図1は、実施形態に係る端子付き電線における圧着端子の圧着前の状態を示す斜視図である。
図2は、実施形態に係る端子付き電線の斜視図である。
図3は、実施形態に係る端子付き電線の斜視図である。
図4は、実施形態に係る端子付き電線の平面図である。
図5は、実施形態に係る端子付き電線の断面図である。
図6は、実施形態に係る端子付き電線の断面図である。
図7は、実施形態に係る端子付き電線の断面図である。
図8は、実施形態の端子連鎖体を示す平面図である。
図9は、実施形態の端子圧着装置の側面図である。
図10は、実施形態の端子圧着装置の正面図である。
図11は、実施形態に係る端子圧着用金型の斜視図である。
図12は、実施形態に係る端子圧着用金型の平面図である。
図13は、実施形態に係る端子圧着用金型の断面図である。
図14は、実施形態に係る端子圧着用金型の断面図である。
図15は、実施形態に係る端子圧着用金型の断面図である。
図16は、比較例に係る端子圧着用金型の断面図である。
図17は、実施形態の端子切断体を示す側面図である。
図18は、実施形態の端子切断体を示す背面図である。
図19は、電線および圧着端子が実施形態の端子圧着装置にセットされた状態を示す断面図である。
図20は、実施形態の変形例に係る端子付き電線の平面図である。
図21は、実施形態の変形例に係る端子付き電線の断面図である。
図22は、実施形態の変形例に係る端子圧着用金型の平面図である。
図23は、実施形態の変形例に係る端子圧着用金型の断面図である。
以下に、本発明の実施形態に係る端子付き電線および端子圧着用金型につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1から図19を参照して、実施形態について説明する。実施形態は、端子付き電線および端子圧着用金型に関する。図1は、実施形態に係る端子付き電線における圧着端子の圧着前の状態を示す斜視図である。図2および図3は、実施形態に係る端子付き電線の斜視図である。図4は、実施形態に係る端子付き電線の平面図である。図5から図7は、実施形態に係る端子付き電線の断面図である。図5は、図4に示すV−V線による断面を示す図であり、図6は、図4に示すVI−VI線による断面を示す図であり、図7は、図4に示すVII−VII線による断面を示す図である。図8は、実施形態の端子連鎖体を示す平面図である。図9は、実施形態の端子圧着装置の側面図である。図10は、実施形態の端子圧着装置の正面図である。図11は、実施形態に係る端子圧着用金型の斜視図である。図12は、実施形態に係る端子圧着用金型の平面図である。図13から図15は、実施形態に係る端子圧着用金型の断面図である。図13は、図12に示すXIII−XIII線による断面を示す図であり、図14は、図12に示すXIV−XIV線による断面を示す図である。図15は、実施形態に係る端子圧着用金型の圧着工程時の状態を示す図である。図16は、比較例に係る端子圧着用金型の断面図である。図17は、実施形態の端子切断体を示す側面図である。図18は、実施形態の端子切断体を示す背面図である。図19は、電線および圧着端子が実施形態の端子圧着装置にセットされた状態を示す断面図である。図19は、図10に示すXIX−XIX線による断面に対応する図である。
[端子付き電線]
図1に示すように、実施形態に係る端子付き電線1は、電線20および圧着端子10を含む。電線20は、芯線20aおよび被覆部20bを含む。芯線20aは一方向に沿って延在する。明細書中において、芯線20aの延在する方向を「第一方向X」と称する。被覆部20bは、芯線20aの外周側を被覆する。電線20は、電線20の末端部20Pにおいて、被覆部20bから芯線20aの一部が第一方向Xに突出した芯線露出部20Eを有する。芯線露出部20Eは、芯線20aにおける被覆部20bから露出した部分である。
以下、明細書中において、第一方向Xと直交する一方向を「第二方向Y」と称し、第一方向Xおよび第二方向Yと直交する方向を「第三方向Z」と称する。
芯線20aは、第一方向Xに沿って線状に延びる導電体である。芯線20aは、複数の素線の集合体である。芯線20aは、断面が矩形または、断面が丸形である棒状の単線であってもよい。芯線20aは、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの導電材料を用いて形成される。被覆部20bは、例えば、絶縁性の電線被覆である。被覆部20bは、例えば、PP(ポリプロピレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、架橋PE(架橋ポリエチレン)などの絶縁材料を用いて形成される。
圧着端子10は、端子金具10aおよび止水部材10bを含む。端子金具10aは、電線20の末端部20Pに対して圧着される端子である。端子金具10aは、母材としての導電性の金属板(例えば銅板、銅合金板)から形成される。端子金具10aは、母材に対する打ち抜き加工や折り曲げ加工などにより、相手側端子や電線20との接続が可能な所定の形状に加工される。端子金具10aは、端子接続部11および電線接続部12を有する。端子接続部11は、相手側端子に対して電気的に接続される部分である。電線接続部12は、電線20の末端部20Pに対して圧着される部分である。電線接続部12は、芯線露出部20Eに対して圧着されることにより、芯線20aと電気的に接続される。
端子金具10aにおいて、端子接続部11と電線接続部12との間には、連結部14が設けられている。連結部14は、端子接続部11と電線接続部12とを連結する。連結部14は、2つの側壁14aを有する。一方の側壁14aは、端子接続部11の一方の側壁14aと、電線接続部12の一方の側壁である第一バレル片部12Rとを繋ぐ。他方の側壁14aは、端子接続部11の他方の側壁14aと、電線接続部12の他方の側壁である第二バレル片部12Lとを繋ぐ。
図1から図4に示すように、実施形態において、端子金具10aは、雄端子である。この場合、端子接続部11は、雄型に成形される。なお、端子金具10aは、雌端子であってもよい。この場合、端子接続部11は、雌型に成形される。
成型工程において、圧着端子10は、平板な板状に成型される。その後、端子接続部の成形工程において、図1に示すように、圧着端子10の端子接続部11は、棒状に成形される。端子接続部の成形工程では、端子接続部11に対する折り曲げ加工などがなされる。実施形態の端子接続部11は、第一方向Xに沿って延在する棒状に形成される。棒状の端子接続部11は、内部が中空であり、第一方向Xに直交する断面において、矩形の断面形状を有する。
電線接続部12は、電線接続部の形成工程において、断面形状がU字状に形成される。電線接続部の成形工程では、電線接続部12に対する折り曲げ加工などがなされる。また、電線接続部12には、貼付工程において、止水部材10bが貼付けられる。貼付工程は、電線接続部の成形工程よりも前に実行されてもよく、電線接続部の成形工程の後で実行されてもよい。
電線接続部12は、底部12T、第一バレル片部12Rおよび第二バレル片部12Lを有する。底部12Tは、U字状に形成された電線接続部12の底壁となる部位である。底部12Tの長さ方向は、第一方向Xに沿い、底部12Tの幅方向は、第二方向Yに沿う。底部12Tには、圧着加工の際に電線20の末端部20Pが載置される。第一バレル片部12Rは、底部12Tの幅方向(第二方向Y)における一端から延在する。第二バレル片部12Lは、底部12Tの幅方向(第二方向Y)における他端から延在する。U字状に形成された電線接続部12では、底部12Tに電線20の端部が載置されると、第一バレル片部12Rおよび第二バレル片部12Lが第二方向Yにおける両側から電線20を囲む。
第一バレル片部12Rおよび第二バレル片部12Lは、底部12T側の基端部から先端部までの長さが互いに等しくてもよく、一方の長さが他方の長さよりも長くてもよい。実施形態の圧着端子10においては、第二バレル片部12Lにおける底部12T側の基端部から先端部までの長さは、第一バレル片部12Rにおける底部12T側の基端部から先端部までの長さよりも長い。
電線20の末端部20Pは、電線接続部12のU字の開口部の隙間からU字状の内側の空間に挿入される。電線接続部12は、電線20の端部が挿入されやすいように形成されている。具体的には、電線接続部12は、第二方向Yにおける第一バレル片部12Rと第二バレル片部12Lとの間隔が、底部12T側から先端部の端面に向かうにつれて広がっている。
図5から図7に示すように、第一バレル片部12Rおよび第二バレル片部12Lは、互いに重なり合う状態で、電線20に対して巻き付けられる。実施形態では、第一バレル片部12Rは、芯線露出部20Eおよび被覆部20bに対して一体として巻き付けられて圧着される。第二バレル片部12Lは、第一バレル片部12Rの外側に巻き付けられて圧着される。なお、第一バレル片部12Rおよび第二バレル片部12Lは、互いの一部が重なっていない状態で、電線20に対して巻き付けられてもよい。つまり、第二バレル片部12Lの一部が芯線露出部20Eおよび被覆部20bに対して巻き付けられて圧着されてもよい。
ここで、芯線露出部20Eと、芯線露出部20Eに対して圧着された電線接続部12との間に水が浸入してしまうことは好ましくない。例えば、芯線20aの金属材料と電線接続部12の金属材料とがイオン化傾向の大きさの異なるものである場合、腐食の可能性がある。一例として、芯線20aの材料がアルミニウム、電線接続部12の材料が銅である場合、芯線20aの芯線露出部20Eが腐食してしまう可能性がある。図5に示すように、実施形態の圧着端子10には止水部材10bが設けられている。止水部材10bは、電線接続部12と芯線露出部20Eとの間への水の浸入を抑制する。
止水部材10bは、例えば、アクリル系粘着剤などの粘着剤を主とするシート状に形成された部材である。実施形態の止水部材10bとしては、シート状の不織布に粘着剤を染み込ませて形成された粘着シートであって、両面に粘着効果を有するものが用いられる。
図4から図7に示すように、底部12Tは、第二方向Yにおける両端よりも内側に位置し第一方向Xから見て芯線20aとは反対側に湾曲する湾曲面12Sを有する。図4に示すように、湾曲面12Sは、底部12Tのうち芯線露出部20Eに圧着される部分である第一底部12Taから被覆部20bに圧着される部分である第二底部12Tbにかけて延在する。
図5に示すように、湾曲面12Sは、第一凸部13aおよび第二凸部13bを有する。第一凸部13aおよび第二凸部13bは、芯線20aとは反対側に向けて突出している。図4に示すように、第一凸部13aは、湾曲面12Sにおいて第二バレル片部12Lの基端部側における端部12ELに位置し、第一方向Xに沿って延在する。第二凸部13bは、湾曲面12Sにおいて第一バレル片部12Rの基端部側における端部12ERに位置し、第一方向Xに沿って延在する。実施形態において、第一凸部13aおよび第二凸部13bは、第一方向Xに沿って延在する畝状の凸部である。第一凸部13aの位置及び形状は、第二凸部13bの位置及び形状と、第二方向Yにおける湾曲面12Sの中心CL1(中心線)に対して対称である。
図4から図7に示すように、第一凸部13aは、第一部分13aaおよび第二部分13abを有する。第一部分13aaは、第一凸部13aのうち第一底部12Taにおける湾曲面12Sの一端から他端にかけて延在する部分である。第一部分13aaは、第一底部12Taにおける湾曲面12Sから芯線20aとは反対側に突出している。図5に示すように、第一部分13aaの突出高さB1は、湾曲面12Sの位置P1の高さH1以下である。なお、明細書中において、「突出高さ」とは、第二方向Yにおける湾曲面12Sの端部12ER(または端部12EL)から凸部の頂点(または頂面)までの高さである。図4に示すように、第二部分13abは、第一凸部13aのうち第二底部12Tbにおける湾曲面12Sの一端から他端にかけて延在する部分である。図7に示すように、第二部分13abは、第二底部12Tbにおける湾曲面12Sから芯線20aとは反対側に突出している。第二部分13abの突出高さB2は、湾曲面12Sの位置P2の高さH2以下である。実施形態において、第一部分13aaと第二部分13abとは、第一方向Xに沿って連続する。なお、第一部分13aaと第二部分13abとは、第一方向Xにおいて不連続であってもよい。
図4から図7に示すように、第二凸部13bは、第三部分13baおよび第四部分13bbを有する。第三部分13baは、第二凸部13bのうち第一底部12Taにおける湾曲面12Sの一端から他端にかけて延在する部分である。図5に示すように、第三部分13baは、第一底部12Taにおける湾曲面12Sから芯線20aとは反対側に突出している。第三部分13baの突出高さB3は、湾曲面12Sの位置P1の高さH1以下である。図4に示すように、第四部分13bbは、第二凸部13bのうち第二底部12Tbにおける湾曲面12Sの一端から他端にかけて延在する部分である。図7に示すように、第四部分13bbは、第二底部12Tbにおける湾曲面12Sから芯線20aとは反対側に突出している。第四部分13bbの突出高さB4は、湾曲面12Sの位置P2の高さH2以下である。実施形態において、第三部分13baと第四部分13bbとは、第一方向Xに沿って連続する。なお、第三部分13baと第四部分13bbとは、第一方向Xにおいて不連続であってもよい。
図4および図6に示すように、第一底部12Taにおける湾曲面12Sは、芯線露出部20Eに向けて凹んでいる凹部15を有する。凹部15は、第二方向Yにおける湾曲面12Sの中心領域に配置される。湾曲面12Sの中心領域とは、第二方向Yにおける湾曲面12Sの両端部よりも内側であって中心CL1の一部を含む領域である。実施形態において、凹部15は、第二方向Yにおいて第一部分13aaと第三部分13baとの間に位置する。凹部15は、第二方向Yにおいて第一部分13aaおよび第三部分13baと離間されている。実施形態において、凹部15は、第一方向Xに沿って延在する溝状である。第三方向Zに沿う方向から見て、凹部15の第一方向Xにおける両端の形状は、半円形状である。
なお、上述した湾曲面12Sの位置P1は、第一底部12Taにおける湾曲面12Sの中心CL1のうち凹部15を除く部分における位置である。また、上述の実施形態において、圧着端子10が止水部材10bを含む構成を説明したが、圧着端子10は、止水部材10bを含んでいなくても良い。また、第三方向Zにおいて、第一部分13aaの突出高さB1および第三部分13baの突出高さB3は、位置P1の高さH1よりも高くてもよい。また、第三方向Zにおいて、第二部分13abの突出高さB2および第四部分13bbの突出高さB4は、位置P2の高さH2よりも高くてもよい。この場合、第一部分13aa、第二部分13ab,第三部分13baおよび第四部分13bbは、圧着端子10をキャビティに挿入可能な程度の突出高さに設定される。
[端子圧着用金型および端子付き電線の製造方法]
実施形態では、プレス工程や折り曲げ工程によって、図8に示す端子連鎖体30が形成される。端子連鎖体30は、複数の圧着端子10が連鎖したものであり、一枚の金属板から形成される。端子圧着装置100には、端子連鎖体30が供給される。端子圧着装置100は、端子連鎖体30に対して圧着工程および端子切断工程を実行する。圧着工程は、端子連鎖体30の圧着端子10を電線20に対して加締めて圧着させる工程である。端子切断工程は、電線20に対して加締められた圧着端子10を端子連鎖体30から切り離す工程である。
図8に示すように、端子連鎖体30は、圧着端子10の集合体である。端子連鎖体30は、連結片31、複数の圧着端子10、および複数の繋ぎ部32を有する。連結片31、圧着端子10、および繋ぎ部32は、同一の母材から形成されており、一体である。端子連鎖体30において、それぞれの圧着端子10は同一方向を向いており、かつ等間隔で並列に配置されている。端子連鎖体30では、各圧着端子10の一方の端部が連結片31によって互いに繋がれている。連結片31の形状は、例えば、矩形の細長い板状である。連結片31は、第二方向Yに沿って延在している。電線接続部12は、繋ぎ部32を介して連結片31とつながっている。より詳しくは、繋ぎ部32は、底部12Tにおける端子接続部11側とは反対側の端部を連結片31に繋いでいる。
連結片31には、複数の端子送り孔31aが形成されている。端子送り孔31aは、端子連鎖体30の送り方向に沿って等間隔で配置されている。端子送り孔31aは、連結片31を板厚方向に貫通している貫通孔である。端子送り孔31aによって、後述する圧着装置102に対する圧着端子10の位置決めがなされる。端子連鎖体30は、リール状に巻き取られた状態で端子圧着装置100に対してセットされる。
図9に示すように、端子圧着装置100は、端子供給装置101、圧着装置102、および駆動装置103を有する。端子圧着装置100は、この技術分野においてアプリケータと称される装置である。端子供給装置101は、所定の圧着位置に圧着端子10を供給する装置である。圧着装置102は、所定の圧着位置で電線20に対して圧着端子10を圧着する装置である。駆動装置103は、端子供給装置101および圧着装置102を動作させる装置である。
端子供給装置101は、リール状に巻き取られている端子連鎖体30を外周側から順次引き出す。端子供給装置101は、引き出した端子連鎖体30の圧着端子10を先頭側から順に圧着位置に供給する。端子供給装置101は、先頭の圧着端子10が電線20に対して圧着され、かつ連結片31から切り離されると、新たに先頭となった圧着端子10を圧着位置に供給する。端子供給装置101は、一つの圧着端子10の圧着工程および端子切断工程が完了する毎に供給動作を行って次の圧着端子10を圧着位置に供給する。
端子供給装置101は、端子送り部材101aおよび動力伝達機構101bを有する。端子送り部材101aは、連結片31の端子送り孔31aに挿入される突起部を有する。端子送り部材101aは、端子送り孔31aに突起部が挿入された状態で端子連鎖体30を送り方向に移動させる。動力伝達機構101bは、圧着装置102による圧着動作(後述するラム115a等の上下動)に連動して端子送り部材101aを動作させる。端子供給装置101は、圧着装置102の圧着動作に連動して、端子送り部材101aを上下方向および送り方向に移動させることによって圧着端子10を圧着位置に供給する。
圧着装置102は、供給された圧着端子10を電線20に圧着させる圧着工程と、この圧着端子10を連結片31から切り離す端子切断工程とを実行する。圧着装置102は、圧着機110および端子切断機構120を有する。
圧着機110は、圧着端子10を電線20の端部に加締めることにより、圧着端子10を電線20に圧着させる装置である。実施形態の圧着機110は、圧着端子10の第一バレル片部12Rおよび第二バレル片部12Lを電線20の芯線20a(芯線露出部20E)および被覆部20bに対して巻き付けるように加締めることで圧着端子10を電線20に圧着させる。圧着機110は、フレーム111、第一金型112、第二金型114、および動力伝達機構115を有する。ここで、第一金型112および第二金型114は、実施形態に係る端子圧着用金型200である。
図9および図10に示すように、フレーム111は、基台111a、アンビル支持体111b、伝達部支持体111c、および支持台111dを有する。基台111aは、端子圧着装置100の土台をなす部材である。基台111aは、端子圧着装置100が載置される載置台に対して固定される。アンビル支持体111b、伝達部支持体111c、および支持台111dは、基台111aの上に固定される。
伝達部支持体111cは、アンビル支持体111bに対して後方(図9の紙面右方)かつ上方(図9の紙面上方)に配置される。より具体的には、伝達部支持体111cは、立設部111sおよびラム支持部111tを有する。立設部111sは、アンビル支持体111bの後方に配置されており、基台111aから上方に向けて立設されている。ラム支持部111tは、立設部111sの上部に保持されている。ラム支持部111tは、後述するラム115aを支持する支持部である。ラム支持部111tは、アンビル支持体111bの上方に、アンビル支持体111bとの間に所定の間隔をあけて配置されている。支持台111dは、圧着端子10の端子接続部11を支持する台である。支持台111dの上面の高さ位置は、第一金型112の上面の高さ位置と略同様の位置である。
第一金型112と第二金型114とは対をなしている。第一金型112と第二金型114とは上下方向において間隔をあけて配置されている。第一金型112および第二金型114は、図11に示すように圧着端子10および電線20を間に挟み込むことで、圧着端子10を電線20に対して圧着させる。第一金型112は、圧着端子10を下方から支持する金型である。第一金型112は、二つの下型が形成されたものであり、第一の下型としての第一アンビル112aおよび第二の下型としての第二アンビル112bを有する。第一アンビル112aと第二アンビル112bとは、例えば、一体に成形される。第二金型114は、第一金型112に対して上方に配置されている。第二金型114は、二つの上型が形成されたものであり、第一の上型としての第一クリンパ114aおよび第二の上型としての第二クリンパ114bを有する。
第一アンビル112aと第一クリンパ114aとは上下方向において互いに対向している。第一アンビル112aおよび第一クリンパ114aは、芯線圧着部12aを圧着させる。すなわち、第一アンビル112aおよび第一クリンパ114aは、その相互間の間隔を狭めていくことにより、U字状の芯線圧着部12aを電線20の芯線露出部20Eに対して巻き付け、芯線露出部20Eに圧着させる。
第二アンビル112bと第二クリンパ114bとは上下方向において互いに対向している。第二アンビル112bおよび第二クリンパ114bは、被覆圧着部12bを圧着させる。すなわち、第二アンビル112bおよび第二クリンパ114bは、その相互間の間隔を狭めていくことによって、U字状の被覆圧着部12bを被覆部20bに対して巻き付け、被覆部20bに圧着させる。
駆動装置103は、動力を動力伝達機構115に伝えることによって、圧着工程では第一金型112と第二金型114との間隔を狭め、電線接続部12を電線20に対して圧着させる。一方、駆動装置103は、圧着工程が完了すると第一金型112と第二金型114との間隔を広げる。実施形態の圧着装置102では、第二金型114が第一金型112に対して上下動することにより、一対の金型112,114の間隔が変化する。
なお、第一金型112において、第一アンビル112aと第二アンビル112bとが別体とされ、第二金型114において第一クリンパ114aと第二クリンパ114bとが別体とされてもよい。この場合、駆動装置103および動力伝達機構115は、第一クリンパ114aと第二クリンパ114bとを別々に上下動させるように構成されてもよい。
動力伝達機構115は、駆動装置103から出力された動力を第一クリンパ114aおよび第二クリンパ114bに伝達する。図9に示すように、動力伝達機構115は、ラム115a、ラムボルト115b、およびシャンク115cを有する。
ラム115aは、ラム支持部111tに対して上下動自在に支持された可動部材である。ラム115aには、第二金型114が固定されている。このため、第一クリンパ114aおよび第二クリンパ114bは、ラム115aと一体になってラム支持部111tに対して上下動する。ラム115aの形状は、例えば、方体状である。ラム115aには、雌ネジ部(図示略)が形成されている。その雌ネジ部は、ラム115aの内方から上端面に向けて形成された上下方向の穴の内周面に形成されている。
ラムボルト115bは、雄ネジ部(図示略)を有し、この雄ネジ部がラム115aの雌ネジ部に螺合されている。このため、ラムボルト115bは、ラム115aと一体になってラム支持部111tに対して上下動する。また、ラムボルト115bは、その雄ネジ部の上方に配置されたボルト頭部115sを有する。ボルト頭部115sには、雌ネジ部(図示略)が形成されている。ボルト頭部115sの雌ネジ部は、ボルト頭部115sの内方から上端面に向けて形成された上下方向の穴の内周面に形成されている。
シャンク115cは、円柱状の中空部材であり、それぞれの端部に雄ネジ部115tと接続部(図示略)とを有する。シャンク115cの雄ネジ部115tは、中空部材の下側に形成されており、ラムボルト115bのボルト頭部115sの雌ネジ部に螺合されている。従って、シャンク115cは、ラム115aやラムボルト115bと一体になってラム支持部111tに対して上下動する。シャンク115cの接続部は、駆動装置103に接続される。
駆動装置103は、駆動源(図示略)と、駆動源の駆動力を上下方向の動力に変換する動力変換機構(図示略)と、を有する。シャンク115cの接続部は、その動力変換機構の出力軸に連結されている。従って、第一クリンパ114aおよび第二クリンパ114bは、駆動装置103の出力(動力変換機構の出力)によって、ラム115a、ラムボルト115b、およびシャンク115cと一体になってラム支持部111tに対して上下動する。駆動装置103の駆動源としては、電動機などの電動アクチュエータ、油圧シリンダなどの油圧アクチュエータ、エアシリンダなどの空気圧アクチュエータなどが適用可能である。
第一アンビル112aに対する第一クリンパ114aの上下方向における相対位置、および第二アンビル112bに対する第二クリンパ114bの上下方向における相対位置は、ボルト頭部115sの雌ネジ部とシャンク115cの雄ネジ部115tのねじ込み量を調整することによって、変化させることができる。ナット115dは、ラムボルト115bの上方でシャンク115cの雄ネジ部115tに螺合されている。従って、ナット115dは、ボルト頭部115sの雌ネジ部と共に所謂ロックナットの機能を成す。ナット115dは、上述の相対位置の調整完了後にラムボルト115b側へと締め付けられることによって、その相対位置に第一クリンパ114aと第二クリンパ114bを固定することができる。
図11に示すように、第一金型112は、電線接続部12を載置する載置面112Tを有する。載置面112Tは、第一アンビル112aから第二アンビル112bに渡って、第一方向Xに沿って延在する。載置面112Tは、第一アンビル112aに第一領域112fを有し、第二アンビル112bに第二領域112sを有する。第一領域112fは、圧着工程のときに電線接続部12の芯線圧着部12aが載置される領域である。第二領域112sは、圧着工程の時に電線接続部12の被覆圧着部12bが載置される領域である。載置面112Tは、下方に向けて凹んでいる凹状面である。載置面112Tは、U字状の芯線圧着部12aおよびU字状の被覆圧着部12bのそれぞれの底部12Tの形状に合わせて、第一方向Xと直交する断面形状が弧状に形成されている。
載置面112Tの第一領域112fは、第一領域112fに載置された芯線圧着部12aに向けて突出している凸部150を有する。すなわち、凸部150は、第二金型114に向けて突出している。凸部150は、第一方向Xに沿って延在する。凸部150は、第一方向Xに沿って延びる畝状であり、第一方向Xにおける両端部のそれぞれは、第三方向Zから見て半円状である。
図12から図14に示すように、載置面112Tは、第一凹部113fおよび第二凹部113sを有する。第一凹部113fおよび第二凹部113sは、載置面112Tに電線接続部12が載置された際(図11参照)、電線接続部12とは反対側に凹んでいる。図12に示すように、第一凹部113fは、載置面112Tの第二方向Yにおける一方の端部に配置され、第一方向Xに沿って延在する。第二凹部113sは、載置面112Tの第二方向Yにおける他端に配置され第一方向Xに沿って延在する。第一凹部113fおよび第二凹部113sは、第二方向Yにおいて凸部150と離間している。凸部150は、第二方向Yにおいて第一凹部113fと第二凹部113sとの間に位置する。
実施形態において、第一凹部113fは、第一部分113aおよび第二部分113bを有し、第二凹部113sは、第三部分113cおよび第四部分113dを有する。第一部分113aは、第一方向Xにおける第一領域112fの一端から他端にかけて延在する。第二部分113bは、第一方向Xにおける第二領域112sの一端から他端にかけて延在する。第三部分113cは、第一方向Xにおける第一領域112fの一端から他端にかけて延在する。第四部分113dは、第一方向Xにおける第二領域112sの一端から他端にかけて延在する。
実施形態において、図13に示すように、第三方向Zにおいて、第一部分113aの底113hは、第一領域112fにおける載置面112Tの中心CL2(中心線)の位置P3よりも浅い位置にある。図14に示すように、第三方向Zにおいて、第二部分113bの底113iは、第二領域112sにおける載置面112Tの中心CL2(中心線)の位置P4よりも浅い位置にある。図13に示すように、第三方向Zにおいて、第三部分113cの底113jは、第一領域112fにおける載置面112Tの中心CL2(中心線)の位置P3よりも浅い位置にある。図14に示すように、第三方向Zにおいて、第四部分113dの底113kは、第二領域112sにおける載置面112Tの中心CL2(中心線)の位置P4よりも浅い位置にある。
なお、第三方向Zにおいて、第一部分113aの底113hは、第一領域112fの位置P3と実質的に同じ位置、または位置P3よりも深い位置にあってもよい。同様に、第三方向Zにおいて、第二部分113bの底113iは、第二領域112sの位置P4と実質的に同じ位置、または位置P3よりも深い位置にあってもよい。第三方向Zにおいて、第三部分113cの底113jは、第一領域112fの位置P3と実質的に同じ位置、または位置P3よりも深い位置にあってもよい。第三方向Zにおいて、第四部分113dの底113kは、第二領域112sの位置P4と実質的に同じ位置、または位置P3よりも深い位置にあってもよい。以上のような場合、第一部分113a、第二部分113b、第三部分113cおよび第四部分113dのそれぞれのZ方向における深さは、圧着工程時において所望のクリンプハイトを満たす深さに定められている。
なお、実施形態においては第一部分113aと第二部分113bとは、非連続の溝であるが、一本のライン状の溝であってもよい。同様に、実施形態においては第三部分113cと第四部分113dとは、第一方向Xにおいて非連続の溝であるが、一本のライン状の溝であってもよい。
圧着機110においては、載置面112Tが圧着位置となる。図11に示すように、底部12Tを下側にして供給されてきた圧着端子10は、芯線圧着部12aの底部12Tが第一アンビル112aの載置面112T(第一領域112f)に載置され、被覆圧着部12bの底部12Tが第二アンビル112bの載置面112T(第二領域112s)に載置される。第一金型112は、載置面112Tを上方に露出させた状態でアンビル支持体111bによって支持されている。
図11に示すように、第一クリンパ114aおよび第二クリンパ114bには、それぞれに、上方に向けて凹んでいる凹状部114c,114dが形成されている。各凹状部114c,114dは、第一アンビル112aおよび第二アンビル112bのそれぞれの凹状面(第一領域112fおよび第二領域112s)に対して上下方向で対向させて配置されている。各凹状部114c,114dは、第一および第二壁面116a,116bと、第三壁面116cと、を有する。第一壁面116aと第二壁面116bとは第二方向Yにおいて互いに対向している。第三壁面116cは、第一および第二壁面116a,116bの上端を繋いでいる。各凹状部114c,114dは、第一から第三壁面116a,116b,116cを第一バレル片部12Rおよび第二バレル片部12Lに接触させつつ、第一バレル片部12Rおよび第二バレル片部12Lを電線20の末端部20Pに巻き付けながら加締めていく。各凹状部114c,114dは、このような加締め動作を行えるように形成されている。
実施形態の端子圧着用金型200では、図15に示すように、圧着工程時において、電線接続部12は、第一凹部113fおよび第二凹部113sによって矢印Y1に示すような第二方向Yへの伸びが抑制される。圧着工程時における電線接続部12の第二方向Yへの伸びが抑制されることによって、第一金型112と第二金型114との隙間V1に電線接続部12の一部が入り込むことが抑制される。したがって、バリの発生が抑制される。
図16には、比較例に係る端子圧着用金型500が示されている。比較例の第一金型512の載置面は、第一凹部113fおよび第二凹部113sを有していない。図16に示すように、比較例の第一金型512では、圧着工程時において、圧着端子10の電線接続部12が第二方向Yへ伸びる。比較例の第一金型512では、圧着工程時に圧着端子10が第二方向に延びることで、第一金型512と第二金型514との隙間V2に電線接続部12の一部が入り込むことにより、バリBuが発生する。特に、底部12Tにおいて、第一バレル片部12Rの外側に巻き付けられて圧着される第二バレル片部12Lの基端部にバリBuが発生しやすい。また、圧着工程の際に、第一バレル片部12Rの基端部側と第二バレル片部12Lの基端部側とでアンビルからの力の掛かり方が異なるため、圧着工程時に圧着端子が回転しやすい。
以下に、図9から図11を参照して説明するが、圧着機110で圧着加工された圧着端子10は、端子切断機構120によって連結片31から切り離される。端子切断機構120は、圧着位置に供給された圧着端子10の繋ぎ部32を二つの端子切断部で挟み込んで切断するものであり、その切り離しを圧着工程の進行と連動して行う。図9に示すように、端子切断機構120は、第二アンビル112bよりも前側(図9の紙面左側)に配置されている。端子切断機構120は、端子切断体121、押下部材122、および弾性部材123を備える。
端子切断体121は、方体状に成形され、第二アンビル112bの前面に沿って上下方向に摺動し得るように配置される。端子切断体121には、図17および図18に示すように、第二アンビル112bとの摺接面121aから内方に向けてスリット121bが形成されている。スリット121bは、端子連鎖体30の連結片31の通路である。圧着対象の圧着端子10が圧着位置まで供給されてきた際に、この圧着端子10と繋がる繋ぎ部32の一部がスリット121bから突出する。圧着位置に供給された圧着端子10は、第一金型112によって下方から支持されている。
端子切断体121は、第一金型112および圧着端子10に対して相対的に上下動しながら繋ぎ部32を切断する。ここでは、スリット121bへの連結片31等の挿入が可能な位置を端子切断体121の上下方向における初期位置とする。図19に示すように、繋ぎ部32における電線接続部12側の端部は、スリット121bの摺接面121a側(つまり圧着端子10側)の開口を介して、スリット121bから突出する。端子切断体121においては、その開口における上側のエッジ部(以下、「開口エッジ」という。)121pが一方の端子切断部として利用される。他方の端子切断部は、第二アンビル112bの上面エッジ112pである。
押下部材122は、ラム115aに固定されており、ラム115aと一体になって上下動する。押下部材122は、端子切断体121の上方に配置され、下降していって端子切断体121を押し下げる。押下部材122は、方体状に成形されている。弾性部材123は、端子切断体121に対して上方への付勢力を加えるものであり、バネ部材等からなる。この弾性部材123は、押下部材122からの押下力が解除されたときに、端子切断体121を上下方向における初期位置に戻す。
この端子切断機構120においては、圧着加工時の第二金型114の下降と共に押下部材122が下降し、端子切断体121を押し下げる。端子切断体121が下降することによって、スリット121bの開口エッジ121cと第二アンビル112bの上面エッジ112p(図19)との間に繋ぎ部32が挟み込まれる。この端子切断機構120においては、開口エッジ121cと上面エッジ112pとが鋏の如き作用を為し、繋ぎ部32に対して剪断力を加える。端子切断体121がさらに押し下げられることによって、開口エッジ121cと上面エッジ112pとが繋ぎ部32を切断し、圧着端子10を連結片31から切り離す。なお、切断性を高めるため、開口エッジ121cは、摺接面121a上で上面エッジ112pに対して傾斜させている。
図19に示すように、圧着対象となる電線20は、端子切断体121と押下部材122との間における所定の位置に配置される。電線20は、具体的に、端子切断体121の上面121dに載置される。このため、端子切断体121の上部と押下部材122の下部の内の少なくとも一方には、その間で電線20が押し潰されないように、電線20の逃げのための空間が設けられている。
ここで、所定の位置とは、圧着加工前の電線20の端部を平板状の電線接続部12の底部12Tの上方に存在させる位置である。また、所定の位置は、圧着加工の開始と共に押し下げられた芯線20aの先端が芯線圧着部12aからはみ出さないように、この芯線20aを芯線圧着部12aの底部12Tに載置させることが可能な位置のことである。芯線20aが圧着加工に伴って軸線方向に伸び、芯線20aの先端位置が軸線方向に沿って移動することがある。所定の位置は、その伸びも考慮に入れて決めることが望ましい。
一方、電線20は、その端部(先端の芯線20aや被覆部20b)が第二金型114で電線接続部12の内壁面側に押し下げられる。このため、何ら保持されていないと、端子切断体121の上面121dから電線20が浮き上がり、先端の芯線20aや被覆部20bが電線接続部12の底部12Tに載置されていない状態で圧着されてしまう虞がある。このため、実施形態の端子圧着装置100には、端子切断体121の上部との間で電線20を所定の位置に保持し、圧着加工中における電線接続部12に対する電線20の端部の位置ズレを抑える電線保持機構が設けられている。
電線保持機構は、電線載置部としての端子切断体121の上面121dに載置された電線20を当該上面121dに向けて押さえ付けて保持する電線押さえ118を備える(図19)。電線押さえ118は、端子切断体121の上方で、かつ、第二金型114と押下部材122との間に配置される。端子切断体121の上面121dと電線押さえ118の下面との間には、電線20の被覆部20bを保持する空間(以下、「電線保持空間」という。)118aが形成される。電線保持空間118aは、圧着工程における端子切断体121の上面121dからの電線20の浮き上がりを抑え、電線接続部12に対する先端の芯線20aや被覆部20bの位置ズレを抑制する。電線押さえ118は、端子切断体121の上面121dに対して上下動可能なものであり、下降していくことによって、端子切断体121の上部との間に電線保持空間118aを形成する。電線押さえ118は、例えば、ラム115aに固定され、このラム115aと一体になって上下動する。電線20は、電線押さえ118の下降と共に形成された電線保持空間118aに保持される。
以上説明したように、実施形態に係る端子付き電線1は、電線20および圧着端子10を含む。電線20は、第一方向Xに延在する芯線20aと、芯線20aを被覆する被覆部20bとを含む。電線20は、末端部20Pにおいて被覆部20bから突出した芯線露出部20Eを有する。圧着端子10は、芯線露出部20Eおよび被覆部20bに圧着された底部12Tと、第一方向Xと直交する第二方向Yにおける底部12Tの一端から延在し芯線露出部20Eおよび被覆部20bに一体として巻き付けられて圧着された第一バレル片部12Rと、第二方向Yにおける底部12Tの他端から延在し第一バレル片部12Rの外側に巻き付けられて圧着された第二バレル片部12Lとを有する電線接続部12とを有する。
底部12Tは、第二方向Yにおける底部12Tの両端よりも内側に位置し第一方向Xから見て芯線20aとは反対側に向けて湾曲する湾曲面12Sを有する。湾曲面12Sは、第二バレル片部12Lの基端部側における端部12ELに第一凸部13aを有する。第一凸部13aは、芯線20aとは反対側に向けて突出し第一方向Xに沿って延在する。
実施形態の端子付き電線1では、第一凸部13aの体積の分だけ、圧着端子10の幅方向(第二方向Y)への体積増加が緩和される。つまり、圧着端子10の幅方向への伸びが抑制される。圧着端子10の幅方向への伸びが抑制されることで、バリの発生を抑制することができる。通常、バリは、圧着工程時におけるクリンパからの力の掛かり方に起因して、端子付き電線における外側のバレル片部の基端部に発生しやすい。実施形態においては、第一凸部13aが形成されることにより、特に、圧着端子10の第二バレル片部12Lの基端部側への伸びが抑制される。第一凸部13aが形成されることにより、端子付き電線1における外側のバレル片部である第二バレル片部12Lの基端部におけるバリの発生が抑制される。また、一方のバレル片部の基端部から先端部までの長さと、他方のバレル片部の基端部から先端部までの長さ異なる場合、クリンパからの力はどちらか一方のバレル片部に偏って掛かる。このような場合、圧着工程中に圧着端子10がアンビル上で回転することがあり、不具合が発生する虞がある。実施形態においては、第一凸部13aにより、圧着端子10が圧着工程時にアンビル上で回転することを抑制することができる。
また、実施形態に係る端子付き電線1において、湾曲面12Sは、第一バレル片部12Rの基端部側の端部12ERに芯線20aとは反対側に向けて突出し第一方向Xに沿って延在する第二凸部13bを有する。実施形態では、第一凸部13aおよび第二凸部13bの体積の分だけ、圧着端子10の幅方向への体積増加が緩和される。つまり、圧着端子10の幅方向への伸びが抑制される。圧着端子10の幅方向への伸びが抑制されることで、バリの発生を抑制することができる。第二凸部13bが形成されることにより、特に、第一バレル片部12Rの基端部側への圧着端子10の伸びが抑制される。つまり、第二凸部13bが形成されることにより、端子付き電線1における内側のバレル片部である第一バレル片部12Rの基端部におけるバリの発生も抑制される。また、圧着工程時において、第一凸部13aおよび第二凸部13bは、圧着端子10の第二方向Yへの伸びを抑制するストッパとしても機能する。また、第二凸部13bが形成されることにより、圧着端子10が圧着工程時にアンビル上で回転することを抑制することができる。
また、実施形態に係る端子付き電線1においては、芯線露出部20Eに圧着された底部12Tにおける湾曲面12Sは、芯線20aに向けて凹んでいる凹部15を有する。凹部15は、第二方向Yにおける湾曲面12Sの一方の端部と、第二方向Yにおける湾曲面12Sの他方の端部との間の中心領域に位置している。実施形態に係る端子付き電線1において、凹部15は芯線露出部20Eに向けて凹んでいる。底部12Tの湾曲面12Sが凹部15を有することにより、圧着端子10の底部12Tと芯線露出部20Eとの圧着面積を増加させることができる。
また、実施形態に係る端子付き電線1においては、第一凸部13aは、第一方向Xにおいて芯線露出部20Eに圧着された底部12Tにおける湾曲面12Sの一端から他端にかけて延在する第一部分13aaと、第一方向Xにおいて被覆部20bに圧着された底部12Tにおける湾曲面12Sの一端から他端にかけて延在する第二部分13abとを有する。
また、実施形態に係る端子付き電線1においては、第二凸部13bは、第一方向Xにおいて芯線露出部20Eに圧着された底部12Tにおける湾曲面12Sの一端から他端にかけて延在する第三部分13baと、第一方向Xにおいて被覆部20bに圧着された底部12Tにおける湾曲面12Sの一端から他端にかけて延在する第四部分13bbとを有する。
実施形態に係る端子圧着用金型200は、第一方向Xに延在する電線20の末端部20Pにおける被覆部20bから突出した芯線露出部20Eに圧着される芯線圧着部12aと、被覆部20bに圧着される被覆圧着部12bと、を有する電線接続部12が載置される載置面112Tを有する第一金型112を含む。載置面112Tは、第一方向Xに沿って延在する第一凹部113fを有する。載置面112Tのうち芯線圧着部12aが載置される第一領域112fは、第一金型112の長さ方向に沿う第一方向Xに延在する凸部150を有する。第一凹部113fは、第一方向Xと直交する第二方向Yにおける載置面112Tの一方の端部に配置され、第二方向Yにおいて凸部150と離間している。
実施形態に係る端子圧着用金型200において、第一金型112は、載置面112Tに第一凹部113fを有する。圧着工程時において、圧着端子10の第二方向Yに伸びる分の体積は、第一凹部113fに収容される。圧着工程時において、圧着端子10の第二方向Yに伸びる分の体積が第一凹部113fに収容されることにより、圧着端子10の第二方向Yへの伸びが抑制される。圧着工程時における圧着端子10の第二方向Yの伸びが抑制されることにより、圧着端子10にバリが発生することを抑制することができる。また、例えば、バリが発生しやすい外側のバレル片部側の底部が載置される領域に第一凹部113fを配置することで、圧着端子におけるバリの発生を抑制する効果を高めることができる。
また、実施形態に係る端子圧着用金型200において、載置面112Tは、第二方向Yにおける載置面112Tの他方の端部に配置され第一方向Xに沿って延在する第二凹部113sを有する。第二凹部113sは、第二方向Yにおいて凸部150と離間している。実施形態に係る端子圧着用金型200では、圧着工程時において、圧着端子10の第二方向Yに伸びる分の体積は、第一凹部113fおよび第二凹部113sに収容される。圧着工程時における圧着端子10の第二方向Yの伸びが抑制されることにより、圧着端子10にバリが発生することを抑制することができる。第一凹部113fおよび第二凹部113sは、圧着端子10の第二方向Yへの伸びを抑制するストッパとしても機能する。
また、実施形態に係る端子圧着用金型200において、第一凹部113fは、第一方向Xにおいて第一領域112fの一端から他端にかけて延在する第一部分113aと、第一方向Xにおいて載置面112Tのうち被覆圧着部12bが載置される第二領域112sの一端から他端にかけて延在する第二部分113bとを有する。
また、実施形態に係る端子圧着用金型200において、第二凹部113sは、第一方向Xにおいて第一領域112fの一端から他端にかけて延在する第三部分113cと、第一方向Xにおいて載置面112Tのうち被覆圧着部12bが載置される第二領域112sの一端から他端にかけて延在する第四部分113dとを有する。
また、実施形態に係る端子付き電線1の製造方法においては、第一方向Xに延在する芯線20aと、芯線20aを被覆する被覆部20bとを含み、末端部20Pにおいて被覆部20bから突出した芯線露出部20Eを有する電線20に対して、底部12Tと、第一方向Xと直交する第二方向Yにおける底部12Tの一端から延在する第一バレル片部12Rと、第二方向Yにおける底部12Tの他端から延在し、第二方向Yにおいて第一バレル片部12Rと対向する第二バレル片部12Lとを有する圧着端子10を圧着させる圧着工程を含む。圧着工程において、電線20および圧着端子10は、第一金型112と第二金型114との間に挟み込まれ、第一バレル片部12Rは、芯線露出部20Eおよび被覆部20bに一体として巻き付けられ、第二バレル片部12Lは、第一バレル片部12Rの外側に巻き付けられて圧着される。第一金型112は、圧着工程の際に底部12Tが載置される載置面112Tを有し、載置面112Tは、第一方向Xに沿って延在する第一凹部113fを有する。第一凹部113fは、第二方向Yにおける載置面112Tの一方の端部に配置され、圧着工程の際に載置面112Tの一方の端部には、底部12Tにおける第二バレル片部12Lの基端部側の端部が載置される。
圧着工程時において、圧着端子10の第二方向Yに伸びる分の体積は、第一凹部113fに収容される。圧着端子10の第二方向Yに伸びる分の体積が第一凹部113fに収容されることにより、圧着端子10の第二方向Yへの伸びが抑制される。圧着工程時における圧着端子10の第二方向Yの伸びが抑制されることにより、圧着端子10にバリが発生することを抑制することができる。また、バリが発生しやすい外側のバレル片部側(第二バレル片部12L側)の底部12Tが載置される領域に第一凹部113fを配置することで、圧着端子におけるバリの発生を抑制する効果を高めることができる。
[実施形態の変形例]
実施形態の変形例について説明する。図20は、実施形態の変形例に係る端子付き電線の平面図である。図21は、実施形態の変形例に係る端子付き電線の断面図である。図21は、図20に示すXXI−XXI線による断面を示す図である。図22は、実施形態の変形例に係る端子圧着用金型の平面図である。図23は、実施形態の変形例に係る端子圧着用金型の断面図である。図23は、図22に示すXXIII−XXIII線による断面を示す図である。
[端子付き電線]
変形例に係る端子付き電線1が上述の実施形態と異なるところは、湾曲面12Sが、第一突起部50a、第二突起部50bおよび第三突起部50cをさらに有するところである。
図20に示すように、変形例に係る端子付き電線1は、第一底部12Taにおける湾曲面12Sは、芯線露出部20Eとは反対側に向けて突出する少なくとも一つの第一突起部50aを有する。第一突起部50aは、第一方向Xにおいて凹部15と離間し、凹部15における被覆部20b側とは反対側に位置する。第一突起部50aは、第一底部12Taにおいて第一凸部13aと第二凸部13bとの間に配置される。
変形例においては、湾曲面12Sは、第二方向Yに沿って並ぶ二つの第一突起部50aを二組有する。一組の第一突起部50aにおいて、第二方向Yに沿って並ぶ第一突起部50aのうちの一方は、第二方向Yにおける湾曲面12Sの中心CL1(中心線)よりも第一バレル片部12Rの基端部側に位置し、第二方向Yに沿って並ぶ第一突起部50aのうちの他方は、第二方向Yにおける湾曲面12Sの中心CL1よりも第二バレル片部12Lの基端部側に位置する。二つの第一突起部50aの位置および形状は、第二方向Yにおける湾曲面12Sの中心CL1に対して対称である。変形例において、二組の第一突起部50aは、第一方向Xに沿って並んで設けられる。つまり、第三方向Zに沿う方向から見て、四つの第一突起部50aが湾曲面12Sに二行二列で配列される。
図20および図21に示すように、第三方向Zに沿う方向から見て、第一突起部50aは、略矩形の形状である。第一突起部50aの第二方向Yにおける長さは、第一突起部50aの第一方向Xにおける長さよりも長い。第一突起部50aは、湾曲面12Sの中心CL1側から第二方向Yにおける湾曲面12Sの片端側に向かうにつれて第三方向Zにおける長さ(湾曲面12Sからの突出高さ)が長くなっている。第三方向Zにおける第一突起部50aの頂面(または頂点)の位置は、第三方向Zにおける湾曲面12Sの中心CL1の位置と実質的に同じ位置にある。
図20に示すように、第一底部12Taにおける底部12Tにおける湾曲面12Sは、芯線露出部20Eとは反対側に向けて突出する少なくとも一つの第二突起部50bを有する。第二突起部50bは、第一方向Xにおいて第一突起部50aおよび凹部15と離間して並び、凹部15から見て被覆部20b側に位置する。第二突起部50bは、第一底部12Taにおいて第一凸部13aと第二凸部13bとの間に配置される。
変形例においては、湾曲面12Sは、二つの第二突起部50bを有する。二つの第二突起部50bは、第二方向Yに沿って並ぶ。第二方向Yに沿って並ぶ第二突起部50bのうちの一方は、第二方向Yにおける湾曲面12Sの中心CL1よりも第一バレル片部12Rの基端部側に位置する。第二方向Yに沿って並ぶ第二突起部50bのうちの他方は、第二方向Yにおける湾曲面12Sの中心CL1よりも第二バレル片部12Lの基端部側に位置する。
第三方向Zから沿う方向から見て、第二突起部50bは、略矩形の形状である。第二方向Yにおける第二突起部50bの長さは、第二突起部50bの第一方向Xにおける長さよりも長い。第二突起部50bは、湾曲面12Sの中心CL1側から第二方向Yにおける湾曲面12Sの片端側に向かうにつれて第三方向Zにおける長さ(湾曲面12Sからの突出高さ)が長くなる。第三方向Zにおける第二突起部50bの頂面(または頂点)の位置は、湾曲面12Sの中心CL1の第三方向Zにおける位置と実質的に同じ位置にある。
底部12Tのうち被覆部20bに圧着された第二底部12Tbにおける湾曲面12Sは、被覆部20bとは反対側に向けて突出する少なくとも一つの第三突起部50cを有する。第三突起部50cは、第二底部12Tbにおいて第一凸部13aと第二凸部13bとの間に配置される。変形例においては、湾曲面12Sは、二つの第三突起部50cを有する。二つの第三突起部50cは、第二方向Yに沿って並ぶ。第二方向Yに沿って並ぶ第三突起部50cのうちの一方は、第二方向Yにおける湾曲面12Sの中心CL1よりも第一バレル片部12Rの基端部側に位置する。第二方向Yに沿って並ぶ第三突起部50cのうちの他方は、第二方向Yにおける湾曲面12Sの中心CL1よりも第二バレル片部12Lの基端部側に位置する。
第三方向Zから沿う方向から見て、第三突起部50cは、略矩形の形状である。第三突起部50cの第二方向Yにおける長さは、第三突起部50cの第一方向Xにおける長さよりも長い。第三突起部50cの第二方向Yにおける長さは、第三突起部50cの第一方向Xにおける長さよりも長い。第三突起部50cは、湾曲面12Sの中心CL1側から第二方向Yにおける湾曲面12Sの片端側に向かうにつれて第三方向Zにおける長さが長くなる。第三方向Zにおける第三突起部50cの頂面(または頂点)の位置は、湾曲面12Sの中心CL1の第三方向Zにおける位置と実質的に同じ位置にある。なお、図21に示すように、湾曲面12Sから突起部(図21においては、第一突起部50a)が突出している部分では、湾曲面12Sの第二方向Yにおける中心部分は平坦になっている。
なお、第一突起部50aの形状、第二突起部50bの形状、および第三突起部50cの形状は、上述したものに限られない。例えば、第一突起部50aの第一方向Xにおける長さが、第一突起部50aの第二方向Yにおける長さよりも長くてもよい。例えば、第一突起部50aの第三方向Zにおける高さ位置は、湾曲面12Sの中心CL1の第三方向Zにおける位置と湾曲面12Sの第二方向Yにおける片端の第三方向Zにおける位置との間にあってもよい。例えば、第一突起部50aの第三方向Zにおける高さ位置は、湾曲面12Sの中心CL1の第三方向Zにおける位置よりも湾曲面12Sの第二方向Yにおける片端の第三方向Zにおける位置から第三方向Zにおいて離れた位置であってよい。この場合、第一突起部50aの高さ位置は、端子付き電線1をキャビティに挿入する際に挿入可能な高さ位置に設定される。
例えば、第二突起部50bの第一方向Xにおける長さが、第二突起部50bの第二方向Yにおける長さよりも長くてもよい。例えば、第二突起部50bの第三方向Zにおける高さ位置は、湾曲面12Sの中心CL1の第三方向Zにおける位置と湾曲面12Sの第二方向Yにおける片端の第三方向Zにおける位置との間にあってもよい。例えば、第二突起部50bの第三方向Zにおける高さ位置は、湾曲面12Sの中心CL1の第三方向Zにおける位置よりも湾曲面12Sの第二方向Yにおける片端の第三方向Zにおける位置から第三方向Zにおいて離れた位置であってよい。この場合、第二突起部50bの高さ位置は、端子付き電線1をキャビティに挿入する際に挿入可能な高さ位置に設定される。
例えば、第三突起部50cの第一方向Xにおける長さが、第三突起部50cの第二方向Yにおける長さよりも長くてもよい。例えば、第三突起部50cの第三方向Zにおける高さ位置は、湾曲面12Sの中心CL1の第三方向Zにおける位置と湾曲面12Sの第二方向Yにおける片端の第三方向Zにおける位置との間にあってもよい。例えば、第三突起部50cの第三方向Zにおける高さ位置は、湾曲面12Sの中心CL1の第三方向Zにおける位置よりも湾曲面12Sの第二方向Yにおける片端の第三方向Zにおける位置から第三方向Zにおいて離れた位置であってよい。
[端子圧着用金型]
変形例に係る端子圧着用金型200が上述の実施形態と異なるところは、第一金型112が、第三凹部250a、第四凹部250bおよび第五凹部250cを有するところである。第三凹部250a、第四凹部250bおよび第五凹部250cは、それぞれ、第二方向Yにおいて第一凹部113fと第二凹部113sとの間に配置される。
図22および図23に示すように、第一領域112fにおいて、載置面112Tは、少なくとも一つの第三凹部250aを有する。第三凹部250aは、第一方向Xにおいて凸部150と離間し、凸部150から見て第二領域112s側とは反対側に位置する。第三凹部250aは、第一領域112fに芯線圧着部12aが載置された際に、芯線圧着部12a側とは反対側に凹んでいる。つまり、第三凹部250aは、第二金型114とは反対側に向けて凹んでいる。
変形例では、載置面112Tは、第二方向Yに沿って並ぶ二つの第三凹部250aを二組有する。載置面112Tは、一組の第三凹部250aにおいて、第二方向Yに沿って並ぶ二つの第三凹部250aのうちの一方は、第二方向Yにおける載置面112Tの中心CL2(中心線)よりも第二方向Yにおける載置面112Tの一端側に位置する。第二方向Yに沿って並ぶ二つの第三凹部250aのうちの他方は、第二方向Yにおける載置面112Tの中心CL2よりも第二方向Yにおける載置面112Tの他端側に位置する。二つの第三凹部250aの位置および形状は、第二方向Yにおける載置面112Tの中心CL2に対して対称である。変形例において、二組の第三凹部250aは、第一方向Xに沿って並んで設けられる。つまり、第三方向Zに沿う方向から見て、四つの第三凹部250aが第一領域112fに二行二列で配列される。
第三方向Zから沿う方向から見て、第三凹部250aは、略矩形の形状である。第三凹部250aの第二方向Yにおける長さは、第三凹部250aの第一方向Xにおける長さよりも長い。それぞれの第三凹部250aは、載置面112Tの中心CL2側から第二方向Yにおける載置面112Tの片端側に向かうにつれて第三方向Zにおける深さが深くなる。第三方向Zにおいて、第三凹部250aの底面の位置は、第三方向Zにおける載置面112T(第一領域112f)の中心CL2の位置と実質的に同じ位置にある。
図22に示すように、第一領域112fにおいて、載置面112Tは、少なくとも一つの第四凹部250bを有する。第四凹部250bは、第一方向Xにおいて第三凹部250aおよび凸部150と離間して並ぶ。凸部150から見て、第四凹部250bは、第二領域112s側に位置する。第四凹部250bは、第一領域112fに芯線圧着部12aが載置された際に、芯線圧着部12a側とは反対側に向けて凹んでいる。つまり、第四凹部250bは、第二金型114とは反対側に向けて凹んでいる。
変形例では、載置面112Tは、二つの第四凹部250bを有する。二つの第四凹部250bは、第二方向Yに沿って並ぶ。第二方向Yに沿って並ぶ二つの第四凹部250bのうちの一方は、第二方向Yにおける載置面112Tの中心CL2よりも第二方向Yにおける載置面112Tの一端側に位置する。二つの第四凹部250bのうちの他方は、第二方向Yにおける載置面112Tの中心CL2よりも第二方向Yにおける載置面112Tの他端側に位置する。二つの第四凹部250bの位置および形状は、第二方向Yにおける載置面112Tの中心CL2に対して対称である。
第三方向Zに沿う方向から見て、第四凹部250bは、略矩形の形状である。第四凹部250bの第二方向Yにおける長さは、第四凹部250bの第一方向Xにおける長さよりも長い。それぞれの第四凹部250bは、載置面112Tの中心CL2側から第二方向Yにおける載置面112Tの片端側に向かうにつれて第三方向Zにおける深さが深くなる。第三方向Zにおいて、第四凹部250bの底面の位置は、載置面112T(第一領域112f)の中心CL2の位置と実質的に同じ位置にある。
圧着工程の時に被覆圧着部12bが載置される第二領域112sにおいて、載置面112Tは、少なくとも一つの第五凹部250cを有する。第五凹部250cは、第二領域112sに被覆圧着部12bが載置された際に、被覆圧着部12b側とは反対側に向けて凹んでいる。つまり、第五凹部250cは、第二金型114とは反対側に向けて凹んでいる。
変形例では、載置面112Tは、二つの第五凹部250cを有する。二つの第五凹部250cは、第二方向Yに沿って並ぶ。二つの第五凹部250cのうちの一方は、第二方向Yにおける載置面112Tの中心CL2よりも第二方向Yにおける載置面112Tの一端側に位置する。二つの第五凹部250cのうちの他方は、第二方向Yにおける載置面112Tの中心CL2よりも第二方向Yにおける載置面112Tの他端側に位置する。二つの第五凹部250cの位置および形状は、第二方向Yにおける載置面112Tの中心CL2に対して対称である。
第三方向Zに沿う方向から見て、第五凹部250cは、略矩形の形状である。第五凹部250cの第二方向Yにおける長さは、第五凹部250cの第一方向Xにおける長さよりも長い。それぞれの第五凹部250cは、載置面112Tの中心CL2側から第二方向Yにおける載置面112Tの片端側に向かうにつれて第三方向Zにおける深さが深くなる。第三方向Zにおいて、第五凹部250cの底面の位置は、載置面112T(第二領域112s)の中心CL2の位置と実質的に同じ位置にある。
なお、第三凹部250aの形状、第四凹部250bの形状、および第五凹部250cの形状は、上述したものに限られない。例えば、第三凹部250aの第一方向Xにおける長さが第三凹部250aの第二方向Yにおける長さよりも長くてもよい。例えば、第三方向Zにおいて、第三凹部250aの底面の位置は、載置面112T(第一領域112f)の中心CL2の位置よりも上方であってもよい。例えば、第三方向Zにおいて、第三凹部250aの底面の位置は、載置面112Tの中心CL2の位置よりも下方であってもよい。例えば、第二方向Yに沿って並ぶ二つの第三凹部250aの位置および形状は、第二方向Yにおける載置面112Tの中心CL2に対して対称でなくてもよい。
また、例えば、第四凹部250bの第一方向Xにおける長さが、第四凹部250bの第二方向Yにおける長さよりも長くてもよい。例えば、第三方向Zにおいて、第四凹部250bの底面の位置は、載置面112Tの第二方向Yにおける中心CL2の第三方向Zにおける位置よりも上方であってもよく、載置面112T(第一領域112f)の中心CL2の位置よりも下方であってもよい。例えば、第二方向Yに沿って並ぶ二つの第四凹部250bの位置および形状は、第二方向Yにおける載置面112Tの中心CL2に対して対称でなくてもよい。
さらに、例えば、第五凹部250cの第一方向Xにおける長さが、第五凹部250cの第二方向Yにおける長さよりも長くてもよい。例えば、第三方向Zにおいて、第四凹部250bの底面の位置は、載置面112T(第二領域112s)の中心CL2の位置よりも上方であってもよい。例えば、第三方向Zにおける第四凹部250bの底面の位置は、第二方向Yにおける載置面112Tの中心CL2の第三方向Zにおける高さ位置よりも下方であってもよい。例えば、第二方向Yに沿って並ぶ二つの第五凹部250cの位置および形状は、第二方向Yにおける載置面112Tの中心CL2に対して対称でなくてもよい。なお、第三凹部250a、第四凹部250bおよび第五凹部250cの第三方向Zに沿う方向における深さは、所望のクリンプハイトを満たすように設定される。
変形例に係る端子付き電線1においては、上述の実施形態の効果に加えて、第一突起部50a、第二突起部50bおよび第三突起部50cの体積の分だけ、圧着端子10の長さ方向(第一方向X)への体積増加が緩和される。つまり、圧着端子10の長さ寸法(第一方向Xにおける寸法)の増加が抑制される。圧着端子10の長さ寸法の増加が抑制されることにより、例えば、圧着端子10がキャビティに収容される際に、圧着端子10がキャビティから飛び出すなどの不具合を抑制できる。
変形例に係る端子圧着用金型200において、圧着工程時に圧着端子10の長さ寸法が増加する分の体積が、第三凹部250a、第四凹部250bおよび第五凹部250cに収容される。圧着端子10の長さ寸法が増加する分の体積が第三凹部250a、第四凹部250bおよび第五凹部250cに収容されることにより、圧着端子10の長さ寸法の増加が抑制される。圧着端子10には、長さ寸法が増加する替わりに第三凹部250a、第四凹部250bおよび第五凹部250cに対応する突起部(例えば、第一突起部50a)が形成される。圧着端子10の長さ寸法の増加が抑制されることにより、例えば、圧着端子10がキャビティに収容される際に、圧着端子10がキャビティから飛び出すなどの不具合を抑制できる。
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。