JP6870441B2 - インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジおよび画像記録装置 - Google Patents

インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジおよび画像記録装置 Download PDF

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Description

本発明は、インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジおよび画像記録装置に関する。
インクジェットプリンターは、低騒音、低ランニングコスト、カラー印刷が容易などの利点を有するため、デジタル信号の出力機器として一般家庭に広く普及している。近年では、家庭用のみならず、例えばディスプレイ、ポスター、掲示板など産業用途にも利用されている。
しかし、産業用途の場合、記録媒体は紙に限定されず透明なものから着色されたものまで幅広い。これらの媒体に白を表現する場合やカラーインクで着色する場合、記録媒体の透明性をインクで隠蔽したり、記録媒体の色をインクで十分に隠蔽する必要がある。そこでこのような透明媒体や着色媒体を白色にするため白色インクが用いられている。また、カラーインクを用いる場合は、一般的な画像に用いるカラーインクと共通化するため、記録媒体にカラーインクの下地として白色インクを印字してカラーの発色を向上させている。
白色インク用の顔料としては、隠蔽力、着色力等に優れた白色顔料である二酸化チタンが広く用いられている。二酸化チタンを用いて高い隠蔽力を得るには可視光を散乱させるために、粒径およそ200nmから300nmの範囲に分散させる必要がある。しかし、二酸化チタンは、比重がインク媒体と比較して大きいために沈降しやすく、さらに、水性インクやソルベント系インクなどの低粘度インク中では沈降速度が速くなる。また、二酸化チタンが沈降すると最密充填構造を形成するために再度分散させることは困難である。
このような課題に対して、中空粒子を用いたインクが報告されている。中空粒子はインク中では空孔部にインク媒体が存在することになるため、見かけの比重が小さくなり、沈降しにくくなる。また、中空粒子の隠蔽性は、塗膜乾燥後の中空シェルとインク成分の抜けた空孔の屈折率差を利用して得られる。
例えば、特許文献1では、白色中空粒子を含有するインクが提案されている。しかし、記載の白色中空粒子は、スチレン等の樹脂を骨格とするものであるため耐溶剤性に乏しく、インク成分に溶解性の強い溶剤を含む場合や、印字後の乾燥条件によっては中空構造を維持することができず透明化が発生し、所望の隠蔽性は得られない。
また、特許文献2では、白色顔料として無機又は無機有機混合型中空粒子を含有する放射線硬化型インクが提案されている。しかし、硬化型インクの場合には中空粒子の空孔部に重合性成分が残存したまま硬化するために所望の隠蔽性は得られない。
また、特許文献3では、中空構造を有する有機粒子と、中空構造を有する無機粒子を含有するインクが提案されている。しかし、特許文献1と同様に中空構造を有する有機粒子は耐溶剤性に乏しく、インク成分に溶解性の強い溶剤を含む場合や、印字後の乾燥条件によっては中空構造を維持することができず透明化が発生し、所望の隠蔽性は得られない。
本発明は、高い分散安定性、隠蔽性および耐溶剤性を有するインクの提供を目的とする。
上記課題は、下記(1)の構成により解決される。
(1)揮発性溶剤、無機中空粒子およびカルシウムイオンを含有するインクであって、前記インク中の前記カルシウムイオン量が0.5ppm以上250ppm以下であり、前記無機中空粒子の50%累積体積粒径が50nm以上350nm以下であることを特徴とするインク。
本発明によれば、高い分散安定性、隠蔽性および耐溶剤性を有するインクが提供される。
記録装置の斜視説明図である。 メインタンクの斜視説明図である。 本発明のインクカートリッジの一例を示す概略図である。 図3のインクカートリッジの変形例を示す概略図である。
本発明は、下記(1)に示されるインクジェットインクに係るものであるが、発明の実施形態としては下記の(2)〜(11)を含むものである。
(1)揮発性溶剤、無機中空粒子およびカルシウムイオンを含有するインクであって、前記インク中の前記カルシウムイオン量が0.5ppm以上250ppm以下であり、前記無機中空粒子の50%累積体積粒径が50nm以上350nm以下であることを特徴とするインク。
(2)前記カルシウムイオン量が、0.5ppm以上50ppm以下であることを特徴とする(1)に記載のインク。
(3)前記カルシウムイオン量が、0.5ppm以上30ppm以下であることを特徴とする(2)に記載のインク。
(4)前記揮発性溶剤が非重合性溶剤であり、かつ、沸点260℃以下であることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載のインク。
(5)前記揮発性溶剤が水または水溶性有機溶剤であることを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載のインク。
(6)前記揮発性溶剤が有機溶剤であることを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載のインク。
(7)前記無機中空粒子のシェル厚が4nm以上20nm以下であることを特徴とする(1)から(6)のいずれかに記載のインク。
(8)ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に形成した50mm×50mmのベタ画像を、50℃恒温槽で1時間乾燥したときの明度をL*50℃、100℃恒温槽で1時間乾燥したときの明度をL*100℃としたとき、下記式(1)で表される明度差ΔL*の絶対値が10以下であることを特徴とする(1)から(7)のいずれかに記載のインク。
ΔL*=(L*100℃)−(L*50℃)・・・式(1)
(9)(1)から(8)のいずれかに記載のインクを記録媒体上にインクジェット方式で記録し、かつ、記録後の乾燥工程を有するインクジェット記録方法において、前記乾燥工程の温度が50℃以上200℃以下であることを特徴とするインクジェット記録方法。
(10)(1)から(8)のいずれかに記載のインクジェットインクを含有してなるインクカートリッジ。
(11)インクを収容したインクカートリッジおよびインクを吐出させるための記録ヘッドを備えた画像記録装置であって、前記インクが(1)から(8)のいずれかに記載のインクであることを特徴とする方式の画像記録装置。
本発明に用いるインクは、揮発性溶剤、無機中空粒子およびカルシウムイオンを含んで構成され、インク中の前記カルシウムイオン量が0.5ppm以上250ppm以下であり、前記無機中空粒子の50%累積体積粒径が50nm以上350nm以下であることを特徴としている。インク中のカルシウムイオン量と、インク中の50%累積体積粒径が上記範囲内を満足した無機中空粒子を用いることにより、高い分散安定性と隠蔽性および耐溶剤性を有するインクが得られる。
<無機中空粒子>
前記無機中空粒子としては、特に限定されることはないが、例えば、チタン、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、ストロンチウムなどの酸化物、窒化物、酸化窒化物などを利用することができる。塗膜の隠蔽性の点からは、酸化チタンが好ましいが、中空粒子では、粒子表面の散乱以外に中空粒子の外郭に相当するシェルと内部の空孔との散乱も得られるため、酸化ケイ素などの他の材料も利用することができる。また、インク中での沈降性の点から、無機中空粒子としては比重の小さい酸化ケイ素を利用すること好ましく、さらに、酸化ケイ素は中空粒子のシェルの厚み(シェル厚)や空孔径を制御することが比較的容易である。よって、無機中空粒子としては酸化ケイ素であることが好ましい。
無機中空粒子は、インク中で沈殿または浮上や、分離しないためにインク液の比重と近い比重とすることが好ましく、そのため無機中空粒子のシェル厚は4nm以上20nm以下であることが好ましく、6nm以上18nm以下であることがさらに好ましい。シェル厚が4nm以上であることにより、分散工程に負荷されたエネルギーによる中空構造の崩壊が防止され、高い隠蔽性が得られ、またインク中での沈降も防止される。シェル厚が20nm以下であることにより、無機中空粒子としての比重を小さく維持でき、インク中での沈降が防止される。また、無機中空粒子の内径(空孔径)と外径(一次粒子径)の比(内径/外径)が0.75以上0.95以下であることが好ましい。前記比率が、0.75以上であると中空シェルと内部の空孔との散乱が十分得られ、高い隠蔽性が得られ、さらに内部空孔により沈降しにくくなり、0.95以下であると、中空シェルの強度が得られ、分散時のエネルギー負荷においても構造を維持することが可能であり、高い隠蔽性と、沈降しにくく高い分散安定性が得られる。
無機中空粒子の個数平均一次粒子径としては、20nm以上200nm未満であることが好ましい。個数平均一次粒子が20nm以上であると、中空シェルと内部の空孔との散乱により塗膜の隠蔽性を確保することができ、200nm未満であるとインク中で沈降しにくくなり高い分散安定性を期待することができる。無機中空粒子の個数平均一次粒子径は、50nm以上100nm以下とすると、隠蔽性を高める効果と高い分散安定性が好適に両立し好ましい。なお、前記個数一次平均粒子径と前記シェル厚としては、透過型電子顕微鏡(日本電子製、「JEM−2100F」)を用いて、3万倍視野での一次粒子200個以上500個以下の一次粒子を挟む一定方向の2本の平行線の間隔にある一定方向径を測定して、その累積分布の平均値から求めることができる。
インク中の無機中空粒子の50%累積体積粒径(D50)としては、50nm以上350nm以下とする。さらには、68nm以上350nm以下であることが好ましく、80nm以上260nm以下であることがより好ましい。前記50%累積体積粒径(D50)が50nm以上であると、塗膜の隠蔽性を得ることができ、350nm以下であると、二次凝集による粒子間の束縛溶媒による見かけの比重の増加を抑制することができ、沈降しにくく高い分散安定性を得ることができる。なお、ここで記載するインク組成物の50%累積体積粒径(D50)はインク組成物中での二次粒子径であり、この値が上記を満足することにより本発明の効果を得ることができる。なお、50%累積体積粒径(D50)は、例えば、インクを分散媒として用いる揮発性溶剤で100倍から1000倍程度に希釈して、粒度分布計(日機装製、「UPA−150EX」)を用いて測定することができる。また、インクの50%累積体積粒径(D50)とは、インクそのものを測定に供して得られた50%累積体積粒径(D50)を意味し、インク中の粒子状の物体(具体的には、無機中空粒子を含む分散液)の50%累積体積粒径(D50)に相当する。
無機中空粒子のインク中の含有量としては、3質量%以上12質量%以下であることが好ましく、4.5質量%以上10質量%以上であることがさらに好ましい。3質量%以上であると、十分な隠蔽性や耐擦過性が得られ、12質量%以下とすることで十分な塗膜濃度が得られ、良好な吐出安定性を得ることができる。
無機中空粒子が酸化ケイ素からなる場合(以下、中空シリカ粒子と呼ぶことがある)、その製造方法は特に限定されるものではないが、公知の製造方法であることができる。例えば、特許4654428号公報および特許5810362号公報に記載されているように、炭酸カルシウムをコア材として用い、塩基性触媒存在下において炭酸カルシウム表面にアルコキシシランを形成させてシリカを得る。その後、酸添加により炭酸カルシウムを溶解する方法で中空シリカ粒子を得ることができる。この炭酸カルシウムの溶解工程においては、pH制御を行うことにより二次凝集の少ない中空シリカ粒子を得ることが可能である。具体的にはシリカの等電点を避けることである。シリカはpH2〜3付近に等電点を持つため、炭酸カルシウム溶解時にpHを低下させすぎると、静電反発力が失われ凝集してしまう。そのため、炭酸カルシウムを溶解させる際にはpH4〜5の間とすることが好ましい。
また本発明において、インク中のカルシウムイオン量は0.5ppm以上250ppm以下であることが必要であり、0.5ppm以上50ppm以下が好ましく、0.5ppm以上30ppm以下がより好ましい。0.5ppm未満とするには精製プロセスの効率性が著しく低下する。インク中のカルシウムイオン量が250ppmを超えると、分散安定性、隠蔽性および耐溶剤性をすべて満足させることができない。
インク中のカルシウムイオン量は、ICP発光分光分析装置(島津製作所製、ICPE−9000)などを用いて定量することができる。カルシウムイオン量は製造段階時の限外濾過膜の通液回数などにより異なる。
なお、本発明に用いられるインクに中空シリカ粒子を使用する場合、粉末乾燥された中空シリカ粒子よりも、中空シリカ粒子の製造過程で生じる中空シリカ粒子の分散液を使用することが望ましい。中空シリカ粒子の分散液を使用することにより、乾燥時の強固な粒子間凝集を防止することができ、本発明で規定する無機中空粒子の50%累積体積粒径(D50)の範囲でも中空構造を維持したままインク中に再度分散することが可能である。
インク中のカルシウムイオン量は、中空シリカ粒子を使用する場合には粒子製造過程のコア粒子溶解時の酸量に依存する。その他の無機中空粒子を使用する場合においても製造条件に依存する。
無機中空粒子をインク中に分散する際には、分散剤ポリマーを添加することが望ましい。前記分散剤ポリマーとしては、例えば、α‐オレフィン‐無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、水溶性ポリウレタン樹脂及び水溶性ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。前記分散剤ポリマーを用いると、分散剤吸着に伴う立体反発効果を向上でき、高い分散安定性を得ることができる。なお、前記分散剤ポリマーとは、重量平均分子量が1,000以上のものを意味する。
前記分散剤ポリマーの含有量としては、無機中空粒子に対して、10質量%以上60質量%以下が好ましく、15質量%以上50質量%以下がより好ましい。前記含有量が、10質量%以上であると、無機中空粒子に吸着した分散剤ポリマーの立体反発効果により分散性を確保でき、60質量%以下であると、無機中空粒子に吸着していない分散剤ポリマー量が少なく、インクを低粘度化することが可能である。また、吸着していない分散剤ポリマー量が少ないためインクのチクソ性上昇は抑制され、ろ過通液性および吐出性の向上をもたらす。
<揮発性溶剤>
本発明のインクは、揮発性溶剤を含有する。前記揮発性溶剤は、重合性官能基を有していない非重合性溶剤であることが好ましく、塗膜乾燥時に無機中空粒子内に残存しないものがさらに好ましい。前記揮発性溶剤が水又は水溶性有機溶剤である場合は、水性インクとして利用でき、前記揮発性溶剤が有機溶剤である場合はソルベントインクとして利用することができる。しかし、近年では、VOC(揮発性有機化合物)問題も多く取り上げられ、VOC発生量の低減可能な水性インクが広く望まれる背景にある。VOCは常温常圧で大気中に容易に揮発する有機化合物の総称であるが、本発明に記載する揮発性溶剤とは記録媒体上で加温された際に揮発することが求められ、沸点300℃以下のものを意味する。
本発明のインクは、前述のように粒子表面の散乱以外に無機中空粒子のシェルと内部の空孔との散乱を利用して隠蔽性が得られる。そのため、塗膜乾燥後にインク成分が無機中空粒子内に残存すると塗膜の隠蔽性が低下してしまう。上記の点から、前記揮発性溶剤は、沸点が260℃以下であることが好ましい。
(水性インク)
水性インクに用いられる水溶性有機溶剤としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が260℃以下の水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
中でも、炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物が好適に使用される。
好ましい炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
好ましいグリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
水溶性有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
水性インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。
(ソルベントインク)
ソルベントインクに用いられる有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルブチレート、エチレングリコールモノエチルエーテルブチレート、エチレングリコールモノブチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルブチレート、プロピレングリコールモノメチルエーテルブチレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルブチレート等のグリコールモノアセテート類;エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールアセテートプロピオネート、エチレングリコールアセテートブチレート、エチレングリコールプロピオネートブチレート、エチレングリコールジプロピオネート、エチレングリコールアセテートジブチレート、ジエチレングリコールアセテートプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールプロピオネートブチレート、ジエチレングリコールジプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートジブチレート、プロピレングリコールアセテートプロピオネート、プロピレングリコールアセテートブチレート、プロピレングリコールプロピオネートブチレート、プロピレングリコールジプロピオネート、プロピレングリコールアセテートジブチレート、ジプロピレングリコールアセテートプロピオネート、ジプロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールプロピオネートブチレート、ジプロピレングリコールジプロピオネート、ジプロピレングリコールアセテートジブチレート等のグリコールジアセテート類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類;エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル等の乳酸エステル類等が好ましい。
ソルベントインクに含まれる溶剤の量は、インク総量に対して60質量%以上、95質量%以下であることが好ましく、70質量%以上、95質量%以下がより好ましく、80質量%以上、95質量%以下であることがさらに好ましい。
また、本発明に係るソルベントインクには水を含まないことが好ましい。水を含まないことにより、顔料の分散の安定性を向上させたり、溶剤の加水分解を抑制したり、ヘッドの腐食を抑制したりすることができる。ソルベントインクにおいて、水の含有量は、通常の吸湿量である0.5質量%以下であることがより好ましい。
<樹脂>
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いても良い。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
<添加剤>
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
本発明のインクの分散方法としては、ボールミル、サンドミルやビーズミルなどのメディアを用いた分散装置、メディアレス分散装置を用いてもよいが、分散時に無機中空粒子の中空構造を維持するためにはメディアレス分散装置を用いることが好ましい。
前記メディアレス装置は、粒子へのメディア衝突を避けることにより中空構造を維持したまま無機中空粒子を分散することが可能である。また、メディア由来のコンタミが発生しないことから、系内に微粉、粗粉の発生を抑制できる。さらに、粒度分布の均一性を向上できることから、良好なインク吐出性が得られる。前記メディアレス分散装置としては、例えば、衝突分散型、超音波分散型などによる高速せん断力を利用する分散装置、高速撹拌を利用する分散装置又は超音波分散装置などが挙げられる。高速せん断力を利用する分散装置としては、例えば、装置名:ナノヴェイタシリーズラボ機C−ES008(吉田機械興業株式会社製)などが挙げられる。超音波分散装置としては、例えば、装置名:超音波ホモジナイザーUS−150E(株式会社日本精機製作所製)などが挙げられる。
分散時における分散液の温度としては、5℃以上60℃以下が好ましく、さらには5℃以上50℃以下が好ましい。
前記メディアを用いた分散装置における分散メディアとしては、無機中空粒子の中空構造を維持できるように、メディア比重、メディア径を適宜選択することにより、マイルドな条件とする必要がある。
<インクの物性>
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
<記録媒体>
記録媒体としては特に制限はなく、普通紙、光沢紙、特殊紙、布などを用いることもできるが、非浸透性基材を用いても良好な画像形成が可能である。
前記非浸透性基材とは、水透過性、吸収性が低い表面を有する基材であり、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれ、より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である基材をいう。
前記非浸透性基材としては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムを、好適に使用することができる。
記録媒体としては、一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、壁紙、床材、タイル等の建材、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。また、記録媒体を搬送する経路の構成を調整することにより、セラミックスやガラス、金属などを使用することもできる。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムであれば、厚さ100μmの全光線透過率が80%以上のものが挙げられる。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、本発明のインクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材等を有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを少なくとも有するもの、などが好適に挙げられる。
次に、インクカートリッジについて、図3及び図4を参照して説明する。
ここで、図3は、前記インクカートリッジを示す概略図であり、図4は、図3のインクカートリッジの変形例を示す概略図である。
図3に示すように、インクカートリッジ201は、インク注入口242から本発明のインクジェット用インクがインク袋241内に充填され、排気した後、該インク注入口242は融着により閉じられる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に、インクジェット記録装置の針が刺されて、前記インクジェット記録装置に供給される。
インク袋241は、透気性の低いアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋241は、図4に示すように、通常、プラスチックス製のカートリッジケース244内に収容され、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
前記インクカートリッジ201は、本発明のインクを収容し、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いることができ、また、後述するインクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いるのが特に好ましい。
<記録装置、記録方法>
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。以下は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)を用いた場合について説明するが、これらに代えて、あるいは、これらに加えて、本発明のインクを用いれば良い。
図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
この記録装置には、インクを吐出する部分だけでなく、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
本発明のインクを記録媒体上でインクジェット方式で記録した後の乾燥工程の温度は、50℃以上200℃以下であることが好ましい。この温度範囲によれば、記録媒体に対する熱の影響が生じにくい。
本発明のインクは、前述のように粒子表面の散乱以外に無機中空粒子のシェルと内部の空孔との散乱を利用して隠蔽性が得られる。そのため、塗膜乾燥後に水溶性有機溶剤等の成分が無機中空粒子内に残存すると塗膜の隠蔽性が低下してしまうが、本発明のインクは、中空粒子が無機材料で形成されるために中空樹脂粒子と比較して高温乾燥時においても高い耐溶剤性を有するので、高温環境下で高速に乾燥させることも可能である。
また本発明のインクは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に形成した50mm×50mmのベタ画像を、50℃恒温槽で1時間乾燥したときの明度をL*50℃、100℃恒温槽で1時間乾燥したときの明度をL*100℃としたとき、下記式(1)で表される明度差ΔL*の絶対値が10以下となり得る。すなわち本発明のインクは、画像(例えば白色度)の安定性に優れる。
ΔL*=(L*100℃)−(L*50℃)・・・式(1)
本発明のインクの用途は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印刷物、塗料、コーティング材、下地用などに応用することが可能である。さらに、インクとして用いて2次元の文字や画像を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。
立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、インクの収容手段、供給手段、吐出手段や乾燥手段等を備えるものを使用することができる。立体造形物には、インクを重ね塗りするなどして得られる立体造形物が含まれる。また、記録媒体等の基材上にインクを付与した構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された記録物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形する用途に好適に使用される。
また、本発明の用語における、画像形成、記録、印字、印刷等は、いずれも同義語とする。
以下、実施例および比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例により限定されるものでない。
<<分散液の調製>>
(1)<無機中空粒子の作製例>
本発明に用いられる無機中空粒子の作製方法は、前述のように公知の技術にて製造されるものを用いることができる。無機中空粒子の作製条件について表1に示し、作製例3を例に以下に記載する。
ビーカー中で炭酸カルシウム18.15質量部(白石工業製、製品名「白艶華DD」、粒子形状:立方、表面処理剤:ロジン酸、一次粒子径:50nm)をジグリム181.54質量部(ジメチレングリコールジメチルエーテル、キシダ化学製)中にホモジナイザー(日立工機製、HG30、C20カッター、8000rpm、30分)を用いて十分に分散させた。その後、炭酸カルシウムの分散状態を保つように十分に撹拌させながら、テトラエトキシシラン14.52質量部(TEOS、信越化学工業製、製品名「KBE−04」)、28%アンモニア水14.61質量部(NHOH、和光純薬工業製)及び水71.17質量部を混合して、25℃にて4時間反応させ、炭酸カルシウム表面にゾル‐ゲル反応を利用してシリカ殻を形成させシリカコート粒子を得た。
次に、得られたシリカコート粒子の洗浄を行い、水に分散させた。さらに、コア粒子の炭酸カルシウムを溶解させるために10倍に希釈した酢酸を添加した。酢酸添加後のpHは4.0であった。その後、脱塩のために限外濾過膜を用いて水洗浄を行い、濃縮させることで[無機中空粒子3の18質量%水層]を得た。なお、いずれの洗浄工程においても、シリカコート粒子または無機中空粒子を乾燥させると凝集する恐れがあるため、液液置換で行った。
同様に、表1に示す各作製例の条件にて、[無機中空粒子1の18質量%水層]、[無機中空粒子2の18質量%水層]及び[無機中空粒子4の18質量%水層]〜[無機中空粒子15の18質量%水層]を得た。作製例14は市販品を用い、無機中空粒子として市販品「シリナックス」(日鉄鉱業株式会社製、外径100nm、内径80nm、水分散タイプ)を用いた。
なお表1において使用した炭酸カルシウムの詳細は以下の通りである。
ヴィスカル:(ニューライム社製、粒子形状:立方、表面処理剤:なし、一次粒子径:80nm)
Brilliant-1500:(白石工業製、粒子形状:立方、表面処理剤:なし、一次粒子径:150nm)
Homocal-D:(白石工業製、粒子形状:立方、表面処理剤:ロジン酸、一次粒子径:80nm)
Homocal-DM:(白石工業製、粒子形状:立方、表面処理剤:ロジン酸、一次粒子径:80nm)
Figure 0006870441
(2)<無機中空粒子水分散液の作製例、無機中空粒子分散液1〜15>
(1)で得られた[無機中空粒子3の18質量%水層]100質量部に、アミン基含有アクリルブロック共重合体(分散剤、ビックケミージャパン製、製品名「BYKJET−9151」、酸価:8mgKOH/g、アミン価:18mgKOH/g、有効成分100質量%)6質量部、水14質量部を加え十分撹拌した後、メディアレス分散装置(吉田機械興業製、NVC−ES008、150μm衝突型ノズル、吐出圧力50MPa、パス回数、10回)にて分散を行った。得られた分散液を5μmのメンブランフィルター(セルロースアセテート膜)にてろ過を行って、[無機中空粒子分散液3](粒子濃度:15質量%)を作製した。
同様にして、[無機中空粒子1の18質量%水層]、[無機中空粒子2の18質量%水層]、[無機中空粒子4の18質量%水層]〜[無機中空粒子13の18質量%水層]及び[無機中空粒子15の18質量%水層]を用いて、[無機中空粒子分散液1]、[無機中空粒子分散液2]、[無機中空粒子分散液4]〜[無機中空粒子分散液13]及び[無機中空粒子分散液15]を作製した。
また、無機中空粒子として市販品「シリナックス」を固形分濃度15質量%に調製した[無機中空粒子分散液14]を作製した。
(3)<無機中空粒子溶剤分散液の作製、無機中空粒子分散液16>
(1)で得られた[無機中空粒子6の18質量%水層]の溶媒をγ―ブチロラクトンに置換した。さらに、無機中空粒子6に対して50質量%のシナジスト(ルーブルリゾール製、製品名「ソルスパース12000」)を添加し、水冷しながらホモジナイザー(日立工機製、HG30、C20カッター、8000rpm、60分)を用いて分散を行った。得られた無機中空粒子6の溶剤系分散液を5μmのメンブランフィルター(PTFE膜)にて濾過を行って、[無機中空粒子分散液16](粒子濃度:15.0質量%)を得た。
(4)<中空樹脂粒子分散液の作製>
重合性単量体としてエチレングリコールジメタクリレート(日油製、「ブレンマーPDE−50R」、ポリオキシエチレンユニット数=1)25質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート(サートマー製、「SR351S」)50質量部、及び、アクリロニトリル25質量部と、非重合性化合物としてトルエン95質量部及びヘキサデカン5質量部と、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1質量部とを混合、撹拌した混合溶液の全量を、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2質量%、分散助剤としてセチルアルコール1質量%を含有するイオン交換水1600質量部に添加し、超音波ホモジナイザーにて60分間強制乳化して、重合性液滴が分散した分散液を作製した。
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内を減圧し、容器内の脱酸素を行った後、窒素ガスにより圧力を大気圧まで戻し、重合器内部を窒素雰囲気とした。この重合器内に、得られた分散液の全量を一括して投入し、重合器を60℃まで昇温して重合を開始した。4時間重合した後、重合器を室温まで冷却して、非重合性化合物内包マイクロカプセルスラリーを得た。得られたスラリーを、噴霧乾燥機を用いて乾燥し、中空微粒子を作製した。
得られた中空微粒子を透過型電子顕微鏡(日本電子製、「JEM−1200EXII」)を用いて観察したところ、形状はほぼ真球状であり、平均粒子径は0.12μmであった。また、得られた中空微粒子は内部に単一空孔を有する構造を有しており、シェル部分比率は50体積%であった。
アミン基含有アクリルブロック共重合体(分散剤、ビックケミージャパン製、製品名「BYKJET−9151」、酸価:8mgKOH/g、アミン価:18mgKOH/g、有効成分100質量%)5質量部を水80質量部に溶解させ、得られた中空微粒子15質量部を添加して十分に撹拌し、直径2mmのジルコニアボール80質量部を加え、下記条件のボールミルにて2日間分散を行った。得られた分散液を5μmのメンブランフィルター(PTFE膜)にてろ過を行って[中空樹脂粒子分散液](濃度:15質量%)を作製した。
−ボールミルの条件−
メディア : YTZボール直径5mm
(ジルコニアボール、株式会社ニッカトー製)
YTZボール直径1mm
(ジルコニアボール、株式会社ニッカトー製)
ミル : MIX−ROTAR VMR−5(アズワン株式会社製)
回転数 : マヨネーズ瓶の回転数75rpm
(5)<酸化チタン分散液の作製>
ビーカー中でアクリル共重合体(分散剤、ビックケミージャパン製、製品名「DISPERBYK−2008」、有効成分100質量%、アミン価:66mgKOH/g)18.0質量部を高純水67.0質量部に溶解させ、二酸化チタン(テイカ製、製品名「JR−600A」、一次粒子径250nm、表面処理:Al)15.0質量部を添加し、水冷しながらホモジナイザー(日立工機製、HG30、C20カッター、8000rpm、60分)を用いて分散を行った。得られた二酸化チタン顔料分散液を5μmのメンブランフィルター(セルロースアセテート膜)にて濾過を行って、[酸化チタン分散液](粒子濃度:15.0質量%)を得た。
<<インクの調製>>
[実施例1]
・無機中空粒子分散液1(15質量%) 53.3質量部
・1,3−プロパンジオール 12質量部
・1,5−ペンタンジオール 10質量部
・3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 8質量部
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル 4質量部
・ポリウレタン樹脂エマルジョン(35質量%) 8質量部
・界面活性剤 0.1質量部
・消泡剤 0.5質量部
・防腐防黴剤 0.05質量部
・pH調整剤 0.5質量部
・高純水 3.55質量部
上記組成のインクを調製し、5μmメンブランフィルター(セルロースアセテート膜)にて濾過を行い、[インク1]を得た。
[実施例2]〜[実施例15]
表2、表3に示す通りに、無機中空粒子分散液及び材料組成比を変更した以外は[インク1]と同様に調製し、[インク2]〜[インク15]を得た。
[比較例1]〜[比較例4]
表4に示す通りに、無機中空粒子分散液及び材料組成比を変更した以外は[インク1]と同様に調製し、[インク16]〜[インク19]を得た。
[比較例5]及び[比較例6]
表4に示す通りに、無機中空粒子分散液を上記記載の中空樹脂粒子分散液に変更し、さらに材料組成比を変更した以外は[インク1]と同様に調製し、[インク20]及び[インク21]を得た。
[比較例7]
表4に示す通りに、無機中空粒子分散液を上記記載の中空樹脂粒子に変更し、さらに材料組成比を変更した以外は[インク1]と同様に調製し、[インク22]を得た。
[比較例8]
表4に示す通りに、無機中空粒子分散液を上記記載の酸化チタン分散液に変更し、さらに材料組成比を変更した以外は[インク1]と同様に調製し、[インク23]を得た。
無機中空粒子の50%累積体積粒径(D50)、個数一次平均粒子径、内径、シェル厚を求めた。これらは上記のように透過型電子顕微鏡(日本電子製、「JEM−2100F」)を用いて求めることができる。測定結果は表2〜表4に示した。
Figure 0006870441
Figure 0006870441
Figure 0006870441
なお、表2〜表4において、用いた材料については下記の通りである。
<水性インク>
1,3−プロパンジオール(沸点188℃)
1,2−ブタンジオール(沸点195℃)
1,5−ペンタンジオール(沸点242℃)
1,6−ヘキサンジオール(沸点223℃)
3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(沸点174℃)
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(沸点244℃)
3−メチル−1,3−ブタンジオール(沸点204℃)
ジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点194℃)
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点220℃)
以下の構造のアミド化合物(R=CH)(出光興産製、エクアミドM100、沸点216℃)
Figure 0006870441
グリセリン(沸点290℃)
ポリウレタン樹脂エマルジョン:三井武田ケミカル社製、W−5661、固形分35質量%
界面活性剤A:ポリオキシエチレンアルキレン誘導体(日本油脂製、ディスパノールTOC)
界面活性剤B:ポリオキシエチレンスチレンフェニルエーテル(第一工業製薬製、ノイゲンEA−177)
界面活性剤C:フッ素系界面活性剤(OMNOVA社製Polyfox)
消泡剤:エンバイロジェムAD01
防腐防黴剤:プロキセルLV
pH調整剤:1N−NaOH
<ソルベントインク>
トリエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点248℃)
プロピレングリコールモノプロピルエーテル(沸点149℃)
ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点188℃)
γ−ブチロラクトン(沸点204℃)
2−オクタノン(沸点173℃)
ポリエステル樹脂エマルジョン:高松油脂製ペスレジンS−100EA
エポキシ化大豆油
分散剤:ソルスパース5000(ルーブルリゾール製)
得られた各インクについて、次の評価を行った。
<<インク中のカルシウムイオン定量評価>>
実施例1〜15及び比較例1〜4で調製したインク中のカルシウムイオンはICP発光分光分析装置(島津製作所製、ICPE−9000)用いて定量を行い、下記の評価基準にて評価を行った。
[評価基準]
AA:インク中のカルシウムイオン量が0.5ppm未満である
A:インク中のカルシウムイオン量が0.5ppm以上30ppm以下である
B:インク中のカルシウムイオン量が30ppmを超え、50ppm以下である
C:インク中のカルシウムイオン量が50ppmを超え、250ppm以下である
D:インク中のカルシウムイオン量が250ppmを超える
<<インクの沈降性評価>>
実施例1〜15及び比較例1〜8で調製したインクの粒子の沈降性は、タービスキャンMA2000(英弘精機製)を用いて評価した。
方法としては、評価インクを水冷しながら超音波分散処理(100w、20分)を行い、均一分散させてからピペットを用いて専用のガラスセルに評価インクを5.0mL入れた。セル内の評価インクの液面が安定した30分後に測定を行い、この時間を沈降性評価開始とした。その後、23℃で静置し、150時間後まで測定を行い、沈降性評価開始を基準とした偏差表示にて、沈降性を評価した。沈降性の評価は、上澄みの生成による後方散乱光の変化を、ピークの積算(相対値モード)で行い、以下の基準でランク評価した。
[評価基準]
A:評価開始150時間後の相対変化が5%未満
B:評価開始150時間後の相対変化が5%以上10%未満
C:評価開始150時間後の相対変化が10%以上
<<インク保存安定性>>
実施例1〜15及び比較例1〜8で調製したインクをインクカートリッジに充填して65℃で3週間保存し、コーンプレート型回転粘度計(装置名:VISCOMETER TV−22、東機産業株式会社製)を用いて、恒温循環水の温度が25℃、回転数が50rpm、及びせん断速度が191.4sec−1の条件で保存前後の粘度の測定を行い、以下の基準で評価した。
〔評価基準〕
A:保存前後の粘度変化率が±5%以内である。
B:保存前後の粘度変化率が±5%を超え、±10%以内である。
C:保存前後の粘度変化率が±10%を超え、±15%以内である。
D:保存前後の粘度変化率が±15%を超えている。
<印字条件>
インクジェットプリンター(リコー製IPSiOGXe5500)の外装を外し、背面マルチ手差しフィーダーを取り付け、印字ヘッドを含めたインク供給経路に純水を通液することで洗浄し、洗浄液が着色しなくなるまで十分に通液して洗浄液を装置から抜ききって評価用印写装置とした。
また、調製したインクを5〜10Paの減圧条件で30分間攪拌することで評価インク中の気体を脱気し、インクカートリッジに充填し評価用インクカートリッジとした。充填動作を行わせ、全ノズルに評価インクが充填され異常画像が出ないことを確認し、プリンタ添付のドライバで光沢紙きれいモードを選択後、ユーザー設定でカラーマッチングoffを印字モードとした。このモードでベタ画像のメディア上へのインク付着量が20g/mとなるようにヘッドの駆動電圧を変更することで吐出量を調整した。
<<隠蔽性評価>>
≪印字画像の明度評価≫
実施例1〜15、比較例1〜8で調製したインクをインクジェットプリンター(リコー製:IPSiOGXe5500)に充填し、マイペーパー(リコー製PPC普通紙)上に両面テープで固定した透明PETフィルム(東洋紡製エステルフィルムE5100)に対して、Microsoft Word2003にて作成した50cm×50cmのベタ画像を印刷した後、50℃の恒温槽で1時間乾燥させた。
この印字したPETフィルムの下に市販の黒紙を敷いた状態で、印字した部分を分光測色濃度計X−Rite939を用いて明度(L*)を測定し、以下の基準で評価した。
[評価基準]
A:L*値が、70以上
B:L*値が、60以上、70未満
C:L*値が、60未満
参考として、黒紙の上に未印字のPETフィルムを敷いた状態で測定したL*値は、23であった。
≪印字画像の白色度安定性≫
実施例1〜15、比較例1〜8で調製したインクをインクジェットプリンター(リコー製:IPSiOGXe5500)に充填し、マイペーパー(リコー製PPC普通紙)上に両面テープで固定した透明PETフィルム(東洋紡製エステルフィルムE5100)に対して、Microsoft Word2003にて作成した50cm×50cmのベタ画像を印刷した。
印字後、記録媒体を50℃の恒温槽に入れ1時間乾燥したものと、100℃の恒温槽に入れ1時間乾燥したものとを明度を測定して、明度差ΔL*=(L*100℃)−(L*50℃)の絶対値を算出して評価を行った。
明度の測定は印字したPETフィルムの下に市販の黒紙を敷いた状態で、印字した部分を分光測色濃度計X−Rite939を用いて測定し、以下の基準で評価した。
[評価基準]
A:|ΔL*|値が、5未満
B:|ΔL*|値が、5以上、10未満
C:|ΔL*|値が、10以上
<<印字画像の明度評価(温度依存性)>>
実施例9および比較例6で調製したインクをインクジェットプリンター(リコー製:IPSiOGXe5500)に充填し、マイペーパー(リコー製PPC普通紙)上に両面テープで固定した透明PETフィルム(東洋紡製エステルフィルムE5100)に対して、Microsoft Word2003にて作成した50cm×50cmのベタ画像を印刷した。
印字後記録媒体を50℃の恒温槽に入れ1時間乾燥したものと、100℃の恒温槽に入れ1時間乾燥したものと、150℃の恒温槽に入れ1時間乾燥したもののそれぞれ明度L*を測定し、以下の基準で評価した。
[評価基準]
A:L*値が、70以上
B:L*値が、60以上、70未満
C:L*値が、60未満
結果を表8に示す。
<<耐溶剤性評価>>
実施例1〜9、実施例11〜15、比較例1〜6及び比較例8で調製したインクをインクジェットプレンター(リコー製:IPSiOGXe5500)に充填し、マイペーパー(リコー製PPC普通紙)上に両面テープで固定した透明PETフィルム(東洋紡製エステルフィルムE5100)に対して、Microsoft Word2003にて作成した50cm×50cmのベタ画像を印刷した後、100℃の恒温槽で60分間乾燥させた。
綿棒をエタノール49%、メチルエチルケトン1%含む水溶液に含浸させ、画像のベタ部を20回擦過し、ベタ部の塗膜の剥がれ具合により、以下の基準で評価した。
〔評価基準〕
A:ベタ部に全く剥がれが見られず、綿棒にも汚れが見られない。
B:ベタ部に剥がれは見当たらないが、綿棒にわずかに汚れが付着している。
C:ベタ部にインクの溶け出しが見られる。
D:ベタ部のインクが剥がれ、PETフィルムが一部以上露出している。
<<吐出安定性>>
実施例1〜15及び比較例1〜8で調製したインクを覆蓋手段を有するインクジェットプリンター(リコー製:IPSiO GXe5500)に充填し、ヘッドを覆蓋した状態で温度10℃、湿度15%RHで1週間放置した後、ノズルチェックパターンを印字し、不吐出、噴射乱れの有無を目視観察により、以下の基準で評価した。
〔評価基準〕
A:不吐出、噴射乱れが全く存在しない。
B:若干の噴射乱れが認められる。
C:不吐出が認められるノズルが存在する。
D:複数のノズルにおいて不吐出が認められる。
以上の水性インクの評価結果を表5、表6に、ソルベントインクの評価結果を表7にまとめて示す。
Figure 0006870441
Figure 0006870441
Figure 0006870441
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実施例1〜15のように、無機中空粒子を含有し、インク中の無機中空粒子の50%累積体積粒径が50nm以上350nm以下で、さらに、インク中のカルシウムイオン量が0.5ppm以上250ppm以下である場合は、沈降性評価、隠蔽性評価、耐溶剤性などに対して良好な結果が得られた。
一方、比較例1および比較例4のように、無機中空粒子の50%累積体積粒径が350nmを超える場合には中空粒子であっても沈降しやすい結果であった。これは、無機中空粒子の一次粒子が小さくてもインク中で凝集してしまい、粒子間の束縛溶媒により見かけの比重が増加したためと考えられる。また、比較例2のように、インク中のカルシウムイオン量が250ppmを超える場合には、保存安定性の低下が確認された。比較例3の市販品は粒子凝集が激しく、沈降しやすい結果であった。
また、比較例5および比較例6のように、中空樹脂粒子を使用した場合、隠蔽性評価の白色度安定性が著しく低い結果となった。これは、乾燥によりインク成分が蒸発する際に高沸点成分の溶剤の蒸発速度が遅いために溶解性の高い成分の濃縮状態となり、中空を形成する樹脂骨格を溶解させるためと推定される。比較例7においても同様と推定される。
また、比較例8のように、酸化チタンを使用した場合、粒子比重が大きいために沈降しやすい結果が得られた。なお、実施例9および比較例6のように高沸点成分の溶剤を含む場合は中空粒子内に溶剤成分が残存しやすく、やや白色度が低い結果が得られたものと推定される。しかし、実施例9では乾燥条件を強くすることにより高い白色度が得られることが確認された。
以上の結果から、インク中の無機中空粒子の50%累積体積粒径が50nm以上350nm以下であり、かつ、インク中のカルシウムイオン量を0.5ppm以上250ppm以下とすることにより、本発明における所望の効果を奏することができる。
201 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジケース
400 画像形成装置
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k、410c、410m、410y ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
特開2014−122310号公報 特開2007−211176号公報 特開2012−7089号公報

Claims (11)

  1. 揮発性溶剤、無機中空粒子およびカルシウムイオンを含有するインクであって、前記インク中の前記カルシウムイオン量が0.5ppm以上250ppm以下であり、前記無機中空粒子の50%累積体積粒径が50nm以上350nm以下であることを特徴とするインク。
  2. 前記カルシウムイオン量が、0.5ppm以上50ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のインク。
  3. 前記カルシウムイオン量が、0.5ppm以上30ppm以下であることを特徴とする請求項2に記載のインク。
  4. 前記揮発性溶剤が非重合性溶剤であり、かつ、沸点260℃以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のインク。
  5. 前記揮発性溶剤が水または水溶性有機溶剤であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のインク。
  6. 前記揮発性溶剤が有機溶剤であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のインク。
  7. 前記無機中空粒子のシェル厚が4nm以上20nm以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のインク。
  8. ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に形成した50mm×50mmのベタ画像を、50℃恒温槽で1時間乾燥したときの明度をL*50℃、100℃恒温槽で1時間乾燥したときの明度をL*100℃としたとき、下記式(1)で表される明度差ΔL*の絶対値が10以下であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のインク。
    ΔL*=(L*100℃)−(L*50℃)・・・式(1)
  9. 請求項1から8のいずれかに記載のインクを記録媒体上にインクジェット方式で記録し、かつ、記録後の乾燥工程を有するインクジェット記録方法において、前記乾燥工程の温度が50℃以上200℃以下であることを特徴とするインクジェット記録方法。
  10. 請求項1から8のいずれかに記載のインクを容器中に収容してなるインクカートリッジ。
  11. インクを収容したインクカートリッジおよびインクを吐出させるための記録ヘッドを備えた画像記録装置であって、前記インクが請求項1から8のいずれかに記載のインクであることを特徴とする画像記録装置。

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