JP2018001061A - 有機物を分解又は炭化する方法及びその方法で使用する装置 - Google Patents
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Abstract
Description
従来は、焼却や触媒を用いた分解等により有機物が処理されてきた(例えば、特許文献1及び2参照)。しかしながら、例えば、焼却処理においては、焼却処理を行う施設が大規模なものとなる、使用されるエネルギーが膨大なものとなる、及び燃焼が不完全な場合有害物質が発生し得る等の問題があった。また、触媒を用いた処理においては、必要とされるエネルギーの量は焼却処理ほど多くはないものの、一般的に触媒は反応特異性を有するため、対象となる有機物毎に触媒を選択しなければならず、また、処理対象である有機物が触媒表面と接触しなければならないため処理効率が決して高くはなかった。
近年、上記のような過熱水蒸気の特性を生かして、有機物を処理する方法が検討されている。例えば、特許文献3は、加熱炉に有機物を入れ、当該加熱炉に過熱水蒸気を供給することにより、有機物を熱分解処理する方法及び当該方法で使用する装置を開示している。
すなわち本発明は、
[1](1)水を水蒸気及び/又は微細な水滴にする工程、
(2)前記水蒸気及び/又は微細な水滴と、有機物との混合物を得る工程、並びに
(3)前記混合物を200〜1600℃の温度となるまで加熱することにより、前記混合物中の水蒸気及び/又は微細な水滴を過熱水蒸気にして、当該過熱水蒸気により前記有機物を分解又は炭化させる工程、
を含む、有機物を分解又は炭化させる方法、
[2]さらに、(4)分解又は炭化処理後の過熱水蒸気を冷却する工程を含む、[1]に記載の方法、
[3]水を供給するための配管(a)、
前記配管(a)につながった、配管(a)から供給された水を水蒸気及び/又は微細な水滴にする機器(b)、
前記機器(b)と配管(bc)を介してつながった、前記機器(b)から供給された水蒸気及び/又は微細な水滴を200〜1600℃まで加熱して過熱水蒸気を発生させるための機器(c)、並びに
前記配管(a)、機器(b)及び配管(bc)の少なくとも1つにつながった、有機物を供給するための配管(d)、
を含む装置、
[4]さらに、前記機器(c)と配管(ce)を介してつながった、(c)で発生させた過熱水蒸気を冷却する手段(e)を含む、[3]に記載の装置、
[5]給水タンク(A)、
前記給水タンク(A)と後述する機器(B)とをつなぐ配管(AB)、
配管(AB)を介して給水タンク(A)とつながった、給水タンク(A)から供給された水を水蒸気及び/又は微細な水滴にする機器(B)、
機器(B)と配管(BC)を介してつながった、機器(B)から供給された水蒸気及び/又は微細な水滴を200〜1600℃まで過熱して過熱水蒸気を発生させるための機器(C)、並びに
前記給水タンク(A)、配管(AB)、機器(B)及び配管(BC)の少なくとも一つにつながった、有機物を供給するための配管(D)、
を含む装置、並びに
[6]さらに、前記機器(C)と配管(CE)を介してつながった、(C)で発生させた過熱水蒸気を冷却する手段(E)を含む、[5]に記載の装置、
に関する。
前述の通り、本発明の方法は、
(1)水を水蒸気及び/又は微細な水滴にする工程(第一工程)、
(2)前記水蒸気及び/又は微細な水滴と、有機物との混合物を得る工程(第二工程)、並びに
(3)前記混合物を200〜1600℃の温度となるまで加熱することにより、前記混合物中の水蒸気及び/又は微細な水滴を過熱水蒸気にして、当該過熱水蒸気により前記有機物を分解又は炭化させる工程(第三工程)、
を含む。
水から水蒸気及び/又は微細な水滴を得る方法として、例えば、加熱による蒸発、スプレー噴射、超音波、電磁波による蒸発及びプラズマ等が挙げられる。第一工程で使用する水は、蒸留水、水道水又は工業用水のいずれでも良い。また、第二工程において有機物の水蒸気及び/又は微細な水滴に対する溶解性を高める及び/又は第三工程における炭化又は分解を促進する等の目的により、触媒等の化合物や有機溶媒を水に添加して、その水から水蒸気及び/又は微細な水滴を得ても良い。このような化合物の例として、例えば、アンモニア、アミン化合物、過酸化水素、苛性ソーダ等が挙げられる。また、有機溶媒の例として、例えば、ヘキサン、トルエン、ベンゼン及びキシレン等の芳香族溶媒、メタノール及びエタノール等のアルコール類、並びにジエチルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。
「微細な水滴」として、例えば、スプレー装置を用いて噴霧又は超音波装置により霧化させた際に得られる霧状の水滴等が挙げられる。この場合における「水滴」の大きさは、例えば、100〜0.001μm、好ましくは20〜0.1μm、より好ましくは10〜1μmである。
(a)水蒸気及び/又は微細な水滴と、水不溶性の有機物の微細な液滴の混合物
(b)水蒸気及び/又は微細な液滴と、水不溶性の有機物の気体の混合物
(c)水溶性の有機物を含んだ水蒸気及び/又は微細な液滴
水蒸気及び/又は微細な液滴と有機物との混合物中における、有機物の混合比率については、処理対象となる有機物の種類、量及び方法の各種条件等により適宜変更可能である。尚、この場合における「有機物の微細な液滴」として、例えば、液状の有機物又は固形の有機物を溶媒に溶解させて得られた溶液を、スプレー装置を用いて噴霧又は超音波装置により霧化させた際に得られる霧状の液滴等が挙げられる。「有機物の微細な液滴」の大きさは、例えば、100〜0.001μm、好ましくは20〜0.1μm、より好ましくは10〜1μmである。
第二工程で得られた混合物を加熱する。加熱方法は、水蒸気及び/又は微細な水滴を加熱して過熱水蒸気を生成できる手段であれば特に制限はない。具体的な手段としては、例えば、パイプヒーター式の加熱蒸気発生器、誘導加熱方式等が挙げられる。これら手段の中では、例えば、誘導加熱方式を選択することが好ましい。誘導加熱方式を選択することにより、より高い熱効率で且つより低いコストで有機物を炭化又は分解できる。加熱温度は、炭化又は分解の対象となる有機物の種類及び量により変わり得る。一般的な加熱温度として、例えば、200〜1600℃、好ましくは300〜1200℃、より好ましくは400〜950℃が挙げられる。具体的な温度として、有機物を炭化させる際には、例えば、200〜1600℃、好ましくは300〜1200℃、より好ましくは400〜950℃まで加熱する。また、有機物を分解させる際には、200〜1600℃、好ましくは300〜1200℃、より好ましくは400〜950℃まで加熱する。前記温度範囲とすることにより、後述する有機物の分解又は炭化をスムーズに進めつつ、過剰な熱をかけることによるエネルギーの損失を最小限にとどめることができる。尚、前記温度は、水蒸気及び/又は微細な水滴の加熱後における測定温度(即ち過熱水蒸気の測定温度)を意味する。
本発明の方法を実施する際に、特定の構成を有する装置を用いることができる。以下に、図面に基づいて前記装置の説明を行う。
図1は、本発明の装置の第一態様(以下、第一の装置)を示す模式図である。第一の装置は、
水を供給するための配管(a)、
前記配管(a)につながった、配管(a)から供給された水を水蒸気及び/又は微細な水滴にする機器(b)、
前記機器(b)と配管(bc)を介してつながった、前記機器(b)から供給された水蒸気及び/又は微細な水滴を200〜1600℃まで加熱して過熱水蒸気を発生させるための機器(c)、並びに
前記配管(a)、機器(b)及び配管(bc)の少なくとも1つにつながった、有機物を供給するための配管(d)、
を含む。
図2は、第一の装置に、さらに、前記機器(c)と配管(ce)を介してつながった、機器(c)で発生させた過熱水蒸気を冷却する手段(e)を加えた装置(第二の装置)を図示している。このような手段(e)で過熱水蒸気を冷却することにより、過熱水蒸気を水に戻し、また、過熱水蒸気により炭化された炭化物も回収できる。このような手段の具体例として、例えば、空冷管、水冷管(例えば、ソックスレー式冷却管)、熱交換式冷却装置等が挙げられる。
図3は、本発明の装置の第三態様(以下、第三の装置)を示す模式図である。第三の装置は、
給水タンク(A)、
前記給水タンク(A)と後述する機器(B)とをつなぐ配管(AB)、
配管(AB)を介して給水タンク(A)とつながった、給水タンク(A)から供給された水を水蒸気及び/又は微細な水滴にする機器(B)、
機器(B)と配管(BC)を介してつながった、機器(B)から供給された水蒸気及び/又は微細な水滴を200〜1600℃まで過熱して過熱水蒸気を発生させるための機器(C)、並びに
前記給水タンク(A)、配管(AB)、機器(B)及び配管(BC)の少なくとも一つにつながった、有機物を供給するための配管(D)、
を含む。
図4は、第三の装置に、さらに、前記機器(C)と配管(CE)を介してつながった、機器(C)で発生させた過熱水蒸気を冷却する手段(E)を加えた装置(第四の装置)を図示している。このような手段(e)で過熱水蒸気を冷却することにより、過熱水蒸気を水に戻し、また、過熱水蒸気により炭化された炭化物も回収できる。このような手段の具体例として、例えば、空冷管、水冷管(例えば、ソックスレー式冷却管)、熱交換式冷却装置等が挙げられる。
(1)500ml丸底フラスコ
(2)ガスコンロ
(3)パイプヒーター式過熱水蒸気発生器(株式会社東洋技研社製)
(4)ソックスレー式冷却管
(5)検知管(ガステック社製、型番No.163L)
2.試験装置の構成
図5に示すように、500ml丸底フラスコ(b)を3本のガラス管を通したゴム栓で蓋をした。(a)のガラス管を、水を供給するためのガラス管とした。(d)のガラス管を、分解対象となる有機物のガスを供給するガラス管とした。(bc)のガラス管を、パイプヒーター式過熱水蒸気発生器(c)に接続した。パイプヒーター式過熱水蒸気発生器から排出される気体を冷却するソックスレー式冷却管を、(bc)のガラス管に接続した(図示せず)。
3.分解対象:酸化エチレンガス(20%)
4.評価方法
(a)のガラス管を通じて水を供給しながら、前記フラスコ(b)をガスコンロで100℃に加熱して、水蒸気を得た。同時に、(d)のガラス管を通じて酸化エチレンガスを供給し、フラスコ(b)内で、水蒸気と酸化エチレンガスの混合物を得た。前記混合物を、ガラス管(bc)を通じてパイプヒーター式加熱蒸気発生器(c)により覆われたガラス管に供給し、パイプヒーター式加熱蒸気発生器(c)により、前記混合物を500℃まで加熱した。
図5における矢印ア〜ウの点にてサンプリングを行い、検知管で酸化エチレンガスの濃度を測定した。尚、アの点において酸化エチレンガスの初期濃度を、イの点において水蒸気と混合された酸化エチレンガスの濃度を、ウの点において分解処理後の酸化エチレンガスの濃度を測定した。
Claims (6)
- (1)水を水蒸気及び/又は微細な水滴にする工程、
(2)前記水蒸気及び/又は微細な水滴と、有機物との混合物を得る工程、並びに
(3)前記混合物を200〜1600℃の温度となるまで加熱することにより、前記混合物中の水蒸気及び/又は微細な水滴を過熱水蒸気にして、当該過熱水蒸気により前記有機物を分解又は炭化させる工程、
を含む、有機物を分解又は炭化させる方法。 - さらに、(4)分解又は炭化処理後の過熱水蒸気を冷却する工程を含む、請求項1に記載の方法。
- 水を供給するための配管(a)、
前記配管(a)につながった、配管(a)から供給された水を水蒸気及び/又は微細な水滴にする機器(b)、
前記機器(b)と配管(bc)を介してつながった、前記機器(b)から供給された水蒸気及び/又は微細な水滴を200〜1600℃まで加熱して過熱水蒸気を発生させるための機器(c)、並びに
前記配管(a)、機器(b)及び配管(bc)の少なくとも1つにつながった、有機物を供給するための配管(d)、
を含む装置。 - さらに、前記機器(c)と配管(ce)を介してつながった、(c)で発生させた過熱水蒸気を冷却する手段(e)を含む、請求項3に記載の装置。
- 給水タンク(A)、
前記給水タンク(A)と後述する機器(B)とをつなぐ配管(AB)、
配管(AB)を介して給水タンク(A)とつながった、給水タンク(A)から供給された水を水蒸気及び/又は微細な水滴にする機器(B)、
機器(B)と配管(BC)を介してつながった、機器(B)から供給された水蒸気及び/又は微細な水滴を200〜1600℃まで過熱して過熱水蒸気を発生させるための機器(C)、並びに
前記給水タンク(A)、配管(AB)、機器(B)及び配管(BC)の少なくとも一つにつながった、有機物を供給するための配管(D)、
を含む装置。 - さらに、前記機器(C)と配管(CE)を介してつながった、(C)で発生させた過熱水蒸気を冷却する手段(E)を含む、請求項5に記載の装置。
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2016
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