JP6863832B2 - 筋萎縮抑制用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、特定のシステインスルフォキシドを含んでなる筋萎縮抑制用組成物に関する。
筋組織は人体の中でも最大の組織であり、随意筋である骨格筋や不随意筋である内臓筋がほぼ全身に分布している。筋組織では常にタンパク質の合成と分解が起こっており、通常は筋肉量のバランスが保たれているが、筋組織が次第に痩せてくる現象や症状は、筋萎縮と呼ばれている。この筋萎縮は、筋萎縮性側索硬化症、脊髄性筋萎縮症、ギランバレー症候群などの神経性疾患によるものや、筋ジストロフィーや多発性筋炎などの筋肉の疾患によるものが知られている。また上記以外にも、骨格筋は使用しないことによっても次第に筋萎縮が起こることが知られており、これは廃用性筋萎縮と呼ばれている。
日本は超高齢化社会に突入しており、75歳以上の後期高齢者人口も年々増加している。このような社会において、高齢者が寝たきりになったり活動性が低下するなどして、廃用性筋萎縮を発症し、体を動かす意欲が低下してさらに活動量が減るなど悪循環に陥りやすい。これは本人のクオリティオブライフの低下に直結し、さらに介護問題や医療費の増大など、社会的な問題にもなっている。
筋肉量を増加させるには、薬物療法や食事療法はその効果に確実なものがなく、継続して筋肉トレーニングを行うことが唯一の選択肢となる。しかしながら、日常生活の中で筋肉トレーニングを継続することは難しい。また、高齢者になるほど代謝機能が減退し、トレーニングを行うだけでは十分に筋肉量を維持することができないことが多い。したがって、トレーニングを行わなくとも、廃用性筋萎縮を防止することができる医薬品や食品に対する要望は大きい。
廃用性筋萎縮のメカニズムは次第に明らかになりつつあり、非特許文献1に記載のメカニズムなどが提唱されている。
筋肉は筋タンパク質の合成系と分解系によってバランスが保たれており、合成系と分解系には、それぞれ別の要因が関与している。分解系については、これにかかわる筋萎縮関連遺伝子として、Atrogin−1やMuRF−1など複数が同定されている。一方、合成系については、当然ながらアミノ酸やエネルギーなどの材料が筋タンパクの合成に必要であり、筋タンパクに適した種類の食事や健康管理が必要になる。しかしながら高齢者では自然に食欲が低下しており、そもそも摂取する栄養分が減少している。また、嚥下が困難になるなど食物の摂取が困難になっていることも多い。
したがって、高齢者の廃用性筋萎縮の防止には、筋タンパクの分解系を抑制することが重要であり、そのためには上記筋萎縮関連遺伝子のできるだけ多くを抑制することが、効果が高いと考えられる。
従来から、筋肉を増加させる成分の研究がなされており、ロイシン(非特許文献1)、ホエー蛋白質分解物(特許文献1)などが知られている。また近年は筋萎縮に着目した研究もなされており、カテキン類(特許文献2、3)やネギ抽出物(特許文献4)に筋萎縮抑制作用があることが知られている。
また、S−メチル−L−システインスルフォキシド、S−1−プロぺニル−L−システインスルフォキシドおよびシクロアリインは、ネギ属植物に多く含まれていることが知られており、テストステロンの増加作用を示すことが明らかになっている(特許文献5)。
しかし、これらのシステインスルフォキシド類が筋萎縮関連遺伝子の抑制作用を示すことは知られていない。
特開2010−150160号公報 特開2008−13473号公報 国際公開WO2011/108487号公報 特開2015−71584号公報 特許第4172488公報
生化学 第86巻第3号 pp367−371(2014)
本発明の課題は、安全および安価で簡便に日常的に継続して摂取することができ、かつ顕著な筋萎縮関連遺伝子の抑制作用を有し、種々の廃用性筋萎縮、特に高齢者の廃用性筋萎縮の改善に有効な天然素材を開発し、廃用性筋萎縮などの筋萎縮を抑制するために有用な組成物を提供することである。
上記の課題は、ネギ属植物やアブラナ属植物に多く含まれていることが知られている、システインスルフォキシド類を含有する、筋萎縮抑制用組成物によって解決することができる。
本発明は、以下の点を特徴とするものである。
(1)システインスルフォキシド類を有効成分として含有する、筋萎縮抑制用組成物。
(2)システインスルフォキシド類がS−アルキル−L−システインスルフォキシド、S−アリル−L−システインスルフォキシド、S−プロピル−L−システインスルフォキシド、S−アルケニル−L−システインスルフォキシドまたはシクロアリインから選択される、上記(1)の
組成物 。
(3)システインスルフォキシド類がS−メチル−L−システインスルフォキシドまたは、S−1−プロぺニル−L−システインスルフォキシドから選択される、上記(1)又は(2)の組成物 。
(4)複数の筋萎縮関連遺伝子を抑制するものである、上記(1)〜(3)のいずれかの組成物。
(5)ネギ属植物またはアブラナ属植物 の加熱処理物由来の上記(1)〜(4)のいずれかの組成物。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかの組成物を含有する、筋萎縮抑制用食品、飼料または化粧品。
本発明のシステインスルフォキシド類を有効成分として含有する、筋萎縮抑制用組成物は、筋萎縮関連遺伝子として知られている、Atrogin−1及びMuRF−1の発現量を顕著に抑制し、優れた筋萎縮抑制効果を有する。
本発明の組成物等のAntrogin−1発現抑制効果を示すグラフである。 本発明の組成物等のMuRF−1発現抑制効果を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について具体的に説明する。
本発明において「筋萎縮抑制」とは、筋肉量、好ましくは骨格筋量の低下や減少を防止することを言う。
本発明におけるシステインスルフォキシド類は、硫黄原子をスルフォキシドとして有する含硫アミノ酸の1種であり、ネギ属植物やアブラナ属植物をはじめとする天然物に多く含まれている。本発明においては、これが含まれる天然物に由来するものや、合成されたものいずれも利用できる。
本発明のシステインスルフォキシド類としては、特にネギ属植物またはアブラナ属植物から容易に入手することが出来るS−アルキル−L−システインスルフォキシド、S−アルケニル−L−システインスルフォキシドまたはシクロアリインが好ましく、特に好ましいS−アルキル−L−システインスルフォキシドまたはS−アルケニル−L−システインスルフォキシドとしては、S−メチルシステインスルフォキシド、S−プロピルシステインスルホキシド、S−アリル−L−システインスルホキシド、S−プロぺニル−L−システインスルフォキシド等を挙げることができる。
上記の中でも、タマネギの催涙成分の前駆体である、S−メチル−L−システインスルフォキシド(MCSO)、S−1−プロぺニル−L−システインスルフォキシド(PeCSO)は、特に好ましい。しかし、タマネギの細胞が破壊されると、酵素の働きによってスルフェン酸に変換され、スルフェン酸から催涙成分が生成され、また、加熱又はアルカリ条件でシクロアリインに変換される。このように、PeCSOおよびMCSOは比較的不安定な物質であり、日常的に食されている調理したタマネギにはほとんど含まれていない。そのため、PeCSOおよびMCSOは、近年までほとんど注目されていない成分であった。
本発明のシステインスルフォキシド類として、天然物に由来するものを利用する場合、特許文献5に記載の方法を用いて、ネギ属植物(タマネギ、ネギ、ワケギ、アサツキ、ニラ、ニンニク、ギョウジャニンニク、ラッキョウ、リーキ等)やアブラナ属植物(アブラナ、カリフラワー、キャベツ、ブロッコリー、カブ、ノザワナ、ミズナ等)から取り出すのが好ましい。なかでも、タマネギ、ネギ、ニンニク、ラッキョウは、安価であり且つPeCSOおよびMCSOを多く含有しているため、本発明で用いられるシステインスルフォキシド類、特にPeCSOおよびMCSOの原料としてより好ましい。
上記の植物には、システインスルフォキシド類としてS−アルキル−L−システインスルフォキシドまたはS−アルケニル−L−システインスルフォキシド、特にPeCSOおよびMCSOが、その前駆体であるグルタミル体とともに多く含まれている。しかし、これらの植物中には、PeCSOおよびMCSOをスルフェン酸に変換する酵素であるC−Sリアーゼ(アリイナーゼ)が存在するため、抽出や調理などの操作により植物組織が破壊されると、当該酵素の作用により該植物中のPeCSOおよびMCSOは失われる。そのため、従来の通常の方法で得られる上記植物の抽出物や上記植物を含む調理済み食品には、PeCSOおよびMCSOはほとんど含まれていない。
したがって、上述したネギ属植物やアブラナ属植物からPeCSOおよびMCSOを調製する場合、当該植物を切断処理する前に加熱処理してC−Sリアーゼを失活させた後に、抽出処理にかけることが好ましい。このような方法としては、特許文献1に記載されているネギ属植物やアブラナ属植物からシステインスルフォキシドを調製する方法を採用することができる。より具体的には、切断処理していないネギ属植物を、圧力1〜5気圧、温度40〜150℃の条件で、5〜120分加熱処理することによって、植物中に含まれ
る含硫アミノ酸を分解するC−Sリアーゼを失活させる。次いで、得られたネギ属植物やアブラナ属植物の加熱処理物をアルコール抽出及び減圧濃縮することにより、L−システインスルフォキシド誘導体を含む加熱処理後抽出物を得ることができる。
好ましくは、本発明で用いられるシステインスルフォキシド類、特にPeCSOおよびMCSOは、(i)ネギ属植物やアブラナ属植物を加熱し、(ii)加熱されたネギ属植物やアブラナ属植物をγ−グルタミル結合切断酵素で処理し、次いで(iii)得られた酵素処理物をイオン交換クロマトグラフィーに供することによって調製することができる。以下に、ネギ属植物を例として、本方法の詳細な手順を説明する。
上記工程(i)〜(iii)は、酵素反応等のために必要とされない限り、酸性pH条件下で行われるのがPeCSOおよびMCSOの変質を防ぐ上で好ましい。好ましいpHは、pH5.5以下、より好ましくはpH4.5以下である。
原料となるネギ属植物は、可食部、例えば、タマネギ、ニンニク、ラッキョウであれば鱗茎、ワケギ、アサツキ、ニラであれば葉、ネギであれば葉及び偽茎が好ましく使用される。また、当該ネギ属植物の外皮は、PeCSOおよびMCSOを含んでいないため、予め除去しておくことが好ましい。
工程(i)では、ネギ属植物を加熱する。該加熱により、該ネギ属植物中に含まれるPeCSOおよびMCSOを分解する酵素C−Sリアーゼを失活させる。上記加熱の条件は、目的のPeCSOおよびMCSOを変質させることなくC−Sリアーゼを失活させることができる条件であれば、特に限定されないが、例えば、圧力1〜5気圧、温度40〜150℃で5〜120分間が好ましく、圧力1〜2気圧、温度が80〜120℃で15〜40分間がより好ましい。
ネギ属植物は、切断、破砕、穿孔などによりその内部が空気中に露出すると、含まれるPeCSOおよびMCSOが分解されて、その含有量が減少する。したがって、上記加熱は、好ましくは、細分されていないネギ属植物に対して行われる。ここで、「細分されていない」ネギ属植物とは、切断、分断、破砕、穿孔、傷をつける等の加工がされていないか、又は当該加工がされているが、その加工により含硫アミノ酸含量が大きく減少していないもの、例えば、最終的な含硫アミノ酸の収量として無傷の植物に対して80%以上を達成できるものをいう。
工程(ii)は、上記工程(i)で加熱されたネギ属植物をγ−グルタミル結合切断酵素で処理する工程である。上記ネギ属植物中のPeCSOおよびMCSOの一部はグルタミル体として存在するため、酵素処理により該グルタミル体からグルタミン酸を切断し、PeCSOおよびMCSOを遊離させる。酵素反応を十分に進行させるためには、酵素処理の前に、上記工程(i)で加熱されたネギ属植物を切断、破砕、細断等しておくことが好ましい。細分されたネギ属植物は、さらに水、酸性水、アルカリ水等の水性液体で2〜20倍程度に希釈する。該水性液体のpHは、後で用いるγ−グルタミル結合切断酵素の至適pHやその付近のpHに調整する。
酵素処理に使用されるγ−グルタミル結合切断酵素としては、例えば、γ−グルタミナーゼ、γ−グルタミルトランスフェラーゼ、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ、γ−グルタミルペプチダーゼ等が挙げられる。これらの酵素は、動物、植物、微生物等から抽出されたものであっても、又は市販品であってもよい。市販品としては、天野エンザイム社のグルタミナーゼSD-C100S等が挙げられる。酵素処理の条件は、酵素の至適条件、又は用いるネギ属植物の種類、用いる部位、大きさや細分の状態等によって適宜設定すればよい。一般的には、酵素の添加量は、ネギ属植物の全量に対して0.001〜1質
量%、好ましくは0.01〜0.1質量%である。反応条件は、酵素の至適pHで、温度15〜65℃で1〜24時間程度、好ましくは35〜60℃で2〜6時間程度であり得る。上記酵素処理の終了後は、加熱又はpH調整等により、γ−グルタミル結合切断酵素を失活させておくことが好ましい。必要に応じて、上記酵素処理で得られた反応物を濾過、遠心、圧搾等にかけ、PeCSOおよびMCSOを含む溶液を分離してもよい。さらに得られた溶液を濃縮してもよい。
工程(iii)では、上記工程(ii)の酵素処理で得られた反応物を、イオン交換クロマトグラフィーに供する。当該イオン交換クロマトグラフィーのためのイオン交換樹脂は、陽イオン交換樹脂であればよいが、強酸性陽イオン交換樹脂が好ましく、スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂がより好ましい。当該イオン交換樹脂は、市販品を使用することができ、例えば、ダイヤイオン(登録商標)UBK−550、ダイヤイオン(登録商標)SK1B(三菱化学社製)、アンバーライト(登録商標)IR120B、アンバーライト(登録商標)200C、ダウエックス(登録商標)MSC−1(The Dow Chemical Company)、デュオライトC26(Rohm and Haas)、LEWATIT(登録商標)SP−112(LANXESS Distribution GmbH)等が好適に使用され得る。イオン交換クロマトグラフィーは、通常の手順に従って行えばよい。イオン交換クロマトグラフィーで得られたPeCSOおよびMCSOを含む溶出液は、そのまま本発明に利用してもよいが、濃縮又はさらに脱塩処理を行うと、PeCSOおよびMCSOの純度が高まるため好ましい。さらに必要に応じて、乾固、凍結乾燥、固形化、液状化、顆粒若しくは粉末化等の処理を施してもよい。
上述の方法により、ネギ属植物から、PeCSOおよびMCSOを高含有する画分を得ることができる。得られた画分は、そのまま本発明の筋萎縮抑制用組成物に含有させることができる。
上述した手順は、アブラナ属植物を原料とした場合にも、同様に適用できる。
本発明の筋萎縮抑制用組成物におけるシステインスルフォキシド類の含有量は、例えばPeCSOおよびMCSOの含有量として、成人1日あたりの摂取量を基準として、好ましくは5〜100mg、より好ましくは7〜50mg、さらに好ましくは9〜25mgである。 本発明の筋萎縮抑制用組成物におけるPeCSOおよびMCSOの含有量が5mg未満の場合、当該筋萎縮抑制用組成物による所望の効果が十分に得られなくなることがある。他方、該含有量が100mgを超える場合、異味や異臭が生じることがあるため、当該筋萎縮抑制用組成物に異味や異臭の防止処理を施すことが望まれる。
本発明の筋萎縮抑制用組成物は、また食品、飼料または化粧品に含有させることができる。
食品や飼料として使用する場合には、本発明の筋萎縮抑制用組成物の1日あたりの摂取量が上記の範囲となるように含有させるのが好ましいが、長期間の摂取の場合も考慮して、1日あたりの摂取量5mg未満になるような含有量であってもかまわない。
化粧品として使用する場合には、例えばフェイスまたはボディ用乳液、化粧液、クリーム、ローション、エッセンス、パック、シートなどが好ましい。化粧品における本発明の筋萎縮抑制用組成物の含有量は、特に限定されるものではないが、化粧品基材の重量に対して、0.001〜60質量%、好ましくは0.01〜40質量%の範囲が適当である。
以下、実施例をもって本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例によって何ら制限を受けるものではない。
(実施例1)
タマネギ(北もみじ2000)5000gを洗浄、脱皮した後に、切断せず丸ごと95℃の湯浴中にて20分間加熱処理した。加熱処理後のタマネギを、ミキサー(Oster社製)を用いて破砕し、ここにタマネギ1g当たり1mLの水を添加し分散させた。得られた分散液に、グルタミナーゼ(グルタミナーゼSD-C100S;天野エンザイム製)を液中のタマネギの全量に対して0.025質量%の量で添加し、60℃にて2時間反応させ、反応終了後90℃で15分間加熱して酵素を失活させた。得られた反応液を6,000rpm、30分間遠心分離し、吸引ろ過し、その後凍結乾燥して、含硫アミノ酸約3質量%を含むタマネギ粗加熱処理後抽出物約500gを得た。
上記タマネギ粗加熱処理後抽出物に蒸留水を添加して30%(w/v)水溶液を得た。この水溶液1000mLを試料溶液として、塩酸により再生した強酸性陽イオン交換樹脂(ダイヤイオンSK1B、三菱化学製)500mLに通液した。次いで、蒸留水3000mLによりカラム内に残留した試料溶液を洗い出した。その後、5%水酸化ナトリウム溶液(pH=14)1000mLをカラムに通液し、イオン交換樹脂に吸着した含硫アミノ酸を溶出させた。さらに蒸留水2000mLを添加し、カラム内に残留した液を溶出させた。水酸化ナトリウム溶液により溶出した溶出液と蒸留水により溶出した溶出液とを合一し、エバポレーター(東京理科機械製)により濃縮後、脱塩処理を行って、含硫アミノ酸含有溶液を得た。この溶液は、PeCSOを約2.2質量%、MCSOを約0.72質量%含有していた。
(比較例1)
特許文献4にしたがってネギ抽出物を製造した。すなわち、ネギ(児玉食品製)を乾燥後に粉砕してパウダー状にし、この300gを3Lの50%エタノール水溶液に浸漬し、1週間静置して抽出を行った。濾過して固形分を除き、ろ液を濃縮してネギ抽出物を約14g得た。
筋肉細胞を過酸化水素(H2O2)の存在下に培養すると、筋萎縮に似た状態になる。これを利用して、筋萎縮状態の筋萎縮関連遺伝子Atrogin−1およびMuRF−1の発現量に対する効果を検討した。
(試験例1)Atrogin−1発現抑制活性
実施例1のPeCSOおよびMCSOを含むタマネギ加熱処理後抽出物、試薬のPeCSO(長良サイエンス製)、MCSO(フナコシ製)、シクロアリイン(和光純薬工業製)および比較例1のネギ抽出物のAtrogin−1発現抑制活性を測定した。その結果を図1に示す。
方法:マウス骨格筋由来細胞株C2C12 4×104 cells/mL(10%FCS/DMEM)1mLを24wellプレートに播種し、37℃、5%CO2,95%airの雰囲気下において培養を行った。培地を除去後、分化培地(2%ウマ血清・DMEM)1mLを添加後、さらに4日間培養を継続した。培地除去後、試験サンプル含有分化培地900μLを添加し、2時間30分培養を行った。1mM過酸化水素含有分化培地を100μL添加し、3時間培養を行った。培養液を除去後、D-PBS(-)1mLで1回洗浄し、次いでNucleospin RNA(タカラバイオ、製品コード740955.10)を用いた標準プロトコールに従い、総RNAを抽出した。PrimerScript RT Reagent kit(タカラバイオ、cat.RP03A)により、RNAよりcDNAを調製し、次いで、SYBR Green I を用いたインターカレータ法によるリアルタイムPCR法を実行した。GAPDHをハウスキーピング遺伝子とする相対定量法(ΔΔCt法)により、Atrogin−1の発現量を評価した。
RTPPCR反応において、以下のプライマーを使用した。

遺伝子 Sequence(5'-3')
GPDH TGTGTCCGTCGTGGATCTGA(Forward)
TTGCTGTTGAAGTCGCAGGAG(Reverse)

Atrogin1 AACATGTGGGTGTATCGGATGG(Forward)
TGATGTTCAGTTGTAAGCACACAGG(Reverse)
(試験例2)MuRF−1発現抑制活性
実施例1のPeCSOおよびMCSOを含むタマネギ加熱処理後抽出物、試薬のPeCSO、MCSO、シクロアリインおよび比較例1のネギ抽出物のMuRF−1発現抑制活性を測定した。その結果を図2に示す。
方法:Atrogin−1発現抑制活性測定方法と同様に行った。 ただし、Primerとして下記のものを用いた。

MuRF1 TGTCTCACGTGTGAGGTGCTA(Forward)
CACCAGCATGGAGATGCAGTTAC(Reverse)
結果:図1、図2に示すように、実施例1(タマネギ加熱処理後抽出物),PeCSO、MCSOおよびシクロアリインは筋萎縮関連遺伝子Atrogin−1およびMuRF−1の両方を抑制したが、比較例1(ネギ)はMuRF−1を抑制しなかった。

Claims (4)

  1. S−メチル−L−システインスルフォキシドまたはS−1−プロぺニル−L−システインスルフォキシドから選択される1種以上のシステインスルフォキシド類を有効成分として含有する、筋萎縮抑制用組成物。
  2. 複数の筋萎縮関連遺伝子を抑制するものである、請求項に記載の組成物。
  3. ネギ属植物又はアブラナ属植物の加熱処理物由来の請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物を含有する、筋萎縮抑制用食品、筋萎縮抑制用飼料または筋萎縮抑制用化粧品。
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