JP6868794B2 - アルカリ乾電池 - Google Patents

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Description

本発明は、インサイドアウト型の構造を有するアルカリ乾電池に関する。
アルカリ乾電池(アルカリマンガン乾電池)は、容量が大きく、大きな電流を取り出すことができるため、広く利用されている。インサイドアウト型の構造を有するアルカリ乾電池は、中空円筒形の正極と、正極の中空部内に配されたゲル状の負極と、正極と負極との間に配されたセパレータと、正極、負極、およびセパレータに含まれるアルカリ電解液とを備える(特許文献1参照)。上記構造を有する電池について様々な検討が行われている。
例えば、負極活物質として亜鉛粒子を含む負極に繊維材を添加することが提案されている(特許文献1参照)。繊維材には、例えば、レーヨン繊維やビニロン繊維が用いられる。亜鉛粒子が繊維材に包囲されるため、電池の落下などによって電池に衝撃が加えられた際に負極に含まれる亜鉛粒子が偏在することが抑制され、亜鉛粒子同士または亜鉛粒子と負極集電体との接触状態が良好に保たれる。
特開平5−129017号公報
しかし、電池の落下や輸送時に電池に加えられる強い衝撃や振動による負極の流動(飛散)に伴いセパレータが座屈して、負極が正極側へ流出し、これにより、内部短絡が生じ、電池が発熱するという問題がある。特許文献1に提案の手法では、上記のセパレータの座屈による負極の正極側への流出を十分に抑制することはできない。
一方、正極活物質や負極活物質の充填量を増やすことによる高容量化や内部抵抗の低減を目的として、セパレータの厚みを薄くすることが求められている。しかし、セパレータの厚みが薄くなるほど、セパレータの強度が低下して、上記のセパレータの座屈による負極の正極側への流出が起こり易くなる。
本発明の目的は、インサイドアウト型構造のアルカリ乾電池において、負極の正極側への流出による内部短絡の発生と、これに伴う電池の発熱を抑制することである。
本発明の一局面は、中空円筒形の正極と、前記正極の中空部内に配されたゲル状の負極と、前記正極と前記負極との間に配されたセパレータと、前記正極、前記負極、および前記セパレータ中に含まれるアルカリ電解液とを備え、前記負極は、亜鉛を含む負極活物質と、テレフタル酸とを含み、前記負極中の前記テレフタル酸の含有量は、前記負極活物質100質量部当たり0.05〜1質量部であり、前記テレフタル酸の粒子の平均粒径は、50〜300μmであり、前記セパレータの厚みは、220〜390μmである、アルカリ乾電池に関する。
本発明によれば、厚みの薄いセパレータを備える、インサイドアウト型構造のアルカリ乾電池において、負極の正極側への流出による内部短絡の発生と、これに伴う電池の発熱を抑制することができ、電池の信頼性を向上させることができる。
本発明の一実施形態におけるアルカリ乾電池の一部を断面とする正面図である。 アルカリ乾電池が備えるセパレータの一例を示す概略図である。 アルカリ乾電池が備えるセパレータの他の一例を示す概略図である。
本発明の一実施形態に係るアルカリ乾電池は、インサイドアウト型の構造を有する。すなわち、中空円筒形の正極と、正極の中空部内に配されたゲル状の負極と、正極と負極との間に配されたセパレータと、正極、負極、およびセパレータ中に含まれるアルカリ電解液とを備える。ゲル状の負極は、亜鉛を含む負極活物質と、テレフタル酸とを含む。負極中のテレフタル酸の含有量は、負極活物質100質量部当たり0.05〜1質量部であり、セパレータの厚みは、220〜390μmである。なお、本明細書中、単に、セパレータの厚みと記載されている場合、これは、電解液を含んで膨潤した状態のセパレータの厚みを意味する。また、1枚のシートを多重に巻いたり、複数枚のシートを重ね合わせたりしてセパレータを構成した場合、セパレータの厚みとは、巻いた(重ね合わせた)シートの厚みを合計した総厚みを指す。
本実施形態では、負極にテレフタル酸を負極活物質100質量部当たり0.05〜1質量部含ませることで、負極に適度な弾性が付与され、負極の流動性が十分に低減される。このため、電池の落下や輸送時に電池に加えられる衝撃や振動により負極が流動(飛散)しにくくなる。よって、セパレータの厚みが220〜390μmと薄い場合でも、負極の流動に伴うセパレータの座屈による負極の正極側への流出を十分に抑制することができる。その結果、負極の正極側への流出による内部短絡の発生と、それに伴う電池の発熱を防ぐことができ、電池の信頼性を向上させることができる。
負極中のテレフタル酸の含有量が負極活物質100質量部当たり0.05質量部未満であると、負極にテレフタル酸を含ませることによる効果が十分に得られない。負極中のテレフタル酸の含有量が負極活物質100質量部当たり1質量部超であると、負極の粘度が上昇して、正極の中空部内への負極の充填性が低下する。
負極中のテレフタル酸の含有量は、負極活物質100質量部当たり、0.3〜1質量部が好ましく、0.5〜1質量部がより好ましい。
セパレータの厚みが220〜390μmであるため、負極の充填量(負極容量)を十分に確保することができるとともに、内部抵抗を十分に小さくすることができる。
セパレータの厚みが220μm未満であると、セパレータの強度が低下するため、電池に加えられる衝撃や振動によりセパレータが座屈し、これに伴い負極の正極側への流出が生じる。セパレータの厚みが390μm超であると、セパレータの厚みが増大することにより、正極の中空部内への負極の充填量が減少し、負極容量が低下する。
セパレータの厚みは、220〜260μmであることがより好ましい。セパレータの厚みが220〜260μmと非常に薄い場合でも、負極にテレフタル酸を特定量含ませることで、負極の流動に伴うセパレータの座屈による負極の正極側への流出を十分に抑制することができる。セパレータを更に薄くすることで、負極の充填量、すなわち負極容量を更に高めることができる。また、正極と負極との間の距離が更に近くなることで、電池の内部抵抗を更に低減することができる。
粉末状のテレフタル酸は、ゲル状の負極に溶解し難い。負極中では、テレフタル酸の粒子のごく表面が僅かに溶解するだけであり、テレフタル酸の粒子の殆どは溶解せずに存在する。
負極中のテレフタル酸の粒子の平均粒径は、50〜300μmであることが好ましい。テレフタル酸の粒子の平均粒径が50〜300μmであると、負極に良好な弾性が付与されるとともに、負極の充填性を高めることができる。よって、電池の落下や輸送時に電池に加えられる衝撃や振動による負極の流動が更に抑制され、軽微な内部短絡も発生しにくくなる。より具体的には、電池の落下や輸送時に電池に加えられる衝撃や振動による5mV以下の電池電圧の低下(微量の負極の正極側への飛散による電池の発熱には至らない微小な内部短絡の発生)を抑制することができ、電池の信頼性を更に高めることができる。
負極中のテレフタル酸の粒子の平均粒径は、50〜150μmであることがより好ましい。
負極中のテレフタル酸の粒子の平均粒径は、例えば、以下の方法により求められる。
まず、電池を解体してゲル状の負極を取り出した後、遠心分離して負極から負極活物質を除去し、ゲル化剤とテレフタル酸の粒子の混合物を得る。得られた混合物を乾燥した後、光学顕微鏡を用いて観察し、テレフタル酸の粒子の10個を無作為に選び出す。そして、各粒子の粒径を測定し、測定値の大きいものから順に2つ、小さいものから順に2つの測定値をそれぞれ削除し、残りの6つの測定値の平均値を、負極中のテレフタル酸の粒子の平均粒径として求めることができる。
セパレータは、例えば、中空円筒形の正極の中空部の内面に沿って巻回されたシートを含む。この場合、セパレータとしての機能および強度の観点から、セパレータは、シートの巻き始めの一方の端部と、シートの巻き終わりの他方の端部とが互いに重なり合う部分P1を有することが好ましい。重なり合う部分P1は、セパレータの正極の軸方向(図1のX方向)と垂直な断面において、長さL1を有する。例えば、1枚のシートを一重または多重に巻いて、シートの巻き始めの一方の端部と、シートの巻き終わりの他方の端部とが互いに重なり合う部分P1を設ければよい。ここで、セパレータの厚みは、セパレータの部分P1以外の部分の厚みを指す。
ここで、図2は、シートを二重に巻いてセパレータを構成した場合の一例を模式的に示す概略図である。図2は、セパレータの正極の軸方向(図1のX方向)と垂直な断面を示す。セパレータは、シート14aを二重に巻いて構成され、巻き始めの一方の端部と、巻き終わりの他方の端部とが互いに長さL1で重なり合う部分P1を有する。
セパレータの正極の軸方向(図1のX方向)と垂直な断面において、重なり合う部分P1の長さL1が6mm以下であることが好ましい。例えば、重なり合う部分P1の長さL1が3mmとは、巻き始めの一方の端部と、巻き終わりの他方の端部とが、3mmの長さで互いに重なり合っており、部分P1ではセパレータの厚みが大きくなっていることを意味する。
また、重なり合う部分P1の長さL1は0mmでもよい。重なり合う部分P1の長さL1が0mmであるとは、巻き始めの一方の端縁と、巻き終わりの他方の端縁とが一致しており、セパレータの厚みが一定であることを意味する。
重なり合う部分P1の長さL1が0〜6mmである場合、セパレータの強度を十分に高めることができる。このため、負極の流動に伴うセパレータの座屈による負極の正極側への流出を更に抑制することができるとともに、5mV以下の電池電圧の低下を伴う軽微な内部短絡も抑制することができ、電池の信頼性を更に高めることができる。
重なり合う部分P1の長さL1は、より好ましくは1〜5mm、更に好ましくは2〜4mmである。
また、セパレータは、例えば、正極の中空部の内面に沿って順次配された複数のシートを含む。この場合、セパレータとしての機能および強度の観点から、セパレータは、互いに隣り合うシートの端部同士が重なり合う部分P2を有することが好ましい。重なり合う部分P2は、セパレータの正極の軸方向(図1のX方向)と垂直な断面において、長さL2を有する。ここで、セパレータの厚みは、セパレータの部分P2以外の部分の厚みを指す。
より具体的には、セパレータの正極の軸方向(図1のX方向)と垂直な断面において、1/n周分の長さに相当する部分Aと、更に部分Aの両端から、それぞれ長さL2/2に相当する分だけ延長した部分Bとを有するシートのn枚を、正極の中空部の内面に沿って順次配置して、1周分のセパレータを構成してもよい。nは、例えば、2〜4の整数である。1周分のセパレータは、互いに隣り合うシートの端部同士が重なり合う部分P2を有することが好ましい。この場合、1周分のセパレータは、長さL2で重なり合う部分P2をn箇所有する。強度の観点から、更に、この1周分のセパレータの複数を用いて、これらを多重に重ね合わせてもよい。この場合、強度のバランスの観点から、各1周分のセパレータの重なり合う部分P2同士が互いに重なり合わないように、各1周分のセパレータを配置することが好ましい。
ここで、図3は、n=2であり、かつ、1周分のセパレータを2つ用いて、これらを二重に重ね合わせた場合の一例を模式的に示す概略図である。図3は、セパレータの正極の軸方向(図1のX方向)と垂直な断面を示す。セパレータの正極の軸方向(図1のX方向)と垂直な断面において、1/2周分の長さに相当する部分Aと、更に部分Aの両端から、それぞれ長さL2/2に相当する分だけ延長した部分Bとを有する2枚のシート24a,24bを、正極の中空部の内面に沿って順次配置して、1周分のセパレータ24が構成されている。1周分のセパレータ24は、互いに隣り合うシート24a,24bの端部同士が重なり合う部分P2を有する。1周分のセパレータ24は、長さL2で重なり合う部分P2を2箇所有する。同様に2枚のシート34a,34bで1周分のセパレータ34が構成されている。セパレ―タ24の内側にセパレータ34が配置され、セパレータ24,34は、当該セパレータ24,34のうちの一方のセパレータの部分Aの中央部(重なり合う部分P2以外の部分)と、他方のセパレータの重なり合う部分P2とが重なり合うように配置されている。
セパレータの正極の軸方向(図1のX方向)と垂直な断面において、重なり合う部分P2の長さL2が6mm以下であることが好ましい。例えば、重なり合う部分P2の長さL2が3mmとは、互いに隣り合うシートの端部同士が、3mmの長さで重なり合っており、その部分P2ではセパレータの厚みが大きくなっていることを意味する。
また、重なり合う部分P2の長さL2は0mmでもよい。重なり合う部分P2の長さL2が0mmであるとは、正極の中空部に沿って配された互いに隣り合うシートにおいて、一方のシートの端縁と、他方のシートの端縁とが一致しており、セパレータの厚みが一定であることを意味する。
重なり合う部分P2の長さL2が0〜6mmである場合、セパレータの強度を十分に高めることができる。このため、負極の流動に伴うセパレータの座屈による負極の正極側への流出を更に抑制することができるとともに、5mV以下の電池電圧の低下を伴う軽微な内部短絡も抑制することができ、電池の信頼性を更に高めることができる。
重なり合う部分P2の長さL2は、より好ましくは1〜5mm、更に好ましくは2〜4mmである。
以下、本実施形態に係るアルカリ乾電池を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。さらに、他の実施形態との組み合わせも可能である。
図1は、本発明の一実施形態におけるアルカリ乾電池の横半分を断面とする正面図である。図1に示すように、アルカリ乾電池は、中空円筒形の正極2と、正極2の中空部内に配された負極3と、これらの間に配されたセパレータ4と、アルカリ電解液(図示せず)とを含み、これらが、正極端子を兼ねた有底円筒形の電池ケース1内に収容されている。
正極2は、電池ケース1の内壁に接して配されている。正極2は、二酸化マンガンとアルカリ電解液とを含む。
正極2の中空部内には、セパレータ4を介して、ゲル状の負極3が充填されている。負極3は、亜鉛を含む負極活物質とテレフタル酸に加え、通常、アルカリ電解液とゲル化剤とを含む。負極3中のテレフタル酸の含有量は、負極活物質100質量部当たり0.05〜1質量部である。
セパレータ4は、有底円筒形であり、電解液を含む。セパレータ4は、円筒型のセパレータ4aと、底紙4bとで構成されている。セパレータ4aは、正極2の中空部の内面に沿って配され、正極2と負極3とを隔離している。よって、正極と負極との間に配されたセパレータとは、円筒型のセパレータ4aを意味する。底紙4bは、正極2の中空部の底部に配され、負極3と電池ケース1とを隔離している。セパレータ4aの厚みは、220〜390μmである。
電池ケース1の開口部は、封口ユニット9により封口されている。封口ユニット9は、ガスケット5、負極端子を兼ねる負極端子板7、および負極集電体6からなる。負極集電体6は負極3内に挿入されている。負極集電体6は、頭部と胴部とを有する釘状の形態を有しており、胴部はガスケット5の中央筒部に設けられた貫通孔に挿入され、負極集電体6の頭部は負極端子板7の中央部の平坦部に溶接されている。電池ケース1の開口端部は、ガスケット5の外周端部を介して負極端子板7の周縁部の鍔部にかしめつけられている。電池ケース1の外表面には外装ラベル8が被覆されている。
負極3にテレフタル酸を含ませることで、負極3に適度な弾性が付与され、負極3の流動性が十分に低減される。このため、電池の落下や輸送時に電池に加えられる衝撃や振動により負極3がガスケット5側へ流動(飛散)しにくくなる。よって、セパレータ4aの厚みが220〜390μmと薄くても、負極3のガスケット5側への流動(飛散)に伴うセパレータ4a(ガスケット5側の端部)の座屈による負極3の正極2側への流出が十分に抑制される。その結果、負極3の正極2側への流出による内部短絡の発生と、それに伴う電池の発熱を防ぐことができる。
以下、アルカリ乾電池の詳細について説明する。
(負極)
負極活物質としては、亜鉛、亜鉛合金などが挙げられる。亜鉛合金は、耐食性の観点から、インジウム、ビスマスおよびアルミニウムからなる群より選択される少なくとも一種を含んでもよい。亜鉛合金中のインジウム含有量は、例えば、0.01〜0.1質量%であり、ビスマス含有量は、例えば、0.003〜0.02質量%である。亜鉛合金中のアルミニウム含有量は、例えば、0.001〜0.03質量%である。亜鉛合金中において亜鉛以外の元素が占める割合は、耐食性の観点から、0.025〜0.08質量%であるのが好ましい。
負極活物質は、通常、粉末状の形態で使用される。負極の充填性および負極内でのアルカリ電解液の拡散性の観点から、負極活物質粉末の平均粒径(D50)は、例えば、100〜200μm、好ましくは110〜160μmである。なお、本明細書中、平均粒径(D50)とは、体積基準の粒度分布におけるメジアン径である。平均粒径は、例えば、レーザ回折/散乱式粒子分布測定装置を用いて求められる。
負極は、例えば、亜鉛を含む負極活物質粒子、テレフタル酸粒子、ゲル化剤およびアルカリ電解液を混合することにより得られる。負極に添加するテレフタル酸粉末の平均粒径(D50)は、50〜300μmであることが好ましい。この場合、電池の落下や輸送時に電池に加えられる衝撃や振動による負極の流動に伴うセパレータの座屈による負極の正極側への流出を更に抑制することができる。
ゲル化剤としては、アルカリ乾電池の分野で使用される公知のゲル化剤が特に制限なく使用され、例えば、吸水性ポリマーなどが使用できる。このようなゲル化剤としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウムが挙げられる。
ゲル化剤の添加量は、負極活物質100質量部あたり、例えば、0.5〜2質量部である。
負極には、粘度の調整等のために、ポリオキシアルキレン基含有化合物やリン酸エステル等の界面活性剤を用いてもよい。中でも、リン酸エステルまたはそのアルカリ金属塩等が好ましい。負極中に界面活性剤をより均一に分散させる観点から、界面活性剤は、負極作製時に用いられるアルカリ電解液に予め添加しておくことが好ましい。
負極には、耐食性を向上させるために、インジウムやビスマス等の水素過電圧の高い金属を含む化合物を適宜添加してもよい。亜鉛等のデンドライトの成長を抑制するために、負極に、微量のケイ酸やそのカリウム塩などのケイ酸化合物を適宜添加してもよい。
(負極集電体)
ゲル状負極に挿入される負極集電体の材質としては、例えば、金属、合金などが挙げられる。負極集電体は、好ましくは、銅を含み、例えば、真鍮などの銅および亜鉛を含む合金製であってもよい。負極集電体は、必要により、スズメッキなどのメッキ処理がされていてもよい。
(正極)
正極は、通常、正極活物質である二酸化マンガンに加え、導電剤およびアルカリ電解液を含む。また、正極は、必要に応じて、さらに結着剤を含有してもよい。
二酸化マンガンとしては、電解二酸化マンガンが好ましい。二酸化マンガンの結晶構造としては、α型、β型、γ型、δ型、ε型、η型、λ型、ラムスデライト型が挙げられる。
二酸化マンガンは粉末の形態で用いられる。正極の充填性および正極内での電解液の拡散性などを確保し易い観点からは、二酸化マンガンの平均粒径(D50)は、例えば、25〜60μmである。
成形性や正極の膨張抑制の観点から、二酸化マンガンのBET比表面積は、例えば、20〜50m2/gの範囲であってもよい。なお、BET比表面積とは、多分子層吸着の理論式であるBET式を用いて、表面積を測定および計算したものである。BET比表面積は、例えば、窒素吸着法による比表面積測定装置を用いることにより測定できる。
導電剤としては、例えば、アセチレンブラックなどのカーボンブラックの他、黒鉛などの導電性炭素材料が挙げられる。黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛などが使用できる。導電剤は、繊維状などであってもよいが、粉末状であることが好ましい。導電剤の平均粒径(D50)は、例えば、3〜20μmである。
正極中の導電剤の含有量は、二酸化マンガン100質量部に対して、例えば、3〜10質量部、好ましくは5〜9質量部である。
正極は、例えば、正極活物質、導電剤、アルカリ電解液、必要に応じて結着剤を含む正極合剤をペレット状に加圧成形することにより得られる。正極合剤を、一旦、フレーク状や顆粒状にし、必要により分級した後、ペレット状に加圧成形してもよい。
ペレットは、電池ケース内に収容された後、所定の器具を用いて、電池ケース内壁に密着するように二次加圧される。
(セパレータ)
セパレータの材質としては、例えば、セルロース、ポリビニルアルコールなどが例示できる。セパレータは、上記材料の繊維を主体として用いた不織布であってもよく、セロファンやポリオレフィン系などの微多孔膜であってもよい。不織布と微多孔膜とを併用してもよい。
セパレータとしては、不織布を用いるのが好ましい。このような不織布としては、セルロース繊維およびポリビニルアルコール繊維を主体として混抄した不織布が例示できる。セルロース繊維としては、例えば、レーヨン繊維(再生繊維)が挙げられる。不織布中のポリビニルアルコール繊維の含有量は、例えば、セルロース繊維100質量部当たり25〜150質量部である。
図1では、円筒型のセパレータ4aと、底紙4bとを用いて、有底円筒形のセパレータ4を構成している。有底円筒形のセパレータは、これに限らず、アルカリ乾電池の分野で使用される公知の形状のセパレータを用いればよい。セパレータは、1枚のシートで構成してもよく、セパレータを構成するシートが薄ければ、複数のシートを重ね合わせて構成してもよい。円筒型のセパレータは、薄いシートを複数回巻いて構成してもよい。
(アルカリ電解液)
アルカリ電解液は、正極、負極およびセパレータ中に含まれる。アルカリ電解液としては、例えば、水酸化カリウムを含むアルカリ水溶液が用いられる。アルカリ電解液中の水酸化カリウムの濃度は、30〜50質量%が好ましい。アルカリ水溶液に、さらに酸化亜鉛を含ませてもよい。アルカリ電解液中の酸化亜鉛の濃度は、例えば、1〜5質量%である。
(電池ケース)
電池ケースには、例えば、有底円筒形の金属ケースが用いられる。金属ケースには、例えば、ニッケルめっき鋼板が用いられる。正極と電池ケースとの間の密着性を良くするためには、金属ケースの内面を炭素被膜で被覆した電池ケースを用いるのが好ましい。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
《実施例1〜4》
下記の(1)〜(3)の手順に従って、図1に示す単3形の円筒形アルカリ乾電池(LR6)を作製した。
(1)正極の作製
正極活物質である電解二酸化マンガン粉末(平均粒径(D50)35μm)に、導電剤である黒鉛粉末(平均粒径(D50)8μm)を加え、混合物を得た。電解二酸化マンガン粉末および黒鉛粉末の質量比は92.4:7.6とした。なお、電解二酸化マンガン粉末は、比表面積が41m2/gであるものを用いた。混合物に電解液を加え、充分に攪拌した後、フレーク状に圧縮成形して、正極合剤を得た。混合物および電解液の質量比は100:1.5とした。電解液には、水酸化カリウム(濃度35質量%)および酸化亜鉛(濃度2質量%)を含むアルカリ水溶液を用いた。
フレーク状の正極合剤を粉砕して顆粒状とし、これを篩によって分級した。10〜100メッシュの顆粒11gを、外径13.65mmの所定の中空円筒形に加圧成形して、正極ペレットを2個作製した。
(2)負極の作製
負極活物質である亜鉛合金粉末(平均粒径(D50)130μm)と、テレフタル酸粉末(平均粒径(D50)150μm)と、上記の電解液と、ゲル化剤とを混合し、ゲル状の負極3を得た。亜鉛合金としては、0.02質量%のインジウムと、0.01質量%のビスマスと、0.005質量%のアルミニウムとを含む亜鉛合金を用いた。ゲル化剤には、架橋分岐型ポリアクリル酸および高架橋鎖状型ポリアクリル酸ナトリウムの混合物を用いた。負極活物質と、電解液と、ゲル化剤との質量比は、100:50:1とした。テレフタル酸は、負極活物質100質量部当たり表1に示す量(質量部)で用いた。
(3)アルカリ電池の組立て
ニッケルめっき鋼板製の有底円筒形の電池ケース(外径13.80mm、円筒部の肉厚0.15mm、高さ50.3mm)の内面に、日本黒鉛(株)製のバニーハイトを塗布して厚み約10μmの炭素被膜を形成し、電池ケース1を得た。電池ケース1内に正極ペレットを縦に2個挿入した後、加圧して、電池ケース1の内壁に密着した状態の正極2を形成した。有底円筒形のセパレータ4を正極2の内側に配置した後、上記の電解液を注入し、セパレータ4に含浸させた。この状態で所定時間放置し、電解液をセパレータ4から正極2へ浸透させた。その後、6gのゲル状負極3を、セパレータ4の内側に充填した。
セパレータ4は、円筒型のセパレータ4aおよび底紙4bを用いて構成した。円筒型のセパレータ4aおよび底紙4bには、質量比が1:1であるレーヨン繊維およびポリビニルアルコール繊維を主体として混抄した不織布シート(坪量28g/m2)を用いた。底紙4bに用いた不織布シートの厚みは0.27mmであった。
セパレータ4a(膨潤前の厚み300μm)を、厚み100μmの不織布シートを三重に巻いて構成した。このとき、不織布シートの巻き始めの一方の端部と、不織布シートの巻き終わりの他方の端部とが互いに重なり合う部分P1を設けた。セパレータの正極の軸方向(図1のX方向)と垂直な断面において、重なり合う部分P1の長さL1は、3mmとした。
負極集電体6は、一般的な真鍮(Cu含有量:約65質量%、Zn含有量:約35質量%)を、釘型にプレス加工した後、表面にスズめっきを施すことにより得た。負極集電体6の胴部の径は1.15mmとした。ニッケルめっき鋼板製の負極端子板7に負極集電体6の頭部を電気溶接した。その後、負極集電体6の胴部を、ポリアミド6,12を主成分とするガスケット5の中心の貫通孔に圧入した。このようにして、ガスケット5、負極端子板7、および負極集電体6からなる封口ユニット9を作製した。
次に、封口ユニット9を電池ケース1の開口部に設置した。このとき、負極集電体6の胴部を、負極3内に挿入した。電池ケース1の開口端部を、ガスケット5を介して、負極端子板7の周縁部にかしめつけ、電池ケース1の開口部を封口した。外装ラベル8で電池ケース1の外表面を被覆した。このようにして、アルカリ乾電池を作製した。
《比較例1》
負極の作製において、テレフタル酸を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にしてアルカリ乾電池を作製した。
《比較例2》
負極の作製において、テレフタル酸の含有量(負極活物質100質量部あたりの量)を、表1に示す値とした以外は、実施例1と同様にしてアルカリ乾電池を作製した。
[評価]
得られたアルカリ乾電池を用いて、下記の評価を行った。
(i)安全性の評価
実施例および比較例の電池を10個ずつ準備した。各電池の10個を、負極側(図1の負極端子板7側)を下向きにして100cmの高さから、プラスチックタイルの上に落下させた。この時、40℃以上に発熱した電池の個数を求めた。
(ii)セパレータ(膨潤後)の厚みの測定
正極端子面から電池の軸方向(図1のX方向)に20mmの個所の横断面(図1のX方向と垂直な断面)像を、CTスキャンを用いて観察し、正極と負極との間の距離(径方向の長さ)を、セパレータ4a(電解液を含んで膨潤した状態)の厚みとして測定した。正極と負極との間の円筒型のセパレータ4aが配された任意の1点(巻き始めの一方の端部と、巻き終わりの他方の端部とが互いに重なり合う部分を除く)を決めて、まず測定を行い、電池の軸を中心にして90°ずつ回転させたときの点(巻き始めの一方の端部と、巻き終わりの他方の端部とが互いに重なり合う部分を除く、残りの3点)についても、同様に測定を行った。4点の測定値のうち最大値および最小値を除いた残りの2点の測定値の平均値を求めた。
(iii)負極中のテレフタル酸の粒子の平均粒径の測定
電池を解体してゲル状の負極を取り出した後、遠心分離して負極から負極活物質を除去し、ゲル化剤とテレフタル酸の粒子の混合物を得た。得られた混合物を乾燥した後、光学顕微鏡を用いて観察し、テレフタル酸の粒子の10個を無作為に選び出した。そして、各粒子の粒径を測定し、測定値の大きいものから順に2つ、小さいものから順に2つの測定値をそれぞれ削除し、残りの6つの測定値の平均値を、負極中のテレフタル酸の粒子の平均粒径として求めた。
評価結果を表1に示す。
Figure 0006868794
実施例1〜4および比較例1〜2のセパレータ(膨潤後)の厚みは、約390μmであった。実施例1〜4および比較例2の負極中のテレフタル酸の粒子の平均粒径は、約150μmであった。
テレフタル酸の含有量が負極活物質100質量部あたり0.05〜1.0質量部であり、セパレータ(膨潤後)の厚みが約390μmである実施例1〜4では、発熱した電池はみられなかった。負極にテレフタル酸を添加しない比較例1では、発熱した電池があった。テレフタル酸の含有量が負極活物質100質量部あたり0.01質量部であり、セパレータ(膨潤後)の厚みが約390μmである比較例2では、テレフタル酸の添加による効果が不十分であるため、発熱した電池があった。
なお、セパレータ4a(膨潤前の厚み330μm)を、厚み110μmの不織布シートを三重に巻いて構成した場合、膨潤後のセパレータの厚みは約420μmとなった。この場合は、セパレータの厚みが大きくなり過ぎて、正極の中空部への負極の充填量が減少したため、負極容量を確保することができなかった。
また、負極中へのテレフタル酸の添加量を負極活物質100質量部あたり2質量部とした場合、負極の粘度が上昇して、正極の中空部への充填が困難となった。
《実施例5〜8》
負極の作製において、テレフタル酸の含有量(負極活物質100質量部あたりの量)を、表1に示す値とした。セパレータ4a(膨潤前の厚み230μm)を、厚み115μmの不織布シートを二重に巻いて構成した。上記以外は、実施例1と同様にしてアルカリ乾電池を作製し、評価した。
《比較例3》
負極の作製において、テレフタル酸を用いなかったこと以外は、実施例5と同様にしてアルカリ乾電池を作製し、評価した。
《比較例4》
負極の作製において、テレフタル酸の含有量(負極活物質100質量部あたりの量)を、表1に示す値とした以外は、実施例5と同様にしてアルカリ乾電池を作製し、評価した。
評価結果を表2に示す。
Figure 0006868794
実施例5〜8および比較例3〜4のセパレータ(膨潤後)の厚みは、約300μmであった。実施例5〜8および比較例4の負極中のテレフタル酸の粒子の平均粒径は、約150μmであった。
テレフタル酸の含有量が負極活物質100質量部あたり0.05〜1.0質量部であり、セパレータ(膨潤後)の厚みが約300μmである実施例5〜8では、発熱した電池はみられなかった。負極にテレフタル酸を添加しない比較例3では、発熱した電池があった。テレフタル酸の含有量が負極活物質100質量部あたり0.01質量部であり、セパレータ(膨潤後)の厚みが約300μmである比較例4では、テレフタル酸の添加による効果が不十分であるため、発熱した電池があった。
《実施例9〜12》
負極の作製において、テレフタル酸の含有量(負極活物質100質量部あたりの量)を、表1に示す値とした。セパレータ4a(膨潤前の厚み200μm)を、厚み100μmの不織布シートを二重に巻いて構成した。上記以外は、実施例1と同様にしてアルカリ乾電池を作製し、評価した。
《比較例5》
負極の作製において、テレフタル酸を用いなかったこと以外は、実施例9と同様にしてアルカリ乾電池を作製し、評価した。
《比較例6》
負極の作製において、テレフタル酸の含有量(負極活物質100質量部あたりの量)を、表1に示す値とした以外は、実施例9と同様にしてアルカリ乾電池を作製し、評価した。
《比較例7》
負極の作製において、テレフタル酸の代わりにビニロン繊維(長さ約4mm、太さ0.5〜1デニール)を負極活物質100質量部当たり2質量部添加した以外は、実施例9と同様にしてアルカリ乾電池を作製し、評価した。
《比較例8》
負極の作製において、テレフタル酸の代わりにレーヨン繊維(長さ約4mm、太さ0.5〜1デニール)を負極活物質100質量部当たり2質量部添加した以外は、実施例9と同様にしてアルカリ乾電池を作製し、評価した。
評価結果を表3に示す。
Figure 0006868794
実施例9〜12および比較例5〜8のセパレータ(膨潤後)の厚みは、約260μmであった。実施例9〜12および比較例6の負極中のテレフタル酸の粒子の平均粒径は、約150μmであった。
テレフタル酸の含有量が負極活物質100質量部あたり0.05〜1.0質量部であり、セパレータ(膨潤後)の厚みが約260μmである実施例9〜12では、発熱した電池はみられなかった。
負極にテレフタル酸を添加しない比較例5では、発熱した電池があった。テレフタル酸の含有量が負極活物質100質量部あたり0.01質量部であり、セパレータ(膨潤後)の厚みが約260μmである比較例6では、テレフタル酸の添加による効果が不十分であるため、発熱した電池があった。繊維を添加した比較例7および8では、発熱した電池があった。
《実施例13〜16》
負極の作製において、テレフタル酸の含有量(負極活物質100質量部あたりの量)を、表4に示す値とした。セパレータ4a(膨潤前の厚み170μm)を、厚み85μmの不織布シートを二重に巻いて構成した。
上記以外は、実施例1と同様にしてアルカリ乾電池を作製し、評価した。
《比較例9》
負極の作製において、テレフタル酸を用いなかったこと以外は、実施例13と同様にしてアルカリ乾電池を作製し、評価した。
《比較例10》
負極の作製において、テレフタル酸の含有量(負極活物質100質量部あたりの量)を、表1に示す値とした以外は、実施例13と同様にしてアルカリ乾電池を作製し、評価した。
《比較例11》
負極の作製において、テレフタル酸の代わりにビニロン繊維(長さ約4mm、太さ0.5〜1デニール)を負極活物質100質量部当たり2質量部添加した以外は、実施例13と同様にしてアルカリ乾電池を作製し、評価した。
《比較例12》
負極の作製において、テレフタル酸の代わりにレーヨン繊維(長さ約4mm、太さ0.5〜1デニール)を負極活物質100質量部当たり2質量部添加した以外は、実施例13と同様にしてアルカリ乾電池を作製し、評価した。
評価結果を表4に示す。
Figure 0006868794
実施例13〜16および比較例9〜12のセパレータ(膨潤後)の厚みは、約220μmであった。実施例13〜16および比較例10の負極中のテレフタル酸の粒子の平均粒径は、約150μmであった。
テレフタル酸の含有量が負極活物質100質量部あたり0.05〜1.0質量部であり、セパレータ(膨潤後)の厚みが約220μmである実施例13〜16では、発熱した電池はみられなかった。
負極にテレフタル酸を添加しない比較例5では、発熱した電池があった。テレフタル酸の含有量が負極活物質100質量部あたり0.01質量部であり、セパレータ(膨潤後)の厚みが約220μmである比較例10では、テレフタル酸の添加による効果が不十分であるため、発熱した電池があった。繊維を添加した比較例11および12では、発熱した電池があった。
《比較例13〜18》
負極の作製において、テレフタル酸の含有量(負極活物質100質量部あたりの量)を、表4に示す値とした。セパレータ4a(膨潤前の厚み150μm)を、厚み75μmの不織布シートを二重に巻いて構成した。上記以外は、実施例1と同様にしてアルカリ乾電池を作製し、評価した。
評価結果を表5に示す。
Figure 0006868794
比較例13〜18のセパレータ(膨潤後)の厚みは、約200μmであった。比較例13〜18の負極中のテレフタル酸の粒子の平均粒径は、約150μmであった。
負極にテレフタル酸を添加しない比較例13では、テレフタル酸の添加による効果が得られず、セパレータ(膨潤後)の厚みが薄いため、発熱した電池があった。テレフタル酸の含有量が負極活物質100質量部あたり0.01質量部であり、セパレータ(膨潤後)の厚みが約200μmである比較例14では、テレフタル酸の添加による効果が不十分であり、セパレータ(膨潤後)の厚みが薄いため、発熱した電池があった。
テレフタル酸の含有量が負極活物質100質量部あたり0.05〜1.0質量部であり、セパレータ(膨潤後)の厚みが約200μmである比較例15〜18では、セパレータ(膨潤後)の厚みが薄いため、発熱した電池があった。
《実施例17〜20》
負極中のテレフタル酸の平均粒径を表6に示す値とした以外は、実施例1と同様にしてアルカリ乾電池を作製し、評価した。
更に、実施例1および17〜20の電池について、以下の評価を行った。
(iv)信頼性の評価
実施例の電池を10個ずつ準備した。各電池を、負極側を下向きにして100cmの高さから、プラスチックタイルの上に落下させた。この時、5mV以下の範囲で電池電圧が低下した電池の個数を求めた。
評価結果を表6に示す。
Figure 0006868794
実施例1および17〜20のセパレータ(膨潤後)の厚みは、約260μmであった。実施例17、18、1、19、および20の負極中のテレフタル酸の粒子の平均粒径は、それぞれ約30μm、約50μm、約150μm、約300μm、および約500μmであった。
いずれの実施例においても、発熱した電池はみられなかった。負極中のテレフタル酸の粒子の平均粒径が約50〜300μmである実施例1、18、および19では、正極の中空部内への負極の充填性に優れているとともに、5mV以下の範囲で電池電圧が低下した電池はみられなかった。
負極中のテレフタル酸の粒子の平均粒径が約30μmである実施例17では、5mV以下の範囲で電池電圧が低下した電池はみられなかったが、正極の中空部内への負極の充填性が若干低下した。負極中のテレフタル酸の粒子の平均粒径が約500μmである実施例20では、正極の中空部内への負極の充填性に優れていたが、5mV以下の範囲で電池電圧が低下した電池があった。
《実施例21〜24》
円筒型のセパレータの構成において、巻き始めの一方の端部と、巻き終わりの他方の端部とが互いに重なり合う部分P1の長さL1を、表7に示す値に変えた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ乾電池を作製し、評価した。更に、上記(iv)の信頼性の評価も行った。
Figure 0006868794
実施例1および21〜24のセパレータ(膨潤後)の厚みは、約260μmであった。実施例1および21〜24の負極中のテレフタル酸の粒子の平均粒径は、約150μmであった。
いずれの実施例においても、発熱した電池はみられなかった。重なり合う部分P1の長さL1が0〜6mmである実施例1、22、および23では、5mV以下の範囲で電池電圧が低下した電池はみられなかった。
重なり合う部分P1の長さL1が−3mmである実施例21では、5mV以下の範囲で電池電圧が低下した電池があった。これは、実施例21では、セパレータの厚みが薄くなる部分が存在し、その部分で強度が小さくなったためであると考えられる。なお、重なり合う部分P1の長さL1が−3mmであるとは、巻き始めの一方の端部と、巻き終わりの他方の端部との間が、3mm離れており、その部分ではセパレータの厚みが薄くなっていることを意味する。
重なり合う部分P1の長さL1が9mmである実施例24では、5mV以下の範囲で電池電圧が低下した電池があった。これは、実施例22では、重なり合う部分P1においてセパレータの厚みが大きくなり、重なり合う部分P1と部分P1以外の部分との間においてセパレータの厚みの差が大きくなることでセパレータが若干座屈し易くなったためであると考えられる。
本発明の一実施形態によれば、乾電池を電源とするあらゆる機器に使用できる。例えば、ポータブルオーディオ機器、電子ゲーム、ライト、おもちゃなどに好適である。
1:電池ケース、2:正極、3:負極、4:有底円筒形のセパレータ、4a:円筒型のセパレータ、4b:底紙、5:ガスケット、6:負極集電体、7:負極端子板、8:外装ラベル、9:封口ユニット、14a:シート、24:セパレータ、24a,24b:シート、34:セパレータ、34a,34b:シート

Claims (3)

  1. 中空円筒形の正極と、前記正極の中空部内に配されたゲル状の負極と、前記正極と前記負極との間に配されたセパレータと、前記正極、前記負極、および前記セパレータ中に含まれるアルカリ電解液とを備え、
    前記負極は、亜鉛を含む負極活物質と、テレフタル酸とを含み、
    前記負極中の前記テレフタル酸の含有量は、前記負極活物質100質量部当たり0.05〜1質量部であり、
    前記テレフタル酸の粒子の平均粒径は、50〜300μmであり、
    前記セパレータの厚みは、220〜390μmである、アルカリ乾電池。
  2. 前記セパレータは、前記正極の中空部の内面に沿って巻回されたシートを含み、
    前記セパレータは、前記シートの巻き始めの一方の端部と、前記シートの巻き終わりの他方の端部とが互いに重なり合う部分を有し、
    前記セパレータの前記正極の軸方向と垂直な断面において、前記重なり合う部分の長さが6mm以下である、請求項に記載のアルカリ乾電池。
  3. 前記セパレータは、前記正極の中空部の内面に沿って順次配された複数のシートを含み、
    前記セパレータは、前記互いに隣り合うシートの端部同士が重なり合う部分を有し、
    前記セパレータの前記正極の軸方向と垂直な断面において、前記重なり合う部分の長さが6mm以下である、請求項に記載のアルカリ乾電池。
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