JP6862703B2 - 反射型マスク及び反射型マスクの製造方法 - Google Patents
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Description
EUV光を用いるリソグラフィでは従来の193nm等の深紫外光とは異なり、あらゆる物質の屈折率が1に近い値であり、吸収係数も大きいことから、屈折を用いた透過光学系を用いた露光ができない。そこで、屈折率差の大きい材料を交互に積層した多層膜ミラーを用いた反射光学系の露光装置が用いられている。具体的にはモリブデンとシリコンとを使用した多層反射膜が主に用いられる。
反射型マスクを用いて半導体基板上に転写回路パターンを形成する際、1枚の半導体基板上には複数の回路パターンのチップが形成される。隣接するチップ間において、チップ外周部が重なる領域が存在する場合がある。これはウエハ1枚あたりに取れるチップを出来るだけ増加したいという生産性向上の要請に応じて、チップを高密度に配置することから発生する場合がある。この場合、この領域については複数回(最大で4回)にわたり露光(多重露光)されることになる。この転写パターンのチップ外周部はマスク上でも外周部であり、通常、吸収層の部分である。しかしながら、吸収層上でのEUV光の反射率は、0.5〜2%程度あるために、多重露光によりチップ外周部が感光してしまう問題があった。このため、マスク上のチップ外周部に通常の吸収層よりもEUV光の遮光性の高い領域(以下、遮光枠と呼ぶ)を設ける場合がある。
前記補助パターンの幅は、例えば10μm以下である。
また前記補助パターンは、例えば前記遮光枠のエッジから当該補助パターンのエッジまでの距離が1μm以上100μm以下である。
また、本発明の他の態様である反射型マスクの製造方法は、上記一態様の反射型マスクの製造方法であって、基板の表面に、多層反射層と、回路パターン領域を有する吸収層とがこの順に形成されたマスクブランクに対し、前記回路パターン領域にメインパターンを形成し、前記回路パターン領域の外周に前記補助パターン及び前記遮光枠を形成する際に、前記メインパターンを形成した後に前記補助パターンを形成し、その後、前記遮光枠を形成することを特徴とする。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
ここで、以下の説明では、多層反射層02と吸収層04との間に保護層03を有する場合で説明するが、保護層03は存在していなくても良い。
一般に反射型マスクブランクの多層反射層02は圧縮方向の内部応力(約600MPa)を持っている。多層反射層02を枠状にエッチング除去すると、多層反射層02が途切れる端面のところで圧縮応力が解放される。LTEMとして用いられているガラスと多層反射層02の弾性係数を比較すると、多層反射層02の方が数倍大きい。このため、遮光枠21より内側(回路パターン領域側)においては外側に向かって、遮光枠21より外側では内側に向かって多層反射層02が伸びる方向に変形し、これに伴う変形に、ガラスからなる基板01に発生する反発する力がつりあうところで、前記の変形は止まることになる。
前記多層反射層02の内部応力は、多層反射層02を形成する前後の表面の平坦度を計測し、応力によって生じたたわみ量から計測することができる。たとえば、曲率半径と応力の関係を表すストーニーの式と呼ばれる式を適用しても良いし、より精密には構造解析用のソフトウェアで計算した結果とのフィッティングにより求めてもよい。
本実施形態の反射型マスクは、このような遮光枠形成に伴う遮光枠近傍のパターンの位置ずれ量を低減できるフォトマスクである。本実施形態の反射型マスク500における全体像の概略平面図を図7に示す。図7に示すように、従来の反射型マスクと異なり、メインパターンを形成する回路パターン領域22と遮光枠21の間に補助パターン23が形成されている。
図7における符号Cの部分の拡大平面図を図8(a)に、その拡大断面図を図8(b)に示す。本実施形態の反射型マスクの補助パターン23は、回路パターン領域22と遮光枠21の間に、吸収層04、保護層03及び多層反射層02を除去することで形成されている。この補助パターン23は、遮光枠21に沿って、例えば平行に延在するように形成されている。
従来の反射型マスクにおいては、幅の広い遮光枠21(通常2〜3mm程度)の形成による、多層反射層02の応力解放が大き過ぎるために、遮光枠21のエッジから200〜300μm程度離れた場所にあるメインパターンの位置ずれを誘発してしまう。本実施形態の反射型マスクでは、遮光枠21よりも幅の狭い補助パターン23を内側に形成するために、応力解放も小さく抑えることが出来るため、メインパターンの位置ずれも小さく出来るためである。
また、本実施形態の反射型マスクにおける補助パターン23の形成位置は、遮光枠21のエッジからの1μm以上100μm以下の場所に形成することが好ましい。遮光枠21のエッジから100μm以上離れた場所は、すなわちメインパターンに近い場所であることから、補助パターン形成による応力解放の影響が、メインパターンに現れてしまうためである。従って、補助パターン23は、相対的にメインパターンから遠く、且つ遮光枠21のエッジに近い場所に形成するのが望ましい。我々は補助パターン23の幅や形成位置による実験を行い、最適な幅と形成位置を見出した。
すなわち本実施形態においては、反射型マスクの製造方法は、以下の3つの製造方法(製造方法1、製造方法2及び製造方法3)がある。
製造方法1は、(A)メインパターンを形成する工程の後に、(B)補助パターン23を形成する工程と(C)遮光枠21を形成する工程の両方を同時に一つの工程として実施する製造方法である。
(製造方法2)
製造方法2は、(A)メインパターンを形成する工程の後に、(B)補助パターン23を形成する工程を実施し、その後に(C)遮光枠21を形成する工程を実施する製造方法である。
(製造方法3)
製造方法3は、(B)補助パターン23を形成する工程の後に、(A)メインパターンを形成する工程を実施し、その後に(C)遮光枠21を形成する工程を実施する製造方法である。
一方、製造方法3は、メインパターンの形成前に、補助パターン23を形成しておくことにより、多層反射層02の応力の一部を予め解放しておくことで、その後の遮光枠21の形成により解放される応力を減らすことが出来る。その結果、回路パターン領域22の位置ずれ量を低減している。
図10は本実施例で用意した反射型マスクブランク400である。このブランク400は、基板01の上に、波長13.5nmのEUV光に対して反射率が64%程度となるように設計されたMoとSiの40ペアの多層反射層02が、その上に2.5nm厚のRuからなる保護層03が、更にその上に70nm厚のTaSiからなる吸収層04が、この順に形成されている。
本ブランク400に対し、先に述べた製造方法1にて、本実施例の反射型マスクを作製した。すなわち、ブランク400の吸収層04の上に、ポジ型化学増幅レジスト09(FEP171:富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ)を200nmの膜厚で塗布した(図11(b)。その後、電子線描画機(JBX9000:日本電子)にて、マスク中心部の10cm×10cmの回路パターン領域に線幅200nmのライン&スペースパターンからなるメインパターンを形成し、その後の工程で形成する遮光枠21の内側エッジの位置から1μm間隔でマスク中心まで配置するように位置測定パターンを描画し、110℃、10分のPEBおよびスプレー現像(SFG3000:シグマメルテック)により、レジスト9部分にメインパターンと位置測定パターンのレジストパターンを形成した(図11(c))。
次いで、上述の位置測定パターンをパターン位置精度測定機(LMS−IPRO:ケーエルエー・テンコール)で測定した。
次いで、上述のメインパターンおよび位置測定パターンを有する反射型マスク401に対して、2mm幅の遮光枠21と10μm幅の補助パターン23を形成する工程を行った。このとき、遮光枠21のエッジと補助パターン23のエッジの距離が5μmとなる位置に補助パターン23を配置した。反射型マスクにi線レジスト39を500nmの膜厚で塗布し(図12(b))、そこへi線描画機(ALTA:アプライドマテリアルズ)により遮光枠21のパターンと補助パターン23を描画、現像を行うことにより、レジストパターンを形成した(図12(c))。
次いで、硫酸系の剥離液とアンモニア過酸化水素水により、レジスト剥離・洗浄を実施し、ドライエッチングで残ったレジストを除去し(図12(f))、本発明の反射型マスク402を作製した。
表1から分かるように、補助パターン23を有しない従来の遮光枠21に対して、本発明に基づく補助パターン23を有する遮光枠21で大幅な改善が見られた。
同様に、補助パターン23の幅を2μmに狭めた場合や遮光枠21エッジと補助パターン23エッジの距離を50μmに離した場合のメインパターンの位置ずれ量を測定した結果、いずれの場合も、補助パターン23を有しない従来の反射型マスクに対して、大幅な改善が見られた。メインパターンの中で最も位置ずれが起きやすい最外周部の位置ずれ量は、比較例1の反射型マスクが1.3nmであるのに対し、本実施例1〜4では、補助パターン23を有することで、全ての場合で、位置ずれの0.5nm以下に低減できた。
02・・・多層反射層
03・・・保護層
04・・・吸収層
05・・・裏面の導電膜
09・・・レジスト
21・・・反射型マスクの遮光枠
22・・・回路パターン領域
23・・・補助パターン
24・・・回路パターン領域と補助パターンとの間のパターンの無い領域
24’・・・補助パターンと遮光枠との間のパターンの無い領域
39・・・レジスト
100・・・遮光枠を形成していない反射型マスク
200・・・遮光枠を形成した従来の反射型マスク
300・・・遮光枠と回路パターン領域の間に補助パターンを形成した本発明の反射型マスク
400・・・実施例で使用した反射型マスクブランク
401・・・実施例でパターン形成まで行った反射型マスク
402・・・実施例で遮光枠および補助パターン形成まで行った反射型マスク
500・・・反射型マスク
Claims (6)
- 基板の表面に多層反射層及び吸収層がこの順に形成され、前記吸収層に設定した回路パターン領域の外側の少なくとも一部に、前記吸収層および前記多層反射層が除去されてなる遮光枠を有する反射型マスクであって、
前記遮光枠よりも前記回路パターン領域側の位置に、前記吸収層および前記多層反射層が除去されてなる補助パターンを有し、該補助パターンの幅は前記遮光枠の幅よりも小さく、
前記多層反射層の前記遮光枠に隣接する側面は、改質処理が施されておらず、
前記補助パターンの幅は、2μm以上10μm以下であり、
前記補助パターンは、前記遮光枠のエッジから当該補助パターンのエッジまでの距離が5μm以上50μm以下であり、
前記遮光枠及び前記補助パターンは、前記回路パターン領域の外周全周を閉じるものではないことを特徴とする反射型マスク。 - 前記多層反射層は、前記多層反射層の前記遮光枠に隣接する側面における層構成と、前記側面から離れ、前記多層反射層の中央に位置する部分における層構成とが同じであることを特徴とする請求項1に記載した反射型マスク。
- 前記多層反射層と前記吸収層との間に保護層を備え、
前記多層反射層の幅は、前記保護層の幅と同じであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した反射型マスク。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した反射型マスクの製造方法であって、
基板の表面に、多層反射層と、回路パターン領域を有する吸収層とがこの順に形成されたマスクブランクに対し、前記回路パターン領域にメインパターンを形成し、前記回路パターン領域の外周に前記補助パターン及び前記遮光枠を形成する際に、
前記メインパターンを形成した後に、前記補助パターン及び前記遮光枠を一つの工程で形成することを特徴とする反射型マスクの製造方法。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した反射型マスクの製造方法であって、
基板の表面に、多層反射層と、回路パターン領域を有する吸収層とがこの順に形成されたマスクブランクに対し、前記回路パターン領域にメインパターンを形成し、前記回路パターン領域の外周に前記補助パターン及び前記遮光枠を形成する際に、
前記メインパターンを形成した後に前記補助パターンを形成し、その後、前記遮光枠を形成することを特徴とする反射型マスクの製造方法。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した反射型マスクの製造方法であって、
基板の表面に、多層反射層と、回路パターン領域を有する吸収層とがこの順に形成されたマスクブランクに対し、前記回路パターン領域にメインパターンを形成し、前記回路パターン領域の外周に前記補助パターン及び前記遮光枠を形成する際に、
前記メインパターンを形成する前に前記補助パターンを形成し、前記メインパターンを形成した後に前記遮光枠を形成することを特徴とする反射型マスクの製造方法。
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