JP2008250264A - 反射防止機能を有する部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便に大面積の加工ができ、且つ高精度な反射防止用部材を製造できる反射防止機能を有する部材の製造方法を提供する。
【解決手段】基板の表面にニッケル金属、ニッケル−鉄系合金又はニッケル−亜鉛系合金からなる針状結晶を形成する工程と、該基板上に形成された該針状結晶の微細凹凸構造を樹脂材料の表面に転写する工程とを含む反射防止機能を有する部材の製造方法である。
【選択図】なし
【解決手段】基板の表面にニッケル金属、ニッケル−鉄系合金又はニッケル−亜鉛系合金からなる針状結晶を形成する工程と、該基板上に形成された該針状結晶の微細凹凸構造を樹脂材料の表面に転写する工程とを含む反射防止機能を有する部材の製造方法である。
【選択図】なし
Description
本発明は、反射防止機能を有する部材の製造方法に関し、特に、大面積であっても高精度な反射防止機能を有する部材の製造方法に関する。
テレビジョン、コンピュータ、ワードプロセッサ等の各種電子機器のディスプレイやその他種々の商業ディスプレイ等には、ガラスやプラスチックなどの透明基板が用いられ、これらの透明基板を通して文字や図形画像などの視覚情報を得ているが、これらの透明基板は表面において外光反射が生じ、上記した視覚情報が見づらいという問題があった。
係る問題を解決する一つの方法として、種々の方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、繰返し周期が光の波長以下の極めて微細な微細凹凸を物品の表面に設けることによって、表面反射率を減少させる技術が記載されている。
この特許文献1の方法は、ガラス製レンズ等の光学物品の表面にフォトレジスト等を塗布し、露光し、現像することによりレジストパターンを形成し、該レジストパターンの露出部を腐食することで、光学物品の表面に一品ごとに直接、微細凹凸を形成する方法である。
例えば、特許文献1には、繰返し周期が光の波長以下の極めて微細な微細凹凸を物品の表面に設けることによって、表面反射率を減少させる技術が記載されている。
この特許文献1の方法は、ガラス製レンズ等の光学物品の表面にフォトレジスト等を塗布し、露光し、現像することによりレジストパターンを形成し、該レジストパターンの露出部を腐食することで、光学物品の表面に一品ごとに直接、微細凹凸を形成する方法である。
また、特許文献2には、まず、石英ガラス等からなる光学素子の材料表面に、電子ビーム(EB)描画法によりパターニングすることによりレジストパターンを形成し、このレジストパターンを元にして、光学素子の材料表面に直接にサブミクロンピッチ構造のクロム(Cr)マスクを形成し、光学素子材料のマスクで覆われた以外の部分をドライエッチング処理により微細加工する方法が記載されている。
しかし、これらの方法では、非常に生産性が悪かった。
しかし、これらの方法では、非常に生産性が悪かった。
そこで、特許文献3には、生産性を向上し、且つ高精度な反射防止構造体を備えた部材を得ることを目的として、Pdの島状結晶の上に針状結晶を形成した基板を得るために、まず、無電解メッキ法により、Ni−Cu−Pの針状結晶をPdの島状結晶の上に成長させ、Ni−Cu−Pの針状結晶の大きさが、直径250nm、高さが200nmとなったところで結晶成長を停止し、所望のNi−Cu−Pからなる、直径250nm、高さ200nmの針状結晶を形成し、石英ガラス基板の成形面に、反射防止構造体に対応するマスクされたNi−Cu−Pの針状結晶のマスクを形成し、更に、この針状結晶をマスクとして、石英ガラス基板の成形面をNi−Cu−P針状結晶のマスクが無くなるまでエッチング処理し、最後にスパッタリング法を用いて、Cr膜を介して表面保護のための離型保護膜として、Pt−Ir−W合金膜を0.05μmの厚みで形成して反射防止構造体を有する凸レンズ成形用型を得る方法が提案されている。
しかしながら、係る方法も依然として煩雑であり、生産性が低かった。
しかしながら、係る方法も依然として煩雑であり、生産性が低かった。
本発明は、簡便に大面積の加工ができ、且つ高精度な反射防止用部材を製造できる反射防止機能を有する部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、基板の表面にニッケル金属又はニッケル系合金からなる針状結晶を形成する工程を設けることにより、前記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、基板の表面にニッケル金属、ニッケル−鉄系合金又はニッケル−亜鉛系合金からなる針状結晶を形成する工程と、該基板上に形成された該針状結晶の微細凹凸構造を樹脂材料の表面に転写する工程とを含む反射防止機能を有する部材の製造方法を提供するものである。
すなわち、本発明は、基板の表面にニッケル金属、ニッケル−鉄系合金又はニッケル−亜鉛系合金からなる針状結晶を形成する工程と、該基板上に形成された該針状結晶の微細凹凸構造を樹脂材料の表面に転写する工程とを含む反射防止機能を有する部材の製造方法を提供するものである。
本発明により、簡便に大面積の加工ができ、且つ高精度な反射防止用部材を製造できる反射防止機能を有する部材の製造方法を提供することができる。
以下に、本発明の反射防止機能を有する部材の製造方法について説明する。本発明の製造方法は、基板の表面にニッケル金属、ニッケル−鉄系合金又はニッケル−亜鉛系合金からなる針状結晶を形成する第一工程と、該基板上に形成された該針状結晶の微細凹凸構造を樹脂材料の表面に転写する第二工程とを含む反射防止機能を有する部材の製造方法であり、必要に応じ、第一工程の前、第一工程と第二工程との間に、他の工程が付加されてもよい。
本発明に係る第一工程は、微細凹凸構造を樹脂材料の表面に転写するための型を製造する工程である。
この第一工程で、ニッケル金属(以下、「Ni」という)、ニッケルー鉄系合金(以下、Ni−Fe系合金という)又はニッケル−亜鉛系合金(以下、Ni−Zn系合金という)からなる針状結晶を形成することを要するのは、Ni、Ni−Fe系合金又はNi−Zn系合金の針状結晶の形状を樹脂に転写した際の、樹脂表面の反射率低減効果が大きいためである。転写樹脂表面は、針状結晶の突形状に対応した凹形状(穴)が多数形成され、そのことにより膜厚方向に好ましい連続した屈折率分布ができる。それは、Ni、Ni−Fe系合金又はNi−Zn系合金の針状結晶は析出する際に、その大きさ・突起の高さに分布があることによる。
この第一工程で、ニッケル金属(以下、「Ni」という)、ニッケルー鉄系合金(以下、Ni−Fe系合金という)又はニッケル−亜鉛系合金(以下、Ni−Zn系合金という)からなる針状結晶を形成することを要するのは、Ni、Ni−Fe系合金又はNi−Zn系合金の針状結晶の形状を樹脂に転写した際の、樹脂表面の反射率低減効果が大きいためである。転写樹脂表面は、針状結晶の突形状に対応した凹形状(穴)が多数形成され、そのことにより膜厚方向に好ましい連続した屈折率分布ができる。それは、Ni、Ni−Fe系合金又はNi−Zn系合金の針状結晶は析出する際に、その大きさ・突起の高さに分布があることによる。
なお、本発明方法においては、針状結晶は、円柱、円錐、円錐で先端が尖っているものや先端が平坦なもの等を全て含む。更に、三角錐、四角錐、六角錐、それ以外の多角錐やその多角錐の先端が平坦なもの、また三角柱、四角柱、六角柱、それ以外の多角柱状、あるいは先端が尖った三角柱、四角柱、六角柱、それ以外の多角柱状やその先端が平坦なもの等も含まれる。また、本発明方法の針状結晶とは、樹枝状結晶や樹木状結晶をも包含する。通常、樹枝状結晶や樹木状結晶は、針状結晶の表面に更に針状析出が生じ、その針状析出が成長して形成される。
また、針状結晶において底面径は1μm以下、更に500nm以下であることが好ましい。Ni、Ni−Fe系合金又はNi−Zn系合金の針状結晶は析出する際に、その大きさ・突起の高さに分布があり、隣り合った突起の大きさ、高さが揃っていない。更に、その形状を転写した樹脂表面の光学特性を見ると、樹脂表面の空隙部と樹脂部を平均化した平均屈折率が、膜厚方向に変化している。その平均屈折率は膜厚方向に約1μmにわたってゆるやかに変化する。そのことは、突起のアスペクト比(突起の底面径に対する突起高さの比)が例えば0.5程度の低い値でも、それぞれの突起が高さ方向にずれて存在するためにおこる。
このことにより、アスペクト比の低い突起の転写でも高い反射防止効果を得ることができる。
このことにより、アスペクト比の低い突起の転写でも高い反射防止効果を得ることができる。
第一工程は、電解メッキによる電析法又は無電解メッキ法により行われることが好ましい。通常行われる電子ビーム(EB)描画法と比較して、簡便に大面積の加工ができるので好ましい。
本発明方法の第一工程で実施される電析法は通常行われる電解メッキ法(電気メツキ法)であれば良い。その場合には導電性基板又は導電化処理された表面を有する絶縁性基板を陽極に用い、導電性の陰極と対向させて直流電流を流すことにより、陽極上に直接金属を析出させるので、基板上への触媒の核形成は不要である。
本発明方法の第一工程で実施される電析法は通常行われる電解メッキ法(電気メツキ法)であれば良い。その場合には導電性基板又は導電化処理された表面を有する絶縁性基板を陽極に用い、導電性の陰極と対向させて直流電流を流すことにより、陽極上に直接金属を析出させるので、基板上への触媒の核形成は不要である。
また、無電解メッキ法とは.析出させようとする金属の金属化合物と還元剤の液中での酸化還元反応により、液に浸漬した基板表面に金属を析出する方法であり.電析法と比較して、一般に金属析出速度は遅いが、大面積に処理した際には膜厚や膜質の均一性が高い。さらに、無電解メッキ法では、基板の種類は特に限定されず、無電解メッキ液に浸漬した場合に変質しない材料であれば、どの様な材料も使用できる.その具体例としては、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム等の金属材料、NESAガラス、ITOガラス等の導電性ガラス、通常のソーダライムガラス、無アルカリガラスなどの非導電性ガラス、セラミックス材料、プラスチックス材料等を挙げることができる。基板材料が導電性基板又は導電化処理された表面を有する絶縁性基板などで、基板表面への触媒付与をすることなく金属析出反応が生じることができる場合には、基板上への触媒の核形成は不要であり、工程も簡便であり、高価な触媒材料を使用しなくても良いので、より好ましい.例えば、その場合の基板材料は、鉄、ニッケル、銅などの金属材料が主であるが、これに限定されるものではない。このような場合は、触媒材料の基板への密着力不足が原因の析出結晶のはがれという問題もないので好ましい。
無電解メッキの基材としてガラス、セラミックス、プラスチックス等を用いる場合や、金属析出反応が生じ難い金属材料を用いる場合には、基板表面に触媒金属を付与する。その際に用いられる触媒金属は一般に知られているもので.例えばパラジウム、銀、鉄、コバルト、ニッケル、白金等があるが、これらの中の1種を含む合金であってもよく、また、触媒機能があればこれらに限定されるものではないが、一般にパラジウムを付与する方法が広く行われる。触媒付与方法はいずれも公知の方法を適用できる。真空装置を用いた蒸着法、スパッタリング法等により、パラジウムなどの触媒の核を基板に付与する方法もあるが、真空装置を用いないウェット法等の方法がより簡便で好ましい。例えば、センシタイジンク−アクチベーション法、キャタリスト−アクセレレーター法、アルカリキャタリスト法等がある。
いずれの触媒付与方法においても、触媒が基板に対してしっかりと密着している必要がある。密着力が不十分である場合には、凹凸形状を樹脂に転写する際に、析出結晶が触媒のところからはがれてしまうという不具合がおこるためである。密着力を上げるために、基板の表面処理を行い、基板表面を粗化したり、化学修飾したりする公知の方法を適宜用いることができる。
本発明で用いられる基板の形状としては、板状、筒状(フィルム状)、ロール状,円柱状をはじめとして、多種多様な光学素子の金型形状を有していてもよく、なんら限定されるものではない。
いずれの触媒付与方法においても、触媒が基板に対してしっかりと密着している必要がある。密着力が不十分である場合には、凹凸形状を樹脂に転写する際に、析出結晶が触媒のところからはがれてしまうという不具合がおこるためである。密着力を上げるために、基板の表面処理を行い、基板表面を粗化したり、化学修飾したりする公知の方法を適宜用いることができる。
本発明で用いられる基板の形状としては、板状、筒状(フィルム状)、ロール状,円柱状をはじめとして、多種多様な光学素子の金型形状を有していてもよく、なんら限定されるものではない。
電析法又は無電解メッキ法に用いられるメッキ液は各種金属に対応して周知であり、各種のものが市販されている。電析法のメッキ液の組成として、一般に金属イオン源、pH調整剤、緩衝剤などを含有する。無電解メッキ法のメッキ液の組成として、一般に、金属イオン源、アルカリ源、還元剤、キレート剤、pH調整剤、安定剤などを含有する。
緩衝剤としては、ホウ酸などの無機酸の他、酢酸ニッケルなどのモノ−カルボン酸系、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸などのジ−カルボン酸系、クエン酸、クエン酸ニッケルなどのトリ−カルボン酸系、グリシン、L−ヒスチジンなどのアミノカルボン酸系、L−アスコルビン酸などのオキシ−ラクトン系が挙げられる。
還元剤としては、次亜リン酸ナトリウム、抱水ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ホルムアルデヒド、ロッシェル塩、ブドウ糖、DMAB(ジメチルアミンボラン)及びTMAB(トリメチルアミンボラン)が挙げられるが、次亜リン酸ナトリウム、抱水ヒドラジン、DMAB、TMABが好ましく使用される。
また、キレート剤としては、アンモニア、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩が、pH調製剤としては、酢酸塩、プロピオン酸塩、アンモニウム塩が、安定剤としては、各種の界面活性剤などが挙げられる。
緩衝剤としては、ホウ酸などの無機酸の他、酢酸ニッケルなどのモノ−カルボン酸系、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸などのジ−カルボン酸系、クエン酸、クエン酸ニッケルなどのトリ−カルボン酸系、グリシン、L−ヒスチジンなどのアミノカルボン酸系、L−アスコルビン酸などのオキシ−ラクトン系が挙げられる。
還元剤としては、次亜リン酸ナトリウム、抱水ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ホルムアルデヒド、ロッシェル塩、ブドウ糖、DMAB(ジメチルアミンボラン)及びTMAB(トリメチルアミンボラン)が挙げられるが、次亜リン酸ナトリウム、抱水ヒドラジン、DMAB、TMABが好ましく使用される。
また、キレート剤としては、アンモニア、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩が、pH調製剤としては、酢酸塩、プロピオン酸塩、アンモニウム塩が、安定剤としては、各種の界面活性剤などが挙げられる。
次に、本発明方法の第二工程で実施される、基板上に形成された該針状結晶の微細凹凸構造を樹脂材料の表面に転写する方法としては、フォトポリマーゼーション法、熱エンボス加工法、セミドライ複製法(SD複製法)、ナノインプリント法又は射出成形法が挙げられる。
まずフォトポリマーゼーション法{Photopolymerization法(2P法)}により、凹凸形状を転写する方法について説明する。フォトポリマーゼーション法とは、液体状の電離放射線硬化性樹脂を微細凹凸形状を持った型に滴下・塗布し、基材と圧着させた後に電離放射線を照射することにより硬化させ、型から剥離して転写表面を得る方法である。ここで、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合又は架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は、紫外線又は電子線を用いる。
熱エンボス加工法とは、熱プレスや熱ロール等により、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が加熱状態でエンボス加工され、型の表面状態が転写される方法をいう。
セミドライ複製法とは、特許文献4に記載されている電離放射線硬化性樹脂の表面に複製用原版の微細凹凸パターンを圧着して賦型した後、或いは賦型と同時に、電離放射線を照射して剥離する転写複製方法である。
ナノインプリント法とは、金型に刻み込んだ寸法が数十nm〜数百nmの凹凸を,基板上に塗布した樹脂材料に押し付けて形状を転写する方法をいい、被加工材料として熱可塑性樹脂を用いる熱ナノインプリント法と、電離放射線硬化性樹脂を用いるUVナノインプリント法の二通りが提案されている。
射出成形法とは、射出成形により、型の表面に形成された該針状結晶の微細凹凸構造を射出樹脂に転写する方法をいう。
以上の内、該針状結晶の微細凹凸構造を高精度に転写するためには、硬化前に液状の樹脂を用いるフォトポリマーゼーション法、又はUVナノインプリント法が好ましい。
まずフォトポリマーゼーション法{Photopolymerization法(2P法)}により、凹凸形状を転写する方法について説明する。フォトポリマーゼーション法とは、液体状の電離放射線硬化性樹脂を微細凹凸形状を持った型に滴下・塗布し、基材と圧着させた後に電離放射線を照射することにより硬化させ、型から剥離して転写表面を得る方法である。ここで、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合又は架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は、紫外線又は電子線を用いる。
熱エンボス加工法とは、熱プレスや熱ロール等により、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が加熱状態でエンボス加工され、型の表面状態が転写される方法をいう。
セミドライ複製法とは、特許文献4に記載されている電離放射線硬化性樹脂の表面に複製用原版の微細凹凸パターンを圧着して賦型した後、或いは賦型と同時に、電離放射線を照射して剥離する転写複製方法である。
ナノインプリント法とは、金型に刻み込んだ寸法が数十nm〜数百nmの凹凸を,基板上に塗布した樹脂材料に押し付けて形状を転写する方法をいい、被加工材料として熱可塑性樹脂を用いる熱ナノインプリント法と、電離放射線硬化性樹脂を用いるUVナノインプリント法の二通りが提案されている。
射出成形法とは、射出成形により、型の表面に形成された該針状結晶の微細凹凸構造を射出樹脂に転写する方法をいう。
以上の内、該針状結晶の微細凹凸構造を高精度に転写するためには、硬化前に液状の樹脂を用いるフォトポリマーゼーション法、又はUVナノインプリント法が好ましい。
フォトポリマーゼーション法又はUVナノインプリント法に用いられる樹脂材料として電離放射線硬化性モノマー又はオリゴマーが用いられる。
電離放射線硬化性モノマーとしては、多官能性(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
電離放射線硬化性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートをいう。
電離放射線硬化性モノマーとしては、多官能性(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
電離放射線硬化性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートをいう。
上述の多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、電離放射線硬化性樹脂を光で硬化させる場合には、光重合開始剤を配合することができる。光重合開始剤としては、ビスアシルフォスフィンオキサイド系やα−アミノケトン系の光重合開始剤等が挙げられる。ビスアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の具体例としては、ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。α−アミノケトン系の光重合開始剤の具体例としては、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンが挙げられる。
また、フォトポリマーゼーション法又はUVナノインプリント法以外の方法に用いられる樹脂材料として、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、酢酸ビニル系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられ、セルロース系樹脂としては、例えば、ニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、エチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラニン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂、硬化性アクリル樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂を用いる場合、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等をさらに添加して使用することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、酢酸ビニル系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられ、セルロース系樹脂としては、例えば、ニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、エチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラニン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂、硬化性アクリル樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂を用いる場合、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等をさらに添加して使用することができる。
上述のフォトポリマーゼーション法、熱エンボス加工法、セミドライ複製法、ナノインプリント法又は射出成形法方法により針状結晶の微細凹凸構造を転写された樹脂材料は、型から剥離され、反射防止機能を有する部材として用いられることとなる。部材としての用途に合わせて、樹脂材料は適当な樹脂フィルムにより裏打ちされても良い。また、型からの剥離を容易にするため、樹脂材料にシリコーン系又はフッ素系の離型剤が配合されていても良い。
以上説明した方法を用いて製造した反射防止機能を有する部材の実施態様を図面に基づいて、更に詳述する。
図1は、本発明方法により得られた反射防止機能を有する部材の一例の樹脂表面を走査型プローブ顕微鏡で表面観察した同一の写真を明度調節した写真A〜Dである。
図1の写真Aは最も明度の高い写真であり、樹脂表面の微細凹凸構造の底部が黒色で表わされている。一方、図1の写真Dは最も明度の低い写真であり、樹脂表面の微細凹凸構造の頂部が白色で表わされている。写真A、写真B、写真C、写真Dの順に明度が低くなっており、写真A〜写真B〜写真C〜写真Dとの間で白色から黒色へと変化する部分は、樹脂表面の微細凹凸構造の底部から頂部へ至る傾斜部分を表わしている。
この反射防止機能を有する部材は、まず、電析法を用いて銅箔基板上に結晶長さ約100〜500nm、多くは150〜350nmの間の分布をもち、且つ結晶底面径約200〜900nm、多くは300〜700nm程度の分布を持ったNi−Fe系合金からなる微細な針状結晶を得た後、得られた基板を型として、基板上に形成された針状結晶の微細凹凸構造を電離放射線硬化性樹脂材料の表面にフォトポリマーゼーション法により、後述する実施例1と同様の方法で電離放射線硬化性樹脂に転写し、電離放射線硬化性樹脂及びポリカーボネート製シートからなる反射防止機能を有する部材として得られたものである。
この写真によれば、約200〜900nm、多くは300〜700nm程度の分布を持った開口径を持つ穴(凹形状)がランダムに存在し、穴の数は10μm角に約330個程度であった。
図1は、本発明方法により得られた反射防止機能を有する部材の一例の樹脂表面を走査型プローブ顕微鏡で表面観察した同一の写真を明度調節した写真A〜Dである。
図1の写真Aは最も明度の高い写真であり、樹脂表面の微細凹凸構造の底部が黒色で表わされている。一方、図1の写真Dは最も明度の低い写真であり、樹脂表面の微細凹凸構造の頂部が白色で表わされている。写真A、写真B、写真C、写真Dの順に明度が低くなっており、写真A〜写真B〜写真C〜写真Dとの間で白色から黒色へと変化する部分は、樹脂表面の微細凹凸構造の底部から頂部へ至る傾斜部分を表わしている。
この反射防止機能を有する部材は、まず、電析法を用いて銅箔基板上に結晶長さ約100〜500nm、多くは150〜350nmの間の分布をもち、且つ結晶底面径約200〜900nm、多くは300〜700nm程度の分布を持ったNi−Fe系合金からなる微細な針状結晶を得た後、得られた基板を型として、基板上に形成された針状結晶の微細凹凸構造を電離放射線硬化性樹脂材料の表面にフォトポリマーゼーション法により、後述する実施例1と同様の方法で電離放射線硬化性樹脂に転写し、電離放射線硬化性樹脂及びポリカーボネート製シートからなる反射防止機能を有する部材として得られたものである。
この写真によれば、約200〜900nm、多くは300〜700nm程度の分布を持った開口径を持つ穴(凹形状)がランダムに存在し、穴の数は10μm角に約330個程度であった。
図2は、図1の写真を横断する断面(図1の写真に略直線で図示している)における断面プロファイルである。図2から明らかなように、凹形状のおおよそのアスペクト比(開口径に対する、凹形状の深さの比)は0.4〜0.9、多くは0.5〜0.7の間で分布している。また、穴は深さ方向にずれて存在し、横方向に深さが揃って並んでいるものではない。
図3は、図1の10μm角全ての点の高さデータ(Z値)の累積度数分布曲線を示したものである。縦軸はZ値であり、横軸は累積度数(%)である。この累績度数分布曲線によれば、深さ方向約1μmにわたって連続的に変化している。樹脂の組成が膜厚方向で一定である場合には、Z値の累積度数は空隙部と樹脂部を平均化した平均屈折率に比例したものであるため、このことは平均屈折率が深さ約1μmにわたって連続的に変化していることを示している。これは、結晶のアスペクト比だけから予想される平均屈折率変化(多くの底面径300〜700nmでアスペクト比0.5〜0.7であるので、予想される屈折率変化のおこる深さは約150nm〜490nm)よりも緩やかであり、このことが高い反射防止性能に繋がる。
図3は、図1の10μm角全ての点の高さデータ(Z値)の累積度数分布曲線を示したものである。縦軸はZ値であり、横軸は累積度数(%)である。この累績度数分布曲線によれば、深さ方向約1μmにわたって連続的に変化している。樹脂の組成が膜厚方向で一定である場合には、Z値の累積度数は空隙部と樹脂部を平均化した平均屈折率に比例したものであるため、このことは平均屈折率が深さ約1μmにわたって連続的に変化していることを示している。これは、結晶のアスペクト比だけから予想される平均屈折率変化(多くの底面径300〜700nmでアスペクト比0.5〜0.7であるので、予想される屈折率変化のおこる深さは約150nm〜490nm)よりも緩やかであり、このことが高い反射防止性能に繋がる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
厚さ12μmの銅箔を基板として用い、無電解Niメッキ液(0.1モル/LのNiCl2,0.1モル/LのNaH2PO2,2.0モル/LのNH4OHを塩酸でpH8.9に調製した。)中に0℃、1〜3時間浸漬して、浸漬時間を調整して基板上に結晶長さ約100〜500nm、多くは150〜350nmの間の分布を持ち、且つ結晶底面径約200〜900nm、多くは300〜700nm程度の分布を持った微細な針状結晶を得た。
次に、得られた基板を型として、基板上に形成された針状結晶の微細凹凸構造を光硬化性樹脂材料の表面にフォトポリマーゼーション法により以下の手順で転写した。
(1)型(微細凹凸構造を成す針状結晶が形成された基板)の表面に樹脂材料として光硬化性樹脂(大日本精化工業(株)製、商標「セイカビームPC−D04」)を滴下した。
(2)滴下した光硬化性樹脂の上に、ポリカーボネート製のシートを乗せ、ゴムローラーで圧着した。
(3)ポリカーボネート製シート上の光硬化性樹脂に、紫外線照射装置を用いて、214mJの紫外線照射を3回行った。
(4)光硬化性樹脂が硬化した後、型を剥離して、光硬化性樹脂及びポリカーボネート製シートからなる反射防止機能を有する部材を得た。
実施例1
厚さ12μmの銅箔を基板として用い、無電解Niメッキ液(0.1モル/LのNiCl2,0.1モル/LのNaH2PO2,2.0モル/LのNH4OHを塩酸でpH8.9に調製した。)中に0℃、1〜3時間浸漬して、浸漬時間を調整して基板上に結晶長さ約100〜500nm、多くは150〜350nmの間の分布を持ち、且つ結晶底面径約200〜900nm、多くは300〜700nm程度の分布を持った微細な針状結晶を得た。
次に、得られた基板を型として、基板上に形成された針状結晶の微細凹凸構造を光硬化性樹脂材料の表面にフォトポリマーゼーション法により以下の手順で転写した。
(1)型(微細凹凸構造を成す針状結晶が形成された基板)の表面に樹脂材料として光硬化性樹脂(大日本精化工業(株)製、商標「セイカビームPC−D04」)を滴下した。
(2)滴下した光硬化性樹脂の上に、ポリカーボネート製のシートを乗せ、ゴムローラーで圧着した。
(3)ポリカーボネート製シート上の光硬化性樹脂に、紫外線照射装置を用いて、214mJの紫外線照射を3回行った。
(4)光硬化性樹脂が硬化した後、型を剥離して、光硬化性樹脂及びポリカーボネート製シートからなる反射防止機能を有する部材を得た。
実施例2
メッキ液を以下のように調製した。
Niイオン源には塩化ニッケル、Feイオン源には塩化鉄を使用した。Ni、Feの合計金属濃度は1.3モル/Lであり結晶析出に必要量の緩衝剤も用いた。薬品は全て和光純薬(株)製試薬1級相当品を使用した。
80℃に保持した上記のメッキ液からなる電解液中で、DSE(不溶解性アノード:ペルメレック電極(株)製)を陽極とし、厚さ12μmの銅箔である、実施例1と同じ基板を陰極として電流密度4A/dm2で直流電解処理した。電解時間を調整して基板上に結晶長さ約100〜500nm、多くは150〜350nmの間の分布を持ち、且つ結晶底面径約200〜900nm、多くは300〜700nm程度の分布を持ったNi−Fe系合金からなる微細な針状結晶を得た。
次に、得られた基板を型として、基板上に形成された針状結晶の微細凹凸構造を光硬化性樹脂材料の表面にフォトポリマーゼーション法により実施例1と同じ手順で転写し、光硬化し、光硬化性樹脂及びポリカーボネート製シートからなる反射防止機能を有する部材を得た。
メッキ液を以下のように調製した。
Niイオン源には塩化ニッケル、Feイオン源には塩化鉄を使用した。Ni、Feの合計金属濃度は1.3モル/Lであり結晶析出に必要量の緩衝剤も用いた。薬品は全て和光純薬(株)製試薬1級相当品を使用した。
80℃に保持した上記のメッキ液からなる電解液中で、DSE(不溶解性アノード:ペルメレック電極(株)製)を陽極とし、厚さ12μmの銅箔である、実施例1と同じ基板を陰極として電流密度4A/dm2で直流電解処理した。電解時間を調整して基板上に結晶長さ約100〜500nm、多くは150〜350nmの間の分布を持ち、且つ結晶底面径約200〜900nm、多くは300〜700nm程度の分布を持ったNi−Fe系合金からなる微細な針状結晶を得た。
次に、得られた基板を型として、基板上に形成された針状結晶の微細凹凸構造を光硬化性樹脂材料の表面にフォトポリマーゼーション法により実施例1と同じ手順で転写し、光硬化し、光硬化性樹脂及びポリカーボネート製シートからなる反射防止機能を有する部材を得た。
実施例3
メッキ液を以下のように調製した。
Niイオン源には硫酸ニッケル水和物、Znイオン源には硫酸亜鉛水和物、チオ硫酸イオン源にはチオ硫酸アンモニウム、亜硫酸イオン源には亜硫酸ナトリウム、ホウ酸源には酸化ホウ素を使用した。Ni濃度は0.5モル/L、Zn濃度は0.2モル/L、チオ硫酸濃度は0.02モル/L、亜硫酸濃度は0.01モル/L、ホウ酸濃度はホウ酸として5g/Lであった。また、メッキ液のpHは3.5であった。硫酸またはアンモニア水によってpHを調整した。薬品は全て和光純薬(株)製試薬1級相当品を使用した。
50℃に保持した上記のメッキ液からなる電解液中で、DSE(不溶解性アノード:ペルメレック電極(株)製)を陽極とし、厚さ12μmの銅箔である、実施例1と同じ基板を陰極として電流密度5A/dm2で直流電解処理した。電解時間を調整して基板上に結晶長さ約100〜500nm、多くは150〜350nmの間の分布を持ち、且つ結晶底面径約200〜900nm、多くは300〜700nm程度の分布を持ったNi−Zn系合金からなる微細な針状結晶を得た。
次に、得られた基板を型として、基板上に形成された針状結晶の微細凹凸構造を光硬化性樹脂材料の表面にフォトポリマーゼーション法により実施例1と同じ手順で転写し、光硬化し、光硬化性樹脂及びポリカーボネート製シートからなる反射防止機能を有する部材を得た。
メッキ液を以下のように調製した。
Niイオン源には硫酸ニッケル水和物、Znイオン源には硫酸亜鉛水和物、チオ硫酸イオン源にはチオ硫酸アンモニウム、亜硫酸イオン源には亜硫酸ナトリウム、ホウ酸源には酸化ホウ素を使用した。Ni濃度は0.5モル/L、Zn濃度は0.2モル/L、チオ硫酸濃度は0.02モル/L、亜硫酸濃度は0.01モル/L、ホウ酸濃度はホウ酸として5g/Lであった。また、メッキ液のpHは3.5であった。硫酸またはアンモニア水によってpHを調整した。薬品は全て和光純薬(株)製試薬1級相当品を使用した。
50℃に保持した上記のメッキ液からなる電解液中で、DSE(不溶解性アノード:ペルメレック電極(株)製)を陽極とし、厚さ12μmの銅箔である、実施例1と同じ基板を陰極として電流密度5A/dm2で直流電解処理した。電解時間を調整して基板上に結晶長さ約100〜500nm、多くは150〜350nmの間の分布を持ち、且つ結晶底面径約200〜900nm、多くは300〜700nm程度の分布を持ったNi−Zn系合金からなる微細な針状結晶を得た。
次に、得られた基板を型として、基板上に形成された針状結晶の微細凹凸構造を光硬化性樹脂材料の表面にフォトポリマーゼーション法により実施例1と同じ手順で転写し、光硬化し、光硬化性樹脂及びポリカーボネート製シートからなる反射防止機能を有する部材を得た。
実施例4
基材として無アルカリガラス(コーニング7059ガラス)を用い、浸漬脱脂(奥野製薬工業製脱脂剤、商標「エースクリンA−220」)50g/l水溶液に、50℃で5分間浸漬)した後、センシタイジング(奥野製薬工業製センシタイザー100ml/l水溶液に室温で1分間浸漬)及びアクチベーション(奥野製薬工業製アクチベーター100ml/l水溶液に室温で1分間浸漬)により基材表面にPd触媒を付与した。
このPd触媒が表面に形成された基板を用いて、実施例1と同様にして基板上に無電解Niメッキにより結晶長さ約100〜500nm、多くは150〜350nmの間の分布を持ち、且つ結晶底面径約200〜900nm、多くは300〜700nm程度の分布を持ったNiからなる微細な針状結晶を得た。
次に、得られた基板を型として、基板上に形成された針状結晶の微細凹凸構造を光硬化性樹脂材料の表面にフォトポリマーゼーション法により実施例1と同じ手順で転写し、光硬化し、光硬化性樹脂及びポリカーボネート製シートからなる反射防止機能を有する部材を得た。
基材として無アルカリガラス(コーニング7059ガラス)を用い、浸漬脱脂(奥野製薬工業製脱脂剤、商標「エースクリンA−220」)50g/l水溶液に、50℃で5分間浸漬)した後、センシタイジング(奥野製薬工業製センシタイザー100ml/l水溶液に室温で1分間浸漬)及びアクチベーション(奥野製薬工業製アクチベーター100ml/l水溶液に室温で1分間浸漬)により基材表面にPd触媒を付与した。
このPd触媒が表面に形成された基板を用いて、実施例1と同様にして基板上に無電解Niメッキにより結晶長さ約100〜500nm、多くは150〜350nmの間の分布を持ち、且つ結晶底面径約200〜900nm、多くは300〜700nm程度の分布を持ったNiからなる微細な針状結晶を得た。
次に、得られた基板を型として、基板上に形成された針状結晶の微細凹凸構造を光硬化性樹脂材料の表面にフォトポリマーゼーション法により実施例1と同じ手順で転写し、光硬化し、光硬化性樹脂及びポリカーボネート製シートからなる反射防止機能を有する部材を得た。
比較例1
フラットなガラス基板を、そのまま型として、光硬化性樹脂材料の表面にフォトポリマーゼーション法により実施例1と同じ手順で転写し、光硬化し、光硬化性樹脂及びポリカーボネート製シートからなる反射防止機能を有する部材を得た。
フラットなガラス基板を、そのまま型として、光硬化性樹脂材料の表面にフォトポリマーゼーション法により実施例1と同じ手順で転写し、光硬化し、光硬化性樹脂及びポリカーボネート製シートからなる反射防止機能を有する部材を得た。
実施例1〜4及び比較例1の5種の反射防止機能を有する部材を、島津製作所製の分光光度計(MPC−2200)によって、波長範囲380nm〜780nm、入射角5度の正反射で部材の光硬化した樹脂表面(転写された微細凹凸構造を有する表面)の反射率を測定したところ、比較例1の部材は平均反射率4.0%であったが、実施例1〜4の部材はいずれも平均反射率0.01%未満であり良好であった。
実施例4の部材が触媒機能を持った核としてPd触媒を基材上に形成する工程を要するのに対して、実施例1〜3の部材はその工程を省略したことにより、高価なPd金属も必要としなかった。これにより、実施例1〜3の製造方法は、実施例4の製造方法と比較して、経済性の点では優れていた。
実施例4の部材が触媒機能を持った核としてPd触媒を基材上に形成する工程を要するのに対して、実施例1〜3の部材はその工程を省略したことにより、高価なPd金属も必要としなかった。これにより、実施例1〜3の製造方法は、実施例4の製造方法と比較して、経済性の点では優れていた。
本発明は、大面積であっても、高精度な反射防止構造体を形成できるので、反射防止効果が要求されるテレビジョン、コンピュータ、ワードプロセッサ等の各種電子機器のディスプレイや反射スクリーンその他種々の商業ディスプレイ等に用いられる、ガラスやプラスチックなどの透明基板に広く適用可能である。更に、レンズ素子、プリズム素子、およびミラー素子などの光学素子やレンズ鏡筒のような光学部品等にも広く適用可能であり、これらの光学素子や光学部品が用いられる光再生記録装置の光ピックアップ光学系、デジタルスチルカメラなどの撮影光学系、プロジェクタの投影系および照明系、光走査光学系等にも好適に用いられる。
Claims (3)
- 基板の表面にニッケル金属、ニッケル−鉄系合金又はニッケル−亜鉛系合金からなる針状結晶を形成する工程と、該基板上に形成された該針状結晶の微細凹凸構造を樹脂材料の表面に転写する工程とを含む反射防止機能を有する部材の製造方法。
- 前記基板の表面に針状結晶を形成する工程が、電析法又は無電解メッキ法により行われる請求項1に記載の反射防止機能を有する部材の製造方法。
- 前記基板上に形成された該針状結晶の微細凹凸構造を樹脂材料の表面に転写する工程が、フォトポリマーゼーション法、熱エンボス加工法、セミドライ複製法、ナノインプリント法又は射出成形法により行われる請求項1又は2に記載の反射防止機能を有する部材の製造方法。
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-
2007
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