<第1実施形態>
本発明の貨幣処理装置に係る第1実施形態である硬貨処理装置を図1〜図5を参照して以下に説明する。
図1に示す第1実施形態の硬貨処理装置11は、貨幣のうちの硬貨を計数処理するものであり、一括投入された金種混合の硬貨を識別および計数して金種別に分類する分類モードと、一括投入された金種混合の硬貨を識別および計数し金種別に分類することなく一括して放出する一括放出モードとが可能な硬貨選別計数装置である。以下の説明における「前」は硬貨処理装置11の操作者側、「後」は硬貨処理装置11の操作者とは反対側、「左」は硬貨処理装置11の操作者から見て左側、「右」は硬貨処理装置11の操作者から見て右側である。
第1実施形態の硬貨処理装置11は、その装置本体部15の上部に、上方に開口して投入された硬貨をプールすると共にプールしている硬貨を一枚ずつ分離して繰り出すホッパ16を有している。また、装置本体部15は、ホッパ16の上部開口17を開閉するホッパカバー18を有している。
硬貨処理装置11は、その装置本体部15の右側から中央部にかけての下部に、装置本体部15の主前面19から後方に凹む収容凹部20を有しており、この収容凹部20に前方から差し込まれる、装置本体部15とは別体の複数の収容箱21を有している。これらの収容箱21には、収容凹部20に差し込まれた状態で、装置本体部15から金種別に分類された真硬貨が個別に放出される。具体的には、収容箱21は、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨の6金種分、6個設けられている。これらの収容箱21は、個別に収容凹部20から前方に引き出されて取り外されるようになっている。これらの収容箱21は、上方開口の箱状となっており、装置本体部15から放出された硬貨をこの開口から受け入れて収容する。
硬貨処理装置11は、その装置本体部15の左側に、主前面19から前方に突出する突出部25と、突出部25の下端部から下方に突出するシュート(放出手段)26とを有している。シュート26は、識別および計数後の硬貨を外部に放出するシュート本体31と、シュート本体31に上下移動可能に支持された係止リング32とを有している。
シュート本体31は、下部側が上部側よりも大径の略円錐形状である。係止リング32は、C字状であり、内径が、シュート本体31の最小外径よりも大きく、シュート本体31の最大外径よりも小さい。係止リング32は、シュート本体31に対して持ち上げられると、シュート本体31との間に径方向の隙間を形成することになり、シュート本体31に対して下げられると、シュート本体31に全長にわたって当接する。
シュート26は、収容袋35(収容体)を係止する。収容袋35は、一端側に開口36を有しこの開口36以外が閉塞された布製の袋であり、シュート本体31から放出された硬貨を収容する収容体である。シュート26には、係止リング32がシュート本体31に対し持ち上げられることにより生じる、係止リング32とシュート本体31との間の径方向の隙間に、収容袋35の開口36側が差し込まれることになる。この状態から係止リング32がシュート本体31に対し相対的に下げられると、係止リング32がシュート本体31とで収容袋35の開口36側を挟持する。これにより、収容袋35がシュート本体31を開口36の内側に配置した状態でシュート26に取り付けられる。
シュート本体31と係止リング32とが収容袋35の上部を挟み込んで保持することから、収容袋35は係止リング32よりもさらに上方に延びた状態でシュート26に取り付けられることになる。収容袋35は、シュート本体31の下端部から収容袋35の底部まで、一例として20〜30センチメートル程度の長さを有するようにシュート26にセットされる。シュート26は、収容袋35の開口36側が着脱可能となっている。
シュート26は、収容袋35が取り外される際には、係止リング32がシュート本体31に対し持ち上げられることにより係止リング32とシュート本体31とが径方向に離間し、これにより、収容袋35が下方に引き抜かれて取り外される。
硬貨処理装置11は、その装置本体部15の突出部25よりも左側に、主前面19から後方に凹む収容凹部40を有しており、この収容凹部40に差し込まれる、装置本体部15とは別体の一つの排除ボックス41を有している。この排除ボックス41には、収容凹部40に差し込まれた状態で、装置本体部15から偽硬貨が放出される。この排除ボックス41は、収容凹部40から引き出されて取り外されるようになっている。この排除ボックス41は、上方開口の箱状となっており、装置本体部15から放出された硬貨をこの開口から受け入れて収容する。
硬貨処理装置11は、その装置本体部15のホッパ16の右側に、操作者に向けて表示を行うと共に操作者によって操作入力がなされる操作表示部51が設けられており、操作表示部51の後側に用紙に印字を行うプリンタ52が設けられている。硬貨処理装置11は、図2に示すように、ホッパ16に投入されホッパ16から繰り出された硬貨を搬送する搬送部55と、搬送部55で搬送中の硬貨の真偽および金種を識別して金種別に計数する識別計数部(計数手段)56と、識別計数部56で識別および計数後の硬貨を振り分ける振分部57と、硬貨処理装置11の全体を制御する制御部58(制御手段)と、記憶部59と、を有している。
硬貨処理装置11は、操作表示部51で分類モードが選択された分類モードの実行時において、制御部58が、ホッパ16に投入された硬貨を、識別計数部56で識別させ、その結果に基づいて振分部57で振り分けさせることになり、振分部57は、真硬貨をそれぞれ対応する金種の図1に示す収容箱21に放出し、偽硬貨を排除ボックス41に放出する。
硬貨処理装置11は、操作表示部51で一括放出モードが選択された一括放出モードの実行時において、制御部58が、ホッパ16に投入された硬貨を、識別計数部56で識別させ、その結果に基づいて振分部57で振り分けさせることになり、振分部57は、真硬貨を一括して図1に示すシュート26のシュート本体31から収容袋35に放出し、偽硬貨を排除ボックス41に放出する。その結果、シュート26は、識別計数部56で計数された硬貨を放出することになる。
硬貨処理装置11は、シュート26から放出された硬貨を収容する収容袋35の取り外しを許容および規制する取外規制部(規制手段)71を有している。取外規制部71は、閉状態でシュート26を覆ってシュート26からの収容袋35の取り外しを規制し、開状態でシュート26の覆いを解除してシュート26からの収容袋35の取り外しを許容する上部カバー72を有している。
上部カバー72は、装置本体部15の主前面19から前方に突出し水平に広がる天井部75と、装置本体部15の主前面19から前方に突出し左右方向に直交するように広がる一対の上部壁部76と、左側の上部壁部76の前端縁部に鉛直軸回りに回動可能に連結された上部扉部77とを有している。
天井部75は、突出部25の下端部の前縁部から前方に延出すると共に、突出部25の下端部の左右縁部から左右に延出している。天井部75は、シュート26およびシュート26に取り付けられた状態の収容袋35を上方で突出部25とによって覆う。一対の上部壁部76は、天井部75の左右の端縁部から下方に延出しており、シュート26およびシュート26に取り付けられた状態の収容袋35の上部を左右両側で覆う。
上部扉部77は、一対の上部壁部76の前端縁部間の前部開口部80を開閉することになり、図3に示すように、閉状態で、シュート26およびシュート26に取り付けられた状態の収容袋35の上部を前方で覆う。装置本体部15の主前面19は、シュート26およびシュート26に取り付けられた状態の収容袋35の上部を後方で覆う。よって、シュート26およびシュート26に取り付けられた状態の収容袋35の上部は、水平方向の全周が、一対の上部壁部76、閉状態の上部扉部77および装置本体部15の主前面19によって覆われている。一対の上部壁部76、閉状態の上部扉部77および装置本体部15の主前面19で囲まれた部分の全体を天井部75および突出部25が閉塞する。
上部カバー72は、図1に示すように上部扉部77が開放された開状態では、シュート26の係止リング32およびシュート26に取り付けられた状態の収容袋35の上部を前方に露出させてアクセス可能とする。このとき、係止リング32およびシュート26に取り付けられた状態の収容袋35の上部へのアクセスは、上部扉部77が開放されることで開口する前部開口部80を介して可能となる。上部カバー72は、上部扉部77が閉塞された閉状態では、シュート26およびシュート26に取り付けられた状態の収容袋35の上部へのアクセスを規制する。言い換えれば、取外規制部71は、上部カバー72が閉状態にあるとき、収容袋35のシュート26からの取り外しを規制することになり、上部カバー72が開状態にあるとき、収容袋35のシュート26からの取り外しを許容することになる。
取外規制部71は、上部カバー72を、閉状態でロックすると共に制御部58の制御でロックおよびロック解除が制御される電磁式の上部カバーロック部(ロック手段)81と、上部カバー72が、閉状態にあるか否かを検知する図2に示す上部カバー開閉検知部82とを有している。上部カバーロック部81は、上部扉部77を前部開口部80を閉塞する閉状態で右側の上部壁部76に固定するものである。
上部カバー72には、シュート26に取り付けられた状態の収容袋35の有無を検知する図2に示す装着有無検知部83が設けられている。装着有無検知部83は発光素子と受光素子とからなる光学透過型のセンサである。装着有無検知部83は、発光素子の発光を受光素子が受光する状態が、収容袋35がシュート26に取り付けられた状態にないことを検知する状態であり、発光素子の発光を受光素子が受光しない状態が、収容袋35がシュート26に取り付けられた状態にあることを検知する状態である。
図1に示すように、取外規制部71は、閉状態で収容袋35を覆って収容袋35の取り出しを規制し、開状態で収容袋35の覆いを解除して収容袋35の取り出しを許容する下部カバー91を有している。下部カバー91は上部カバー72との間に上下方向に若干の隙間を設けて上部カバー72の下方に配置されている。
下部カバー91は、装置本体部15の下面に固定されており、装置本体部15よりも前方かつ下方に突出している。下部カバー91は、装置本体部15の主前面19よりも前方に突出し左右方向に直交するように広がる一対の下部壁部95と、一対の下部壁部95の後端縁部同士を連結する下部後壁部96と、一対の下部壁部95および下部後壁部96の下端縁部同士を連結するカバー底部97(支持部)と、左側の下部壁部95の前端縁部に鉛直軸回りに回動可能に連結された下部扉部98と、を有している。
一方の下部壁部95は、一方の上部壁部76と前後左右の位置を重ね合わせて同一平面に配置されると共に、この上部壁部76から若干離間して下方に配置されており、他方の下部壁部95は、他方の上部壁部76と前後左右の位置を重ね合わせて同一平面に配置されると共に、この上部壁部76から若干離間して下方に配置されている。カバー底部97は天井部75と前後左右の位置を重ね合わせて水平に配置されている。閉状態の下部扉部98は閉状態の上部扉部77と前後左右の位置を重ね合わせて同一平面に配置されると共に、この上部扉部77から若干離間して下方に配置されている。
一対の下部壁部95はシュート26に取り付けられた状態の収容袋35の中間部から下部を左右で覆い、下部後壁部96はシュート26に取り付けられた状態の収容袋35の中間部から下部を後方で覆う。カバー底部97は、シュート26に取り付けられた状態の収容袋35の底部を支持すると共に、これを下方で覆う。カバー底部97は、シュート26に取り付けられた状態の収容袋35の底部を、最も下側に位置した状態よりも所定量持ち上げた状態に支持する。
下部扉部98は、一対の下部壁部95の前端縁部間の前部開口部100を開閉することになり、閉状態で、シュート26に取り付けられた状態の収容袋35の中間部から下部を前方で覆う。シュート26に取り付けられた状態の収容袋35の中間部から下部は、水平方向の全周が、一対の下部壁部95、下部後壁部96および閉状態の下部扉部98によって覆われている。一対の下部壁部95、下部後壁部96および閉状態の下部扉部98で囲まれた部分の全体をカバー底部97が閉塞する。
下部カバー91は、下部扉部98が開放された開状態では、収容袋35の中間部から下部を前方に露出させてアクセス可能とする。このとき、収容袋35の中間部から下部へのアクセスは、下部扉部98が開放されることで開口する前部開口部100を介して可能となる。下部カバー91は、下部扉部98が閉塞された閉状態では、シュート26に取り付けられた状態の収容袋35の中間部から下部へのアクセスを規制する。
以上により、取外規制部71は、上部カバー72および下部カバー91の少なくともいずれか一方が閉状態にあるとき、収容袋35の全体に亘るアクセスを規制することになり、上部カバー72および下部カバー91が共に開状態にあるとき、収容袋35に全長に亘るアクセスを可能とする。
取外規制部71は、下部カバー91を、閉状態でロックすると共に制御部58でロックおよびロック解除が制御される電磁式の下部カバーロック部(ロック手段)101と、下部カバー91が、閉状態にあるか否かを検知する図2に示す下部カバー開閉検知部102とを有している。下部カバーロック部101は、下部扉部98を前部開口部100を閉塞する閉状態で右側の下部壁部95に固定するものである。カバー底部97には、収容袋35の残留硬貨の有無を検知する図2に示す袋内残留磁気検知センサ103が設けられている。
硬貨処理装置11は、装置本体部15とは別体であって、収容袋35の開口36側を縛って開口36を封止する図4に示す封緘具110(封止手段)を有している。図5に示すように、硬貨処理装置11の装置本体部15は、封緘具110がセットされると共に、封緘具110による収容袋35の縛りを補助する緊縛部111(緊縛手段)を有している。
図4に示すように、封緘具110は、帯状のバンド部材であり、幅が狭いバンド部112と、バンド部112よりも幅が広くて長さが短い基部113とを有している。バンド部112には、基部113とは反対の先端部114側の所定位置に、厚さ方向に貫通する検知穴115が形成されている。基部113には、バンド部112側の端部に、角筒状をなし、内側にバンド部112が先端部114から挿入される引抜規制部116が設けられている。図5に示すように、引抜規制部116は、バンド部112および基部113の引抜規制部116を除く部分よりも厚さ方向一側に突出している。
角筒状の引抜規制部116は、挿入されたバンド部112の挿入方向の移動を許容し且つ引き抜き方向の移動を規制する。言い換えれば、引抜規制部116にはバンド部112が不可逆的に移動するように挿入される。具体的に、バンド部112には、多数の爪がバンド部112の長さ方向に沿ってラックギア状に形成されており、引抜規制部116には、バンド部112の爪に対し一方向の移動を許容しつつ逆方向の移動を規制する規制爪が形成されている。よって、封緘具110には、一端側が挿入されると共に挿入された一端側の挿入方向の移動を許容し且つ引き抜き方向の移動を規制する引抜規制部116が他端側に設けられている。
基部113には、情報を記憶するICタグ117(記憶手段)が埋設されている。ICタグ117は、これが設けられた封緘具110の識別番号と、この封緘具110が未使用であるか使用済みであるかを示す使用情報とを記憶する。
図1に示すように、緊縛部111は、装置本体部15の主前面19側の上部カバー72と下部カバー91との間位置に設けられている。図5に示すように、緊縛部111は、封緘具110がセットされるセット部121と、セット部121にセットされた封緘具110のICタグ117と通信してICタグ117から使用情報を読み出したりICタグ117に使用情報を書き込むICタグリーダライタ122(読出手段)と、を有している。また、緊縛部111は、セット部121にセットされた封緘具110の引抜規制部116にバンド部112が所定量挿入された状態にあるか否かを検知する挿入検知部124と、引抜規制部116に所定量挿入されたバンド部112の先端側を引抜規制部116に対し挿入方向に移動させる移動部125を有している。
セット部121には、封緘具110のバンド部112よりも厚さ方向に突出する引抜規制部116が挿入されるセット穴131と、セット穴131に引抜規制部116が挿入された状態で封緘具110が載置される載置部132と、載置部132に載置された状態の封緘具110の基部113の載置部132からの脱落を規制する基部保持部133と、セット穴131への封緘具110の先端部114の挿入を案内するガイド部134と、を有している。セット部121は、図1に示すように、シュート本体31の下端部よりも、所定の間隔(一例として10センチメートル程度)を置いて下側に配置される。これは、封緘具110を締め付けて収容袋35を封緘する際に、収容袋35を締め付けやすくするためである。
図5に示すように、セット部121にセットされた封緘具110の引抜規制部116にバンド部112が先端部114から所定量挿入されると、挿入検知部124がこのバンド部112を検知する。挿入検知部124は発光素子と受光素子とからなる光学透過型のセンサである。挿入検知部124は、発光素子の発光を受光素子が受光する状態がバンド部112の実部を検知しない状態であり、発光素子の発光を受光素子が受光しない状態がバンド部112の実部を検知する状態である。挿入検知部124は、発光素子の発光を受光素子が受光する状態から受光しない状態となり、検知穴115で再び受光する状態になると、引抜規制部116にバンド部112が所定量挿入された状態にあることを検知する。
移動部125は、一対のクランプローラ136と、一対のクランプローラ136を近接および離間させる図2に示す移動駆動モータ137と、クランプローラ136を回転させる図2に示す回転駆動モータ138と、クランプローラ136と回転駆動モータ138との間に配置される図示略のトルクリミッタと、を有している。一対のクランプローラ136は、セット部121にセットされた封緘具110の引抜規制部116に所定量挿入された状態のバンド部112の先端部114側を移動駆動モータ137に駆動されて挟持することになり、この状態で回転駆動モータ138に駆動されて回転することにより、バンド部112を引抜規制部116に対し挿入方向に移動させる。
セット部121にセットされた封緘具110の前方に、シュート26に装着された収容袋35の開口36側が配置されている。セット部121にセットされた封緘具110は、手動で先端部114側が手前に引かれ、収容袋35の前方を通過させられて、ガイド部134で案内されて引抜規制部116に挿入される。これにより、シュート26に装着された収容袋35の開口36側の周囲に封緘具110が巻かれる。
緊縛部111は、このように収容袋35の開口36側の周囲に巻かれて引抜規制部116に先端部114側が所定量挿入された状態の封緘具110の先端部114側を引抜規制部116に対し挿入方向に移動させて収容袋35の開口36側を封緘具110で縛る。封緘具110による収容袋35の縛りを解除する場合、基本的にはバンド部112の切断が必要になる。
制御部58は、緊縛部111の作動に基づいて収容袋35が封緘具110で縛られた状態にあるか否かを検出する。具体的に、制御部58は、回転駆動モータ138の回転時間(言い換えれば回転量)、すなわちクランプローラ136の回転時間が回転開始から所定時間を超えると、収容袋35が封緘具110で縛られた状態にあることを検出する。収容袋35が封緘具110で縛られた状態になると、クランプローラ136と回転駆動モータ138との間の図示略のトルクリミッタが滑る状態になる。所定量は、トルクリミッタが滑る状態となるのに十分な回転時間に設定されている。
制御部58は、収容袋35が封緘具110で縛られた状態にあるか否かをこのように検出し、縛られた状態にあれば、取外規制部71の上部カバーロック部81および下部カバーロック部101の両方のロックを解除することになる。これにより、シュート26の係止リング32のシュート本体31に対する持ち上げ作業が可能となり、シュート26に装着された収容袋35のシュート26からの取り外しを許容する状態になる。
すなわち、操作表示部51への操作で一括放出モードが選択されると、制御部58は、まず、一括放出モードでの封緘処理として、操作表示部51に、緊縛部111のセット部121への未使用の封緘具110のセットおよび収容袋35のシュート26への取り付けを促す表示を表示させる。すると、操作者は、例えば、上部扉部77を開き、下部扉部98を開いて、未使用の封緘具110をセット部121にセットし、収容袋35をシュート26へ取り付けた後、上部扉部77および下部扉部98を閉じることになる。
操作者の上記作業によって、装着有無検知部83が収容袋35がシュート26に取り付けられた状態にあることを検知した後、上部扉部77が閉じられたことを上部カバー開閉検知部82が検知し、下部扉部98が閉じられたことを下部カバー開閉検知部102が検知することになる。制御部58は、このような検知が行われるまで待機する。このような検知が行われると、制御部58は、ICタグリーダライタ122によってICタグ117から使用情報を読み出させる。
制御部58は、ICタグリーダライタ122が、ICタグ117から使用済みであることを示す使用情報を読み出した場合、セット部121にセットされた封緘具110が使用済みであるため未使用の封緘具110への交換を促す旨の警告表示を操作表示部51に表示させる。例えば、「未使用のICタグが組み込まれた封緘タグをセットして下さい」の表示を表示させる。ここで、封緘タグは封緘具110の呼称である。ICタグリーダライタ122が使用情報を読み出せない場合も、セット部121に未使用の封緘具110のセットを促す旨の警告表示を操作表示部51に表示させる。
これらのように、ICタグリーダライタ122が、ICタグ117から未使用であることを示す使用情報を読み出すことができない場合、制御部58は、上部カバーロック部81および下部カバーロック部101で上部扉部77および下部扉部98をロックすることなく待機する。ここで、制御部58は、ICタグ117に識別計数部56の識別結果情報(後述)が記憶されていないことを、未使用であることを示す使用情報とする一方、ICタグ117に識別計数部56の識別結果情報が記憶されていることを、使用済みであることを示す使用情報とする。
制御部58は、ICタグリーダライタ122が、ICタグ117から未使用であることを示す使用情報を読み出すと、上部カバーロック部81および下部カバーロック部101で上部扉部77および下部扉部98を閉状態にロックする。そして、制御部58は、袋内残留磁気検知センサ103で収容袋35内に残留している硬貨の有無を検出させる。袋内残留磁気検知センサ103が収容袋35内に残留している硬貨があることを検出すると、制御部58は、上部カバーロック部81および下部カバーロック部101により上部扉部77および下部扉部98のロックを解除して、収容袋35に残留している硬貨がある旨の表示を操作表示部51に表示させる。
袋内残留磁気検知センサ103で収容袋35内に残留している硬貨が検出されなければ、制御部58は、これが設けられた硬貨処理装置11の識別情報、ICタグ117から読み取ったICタグ117の識別情報、現在の日時情報(封緘処理実行の日時情報)および今回の処理にあたって入力された操作者の識別情報を、履歴情報として記憶部59に記憶させると共に、これらの硬貨処理装置11の識別情報、封緘処理実行の日時情報および操作者の識別情報をICタグリーダライタ122によってICタグ117に書き込ませる。
そして、制御部58は、ホッパ16および搬送部55を駆動し、ホッパ16に投入された硬貨を、識別計数部56で識別させ、識別計数部56の識別結果に基づいて振分部57で、真硬貨を金種混合で一括してシュート本体31から収容袋35に放出させることになり、偽硬貨を排除ボックス41に放出させることになる。なお、制御部58は、上部カバー開閉検知部82、下部カバー開閉検知部102、装着有無検知部83およびICタグリーダライタ122が、上記のような検知を行わなければ、ホッパ16および搬送部55を駆動することはない。
ホッパ16および搬送部55の駆動後、規定枚数の硬貨を収容袋35に放出するか、あるいは、ホッパ16に硬貨がなくなると、制御部58は、ホッパ16および搬送部55を停止させて、識別計数部56の識別結果のうち収容袋35に収容した硬貨の金種別の枚数および合計金額等の識別結果情報を、上記したICタグ117の識別情報、硬貨処理装置11の識別情報、日時情報および操作者の識別情報と関連付けて、履歴情報として記憶部59に記憶すると共に、ICタグリーダライタ122によってICタグ117にも書き込ませる。ICタグ117は、これに記憶された識別計数部56の識別結果情報が、使用済みであることを示す使用情報となる。硬貨処理装置11の識別情報、日時情報および操作者の識別情報を、識別計数部56の識別結果情報のICタグ117への記憶のタイミングでICタグ117へ記憶させても良い。
次に、制御部58は、セット部121にセットされた封緘具110の、シュート26に取り付けられた収容袋35への巻き付けを促す旨の表示を操作表示部51に表示させる。すると、操作者が、手動で、セット部121にセットされた封緘具110の先端部114側を手前に引き、収容袋35の前方を通過させて引抜規制部116に挿入する。これにより、シュート26に装着された収容袋35の開口36側の周囲に封緘具110が巻かれた状態になる。挿入検知部124が、引抜規制部116にバンド部112が所定量挿入された状態にあることを検知すると、制御部58は、移動駆動モータ137で一対のクランプローラ136を移動させて一対のクランプローラ136によって封緘具110の先端部114側を挟持させた後、回転駆動モータ138を所定量回転させて、封緘具110の先端部114側を引抜規制部116に対して挿入方向に所定量移動させる。これにより、収容袋35が封緘具110で縛られて開口36が封止された封緘状態となる。
制御部58は、クランプローラ136の回転時間が所定時間になることで、収容袋35が封緘具110で縛られた状態になったことを検出すると、回転駆動モータ138を停止させると共に、移動駆動モータ137で一対のクランプローラ136を離間させる。そして、制御部58は、ホッパ16に硬貨がなければ、上部カバーロック部81および下部カバーロック部101による上部扉部77および下部扉部98のロックを解除して、収容袋35のシュート26からの取り外しを促す旨の表示を操作表示部51に表示させる。すると、操作者は、上部扉部77を開き、下部扉部98を開いて、収容袋35をシュート26から取り外して上部カバー72および下部カバー91から外側に取り出す。このとき、この収容袋35を縛っている封緘具110も、バンド部112の先端部114側および引抜規制部116がセット穴131から引き抜かれ、基部113が基部保持部133から外れて、収容袋35と一体に取り出される。収容袋35を上部カバー72および下部カバー91よりも外側に取り出すと、操作者は、上部扉部77および下部扉部98を閉じることになる。
操作者の上記作業によって、上部扉部77が開かれたことを上部カバー開閉検知部82が検知し、下部扉部98が開かれたことを下部カバー開閉検知部102が検知し、装着有無検知部83が収容袋35がシュート26に取り付けられた状態にないことを検知した後、上部扉部77が閉じられたことを上部カバー開閉検知部82が検知し、下部扉部98が閉じられたことを下部カバー開閉検知部102が検知することになる。すると、制御部58は、一括放出モードでの処理を終了する。
他方、上記のように回転駆動モータ138の回転駆動を停止させると共に、移動駆動モータ137で一対のクランプローラ136を離間させた後、ホッパ16に硬貨があれば、制御部58は、上部カバーロック部81および下部カバーロック部101により上部扉部77および下部扉部98の閉状態でのロックを解除して、収容袋35のシュート26からの取り外し、次の未使用の封緘具110のセット部121へのセットおよび次の収容袋35のシュート26への取り付けを促す旨の表示を操作表示部51に表示させる。すると、操作者は、上部扉部77を開き、下部扉部98を開いて、収容袋35をシュート26から取り外し、これを縛っている封緘具110と共に上部カバー72および下部カバー91よりも外側に取り出した後、次の未使用の封緘具110をセット部121へセットし、次の空の収容袋35をシュート26へ取り付けて、上部扉部77および下部扉部98を閉じることになる。
操作者の上記作業によって、上部扉部77が開かれたことを上部カバー開閉検知部82が検知し、下部扉部98が開かれたことを下部カバー開閉検知部102が検知し、装着有無検知部83が収容袋35がシュート26に取り付けられた状態にないことを検知した後、装着有無検知部83が収容袋35がシュート26に取り付けられた状態にあることを検知し、上部扉部77が閉じられたことを上部カバー開閉検知部82が検知し、下部扉部98が閉じられたことを下部カバー開閉検知部102が検知することになる。すると、制御部58は、ICタグリーダライタ122によるICタグ117からの使用情報の読み出しから、上記と同様に処理を行う。ホッパ16の硬貨がなくなるまで、上記と同様に、硬貨を規定枚数収容した収容袋35を作成する処理を適宜繰り返して、ホッパ16の硬貨がなくなると、一括放出モードでの処理を終了する。
一括放出モードでの処理中、上記のように、上部カバーロック部81および下部カバーロック部101により上部扉部77および下部扉部98を閉状態でロックすると、その後は、挿入検知部124が引抜規制部116にバンド部112が所定量挿入された状態にあることを検知した後、一対のクランプローラ136がバンド部112の先端部114側を引抜規制部116に対して挿入方向に所定量移動させたことを検知するまで、制御部58は、上部カバーロック部81および下部カバーロック部101による上部扉部77および下部扉部98の閉状態でのロックを解除することがない。すなわち、シュート26に取り付けられた状態の収容袋35へのアクセスを規制する。
以上により、制御部58は、封緘具110で開口36が封止されていない状態の収容袋35のシュート26からの取り外しを規制し、封緘具110で開口36が封止されている状態での収容袋35のシュート26からの取り外しを許容するように取外規制部71を制御する。
なお、一括放出モードでの処理中に異常が発生した時には、制御部58が、封緘具110で開口36が封止されていない状態の収容袋35に対しても、上部カバーロック部81および下部カバーロック部101による上部扉部77および下部扉部98の閉状態でのロックを解除して、シュート26からの取り外しを可能とする。その際に、収容袋35の在り高が保証できない状態になると、制御部58は、異常復旧処理を開始して、上部カバーロック部81および下部カバーロック部101による上部扉部77および下部扉部98の閉状態でのロックを解除し、操作表示部51に、収容袋35をシュート26から取り外して収容袋35内の硬貨をホッパ16への投入した後、収容袋35をシュート26に取り付ける作業を促す旨の表示を表示させる。すると、操作者は、上部扉部77を開き、下部扉部98を開いて、収容袋35をシュート26から取り外し、この収容袋35内の硬貨をホッパ16へ投入し、この収容袋35をシュート26に取り付けて、上部扉部77および下部扉部98を閉じることになる。
操作者の上記作業によって、上部扉部77が開かれたことを上部カバー開閉検知部82が検知し、下部扉部98が開かれたことを下部カバー開閉検知部102が検知し、装着有無検知部83が収容袋35がシュート26に取り付けられた状態にないことを検知した後、装着有無検知部83が収容袋35がシュート26に取り付けられた状態にあることを検知し、上部扉部77が閉じられたことを上部カバー開閉検知部82が検知し、下部扉部98が閉じられたことを下部カバー開閉検知部102が検知することになる。すると、制御部58は、ICタグリーダライタ122によるICタグ117からの使用情報の読み出しから、上記と同様に処理を行って再計数を行う。再計数が完了すると、異常が発生した取引より一つ前の在り高を差し引いて操作表示部51に表示させる。これにより、操作者は、目視確認で入金金額を確認し、一致していれば、操作表示部51に完了操作を入力する。完了操作が入力されると、制御部58は、封緘具110での封緘を行う。
上記により、受入硬貨の在り高を計数しながら収容袋35に収納し、規定枚数に達したところで、計数を停止して封緘作業に入るため、在り高が確定された収容袋35が直ちに作成される。収容袋35の在り高情報は、プリンタ52により紙面に印字しても良い。
以上に述べた第1実施形態の硬貨処理装置11によれば、制御部58が、取り付けられた状態の収容袋35の開口36が封緘具110で封止されていない状態では、この収容袋35の取り外しを規制し、収容袋35の開口36が封緘具110で封止されている状態では、この収容袋35の取り外しを許容するように取外規制部71を制御するため、封緘具110で開口36が封止されていない状態での収容袋35の取り外しを規制することができる。よって、硬貨を収容袋35に収容して取り出す際のセキュリティ性の向上を図ることができる。
例えば、郵便局では、集まった大量の硬貨を受け入れ時に選別計数し、資金送付の際に郵袋という専用の収容袋に入れて袋取りした後、再度計数する等、同じ硬貨を2回以上計数するようになっている。作業者が日中業務や袋交換業務に手動で収容袋を外す際に、収容袋の内部に手が入るために硬貨を抜き取ることができ、その結果、厳密な収容袋の在り高管理ができない可能性がある。これに対し、第1実施形態の硬貨処理装置11によれば、封緘具110で収容袋35の開口36が封止されていない状態での収容袋35の取り外しを規制することができるため、手動で収容袋35を外す際に、収容袋35の内部に手が入ることを抑制することができ、現金に触れることのない厳密な収容袋35の在り高管理が可能となる。
また、シュート26に収容袋35の開口36側を装着して、硬貨をシュート26から収容袋35に放出し収容して袋取りを行う際に、制御部58は、収容袋35が封緘具110で縛られた状態にあるか否かを検出し、縛られた状態になければ、シュート26からの収容袋35の取り外しを取外規制部71によって規制し、縛られた状態にあれば、シュート26からの収容袋35の取り外しを取外規制部71によって許容する。よって、硬貨の袋取りの際のセキュリティ性の向上を図ることができる。
また、カバー底部97が収容袋35の底部を支持するため、開口36側がシュート26に装着された状態の収納袋35が、収容している硬貨の重量で下方に引っ張られることを抑制できる。よって、封緘具110で縛る際に、収容袋35の開口36側を窄める動作に対する抵抗力が小さくなり、収容袋35の開口36の封緘具110による封止に要する力を低減できる。
また、上部カバー72および下部カバー91は、閉状態でシュート26を覆ってこのシュート26からの収容袋35の取り外しを規制することになり、上部カバーロック部81および下部カバーロック部101が、上部カバー72および下部カバー91を閉状態でロックする。このため、簡素な構造で、シュート26からの収容袋35の取り外しを規制することができる。しかも、上部カバー72は、収容袋35の開口36側を覆って開口36側の外部への露出を抑制するため、硬貨の袋取りの際のセキュリティ性のさらなる向上を図ることができる。ここで、シュート26からの収容袋35の取り外しの規制には、少なくとも上部カバー72があれば良く、下部カバー91をなくすことも可能である。しかしながら、上部カバー72および下部カバー91の両方を設ければ、操作者が収容袋35に部分的に触れることをも抑制できるため、硬貨の袋取りの際のセキュリティ性のさらなる向上を図ることができる。しかも、上部カバー72および下部カバー91を設ければ良いため、既存装置への追加が容易となる。
また、緊縛部111は、封緘具110がセットされると共に、シュート26に装着された収容袋35の周囲に巻かれて引抜規制部116に一端の先端部114側が挿入された状態の封緘具110の先端部114側を引抜規制部116に対し挿入方向に移動させて収容袋35の開口36側を縛るため、収容袋35の開口36の封緘具110による封止作業を補助することができる。しかも、制御部58は、緊縛部111の作動に基づいて、収容袋35が封緘具110で縛られた状態にあるか否かを検出するため、収容袋35の開口36の封緘具110による封止が行われたか否かを確実に検出することができる。
また、ICタグリーダライタ122が、封緘具110のICタグ117から未使用であるか使用済みであるかを示す使用情報を読み出すため、使用済みの封緘具110が使用されることを防止できる。
第1実施形態の硬貨処理装置11は、一括投入された金種混合の硬貨を識別および計数して金種別に分類する分類モードと、一括投入された金種混合の硬貨を識別および計数し一括して放出する一括放出モードとが可能な硬貨選別計数装置であるが、一括投入された金種混合の硬貨を識別および計数し一括して放出する一括放出モードのみが可能な硬貨計数装置であっても良い。
第1実施形態の硬貨処理装置11は、1枚1枚の収容袋35に規定枚数ずつ硬貨を収容する場合を例にとり説明したが、規定重量を設定し、硬貨重量が規定重量に達したところで計数を停止させることにより、1枚1枚の収容袋35に規定重量ずつ硬貨を収容するようにしても良い。規定重量に達したか否かの検出は、収容袋35がセットされる部位であるカバー底部97に重量センサを設けて実測しても良く、正常と識別されて収容袋35に収容される硬貨の金種別の枚数それぞれに、対応金種の1枚あたりの基準重量を掛け合わせた理論値重量が規定重量に達したところで計数停止させても良い。または、規定体積を設定し、正常と識別されて収容袋35に収容される硬貨の金種別の枚数それぞれに、対応金種の1枚あたりの基準体積を掛け合わせた理論値体積が規定体積に達したところで計数を停止させて、1枚1枚の収容袋35に規定体積ずつ硬貨を収容するようにしても良い。さらには、上記体積が収容袋35の膨らみに関わることから、シュート26の出口よりも所定量下方部分の収容袋35の膨らみを光学センサで検出して、所定以上の膨らみに達したところで、封緘すべき枚数に達したと判断するようにしても良い。
第1実施形態の硬貨処理装置11において、記憶部59および封緘具110のICタグ117に、封緘処理実行の日時情報、操作者の識別情報、硬貨処理装置11の識別情報、操作者の識別情報および収容袋35に収容した硬貨の金種別の枚数および合計金額等の識別結果情報を記憶するようにしたが、これらに限られるものではなく、記憶する情報に、硬貨処理装置11が設置される店舗等の識別情報をさらに含んでも良い。なお、硬貨処理装置11の識別情報自体に、硬貨処理装置11が設置される店舗等の情報を含んでいても良い。
第1実施形態の硬貨処理装置11において、収容袋35に収容した硬貨の金種別の枚数および合計金額等の識別結果情報を、硬貨処理装置11の識別情報、封緘処理実行の日時情報および操作者の識別情報と関連付けて、履歴情報として記憶部59に記憶したが、この履歴情報を、収容袋35の回収先である管理センタの管理装置にネットワークを介して送信するようにしても良い。この場合、管理センタの管理装置では、回収してきた収容袋35の封緘具110のICタグ117に記憶された情報と、ネットワークを介して受信した情報とを照合するようにしても良い。ネットワーク接続を不要として、回収先において、回収してきた収容袋35の封緘具110のICタグ117に記憶された情報を元に、収容袋35の監査を行うようにしても良い。
第1実施形態の硬貨処理装置11において、収容袋35への硬貨の収容時に、硬貨の収容位置の偏りを抑制できるよう、カバー底部97、下部壁部95および下部後壁部96の少なくともいずれか一つを振動させても良い。
第1実施形態の硬貨処理装置11において、空の収容袋35のシュート26への取り付け、封緘後または開口状態での収容袋35の取り外しを容易化するため、カバー底部97を上下動可能とし、取り付け、取り外しに際して、カバー底部97を上方に移動させるようにしても良い。このカバー底部97を上下動させる機構によって、カバー底部97に硬貨の偏りを抑制するための振動を与えるようにしても良い。
第1実施形態の硬貨処理装置11においては、上部カバー72および下部カバー91の二分割カバーを有しているが、収容袋35の取り外しができない状態で封緘処理ができるように、上部カバー72だけ設けても良い。また、上部カバー72および下部カバー91に分割せずに一つのカバーで収容袋35の全体を覆うようにしても良い。
第1実施形態の硬貨処理装置11にあっては、封緘具110が、その先端部114を基部113の引抜規制部116に挿入させる前の状態でセット部121にセットされ、封緘作業時に、手作業でその先端部114を引抜規制部116に挿入してから、自動的に締め付けて封緘を行わせるものであったが、これに代えて、封緘具110の先端部114を引抜規制部116に差し込んで環状にし、この環状内に収容袋35の上部を通した上で、収容袋35をシュート26にセットするようにしても良い。このとき、封緘具110が挿入検知部124で検知されていることを収容袋35への硬貨放出の条件とすれば、収容袋35への硬貨放出前に、移動部125のクランプローラ136で封緘具110を挟持する状態とし、収容袋35への硬貨放出後の封緘作業時には、自動的に、封緘具110の先端部114をクランプローラ136で挿入方向に移動させて封緘できることになる。他方、異常時などの際であって、収容袋35を取り外す必要があるときには、クランプローラ136で挟持された環状の封緘具110から収容袋35の開口36側を下方に抜いて収容袋35内の硬貨を排出し、再度、収容袋35の開口36側を、環状の封緘具110の内側に差し込んでから、シュート26に取り付けることができる。
第1実施形態の硬貨処理装置11は、この硬貨処理装置11が設置された店舗等において、今後使用しないとみなした硬貨群を直ちに計数して収納し封緘する場合に使用して好適となる。店舗等では、収容袋35への収容および封緘の好適なタイミングがある。例えば、午前中は、硬貨の出し入れが多いことから、収容袋35への収容および封緘は行わず、午後からの硬貨は、ほぼ収容する傾向にあることが判っている場合などには、第1実施形態の硬貨処理装置11で計数、収容および封緘する。混合硬貨の計数、収容および封緘の一連の処理は、例えば、大量の硬貨を一度に処理しようとする場合も含めて、少量の硬貨を、何度も計数および収容を繰り返して、各収容袋35に規定量ずつ封緘するケースがある。
硬貨の出し入れが発生しうるときは、硬貨選別計数機で計数処理し、出し入れが不要のときは、硬貨選別計数機とは別となる第1実施形態の硬貨処理装置11で計数、収容および封緘する、と言う二機種対応としたり、あるいは、金種混合回収および金種選別の両機能を有する第1実施形態の硬貨処理装置11では、出し入れの時間帯は計数して金種別の収容箱21に選別して収容し、出し入れ不要の時間帯は収容袋35に金種混合で収容して封緘するようにしても良い。
封緘具110は、基本的に、封緘作業後にはこれを切断しない限り、収容袋35の封緘状態を解除できないため、使用済みの封緘具110を再使用することはあり得ない。よって、封緘具110において、これを硬貨処理装置11にセットして、そのICタグ117を読み取ると、通常は未使用となっている。しかしながら、不正防止、抑止のためにも、ICタグ117のチェックを行う。例えば、不正を働こうとする者が、輸送途中に封緘具110を切り取って中身を抜き取り、新しい封緘具110に付け替えた場合、ICタグ117には何も書き込まれていなかったり、所定の形式の情報が書き込まれていない可能性が高くなるので、収容袋35を封緘している封緘具110のICタグ117の記憶内容のチェックを行うことで、不正を検出することができる。
硬貨処理装置11の使用に先立って、操作表示部51への操作で、金種別に選別処理するか、金種混合で収容および封緘処理するかを選択可能とした上で、選別処理が選択された場合、識別および計数して金種別の収容箱21へ収容を行い、収容および封緘処理が選択された場合は、識別および計数して金種混合で収容袋35への収容および封緘処理を行うようにしても良い。硬貨処理装置11は、この場合、操作表示部51への操作で操作者権限を確認してから、権限者のみ、選択した上での収容袋35への収容および封緘処理を行えるようにしても良い。また、この場合、非権限者に対しては、選別処理のみが選択可能としたり、自動的に選別処理モードとなるようにしても良い。さらには、収容および封緘処理が選択されたときに、収容袋35のセットが確認されない場合には警告等を発生させるようにしても良い。
なお、封緘具110を用いる以外の封止手段を採用しても良い。例えば、収容袋35として、ヒートシール対応可能なビニール袋(1000枚程度の硬貨が袋詰め可能なもの)を用意する。そして、セット部121に相当する部分に、ヒートシール用の細いヒータを配置する。封緘処理の際、表面をテフロン(登録商標)加工した金属板金を、ヒータ線のあるセット部121側に、間に収容袋35を挟んで押し付けることで、収容袋35を熱溶着して封緘する。この場合、ICタグ117は収容袋35のそのものに埋め込むことになる。このICタグ117への書き込み完了で、上部カバーロック部81および下部カバーロック部101のロックを解除する。
また、ICタグ117を収容袋35に埋め込む以外に、ヒートシールする動作を利用して、ICタグ117が埋め込まれたラベルシールを収容袋35に貼付し、それに向けて、在り高情報等を書き込むようにしても良い。
さらには、ヒートシールを施す箇所を二カ所、収容袋35の高さ方向に離間させて設け、下方部位をヒートシール後、ICタグ117付きの紙片を収容袋35内に投入し、その後、上方部位をヒートシールして、上下のヒートシール部分の間に、ICタグ117付きの紙片を閉じこめる。そして、この紙片のICタグ117に在り高情報等を書き込むようにしても良い。
<第2実施形態>
本発明の貨幣処理装置に係る第2実施形態である硬貨処理装置を図6を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。
第2実施形態は、第1実施形態と同様の布製の収容袋35に、その開口を覆うように金属製の蓋機構部201が取り付けられた金庫袋202(収容体)を有している。
蓋機構部201は、収容袋35の開口側に固定されると共に収容袋35の開口に連通する開口205を有するベース206と、開口205を開閉するようにベース206にスライド可能に支持された蓋体207(封止手段)とを有している。蓋体207は、ベース206に設けられた蓋ロック機構208によって開口205を閉塞する閉状態にロックされる。蓋ロック機構208は別体のキーが挿入されて操作されることにより、蓋体207のロックを解除し、これにより蓋体207が開口205を開放可能となる。
第2実施形態の硬貨処理装置11は、第1実施形態の取外規制部71および緊縛部111が設けられていない通常の硬貨選別計数装置である処理装置本体211と、処理装置本体211の下部に取り付けられるフレーム212とを有している。フレーム212には、処理装置本体211に取り付けられた状態で、シュート本体31の下面に前後左右の位置を合わせて近接してシュート本体31から放出される硬貨の落下を案内する筒状の連結シュート部213(放出手段)と、金庫袋202の蓋機構部201を着脱可能な着脱部214(規制手段)とを有している。
蓋機構部201は、手動によって着脱部214に前方から押し込まれて装着されると着脱部214の図示略の着脱ロック機構にロックされることになり、制御部58の制御により着脱ロック機構のロックが解除されると、手動によって着脱部214から前方に引き出されて取り外される。
着脱部214は、蓋機構部201が取り付けられる際に蓋ロック機構208のロックを解除して蓋体207を開く。制御部58は、蓋体207が手動で閉じられて蓋ロック機構によりロックされたことを条件に、着脱部214の着脱ロック機構のロックを解除し、蓋機構部201の取り外しを許容するようになっている。着脱部214に蓋機構部201が取り付けられて蓋体207が開かれると、蓋機構部201の開口205がフレーム212の連結シュート部213に連通し、よって、処理装置本体211のシュート本体31から放出される硬貨を連結シュート部213を介して金庫袋202の収容袋35に収容する。
よって、制御部58が、着脱部214の着脱ロック機構を制御して金庫袋202の取り外しを規制する状態は、金庫袋202の開口205が蓋体207で封止されていない状態であり、着脱部214の着脱ロック機構を制御して金庫袋202の取り外しを許容する状態は、金庫袋202の開口205が蓋体207で封止されている状態となる。言い換えれば、制御部58は、蓋体207で金庫袋202の開口205が封止されていない状態でのこの金庫袋202の取り外しを規制し、蓋体207で金庫袋202の開口205が封止されている状態でのこの金庫袋202の取り外しを許容するように着脱部214の着脱ロック機構を制御する。
蓋機構部201のベース206には、ICタグ221が設けられており、フレーム212には、着脱部214に取り付けられた状態の蓋機構部201のICタグ221に、制御部58に制御されて情報を書き込むICタグリーダライタ222が設けられている。制御部58は、第1実施形態と同様、一括放出モードの実行時に、識別計数部56の識別結果のうち金庫袋202に収容した硬貨の金種別の枚数および合計金額等の識別結果情報を、ICタグ221の識別情報、硬貨処理装置11の識別情報、封緘処理実行の日時情報および操作者の識別情報と関連付けて、ICタグリーダライタ222によってICタグ221に書き込ませる。
一括放出モードの実行時に、金庫袋202の硬貨量が規定量に達して着脱部214から取り外される際に、蓋機構部201は蓋体207が閉状態になってロックされている。これにより、セキュリティ性を維持できることになる。蓋機構部201は再度セットしても蓋体207が開かれて継続した計数が可能となり、在り高を加算できる。制御部58は、異常発生時は、蓋体207が開かれた状態のままでも着脱部214の着脱ロック機構を制御して金庫袋202を取り外し可能とする。
第2実施形態の硬貨処理装置11によれば、外部に露出するシュート26を有する既存の処理装置本体211に対し、フレーム212を追加し、収容袋35に蓋機構部201を追加すれば良いため、装置改造が容易となる。
<第3実施形態>
本発明の貨幣処理装置に係る第3実施形態である硬貨処理装置を図7を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。
第3実施形態の硬貨処理装置11は、第1実施形態の取外規制部71および緊縛部111が設けられていない通常の硬貨選別計数装置である処理装置本体311と、処理装置本体311の下部に取り付けられるフレーム312とを有している。処理装置本体311は、複数の収容箱21が配置される収容凹部20が下方にも開口しているタイプであり、フレーム312は、複数の収容箱21を除いた状態の収容凹部20に挿入される挿入部315を有している。挿入部315には、シュート部316(放出手段)と、シュート部316の下側で後方に凹む収容凹部317(規制手段)とが設けられている。シュート部316は、振分部57で複数の収容箱21に振り分けられて放出される硬貨を一括して収容凹部317に案内することになる。
フレーム312の収容凹部317には、金箱321(収容体)が、前方から挿入され、前方に引き出される。金箱321は、上方に開口322を有する金属製の金箱本体323と、開口322を開閉するように金箱本体323にスライド可能に支持された金属製の折り畳み可能なシャッタ324(封止手段)とを有している。シャッタ324は、金箱本体323に設けられたシャッタロック機構325によって開口322を閉塞する閉状態にロックされる。シャッタロック機構325は別体のキーが挿入されて操作されることにより、シャッタ324のロックを解除し、これにより手動によりシャッタ324がスライドさせられて開口322を開放する。
金箱321は、手動によって収容凹部317に前方から押し込まれて装着されるとフレーム312の図示略の着脱ロック機構にロックされることになり、制御部58の制御により着脱ロック機構のロックが解除されると、手動によって収容凹部317から前方に引き出されて取り外される。
収容凹部317は、金箱321が取り付けられる際にシャッタロック機構325のロックを解除してシャッタ324を開可能とする。制御部58は、シャッタロック機構325がシャッタ324を閉状態でロックしたことを条件に、着脱ロック機構による金箱321のフレーム312へのロックを解除する。収容凹部317に金箱321が取り付けられると、着脱ロック機構が金箱321をロックすると共にシャッタロック機構325がシャッタ324のロックを解除する。この状態でシャッタ324が開かれると、金箱本体323の開口322がフレーム312のシュート部316に連通し、よって、処理装置本体311の振分部57から放出される硬貨をシュート部316を介して金箱321に収容する。
よって、収容凹部317の着脱ロック機構が金箱321の取り外しを規制する状態では、シャッタ324が引き出されることで金箱321の開口322がシャッタ324で封止されていない状態となる。制御部58は、金箱321の開口322がシャッタ324で封止されている状態で、収容凹部317の着脱ロック機構を制御して金箱321の取り外しを許容する状態とする。言い換えれば、制御部58は、シャッタ324で金箱321の開口322が封止されていない状態でのこの金箱321の取り外しを規制し、シャッタ324で金箱321の開口322が封止されている状態でのこの金箱321の取り外しを許容するように収容凹部317の着脱ロック機構を制御する。
金箱321の金箱本体323にICタグ331が設けられており、フレーム312には、収容凹部317に取り付けられた状態の金箱321のICタグ331に、制御部58に制御されて情報を書き込むICタグリーダライタ332が設けられている。制御部58は、第1実施形態と同様、一括放出モードの実行時に、識別計数部56の識別結果のうち金箱321に収容した硬貨の金種別の枚数および合計金額等の識別結果情報を、ICタグ331の識別情報、硬貨処理装置11の識別情報、封緘処理実行の日時情報および操作者の識別情報と関連付けて、ICタグリーダライタ332によってICタグ331に書き込ませる。
一括放出モードの実行時に、金箱321の硬貨量が規定枚数に達して収容凹部317から取り外される際には、金箱321はシャッタ324が閉状態でロックされている。これにより、セキュリティ性を維持できることになる。金箱321は再度セットしてもシャッタ324が開可能となり、継続した計数が可能となって、在り高を加算できる。
第3実施形態において、金箱321Aとして、開口322、シャッタ324、シャッタロック機構325およびICタグ331を有する金属製のシャッタ機構部351と、シャッタ機構部351が取り付けられて開口が覆われる布製の収容袋353とで形成しても良い。この場合、収容凹部317の上部に金箱321Aのシャッタ機構部351を前後スライド可能に支持する支持部を設けることになる。
以上に述べた硬貨処理装置11においては、ホッパ16に一括投入された金種混合の硬貨を識別および計数して金種別の収容箱21に分類して収容するようになっているが、収容箱21にかえて、金種別の布製の収容袋35に硬貨を収容する装置もある。この場合の金種別の収容袋35のそれぞれに対しても、上記した封緘処理が可能な構成を適用することが可能である。
以上に述べた硬貨処理装置11では、貨幣として硬貨を処理するものを例にとり説明したが、本発明は、貨幣として紙幣を処理するものにも適用可能である。