JP6879227B2 - ベーン型圧縮機 - Google Patents
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Description
ベーン型圧縮機10は、たとえば車両に搭載され、車両の空調装置に用いられる。図1に示すように、ベーン型圧縮機10は、ハウジング11、弁ユニット15、回転軸16、ロータ18(図1,図3)、ベーン19(図3)、およびガスケット50(図2,図3)等を備える。
ハウジング11は筒状のシリンダ部14を有する。本実施の形態では、ハウジング11がリヤハウジング12とフロントハウジング13とから構成される。フロントハウジング13(第1ハウジング部材)はリヤハウジング12(第2ハウジング部材)の前端に結合される。シリンダ部14は、フロントハウジング13に設けられる。リヤハウジング12は周壁12aを有し、シリンダ部14は周壁12aの内側に配置される。周壁12aには吸入ポート22(図1)が形成され、吸入ポート22の内側には逆止弁26が設けられる。
弁ユニット15は弁プレート80とリテーナプレート90との2枚を含む。弁プレート80は前面80aおよび後面80bを有する。リテーナプレート90は前面90aおよび後面90bを有する。弁プレート80およびリテーナプレート90には、回転軸16が挿通される孔87h,97hがそれぞれ設けられる。
弁プレート80には、略J字形状の切欠82が設けられることにより板ばね状の吐出リード弁81が形成されている。弁プレート80には、一対の切欠82が設けられている。弁プレート80は、中央部87と一対の吐出リード弁81とを有している。中央部87は、切欠82,82の間に位置しており、シリンダ部14とともにシリンダ部14の内側にシリンダ室14dを形成する。吐出リード弁81は、切欠82から見て中央部87の反対側、すなわち、切欠82の径方向外側に位置する。
リテーナプレート90には、略J字形状の切欠92が設けられることによってリテーナ91が形成されている。リテーナプレート90には、一対の切欠92が設けられている。リテーナプレート90は、中央部97と一対のリテーナ91とを有している。中央部97は弁プレート80の中央部87を後側から支持する部分であり、切欠92,92の間に位置する。リテーナ91は、切欠92から見て中央部97の反対側、すなわち切欠92の径方向外側に位置する。
図1〜図3に示すように、ガスケット50は、リテーナプレート90とカバー部36との間に配置される。ガスケット50は、リテーナプレート90とカバー部36とにより軸方向に挟み込まれて、吐出室35a、貯油室35bおよび供給室70を区画する。ガスケット50は、たとえば金属製の薄板から構成され、表面はゴム等の樹脂で覆われている。
リテーナプレート90(後面90b)と、ガスケット50の第1環状部51の外周部分と、ガスケット50の第2環状部52の内周部分と、カバー部36の第1突出部36aの外周面と、カバー部36の第2突出部36bの内周面と、第2突出部36bの内側に形成されている凹部36tとによって、貯油室35b(図1)が形成される。
回転軸16が回転すると、矢印R(図3)に示す方向にロータ18が回転し、ベーン型圧縮機10の外部から吸入ポート22(図1)を通過して吸入空間20に冷媒が吸入される。吸入空間20に吸入された冷媒は、吸入孔23(図3)を通過して、吸入行程中のシリンダ室14d(圧縮室21)に吸入される。冷媒は、ロータ18の回転に伴う圧縮室21の容積減少により圧縮される。図4に示すように、圧縮室21で圧縮された冷媒は、圧縮室21から吐出通路37に吐出され、吐出通路37を通過し、吐出リード弁81を押し退けて吐出室35aへ吐出される。
特開2013−249768号公報(特許文献1)に開示された圧縮機においては、シリンダ室を形成するリアサイドブロックと、吐出孔を開閉する吐出リード弁とが互いに別の部材から構成される。本実施の形態のベーン型圧縮機10においては、1枚の弁プレート80が、シリンダ室14dを形成するという機能(中央部87)と、吐出通路37を開閉するという機能(吐出リード弁81)との両方を兼ね備えている。上記公報に開示された圧縮機に比べて、ベーン型圧縮機10によればこれら2つの機能を担う構成の部品点数を少なくすることが可能となる。
ベーン型圧縮機10においては、シリンダ部14の端面14tにネジ穴14m,14nが開口しており、挿通孔88,89,98,99に挿通されたボルト78,79によって弁ユニット15(弁プレート80およびリテーナプレート90)がシリンダ部14の端面14tに固定されている。このような構成に限られず、図5に示すように、カバー部36の壁部36jから前側に向けて延びる突出部38を設けて、弁ユニット15がこの突出部38から受ける押圧力によってシリンダ部14の端面14tに固定されることも可能である。
切欠82の湾曲部84は、外側開口端83に連続して形成されており、外側開口端83の位置から径方向の内側に向かって湾曲して延在している。外側開口端83および湾曲部84は、吐出リード弁81の先端部81aの外周縁を円弧状に囲むように延在している。直線部85は、湾曲部84に連続して形成されている。直線部85は、吐出リード弁81のうちの長手方向に延びる側部(弁プレート80の径方向における内側に位置する側部)を形成している。
図3に示すように、ベーン型圧縮機10の弁プレート80は、シリンダ部14とともにシリンダ室14dを形成する中央部87を有している。吐出リード弁81は、切欠82から見て中央部87の反対側、すなわち切欠82の径方向外側に位置する。弁プレート80の径方向において吐出リード弁81の外側に位置する外周縁81s(弁プレート80の径方向における外側に位置する側部)は、中央部87の外周縁87sを規定している周方向に沿うように延在している。換言すると、外周縁81sの一端と外周縁81sの他端とは、中央部87の外周縁87sを規定している周方向において相互に離間するように位置している。
本実施の形態においては、吐出リード弁81の外周縁81sは、直線状に延びている。中央部87の外周縁87sを規定している周方向を延長して仮想円C(図3)を描いたとすると、弁プレート80の径方向において吐出リード弁81の外側に位置する外周縁81sはこの仮想円Cよりも内側に位置している。当該構成によれば、吐出リード弁81が設けられた弁プレート80をリヤハウジング12(周壁12a)の内側に容易に配置することができる。
吐出リード弁81を形成している切欠82は、先端部81aから基端部81bに向かう方向(矢印AR(図3))において、ボルト78(図2)の締結位置を越える位置にまで到達するように延在している。ボルト78(図2)の締結位置とは、弁プレート80のうちの挿通孔88が形成されている位置に相当する。本実施の形態では、切欠82が、その延在方向(矢印AR)における先端に端部82T(図3)を有している。切欠82の延在方向(矢印AR)において、挿通孔88が形成されている位置を越えるように、切欠82が端部82Tの位置まで延在している。切欠82の延在方向(矢印AR)に対して直交する方向に挿通孔88を仮想的に投影(仮想的にスライド移動)させたとしても、挿通孔88の投影像が端部82Tに重なることはない。リテーナ91を形成している切欠92は、先端部91aから基端部91bに向かう方向において、ボルト78(図2)の締結位置を越える位置にまで到達するように延在している。ボルト78(図2)の締結位置とは、リテーナプレート90のうちの挿通孔98が形成されている位置に相当する。本実施の形態では、切欠92が、その延在方向における先端に端部92T(図3)を有している。切欠92の延在方向において、挿通孔98が形成されている位置を越えるように、切欠92が端部92Tの位置まで延在している。切欠92の延在方向に対して直交する方向に挿通孔98を仮想的に投影(仮想的にスライド移動)させたとしても、挿通孔98の投影像が端部92Tに重なることはない。
切欠82の内側端86は、直線部85に連続して形成されており、直線部85の位置に対して湾曲部84の反対側に設けられる。内側端86の一部が、切欠82の端部82Tを構成している。内側端86の一部または全部が、先端部81aから基端部81bに向かう方向(矢印AR(図3))においてボルト78の締結位置を越える位置に配置されている。
吐出通路37の前端部分は、シリンダ部14の内周面14cに開口しており(図1,図2)、吐出通路37の後端部分は、シリンダ部14の端面14tに開口している。図1に示すように、吐出通路37は、回転軸16の軸方向に対して交差する方向に沿って、斜めに延在している。径方向における位置を比較すると、吐出通路37の後端部分は吐出通路37の前端部分よりも外側に位置している。
ベーン型圧縮機10においては、弁プレート80およびリテーナプレート90が、複数のボルト78,79(図2)を用いてシリンダ部14の端面14tに固定されている。ボルト78,79のうちのボルト78が、吐出リード弁81を端面14tに締結している。弁プレート80およびリテーナプレート90は、ボルト78のみによりシリンダ部14の端面14tに固定されていてもよい。ボルト79が用いられないため、弁プレート80をシリンダ部14に固定するための構成の部品点数を少なくすることが可能となる。
上述のとおり、吸入ポート22(図1)の内側にはシリンダ室14dに吸入される冷媒の逆流を防止するための逆止弁26が設けられる。ボルト78,79(図2)は、ボルト78,79を逆止弁26の側に向かって軸方向に仮想的に投影させた際に形成される投影像が、逆止弁26に重ならない位置に配置されているとよい。逆止弁26が配置されている位置は、吐出通路37が形成されている位置に比べて軸方向に作用する圧力が小さい。吐出通路37に対応する位置にボルト78,79を配置することによって、ボルト78,79の締結力を効率よく利用可能となる。
ベーン型圧縮機10においては、底壁部13pとシリンダ部14とが一体に形成されているが、フロントサイドプレートとして底壁部13pをシリンダ部14とは別体に形成し、軸方向において間隔を空けて配置されたフロントサイドプレートと弁ユニット15との間にシリンダ部14が配置されている構成であってもよい。油分離室36sは、鉛直方向に延在するように図示されているが、油分離室36sは、鉛直方向に対して傾斜して配置されていてもよい。
Claims (8)
- 互いに結合される第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とを有し、前記第1ハウジング部材に筒状のシリンダ部が設けられ、前記シリンダ部の内側にシリンダ室が形成されるハウジングと、
前記ハウジングにより回転可能に支持された回転軸と、
板状の形状を有し、前記シリンダ部の軸方向における一方側に位置する端面に重なるように配置された弁プレートと、
前記シリンダ室内に収容され、前記回転軸と一体的に回転可能であり、外周面に複数のベーン溝が形成されたロータと、
前記複数のベーン溝の各々に出没可能に装着されたベーンと、
前記シリンダ室内に、前記シリンダ部、前記ロータおよび前記ベーンによって形成される圧縮室と、
前記シリンダ部の前記端面に開口するように形成され、前記圧縮室で圧縮された冷媒が吐出される吐出通路と、
前記圧縮室で圧縮された冷媒が前記吐出通路を介して吐出される吐出室と、を備え、
前記弁プレートには、切欠が設けられることによって板ばね状の吐出リード弁が形成され、前記弁プレートが前記シリンダ部の前記端面と前記第2ハウジング部材との間に挟まれることにより支持され、
前記切欠は、外側開口端を有し、前記外側開口端が前記弁プレートの外周縁で開口するように形成され、
前記吐出リード弁は、前記吐出通路を開閉する先端部と、前記先端部の反対側に位置する基端部とを有し、前記吐出通路を開閉可能なように前記端面を弁座として配置され、
前記吐出リード弁は、前記先端部および前記基端部が前記弁プレートの外周域に位置するように延在している、
ベーン型圧縮機。 - 前記弁プレートの径方向において前記吐出リード弁の外側に位置する外周縁および前記吐出リード弁の内側に位置する内周縁は、直線状に延びる形状を有し、互いに平行に延在している、
請求項1に記載のベーン型圧縮機。 - 前記弁プレートは、前記シリンダ部とともに前記シリンダ室を形成する中央部を有し、
前記弁プレートの径方向において前記吐出リード弁の外側に位置する外周縁は、前記中央部の外周縁を規定している周方向に沿うように延在している、
請求項1に記載のベーン型圧縮機。 - 締結具をさらに備え、
前記吐出リード弁の前記基端部には挿通孔が設けられ、
前記挿通孔に挿通された前記締結具によって、前記吐出リード弁は前記シリンダ部の前記端面に固定されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のベーン型圧縮機。 - 前記切欠は、前記先端部から前記基端部に向かう方向において、前記締結具の締結位置を越える位置にまで到達するように延在しており、
前記切欠のうち、前記先端部から前記基端部に向かう方向において前記締結具の前記締結位置を越えて延在している部分は、前記吐出リード弁の幅を狭めるように湾曲している、
請求項4に記載のベーン型圧縮機。 - 前記第2ハウジング部材には突出部が設けられており、
前記突出部によって前記基端部が押圧されることで、前記吐出リード弁は前記シリンダ部の前記端面に固定されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のベーン型圧縮機。 - 前記切欠は、前記弁プレートの周方向に沿うように延在する第1部分と、前記第1部分から前記外側開口端に向かって前記弁プレートの径方向の内側から外側に延びる第2部分と、を有している、
請求項1から6のいずれか1項に記載のベーン型圧縮機。 - 前記吐出通路は、前記シリンダ部の内周面に開口しており、前記軸方向に対して交差する方向に沿って斜めに延在している。
請求項1から7のいずれか1項に記載のベーン型圧縮機。
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JP2019143596A JP2019143596A (ja) | 2019-08-29 |
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