JP6866547B2 - 防水材 - Google Patents

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Description

本発明は、ドライモルタルおよびそれを用いる防水材であり、コンクリートの防水およびひび割れの修復方法に関する。
セメントやモルタル等により構成されたコンクリート構造物、例えば官庁・学校などの公共施設、駅再開発、ショッピングモール、駐車場などの民間複合施設あるいはマンションなどのRC造やSRC造のビルに代表される建築構造物:道路、鉄道などの橋梁、護岸、桟橋、ドルフィンなどの港湾に代表される土木構造物には、多くの場合種々の原因によりひび割れが発生する。すなわち、建設時に発生するひび割れと建設後に発生するひび割れとがあり、それぞれ発生原因が異なっている。建設時に発生するひび割れは、コンクリートの組成あるいは例えば打設環境、打設量、打設速度、締固めなどの打設条件等が原因となる、プラスチックひび割れ、温度ひび割れ、収縮ひび割れなどと云われるひび割れである。
このようなひび割れの発生により、雨水や地下水の浸入が起り、漏水発生による苦情や資産価値の低下あるいは瑕疵発生による将来的な不安を生じることになる。このようなひび割れに起因する欠陥を解消すべく、コンクリート躯体にひび割れが生じても水が浸入しないように、例えば屋上防水や地下ピット壁防水などの防水工事を、アスファルト防水、シート防水、あるいはウレタン、FRP、ポリマーセメント、ゴムアスファルト、珪酸質系浸透性塗布液などにより施すことが知られている。
しかしながら、このような防水工事では、例えばコンクリートの含水率の適切性、長すぎる工程あるいは熟練工の不足などが問題となり、十分な防水効果を得られないことが問題視されている。また、防水工事には、防水材として有機材料を用いることが多く、有機材料は紫外線等による劣化で耐久性が十分でなくそのため定期的補修を必要とするなどの問題のあることも知られている。
一方、建設後に発生するひび割れは、例えばコンクリートの中性化、塩害、繰り返し荷重の負荷による疲労あるいは凍結、融解等の経時的変化が原因となって発生し、鉄筋の腐食を起し、また膨張圧の発生によりひび割れを広範囲に進展させるなどの欠陥を生じ、コンクリートの剥離を起こしたり、構造物自体に深刻な損傷を与えることもあって安全性の確保も困難となる。このようなひび割れに起因する欠陥を解消すべく、例えば、エポキシ樹脂、超微粒子セメント、珪酸塩、亜硝酸塩などの修復材をひび割れに注入したり、ポリマーセメントモルタル、亜硝酸塩混入モルタルなどをひび割れのある断面に塗布したり、コンクリートの表面に珪酸塩やシラン系含浸材を塗布して表面保護したり、アスファルトやウレタンなどの防水材を床版に施して床版防水したりすることが知られている。この他に、建物を電気防食したり、あるいはひび割れが強かったり、大きかったりするときには、建物自体を立て替えることが必要となったりすることもある。
しかしながら、上記の如きひび割れ修復材等を用いる方法では、修復材がひび割れ中に円滑に浸入しなかったり、未修復部分からの再劣化が発生して修復部分との境界面で性質の違いを発現して劣化を防止することにならなかったりあるいは建築物の使用中の修復では時間的な制約があって修復工事が長期に亘るなどの改善すべき点があることも知られている。
特許文献1には、コンクリートに未反応部分を残存させ、コンクリートにひび割れが発生したとき、浸入した水と未反応部分とが反応して膨張するのを利用して、ひび割れ自己治療する方法が開示されている。
特許文献2には、膨張材と無機質セメント結晶増殖材を含有する自己治療コンクリートが記載され、これはひびが発生したとき、浸入した水と膨張材と上記増殖材とが反応して膨張と析出物の生成を生み出し、それによりひび割れを自己治療しようとするものである。
特許文献3には、炭酸基を有する塩又はカルボキシル基を有する化合物を含むセメント組成物が記載され、このセメント組成物を含むコンクリートにひび割れが生じたときには、浸入した水と上記塩や化合物とが反応し炭酸化合物を析出して、同様にひび割れを修復しようとするものである。
特許文献4には、膨張性アルミノシリケートを含有するセメント混和材が記載されている。これも、ひび割れに浸入した水と膨張性アルミノシリケートとが反応して不活性の析出物を生成するのを利用してひび割れを自己治療しようとするものである。
特許文献5には、層状ケイ酸塩鉱物、長石、オキシカルボン酸又はジカルボン酸を含有する自己治療材料を含む、コンクリート構造物における漏水を伴うひび割れ用補修材料としてのペーストが記載されている。上記層状ケイ酸塩鉱物とは、モンモリロナイトやタルクの如きアルミノシリケートあるいはマグネシウムシリケートである。この補修材料は、コンクリート表面のひび割れの直上であって且つひび割れ部分に沿って、コンクリートの表面に塗布するか、あるいは、コンクリート表面のひび割れの直上であって且つひび割れ部分に沿って削孔して複数の孔を設け、該孔に注入するとともに、該孔を含むひび割れのあるコンクリート表面部分に塗布することによって、ひび割れを修復するように用いられる。
特許文献6には、水ガラスを含み、水ガラスとセメント組成物中の水酸化カルシウムとが反応して生成するケイ酸カルシウムを、経時的にゲル化可能としたコンクリート改質剤が開示されている。
特許第3658568号明細書 特開2005−239482号公報 特開2007−332010号公報 特開2009−190937号公報 特許第5888887号明細書 特許第4555398号明細書
本発明の目的は、コンクリート構造物に発生したひび割れを、小さく、少なくあるいは無くすように自己修復してひび割れから浸入する水による漏水を防止することが可能な、補修用ドライモルタルを提供することにある。
本発明の他の目的は、コンクリート構造物の下地への接着強度が、下地条件に左右されることなく強く、施工が容易で、短時間で施工が可能な、ひび割れ補修用モルタルを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、上記補修用モルタルを用いた、ひび割れの補修方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から明らかになろう。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、セメント、細骨材、貝殻パウダーおよび結晶性層状珪酸ナトリウムを含有し、前記貝殻パウダーの含有量はセメント100質量部に対し、3〜10質量部であり、前記結晶性層状珪酸ナトリウムの含有量はセメント100質量部に対し、3〜10質量部であることを特徴とする、コンクリート構造物のひび割れ補修用ドライモルタルによって達成される。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第2に、上記ドライモルタルと水とを混練してモルタルを得、次いでこのモルタルを、ひび割れが発生した際に水が浸入する可能性があるコンクリート構造物の外壁の表面に、ひび割れが発生する前に予め塗布しておくことを特徴とする、コンクリート構造物のひび割れ補修方法により達成される。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第3に、結晶性層状珪酸ナトリウムの、コンクリート構造物のひび割れ補修材としての使用により達成される。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第4に、本発明の上記ドライモルタルと水との混練物である、ひび割れ補修用モルタルによって達成される。
本発明のコンクリート構造物のひび割れ補修用ドライモルタルおよびモルタルによれば、コンクリート構造物に発生したひび割れを、小さく、少なくあるいは無くすように自己修復することができる。本発明のモルタルは、ひび割れを発生したコンクリート構造物の当該ひび割れ部分に後発的に塗布してひび割れを修復するように使用される他に、未だひび割れの発生していない、コンクリート構造物の外壁表面に予め塗布しておくようにして使用することができる。後者の使用法によれば、施工が容易で且つ短期間で終了することができるだけでなく、コンクリート構造物にひび割れが発生した初期の段階で、当該ひび割れ中に、水と共に、結晶性層状珪酸酸ナトリウムおよびモルタルの成分が補充されるので、ひび割れの修復が速やかに且つ初期の段階からできる利点がある。
実施例1で調製された厚さ2mmのモルタル板のひび割れを有する表面の写真(ひび割れの存在は、写真に加えた実線により示されている)。 図1に示されたモルタル板と同じモルタル板のひび割れが修復された裏面の写真(修復されたひび割れ、つまりひび割れの跡は、写真に示された楕円内に地肌よりも若干白くなって観察される)。 図1に示されたモルタル板のひび割れを有する表面の、ひび割れを拡大した、拡大写真(ひび割れ中に、ひび割れを修復しつつある新たな生成物の存在が確認される)。 図1に示されたモルタル板と同じモルタル板のひび割れが修復された裏面の拡大写真(ひび割れが新しい生成物が充填されて修復された修復跡が地肌より白くなって観察される)。 防水性の評価のために作成された、厚さ1.5cmの無筋コンクリート平板5板で作成した水槽(目地部8ケ所)を、水槽の底部を上面にして斜め方向から撮影した写真。 図5に示された水槽と同じ水槽の5面の表面上に、実施例1で調製されたモルタル(止水材)を塗布した後の水槽を、水槽の底部を上面にして斜め方向から撮影した写真。 図6に示された塗布後の水槽に、塗布1時間後に水を張り、目地部からの漏水を観察しつづけた際、漏水が停止したときの水槽を、斜め方向から撮影した写真(水槽中には未だ十分な量で水が存在していることが観察できる)。
本発明のコンクリート構造物のひび割れ補修用ドライモルタルは、セメント、細骨材、貝殻パウダーおよび結晶性層状珪酸ナトリウムを含有し、前記貝殻パウダーの含有量はセメント100質量部に対し、3〜10質量部であり、前記結晶性層状珪酸ナトリウムの含有量はセメント100質量部に対し、3〜10質量部である。
結晶性層状珪酸ナトリウムは、それ自体公知の物質であり、本発明では、斜方晶を呈し、層状の構造を有する珪酸ナトリウムである。このような結晶性層状珪酸ナトリウムは、具体的には、NaSi・xHOで示されるケニヤイト、NaSi1429・xHOで示されるマガディアイト、NaSi17・xHOで示されるアイラアイト、NaSi等の組成式を持つものが挙げられる。これらの中でも後述するカルシウムイオンのイオン交換能が高い点で、Na(2−x)ySi2y・zHO(ここでxは0〜2、yは1±0.1、zは0〜5の数)の組成式で示される結晶性層状珪酸ナトリウムが好適に用いられる。なお、上記記組成式の結晶性層状珪酸ナトリウムにおいて、本発明の効果に影響しない範囲で、Na、K、Mg、Ca、Al等の元素が含まれていても良い。これら元素の混入量としては、Na1モルに対し、0.005モル以下が好ましい。
このような結晶性層状珪酸ナトリウムは、工業的に入手可能であり、具体的には、株式会社トクヤマ製 製品名「プリフィード」(NaSi)などが挙げられる。
結晶性層状珪酸ナトリウムは、粉末状や顆粒状の物があるが、好ましくは10〜100μm、より好ましくは30〜80μmの範囲にある平均粒径を持つ粒子として含有される。
結晶性層状珪酸ナトリウムは、水中に添加、攪拌すると一旦コロイド状に分散した後に溶解し、一般の珪酸ナトリウムとは異なる性状を呈する。一般の珪酸ナトリウムが水に易溶性であるのに対し、結晶性層状珪酸ナトリウムは水溶液になるまでに時間を要する。このことから結晶性層状珪酸ナトリウムがひび割れを防止するように作用するのは、セメント中のカルシウム成分とイオン交換しながら反応するなどして水に不溶性の化合物をひび割れ中で新たに生成するものと考えられる。すなわち、ひび割れが上面から裏面へと連がっていることが確認されたコンクリート試料を用いたモデル実験によれば、上面ではひび割れが断続しているような状態となり、その場合裏面ではひび割れが殆ど確認できないような状態にまで、新たに生成した化合物により充填され補修されたことが確認されている。一般の珪酸ナトリウムを用いた場合にも同様な作用は確認されるが、珪酸ナトリウムが水に易溶なことから新たに生成した化合物の耐水性に課題が残り、時間経過とともに再び水が滲みだすこととなる。
結晶性層状珪酸ナトリウムは、本発明のドライモルタル中に、セメント100質量部に対し、好ましくは3〜10質量部含有され、より好ましくは3〜8質量部、さらに好ましくは4〜7質量部の範囲にある量で含有される。結晶性層状珪酸ナトリウムが3重量部未満の場合は、塗布作業後モルタルの硬化が不十分となり、ドライアウト現象を生じる。他方10重量部を超えるとモルタルを水と練り混ぜると結晶性層状珪酸ナトリウムとセメントとが急激に反応してモルタルフローが短時間で低下するため、塗布作業が困難となる。また、モルタルの密実性も低下するため圧縮強度や防水性が低下するので好ましくない。
本発明におけるセメントとしては、例えばポルトランドセメント、その他の混合セメント、超速硬系セメント等を使用できる。ポルトランドセメントとしては、低熱、中庸熱、普通、早強、超早強、耐硫酸塩等の各種ポルトランドセメントが挙げられ、又、混合セメントとしては、例えば高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント等が挙げられる。超速硬系セメントとしては、例えばアルミナセメント、11CaO・7Al・CaX系(XはF等のハロゲン元素)セメント、アウイン(カルシウムサルフォアルミネート(3CaO・3Al・CaSO))系セメント、粗粉セメントが挙げられる。
これらの中でも、安価なポルトランドセメントが好ましい。
従来、自己修復性能を得るには、長期に亘り水酸化カルシウムを生成することが好ましいことから、水和反応が緩慢な低熱ポルトランドセメントや中庸熱ポルトランドセメントが特に好ましいとされるが、本発明においては施工環境や工期に応じてセメントを選定できる。したがって、最も経済的な普通ポルトランドセメントや早強ポルトランドセメントも特に好ましく使用できる。
これらセメントは、単体で、又は任意の組合せで且つ任意の混合割合で混合したものとして使用することもできる。
セメントの使用量は、上記のとおり、結晶性層状珪酸ナトリウム 3〜10質量部に対し100質量部が使用される。すなわち結晶性層状珪酸ナトリウム 10質量部に対し、セメントの使用量は100〜333質量部使用される。セメントの使用量が100質量部未満では、硬化後の強度が不足となり接着強度が得られず、他方333質量部を超えると、硬化後の寸法変化が大きくなり、コンクリートとの界面で応力差が生じ界面剥離を起こし接着強度が低下する。接着力が低下してモルタルがコンクリート構造物から剥がれると、防水性が得られなくなるばかりでなく、ひび割れの修復力が低下する傾向となるため好ましくない。 本発明における細骨材としては、例えば珪石、長石、陶石、高炉スラグなどが挙げられる。珪石としては、天然産の珪石及び珪砂等が挙げられる。
これらの中では、安価で入手が容易な窯業原料用あるいは建材原料用の珪石粉末及び珪砂の使用が好ましい。これらは、いずれも粒径1mm以下に粒度調整(粉砕)された一般の工業用グレードのものを使用することができる。長石としては、例えば灰長石、曹長石、正長石、曹長石が挙げられる。陶石としては、粒径1mm以下に粒度調整された一般の工業用グレードのものを使用することができる。
また、高炉スラグとしては、製鋼時の副産物である高炉水砕スラグ細骨材、高炉除冷スラグ等が挙げられる。
上記細骨材は1種単体としてあるいは2種以上の混合物で用いることができる。
細骨材は、好ましくはセメント100質量部に対し100〜200質量部となる範囲で用いられる。細骨材の使用量が上限を超えるとひび割れの補修力が低下し易く、下限より少ないとモルタルの寸法変化が大きくなり接着力が低下する。
貝殻パウダーはそれ自体公知のものであり、牡蠣ガラやホタテガラを未焼成または焼成したものを粉砕分級したものである。このような貝殻パウダーは、多孔質であるため、モルタル練り混ぜ時に水に溶解した結晶性層状珪酸ナトリウムを吸着し硬化後にコンクリートがひび割れた際、ひび割れから水が供給されると自己修復に必要な珪酸分をコンクリートのひび割れ部に放出する働きをする。また、これ自身が自己修復の際に必要なカルシム源としての働きもすることができる。
本発明では、牡蠣ガラを加熱プレス加工し微粉砕したものが好ましい。このような牡蠣ガラは工業的に入手が可能で、具体的には株式会社くれブランド製 製品名「牡蠣殻ナノパウダー」等が挙げられる。
本発明における貝殻パウダーとしては、平均粒径を0.5〜5μm程度に粒度調整して使用するのが好ましい。このような粒度に調製されることにより、モルタルを塗り付けた際に、コンクリート表面の微細な凹凸にモルタルが入り込みくさび状に硬化しモルタルの接着強度を向上されることができる。
これらの貝殻パウダーは、セメント100質量部に対し3〜10質量部含有され、好ましくは3〜8質量部、さらに好ましくは4〜7質量部の範囲である量で含有される。貝殻パウダーの使用量が3質量部未満の場合、モルタルの接着強度が得られず好ましくない。10質量部を超える場合、多孔質な貝殻パウダーの吸水性により塗布作業性を得るための練り混ぜ水量が増加するため、モルタルが強度低下を引き起こし好ましくない。
本発明のドライモルタルは、セメント、細骨材および結晶性層状珪酸ケイ酸ナトリウムの他に、種々の品質改良材例えば膨張材、非晶質シリカ含有無機材料、減水剤、増粘剤等を含有することができる。
膨張材としては、カルシウムサルフォアルミネート系膨張材、石灰系膨張材等を挙げることができ、粒径10〜100μm程度に粒度調整された工業用グレードのものが好ましく使用される。特に石灰系膨張材が好ましく使用される。
石灰系膨張材は、セメント100質量部に対し2〜10質量部の範囲となる量で用いるのが好ましい。石灰系膨張材の使用量が2質量部未満の場合、硬化後のモルタルの寸法変化が大きくなり、コンクリートとモルタル界面でひずみ差が生じ界面剥離等が生じやすくなる。他方10質量部を超える場合には、硬化後に外部より水が浸入するとモルタルが異常膨張を起こしコンクリートから剥離を生じるため好ましくない。
非晶質シリカ含有無機材料は、モルタルの塗布作業性を向上させるために用いられる。
非晶質シリカ含有無機材料としては、非晶質(ガラス質)のシリカ(二酸化ケイ素=SiO)を少なくとも50質量%以上含有し、いわゆるポゾラン反応性を有する無機材料及び鉱物である。該非晶質シリカ含有無機材料としては、フライアッシュ(石炭灰)、カオリン鉱物(カオリナイト、ディカイト、焼成粘土、窯業から発生する廃材(廃瓦、廃煉瓦、廃陶器、廃陶磁器等)等の他、天然物として、珪酸質白土、凝灰岩(流紋岩質凝灰岩、ゼオライト質凝灰岩等)、デイサイト、珪藻土、酸性火山岩、火山灰、シラス等が挙げられる。
これらの中では、安価で入手の容易なフライアッシュ(石炭灰)、珪酸質白土、凝灰岩、デイサイト、珪藻土、酸性火山岩、火山灰、シラス等が好ましい。また、高炉スラグとしては、製鋼時の副産物である高炉水砕スラグ、高炉除冷スラグ等の粉砕物が挙げられる。
これら非晶質シリカ含有無機材料は、粒径100μm以下に調整された一般の工業用グレードのものを使用することが好ましい。
非晶質シリカ含有無機材料は、セメント100質量部に対し15質量部以下となる量で用いることができる使用量が15質量部を超える場合は塗布作業後にダレを生じやすくなるため好ましくない。
減水剤はモルタル調整時の水の添加量を減らすために用いられる。ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系等の粉末減水剤を挙げることができるが、ポリカルボン酸系減水剤が好ましく用いられる。減水剤は、セメント100質量部に対し0.25〜1.0質量部となる量で好ましく用いられる。
使用量が0.25質量部未満の場合、減水効果が十分に得られず、塗布作業性を確保するために練り混ぜ水を増加する必要が生じるため強度低下や硬化後の寸法変化が増加する。他方1.0質量部を超えると塗布作業後にダレを生じる。
増粘剤としては、公知の水溶性ポリマーを挙げることができる。例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルセルロース等の半合成水溶性ポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリビニールアルコール等の合成水溶性ポリマー、コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸、マンナン等の天然水溶性ポリマーが用いられる。増粘剤はセメント100質量部に対し0.5質量部以下となる量で用いることができる。
本発明のドライモルタルは、使用に際し、水と混練してモルタルとされる。その際、水はドライモルタル100質量部に対し、20〜25質量部となる量で用いるのが好ましい。混練は、それ自体公知の混練方法例えばハンドミキサー、傾胴ミキサー、モルタルミキサー等の機械的手段により行われる。
本発明のモルタルは、ひび割れを発生したコンクリート構造物の当該ひび割れ部分に後発的に塗布してひび割れを修復することができる。本発明のモルタルは、このような後発的な使用法の他に、未だひび割れが発生していない、コンクリート構造物の外壁表面に予め塗布しておく態様で使用することもできる。後者の使用法によれば、コンクリート構造物の建設時あるいはその後であっても、外壁表面に一様に施すことができるため、施工が容易なだけでなく、短期間で終了することができ、しかもひび割れが発生した初期の段階から、当該ひび割れ中に、水と共に、結晶性層状珪酸ナトリウムおよびモルタルの成分が補充されるので、ひび割れの修復が速やかに且つひび割れの初期の段階から開始できる利点がある。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。本発明はかかる実施例により何ら制限されるものではない。
(使用材料)
珪酸ナトリウム
結晶性層状珪酸ナトリウム:プリフィード粉末品 (株)トクヤマ社製
粉末珪酸ナトリウム:3Na (株)トクヤマ社製
セメント
NC:普通ポルトランドセメント (株)トクヤマ社製
HC:早強ポルランドセメント (株)トクヤマ社製
細骨材 :6号珪砂 山川珪砂(株)社製
貝殻パウダー:牡蠣殻ナノパウダー (株)くれブランド社製
非晶質シリカ含有無機材料:高品質フライアッシュ (株)ゼロテクノ社製
増粘剤:90MP−4000 松本油脂(株)社製
減水剤:マイティ21P (株)花王社製
水 :水道水
実施例1〜5および比較例1〜6
(1)防水材の調製
ドライモルおよび練り混ぜ水を表1に記載の割合になるようにそれぞれ計量した。
練り混ぜは、ハンドミキサー((株)東芝社製、1000rpm)を用いた。防水材の調製は樹脂製の円筒容器に計量した練り混ぜ水を入れた後、ハンドミキサーを稼働しながらドライモルタルを加え、ドライモルタル全量投入後2分間攪拌した。
(2)評価方法
モルタルの塗布作業性の評価は、モルタルフローの変化度合で行った。モルタルフローの計測は、JIS R 5201 11.フロー試験に準拠して行った。第一には、練り混ぜ直後のフロー値(F)を計測し、塗布作業が可能で塗布後にダレを生じない範囲であるかを判定した。0打フローが210mm未満かつ15打フローが140mm以上である場合を○、それ以外を×と評価した。第二には、塗布作業においては作業効率の観点からモルタルの練り置きが発生する。この間にモルタルフローが大幅に変化すると塗布作業に支障が生じる。そこで、練り混ぜ後30分経過したモルタルのフロー値(F30)を計測しFからの変化度合を算出した。F30/Fの値が0.85以上1.0以下を○、0.85未満または1.0超を×として評価した。
強度評価はモルタルの圧縮強度試験により行った。圧縮強度の測定は、JIS R 5201 10.強さ試験に準拠して行った。なお、成形は突き棒により行い、供試体の養生は、1日湿空養生後脱型し水中養生とした。測定の材齢は3日、7日、28日とした。
接着性の評価は、モルタルの接着強度試験により行った。モルタルの接着強度は、コンクリート平板の表面をワイヤブラシで研磨してレイタンスを取り除いた後、水湿しの状態でモルタルを3mmの厚さで鏝塗りし28日間気中養生した。養生後、モルタルをコンクリートカッターで40mm角になるようにコンクリート平板まで切り込みを入れ、アタッチメントを張り付けた。建研式接着力試験機をアタッチメントに接続しモルタルを強制的に引き剥がし破断時の荷重を読み取りモルタルの面積で除して接着強度を算出した。同時に破断部位を記録した。接着強度が1.5N/mm以上かつ破断部位がコンクリート界面破断以外の場合を○、接着強度が1.5N/mm以上であっても破断部位がコンクリート界面破断の場合を△、接着強度が1.5N/mm未満を×として評価した。
防水性の評価は、厚さ1.5cm無筋コンクリート平板5枚を用いて20×20×30cmの水槽を作製した。8箇所の目地部を1:2モルタルで接着して水槽を組み立てた。表1の割合で調製したモルタルを水槽の表面に塗布し1日間乾燥した後、水槽内に水を張り目地部からの漏水状況を観察し防水性能を確認した。
ひび割れ修復性の評価は、表1の配合で調製したモルタルを用い厚さ2mmのモルタル板を作製した。材齢1日気中養生した後、モルタル板の一部を割りひび割れを発生させた。ひび割れ幅を0.2mm程度に調整し、定期的にひび割れ部にスポイトで水を滴下した。ひび割れ部の湿潤乾燥を繰り返しながらひび割れ部分をマイクロスコープで観察して自己修復性能を確認した。
モルタルの評価結果を表2に示す。
Figure 0006866547
Figure 0006866547

Claims (5)

  1. セメント、細骨材、貝殻パウダーおよび結晶性層状珪酸ナトリウムを含有し、前記貝殻パウダーの含有量はセメント100質量部に対し、3〜10質量部であり、前記結晶性層状珪酸ナトリウムの含有量はセメント100質量部に対し、3〜10質量部であることを特徴とする、コンクリート構造物のひび割れ補修用ドライモルタル。
  2. 結晶性層状珪酸ナトリウムが下記式
    Na(2−x)ySi2y・zH
    ここでxは0〜2、yは1±0.1、zは0〜5の整数である
    で表される化学組成を有する請求項1に記載のドライモルタル。
  3. 請求項1または2のドライモルタルと水との混練物からなる、コンクリート構造物のひび割れ補修用モルタル。
  4. ひび割れが未だ発生していないコンクリート構造物の駆体外壁表面上に、請求項1のドライモルタルと水とからなるモルタルを塗布し、ひび割れが発生したときひび割れを速やかに自己修復するようにすることを特徴とする、コンクリート構造物のひび割れ補修方法。
  5. 結晶性層状珪酸ナトリウムの、コンクリート構造物のひび割れ補修材としての使用。
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