できる。なお、第1の通電路開閉手段の閉固定故障は、第1の通電路開閉手段の接点の閉固着や、第1の通電路開閉手段の駆動回路を構成するスイッチング素子のショート故障や、ヒータON指令の出力ポートの電源ラインへの短絡等によって生じ得るものである。
また、前記制御部は、前記駆動回路の異常であると判定されておらず、且つ、前記温度検出手段の検出信号が前記判定基準値との関係で第2のヒータON指令が出力される範囲内であるときに、前記第1のヒータON指令を出力しても「凍結予防ヒータに通電されている」ことを示す前記ヒータ監視信号が入力されなければ前記第1の通電路開閉手段の開固定故障であると判定するよう構成できる(請求項3)。これによれば、駆動回路の異常判定により正常であることが確認された後に第1の通電路開閉手段の開固定故障の判定を行うことにより、駆動回路の故障によって第2の通電路開閉手段が閉動作しない状態であるにもかかわらず正常動作している第1の通電路開閉手段の開固定故障が生じていると誤判定してしまうことを回避できる。なお、第1の通電路開閉手段の開固定故障は、第1の通電路開閉手段の接点の開固着や、第1の通電路開閉手段の駆動回路を構成するスイッチング素子のオープン故障や、ヒータON指令の出力ポートのグラウンドへの短絡等によって生じ得るものである。
また、上記本発明の温水機器において、前記凍結予防ヒータに通電されているか否かに応じたヒータ監視信号を前記制御部に出力するヒータ監視回路をさらに備え、前記駆動回路は、前記第1の通電路開閉手段が閉動作しているときは第1閾値が前記判定基準値として設定されるとともに、前記第1の通電路開閉手段が開動作しているときは第1閾値とは異なる第2閾値が前記判定基準値として設定されるよう構成され、前記第2閾値は、前記第1の通電路開閉手段が開動作しているときは常に第2のヒータON指令が出力されるよう設定されていてもよい(請求項4)。かかる構成において、第1閾値は、制御部が第1のヒータON指令の出力を開始する凍結予防運転開始温度(例えば3〜5℃)よりも高い温度(例えば10〜30℃、より好ましくは20℃程度)に設定することが好ましい。また、第2閾値は、温度検出手段が出力可能な信号範囲外(例えば出力電圧範囲外)の値に設定することができる。
かかる構成によれば、第1の通電路開閉手段が開動作しているときは第2の通電路開閉手段が常時閉動作するので、第1のヒータON指令の出力制御状態とヒータ監視信号の状態との整合性の確認により、第1の通電路開閉手段の接点の閉固着や、第1のヒータON指令の出力ポートの電源ライン等への短絡などに起因する第1の通電路開閉手段の閉固定故障を、ヒータ監視信号に基づいて判定できる。したがって、第1の通電路開閉手段の異常判定専用の監視ポートを設ける必要がなく、制御部として機能するマイコンの空きポートが少ない製品においても第1の通電路開閉手段の閉固定故障判定を実施できる。
さらに、上記構成によれば、第1の通電路開閉手段が閉動作しているときに検出温度が第1閾値以上になると第2の通電路開閉手段が開動作するため、第1の通電路開閉手段が閉動作した状態で固定される異常が生じたときでも、検出温度が第1閾値以上であれば駆動回路の機能によって凍結予防ヒータへの通電を停止できる。なお、温水路を構成する配管内に水が無いときに凍結予防ヒータによって配管が加熱されると温度検出手段の検出温度が上昇して上記第1閾値(例えば20℃)以上にまで上昇するように温度検出手段を配設することができ、これによれば、第1の通電路開閉手段が閉固定故障し、且つ、雰囲気温度が0℃近辺であり、且つ、温水路内に水が無い場合に、凍結予防ヒータにより温水路が長時間加熱されて配管焼け等が生じることを防止できる。
また、前記制御部は、前記第1のヒータON指令を出力しておらず、且つ、前記温度検出手段の検出信号が前記第1閾値との関係では第2のヒータON指令が出力されない範囲内であるときに、前記駆動回路の異常判定のために前記第1のヒータON指令を出力するよう構成されているとともに、当該出力により「凍結予防ヒータに通電されている」ことを示す前記ヒータ監視信号が入力されると前記駆動回路の異常であると判定するよう構成されていてよい(請求項5)。これによれば、駆動回路の異常判定用の監視ポートを設けることなく、上記異常判定処理を行ったときのヒータ監視信号の入力状態に基づいて駆動回路の異常判定を行うことができる。なお、駆動回路の異常には、駆動回路自体の回路故障の他、駆動回路によって駆動される第2の通電路開閉手段の接点溶着をも含んでいてよい。
また、前記制御部は、前記温度検出手段の検出信号が前記第1のヒータON指令を出力すべき範囲内であるときに前記第1のヒータON指令を出力せずに前記ヒータ監視信号を確認し、当該ヒータ監視信号が「凍結予防ヒータに通電されている」ことを示していれば第1の通電路開閉手段の閉固定故障であると判定するよう構成されていてよい(請求項6)。これによれば、第1の通電路開閉手段の閉固定故障判定用の監視ポートを設けることなく、上記判定処理を行ったときのヒータ監視信号の入力状態に基づいて第1の通電路開閉手段の閉固定故障の判定を行うことができる。
また、前記制御部は、前記温度検出手段の検出信号が前記第1のヒータON指令を出力すべき範囲内となったことを検出することにより前記第1のヒータON指令を出力しても、「凍結予防ヒータに通電されている」ことを示す前記ヒータ監視信号が入力されないとき、所定の故障であると判定するよう構成されていてよい(請求項7)。これによれば、上記駆動回路の異常判定、並びに、第1の通電路開閉手段の閉固定故障判定によって正常が確認された後に、上記の所定の故障であるとの判定を行うことで、駆動回路の異常や第1の通電路開閉手段の閉固定故障を除く他の故障(例えば、第2の通電路開閉手段の接点の開固着や、第1の通電路開閉手段の接点の開固着や、ヒータ監視回路の故障など)であることを特定可能である。
なお、上記した故障乃至異常が検出された場合には、対応するエラーコードやエラーメッセージなどによるエラー報知を行うよう制御部を構成することが好ましい。また、本発明の温水機器は、正常動作時(上記異常乃至故障が発生していないとき)は、前記第1及び第2のヒータON指令の少なくとも一方が出力されないときは前記凍結予防ヒータに通電されないよう構成できる。
以上説明したように、本発明によれば、第1の通電路開閉手段の閉固定故障が発生したときでも、第2の通電路開閉手段の開動作によって凍結予防ヒータへの通電を停止可能とし、これにより温水路が常時加熱されてしまうことを防止できる。さらに、本発明によれば、制御部によるヒータON指令の出力制御状態や、検出温度や、監視信号の入力状態などの相関関係に基づいて故障部位をある程度特定することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の温水機器の一例としての瞬間湯沸かし式の潜熱回収型高効率給湯器を示しており、該給湯器は、各種制御を行う制御基板1と、燃焼缶体2と、給湯回路3(温水路)とを備えている。缶体2内部には、燃焼ガスを生成する燃焼部4と、該燃焼部4の上方に配置された一次熱交換器5と、該一次熱交換器5のさらに上方に配置された二次熱交換器6(凝縮熱交換器)とが設けられている。さらに、燃焼部4に対して燃焼用空気を供給するファン7が燃焼部4の下方に配設されている。ファン7には回転数センサ71が取付けられている。
燃焼部4は、複数(図示例では2つ)の燃焼領域に区分されており、各燃焼領域はそれぞれ複数本のバーナによって形成されている。各燃焼領域には、燃料ガス供給源側から燃焼用燃料として燃料ガスを供給するガス供給管41が接続されている。このガス供給管41には、燃料ガス供給源側から順に、元栓としての元ガス電磁弁42と、ガス供給量を調整するガス比例弁43とが設けられている。このガス比例弁43の下流側でガス供給管41が各燃焼領域毎に分岐されている。各燃焼領域に対応して複数の能力切替弁SV1,SV2が個別に設けられており、各能力切替弁SV1,SV2を開閉することによって各燃焼領域への燃料ガスの供給を個別に制御可能となっている。各燃焼領域に供給された燃料ガスは、各バーナ毎に設けられたガス通路を介して各バーナに供給され、バーナ内で燃料ガスと燃焼用空気とが混合され、該混合ガスが燃焼することによって燃焼ガスが生成される。
一次熱交換器5は、燃焼部4で生じる燃焼ガスの顕熱を回収するものであり、二次熱交換器6は、一次熱交換器5において回収しきれなかった燃焼ガスの熱エネルギー、すなわち潜熱を回収して一次熱交換器5での加熱前に給水を予熱するためのものである。これら熱交換器によって熱エネルギーが回収された後の燃焼排ガスは、缶体2の上部に設けられた排気口2aより強制排気される。
給湯回路3は、給水接続口から給水を受けた水道水等を二次熱交換器6に入水させる入水路31と、二次熱交換器6及び一次熱交換器5で熱交換加熱された湯を出湯させる出湯路32と、入水路31から分岐して出湯路32に冷水を供給するバイパス路33とを備えている。入水路31には缶体流量センサ34と入水温度センサ35とが設けられている。出湯路32には、出湯流量制御弁36と出湯温度センサ37とが設けられている。
なお、燃焼部4の上方には点火プラグ8及びフレームロッド(立消え安全装置)9が燃焼缶体2に設けられている。また、二次熱交換器6の下方には凝縮水をドレンとして回収するドレン回収トレイ61が設けられ、回収されたドレンは中和装置62によって中和された後に排水される。また、入水温度、出湯温度、缶体排気温度及びファン7の回転数など、給湯運転制御に必要な各種パラメータを測定するセンサ乃至測定回路が適所に設けられている。
また、給湯器の筐体内の適所に、サーモスタットにより構成される雰囲気温度センサ10(温度検出手段)が取り付けられているとともに、複数の凍結予防ヒータHが取付られている。この凍結予防ヒータHは、特に凍結が問題となる部位に設けることができ、図示例では、入水路31の下端部近傍、出湯路32の下端部近傍、一次熱交換器5の屈曲部近傍、及び、中和装置62の近傍にそれぞれ凍結予防ヒータHを配設している。凍結予防ヒータHは、商用交流電源に通電されることにより動作するものが好ましく、複数の凍結予防ヒータHは、商用交流電源に対して直列に接続されていてもよいし並列に接続することもできる。なお、各凍結予防ヒータHの出力熱量は適宜設計できるが、例えば入水路31や出湯路32や一次熱交換器5を構成する配管を、その内部に水が無い状態で80℃程度まで昇温させることが可能なものとすることができる。
上記ファン7、点火プラグ8、能力切替弁SV1,SV2、元ガス電磁弁42、ガス比例弁43、出湯流量制御弁36、並びに、複数の凍結予防ヒータHなどの各制御対象は、制御基板1によって動作制御される。該制御基板1は、図2にも示すように制御中枢としてのマイコン11(制御部)を備えており、マイコン11は、給湯運転中、上記各センサからそれぞれの検出値を取得し、これら検出値と要求される給湯能力とに基づいて要求燃焼熱量を決定し、要求燃焼熱量が得られるように燃焼部4の能力段数及び比例弁43の開度を制御するとともに出湯流量制御弁36の開度を制御する。さらに、マイコン11は、要求燃焼熱量に応じた最適な送風量となるようファン7の目標回転数を演算により求め、かかる目標回転数でファン7を回転駆動させる。
また、マイコン11は、少なくとも給湯運転停止中、雰囲気温度センサ10の検出信号が示す検出温度を監視して、給湯回路3を構成する配管内で凍結するおそれがある凍結予防運転開始温度(例えば3〜5℃)まで検出温度が低下すると第1のヒータON指令を後述する第1リレー駆動回路16に出力することにより第1リレーRL1を閉動作させ、検出温度が所定の凍結予防運転終了温度以上(例えば5〜7℃)に上昇すると第1のヒータON指令の出力を終了することにより第1リレーRL1を開動作させるよう凍結予防運転制御を行う。また、マイコン11は、給湯運転中も、上記凍結予防運転制御を行うよう構成することができる。
図2に示すように、制御基板1には、商用交流電源から凍結予防ヒータHへの通電を行うためのヒータ駆動回路13と、ヒータ駆動回路13によって凍結予防ヒータHに通電されているか否かを監視するヒータ監視回路14と、雰囲気温度検出回路15(温度検出手段)と、第1リレー駆動回路16と、第2リレー駆動回路17(第2の通電路開閉手段RL2の駆動回路)とが実装されている。また、電源基板12(図1参照)上には、商用交流電源から機器動作用電源電圧(15V直流電源電圧)を生成出力する絶縁型スイッチングコンバータ18と、機器動作用電源電圧から制御用電源電圧(5V直流電源電圧)を生成出力するレギュレータ19とが設けられている。
ヒータ駆動回路13は、凍結予防ヒータHの両端に商用交流電源電圧を通電するための通電路13aと、該通電路13aの中途部に設けられた第1及び第2のリレーRL1,RL2(通電路開閉手段)とを備えている。凍結予防ヒータHは2つのリレーRL1,RL2に直列に接続されているとともに、2つのリレーRL1,RL2の間に凍結予防ヒータHが配設されている。本実施例では、各リレーRL1,RL2として常開接点式の電磁リレーを用いており、内蔵電磁コイルL1,L2に駆動電流を供給すると閉動作し、駆動電流が供給されなければ開動作する。なお、これら電磁コイルL1,L2は数百〜数kΩ程度の抵抗成分を有している。
ヒータ監視回路14は、凍結予防ヒータHの両端に印加される交流電圧を半波整流する整流器Dと、フォトカプラPCとにより主構成されている。フォトカプラPCは、入力側の発光ダイオードと、出力側のフォトトランジスタとを備え、入力側の発光ダイオードが適宜の負荷抵抗R1,R2を介して整流器Dに直列に接続されている。出力側のフォトトランジスタは負極側端子がグラウンドに接続され、正極側端子は、プルアップ抵抗R3を介して制御用電源電圧に接続されるとともに、マイコン11のヒータ監視ポートに接続されている。
したがって、凍結予防ヒータHに交流電源電圧が通電されると、交流電源電圧の周期に応じたパルス信号が「凍結予防ヒータが通電されている」ことを示すヒータ監視信号としてマイコン11のヒータ監視ポートに出力される。一方、凍結予防ヒータHに通電されていないときは、マイコン11のヒータ監視ポートの入力電圧がプルアップされるため、High信号が「凍結予防ヒータが通電されていない」ことを示すヒータ監視信号としてマイコン11のヒータ監視ポートに出力されるようになっている。
雰囲気温度検出回路15は、上記雰囲気温度センサ10と固定抵抗器R4とを直列接続してなる分圧回路により構成されており、該分圧回路の両端には所定の電圧(例えば5V)が印加されている。本実施例では雰囲気温度センサ10としてサーミスタを用いており、雰囲気温度センサ10を固定抵抗器R4のグラウンド側に接続しているため、雰囲気温度が上昇するほど分圧回路の出力電圧が低下していくようになっている。例えば、雰囲気温度が20℃のとき分圧回路の出力電圧が約3Vとなり、雰囲気温度が4℃のとき分圧回路の出力電圧が約4Vとなり、雰囲気温度が30℃のとき分圧回路の出力電圧が約2.5Vとなるように雰囲気温度センサ10の温度−抵抗値特性を設計できる。
雰囲気温度検出回路15の検出信号、すなわち上記分圧回路の出力電圧は、マイコン11の温度監視ポートに出力されるとともに、第2リレー駆動回路17へも出力されている。
第1リレー駆動回路16は、第1リレーRL1の電磁コイルL1に直列に接続されたスイッチング素子Q1を備えており、該スイッチング素子Q1を介して電磁コイルL1の負極側端子がグラウンドに接続されている。電磁コイルL1の正極側端子は15V電源ラインに接続されている。スイッチング素子Q1は、マイコン11が出力する第1のヒータON指令によりオン/オフ制御され、マイコン11が第1のヒータON指令を出力する(図示例ではHigh信号を出力する)とスイッチング素子Q1がオンし、これにより電磁コイルL1に駆動電流が供給されて第1リレーRL1が閉動作するよう構成されている。一方、マイコン11が第1のヒータON指令を出力しないとき(図示例ではマイコンがLow信号を出力するとき若しくはオープン出力に設定されたとき)、スイッチング素子Q1がオフし、これにより電磁コイルL1への駆動電流の供給が遮断されて、第1リレーRL1が開動作するよう構成されている。
第2リレー駆動回路17は、第2リレーRL2の電磁コイルL2に直列に接続されたスイッチング素子Q2を備えており、該スイッチング素子Q2を介して電磁コイルL2の負極側端子がグラウンドに接続されている。電磁コイルL2の正極側端子は15V電源ラインに接続されている。スイッチング素子Q2は、比較器17b(オペアンプ)の出力信号によってオン/オフ制御されるようになっている。比較器17bは、雰囲気温度検出回路15が出力する検出信号の電圧と、基準電圧生成用分圧回路17aが出力する一定の基準電圧(判定基準値)とを比較して、上記検出信号が示す検出温度が上記基準電圧が示す基準温度未満であればHigh信号を出力し、上記検出温度が上記基準温度以上であればLow信号を出力する。図示例では、雰囲気温度検出回路15の検出信号は比較器17bの非反転入力端子に入力され、基準電圧生成用分圧回路17aが出力する基準電圧は比較器17bの反転入力端子に入力されており、例えば基準電圧を4V(基準温度としては4℃)とすると、雰囲気温度が4℃未満になると比較器17bの出力がHigh信号となって、該High信号によりスイッチング素子Q2がオンして、これにより電磁コイルL2に駆動電流が供給されて第2リレーRL2が閉動作するよう構成されている。なお、比較器17bには正帰還回路(ヒステリシス回路)が設けられており、雰囲気温度が例えば6℃以上に上昇しなければHi出力状態からLow出力状態へ切り替わらないように構成されている。
また、第2リレー駆動回路17は、第2リレーRL2の開閉動作状態に応じた駆動回路監視信号をマイコン11のRL2監視ポートに出力する監視回路部17cを備えている。この監視回路部17cは、スイッチング素子Q2がオンすることにより第2リレーRL2の電磁コイルL2の負極側端子が接地されるとマイコン11に「第2の通電路開閉手段が閉動作している」ことを示す駆動回路監視信号(図示例ではHigh信号)を出力する一方、スイッチング素子Q2がオフすることにより第2リレーRL2の電磁コイルL2の負極側端子がオープン状態になるとマイコン11に「第2の通電路開閉手段が開動作している」ことを示す駆動回路監視信号(図示例ではLow信号)を出力するよう構成されている。
具体的には、監視回路部17cは、電磁コイルL2の負極側の電位によってオン/オフするスイッチング素子Q3を備え、該スイッチング素子Q3を介してマイコン11のRL2監視ポートが制御用電源電圧ラインに接続されている。また、RL2監視ポートはプルダウン抵抗R4を介してグラウンドに接続されている。スイッチング素子Q3はpnp型バイポーラトランジスタにより構成され、そのベース(制御端子)は、逆流防止ダイオードD2を介して電磁コイルL2の負極側端子に接続されている。したがって、スイッチング素子Q2がオンすると、スイッチング素子Q3のベースが接地されてスイッチング素子Q3がオンし、マイコン11のRL2監視ポートにHigh信号が入力される。一方、スイッチング素子Q2がオフすると、スイッチング素子Q3のベースがプルアップされてスイッチング素子Q3もオフし、これによりRL2監視ポートがプルダウンされてLow信号が入力されることとなる。
また、マイコン11は、以下説明するように、雰囲気温度検出回路15の故障判定、第2リレー駆動回路17の異常判定、第1リレーRL1の閉固定故障判定、並びに、第1リレーRL1の開故障判定を行うよう構成されている。
雰囲気温度検出回路15の故障判定(以下、「A判定」という。)は、例えば、雰囲気温度検出回路15の検出信号電圧が正常範囲外の異常な電圧になると雰囲気温度検出回路15が故障したものと判定することができる。また、例えば、マイコン11の制御によって雰囲気温度センサ10を自己発熱させる故障判定用電圧を該センサ10に印加可能に回路構成し、所定のタイミングで雰囲気温度センサ10に故障判定用電圧を印加することで雰囲気温度検出回路15による検出温度が上昇するか否かによりオープン故障やショート故障が生じているか否かを判定できる。かかる故障判定によって雰囲気温度検出回路15の故障と判定すると、マイコン11は、雰囲気温度検出回路15が故障した旨の所定のエラー報知を行う。
第2リレー駆動回路17の異常判定(以下、「B判定」という。)は、例えば、雰囲気温度検出回路15による検出温度が4℃(第2リレー駆動回路17が第2のヒータON指令を出力開始する判定基準値に対応する基準温度)以上であるにもかかわらずRL2監視ポートに「第2の通電路開閉手段が閉動作している」ことを示す駆動回路監視信号が入力されたことを検出すると、第2リレー駆動回路17の異常、すなわち、リレー駆動回路17における回路故障、若しくは、RL2監視ポートが電源ライン等に短絡する短絡故障などが生じたものと判定する。このB判定は、上記A判定によって雰囲気温度検出回路15が正常動作していることが確認された場合にのみ行われるよう構成できる。このB判定によって第2リレー駆動回路17が異常であると判定すると、マイコン11は、第2リレー駆動回路17が異常である旨の所定のエラー報知を行う。
第1リレーRL1の閉固定故障判定(以下「C判定」という。)は、上記A判定およびB判定のいずれもが正常判定され、且つ、雰囲気温度検出回路15による検出温度が凍結予防運転開始温度(4℃)未満となったときに第1のヒータON指令の出力開始前に実施することができ、第1のヒータON指令を出力していないにもかかわらず「凍結予防ヒータに通電されている」ことを示すヒータ監視信号(パルス信号)を入力したことを検出すると、第1リレーRL1の閉固定故障であると判定して、第1リレーRL1が閉動作したまま固定されていることを示す所定のエラー報知を行う。マイコン11は、上記C判定によって正常が確認されれば、本来の凍結予防運転を開始、すなわち、第1のヒータON指令を出力開始する。
第1のリレーRL1の開固定故障判定(以下、「D判定」という。)は、マイコン11が凍結予防運転を行っているときに実施でき、雰囲気温度検出回路15による検出温度が4℃未満(第2リレー駆動回路17が第2のヒータON指令を出力する基準温度未満)であって、且つ、第1のヒータON指令を出力しているにもかかわらず、「凍結予防ヒータに通電されている」ことを示すヒータ監視信号をマイコン11が入力しなければ、第1リレーRL1の開固定故障であると判定して、第1リレーRL1が開状態のまま固定されていることを示す所定のエラー報知を行う。
図3は本発明の第2の実施形態に係る制御回路構成を示しており、上記第1実施形態と同様の構成については同符号を付して詳細説明を省略し、異なる構成、作用効果について説明する。
本実施形態では、第2リレー駆動回路17の監視回路部が設けられていないとともに、基準電圧生成用分圧回路17aはスイッチング素子Q4を介して制御用電源ライン(5V)に接続され、マイコン11が第1のヒータON指令を出力することにより第1リレーRL1が閉動作するとスイッチング素子Q4がオンして基準電圧生成用分圧回路17aが出力する基準電圧が例えば3V(第1閾値)に設定され、第1のヒータON指令が出力されないことにより第1リレーRL1が開動作するとスイッチング素子Q4がオフして基準電圧が例えば0V(第2閾値)に設定されるよう構成されている。
さらに、第2リレーRL2として、常閉接点式の電磁リレーを用いており、比較器17bがLow信号(第2のヒータON指令)を出力するとスイッチング素子Q2がオフして第2リレーRL2の電磁リレーL2に通電されず、第2リレーRL2が閉動作する。一方、比較器17bがHigh信号を出力すると(第2のヒータON指令が出力されないことに相当する)、スイッチング素子Q2がオンして第2リレーRL2の電磁リレーL2に通電され、第2リレーRL2が開動作するよう構成されている。
また、基準電圧生成用分圧回路17aが出力する基準電圧は比較器17aの非反転入力端子に入力され、比較器17bの反転入力端子に雰囲気温度検出回路15からの検出信号が入力されている。また、雰囲気温度検出回路15の検出信号電圧は、例えば、雰囲気温度が4℃未満のときは4Vより大きく5V未満の電圧となり、雰囲気温度が4℃以上20℃未満のときは4V以下で3Vより大きい電圧となり、雰囲気温度が20℃以上のときは検出信号3V以下で0Vより大きい電圧となるよう定数設定されている。
したがって、雰囲気温度が4℃以上のときは、マイコン11が第1のヒータON指令を出力せず、第1リレーRL1が開動作しているため、比較器17bの非反転入力端子の入力電圧は0Vとなり、一方、比較器17bの反転入力端子に入力される雰囲気温度検出回路15の検出信号電圧は常に0Vより大きくなるため、比較器17bは常にLow信号を第2のヒータON指令として出力する。
また、雰囲気温度が4℃未満のときは、マイコン11が第1のヒータON指令を出力し、第1リレーRL1が閉動作しているため、比較器17bの非反転入力端子の入力電圧は3Vとなり、一方、比較器17bの反転入力端子に入力される雰囲気温度検出回路15の検出信号電圧は4Vより大きくなるため、何らかの故障や異常が生じていなければ、比較器17bはLow信号を第2のヒータON指令として常に出力するよう構成されている。
しかし、例えばマイコン11の暴走等により雰囲気温度にかかわらず第1のヒータON指令が常時出力されたり、第1のヒータON指令出力ポートが電源ラインに短絡するなどして該ポートの電圧がHigh状態で固定されたり、スイッチング素子Q1の短絡故障などによって、第1リレーRL1が閉動作した状態で固定される閉固定故障が生じた場合に、雰囲気温度が20℃以上になれば雰囲気温度検出回路15の検出信号電圧が3V以下となり、これにより比較器17bがHigh信号を出力するため、第2リレーRL2が駆動されて開動作し、凍結予防ヒータHへの通電が停止される。
また、本実施形態では、マイコン11は、雰囲気温度検出回路15の故障判定、第2リレー駆動回路17の異常判定、第1リレーRL1の閉固定故障判定、並びに、その他の故障判定を行うよう構成されている。
雰囲気温度検出回路15の故障判定は上記第1実施形態と同様のものとすることができる。
第2リレー駆動回路17の異常判定は、本実施形態では、例えば雰囲気温度検出回路15の検出信号に基づいてマイコン11が検出する雰囲気温度が25℃以上(上記第1閾値との関係では第2のヒータON指令が出力されない範囲)であるときに所定のタイミング(例えば一定周期毎)に行うことができる。かかる異常判定処理は、第2リレー駆動回路17の異常判定のために第1のヒータON指令を出力したとき、「凍結予防ヒータに通電されている」ことを示すヒータ監視信号を入力すると、第2リレー駆動回路17の異常であると判定するよう制御構成されている。かかる異常判定がなされれば、マイコン11は、第2リレー駆動回路17の異常であることを示す所定のエラー報知を行う。
第1リレーRL1の閉固定故障判定は、雰囲気温度検出回路15の検出信号に基づいてマイコン11が検出する雰囲気温度が4℃未満となったとき(第1のヒータON指令を出力すべき範囲内であるとき)に、凍結予防運転を開始する前に実施できる。すなわち、第1のヒータON指令の出力を開始する前に、ヒータ監視信号を確認して、ヒータ監視信号がパルス信号(「凍結予防ヒータに通電されている」ことを示す信号)であれば、第1リレーRL1の閉固定故障であると判定する。かかる故障判定がなされれば、マイコン11は、第1リレーRL1の閉固定故障であることを示す所定のエラー報知を行うとともに、その後エラー報知の所定の初期化が行われるまで、常時、雰囲気温度にかかわらず第1のヒータON指令を出力するよう構成できる。第1のヒータON指令を常時出力することにより、雰囲気温度が上記したように例えば20℃まで上昇すると凍結予防ヒータHへの通電が停止され、不慮の高温出湯を防止できるとともに配管焼けの発生等を防止できるようになる。
第1リレーRL1の閉固定故障判定で正常と判定されれば、マイコン11は、第1のヒータON指令の出力を開始することにより第1リレーRL1を閉動作させて、凍結予防運転を開始する。凍結予防運転中、ヒータ監視信号としてHigh信号が入力されれば、第2リレー駆動回路17の異常及び第1リレーRL1の閉固定故障以外のその他の故障(例えば、ヒータ監視回路14の故障、第2リレーRL2の開固定故障、第1リレーRL1の開固定故障など)であると判定して、その他の故障である旨の所定のエラー報知を行う。
上記第2実施形態によれば、第2リレー駆動回路17の異常判定用の監視ポートをマイコン11に設けることなく第2リレー駆動回路17の異常判定を行うことができ、マイコン11の空きポートが無い機種においても本発明を適用できる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。例えば、各通電路開閉手段は、上記実施形態ではメカニカルリレーを用いたが、半導体リレーその他の半導体スイッチング素子や、その他の機械式スイッチであってもよい。また、凍結予防ヒータの電源は直流電源であってもよい。また、温度検出手段は、制御部に検出信号を出力する制御部用温度センサと、第2リレー駆動回路に検出信号を出力する駆動回路用温度センサが個別に設けられたものであってよく、これらセンサが検出する空間乃至部位は同一であっても異なっていてもよい。