以下、本発明の実施形態の内容を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様を含み、以下に例示される実施形態の内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、それはあくまで一例であって、本発明の内容を限定するものではない。また、本明細書において、ある図面に記載されたある要素と、他の図面に記載されたある要素とが同一又は対応する関係にあるときは、同一の符号(又は符号として記載された数字の後にa、b等を付した符号)を付して、繰り返しの説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有しない。
[第1の実施形態]
本実施形態は、本発明の一実施形態に係る過熱水蒸気発生装置の機能及び構成、並びに各部の詳細について説明する。
図1は、過熱水蒸気発生装置100のブロック図を示す。過熱水蒸気発生装置100は、送風ユニット106、供給ユニット102、過熱ユニット104、及び制御ユニット108を含む。過熱水蒸気発生装置100はこれらのユニットが連携して動作することにより、過熱水蒸気を発生させ、過熱水蒸気を連続して供給する機能を有する。
供給ユニット102は、過熱水蒸気になる前の空気中に浮遊する微小液滴(以下、本明細書において「ミスト」ともいう)を発生させる機能を有する。供給ユニット102で発生するミストは、粒径が10μm程度の水の粒子であり液体である。供給ユニット102は超音波振動子を含み、室温で水に超音波を作用させてミストを生成することができる。
過熱ユニット104は、供給ユニット102で発生したミストを100℃以上に加熱して過熱水蒸気を発生させる機能を有する。過熱水蒸気とは沸点以上の温度に加熱された水蒸気を指す。過熱ユニット104は、水の状態の微小液滴から過熱水蒸気を生成する。過熱ユニット104は、ミストが流れる流路と流路を加熱する加熱手段とを含む。過熱ユニット104は、例えば、流路が複数の細管の集合で形成され、複数の細管を加熱することで管壁に接したミストを加熱して過熱水蒸気を発生させる。流路の形状は管状に限定されず、ミストが流れる領域に加熱されたグリルやフィンが配置された構成を有していてもよい。加熱手段としては、例えば、高周波誘導加熱器が用いられる。
送風ユニット106は、供給ユニット102から過熱ユニット104にミストを流し、発生した過熱水蒸気を外部に吹き出す気流を形成する機能を有する。送風ユニット106は、気流を形成するために、プロペラファン、シロッコファン、ターボファンなどで構成される。送風ユニット106は、また、圧縮空気を供給するボンベ又はコンプレッサーと流量を調整するレギュレータによって構成されてもよい。
過熱水蒸気発生装置100には制御ユニット108が含まれる。制御ユニット108は、送風ユニット106、供給ユニット102、及び過熱ユニット104の動作を制御する機能を有する。例えば、制御ユニット108は、送風ユニット106の送風量を制御し、供給ユニット102のミストの発生量を制御し、過熱ユニット104の加熱温度を制御する機能を有する。過熱水蒸気発生装置100は、過熱ユニット104の温度を測定する温度センサ112を含んでもよい。制御ユニット108は、温度センサ112の測定値に基づいて、送風ユニット106、供給ユニット102、及び過熱ユニットの動作を制御するように構成されていてもよい。
過熱水蒸気発生装置100は、過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体が吹き出される吹出部130が過熱ユニット104から離れた位置に設けられてもよい。図1は、過熱ユニット104に連結されたチューブ126と、チューブ126の先にある吹出部130を点線で示す。また、過熱ユニット104と吹出部130との間には、過熱水蒸気の供給量や圧力を一定に保つためのバッファタンク128が設けられてもよい。バッファタンク128は、滞留する過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体が容易に冷却されないように断熱構造を有していることが好ましい。
吹出部130の形状や構造は用途に応じて適した構造を持つことができる。例えば、人間の鼻口腔に過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体を噴霧する場合には、吹出部130が細いチューブで形成されていてもよい。また、人間の手や腕、その他の身体の一部、又は食器、文具、衣類、靴、鞄、その他の生活用品、メス、剪刀、鉗子、ピンセット、その他の医療器具に過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体を噴霧するには、過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体が広がるように吹出部130がシャワーヘッドのような形状を有していることが好ましいといえる。また、人間の鼻口に過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体を噴霧するためには、吹出部130の先が鼻口を覆うマスク(又はシールド)の形状を有していることが好ましい。
上記のように、生体、生活用品、医療器具などを過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体に晒す場合には、過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の温度制御が重要となる。図1は、過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の精密な温度制御を可能とするために、過熱ユニット104と吹出部130の両方に温度センサ112を設ける一例を示す。過熱水蒸気が発生する領域と、過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体が吹き出る領域との両方の位置で温度を測定することで、精密な温度制御をすることができる。吹出部130における過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の温度は、過熱ユニット104における加熱温度、供給ユニット102におけるミストの供給量、及び送風ユニット106における風量を制御することで調節することができる。各ユニットの制御は、制御ユニット108が温度センサ112の測定値に基づいて行うようにすることができる。
例えば、吹出部130における過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の温度が高い(低い)場合には、過熱ユニット104における加熱温度を低く(高く)したり、供給ユニット102におけるミストの供給量を多く(少なく)したり、送風ユニット106の送風量を多く(少なく)したりすることで、吹出部130における過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の温度を下げる(上げる)ことができる。また、吹出部130における過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の温度を一定に保ちつつ、供給量を増やしたい(減らしたい)場合には、送風ユニット106の風量及び供給ユニット102のミストの発生量の一方又は両方を増加(減少)させ、かつ温度が一定に保たれるように過熱ユニット104の加熱温度を制御すればよい。
このように、本実施形態に係る過熱水蒸気発生装置100は、過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の吹出部130における温度や供給量を、複数の独立した制御因子(パラメータ)で制御することができる。それにより、用途に応じた適切な温度及び量の過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体を提供することができる。
ところで、過熱水蒸気は、加熱空気に比べて伝熱性が高いという性質を有する。加熱空気(熱風)による伝熱は対流伝熱により行われるのに対し、過熱水蒸気は対流伝熱に加え輻射伝熱及び凝縮伝熱により行われる。このため過熱水蒸気による伝熱は、加熱空気(熱風)に比べて高い伝熱性を有する。また、加熱空気(熱風)の熱量が0.24cal/g/℃であるのに対し、過熱水蒸気の熱量は0.48cal/g/℃となっている。さらに、過熱水蒸気の輻射率(放射率)は0.22とされており、加熱空気の放射率(=0)と比べて高い輻射率を有する。過熱水蒸気は高い熱量を有し、輻射率も高いため短時間で多くの熱を対象物に伝熱することができる。
本実施形態に係る過熱水蒸気発生装置100は、水を微小液滴にすることで生成されたミストを加熱して過熱水蒸気とする過程で殺菌をすることができる。これにより、吹出部130から供給される過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の衛生管理をすることができる。
過熱水蒸気は、飽和水蒸気と対比しても次のような利点を有する。過熱水蒸気は100℃以上の温度において、常圧下で任意の温度に制御することができる。これに対し飽和水蒸気は、水の沸騰により生成されたものであり、発生する蒸気の温度は周囲の気温、気圧などの環境に影響されるため温度制御が難しい。このことから、過熱水蒸気は飽和水蒸気に比べて温度の制御性が高いという利点を有する。すなわち、過熱水蒸気は高温であり調整できる温度範囲が広いため、温度制御が外気温や気圧の影響を受けにくいという利点も有する。また、過熱ユニット104で発生する過熱水蒸気の温度が高いため、供給口である吹出部130における過熱水蒸気又は過熱水蒸気から冷却された微小液滴を含む気体の温度の制御を容易に行うことができる。
上述のように、過熱水蒸気は、対象物(人間の手や腕、その他の身体の一部、又は食器、文具、衣類、靴、鞄、その他の生活用品、メス、剪刀、鉗子、ピンセット、その他の医療器具)に付着(人間に対しては感染)した菌やウイルスの殺菌、死滅、又は不活化に用いることができる。この場合において、過熱水蒸気は、急速加熱が可能であるため、対象物に影響を与える影響を最低限に抑えつつ、菌やウイルスの殺菌、死滅、又は不活化を行うことができる。
特に、医療分野においては積極的に過熱水蒸気を活用すべきと考えられる。インフルエンザのような感染症に対してはワクチンの接種による流行の予防措置が図られている。しかし、未知のウイルスに対して有効なワクチンを開発するまでには数年かかるとされており、ワクチンが開発される迄は隔離措置をとらない限り未知のウイルスによる感染症を予防できないことが問題となっている。
一方、世界保健機関(WHO)の公式な報告によれば、人体に重篤な疾患をもたらすSARS(Severe Acute Respiratory Syndrome)コロナウイルスは、56℃の熱処理により15分当たり10,000ユニットが死滅するとされている(“First data on stability and resistance of SARS coronavirus compiled by members of WHO laboratory network(WHO研究施設ネットワークが集積したSARSコロナウイルスの安定性と抵抗性に関する最初のデータ)”、WHOホームページ〈https://www.who.int/csr/sars/survival_2003_05_04/en/〉)。
しかし、温風空気や水蒸気を用いたのでは、熱効率の観点から人体の組織に損傷を与えずにコロナウイルスを死滅させることができるのか疑問がある。一方、レーザ光であれば短時間で局所的な照射が可能であるが、皮膚や粘膜の組織も同時に損傷を与えてしまうことが問題となる。
これに対し、過熱水蒸気は高い伝熱性を有し、短時間で高温の熱処理が可能であり、生体の組織に与える影響を抑えながらウイルスを死滅させ、又は不活化を図ることが可能であると考えられる。別言すれば、ウイルスを死滅させ又は不活化するために56℃以上に過熱する必要があるとされる場合、過熱水蒸気を用いることで、噴霧先の温度が56℃以上となるように、噴霧される過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の温度を制御することができる。
図2は、本実施形態に係る過熱水蒸気発生装置100の構成の一例を示す。この過熱水蒸気発生装置100は、超音波によりミストを発生させ、高周波誘導加熱によりミストを100℃以上に加熱して過熱水蒸気を発生させる機構を有する。図2に示す過熱水蒸気発生装置100は、供給ユニット102及び過熱ユニット104を有し、過熱水蒸気が過熱ユニット104からチューブ126に供給される構成を有する。以下において、過熱水蒸気発生装置100の各部の詳細を説明する。
図3(A)は、供給ユニット102の詳細を示す。供給ユニット102は、水を貯留する容器134と、容器134に設置された超音波振動器136を含む。容器134の形状は任意であるが、送風口140と送出口141とを有する。送風口140及び送出口141は、容器134に水が充填されたときに、水位より高い位置に設けられる。送風口140には送風ユニット106が設けられる。送風ユニット106は、送風ファン122及び送風ファン制御回路114を含んで構成される。送風ファン122としては、プロペラファン、シロッコファン、ターボファンなどが用いられる。図示されないが、送風ファン122には、塵や埃などの浸入を防ぐエアフィルター(防塵カバー)が設けられていてもよい。送風ファン制御回路114は、送風ファン122のオン・オフ及び回転速度の制御を行う。送出口141には過熱ユニットが取り付けられる。送風ユニット106、過熱ユニット104は容器134に直接取り付けられてもよいし、ダクトを介して接続されていてもよい。
図3(B)は、図3(A)に示す容器134の構成に対し、容器134に水を供給するウォーターサーバー143が付加され、容器134内の水位を一定に保つ構成を示す。容器134には給水部142が設けられ、給水部142にはウォーターサーバー143が装着される。ウォーターサーバー143は逆止弁144が設けられており通常は水が出ない構造となっている。給水部142の取り付け口にウォーターサーバー143が装着されると逆止弁144が開き、給水部142の中に水が供給される。給水部142の水位はウォーターサーバー143内に水が入っている限り、その水の残量に拘わらず一定となる。容器134は、下側には給水部142に繋がる開口部が設けられており、給水部142の水が流れ込む構造を有する。容器134に流れ込んだ水の水位は、給水部142の水位と同じとなる。このような構造により、給水部142から水が供給される限り、容器134の水位は一定に保たれる。ウォーターサーバー143は着脱式であり、取り外す際には逆止弁144が閉じる構造を有するので、水が残存していてもこぼれ出ないようにされている。図3(B)に示すような容器134の構造によれば、常に水位を一定に保つことができるので、長時間、連続してミストを発生させることができる。
送風ユニット106から風(空気)が送られると、容器134の内部では送風口140から送出口141にかけて気流が生じる。容器134の内部で生成されたミストは、気流に流されて送出口141から過熱ユニット104に供給される。
超音波振動器136は、超音波振動子138と発振回路137から構成される。超音波振動子138は容器134に貯留された水に超音波が作用するように設けられる。超音波振動器136は、超音波振動子138と発振回路137とが一体になったものでもよいし、両者が分離したものであってもよい。図3(A)及び(B)は、超音波振動子138と発振回路137が一体になったものが水中に配置された例を示す。発振回路137は、例えば、200〜2400kHzの発振周波数を有し、出力及び発振周波数が可変であるものが用いられることが好ましい。発振回路137の出力の増減によりミストの発生量を制御することができ、周波数の高低によりミストの平均的な粒径を制御することができる。例えば、発振回路137の出力の増加によりミストの発生量を増加させることができ、周波数を高くすることによりミストの粒径分布のピーク粒径を小さくすることができる。
供給ユニット102において、超音波振動子138を用いることで、スイッチのオン・オフだけで直ぐにミストを発生させることができる。別言すれば、水蒸気を発生させる方式では水を加熱する必要があるが、本実施形態の供給ユニット102は超音波振動を水に作用させればよいので、室温でミストを発生させることができる。
図2に示すように、供給ユニット102で発生したミストは、送風ユニット106により生成される気流によって過熱ユニット104に流れされる。過熱ユニット104は、ミストが流れる少なくとも1本の内管147と、その内管147を高周波誘導加熱するコイル146とを含む。少なくとも1本の内管147は、ミストである水の微粒子が管壁に接触する確率が増加するように、複数の内管147からなることが好ましい。
図5及び図4は、過熱ユニット104の詳細を示す。図5は、過熱ユニット104の断面構造を示し、同図に示すA−B間に対応する断面構造を図4に示す。以下の説明では、図5及び図4を適宜参照するものとする。
過熱ユニット104は、少なくとも1本の内管147と、その内管147の周りを長手方向に沿ってスパイラル状に巻かれたコイル146を含む。内管147は金属製であり、例えばステンレス製の細管が用いられる。内管147の大きさは、例えば、直径10mm〜20mm、長さ100mm〜200mm程度のものが用いられる。導電材料で形成される内管147は発熱体としての機能を有し、コイル146により誘導加熱される。内管147が誘導加熱されることにより、その管内を流れるミストが加熱され過熱水蒸気が発生する。ミストから過熱水蒸気を効率良く生成するために、細い径の内管147をスパイラル状に巻かれたコイル146の中に、複数本設けられていることが好ましい。これにより、流路の中でミストの接触面積を増大させることができ、効率よく過熱水蒸気を発生させることができる。なお、発熱体の形状は管状のものに限定されず、コイル146により誘導加熱されるものであれば他の形状を有していてもよい。例えば、ミストが流れる領域に、発熱体として誘導加熱されるグリルやフィンが配置された構成を有していてもよい。
コイル146は、例えば、リッツ線コイルが用いられる。リッツ線としては、素線の直径が0.1mm〜0.3mm(例えば、0.14mm)、素線の本数が100本〜300本(例えば、250本)程度のものが用いられる。また、コイル146として、無垢の導線、又は中空の銅管が用いられてもよい。コイル146として中空の銅管が用いられる場合には、中空部分に冷却水が通されてもよい。
内管147とコイル146との間には、外管148と断熱材149が設けられる。外管148は、内管147を束ねて位置を固定するように設けられる。外管148としては、例えば、熱伝導率が高いアルミナなどのセラミクスの管が用いられる。外管148として熱伝導率が高い材質を用いることで、内管147の発熱を均熱化することができる。断熱材149は外管148の周りを覆い、内管147を断熱するために設けられる。このような構成により、過熱ユニット104の熱効率(投入電力に対する過熱水蒸気の生成割合)を高めることができる。
断熱材149とコイル146との間には、断熱材149を囲むように内側絶縁部材150が設けられ、その外側に外側絶縁部材151が設けられる。内側絶縁部材150と外側絶縁部材151とは密接して設けられるのではなく、両者の間に流路159が形成されるように離隔して設けられる。内側絶縁部材150と外側絶縁部材151との間には、全周に亘って流路159が保持されるようにスペーサ152が設けられていてもよい。
外側絶縁部材151の外側にコイル146がスパイラル状に巻き付けられる。コイル146の外側には、磁気漏れを抑えるために棒状フェライト153が設けられていてもよい。また、過熱ユニット104には冷却ユニット110が取り付けられ、冷却ファン124により内側絶縁部材150と外側絶縁部材151との間の流路159に冷却空気が送風されてもよい。例えば、過熱ユニット104の長手方向の一方の側から、内側絶縁部材150及び外側絶縁部材151の間隙部に冷却ファン124の送風が流入するように、ダクト158が設けられていてもよい。過熱ユニット104の長手方向の他方の側は、開放端としておくことで、スパイラル状に巻かれたコイル146の全体を空冷することができる。
なお、図示されないが、上述のような空冷方式に代えて、水冷方式が適用されてもよい。すなわち、内側絶縁部材150及び外側絶縁部材151の間隙部に冷却水が流れるチューブが通されていてもよい。
過熱ユニット104は、内管147の流入側に吸入管154が設けられ、流出側に吐出管156が設けられていてもよい。耐熱性の観点から、吸入管154は内管147と接しないように設けられることが好ましい。吸入管154は、内管147と供給ユニット102とを繋ぐ管であり、吸入管154の入口側が供給ユニット102の送出口141に取り付けられる。吸入管154は適宜設けられればよいが、これを設けることで複数本の内管147にミストを均一に流すことができる。吐出管156は、内管147の出口側に設けられ、吐出される過熱水蒸気の流れを均一化すると共に、吐出口157の径の大きさにより過熱水蒸気の流速を調整することができる。例えば、吐出管156における吐出口157の径を狭めることで、過熱水蒸気の流速を早くすることができる。
図2は、また、送風ユニット106、供給ユニット102、及び過熱ユニット104の動作を制御する制御ユニット108を示す。制御ユニット108は、送風ファン制御回路114と接続され、送風ファン122のオン・オフ、回転速度を制御する信号を出力する。また、制御ユニット108は、発振回路制御回路116と接続され、発振回路137の出力及び発振周波数を制御する。さらに、制御ユニット108は、高周波回路120と接続される。高周波回路120は、コイル146に高周波電力を供給する回路であり、例えば、高周波インバータで構成される。制御ユニット108は、高周波回路120の出力電力を制御する信号を出力する。さらに、制御ユニット108は、冷却ユニット110の冷却ファン制御回路118と接続され、冷却ファン124のオン・オフを制御する。制御ユニット108は、高周波回路120の出力の増減に対応して、冷却ファン124の送風量を増減させる信号を冷却ファン制御回路118に出力するように構成されてもよい。このような機能を有する制御ユニット108は、CPU(又はマイクロコントロ−ラ)、メモリなどで構成されるハードウェア資源と、コンピュータプログラムなどのソフトウェア資源とを用いて構成することができる。
制御ユニット108は温度センサ112と接続される。図2は、温度センサ112の検知部が、過熱ユニット104の吐出口157及びチューブ126の先端の吹出部130に設けられる一例を示す。また、図示されないが、チューブ126の途中にバッファタンク128が設けられる場合、温度センサ112はバッファタンク128に滞留する過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の温度を測定する検知部が設けられてもよい。検出部は過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の温度を測定するため熱電対や白金測温抵抗素子などが用いられる。温度センサ112は、過熱ユニット104の吐出口157における過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の温度、チューブ126の先端の吹出部130のおける過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の温度を測定し、その測定データを制御ユニットに出力する。なお、温度センサ112は、過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の温度を直接的に測定してもよいし、過熱ユニット104の吐出管156の温度、吹出部130のチューブ126の温度を測定して、その測定値を過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の温度を示す代用値として用いてもよい。
制御ユニット108は、温度センサ112により測定された過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の温度に応じて、送風ユニット106、供給ユニット102、及び過熱ユニット104の動作を制御する。例えば、吹出部130における過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の温度を所定の設定温度にする場合、制御ユニット108は、温度センサ112の測定データに基づいて送風ユニット106の風量を増減する制御する信号を送風ファン制御回路114に出力する。また、制御ユニット108は、温度センサ112のデータに基づいて発振回路137の出力の大小を制御する信号を発振回路制御回路116に出力する。さらに、制御ユニット108は、温度センサ112のデータに基づいてコイル146に印加される高周波電力の大小を制御する信号を高周波回路120に出力する。
例えば、制御ユニット108は、吹出部130における過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の温度が低い(高い)場合には、過熱ユニット104のコイル146に印加する高周波電力を高く(低く)する信号を高周波回路120に出力し、供給ユニット102の発振回路137の出力を低く(高く)する信号を発振回路制御回路116に出力し、送風ユニット106の送風ファン122の回転速度を遅く(速く)する信号を送風ファン制御回路114に出力することで、吹出部130の過熱水蒸気の温度を調整する。また、制御ユニット108は、吹出部130における過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の温度を一定に保ちつつ、供給量を増やしたい(減らしたい)場合には、送風ユニット106の送風ファン122の回転速度を速く(遅く)する信号を送風ファン制御回路114に出力し、供給ユニット102のミストの発生量が増加(減少)するように、発振回路137の出力を高く(低く)する信号を発振回路制御回路116に出力する。
図2は、過熱ユニット104にチューブ126が接続され、過熱水蒸気がチューブ126の中を流れて吹出部130から過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の状態で供給される態様を示す。チューブ126は可撓性を有し、吹出部130を所定の位置(任意の位置)に設置することができる。吹出部130の部分には、過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体が放散しないようにシールド(又はマスク)132が設けられていてもよい。また、図示されないが、可撓性を有するチューブ126に代えて、硬直な管が用いられてもよい。
過熱水蒸気発生装置100は、ユニットごとに分離することができる。例えば、図2に示すS1の位置で供給ユニット102と過熱ユニット104を分離することができる。さらに、S2の位置で過熱ユニット104とチューブ126とを分離することができる。また、過熱ユニット104内であっても、S3の位置で本体部分と吐出管156とが分離できる構造を有していてもよい。図2に示すS1〜S3においては、各種の継手の構造を採用することができる。継手して、例えば、フランジ形、ユニオン形、ねじこみ形、くい込み式の継手を使用することができる。このように、各ユニットを分離可能な構成とすることで、過熱水蒸気発生装置100のメンテナンス性を高めることができる。
なお、図2に示す過熱水蒸気発生装置100の構成は一例であり、図示される一部の機能が省略されてもよく、又は他の機能と一体化されていてもよい。例えば、発振回路制御回路116と発振回路137とが機能的に一体化されていてもよい。また、送風ファン制御回路114と送風ファン122とが機能的に一体化されていてもよい。さらに、制御ユニット108は一つに限定されず、機能的に複数に分割されていてもよい。例えば、供給ユニット102と過熱ユニット104とを制御する制御ユニットが別々に設けられていてもよい。
また、制御ユニット108は、温度センサ112が吐出口157や吹出部130で設定値を超える異常温度を検知したときに、過熱水蒸気発生装置100の動作を止める(又は過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の吐出を止める)安全機構が設けられていてもよい。
図6(A)は、過熱ユニット104に接続されるチューブ126の断面構造の一例を示す。図6(A)に示すチューブ126は、チューブ本体160の外側にヒータ161が巻かれた構造を有する。ヒータ161としては、チューブ本体160に巻き付けることのできるリボンヒータ、コードヒータなどが用いられる。ヒータ161の外側には断熱材162が巻かれていてもよい。このような構造のチューブ126によれば、チューブ本体160の中を流れる過熱水蒸気の温度を抑制することができる。このようなチューブ126を設けることで、吹出部130における過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の温度を正確に制御することができる。
図6(B)は、二重管形のチューブ126を示す。チューブ126は、外側チューブ165の中に内側チューブ164が通された構造を有する。このような構成により、二重管形のチューブ126は、内側チューブ164による第1の流路と、内側チューブ164と外側チューブ165との間の空間による第2の流路との2つの流路が形成される。外側チューブ165はシールド132に接続され、過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の吹出部130は内側チューブ164により形成される。このような構成によれば、過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体が流れ出る吹出部130の周りを囲むように、第2の流路から空気が供給されるので、過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体に晒される領域を囲む周辺の領域の温度が上昇しないようにすることができる。別言すれば、過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体に晒される領域の周辺領域の温度上昇を抑えることができるので、過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体を局所的に作用させることができる。
図6(B)は、第2の流路に空気を流す例を示すが、これに限定されず、第2の流路には用途に応じて様々なガスを流すことができる。例えば、第2の流路には、酸素ガス、窒素ガス、希ガスなどを流すことができる。
また、図示されないが、図6(A)に示すチューブ126の構成と、図6(B)に示すチューブ126の構成とを適宜組み合わせてもよい。例えば、図3(B)に示すチューブ126において、内側チューブ164又は外側チューブ165の周りにヒータ161が設けられてもよい。
以上、説明したように、本実施形態に係る過熱水蒸気発生装置100によれば、ミストを生成する供給ユニット102と、高周波誘導加熱によりミストを加熱する過熱ユニットとを用いることで、簡便な構成で過熱水蒸気を発生させることができる。過熱水蒸気発生装置100は、送風ユニット106の送風量と、供給ユニット102の超音波振動子138の振幅により過熱水蒸気の供給量を制御することができ、超音波振動子138の振動周波数により過熱水蒸気の粒径を制御することができ、過熱ユニット104の誘導加熱の電力により過熱水蒸気の温度を制御することができる。それにより、過熱水蒸気を様々な用途に適用することができる。
[第2の実施形態]
本実施形態は、第1の実施形態に示す過熱水蒸気発生装置の異なる態様を示す。以下の説明においては、第1の実施形態と相違する部分について説明する。
図7は、本実施形態に係る過熱水蒸気発生装置100を示す。この過熱水蒸気発生装置100は、チューブ126aの情報を読み取る読み取りセンサ180を含む。また、チューブ126aにはチューブの情報を含む識別子182が付されている。識別子182に含まれる情報には、チューブの材質、内径、長さ、その他のチューブに関する情報が含まれる。その他のチューブに関する情報としては、コネクタの種類、製造番号、製造現月日、製造元、特殊仕様(ヒータの有無、チューブの構造)などが含まれる。
識別子182は、電磁的又は光学的に読み取り可能な識別子が用いられる。例えば、識別子182は、非接触ICタグ、二次元バーコード、一次元バーコードで形成される。識別子182として、非接触ICタグを用いることでチューブの情報を記憶させることができる。また、二次元バーコード、一次元バーコードを用いることで、チューブの情報を識別することができる。識別子182が二次元バーコード、一次元バーコードである場合には、制御ユニット108が内蔵又はネットワーク状にあるデータベースにアクセスしてチューブの情報を取得する。
過熱水蒸気発生装置100は、制御ユニット108が、装置の起動時又は過熱水蒸気を発生させるとき読み取りセンサ180で識別子182の情報を読み取り、その情報を供給ユニット102、過熱ユニット104、送風ユニット106の制御に使用する。すなわち、チューブ126aの吹出部130における過熱水蒸気の温度、流量、供給圧が設定されている場合、チューブ126aの長さに基づいて、供給ユニット102、過熱ユニット104、送風ユニット106の駆動条件を設定する。
図7に示すように、内径が異なる複数のチューブ126a〜126dを有する場合、利用者は、使用条件や用途に応じて適切なチューブを選択することができる。特定のチューブが選択された場合、本実施形態に係る過熱水蒸気発生装置100は、チューブ126の情報を自動的に読み取って、各ユニットの制御を行うことができる。これにより、過熱水蒸気発生装置100を、チューブ126の種類に応じた適した条件で駆動することができ、利用者の便宜を図ることができる。
さらに、過熱水蒸気発生装置100は、取り付けられたチューブに識別子が付されておらず情報を読み取れない場合、又は識別子が付されているが登録されている識別子ではない場合、若しくは識別子の情報によりチューブの使用期限が過ぎていると判断された場合には、インターロックが作動して停止するように構成されていてもよい。それにより、純正品のチューブのみの使用を可能とし、非正規品の使用を禁止するようにすることができる。このような構成により、過熱水蒸気発生装置100によって提供される各種処理又は処置の品質を維持することができる。
[第3の実施形態]
本実施形態は、第1の実施形態及び第2の実施形態に示す過熱水蒸気発生装置100を用いた菌、ウイルスの不活化方法の一例を示す。
図8(A)は、過熱水蒸気発生装置100を医療用噴霧器(ネブライザ)として用いる一例を示す。過熱水蒸気発生装置100は、ミストを加熱して過熱水蒸気を発生させ、発生した過熱水蒸気をチューブ126の中を流し、吹出部130に設けられたマスク167の内側から過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体を霧状に噴霧する。利用者は、マスク167を鼻口に当てて呼吸をすることにより、過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の一部を吸引することができる。第1の実施形態で述べたように、ウイルスは熱に弱いので、熱効率の高い過熱水蒸気により短時間で不活化又は死滅させることができると考えられる。また、図8(B)は、ノーズピース168を用いて、利用者が霧状に噴霧された過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体を鼻から吸引する態様を示す。ノーズピース168は、チューブを省略して過熱水蒸気発生装置100の吐出口157に直接取り付けられていてもよい。
図8(A)に示す構成において、チューブ126として図6(A)に示すヒータ161が設けられたチューブ又は二重管形のチューブが用いられてもよい。また、可撓性を有するチューブ126に代えて硬直な細い管が用いられてもよい。図8(B)に示す構成においてノーズピース168に代えて図示されないマウスピースが取り付けられてもよい。
図9(A)は、過熱水蒸気発生装置100を医療用噴霧器として用いる他の一例を示す。過熱水蒸気発生装置100は、ミストを加熱して過熱水蒸気を発生させ、過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体をウイルスに感染した患者の患部(例えば、鼻腔、口腔など)に局所的に照射する。過熱水蒸気発生装置100は、発生した過熱水蒸気を、チューブ126を通してノズル166まで輸送し、過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体が鼻腔(又は口腔)に挿入した細いノズル166の先端から患部に向けて局所的に照射されるので、患者の身体的負担は軽微なものとなる。図示されないが、ノズル166には流路の開閉を行うコックが取り付けられていてもよい。また、可撓性を有するチューブ126に代えて金属製の細管を使用してノズル166の位置が固定される構造を有していてもよい。
図9(B)は、過熱水蒸気発生装置100で物品169の消毒、殺菌に用いる一例を示す。チューブ126の吹出部130には対象となる物品169を覆うようにシールド132が設けられており、過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体が周囲に広がらないようにされている。対象となる物品169に特段の制限はなく、例えば、食器、文具、衣類、靴、鞄、その他の生活用品、メス、剪刀、鉗子、ピンセット、その他の医療器具などを例示することができる。また、物品に代えて食品の殺菌に用いることもできる。過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体を用いることで、物品に付着した菌、ウイルスの不活化を図り、又は死滅させることができる。また、過熱水蒸気を用いることで物品を乾燥させることができる。
図8(A)及び(B)、並びに図9(A)及び(B)に示す場合において、過熱水蒸気発生装置100は、供給ユニット102で生成されたミストが過熱ユニット104で高温に加熱されるので同時に殺菌され、清浄な過熱水蒸気を提供することができる。
本実施形態に係る過熱水蒸気発生装置100は、第1の実施形態で説明したように簡便な構成を有することにより、小型で持ち運びが可能な医療用機器又は家庭用機器として提供することができる。また、本実施形態に係る過熱水蒸気発生装置100は、風量(送風ファン122の送風量)、ミストの供給量(超音波振動子138の振幅)、ミストの粒径(超音波振動子138の振動周波数)、ミストの加熱温度(誘導コイルの電力)といった複数のパラメータで供給口における過熱水蒸気又は過熱水蒸気の状態から冷却された微小液滴を含む気体の供給量や温度を制御することができるので、安全にコントロールされた高温の過熱水蒸気を用いて菌、ウイルスの不活化をすることができる。
[第4の実施形態]
本実施形態は、第1の実施形態及び第2の実施形態に示す過熱水蒸気発生装置に対し、供給ユニットの構成が異なる態様を示す。以下の説明においては、第1の実施形態及び第2の実施形態と相違する部分について説明する。
第1の実施形態及び第2の実施形態では、供給ユニット102が超音波振動器136によって非加熱でミストを発生させていたが、本実施形態は供給ユニット103が加熱手段によって水蒸気を発生させる例を示す。
図10(A)は、電熱線を用いたヒータ170により水が入れられた容器134を加熱して水蒸気を発生させる態様を示す。容器134には送風口140に送風ユニット106が設けられ、送出口141の側には過熱ユニット104が取り付けられる。図10(B)は、誘導加熱用コイル172により水が入れられた容器134を加熱する態様を示す。この場合、容器134は誘導加熱されるように、金属製のものが用いられる。図10(C)は、ガスバーナー174で容器を加熱する態様を示す。なお、容器134は、図3(B)に示すような、水位を一定に保つ構成を有していてもよい。
図10(A)〜(C)に示す構成によれば、大量の水蒸気を発生させることができる。それにより、過熱水蒸気の供給量を増やすことができる。他の構成は第1の実施形態及び第2の実施形態と同様であり、同様の作用効果を得ることができる。
[第5の実施形態]
本実施形態は、第1の実施形態及び第2の実施形態に示す過熱水蒸気発生装置に対し、過熱ユニットの構成が異なる態様を示す。以下の説明においては、第1の実施形態及び第2の実施形態と相違する部分について説明する。
図11(A)は、過熱ユニット105として、電熱線を用いたヒータ176により流通管177を加熱し、その熱で管内を流れるミストを加熱して過熱水蒸気を発生させる構成を示す。ヒータ176は流通管177の周りに長手方向に沿って設けられる。ヒータ176の外側を覆うように断熱材162が設けられていてもよい。流通管177は金属、セラミックスなどの耐熱性を有する材料で形成される。また、流通管177は、図示されるように単管で構成されてもよいし、複数の管が束ねられた構成を有していてもよい。また、図4に示すように、流通管177は外管と内管によって構成されてもよい。図11(A)に示す構成によれば、ヒータ176を設けるだけの比較的簡便な構成で過熱ユニット105を形成することができる。
図11(B)は、ガスバーナー178で流通管177を加熱し、その熱で管内を流れるミストを加熱して過熱水蒸気を発生させる構成を示す。ガスバーナー178は、流通管177の長手方向に沿って設けられ、その前後に空気が流入するダクト179が設けられていてもよい。図11(B)に示す構成によれば、比較的短時間で内管147の温度を上昇させ、過熱水蒸気を発生させることができる。
図11(A)〜(B)に示す構成によれば、誘導加熱法を用いる場合と同様に過熱水蒸気を発生させることができる。他の構成は第1の実施形態及び第2の実施形態と同様であり、同様の作用効果を得ることができる。また、本実施形態に係る過熱ユニット105の構成と、第4の実施形態に示す供給ユニット103の構成と組み合わせて過熱水蒸気発生装置を構成することができる。