JP3933493B2 - 加熱処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、過熱水蒸気を用いて被処理物を加熱処理する加熱処理装置に関し、詳しくは、上記加熱処理を高能率に且つ優れた処理品質を以て行えるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の加熱処理は、例えば、廃油,廃プラスチック,生ごみ,食品,器材等を対象として、乾燥,減容,調理,殺菌等の目的で行われる。この加熱処理を行う装置の代表的な形態は、ボイラで生じた100℃の水蒸気を常圧の過加熱部でさらに加熱する(以下、ボイラと過加熱部とを備えた部分を「過熱水蒸気発生部」と呼ぶことにする)ことによって得られた過熱水蒸気を、加熱処理部を構成するハウジングに導き、ハウジング内に収容された廃油等を加熱処理する形態である。この加熱処理によって被処理物は熱分解などし、その際に生じる排気はハウジングに設けた排気管を通じて外部へ排出される。
【0003】
また、別形態の加熱処理装置として、過熱水蒸気を所望の場所まで管等の導路で導き、導いた過熱水蒸気を、導路の末端部に設けられて別形態の加熱処理部を構成する照射ガンから被処理物に照射する構造のものもある。例えば、製紙工場のベルトコンベア上に載置されて運ばれる材木チップといった被処理物は、照射ガンから照射された過熱水蒸気によって加熱され、乾燥処理される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ハウジング内に収容した被処理物を加熱処理する形態の加熱処理装置では、加熱処理開始時にはハウジングが冷えているため、これが昇温するまでの間に器壁に結露が生じてしまう。また、加熱処理開始時には被処理物も冷えているため、被処理物にも同様に結露が生じてしまう。結露が生じると水が再度蒸気になる熱エネルギが必要とされ、この熱エネルギはハウジング内に導かれた過熱水蒸気から供給されることになる。また、ハウジングに導かれた過熱水蒸気は冷えている器壁や被処理物に熱を奪われ、ハウジング内の過熱水蒸気の温度は低下してしまう。このため、上記従来の加熱処理装置では、所期の加熱処理温度に達するまでの立ち上がり時間を要して、その分処理能力が低くなり、また、立ち上がり時間内の低い温度での加熱処理が、熱分解不足等の処理品質低下をもたらすおそれがある。
【0005】
また、被処理物の熱分解等によってハウジング内に発生する排気は上記のように排気管を通して外部へ排出されるが、加熱処理の温度は、この排気中にダイオキシン等の有害物質が含まれてこないような温度に限定されることになる。これは、処理能率の低さばかりでなく、この装置を適用できる用途の制約にもつながる。因みに、ハウジング形態の装置では、1000℃以上に及ぶ過熱水蒸気を適用して行う高温加熱処理も可能であり、このように有用な装置の用途が、有害物質が含まれてこないような温度に制約されることは由々しい。
【0006】
また、過熱水蒸気を導路で導いて照射ガンから照射する形態の加熱処理装置においても、導路や照射ガンが昇温するまでの立ち上がり時間に起因して、ハウジング形態の装置と同様な問題が存在する。また、特にこの形態の加熱処理装置においては、過熱水蒸気発生部側では過熱水蒸気の温度が所定値に設定されていても、導路が長いほどその周囲温度の変動に伴って変動しやすいため、照射ガンから照射される過熱水蒸気の実際の温度を精度良く制御することが難しく、これも、処理能率や処理品質に不利をもたらす。
【0007】
すなわち、従来の過熱水蒸気を用いる加熱処理装置には、加熱処理部の温度の立ち上がりや変動、あるいは、処理温度選定の限界に起因する低処理能率,処理品質不備,装置用途制約等の問題があり、これらの問題点の改善が課題となっていた。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、過熱水蒸気発生部と、これから送給される過熱水蒸気を用いて被処理物を加熱処理する加熱処理部とを備えた加熱処理装置において、加熱処理部は、過熱水蒸気の照射によって被処理物を加熱処理するための導電性の過熱水蒸気照射ガンを備えて成り、また、過熱水蒸気発生部から加熱処理部に至る過熱水蒸気送給路は導電性の管状体で構成され、照射ガンと管状体の外周囲には、これら照射ガンと管状体を誘導加熱するための誘導コイルが配備されており、更に、照射ガン等の、誘導コイルが配備されている系の外周囲には、その系からの放熱を抑制するための断熱材が誘導コイルよりも内側に位置して配備されていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、先ず、照射ガンの外周囲に巻かれた誘導コイルに高周波の交流電流を通電することにより、誘導コイルは高周波の交流磁界を発生する。導電性の照射ガンにはこの交流磁界によって誘導電流が流れ、照射ガンはこの誘導電流によって生じるジュール損で加熱される。従って、被処理物を加熱処理する前に、誘導コイルに高周波の交流電流を通電して照射ガンおよび被処理物を予め加熱しておくことが出来、また、温度変動を補償する制御補熱が出来て、前記問題点が改善される。
【0020】
また、管状体の外周囲に巻かれた誘導コイルに高周波の交流電流を通電することにより、導電性の管状体が誘導加熱されて、前記照射ガンの誘導加熱と同様の効果が奏される。特に、前記加熱処理温度の変動を補償する制御補熱については、この加熱水蒸気路の誘導加熱が最も有効である。
【0022】
更には、断熱材によって系が外周囲の雰囲気から遮断され、系内の熱が外部へ逃げるのを防ぐことが出来る。
【0023】
また、断熱材として非導電性のものと用いることにより、誘導コイルと、これが配備されているハウジング等の間の電気絶縁も行えて、誘導コイルの取り付けが容易になる。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による加熱処理装置の第1の実施形態について説明する。
【0025】
本実施形態による加熱処理装置は、図1(a)に示す、ボイラ1,過熱水蒸気発生部2,ハウジング3および煙突4から構成されており、これら各部位の内部は相互に導通して水蒸気が通過することが可能になっている。ボイラ1の容器1a,過熱水蒸気発生部2の配管2a,ハウジング3の容器3aは、ステンレス等の導電性耐食材料で形成されている。また、煙突4の排気管4aは、耐熱・耐食性の優れた鋼材や合金、あるいはZrBや表面SiO化SiC等の導電性耐熱・耐食材料で形成されている。また、ハウジング3の容器3aは、この実施形態では、高さ350[mm],直径350[mm]程度の中空の円筒形状をしており、その内部には被処理物、例えば、廃油等の有機性廃棄物,食品残さ,殺菌処理物等が収容される。
【0026】
また、ボイラ1,過熱水蒸気発生部2,ハウジング3および煙突4の各外周囲にはそれぞれ誘導コイル1b,2b,3b,4bが巻かれている。これら各誘導コイル1b〜4bは可撓性を持つ電線や銅製パイプ等で構成され、同図(b)に示すように直列に接続されて、その両端が電源部5の端子5a,5bに接続されている。
【0027】
電源部5は、交流200[V]を発生する交流電源6からの給電を受け、この交流200[V]を整流装置7によって脈流200[V]に変換する。変換した脈流200[V]はコンデンサ8によって平滑化され、発振装置9によって矩形波状の交流250[V]に変換される。発振装置9の出力側にはコンデンサ10が設けられており、電源部5の出力端子5a,5bに接続された各誘導コイル1b〜4bとコンデンサ10とによって共振回路が形成される。この共振回路の共振により、各誘導コイル1b〜4bには20[kHz]程度の周波数の高周波電流が流れる。この際、電源部5の出力が10[kW]の場合、ボイラ1に巻かれた誘導コイル1bおよび煙突4に巻かれた誘導コイル4bにはそれぞれ1[kW]程度の高周波電流が供給され、過熱水蒸気発生部2に巻かれた誘導コイル2bおよびハウジング3に巻かれたおよび誘導コイル3bにはそれぞれ4[kW]程度の高周波電流が供給される。
【0028】
なお、電源部5の構成、電圧,周波数,電力の数値等は、この実施形態における一例を挙げたもので、本発明自体を限定するものではない。
【0029】
誘導コイル1bに電源部5から高周波電流が供給されることにより、誘導コイル1bは高周波の交流磁界を発生する。ボイラ1の容器1aにはこの交流磁界によって誘導電流が流れ、ボイラ1の容器1aはこの誘導電流によって生じるジュール損で加熱される。このため、ボイラ1の容器1aに貯えられた水は100℃の水蒸気になり、この水蒸気は過熱水蒸気発生部2へ導かれる。
【0030】
過熱水蒸気発生部2の誘導コイル2bに電源部5から高周波電流が供給されることにより、誘導コイル2bは高周波の交流磁界を発生する。過熱水蒸気発生部2の配管2bにはこの交流磁界によって誘導電流が流れ、過熱水蒸気発生部2の配管2bはこの誘導電流によって生じるジュール損で加熱される。このため、過熱水蒸気発生部2は、ボイラ1から導かれた水蒸気をさらに加熱し、大気圧で100℃よりも高い過熱水蒸気を発生させる。過熱水蒸気の温度は用途によって異なり、有機性廃棄物の乾燥や減容化には300〜600℃、食品残さ処理には200〜800℃、殺菌・洗浄処理には200〜400℃の範囲に設定される。
【0031】
ハウジング3は、被処理物を収容して加熱処理する加熱処理部を構成しており、過熱水蒸気発生部2で発生した過熱水蒸気を用いて被処理物を加熱する。また、本実施形態では、ハウジング3の容器3aの内面には、その温度上昇に伴って赤外線を発する表面処理が施されている。この表面処理は、例えば、容器3aがステンレスで形成されている場合には内壁表面にマグネタイトが黒錆として形成されたり、また、容器3aの内壁表面が黒色の耐熱塗料で塗られたり、また、内壁表面に琺瑯が形成されたりすることによって行われる。
【0032】
また、誘導コイル3bに電源部5から高周波電流が供給されることにより、誘導コイル3bは高周波の交流磁界を発生する。ハウジング3の容器3aにはこの交流磁界によって誘導電流が流れ、ハウジング3の容器3aはこの誘導電流によって生じるジュール損で加熱される。このため、ハウジング3およびその内部の被処理物は、被処理物を過熱水蒸気を用いて加熱処理する前に、予め暖めておくなどすることが出来る。
【0033】
煙突4は、ハウジング3で生じた排気を外部へ排出する排出部を構成しており、ハウジング3内で被処理物が熱分解等することによって生じる排気を外部へ排出する。誘導コイル4bに電源部5から高周波電流が供給されることにより、誘導コイル4bは高周波の交流磁界を発生する。排気管4aにはこの交流磁界によって誘導電流が流れ、排気管4aはこの誘導電流によって生じるジュール損で加熱される。このため、ハウジング3に生じた排気は、加熱された排気管4aに接触することによって加熱され、排気は煙突4でさらに熱分解等する。
【0034】
このような本実施形態による加熱処理装置によれば、上述したように、過熱水蒸気を媒体としてハウジング3で被処理物を加熱処理する前に、ハウジング3の外周囲に巻かれた誘導コイル3bに電源部5から高周波電流を通電し、容器3aおよび被処理物を予め加熱しておくことが出来る。このため、本実施形態による加熱処理装置によれば、被処理物の加熱処理開始時に、ハウジング3の容器3a自体や被処理物に結露が生じることはなく、また、ハウジング3に導かれた過熱水蒸気は容器3aや被処理物に熱を奪われることはない。よって、加熱処理開始時に被処理物を迅速に加熱することが可能になる。また、ハウジング3内の温度を検知できるセンサを配備し、そのデータに基づいて電源部5から誘導コイル3b等への給電が制御されるように構成しておけば、外周囲の温度変動に伴うハウジング3の温度変動も、この制御補熱によって補償される。
【0035】
また、本実施形態による加熱処理装置は、ハウジング3の容器3aの内面に、その温度上昇に伴って赤外線を発する表面処理が施されている。従って、誘導コイル3bの誘導電流によって容器3aが加熱されて容器3aの温度が上昇するのに伴い、その内面に施された表面処理に誘発されて内面から赤外線が放射される。従って、被処理物は、ハウジング3に導かれた過熱水蒸気と、内面から放射された赤外線とによって加熱される。このため、被処理物は速やかに加熱される。
【0036】
また、本実施形態による加熱処理装置は、上述したように、煙突4の外周囲に巻かれた誘導コイル4bに電源部5から高周波電流を通電することにより、ハウジング3に生じた排気は、加熱された排気管4aに接触することによって加熱され、排気は煙突4で二次的に熱分解等される。このため、煙突4から排出される排気ガスにはダイオキシンといった有害物質が含まれなくなる。よって、本実施形態による加熱処理装置によれば、環境に悪影響を与えるおそれは無い。また、排気管4aの加熱温度を、ハウジング3からの排気中の有害ガスを二次的に熱分解して無害化できる温度とすることで、ハウジング3内の処理温度を有害ガスを無害化できる温度に限定する必要はなくなる。従って、処理温度選定の限界に起因する低処理能率,処理品質不備,装置用途制約等の問題は解消される。
【0037】
また、本実施形態による加熱処理装置は、煙突4を導電性の1本の排気管4aから構成した場合について説明したが、導電性の複数本の排気管4aから煙突4を構成し、複数本の排気管4aを取り囲むように誘導コイル4bを配備してもよく、この場合においても上記実施形態と同様な作用効果が奏される。また、導電性の複数本の排気管4aを、排出部内の外周側にも内奥部にも配置された形で配した場合、つまり、排気管群の外周から中心に向かう奥行き方向にも排気管4aを分布した場合、外周側の排気管4aが排出部の稼働温度にて非磁性体である(他の温度域では強磁性体であってもよい)ことにより、外周側の排気管4aのみに誘導電流が集中的に生じて内奥部の排気管4aは殆ど誘導加熱されないという問題は生じない。よって、排出部内の温度むらが無くなって排気ガスの無害化は順調に行える。
【0038】
また、1本ないし複数本の排気管4aを非導電性の材質から形成し、排気管4a内の排気が流れる通路に、導電性を有する材質で形成された資材、例えば、鋼球やハニカム状金属体を備えて煙突4を構成するようにしてもよい。この場合、煙突4の外周囲に巻かれた誘導コイル4bに電源部5から高周波電流を通電することにより、排気管4a内の資材が誘導加熱され、ハウジング3に生じた排気は、加熱された資材に接触することによって加熱され、排気は煙突4で二次的に熱分解等される。このため、この構成によっても、煙突4から排出される排気ガスにはダイオキシンといった有害物質が含まれなくなり、また、ハウジング3の処理温度選定の限界に起因する上述の問題は解消される。
【0039】
ここで、排気管4a内の資材は、有害ガスを無害化させる処理を促進させる触媒機能を有していることが望ましい。この触媒機能は、資材の材質自体を例えばニッケル・チップやニッケル粉粒体等に選定することにより、あるいは、資材の表面に白金メッキやコバルト・メッキ、ニッケル・メッキといった表面処理を施すこと等により、資材に付与される。
【0040】
また、導電性の資材群が非導電性排気管4a内の外周側から内奥部に亘って装填されている場合、排気管4aを非磁性の材質から形成することにより、排気管4aの外周側の資材のみに誘導電流が集中的に生じて、排気管4a中心部の内奥部の資材は殆ど誘導加熱されないという問題は生じない。よって、この構成によっても、排出部内の温度むらが無くなって排気ガスの無害化は順調に行える。
【0041】
次に、本発明による加熱処理装置の第2の実施形態について説明する。図2はこの第2の実施形態による加熱処理装置の概略構成を示している。
【0042】
第2の実施形態による加熱処理装置は後述する過熱水蒸気発生部12を備えている。この過熱水蒸気発生部12は図示しないボイラから100℃の水蒸気hを取り込んで加熱する。過熱水蒸気発生部12で生じた過熱水蒸気は、管状体を構成する蒸気回路13により、過熱水蒸気発生部12から過熱水蒸気照射ガン14まで導かれる。照射ガン14は、過熱水蒸気の照射によって被処理物を加熱処理する加熱処理部を構成しており、らっぱ状に形成されている。照射ガン14の先端には照射口14aが形成されており、照射ガン14は、照射口14aから蒸気回路13によって導かれた過熱水蒸気Hを図示しない被処理物に照射する。この加熱水蒸気Hの照射により、被処理物は加熱処理される。
【0043】
また、蒸気回路13および照射ガン14は、導電性を有する材質、例えば、ステンレスで形成され、それらの外周囲には誘導コイル13b,14bが巻かれている。これら誘導コイル13b,14bは直列に接続され、図1(b)に示す電源部5の端子5a,5b間に接続される。
【0044】
過熱水蒸気発生部12は、その中心線に沿った概略縦断面が図3(a)に示され、これに直交する方向に沿った概略横断面が同図(b)に示される。過熱水蒸気発生部12は、多数の管体22からなる管体群22aと、その管体22の一端に水蒸気hを供給する流体供給ヘッダ23と、管体22の他端から過熱水蒸気Hを排出させる流体排出ヘッダ24と、管体群22aを取り囲むように配置された第1断熱材25と、その外側に配置された誘導コイル26と、さらにその外側に配置された第2断熱材27とを備えている。
【0045】
多数の管体22は、互いに非接触な状態で平行にかつ管体群22aの外周から中心Oの間に多重になるように、複数の同心円30a,30b,30c上に配置されている。また、管体22は中心にも配置されている。管体22は、自身が誘導コイル26によって誘導加熱されて内部を通過する水蒸気を加熱するためのものであり、誘導加熱可能なように導電性を備えると共に、誘導コイル26によって発生した交流磁界が中央領域に進入する際にその交流磁界を減衰させることが無いように非磁性の材質から形成されている。
【0046】
流体供給ヘッダ23は、複数の管体22の一端側を貫通させて保持した管板23aと、その管板23aの外面側に取り付けられた流体入口23b付きのハウジング23cとを備えている。このハウジング23cは、一端に管板23aを取り付けるためのフランジ23caを備え、他端に図示しない流体供給管を連結するためのフランジ23cbを備えている。また、流体排出ヘッダ24も同様な構造のものであり、複数の管体22の他端側を貫通させて保持した管板24aと、その管板24aの外面側に取り付けられた流体出口24b付きのハウジング24cとを備えている。このハウジング24cにもフランジ24ca,24cbが設けられている。
【0047】
管体群22aの外周に配置した第1断熱材25は、誘導加熱された管体22からの放熱で誘導コイル26が異常に昇温するのを防止する。また、第2断熱材27は、第1断熱材25と共に放熱を防止して熱効率を高めるために設けられている。また、誘導コイル26は、管体群22aを加熱するためのものであり、管体群22のほぼ全長を覆うように配置されている。また、各管体22内には、図4(a)の縦断面図および同図(b)の横断面図に示す、邪魔体33が挿入されている。この邪魔体33は、板材をジグザグに折り曲げた波板からなり、管体22内を流れる水蒸気の流れを乱すことで、管体群22aにおける、各管体22と管内水蒸気との間の熱伝達係数を向上させて加熱効率を高める用をなしている。
【0048】
ボイラからの水蒸気hは流体入口23bから取り込まれ、複数の管体22内を流れている状態で誘導コイル26に高周波の交流電流が通電される。この通電により、誘導コイル26の内側に高周波の交流磁界が発生し、内部の各管体22に誘導電流が生じ、各管体22は発熱する。この際、管体22が非磁性であることから、管体群22aの中心部Oにまで交流磁界がかなりの強さで進入し、各管体22に誘導電流が効率よくかつほぼ均一に発生して、管体22を効率よくかつ均等に発熱させる。この際、管体22内の邪魔体33によって管体22の内面と水蒸気との間の熱伝達が大幅に向上し、伝熱量を大きくすることが出来る。従って、各管体22内を流れる水蒸気は速やかに加熱され、流体出口24bからは100℃以上の過熱水蒸気が出力される。
【0049】
このような第2の実施形態による加熱処理装置によれば、蒸気回路13の外周囲に巻かれた誘導コイル13bに電源部5から高周波の交流電流を通電することにより、誘導コイル13bは高周波の交流磁界を発生する。蒸気回路13にはこの交流磁界によって誘導電流が流れ、蒸気回路13はこの誘導電流によって生じるジュール損で加熱される。従って、被処理物を加熱処理する前に、蒸気回路13の外周囲に巻かれた誘導コイル13bに高周波の交流電流を通電して蒸気回路13を予め加熱しておくことが出来る。
【0050】
このため、この第2の実施形態による加熱処理装置によれば、加熱処理の開始時に、過熱水蒸気Hが蒸気回路13を通って照射ガン14に至る間に蒸気回路13に熱を奪われることは無く、照射ガン14から被処理物へ照射される際に過熱水蒸気Hの温度が低下してしまうことは無くなる。よって、過熱水蒸気発生部12から照射ガン14に過熱水蒸気Hを運ぶ蒸気回路13を有する加熱処理装置においても、加熱処理開始時に被処理物を迅速に加熱することが可能になる。また、外周囲の温度変動に伴う蒸気回路13の温度変動も、誘導コイル13bへの通電制御によって生じる制御補熱によって補償される。
【0051】
また、前述した第1の実施形態におけるハウジング3が過熱水蒸気発生部2から離れた位置にあり、上記の蒸気回路13と同様な管状体を経由して過熱水蒸気がハウジング3にまで運ばれる場合にも、上記と同様にして管状体を予熱しておくことが出来、また、制御補熱によって温度変動を補償することが出来る。
【0052】
また、この第2の実施形態による加熱処理装置は、照射ガン14の外周囲に巻かれた誘導コイル14bに電源部5から高周波の交流電流を通電することにより、誘導コイル14bは高周波の交流磁界を発生する。照射ガン14にはこの交流磁界によって誘導電流が流れ、照射ガン14はこの誘導電流によって生じるジュール損で加熱される。従って、照射ガン14から照射される過熱水蒸気の温度を検知できるセンサを配備し、そのデータに基づいて電源部5から誘導コイル14b等への給電が制御されるように構成しておけば、照射口14aから照射される過熱水蒸気Hの温度は制御され、過熱水蒸気発生部12で所定値に設定された過熱水蒸気Hの温度が蒸気回路13を通過する間に変動しても、その温度変動は補正される。このため、第2の実施形態による加熱処理装置によれば、照射ガン14の照射口14aから照射される過熱水蒸気Hの実際の温度を精度良く制御することが可能になる。
【0053】
また、上述した第1および第2の各加熱処理装置において、誘導コイルが配備されている系の外周囲に、その系からの放熱を抑制するための断熱材が誘導コイルよりも内側に位置して配備されている構成にすると、断熱材によって上記の系が外周囲の雰囲気から遮断され、系内の熱が外部へ逃げるのを防ぐことが出来る。例えば、図1(a)に示すハウジング3の容器3aと誘導コイル3bとの間に、アルミナ繊維などの無機繊維等からなる断熱材を設けると、容器3a内の熱が外部へ逃げるのを防ぐことが出来る。また、図2に示す蒸気回路13と誘導コイル13bとの間に断熱材を設けると、蒸気回路13内の熱が外部へ逃げるのを防ぐことが出来る。このため、容器3aや蒸気回路13といった被巻部は、外周囲の雰囲気の温度変動に影響されず、誘導コイル3b,13b等による誘導電流で設定される温度に保たれ、その温度制御性は向上する。
【0054】
また、断熱材として非導電性のものと用いることにより、誘導コイルと、これが配備されている系の間の電気絶縁も行えて、誘導コイルの取り付けが容易になる。例えば、既設の蒸気回路13の外周囲に非導電性の断熱材を設け、この断熱材の外周囲に可撓性のリッツ線等で誘導コイル13bを巻くことにより、本実施形態による加熱処理装置を容易かつ安価に構成することが可能になる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、加熱処理部が、過熱水蒸気の照射によって被処理物を加熱処理するための導電性の過熱水蒸気照射ガンを備えて成り、この照射ガンの外周囲に、この照射ガンを誘導加熱するための誘導コイルが配備されているので、照射ガンの外周囲に巻かれた誘導コイルに高周波の交流電流を通電することにより、誘導コイルは高周波の交流磁界を発生する。導電性の照射ガンにはこの交流磁界によって誘導電流が流れ、照射ガンはこの誘導電流によって生じるジュール損で加熱される。従って、被処理物を加熱処理する前に、誘導コイルに高周波の交流電流を通電して照射ガンおよび被処理物を予め加熱しておくことが出来、また、温度変動を補償する制御補熱が出来る。このため、本発明によれば、加熱処理開始時に被処理物を迅速に加熱することが可能になり、処理能力および処理品質は向上する。
【0060】
また、過熱水蒸気発生部から加熱処理部に至る過熱水蒸気送給路が導電性の管状体で構成され、この管状体の外周囲に、この管状体を誘導加熱するための誘導コイルが配備されているので、管状体の外周囲に巻かれた誘導コイルに高周波の交流電流を通電することにより、導電性の管状体が誘導加熱されて、前記照射ガンの誘導加熱と同様の効果が奏される。
【0061】
また、照射ガン等の、誘導コイルが配備されている系の外周囲に、その系からの放熱を抑制するための断熱材が誘導コイルよりも内側に位置して配備されているので、断熱材によって系が外周囲の雰囲気から遮断され、系内の熱が外部へ逃げるのを防ぐことが出来る。このため、系は、外周囲の雰囲気の温度変動に影響されず、誘導コイルによる誘導電流で設定される温度に保たれ、その温度制御性は向上する。また、断熱材として非導電性のもの用いることにより、誘導コイルと、これが配備されている照射ガン等の間の電気絶縁も行えて、誘導コイルの取り付けが容易になる。このため、本発明によれば、既設の系に本装置を構成することが出来るため、容易かつ安価に装置を構成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態による加熱処理装置の概略構成、(b)はその加熱処理装置の電源部の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態による加熱処理装置の概略構成を示す図である。
【図3】(a)は本発明の第2の実施形態による加熱処理装置の過熱水蒸気発生部の縦断面図、(b)はその横断面図である。
【図4】(a)は図3に示す過熱水蒸気発生部を構成する管体の縦断面図、(b)はその横断面図である。
【符号の説明】
1…ボイラ
1a…ボイラ1の容器
1b,2b,3b,4b,13b,14b…誘導コイル
2,12…過熱水蒸気発生部
2a…過熱水蒸気発生部2の配管
3…ハウジング
3a…ハウジング3の容器
4…煙突
4a…煙突4の排気管
5…電源部
13…蒸気回路
14…照射ガン

Claims (1)

  1. 過熱水蒸気発生部と、これから送給される過熱水蒸気を用いて被処理物を加熱処理する加熱処理部とを備えた加熱処理装置において、
    前記加熱処理部は、過熱水蒸気の照射によって被処理物を加熱処理するための導電性の過熱水蒸気照射ガンを備えて成り、また、前記過熱水蒸気発生部から前記加熱処理部に至る過熱水蒸気送給路は導電性の管状体で構成され、前記照射ガンと前記管状体の外周囲には、これら照射ガンと管状体を誘導加熱するための誘導コイルが配備されており、更に、前記照射ガン等の、前記誘導コイルが配備されている系の外周囲には、その系からの放熱を抑制するための断熱材が前記誘導コイルよりも内側に位置して配備されていることを特徴とする加熱処理装置。
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