JP6866329B2 - レーダ装置及びそのレーダ信号処理方法 - Google Patents
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Description
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。このレーダ装置は、受信部100と、干渉パルス圧縮部200と、干渉参照信号生成部300と、干渉検出部400と、干渉除去部500と、所望信号復元部60Aと、所望パルス圧縮部60Bと、所望参照信号生成部700と、を備える。
図2は、図1に示した実施形態の構成に基づく具体例を示している。図2に示すレーダ装置は、干渉パルス圧縮部200を、第1フーリエ変換部201と、干渉参照信号乗積部202と、第1逆フーリエ変換部203で構成し、所望信号復元部60A及び所望パルス圧縮部60Bを第2フーリエ変換部601と、所望信号復元部602と、所望参照信号乗積部603と、第2逆フーリエ変換部604で構成する。そして、干渉参照信号生成部300で生成される干渉参照信号を干渉参照信号乗積部202と所望信号復元部602に入力し、所望参照信号生成部700で生成される所望参照信号を所望参照信号乗積部603に入力する。
まず、受信部100に受信信号が入力される(ステップS111)。第1フーリエ変換部201では、受信部100の出力をフーリエ変換する(ステップS112)。干渉参照信号生成部300は、混信が予想される干渉信号の参照信号を生成しており、干渉参照信号乗積部202では、第1フーリエ変換部201の出力と干渉参照信号生成部300の出力を掛け合わせる(ステップS113)。第1逆フーリエ変換部203では、干渉参照信号乗積部202の出力を逆フーリエ変換する(ステップS115)。これは、受信信号を干渉参照信号でパルス圧縮することに等しい。
特許文献1では、各レンジの1CPIの平均電力と同一レンジのヒット単体の電力の差分が閾値を超える場合に干渉有りと判定する。特許文献1に記載の技術では、所望信号と干渉信号の電力差が大きい場合の干渉検出精度は高いが、同程度の電力の場合、検出精度が低下する。周波数や符号変調を施した信号をパルス圧縮するパルス圧縮レーダにおいては、干渉信号と所望参照信号の相関が下がるため電力が積み上がりにくく、干渉検出が困難になりやすい。
図12(c)は、275番目のレンジデータの各ヒットの電力を図示している。図12(c)から分かるように、観測対象が独立に運動する粒子の塊である雲や雨である気象レーダでは、1CPI当たりの各ヒットの電力は干渉混信がない場合も干渉混信ヒットを除いた平均電力と比較して10dB程度変動する。特許文献1のように、1CPIの平均電力と各ヒットの受信電力差を用いると、干渉信号が所望参照信号との相関低下によりパルス圧縮で信号が積み上がらず、所望信号との電力差が低下する場合、干渉見逃しが発生し推定精度が低下することは容易に想像がつく。
第1の実施形態に記載の干渉参照信号生成部300の干渉信号解析部によれば、干渉信号の大まかな波形情報を推定可能だが、推定誤差の発生は避けられない。また、データベースから波形情報を取得し干渉参照信号を生成する場合も、レーダ間のサンプリングクロックや発振周波数ずれから、干渉参照信号に誤差が生じることが予想される。第2の実施形態は、複数の干渉参照信号から受信干渉信号により適した干渉参照信号を選択できるようにしたものである。第2の実施形態によれば、干渉信号と誤差の少ない干渉参照信号で干渉を検出するため、干渉見逃しを低減し、所望信号の推定精度を向上させることができる。
上記のレーダ装置において、干渉検出閾値を低くすると干渉見逃しは低減できるが、干渉の誤検出が増加する。すなわち、所望信号をもブランキングで無効値化してしまい、所望信号成分が除去されて推定精度が低下する恐れがある。第3の実施形態は、ブランキングされたデータの周辺レンジデータを利用して、ブランキングではなく信号補間することで干渉成分を除去するようにしたものである。第3の実施形態によれば、ブランキング処理による所望信号の欠損を回避し、推定精度を向上することができる。
補間情報計算部1000では、受信時間順にサンプリングされたIQデータと前記干渉識別データが入力され(ステップS401)、干渉識別データに基づき、干渉データのIQ位相が計算される(ステップS402)。次に、干渉データの両隣のレンジデータの振幅値を代表補間振幅値として抽出する(ステップS403)。なお、複数レンジに渡って干渉が存在する場合、干渉レンジ番号が最小ならびに最大のデータの両隣のデータの振幅値を代表補間振幅値として抽出する。次に、代表補間振幅値から干渉データの補間振幅値を計算し(ステップS404)、補間情報計算部1000から出力する。なお補間値は、線形補間やガウス補間等により計算してもよい。干渉除去部500では、干渉データを補間情報計算部1000の出力で置き換える(ステップS405)。なお、干渉除去部500で置き換えるデータは、ステップS402で計算した位相値とステップS404で計算した補間振幅値を乗積した値や、ステップS404で計算した補間振幅値そのものを用いればよい。なお、補間値に補間振幅値そのものを用いる場合には、ステップS402の処理は省いてよい。
近年の気象観測業界では、粒子判定や降雨形状の推定に有効な水平偏波と垂直偏波の偏波間情報を利用するマルチパラメータレーダが主流となりつつある。マルチパラメータレーダでは、偏波間の電力差や位相差、相関値を計算する(非特許文献1参照)。偏波間情報を観測する場合、干渉除去処理を各偏波に対し独立に実施した場合、偏波間の関係性が崩れ、マルチパラメータ推定精度が低下する恐れがある。第4の実施形態は、干渉除去するデータを偏波間で共通化するようにしたものである。第4の実施形態によれば、偏波間で別々に信号を除去されることはなくなり、偏波間の関係性が崩れないため高精度に偏波間情報を推定できる。
また、上記実施形態では、パルス圧縮を前提に説明したが、パルス圧縮を実施しない場合についても、本実施形態は有効に機能する。
Claims (13)
- 変調パルス信号による送信信号の反射波を受信するレーダ装置であって、
前記送信信号が観測対象より反射された所望信号と他のレーダ装置から送信された干渉信号とを受信する受信部と、
前記干渉信号に関する情報から干渉参照信号を生成する干渉参照信号生成部と、
前記受信部の出力を前記干渉参照信号でパルス圧縮する干渉パルス圧縮部と、
前記干渉パルス圧縮部の出力を閾値と比較し干渉が混信するデータを検出する干渉検出部と、
前記干渉検出部で検出された干渉データをブランキングする干渉除去部と、
前記干渉参照信号を用いて前記干渉除去部の出力から前記所望信号を復元する所望信号復元部と、
を具備するレーダ装置。 - 前記干渉パルス圧縮部は、
前記受信部の出力をフーリエ変換する第1フーリエ変換部と、
前記第1フーリエ変換部の出力と前記干渉参照信号を乗積する干渉参照信号乗積部と、
前記干渉参照信号乗積部の出力を逆フーリエ変換する第1逆フーリエ変換部と、
を備える請求項1記載のレーダ装置。 - さらに、
前記所望信号に関する情報から所望参照信号を生成する所望参照信号生成部と、
前記所望信号復元部の出力を前記所望参照信号でパルス圧縮する所望パルス圧縮部と
を備える請求項1記載のレーダ装置。 - 前記所望信号復元部及び所望パルス圧縮部は、
前記干渉除去部の出力をフーリエ変換する第2フーリエ変換部と、
前記第2フーリエ変換部の出力から前記干渉参照信号で所望信号を復元する復元部と、
前記復元部の出力に前記所望参照信号を乗積してパルス圧縮する乗積部と、
前記乗積部の出力を逆フーリエ変換する第2逆フーリエ変換部と
を備える請求項3記載のレーダ装置。 - 前記復元部は、前記第2フーリエ変換部の出力を前記干渉参照信号で除算する請求項4記載のレーダ装置。
- 前記干渉参照信号生成部は、
前記干渉参照信号を線形もしくは非線形チャープ信号とし、
干渉観測モードで受信した干渉信号を解析してパルス長と変調周波数を推定し、
推定したパルス長ならびに変調周波数に基づき前記干渉参照信号を生成する
請求項1記載のレーダ装置。 - 前記干渉参照信号生成部は、
前記干渉信号の解析として、
前記干渉観測モードで受信した干渉信号電力と閾値を比較し干渉データを決定し、
前記干渉データから前記干渉信号のパルス長を推定し、
前記干渉信号の時間的な周波数変化を解析し、
解析した周波数の中から周波数代表点を抽出し、
前記周波数代表点から変調周波数を推定する
請求項6記載のレーダ装置。 - 前記干渉参照信号生成部は、
複数の干渉参照信号の候補を生成し、
前記複数の干渉参照信号の候補それぞれで前記受信部の出力に干渉パルス圧縮を実行し、
前記干渉パルス圧縮の結果の中で電力が最も高い干渉参照信号を選択する
請求項1記載のレーダ装置。 - 前記干渉参照信号生成部は、
前記複数の干渉参照信号の候補がそれぞれ線形チャープ信号の場合に、
前記複数の干渉参照信号について、それぞれパルス長及び変調周波数を規定範囲内で規定刻み幅分変更する
請求項8記載のレーダ装置。 - さらに、
前記干渉検出部で検出された干渉データの両隣の無干渉データの振幅値を代表補間振幅値として計算する補間情報計算部を備え、
前記補間情報計算部は、前記干渉データの振幅値を前記代表補間振幅値から推定し、
前記干渉除去部は、前記干渉データを前記推定された振幅値で置き換える
請求項1記載のレーダ装置。 - 前記補間情報計算部は、前記干渉データのIQ信号の位相情報を計算し、
前記干渉除去部は、前記干渉データを前記推定された振幅値と前記位相情報を乗積した値で置き換える
請求項10記載のレーダ装置。 - さらに、
前記送信信号が水平偏波と垂直偏波で送信し、それぞれの反射波を受信する場合に、前記水平偏波と前記垂直偏波の偏波間で干渉除去するデータを共通化する共通化部を備え、
前記干渉除去部は、前記共通化部で共通化された偏波間の干渉除去データに該当するデータを除去する
請求項1記載のレーダ装置。 - 変調パルス信号による送信信号の反射波を受信するレーダ装置のレーダ信号処理方法であって、
前記送信信号が観測対象より反射された所望信号と他のレーダ装置から送信された干渉信号とを受信し、
前記干渉信号に関する情報から干渉参照信号を生成し、
前記受信した信号の出力を前記干渉参照信号でパルス圧縮し、
前記パルス圧縮された信号を閾値と比較して干渉が混信する干渉データを検出し、
前記検出された干渉データをブランキングし、
前記干渉参照信号を用いて前記ブランキングされた干渉データから前記所望信号を復元する
レーダ装置のレーダ信号処理方法。
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