JP6870859B2 - ジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造 - Google Patents

ジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造 Download PDF

Info

Publication number
JP6870859B2
JP6870859B2 JP2018218759A JP2018218759A JP6870859B2 JP 6870859 B2 JP6870859 B2 JP 6870859B2 JP 2018218759 A JP2018218759 A JP 2018218759A JP 2018218759 A JP2018218759 A JP 2018218759A JP 6870859 B2 JP6870859 B2 JP 6870859B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
zirconia
protective layer
refractory
antioxidant
carbon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018218759A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020083689A (ja
Inventor
圭介 加知
圭介 加知
智玲 山内
智玲 山内
雅弘 階戸
雅弘 階戸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Akechi Ceramics Co Ltd
Original Assignee
Akechi Ceramics Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Akechi Ceramics Co Ltd filed Critical Akechi Ceramics Co Ltd
Priority to JP2018218759A priority Critical patent/JP6870859B2/ja
Publication of JP2020083689A publication Critical patent/JP2020083689A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6870859B2 publication Critical patent/JP6870859B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Casting Support Devices, Ladles, And Melt Control Thereby (AREA)

Description

本発明は、ジルコニアとカーボンを含有したジルコニア・カーボン質耐火物を保護する構造に関するものである。
従来より、ジルコニア(ZrO)とカーボン(C)を含有したジルコニア・カーボン質耐火物が知られている。このようなジルコニア・カーボン質耐火物のうち、たとえば、ジルコニアと黒鉛(グラファイト)とからなるジルコニア・グラファイト材(以下「ZG材」という)は、図2に示すような、連続鋳造用ノズルに利用されている。当該連続鋳造用ノズルは、ノズル本体の中ほどにモールドパウダー又はスラグといった高い浸食性を有する物質に晒されるメニスカス部を有している。当該メニスカス部に高い耐食性を呈するZG材を配置することによって、モールドパウダー等の浸食防ぐことができ、連続鋳造用ノズルは、ZG材を使用しないノズルと比べて製品寿命を延ばすことができる。
一方、連続鋳造用ノズルは使用前に1000℃以上の高温環境下で予熱される場合がある。当該高温環境下では、連続鋳造用ノズル全体に含まれるカーボン質及び上記のメニスカス部に配されたZG材のカーボン質成分は強く酸化される。そのため、一般的に連続鋳造用ノズルは、耐酸化性を備えた酸化防止剤でコーティングされている。当該酸化防止剤は、予熱時に溶融してガラス被膜を形成し、連続鋳造用ノズルを高温環境下の強酸化雰囲気から保護している。
しかし、ZG材を配置したメニスカス部は、連続鋳造用ノズルの他の部位と比べて、予熱後に酸化防止剤、すなわち溶融後のガラス被膜の破れや消失が著しいという現象が従来より確認されていた。
特開平10−263764号公報に開示されている連続鋳造用ノズルは、ジルコニア・カーボン質耐火物の表面に82重量%を超えるアルミナ(Al)を含有するコーティング材を塗布し、さらにその上に少なくとも一層のガラス系コーティング材を被覆するようにしている。このようにアルミナからなる第1層コーティングに従来のガラス系コーティングを重ねるとコーティング材全体の耐酸化性が高くなるので、予熱時の高温環境下における強酸化雰囲気によってジルコニア・カーボン質耐火物を被覆するガラス被膜は消失せずに残存し、コーティング材の損傷を防ぐことができるとしている。
特開平10−263764号公報
ここで、発明者らは、上記の文献に開示されている発明のように、単純に耐酸化性を高めてジルコニア・カーボン質耐火物の表面を保護するのみではなく、長時間に亘る高温環境下においてジルコニア・カーボン質耐火物の表面では何が起きているかを観察し、ガラス被膜の破れ、消失の原因を探るため、図4に示すようなサンプルを作成して実験を重ねた。当該実験の詳細な説明は後述する。
これらの実験によれば、高温環境下から取り出すと、酸化防止剤でコーティングされたジルコニア・カーボン質耐火物は、酸化防止剤の破れや消失のみならず、酸化防止剤でコーティングされていたはずのジルコニア・カーボン質耐火物の表面が脆くなる脆化現象が発生していることが判明した。
さらに、当該脆化現象を詳細に調べたところ、図5(b)に示すように、耐火物表面のジルコニア粒子が崩壊していることが判明した。なお、図5は上記実験で得た表面顕微鏡写真に基づいて概略を図示した説明図である。
発明者らは、このジルコニア粒子の崩壊現象が、ジルコニア・カーボン質耐火物の表面が脆化する原因となっていると推定した。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、ジルコニア・カーボン質耐火物に含有されているジルコニア粒子の崩壊現象を防いで、当該ジルコニア・カーボン質耐火物の表面を保護し、これによってジルコニア・カーボン質耐火物の劣化を防止するようにしたジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造を提供することを目的とする。
請求項1に記載のジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造は、粒子状に凝集したジルコニア粒子がカーボン質内に複数個含有されているジルコニア・カーボン質耐火物の表面に、酸化性酸化物及び塩基性酸化物の双方に侵食されない耐性を示し、前記ジルコニア・カーボン質耐火物を保護可能なケイ素若しくは少なくともケイ素を含有したケイ素系化合物からなる耐性保護層を形成し、
当該耐性保護層の上に、前記酸化性酸化物若しくは前記塩基性酸化物のいずれか一方又は双方を含有し、前記ジルコニア・カーボン質耐火物の酸化を防止可能な酸化防止剤を層状に塗布して、
当該酸化防止剤が高温環境下で溶融したとき、前記耐性保護層は前記ジルコニア・カーボン質耐火物の表面に溶融した前記酸化防止剤が接触しないようにして、
前記耐性保護層が前記ジルコニア粒子の崩壊を防止するようにしたことを特徴とする。
請求項2に記載のジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造は、請求項1に記載の発明において、前記ケイ素系化合物が、炭化ケイ素であることを特徴とする。
請求項3に記載のジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造は、粒子状に凝集したジルコニア粒子がカーボン質内に複数個含有されているジルコニア・カーボン質耐火物の表面に、酸化性酸化物及び塩基性酸化物の双方に侵食されない耐性を示し、前記ジルコニア・カーボン質耐火物を保護可能な少なくともアルミナを含有したムライト質耐火物からなる耐性保護層を形成し、
当該耐性保護層の上に、前記酸化性酸化物若しくは前記塩基性酸化物のいずれか一方又は双方を含有し、前記ジルコニア・カーボン質耐火物の酸化を防止可能な酸化防止剤を層状に塗布して、
当該酸化防止剤が高温環境下で溶融したとき、前記耐性保護層は前記ジルコニア・カーボン質耐火物の表面に溶融した前記酸化防止剤が接触しないようにして、
前記耐性保護層が前記ジルコニア粒子の崩壊を防止するようにしたことを特徴とする。
請求項4に記載のジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造は、請求項1若しくは請求項3に記載の発明において、前記耐性保護層が、少なくとも0.1mmの厚さで形成されていることを特徴とする。
本発明に係るジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造によれば、ジルコニア・カーボン質耐火物とジルコニア・カーボン質耐火物の酸化を防止する酸化防止剤との間に、酸性酸化物及び塩基性酸化物の双方に対して耐性を示し、ジルコニア・カーボン質耐火物を保護可能な耐性保護層を設けた。
このように耐性保護層を設けることによって、酸化防止剤に含まれている酸性酸化物若しくは塩基性酸化物のいずれか一方又は双方が、耐性保護層の内部で留まるようにした。これによって、耐性保護層は、高温環境下におけるジルコニア・カーボン質耐火物の耐酸化性を酸化防止剤によって高めるのみならず、溶融した酸化防止剤がジルコニア・カーボン質耐火物まで浸透しないように保護することができる。そのため、ジルコニア・カーボン質耐火物に含有されているジルコニアの粒子崩壊を防いで、ジルコニア・カーボン質耐火物の劣化を防止することができる。
第1実施例に係るジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造の構成の概略を示す説明図である。 第1実施例に係るジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造を適用した例を示す説明図である。 第2実施例に係るジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造の構成の概略を示す説明図である。 本実施例に係るジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造について行った実験の概略を示す説明図である。 本実施例に係るジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造について行った比較対象の実験の結果を示すサンプル表面の顕微鏡写真に基づいて、概略を示した説明図である。 本実施例に係るジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造について行った実験結果を示すサンプル表面の顕微鏡写真に基づいて、概略を示した説明図である。 本実施例に係るジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造について行った比較実験の結果を示すサンプル断面の顕微鏡写真に基づいて、概略を示した説明図である。
本発明に係る実施例を添付した図面にしたがって説明する。図1は、ジルコニア・カーボン質耐火物の表面近傍を拡大して示した説明図である。
本実施例に係るジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造10は、図1に示すように、ジルコニア・グラファイト材15と、当該ZG材1の表面に設けた耐性保護層11と、当該耐性保護層11の上面に設けた酸化防止剤20とからなる。
ジルコニア・グラファイト材(ZG材)15は、ジルコニアとグラファイトとからなり、ジルコニア・カーボン質耐火物の一態様である。
ここで、ジルコニア・カーボン質耐火物とは、ジルコニア(ZrO)とカーボン(C)とからなる耐火物をいう。カーボン質には、炭素の同素体であるグラファイト(黒鉛)質も含まれているので、本実施例に係るZG材15は、ジルコニア・グラファイト質耐火物類、さらにはジルコニア・カーボン質耐火物類のうちの一つであるから、ジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造10は、すなわちZG材15の保護構造10ともいえる。ZG材15は、適用する部位、たとえば、図2に示すような連続鋳造用ノズル50のメニスカス部51、或いは炉の内貼りといった様々な場所・用途に応じて、耐食性、濡れ特性、又は耐熱衝撃性等の必要な性能を満たすため、含有されているジルコニア若しくはグラファイトの割合を適宜調整して製造されている。
ZG材15を構成するジルコニアは、純粋なジルコニアではなく、安定化されたジルコニアである。
安定化されたジルコニアとは、ジルコニアに安定化剤を固溶したものである。安定化剤とは、ジルコニアの相転移現象を抑えるために固溶させる物質であって、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、又は酸化イットリウム(Y)が知られているが、使いやすさやコスト面から、多くの場合、酸化カルシウムが利用されている。そのため、本実施例における安定化されたジルコニアとは、酸化カルシウムを所定量固溶して安定化させたCaO安定化ジルコニアをいう。
また、相転移現象とは、一般的に温度や圧力の変化により物質の結晶系が異なる相に変化することをいう。純粋な状態のジルコニアは、約1000℃前後で相転移現象を起こし、可逆的に結晶の形状が変化する。たとえば、図2に示した連続鋳造用ノズル50のように、予熱時又は使用時に1000℃以上まで加熱し、使用後に冷却するようなことを繰り返した場合、ジルコニアは結晶形状が変化し、それに伴って熱特性もまた変化する不安定な状態となる。このような不安定な状態では、ZG材15の場合には材質全体が脆くなって破損したり欠損したりする原因となる。このようなことを防ぐために、ZG材15に含まれているジルコニアは、酸化カルシウムを固溶して安定化させている。
ZG材15を構成するグラファイトは、耐熱衝撃性が大きく、モールドパウダー又はスラグに対して濡れ難くく、当該モールドパウダー等に対する耐食性が強い。当該グラファイトに、強い耐食性を有するジルコニアを混ぜて形成されるZG材15は、グラファイト単体よりも耐食性を強めることができる。このようなZG材15は、たとえば、図2に示すように、連続鋳造用ノズル50でモールドパウダーやスラグに触れるメニスカス部51に使用されている。
グラファイトやカーボンを含むカーボン質耐火物、グラファイト質耐火物は、連続鋳造用ノズル50の予熱炉のような高温環境下において、強く酸化されるので、酸化防止剤20を表面に塗布して容易に酸化しないような処理が施される。
酸化防止剤20は、シリカ(SiO)成分を多く含んだ釉薬からなる。
一般的に釉薬は、酸性酸化物、塩基性酸化物、及び両性酸化物を適宜配合して形成されている。これによって、釉薬もとい酸化防止剤20は、所定の温度で溶融してガラス被膜を形成し、当該ガラス被膜が酸化しやすい、たとえば本実施例に係るZG材15のような耐火物の表面をコーティングすることで、高温環境下における耐火物の酸化を防止することができる。
シリカは、非金属元素のケイ素(Si)を含み、塩基と反応して塩を作る代表的な酸性酸化物である。また、シリカは融点が高いので、シリカ成分を多く含ませることによって、酸化防止剤の強度と耐火性を向上させて、ガラス被膜を流れにくくさせることができる。
一方、酸化防止剤20が所定の温度帯域で溶けて耐火物をコーティングするように、シリカに所定の化合物を混合して、当該シリカの融点を所定の温度まで降下させる必要がある。この時混合される化合物を媒溶剤という。代表的な媒溶剤は、ジルコニアの安定化剤にも使用されている酸化カルシウム(CaO)である。当該酸化カルシウムは、金属元素のカルシウム(Ca)を含み、酸と反応して塩を作る代表的な塩基性酸化物である。媒溶剤を酸化防止剤20に混ぜることによって、当該酸化防止剤20の融点を調整して、高温環境下におけるガラス被膜の形成を容易にすることができる。
このように酸化防止剤20は、酸性酸化物に属するシリカと塩基性酸化物に属する酸化カルシウムによって所定の温度で溶融しガラス被膜を形成するようにし、さらに両性酸化物を加えることによって、形成されたガラス被膜がZG材15の表面に安定して接着するように形成されている。
耐性保護層11は、酸性酸化物及び塩基性酸化物の双方に対して、耐性を有する材質から形成されている。本実施例において、耐性保護層11は、ケイ素(Si)又は当該ケイ素を含有した化合物からなる。ケイ素化合物は、炭化ケイ素が好ましい。
ケイ素(Si)、また炭化ケイ素(SiC)は、融点がZG材15が、図2に示した連続鋳造用ノズル50の予熱で利用される1000℃〜1400℃の温度帯域よりも高く、高温環境下において他の元素と作用せず、酸に侵されない性質を備えてる。これによって、酸化防止剤20に含まれている酸性酸化物又は塩基性酸化物が高温環境下で溶融した場合であっても、それらがZG材15の表面に浸透することを防止することができる。
耐性保護層11は、少なくとも0.1mm厚に形成されている。少なくとも0.1mm厚とは、ZG材15の適用場所によっては、0.1mm厚〜数mm厚の範囲内であって、酸化防止剤20と合わせて当業者にとって常識的な範囲内の厚さであれば良いからである。
なお、耐性保護層11が0.1mm厚よりも薄い場合は、酸化防止剤20から溶け出る酸性酸化物又は塩基性酸化物に耐性保護層11が溶かされて十分な耐性を維持できなくなるおそれがある。
上記の構成を有するZG材15を、たとえば、図2に示すような連続鋳造用ノズル50に適用した場合、以下のように、耐性保護層11はZG材15の表面を保護することができる。
連続鋳造用ノズル50は、カーボン質耐火物からなるノズル本体50aと、メニスカス部51に配されたZG材15を有している。ZG材15の表面には図1に示すように耐性保護層11が設けられ、ノズル本体50aとメニスカス部51を含むノズル全体には一様に酸化防止剤20が塗布される。
連続鋳造用ノズル50は、使用前に予熱炉に入れられ、約1000℃〜約1400℃で所定時間熱せられる。このとき、酸化防止剤20は溶融し、含有されているシリカが主成分となってガラス被膜を連続鋳造用ノズル50の表面に形成する。一方、酸化防止剤20に含まれている酸化カルシウムは酸化防止剤20から溶け出し、溶融したシリカと共に耐性保護層11に浸透しようとする。
ここで、ZG材15に含まれているジルコニア(ZrO)粒子は、塩基性酸化物の酸化カルシウムによって安定化されている。そのため、耐性保護層11が無く、酸性酸化物のシリカがZG材15の表面に直接接触した場合には、当該シリカとZG材15に含まれている酸化カルシウムとの間に反応が起きて、ZG材15中の酸化カルシウムが消失し、ジルコニアは脱安定化して崩壊すると考えられる。
これに対し、耐性保護層11は、酸性酸化物であるシリカと塩基性酸化物である酸化カルシウムの双方に対して耐性を有するケイ素又は炭化ケイ素からなり、シリカ及び酸化カルシウムの双方に侵されることが無い。これによって、シリカ及び酸化カルシウムの双方はケイ素又は炭化ケイ素からなる耐性保護層に阻まれて、ZG材15の表面まで浸透することができない。
このように、酸性酸化物であるシリカに対してのみ耐酸化性を向上させるように考えられていた従来例に対して、本実施例においては、耐性保護層11が酸性酸化物に加えて酸化カルシウムといった塩基性酸化物についても耐性を備えるようにした。そのため、耐性保護層11は、ZG材15を酸化防止剤20から効果的に保護することができる。保護されたZG材15の表面では、ジルコニア粒子の崩壊現象を防ぐことができるので、ZG材15の劣化を防止することができる。
次に、第1実施例とは別の実施例を添付した図面にしたがって説明する。図3は、本実施例に係るジルコニア・カーボン質耐火物の表面近傍の拡大モデルを示した説明図である。
本実施例に係るジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造10Aは、図3に示すように、ZG材15と、当該ZG材15の表面に設けた耐性保護層11Aと、当該耐性保護層11Aの上面に設けた酸化防止剤20とからなる。ZG材15と酸化防止剤20は、第1実施例で説明したものと同様であるから、本実施例においては説明を省略する。
耐性保護層11Aは、主にアルミナ(Al)を含有したアルミナ系耐火物からなり、当該アルミナ系耐火物には、たとえば、アルミナを主成分とするアルミナ質耐火物、又はアルミナを多く含んだムライト(Al−SiO)を主成分とするムライト質耐火物が含まれている。
上記の構成を有するZG材15を、たとえば、図2に示すような連続鋳造用ノズル50に適用した場合に、耐性保護層11AがZG材15の表面を保護することについては、実施例1と同様であるから、説明を省略する。
上記の第1実施例及び第2実施例に係るZG材15の保護構造10,10Aについて、以下のような実験を行った。当該実験は、耐性保護層11,11Aが、ZG材15に含まれているジルコニア粒子の崩壊を防止できるか否かを確認する実験である。
図4は、実験の構成の概略を説明する説明図である。図5の(a)(b)は、耐性保護層11Aを設けていない比較サンプルの表面顕微鏡写真に基づいて概略を示したモデル図である。それに対して、図6は、耐性保護層11Aを設けたサンプルの表面顕微鏡写真に基づいて概略を示したモデル図である。
図4に示すように土台となるZG材15は、90%のジルコニアと10%のグラファイトとからなる。本実験に係るサンプルは、図4(a)に示すZG材15に何も塗布していないサンプル1と、図4(b)に示すZG材15に酸化防止剤20を0.1mm厚で塗布したサンプル2、及び図4(c)に示すZG材15と0.1mm厚の酸化防止剤との間にアルミナ(Al)からなる耐性保護層11Aを0.1mm厚で設けたサンプル3からなる。
上記のサンプル1〜サンプル3を1300℃に保たれた電気炉で6時間にわたって加熱して、高温環境に曝す前後でZG材15の表面の変化を観察した。
図5(a)は、実験後のサンプル1の表面を撮影した顕微鏡写真に基づいて、概略を示した説明図である。サンプル1は、グラファイト120の酸化は発生していたが、ジルコニア粒子100の崩壊は観察されていない。
図5(b)は、実験後のサンプル2の表面を撮影した顕微鏡写真に基づいて、概略を示した説明図である。サンプル2は、グラファイト120の酸化は抑えられていたが、サンプル1に見られたような大きなジルコニア粒子100は崩壊してより細かな細粒状に変化しており、複数のジルコニア崩壊粒子110を観察することができた。
図6は、実験後のサンプル3の表面を撮影した顕微鏡写真に基づいて、概略を示した説明図である。サンプル3は、グラファイト120の酸化が抑えられており、またヒビや傷は入っているものの完全に崩壊していないジルコニア粒子100を観察することができた。
図7(a)は、図5(b)で表面上にジルコニア崩壊粒子110が観察されたサンプル2に関し、その断面を撮影した顕微鏡写真に基づいて、概略を示した断面図であって、図7(b)は、図6に示したジルコニア粒子100の崩壊が抑えられていたサンプル3に関し、その断面を撮影した顕微鏡写真に基づいて、概略を示した断面図である。
図7(a)(b)に示すように、ZG材15の表面近傍には、酸化防止剤20と耐性保護層11Aが溶融することで形成されたガラス被膜を確認することができた。
これらの断面図によれば、サンプル2の場合は、ジルコニア崩壊粒子110の存在が、0.5mmとZG材15のかなり深部まで確認できるのに対して、サンプル3の場合は、ジルコニア崩壊粒子110の存在が、0.05mmとZG材の表面近傍に抑えられていることが確認できる。
これによって、ZG材15は、表面に塗布される酸化防止剤20との間に耐性保護層11Aを設けることによって、酸化防止剤20によるジルコニア粒子100の崩壊を大幅に抑えることができるということを確認することができた。
上記の実験と同様に、第1実施例及び第2実施例に係る第2実験〜第4実験を引き続き行った。
第2実験は、上記実験におけるサンプル3のアルミナ(Al)からなる耐性保護層11Aを、ムライト質耐火物とし、上記条件で行った実験である。
第3実験は、耐性保護層11をケイ素とし、上記条件で行った実験である。
第4実験は、耐性保護層11を炭化ケイ素とし、上記条件で行った実験である。
各実験の結果、いずれの実験においても上記第1実験のサンプル3と同様の結果を得ることができた(図示略)。すなわち、耐性保護層11,11Aを設けたサンプルではジルコニア粒子110の崩壊を抑えることができ、また崩壊現象の進行もZG材15の浅い部分で抑えることができたということを確認することができた。
以上の実験から、第1実施例及び第2実施例に係るZG材15の保護構造10,10Aによれば、ZG材15と酸化防止剤20との間に耐性保護層11,11Aを設けることによって、酸化防止剤20がZG材15に浸潤してジルコニア粒子110を崩壊させることを最小限に抑えることができる。そのため、ZG材15の表面が脆く崩れやすくなる脆化を防止することができ、当該脆化が進行してZG材15が劣化して割れやすくなったり欠損したりすることを防止し、ひいてはZG材15を利用した、たとえば、図2に示すような連続鋳造用ノズル50の製品寿命を延ばすことができる。
また、本実施例は、ジルコニア・グラファイト質耐火物からなるZG材について説明したがこれに限定されるものではなく、グラファイトと同素体であるカーボン質を含んだジルコニア・カーボン質耐火物からなるジルコニア・カーボン材であっても当該保護構造10,10Aは有効である。
さらに、耐性保護層11,11Aは、上記のようにケイ素、炭化ケイ素、アルミナ質耐火物、又はムライト質耐火物に限定されるものではなく、酸化物、特に酸性酸化物と塩基性酸化物の双方に対して耐性を備えているような材質であれば良い。
本発明に係るジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造10,10Aは、上記の第1実施例、第2実施例、及び実験で示したように、高温環境下で加熱した後も、ジルコニア・カーボン質耐火物の特性を良好なまま保つことができるので、たとえば、図2に示すような連続鋳造用ノズル50のメニスカス部51に適用することができる。
これによって、連続鋳造用ノズル50を使用前に予熱したとき、メニスカス部51の剥落や破損を防止することができ、また繰り返しの使用によってもジルコニアの特性が維持されていることから、製品寿命を延ばすことができる。
また、本発明に係る保護構造10,10Aは、連続鋳造用ノズル50に限定して利用されるものではなく、ジルコニア・カーボン質耐火物またはカーボンの同素体であるグラファイトが含まれたジルコニア・グラファイト質耐火物のいずれかが高温環境下のような強酸化性の雰囲気内で使用される場合、たとえば、炉内の内貼りとして使用する場合でも利用することできる。
10,10A…ZG材の保護構造、
11,11A…耐性保護層、
15…ZG材、20…酸化防止剤、
50…連続鋳造用ノズル、50a…ノズル本体、51…メニスカス部、
100…ジルコニア粒子、110…ジルコニア崩壊粒子、120…グラファイト

Claims (4)

  1. 粒子状に凝集したジルコニア粒子がカーボン質内に複数個含有されているジルコニア・カーボン質耐火物の表面に、酸化性酸化物及び塩基性酸化物の双方に侵食されない耐性を示し、前記ジルコニア・カーボン質耐火物を保護可能なケイ素若しくは少なくともケイ素を含有したケイ素系化合物からなる耐性保護層を形成し、
    当該耐性保護層の上に、前記酸化性酸化物若しくは前記塩基性酸化物のいずれか一方又は双方を含有し、前記ジルコニア・カーボン質耐火物の酸化を防止可能な酸化防止剤を層状に塗布して、
    当該酸化防止剤が高温環境下で溶融したとき、前記耐性保護層は前記ジルコニア・カーボン質耐火物の表面に溶融した前記酸化防止剤が接触しないようにして、
    前記耐性保護層が前記ジルコニア粒子の崩壊を防止するようにしたことを特徴とするジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造。
  2. 前記ケイ素系化合物が、炭化ケイ素であることを特徴とする請求項1に記載のジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造。
  3. 粒子状に凝集したジルコニア粒子がカーボン質内に複数個含有されているジルコニア・カーボン質耐火物の表面に、酸化性酸化物及び塩基性酸化物の双方に侵食されない耐性を示し、前記ジルコニア・カーボン質耐火物を保護可能な少なくともアルミナを含有したムライト質耐火物からなる耐性保護層を形成し、
    当該耐性保護層の上に、前記酸化性酸化物若しくは前記塩基性酸化物のいずれか一方又は双方を含有し、前記ジルコニア・カーボン質耐火物の酸化を防止可能な酸化防止剤を層状に塗布して、
    当該酸化防止剤が高温環境下で溶融したとき、前記耐性保護層は前記ジルコニア・カーボン質耐火物の表面に溶融した前記酸化防止剤が接触しないようにして、
    前記耐性保護層が前記ジルコニア粒子の崩壊を防止するようにしたことを特徴とするジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造。
  4. 前記耐性保護層が、少なくとも0.1mmの厚さで形成されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項3に記載のジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造。
JP2018218759A 2018-11-22 2018-11-22 ジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造 Active JP6870859B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018218759A JP6870859B2 (ja) 2018-11-22 2018-11-22 ジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018218759A JP6870859B2 (ja) 2018-11-22 2018-11-22 ジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020083689A JP2020083689A (ja) 2020-06-04
JP6870859B2 true JP6870859B2 (ja) 2021-05-12

Family

ID=70909690

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018218759A Active JP6870859B2 (ja) 2018-11-22 2018-11-22 ジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6870859B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4877705A (en) * 1988-03-03 1989-10-31 Vesuvius Crucible Company Plasma spray coated ceramic bodies and method of making same
JPH0794354B2 (ja) * 1990-06-08 1995-10-11 東海カーボン株式会社 耐酸化性c/c材とその製造方法
JP2812019B2 (ja) * 1991-11-01 1998-10-15 日産自動車株式会社 炭素繊維/炭素複合材
JPH10263764A (ja) * 1997-03-21 1998-10-06 Toshiba Ceramics Co Ltd 連続鋳造用ノズル
JP3763991B2 (ja) * 1999-02-24 2006-04-05 黒崎播磨株式会社 酸化防止用下地材およびそれを用いた酸化防止層を有する耐火物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020083689A (ja) 2020-06-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3955919B2 (ja) 金属連続鋳造用鋳型の耐火材料要素の保護被覆剤と、それで保護された耐火材料要素
US20160039719A1 (en) Zirconia based coating for refractory elements and refractory element comprising of such coating
US4799652A (en) Lining for protecting the interior of a metallurgical vessel and a method for forming said lining
KR102051934B1 (ko) 고내열성 세라믹 코팅 조성물
JP6870859B2 (ja) ジルコニア・カーボン質耐火物の保護構造
JP6523701B2 (ja) 断熱構造体
JP5149312B2 (ja) 溶融鋳込耐火物用生成物
JP6288864B2 (ja) 耐火物の断熱構造
TW201141811A (en) Flame retardant substance, nozzle made of flame retardant substance and used in continuous casting, production method of nozzle used in continuous casting, and continuous casting method of using nozzle thereof
JP4512560B2 (ja) 連続鋳造用ノズル
JP5920412B2 (ja) 連続鋳造ノズル
JPS60166261A (ja) 連続鋳造装置部材用耐火材
JP5354495B2 (ja) 鋼の連続鋳造用浸漬ノズル
JP6372539B2 (ja) 連続鋳造ノズル用断熱コーティング材
JP2006315020A (ja) 連続鋳造方法
JPH10305355A (ja) 鋼の連続鋳造用ノズル
JP2007246960A (ja) 高炉溶銑樋
JP3911221B2 (ja) 連続鋳造用耐火物
JP6432616B2 (ja) 鋼の連続鋳造用ノズルへの断熱材の貼り付け方法
JP2021126679A (ja) 連続鋳造用ノズル
JP3328803B2 (ja) 鋼の連続鋳造用ノズル
JP2007253215A (ja) 鋼の連続鋳造用浸漬ノズル
JP3550373B2 (ja) 鉄系形状記憶合金鋳造用金型コーティング材
JP4264286B2 (ja) 連続鋳造用ノズル
JP2003145265A (ja) 鋳造用浸漬ノズル

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191223

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201023

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201029

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201127

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210318

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210408

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6870859

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250