JP5577493B1 - 常圧過熱蒸気放出装置及び常圧過熱蒸気放出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】常圧過熱蒸気の状態のまま、当該常圧過熱蒸気を対象物に確実に接触させることが可能となり、当該対象物に対して無酸素状態で短時間に殺菌、乾燥、焼結、洗浄、脱油、焙煎等の処理を施すことが可能な常圧過熱蒸気放出装置1を提供する。
【解決手段】常圧過熱蒸気を対象物に放出させる常圧過熱蒸気放出装置1であって、水を常圧で加熱することで、蒸気を発生させる蒸気発生部10と、前記発生された蒸気を所定の場所まで誘導する加熱ホース部11と、前記誘導された蒸気を常圧で更に加熱することで、温度が160度以上の高温状態の常圧過熱蒸気を発生させ、当該発生させた常圧過熱蒸気を、放出口から15.0cm以内の距離にある対象物に放出する加熱先端部とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】常圧過熱蒸気を対象物に放出させる常圧過熱蒸気放出装置1であって、水を常圧で加熱することで、蒸気を発生させる蒸気発生部10と、前記発生された蒸気を所定の場所まで誘導する加熱ホース部11と、前記誘導された蒸気を常圧で更に加熱することで、温度が160度以上の高温状態の常圧過熱蒸気を発生させ、当該発生させた常圧過熱蒸気を、放出口から15.0cm以内の距離にある対象物に放出する加熱先端部とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、常圧過熱蒸気放出装置及び常圧過熱蒸気放出方法に関し、詳しくは、常圧過熱蒸気の状態のまま、当該常圧過熱蒸気を対象物に確実に接触させることが可能となり、当該対象物に対して無酸素状態で短時間に殺菌、乾燥、焼結、洗浄、脱油、焙煎等の処理を施すことが可能な常圧過熱蒸気放出装置及び常圧過熱蒸気放出方法に関する。
従来より、過熱蒸気を利用した装置の技術は、数多く存在する。例えば、実用新案登録第3129858号公報(特許文献1)には、水を加熱することにより、飽和蒸気を発生させるボイラーと、前記ボイラーと別体的に構成され、前記ボイラーにて発生された飽和蒸気を加熱することにより、350℃〜400℃の範囲内の温度の過熱蒸気を発生させる電気ヒータとを備えた洗浄殺菌装置が開示されている。この洗浄殺菌装置では、前記電気ヒータで発生された過熱蒸気を、250℃以上の温度の過熱蒸気として送出するとともに、外面温度を手で操作可能な温度に抑える可撓性断熱ホースを備える。これにより、実際にノズルの先端から15cmの距離に位置する対象物に当たるときの過熱蒸気の温度を150℃以上とし、芽胞致死時間を0.6秒とすることが可能となるとしている。又、過熱蒸気の放出位置を人手で自由に操作することが可能となり、環境汚染を引き起こすことなく、洗浄殺菌性能を向上させるとともに、洗浄殺菌装置のポータブル性を確保しつつ、様々の対象物を広範囲に渡って洗浄殺菌することが可能となるとしている。
又、特開2003−14203号公報(特許文献2)には、常温水または温水を噴霧する噴霧ノズルと、該噴霧ノズルからの霧(微小水滴集合体)を導入・導出する1本又は複数本の伝熱管と、前記電熱管を直接的に加熱する直接加熱手段とを構成要素として含むことを特徴とする過熱蒸気発生装置が開示されている。これにより、噴霧量を大きくできるとともに噴霧量の制御が容易となり、さらには、無酸素状態の過熱水蒸気を発生させることが容易となるとしている。
又、特開2009−2640号公報(特許文献3)には、炭素質の発熱素子(3)を保護管(4)に封入してなる棒状のヒータ(1)と、熱交換器(2)の組み合わせからなる気体加熱器が開示されている。この気体加熱器は、前記ヒータ(1)の発熱素子(3)として帯状の炭素質発熱体が使用され、該ヒータ(1)の全体を収納したヒータパイプ(6)に前記発熱素子(3)の扁平な面を挟んだ一対の対向面(7)、(7)が設けられ、前記各対向面(7)の外側面にそれぞれ前記の熱交換器(2)が一体化されている。又、該熱交換器(2)は前記対向面(7)に固定され気体通路を構成するフレーム(12)とそのフレーム(12)の内部に設けられたコルゲートフィン(13)とにより構成され、前記熱交換器(2)の長さ方向の一端に気体供給部、他端に加熱気体排出部がそれぞれ設けられたことを特徴とする。これにより、発熱素子3の熱を効率よく熱交換器2に伝導させることができ、また、突入電流の発生がなく、高温が得られるというカーボンヒータの特長を発揮させることができるとしている。更に、その熱交換器2中を移動する気体は熱交換器2の全長にわたり熱交換作用を受けるため、十分に高く、かつ温度の均一な温風を得ることができるとしている。
又、特開2002−181306号公報(特許文献4)には、飽和蒸気を加熱して過熱蒸気を得る過熱蒸気発生装置が開示されている。この過熱蒸気発生装置は、蒸気の通路となる導管と、この導管内であって蒸気の通路に充填されており、蓄熱材によって蒸気が通過可能に形成された蓄熱体と、蒸気を加熱するための加熱体とを備えたことを特徴とする。これにより、(1)蓄熱材を使用し、更に装置全体を断熱材で被覆することとしたので、温度低下を伴うことなく、安定して過熱蒸気を供給することができるとしている。又、(2)複数箇所で過熱蒸気の温度を測定することとしたので、過熱蒸気の温度を良好に所望の値に保持することができるとしている。
又、特開2012−183249号公報(特許文献5)には、ケースと、発熱部が前記ケース内に配置されるように前記ケースの側壁を貫通し、先端部が前記ケースと接触するように設けられた棒状のヒータとを備える過熱蒸気発生装置ユニットが開示されている。この過熱蒸気発生装置ユニットは、蒸気取込口を通じて前記ケース内に取り込まれた蒸気を前記ヒータの発熱部で加熱して過熱蒸気を生成し、過熱蒸気排出口を通じて前記過熱蒸気を排出する過熱蒸気発生装置と、前記過熱蒸気排出口の近傍に設けられ前記過熱蒸気の温度を検知するための過熱蒸気温度検知部とを有している。これにより、過熱蒸気の温度を検知する過熱蒸気温度検知部が過熱蒸気排出口の近傍、もしくは、前記過熱蒸気排出口側のヒータ根元に設けられているので、過熱蒸気の温度を精度良く検知することができ、安定した過熱蒸気を供給することができ、食味を向上させた炊飯器を提供することができるとしている。
しかしながら、上述した特許文献1−5に記載の技術では、使用条件によって効果にばらつきがあったり、十分な効果が得られなかったりする問題があった。
又、常圧での過熱蒸気(常圧過熱蒸気)は、通常、対象物に放出すると、外気(大気)に触れて、当該過熱蒸気の温度が急激に下がり、通常の飽和蒸気に容易に戻ってしまうという問題がある。この戻った飽和蒸気では、常圧過熱蒸気の利点、特性を得ることは出来ない。
そこで、本発明は、前記問題を解決するためになされたものであり、常圧過熱蒸気の状態のまま、当該常圧過熱蒸気を対象物に確実に接触させることが可能となり、当該対象物に対して無酸素状態で短時間に殺菌、乾燥、焼結、洗浄、脱油、焙煎等の処理を施すことが可能な常圧過熱蒸気放出装置及び常圧過熱蒸気放出方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、本発明に係る新規な常圧過熱蒸気放出装置及び常圧過熱蒸気放出方法を完成させた。
即ち、常圧過熱蒸気を対象物に放出させる常圧過熱蒸気放出装置であって、水を常圧で加熱することで、蒸気を発生させる蒸気発生部と、前記発生された蒸気を常圧で加熱しながら所定の場所まで常圧で誘導する加熱ホース部と、前記誘導された蒸気を常圧で更に加熱することで、温度が160度以上の高温状態の常圧過熱蒸気を発生させ、当該発生させた常圧過熱蒸気を、放出口から常温の外気を介して15.0cm以内の距離にある対象物に常圧で放出して、当該対象物に常圧過熱蒸気を接触させて、当該対象物に常圧過熱蒸気の効果のうち、少なくとも殺菌効果を生じさせる加熱先端部とを備えることを特徴とする。
又、本発明は、常圧過熱蒸気を対象物に放出させる常圧過熱蒸気放出装置の常圧過熱蒸気放出方法としても提供することが出来る。
即ち、常圧過熱蒸気を対象物に放出させる常圧過熱蒸気放出装置の常圧過熱蒸気放出方法であって、水を常圧で加熱することで、蒸気を発生させるステップと、加熱ホース部を用いて、前記発生された蒸気を常圧で加熱しながら所定の場所まで常圧で誘導するステップと、加熱先端部を用いて、前記誘導された蒸気を常圧で更に加熱することで、温度が160度以上の高温状態の常圧過熱蒸気を発生させ、当該発生させた常圧過熱蒸気を、放出口から常温の外気を介して15.0cm以内の距離にある対象物に常圧で放出して、当該対象物に常圧過熱蒸気を接触させて、当該対象物に常圧過熱蒸気の効果のうち、少なくとも殺菌効果を生じさせるステップとを備えることを特徴とする。
本発明に係る常圧過熱蒸気放出装置及び常圧過熱蒸気放出方法によれば、常圧過熱蒸気の状態のまま、当該常圧過熱蒸気を対象物に確実に接触させることが可能となり、当該対象物に対して無酸素状態で短時間に殺菌、乾燥、焼結、洗浄、脱油、焙煎等の処理を施すことが可能となる。
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る常圧過熱蒸気放出装置及び常圧過熱蒸気放出方法の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
<常圧過熱蒸気放出装置>
図1は、本発明に係る常圧過熱蒸気放出装置の正面斜視図であり、図2は、本発明に係る常圧過熱蒸気放出装置の背面斜視図であり、図3は、本発明に係る常圧過熱蒸気放出装置の加熱先端部の拡大斜視図である。
図1は、本発明に係る常圧過熱蒸気放出装置の正面斜視図であり、図2は、本発明に係る常圧過熱蒸気放出装置の背面斜視図であり、図3は、本発明に係る常圧過熱蒸気放出装置の加熱先端部の拡大斜視図である。
本発明に係る常圧過熱蒸気放出装置は、常圧過熱蒸気を対象物に放出させる常圧過熱蒸気放出装置1であって、図1、図2、図3に示すように、水を常圧で加熱することで、蒸気を発生させる蒸気発生部10と、前記発生された蒸気を所定の場所まで常圧で誘導するホース部11と、前記誘導された蒸気を常圧で更に加熱することで、温度が160度以上の高温状態の常圧過熱蒸気を発生させ、当該発生させた常圧過熱蒸気を、放出口12b(出口部、他端部)から15.0cm以内の距離にある対象物に放出する(排出する、当てる)加熱先端部12とを備えることを特徴とする。
これにより、常圧過熱蒸気の状態のまま、当該常圧過熱蒸気を対象物に確実に接触させることが可能となり、当該対象物に対して無酸素状態で短時間に殺菌、乾燥、焼結、洗浄、脱油、焙煎等の処理を施すことが可能となる。
即ち、常圧過熱蒸気は、高温空気と比較して約4倍の熱容量を有するため、その発生に多量の熱量が必要であり、例えば、常温の外気(大気)に触れると、容易に通常の飽和蒸気又は水に変わってしまう。
一方、常圧過熱蒸気は、通常の飽和蒸気と比較して小さな水分子を有するとともに、内部を無酸素状態とすることから、例えば、常圧過熱蒸気の状態のまま、対象物に接触させると、当該対象物を短時間で、殺菌、乾燥、焼結、洗浄、脱油、焙煎等することが可能となる。更に、常圧過熱蒸気は無酸素状態であることから、通常の飽和蒸気と比較して火災や爆発の可能性が低く、無煙、無臭であり、安全性に優れている。尚、通常の飽和蒸気の場合、水分子が大きいため、白色に見えるが、常圧過熱蒸気の場合、水分子が小さいため、無色透明となる。
そこで、本発明では、常圧で発生した蒸気を対象物まで誘導し、当該対象物へ放出させる段階でその蒸気を常圧で更に加熱することで、高温状態の過熱蒸気を創り出し、所定の距離の範囲内にある対象物に放出するのである。これにより、放出される常圧過熱蒸気を、前記対象物と接触する前に、飽和蒸気又は水に戻ることを確実に防止する。又、前記対象物へ放出された高温状態の常圧過熱蒸気は、所定の距離の範囲内であれば、外気に触れても、通常の飽和蒸気又は水に戻ること無く、当該常圧過熱蒸気の状態のままで前記対象物に接触する。言い換えると、常圧過熱蒸気の利点、特性を維持したまま、前記対象物に接触させることが可能となる。そのため、上述した常圧過熱蒸気の利点、特性を活かして、前記対象物に対して無酸素状態で短時間に殺菌、乾燥、焼結、洗浄、脱油、焙煎等の処理を施すことが可能となる。もちろん、火災や爆発等のおそれが無く、無煙、無臭であるから、極めて安全性に優れている。
尚、本発明では、常圧過熱蒸気を所定の圧力を印加して噴射するのではなく、常圧(約0.1MPa〜0.2MPaの範囲内)で放出するよう構成している。そのため、各部の内部で過熱蒸気に所定の圧力を印加する圧力印加手段は設けない。これにより、各部の内部で移動(流動)する蒸気の移動速度は遅くなるものの、上述した常圧過熱蒸気の利点、特性を確実に得ることが可能となる。
<蒸気発生部>
ここで、前記蒸気発生部10の構成は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定は無い。例えば、以下の構成が採用される。
ここで、前記蒸気発生部10の構成は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定は無い。例えば、以下の構成が採用される。
先ず、前記蒸気発生部10は、図1、図2、図3に示すように、電力供給を受けて加熱する加熱ヒータ(図示せず)を内部に備え、所定のコンセントで電力を供給すると、内部に供給された水を常圧で加熱して蒸気を発生させるよう構成される。
ここで、前記蒸気発生部10が発生する蒸気は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定は無く、飽和蒸気であっても常圧過熱蒸気であっても構わない。又、前記蒸気発生部10の加熱ヒータの温度は、100度〜120度の範囲内であると好ましい。これにより、内部に常圧で蒸気を確実に発生させ、急激な内部圧等の増加を防止することが可能となる。
尚、前記蒸気発生部10は、内部の加熱ヒータの性能に応じて100Vのボイラーでも200Vのボイラーでも採用することが可能である。
又、前記蒸気発生部10は、ユーザの手操作により開閉される第一の開閉弁10bを介して前記蒸気発生部10の内部と連通する碗型の水供給部10aを外表面の所定の位置に備える。これにより、ユーザが、前記水供給部10aの碗内に水を入れて前記第一の開閉弁10bを開くと、当該水が前記蒸気発生部10の内部へ供給され、ユーザが前記第一の開閉弁10bを閉じると、前記水の供給が停止される。
又、前記蒸気発生部10は、前記蒸気発生部10の内部の水の量を表示する長尺の窓部10cを前記蒸気発生部10の外側面に備え、ユーザが前記窓部10cを介して内部の水の量を確認出来るようになっている。
又、前記蒸気発生部10は、前記蒸気発生部10の内部の水と接しない箇所に圧力センサ(図示せず)を備えるとともに、当該圧力センサの値を表示する圧力計10dを前記蒸気発生部10の側面に備える。この蒸気発生部10の内部で蒸気が発生した場合は、当該蒸気の圧力が前記圧力計10dに表示されるため、ユーザが前記圧力計10dを介して内部の蒸気の圧力を監視出来る。
又、前記蒸気発生部10は、ユーザの手操作により開閉される第二の開閉弁10fを介して前記蒸気発生部10の内部と連通する内圧抜け部10eを前記蒸気発生部10の上面の所定の位置に備える。これにより、ユーザが、前記第二の開閉弁10fの開閉具合を制御することで、前記蒸気発生部10の内圧を抜いて常圧に戻したり、何らかの原因で蒸気が減圧した場合に、内圧を高めて常圧にしたりすることが出来る。又、前記内圧抜け部10eの内部に、内圧の抜けだけを許可する逆止弁(図示せず)を設けても構わない。
又、前記蒸気発生部10は、ユーザの手操作により開閉される第三の開閉弁10hを介して前記蒸気発生部10の内部と前記ホース部11の一端部11aとを連通して接続する第一の接続部10gを備える。これにより、ユーザが、前記第三の開閉弁10hを閉じて、前記蒸気発生部10の内部で蒸気を発生させ、その後、前記圧力計10dを見ながら、前記第三の開閉弁10hを開いて、前記発生した蒸気を前記ホース11の一端部11aに放出する(送り出す)ようになっている。又、この第三の開閉弁10hを調整することで、前記加熱先端部12の放出口12bから放出される常圧過熱蒸気の放出量を調整することが出来る。
尚、前記第三の開閉弁10hの開閉具合を閉じてから前記蒸気発生部10で蒸気を所定量だけ発生させた後に、当該第三の開閉弁10hを全開に開くと、常圧加熱であっても、水が水蒸気に変わって体積が増大するため、内圧が約0.2MPaになる場合もある。その場合であっても、周囲の環境圧が約0.1MPaとなるため、全体として常圧で加熱している状態である。
<ホース部>
又、前記ホース部11の構成は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定は無く、例えば、内壁に断熱層を設けた断熱ホース部でも内壁に加熱層を設けた加熱ホース部でも構わない。上述した蒸気発生部10から発生する蒸気が高温(例えば、160度以上)である場合、前記ホース部11は、断熱ホース部が好ましく、当該蒸気発生部10から発生する蒸気が低温(例えば、100度から120度等)である場合、前記ホース部11は、加熱ホース部が好ましい。前記加熱先端部12に確実に蒸気を誘導する観点から、加熱ホース部が好ましく、以下の構成では、加熱ホース部を採用した例を説明する。
又、前記ホース部11の構成は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定は無く、例えば、内壁に断熱層を設けた断熱ホース部でも内壁に加熱層を設けた加熱ホース部でも構わない。上述した蒸気発生部10から発生する蒸気が高温(例えば、160度以上)である場合、前記ホース部11は、断熱ホース部が好ましく、当該蒸気発生部10から発生する蒸気が低温(例えば、100度から120度等)である場合、前記ホース部11は、加熱ホース部が好ましい。前記加熱先端部12に確実に蒸気を誘導する観点から、加熱ホース部が好ましく、以下の構成では、加熱ホース部を採用した例を説明する。
先ず、前記ホース部11は、電力供給を受けて加熱する加熱ヒータ(図示せず)をホース部11の内部に備え、所定のコンセントで電力を供給すると、ホース部11の内部を通過する蒸気を更に常圧で加熱する。
ここで、前記ホース部11を通過する蒸気は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定は無く、飽和蒸気であっても常圧過熱蒸気であっても構わない。
前記ホース部11が、内部の蒸気を更に常圧で加熱する場合、当該ホース部11の内部の加熱ヒータの温度は、140度〜180度の範囲内であると好ましく、150度〜170度の範囲内であると更に好ましい。これにより、内部を通過中の蒸気を飽和蒸気や水に戻すことなく、常圧過熱蒸気にして所定の場所へ誘導し(案内し)、放出口12bへ導出させることが可能となる。
尚、前記ホース部11に設けられる加熱ヒータは、前記常圧過熱蒸気のままの状態で所定の場所へ誘導する構成であれば、前記ホース部11の全面に設けても一部面に間欠的に設けても構わない。
又、前記ホース部11は、過熱蒸気が通過する内管(図示せず)を、耐熱性、耐食性、可撓性を有する部材とし、前記内管を覆う外管11bを、断熱性、可撓性を有する部材とする。これにより、前記ホース部11は、全体としてフレキシブルホースとなり、ユーザが前記ホース部11を手で持ちながら自由に移動、操作して、前記対象物に近接させて沿わせることが可能となる。又、前記内管、外管11bの部材として、例えば、ステンレスや耐熱性のゴムを採用することが出来る。
又、前記ホース部11の全長は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定は無いが、例えば、一端部11a(蒸気の入口部)から他端部11c(蒸気の出口部)までの全長が、1.0m〜5.0mの範囲内であると好ましい。これにより、内部を移動する(流れる)蒸気を通常の飽和蒸気や水に戻さずに加熱し続け、所定の場所へ導出させることが可能となる。尚、前記ホース部11の全長が長すぎると、内部の加熱ヒータに消費する電力が膨大になるとともに、蒸気の通過経路が長すぎて通常の飽和蒸気や水に戻る可能性がある。
又、前記ホース部11は、内部を通過する蒸気が、前記蒸気発生部10から発生される蒸気の常圧に押し出されて、放出口12bへ移動(導出)するように構成される。これにより、放出口12bで常圧過熱蒸気を確実に発生させることが可能となる。
又、前記ホース部11は、他端部11cと前記加熱先端部12の一端部12aとを連通して接続する第二の接続部11dを備え、前記ホース部11の内部で加熱された蒸気が前記加熱先端部12に放出される(送り出される)ようになっている。
<加熱先端部>
又、前記加熱先端部12の構成は、内部に誘導された蒸気を常圧で加熱して、温度が160度以上の高温状態の常圧過熱蒸気を発生させる構成であれば、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定は無い。例えば、以下の構成が採用される。
又、前記加熱先端部12の構成は、内部に誘導された蒸気を常圧で加熱して、温度が160度以上の高温状態の常圧過熱蒸気を発生させる構成であれば、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定は無い。例えば、以下の構成が採用される。
先ず、前記加熱先端部12は、図3に示すように、一端部12a(蒸気の入口部)から他端部12b(高温状態の常圧過熱蒸気の出口部、放出口)に連通する略円筒形状の貫通孔12cが複数開口された円筒形状の管部材12dと、前記管部材12dの各貫通孔12cの内部に充填された加熱ヒータ12e(コイルヒータ)とを備え、所定のコンセントで前記加熱ヒータ12eに電力を供給すると、当該加熱ヒータ12eが、各貫通孔12cを通過する蒸気を更に常圧で加熱して、温度が160度以上の高温状態の常圧過熱蒸気を発生させる。
ここで、前記加熱先端部12の内部の加熱ヒータの温度は、200度〜500度の範囲内であると好ましく、250度〜390度の範囲内であると更に好ましい。これにより、前記ホース部11の内部を通過した蒸気を、温度が160度以上の高温状態の常圧過熱蒸気とすることが可能となる。この高温状態の常圧過熱蒸気が放出口12bから放出されると、当該放出口12bから所定の距離の範囲内であれば、外気に触れても、通常の飽和蒸気に戻ること無く、当該常圧過熱蒸気として機能し、当該常圧過熱蒸気で前記対象物に接触させることが可能となる。尚、前記管部材12dとして、例えば、セラミックスを採用することが出来る。
又、前記加熱先端部12は、他端部12bの内側で、前記対象物(外部)へ放出される高温状態の常圧過熱蒸気と直接接触する箇所に温度センサ12fを備えるとともに、ユーザからの設定温度(例えば、370度等)の入力を受け付けて、前記温度センサ12fの温度を当該設定温度になるように前記加熱ヒータ12eに電力を供給するヒータ制御部12gを備える。これにより、ユーザは、外部に放出したい高温状態の常圧過熱蒸気の温度を自由に制御することが可能となる。
又、前記加熱先端部12は、前記管部材12dを覆う耐熱性で円筒形状のケーシング12hを備え、ユーザが前記加熱先端部12のケーシング12hに触れても火傷等をしないように構成される。前記ケーシング12hには、無数の円形状の開口部が設けられ、耐熱性を高めている。
又、前記加熱先端部12の他端部12b(放出口、出口部)から高温状態の常圧過熱蒸気を放出する場合の当該加熱先端部12の他端部12bから前記対象物までの距離は、各部の設定温度、外気の温度、湿度等に応じて適宜設定されるものの、例えば、0.1cm(1.0mm)−15.0cmの範囲内が好ましく、0.1cm(1.0mm)−10.0cmの範囲内が更に好ましい。これにより、高温状態の常圧過熱蒸気を、通常の飽和蒸気に戻すことなく、常圧過熱蒸気の状態のままで、対象物に接触させることが可能となる。
又、前記加熱先端部12には、更に、ユーザの手操作により開閉される調整弁を備えるよう構成しても良い。これにより、ユーザが、前記調整弁を閉じて、内部の常圧過熱蒸気の量を十分に溜めた後で、当該調整弁を開いて、高温状態の常圧過熱蒸気を確実な量だけ放出することが可能となる。又、ユーザが、前記調整弁の開閉の程度を調整して、前記加熱先端部12から放出される常圧過熱蒸気の量を調整しても良い。
図4は、本発明に係る常圧過熱蒸気放出装置の加熱先端部の正面図、平面図、右側面図、斜視図を示す図である。
又、前記加熱先端部12は、図4に示すように、前記加熱先端部12の上面の所定の位置に、ユーザが把持可能な把持部13を更に備え、ユーザが当該把持部13を持って前記加熱先端部12の他端部12b(放出口)を操作出来るようになっている。
ここで、前記把持部13は、具体的には、図4に示すように、前記加熱先端部12の一端部12a近傍の上面に、前記加熱先端部12の径方向(短手方向)に沿って延出された第一の棒部12aと、当該第一の棒部12aの先端から前記加熱先端部12の軸方向(長手方向)に沿って後方に延出された第二の棒部12bと、当該第二の棒部12bの先端から前記加熱先端部12の周方向に沿って湾曲された半円弧状の湾曲棒12cとを備える。
尚、前記把持部13は、図4に示すように、前記加熱先端部12の上面に位置させて使用しても、前記加熱先端部12の下面に位置させて、当該加熱先端部12をより高い位置へ持っていくように操作しても構わない。
図5は、本発明に係る常圧過熱蒸気放出装置の加熱先端部を把持部を介してユーザが操作している場合の斜視図である。
図5に示すように、ユーザが、前記把持部13の第一の棒部12aを一方の手で把持し、当該把持部13の湾曲棒12cを手の腕にかけることで、当該把持部13にかけられた加熱先端部12を一方の手と腕に固定し、ユーザが、当該加熱先端部12を安全に操作することが可能となる。又、ユーザが、更に、他方の手で前記常圧過熱蒸気放出装置1のホース部11を把持しながら、一方の手で前記加熱先端部12を操作すると、極めて安全に前記対象物に常圧過熱蒸気を当てることが可能となる。
又、前記加熱先端部12は、放出される常圧過熱蒸気の放出面積を調整可能な付属部(アタッチメント部)を更に備えても構わない。例えば、常圧過熱蒸気の放出面積を拡大するために、図4に示すように、一端部14aが、前記加熱先端部12の他端部12c(放出口)の全周端に装着され、他端部14bが、当該加熱先端部12の他端部12cから前方に設けられ、当該加熱先端部12の他端部12cの径方向に広がってテーパー状に拡開した開口部となる中空の放出部14を付属部として備える。
これにより、前記加熱先端部12から放出される高温状態の常圧過熱蒸気を外気に触れ難くするとともに、高温状態の常圧過熱蒸気の放出面積、言い換えると、常圧過熱蒸気が接触される対象物の接触面積を前記放出部14の開口部14bの面積まで拡大することが可能となる。そのため、放出される常圧過熱蒸気の通常の飽和蒸気への変換を防止し、上述した対象物に広範囲にわたって常圧過熱蒸気を当てることが可能となり、上述した殺菌、乾燥、焼結、洗浄等を効率よく行うことが可能となる。尚、前記放出部14の形状は、どのような形状でも良く、例えば、単純な中空台形、掃除機のアタッチメント部のような横方向に長いウイングタイプの中空台形、円筒形等が挙げられる。
又、例えば、常圧過熱蒸気の放出面積を縮小するために、一端部が、前記加熱先端部12の他端部12cの全周端に装着され、他端部が、当該加熱先端部12の他端部12cから前方に設けられ、当該加熱先端部12の他端部12cの径方向に狭まってテーパー状に縮開した開口部となる中空の放出部14を付属部として備えても良い。この放出部14の形状は、例えば、掃除機のアタッチメント部のようなノズルタイプの中空円筒形等が採用される。尚、この場合であっても、常圧過熱蒸気は自然圧で自然に放出されることになる。
又、本発明は、更に、下記の構成を採用しても良い。例えば、図1、図2、図3に示すように、本発明に係る常圧過熱蒸気放出装置1(前記蒸気発生部10、前記ホース部11、前記加熱先端部12)を全て搭載可能な上面を有し、下面の四隅に車輪を有する台車15を設けると好ましい。これにより、ユーザが、本発明に係る常圧過熱蒸気放出装置1を様々な場所に簡単に移動させて、常圧過熱蒸気の放出を行うことが可能となる。尚、前記台車15には、ユーザが手で握り移動させる取手部15aを備えている。
又、前記台車15には、例えば、図1、図2、図3に示すように、前記ホース部11の一部を固定(支持)する支持部15bを設けると、当該ホース部11が拡散したり嵩張ったりすることを防止出来る。
又、前記台車15には、更に、平板を曲げてコ字状とし、底面に前記加熱先端部12を載置させることが可能な載置台15cを設けると、当該加熱先端部12の置き場所が出来て、当該加熱先端部12の散逸を防止出来る。更に、前記載置台15cに置いた加熱先端部12の上面の一部と着脱可能な止め部15dを設けると、未使用時は、前記加熱先端部12を前記止め部15dに止めることで、安全性を更に高めることが出来る。尚、使用時には、前記加熱先端部12から止め部15dを外せばよい。
又、本発明に係る常圧過熱蒸気放出装置1の対象物は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定は無く、例えば、飲食店、コンビニエンスストア、ファーストフード店における厨房、床面、壁面、台所、食器類、食品等、病院における居室、病室、厨房、床面、壁面、医療装置、医療器具等、介護施設における居室、厨房、廊下、階段、エレベータ、床面、壁面、装置、道具、部品等、上下水道における配管等、その他、常圧過熱蒸気と接触させる必要のある全ての物に適用可能である。
<実施例、比較例等>
以下、実施例、比較例等によって本発明を具体的に説明するが、本発明は、これにより限定されるものではない。
以下、実施例、比較例等によって本発明を具体的に説明するが、本発明は、これにより限定されるものではない。
<実施例>
実施例の常圧過熱蒸気放出装置1は、図1、図2、図3に示すように、前記蒸気発生部10と、前記ホース部11と、前記加熱先端部12とを備えるよう構成した。ここで、前記蒸気発生部10は、加熱ヒータが100度から120度まで加熱する100Vのボイラーとし、前記ホース部11は、全長を3.0mとし、内壁面に加熱ヒータを備え、その加熱ヒータが160度まで加熱する100Vの加熱ホース部とし、前記加熱先端部12は、内部のコイルヒータが160度から500度まで加熱する100Vの加熱先端部とした。そして、前記蒸気発生部10に水を入れて内部の加熱ヒータを120度に設定し、前記ホース部11の加熱ヒータを160度に設定し、前記加熱先端部12の温度センサ12fに対応する設定温度を370度にして、常圧過熱蒸気を放出させた。
実施例の常圧過熱蒸気放出装置1は、図1、図2、図3に示すように、前記蒸気発生部10と、前記ホース部11と、前記加熱先端部12とを備えるよう構成した。ここで、前記蒸気発生部10は、加熱ヒータが100度から120度まで加熱する100Vのボイラーとし、前記ホース部11は、全長を3.0mとし、内壁面に加熱ヒータを備え、その加熱ヒータが160度まで加熱する100Vの加熱ホース部とし、前記加熱先端部12は、内部のコイルヒータが160度から500度まで加熱する100Vの加熱先端部とした。そして、前記蒸気発生部10に水を入れて内部の加熱ヒータを120度に設定し、前記ホース部11の加熱ヒータを160度に設定し、前記加熱先端部12の温度センサ12fに対応する設定温度を370度にして、常圧過熱蒸気を放出させた。
図6は、実施例の常圧過熱蒸気放出装置の飽和蒸気から常圧過熱蒸気までの変化を示す相図である。
実施例の常圧過熱蒸気放出装置1における蒸気の変化を説明すると、図6に示すように、環境圧(外気圧)と蒸気の温度との関係において、通常、常圧(約0.1MPa)に対して蒸気の温度100度の点を通る漸近的な増加曲線が通常の飽和蒸気線として存在する。前記飽和蒸気線上に位置する場合は、湿度が高い状態となる。
実施例の常圧過熱蒸気放出装置1の蒸気発生部10では、常圧で100度以下の水が、常圧で120度まで加熱されるため、常圧で100度の飽和蒸気か100度以上で120度以下の常圧過熱蒸気が発生することになる。
次に、実施例の常圧過熱蒸気放出装置1のホース部11では、常圧で100度の飽和蒸気か100度以上で120度以下の常圧過熱蒸気が、常圧で160度まで加熱されるため、120度以上で160度以下の常圧過熱蒸気が発生し、所定の場所へ誘導される。
そして、実施例の常圧過熱蒸気放出装置1の加熱先端部12では、120度以上で160度以下の常圧過熱蒸気が、常圧で370度まで加熱されるため、160度以上で370度以下の常圧過熱蒸気、つまり、高温状態の常圧過熱蒸気が発生し、対象物へ放出されることになる。
図7は、実施例の常圧過熱蒸気放出装置の放出口から対象物までの距離と、対象物に接触した蒸気の温度との関係を示す図である。
実施例の常圧過熱蒸気放出装置1において、加熱先端部12の放出口12fから放出された常圧過熱蒸気の温度の変化を示すと、図7に示すように、第三の開閉弁10hを中程度(通常放出)に設定した場合、放出口12fから放出された直後の常圧過熱蒸気の温度は370度であり、放出口12fから0.1cm(1.0mm)だけ離れた距離の常圧過熱蒸気の温度は370度であり、放出口12fから3.0cmだけ離れた距離の常圧過熱蒸気の温度は370度であり、放出口12fから15.0cmだけ離れた距離の常圧過熱蒸気の温度は200度であった。つまり、放出口12fから放出された直後の常圧過熱蒸気の温度が370度であれば、放出口12fから15.0cmまでの距離の対象物に常圧過熱蒸気を確実に接触させることが出来る。
又、第三の開閉弁10hを全開(多量放出)に設定した場合、放出口12fから放出された直後の常圧過熱蒸気の温度は370度であり、放出口12fから3.0cmだけ離れた距離の常圧過熱蒸気の温度は370度であり、放出口12fから15.0cmだけ離れた距離の常圧過熱蒸気の温度は310度であった。つまり、全開で常圧過熱蒸気を放出させると、かなり高い温度の常圧過熱蒸気を対象物に接触させることが出来る。
次に、前記加熱先端部12の温度センサ12fに対応する設定温度を160度にし、更に、第三の開閉弁10hを全開(多量放出)に設定した場合、放出口12fから放出された直後の常圧過熱蒸気の温度は160度であり、放出口12fから3.0cmだけ離れた距離の常圧過熱蒸気の温度は160度であり、放出口12fから15.0cmだけ離れた距離の常圧過熱蒸気の温度は約100度であり、かろうじて常圧過熱蒸気であった。これにより、前記加熱先端部12の放出口12fから放出される常圧過熱蒸気の温度を160度にすれば、放出口12fから15.0cmだけ離れた対象物には、かろうじて常圧過熱蒸気を接触させることが出来ることが分かった。
次に、実施例の常圧過熱蒸気放出装置1を用いて、常圧過熱蒸気の効果が生じているか否かを所定の機関(一般財団法人 日本食品分析センター)で確認した。
先ず、ガラスシャーレに試験菌液(大腸菌、セレウス菌、黄色ブドウ球菌)0.1mLを塗布した後、実施例の常圧過熱蒸気放出装置1で、放出口12fから放出された直後の常圧過熱蒸気の温度を375度として、放出口12fからガラスシャーレまでの間の距離を3cmか15cmとして、常圧過熱蒸気を約5秒間当てた。その後、菌液を所定の条件で培養して、菌が繁殖するか否かを確認した。対照実験として、常圧過熱蒸気を当てていない菌液も、前記条件で培養した。
又、前記ガラスシャーレに代えて、5cm×5cmに切断した標準綿布に試験菌液を漬した後、実施例の常圧過熱蒸気放出装置1で、放出口12fから放出された直後の常圧過熱蒸気の温度を375度として、放出口12fからガラスシャーレまでの間の距離を3cmか15cmとして、常圧過熱蒸気を約5秒間当てた。その後、上述と同様に、菌液を所定の条件で培養して、菌が繁殖するか否かを確認した。対照実験として、常圧過熱蒸気を当てていない菌液も、前記条件で培養した。
図8は、実施例の常圧過熱蒸気放出装置で常圧過熱蒸気を当てた大腸菌の培養結果の写真(図8A)と、常圧過熱蒸気を当てていない大腸菌の培養結果の写真(図8B)とである。
図8に示すように、実施例の常圧過熱蒸気放出装置で常圧過熱蒸気を当てた場合、大腸菌の繁殖が見られないことが理解される。
図9は、実施例の常圧過熱蒸気放出装置の常圧過熱蒸気の有無と、シャーレか綿布かの条件と、3cmか15cmかの距離(cm)と、菌液の増殖の数(cfu/mL)とを示した表である。尚、菌液の増殖の数で、「<10」は、未検出(死滅)を示す。
図9に示すように、シャーレであっても綿布であっても、実施例の常圧過熱蒸気放出装置の常圧過熱蒸気を当てれば、どのような菌体でも減少し、殺菌効果を発揮していることが理解される。特に、シャーレの場合は、距離が3cmでも15cmでも、大腸菌と黄色ブドウ球菌とは死滅している。芽胞のセレウス菌は死滅に至らないものの、減少している。又、綿布の場合でも、距離が3cmであれば、大腸菌と黄色ブドウ球菌とは死滅している。芽胞のセレウス菌は、上述と同様に、死滅に至らないものの、減少している。今回の試験では、芽胞のセレウス菌は、死滅に至らなかったが、例えば、放出口12fから放出された直後の常圧過熱蒸気の温度を375度から500度等に上昇させれば、恐らく、芽胞のセレウス菌は、死滅すると考えられる。
従って、本発明に係る常圧過熱蒸気放出装置1は、対象物に常圧過熱蒸気を確実に接触させて、当該常圧過熱蒸気の作用効果のうち、殺菌効果を得ることが出来ることが確認出来た。
このように、本発明に係る常圧過熱蒸気放出装置は、常圧過熱蒸気を対象物に放出させる常圧過熱蒸気放出装置1であって、水を常圧で加熱することで、蒸気を発生させる蒸気発生部10と、前記発生された蒸気を所定の場所まで常圧で誘導するホース部11と、前記誘導された蒸気を常圧で更に加熱することで、温度が160度以上の高温状態の常圧過熱蒸気を発生させ、当該発生させた常圧過熱蒸気を、放出口12b(出口部、他端部)から15.0cm以内の距離にある対象物に放出する加熱先端部とを備えることを特徴とする。
これにより、常圧過熱蒸気の状態のまま、当該常圧過熱蒸気を対象物に確実に接触させることが可能となり、当該対象物に対して無酸素状態で短時間に殺菌、乾燥、焼結、洗浄、脱油、焙煎等の処理を施すことが可能となる。
又、本発明は、常圧過熱蒸気を対象物に放出させる常圧過熱蒸気放出装置の常圧過熱蒸気放出方法としても提供することが出来る。
即ち、常圧過熱蒸気を対象物に放出させる常圧過熱蒸気放出装置の常圧過熱蒸気放出方法であって、水を常圧で加熱することで、蒸気を発生させるステップと、前記発生された蒸気を所定の場所まで誘導するステップと、前記誘導された蒸気を常圧で更に加熱することで、温度が160度以上の高温状態の常圧過熱蒸気を発生させ、当該発生させた常圧過熱蒸気を、放出口から15.0cm以内の距離にある対象物に放出するステップとを備えることを特徴とする。これにより、上述した本発明の作用効果を得ることが可能となる。
以上のように、本発明に係る常圧過熱蒸気放出装置及び常圧過熱蒸気放出方法は、食品、医療、介護、衛生等のあらゆる産業分野における常圧過熱蒸気放出装置及び常圧過熱蒸気放出方法として有用であり、常圧過熱蒸気の状態のまま、当該常圧過熱蒸気を対象物に確実に接触させることが可能となり、当該対象物に対して無酸素状態で短時間に殺菌、乾燥、焼結、洗浄、脱油、焙煎等の処理を施すことが可能な常圧過熱蒸気放出装置及び常圧過熱蒸気放出方法として有効である。
1 常圧過熱蒸気放出装置
10 蒸気発生部
11 ホース部
12 加熱先端部
13 把持部
14 放出部
15 台車
10 蒸気発生部
11 ホース部
12 加熱先端部
13 把持部
14 放出部
15 台車
Claims (2)
- 常圧過熱蒸気を対象物に放出させる常圧過熱蒸気放出装置であって、
水を常圧で加熱することで、蒸気を発生させる蒸気発生部と、
前記発生された蒸気を常圧で加熱しながら所定の場所まで常圧で誘導する加熱ホース部と、
前記誘導された蒸気を常圧で更に加熱することで、温度が160度以上の高温状態の常圧過熱蒸気を発生させ、当該発生させた常圧過熱蒸気を、放出口から常温の外気を介して15.0cm以内の距離にある対象物に常圧で放出して、当該対象物に常圧過熱蒸気を接触させて、当該対象物に常圧過熱蒸気の効果のうち、少なくとも殺菌効果を生じさせる加熱先端部と
を備えることを特徴とする常圧過熱蒸気放出装置。 - 常圧過熱蒸気を対象物に放出させる常圧過熱蒸気放出装置の常圧過熱蒸気放出方法であって、
水を常圧で加熱することで、蒸気を発生させるステップと、
加熱ホース部を用いて、前記発生された蒸気を常圧で加熱しながら所定の場所まで常圧で誘導するステップと、
加熱先端部を用いて、前記誘導された蒸気を常圧で更に加熱することで、温度が160度以上の高温状態の常圧過熱蒸気を発生させ、当該発生させた常圧過熱蒸気を、放出口から常温の外気を介して15.0cm以内の距離にある対象物に常圧で放出して、当該対象物に常圧過熱蒸気を接触させて、当該対象物に常圧過熱蒸気の効果のうち、少なくとも殺菌効果を生じさせるステップと
を備えることを特徴とする常圧過熱蒸気放出方法。
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