ところで、被測定電流に伴う磁界を磁気センサで検出する場合、被測定電流の電流路(バスバー等)と磁気センサとの距離がばらつくと、これに応じて磁気センサの検出感度が変化し、測定誤差が生じる。電流路と磁気センサとの距離のばらつきが小さくなるようにするため、通常は、磁気センサを載せた回路基板が電流路に対して直接的若しくは間接的に固定される。例えば特許文献1に記載される装置では、バスバーの封止部材に複数の柱部が形成され、センサ用回路基板がこれらの柱部に固定されることで、バスバーに固定される。
しかしながら、外来磁界に対する磁気シールドと電流路との間に磁気センサが配置される構造では、磁気シールドは、測定対象の磁界も通過させるため、磁気センサが配置される位置の磁束密度にも影響を与える。本願の発明者が、磁気シールドのバスバーに対する位置を動かして、磁気シールドとバスバーとに挟まれる位置の磁束密度を調べたところ、意外にも、バスバーに対する位置関係よりも、磁気シールドに対する位置関係の方が、磁束密度に与える影響が大きいことが判明した。
特許文献1に記載される装置では、バスバーの封止部材における凹部の開口が蓋部によって塞がれる構造となっており、この蓋部に遮蔽板(磁気シールド)が封止される。すなわち、磁気抵抗素子(磁気センサ)と遮蔽板(磁気シールド)とが、それぞれ別の部材(封止部材,蓋部)に固定される。そのため、封止部材と蓋部の各々における寸法のばらつきや、組立時における蓋部と封止部材との取り付け精度に応じて、遮蔽板(磁気シールド)と磁気抵抗素子(磁気センサ)との距離がばらつき易い。
また、モータ駆動用のインバーターなどにおいて大電流を測定する場合、大電流が流れることによるバスバーの発熱や、他の電気機器の発熱により、樹脂等で形成された部材の変形が生じる。特許文献1に記載される装置では、封止部材と蓋部の各々が異なる態様で熱変形を生じ得る。そのため、磁気抵抗素子(磁気センサ)と遮蔽板(磁気シールド)との距離が、各部材(封止部材,蓋部)の熱変形の影響によってばらつき易い。
特許文献2には、交流電流に伴う磁界によって導電性の磁性体(磁気シールド)に渦電流が流れた場合に、磁性体の内部の磁束密度が小さくなり、磁性体の周囲における磁束密度が高くなることが記載されている(特許文献2の図5〜図8を参照)。この現象を利用すると、導電性の磁性体(磁気シールド)の近くの適切な場所に磁気センサを配置することで、高い周波数における磁気センサの感度の低下を抑制することが可能であり、これにより、広い周波数帯域に渡って磁気センサの感度を一定にすることが可能である。この場合、周波数特性を向上させるためには、磁気センサを配置する位置が重要となる。本願の発明者が、磁気シールドのバスバーに対する位置を動かすと共に、被測定電流の周波数を変化させて、磁束密度を調べたところ、意外にも、バスバーに対する位置関係よりも、磁気シールドに対する位置関係の方が、磁束密度に与える影響が大きいことが判明した。また、周波数特性が最も良くなる位置は、バスバーよりも磁気シールドに近い。バスバーよりも磁気シールドに近い位置では、バスバーよりも、磁気シールドが磁束密度分布に与える影響が強い。そのため、磁気センサと磁気シールドとの距離のばらつきをより微小に抑えることが要求される。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、磁気シールドを用いて外来磁界による測定誤差を低減できるとともに、磁界の検出感度のばらつきによる測定誤差を低減できる電流センサを提供することにある。
本発明に係る電流センサは、互いに固定された第1絶縁部材及び第2絶縁部材と、前記第1絶縁部材に設けられた第1磁気シールドと、前記第2絶縁部材に設けられた電流路と、前記電流路に流れる被測定電流に伴う磁界を検出する磁電変換素子と、前記磁電変換素子が実装された回路基板とを備える。前記電流路と前記第1磁気シールドとが向かい合うように配置され、前記磁電変換素子が前記電流路と前記第1磁気シールドとの間に配置され、前記回路基板が前記第1絶縁部材に固定される。
この構成によれば、前記第1磁気シールドが設けられた前記第1絶縁部材に対して、前記磁電変換素子が実装された前記回路基板が固定される。そのため、前記第1絶縁部材と前記第2絶縁部材の各々における寸法のばらつきや、組立時における前記第1絶縁部材と前記第2絶縁部材との取り付け精度に応じて、前記第1磁気シールドと前記磁電変換素子との距離がばらつき難くなる。また、前記第1絶縁部材と前記第2絶縁部材の各々が異なる態様で熱変形しても、この熱変形の影響によって前記第1磁気シールドと前記磁電変換素子との距離がばらつき難くなる。従って、前記第1磁気シールドと前記磁電変換素子との距離がばらつくことによる前記磁電変換素子の検出感度のばらつきが抑制され、測定誤差が低減する。尚、この構成だと、電流路と磁電変換素子との距離のばらつきが大きくなるが、後述するとおり、意外にも、電流路と磁電変換素子との距離のばらつきの影響は比較的小さい。この為、前記第1磁気シールドと前記磁電変換素子との位置精度を高めることを優先した方が、測定誤差を低減できる。
更に、この構成によれば、前記回路基板が前記第1絶縁部材に固定されるため、前記電流路で発生した熱が前記磁電変換素子に伝わり難くなる。そのため、前記磁電変換素子の温度の変動に起因する測定誤差が低減する。
好適に、前記電流路は、前記被測定電流が流れる方向に延びる板状の形状を持ってよい。前記第1磁気シールドは、前記電流路と平行な板状の形状を持ってよい。前記被測定電流が流れる方向に対して垂直かつ前記電流路の平坦面に対して平行な幅方向において、前記電流路の中央の位置と前記第1磁気シールドの中央の位置とが揃っていてよい。前記磁電変換素子は、前記電流路の前記幅方向の中央と前記第1磁気シールドの前記幅方向の中央とを通る直線上に配置されてよい。
この構成によれば、前記電流路と前記第1磁気シールドとがそれぞれ板状の形状を持っており、互いの平坦面が平行になっている。この平坦面と平行かつ前記被測定電流が流れる方向と垂直な前記幅方向において、前記電流路の中央の位置と前記第1磁気シールドの中央の位置とが揃っている。前記磁電変換素子は、これらの中央を通る直線上に配置される。従って、前記磁電変換素子が前記中央を通る直線に対してずれた位置に配置される場合に比べて、外来磁界が前記磁電変換素子に届き難くなり、外来磁界に起因する測定誤差が低減する。
好適に、前記第1磁気シールドが導電性を有してよく、前記被測定電流の周波数が変化した場合、前記電流路の前記中央付近における電流密度が変化するとともに、前記被測定電流に伴う磁界により誘導される前記第1磁気シールドの渦電流が変化してよい。前記磁電変換素子は、前記被測定電流の周波数に応じた前記電流密度の変化が前記被測定電流に伴う磁界に与える影響と、前記被測定電流の周波数に応じた前記渦電流の変化が前記被測定電流に伴う磁界に与える影響とが相殺される場所に配置されてよい。
この構成によれば、前記被測定電流の周波数に応じた前記電流密度の変化が前記被測定電流に伴う磁界に与える影響と、前記被測定電流の周波数に応じた前記渦電流の変化が前記被測定電流に伴う磁界に与える影響とが相殺される。これにより、前記磁電変換素子において一定の感度で磁界を検出することが可能な前記被測定電流の周波数帯域が広くなる。
好適に、前記磁電変換素子と前記第1磁気シールドとの距離が、前記磁電変換素子と前記電流路との距離に比べて短くてよい。
この構成によれば、前記磁電変換素子と前記第1磁気シールドとの距離が短くなることにより、当該距離のばらつきが前記磁電変換素子の検出感度に影響を与えやすくなる。しかしながら、前記第1磁気シールドが設けられた前記第1絶縁部材に前記回路基板が固定されるため、当該距離のばらつきの影響が緩和される。
好適に、上記電流センサは、前記第1絶縁部材に設けられた複数の支柱を有してよい。前記回路基板は、前記複数の支柱を介して前記第1絶縁部材に固定されてよい。
この構成によれば、前記回路基板が前記複数の支柱を介して前記第1絶縁部材に固定されるため、前記第1磁気シールドにおいて渦電流等により発生した熱が前記回路基板に伝わり難くなる。これにより、前記磁電変換素子の温度の変動に起因する測定誤差が低減する。
好適に、前記第1磁気シールドは板状の形状を持ってよく、前記第1絶縁部材は樹脂材料によって前記第1磁気シールドと一体成型されてよい。前記第1磁気シールドの周縁部における端面の少なくとも一部と前記第1絶縁部材との間には、隙間が形成されてよい。
この構成によれば、前記第1磁気シールドと前記第1絶縁部材とが一体成型されるため、前記第1磁気シールドと前記第1絶縁部材とが精度よく安定的に固定される。また、前記第1磁気シールドの周縁部における端面の少なくとも一部と前記第1絶縁部材との間に隙間が形成されるため、前記第1絶縁部材と前記第1磁気シールドとの熱膨張係数が異なっていても、熱変形による両者の形状のずれが前記隙間によって吸収され易くなる。これにより、前記第1磁気シールドに加わる応力が減少し、応力に起因した前記第1磁気シールドの磁気特性の変動が抑えられるため、前記磁気特性の変動による測定誤差が低減する。
好適に、前記第1磁気シールドは、前記周縁部において前記板状の形状の平坦面と平行な方向に凹んだ少なくとも1つの凹部を有してよい。前記凹部における端面の少なくとも一部と前記第1絶縁部材との間に、前記隙間が形成されてよい。前記第1絶縁部材は、少なくとも一部が前記凹部に設けられた規制部を有してよい。前記規制部は、前記板状の形状の平坦面と平行な方向における前記第1磁気シールドの位置ずれを規制してよい。
この構成によれば、前記第1磁気シールドに設けられた前記凹部の端面と前記第1絶縁部材との間に前記隙間が形成されるため、前記第1絶縁部材と前記第1磁気シールドの形状が熱変形によってずれを生じても、前記隙間によって当該ずれが吸収され易くなる。また、前記凹部に設けられた前記規制部により、前記板状の形状の平坦面と平行な方向における前記第1磁気シールドの位置ずれが規制されるため、前記第1磁気シールドの位置ずれによる磁気シールド性能や測定精度の低下が防止される。
好適に、前記第1磁気シールドは、前記板状の形状の平坦面と平行な方向において放射状に伸びた複数の前記凹部を有してよい。前記第1絶縁部材は、複数の前記凹部に設けられた複数の前記規制部を有してよい。
この構成によれば、前記板状の形状の平坦面と平行な方向において放射状に伸びた複数の前記凹部にそれぞれ前記規制部が設けられているため、熱変形に伴う前記規制部の移動の方向と前記凹部の伸び方向とが揃い易くなり、前記規制部の移動に伴う前記第1磁気シールドへの応力が小さくなる。また、複数の前記凹部においてそれぞれ前記第1磁気シールドの位置ずれが規制されるため、前記第1磁気シールドの位置ずれがより効果的に抑えられる。
好適に、互いに固定された前記第1絶縁部材及び前記第2絶縁部材の内部には、前記回路基板を収容する収容空間が形成されてよい。前記第2絶縁部材は、前記電流路が設けられた基部と、前記基部から前記第1絶縁部材に向かって立ち上がった側部とを含んでよい。前記側部は、前記収容空間に面した内壁の一部を形成してよい。前記第1絶縁部材は、前記側部の端面に当接してよい。
この構成によれば、前記電流路において発生した熱が前記基部から前記側部へ伝わり、前記側部の端面から前記第1絶縁部材を介して前記回路基板に伝わるため、前記電流路から前記磁電変換素子へ熱が伝わり難くなる。これにより、前記磁電変換素子の温度の変動に起因する測定誤差が低減する。
好適に、前記第1絶縁部材は、樹脂材料によって前記第1磁気シールドと一体成型されてよい。前記第2絶縁部材は、前記第1絶縁部材と同じ樹脂材料によって前記電流路と一体成型されてよい。
この構成によれば、前記第1磁気シールドと前記第1絶縁部材とが一体成型されるため、前記第1磁気シールドと前記第1絶縁部材とが精度よく安定的に固定される。また、前記電流路と前記第2絶縁部材とが一体成型されるため、前記電流路と前記第2絶縁部材とが精度よく安定的に固定される。更に、前記第1絶縁部材と前記第2絶縁部材とが同一の樹脂材料によって形成されるため、両者の熱膨張係数が等しくなる。これにより、前記第1絶縁部材と前記第2絶縁部材のそれぞれに熱変形が生じても、両者の形状のずれが生じ難くなるため、前記電流路と前記磁電変換素子との距離のばらつきが抑制され易くなる。
好適に、前記第1磁気シールドと前記電流路は、それぞれ板状の形状を持ってよい。前記第1磁気シールドと前記回路基板と前記電流路とは、互いに平行であってよい。前記第1磁気シールドと前記回路基板と前記電流路とは、それぞれの平坦面に対して垂直な方向からみた平面視において互いに重複する領域を持ってよい。前記磁電変換素子は、前記平面視において前記領域内に位置してよい。
この構成によれば、それぞれ板状の形状を持つ前記第1磁気シールドと前記回路基板と前記電流路とが互いに平行であるため、前記板状の形状の平坦面に対して垂直な方向における前記電流センサのサイズが小型になる。また、前記第1磁気シールドと前記回路基板と前記電流路とが前記平面視において互いに重複する領域を持っているため、前記平面視における前記電流センサのサイズが小型になる。
好適に、上記電流センサは、板状の形状を持ち、前記電流路を挟んで前記第1磁気シールドと平行に対向する第2磁気シールドを有してよい。前記第2絶縁部材は、前記電流路が設けられた基部を含み、第2磁気シールドは、前記基部に設けられてよい。前記第1磁気シールドと前記回路基板と前記電流路と前記第2磁気シールドとは、前記平面視において互いに重複する領域を持ってよい。前記磁電変換素子は、前記平面視において前記領域内に位置してよい。
この構成によれば、前記平面視において前記第1磁気シールドと前記第2磁気シールドとが重なる前記領域に前記磁電変換素子が位置するため、外来磁界が前記磁電変換素子に届き難くなり、外来磁界に起因する測定誤差が低減する。
本発明によれば、磁気シールドを用いて外来磁界による測定誤差を低減できるとともに、磁界の検出感度のばらつきによる測定誤差を低減できる。
図1は、本発明の実施形態に係る電流センサの一例を示す図である。図1AはX方向からみた正面図を示し、図1BはZ方向からみた平面図を示す。図2は、図1BのII−II線における電流センサ1の断面図である。図3は、図2のIII−III線における電流センサ1の断面図である。なお、図1〜図3における「X」、「Y」及び「Z」は、互いに直交する3つの方向を示す。
図1〜図3に示す電流センサ1は、互いに固定された第1絶縁部材11及び第2絶縁部材12と、第1絶縁部材11に設けられた第1磁気シールド31と、第2絶縁部材12に設けられた電流路20と、電流路20に流れる被測定電流Isに伴う磁界(磁束密度)を検出する磁電変換素子40と、磁電変換素子40が実装された回路基板50と、第2絶縁部材12に設けられた第2磁気シールド32とを備える。
電流路20は銅やアルミなどの導体によって形成されており、被測定電流Isが流れるY方向(電流方向)に対して平行に延びて広がった板状の形状を持つ。図1に示すように、電流路20の平坦面はZ方向に垂直である。電流路20のY方向の端部には、図示しない端子台やケーブル端子などを接続するためのネジを通す貫通孔21及び22が形成される。
第1絶縁部材11及び第2絶縁部材12は、例えば接着材やネジ、スナップイン機構などの図示しない固定手段によって互いに固定される。図1の例において、互いに固定された第1絶縁部材11及び第2絶縁部材12は、全体の外形が直方体であり、その内部に収容空間60が形成される。図2に示すように、収容空間60には回路基板50が収容される。
第2絶縁部材12は、電流路20と第2磁気シールド32が設けられた基部121と、基部121から第1絶縁部材11に向かってZ方向に立ち上がった側部122とを有する。側部122は、収容空間60に面した内壁123を形成する。内壁123は、収容空間60の内側からみてZ方向に垂直な方向から収容空間60の周りを囲む。側部122の端部は、Z方向に開いた矩形の開口部をなしており、その開口部を第1絶縁部材11が塞いでいる。第1絶縁部材11は、図1及び図2の例において矩形の板状の形状を持つ。
第1絶縁部材11は、樹脂材料によって第1磁気シールド31と一体成型される。図1及び図2に示すように、第1磁気シールド31は第1絶縁部材11の内部に埋め込まれている。
第2絶縁部材12は、第1絶縁部材11と同じ樹脂材料によって電流路20及び第2磁気シールド32と一体成型される。図1及び図2に示すように、第2磁気シールド32は第2絶縁部材12の基部121に埋め込まれている。電流路20は、Z方向において第1磁気シールド31と第2磁気シールド32との間に位置し、基部121をY方向に貫通している。
本実施形態において用いられる磁気シールド(第1磁気シールド31及び第2磁気シールド32)は、導電性を有する磁性体である。この磁気シールドは、例えば比透磁率が1000以上、1000000以下の範囲にあり、導電率が1.0×106[S/m]以上、100×106[S/m]以下の範囲にある。このような磁性体として、例えば純鉄、珪素鋼、パーマロイなどがある。純鉄の比透磁率は、5000(99.8%純鉄)〜200000(99.95%純鉄)、導電率は1.03×107[S/m]程度である。珪素鋼の比透磁率は4000、導電率は1.6×106[S/m]程度である。パーマロイの比透磁率は8000、導電率は1.7×106[S/m]程度である。磁気シールドが導電性を有することにより、磁気シールドにおいて渦電流が発生し、磁気シールド付近の磁束密度が高くなる。そのため、電流路20における被測定電流Isの表皮効果に起因した磁気検出感度の低下が改善される。つまり、本実施形態において用いられる第1の磁気シールド31は、外来磁場による測定誤差を低減するだけではなく、被測定電流Isの周波数の変化による、測定感度の変化を抑制する効果がある。また、磁気シールド31は、被測定電流Isが発生する誘導磁界も通すため、誘導磁界の磁束密度の分布にも影響を与える。
第1磁気シールド31及び第2磁気シールド32は、それぞれ電流路20と平行な板状の形状を持つ。第1磁気シールド31及び第2磁気シールド32の平坦面は、それぞれZ方向に対して垂直である。図1Bの例において、Z方向からみた第1磁気シールド31及び第2磁気シールド32は互いに合同な矩形の形状を持ち、この例では相互に全体が重なっている。第1磁気シールド31及び第2磁気シールドの矩形形状をなす4辺のうち、2辺がX方向に対して平行であり、他の2辺がY方向に対して平行である。
図2及び図3に示すように、第1磁気シールド31の周縁部における端面312と第1磁気シールド31との間には、隙間70が形成される。この隙間70は、熱変形による第1絶縁部材11と第1磁気シールド31との形状のずれを吸収する機能を有する。
図3に示すように、第1磁気シールド31は、周縁部において板状の形状の平坦面と平行な方向(Z方向に対して垂直な方向)に凹んだ凹部311を有する。隙間70は、この凹部311の端面312と第1絶縁部材11との間に形成される。図3の例において、第1磁気シールド31は4つの凹部311を有する。4つの凹部311は、板状の形状の平坦面と平行な方向(Z方向に対して垂直な方向)において放射状に伸びている。4つの凹部311のうち、2つの凹部311はY方向へ逆向きに伸びており、他の2つはX方向へ逆向きに伸びている。4つの凹部311は、第1磁気シールド31の矩形形状をなす4つの辺の中央に形成される。
第1絶縁部材11は、図3に示すように、4つの凹部311に設けられた4つの規制部111を有する。規制部111は、図3の例において、Z方向へ伸びた円柱状の形状を持つ。規制部111は、板状の形状の平坦面と平行な方向(Z方向に対して垂直な方向)における第1磁気シールド31の位置ずれを規制する機能を有する。
磁電変換素子40は、例えばGMR素子などの磁気抵抗効果素子である。センサ部41は、磁電変換素子40の検出結果として得られる物理量(抵抗値など)から磁界に比例した電気信号を生成するICであり、磁電変換素子40や他の電子回路が形成された半導体チップを含む。図2に示すように、磁電変換素子40を含んだセンサ部41が回路基板50に実装される。本発明の他の実施形態において、磁電変換素子40はホール素子などの他のセンサ素子でもよい。
回路基板50は、図1Bの例において矩形の形状を持つ。この矩形形状における4辺のうちの2辺がX方向に対して平行であり、他の2辺がY方向に対して平行である。回路基板50は、Z方向に対して平坦面が垂直となる姿勢で第1磁気シールド31と電流路20の間に配置される。
回路基板50は、第1絶縁部材11に固定される。図2に示すように、収容空間60に面する第1絶縁部材11の裏面114には複数の支柱112が設けられており、この複数の支柱112を介して回路基板50が第1絶縁部材11に固定される。支柱112は、例えば円柱状の形状を持ち、裏面114からZ方向に伸びている。裏面114はZ方向に対して垂直な平面であり、各支柱112のZ方向の長さは等しい。支柱112は、例えば第1絶縁部材11とともに樹脂で形成される。回路基板50の貫通孔に差し込まれた支柱112の先端部113が熱カシメ加工で潰されることにより、回路基板50が支柱112に固定される。回路基板50は、例えば矩形形状の四隅においてそれぞれ支柱112に固定される。
図2に示すように、第1磁気シールド31と回路基板50と電流路20と第2磁気シールド32とは、この順番でZ方向に並んでおり、互いに平行である。また図1Bに示すように、Z方向(それぞれの平坦面に対して垂直な方向)からみた平面視において、第1磁気シールド31と回路基板50と電流路20と第2磁気シールド32とは互いに重複する領域A1を持つ。磁電変換素子40は、Z方向からみた平面視において、この領域A1内に配置される。Y方向における磁電変換素子40の位置は、Y方向における第1磁気シールド31及び第2磁気シールド32の中央の位置と略等しい。
図2に示すように、回路基板50に実装された磁電変換素子40は、向かい合って配置された第1磁気シールド31と電流路20との間に配置される。電流方向(Y方向)に対して垂直かつ電流路20の平坦面に対して平行(Z方向に垂直)な幅方向(すなわちX方向)において、電流路20の中央の位置と第1磁気シールド31の中央の位置とが揃っている。磁電変換素子40は、図2に示すように、電流路20の幅方向(X方向)の中央と第1磁気シールド31の幅方向(X方向)の中央とを通る直線L1上に配置される。
第1磁気シールド31は、上述したように導電性を有するため、交流の被測定電流Is電流路20に流れると、被測定電流Isに伴う磁界の誘導によって第1磁気シールド31に渦電流が流れる。この渦電流は、被測定電流Isに伴う磁界を打ち消すように磁界を発生する。そのため、渦電流による磁界が増大すると、第1磁気シールド31の内部の磁束密度が減少するとともに、第1磁気シールド31の周囲の磁束密度が増大する。一方、板状の電流路20では、被測定電流Isの周波数が高くなると、表皮効果によって電流路20の幅方向(X方向)の縁部に電流が集中し易くなり、電流路20の幅方向(X方向)の中央部における電流密度が減少する。この電流密度の減少は、直線L1上における磁束密度を減少させるように作用する。すなわち、直線L1上では、被測定電流Isの周波数が高くなると、第1磁気シールド31の渦電流の増大によって磁束密度が大きくなる作用と、電流路20の電流密度の減少によって磁束密度が小さくなる作用とが働く。そこで、本実施形態では、被測定電流Isの周波数に応じた電流路20の電流密度の変化が被測定電流Isに伴う磁界に与える影響と、被測定電流Isの周波数に応じた第1磁気シールド31の渦電流の変化が前記被測定電流に伴う磁界に与える影響とが相殺される場所に、磁電変換素子40が配置される。これにより、磁電変換素子40が配置される場所において磁界の周波数特性がフラットになる。図2の例において、この場所は電流路20に比べて第1磁気シールド31に近い。すなわち、磁電変換素子40と第1磁気シールド31との距離が、磁電変換素子40と電流路20との距離に比べて短い。
次に、磁電変換素子40の位置のばらつきと検出感度の誤差との関係について、図4及び図5を参照して説明する。
図4は、電流路20と磁電変換素子40との距離D1及び第1磁気シールド31と磁電変換素子40との距離D2を図解した図である。図5は、Z方向における磁電変換素子40の位置のばらつきが検出感度に与える影響を示す図である。図5の横軸はZ方向における位置のずれΔD[mm]を示し、縦軸は位置ずれΔDがゼロの場合と比較した磁界検出値の誤差[%]を示す。
図5における2つのグラフは、距離D1を固定した状態(D2=4.2[mm])で距離D2がばらついた場合(D1=0.8±0.1[mm])のシミュレーション結果と、距離D2を固定した状態(D1=0.8[mm])で距離D2がばらついた場合(D2=4.2±0.1[mm])のシミュレーション結果をそれぞれ示す。このシミュレーションにおいて、電流路20から第1磁気シールド31までの距離D3は5.0±0.1[mm]である。
図5における2つのグラフを比較すると、距離D1を固定して距離D2がばらついた場合、±1.0[%]の感度誤差を生じる位置ずれΔDが±0.25[mm]であるのに対し、距離D2を固定して距離D1がばらついた場合は、±1.0[%]の感度誤差を生じる位置ずれΔDが±0.5[mm]まで広がる。すなわち、第1磁気シールド31と磁電変換素子40との距離D2を固定した場合は、電流路20と磁電変換素子40との距離D1を固定した場合に比べて、同じ感度誤差の範囲で比較した場合の位置ずれΔDの許容範囲が2倍に拡大する。従って、回路基板50を第1絶縁部材11に固定することにより、回路基板50を第2絶縁部材12に固定する場合に比べて、位置ずれΔDによる感度誤差が小さくなることが分かる。従来、磁気シールドが、被測定電流Isが発生する誘導磁界も通過させることは知られていた。しかし、位置ずれの影響については、知られていなかった。本願の発明者が調べたところ、意外にも、磁電変換素子40と電流路20との位置精度を高めるより、磁電変換素子40と第1磁気シールド31との位置精度を高めた方が、測定精度が高くなることが判明した。勿論、磁電変換素子40と、電流路20と、第1磁気シールド31との3つの部品全ての位置関係を高めることができれば、測定精度は向上する。しかし、製造上の理由で、3つの部品全ての位置関係を高めることは、難しい。3つの部品全ての位置関係を高められない場合の次善の策として、磁電変換素子40と第1磁気シールド31との位置精度を高めると良いことを、本件の発明者が初めて発見した。
次に、Z方向における磁電変換素子40の位置と磁界の周波数特性との関係について図6〜図9を参照して説明する。
図6は、第1磁気シールド31に渦電流が流れない場合における、電流路20の中心からの距離と磁束密度との関係を示す図である。図7は、第1磁気シールド31に渦電流が流れる場合における、電流路20の中心からの距離と磁束密度との関係を示す図である。第1磁気シールド31の導電率は、図6のシミュレーションにおいて1.0[S/m]に設定され、図7のシミュレーションにおいて1.03×107[S/m]に設定された。第1磁気シールド31の比透磁率は、何れのシミュレーションにおいても5000に設定された。
図6のシミュレーション結果をみると、電流路20の中心から比較的近い位置においては、被測定電流Isの周波数が高くなるほど磁束密度が小さくなっている。これは、被測定電流Isの周波数が高くなるほど、表皮効果によって板状の電流路20の縁部に電流が集中し、電流路20の中央部における電流密度が減少することによる。電流路20の中心から離れるほど磁束密度は全体的に小さくなり、被測定電流Isの周波数の違いによる磁束密度の違いも小さくなる。図6のシミュレーションでは第1磁気シールド31において渦電流がほとんど発生しないため、第1磁気シールド31に近づいても、被測定電流Isの周波数の違いは磁束密度にあまり影響を与えない。
一方、図7のシミュレーション結果をみると、第1磁気シールド31に近い位置(電流路20の中心から離れた位置)における磁束密度の傾向は、図6のシミュレーション結果と大きく異なる。すなわち、被測定電流Isの周波数が低い場合は(100Hz、1kHz)、図6のシミュレーション結果と同様の傾向で、電流路20の中心からの距離が離れるほど磁束密度が減少するが、被測定電流Isの周波数が高い場合は(10kHz、100kHz、500kHz)、電流路20の中心からの距離の増大に応じた磁束密度の減少のカーブが緩やかになっている。これは、第1磁気シールド31の渦電流の影響による磁束密度の増大作用が、第1磁気シールド31に近づくほど大きくなるためである。その結果、図7のシミュレーション結果では、電流路20の中心からの距離が概ね3.6[mm]の位置において、磁束密度が周波数に依らず一定となっている。
図8は、図7のシミュレーションの条件において電流路20の中心からの距離が2.7[mm]の位置における磁束密度の周波数特性を示す図である。この場合は、被測定電流Isの周波数が20[kHz]を超えるあたりから磁束密度が低下しているため、これより高い周波数において測定誤差を生じることが分かる。
一方、図9は、図7のシミュレーションの条件において電流路20の中心からの距離が3.6[mm]の位置における磁束密度の周波数特性を示す図である。この場合は、1[Hz]から500[kHz]までの周波数帯域において、磁束密度がほぼ一定になっており、非常に良好な周波数特性が得られることが分かる。
以上説明したように、本実施形態に係る電流センサ1によれば、次のような効果が得られる。
(1)本実施形態に係る電流センサ1によれば、第1磁気シールド31が設けられた第1絶縁部材11に対して、磁電変換素子40が実装された回路基板50が固定される。そのため、第1絶縁部材11と第2絶縁部材12の各々における寸法のばらつきや、組立時における第1絶縁部材11と第2絶縁部材12との取り付け精度に応じて、第1磁気シールド31と磁電変換素子40との距離D2がばらつき難くなる。第1磁気シールド31と磁電変換素子40との距離D2のばらつきが小さくなることにより、磁電変換素子40の検出感度のばらつきが抑制されるため、測定誤差を低減できる。
(2)本実施形態に係る電流センサによれば、第1絶縁部材11と第2絶縁部材12の各々が異なる態様で熱変形しても、この熱変形の影響によって第1磁気シールド31と磁電変換素子40との距離D2がばらつき難くなる。第1磁気シールド31と磁電変換素子40との距離D2のばらつきが小さくなることにより、磁電変換素子40の検出感度のばらつきが抑制されるため、測定誤差を低減できる。つまり、温度特性が向上する。
(3)本実施形態に係る電流センサ1によれば、回路基板50が第1絶縁部材11に固定されるため、電流路20で発生した熱が磁電変換素子40に伝わり難くなる。これにより、磁電変換素子40の温度の変動に起因する測定誤差を低減できる。この理由でも温度特性が向上する。
(4)本実施形態に係る電流センサ1によれば、電流路20と第1磁気シールド31とがそれぞれ板状の形状を持っており、互いの平坦面が平行になっている。この平坦面と平行かつ電流方向(Y方向)と垂直な幅方向(X方向)において、電流路20の中央の位置と第1磁気シールド31の中央の位置とが揃っている。磁電変換素子40は、これらの中央を通る直線L1上に配置される。これにより、磁電変換素子40が幅方向の中央を通る直線L1に対してずれた位置に配置される場合に比べて、外来磁界が磁電変換素子40に届き難くなるため、外来磁界に起因する測定誤差を低減できる。
(5)本実施形態に係る電流センサ1によれば、被測定電流Isの周波数に応じた電流路20の電流密度の変化が被測定電流Isに伴う磁界に与える影響と、被測定電流Isの周波数に応じた第1磁気シールド31の渦電流の変化が被測定電流Isに伴う磁界に与える影響とが相殺される場所に、磁電変換素子40が配置される。これにより、磁電変換素子40において一定の感度で磁界を検出することが可能な被測定電流Isの周波数帯域が広くなるため、広い周波数帯域で精度よく被測定電流Isを測定できる。つまり、周波数特性の改善と、上述した温度特性の改善を両立できる。
(6)本実施形態に係る電流センサ1によれば、(5)の効果を得るために磁電変換素子40と第1磁気シールド31との距離が短くなる場合でも、第1磁気シールド31が設けられた第1絶縁部材11に回路基板50が固定されるため、当該距離のばらつきの影響(磁電変換素子40の検出感度のばらつき)を緩和できる。
(7)本実施形態に係る電流センサ1によれば、回路基板50が複数の支柱112を介して第1絶縁部材11に固定されるため、第1磁気シールド31において渦電流等により発生した熱が回路基板50に伝わり難くなる。これにより、磁電変換素子40の温度の変動に起因する測定誤差を低減できる。
(8)本実施形態に係る電流センサ1によれば、第1磁気シールド31の周縁部における端面312の少なくとも一部と第1絶縁部材11との間に隙間70が形成されるため、第1絶縁部材11と第1磁気シールド31との熱膨張係数が異なっていても、熱変形による両者の形状のずれが隙間70で吸収され易くなる。これにより、第1磁気シールド31に加わる応力が減少し、応力に起因した第1磁気シールド31の磁気特性の変動が抑えられるため、磁気特性の変動による測定誤差を低減できる。
(9)本実施形態に係る電流センサ1によれば、第1磁気シールド31に設けられた凹部311の端面312と第1絶縁部材11との間に隙間70が形成されるため、第1絶縁部材11と第1磁気シールド31の形状が熱変形によってずれを生じても、隙間70において当該ずれが吸収され易くなる。また、凹部311に設けられた規制部111により、板状の形状の平坦面と平行な方向(Z方向に垂直な方向)における第1磁気シールド31の位置ずれが規制されるため、第1磁気シールド31の位置ずれに起因した磁気シールド性能や測定精度の低下を防止できる。
(10)本実施形態に係る電流センサ1によれば、板状の形状の平坦面と平行な方向(Z方向に垂直な方向)において放射状に伸びた複数の凹部311にそれぞれ規制部111が設けられているため、熱変形に伴う第1絶縁部材11の移動の方向と凹部311の伸び方向とが揃い易くなり、規制部111の移動に伴う第1磁気シールド31への応力が小さくなる。また、複数の凹部311においてそれぞれ第1磁気シールド31の位置ずれが規制されるため、第1磁気シールド31の位置ずれがより効果的に抑えられる。
(11)本実施形態に係る電流センサ1によれば、電流路20において発生した熱が基部121から側部122へ伝わり、側部122の端面から第1絶縁部材11を介して回路基板50に伝わるため、電流路20から磁電変換素子40へ熱が伝わり難くなる。これにより、磁電変換素子40の温度の変動に起因する測定誤差を低減できる。
(12)本実施形態に係る電流センサ1によれば、第1磁気シールド31と第1絶縁部材11とが一体成型されるため、第1磁気シールド31と第1絶縁部材11とを精度よく安定的に固定できる。また、電流路20と第2絶縁部材12とが一体成型されるため、電流路20と第2絶縁部材12とを精度よく安定的に固定できる。更に、第1絶縁部材11と第2絶縁部材12とが同一の樹脂材料によって形成されるため、両者の熱膨張係数が等しくなる。これにより、第1絶縁部材11と第2絶縁部材12のそれぞれに熱変形が生じても、両者の形状のずれが生じ難くなるため、電流路20と磁電変換素子40との距離のばらつきを低減できる。
(13)本実施形態に係る電流センサ1によれば、それぞれ板状の形状を持つ第1磁気シールド31と回路基板50と電流路20とが互いに平行であるため、板状の形状の平坦面に対して垂直な方向(Z方向)における電流センサ1のサイズを小型にすることができる。また、Z方向からみた平面視において、第1磁気シールド31と回路基板50と電流路20とが互いに重複する領域Aを持つため、平面視における電流センサ1のサイズを小型にすることができる。
(14)本実施形態に係る電流センサ1によれば、第1磁気シールド31と第2磁気シールド32との間に磁電変換素子40が挟まれており、Z方向からみた平面視において第1磁気シールド31と第2磁気シールド32とが重なる領域内に磁電変換素子40が位置する。これにより、外来磁界が磁電変換素子40に届き難くなるため、外来磁界に起因する測定誤差を低減できる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的範囲又はその均等の範囲において種々のバリエーションを含んでいる。
図10は、本発明の実施形態に係る電流センサ1の一変形例を示す図であり、II−II線における電流センサ1の断面図である。図10に示す電流センサ1は、回路基板50を第1絶縁部材11に固定する手段として、支柱112の代わりに保持部115が設けられている。保持部115は、第1絶縁部材11の裏面114を回路基板50の一方の平坦面と密着させた状態において、回路基板50の他方の平坦面における縁部と側端面に当接する。複数の保持部115が回路基板50の各辺を押さえることにより、回路基板50が第1絶縁部材11に固定される。保持部115は、例えば第1絶縁部材11と同じ樹脂で形成される。図10のように、回路基板50の平坦面を第1絶縁部材11に当接させることで、磁電変換素子40と第1磁気シールド31との距離を短くすることが可能になる。
上述した実施形態では、回路基板50における電流路20側の面に磁電変換素子40が実装されているが、本発明の他の実施形態では、回路基板50における第1磁気シールド31側の面に磁電変換素子40が実装されてもよい。これにより、磁電変換素子40と第1磁気シールド31との距離を短くすることが可能になる。
上述した実施形態では、2つの磁気シールド(31,32)が設けられているが、本発明の他の実施形態では第2磁気シールド32を省略してもよい。
上述した実施形態では、収容空間60において電流路20が第2絶縁部材12により覆われているが、本発明の他の実施形態では、電流路20を部分的に露出させてもよい。