第1の実施形態に係る動作支援装置10を図1乃至図6を用いて説明する。動作支援装置10は、使用者1が腰2を屈曲した状態から伸展する際の腰2の伸展動作を支援可能に構成されている。
図1は、動作支援装置10を使用者1に装着した状態を示す側面図である。図2は、動作支援装置10を使用者1に装着した状態を示す背面図である。図3は、動作支援装置10を示す側面図である。図4は、動作支援装置10を示す斜視図である。図5は、腰2を屈曲した使用者1に動作支援装置10を装着した状態を示す側面図である。図6は、動作支援装置10の動作を示すフローチャートである。なお、図1,図2,及び図5に示される動作支援装置10は、概略的に示されている。図3及び図4に示される動作支援装置10は、後述するベルト部材53が省略されている。
図1乃至図4に示すように、動作支援装置10は、使用者1に装着されるフレーム20、フレーム20を使用者1に安定的に支持させる肩ハーネス30、使用者1の腰2の伸展動作の開始を検出可能な検出部40、使用者1の腰2の伸展動作を支援する動力を発生可能な動力発生部50、及び、動力発生部50の動作を制御可能な制御部60を有している。
フレーム20は、使用者1の腰2に着脱可能に装着される腰固定具21、腰固定具21に固定された、制御部60を収容可能な収容部22、腰固定具21に固定された背中フレーム23、使用者1の大腿部3に着脱可能に装着される大腿固定具24、大腿固定具24に固定された大腿フレーム25を有している。
腰固定具21は、使用者1の腰2を内側に配置する環状に形成されている。腰固定具21は、具体的には、腰2の後部に対向する固定具後部21a、腰2の前部に対向する固定具前部21b、及び、腰2の側部に対向する固定具側部21cを有している。固定具後部21aの表面21eは、例えば平面に形成されている。
腰固定具21は、例えば、その周方向の長さを調整可能な調整機構を有してもよい。腰固定具21の周方向の長さを調整することにより、腰固定具21を使用者1の腰2に対してフィットさせることができる。
腰固定具21は、大腿フレーム25が固定される大腿フレーム固定部26を有している。大腿フレーム固定部26は、腰固定具21に対して回動可能に設けられている。大腿フレーム固定部26は、腰固定具21の両固定具側部21cに1つずつ設けられている。
大腿フレーム固定部26の回動中心線は、例えば、動作支援装置10が使用者に装着された状態において使用者1の左右方向に平行である。なお、大腿フレーム固定部26の回動中心線が、使用者1の左右方向に平行であることに限定されない。大腿フレーム固定部26の回動中心線は、使用者1の腰2の屈伸動作を妨げない方向に設定されればよい。
収容部22は、腰固定具21に直接的または間接的に固定されている。本実施形態では、収容部22は、動力発生部50の後述するアクチュエータ51を支持する支持フレーム52を介して、間接的に腰固定具21に固定されている。腰固定具21に対する収容部22の相対位置は変化しない。
収容部22は、例えば、左右方向に長い直方体の箱形状である。収容部22は、制御部60だけでなく、検出部40の後述する加速度センサ41、アクチュエータ51に電力を供給する電池等の電源などを収容可能に構成されている。
収容部22は、固定具後部21aの表面21eよりも後方に配置されている。すなわち、収容部22は、表面21eに対して後方に突出している。また、収容部22は、背中フレーム23よりも後方に突出している。本実施形態では、収容部22の前面に背中フレーム23が固定されている。
背中フレーム23は、腰固定具21に、直接的または間接的に、固定されている。背中フレーム23は、本実施形態では、収容部22の前面に固定されている。背中フレーム23は、収容部22を介して間接的に腰固定具21に固定されている。腰固定具21に対する背中フレーム23の相対位置は、変化しない。
背中フレーム23は、図2及び図4に示すように、例えば直線状の棒部材から形成されている。背中フレーム23の一端は、収容部22の前面に固定されている。背中フレーム23は、腰固定具21の中央に配置されている。具体的には、背中フレーム23は、背中フレーム23が使用者1に装着された状態において、使用者1の背骨と対向する位置に配置されている。背中フレーム23の上端部には、動力発生部50の後述するベルト部材53を固定可能なベルト固定部28が形成されている。ベルト固定部28は、本実施形態では一例として、肩ハーネス30も固定可能に形成されている。
大腿固定具24は、2つ設けられており、それぞれ、使用者1の両足のそれぞれの大腿部3に装着される。2つの大腿フレーム25は、それぞれ、同じ構造である。大腿固定具24は、例えば、使用者1の大腿部3を内側に配置する環状に形成されている。大腿固定具24は、例えば、その周方向の長さを調整可能な調整機構を有してもよい。大腿固定具24の周方向の長さを調整することにより、大腿固定具24を使用者1の大腿部3にフィットさせることができる。
大腿フレーム25は、大腿固定具24の側部に固定されている。ここでいう大腿固定具24の側部とは、大腿部3の左右両側部のうち使用者1の左右方向外側に位置する側部である。大腿フレーム25は、詳細には、図3及び図4に示すように、湾曲した棒部材から形成されている。大腿フレーム25は、その一端部が大腿固定具24の側部に固定されている。大腿フレーム25の他端部は、腰固定具21の大腿フレーム固定部26に固定されている。なお、大腿固定具24の大腿フレーム25が固定される位置は、上述の側部に限定されない。他の例では、大腿フレーム25は、大腿固定具24の前部、または、大腿固定具24の後部に固定されてもよい。
肩ハーネス30は、帯状に形成されている。肩ハーネス30は、本実施形態では、2つ設けられている。一方の肩ハーネス30の一端は、背中フレーム23のベルト固定部28に固定されている。一方の肩ハーネス30の他端は、本実施形態では、図1に示すように、収容部22の幅方向の一端部に固定されている。他方の肩ハーネス30の一端は、背中フレーム23のベルト固定部28に固定されている。他方の肩ハーネス30の他端は、収容部22の幅方向の他端部に固定されている。
肩ハーネス30は、肩ハーネス30と、背中フレーム23及び収容部22との間に使用者1の肩4を配置することにより、動作支援装置10を使用者1に安定させることができる。肩ハーネス30は、例えば、伸縮可能であり弾性を有するゴム等から構成されてもよい。また、肩ハーネス30は、その長さを調整可能な調整機構を有してもよい。
検出部40は、少なくとも、使用者1の腰2の伸展動作の開始、すなわち、大腿フレーム固定部26の、腰2の伸展動作と同方向の回転の開始を検出可能に構成されている。また、検出部40は、大腿フレーム固定部26の回転を検出可能に構成されている。
検出部40は、本実施形態では一例として、加速度センサ41、及び、大腿フレーム固定部26の回転角度を検出する角度センサ42を有している。加速度センサ41は、収容部22内に配置されており、使用者1の腰2の屈伸動作の際に生じる加速度を検出可能に構成されている。加速度センサ41は、例えば3軸加速度センサである。加速度センサ41は、検出結果を制御部60に送信する。
角度センサ42は、大腿フレーム固定部26の近傍に設けられており、大腿フレーム固定部26の、基準位置に対する回転角度を検出可能に構成されている。角度センサ42は、例えばロータリーエンコーダである。ここで言う基準位置とは、例えば、動作支援装置10が使用者1に装着された状態において使用者1の姿勢が直立姿勢であるときの大腿フレーム固定部26の位置である。この基準位置は、多くの人(使用者)に対して同じまたは略同じであると考えられるので、予め決定されている。なお、使用者1ごとに直立姿勢における腰固定具21に対する大腿フレーム25の位置を検出し、その位置を基準位置として設定してもよい。角度センサ42は、検出結果を制御部60に送信する。
動力発生部50は、大腿フレーム固定部26を回動可能なアクチュエータ51、及び、弾性を有した伸縮可能なベルト部材53を有している。アクチュエータ51は、例えばサーボモータ等の電動モータである。アクチュエータ51は、2つ設けられている。一方のアクチュエータ51は、腰固定具21の一方の固定具側部21cに、支持フレーム52を介して固定されている。支持フレーム52は、腰固定具21に固定されており、腰固定具21に対する相対位置は変化しない。両支持フレーム52に、収容部22が固定されている。
アクチュエータ51は、例えば減速機を介して大腿フレーム固定部26に連結されている。アクチュエータ51が駆動すると、大腿フレーム固定部26が腰固定具21に対して回転する。すなわち、アクチュエータ51が駆動されると、大腿フレーム固定部26に回転トルクが付与されるとともに、大腿フレーム固定部26を介して、大腿フレーム25に回転トルクが付与される。
ベルト部材53は、弾性を有しており、延びると縮む方向に引っ張り力を発生する性質を有している。ベルト部材53は、本実施形態では一例として、ゴムを主材料として、帯状に形成されている。ベルト部材53は、2本設けられている。一方のベルト部材53の一端は、一方の大腿固定具24の後部に固定されている。一方のベルト部材53の他端は、背中フレーム23のベルト固定部28に固定されている。他方のベルト部材53の一端は、他方の大腿固定具24の後部に固定されている。他方のベルト部材53の他端は、ベルト固定部28に固定されている。
両ベルト部材53は、図1及び図2に示すように、収容部22及び背中フレーム23の後方に配されている。両ベルト部材53の長さは、使用者1が直立姿勢にあるときに、収容部22の後部に当接する長さに設定されている。本実施形態では、ベルト部材53の長さは、大腿フレーム固定部26が基準位置にあるときに、ベルト部材53が撓むことなく収容部22の後部に接触し、かつ、伸び量が略ゼロなる長さに設定されている。すなわち、大腿フレーム固定部26が基準位置にある状態では、両ベルト部材53には、引っ張り力がほとんど生じていない。なお、ベルト部材53の長さは、大腿フレーム固定部26が基準位置にあるときに、ベルト部材53が撓むことなく収容部22の後部に接触し、かつ、伸び量が略ゼロなる長さに設定されることが、好ましい。
なお、両ベルト部材53は、それぞれ、長さを調整可能な調整機構を有してもよい。この調整機構によってベルト部材53の長さを調整することにより、両ベルト部材53のそれぞれの長さを、大腿フレーム固定部26が基準位置にあるときにベルト部材53が撓むことなく収容部22の後部に接触するとともに伸び量が略ゼロである長さにすることができる。
制御部60は、アクチュエータ51の動作を制御可能に構成されている。制御部60は、検出部40の検出結果に基づいて、腰2の伸展動作が開始されたと判断すると、アクチュエータ51を駆動する。なお、制御部60は、加速度センサ41及び角度センサ42の検出結果に基づいて、使用者1の腰2の屈曲動作の開始、腰2の屈曲動作の終了、腰2の伸展動作の開始、及び、腰2の伸展動作の終了を判断可能である。
制御部60は、例えば、加速度センサ41が下方向(重力の作用する方向)の加速度を検出し、かつ、角度センサ42の検出結果が大腿フレーム固定部26の位置が基準位置ではないことを検出すると、使用者1が腰2の屈曲動作を開始したと判断する。
また、制御部60は、例えば、加速度センサ41が上下方向の加速度を検出せず、かつ、角度センサ42の検出結果が大腿フレーム固定部26の位置が基準位置ではないことを示す検出結果であると、使用者1が腰2の屈曲動作を停止されたと判断する。
また、制御部60は、例えば、加速度センサ41が上方向(重力の作用する方向に対して逆方向)の加速度を検出し、かつ、角度センサ42の検出結果が大腿フレーム固定部26の位置が基準位置ではないことを検出すると、使用者1が腰2の伸展動作を開始したと判断する。
また、制御部60は、例えば、加速度センサ41が上下方向の加速度を検出せず、かつ、角度センサ42の検出結果が大腿フレーム固定部26の位置が基準位置であることを示す検出結果であると、使用者1が腰2の伸展動作が停止されたと判断する。
このように、制御部60は、本実施形態では、加速度センサ41及び角度センサ42の検出結果を用いることにより、使用者1の腰2の屈曲動作の開始、伸展動作の開始、及び、伸展動作の終了の検出の精度を向上できる。
アクチュエータ51の回転方向、すなわち電動モータの出力軸の回転方向は、腰2の伸展動作が支援される方向である。制御部60は、例えば電気回路から構成されている。制御部60は、収容部22内に収容されている。
次に、動作支援装置10の動作を説明する。動作支援装置10は、たとえば、図示しないスイッチが操作されることにより、オン状態となる。図6に示すように、加速度センサ41及び角度センサ42は、本実施形態では、動作支援装置10のオン状態では常に検出可能な状態であり、検出結果を常に制御部60に送信している。なお、アクチュエータ51が駆動されていない状態では、大腿フレーム固定部26は回転自由であり、使用者1の腰2の屈曲動作を妨げない。
制御部60は、加速度センサ41の検出結果に基づいて加速度を検出する(ステップS1)。また、制御部60は、角度センサ42の検出結果に基づいて、腰2の屈曲角度を検出する(ステップS1)。
制御部60は、ステップS1で検出した加速度及び屈曲角度に基づいて、使用者1が腰2の屈曲動作を開始したか否かを判断する(ステップS2)。制御部60は、腰2の屈曲動作が開始されたと判断するまでは(ステップS2のNo)、加速度及び屈曲角度を検出する(ステップS1及びステップS2のNo)。
制御部60は、加速度及び屈曲角度、すなわち、加速度センサ41の検出結果及び角度センサ42の検出結果から、使用者1が腰2の屈曲動作を開始したと判断すると(ステップS2のYes)、引き続き、加速度センサ41の検出結果及び角度センサ42の検出結果を監視し、
加速度及び屈曲角度を検出する(ステップS3及びステップS4のNo)。
使用者1が腰2を直立姿勢から屈曲すると、この屈曲に伴い、両ベルト部材53が延びる。両ベルト部材53は、伸長することにより、弾性エネルギを蓄える。
制御部60は、使用者1による腰2の屈曲動作を開始したと判断した後、加速度センサ41及び角度センサ42の検出結果より検出した加速度及び屈曲角度に基づいて、腰2の伸展動作が開始されたと判断すると(ステップS4のYes)、両アクチュエータ51を駆動する(ステップS5)。両アクチュエータ51の回転方向は、大腿固定具24に対する腰固定具21の回転方向が、腰2の伸展方向となる方向である。すなわち、腰2の伸展動作を支援する方向である。
アクチュエータ51が駆動されることにより、大腿フレーム固定部26に回転トルクが付与される。大腿フレーム固定部26に回転トルクが付与されることにより、大腿フレーム固定部26に固定された大腿フレーム25を介して、腰固定具21が大腿固定具24に対して腰2の伸展方向に、付勢される。さらに、腰2の伸展動作の際には、両ベルト部材53の復元力(引っ張り力)により、使用者1の上半身が、伸展方向に付勢される。このように、使用者1は、アクチュエータ51及び両ベルト部材53により、腰2の伸展動作が支援される。
制御部60は、両アクチュエータ51の駆動開始後も、加速度センサ41及び角度センサ42を解して検出された加速度及び屈曲角度を監視する(ステップS6、及び、ステップS7のNo)。制御部60は、加速度及び屈曲角度より腰2の伸展動作が終了したと判断すると、両アクチュエータ51の駆動を停止する(ステップS7のYes,及び、ステップS8)。両アクチュエータ51は、駆動が停止されると、回転自由の状態となる。この回転自由の状態では、大腿フレーム固定部26の回転が大きく阻害されることがないので、その後、使用者1が腰2の屈曲動作を開始しても、この屈曲動作は阻害されない。
本実施形態の動作支援装置10では、動力発生部50は、アクチュエータ51及びベルト部材53を有している。さらに、両ベルト部材53は、収容部22よりも後方に配置されており、かつ、使用者1が直立姿勢にある状態において(大腿フレーム固定部26が基準位置にある状態おいて)、収容部22に当接している。
すなわち、両ベルト部材53は、使用者1の腰2の屈曲動作に伴う、大腿固定具24に対する腰固定具21の回転の中心に対して、収容部22の分、外側に配置されることとなる。この為、腰2の屈曲に伴う両ベルト部材53の伸び量が多くなるので、使用者1の腰2の伸展動作の際の、両ベルト部材53による支援力を大きくすることができる。この為、動作支援装置10は、大型化を防止し、かつ、支援力を増大できる。
次に、第2の実施形態に係る動作支援装置10Aを、図7乃至図9を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
図7は、動作支援装置10Aを使用者1に装着した状態を示す側面図である。図8は、動作支援装置10Aを使用者1に装着した状態を示す背面図である。図9は、動作支援装置10Aの動作を示すフローチャートである。なお、図7及び図8では、動作支援装置10Aは、概略的に示されている。実際には、図3及び図4に示す構造と同様の構造を有している。動作支援装置10Aは、フレーム20、肩ハーネス30、検出部40、動力発生部50、及び、制御部60を有している。
フレーム20は、腰固定具21、収容部22、背中フレーム23、大腿固定具24、大腿フレーム25、及び、収容部22に設けられた、ベルト部材53の摩耗を低減可能に構成された当接部の一例であるローラ27を有している。
ローラ27は、収容部22において、ベルト部材53と対向する部位に設けられている。すなわち、2つのローラ27が設けられている。ローラ27は、両方向に回転自由に設けられている。また、ローラ27は、使用者1の腰2の屈伸に伴うベルト部材53の伸縮に合わせて回動可能に設けられている。ローラ27の回転軸は、一例として、動作支援装置10Aが使用者1に装着された状態において使用者1の左右方向と平行に配置されている。
ベルト部材53は、その中途部がローラ27に当接する。ベルト部材53の長さは、図7に示すように、大腿フレーム固定部26が基準位置にあるときに、ローラ27に当接する長さに設定されている。本実施形態では、ベルト部材53の長さは、大腿フレーム固定部26が基準位置にあるときに、ベルト部材53が撓むことなくローラ27に接触し、かつ、ベルト部材53の伸び量が略ゼロとなる長さに設定されている。
検出部40は、加速度センサ41、角度センサ42、及び、ベルト部材53に設けられた張力センサ43を有している。張力センサ43は、本実施形態では、一例として、ベルト部材53の両端のそれぞれに設けられており、大腿固定具24、及び、背中フレーム23の例えば上端部に固定されている。すなわち、ベルト部材53は、張力センサ43を介して、大腿固定具24及び背中フレーム23に固定されている。なお、本実施形態では、背中フレーム23は、ベルト固定部28を有していなくてもよい。張力センサ43は、ベルト部材53に生じる張力を検出可能に形成されている。張力センサ43は、検出結果を制御部60に送信する。
制御部60は、加速度センサ41の検出結果より検出された加速度、角度センサ42の検出結果より検出された屈曲角度、及び、張力センサ43の検出結果より検出された張力の増減に基づいて、腰2の屈曲動作の開始、腰2の屈曲動作の終了、腰2の伸展動作の開始、及び、腰2の伸展動作の終了を判断する。
具体的には、制御部60は、第1の実施形態で説明された腰2の屈曲動作の開始の判断の条件が成立し(すなわち、当該条件が検出され)、かつ、張力センサ43の検出結果より、張力が前回の検出結果より増加したことが検出されると、屈曲動作が開始されたと判断する。
また、制御部60は、第1の実施形態で説明された腰2の屈曲動作の終了判断の条件が成立し、かつ、張力センサ43の検出結果より、張力が前回の検出結果より増加したことを検出すると、屈曲動作が終了したと判断する。
また、制御部60は、第1の実施形態で説明された腰2の伸展動作の開始判断の条件が成立し、かつ、張力センサ43の検出結果より、張力が直前の検出結果より低下したことを検出すると、腰2の伸展動作が開始したと判断する。
また、制御部60は、第1の実施形態で説明された腰2の伸展動作の終了判断の条件が成立し、かつ、張力センサ43の検出結果より、張力が前回の検出結果より低下したことを検出すると、腰2の伸展動作が終了したと判断する。
次に、動作支援装置10Aの動作を説明する。本実施形態では、制御部60の動作は、ステップS1がステップS1Aに置き換わり、ステップS3がステップS3Aに置き換わり、ステップS6がステップS6Aに置き換わる。他のステップは、同じである。
具体的には、制御部60は、図9に示すように、加速度センサ41の検出結果、角度センサ42の検出結果、及び、張力センサ43の検出結果に基づいて、加速度、屈曲角度、及び、ベルト部材53のそれぞれに作用する張力の増減を検出し(ステップS1A、ステップS3A、及び、ステップS6A)、この検出結果に基づいて、上述のように、使用者1の腰の屈曲動作の開始を判断し(ステップS2のYes)、腰2の伸展動作の開始を判断し(ステップS4のYes)、使用者1の腰2の伸展動作の終了を判断する(ステップS7)。
本実施形態の動作支援装置10Aでは、第1の実施形態と同様の効果が得られる。動作支援装置10Aは、さらに、ローラ27によって、ベルト部材53が収容部22で摺れることが防止されるので、ベルト部材53の寿命が短くなることを防止できる。さらに、動作支援装置10Aは、張力センサ43を有することにより、使用者1の腰2の屈曲動作開始の検出の精度、及び、腰2の伸展動作の開始及び終了の検出の精度を向上できる。
なお、動作支援装置10Aは、ローラ27及び張力センサ43を有しているが、これに限定されない。他の例では、ローラ27または張力センサ43を有する構造であってもよい。
次に、第3の実施形態に係る動作支援装置10Bを、図10を用いて説明する。なお、第2の実施形態と同様の機能を有する構成は、第2の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
図10は、動作支援装置10Bを使用者1に装着した状態を示す背面図である。図10では、動作支援装置10Bは、概略的に示されている。実際の動作支援装置10Bは、図3及び図4に示されたように構成されている。
動作支援装置10Bでは、2つのベルト部材53は、動作支援装置10Bを装着した使用者1が直立姿勢にあるにときに後方から見た両ベルト部材53が、それぞれ、使用者1の体幹軸に平行となるように配置されている。動作支援装置10Bは、具体的には、フレーム20、肩ハーネス30、検出部40、動力発生部50、及び、制御部60を有している。
フレーム20は、腰固定具21、収容部22、背中フレーム23A、大腿固定具24、及び、大腿フレーム25を有している。背中フレーム23Aは、例えばT字状に形成されている。背中フレーム23Aの一端は、収容部22の前部に固定されている。
背中フレーム23Aは、収容部22の中央に配置されている。具体的には、背中フレーム23Aは、動作支援装置10Bが使用者1に装着された状態において、使用者1の背骨と対向する位置に配置されている。ベルト固定部28は、背中フレーム23Aの上端部の両端部に設けられている。収容部22は、背中フレーム23Aよりも後方に突出している。
なお、背中フレーム23Aに対する、腰固定具21及び収容部22に対する相対位置は、第1の実施形態の背中フレーム23に対する、腰固定具21及び収容部22に対する相対位置と同じである。
動力発生部50の一方のベルト部材53は、背中フレーム23Aの上端部の幅方向一端部に、張力センサ43を介して固定されている。他方のベルト部材53は、背中フレーム23Aの上端部の幅方向他端部に、張力センサ43を介して固定されている。両ベルト部材53は、平行に配置されている。また、両ベルト部材53のそれぞれは、大腿フレーム固定部26が基準位置にある状態において後方から見ると、大腿フレーム固定部26の回転中心に直交する直線状となるように配置されている。
本実施形態の動作支援装置10Bでは、第2の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、両ベルト部材53が平行に、かつ、使用者1の体幹軸に沿って配置されることにより、両ベルト部材53の生じる張力が、効率よく、使用者1の腰2の伸展動作の支援に用いられるので、ベルト部材53による腰2の伸展動作の支援力のロスを小さくできる。
なお、動作支援装置10Bは、ローラ27及び張力センサ43を有しているが、これに限定されない。他の例では、動作支援装置10Bは、ローラ27を有していなくてもよい。また、他の例では、動作支援装置10Bは、張力センサ43を有さず、ベルト部材53が、大腿固定具24及び背中フレーム23Aに直接固定されてもよい。
次に、第4の実施形態に係る動作支援装置を、図11を用いて説明する。なお、本実施形態の動作支援装置の構成は、第1の実施形態の動作支援装置10と同じ構成であり、制御部60の機能のみが異なる。この為、本実施形態の動作支援装置は、動作支援装置10と同じの符号を用いて説明する。図11は、本実施形態の動作支援装置の動作を示すフローチャートである。
本実施形態の動作支援装置10では、制御部60は、検出部40の検出結果に基づいて使用者1の腰2の屈曲動作が開始されたと判断すると、アクチュエータ51を駆動する。このときのアクチュエータ51の回転方向は、使用者1の屈曲動作を支援する方向である。アクチュエータ51は、使用者1の腰2の屈曲に伴う両ベルト部材53の伸長による、使用者1の腰2の屈曲動作に対する抵抗をゼロにするべく駆動される。
制御部60は、角度センサ42の検出結果に基づいて屈曲角度を検出する。制御部60は、この屈曲角度に基づいて、両ベルト部材53による、使用者1の腰2を伸展方向に付勢する回転モーメントを相殺できる回転トルクを、大腿フレーム固定部26に付与するべく、アクチュエータ51を駆動する。すなわち、大腿フレーム固定部26に付与される回転トルクは、両ベルト部材53による、腰2を伸展させる方向に作用する回転モーメントに対して、作用方向が逆方向であって、絶対値が同じである。
制御部60は、例えば、屈曲角度に応じた回転トルクを示すマップ(データ)を有しており、このマップより、回転トルクを求めてもよい。
制御部60は、両ベルト部材53により回転モーメントに対して逆向きで絶対値が同じである回転トルクが大腿フレーム固定部26に生じるように、アクチュエータ51を駆動する。
次に、本実施形態の動作支援装置10の動作を説明する。本実施形態では、制御部60は、図11に示すように、加速度センサ41の検出結果及び角度センサ42の検出結果に基づいて使用者1の腰2の屈曲動作が開始されたと判断すると(ステップS2)、アクチュエータ51を、両ベルト部材53による回転モーメントに対して逆向きで絶対値が同じである回転トルクが大腿フレーム固定部26に生じるように、駆動する(ステップS9)。
両ベルト部材53による回転モーメントが、アクチュエータ51により大腿フレーム固定部26に作用する回転トルクによって相殺されることにより、使用者1が腰2を屈曲する際には、両ベルト部材53の復元力による抵抗はゼロになる。
このように構成された動作支援装置10Cは、第1の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、使用者1の腰2の屈曲に伴う両ベルト部材53の伸長による抵抗が使用者1に作用しないので、使用者1は腰2をスムーズに屈曲できる。
なお、第2の実施形態及び第3の実施形態においても、制御部60は、本実施形態のように、使用者1の腰2の屈曲に伴う両ベルト部材53の伸長による抵抗をゼロにするべく、アクチュエータ51を駆動してもよい。
次に、第5の実施形態に係る動作支援装置を、図12を用いて説明する。なお、本実施形態の動作支援装置の構成は、第1の実施形態の動作支援装置10と同じ構成であり、制御部60の機能のみが異なる。この為、本実施形態の動作支援装置は、動作支援装置10と同じの符号を用いて説明する。図12は、本実施形態の動作支援装置の動作を示すフローチャートである。
本実施形態の動作支援装置は、検出部40の検出結果に基づいて、使用者1の足の振り上げ動作が開始されたと判断すると、アクチュエータ51を駆動し、使用者1の足の振り上げ動作を支援可能にする。
使用者1が足を振り上げると、振り上げられた足に装着された大腿固定具24に固定されたベルト部材53が伸長する。この為、振り上げられた足は、ベルト部材53により引っ張られる。この為、使用者1は、足の振り上げに伴うベルト部材53の伸長による抵抗を受ける。制御部60は、この抵抗をゼロにするべく、アクチュエータ51を駆動する。
制御部60は、加速度センサ41が加速度を検出せず、一方の角度センサ42の検出結果より一方の大腿フレーム固定部26の基準位置に対する角度が増大していることを検出し、かつ、他方の角度センサ42の検出結果より他方の大腿フレーム固定部26の基準位置に対する角度が増大していないことを検出すると、使用者1が一方の足を振り上げている動作中であると判断する。制御部60により、この判断方法は、一例である。制御部60は、加速度センサ41及び角度センサ42の検出結果を用いて、他の判断方法により、使用者1の一方の足の振り上げを判断してもよい。
一方の足の振り上げに伴う一方のベルト部材53の伸長により、腰固定具21に対して大腿固定具24を伸展方向に回転しようとする回転モーメントが発生する。
アクチュエータ51により大腿フレーム固定部26に付与される回転トルクは、第4の実施形態と同様に、足の振り上げに伴い生じる回転モーメントに対して、逆向きで絶対値が同じ値である。すなわち、アクチュエータ51により大腿フレーム25に生じる回転トルクは、腰固定具21に対して大腿固定具24を屈曲させる方向に回転しようとするトルクである。
制御部60は、例えば、腰固定具21に対して片方の大腿固定具24のみ屈曲した状態において、腰固定具21に対する片方の大腿固定具24の屈曲角度に応じた回転トルクを示すマップ(データ)を有しており、このマップより回転トルクを求めてもよい。
次に、本実施形態の動作支援装置10の動作を説明する。図12は、使用者1が、片足のみ振り上げた場合の動作支援装置10の動作を示している。使用者1が片足のみを振り上げる動作としては、例えば、歩行がある。
動作支援装置10のオン状態では、加速度センサ41及び角度センサ42は、常に検出可能な状態であり、検出結果を常に制御部60に送信する。
制御部60は、加速度センサ41及び角度センサ42の検出結果より、加速度、及び、屈曲角度を検出する(ステップS10)。制御部60は、加速度、及び、屈曲角度より、使用者1の片足の振り上げ動作が開始されたと判断すると(ステップS11のYes)、振り上げられた足に装着された大腿固定具24に固定された大腿フレーム25を駆動するアクチュエータ51を駆動し、大腿フレーム固定部26に、ベルト部材53による回転モーメントに対して逆方向で絶対値が同じとなる回転トルクを生じさせ、使用者1の足の振り上げ動作を支援する(ステップS11のYes、及び、ステップS12)。
また、制御部60による、振り上げ動作の支援は、加速度センサ41及び角度センサ42の検出結果に基づいて検出された加速度及び屈曲角度により、制御部60が足の振り上げ動作の終了がしたと判断するまで継続される(ステップS13、ステップS14のNo)。
制御部60は、使用者1の片方の足6の振り上げ動作が終了したと判断すると(ステップS14のYes)、振り上げ動作の支援をしていたアクチュエータ51の駆動を停止する。駆動が停止されたアクチュエータ51は、その出力軸が回転自由な状態となる。
使用者1が歩行をしている状態では、右足が振り上げられた際には、右足に対してステップS10乃至ステップS15の動作がなされ、次に、左足が振り上げられた際には、左足に対してステップS10乃至ステップS15の動作がなされることとなる。
なお、本実施形態の動作支援装置10は、第1の実施形態と同様に、使用者1の腰の伸展動作も支援する。本実施形態の動作支援装置10は、第1の実施形態と同様の効果が得られる。動作支援装置10は、さらに、使用者1が歩行など片足ずつ振り上げる動作を行った場合、この動作を支援することができる。
なお、第2の実施形態乃至第4の実施形態の動作支援装置10A,10B,10Cの制御部60も、本実施形態の動作支援装置10の制御部60と同様に、使用者1の片方の足の振り上げ動作を支援するべくアクチュエータ51を駆動してもよい。
次に、第6の実施形態に係る動作支援装置10Dを、図13乃至図15を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
図13は、動作支援装置10Dを使用者1に装着した状態を示す側面図である。図14は、動作支援装置10Dを使用者1に装着した状態を示す背面図である。図15は、動作支援装置10Dを、腰を屈曲した使用者に装着した状態を示す側面図である。
図13乃至図15に示すように、動作支援装置10Dは、フレーム20、検出部40、動力発生部50、及び、制御部60を有している。
フレーム20は、腰固定具21、収容部22、背中フレーム23B、大腿固定具24、及び、大腿フレーム25を有している。背中フレーム23Bは、腰固定具21に、直接的または間接的に、固定されている。背中フレーム23Bは、例えば直線状の棒状部材から形成されている。背中フレーム23Bの一端は、収容部22の前面に固定されている。このように、背中フレーム23Bは、収容部22を介して、腰固定具21に間接的に固定されている。
背中フレーム23Bは、収容部22の中央に配置されている。具体的には、背中フレーム23Bは、動作支援装置10Dが使用者に装着された状態において、使用者1の背骨と対向する位置に配置されている。
背中フレーム23Bは、図15に示すように、使用者1が腰2を屈曲した状態において、その上端が使用者1の背中5から、使用者1が直立姿勢である状態に対して離れるように、形成されている。
背中フレーム23Bの形状は、実験等により、適切な形状を得ることができる。本実施形態では、一例として、背中フレーム23Bは、直線状の棒状に形成されている。使用者1が腰2を屈曲する場合、使用者1の背中5も湾曲する。この為、使用者1が腰2を屈曲した状態では、使用者1の背中5と背中フレーム23Bとの間の距離は、使用者1の姿勢が直立姿勢である状態に対して、長くなる。
背中フレーム23Bの上端部には、両ベルト部材53を移動可能に支持するベルト支持部29が設けられている。ベルト支持部29は、本実施形態では、2つのベルト部材53を移動可能に支持する。ベルト支持部29は、例えば、枠形状に形成されており、その内側に2つのベルト部材53のそれぞれの中途部分を配置する。なお、ベルト支持部29は、枠形状に形成されることに限定されない。ベルト支持部29は、使用者1が動作支援装置10Dを装着した際に、ベルト部材53が背中フレーム23Bから外れることを防止可能に、かつ、移動可能に支持できればよい。
収容部22は、背中フレーム23Bに対して後方に突出している。なお、背中フレーム23Bの、腰固定具21及び収容部22に対する位置は、第1の実施形態の背中フレーム23の、腰固定具21及び収容部22対する位置と同様である。
動力発生部50は、アクチュエータ51、及び、ベルト部材53Aを有している。ベルト部材53Aは、本実施形態では、ゴムから構成されており、帯状に形成されている。また、ベルト部材53Aは、2本設けられている。
一方のベルト部材53Aの一端は、一方の大腿固定具24の後部に固定されている。一方のベルト部材53Aの中途部は、ベルト支持部29の内側に配置され移動可能に支持されている。一方のベルト部材53Aの他端は、腰固定具21に固定されている。
他方のベルト部材53Aの一端は、他方の大腿固定具24の後部に固定されている。他方のベルト部材53Aの中途部は、ベルト支持部29の内側に配置されて移動可能に支持されている。具体的には、ベルト支持部29の内側に配置されている。他方のベルト部材53Aの他端は、腰固定具21に固定されている。
両ベルト部材53Aは、それぞれ、大腿固定具24からベルト支持部29までの部分が、収容部22及び背中フレーム23Bの後方に配されている。両ベルト部材53Aは、それぞれ、ベルト支持部29から他端までの部分が、使用者1の肩4に掛けられる。すなわち、両ベルト部材53Aにおいて、ベルト支持部29から他端までの部分は、第1の実施形態の動作支援装置10に用いられた肩ハーネス30と同様の機能を有する。
両ベルト部材53Aは、図13に示すように、使用者1が直立姿勢にあるときに、すなわち大腿フレーム固定部26が基準位置にあるときに、収容部22の後部に当接する長さに調整できるように、調整機構70が設けられている。調整機構70により、使用者の体格に関わらず、使用者1が直立姿勢にあるときにベルト部材53Aが収容部22の後部に接触し、かつ、伸び量を略ゼロにすることができる。
次に、動作支援装置10Dの動作を説明する。使用者1が腰2を屈曲すると、図15に示すように、使用者1の背中5から背中フレーム23Bの上端部までの距離が、使用者1が直立姿勢であるときに対して、増大する。この増大分、両ベルト部材53Aが伸びる。
本実施形態の動作支援装置10Dでは、第1の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、両ベルト部材53Aは、使用者1が屈曲することによる使用者1の背中5から背中フレーム23Bの上端部までの距離の増大分、さらに伸びる。この伸びに応じて復元力(引っ張り力)が増大するので、使用者1の腰2の伸展動作の支援力を増大することができる。
なお、本実施形態の変形例として、図16及び図17に示すように、第2の実施形態と同様に、ローラ27及び張力センサ43が用いられてもよい。なお、図16は、動作支援装置10Dの変形例となる動作支援装置を使用者1に装着した状態を示す側面図であり、図17は、この変形例となる動作支援装置を使用者1に装着した状態を示す背面図である。
または、変形例として、図18に示すように、第3の実施形態と同様に、両ベルト部材53Aが、後方から見た状態において、大腿フレーム固定部26の回転中心線に直交する直線に平行に配置されてもよい。この場合、背中フレーム23Bに、ベルト支持部29が設けられる。
また、他の例では、図19及び図20に示すように、ベルト部材53Aの他端は、腰固定具21ではなく、収容部22に固定されてもよい。なお、図19は、動作支援装置10Dの変形例を使用者1に装着した状態を示す側面図であり、図20は、動作支援装置10Dの同変形例を使用者1に装着した状態を示す背面図である。
次に、第7の実施形態に係る動作支援装置10Eを、図21及び図22を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
図21は、動作支援装置10Eを使用者1に装着した状態を示す側面図である。図21では、使用者1は、直立姿勢である。図22は、動作支援装置10Eを使用者1に装着した状態を示す側面図である。図22では、使用者1は、腰を屈曲した姿勢である。図21及び図22に示すように、動作支援装置10Eは、フレーム20、肩ハーネス30、検出部40、動力発生部50、及び、制御部60を有している。
動力発生部50は、アクチュエータ51、及び、弾性を有した伸縮可能なベルト部材53Bを有している。ベルト部材53Bは、本実施形態では、ゴムから構成されており、帯状に形成されている。また、ベルト部材53Bは、2本設けられている。一方のベルト部材53Bの一端は、一方の大腿固定具24の後部に固定されている。一方のベルト部材53Bの他端は、収容部22に固定されている。他方のベルト部材53Bの一端は、他方の大腿固定具24の後部に固定されている。他方のベルト部材53の他端は、収容部22に固定されている。
なお、収容部22の、例えば上端部の左右方向中央部には、両ベルト部材53Bの他端が固定されるベルト固定部22aが設けられている。両ベルト部材53Bは、ベルト固定部22aに固定されている。
両ベルト部材53Bは、収容部22の後方に配されている。ベルト部材53Bの長さは、図21に示すように、大腿フレーム固定部26が基準位置にあるときに、ベルト部材53Bが撓むことがない長さに設定されている。本実施形態では、両ベルト部材53Bは、使用者1が直立姿勢にあるときに、撓むことがなく、かつ、伸び量が略ゼロとなる長さに設定されている。なお、両ベルト部材53Bのそれぞれは、長さを調整可能な調整機構を有してもよい。
本実施形態の動作支援装置10Eは、第1の実施形態と同様の効果が得られる。なお、本実施形態の変形例としては、図23に示すように、第2の実施形態と同様に、ローラ27及び張力センサ43が設けられてもよい。具体的には、両ベルト部材53Bは、それぞれ、両端に張力センサ43が設けられる。そして、張力センサ43が、大腿固定具24または収容部22に固定される。他の例では、図24に示すように、第3の実施形態と同様に、ベルト部材53Bは、平行、または、略平行に配置されてもよい。なお、図24の構造においては、ローラ27及び張力センサ43はなくてもよい。
次に、第8の実施形態に係る動作支援装置10Fを、図25乃至図28を用いて説明する。なお、第2の実施形態と同様の機能を有する構成は、第2の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
図25は、動作支援装置10Fを使用者1に装着した状態を示す側面図である。図26は、動作支援装置10Fを使用者1に装着した状態を示す背面図である。図27は、動作支援装置10Fを、腰2を屈曲した使用者1に装着した状態を示す側面図である。図28は、動作支援装置10Fの動作を示すフローチャートである。
図25乃至図27に示すように、動作支援装置10Fは、フレーム20、肩ハーネス30、検出部40、動力発生部50、制御部60、及び、突出装置80を有している。突出装置80は、使用者1が腰を屈曲すると突出し、ベルト部材53を押圧して伸長可能に構成されている。
突出装置80は、本実施形態では、使用者1が腰2を屈曲させるとローラ27を突出させることにより、ベルト部材53を伸長させることを可能に構成されている。すなわち、本実施形態では、ローラ27は、突出装置80の一部を構成している。
突出装置80は、腰固定具21に、直接的または間接的に固定されている。本実施形態では、突出装置80は、収容部22に固定されており、収容部22を介して間接的に腰固定具21に固定されている。突出装置80は、具体的には、収容部22の後面に回動可能に支持された突出装置用フレーム81、及び、突出装置用フレーム81に回転可能に支持されたローラ27、及び、突出装置用フレーム81を変位可能に構成された移動装置82を有している。
突出装置用フレーム81は、図26に示すように、平面視が矩形の枠状または板状に形成されている。本実施形態では、突出装置用フレーム81は、長方形状に形成されている。突出装置用フレーム81は、4つの縁のうちの1つ、本実施形態では、長手方向に沿う縁部が、収容部22の後面に回動可能に支持されている。
突出装置用フレーム81は、図26に示すように第1の位置P1、及び、図27に示すように長手方向に沿う縁部の他方が、第1の位置P1にあるときよりも収容部22から離れる第2の位置P2の間で回動可能に設けられている。
第1の位置P1は、本実施形態では、一例として、突出装置用フレーム81の長手方向に沿う他方の縁が可能な限り収容部22側に配置される位置である。この位置は、ローラ27と収容部22との間に、ローラ27が回転可能な程度の隙間を有する位置である。第2の位置P2は、本実施形態では一例として、ローラ27が収容部22からもっとも離れる位置である。この位置は、突出装置用フレーム81が、収容部22の後面に対して垂直または略垂直に立ち上がる姿勢となる位置である。
ローラ27は、突出装置用フレーム81の、回動可能に支持された縁部に対向する縁部に、回動自由に支持されている。一方のローラ27は、一方のベルト部材53に対向する位置に配置されている。他方のローラ27は、他方のベルト部材53に対向する位置に配置されている。
ベルト部材53は、図25及び図26に示すように、使用者1が直立姿勢にあるときに、すなわち大腿フレーム固定部26が基準位置にあるときに、突出装置80のローラ27にベルト部材53が当接する長さに設定されている。本実施形態では、ベルト部材53の長さは、大腿フレーム固定部26が基準位置にある状態において、ベルト部材53が撓むことなくローラ27に接触するとともに、伸び量が略ゼロ長さに設定されている。
図27に示すように、使用者1が腰を屈曲し、突出装置80の突出装置用フレーム81が第1の位置P1から第2の位置P2に変位されると、ローラ27が使用者1の後方に移動される。すなわち、ローラ27は、後方に突出される。ベルト部材53は、ローラ27が第2の位置P2に移動されることにより、さらに伸びる。
移動装置82は、本実施形態では一例として、電動モータ等のアクチュエータである。移動装置82は、制御部60により制御される。
次に、動作支援装置10Fの動作を説明する。図28に示すように、制御部60は、その動作として、ステップS2及びステップS3Aの間に、ステップS20を有する。さらに、ステップS8の後に、ステップS21を有する。
具体的には、制御部60は、使用者1が腰2の屈曲動作を開始したと判断すると(ステップS2のYes)、移動装置82を駆動する(ステップS20)。移動装置82が駆動されると、突出装置用フレーム81は、第1の位置P1から第2の位置P2まで回動される。また、移動装置82は、突出装置用フレーム81を第2の位置P2に保持する。
制御部60は、移動装置82を駆動した後も、加速度センサ41の検出結果、角度センサ42の検出結果、及び、張力センサ43の検出結果を監視する(ステップS3A)。さらに、制御部60は、使用者1の腰2の伸展動作が終了したと判断すると(ステップS7)、アクチュエータ51の駆動を停止してアクチュエータ51を回転自由な状態とすると(ステップS8)、移動装置82を駆動して突出装置用フレーム81を第2の位置P2から第1の位置P1に回動する。
なお、制御部60は、突出装置用フレーム81が第1の位置P1にある状態では、移動装置82である電動モータを回転自由な状態としてもよい。突出装置用フレーム81は、ベルト部材53によって、第1の位置P1に保持される。
本実施形態の動作支援装置10Fでは、第2の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、動作支援装置10Fは、突出装置80によって、使用者1が腰2を屈曲した状態においてベルト部材53をより一層伸長させることができる。この為、使用者1が屈曲した状態において、ベルト部材53に、より多くの弾性エネルギを蓄えることができる。そして、復元力により、使用者1の腰2の伸展動作を支援する力を増大することができる。
本実施形態では、突出装置80は、突出装置用フレーム81及び移動装置82により、ローラ27を突出させたがこれに限定されない。他の例では、ローラ27がなくてもよい。すなわち、突出装置用フレーム81がベルト部材53に接触し、ベルト部材53を伸長させてもよい。
また、突出装置80は、本実施形態では、収容部22に設けられたが、これに限定されない。他の例では、直接的に腰固定具21に設けられてもよい。腰固定具21に設けられた場合であっても、使用者1が腰2の屈曲動作を開始すると突出して背中フレームより突出することにより、ベルト部材53を伸長させることができるので、本実施形態と同様の効果が得られる。
また、突出装置80は、その構成の一例として、2つのローラ27を支持する1つの突出装置用フレーム81、及び、突出装置用フレーム81を駆動する1つの移動装置82を有しているが、これに限定されない。他の例では、突出装置80は、ローラ27のそれぞれに対して1つずつ設けられてもよい。
また、突出装置80は、回転することにより、その縁部を後方に突出させる構造を有している。回転は、移動体の一例である突出装置用フレーム81の変位の一例である。具体的には、突出装置用フレーム81を回転させて第2の位置P2に移動することにより、ローラ27が固定された縁部を、第1の位置P1にあるときに対して後方に突出させている。しかしながら、これに限定されない。他の例では、回動するのではなく、直線的に移動することにより、突出する構造であってもよい。例えば、収容部22に固定、後方に向かって伸長可能は装置であってもよい。
また、突出装置80は、移動装置82として、電動モータ等のアクチュエータが用いられたがこれに限定されない。他の例では、使用者1の腰2の屈曲動作に応じて機械的に突出装置用フレーム81を回動する機構が、移動装置として用いられてもよい。この一例としては、使用者1の腰2の屈曲状態に応じて突出装置用フレーム81を第1の位置P1及び第2の位置P2の間で回動可能に、収容部22に支持するヒンジ機構であってもよい。
また、第1乃至第8の実施形態では、ベルト部材53,53A,53Bの摩耗を低減する為に設けられる当接部の一例として、ローラ27が用いられたが、これに限定されない。他の例では、例えば、ベルト部材53との間に生じる摩擦を小さく抑えることが可能に構成された部分であってもよい。この例としては、例えば、収容部22の一部に形成された曲面部であってもよい。
なお、第1の実施形態乃至第8の実施形態では、検出部40,40Aは、複数種類の検出器を有している。しかしながら、これに限定されない。他の例では、検出部40として、一種類のみの検出器がもちいられてもよい。この例としては、加速度センサ41のみ、角度センサ42のみ、または、張力センサ43のみとしてもよい。
検出部として、加速度センサ41のみが用いられた場合は、制御部60は、加速度センサ41が重力方向下方への加速度を検出すると、腰2の屈曲動作が開始されたと判断できる。また、制御部60は、屈曲動作の開始の判断後、加速度センサ41の検出結果がゼロとなると、すなわち、加速度がゼロとなると、屈曲動作が終了したと判断できる。また、制御部60は、屈曲動作の終了の判断後、加速度センサ41が重力方向上方への加速度が検出すると、伸展動作が開始されたと判断できる。また、制御部60は、伸展動作の開始の判断後、加速度センサ41の検出結果がゼロとなると、伸展動作の終了を判断できる。
検出部40として角度センサ42のみ用いられる場合は、制御部60は、屈曲角度が増大すると、屈曲動作が開始されたと判断できる。制御部60は、屈曲動作の判断後、屈曲が所定時間維持されると、すなわち変化がないと、屈曲動作が終了したと判断できる。制御部60は、屈曲動作の終了の判断後、屈曲角度が小さくなると、伸展動作が開始したと判断できる。制御部60は、伸展動作の判断後、屈曲角度が所定時間維持されると、伸展動作が終了したと判断できる。
また、検出部40として、張力センサ43のみが用いられる場合は、制御部60は、張力が増大すると、屈曲動作が開始したと判断できる。制御部60は、屈曲動作の開始の判断後、張力が所定時間維持されると、屈曲動作が終了したと判断できる。制御部60は、屈曲動作の終了の判断後、張力が小さくなると、伸展動作が開始されと判断できる。制御部60は、伸展動作の開始の判断後、張力が所定時間維持されると、伸展動作が終了したと判断できる。
検出部として、加速度センサ41、角度センサ42、及び、張力センサ43のいずれか1つが用いられた場合の、上述の、制御部60による、屈曲動作の開始、終了の判断、及び、伸展動作の開始、終了の判断は、一例である。
または、検出部40が有する検出器の組み合わせとして、加速度センサ41及び角度センサ42の組み合わせ、並びに、加速度センサ41、角度センサ42、及び、張力センサ43の組み合わせ以外の組み合わせが用いられてもよい。この例としては、加速度センサ41及び張力センサ43の組み合わせ、並びに、角度センサ42及び張力センサ43の組み合わせがある。
なお、検出部40は、加速度センサ41、角度センサ42、及び、張力センサ43の少なくとも1つを備えることに限定されない。これら以外の1つまたは複数のセンサにより検出部40が構成されてもよい。
また、第1実施形態乃至第8の実施形態での、制御部60による、検出部40の検出結果に基づく、使用者1の腰2の屈曲動作の開始及び終了、並びに、腰2の伸展動作の開始及び終了の検出は、一例である。他の例では、加速度センサ41の検出結果より検出された加速度の変位や、角度センサ42の検出結果より検出された屈曲角度の変位を用いてもよい。
また、第1の実施形態乃至第8の実施形態では、使用者1が腰2の伸展動作の開始から終了まで、アクチュエータ51が駆動されたが、これに限定されない。他の例では、制御部60は、使用者1が腰2の伸展動作中に、例えば角度センサ42の検出結果に基づいて使用者1の姿勢が直立姿勢に近い姿勢まで伸展されると、アクチュエータ51の駆動を停止してもよい。この場合、アクチュエータ51の駆動が停止された後は、使用者1は、ベルト部材53の復元力のみによって、腰2の伸展動作が支援される。この場合、アクチュエータ51の駆動時間を短くできるので、アクチュエータ51の寿命を長くすることができる。
また、第1の実施形態乃至第8の実施形態では、制御部60は、角度センサ42の検出結果から大腿フレーム固定部26が基準位置にあるか否かを検出し、この検出結果を、使用者1の腰2の屈伸動作の開始及び終了の判断に用いている。しかしながら、角度センサ42の検出結果の利用方法としては、これに限定されない。他の例では、制御部60は、角度センサ42の検出結果の単位時間当たりの増減量である角速度を、屈伸動作の開始及び終了の判断に用いてもよい。その利用の一例としては、制御部60は、腰2の屈曲方向への角速度が増大すると、屈曲動作が開始されたと判断する。または、複数のセンサの検出結果から判断する場合においては、判断材料の1つとしてもよい。
また、本実施形態では、検出部は、ベルト部材に設けられた張力センサを含む。また、本実施形態では、検出部は、大腿フレーム固定部の回転角度を検出する角度センサを含む。また、本実施形態では、前記検出部は、加速度センサを含む。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。