JP6863314B2 - ベーン型圧縮機およびガスケット - Google Patents
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Description
ベーン型圧縮機10は、たとえば車両に搭載され、車両の空調装置に用いられる。図1に示すように、ベーン型圧縮機10は、ハウジング11、サイドプレート15、回転軸16、ロータ18(図1,図3)、ベーン19(図3)、およびガスケット50(図2,図3)等を備える。
ハウジング11は筒状のシリンダ部14を有する。本実施の形態では、ハウジング11がリヤハウジング12とフロントハウジング13とから構成される。フロントハウジング13(第1ハウジング部材)はリヤハウジング12(第2ハウジング部材)の前端に結合される。シリンダ部14は、フロントハウジング13に一体的に設けられる。リヤハウジング12は周壁12aを有し、シリンダ部14は周壁12aの内側に配置される。周壁12aには吸入ポート22(図1)が形成され、吸入ポート22の内側には逆止弁26が設けられる。
サイドプレート15は、シリンダ部14の端面14tに固定されるとともにシリンダ部14の一方側(端面14t側)の開口を塞ぐように配置されることで、シリンダ部14の内側にシリンダ室14dを形成する。本実施の形態のサイドプレート15は、弁プレート80とリテーナプレート90との2枚を含む。弁プレート80は前面80aおよび後面80bを有する。リテーナプレート90は前面90aおよび後面90bを有する。弁プレート80およびリテーナプレート90はいずれも、全体として回転軸16を環状に囲む板状(円盤状)の形状を有し、リヤハウジング12の周壁12aの内側に配置される。
弁プレート80の外側部83には、略J字形状の切欠82が設けられることにより板ばね状の吐出リード弁81が形成されている。弁プレート80には、一対の切欠82が設けられている。内側部87は、切欠82,82の間に位置しており、シリンダ部14とともにシリンダ部14の内側にシリンダ室14dを形成する。吐出リード弁81は、切欠82から見て内側部87の反対側、すなわち、切欠82の径方向外側に位置する。
リテーナプレート90の外側部93には、略J字形状の切欠92が設けられることによってリテーナ91が形成されている。リテーナプレート90には、一対の切欠92が設けられている。内側部97は、弁プレート80の内側部87を後側から支持する部分であり、切欠92,92の間に位置する。リテーナ91は、切欠92から見て内側部97の反対側、すなわち切欠92の径方向外側に位置する。
図1〜図3に示すように、ガスケット50はサイドプレート15とリヤハウジング12との間(具体的にはリテーナプレート90とリヤハウジング12のカバー部36との間)に挟まれるように配置される。ガスケット50は、リテーナプレート90とカバー部36とにより軸方向に挟み込まれて、吐出室35a、貯油室35bおよび供給室70を区画する。ガスケット50は、たとえば金属製の薄板から構成され、表面はゴム等の樹脂で覆われている。
図4は、サイドプレート15がガスケット50を介して受ける面圧を模式的に示す断面図である。
リテーナプレート90(後面90b)と、ガスケット50の内側環状部51の外周部分と、ガスケット50の外側環状部52の内周部分と、カバー部36の第1突出部36aの外周面と、カバー部36の第2突出部36bの内周面と、第2突出部36bの内側に形成されている凹部36tとによって区画されることで、貯油室35b(図1)が形成される。
回転軸16が回転すると、矢印R(図3)に示す方向にロータ18が回転し、ベーン型圧縮機10の外部から吸入ポート22(図1)を通過して吸入空間20に冷媒が吸入される。吸入空間20に吸入された冷媒は、吸入孔23(図3)を通過して、吸入行程中のシリンダ室14d(圧縮室21)に吸入される。冷媒は、ロータ18の回転に伴う圧縮室21の容積減少により圧縮される。
サイドプレート15のうちの径方向において外側に位置する部分(ここでは外側部83,93)は、シリンダ部14の軸方向における一方側(後方側)に位置する端面14tに支持される。サイドプレート15のうちの径方向において内側に位置する部分(ここでは内側部87)は、シリンダ部14の上記一方側の開口を塞ぐように配置され、シリンダ室14dを形成するとともに、ロータ18に摺接する。このように構成されたサイドプレート15においては、外側部83,93が環状の固定端を形成し、内側部87,97が孔87h,97hの位置を先端とする自由端を形成し、サイドプレート15は全体として片持ち梁の構造を呈している。
ベーン型圧縮機10においては、シリンダ部14の端面14tに吐出通路37が開口しており、サイドプレート15は、端面14tに重なるように配置された弁プレート80を含んでいる。吐出リード弁81は、吐出通路37の後端部分を直接塞ぐように端面14tを弁座として配置されている。ベーン型圧縮機10によれば、吐出通路37の後端部分を直接塞ぐように吐出リード弁81が端面14tを弁座として配置されているため、デッドボリュームを小さくすることが可能となる。なお当該構成は必須ではなく、たとえば厚みを有するリアサイドプレートをシリンダ部14の端面14tに固定し、リアサイドプレートに設けられた吐出孔を後側から塞ぐように、吐出リード弁をリアサイドプレートの後面側に配置してもよい。この場合であっても、面圧P1が面圧P2に比べて小さくなるように構成されることで、上記同様の効果が得られる。
吐出通路37の前端部分は、シリンダ部14の内周面14cに開口しており(図1,図2)、吐出通路37の後端部分は、シリンダ部14の端面14tに開口している。図1に示すように、吐出通路37は、回転軸16の軸方向に対して交差する方向に沿って、斜めに延在している。径方向における位置を比較すると、吐出通路37の後端部分は吐出通路37の前端部分よりも外側に位置している。
図6は、図3中のVI−VI線に沿った矢視断面図であり、ガスケット50の断面構造を示している。ガスケット50の内側環状部51および外側環状部52には、バネ定数が互いに異なるビード51b,52bが形成されており、内側環状部51に形成されたビード51bのバネ定数は、外側環状部52に形成されたビード52bのバネ定数よりも小さくなるように構成されるとよい。当該構成が採用されることにより、サイドプレート15にガスケット50の内側環状部51が与える面圧P1を、サイドプレート15にガスケット50の外側環状部52が与える面圧P2に比べて容易に小さくすることが可能となる。
一般的に、フルビードの方が、ハーフビードよりも大きなバネ定数を有する。ビードの種類、幅、高さ、厚み、および形状等に応じてビードのバネ定数が変わる。図6に示すように、内側環状部51に形成されたビード51bはハーフビードから構成され、外側環状部52に形成されたビード52bはフルビードから構成されているとよい。当該構成が採用されることによって、サイドプレート15にガスケット50の内側環状部51が与える面圧P1を、サイドプレート15にガスケット50の外側環状部52が与える面圧P2に比べて容易に小さくすることが可能となる。本実施の形態では、外周部53に形成されたビード53bはフルビードから構成される。ビード53bは、ハーフビードから構成されていてもよい。
図4に示すように、第1突出部36aの内側端面部36atは、第2突出部36bの外側端面部36btに比べて、軸方向においてサイドプレート15から遠い側、すなわち後方側に配置されている。内側端面部36atとサイドプレート15との間の軸方向における間隔は、外側端面部36btとサイドプレート15との間の軸方向における間隔よりも狭い。間隔を大きく設定するほど面圧P1,P2,P3は小さくなり、間隔を狭く設定するほど面圧P1,P2,P3は大きくなる。
図6に示すように、ガスケット50がリヤハウジング12とサイドプレート15との間に挟まれていない無負荷状態において、ガスケット50の内側環状部51に形成されたビード51bの軸方向における高さH1は、外側環状部52に形成されたビード52bの軸方向における高さH2に比べて高くなるように構成してもよい。ビード51bの高さH1は、ビード53bの高さH3よりも高くなるように構成してもよい。ビード52bの高さH2は、ビード53bの高さH3よりも大きくてもよく、小さくてもよく、同じであってもよい。
図4に示すように、ベーン型圧縮機10においては、ガスケット50が内側環状部51および外側環状部52に加えて外周部53をさらに有しており、吐出室35aは外側環状部52と外周部53との間に形成されている。当該構成によれば、1枚のガスケット50によって吐出室35a、貯油室35bおよび供給室70を区画することができるとともに、サイドプレート15とリヤハウジング12とが軸方向において直接的に接触することを防止できる。ガスケット50は製作誤差を吸収することも可能であり、高い加工精度を有するように各部材が作製されるという必要性も軽減することが可能となる。
図2,図3に示すように、ガスケット50は、内側環状部51と外側環状部52とを接続する接続部54(第1接続部)と、外側環状部52と外周部53とを接続する接続部55(第2接続部)とを有しており、同一の金属薄板から一体的に形成されている。当該構成によれば、内側環状部51と外側環状部52とが互いに別々の部材から構成されたり、内側環状部51と外側環状部52と外周部53とが互いに別々の部材から構成されたりする場合に比べて、ガスケット50としての部品点数を少なくすることが可能となる。
ベーン型圧縮機10においては、サイドプレート15は、吐出リード弁が形成された弁プレートを備え、軸方向に冷媒ガスが吐出されるが、これに限られず、シリンダ室から径方向に吐出する形態であってもよい。ベーン型圧縮機10においては、底壁部13pとシリンダ部14とが一体に形成されているが、フロントサイドプレートとして底壁部13pをシリンダ部14とは別体に形成し、軸方向において間隔を空けて配置されたフロントサイドプレートとサイドプレート15(リヤサイドプレート)との間にシリンダ部14が配置されている構成であってもよい。油分離室36sは、鉛直方向に延在するように図示されているが、油分離室36sは、鉛直方向に対して傾斜して配置されていてもよい。
Claims (8)
- 互いに結合される第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とを有し、前記第1ハウジング部材に筒状のシリンダ部が設けられたハウジングと、
前記ハウジングにより回転可能に支持された回転軸と、
前記回転軸が挿入される孔が形成され、前記シリンダ部の軸方向における一方側の端面に固定されるとともに前記シリンダ部の前記一方側の開口を塞ぐように配置されることで前記シリンダ部の内側にシリンダ室を形成するサイドプレートと、
前記シリンダ室内に収容され、前記回転軸と一体的に回転可能であり、外周面に複数のベーン溝が形成されたロータと、
前記複数のベーン溝の各々に出没可能に装着されたベーンと、
前記シリンダ室内に、前記シリンダ部、前記ロータ、前記ベーンおよび前記サイドプレートによって形成される圧縮室と、
前記軸方向において前記第2ハウジング部材と前記サイドプレートとの間に挟まれるように配置されるガスケットと、
前記軸方向において前記サイドプレートの前記シリンダ室側とは反対側に位置し、前記第2ハウジング部材、前記サイドプレートおよび前記ガスケットによって区画されることで形成され、前記圧縮室で圧縮された冷媒が吐出される吐出室と、を備え、
前記ガスケットは、前記回転軸が挿入される内側環状部と、前記内側環状部の径方向における外側に設けられた外側環状部と、を有し、
前記内側環状部が前記第2ハウジング部材と前記サイドプレートとの間で前記軸方向に挟まれることによって前記サイドプレートに前記内側環状部が与える面圧を、前記外側環状部が前記第2ハウジング部材と前記サイドプレートとの間で前記軸方向に挟まれることによって前記サイドプレートに前記外側環状部が与える面圧に比べて小さくした、
ベーン型圧縮機。 - 前記内側環状部および前記外側環状部には、バネ定数が互いに異なるビードが形成されており、
前記内側環状部に形成された前記ビードのバネ定数は、前記外側環状部に形成された前記ビードのバネ定数よりも小さい、
請求項1に記載のベーン型圧縮機。 - 前記内側環状部に形成された前記ビードは、ハーフビードから構成されており、
前記外側環状部に形成された前記ビードは、フルビードから構成されている、
請求項2に記載のベーン型圧縮機。 - 前記第2ハウジング部材は、
前記内側環状部に当接するように配置され、前記サイドプレートとの間で前記内側環状部を挟み込む内側端面部と、
前記外側環状部に当接するように配置され、前記サイドプレートとの間で前記外側環状部を挟み込む外側端面部と、を有し、
前記軸方向において、前記内側端面部は前記外側端面部に比べて前記サイドプレートから遠い側に配置されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のベーン型圧縮機。 - 前記ガスケットは、前記外側環状部の前記径方向における外側に設けられた外周部をさらに有し、
前記吐出室は、前記外側環状部と前記外周部との間に形成されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載のベーン型圧縮機。 - 前記ガスケットは、前記内側環状部と前記外側環状部とを接続する第1接続部と、前記外側環状部と前記外周部とを接続する第2接続部と、をさらに有し、同一の金属薄板から一体的に形成されている、
請求項5に記載のベーン型圧縮機。 - 前記シリンダ部には、前記シリンダ部の前記端面に開口する吐出通路が形成され、
前記サイドプレートは、前記シリンダ部の前記端面に重なるように配置された弁プレートを含み、
前記弁プレートには、切欠が設けられることによって板ばね状の吐出リード弁が形成され、
前記吐出リード弁は、前記吐出通路を開閉可能なように前記端面を弁座として配置され、
前記圧縮室で圧縮された冷媒は、前記吐出通路を通過し、前記吐出リード弁を押し退けて前記吐出室に吐出される、
請求項1から6のいずれか1項に記載のベーン型圧縮機。 - 請求項2または3に記載のベーン型圧縮機に備えられるガスケットであって、
前記第2ハウジング部材と前記サイドプレートとの間に挟まれていない無負荷状態において、前記内側環状部に形成された前記ビードの前記軸方向における高さは、前記外側環状部に形成された前記ビードの前記軸方向における高さに比べて高くされている、
ガスケット。
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