JP5466842B2 - グルタチオン産生促進組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、トリテルペン酸乃至はその誘導体を有効成分として含有する、グルタチオン産生促進用の組成物に関する。
グルタチオン(γ-L-グルタミル-L-システイニルグリシン)は酸性のトリペプチドで、細菌、植物、動物に広く存在する最も代表的な低分子チオール化合物である。その役割としては、グルタチオントランスフェラーゼの補酵素として発がん物質等をシステイン抱合体へと誘導する形で、その解毒作用に関与し、又グルタチオンペルオキシダーゼの補酵素として活性酸素種の不活性化に関与する。その活性本体はグルタチオンに含まれるSH基であり、2分子の還元型グルタチオン(GSH)が酸化されてGSSGとなることにより、相手分子の毒性、攻撃性を低減する効果を有する。又、タンパク質分子のSH基を維持することによりその立体構造並びに生理活性を保持させる作用も有する。通常グルタチオンは酸化型の形で生体内に保持され、必要時にグルタチオン還元酵素により還元体へと還元されて利用される。ここに於いて、酸化型グルタチオンと還元型グルタチオンの総量であるトータルグルタチオンレベルを高く保持することの重要性が存する。しかしながらシステイン抱合体形成に使用されたグルタチオンは、MRP1等のトランスポーターを介して生体外に排出されてしまうことから、過剰な活性酸素種による酸化ストレスや異物の付加により、生体内のトータルグルタチオンレベルが低下してしまう現象が少なからず存した。この様な現象は、紫外線暴露等による皮膚の炎症(ニキビ、アトピー性皮膚炎含む)・黒色化(シミ、ソバカス含む)、動脈硬化、糖尿病、薬物中毒、妊娠中毒、白内障、慢性肝疾患、虚血性心疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病、免疫疾患、腎臓病、肺疾患、癌等あらゆる疾患を引き起こしたり、重篤化させたりする他、生理的な加齢に伴う老化の要因のひとつともなっている。即ち、生体内に於いてトータルグルタチオンレベルを上昇させる手段の開発が望まれていたと言える。
そのためグルタチオンそのものは医薬品として日本薬局方に収載されており、例えばグルタチオンそのものあるいはその前駆体を白内障や肺疾患の治療に用いたり、美白化粧料に用いたりすることは知られていた(例えば、特許文献1〜3を参照)。
あるいは、生体内に於いてグルタチオン産生を促進する方策も考えられ、この様な作用を有する植物も知られている(例えば、特許文献4、5を参照)。しかしながら、これらについては有効成分の特定がなされておらず、グルタチオン産生促進作用を常に一定に発現させるのには困難があった。更に、トリテルペン酸乃至はその誘導体にグルタチオン産生促進作用が存することも全く知られていなかった。
特開平02−45420号公報 特開平05−301811号公報 特開平08−319242号公報 特開2006−348052号公報 特開2006−347934号公報
本発明は、この様な状況下為されたものであり、明確な化学物質を有効成分とする、グルタチオン産生促進用の組成物を提供することを課題とする。
この様な状況に鑑みて、本発明者らは有効成分の構造が明確なグルタチオン産生促進作
用を有する物質を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、トリテルペン酸及びその誘導体にその様な作用を見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
<1>3−アセチルウルソール酸及び/又は3−アセチルオレアノール酸を含むグルタチオン産生促進剤(終局的用途として化粧料及び食品の態様を除く )。
<2>3−アセチルウルソール酸を含む<1>に記載のグルタチオン産生促進剤。
<3>前記グルタチオン産生促進剤のグルタチオン産生促進作用はγ-グルタミルシステイン合成酵素の発現の促進を機作に含む<1>又は<2>に記載のグルタチオン産生促進剤。
<4>前記3−アセチルウルソール酸及び/又は3−アセチルオレアノール酸の起源が、バラ科アロニア属(Aronia sp.)、バラ科リンゴ属(Malus sp.)、バラ科ナシ属(Pyrus
sp.)、ツツジ科クマコケモモ属(Arctostaphylos sp.)、ツツジ科スノキ属(Vaccinium sp.)、フトモモ科フトモモ属(Syzygium sp.)、及びリンドウ科センブリ属(Swertia
sp.)から選ばれる少なくとも1種以上の植物体の抽出物であることを特徴とする、<1>〜<3>何れかに記載のグルタチオン産生促進
<5>バラ科アロニア属(Aronia sp.)の植物がアロニア・メラノカルパ(Aronia melanocarpa)、バラ科リンゴ属(Malus sp.)の植物がリンゴ(Malus pumila var. domestica)、バラ科ナシ属(Pyrus sp.)の植物がセイヨウナシ(Pyrus communis)、ツツジ科クマコケモモ属(Arctostaphylos sp.)の植物がウワウルシ(Arctostaphylos uva-ursi)、ツツジ科スノキ属(Vaccinium sp.)の植物がツルコケモモ(Vaccinium oxycoccus)、フトモモ科フトモモ属(Syzygium sp.)の植物がチョウジ(Syzygium aromaticum)、リンドウ科センブリ属(Swertia sp.)の植物がセンブリ(Swertia japonica)であることを特徴とする、<4>に記載のグルタチオン産生促進剤。
本発明によれば、明確な化学物質を有効成分とする、グルタチオン産生促進用の組成物を提供することができる。
<1>本発明のグルタチオン産生促進用の組成物の必須成分であるトリテルペン酸類
本発明のグルタチオン産生促進用の組成物は、トリテルペン酸、トリテルペン酸の誘導体及びこれらの塩から選択される成分を有効成分として含有することを特徴とする。前記トリテルペン酸としては、例えば、ウルソール酸、オレアノール酸、アジア酸、ベツリン酸などが好適に例示でき、中でも3位に水酸基を有する、ウルソール酸、オレアノール酸がより好ましい。これらは、トリテルペン酸のまま使用することもできるが、誘導体などに構造変換して使用することもできる。誘導体としては、水酸基をアセチル化、オクタノイル化、ラウロイル化、オレオイル化、ステアロイル化、イソステアロイル化などの等アシル化したアシル誘導体、メトキシ化、エトキシ化、ブチルオキシ化等のアルコキシ化したアルコキシ誘導体、カルボキシル基をアミド化したアミド誘導体、カルボキシル基をアルキル化、アルケニル化、アリル化、ホスホリル化したエステル類等が好適に例示でき、アシル化誘導体が特に好ましい。具体的には、例えば、3-アセチルウルソール酸、3-アセチルオレアノール酸、3-アセチルアジア酸などが好適に例示でき、中でも、3-アセチルウルソール酸、3-アセチルオレアノール酸が特に好適に例示できる。これらは、更にアルカリで処理して塩としても使用でき、塩としては、例えば、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩等の有機アミン塩、アルギニン塩、リシン塩等の塩基性アミノ酸塩等が好適に例示できる
この様なトリテルペン酸乃至はその誘導体は、天然にも存していることから、天然物より抽出し、精製を行い得ることもできる。この様な場合には、トリテルペン酸乃至はアセチル化トリテルペン酸などのトリテルペン酸誘導体の含有量を指標にすることができる。かかる指標物質が多く含まれるように抽出物を精製分画して用いることが好ましい。アセチル化トリテルペン酸であれば、例えばバラ科アロニア属(Aronia sp.)、バラ科リンゴ属(Malus sp.)、バラ科ナシ属(Pyrus sp.)、ツツジ科クマコケモモ属(Arctostaphylos sp.)、ツツジ科スノキ属(Vaccinium sp.)、フトモモ科フトモモ属(Syzygium sp.)、リンドウ科センブリ属(Swertia sp.)の植物体の抽出物に含有される。前記バラ科アロニア属の植物としてはアロニア・メラノカルパ(Aronia melanocarpa)が好適に例示でき、抽出物の作製に用いる植物部位としては、果実部が好適に例示できる。前記バラ科リンゴ属の植物としてはリンゴ(Malus pumila var. domestica)が好適に例示でき、抽出物の作製に用いる植物部位としては、果実部が好適に例示できる。前記バラ科ナシ属の植物としてはセイヨウナシ(Pyrus communis)が好適に例示でき、抽出物の作製に用いる植物部位としては、葉部が好適に例示できる。前記ツツジ科クマコケモモ属の植物としてはウワウルシ(Arctostaphylos uva-ursi)が好適に例示でき、抽出物の作製に用いる植物部位としては、果実部及び/又は葉部が好適に例示できる。前記ツツジ科スノキ属の植物としてはツルコケモモ(Vaccinium oxycoccus)が好適に例示でき、抽出物の作製に用いる植物部位としては、果実部が好適に例示できる。前記フトモモ科フトモモ属の植物としてはチョウジ(Syzygium aromaticum)が好適に例示でき、抽出物の作製に用いる植物部位としては、花蕾部が好適に例示できる。前記リンドウ科センブリ属の植物としてはセンブリ(Swertia japonica)が好適に例示でき、抽出物の作製に用いる植物部位としては、地上部が好適に例示できる。抽出に際して、植物体乃至はその乾燥物は予め、粉砕或いは細切して抽出効率を向上させるように加工することが好ましい。抽出物は、植物体乃至はその乾燥物1質量部に対して、溶媒を1〜30質量部加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬することにより製造できる。前記抽出溶媒としては、極性溶媒が好ましく、水、エタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、ブタノ−ル等のアルコ−ル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエ−テル、テトラヒドロフラン等のエ−テル類から選択される1種乃至は2種以上が好適に例示でき、30〜80%、より好ましくは70%含有エタノ−ルが特に好適に例示できる。浸漬後は室温まで冷却し、析出した不溶物を除去した後、溶媒を減圧濃縮等により除去することができる。しかる後に、水と酢酸エチル、水とブタノ−ル等の液液抽出や、シリカゲルやイオン交換樹脂を充填したカラムクロマトグラフィ−等で分画精製し、本発明の抽出物を得ることができる。この様に、アセチル化トリテルペン酸を含有する植物の抽出物で、生体内のグルタチオン合成酵素の発現を促進することによりグルタチオン産生を促進し、活性酸素種の関与する多様な疾患に対する治療効果をもたらすことが期待される。又、斯くの如く抽出物をトリテルペン酸乃至はその誘導体の基源とする場合は、後記のヒト肝ガン由来細胞株HepG2を用いた試験に於いて、被験体を加えないコントロールに対して、グルタチオンの産生量が少なくとも40%増加させる作用を有するものを選択して使用することが好ましい。
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明が、かかる実施例にのみ、限定されないことは言うまでもない。
<製造例1>
1)日本新薬株式会社より供与されたバラ科アロニア・メラノカルパの果実の乾燥物を200g秤取り、4lの70%含水エタノ−ル水溶液を加え、ホモジナイザ−でホモジナイズ処理を行い、室温で2時間浸漬し、不溶物を濾過で取り除いた後、減圧濃縮し、約1lの水溶液とした。
2)この様にして得た水溶液に酢酸エチル1lを加え、液液抽出を行った。同様の抽出操作を、さらに2回行った。各溶媒相を合わせ、減圧濃縮し、アロニア・メラノカルパの抽出物2.4gを得た。
製造例1に記載のアロニア・メラノカルパの抽出物を以下の条件に従って高速液体クロマトグラフィー分析に供した。
使用カラム:野村科学製Develosil C−30−UG5 (5μmx250mm)
移動相溶媒:90%アセトニトリル
流速:1ml/分
検出:UV 波長210-400nm
分析結果を図1に示すが、製造例1に記載のアロニア・メラノカルパの抽出物にはオレアノール酸、ウルソール酸、3-アセチルオレアノール酸及び3-アセチルウルソール酸が含まれていることが示されている。
<製造例2>
1)バラ科リンゴの果実を購入し、凍結乾燥物を200g秤取り、4lの70%含水エタノ−ル水溶液を加え、ホモジナイザ−でホモジナイズ処理を行い、室温で2時間浸漬し、不溶物を濾過で取り除いた後、減圧濃縮し、約1lの水溶液とした。
2)この様にして得た水溶液に酢酸エチル1lを加え、液液抽出を行った。同様の抽出操作を、さらに2回行った。各溶媒相を合わせ、減圧濃縮し、リンゴの抽出物1.5gを得た。
<製造例3>
1)バラ科セイヨウナシの葉を樹木より採取し、凍結乾燥物を200g秤取り、4lの70%含水エタノ−ル水溶液を加え、ホモジナイザ−でホモジナイズ処理を行い、室温で2時間浸漬し、不溶物を濾過で取り除いた後、減圧濃縮し、約1lの水溶液とした。
2)この様にして得た水溶液にノルマルブタノ−ル1lを加え、液液抽出を行った。同様の抽出操作を、さらに2回行った。各溶媒相を合わせ、減圧濃縮し、セイヨウナシの抽出物1.9gを得た。
<製造例4>
1)「ウワウルシ」の名称でウチダ和漢薬より販売されているツツジ科ウワウルシの果実の乾燥物を200g秤取り、4lの70%含水エタノ−ル水溶液を加え、ホモジナイザ−でホモジナイズ処理を行い、室温で2時間浸漬し、不溶物を濾過で取り除いた後、減圧濃縮し、約1lの水溶液とした。
2)この様にして得た水溶液に酢酸エチル1lを加え、液液抽出を行った。同様の抽出操作を、さらに2回行った。各溶媒相を合わせ、減圧濃縮し、ウワウルシの抽出物2.9gを得た。
<製造例5>
1)ツツジ科ツルコケモモの果実の乾燥物を200g秤取り、4lの70%含水エタノ−ル水溶液を加え、ホモジナイザ−でホモジナイズ処理を行い、室温で2時間浸漬し、不溶物を濾過で取り除いた後、減圧濃縮し、約1lの水溶液とした。
2)この様にして得た水溶液にノルマルブタノール1lを加え、液液抽出を行った。同様の抽出操作を、さらに2回行った。各溶媒相を合わせ、減圧濃縮し、ツルコケモモの抽出物2.1gを得た。
<製造例6>
1)「チョウジM」の名称でウチダ和漢薬より販売されているフトモモ科チョウジの花蕾の乾燥物を200g秤取り、4lの70%含水エタノ−ル水溶液を加え、ホモジナイザ−でホモジナイズ処理を行い、室温で2時間浸漬し、不溶物を濾過で取り除いた後、減圧濃縮し、約1lの水溶液とした。
2)この様にして得た水溶液に酢酸エチル1lを加え、液液抽出を行った。同様の抽出操作を、さらに2回行った。各溶媒相を合わせ、減圧濃縮し、チョウジの抽出物3.4gを得た。
<製造例7>
1)「せんぶり」の名称でウチダ和漢薬より販売されているリンドウ科センブリの地上部の乾燥物を200g秤取り、4lの70%含水エタノ−ル水溶液を加え、ホモジナイザ−でホモジナイズ処理を行い、室温で2時間浸漬し、不溶物を濾過で取り除いた後、減圧濃縮し、約1lの水溶液とした。
2)この様にして得た水溶液に酢酸エチル1lを加え、液液抽出を行った。同様の抽出操作を、さらに2回行った。各溶媒相を合わせ、減圧濃縮し、センブリの抽出物2.8gを得た。
<2>本発明のグルタチオン産生促進用の経口投与組成物
本発明のグルタチオン産生促進用の組成物は、生体内に於いてグルタチオンの産生を高める目的で経口投与組成物として投与するもの、皮膚内のグルタチオン産生量を高める目的で経皮的に投与されるものが存する。この様な本発明の組成物に於いて、前記トリテルペン酸、トリテルペン酸の誘導体及びこらの塩は、グルタチオン産生促進剤として作用する。
経口投与組成物としては、例えば、菓子やパン、麺等の一般食品、カプセル剤や、錠剤の形態を取る、健康増進の目的を有する食品群(例えば、特定保健用食品等)、顆粒剤、粉末剤、カプセル剤や、錠剤の形態を取る、経口投与医薬等が例示でき、それぞれの製剤で許容される任意成分を含有することができる。この様な任意成分としては、食品であれば、塩、砂糖、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、酢等の調味成分、着色成分、フレーバー等の矯臭成分、増粘剤、乳化・分散剤、保存料、安定剤等が好適に例示でき、健康増進の目的を有する食品群や医薬であれば、結晶セルロース、乳糖等の賦形剤、アラビヤガムやヒドロキシプロピルセルロース等の結合剤、クロスカルメロースナトリウム、デンプン等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、矯味、矯臭剤、着色剤等が好ましく例示できる。これらを常法に従って処理することにより、本発明の経口投与組成物は製造することができる。この時、前記トリテルペン酸、トリテルペン酸の誘導体及びこれらの塩は、総量で、組成物全量に対して、1〜50質量、より好ましくは5〜30質量%含有されることが好ましい。
斯くして得られた、本発明の経口投与組成物は、それを飲用することにより、生体内のグルタチオン量を増加させる作用に優れる。この様な作用を発揮させるためには、前記植物の抽出物を総量で、1日あたり、10〜1000mgを1回乃至は数回に分けて飲用することが好ましい。
<3>グルタチオン産生促進活性試験
(1)グルタチオン産生量測定試験
ヒト肝ガン由来細胞株HepG2(ATCC;CRL-11997)を用いてグルタチオン産生量の測定試験を実施した。10容量%牛胎児血清(GIBCO社製)を含むRPMI1640培地(GIBCO社製)に細胞を懸濁し、培養プレートに播種し、CO2インキュベーター(95容量%空気、5容量%二酸化炭素)内、37℃の条件下で24時間培養した。24時間培養後、ジメチルスルホキシドにて懸濁した各抽出物を乾燥固形物量として培地中に20μg/mlの濃度で含む試料添加培地に交換し、さらに24時間培養した。
細胞を回収し、その後−30℃で凍結、融解することで細胞を破砕し、細胞内のグルタチオンを溶出させた。1000xgで15分間、20℃で遠心し、上清を測定試料とした。GSH/GSSG−412キット(OXIS Research社製)を用いてグルタチオン量を測定した。即ち、グルタチオン標準品、ブランク、測定試料200μlを、各々のキュベットへ入れ、キット付属のクロモジェン200μlと酵素液200μlを各キュベットに加え、室温で5分間インキュベートした。その後各キュベットにキット付属のNADPH液200μlを添加し、412nmの吸光度の変化を3分間測定した。グルタチオン量は、同時に設定したグルタチオン標準品にて作成した検量線から計算した。これらを元に、グルタチオン産生促進値(検体存在下のグルタチオン産生量/検体非存在下のグルタチオン産生量)を求めた。この値が1.4以上の場合(40%促進)、その検体はグルタチオン産生促進作用を有すると判断した。
(2)γ-グルタミルシステインシンセターゼ(GCS)遺伝子の定量試験
上記(1)と同様の方法でHepG2を培養し、ジメチルスルホキシドにて懸濁した各抽出物を乾燥固形物量として培地中に20μg/mlの濃度で含む試料添加培地に交換し、さらに6時間培養した。その後細胞を回収し、RNAspin Mini RNA isolation kit(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用いて全RNAを抽出した。得られた全RNAを用いて、以下に示すようにリアルタイムRT-PCR法によりγ-グルタミルシステインシンセターゼ(GCS)遺伝子の定量試験を実施した。即ち、1μgのtotal RNAを鋳型とし、GCS合成プライマー(SIGMA GENOSYS社製:配列番号1、配列番号2)及びPrimeScript 1st strand cDNA synthesis kit(タカラバイオ社製)を用いて逆転写反応を行った。逆転写反応によって得られたGCSのcDNAを滅菌水にて100倍希釈し、鋳型cDNAとした。Ex Taq kit(タカラバイオ社製)を用いてPCR反応を行った後に電気泳動を行った。得られたバンドは画像ソフトを用いて画像として取り込み、ImageJ(アメリカ国立衛生研究所製)を用いてバンドの濃淡を数値化した。GCS遺伝子の発現量は、β-アクチン遺伝子についても同様に検討した発現量(合成プライマーはSIGMA GENOSYS社製:配列番号3、配列番号4)の相対値として表した。設計した合成プライマーの塩基配列及びPCR反応条件は以下の通りである。
GCSの合成プライマー
Figure 0005466842
β-アクチンの合成プライマー
Figure 0005466842
PCR反応条件
Figure 0005466842
<結果1>
図2にトリテルペン酸及びアセチル化トリテルペン酸を添加したときのヒト肝ガン由来細胞株HepG2のグルタチオン産生量を示す。いずれもグルタチオンの産生を促進していることが判る。グルタチオン産生量は、ジメチルスルホキシドのみ添加したコントロールに於けるグルタチオン量に対する比で示した。3-アセチルウルソール酸及び3-アセチルオレアノール酸は、コントロールに比べて3倍以上も高いグルタチオン産生促進作用を有し、その効果はウルソール酸及びオレアノール酸よりも高いものであった。即ち、トリテルペン酸、トリテルペン酸の誘導体及びこれらの塩から選択されるものの内、アシル化誘導体が好ましく、中でも、アセチル化誘導体が特に好ましいことが判る。
<結果2>
図3に製造例1〜7に記載の植物抽出物を添加したときのヒト肝ガン由来細胞株HepG2のグルタチオン産生量を示す。グルタチオン産生量は、ジメチルスルホキシドのみ添加したコントロールに於けるグルタチオン量に対する比で示した。製造例1〜7の植物抽出物はいずれもコントロールに比べて高いグルタチオン産生促進作用を有した。これより、トリテルペン酸、トリテルペン酸の誘導体及びこれらの塩から選択されるものの基源として、植物の抽出物を利用することができることが判る。
<結果3>
図4に製造例1〜7に記載の植物抽出物を添加したときのヒト肝ガン由来細胞株HepG2のGCS遺伝子の発現量を示す。製造例1〜7の植物抽出物はいずれもコントロールに比べて高いGCS遺伝子発現促進作用を有した。以上の結果より、本発明の組成物はグルタチオン合成酵素の発現を促進することを機作の一つしており、新規な作用機序に則ったグルタチオン産生促進作用を有することが判る。
下記表1〜7に示す処方に従って、本発明の経口投与組成物である、錠剤状の食品を作製した。即ち、10%エタノール10質量部を噴霧しながら、処方成分100質量部をニューマルメライザー(不二パウダル株式会社製)で造粒し、40℃で3時間送風乾燥した後、150mg錠に打錠し、本発明の食品1〜7を得た。
Figure 0005466842
Figure 0005466842
本発明は、機能性食品等の食品に応用できる。
製造例1に記載のアロニア・メラノカルパ抽出物の高速液体クロマトグラフィーの結果を示す図である。 トリテルペン酸及びアセチル化トリテルペン酸を添加したときのヒト肝ガン由来細胞株HepG2のグルタチオン産生量を示す図である。 製造例1〜7に記載の植物抽出物を添加したときのヒト肝ガン由来細胞株HepG2のグルタチオン産生量を示す図である。 製造例1〜7に記載の植物抽出物を添加したときのヒト肝ガン由来細胞株HepG2のγ-グルタミルシステインシンセターゼ(GCS)遺伝子の発現量を示す図である。

Claims (5)

  1. 3−アセチルウルソール酸及び/又は3−アセチルオレアノール酸を含むグルタチオン産生促進剤(終局的用途として化粧料及び食品の態様を除く)。
  2. 3−アセチルウルソール酸を含む請求項1に記載のグルタチオン産生促進剤。
  3. 前記グルタチオン産生促進剤のグルタチオン産生促進作用はγ-グルタミルシステイン合成酵素の発現の促進を機作に含む請求項1又は2に記載のグルタチオン産生促進剤。
  4. 前記3−アセチルウルソール酸及び/又は3−アセチルオレアノール酸の起源が、バラ科アロニア属(Aronia sp.)、バラ科リンゴ属(Malus sp.)、バラ科ナシ属(Pyrus sp.)、ツツジ科クマコケモモ属(Arctostaphylos sp.)、ツツジ科スノキ属(Vaccinium sp.)、フトモモ科フトモモ属(Syzygium sp.)、及びリンドウ科センブリ属(Swertia sp.)から選ばれる少なくとも1種以上の植物体の抽出物であることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載のグルタチオン産生促進
  5. バラ科アロニア属(Aronia sp.)の植物がアロニア・メラノカルパ(Aronia melanocarpa)、バラ科リンゴ属(Malus sp.)の植物がリンゴ(Malus pumila var. domestica)、バラ科ナシ属(Pyrus sp.)の植物がセイヨウナシ(Pyrus communis)、ツツジ科クマコケモモ属(Arctostaphylos sp.)の植物がウワウルシ(Arctostaphylos uva-ursi)、ツツジ科スノキ属(Vaccinium sp.)の植物がツルコケモモ(Vaccinium oxycoccus)、フトモモ科フトモモ属(Syzygium sp.)の植物がチョウジ(Syzygium aromaticum)、リンドウ科センブリ属(Swertia sp.)の植物がセンブリ(Swertia japonica)であることを特徴とする、請求項4に記載のグルタチオン産生促進
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