JP6869824B2 - 成形型 - Google Patents
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Description
本発明の実施形態1を図1から図10によって説明する。本実施形態では、車両用内装材50(成形品)を製造するための成形装置10(図1参照)を例示する。車両用内装材50は、例えば、合成樹脂(例えばポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂)製とされ、黒色を呈するものとされる。車両用内装材50としては、例えば、車両用ドアトリムを構成するトリムボード(アッパートリムやロアトリムなど)を挙げることができる。
シボ模様形成工程では、エッチング処理によって凹凸23を形成する。エッチング処理は、金型母材21を構成する金属を腐食させる酸性の溶液(例えば硝酸など)と、この溶液を遮断する耐酸性のインクと、を使用して行う。まず、金型母材21を洗浄した後、成形面以外の面をテープ等でマスキングする。続いて、耐酸性のインクによって金型母材21の成形面21Aにシボ模様を転写する。その後、酸性の溶液を使って成形面21Aを腐食させる。そうすると、耐酸性のインクに覆われたところは腐食されずに残り、覆われていない部分が腐食されることで凹部となる。この結果、金型母材21の成形面21Aに凹凸23が形成される(図3参照)。
シボ模様形成工程の後に行われるサンドブラスト工程では、金型母材21の成形面21Aに対してサンドブラスト加工を行うことで凹凸24を形成する。具体的には、コンプレッサー等によって生成された圧縮空気を用いて、ノズルから研磨剤を成形面21Aに吹き付ける。これにより、研磨剤によって成形面21Aが削られることで、凹凸24(図3参照)が形成される。ここで、研磨剤としては、例えば、その粒度が80〜150番手であるものを用いる。このようにすれば、これよりも大きい番手(例えば、150〜250番手)の研磨剤を用いる場合と比べて、研磨剤の粒径が大きくなるから、成形面21Aに対する衝撃力が大きくなり、凹凸24をより形成し易い。
サンドブラスト工程の後に行われるエッチング工程では、後述する第2めっき工程と同様のめっき浴に金型母材21を浸し、電源に接続する。そして、金型母材21を陽極とし、めっき浴に配された電極を負極とすることで、金型母材21に対して電解エッチングを行う。これにより、成形型20に含まれる鉄成分が溶融し、金型母材21の成形面に凹凸25が形成される(図4参照)。なお、電解エッチングの条件としては、電流密度15〜20A/dm2、処理時間1分〜20分の範囲で行うことが好ましい。このような条件とすれば、ある程度の大きさ(例えば、10μm以上の孔径、図4のD1)を有する凹部を確実に形成することができる。
電解エッチング工程の後に行われる第1めっき工程では、後述する第2めっき工程と同様の装置により電気めっきを行う。第1めっき工程では、例えば、第2めっき工程より、低い電流密度、高い浴温で処理をする。これにより、めっき浴61中のクロムイオンが還元され、金型母材21の成形面に微細凹凸層30を構成するめっき層とは性状が異なるめっき層として析出する。なお、第1めっき工程は、これに限定されるものではないが、第2めっき工程と同じ装置を用いて行うことが、成形型20の製造方法を効率化するうえで好ましい。
電解エッチング工程の後に行われる第2めっき工程では、図7に示すように、クロム酸と硫酸を主成分とするめっき浴(クロムめっき浴、サージェント浴)に金型母材21を浸し、電源63に接続する。そして、金型母材21を負極とし、電極62を正極とすることで、金型母材21に対して電気めっきを行う。これにより、めっき浴61中のクロムイオンが還元され、金型母材21の成形面にめっき層として析出する。ここでは、微細凹凸31が形成されるとともに、このめっき層の厚さが上述した微細凹凸層30の厚さとなるような条件でめっき処理を行う。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
条件1:海水と同程度の塩分濃度(3.5%)の食塩水を試験片の表面にスプレーした。スプレー直後にドライヤーにて乾燥し、成形型を使用する工場内で5日間養生した。養生時の環境は、最高温度33℃、最高湿度93%であった。
条件2:金型の冷却に用いる水(PH6.0の地下水)を試験片の表面にスプレーした。スプレー直後にドライヤーにて乾燥し、成形型を使用する工場内で5日間養生した。養生時の環境は、最高温度33℃、最高湿度93%であった。
次いで、本発明の実施形態2を、図11及び図12を参照しつつ説明する。本実施形態では、上記実施形態1とは被覆層40を備える点において相違する成形型120について例示する。なお、上記した実施形態と同様の構成、作用及び効果について重複する説明は省略する。
第2めっき工程の後に行われる第3めっき工程では、第2めっき工程と同様の装置により電気めっきを行う。第3めっき工程では、例えば第1めっき工程と同様の電流密度、及び浴温で、第1めっき工程より短時間処理をする。これにより、めっき浴61中のクロムイオンが還元され、微細凹凸層30の微細凹凸31を有する面に、下地層45と同じような性状であって、これより小さい層厚を有するめっき層として析出する。なお、第3めっき工程は、これに限定されるものではないが、第2めっき工程と同じ装置を用いて行うことが、成形型120の製造方法を効率化するうえで好ましい。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、成形型として射出成形型を例示したが、これに限定されない。成形型は、成形面の形状が成形品の表面に転写される成形方法に用いるものであればよく、プレス成形に用いるプレス成形型や真空成形に用いる真空成形型などを例示することができる。
(2)上記実施形態では、めっき層がクロムであるものを例示したが、これに限定されない。例えば、めっき層がクロム以外の金属(ニッケルや銅など)によって構成されていてもよい。
(3)上記実施形態では、成形品として車両用内装材を例示したが、成形品はこれに限られない。また、車両用内装材として、アッパートリムやロアトリムを例示したが、これに限定されない。車両用内装材は、車両に設けられると共に意匠面を有する部材であればよく、例えば、合成樹脂製(例えばオレフィン系熱可塑性エラストマーなど)の表皮材や、インストルメントパネル、アシストグリップなどを例示することができる。また、車両用内装材が複数の層から構成されているものであってもよい。
(4)上記実施形態では、車両用内装材として黒色を呈するものを例示したが、車両用内装材の色は黒色に限定されない。黒色以外の色を呈する車両用内装材に適用した場合であっても、その明度及び光沢度を下げることができる。
(5)上記実施形態においては、成形面20Aに凹凸23,24,25が形成されている構成を例示したが、これに限定されない。例えば、3種類の凹凸23,24,25のうち、凹凸23のみが形成されていてもよく、凹凸23と他の凹凸が形成されていてもよい。また、凹凸23の形成方法も適宜変更可能である。
(6)めっき浴の構成は上述したものに限定されない。例えば、めっき浴としては、クロム酸、硫酸、及びケイフッ酸を主成分とするケイフッ酸浴などを用いてもよい。
(7)上記実施形態では、車両用内装材を例示したが、車両用に限定されない。車両以外の乗物に搭載される内装材に適用することが可能である。
Claims (5)
- 金型母材と、
前記金型母材の成形面を被覆するようにして形成されためっき層である下地層と、
前記下地層に積層されるとともに、平均突起径が0.1μm〜2.0μmの微細凹凸を有するようにして形成されためっき層である微細凹凸層と、を備え、
前記金型母材は、成形品の表面にシボを形成するための凹凸を有し、
前記凹凸は、第1凹凸と、前記第1凹凸に形成され前記第1凹凸よりも微細な第2凹凸と、を少なくとも含み、
前記微細凹凸層は、前記微細凹凸の算術平均粗さが、前記下地層より粗く、前記第2凹凸より微細なものとされる成形型。 - 前記下地層は、前記微細凹凸層と同じ金属めっきからなる請求項1に記載の成形型。
- 前記下地層は、クロムめっき、ニッケルめっき、ニッケル−リンめっき、及びニッケル−タングステンめっきのいずれかから選択されるめっきからなる請求項1または請求項2に記載の成形型。
- 前記微細凹凸を有する面を被覆するようにして形成されためっき層であり、前記微細凹凸層の層厚より小さい層厚を有するとともに前記微細凹凸層より硬質な被覆層、を更に備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の成形型。
- 前記微細凹凸層は、前記微細凹凸の算術平均粗さが0.2μm〜1.0μmである請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の成形型。
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