JP6867848B2 - 電子写真用ローラの製造方法 - Google Patents
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Description
円筒状または円柱状の基体と、該基体の外周面上の弾性層とを有し、該弾性層の表面に溝を有する電子写真用ローラの製造方法であって、
(1)内周面に環状の吐出口を有する塗布リングであって、該吐出口が、フロントリップと、該フロントリップに対向して配置されてなるリアリップとで構成されている塗布リングを備えた塗布装置を用意する工程と、
(2)円筒状または円柱状の基体を、該基体の回転軸が、該塗布リングの中心軸と同軸となるように、該塗布装置に配置する工程と、
(3)該塗布リングを、該基体の回転軸に沿う方向に相対的に移動させつつ、該塗布リングを備えた塗布装置の吐出口から該基体の外周面に弾性層形成用塗布液を吐出させて、該基体の外周面に、該弾性層形成用塗布液の塗膜を形成する工程と、を有し、
該リアリップには、該基体の回転軸に沿う方向と平行な方向に延びる線状突起が設けられており、
該工程(3)において、該塗布リングの該基体に対する移動を、該リアリップが移動方向の上流側に位置するように行って、該基体の外周面上に形成される該塗膜の表面に、該線状突起に対応する凹凸形状を形成する工程を含む、電子写真用ローラの製造方法、が提供される。
本実施例で実施したローラ製造方法とローラには、以下のような思想がある。
従来、塗布リングを備えた塗布装置を用いて作製したローラにおいて、所望の機能をローラに持たせるために、研磨などの後工程を行ない、ローラの表層形状を規定する必要がある場合があった。例えば、ローラの表層形状が必要以上に平滑であると、ローラをベルト駆動ローラとして使用した場合に、ベルトとの接触面積が大きくなることで、ローラとベルトとのタック性が高くなる。使用するベルトの内面がポリエチレンテレフタレート(PET)など比較的柔らかい材質で作製及びコーティングされていると、場合によっては、繰り返しの使用により、ローラがベルト内面を削り、削り粉がローラに付着してベルトスリップを起こす場合がある。また、ベルトにかかる負荷が大きくなるため、ベルトにしわが入り、破断するなどの問題が発生する場合もある。逆に、表層形状が必要以上に粗いと、ベルトとの接触面積が小さくなることで、ローラとベルトとのタック性が低くなり、繰り返しの使用を通じてベルトの搬送性を安定させることが難しくなる場合もある。なお、ここで挙げるベルトとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン−1、ポリスチレン、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルニトリル、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、サーモトロピック液晶ポリマー、ポリアミド酸などの熱可塑性樹脂のベルト、芯体にEPDM等のゴム材料を被覆したゴムベルト等が挙げられる。
[実施例1]
本実施例においては、円筒状または円柱状の基体と、該基体の外周面上の弾性層とを有し、該弾性層の表面に溝を有する電子写真用ローラの製造方法について説明する。前記ローラの製造方法は、以下の3つの工程を有する。(1)内周面に環状の吐出口を有する塗布リングであって、該吐出口が、フロントリップと、該フロントリップに対向して配置されてなるリアリップとで構成されている塗布リングを備えた塗布装置を用意する工程。(2)円筒状または円柱状の基体を、該基体の回転軸が、該塗布リングの中心軸と同軸となるように、該塗布装置に配置する工程。(3)該塗布リングを、該基体の回転軸に沿う方向に相対的に移動させつつ、該塗布リングを備えた塗布装置の吐出口から該基体の外周面に弾性層形成用塗布液を吐出させて、該基体の外周面に、該弾性層形成用塗布液の塗膜を形成する工程。前記リアリップには、該基体の回転軸に沿う方向と平行な方向に延びる線状突起が設けられている。また前記工程(3)は、該塗布リングの該基体に対する移動を、該リアリップが移動方向の上流側に位置するように行い、該基体の外周面上に形成される該塗膜の表面に、該線状突起によって、該線状突起に対応する凹凸形状を形成する工程を含む。
(1)塗布リングを備えた塗布装置の構成
図1は本発明の実施例1で使用する塗布リングを備えた塗布装置の斜視図である。図中1はローラである。2はローラ1の外側表面に塗布液を塗布する塗布リングである。塗布リング2には液供給手段(図示せず)より塗布液を供給する液供給管11が接続されている。塗布液は、シリコーン系樹脂等の高分子からなる溶液である。3は塗布リング2によりローラ1の外側表面に塗布された塗布膜である。6は塗布リング2をローラ1と同軸調芯された状態で支持している塗布リングステージで背面ベース板12に取り付けられている。13はローラ昇降ステージで、直動ガイド10を介して背面ベース板12に取り付けられている。また、ローラ保持具4を介してローラ1の両端を固定して保持している。ローラ昇降ステージ13はローラ昇降用モータ7を駆動することによりボールネジ9を回転させれば、直動ガイド10に添って上下方向に任意の速度で昇降する。なお塗布リング2とローラ1は相対移動する構成であれば良く、ローラ1の方が、またはローラ1と塗布リング2の両方が可動する機構であってもよい。なお本実施形態では、ローラ1を下から上に移動させることで、塗布膜3をローラ1の上から下に向かって塗布するものとする。
次に、本発明の特徴である、塗布リング2について説明する。図2は図1に示した塗布リング2の構成を示しており、(a)は全体の断面斜視図、(b)は吐出口付近の拡大断面図、(c)はリアリップ内周面に形成された突起形状を示す拡大図である。塗布リング2はフロントリップ22とリアリップ20からなり、その間に液供給管11が接続された吐出口21が形成され、そこから塗布液がローラ1の表面に供給される。
図1に示した塗布リングを備えた塗布装置を用いて、ローラの周囲に塗布膜を形成し、弾性ローラを製造する方法について説明する。
はじめに、STEP1にて、塗布前のローラを装置外の供給手段(図示せず)によって塗布装置に供給・セットする。図4に本実施例において用いたローラ1を示す。ローラは本体の長手が320mm(そのうち両端部それぞれ0.5mmを除く319mmに塗布膜3が形成される)、外径が15mm、軸部の長手が30mm、外径が6mmであり、材質はSUM24EZC+KN(3〜6μm)となっている。ローラ1は塗布リング2内に通され、上下のローラ保持具4に軸部を保持される。このとき、塗布リング2はローラ1の塗布始めの上部に位置している。
次にSTEP3に移り、塗布液供給手段(図示せず)から塗布液を液供給管11に流入させ、塗布リング2の吐出口21からローラ1に塗布液を供給する。
最後に、STEP6に移り、塗布膜3が表層に形成されたローラ1を装置外の運搬手段(図示せず)によって塗布装置から次工程に移動させる。
図5は本実施例1における塗布リングを備えた塗布装置で作製したローラの全体図と周方向の断面の拡大図である。短半径が0.06mm、長直径が0.265mmの半楕円状の凸部が、1°ピッチで360本形成されている。塗布膜3の厚みは最厚部で0.09mm、最薄部で0.03mmとなっている。
本実施例で説明するローラの製造方法は、実施例1の方法と同じ工程(1)〜(3)を含み、さらに次の特徴を有する。前記塗布リングを備えた塗布装置の、ローラの軸方向両端部を支持するための支持部材には、ローラをローラの長手方向の中心軸を回転中心とし、ローラの周方向に正回転または逆回転させるための駆動源が直接または間接的に連結している。前記駆動源を使用することで、ローラの外周面に塗布液を塗布して塗膜を形成する際に、ローラの長手方向の中心軸を回転中心としてローラを回転させることができる。
図7は本発明の実施例2で使用する塗布リングを備えた塗布装置の斜視図である。本実施例で使用する塗布リングを備えた塗布装置、塗布液と塗布リングの基本的な構成及び動作は実施例1のものと同じである。従って、実施例1の説明と重複する部分は省略する。
図7に示した塗布リングを備えた塗布装置を用いて、ローラの周囲に塗布膜を形成し、弾性ローラを製造する方法について説明する。
はじめに、STEP1にて、塗布前のローラを装置外の供給手段(図示せず)によって塗布装置に供給・セットする。本実施例におけるローラ1の構成は実施例1と同様である。ローラ1は塗布リング2内に通され、上下のローラ保持具4に軸部を保持される。この時、塗布リング2はローラ1の塗布始めの上部に位置している。
次にSTEP3に移り、塗布液供給手段(図示せず)により塗布液が液供給管11に流入し、塗布リング2の吐出口21からローラ1に塗布液を供給する。
リアリップ20内周面の櫛歯形状に合わせてローラ1表層の塗布液が規制され、塗布膜3が形成される。
最後に、STEP7に移り、塗布膜3が表層に形成されたローラ1を装置外の運搬手段(図示せず)によって塗布装置から次工程に移動させる。
図9は本実施例1における塗布リングを備えた塗布装置で作製したローラの全体図と周方向及び長手方向の断面の拡大図である。周方向の断面は実施例1とほぼ同じになるが、長手方向の断面は短半径が、0.06mm、長直径が、0.89mmの半楕円状の凸部が360本形成されている。塗布膜3の厚みは最厚部で、0.09mm、最薄部で、0.03mmとなっている。
実施例1のようにストレートな溝形状をローラ長手方向に形成すると、ベルト駆動ローラとして使用した場合に、ローラ駆動時にベルトとローラが長手全体で周期的にベルトに当接・離間を繰り返すため、構成によっては、剥離音が発生する場合がある。溝形状を長手で螺旋状にすることで、ローラ長手全体で当接・離間となることを防ぎ、剥離音を抑制することができる。さらに、ベルトの内面を駆動する力を、ベルトを広げる方向と駆動する方向に分散させることが可能になり、溝による接触面積低減と併せてベルト内面に対するストレスを軽減させることが可能になる。また、ローラ長手方向で左右対象形状にすることにより、ベルトの寄り方向を左右均一にすることができる。ベルトの進行方向に対し、螺旋をベルトが左右に広がる方向にすることでベルトのたるみによって発生する波打ちを抑制することが可能になる。
2塗布リング
3塗布膜
4ローラ保持具
6塗布リングステージ
7ローラ昇降用モータ
8ローラ回転用モータ
9ボールネジ
10直動ガイド
11液供給管
12背面ベース板
13ローラ昇降ステージ
20リアリップ
21吐出口
22フロントリップ
Claims (6)
- 円筒状または円柱状の基体と、該基体の外周面上の弾性層とを有し、該弾性層の表面に溝を有する電子写真用ローラの製造方法であって、
(1)内周面に環状の吐出口を有する塗布リングであって、該吐出口が、フロントリップと、該フロントリップに対向して配置されてなるリアリップとで構成されている塗布リングを備えた塗布装置を用意する工程と、
(2)円筒状または円柱状の基体を、該基体の回転軸が、該塗布リングの中心軸と同軸となるように、該塗布装置に配置する工程と、
(3)該塗布リングを、該基体の回転軸に沿う方向に相対的に移動させつつ、該塗布リングを備えた塗布装置の吐出口から該基体の外周面に弾性層形成用塗布液を吐出させて、該基体の外周面に、該弾性層形成用塗布液の塗膜を形成する工程と、を有し、
該リアリップには、該基体の回転軸に沿う方向と平行な方向に延びる線状突起が設けられており、
該工程(3)において、該塗布リングの該基体に対する移動を、該リアリップが移動方向の上流側に位置するように行って、該基体の外周面上に形成される該塗膜の表面に、該線状突起に対応する凹凸形状を形成する工程を含む、ことを特徴とする電子写真用ローラの製造方法。 - 前記塗布リングを有する塗布装置の有する、前記ローラの軸方向両端部を支持するための支持部材に、前記ローラをローラの長手方向の中心軸を回転中心とし、ローラの周方向に正回転または逆回転させるための駆動源が直接または間接的に連結している請求項1に記載の電子写真用ローラの製造方法。
- 前記ローラを回転させるための駆動源が数値制御可能な電動機を使用し、事前に設定された任意のタイミングでローラの周方向の回転方向や回転速度の変更を行う請求項2に記載の電子写真用ローラの製造方法。
- 前記線状突起のローラの周方向に対する、ローラの軸方向の中心軸を回転中心としたときのピッチ角度が1°以上360°以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真用ローラの製造方法。
- 前記ローラの外周面に塗布液を塗布して形成される塗膜の厚みをtとした時に、前記線状突起の高さhが、t≧hであらわされる請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真用ローラの製造方法。
- 前記ローラの外周面に塗布される塗布液がゴム材料を含む被覆材料で被覆形成し加硫硬化させることにより、該被覆材料の降伏応力が50Pa以上600Pa以下であり、かつチキソトロピーインデックスが2.0以上6.5以下である非ニュートン性液状を持った塗布液である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真用ローラの製造方法。
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