JP5747329B2 - シリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ナノサイズのシリカ殻からなるナノ中空粒子(以下、単に「シリカナノ中空粒子」ともいう。)の製造方法に関するもので、特に、二次粒子への凝集が少なく分散性が高いシリカナノ中空粒子の製造方法に関するものである。
近年、マイクロカプセルと称される中空体が注目されている。
例えば、医薬や化粧品の分野では、中空体内部に有効成分を内包した徐放性医薬や徐放性化粧品のほか、外環境との接触により分解或いは劣化してしまう物質の保護、ドラッグデリバリーシステムのための担体等に、中空体(マイクロカプセル)を活用する研究が盛んに行われている。
また、製紙分野では、内部に染料を内包した中空体(マイクロカプセル)が感圧紙に使われている。
この他にも軽量充填材としての利用等、中空体は数多くの適用分野が見込まれ、多方面に亘る応用が期待されていることから、その製造に関して種々の検討がなされている。
そして、近年においては、ナノテクノロジー研究の一環として、数百nm以下の粒子径を有する粒子についての応用研究が盛んに行われており、中空粒子についても、このナノテクノロジーに代表される超微細化技術の流れに対応すべく、ナノサイズのものが嘱望されている。
ここで、中空粒子、特に、シリカ質の中空粒子に関する技術として、例えば、特許文献1において、メトキシシリケートやエトキシシリケートなどの有機ケイ素化合物と発泡剤を混合噴霧した後に加水分解することにより中空シリカ粉末が得られることが記載されている。
また、特許文献2においては、オルトケイ酸テトラエチルに、アルコール、水及び酸触媒を加えて部分加水分解を行わせた後、フタル酸ジブチルを添加し、この溶液を界面活性剤を含んだアンモニア水溶液中で混合撹拌、乳化し、重縮合反応させることにより球状で中空の多孔質シリカ粒子を製造する方法が提案されている。
更に、特許文献3においては、テトラアルコキシシランと水とで起こす加水分解と縮重合反応により合成されるミクロンサイズの球状シリカであって、当該シリカ粒子を構成する殻が、外側が緻密で内側ほど粗な濃度傾斜構造をもったミクロンサイズの中空の球状シリカ粒子が提案されている。
また、特許文献4 においては、特定条件下でケイ酸アルカリ金属からシリカ以外の支持体上に活性シリカを沈殿させた後、該支持体を除去することによって、緻密シリカシェルからなる中空シリカ粒子を製造する方法も提案されている。
これらのうち、特許文献1乃至特許文献3に記載の技術においては、気−液或いは液−液(水相−油相)の界面でシリカを析出させる、所謂、界面反応を利用したものであり、得られるシリカ中空粒子の粒子形状は球状で、粒子径はミクロンオーダー以上のものとなり、サブミクロンからナノオーダーの中空粒子を得ることはできない。
また、特許文献4においては、20nm以上の中空シリカ粒子が製造できると記載されているものの、本発明者らの実験によれば、ナノオーダーになると凝集が激しくなり、結果的にはミクロンオーダーの凝集粒子となってしまうことが確認されている。更に、この特許文献4において、中空粒子を構成するシリカ殻はシリカの微粒子が集合して形成されてなるものであり、その結果、微細ではあるもののシリカ殻に細孔が存在することも本発明者らは確認している。
このような状況に鑑み、本発明者らは、ナノサイズの中空粒子の開発にあたり、ナノサイズの特色をより効果的に発現させるためには、凝集が制御され分散性のよいものが望まれるほか、中空粒子を構成する殻の性状、特に分子サイズでの細孔の制御技術も必要であることに注目し、鋭意研究を進めた結果、特許文献5に記載されるように、高分散シリカナノ中空粒子の開発に成功し、この発明について特許を取得している。
特許文献5に記載の高分散シリカナノ中空粒子は、緻密なシリカ殻からなるナノ中空粒子であって、透過電子顕微鏡法による一次粒子径が30〜300nm、動的光散乱法による粒子径が30〜800nm、水銀圧入法またはガス吸着法により測定される細孔分布において2〜20nmの細孔が検出されないものである。
そして、この特許文献5の発明にかかるシリカナノ中空粒子は、炭酸カルシウムを含水ケーキ状態に調製してこれをコアとして用い、この含水ケーキ状態の炭酸カルシウムコアをアルコール中に分散させ、それにシリコンアルコキシド等を添加することによってシリカコーティングし、その後、コアとしての炭酸カルシウムを酸処理によって溶解除去させることによって製造されるものである。
特開平6−91194号公報 特許第2590428号公報 特開平11−29318号公報 特許第3419787号公報 特許第4654428号公報
ところが、特許文献5の発明においては、コアとして炭酸カルシウムを用いており、シリカコーティング後の内部の炭酸カルシウムを完全に溶解させるためにはpH2未満の強酸性水溶液を使用しなければならないことから、反応容器に耐腐食性処理を施したり耐腐食性を持つ材料を用いたりする必要があり、それによるコスト増加や周囲環境への負荷が問題となっていた。
更に、コアとしての炭酸カルシウムの除去を目的として強酸性水溶液中にシリカコーティング粒子を分散させた際、シリカコーティング粒子表面に未反応のシリコンアルコキシドや加水分解したケイ酸が存在する場合において、この未反応のシリコンアルコキシドや加水分解したケイ酸が強酸水溶液の酸性触媒機能で新たに縮合反応を開始して、シリカコーティング粒子やシリカコーティング粒子内部のコアが溶解された中空粒子の表面に共有結合を形成することにより、粒子間の凝集を引き起こすという問題点があった。
また、本発明者らの実験研究によれば、低コスト化や環境保全の観点から、コアとしての炭酸カルシウムを溶解除去した際に排出されるものを回収することで、炭酸カルシウムを再合成し、再合成された炭酸カルシウムをコアとして再利用できることが確認されている。しかしながら、炭酸カルシウムの再合成による再利用には、炭酸カルシウム溶解時に発生する炭酸ガスを回収する必要があり、それを回収するためには大型の装置が必要となることから、コスト増加につながるという問題があった。
そこで、本発明は、かかる不具合を解決すべくなされたものであって、二次粒子への凝集が少なくて、分散性が高く、かつ、低コスト化及び環境保全を図ることができるシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法の提供を課題とするものである。
請求項1の発明のシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法は、所定の寸法形状を有する乾燥粉末状態のリン酸カルシウム粒子を有機溶媒に分散させる分散工程と、前記リン酸カルシウム粒子が分散された有機溶媒に、シリコンアルコキシド及び塩基触媒を混合することによって、前記リン酸カルシウム粒子の表面にシリカ殻を形成させシリカコーティング粒子とするシリカ被覆形成工程と、酸水溶液によって分散系の水素イオン濃度指数をpH2〜pH3の範囲内として前記シリカコーティング粒子の内部の前記リン酸カルシウムを溶解させるリン酸カルシウム溶解工程とを具備するものである。
ここで、「リン酸カルシウム」としては、カルシウムイオンと、リン酸イオンまたは二リン酸イオンとからなる塩であればよく、例えば、ハイドロキシアパタイト、オキシアパタイト、α−リン酸三カルシウム、β−リン酸三カルシウム、γ−リン酸三カルシウム等が挙げられる。中でも、種々の外形形状を有する粒子の製造や入手が比較的容易であることから、更には、シリカ殻が被覆されやすく反応効率を高めてシリカナノ中空粒子の生成効率を高くできることから、ハイドロキシアパタイトを用いることが好ましい。
また、「有機溶媒」としては、シリコンアルコキシドと水に対して溶解性があり、更に、シリコンアルコキシドの加水分解反応を促進可能なものであればよく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、グリコール類、グリコールエステル類、アセトン等のケトン類、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素、キシレン等の芳香族炭化水素等の単体溶媒もしくはこれら2種類以上の混合溶媒が挙げられる。特に、リン酸カルシウム粒子とシリコンアルコキシドとの相互作用を向上させて反応効率を高めシリカナノ中空粒子の生産効率を向上させることができることから、アルコール類を用いることが望ましい。
更に、「シリコンアルコキシド」としては、その加水分解・縮重合によりシリカを生成させることができるものであればよく、例えば、テトラエトキシシラン、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、テトラプロポキシシラン、トリブトキシシラン、トリブトキシシラン等を用いることができる。
また、「塩基触媒」としては、例えば、アンモニア、アミン類等が挙げられる。
そして、「酸水溶液」は、分散系の水素イオン濃度指数をリン酸カルシウムが溶解するpH4以下とし、更に、反応容器に耐腐食性処理を施したり耐腐食性を持つ材料を用いたりする必要がないようにpH2以上とする水溶液であればよく、例えば、塩酸、シュウ酸、硝酸、酢酸等の希薄水溶液が挙げられる。特に、水素イオン濃度指数をpH2〜pH4の範囲内とは、分散系の水素イオン濃度指数がpH4を上回った状態においては、シリカコーティング粒子内部のリン酸カルシウムを完全に溶解することができず、未反応リン酸カルシウム粒子が残る可能性がある。更に、pH2未満の場合、未反応シリコンアルコキシドまたは加水分解したケイ酸がコアシェル表面に残っていると、酸処理中に酸触媒により縮合反応し、粒子同士の凝集を引き起こし兼ねない。更に、耐酸性処理した反応容器が必要になる。即ち、pH2未満においては、反応容器に耐腐食性処理を施したり耐腐食性を持つ材料を用いたりする必要がある。これより、分散系の水素イオン濃度指数はpH2〜pH4の範囲内とするものである。
なお、「粒子」とは、一般に『物質を構成する微細な粒』(新村出・編「広辞苑(第4版)」2693頁,1991年11月15日株式会社岩波書店発行)であるが、本明細書及び特許請求の範囲においては、物質を構成するか単独で存在するかを問わず、広く「微細な粒」を意味するものとし、「中空粒子」とは、内部に空間を有する粒子をいう。
請求項2の発明のシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法は、その形状形態が、球状形態、回転楕円体状形態または立方体状形態のいずれかの形態をなすものである。
ここで、「球状形態」とは、真球に限らず、球状に似た形状をいう。
また、「回転楕円体状形態」とは、楕円面によって囲まれていて方向により長さに差異のある立体形状をいい、楕円をその長軸または短軸を回転軸として回転させた回転楕円体状のものも含まれる。
更に、「立方体状形態」とは、正確な立方体に限らず面で囲まれた立方体に似た形状をいう。
そして、このような球状形態、回転楕円体状形態、または立方体状形態をなすシリカ殻からなる中空粒子は、例えば、乾燥粉末状態で球状形態、回転楕円体状形態、または立方体状形態を有するリン酸カルシウム粒子をテンプレートとしてこれにシリカ殻を被覆することによって得られる。
請求項3の発明のシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法のシリカ殻の厚みは、2nm〜25nmの範囲内、より好ましくは、3nm〜20nmの範囲内であるものである。
ところで、このシリカ殻の厚みは、顕微鏡法により測定したものであり、ここでいう「顕微鏡法」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて粒子を実際に観察して、粒子の各部分の大きさを求める方法である。
請求項4の発明のシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法は、部位によって異なるシリカ殻の厚みを有し、シリカ殻の厚みが不均一であるものである。
請求項5の発明のシリカ殻からなるナノ中空粒の製造方法における粒子内包空間体積率は、25vol%〜90vol%の範囲内、より好ましくは、30vol%〜85vol%の範囲内であるものである。
ここで、「粒子内包空間体積率」とは、シリカナノ中空粒子の内部空間を含めた全体の体積に対して、シリカナノ中空粒子の内部空間の体積が占める割合を示すものである。
請求項6の発明のシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法は、前記リン酸カルシウムが、ハイドロキシアパタイト{Ca10(PO46(OH)2}であるものである。
請求項7の発明のシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法は、前記有機溶媒が、アルコール類、より好ましくは、エタノールであるものである。
請求項1の発明にかかるシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法によれば、分散工程において、所定の寸法形状を有する乾燥粉末状態のリン酸カルシウム粒子を有機溶媒に分散させ、続いて、シリカ被覆形成工程において、前記リン酸カルシウム粒子が分散された有機溶媒に、シリコンアルコキシド及び塩基触媒を混合することによって、前記リン酸カルシウム粒子の表面にシリカ殻を形成させシリカコーティング粒子とし、更に、リン酸カルシウム溶解工程において、酸水溶液によって分散系の水素イオン濃度指数をpH2〜pH3の範囲内として前記シリカコーティング粒子の内部における前記リン酸カルシウムを溶解させることで、シリカ殻からなるナノ中空粒子とする。
このように、本発明にかかるシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法においては、コア粒子としてリン酸カルシウム粒子が用いられていることから、シリカコーティング粒子内部のリン酸カルシウム粒子を溶解させる工程において、酸水溶液によって分散系の水素イオン濃度指数をpH2〜pH4の範囲内とすることでリン酸カルシウム粒子を完全に溶解させることができ、シリカコーティング粒子表面に存在する未反応のシリコンアルコキシドや加水分解したケイ酸の縮合反応を促進してシリカコーティング粒子やその内部のリン酸カルシウムが溶解された中空粒子の粒子同士の凝集を招く強酸性水溶液を用いる必要がない。即ち、シリカコーティング粒子内部のリン酸カルシウム粒子を溶解させる工程において、シリカコーティング粒子表面に未反応のシリコンアルコキシドや加水分解したケイ酸が存在する場合であっても、かかる未反応のシリコンアルコキシドや加水分解したケイ酸の酸触媒による縮合反応が防止され、シリカコーティング粒子や中空粒子の粒子同士の凝集が防止される。
このため、コア粒子としてリン酸カルシウム粒子を用い、このリン酸カルシウム粒子を有機溶媒に分散し、これにシリコンアルコキシド及び塩基触媒を加えることによってリン酸カルシウム粒子の表面にシリカ殻を形成した後、内部のコア粒子であるリン酸カルシウム粒子を酸水溶液によって分散系の水素イオン濃度指数をpH2〜pH4の範囲内として溶解除去して得られるシリカ殻からなるナノ中空粒子は、二次粒子への凝集が少なくて分散性が高いものとなる。
更に、このようにコア粒子としてリン酸カルシウム粒子を用いることで、上述の如く、シリカコーティング粒子内部のリン酸カルシウム粒子を溶解させる工程において、酸性水溶液によって分散系の水素イオン濃度指数をpH2〜pH4の範囲内とすればコア粒子であるリン酸カルシウム粒子が完全に溶解され、強酸性水溶液を用いる必要がないことから、製造工程における反応容器に耐腐食性材料の使用や耐腐食性の処理を施す必要がない。したがって、周囲環境への負荷の低減化や低コスト化を図ることができる。
加えて、コア粒子としてリン酸カルシウム粒子を用いることで、酸性水溶液によってシリカコーティング粒子内部のリン酸カルシウム粒子を溶解させる際、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、リン酸水溶液等が廃酸水溶液として排出され、これらの水溶液を回収するのみでリン酸カルシウム粒子を再合成することができ、コア粒子として再利用することが可能となる。そして、このとき、従来のコア粒子の炭酸カルシウムのように溶解時にガス等が発生することもなくガス回収のための大型装置も必要のないことから、コア粒子を再合成するために多大なコストがかかることはない。よって、環境保全への貢献及び低コスト化を図ることができる。
このようにして、二次粒子への凝集が少なくて分散性が高く、かつ、低コスト化及び環境保全を図ることができるシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法となる。
請求項2の発明にかかるシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法においては、得られるシリカ殻からなるナノ中空粒子は、球状形態、回転楕円体状形態または立方体状形態のいずれかの形状形態をなすものであり、樹脂や塗料等の目的物に混入する際に、充填率(充填密度)を高くできる。したがって、請求項1に記載の効果に加えて、得られるシリカ殻からなるナノ中空粒子は、混入させる目的物において、シリカナノ中空粒子が有する透明性・透光性等の光学特性、断熱性、軽量性等の効果を十分に発揮することができる。特に、得られるシリカ殻からなるナノ中空粒子が立方体状形態を有するものにおいては、入射した光の屈折が起こりにくく光透過性が極めて高いものとなる。また、得られるシリカ殻からなるナノ中空粒子が回転楕円体状形態を有するものにおいては、方向により長さに差異があることから、透明性・透光性等の光学特性や断熱性等の物性の異方性が付与される。
請求項3の発明にかかるシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法においては、得られるシリカ殻からなるナノ中空粒子のシリカ殻の厚みが、2nm〜20nmの範囲内であることから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、得られるシリカ殻からなるナノ中空粒子は、可視光線の透過性や透明性が高く、樹脂や塗料等の目的物(材料)に混入する際にも目的物の視認性を阻害することがない。
請求項4の発明にかかるシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法においては、得られるシリカ殻からなるナノ中空粒子のシリカ殻の厚みが部位によって異なり不均一であることから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、得られるシリカ殻からなるナノ中空粒子において、シリカ殻の厚みが均一であるものと比較して物性の異方性が付与され、混入させる樹脂や塗料等の目的物において、物性の向上化、特には、光学特性の向上化を図ることができる。また、シリカ殻の厚みが均一であるものと比較して、低密度な粒子となることから、樹脂や塗料等の目的物に混入させた際に凝集沈降が生じにくく、凝集沈降による目的物の物性の低下を防止することが可能である。
請求項5の発明にかかるシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法においては、得られるシリカ殻からなるナノ中空粒子の粒子内包空間体積率が、25vol%〜90vol%であることから、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、得られるシリカ殻からなるナノ中空粒子において高い断熱性(低熱伝導率)を確保できる。
請求項6の発明にかかるシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法においては、前記リン酸カルシウムは、ハイドロキシアパタイトであり、ハイドロキシアパタイトは種々の外形形状を有する粒子の製造や入手が比較的簡単であることから、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、低コストで、しかも、種々の外形形状を有する中空粒子を製造できる。また、ハイドロキシアパタイトはシリカ殻が被覆され易いことから、反応効率を高めて生産効率の向上を図ることができる。
請求項7の発明にかかるシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法によれば、前記有機溶媒は、アルコール類であるから、リン酸カルシウム粒子とシリコンアルコキシドとの相互作用を向上させ反応効率を高めることができる。よって、請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の効果に加えて、生産効率を高めることができる。
図1は本発明の実施の形態に係るシリカナノ中空粒子の製造方法を示すフローチャートである。 図2は本発明の実施の形態に係るシリカナノ中空粒子の製造工程を示す模式図であり、(a)は立方体状形態のシリカナノ中空粒子の製造を示す模式図、(b)は球状形態のシリカナノ中空粒子の製造を示す模式図、(c)は回転楕円体状形態のシリカナノ中空粒子の製造を示す模式図である。 図3は本発明の実施の形態に係るシリカナノ中空粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、本実施の形態において、同一の記号及び同一の符号は同一または相当する機能部分を意味するものであるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
本発明の実施の形態に係るシリカ殻からなるナノ中空粒子及びその製造方法については、図1乃至図3を参照して説明する。
最初に、シリカ殻からなるナノ中空粒子1の製造を実施するために、本実施の形態においては、コア粒子(芯粒子)となるリン酸カルシウム粒子としてハイドロキシアパタイト粒子(HAp)2を湿式法により合成した。
具体的には、室温下における密閉容器内で、攪拌により水酸化カルシウム〔Ca(OH)〕を二酸化炭素(CO)が除かれたイオン交換水に溶解させ、更に、この溶液にリン酸(HPO)水溶液(緩衝液)を加えることによって形成された懸濁液(所謂、スラリー)の攪拌を室温〜85℃程度の温度下で行った。その後、懸濁液を濾過することで得られた沈殿物を蒸留水で完全に洗浄し、最後に乾燥させることによって、乾燥粉末状態(乾燥状態の固体微粉末状)のハイドロキシアパタイト粒子2を得た。なお、この合成方法によって得られたハイドロキシアパタイト粒子2は極めて高純度なものであった。
ここで、このようにして生成させるハイドロキシアパタイト粒子2は、合成条件を制御することによって、球状形態、回転楕円体状形態または立方体状形態の所定の寸法形状に形成することができる。
因みに、ここでは「球状形態」とは、真球に限らず、球状に似た形状をいう。また、「回転楕円体状形態」とは、楕円面によって囲まれていており方向により長さに差異のある立体形状をいい、楕円をその長軸または短軸を回転軸として回転させた回転楕円体形状のものや、米粒状のものや、長細形状(棒状に近似)のもの等様々な略回転楕円体形態を含むものである。更に、「立方体状形態」とは、正確な立方体に限らず面で囲まれた立方体に似た形状をいう。
なお、本実施の形態のシリカ殻からなるナノ中空粒子1の製造において、乾燥粉末状態のハイドロキシアパタイト粒子2は、顕微鏡法[透過型電子顕微鏡(TEM:JEOL JEM 2000 FX/日本電子(株))]による測定で、立方体状形態のものでその外径が250nm以下、また、球状形態のものでその直径が250nm以下、更に、回転楕円体状形態のものでその最大径(長径)が250nm以下の粒子を使用することによって、最終的に得られるシリカナノ中空粒子1において顕微鏡法により測定した外径・直径・最大径(長径)がナノサイズのものとすることができる。
また、本発明を実施する場合には、乾燥粉末状態のハイドロキシアパタイト粒子2を得る手段は、上述の製造方法に限定されず、その他の公知の方法で製造することも可能であり、また、市販のハイドロキシアパタイト粒子を購入して使用することも可能である。
そして、本実施の形態においては、このようにして得られた乾燥粉末状態のハイドロキシアパタイト粒子2をコア粒子として用い、図1に示されるように、まず、この乾燥粉末状態のハイドロキシアパタイト粒子2を有機溶媒としてのエタノールに分散させた(ステップS1)。この工程が、シリカ殻からなるナノ中空粒子1の製造を実施するための本発明における「分散工程」に相当する。
なお、本実施の形態においては、分散液中にてハイドロキシアパタイト粒子2が1w/v%の濃度となるようにした。
ここで、乾燥粉末状態のハイドロキシアパタイト粒子2をエタノールに分散させる工程(ステップS1)において使用される分散機(撹拌機)の種類については、特に限定されず、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機等を使用できる。市販の分散機(撹拌機)としては、例えば、ディスパー(PRIMIX社製)、クリアミクス(M−テクニック社製)、キャビトロン(太平洋機工社製)等が挙げられる。
続いて、このハイドロキシアパタイト粒子2が分散されたエタノールの分散液に、シリコンアルコキシドとしてのテトラエトキシシラン(TEOS)、塩基触媒としてのアンモニア(NHOH)水溶液、及び蒸留水を混合し、超音波による分散処理を行った。
ここで、上述の分散工程(ステップS1)において、ハイドロキシアパタイト粒子2を有機溶媒としてのエタノールに分散させることで、ハイドロキシアパタイト粒子2の表面とエタノールとが相互作用してハイドロキシアパタイト粒子2の表面にエタノールが被覆されたところに、シリコンアルコキシドとしてのテトラエトキシシラン、及び塩基触媒としてのアンモニア水を混合することで、ハイドロキシアパタイト粒子2の表面を被覆した状態のエタノールとテトラエトキシシランが相互作用し、ハイドロキシアパタイト−エタノール、エタノール−テトラエトキシシランの錯体が形成される。そして、テトラエトキシシランの加水分解により生じたテトラヒドロキシシラン(Si(OH))が脱水・縮重合することでシリカ(SiO2)が析出し、ハイドロキシアパタイト粒子2の表面全体にシリカ殻1aの形成が促進される。
これより、図2に示されるように、ハイドロキシアパタイト粒子2の表面全体にシリカ殻1aがコーティングされたシリカコーティング粒子3となる。即ち、テトラエトキシシランのゾル−ゲル反応(ゾル−ゲル法)によってハイドロキシアパタイト粒子2の表面全体にシリカ(SiO2 )1aをコーティングさせシリカコーティング粒子3とする(ステップS2)。そして、この工程が、本発明における「シリカ被覆形成工程」に相当する。
因みに、上述の「ゾル−ゲル法」とは、一般に『溶液からゾル及びゲルの状態を経た後、加熱してガラスを作る方法。アルコキシドを出発原料に用いることが多い。』(長倉三郎他・編「岩波理化学辞典(第5版)」777頁,1998年2月20日株式会社岩波書店発行)であり、ここでは、テトラエトキシシランをアンモニア水による塩基性条件下で水と反応させて、SiO2 分子が縮重合したゲル状のシリカ殻1aを形成する方法をいう。
なお、このゲル状のシリカ殻1aは、後述のリン酸カルシウム溶解工程(ステップS3)においてハイドロキシアパタイトを溶解させた後に、乾燥されることによって、ガラス状のシリカ殻1aとなる。
ここで、本実施の形態において、ハイドロキシアパタイト粒子2の表面にゾル−ゲル法でシリカ殻1aをコーティングするためのテトラエトキシシラン(ケイ酸テトラエチル)としては、具体的には、例えば、多摩化学工業株式会社のエチルシリケート(製品名「高純度正珪酸エチル」:テトラエトキシシラン(TEOS))、信越化学工業株式会社の機能性シランの中のアルコキシシラン(製品名「KBE−04」:テトラエトキシシラン(TEOS))等を使用することができる。
しかし、本発明を実施する場合には、シリコンアルコキシドとしてテトラエトキシシランに限られるものではなく、その他にもテトラメトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の化合物を用いることが可能であり、所謂シランカップリング剤等ケイ素のアルコキシドであれば用いることができる。
また、本実施の形態においては、塩基触媒としてアンモニア水を使用したが、本発明を実施する場合には、塩基触媒としてその他にも、例えば、アミン、アミド、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム〔Ca(OH)2〕等を使用することも可能である。しかし、反応効率の良さ、価格面、入手しやすさ、扱いやすさ等を考慮すると、塩基触媒としてはアンモニアが最適であり、塩基触媒としてアンモニアを使用することで、確実にしかも効率よく、テトラエトキシシラン等のシリコンアルコキシドと水とを反応させてSiO2 分子が重縮合したシリカを析出させ、ハイドロキシアパタイト粒子2等のリン酸カルシウム粒子の表面全体にシリカ殻1aを形成させることができる。
更に、本実施の形態においては、ハイドロキシアパタイト粒子2を十分に分散させながらゾル−ゲル法によるシリカ殻1aの形成を行うために超音波(周波数:20KHz〜40KHz)をかけながら反応させているが、超音波照射に使用する装置としては、溶液に超音波ホーンを直接入れる形式(UH−600S 周波数 20KHz/(株)エスエムテー、SONIFIER 4020−800 周波数 40KHz/BRANSON)のものや、溶液を循環させる形式(UH−600SR 周波数 20KHz/(株)エスエムテー)のものや、溶液を入れた容器を外から間接的に照射するバス型(超音波洗浄機型)形式のもの等が使用できる。
なお、このようにシリカコーティング粒子3を形成する過程において、超音波処理を行うことで、リン酸カルシウム粒子であるハイドロキシアパタイト粒子2が分散され易く粒子同士の凝集が防止され、更に、かかる粒子が分散されている状態でシリカ殻1aが形成されることから、シリカコーティング粒子3においても粒子同士の凝集が防止される。このため、本実施の形態においては、超音波処理を行わなかった場合よりも二次粒子への凝集が少ないシリカ殻からなるナノ中空粒子1が得られる。更に、超音波によって、ハイドロキシアパタイト粒子2の表面へシリカ殻1aが吸着されやすくなることから、本実施の形態においては、生産効率を向上させることができる。
次に、このようにして形成されたシリカコーティング粒子3を蒸留水に分散させた後、これに希薄した塩酸水溶液を添加して、分散系の水素イオン濃度指数がpH2〜pH4の範囲内となるようにし、シリカコーティング粒子3内部のハイドロキシアパタイト2を溶解させてシリカ殻1aに微細な貫通孔を開けながらハイドロキシアパタイト2を外部に流出させた(ステップS3)。この工程が、本発明における「リン酸カルシウム溶解工程」に相当する。
ここで、分散系の水素イオン濃度指数がpH4を上回った状態においては、シリカコーティング粒子内部のリン酸カルシウムを完全に溶解することができず、未反応ハイドロキシアパタイト(HAp)粒子2が残る可能性がある。更に、pH2未満の場合、未反応テトラエトキシシラン(TEOS)または加水分解したケイ酸がコアシェル表面に残っていると、酸処理中に酸触媒により縮合反応し、粒子同士の凝集を引き起こし兼ねない。更に、耐酸性処理した反応容器が必要になる。即ち、pH2未満においては、反応容器に耐腐食性処理を施したり耐腐食性を持つ材料を用いたりする必要がある。これらのことから、分散系の水素イオン濃度指数はpH2〜pH4の範囲内とするものである。なお、本実施の形態においては、希塩酸10−4Mの水溶液を添加して分散系の水素イオン濃度指数がpH3.5〜pH4となるようにした。勿論、本発明を実施する場合には、硫酸、硝酸、酢酸・安息香酸等のカルボン酸、クエン酸、酪酸等の希薄酸水溶液を用いることも可能である。
そして、シリカコーティング粒子3内部のハイドロキシアパタイト2を溶解させて流出させた後は、蒸留水で洗浄(ステップS3a)を行い、更に、減圧下で乾燥(ステップS3b)させた。
これによって、シリカ殻からなるナノ中空粒子1が製造される。
このように、本実施の形態に係るシリカ殻からなるナノ中空粒子1は、所定の寸法形状を有する乾燥粉末状態のリン酸カルシウム粒子としてのハイドロキシアパタイト粒子2を有機溶媒としてのエタノールに分散させ、更に、シリコンアルコキシドとしてのテトラエトキシシラン及び塩基触媒としてのアンモニア水を混合することによって、ハイドロキシアパタイト粒子2の表面にシリカ殻1aを形成させシリカコーティング粒子3とし、その後、酸水溶液としての希塩酸水溶液によって分散系の水素イオン濃度指数をpH2〜pH4の範囲内として、シリカコーティング粒子3内部のハイドロキシアパタイト2を溶解させてなるものである。
また、本実施の形態に係るシリカ殻からなるナノ中空粒子1の製造方法は、所定の寸法形状を有する乾燥粉末状態のリン酸カルシウム粒子としてのハイドロキシアパタイト粒子2を有機溶媒としてのエタノールに分散させる分散工程(ステップS1)と、ハイドロキシアパタイト粒子2が分散された有機溶媒としてのエタノールにシリコンアルコキシドとしてのテトラエトキシシラン及び塩基触媒としてのアンモニア水を混合することによって、ハイドロキシアパタイト粒子2の表面にシリカ殻1aを形成させシリカコーティング粒子3とするシリカ被覆形成工程(ステップS2)と、酸水溶液としての希塩酸水溶液によって分散系の水素イオン濃度指数をpH2〜pH4の範囲内としてシリカコーティング粒子3内部のハイドロキシアパタイト粒子2を溶解させるリン酸カルシウム溶解工程と(ステップS3)を具備するものである。
ここで、コア粒子であるハイドロキシアパタイト粒子2が立方体状形態の場合、この立方体状形態のハイドロキシアパタイト粒子2の表面にテトラエトキシシランの加水分解反応によってシリカが被覆されたシリカコーティング粒子3はハイドロキシアパタイト粒子2の立方体状形態が転写されて立方体状形態となり、そして、この立方体状形態のシリカコーティング粒子3内部のハイドロキシアパタイト2を溶解させて得られるシリカ殻からなるナノ中空粒子1も立方体状形態となる。
即ち、このようにコア粒子の表面をシリカで被覆した後に、コア粒子を除去する方法であるテンプレート法によって製造されたシリカ殻からなるナノ中空粒子1は、コア粒子の形状が反映された形状となる。
このため、コア粒子であるハイドロキシアパタイト粒子2が球状形態の場合、得られるシリカ殻からなるナノ中空粒子1は球状形態となり、また、コア粒子であるハイドロキシアパタイト粒子2が回転楕円体状形態の場合、得られるシリカ殻からなるナノ中空粒子1は回転楕円体形態となる。
こうして得られた立方体状形態のシリカ殻からなるナノ中空粒子1は、顕微鏡法による測定で、その外径が30nm〜300nmの範囲内であり、また、形状が球状形態のシリカ殻からなるナノ中空粒子1は、同じく顕微鏡法による測定で、その直径が30nm〜300nmの範囲内であり、更に、形状が回転楕円体状形態のシリカ殻からなるナノ中空粒子1は、同じく顕微鏡法による測定で、その最大径(長径)が30nm〜300nmの範囲内であった。なお、ここでの顕微鏡法による測定は、透過型電子顕微鏡(TEM:JEOL JEM 2000 FX/日本電子(株))による観察でされた一次粒子のサイズ(一次粒子径)であり、透過型電子顕微鏡による一次粒子径とは、個々の粒子単一の粒子径をいい。これに対して、後述の静的光散乱法による粒子径は、液相中に分散させた際の分散粒子径をいう。
更に、このようにして得られたシリカ殻からなるナノ中空粒子1は、静的光散乱法(ZETASIZER 3000HSA/Malvern Instrument Ltdにより測定)による粒子径が30nm〜800nmで、水銀圧入法(水銀ポロシメーター:PASCAL140、PASCAL240(FISONS Instruments)により測定)またはガス吸着法(ここでは、窒素ガス)により測定される細孔分布(Autosorb-1/Quantachrome Corp)において2〜20nmの細孔が検出されないものとなっており、二次粒子への凝集が少なくて、分散性が高いものであった。
その一因として、本実施の形態においては、コア粒子としてリン酸カルシウム粒子であるハイドロキシアパタイト粒子2を用いており、このハイドロキシアパタイト粒子2の表面にシリカ殻1aを被覆してシリカコーティング粒子3とした後、シリカコーティング粒子3内部のハイドロキシアパタイト2を溶解させる工程において、酸性水溶液の酸触媒による粒子間の凝集が防止されていることが挙げられる。
即ち、従来においては、上述の如く、コア粒子として炭酸カルシウムを使用しており、この炭酸カルシウムを溶解するためには強酸性の水溶液が必要とされたことから、コアを溶解させる工程において、シリカコーティング粒子の表面に未反応のテトラエトキシシラン等のシリコンアルコキシドや加水分解したケイ酸が存在する場合、強酸性水溶液の酸性触媒機能により、この未反応のシリコンアルコキシドや加水分解したケイ酸の縮合反応が促進されて、シリカコーティング粒子やシリカコーティング粒子内部のコアが溶解された中空粒子の表面に共有結合を形成し、粒子同士の凝集を引き起こしていた。これに対し、本実施の形態においては、コア粒子としてリン酸カルシウム粒子であるハイドロキシアパタイト粒子2を用いており、ハイドロキシアパタイト粒子2の溶解に強酸性の水溶液を必要とすることなく、塩酸等の希薄酸性水溶液によって分散系の水素イオン濃度指数をpH2〜pH4の範囲内とすることで、ハイドロキシアパタイト粒子2を完全に溶解できることから、シリカコーティング粒子3内部のコアを溶解させる工程において、未反応のテトラエトキシシラン(シリコンアルコキシド)や加水分解したケイ酸が存在する場合であっても、かかる未反応のテトラエトキシシランや加水分解したケイ酸の酸触媒による縮合反応の促進が防止され、粒子同士の凝集が防止される。
また、従来のコア粒子である炭酸カルシウムが含水ケーキ状態で水分を含んでいるため、時間の経過と共に炭酸カルシウムの凝集が起こり易いのに対し、ハイドロキシアパタイト粒子2は乾燥粉末状態でも安定しており、シリカ殻1aが形成されるまでの過程において、ハイドロキシアパタイト粒子2が水分を吸収してしまうことによる粒子同士の凝集が防止される。
このため、本実施の形態に係るシリカ殻からなるナノ中空粒子1は、二次粒子への凝集が少なくて、分散性が高いものとなる。
また、このようにして製造されたシリカ殻からなるナノ中空粒子1は、その形状の如何を問わず、シリカ殻1aの厚みが2nm〜25nmの範囲内であり、更に、シリカ殻1aの厚みが部位によって異なり不均一であるものが多くあった。加えて、このシリカ殻からなるナノ中空粒子1は、その粒子内包空間体積率が25vol%〜90vol%の範囲内であった。
なお、「粒子内包空間体積率」は、中空粒子の内部空間を含めた全体の体積に対して、中空粒子の内部空間の体積が占める割合を示すもので、ここでは、下記の式によって算出したものである。
〔ナノ中空粒子が立方体状形態である場合〕
{R−(2・t)}/R・100
R:ナノ中空粒子の外径
:シリカ殻の厚み
〔ナノ中空粒子が球状形態である場合〕
{4/3・π・(r−t)}/{4/3・π・r}・100
π:円周率
r:ナノ中空粒子の半径
t:シリカ殻の厚み
〔ナノ中空粒子が回転楕円体状形態である場合〕
{4/3・π・(a−t)・(b−t)・(c−t)}/{4/3・π・a・b・c}・100
π:円周率
a:ナノ中空粒子のx軸方向の半径
b:ナノ中空粒子のy軸方向の半径
c:ナノ中空粒子のz軸方向の半径
:x軸方向のシリカ殻の厚み
:y軸方向のシリカ殻の厚み
:z軸方向のシリカ殻の厚み
ここで、合成条件を変化させて、具体的には、乾燥粉末状態のハイドロキシアパタイト(HAp)粒子2とシリコンアルコキシドとしてのテトラエトキシシラン(TEOS)の重量比を様々変え実施例1乃至実施例9、及び、比較例1乃至比較例3として、図1のフローチャートにしたがい製造試験を実施した結果を表1乃至表3に示す。
なお、実施例1乃至実施例3、及び、比較例1においては、コア粒子としてのハイドロキシアパタイト粒子2に立方体状形態のものを使用した。このときのハイドロキシアパタイト(HAp)粒子とテトラエトキシシラン(TEOS)の配合比を表1の上段に示す。 また、実施例4乃至実施例6、及び、比較例2においては、コア粒子としてのハイドロキシアパタイト粒子2に球状形態のものを使用した。このときのハイドロキシアパタイト(HAp)粒子2とテトラエトキシシラン(TEOS)の配合比を表2の上段に示す。更に、実施例7乃至実施例9、及び、比較例3においては、コア粒子としてのハイドロキシアパタイト粒子2に回転楕円体状形態のものを使用した。このときのハイドロキシアパタイト(HAp)粒子2とテトラエトキシシラン(TEOS)の配合比を表3の上段に示す。
表1乃至表3に示されるように、ハイドロキシアパタイト(HAp)粒子2とテトラエトキシシラン(TEOS)の重量比が変化すると、生成される中空粒子のシリカ殻1aの厚みや粒子内包空間体積率が変化することが確認された。
このことから、本実施の形態においては、ハイドロキシアパタイト粒子2やテトラエトキシシランの配合量を調節することによって、シリカ殻1aの厚みや粒子内包空間体積率を制御することができ、ひいては、シリカナノ中空粒子1の外径を制御することができる。
特に、シリカ殻1aの厚みを制御することにより、シリカ殻からなるナノ中空粒子1に有効成分等の物質を内包させた場合において、内包させた物質の徐放性能を付与することが可能になる。また、粒子内包空間体積率を制御することにより、様々な大きさの物質を内包できることになる。
なお、表1に示した実施例1乃至実施例3と比較例1の比較から、コア粒子として立方体状形態のハイドロキシアパタイト粒子2を使用した際、テトラエトキシシラン(TEOS)/ハイドロキシアパタイト(HAp)粒子2の配合比が0.15以下では、立方体状形態のシリカ殻からなるナノ中空粒子が得られないことがある。因みに、本発明者らの実験研究によれば、テトラエトキシシラン(TEOS)の量に対して塩基触媒であるアンモニア水の量が十分でない場合に、立方体状形態のシリカ殻からなるナノ中空粒子が得られないことが確認されている。また、本発明者らの実験研究によって、テトラエトキシシラン(TEOS)/ハイドロキシアパタイト(HAp)粒子2の配合比が2.00を超えると、未反応のテトラエトキシシラン(TEOS)が多くなって回収にかなりの手間がかかり生産効率が低下することが確認されている。
このため、立方体状形態のシリカナノ中空粒子1を確実に、かつ、効率よく製造するためには、テトラエトキシシラン(TEOS)/ハイドロキシアパタイト(HAp)粒子2の配合比を0.18〜2.00の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは、0.20〜1.80の範囲内である。
また、表2に示した実施例4乃至実施例6と比較例2の比較から、コア粒子として球状形態のハイドロキシアパタイト粒子2を使用した際、テトラエトキシシラン(TEOS)/ハイドロキシアパタイト(HAp)粒子2の配合比が0.03以下では、アンモニア水等の塩基触媒の量によっては、球状形態のシリカ殻からなるナノ中空粒子が得られないことがある。そして、本発明者らの実験研究によって、テトラエトキシシラン(TEOS)/ハイドロキシアパタイト(HAp)粒子2の配合比が1.00を超えると、未反応のテトラエトキシシラン(TEOS)が多くなって回収にかなりの手間がかかり生産効率が低下することが確認されている。
このため、球状形態のシリカナノ中空粒子1を確実に、かつ、効率よく製造するためには、テトラエトキシシラン(TEOS)/ハイドロキシアパタイト(HAp)粒子2の配合比を0.04〜1.00の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは、0.05〜0.90の範囲内である。
更に、表3に示した実施例7乃至実施例9と比較例3の比較から、コア粒子として回転楕円体状形態のハイドロキシアパタイト粒子2を使用した際、テトラエトキシシラン(TEOS)/ハイドロキシアパタイト(HAp)粒子2の配合比が、1.80以下では、アンモニア水等の塩基触媒の量によっては、回転楕円体状形態のシリカ殻からなるナノ中空粒子が得られないことがある。また、本発明者らの実験研究によって、テトラエトキシシラン(TEOS)/ハイドロキシアパタイト(HAp)粒子2の配合比が20.00を超えると、未反応のテトラエトキシシラン(TEOS)が多くなって回収にかなりの手間がかかり生産効率が低下することが確認されている。
このため、回転楕円体状形態のシリカナノ中空粒子1を確実に、かつ、効率よく製造するためには、テトラエトキシシラン(TEOS)/ハイドロキシアパタイト(HAp)粒子2の配合比を3.00〜20.00の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは、4.00〜19.00の範囲内である。
参考までに、得られたシリカ殻からなる中空粒子1のうち、実施例7に係る中空粒子について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて粒子を実際に観察したTEM写真を、図3に示す。図3のTEM画像から、得られた実施例7に係るシリカ殻からなる中空粒子1は、楕円体状形態のものを含む回転楕円体状形態をなしており、シリカ殻1aの厚みが不均一であるものが多く存在することが分かる。
因みに、本発明者らの実験研究によれば、塩基触媒としてのアンモニア水の量が多いことによって、シリカ殻1aの厚さが厚くなることが明らかとなっている。即ち、ハイドロキシアパタイト粒子2やテトラエトキシシランの配合量に加え、塩基触媒としてのアンモニア水の配合量を調節することによっても、シリカ殻1aの厚みや粒子内包空間体積率を制御することができ、ひいては、シリカナノ中空粒子1の外径を制御することが可能である。なお、本実施の形態においては、コア粒子となるハイドロキシアパタイト粒子2の粒子径を調節することによってもシリカナノ中空粒子1の外径を制御することが可能である。
また、本発明者らによって、本実施の形態に係るシリカ殻からなるナノ中空粒子1は、シリカ殻1aの厚みの上限が25nmの範囲内であれば、光学特性、断熱性、軽量性に優れるものであることが確認された。そして、このように本実施の形態に係るシリカ殻からなるナノ中空粒子1は、シリカ殻1aの厚みが2nm〜25nmの範囲内と薄く、その粒子内包空間体積率も25vol%〜90vol%の範囲内と高い空間率を有することが確認され、透明性・透光性等の光学特性や、断熱性(低熱伝導率)や、軽量性に優れるものである。また、分散性が高いことから、樹脂や塗料等の目的物(材料)に混入する際にも、透明性・透光性等の光学特性や、断熱性(低熱伝導率)等の優れた特性を発揮させることができる。
シリカ殻1aの厚みが2nm〜25nmの範囲内であることで、可視光線の透過性や透明性が高く、樹脂や塗料等の目的物に混入する際にも目的物の視認性を阻害することがない。また、シリカ殻1aの厚みが2nm以上あることで、必要な強度も確保でき、塗料等を始めとする材料中に混入する際など外部環境によって容易に破壊されることもない。故に、シリカ殻1aの高い強度や、高い透明度が要求される用途にも対応可能である。なお、強度及び光学特性の観点からすると、シリカ殻1aの厚みが3nm〜20nmの範囲内であるものがより好ましい。
また、粒子内包空間体積率が25vol%〜90vol%の範囲内であることで、高い断熱性(低熱伝導率)を有するものとなるが、強度及び断熱性等の観点からすると、より好ましくは、粒子内包空間体積率が30vol%〜85vol%の範囲内であるものである。
更に、立方体状形態、球状形態、または回転楕円体状形態をなすシリカ殻からなるナノ中空粒子1によれば、樹脂や塗料等の目的物に混入する際において、不定形状のものよりも充填率(充填密度)を高くすることができ、目的物において、シリカナノ中空粒子1が有する透明性・透光性等の光学特性、断熱性、軽量性等の効果を十分に発揮することができる。中でも、立方体状形態を有するシリカ殻からなるナノ中空粒子1においては、入射した光の屈折が起こりにくく(低屈折率)光透過性が極めて高いものとなり、更に、高い反射防止・防眩効果が得られる。また、回転楕円体状形態を有するシリカ殻からなるナノ中空粒子1においては、シリカナノ中空粒子1が有する透明性・透光性等の光学特性や断熱性等の物性の異方性が付与される。
加えて、上述のようにして得られたシリカ殻からなるナノ中空粒子1は、シリカ殻1aの厚みが部位によって異なり不均一であるものが多く、このシリカ殻1aの厚みが不均一であるシリカ殻からなるナノ中空粒子1によれば、シリカ殻1aの厚みが均一であるものと比較して物性の異方性を有することになるから、混入させる樹脂や塗料等の目的物において、物性の向上化、特には、光学特性の向上化を図ることができる。
具体的には、シリカ殻1aの厚みが不均一であるシリカナノ中空粒子1を樹脂や塗料等の目的物に混入させた際に、シリカ殻1aの厚みが薄い部分では可視光線の高い光透過性が発揮されると共に、シリカ殻1aの厚みが厚い部分では可視光線を屈折・散乱させ光の高拡散を図ることができる。即ち、シリカ殻1aの厚みが薄い部分で可視光線を効果的に取り込みつつ、シリカ殻1aの厚みが厚い部分で効率よく可視光線を拡散反射させることが可能である。このため、この光透過性及び光拡散性を利用して、例えば、LEDライト等の照明器具への使用において、発光効率を増大させると共に、高輝度の広域拡散光を得ることができ、消費電力を低下させることが可能となる。また、化粧品(例えば、口紅、ファンデーション)への使用において、シワを目立たなくしたり、肌の質感の変化をさせて光学的なリフトアップ効果を演出したりする効果を期待できる。
更に、シリカ殻1aの厚みが不均一であるシリカ殻からなるナノ中空粒子1によれば、シリカ殻1aの厚みが均一であるものと比較して低密度な粒子となることから、樹脂や塗料等の目的物に混入させた際に凝集沈降が生じにくく、凝集沈降による目的物の物性の低下を防止することが可能である。
ここで、本発明においては、このように、コア粒子としてリン酸カルシウムであるハイドロキシアパタイト粒子2を使用しており、このハイドロキシアパタイト粒子2を溶解するために強酸性の水溶液を必要とすることなく、塩酸等の希薄酸性水溶液によって分散系の水素イオン濃度指数をpH2〜pH4の範囲内とすることでコア粒子であるハイドロキシアパタイト粒子2が完全に溶解されることから、製造工程における反応容器に耐腐食性材料の使用や耐腐食性の処理を施す必要がない。したがって、周囲環境への負荷の低減化や低コスト化を図ることができる。
加えて、従来のコア粒子としての炭酸カルシウムが含水ケーキ状態であり、時間の経過と共にコア粒子の成長や凝集が起こって変質しやすく、一定の品質を保持することが困難で品質管理にコストがかかるのに対して、本発明においては、コア粒子として乾燥粉末状態のハイドロキシアパタイト粒子2を用いているため、原料に変質が起こりにくく、原料の品質管理にコストが掛からない。また、原料の変質が起こりにくいため、生産効率や量産性を向上させることが可能である。
更に、本発明においては、塩酸等の希薄酸性水溶液によってリン酸カルシウム粒子であるハイドロキシアパタイト粒子2が溶解される際に、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、リン酸水溶液等が廃酸水溶液として排出されるが、これらの水溶液を回収することでハイドロキシアパタイト粒子2を再合成することができ、コア粒子として再利用することが可能である。そして、このとき、従来のコア粒子である炭酸カルシウムのように溶解時にガス等が発生することもなくガス回収のための大型装置も必要のないことから、コア粒子を再合成するために多大なコストがかかることはない。よって、環境保全への貢献及び低コスト化を図ることができる。
このようにして、二次粒子への凝集が少なくて分散性が高く、かつ、反応容器や原料の品質管理の簡略化及びコア粒子の再利用によって、低コスト化及び環境保全を図ることができるシリカ殻からなるナノ中空粒子1及びその製造方法となる。
そして、これにより、産業分野においてシリカ殻からなるナノ中空粒子1を大量合成するための量産化(スケールアップ)に適したものとなる。
更に、このようにして生成されたシリカ殻からなるナノ中空粒子1は、その断熱性、透明性・透光性、軽量性等を利用し、塗料・フィルム・合成繊維を始めとする様々な物質中に均一に混合・分散させて断熱塗料・断熱フィルム・断熱繊維等の幅広い技術分野に応用することができる。また、中空構造を利用して有効成分や触媒等の物質を内包した徐放性医薬品・徐放性化粧品、デリバリーシステム、触媒担持体等としての活用も可能である。 なお、本発明者らの実験研究によって、シリカ殻からなるナノ中空粒子1を焼成することによって、コア粒子であるハイドロキシアパタイト粒子2等のリン酸カルシウム粒子を溶解除去する工程において溶解したリン酸カルシウム粒子がシリカコーティング粒子3から流出することでシリカ殻1aに生じた微細な貫通孔が塞がれて、高強度を有する中空粒子となり圧力を加えても破壊されなくなることが確認されている。
なお、上記実施の形態においては、コア粒子であるリン酸カルシウムとしてハイドロキシアパタイト粒子2を用いたが、リン酸カルシウムとしてはこれに限られるものではなく、その他にも、オキシアパタイト、α−リン酸三カルシウム、β−リン酸三カルシウム、γ−リン酸三カルシウム等を用いることも可能である。しかし、ハイドロキシアパタイトは、種々の外形形状を有する粒子の製造や入手が比較的容易であることから、低コストで、しかも、種々の外形形状を有する中空粒子を製造できる。更に、シリカ殻1aが被覆されやすいことからシリカナノ中空粒子1の生成効率を高くできる。このため、リン酸カルシウムとしてはハイドロキシアパタイトが好適である。
また、上記実施の形態においては、有機溶媒としてエタノールを使用したが、本発明を実施する場合には、有機溶媒は、シリコンアルコキシドと水に対して溶解性があり、更に、シリコンアルコキシドの加水分解を促進可能なものであればよく、その他にも、メタノール、プロパノール等のアルコール類、グリコール類、グリコールエステル類、アセトン等のケトン類、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素、キシレン等の芳香族炭化水素等を使用することもできる。しかし、エタノール等のアルコール類を用いることで、ハイドロキシアパタイト粒子2等のリン酸カルシウム粒子とテトラエトキシシラン等のシリコンアルコキシドの相互作用性を向上させることができ、しいては、シリカナノ中空粒子1の生産効率を高めることができるため、有機溶媒としてはエタノール等のアルコール類が好ましい。
なお、本発明の実施の形態で挙げている数値は、臨界値を示すものではなく、実施に好適な好適値を示すものであるから、上記数値を若干変更してもその実施を否定するものではない。
1 シリカ殻からなるナノ中空粒子
2 ハイドロキシアパタイト粒子(リン酸カルシウム粒子)
3 シリカコーティング粒子

Claims (7)

  1. 所定の寸法形状を有する乾燥粉末状態のリン酸カルシウム粒子を有機溶媒に分散させる分散工程と、
    前記リン酸カルシウム粒子が分散された有機溶媒にシリコンアルコキシド及び塩基触媒を混合することによって、前記リン酸カルシウム粒子の表面にシリカ殻を形成させシリカコーティング粒子とするシリカ被覆形成工程と、
    酸水溶液によって分散系の水素イオン濃度指数をpH2〜pH4の範囲内として前記シリカコーティング粒子の内部の前記リン酸カルシウムを溶解させるリン酸カルシウム溶解工程と
    を具備することを特徴とするシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法
  2. 前記シリカ殻からなるナノ中空粒子の形状形態が、球状形態、回転楕円体状形態または立方体状形態のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法
  3. 前記シリカ殻からなるナノ中空粒子のシリカ殻の厚みは、2nm〜25nmの範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法
  4. 前記シリカ殻からなるナノ中空粒子のシリカ殻の厚みは、部位によって異なり不均一であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載のシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法
  5. 前記シリカ殻からなる中空粒子の粒子内包空間体積率は、25vol%〜90vol%の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載のシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法
  6. 前記リン酸カルシウム粒子は、ハイドロキシアパタイト粒子であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載のシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法
  7. 前記有機溶媒は、アルコール類であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載のシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法
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