JP6862348B2 - アルブミン融合タンパク質を精製する方法 - Google Patents

アルブミン融合タンパク質を精製する方法 Download PDF

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配列表の参照
本願は、2015年3月12日に作成され、228キロバイトのサイズを有する、「CD40L−300P1_SL.TXT」という名称のテキストファイルとしてEFS−Webを介して本願とともに提出された配列表を参照により援用する。
本発明は、概して、アルブミン融合タンパク質のトリプトファンおよび/またはメチオニン残基の低レベルの酸化を有するアルブミン融合タンパク質を精製する方法に関する。これらの残基の低レベルの酸化は、精製されたアルブミン融合タンパク質がその相対効力および生物活性を保持することを可能にする。そのアルブミン融合タンパク質は、スキャフォールド、例えば有用なヒトテネイシンCの3番目のフィブロネクチンIII型ドメイン由来のものなどを含んでもよい。本発明は、アブミン融合タンパク質を精製する方法、その方法から得られる精製されたタンパク質、および精製されたアルブミン融合タンパク質を含む組成物に関する。
近年、有望な治療薬としてタンパク質の使用への関心が高まっている。タンパク質薬の1つの不都合が、インビボで短い半減期を有する傾向がある点である。この課題を克服するため、タンパク質およびペプチドは、他の分子と複合または融合され得る。半減期を延長するための1つの選択肢は、ポリ(エチレングリコール)、すなわちPEGが幾つかの利用可能な化学反応を通じてタンパク質に共有結合される過程であるペグ化によるものである。ペグ化はまた、半減期延長に加えて、おそらく不活性PEG鎖によるタンパク質表面の遮蔽に起因して免疫原性を低下させる場合がある。ペグ化の不都合は、それが複合反応ステップと、多くは未反応のPEG鎖を除去するためのさらなる精製ステップとを必要とする点である。これらの課題に反し、幾つかの市販の生物医薬品におけるペグ化技術の利用は成功している。
半減期を延長させるための第2の選択肢は融合タンパク質技術である。この場合、治療用タンパク質は、インビボでの半減期を延長するように設計された第2のタンパク質に遺伝的に融合される。この選択肢はペグ化と同様に半減期の延長をもたらすが、融合タンパク質が単一の実体として発現され、精製されることから、それはさらなる作製ステップ(複合反応およびそれに関連する精製)を必要としない。融合タンパク質の例として、Fc融合体、トランスフェリン融合体、およびアルブミン融合体が挙げられる。それらのタンパク質はすべてヒト血漿中に高レベルに見出され、薬剤に起因するレベル上昇の影響を緩和する。
半減期延長および作製の容易性の利点に加えて、融合タンパク質はまた、精製のためのプラットフォーム手法を利用することができる場合がある。これは、多くの場合に担体タンパク質が融合タンパク質の大部分を構成し、したがって様々な融合タンパク質間の生理化学的特性が類似しているためである。プラットフォーム手法が成功するように、精製操作は担体タンパク質に対して選択的でなければならない。
本発明は、アルブミン融合タンパク質を精製する方法に関する。
本明細書中の参考文献に対する引用または考察は、それが本発明に対する先行技術であることの承認として解釈されるべきでない。
特定の態様では、本明細書中の開示は、アルブミン融合タンパク質における精製中のトリプトファンおよび/またはメチオニンの酸化を低減する方法であって、アルブミン融合タンパク質を含む組成物を、以下の精製プロセス:(a)親和性マトリックス;(b)アニオン交換マトリックスに供するステップを含み、アルブミン融合タンパク質が、オクタン酸を含む溶出緩衝液を適用することによって親和性マトリックスから溶出される、方法に関する。
さらなる態様では、本明細書中の開示は、アルブミン融合タンパク質における精製中のトリプトファンおよび/またはメチオニンの酸化を低減する方法であって、アルブミン融合タンパク質を含む組成物を、以下の精製プロセス:(a)親和性マトリックス;(b)アニオン交換マトリックスに供するステップを含み、親和性マトリックスが、(1)約2%〜約20%の、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、および2−メチル−2,4−ペンタンジオールからなる群から選択されるポリオール;(2)0.05M〜2.0Mの、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、および臭化リチウムから選択される塩;(3)約0.02M〜約0.2Mの硫酸ナトリウム;(4)約0.01%〜約1%の非イオン性界面活性剤;(5)約0.05M〜約1.0Mの尿素;または(6)約0.02M〜約0.5Mのニコチンアミドを含む洗浄用緩衝液で洗浄される、方法に関する。
さらなる態様では、本明細書中の開示は、酸化されたトリプトファン残基を本質的に含まないアルブミン融合タンパク質を含む組成物を得る方法であって、トリプトファンが酸化されたアルブミン融合タンパク質とトリプトファンが酸化されていないアルブミン融合タンパク質とを含む組成物を、疎水性相互作用マトリックスに供するステップを含み、トリプトファンが酸化されたアルブミン融合タンパク質とトリプトファンが酸化されていないアルブミン融合タンパク質とが異なる時間に疎水性相互作用マトリックスから溶出され、それにより、トリプトファンが酸化されたアルブミン融合タンパク質をトリプトファンが酸化されていないアルブミン融合タンパク質から分離する、方法に関する。
特定の態様では、本明細書中の開示は、トリプトファン/メチオニン残基の酸化を本質的に含まないアルブミン融合タンパク質を単離する方法であって、アルブミン融合タンパク質を含む組成物を、以下の精製プロセス:(a)親和性マトリックスクロマトグラフィープロセス;(b)アニオン交換クロマトグラフィープロセス;および(c)疎水性相互作用マトリックスクロマトグラフィープロセスに供するステップを含み、オクタン酸を含む溶出緩衝液が親和性マトリックスに適用され、トリプトファンが酸化されたアルブミン融合タンパク質とトリプトファンが酸化されていないアルブミン融合タンパク質とが異なる時間に疎水性相互作用マトリックスから溶出され、それにより、トリプトファンが酸化されたアルブミン融合タンパク質をトリプトファンが酸化されていないアルブミン融合タンパク質から分離する、方法に関する。
さらなる態様では、本明細書中の開示は、アルブミン融合タンパク質を精製する方法であって、アルブミン融合タンパク質を含む組成物を、疎水性相互作用マトリックスおよび以下の精製プロセス:(a)オクタン酸を含む溶出緩衝液が適用される親和性マトリックス;および/または(b)アニオン交換マトリックスの1つ以上に供するステップを含み、親和性マトリックスが、(1)約2%〜約20%の、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール、および2−メチル−2,4−ペンタンジオールからなる群から選択されるポリオール;(2)0.05M〜2.0の、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、および臭化リチウムから選択される塩;(3)約0.02M〜約0.2Mの硫酸ナトリウム;(4)約0.01%〜約1%の非イオン性界面活性剤;(5)約0.05M〜約1.0Mの尿素;または(6)約0.02M〜約0.5Mのニコチンアミドを含む洗浄用緩衝液で洗浄され、得られる精製されたアルブミン融合タンパク質が、酸化されたトリプトファン残基を本質的に含まない、方法に関する。
さらなる態様では、本明細書中の開示は、アルブミン融合タンパク質を精製する方法であって、(a)アルブミン融合タンパク質を含む組成物を親和性マトリックスに適用するステップと;(b)アルブミン融合タンパク質を(a)の親和性マトリックスから溶出させて第1の溶出液を得るステップと;(c)第1の溶出液をアニオン交換マトリックスに適用するステップと;(d)アルブミン融合タンパク質をアニオン交換マトリックスから溶出させて第2の溶出液を得るステップと;(e)第2の溶出液をアニオン交換膜に適用するステップと;アルブミン融合タンパク質を、アニオン交換膜を通過させてフロースルーを得るステップと;(f)フロースルーを疎水性相互作用マトリックスに適用するステップと;アルブミン融合タンパク質を疎水性相互作用マトリックスから溶出させて第3の溶出液を得るステップとを含み、第3の溶出液が精製されたアルブミン融合タンパク質を含む、方法に関する。
本明細書中の開示はまた、本明細書で開示される方法のいずれかによって得られるアルブミン融合タンパク質組成物に関する。
本明細書中の開示は、アルブミン融合タンパク質を含む組成物であって、20ng/mg未満の宿主細胞タンパク質を有し、トリプトファン残基の15%未満が酸化される、組成物にさらに関する。
本明細書中の開示は、アルブミン融合タンパク質を含む組成物であって、5×10-3ng/mg未満のDNAを有し、トリプトファン残基の15%未満が酸化される、組成物にさらに関する。
本明細書中の開示は、アルブミン融合タンパク質を含む組成物であって、20ng/mg未満の宿主細胞タンパク質を有し、アルブミン融合タンパク質が>90%の相対活性を有する、組成物にさらに関する。
本明細書中の開示はまた、アルブミン融合タンパク質を含む組成物であって、5×10−3ng/mg未満のDNAを有し、アルブミン融合タンパク質が>90%の相対活性を有する、組成物に関する。
本明細書中の開示は、配列番号134、135、201、202、203、204、205、206、207または208のアルブミン融合タンパク質を含む組成物であって、20ng/mg未満の宿主細胞タンパク質を有し、46位、151位または両方のトリプトファンが酸化されない、組成物にさらに関する。
本明細書中の開示はまた、(a)本明細書で開示される任意の組成物、(b)緩衝液、(c)糖、および(d)乳化剤を含む薬学的に許容できる製剤に関する。
本発明を例示することを目的に、本発明の特定の実施形態が図示される。しかし、本発明は、図示される実施形態の正確な配置および手段に限定されない。
rHSA精製プロセスの一実施形態のフローチャートを示す。 300cm/時で操作されるrHSAに対するCibacron blue色素クロマトグラフィーの代表的なクロマトグラムを示す。 アルブミン融合体精製プロセスの一実施形態のフローチャートを示す。 300cm/時で操作されるアルブミン融合タンパク質#1(AFP−1)に対するCibacron blue色素クロマトグラフィーの代表的なクロマトグラムを示す。 300cm/時で操作されるAFP−1に対する代表的なCapto Qクロマトグラムを示す。 10MV/時で操作される代表的なMustang Q膜クロマトグラムを示す。 130cm/時、結合および溶出モードで操作される代表的なToyopearl PPG−600Mクロマトグラムを示す。 (A)25mMのオクタン酸および(B)2MのNaCl溶出緩衝液を用いるアルブミン融合タンパク質のCibacron blue色素クロマトグラフィーを示す。 Mustang Q膜クロマトグラフィーにおけるpHおよびNaCl濃度の関数としてのステップ収率(図7A)およびDNAのログ減少値(LRV)(図7B)を示す。 酸化の関数としてのアルブミン融合タンパク質の相対効力を示す。□はAFP−1のメチオニンM498を表し;白丸はAFP−1のトリプトファンW46/W151を表し;◇はAFP−1のメチオニン残基M74/M179を表し;かつΔはAFP−1のメチオニンM529を表す。 SEC−HPLCによる測定としてのCapto Blue(「Blue」)およびCapto Q(「Q」)プロセスからのプロセス中間体における時間(日)にわたるトリプトファン酸化の概要を示す。 Capto MMC、Butyl−S Fast Flow、Toyopearl PPG−600M、およびToyopearl Phenyl−650Mを含む、AFP−1に対する代表的なHICクロマトグラムを示す。 Butyl−S Fast Flow(黒丸)またはPPG−600M(白丸)クロマトグラフィーの実行中に取得されたHIC画分中のHIC−HPLC初期種含量の関数としての精製されたアルブミン融合タンパク質の相対効力を示す。
本発明を詳述する前に、本発明は、具体的な組成物またはプロセスステップに限定されず、したがって変更可能であることが理解されるべきである。単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」が本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられるとき、文脈が特に明示しない限り、複数の参照対象を含むことに留意する必要がある。用語「1つの(a)」(または「1つの(an)」)ならびに用語「1つ以上」および「少なくとも1つ」は、本明細書で交換可能に用いられ得る。
さらに、「および/または」は、本明細書で用いられる場合、2つの具体的な特徴または要素の各々の、他方の有無を無関係とする特定の開示として解釈されるべきである。したがって、用語「および/または」は、本明細書で「Aおよび/またはB」などの語句中で用いられるとき、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)および「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、用語「および/または」は、「A、B、および/またはC」などの語句中で用いられるとき、以下の実施形態、すなわち、A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)の各々を包含することが意図される。
特に定義されない限り、本明細書で用いられるすべての科学技術用語は、本発明に関連する当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei−Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press;およびOxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは、本発明で用いられる多数の用語の一般的辞書を当業者に提供する。
単位、接頭辞、および記号は、それらのSysteme International de Unites(SI)に承認された形式で表される。数値範囲は、範囲を規定する数を含む。別段の指示がない限り、アミノ酸配列は、アミノからカルボキシ方向に左から右へ記述される。本明細書に提供される表題は、本発明の様々な態様または実施形態を限定するものではなく、全体として本明細書を参照することにより含まれ得る。したがって、直後に定義される用語は、全体的に本明細書を参照することにより、より十分に定義される。
実施形態が用語「含む」で本明細書中に記載される場合はいずれも、「からなる」および/または「本質的に〜からなる」の観点で記述されるそれ以外の同様の実施形態も提供されることは理解される。
アミノ酸は、IUPAC−IUB生化学命名法委員会によって推奨されるそれらの周知の3文字記号または1文字記号のいずれかによって本明細書中で参照される。同様に、ヌクレオチドは、それらの一般的に認められた1文字コードによって参照される。
用語「エピトープ」は、本明細書で用いられるとき、本発明のスキャフォールドに結合する能力があるタンパク質決定基を指す。エピトープは、通常、アミノ酸または糖側鎖などの分子の化学的活性表面集団からなり、通常、特定の三次元構造特性、ならびに特定の荷電特性を有する。立体構造および非立体構造エピトープは、後者ではなく前者への結合が変性溶媒の存在下で失われる点で区別される。
用語「フィブロネクチンIII型(FnIII)ドメイン」、「FnIIIドメイン」および「FnIIIスキャフォールド」は、2個のβシート間に分散する少なくとも7つのβストランドを有するヒトフィブロネクチンIII型ドメインに対して相同なポリペプチドを指し、βシート自体、互いに包装されてタンパク質のコアを形成し、さらにβストランドを互いに接続し、溶媒曝露であるループを含む。βシートサンドイッチの各端に少なくとも3つのかかるループが存在し、かかる端は、βストランドの方向に垂直なタンパク質の境界である。特定の実施形態では、FnIIIドメインは、AB、BC、CD、DE、EF、およびFGと名付けられた6つのループ領域に接続されるA、B、C、D、E、F、およびGと名付けられた7つのβストランドを含み、ループ領域は各βストランドを接続する。
本明細書で用いられる用語「Tn3スキャフォールド」は、少なくとも1つのFnIIIスキャフォールドを含む分子を指し、βストランドAは配列番号11を含み、βストランドBは配列番号12を含み、βストランドCは配列番号13もしくは14を含み、βストランドDは配列番号15を含み、βストランドEは配列番号16を含み、βストランドFは配列番号17を含み、かつβストランドGは配列番号18を含み、少なくとも1つのループは、「親Tn3スキャフォールド」におけるループの非天然変異体である。特定の実施形態では、Tn3モジュールのβストランドの1つ以上は、βストランドC内のシステイン残基(例えば、配列番号13もしくは14内のシステイン)およびβストランドF(配列番号17)が置換されない点を除いて、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
用語「親Tn3」は、本明細書で用いられるとき、配列番号3を含むFnIIIスキャフォールド、すなわちヒトテネイシンCの3番目のFnIIIドメイン由来の熱安定化されたシステインが改変されたFnIIIスキャフォールドを指す。
用語「多量体」または「多量体スキャフォールド」は、関連の少なくとも2つのFnIIIスキャフォールドを含む分子を指す。多量体スキャフォールドを形成するスキャフォールドは、各スキャフォールドが独立的に機能することを可能にするリンカーを介して接続され得る。
用語「単量体」、「単量体サブユニット」または「単量体スキャフォールド」は、唯一のFnIIIスキャフォールドを含む分子を指す。
用語「CD40Lに特異的な単量体サブユニット」は、本明細書で用いられるとき、「親Tn3」由来のTn3単量体を指し、Tn3単量体は、CD40Lまたはその断片、例えばCD40Lの可溶性形態に特異的に結合する。
用語「DNA」は、2つ以上の共有結合された、天然に存在するまたは修飾されたデオキシリボヌクレオチドの配列を指す。
用語「融合タンパク質」は、(i)1つ以上の治療用タンパク質もしくは断片が(ii)第2の異なるタンパク質(すなわち「異種」タンパク質)に結合したものを含むタンパク質を指す。本発明の範囲内に、アルブミン(HSA、変異体HSA、または断片HSA)が治療用タンパク質または断片と結合される。
Figure 0006862348
用語「異種部分」は、本発明のTn3スキャフォールドへの組成物の付加を示すように本明細書で用いられ、組成物は常にFnIIIドメインの一部とは限らない。例示的な異種部分として、タンパク質、ペプチド、タンパク質ドメイン、リンカー、薬剤、毒素、イメージング剤、放射性化合物、有機および無機ポリマー、ならびにFnIIIドメイン自体において固有でない活性をもたらし得る任意の他の組成物、例えば限定はされないが、ポリエチレングリコール(PEG)、細胞毒性薬、放射性核種、イメージング剤、ビオチン、二量体化ドメイン(例えば、ロイシンジッパードメイン)、ヒト血清アルブミン(HSA)もしくはそのFcRn結合部分、抗体のドメインもしくは断片(例えば、抗体可変ドメイン、CH1ドメイン、Cκドメイン、Cλドメイン、CH2、もしくはCH3ドメイン)、一本鎖抗体、ドメイン抗体、アルブミン結合ドメイン、IgG分子、酵素、リガンド、受容体、結合ペプチド、非FnIIIスキャフォールド、エピトープタグ、組換えポリペプチドポリマー、サイトカインなどが挙げられる。
用語「リンカー」は、本明細書で用いられるとき、2つ以上のスキャフォールドを結合または接続する任意の分子集合体を指す。リンカーは、スキャフォールド内のモジュール間の「スペーサー」として作用する機能を有する分子であり得るか、または追加的な機能(すなわち「機能的部分」)を有する分子でもあり得る。「異種部分」の定義に含まれる分子もリンカーとして機能し得る。
用語「接続される」、「複合される」および「融合される」は、交換可能に用いられる。これらの用語は、化学的結合または組換え手段を含むあらゆる手段により、2つ以上のスキャフォールド、異種部分、またはリンカーを一緒に結合することを指す。
用語「ドメイン」または「タンパク質ドメイン」は、安定な三次元構造にフォールディングでき、しばしばタンパク質の残りと独立し、かつ特定の機能が与えられ得るタンパク質の領域を指す。この構造は、元のタンパク質内部でドメインの機能に関連した特定の機能、例えば、酵素活性、別の分子に対する認識モチーフの作出、またはタンパク質の特定の環境内に存在するようなタンパク質にとって必要な構成成分を提供することを維持する。タンパク質ファミリー内部と関連のタンパク質スーパーファミリー内部の両方で、タンパク質ドメインは進化的に保存された領域であり得る。多量体スキャフォールドの成分について説明するとき、用語「ドメイン」、「単量体スキャフォールド」、「単量体サブユニット」、および「モジュール」は交換可能に用いることができる。「天然FnIIIドメイン」は、生体によってコードされる任意の非組換えFnIIIドメインを意味する。
「タンパク質配列」または「アミノ酸配列」は、アミノ末端からカルボキシル末端方向へのポリペプチド中のアミノ酸成分の線状表現を意味し、その表現における互いに隣接する残基はポリペプチドの一次構造において近接している。
用語「核酸」は、任意の2つ以上の共有結合されたヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体もしくは誘導体を指す。この用語は、本明細書で用いられるとき、限定はされないが、DNA、RNA、およびPNAを含む。「核酸」および「ポリヌクレオチド」は、本明細書で交換可能に用いられる。
用語「ポリヌクレオチド」は、唯一の核酸および複数の核酸を包含することが意図され、単離された核酸分子または構築物、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)またはプラスミドDNA(pDNA)を指す。用語「単離された」核酸またはポリヌクレオチドは、その天然環境から取り除かれている核酸分子、DNAまたはRNAを指す。例えば、ベクター内に含まれる、例えば本発明のスキャフォールドをコードする組換えポリヌクレオチドは、本発明の目的のために単離されたと考えられる。さらに、単離されたポリヌクレオチドの例として、異種宿主細胞内で維持された組換えポリヌクレオチド、または溶液で(部分的または実質的に)精製されたポリヌクレオチドが挙げられる。単離されたRNA分子は、本発明のポリヌクレオチドのインビボまたはインビトロでのRNA転写物を含む。本発明に従う単離されたポリヌクレオチドまたは核酸は、合成的に産生されたような分子をさらに含む。さらに、ポリヌクレオチドまたは核酸は、プロモーター、リボソーム結合部位、または転写ターミネーターなどの調節エレメントであり得るかまたはそれを含み得る。
用語「薬学的に許容できる」は、有意な有害な医学的帰結を伴わない、動物(例えば哺乳動物)に投与可能な化合物またはタンパク質を指す。
用語「生理学的に許容できる担体」は、治療された宿主に対する有意な有害な影響を有しない、またそれとともに投与される化合物の治療的特性を保持する担体を指す。1つの例示的な生理学的に許容できる担体は生理食塩水である。他の生理学的に許容できる担体とその製剤は、当業者に公知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,(18th edition),ed.A.Gennaro,1990,Mack Publishing Company,Easton,Pa.(参照により本明細書中に援用される)に記載されている。
「ポリペプチド」は、長さ、翻訳後修飾、または機能にかかわらず、アミド結合(ペプチド結合)により直線状に連結された2つ以上のアミノ酸の任意の配列を意味する。「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、本明細書で交換可能に用いられる。したがって、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、またはオリゴペプチドは、「ポリペプチド」の定義内に含まれ、用語「ポリペプチド」は、これらの用語のいずれかの代わりに、またはそれと交換可能に用いることができる。用語「ポリペプチド」はまた、限定はされないが、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解切断、または天然に存在しないアミノ酸による修飾を含む、ポリペプチドの発現後修飾の生成物を指すように意図される。ポリペプチドは、天然の生物学的供給源に由来し得るか、または組換え技術により生成され得るが、指定の核酸配列から必ずしも翻訳されるとは限らない。ポリペプチドは、任意の方法で、例えば化学合成により作製され得る。
本発明のポリペプチドとして含まれるものとして、前述のポリペプチドの断片、誘導体、類似体、または変異体、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。変異体は、天然に存在し得る、または天然に存在しない可能性がある。天然に存在しない変異体は、当該技術分野で公知の突然変異誘発技術を用いて生成され得る。変異体ポリペプチドは、保存的または非保存的アミノ酸置換、欠失、または付加を含み得る。また、「誘導体」として含まれるものとして、20の標準アミノ酸の1つ以上の天然アミノ酸誘導体を含むようなペプチドが挙げられる。
「無作為化された」または「突然変異された」は、鋳型配列に対する欠失、置換または付加を含む1つ以上のアミノ酸改変を含むことを意味する。「無作為化する」または「突然変異する」は、ある配列にかかるアミノ酸改変を導入する過程を意味する。無作為化または突然変異は、一般に核酸コード配列の、意図的、盲目的、または自発的な配列変異を通じて達成され得、任意の技術、例えば、PCR、エラープローンPCR、または化学的DNA合成により生じ得る。用語「無作為化する」、「無作為化された」、「突然変異する」、「突然変異された」などは、本明細書で交換可能に用いられる。
「同族の」または「同族の非突然変異タンパク質」は、変異体タンパク質に導入されるアミノ酸突然変異(ここで、変異体タンパク質は無作為化または突然変異される)を除き、配列が変異体タンパク質と同一のタンパク質を意味する。
「RNA」は、2つ以上の共有結合された天然に存在するかまたは修飾されたリボヌクレオチドの配列を意味する。この用語の範囲内に含まれる修飾されたRNAの一例がホスホロチオエートRNAである。
用語1つまたは複数の「本発明のスキャフォールド」は、本明細書で用いられるとき、多量体Tn3スキャフォールドおよび単量体Tn3スキャフォールドを指す。用語「標的」は、本発明の特定のスキャフォールドによって認識される化合物を指す。用語「標的」および「抗原」は、本明細書で交換可能に用いられる。用語「特異性」は、本明細書中、例えば用語「特異的に結合する」または「特異的結合」で用いられるとき、本発明のTn3スキャフォールドが1つ以上の抗原に1つ以上の抗原結合ドメインを介して結合する場合の相対的親和性を指し、かつ結合に1つ以上の抗原結合ドメインと1つ以上の抗原との間でのいくらかの相補性を伴うことを指す。この定義によると、本発明のTn3スキャフォールドは、ランダムな無関係のエピトープに結合する場合よりも容易にあるエピトープに結合するとき、そのエピトープに「特異的に結合する」と言われる。
「親和性成熟」スキャフォールドは、一般にはループ内に1つ以上の改変(それらの改変を有しない親Tn3スキャフォールドと比べてTn3スキャフォールドのエピトープに対する親和性における改善をもたらす)を有するスキャフォールドである。
用語「親和性」は、本明細書で用いられるとき、本発明の特定のTn3スキャフォールドの個別のエピトープへの結合の強さの尺度を指す。
用語「結合活性」は、本明細書で用いられるとき、本発明のTn3スキャフォールドの集団と特定のエピトープとの複合体の全体的安定性、すなわち複数のTn3スキャフォールドと抗原との結合の機能的に組み合わされた力を指す。結合活性は、個別の抗原結合ドメインと特異的エピトープとの親和性とさらに本発明のスキャフォールドの結合価の両方に関する。
用語「標的に対する作用」は、本発明のTn3スキャフォールドの1つ以上の標的への結合と、かかる結合に起因する生物学的効果を指す。これに関連して、Tn3スキャフォールド内の複数の抗原結合単位は、種々の標的および/またはエピトープと相互作用し、例えば、2つの標的を物理的に接近させ、明確な標的との相互作用を通じて代謝カスケードを誘発することなどができる。CD40Lを参照すると、「標的に対する作用」は、例えばCD40Lの1つ以上の生物学的活性の増強、刺激または活性化により達成される効果を指す。
用語「結合価」は、本明細書で用いられるとき、有望な抗原結合モジュールの数、例えば本発明のスキャフォールド内のFnIIIモジュールの数を指す。本発明のTn3スキャフォールドが2つ以上の抗原結合モジュールを含むとき、各結合モジュールは、同じ標的または異なる標的における、例えば同じエピトープまたは異なるエピトープに特異的に結合し得る。
用語「ジスルフィド結合」は、本明細書で用いられるとき、2つの硫黄原子間で形成される共有結合を含む。アミノ酸システインは、第2のチオール基とジスルフィド結合または架橋を形成し得るチオール基を含む。
用語「免疫グロブリン」および「抗体」は、生化学的に区別され得るポリペプチドの様々な広範なクラスを含む。当業者は、重鎖がγ、μ、α、δ、またはεとして分類されることを理解するであろう。それは、それぞれIgG、IgM、IgA、IgG、またはIgEとしての抗体の「クラス」を決定するこの鎖の性質である。これらのクラスの各々の修飾バージョンは、当業者にとって容易に識別可能である。本明細書で用いられるとき、用語「抗体」は、限定はされないが、インタクト抗体、修飾抗体、抗体VLもしくはVLドメイン、CHlドメイン、Cκドメイン、Cλドメイン、Fcドメイン(下記参照)、CH2、またはCH3ドメインを含む。
本明細書で用いられるとき、用語「Fcドメイン」のドメインは、抗体定常領域の一部を指す。従来から、Fcドメインという用語は、抗体の対合されるCH2、CH3およびヒンジ領域を包含するプロテアーゼ(例えばパパイン)切断生成物を指す。本開示との関連で、FcドメインまたはFcという用語は、免疫グロブリンポリペプチドのCH2、CH3およびヒンジ領域の全部もしくは一部を含む、産生手段にかかわらない任意のポリペプチド(またはかかるポリペプチドをコードする核酸)を指す。
本明細書で用いられるとき、用語「修飾抗体」は、天然に存在しないように改変された抗体の合成形態、例えば、2つの完全重鎖でない少なくとも2つの重鎖部分を含む抗体(例えば、ドメインが欠失した抗体またはミニボディのようなもの);2つ以上の抗原または単一抗原の異なるエピトープに結合するように改変された抗体の多特異性形態(例えば、二重特異性、三重特異性など))を含む。さらに、用語「修飾抗体」は、抗体の多価形態(例えば同じ抗原の3つ以上のコピーに対する三価、四価などの抗体)を含む(例えば、Antibody Engineering,Kontermann&Dubel,eds.,2010,Springer Protocols,Springerを参照)。
用語「インビボ半減期」は、その正式な意味、すなわち、ポリペプチドの生物学的活性の50%が依然として身体/標的臓器に存在する時間、またはポリペプチドの活性がその初期値の50%である時間として用いられる。機能的なインビボ半減期を測定するための選択肢として、「血清半減期」、すなわちポリペプチド分子の50%が排除される前に血漿中または血流中を循環する時間を測定してもよい。血清半減期の測定は機能的インビボ半減期の測定よりも単純であることが多く、血清半減期の規模は、通常、機能的インビボ半減期の規模の良好な指標である。血清半減期に対する代替用語は、「血漿半減期」、循環半減期、循環性半減期、血清クリアランス、血漿クリアランス、およびクリアランス半減期を含む。保持されるべき機能性は、通常、凝血原、タンパク質分解性、共同因子結合、受容体結合活性、または特定のタンパク質に関連した他のタイプの生物学的活性から選択される。
機能的インビボ半減期または血漿半減期に関連した用語「増加した」は、ポリペプチドに関連した半減期が参照分子(例えば未修飾ポリペプチド)の半減期と比べて、同等の条件下での測定として統計学的に有意に増加することを示すように用いられる。
機能的インビボ半減期または血漿半減期に関連した用語「減少した」は、ポリペプチドに関連した半減期が参照分子(例えば未修飾ポリペプチド)の半減期と比べて、同等の条件下での測定として統計学的に有意に減少することを示すように用いられる。
用語「発現」は、本明細書で用いられるとき、遺伝子が生化学物質、例えば本発明のスキャフォールドまたはその断片を生成する過程を指す。その過程は、限定はされないが遺伝子ノックダウンならびに一過性発現と安定的発現の両方を含む、細胞内部での遺伝子の機能的存在の任意の発現を含む。それは、限定はされないが遺伝子の1つ以上のmRNAへの転写、およびかかるmRNAの1つ以上のポリペプチドへの翻訳を含む。最終の所望される生成物が生化学物質である場合、発現はその生化学物質および任意の前駆物質の作出を含む。
「発現生成物」は、核酸、例えば遺伝子の転写によって生成されるメッセンジャーRNA、またはポリペプチドのいずれかであり得る。本明細書に記載の発現生成物は、転写後修飾、例えばポリアデニル化を伴う核酸、または翻訳後修飾、例えば、メチル化、グリコシル化、脂質付加(他のタンパク質サブユニット、タンパク質分解切断などと関連)を伴うポリペプチドをさらに含む。
用語「ベクター」または「発現ベクター」は、宿主細胞に導入され、宿主細胞内で所望される発現生成物を発現するための媒体として、本発明に従って用いられるベクターを意味するように本明細書で用いられる。当業者に公知であるように、かかるベクターは、プラスミド、ファージ、ウイルスおよびレトロウイルスからなる群から容易に選択され得る。一般に、本発明と適合できるベクターは、選択マーカー、適切な制限部位を含み、所望される核酸のクローニング、および真核生物または原核生物細胞中に侵入する、および/または複製する能力を促進することになる。
用語「宿主細胞」は、組換えDNA技術を用いて構築され、少なくとも1つの発現生成物をコードするベクターを保有する細胞を指す。組換え宿主からの発現生成物の単離のための過程の説明では、用語「細胞」および「細胞培養物」は、特に明確に特定されない限り、発現生成物の供給源を意味するように交換可能に用いられる、すなわち、「細胞」からの発現生成物の回収は、遠心沈殿された全細胞からの回収、または培地と懸濁細胞の両方を含有する細胞培養物からの回収のいずれかを意味する。
用語「治療する」または「治療」は、本明細書で用いられるとき、治療的処置と予防的(prophylactic)または予防的(preventative)処置の両方を指し、ここで、目的は、被験者における望まれない生理学的変化または障害、例えば炎症性疾患または状態の進行を予防または緩徐化(軽減)することである。有利であるまたは所望される臨床結果として、限定はされないが、症状の軽減、疾患の程度の低減、疾患の安定化した(すなわち悪化していない)状態、疾患進行の遅延または緩徐化、病態の回復または緩和、および寛解(部分または全体)、検出可能または検出不能のいずれかが挙げられる。
用語「治療」はまた、治療を受けていない場合での想定される生存と比べた生存の延長を意味する。治療を必要とする者は、その状態もしくは障害を既に有する者、ならびにその状態もしくは障害を有する傾向がある者またはその状態もしくは障害が予防されるべきである者を含む。
用語「被験者」、「個体」、「動物」、「患者」または「哺乳動物」は、診断、予後、または治療が所望される場合の任意の個体、患者または動物、特に哺乳類被験者を指す。哺乳類被験者は、ヒト、飼育動物、家畜、および動物園の動物、スポーツ用動物、またはペット動物、例えば、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、雌ウシなどを含む。
用語「CD40L」は、本明細書で用いられるとき、限定はされないが、T細胞の表面上で発現されるCD40L、組換え的に発現されるCD40L、大腸菌(E.coli)または他の好適な組換えタンパク質発現系から発現され、精製されるCD40L、脱グリコシル化されたCD40L、およびCD40Lの可溶性断片を指す。本明細書で用いられるとき、「CD40L」はまた、MegaCD40Lを指す。MegaCD40L(商標)は、2つの三量体CD40リガンドがACRP30/アディポネクチンのコラーゲンドメインを介して人工的に連結された高活性構築物である。この構築物は、CD40Lのインビボでの生体膜に補助された凝集を極めて有効に模擬する。それは、[CD40L+エンハンサー]の組み合わせ(Alexis biochemicals)に対する単純かつ等しく強力な代替物を提供する。用語「CD40L」は、CD40Lの単量体形態およびオリゴマー形態、例えば三量体CD40Lを指す。
用語「CD40L」は、完全長CD40Lと可溶性断片、例えばタンパク質加水分解に起因するCD40Lの細胞外ドメイン形態の両方を指す。ヒトCD40L(Swissprot:P29965)の膜結合形態および可溶性形態のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号1および配列番号2で示される。
用語「CD40L拮抗剤」または「拮抗剤」は、最も広い意味で用いられ、CD40L、およびその生物活性変異体の1つ以上の生物学的活性をインビトロ、原位置、またはインビボで部分的または完全に阻害、低減または不活化する任意の分子を含む。例えば、CD40L拮抗剤は、CD40Lへのその結合の結果として、1つ以上のCD40L分子、またはCD40もしくは他の標的に結合された1つ以上のCD40L分子の1つ以上の生物学的活性をインビボ、インビトロまたは原位置で部分的または完全に阻害、低減または不活化するように機能し得る。
用語「CD40L作動薬」または「作動薬」は、最も広い意味で用いられ、CD40L、およびその生物活性変異体の1つ以上の生物学的活性をインビトロ、原位置、またはインビボで部分的または完全に増強、刺激または活性化する任意の分子を含む。例えば、CD40L作動薬は、CD40Lへのその結合の結果として、1つ以上のCD40L分子、またはCD40Rもしくは他の標的に結合された1つ以上のCD40L分子の1つ以上の生物学的活性をインビボ、インビトロまたは原位置で部分的または完全に増強、刺激または活性化するように機能し得る。
用語「結晶」は、本明細書で用いられるとき、原子が三次元で周期的に繰り返すパターンで配置され、典型的には格子を形成する物質の固体状態の一形態を指す。
用語「空間群対称性」は、本明細書で用いられるとき、結晶格子の並進対称性を点群対称性と組み合わせる結晶の全対称性を指す。「空間群」は、格子群を識別する大文字(P、A、Fなど)に続く回転および反射要素がらせん軸および映進面を含むように拡張される点群記号により指定される。所与の空間群についての点群対称性が、空間群の格子中心記号を除去し、すべてのらせん軸を類似の回転軸により置き換え、すべての映進面を鏡面により置き換えることにより決定され得ることは留意すべきである。空間群についての点群対称性は、その逆格子の真の対称性を説明する。
用語「単位格子」は、本明細書で用いられるとき、規則的な繰り返しパターンで配置される結晶中の原子を意味し、それにおいて最小繰り返し単位が単位格子と称される。構造全体は、3つの長さ(a、b、およびc)および3つの角度(α、β、およびγ)により特徴付けられる単位格子の情報から再構築され得る。量aおよびbは格子の底辺の長さであり、γはこれら2辺間の角度である。量cは単位格子の高さである。角度αおよびβは、単位格子の底辺と垂直辺との間の角度を表す。
用語「機械可読データ格納媒体」は、本明細書で用いられるとき、機械可読データが符号化されたデータ保存材料であって、機械がこのようなデータを使用するための命令によりプログラムされ、データを所望のフォーマット、例えば、分子または分子複合体のグラフ三次元表示で表示し得るデータ保存材料を意味する。
用語「X線回折パターン」は、結晶中の分子または原子の周期的集合体のX線散乱から取得されるパターンを意味する。X線結晶学は、X線が結晶により回折されるという事実を利用する技術である。X線は、同等サイズの原子の電子雲により散乱されるのに適切な波長(オングストローム範囲内、約10-8cm)を有する。結晶中の分子または原子の周期的集合体のX線散乱から取得される回折パターンに基づき、電子密度が再構築され得る。追加の位相情報は、回折データからまたは再構築を完了させるために回折実験を補足することから抽出され得る(結晶学における位相問題)。モデルを実験的電子密度に進行的に組み込み、データに対して精密化することで正確な分子構造を生成する。X線構造座標は空間中の点の特有の構成を規定する。当業者は、タンパク質またはタンパク質−リガンド複合体、またはその一部についての構造座標セットが相対的な点セットを規定し、次いでそれが三次元中の構成を規定することを理解する。類似または同一の構成は、全く異なる座標セットにより規定され得るが、但し、座標間の距離および角度が本質的に同一のままであることを条件とする。さらに、点の構成は、座標間の距離をスカラー因子により増加または減少させる一方、角度を本質的に同一に保持することにより規定され得る。
用語「結晶構造」は、結晶質材料中で原子または分子単位を反復させた三次元または格子間隔配置を指す。結晶質材料の結晶構造は、X線結晶学的方法により決定することができ、例えば、“Principles of Protein X−Ray Crystallography”by Jan Drenth,Springer Advanced Texts in Chemistry,Springer Verlag,2nd ed.,February 199,ISBN:0387985875、および“Introduction to Macromolecular Crystallography”by Alexander McPherson,Wiley−Liss,Oct.18,2002,ISBN:0471251224を参照されたい。
用語「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(天然Fc領域またはアミノ酸配列変異体Fc領域)に起因し得、抗体アイソタイプに応じて変化する抗体または抗体断片の生物学的活性を指す。抗体エフェクター機能の例として、C1q結合および補体依存性細胞傷害性;Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えばB細胞受容体)の下方制御;およびB細胞活性化が挙げられる。
用語「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性」または「ADCC」は、特定の細胞傷害性細胞(例えばナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)上に結合される分泌性Igが、これらの細胞傷害性エフェクター細胞が抗原含有標的細胞に特異的に結合し、続いて標的細胞を細胞毒で殺滅することを可能にする場合の細胞傷害性の形態を指す。
用語「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を示す。FcRは、天然配列ヒトFcRであり得る。FcRは、IgG抗体(γ受容体)に結合し得、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIサブクラスの受容体、例えばこれらの受容体の対立遺伝子変異体あるいはスプライスされた形態を含む。同用語はまた、新生児受容体FcRnを含む。
用語「コンセンサス配列」は、複数の配列の整列化後の特定の位置での最も一般的なアミノ酸を示すタンパク質配列を指す。コンセンサス配列は、関連配列が互いに比較される場合に複数の配列の整列化の結果を表す方法である。コンセンサス配列は、各位置での整列化においていずれの残基が最も豊富であるか、また各位置での可変性の程度を示す。
用語「本質的に含まない」は、タンパク質中のアミノ酸残基の総数に対して10%未満の酸化されたトリプトファン残基、タンパク質中のアミノ酸残基の総数に対して8%未満の酸化されたトリプトファン残基、タンパク質中のアミノ酸残基の総数に対して5%未満の酸化されたトリプトファン残基、タンパク質中のアミノ酸残基の総数に対して4%未満の酸化されたトリプトファン残基、タンパク質中のアミノ酸残基の総数に対して3%未満の酸化されたトリプトファン残基、タンパク質中のアミノ酸残基の総数に対して2%未満の酸化されたトリプトファン残基、タンパク質中のアミノ酸残基の総数に対して1%未満の酸化されたトリプトファン残基を有する組成物を指す。一部の実施形態では、用語「本質的に含まない」は、タンパク質中のアミノ酸残基の総数に対して5%未満の酸化されたトリプトファン残基を有する組成物を指す。
用語「生物活性」または「活性」は、治療用タンパク質、例えばTN3スキャフォールドの生物学的活性、およびインビボでその意図される方法で機能する、例えばCD40Lに結合するその能力を指す。一部の実施形態では、活性は、「相対活性」、すなわち精製された治療用タンパク質の酸化されていない治療用タンパク質に対する活性を指す。一部の実施形態では、精製された治療用タンパク質の相対活性は、80%超、85%超、90%超、92%超、94%超、95%超、98%超または99%超である。
アルブミンの治療用タンパク質への融合は、融合された治療用タンパク質のインビボもしくは血清半減期を増加または延長させることが見出されている。しかし、かかるアルブミン融合タンパク質の精製中、特定のアミノ酸残基が酸化を受けやすく、それによりアルブミン融合タンパク質の生物活性を低減または制限する場合があることが見出されている。本発明は、アルブミン融合タンパク質中の感受性アミノ酸残基の酸化を低減する方法とかかるアルブミン融合タンパク質の精製を対象とする。一実施形態では、アルブミン融合タンパク質はスキャフォールドを含む。別の実施形態では、スキャフォールドはFn3ドメインを含む。さらに別の実施形態では、スキャフォールドは、CD40Lに結合する能力があるヒトテネイシンC(Tn3)スキャフォールドを含む。
アルブミン融合タンパク質の酸化を低減するためのプロセス
アルブミン融合タンパク質の精製プロセス中、特定のアミノ酸残基が酸化を受けやすくなる場合があり、それによりアルブミン融合タンパク質の生物活性および相対効力が阻害され得る。例えば、1つ以上のトリプトファン残基および/またはメチオニン残基が酸化を受けやすくなる場合がある。本発明によると、アルブミン融合タンパク質の感受性アミノ酸残基の酸化は、アルブミン融合タンパク質を含む溶液に適切な条件下で親和性クロマトグラフィーマトリックスおよびアニオン交換クロマトグラフィーマトリックスに供することにより低減される。
親和性マトリックスクロマトグラフィー
親和性クロマトグラフィーステップでは、アルブミンに優先的に結合する親和性マトリックスが用いられる。例えば、好適なマトリックスは、Cibacron blue色素、Reactive Blue 2、Procion Blue HB、Capto Blue、Capto Blue(high sub)、Toyopearl、AF−Blue HC−650M、Blue Sepharose、Blue Trisacryl、Mimetic Blue 1、Mimetic Blue SA、Mimetic Blue SA HLおよび他のアントラキノン型化合物、ニトロセルロースマトリックス、Life Technologies製Capture Selectなどの抗体に基づくマトリックス、脂肪酸に基づくマトリックスを含む。一実施形態では、Cibacron blue色素クロマトグラフィーは、アルブミン融合タンパク質を細胞培地からアルブミンに対するその親和性により精製するための理想的な選択である。多数のCibracon blue色素クロマトグラフィー樹脂が市販されているが、それらの多くがアルブミン融合タンパク質の大規模精製にとって理想的とは言えない。大規模精製の場合、樹脂は、宿主関連不純物との非特異的相互作用を最小化する材料からなり、良好な圧力−フロー特性を有し、また衛生化を目的としてpH極値で安定である(腐食性条件下で好ましくは安定である)必要がある。これらの特性に留意して、幾つかの市販のCibacron blue色素クロマトグラフィー樹脂(GE Healthcare製のCapto BlueおよびCapto Blue(high sub)、およびTosoh Biosciences製のToyopearl AF−Blue HC−650M)が臨床および工業規模での精製における有望な樹脂として注目されている。一部の実施形態では、2つのCapto Blueオプションのうちのhigh subバージョンが、そのより高いリガンド密度と、したがってより高い結合能力とのために好ましい。
典型的な精製プロセスでは、Cibacron blue色素カラムは、中性pHまたは弱酸性pH付近での緩衝液(例えば、リン酸塩、トリス、ビストリスなど)で平衡化され、次にアルブミン融合タンパク質を含有する清澄化細胞培養液またはプロセス中間体(Cibacron blue色素カラムが初期精製ステップでない場合)が負荷される。
様々な量のタンパク質がカラム上に負荷され得る。一部の実施形態では、約5gのタンパク質/Lの樹脂〜約100gのタンパク質/Lの樹脂、約10gのタンパク質/L〜約50gのタンパク質/Lの樹脂、または約25gのタンパク質/Lの樹脂は、親和性カラム上に負荷され得る。
試料を負荷後、(非特異的相互作用を通じて)カラムに結合されるかまたは(タンパク質−タンパク質相互作用を通じて)アルブミン融合タンパク質に結合される宿主細胞不純物をさらに除去するため、結合されたアルブミン融合タンパク質を含有する親和性クロマトグラフィーカラムは任意選択的に再平衡化され、次にはより強い緩衝液でさらに洗浄され得る。これらの不純物を除去するため、洗浄用緩衝液は最適化され得る。一実施形態では、洗浄用緩衝液は、ポリオール;塩;硫酸ナトリウム;非イオン性界面活性剤;尿素;および/またはニコチンアミドを含有する。
一実施形態では、洗浄用緩衝液は、約2%〜約20%のポリオールを含む。ポリオールは、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、および2−メチル−2,4−ペンタンジオールからなる群から選択され得る。
様々な濃度の塩が洗浄用緩衝液中に存在し得る。一部の実施形態では、塩は、適量で、例えば、約0.05M〜約2.0Mの塩、約0.1M〜約1.8Mの塩、約0.2M〜約1.5Mの塩、約0.3M〜約1.0Mの塩、約0.4M〜約0.8Mの塩、または約0.5Mの塩で存在する。塩は、当該技術分野で一般的に用いられるもの、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、および臭化リチウムから選択され得る。
様々な濃度の硫酸ナトリウムが使用可能である。硫酸ナトリウムは、約0.01M〜約0.5M、0.02M〜約0.3M、約0.04M〜約0.2M、または約0.05M〜約0.1Mの量で存在してもよい。
様々な非イオン性界面活性剤が使用可能である。例えば、一部の実施形態では、非イオン性界面活性剤は、トリトンX−100、ツイーン80、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ノノキシノール9、ポリオキサマー、ステアリルアルコール、またはソルビタンモノステアレートからなる群から選択され得る。様々な濃度の非イオン性界面活性剤が使用可能である。例えば、一部の実施形態では、非イオン性界面活性剤は、洗浄用緩衝液中に約0.01%〜約1%、約0.02%、約0.4%、約0.05%〜約0.2%、または約0.08%〜約0.01%の濃度で存在する。
様々なカオトロピック剤は当該技術分野で公知である。本発明では、尿素は洗浄用緩衝液中で用いられるべきカオトロピック剤である。尿素は、洗浄用緩衝液の約0.02M〜約1.5M、約0.05M〜約1.0M、または約0.08M〜約1.0Mの量で存在し得る。
一部の実施形態では、ニコチンアミドが洗浄用緩衝液中で用いられる。ニコチンアミドは、洗浄用緩衝液の約0.01M〜約1.0M、約0.02M〜約0.5M、約0.04M〜約0.3M、約0.06M〜約0.2M、または約0.1Mの量で存在し得る。
洗浄用緩衝液は、様々なpHレベルを有し得る。一部の実施形態では、洗浄用緩衝液のpHは、約5.0超、約5.5超、または約6.0超である。一部の実施形態では、洗浄用緩衝液のpHは、約8.0未満、約7.5未満、約7.0未満、または約6.5未満である。一部の実施形態では、洗浄用緩衝液のpHは、約5.0〜約8.0、約5.5〜約7.5、約5.5〜約7.0、約6.0〜約7.0または約6.5〜約7.0である。
本発明の別の実施形態では、洗浄用緩衝液は、約5%〜約15%のポリオール、約0.2M〜約0.8Mの塩、約0.2M〜約0.8Mの硫酸ナトリウム、約0.02%〜約0.2%の非イオン性界面活性剤、および/または約0.2M〜約1.0Mの尿素を含む。本発明の一態様では、洗浄用緩衝液は、ポリオール、1,2−プロパンジオール、塩、塩化ナトリウム、および非イオン性界面活性剤、トリトンX−100を含む。本発明の別の態様では、洗浄用緩衝液は、約0.5Mの塩化ナトリウム;約0.5Mの硫酸ナトリウム;または約10%の1,3−プロパンジオールを含む。本発明の一態様によると、洗浄用緩衝液は約5.5〜約7.0のpHを有する。
一部の実施形態では、洗浄用緩衝液は、DNA濃度を約5×102ng/mg未満のDNA、約2×102ng/mg未満のDNA、または約50ng/mg未満のDNAまで低減するのに適する。一部の実施形態では、洗浄用緩衝液は、宿主細胞タンパク質(HCP)を50,000ng/mg未満、20,000ng/mg未満、または10,000ng/mg未満まで低減するのに適する。
一部の実施形態では、精製生成物は、親和性マトリックスカラムから、生成物の結合を破壊するため、高pH緩衝液をカラムに適用するか、または高濃度の塩、穏やかな有機溶媒、または組み合わせを添加することにより溶出される。一実施形態では、溶出緩衝液は、基剤、例えばビストリス、トリス、またはリン酸基剤を含む。本発明の別の態様では、溶出緩衝液の基剤は50mMのビストリスである。別の実施形態では、溶出緩衝液は、溶出塩、例えばオクタン酸塩、NaCl、またはカプリル酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、もしくはノナン酸のナトリウム塩および/もしくはカリウム塩を含む。一部の実施形態では、溶出緩衝液はカプリル酸ナトリウムを含む。塩は、溶出緩衝液中に約5mM〜約500mM、約20mM〜約250mM、約50mM〜約200mMもしくは約75mM〜約150mMの量で存在してもよい。別の実施形態では、溶出緩衝液は、EDTA、または他のキレート剤を含む。一実施形態では、親和性マトリックス溶出緩衝液は、EDTAを適量、例えば約2mM〜約20mMのEDTAで含む。さらなる実施形態では、親和性マトリックス溶出緩衝液はオクタン酸を含む。
本発明によると、親和性クロマトグラフィーは、酸化生成物を低レベルで有する。一実施形態では、親和性クロマトグラフィー後にアルブミン融合タンパク質を含有する中間代謝物は、総タンパク質に対して、約100%未満、約90%未満、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、または約4%未満の酸化生成物を有する。別の実施形態では、親和性クロマトグラフィー後にアルブミン融合タンパク質を含有する中間代謝物は、トリプトファン残基の総数に対して、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、または約4%未満の酸化されたトリプトファン残基を有する。別の実施形態では、親和性マトリックスステップは、少なくとも1桁、2桁、3桁、1〜2桁、もしくは2〜3桁の宿主細胞タンパク質を元の試料から除去する。本発明の一実施形態では、親和性マトリックスステップは、少なくとも1桁、2桁、3桁、4桁、1〜2桁、2〜3桁、3〜4桁のDNA不純物を元の試料から除去する。
ウイルス不活化
本発明の一実施形態では、アルブミン融合タンパク質を含有する画分または試料は、存在し得るウイルスを不活化するように処理してもよい。このように、その画分/試料は、ウイルス不活化剤、例えば、トリトンX−100、ツイーン80、ツイーン20、リン酸トリ−n−ブチル、または尿素で処理してもよい。一実施形態では、ウイルス不活化ステップは、親和性クロマトグラフィーとアニオン交換クロマトグラフィーとのステップの間に実施される。このように、ウイルス不活化剤、例えばトリトンX−100は、約1秒〜約10時間、約30秒〜約5時間、約30分〜約3時間、または約2時間の期間中、約0.05%〜約3%、約0.01%〜約1%、または約0.1%〜約0.5%の量で添加してもよい。一実施形態では、ウイルス不活化剤は、約30分〜約240分、例えば130分にわたり保持される0.5%トリトンX−100(w/w)である。
アニオン交換クロマトグラフィー
本発明の別の態様では、アルブミン融合タンパク質を含有する画分または試料にアニオン交換クロマトグラフィーが施される。アニオン交換は、結合および溶出システムまたはフロースルーシステムまたは両方を介して実施してもよい。任意の好適なアニオン交換マトリックスを用いてもよい。一実施形態では、アニオン交換マトリックスは、樹脂、例えばアガロースもしくはセファローズなど、または合成微孔膜もしくはマクロ細孔膜であってもよい。好適なアニオン交換結合および溶出マトリックスとして、例えば、Q−resin、第4級アミン、DEAEが挙げられる。市販のマトリックスとして、例えば、Capto Q、Toyopearl SuperQ、ANX、DEAE、Q−Sepharose、Q−Sepharose FF、Q−Sepharose HP、およびQ−Sepharose XL、Q−Hyper D、DEAE−cellulose、QAE−cellulose、TMAE、DMAE、またはDEAE Fractogel、Mustang Q、Sartobind Q、またはSartobind STIC PAが挙げられる。かかるマトリックスは、高度に架橋されたアガロースを含み得るか、または例えば、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン、メタクリレート、もしくはポリプロピレート(polypropylate)基材を有する重合体であり得る。カラム負荷(load challenge)は、約0.1〜約50g/L、約0.5〜約40g/L、約1〜約30g/L、または約5〜約25g/Lの範囲内である。膜負荷は、約0.1〜約10g/mL、約0.2〜約5.0g/mL、約0.5〜約2.5g/mL、または約1.0〜約2.0g/mLの範囲内である。
別の実施形態では、マトリックスは、アルブミン融合タンパク質の精製を増強するように修飾される。例えば、一実施形態では、マトリックスは、デキストラン表面増量剤を有する高度に架橋されたアガロースである。別の実施形態では、ポリエーテルスルホン基剤マトリックスは第4級アミンで修飾される。別の実施形態では、ポリプロピレン基剤マトリックスは第4級アミンで修飾される。
結合および溶出システムを用いるとき、アニオン交換クロマトグラフィーステップは、中性もしくは弱酸性pHでのリン酸、トリス、およびビストリスなどの緩衝液を用いる平衡化ステップを含んでもよい。試料が負荷され、マトリックスは任意選択的に再平衡化される。ローディング緩衝液は、当該技術分野で公知のように、また標的アルブミン融合タンパク質の分離を最適化するため、pHと用いられている樹脂とに基づいて最適化される。好適なローディング緩衝液は、基剤、例えばトリスまたはビストリスを約5mM〜約200mM、約10mM〜約150mM、約20mM〜約100mM、約30mM〜約80mM、または約50mMの範囲内で、ならびに塩、例えばNaClまたはオクタン酸を約5mM〜約100mM、約10mM〜約50mM、または約20mMの量で含む。一実施形態では、アニオン交換に適したローディング緩衝液は、pH7.0で50mMのビストリス、20mMのNaClを含む。
結合および溶出システムでは、アニオン交換マトリックスの平衡化後、アルブミン融合タンパク質を含有する試料が負荷され、所望されるタンパク質がアニオン交換マトリックスに結合される。アルブミン融合タンパク質以外の溶液中に存在する材料を除去するため、結合されたアルブミン融合タンパク質を含有する親和性クロマトグラフィーカラムは洗浄用緩衝液で洗浄される。一部の実施形態では、洗浄用緩衝液はローディング緩衝液と同じである。一部の実施形態では、洗浄用緩衝液は、pH7.0で50mMのビストリス、20mMのNaClを含む。
結合されたアルブミン融合タンパク質は、アニオン交換マトリックスからステップ溶出または勾配溶出のいずれかによって溶出される。一実施形態では、アニオン交換マトリックス溶出緩衝液には、塩、例えばNaCl、CaCl2、またはKClが用いられる。緩衝液の塩濃度は、約10mM超、約10mM〜約150mM、約20mM〜約400mM、約50mM〜約300mM、約20mM〜約140mM、約30mM〜約130M、約40mM〜約120mM、または約50mM〜約110mMの範囲である。溶出におけるpH範囲は、約9未満、約6〜約8、約6〜約7.5、約6〜約7、または約6.5〜約7のpHで変化する。一部の実施形態では、結合されたアルブミン融合タンパク質は、約10mM〜約600mMの塩、例えばNaCl、または約20mM〜約400mMの塩、例えばNaClの直線勾配を用いてマトリックスから溶出される。
本発明によると、アニオン交換結合および溶出システムは、凝集生成物を低減することによって単量体含量の増加をもたらし、アルブミン融合タンパク質の酸化に関与しかつ酸化生成物を低レベルで有する不純物を除去する。一実施形態では、アルブミン融合タンパク質を含有するこのステップからの中間代謝物は、総タンパク質に対して、約100%未満、約90%未満、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満または約2%未満の酸化生成物を有する。一実施形態では、アルブミン融合タンパク質を含有するこのステップからの中間代謝物は、トリプトファン残基の総数に対して、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満または約2%未満の酸化されたトリプトファン残基を有する。別の実施形態では、アニオン交換結合および溶出ステップは、5桁超、10桁、15桁、20桁、もしくは30桁または少なくとも5〜30桁、10〜30桁、10〜40桁、15〜30桁、15〜40桁、20〜30桁、もしくは20〜40桁の宿主細胞タンパク質を元の試料から除去する。本発明の一実施形態では、アニオン交換結合および溶出ステップは、少なくとも3桁、4桁、5桁、もしくは6桁または1〜2桁、2〜3桁、3〜4桁のDNA不純物を元の試料から除去する。
一部の実施形態では、アニオン交換クロマトグラフィーマトリックスは、膜を用いるフロースルーモードである。一部の実施形態では、アルブミン融合タンパク質は、アニオン交換クロマトグラフィーマトリックスとアニオン交換膜の両方に施される。膜は、負荷前に予め調整され、平衡化されてもよい。さらに、標的アルブミン融合タンパク質がアニオン交換マトリックスに結合しないように、ローディング緩衝液のpHを調節してもよい。このように、DNA、宿主細胞タンパク質(HCP)、ウイルス、および小分子不純物を含む任意の汚染材料は、標的アルブミン融合タンパク質から分離してもよい。
本発明によると、一実施形態では、膜は、約9未満、約6〜約8、約6.5〜約7.5、約6〜約7.5、もしくは約7〜約7.5の範囲のpH、または約6、7、8もしくは9のpHで機能する。別の実施形態では、緩衝液の塩濃度は、10mM超または約10mM〜約200mM、約40mM〜約180mM、約50mM〜約150mM、約60mM〜約120mM、約60mM〜約80mMの範囲となる。一部の実施形態では、緩衝液の塩濃度は、約50mM、約60mM、または約70mMである。他の実施形態では、フロースルー緩衝液は、10mM〜150mMの塩濃度および6〜8のpHを有する。別の実施形態では、フロースルー緩衝液は、10mM超の塩濃度および8未満のpHを有する。特に、収率とDNAクリアランスの両方が、低いpH、例えば約7〜約7.5と、より高い塩濃度、例えば60mM超の塩でのアルブミン融合タンパク質において最適であることが認められた。
本発明によると、アニオン交換フロースルーシステムは、低レベルの酸化生成物を伴う単量体含量の増加と、HCPおよびDNAを含む不純物の除去をもたらす。一実施形態では、アルブミン融合タンパク質を含有するこのステップからの生成物は、総タンパク質に対して、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満または約2%未満の酸化生成物を有する。別の実施形態では、アルブミン融合タンパク質を含有するこのステップからの生成物は、トリプトファン残基の総数に対して、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満または約2%未満の酸化されたトリプトファン残基を有する。別の実施形態では、フロースルーアニオン交換ステップは、1桁超または2桁超の宿主細胞タンパク質を元の試料から除去する。本発明の一実施形態では、フロースルーアニオン交換ステップは、少なくとも3桁、4桁、5桁、もしくは6桁、8桁、9桁、もしくは10桁、または3〜6桁、4〜6桁、もしくは5〜6桁、8〜10桁もしくは9〜10桁のDNA不純物を元の試料から除去する。
本発明によると、アニオン交換の結合および溶出モードは、アニオン交換のフロースルーモードと組み合わせて実施してもよい。さらなる任意選択的な精製ステップは、アニオン交換ステップの前、間、または後に実施してもよい。例えば、エンベロープウイルスを不活化するため、アルブミン融合タンパク質を含む試料をトリトンX−100で処理してもよい。あるいは、試料はダイアフィルトレーションまたは限界濾過を受けてもよい。塩は好適な濃度で添加してもよい。一実施形態では、アルブミン融合タンパク質を含有する溶出液は、pH7.0での50mMのビストリス、20mMのNaClに対してダイアフィルトレーションされる。
追加的な精製ステップ
追加的な精製ステップは、アルブミン融合タンパク質を含む溶出液/画分に疎水性相互作用またはマルチモーダルマトリックスに供することを含んでもよい。疎水性相互作用マトリックスは任意の好適なマトリックスであってもよい。場合により、疎水性相互作用マトリックスは、フェニル、オクチルまたはブチル疎水基を含む。疎水性相互作用マトリックスは、市販されており、当業者に公知であり、例えば、Capto Butyl、Capto Phenyl、Capto Butyl、Butyl−S Fast Flow(GE Healthcase Life Sciences,Piscataway,NJ)、Toyopearl Hexyl、Toyopearl Butyl、Toyopearl Phenyl、Toyopearl PPG、Toyopearl Ether、Toyopearl PPG−600M、およびToyopearl Phenyl−650M、Toyopearl PPG−600M、TSKgel Phenyl、TSKgel Ether(TOSOH Corporations,Tokyo,Japan)、Macro−Prep Methyl(Bio−Rad Labboratories,Hercules,CA)が挙げられる。マルチモーダルマトリックスは任意の好適なマトリックスであってもよい。場合により、マルチモーダルマトリックスは、カチオンまたはアニオン交換基とともに、フェニル、オクチルまたはブチル疎水基を含む。マルチモーダルマトリックスは、市販されており、当業者に公知であり、例えば、Capto MMC、Eshmuno HCX、Nuvia cPrime、またはToyopearl MX−Trp−650Mが挙げられる。アルブミン融合タンパク質が、任意選択的に、塩、例えば、カチオンとして、アンモニウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、もしくはグアニジウム塩、および/またはアニオンとして、硫酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、硝酸塩、もしくは塩素酸塩を含有する緩衝液で平衡化されることは見出されている。例えば、一部の実施形態では、塩は、適量の塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、または硫酸アンモニウムであり、例えば、約100mM〜約2M、約200mM〜約1.5M、約300mM〜約1M、約400mM〜約800mMの塩、例えばクエン酸塩である。平衡化後、アルブミン融合タンパク質を含有する試料/画分はカラム上に負荷される。一実施形態では、カラムは再平衡化され、次に低下した塩濃度を有する緩衝液に対する段階または勾配を用いて溶出される。
別の実施形態では、画分は、アルブミン融合タンパク質を含む溶出液/画分をナノ濾過に供することにより、さらに精製してもよい。一部の実施形態では、潜在的なウイルス粒子を除去するため、ナノ濾過を用いることができ、当業者にとって標準的な方法で実施することができる。
他の実施形態では、アルブミン融合タンパク質をさらに精製するため、画分にサイズ排除クロマトグラフィーを施してもよい。
本発明の別の実施形態では、酸化されたトリプトファン残基を本質的に含まないアルブミン融合タンパク質を含む組成物を得る方法が提供される。本実施形態によると、本方法は、トリプトファンが酸化されたアルブミン融合タンパク質とトリプトファンが酸化されていないアルブミン融合タンパク質とを含む組成物を疎水性相互作用マトリックスに供するステップを含み、トリプトファンが酸化されたアルブミン融合タンパク質とトリプトファンが酸化されていないアルブミン融合タンパク質とが異なる時間に疎水性相互作用マトリックスから溶出され、それにより、トリプトファンが酸化されたアルブミン融合タンパク質をトリプトファンが酸化されていないアルブミン融合タンパク質から分離する。
本発明の別の実施形態は、トリプトファン残基および/またはメチオニン残基の酸化を本質的に含まないアルブミン融合タンパク質を単離する方法を対象とする。本実施形態によると、アルブミン融合タンパク質を含む組成物に以下の精製プロセス:(a)親和性マトリックスクロマトグラフィープロセス;(b)アニオン交換クロマトグラフィープロセス;および(c)疎水性相互作用マトリックスクロマトグラフィープロセスが施される。カプリル酸/オクタン酸を含む親和性マトリックスクロマトグラフィープロセス用の溶出緩衝液と、一部の実施形態ではさらにEDTAとが親和性マトリックスに適用される。さらに、トリプトファンが酸化されたアルブミン融合タンパク質とトリプトファンが酸化されていないアルブミン融合タンパク質とが異なる時間に疎水性相互作用マトリックスから溶出され、それにより、トリプトファンが酸化されたアルブミン融合タンパク質をトリプトファンが酸化されていないアルブミン融合タンパク質から分離する。
本発明の別の態様は、アルブミン融合タンパク質を精製する方法であって、アルブミン融合タンパク質を含む組成物を、疎水性相互作用マトリックスおよび以下の精製プロセス:(a)カプリル酸/オクタン酸を含む溶出緩衝液と一部の実施形態ではさらにEDTAとが適用される親和性マトリックス;および/または(b)アニオン交換マトリックスの1つ以上に供するステップを含む、方法である。本実施形態によると、親和性マトリックスは、(1)約2%〜約20%の、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、および2−メチル−2,4−ペンタンジオールからなる群から選択されるポリオール;(2)0.05M〜2.0の、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、および臭化リチウムから選択される塩;(3)約0.02M〜約1Mの硫酸ナトリウム;(4)約0.01%〜約1%の非イオン性界面活性剤;(5)約0.05M〜約1.0Mの尿素;および/または(6)約0.02M〜約0.5Mのニコチンアミドを含む洗浄用緩衝液で洗浄され得る。得られる精製されたアルブミン融合タンパク質は、酸化されたトリプトファン残基を本質的に含まない。
アルブミン融合タンパク質を精製する方法は、アルブミン融合タンパク質を含む組成物を親和性マトリックスに適用するステップと;アルブミン融合タンパク質を親和性マトリックスから溶出させて第1の溶出液を得るステップと;第1の溶出液をアニオン交換マトリックスに適用するステップと;アルブミン融合タンパク質をアニオン交換マトリックスから溶出させて第2の溶出液を得るステップと;第2の溶出液をアニオン交換膜に適用するステップと;アルブミン融合タンパク質を、アニオン交換膜を通過させてフロースルーを得るステップと;フロースルーを疎水性相互作用マトリックスに適用するステップと;アルブミン融合タンパク質を疎水性相互作用マトリックスから溶出させて第3の溶出液を得るステップとを含み、第3の溶出液が精製されたアルブミン融合タンパク質を含む。本実施形態によると、得られる精製されたアルブミン融合タンパク質は、5%以下の酸化されたトリプトファン残基を有する。
精製されたアルブミン融合タンパク質の組成物
精製されたアルブミン融合タンパク質を含む組成物は、本発明の範囲内に含まれる。これらの組成物は、低レベルの宿主細胞タンパク質、DNA、およびウイルス活性という特質がある。加えて、精製されたアルブミン融合タンパク質を含むこれらの組成物は、低レベルの酸化および保持された生物活性を有する。
本発明に従って精製されたアルブミン融合タンパク質を含む組成物または画分は、約1000ng/mg未満、200ng/mg、100ng/mg、50ng/mg、40ng/mg、30ng/mg、20ng/mgもしくは10ng/mgの宿主細胞タンパク質を有する。一実施形態では、アルブミン融合タンパク質含有組成物は、20ng/mg未満の宿主細胞タンパク質を有する。一部の実施形態では、アルブミン融合タンパク質組成物は、ヒト被験者への投与のため、政府組織、例えばアメリカ食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)に対して許容できるレベルの宿主細胞タンパク質を有する。
さらに、本発明に従って精製されたアルブミン融合タンパク質を含む組成物または画分は、約5×10-2未満、1×10-2、5×10-3、1×10-3、5×10-4、もしくは1×10-4ng/mgを有する。一実施形態では、本発明に従って精製されたアルブミン融合タンパク質は、5×10-3ng/mg未満のDNAを有する。一部の実施形態では、アルブミン融合タンパク質組成物は、ヒト被験者への投与のため、政府組織、例えばアメリカ食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)に対して許容できるレベルのDNAを有する。
アルブミン融合タンパク質に対するトリプトファン/メチオニン残基の酸化がタンパク質の生物活性および相対効力に影響し得ることが見出されている。本発明の方法に従って精製され、得られたアルブミン融合タンパク質は、低レベルの酸化を有する。本発明の一実施形態では、アルブミン融合タンパク質の相対効力は、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%もしくは少なくとも95%である。別の実施形態では、アルブミン融合タンパク質は、タンパク質中のトリプトファン残基の総量に対して、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、もしくは5%未満の酸化されたトリプトファン残基を有する。一実施形態では、アルブミン融合タンパク質は、タンパク質の総量に対して約20%未満の酸化されたトリプトファン残基を有する。別の実施形態では、アルブミン融合タンパク質は、タンパク質中のトリプトファン残基の総数に対して、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満もしくは5%未満の酸化されたトリプトファン残基を有する。本発明の一実施形態では、アルブミン融合タンパク質は、タンパク質中のトリプトファン残基の総数に対して約5%未満の酸化されたトリプトファン残基を有する。
本発明の範囲内の組成物はアルブミン融合タンパク質を含み、組成物は5×10-3ng/mg未満のDNAを有し、15%未満のトリプトファン残基が酸化される。一実施形態では、組成物は5×10-3ng/mg未満のDNAを有し、5%未満のトリプトファン残基が酸化されたアルブミン融合タンパク質を有する。
本発明の別の組成物はアルブミン融合タンパク質を含み、組成物は20ng/mg未満の宿主細胞タンパク質を有し、アルブミン融合タンパク質は>90%の相対活性を有する。
本発明の一実施形態はアルブミン融合タンパク質を含む組成物であり、組成物は5×10-3ng/mg未満のDNAを有し、アルブミン融合タンパク質は>90%の相対活性を有する。
アルブミン融合タンパク質
アルブミン、例えばヒト血清アルブミン(HSA)、またはその断片もしくは変異体は、血流中のタンパク質の半減期および/またはその組織透過性を増加または延長させるため、治療用タンパク質に融合または複合させてもよい。一部の実施形態では、HSA変異体との複合によって改善される特性は血漿半減期である。アルブミン融合タンパク質の血漿半減期における改善は、血漿半減期の増加または減少などのその特性における改変、または他の薬物動態パラメータにおける変化であり得る。
治療用タンパク質のインビボまたは血清半減期を延長または増加させるアルブミンまたはHSAの断片もしくは変異体は、本発明の範囲内に含まれる。少なくともアミノ酸の置換、欠失、または配列切断を含むHSA変異体、すなわち完全長HSA(配列番号138)由来の分子は、先行的に開示されている。例えば、以下の公開、すなわち、国際公開第2011/103076号パンフレット、国際公開第2011/051489号パンフレット、および国際公開第2012/112188号パンフレットは、用いてもよいHSA変異体について記載している。一実施形態では、アルブミンはHSAである。別の実施形態では、アルブミンは変異体HSAである。
一部の実施形態では、HSA変異体は完全長HSA(配列番号138)由来の突然変異体である。具体的な実施形態では、HSA変異体は、34位のシステインとセリンとの置換を含む(配列番号133)。例えば、Tn3スキャフォールドの血漿半減期を修飾するのに使用可能なHSA変異体は、例えば国際公開第2011/103076号パンフレットおよび国際公開第2011/051489号パンフレット(これらの両方はそれら全体が参照により援用される)に記載されている。一部の実施形態では、本発明の治療用タンパク質の血漿半減期は、それをHSAのドメインIII内に少なくとも1つのアミノ酸置換を含むHSA変異体と融合することにより増加される。別の実施形態は、変異体HSAのアミノ酸配列が配列番号133である場合を含む。
一部の実施形態では、本発明のアルブミン融合タンパク質は、407、415、463、500、506、508、509、511、512、515、516、521、523、524、526、535、550、557、573、574、および580からなる群から選択される位置での、完全長成熟HSA中の位置に対して付番された、少なくとも1つのアミノ酸置換を除き、完全長成熟HSAの配列(配列番号138)を含むHSA変異体またはその断片を含み;ここで、少なくとも1つのアミノ酸置換は573位でのリジン(K)からグルタミン酸(E)を含まず、また治療用タンパク質は、HSA変異体に複合されない同じ治療用タンパク質の血漿半減期より長い血漿半減期を有する。
一部の他の実施形態では、完全長成熟HSA中の位置に対して付番された少なくとも1つのアミノ酸置換は、463、508、523、および524からなる群から選択される位置であり、ここで、治療用タンパク質は、HSA変異体に複合されない治療用タンパク質の血漿半減期より長い血漿半減期を有する。
他の実施形態では、本発明のアルブミン融合タンパク質は、
(a)407位のロイシン(L)とアスパラギン(N)またはチロシン(Y)との置換;
(b)415位のバリン(V)とトレオニン(T)との置換;
(c)463位のロイシン(L)とアスパラギン(N)との置換;
(d)500位のリジン(K)とアルギニン(R)との置換;
(e)506位のトレオニン(T)とチロシン(Y)との置換;
(f)508位のトレオニン(T)とアルギニン(R)との置換;
(g)509位のフェニルアラニン(F)とメチオニン(M)またはトリプトファン(W)との置換;
(h)511位のアラニン(A)とフェニルアラニン(F)との置換;
(i)512位のアスパラギン酸(D)とチロシン(Y)との置換;
(j)515位のトレオニン(T)とグルタミン(Q)との置換;
(k)516位のロイシン(L)とトレオニン(T)またはトリプトファン(W)との置換;
(l)521位のアルギニン(R)とトリプトファン(W)との置換;
(m)523位のイソロイシン(I)とアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、グリシン(G)、リジン(K)、またはアルギニン(R)との置換;
(n)524位のリジン(K)とロイシン(L)との置換;
(o)526位のグルタミン(Q)とメチオニン(M)との置換;
(p)535位のヒスチジン(H)とプロリン(P)との置換;
(q)550位のアスパラギン酸(D)とグルタミン酸(E)との置換;
(r)557位のリジン(K)とグリシン(G)との置換;
(s)573位のリジン(K)とフェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)、プロリン(P)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)との置換;
(t)574位のリジン(K)とアスパラギン(N)との置換;
(u)580位のグルタミン(Q)とリジン(K)との置換;および
(v)前記置換の2つ以上の組み合わせ
からなる群から選択される、完全長成熟HSA中の位置に対して付番された、少なくとも1つのアミノ酸置換を除き、完全長成熟HSAの配列(配列番号133または138)を含むHSA変異体またはその断片を含み、ここで、治療用タンパク質は、前記HSA変異体に複合されない同じ治療用タンパク質の血漿半減期より長い血漿半減期を有する。
一部の実施形態では、アルブミン融合タンパク質は、
(a)463位のロイシン(L)とアスパラギン(N)との置換;
(b)508位のトレオニン(T)とアルギニン(R)との置換;
(c)523位のイソロイシン(I)とアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、グリシン(G)、リジン(K)、またはアルギニン(R)との置換;
(d)524位のリジン(K)とロイシン(L)との置換;および
(e)前記置換の2つ以上の組み合わせ
からなる群から選択される、完全長成熟HSA中の位置に対して付番された、少なくとも1つのアミノ酸置換を除き、完全長成熟HSAの配列(配列番号133または138)を含むHSA変異体またはその断片を含み、ここで、前記治療用タンパク質は、前記HSA変異体に複合されない同じ治療用タンパク質の血漿半減期より長い血漿半減期を有する。
アルブミン融合タンパク質は、標準技術により、例えば公的に利用可能な遺伝子配列を用いて構築された組換え融合遺伝子からの融合タンパク質の発現により作製してもよい。
治療用タンパク質は、その半減期を増加または延長するためにアルブミンに融合または複合され得る任意のタンパク質であってもよい。一実施形態では、治療用タンパク質は、トリプトファン残基を含むスキャフォールド部分を含み、ここで、トリプトファンの酸化はアルブミン融合タンパク質の生物学的活性を低下させる。別の実施形態では、タンパク質はCD40Lに結合する能力がある。別の実施形態では、治療用タンパク質は、CD40Lに結合する能力があるスキャフォールド部分である。別の実施形態は、スキャフォールド部分が3番目のフィブロネクチンIII型(FnIII)ドメインを含むことを可能にする。FnIIIドメインを含むスキャフォールドは、例えば、国際公開第98/56915号パンフレット、国際公開第2009/023184号パンフレット、国際公開第2009/05379号パンフレット、国際公開第2010/051274号パンフレット、国際公開第2010/093627号パンフレット)に先行的に記載されている。一部の実施形態では、FnIIIドメインは、ヒトテネイシンC(Tn3スキャフォールド)に由来してもよい。かかるTn3スキャフォールドは、例えば、国際公開第2009/05379号パンフレット、国際公開第2010/051274号パンフレット、および国際公開第2013/055745号パンフレットに記載されている。
スキャフォールドに融合されるアルブミン
本発明の一実施形態では、アルブミン融合タンパク質はスキャフォールドを含む。例えば、スキャフォールドは、少なくとも1つの天然に存在しない分子内ジスルフィド結合が改変されている、ヒトテネイシンC(Tn3)の3番目のFnIIIドメインに由来するCD40Lに特異的な単量体サブユニットを含んでもよい。本発明のTn3スキャフォールドを形成する単量体サブユニットは、互いに独立して正確にフォールディングし、それらの結合特異性および親和性を保持し、単量体スキャフォールドの各々はその機能的特性を保持する。単量体サブユニットが高い結合価の多量体Tn3スキャフォールドにおいて構築される場合、単量体サブユニットは、互いに独立して正確にフォールディングし、それらの結合特異性および親和性を保持し、単量体の各々はその機能的特性を保持する。
2つ以上の単量体サブユニットを含む本発明のスキャフォールドは、複数のエピトープに結合する、例えば、(i)単一の標的中の複数のエピトープに結合する、(ii)複数の標的中の単一のエピトープに結合する、(iii)1つの標的の異なるサブユニット上に位置する複数のエピトープに結合する、または(iv)複数の標的上の複数のエピトープに結合することができ、そのため、結合活性が増強される。
さらに、リンカーを介した複数の単量体間の距離が変動する可能性に起因し、多量体Tn3スキャフォールドは、表面上(同じ細胞/表面上または異なる細胞/表面内のいずれか)の複数の標的分子に結合する能力を有する。同時に2つ以上の標的に結合するその能力の結果として、本発明のTn3多量体スキャフォールドは、複数の経路を調節し、細胞表面上の受容体に架橋し、別々の細胞上の細胞表面受容体に結合し、かつ/または標的分子もしくは細胞を基材に結合させるために用いることができる。
さらに、本発明は、親和性成熟スキャフォールドを提供し、ここで、スキャフォールドの特異的標的に対する親和性は突然変異を介して調節される。さらに、本発明は、本発明のスキャフォールドを作製するための方法とともに、望ましい物理化学的、薬理学的、または免疫学的特性を有するスキャフォールドに改変するための方法を提供する。さらに、本発明は、かかるスキャフォールドにおける使用、ならびに治療的、予防的、および診断的使用のための方法を提供する。
一実施形態では、アルブミン融合タンパク質は、Tn3スキャフォールド、例えば2012年10月10日に出願されたPCT出願公開の国際公開第2013/055745号パンフレットに記載されかつ参照により本明細書に援用されるものを有する。アルブミン−Tn3スキャフォールド融合タンパク質を精製するとき、トリプトファンおよびメチオニン残基が酸化を受けやすいことが見出されている。例えば、Tn3スキャフォールドが、配列番号134、135、201、202、203、204、205、206、207もしくは208のアルブミン融合タンパク質から選択される場合、精製プロセス中、酸化がTn3の結合ループ上のトリプトファンアミノ酸残基W46/151、ならびにTn3およびヒト血清アルブミン上のメチオニンアミノ酸残基M74/179、M498、M529で生じ得ることが見出されている。影響研究によると、アルブミン−Tn3スキャフォールドタンパク質のW46/151、M74/179、M498、およびM529での酸化が生物活性に影響し得ることが示された。特に、Tn3の結合ループ上のW46/151での酸化がMEDI4920の生物活性および相対効力に負の影響を与えることが見出された。しかし、M74/179、M498、およびM529での酸化が有する融合タンパク質の生物活性への影響はより少なかった。それにもかかわらず、本発明の目標は、アルブミン融合タンパク質の感受性アミノ酸の酸化を制御することを意図して、精製プロセスを通じてアルブミン融合タンパク質の酸化種を低減することである。
FnIII構造モチーフ
本発明の好適なスキャフォールドは、生物およびウイルスの3つすべてのドメインを通じて、また多数のタンパク質クラス内に広範に見出されるドメインであるIII型フィブロネクチンモジュール(FnIII)の構造に基づくものを含む。特定の実施形態では、本発明のスキャフォールドは、ヒトテネイシンCの3番目のFnIIIドメインに由来する(国際公開第2009/058379号パンフレットとして公開された国際出願第PCT/米国特許出願公開第2008/012398号明細書;国際公開第2011/130324号パンフレットとして公開されたPCT/米国特許出願公開第2011/032184号明細書;および国際公開第2011130328号パンフレットとして公開された国際出願第PCT/米国特許出願公開第2011/032188号明細書を参照)。
具体的な一実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、親Tn3スキャフォールド由来のCD40Lに特異的な単量体サブユニットを含む。単量体の三次元フォールド全体は、ラクダおよびラクダ類(例えばラマ)の単一ドメイン抗体中に全抗原認識単位を含む、最小機能抗体断片である重鎖の可変領域(VH)のそれに密接に関連する。
本発明のTn3単量体サブユニットとテネイシンC由来の天然FnIIIドメインは、同じ三次元構造、すなわち、一方に3つのβストランド(A、B、およびE)ともう一方に4つのβストランド(C、D、F、およびG)を有するβサンドイッチ構造が6つのループ領域によって連結される構造によって特徴付けられる。これらのループ領域は、各ループのN末端およびC末端に連結されたβストランドに応じて名付けられる。したがって、ABループはβストランドAおよびB間に位置し、BCループはストランドBおよびC間に位置し、CDループはβストランドCおよびD間に位置し、DEループはβストランドDおよびE間に位置し、EFループはβストランドEおよびF間に位置し、かつFGループはβストランドFおよびG間に位置する。FnIIIドメインは、無作為化に耐性がある溶媒に曝露されたループを有し、特異的標的に高い親和性で結合する能力があるタンパク質スキャフォールドの多様なプールの作製が容易になる。
本発明の一態様では、Tn3単量体サブユニットに、抗体可変領域の相補性決定領域(CDR)に類似するループの1つ以上を無作為化するように設計された定向進化が施される。かかる定向進化手法は、目的の標的、例えばCD40Lに対して高い親和性を有する抗体様分子の産生をもたらす。
さらに、一部の実施形態では、かかる導入されたループに結合する分子の進化を導くため、本明細書に記載のTn3スキャフォールドは、規定の曝露されたループ(例えば、標的結合に基づいて予め無作為化および選択がなされたループ)を提示するように用いることができる。任意の個別のCDR様ループに対する認識分子を同定するため、あるいは、非線形エピトープ結合部分に複合された2つもしくは3つすべてのCDR様ループを認識するため、このタイプの選択を実施することができる。特異的な標的結合をもたらし得る(BC、DE、およびFGと名付けられた)3つのループのセットは、それぞれストランドBおよびC間;ストランドDおよびE間、かつβストランドFおよびG間で作動する。ヒトテネイシンCの3番目のFnIIIドメインのBC、DE、およびFGループは、アミノ酸残基長がそれぞれ9、6、および10である。これらのループの長さは、抗体重鎖内に見出される同族抗原認識ループの狭い範囲内、すなわちそれぞれ7〜10、4〜8、および4〜28アミノ酸長に該当する。同様に、ループの第2のセットであるAB、CD、およびEFループ(それぞれ7、7、および8アミノ酸長)は、それぞれβストランドAおよびB間;βストランドCおよびD間;かつβストランドEおよびF間で作動する。
Tn3単量体スキャフォールド内のループは、標的に対する高親和性結合に向けて無作為化および選択がなされると、抗体中の同族CDRループの接触と同等に標的と接触する場合がある。したがって、一部の実施形態では、AB、CD、およびEFループは、1つ以上の標的、例えばCD40Lへの高親和性結合に向けて無作為化および選択がなされる。一部の実施形態では、この無作為化および選択プロセスはBC、DE、およびFGループの無作為化と並行して実施してもよいが、他の実施形態では、この無作為化および選択プロセスは順番に実施される。
CD40Lに特異的な単量体サブユニット
本発明は、複数のループ領域に連結された複数のβストランドドメインを含む、CD40Lに特異的な天然に存在しない組換えTn3スキャフォールドを提供し、ここで、前記ループ領域の1つ以上は、野生型Tn3(配列番号3)内の同族ループからの少なくとも1つのアミノ酸の欠失、置換または付加によって変化する(表1を参照)。
新規な結合特性を有する改善されたCD40Lに特異的なTn3単量体サブユニットを作製するため、親Tn3にアミノ酸付加、欠失または置換が施される。CD40Lに特異的なTn3単量体サブユニットの配列を親Tn3の配列と比較するとき、βストランドおよびループの同じ定義が用いられることは理解されるであろう。一部の実施形態では、本発明のCD40Lに特異的なTn3単量体サブユニットは、アミノ酸配列:
Figure 0006862348
を含み、ここで、
(a)XAB、XBC、XCD、XDE、XEF、およびXFGがそれぞれAB、BC、CD、DE、EF、およびFGループの配列内に存在するアミノ酸残基を表し;
(b)X1がアミノ酸残基のアラニン(A)またはトレオニン(T)を表し;かつ
(c)ループの長さnが2〜26の整数である。
Figure 0006862348
Figure 0006862348
一部の実施形態では、本発明のCD40Lに特異的なTn3単量体サブユニットは、アミノ酸配列:
Figure 0006862348
からなり、ここで、
(a)XAB、XBC、XCD、XDE、XEF、およびXFGがそれぞれAB、BC、CD、DE、EF、およびFGループの配列内に存在するアミノ酸残基を表し;
(b)X1がアミノ酸残基アラニン(A)またはトレオニン(T)を表し;かつ
(c)ループの長さnが2〜26の整数である。
一実施形態では、CD40Lに特異的なTn3単量体スキャフォールドのβストランドは、親Tn3スキャフォールドのβストランド(配列番号3)に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。配列同一性のかかる百分率を計算するため、アミノ酸配列は当該技術分野で公知の方法を適用して整列される。配列同一性の百分率は、(a)配列整列化において同一であるβストランド内に位置するアミノ酸の数と(b)βストランド内に位置するアミノ酸の総数との比として定義される。
一実施形態では、ABループの配列は配列番号4または配列番号136を含む。別の実施形態では、CDループの配列は配列番号6を含む。別の実施形態では、EFループの配列は配列番号8または配列番号137を含む。一実施形態では、ABループの配列は配列番号4または配列番号136からなる。別の実施形態では、CDループの配列は配列番号6からなる。別の実施形態では、EFループの配列は配列番号8または配列番号137からなる。
一実施形態では、BCループの配列は、配列番号83、84、85、86、87、88、89、90、91、92および93からなる群から選択される配列を含む。別の実施形態では、BCループの配列は、配列番号83、84、85、86、87、88、89、90、91、92および93からなる群から選択される配列からなる。
一実施形態では、DEループの配列は、配列番号94、95、96、97および98からなる群から選択される配列を含む。別の実施形態では、DEループの配列は、配列番号94、95、96、97および98からなる群から選択される配列からなる。
一実施形態では、FGループの配列は、配列番号9、99、および139からなる群から選択される配列を含む。別の実施形態では、FGループの配列は、配列番号9、99、および139からなる群から選択される配列からなる。
一実施形態では、BCループの配列は、配列番号100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116および117からなる群から選択される配列を含む。別の実施形態では、BCループの配列は、配列番号100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116および117からなる群から選択される配列からなる。
一部の実施形態では、DEループの配列は、配列番号118、119、120、121、122、123、124、125、126、127および128からなる群から選択される配列を含む。他の実施形態では、DEループの配列は、配列番号118、119、120、121、122、123、124、125、126、127および128からなる群から選択される配列からなる。
一部の実施形態では、FGループの配列は、配列番号129および130からなる群から選択される配列を含む。他の実施形態では、FGループの配列は、配列番号129および130からなる群から選択される配列からなる。
一部の実施形態では、BCループの配列は配列番号83を含み、DEループの配列は配列番号94を含み、かつFGループの配列は配列番号9または139を含む。一部の実施形態では、BCループの配列は配列番号83からなり、DEループの配列は配列番号94からなり、かつFGループの配列は配列番号9または139からなる。
一部の実施形態では、BCループの配列は配列番号83を含み、DEループの配列は配列番号94を含み、かつFGループの配列は配列番号99を含む。他の実施形態では、BCループの配列は配列番号83からなり、DEループの配列は配列番号94からなり、かつFGループの配列は配列番号99からなる。
一部の実施形態では、BCループの配列は配列番号84を含み、DEループの配列は配列番号95を含み、かつFGループの配列は配列番号9または139を含む。他の実施形態では、BCループの配列は配列番号84からなり、DEループの配列は配列番号95からなり、かつFGループの配列は配列番号9または139からなる。
一部の実施形態では、BCループの配列は配列番号85を含み、DEループの配列は配列番号94を含み、FGループの配列は配列番号9または139を含む。他の実施形態では、BCループの配列は配列番号85からなり、DEループの配列は配列番号94からなり、かつFGループの配列は配列番号9または139からなる。
一部の実施形態では、BCループの配列は配列番号86を含み、DEループの配列は配列番号96を含み、かつFGループの配列は配列番号9または139を含む。他の実施形態では、BCループの配列は配列番号86からなり、DEループの配列は配列番号96からなり、かつFGループの配列は配列番号9または139からなる。
一部の実施形態では、BCループの配列は配列番号87を含み、DEループの配列は配列番号97を含み、かつFGループの配列は配列番号9または139を含む。他の実施形態では、BCループの配列は配列番号87からなり、DEループの配列は配列番号97からなり、かつFGループの配列は配列番号9または139からなる。
一部の実施形態では、BCループの配列は配列番号88を含み、DEループの配列は配列番号95を含み、かつFGループの配列は配列番号9または139を含む。他の実施形態では、BCループの配列は配列番号88からなり、DEループの配列は配列番号95からなり、かつFGループの配列は配列番号9または139からなる。
一部の実施形態では、BCループの配列は配列番号89を含み、DEループの配列は配列番号94を含み、かつFGループの配列は配列番号9または139を含む。他の実施形態では、BCループの配列は配列番号89からなり、DEループの配列は配列番号94からなり、かつFGループの配列は配列番号9または139からなる。
一部の実施形態では、BCループの配列は配列番号90を含み、DEループの配列は配列番号94を含み、かつFGループの配列は配列番号9または139を含む。他の実施形態では、BCループの配列は配列番号90からなり、DEループの配列は配列番号94からなり、かつFGループの配列は配列番号9または139からなる。
一部の実施形態では、BCループの配列は配列番号91を含み、DEループの配列は配列番号95を含み、かつFGループの配列は配列番号9または139を含む。他の実施形態では、BCループの配列は配列番号91からなり、DEループの配列は配列番号95からなり、かつFGループの配列は配列番号9または139からなる。
一部の実施形態では、BCループの配列は配列番号92を含み、DEループの配列は配列番号98を含み、かつFGループの配列は配列番号9または139を含む。他の実施形態では、BCループの配列は配列番号92からなり、DEループの配列は配列番号98からなり、かつFGループの配列は配列番号9または139からなる。
一部の実施形態では、BCループの配列は配列番号93を含み、DEループの配列は配列番号94を含み、かつFGループの配列は配列番号9または139を含む。他の実施形態では、BCループの配列は配列番号93からなり、DEループの配列は配列番号94からなり、かつFGループの配列は配列番号9または139からなる。
一部の実施形態では、BCループの配列は配列番号168を含み、DEループの配列は配列番号169を含み、かつFGループの配列は配列番号170を含む。他の実施形態では、BCループの配列は配列番号168からなり、DEループの配列は配列番号169からなり、かつFGループの配列は配列番号170からなる。
一部の実施形態では、BCループの配列は配列番号100を含み、DEループの配列は配列番号118を含み、かつFGループの配列は配列番号129を含む。他の実施形態では、BCループの配列は配列番号100からなり、DEループの配列は配列番号118からなり、かつFGループの配列は配列番号129からなる。
一部の実施形態では、ABループの配列は配列番号136を含み、BCループの配列は配列番号101を含み、DEループの配列は配列番号119を含み、かつFGループの配列は配列番号129を含む。他の実施形態では、ABループの配列は配列番号136からなり、BCループの配列は配列番号101からなり、DEループの配列は配列番号119からなり、かつFGループの配列は配列番号129からなる。
一部の実施形態では、ABループの配列は配列番号136を含み、BCループの配列は配列番号102を含み、DEループの配列は配列番号120を含み、かつFGループの配列は配列番号129を含む。他の実施形態では、ABループの配列は配列番号136からなり、BCループの配列は配列番号102からなり、DEループの配列は配列番号120からなり、かつFGループの配列は配列番号129からなる。
一部の実施形態では、ABループの配列は配列番号136を含み、BCループの配列は配列番号103を含み、DEループの配列は配列番号121を含み、かつFGループの配列は配列番号129を含む。他の実施形態では、ABループの配列は配列番号136からなり、BCループの配列は配列番号103からなり、DEループの配列は配列番号121からなり、かつFGループの配列は配列番号129からなる。
一部の実施形態では、ABループの配列は配列番号136を含み、BCループの配列は配列番号104を含み、DEループの配列は配列番号122を含み、かつFGループの配列は配列番号129を含む。他の実施形態では、ABループの配列は配列番号136からなり、BCループの配列は配列番号104からなり、DEループの配列は配列番号122からなり、かつFGループの配列は配列番号129からなる。
一部の実施形態では、ABループの配列は配列番号136を含み、BCループの配列は配列番号105を含み、DEループの配列は配列番号121を含み、かつFGループの配列は配列番号129を含む。他の実施形態では、ABループの配列は配列番号136からなり、BCループの配列は配列番号105からなり、DEループの配列は配列番号121からなり、かつFGループの配列は配列番号129からなる。
一部の実施形態では、ABループの配列は配列番号136を含み、BCループの配列は配列番号106を含み、DEループの配列は配列番号123を含み、かつFGループの配列は配列番号129を含む。他の実施形態では、ABループの配列は配列番号136からなり、BCループの配列は配列番号106からなり、DEループの配列は配列番号123からなり、かつFGループの配列は配列番号129からなる。
一部の実施形態では、ABループの配列は配列番号136を含み、BCループの配列は配列番号107を含み、DEループの配列は配列番号123を含み、かつFGループの配列は配列番号129を含む。他の実施形態では、ABループの配列は配列番号136からなり、BCループの配列は配列番号107からなり、DEループの配列は配列番号123からなり、かつFGループの配列は配列番号129からなる。
一部の実施形態では、ABループの配列は配列番号136を含み、BCループの配列は配列番号108を含み、DEループの配列は配列番号118を含み、かつFGループの配列は配列番号129を含む。他の実施形態では、ABループの配列は配列番号136からなり、BCループの配列は配列番号108からなり、DEループの配列は配列番号118からなり、かつFGループの配列は配列番号129からなる。
一部の実施形態では、ABループの配列は配列番号136を含み、BCループの配列は配列番号109を含み、DEループの配列は配列番号123を含み、かつFGループの配列は配列番号129を含む。他の実施形態では、ABループの配列は配列番号136からなり、BCループの配列は配列番号109からなり、DEループの配列は配列番号123からなり、かつFGループの配列は配列番号129からなる。
一部の実施形態では、ABループの配列は配列番号136を含み、BCループの配列は配列番号110を含み、DEループの配列は配列番号121を含み、かつFGループの配列は配列番号129を含む。他の実施形態では、ABループの配列は配列番号136からなり、BCループの配列は配列番号110からなり、DEループの配列は配列番号121からなり、かつFGループの配列は配列番号129からなる。
一部の実施形態では、ABループの配列は配列番号136を含み、BCループの配列は配列番号111を含み、DEループの配列は配列番号123を含み、かつFGループの配列は配列番号130を含む。他の実施形態では、ABループの配列は配列番号136からなり、BCループの配列は配列番号111からなり、DEループの配列は配列番号123からなり、かつFGループの配列は配列番号130からなる。
一部の実施形態では、ABループの配列は配列番号136を含み、BCループの配列は配列番号108を含み、DEループの配列は配列番号121を含み、かつFGループの配列は配列番号129を含む。他の実施形態では、ABループの配列は配列番号136からなり、BCループの配列は配列番号108からなり、DEループの配列は配列番号121からなり、かつFGループの配列は配列番号129からなる。
一部の実施形態では、ABループの配列は配列番号136を含み、BCループの配列は配列番号112を含み、DEループの配列は配列番号124を含み、かつFGループの配列は配列番号129を含む。他の実施形態では、ABループの配列は配列番号136からなり、BCループの配列は配列番号112からなり、DEループの配列は配列番号124からなり、かつFGループの配列は配列番号129からなる。
一部の実施形態では、ABループの配列は配列番号136を含み、BCループの配列は配列番号113を含み、DEループの配列は配列番号125を含み、かつFGループの配列は配列番号129を含む。他の実施形態では、ABループの配列は配列番号136からなり、BCループの配列は配列番号113からなり、DEループの配列は配列番号125からなり、かつFGループの配列は配列番号129からなる。
一部の実施形態では、ABループの配列は配列番号136を含み、BCループの配列は配列番号114を含み、DEループの配列は配列番号118を含み、かつFGループの配列は配列番号129を含む。他の実施形態では、ABループの配列は配列番号136からなり、BCループの配列は配列番号114からなり、DEループの配列は配列番号118からなり、かつFGループの配列は配列番号129からなる。
一部の実施形態では、ABループの配列は配列番号136を含み、BCループの配列は配列番号115を含み、DEループの配列は配列番号126を含み、かつFGループの配列は配列番号129を含む。他の実施形態では、ABループの配列は配列番号136からなり、BCループの配列は配列番号115からなり、DEループの配列は配列番号126からなり、かつFGループの配列は配列番号129からなる。
一部の実施形態では、ABループの配列は配列番号136を含み、BCループの配列は配列番号116を含み、DEループの配列は配列番号127を含み、かつFGループの配列は配列番号129を含む。他の実施形態では、ABループの配列は配列番号136からなり、BCループの配列は配列番号116からなり、DEループの配列は配列番号127からなり、かつFGループの配列は配列番号129からなる。
一部の実施形態では、ABループの配列は配列番号136を含み、BCループの配列は配列番号117を含み、DEループの配列は配列番号128を含み、かつFGループの配列は配列番号129を含む。他の実施形態では、ABループの配列は配列番号136からなり、BCループの配列は配列番号117からなり、DEループの配列は配列番号128からなり、かつFGループの配列は配列番号129からなる。
一部の実施形態では、BCループの配列は配列番号174を含み、DEループの配列は配列番号175を含み、かつFGループの配列は配列番号177を含む。他の実施形態では、BCループの配列は配列番号174からなり、DEループの配列は配列番号175からなり、かつFGループの配列は配列番号177からなる。
一部の実施形態では、CD40Lに特異的な単量体サブユニットは、配列番号20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42および146からなる群から選択される配列を含む。他の実施形態では、CD40Lに特異的な単量体サブユニットは、配列番号20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42および146からなる群から選択される配列からなる。
一部の実施形態では、CD40Lに特異的な単量体サブユニットは、配列番号28または146を含む。他の実施形態では、CD40Lに特異的な単量体サブユニットは、配列番号28または146からなる。
一部の実施形態では、本発明のCD40Lに特異的なTn3単量体サブユニットは、アミノ酸配列:
Figure 0006862348
を含み、ここで、
(a)X1がアミノ酸残基のセリン(S)またはロイシン(L)を表し;
(b)X2がアミノ酸残基のアスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を表し;
(c)X3がアミノ酸残基のヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、バリン(V)、フェニルアラニン(F)またはトリプトファン(W)を表し;
(d)X4がアミノ酸残基のアラニン(A)、グリシン(G)、グルタミン酸(E)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(e)X5がアミノ酸残基のグルタミン酸(E)、ロイシン(L)、グルタミン(Q)、セリン(S)、アスパラギン酸(D)またはアスパラギン(N)を表し;
(f)X6がアミノ酸残基のフェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(g)X7がアミノ酸残基のイソロイシン(I)、バリン(V)、ヒスチジン(H)、グルタミン酸(E)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(h)X8がアミノ酸残基のグリシン(G)、トリプトファン(W)またはバリン(V)を表し;
(i)X9がアミノ酸残基のトリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(j)X10がアミノ酸残基のセリン(S)、グルタミン(Q)、メチオニン(M)またはヒスチジン(H)を表し;
(k)X11がアミノ酸残基のトリプトファン(W)またはヒスチジン(H)を表し;かつ
(l)X12がアミノ酸残基のアルギニン(R)またはセリン(S)を表す。
一部の実施形態では、本発明のCD40Lに特異的なTn3単量体サブユニットは、アミノ酸配列:
Figure 0006862348
からなり、ここで、
(a)X1がアミノ酸残基のセリン(S)またはロイシン(L)を表し;
(b)X2がアミノ酸残基のアスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を表し;
(c)X3がアミノ酸残基のヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、バリン(V)、フェニルアラニン(F)またはトリプトファン(W)を表し;
(d)X4がアミノ酸残基のアラニン(A)、グリシン(G)、グルタミン酸(E)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(e)X5がアミノ酸残基のグルタミン酸(E)、ロイシン(L)、グルタミン(Q)、セリン(S)、アスパラギン酸(D)またはアスパラギン(N)を表し;
(f)X6がアミノ酸残基のフェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(g)X7がアミノ酸残基のイソロイシン(I)、バリン(V)、ヒスチジン(H)、グルタミン酸(E)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(h)X8がアミノ酸残基のグリシン(G)、トリプトファン(W)またはバリン(V)を表し;
(i)X9がアミノ酸残基のトリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(j)X10がアミノ酸残基のセリン(S)、グルタミン(Q)、メチオニン(M)またはヒスチジン(H)を表し;
(k)X11がアミノ酸残基のトリプトファン(W)またはヒスチジン(H)を表し;かつ
(l)X12がアミノ酸残基のアルギニン(R)またはセリン(S)を表す。
一部の実施形態では、CD40Lに特異的な単量体サブユニットは、配列番号44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、および82からなる群から選択される配列を含む。一部の実施形態では、CD40Lに特異的な単量体サブユニットは、配列番号44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、および82からなる群から選択される配列からなる。
一部の実施形態では、本発明のCD40Lに特異的なTn3単量体サブユニットは、アミノ酸配列:
Figure 0006862348
を含み、ここで、
(a)X1がアミノ酸残基のリジン(K)またはグルタミン酸(E)を表し;
(b)X2がアミノ酸残基のトレオニン(T)またはイソロイシン(I)を表し;
(c)X3がアミノ酸残基のアスパラギン(N)またはアラニン(A)を表し;
(d)X4がアミノ酸残基のセリン(S)、ロイシン(L)、アラニン(A)、フェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(e)X5がアミノ酸残基のチロシン(Y)、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、イソロイシン(I)またはセリン(S)を表し;
(f)X6がアミノ酸残基のチロシン(Y)、セリン(S)、アラニン(A)またはヒスチジン(H)を表し;
(g)X7がアミノ酸残基のアスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(h)X8がアミノ酸残基のロイシン(L)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(i)X9がアミノ酸残基のヒスチジン(H)、プロリン(P)、セリン(S)、ロイシン(L)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(j)X10がアミノ酸残基のグリシン(G)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(k)X11がアミノ酸残基のアラニン(A)またはトレオニン(T)を表し;
(l)X12がアミノ酸残基のセリン(S)、アスパラギン(N)、グルタミン酸(E)、アスパラギン(R)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(m)X13がアミノ酸残基のセリン(S)、グルタミン(Q)、トレオニン(T)、アスパラギン(N)またはアラニン(A)を表し;
(n)X14がアミノ酸残基のプロリン(P)、バリン(V)、イソロイシン(I)もしくはアラニン(A)、またはアミノ酸なしを表し;
(o)X15がアミノ酸残基のイソロイシン(I)またはアミノ酸なしを表し;
(p)X16がアミノ酸残基のグルタミン酸(E)またはリジン(K)を表し;かつ
(q)X17がアミノ酸残基のセリン(S)またはアスパラギン(N)を表す。
一部の実施形態では、本発明のCD40Lに特異的なTn3単量体サブユニットは、アミノ酸配列:
Figure 0006862348
からなり、ここで、
(a)X1がアミノ酸残基のリジン(K)またはグルタミン酸(E)を表し;
(b)X2がアミノ酸残基のトレオニン(T)またはイソロイシン(I)を表し;
(c)X3がアミノ酸残基のアスパラギン(N)またはアラニン(A)を表し;
(d)X4がアミノ酸残基のセリン(S)、ロイシン(L)、アラニン(A)、フェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(e)X5がアミノ酸残基のチロシン(Y)、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、イソロイシン(I)またはセリン(S)を表し;
(f)X6がアミノ酸残基のチロシン(Y)、セリン(S)、アラニン(A)またはヒスチジン(H)を表し;
(g)X7がアミノ酸残基のアスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(h)X8がアミノ酸残基のロイシン(L)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(i)X9がアミノ酸残基のヒスチジン(H)、プロリン(P)、セリン(S)、ロイシン(L)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(j)X10がアミノ酸残基のグリシン(G)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(k)X11がアミノ酸残基のアラニン(A)またはトレオニン(T)を表し;
(l)X12がアミノ酸残基のセリン(S)、アスパラギン(N)、グルタミン酸(E)、アスパラギン(R)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(m)X13がアミノ酸残基のセリン(S)、グルタミン(Q)、トレオニン(T)、アスパラギン(N)またはアラニン(A)を表し;
(n)X14がアミノ酸残基のプロリン(P)、バリン(V)、イソロイシン(I)もしくはアラニン(A)、またはアミノ酸なしを表し;
(o)X15がアミノ酸残基のイソロイシン(I)またはアミノ酸なしを表し;
(p)X16がアミノ酸残基のグルタミン酸(E)またはリジン(K)を表し;かつ
(q)X17がアミノ酸残基のセリン(S)またはアスパラギン(N)を表す。
一部の実施形態では、CD40Lに特異的な単量体スキャフォールドはTn3モジュールを含み、ここで、βストランドの1つ以上は、βストランドCおよびβストランドF(それぞれ配列番号13または14;および配列番号17)におけるシステイン残基が置換されない場合があることを除き、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
CD40Lに特異的な単量体サブユニットの様々なβストランドに連結するループは、長さおよび/または配列多様性について無作為化され得る。一実施形態では、CD40Lに特異的な単量体サブユニットは、長さおよび/または配列多様性について無作為化された少なくとも1つのループを有する。一実施形態では、CD40Lに特異的な単量体サブユニットの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つまたは少なくとも6つのループが、長さおよび/または配列多様性について無作為化される。一実施形態では、CD40Lに特異的な単量体サブユニットの少なくとも1つのループが、長さおよび/または配列多様性について一定に維持される一方、少なくとも1つのさらなるループが無作為化される。別の実施形態では、ループAB、CD、およびEFの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてが、長さおよび/または配列多様性について一定に維持される一方、ループBC、DE、およびFGの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてが無作為化される。別の実施形態では、ループAB、CD、およびEFの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つすべてが、長さおよび/または配列多様性について無作為化される一方、ループBC、DE、およびFGの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてが無作為化される。さらに別の実施形態では、ループAB、CD、EF、BC、DE、およびFGの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つのループ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または6つすべてが、長さまたは配列多様性について無作為化される。
一部の実施形態では、ループ内部の1つ以上の残基が、長さおよび/または配列多様性について一定に維持される一方、他の残基は無作為化される。一部の実施形態では、ループ内部の1つ以上の残基が長さおよび/または配列多様性について所定の限られた数の異なるアミノ酸に維持される一方、他の残基は無作為化される。したがって、本発明のCD40Lに特異的な単量体サブユニットは、縮重コンセンサス配列および/または1つ以上のインバリアントアミノ酸残基を有する1つ以上のループを含み得る。
一実施形態では、本発明のCD40Lに特異的な単量体サブユニットは、無作為化されたABループを含む。別の実施形態では、本発明のCD40Lに特異的な単量体サブユニットは、無作為化されたBCループを含む。一実施形態では、本発明のCD40Lに特異的な単量体サブユニットは、無作為化されたCDループを含む。一実施形態では、本発明のCD40Lに特異的な単量体サブユニットは、無作為化されたDEループを含む。一実施形態では、本発明のCD40Lに特異的な単量体サブユニットは、無作為化されたEFループを含む。
特定の実施形態では、本発明のCD40Lに特異的な単量体サブユニットは、少なくとも1つのアミノ酸残基がヒトテネイシンCの3番目のFnIIIドメインの同族FGループより短く維持され、1つ以上の位置でさらに無作為化されたFGループを含む。
特定の実施形態では、ループBC、DE、およびFGの少なくとも1つが無作為化され、ここで、βストランドAは配列番号10または11を含み、βストランドBは配列番号12を含み、βストランドCは配列番号13または14を含み、βストランドDは配列番号15を含み、βストランドEは配列番号16を含み、βストランドFは配列番号17を含み、かつβストランドGは配列番号18を含み、ABループは配列番号4または136を含み、CDループは配列番号6を含み、かつEFループは配列番号8または137を含む。
他の具体的な実施形態では、ループAB、CD、およびEFの少なくとも1つが無作為化され、ここで、βストランドAは配列番号10または11を含み、βストランドBは配列番号12を含み、βストランドCは配列番号13または14を含み、βストランドDは配列番号15を含み、βストランドEは配列番号16を含み、βストランドFは配列番号17を含み、かつβストランドGは配列番号18を含み、BCループは配列番号5を含み、DEループは配列番号7を含み、かつFGループは配列番号9または139を含む。
本発明のTn3スキャフォールドの安定性は、多種の手法により高められる場合がある。一部の実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、Nおよび/またはC末端領域を伸長することによって安定化され得る。Nおよび/またはC末端領域は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10アミノ酸または10を超えるアミノ酸が伸長され得る。他の実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、本明細書に記載のように、血清半減期を増加させるような改変を導入することによって安定化され得る。さらに別の実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、スキャフォールドの疎水性コアを安定化させるための少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失または置換を含む。
本発明のTn3スキャフォールドは、国際特許出願第PCT/米国特許出願公開第2011/032184号明細書に開示のように、非天然ジスルフィド結合を改変することにより効果的に安定化され得る。一部の実施形態では、本発明のスキャフォールドは、PCT公開の国際公開第2009/058379号パンフレットに記載のように、非天然ジスルフィド結合を含む。ジスルフィド結合を改変するのに適した候補位置を同定するため、バイオインフォマティクス手法を用いてもよい。
一実施形態では、本発明のTn3単量体サブユニットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つの天然に存在しない分子内ジスルフィド結合を含む。一実施形態では、本発明のTn3単量体サブユニットは、単量体を安定化させる、少なくとも1つの天然に存在しない分子内ジスルフィド結合を含む。さらに別の実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、少なくとも1つの天然に存在しないジスルフィド結合を含み、ここで、その結合は2つの異なる単量体または多量体Tn3スキャフォールド間に位置する、すなわちジスルフィド結合は分子間ジスルフィド結合である。例えば、ジスルフィド結合は、異なるスキャフォールド(例えば2つのCD40Lに特異的な単量体スキャフォールド)、Tn3スキャフォールドとリンカー、Tn3スキャフォールドとFcドメイン、またはTn3スキャフォールドとその抗体もしくは断片を連結し得る。
一部の実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、Tn3単量体サブユニットと単離された異種部分、Tn3単量体サブユニットと同じTn3スキャフォールドに融合または複合された異種部分、またはTn3単量体サブユニットと異なるTn3スキャフォールドに融合または複合された異種部分を連結する、少なくとも1つの天然に存在しない分子間ジスルフィド結合を含む。
一部の実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはより多くの単量体サブユニットのTn3多量体スキャフォールドを形成するジスルフィド結合を含む。
別の実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、Nおよび/またはC末端領域の伸長を含んでもよい。一実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、本明細書に記載のように、血清半減期を増加させるための改変を含む。さらに別の実施形態では、本発明のスキャフォールドは、スキャフォールドの疎水性コアを安定化させるための少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失または置換を含む。
多量体Tn3スキャフォールド
本発明の一態様は、タンデムに連結された本発明の少なくとも2つのTn3単量体サブユニットを含む多量体Tn3スキャフォールドを提供し、ここで、単量体の少なくとも1つはCD40Lに特異的な単量体サブユニットである。かかる多量体Tn3スキャフォールドは、複数の形式で構築され得る。具体的な態様では、本発明は、多量体Tn3スキャフォールドを提供し、ここで、少なくとも2つのCD40Lに特異的な単量体サブユニットは、ペプチドリンカーを介してタンデムに連結される。一部の実施形態では、多量体Tn3スキャフォールドは、標的結合の結合価および/または結合活性、または標的の他の作用における増加を呈する。一部の実施形態では、標的結合の結合価および/または結合活性における増加は、複数の単量体サブユニットが同じ標的に結合するときに達成される。一部の実施形態では、結合価における増加は、標的に対する特異的作用を改善し、例えば標的タンパク質の二量体化を増強する。
具体的な実施形態では、本発明の多量体Tn3スキャフォールドは、タンデムに連結された少なくとも2つのCD40Lに特異的な単量体サブユニットを含み、ここで、各々のCD40Lに特異的な単量体サブユニットは少なくとも1つの標的に結合し、また各々のCD40Lに特異的な単量体サブユニットは複数のループ領域に連結された複数のβストランドを含み、ここで、少なくとも1つのループは、親Tn3スキャフォールド(配列番号3)における同族ループの天然に存在しない変異体である。
一実施形態では、多量体Tn3スキャフォールドは、CD40Lに特異的な単量体サブユニット間の共有結合を通じて、例えばCD40Lに特異的な単量体サブユニットを直接的に連結することにより、またはリンカー、例えばペプチドリンカーを含めることにより作製される。特定例では、共有結合されたTn3スキャフォールドは、CD40Lに特異的な単量体サブユニットをコードする融合遺伝子を構築することにより、あるいはシステイン残基に対するコドンをCD40Lに特異的な単量体サブユニット内に改変し、ジスルフィド結合の形成が発現生成物間で生じることを可能にすることにより作製される。
一実施形態では、本発明の多量体Tn3スキャフォールドは、少なくとも2つの、追加的な介在性アミノ酸を全く有しないで互いに直接的に連結されたCD40Lに特異的な単量体サブユニットを含む。別の実施形態では、本発明の多量体Tn3スキャフォールドは、少なくとも2つの、リンカー、例えばペプチドリンカーを介してタンデムに連結されたCD40Lに特異的な単量体サブユニットを含む。
具体的な実施形態では、本発明の多量体Tn3スキャフォールドは、少なくとも2つの、ペプチドリンカーを介してタンデムに連結されたCD40Lに特異的な単量体サブユニットを含み、ここで、ペプチドリンカーは、1〜約1000、もしくは1〜約500、もしくは1〜約250、もしくは1〜約100、もしくは1〜約50、もしくは1〜約25のアミノ酸を含む。具体的な実施形態では、多量体Tn3スキャフォールドは、少なくとも2つの、ペプチドリンカーを介してタンデムに連結されたCD40Lに特異的な単量体サブユニットを含み、ここで、ペプチドリンカーは、1〜約20、もしくは1〜約15、もしくは1〜約10、もしくは1〜約5のアミノ酸を含む。
具体的な実施形態では、多量体Tn3スキャフォールドは、リンカー、例えばペプチドリンカーを介してタンデムに連結された少なくとも2つのCD40Lに特異的な単量体サブユニットを含み、ここで、リンカーは機能的部分である。機能的部分は、多量体Tn3スキャフォールドの所望される機能および/または特性に基づいて選択されることになる。例えば、精製にとって有用な機能的部分(例えばヒスチジンタグ)はリンカーとして用いてもよい。リンカーとして有用な機能的部分は、限定はされないが、ポリエチレングリコール(PEG)、細胞毒性薬、放射性核種、イメージング剤、ビオチン、二量体化ドメイン、ヒト血清アルブミン(HSA)もしくはそのFcRn結合部分、抗体のドメインもしくは断片、一本鎖抗体、ドメイン抗体、アルブミン結合ドメイン、IgG分子、酵素、リガンド、受容体、結合ペプチド、非Tn3スキャフォールド、エピトープタグ、組換えポリペプチドポリマー、サイトカインなどを含む。リンカーとして用いてもよい具体的なペプチドリンカーおよび機能的部分が以下に開示される。
特定の実施形態では、機能的部分は、免疫グロブリンまたはその断片である。一部の実施形態では、免疫グロブリンまたはその断片はFcドメインを含む。一部の実施形態では、Fcドメインは、少なくとも1つのFcγR媒介性エフェクター機能、例えばADCC(抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性)を誘導することができない。少なくとも1つのFcγR媒介性エフェクター機能を低減または除去するため、Fcドメインを改変してもよいことは当該技術分野で公知であり、例えば米国特許第5,624,821号明細書および米国特許第6,737,056号明細書を参照されたい。
一部の実施形態では、多量体Tn3スキャフォールドは、1つ以上のリンカーを介して連結された少なくとも2つのCD40Lに特異的な単量体サブユニットを含み、ここで、各々のCD40Lに特異的な単量体サブユニット間に挿入されるリンカーは、同じリンカーまたは異なるリンカーであり得る。一部の実施形態では、リンカーは複数のリンカーを含み得、それらは同じリンカーまたは異なるリンカーであり得る。一部の実施形態では、複数のリンカーが連鎖状であるとき、リンカーの一部もしくは全部は機能的部分であり得る。
スキャフォールド結合の化学量論
一部の実施形態では、単量体または多量体Tn3スキャフォールドは、異なるエピトープに対してCD40Lに特異的な単量体サブユニットを含み得、それは単一のCD40L分子上または異なるCD40L標的分子上の異なるエピトープであり得る。一部の実施形態では、多量体Tn3スキャフォールドは、CD40Lに特異的な単量体サブユニットを含み得、ここで、各サブユニットは、1つ以上のCD40L分子上の1つ以上の異なるエピトープを標的にする。
他の実施形態では、単量体または多量体Tn3スキャフォールドは、同じCD40L分子上の2つ以上の異なるエピトープに結合し得る。一部の実施形態では、異なるエピトープは非重複エピトープである。他の実施形態では、異なるエピトープは重複エピトープである。
さらに別の具体的な実施形態では、単量体または多量体Tn3スキャフォールドは、あるCD40L分子上の1つ以上のエピトープに結合し、さらに第2のCD40L分子上の1つ以上のエピトープに結合し得る。一部の実施形態では、異なる標的分子は、オリゴマー複合体、例えば三量体CD40L複合体の一部である。
さらに別の具体的な実施形態では、単量体または多量体Tn3スキャフォールドは、CD40L三量体上の単一のエピトープに結合し得る。さらに別の実施形態では、単量体または多量体Tn3スキャフォールドは、少なくとも2つのCD40L三量体上の同じエピトープに結合し得る。
特定の実施形態では、単量体または多量体Tn3スキャフォールドは、隣接する細胞表面上のCD40L分子の2つ以上のコピー上の同じエピトープに結合し得る。特定の実施形態では、単量体または多量体Tn3スキャフォールドは、溶液中のCD40L分子の2つ以上のコピー上の同じエピトープに結合し得る。一部の実施形態では、単量体または多量体Tn3スキャフォールドは、CD40L上の同じエピトープまたは異なるエピトープに同じまたは異なる結合親和性および/または結合活性で結合し得る。
別の実施形態では、単量体または多量体Tn3スキャフォールドは、CD40Lの1つ以上のコピー上のエピトープに結合し、標的に対する所望される作用を(例えば相乗的に)達成または増強し、例えば受容体への結合を阻止するかまたはオリゴマー化を阻止することができる。
さらに、本発明の単量体または多量体Tn3スキャフォールドが複数のCD40Lに特異的な単量体サブユニット、例えば、各単量体がCD40L上の異なるエピトープを標的する場合の異なる単量体を含むとき、かかる単量体サブユニットは、特定の生物学的効果を達成または増強するように特定のパターンまたは特別な配向性に従って配置され得る。単量体サブユニットのかかる組み合わせは、当該技術分野で公知の方法を用いて構築され、次いで評価され得る。
さらに、本発明のTn3スキャフォールドは、精製を促進するため、マーカー配列、例えばペプチドに融合され得る。一部の実施形態では、マーカーのアミノ酸配列は、ポリヒスチジンペプチド(His−タグ)、例えば、オクタヒスチジンタグ(His−8タグ)またはヘキサヒスチジンタグ(His−6−タグ)、例えば幾つかあるベクターのなかでもpQE発現ベクター(QIAGEN,Inc.,9259 Eton Avenue,Chatsworth,Calif,91311)において提供されるタグであり、それらの多くが市販されている。例えば、Gentz et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA86:821−824,1989に記載のように、ポリヒスチジンは融合タンパク質の便益的な精製をもたらす。精製にとって有用な他のペプチドタグとして、限定はされないが、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質由来のエピトープに対応するヘマグルチニン(「HA」)タグ(例えば、Wilson et al.,Cell 37:767,1984を参照)、FLAGタグ、Strep−タグ、myc−タグ、V5タグ、GFPタグ、AU1タグ、AU5タグ、ECSタグ、GSTタグ、またはOLLASタグが挙げられる。
本発明のTn3スキャフォールドを含むさらなる融合タンパク質は、遺伝子混合、モチーフ混合、エクソン混合、および/またはコドン混合(「DNA混合」と総称される)の技術を通じて作製してもよい。
標的に対するTn3スキャフォールドの作用を改変する(例えば、より高い親和性とより低い解離速度を有するスキャフォールドを作製する)ため、DNA混合を用いてもよい。Tn3スキャフォールドは、エラープローンPCR、ランダムヌクレオチド挿入、または組換えに先立つ他の方法によるランダム突然変異誘発により改変してもよい。特異的標的に結合するスキャフォールドをコードするポリヌクレオチドの1つ以上の部分は、1つ以上の異種分子の1つ以上の成分、モチーフ、切片、部分、ドメイン、断片などと組み換えてもよい。
抗体およびFcドメイン融合体
一部の実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、限定はされないがFcドメインを含む、抗体(例えばIgG)のドメインまたは断片に融合されたCD40Lに特異的な単量体サブユニットを含む。
一部の実施形態では、単に1つのCD40Lに特異的な単量体サブユニットが、抗体のドメインまたは断片に複合または融合される。例えば、単一のCD40Lに特異的な単量体サブユニットは、抗体のドメインまたは断片(例えば、抗体の重鎖または軽鎖)のポリペプチドのN末端に融合され得る。他の実施形態では、Tn3スキャフォールドは、1つ以上のCD40Lに特異的な単量体サブユニットを抗体のドメインまたは断片(例えば、抗体の重鎖および/または軽鎖、またはFcドメイン)のポリペプチドのN末端および/またはC末端に融合または複合させることによって作出される。
一部の実施形態では、抗体のドメインまたは断片に融合されたCD40Lに特異的な単量体サブユニットの一部または全部は同一である。一部の他の実施形態では、抗体のドメインまたは断片に融合されたCD40Lに特異的な単量体サブユニットの一部または全部は異なる。
具体的な実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、Fcドメインに融合された1つのCD40Lに特異的な単量体サブユニットを含む。他の実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、Fcドメインに融合された少なくとも2つのCD40Lに特異的な単量体サブユニットを含む。具体的な一実施形態では、Fcドメインに融合されたCD40Lに特異的な単量体サブユニットの2つは同一である。具体的な一実施形態では、Fcドメインに融合されたCD40Lに特異的な単量体サブユニットの2つは異なる。具体的な一実施形態では、Fcドメインに融合された2つのCD40Lに特異的な単量体サブユニットは、互いにタンデムに連結され、かつCD40Lに特異的な単量体サブユニットの1つはFcドメインに融合される。
一部の実施形態では、本発明の異なるTn3スキャフォールドは、ヘテロ二量体の形成を支持するFcドメインの突然変異の使用により二量体化され得る。Fc領域の変異体(例えば、アミノ酸の置換および/または付加および/または欠失)が抗体のエフェクター機能を増強または低減させ、かつ抗体の薬物動態特性(例えば半減期)を改変し得ることは当該技術分野で公知である。したがって、特定の実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、Tn3スキャフォールドの機能特性および/または薬物動態特性を改変するため、1つ以上の改変がFc領域内でなされている場合の改変されたFc領域を含むFcドメインを含む。特定の実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、少なくとも1つのFc□R媒介性エフェクター機能を低下させるかまたは除去するため、1つ以上の改変がFc領域内でなされている場合の改変されたFc領域を含むFcドメインを含む。
エフェクター機能および/または抗炎症活性を増強または減弱させるようにFc領域のグリコシル化が修飾され得ることも公知である。したがって、一実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、Tn3スキャフォールドの細胞傷害性特性および/または抗炎症特性を改変するため、アミノ酸残基の改変されたグリコシル化を伴うFc領域を含む。
Tn3スキャフォールドの形態
本発明のTn3スキャフォールドは、任意の好適な空間的配置で、Fcドメイン、抗体軽鎖、および抗体重鎖のC末端に融合され得る。検討されたスキャフォールドの形態の詳細な説明については、例えば国際公開第PCT/米国特許出願公開第2011/032184号明細書を参照されたい。
スキャフォールドの作製
本明細書に記載のTn3スキャフォールドは、新規のまたは改善された標的結合タンパク質を進化させるための任意の技術で用いてもよい。一特定例では、標的は固体支持体、例えばカラム樹脂またはマイクロタイタープレートウェルの上で固定化され、かつ標的は候補スキャフォールドに基づく結合タンパク質のライブラリーと接触される。かかるライブラリーは、Tn3スキャフォールドからCDR様ループの配列および/または長さの無作為化を通じて構築されるクローンからなってもよい。
これに関して、バクテリオファージ(ファージ)ディスプレイは、大規模オリゴペプチドライブラリーをスクリーニングし、標的に特異的に結合する能力があるライブラリーのメンバーを同定することを可能にする1つの周知の技術である。ファージディスプレイは、変異体ポリペプチドが融合タンパク質としてバクテリオファージ粒子の表面上のコートタンパク質に提示されるための技術である(Scott,J.K.and Smith,G.P.(1990)Science 249:386)。天然に存在するFnIIIドメインのループ長および多様性の優先度を判定するため、バイオインフォマティクス手法を用いてもよい。この分析を用いて、ループ長および配列多様性における優先度を「制限された無作為化」手法を開発するために用いてもよい。この制限された無作為化では、相対的なループ長および配列の優先度がライブラリー方法の開発に組み込まれる。ループ長および配列多様性分析をライブラリー開発に統合することにより、制限された無作為化が得られる(すなわち、無作為化されたループ内部の特定の位置が、アミノ酸がその位置に存在し得るように制限される)。
本発明はまた、天然に存在しないTn3スキャフォールドの多様な集団を含む組換えライブラリーを提供する。一実施形態では、ライブラリーは、複数のループ領域に連結された複数のβストランドドメインを含む天然に存在しないTn3スキャフォールドを含み、ここで、前記ループの1つ以上は、欠失、置換または付加により、少なくとも1つのアミノ酸だけ変化する。具体的な実施形態では、ライブラリーは、野生型Tn3スキャフォールド由来のTn3スキャフォールドを含む。
上で詳述のとおり、スキャフォールドの様々なβストランドに連結するループは、長さおよび/または配列多様性について無作為化してもよい。一実施形態では、本発明のライブラリーは、長さおよび/または配列多様性について無作為化された少なくとも1つのループを有するTn3スキャフォールドを含む。一実施形態では、Tn3スキャフォールドの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つまたは少なくとも6つのループは、長さおよび/または配列多様性について無作為化される。一実施形態では、少なくとも1つのループが、長さおよび/または配列多様性について一定に維持される一方、少なくとも1つのさらなるループが無作為化される。別の実施形態では、ループAB、CD、およびEFの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてが、長さまたは配列多様性について一定に維持される一方、ループBC、DE、およびFGの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてが無作為化される。別の実施形態では、ループAB、CD、およびEFの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つすべてが、長さおよび/または配列多様性について無作為化される一方、ループBC、DE、およびFGの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてが無作為化される。
具体的な実施形態では、本発明のライブラリーはFnIIIスキャフォールドを含み、ここで、βストランドAは配列番号10または11を含み、βストランドBは配列番号12を含み、βストランドCは配列番号13または14を含み、βストランドDは配列番号15を含み、βストランドEは配列番号16を含み、βストランドFは配列番号17を含み、かつβストランドGは配列番号18を含む。
具体的な実施形態では、本発明のライブラリーはFnIIIスキャフォールドを含み、ここで、βストランドAは配列番号10または11からなり、βストランドBは配列番号12からなり、βストランドCは配列番号13または14からなり、βストランドDは配列番号15からなり、βストランドEは配列番号16からなり、βストランドFは配列番号17からなり、かつβストランドGは配列番号18からなる。
具体的な実施形態では、本発明のライブラリーはFnIIIスキャフォールドを含み、ここで、βストランドAは本質的に配列番号10または11からなり、βストランドBは本質的に配列番号12からなり、βストランドCは本質的に配列番号13または14からなり、βストランドDは本質的に配列番号15からなり、βストランドEは本質的に配列番号16からなり、βストランドFは本質的に配列番号17からなり、かつβストランドGは本質的に配列番号18からなる。
上で詳述のとおり、ループ内部の1つ以上の残基が長さおよび/または配列多様性について一定に維持され得る一方、他の残基は無作為化される。任意選択的または代替的に、ループ内部の1つ以上の残基が長さおよび/または配列多様性について所定の限られた数の異なるアミノ酸に維持され得る一方、他の残基は無作為化される。したがって、本発明のライブラリーは、縮重コンセンサス配列および/または1つ以上のインバリアントアミノ酸残基を有する1つ以上のループを含み得るTn3スキャフォールドを含む。別の実施形態では、本発明のライブラリーは、無作為化されたBCループを有するTn3スキャフォールドを含む。別の実施形態では、本発明のライブラリーは、無作為化されたBCループを有するTn3スキャフォールドを含む。さらに別の実施形態では、本発明のライブラリーは、無作為化されたBCループを有するTn3スキャフォールドを含む。
一実施形態では本発明のライブラリーは、無作為化されたDEループを有するTn3スキャフォールドを含む。一実施形態では、本発明のライブラリーは、無作為化されたFGループを有するTn3スキャフォールドを含む。別の実施形態では、本発明のライブラリーは、無作為化されたFGループを有するFnIIIスキャフォールドを含む。
具体的な実施形態では、本発明のライブラリーは、アミノ酸配列:
Figure 0006862348
を含むスキャフォールドを含み、ここで、
(a)XAB、XBC、XCD、XDE、XEF、およびXFGがそれぞれAB、BC、CD、DE、EF、およびFGループの配列内に存在するアミノ酸残基を表し;
(b)X1がアミノ酸残基のAまたはTを表し;かつ
(c)ループの長さnが2〜26の整数である。
一部の実施形態では、本発明のライブラリーは、アミノ酸配列:
Figure 0006862348
を含む本発明のCD40Lに特異的なTn3単量体サブユニットを含み、ここで、
(a)X1がアミノ酸残基のセリン(S)またはロイシン(L)を表し;
(b)X2がアミノ酸残基のアスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を表し;
(c)X3がアミノ酸残基のヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、バリン(V)、フェニルアラニン(F)またはトリプトファン(W)を表し;
(d)X4がアミノ酸残基のアラニン(A)、グリシン(G)、グルタミン酸(E)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(e)X5がアミノ酸残基のグルタミン酸(E)、ロイシン(L)、グルタミン(Q)、セリン(S)、アスパラギン酸(D)またはアスパラギン(N)を表し;
(f)X6がアミノ酸残基のフェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(g)X7がアミノ酸残基のイソロイシン(I)、バリン(V)、ヒスチジン(H)、グルタミン酸(E)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(h)X8がアミノ酸残基のグリシン(G)、トリプトファン(W)またはバリン(V)を表し;
(i)X9がアミノ酸残基のトリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(j)X10がアミノ酸残基のセリン(S)、グルタミン(Q)、メチオニン(M)またはヒスチジン(H)を表し;
(k)X11がアミノ酸残基のトリプトファン(W)またはヒスチジン(H)を表し;かつ
(l)X12がアミノ酸残基のアルギニン(R)またはセリン(S)を表す。
一部の実施形態では、本発明のライブラリーは、アミノ酸配列:
Figure 0006862348
を含む本発明のCD40Lに特異的なTn3単量体サブユニットを含み、ここで、
(a)X1がアミノ酸残基のリジン(K)またはグルタミン酸(E)を表し;
(b)X2がアミノ酸残基のトレオニン(T)またはイソロイシン(I)を表し;
(c)X3がアミノ酸残基のアスパラギン(N)またはアラニン(A)を表し;
(d)X4がアミノ酸残基のセリン(S)、ロイシン(L)、アラニン(A)、フェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(e)X5がアミノ酸残基のチロシン(Y)、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、イソロイシン(I)またはセリン(S)を表し;
(f)X6がアミノ酸残基のチロシン(Y)、セリン(S)、アラニン(A)またはヒスチジン(H)を表し;
(g)X7がアミノ酸残基のアスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(h)X8がアミノ酸残基のロイシン(L)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(i)X9がアミノ酸残基のヒスチジン(H)、プロリン(P)、セリン(S)、ロイシン(L)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(j)X10がアミノ酸残基のグリシン(G)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(k)X11がアミノ酸残基のアラニン(A)またはトレオニン(T)を表し;
(l)X12がアミノ酸残基のセリン(S)、アスパラギン(N)、グルタミン酸(E)、アスパラギン(R)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(m)X13がアミノ酸残基のセリン(S)、グルタミン(Q)、トレオニン(T)、アスパラギン(N)またはアラニン(A)を表し;
(n)X14がアミノ酸残基のプロリン(P)、バリン(V)、イソロイシン(I)もしくはアラニン(A)、またはアミノ酸なしを表し;
(o)X15がアミノ酸残基のイソロイシン(I)またはアミノ酸なしを表し;
(p)X16がアミノ酸残基のグルタミン酸(E)またはリジン(K)を表し;かつ
(q)X17がアミノ酸残基のセリン(S)またはアスパラギン(N)を表す。
本発明は、標的、例えばCD40Lに結合し、かつ親Tn3スキャフォールドと比べると、標的、例えばCD40Lに対する増強された安定性または改善された作用を有する組換えTn3スキャフォールドを、本発明のライブラリーをスクリーニングすることにより同定するための方法をさらに提供する。
特定の実施形態では、親Tn3スキャフォールドと比べると増強されたタンパク質安定性を有し、かつ標的に特異的に結合する組換えTn3スキャフォールドを同定するための方法は、
標的リガンドをスキャフォールド:標的リガンド複合体の形成に適した条件下で本発明のライブラリーと接触させるステップと;
複合体から、標的リガンドに結合するスキャフォールドを得るステップと;
ステップ(b)で得られたスキャフォールドの安定性が野生型Tn3スキャフォールドの安定性より高いか否かを判定するステップと
を含む。
標的に対する改善された結合親和性、結合活性などを有する組換えTn3スキャフォールドを同定するため、同じ方法を用いることができる。一実施形態では、ステップ(a)で本発明のスキャフォールドライブラリーが固定化標的とともにインキュベートされる。一実施形態では、ステップ(b)で、非特異的結合剤を除去するため、スキャフォールド:標的リガンド複合体が洗浄され、また最も強力な結合剤が非常にストリンジェントな条件下で溶出され、配列情報を回収するため、PCRにかけられる。本明細書で開示される方法または当業者に公知の方法を用いて新しいライブラリーを作成するため、ステップ(b)で得られる結合剤および/または配列情報を用いることができ、配列のさらなる突然変異誘発の有無にかかわらず、選択プロセスを繰り返すために用いてもよいことは詳細に検討される。一部の実施形態では、抗原に対して十分な親和性がある結合剤が得られるまで、選択を何回か実施してもよい。
本発明のさらなる実施形態は、本発明のスキャフォールドを含むライブラリーをコードする単離された核酸分子の収集であり、上記の通りである。
本発明のスキャフォールドは、親和性成熟を経てもよい。当該技術分野で認められた方法では、特異的な結合タンパク質は、特異的標的に対する親和性増加について選択するスキームに従う(Wu et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.95(11):6037−42を参照)。得られる本発明のスキャフォールドは、親和性成熟前のスキャフォールドと比べて少なくとも同程度に高い結合特性を呈し得る。
本発明はまた、スキャフォールド:標的複合体を形成するように標的に結合する能力があるタンパク質スキャフォールドのアミノ酸配列を同定する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、(a)本発明のライブラリーを固定化されたまたは分離可能な標的と接触させるステップと;(b)スキャフォールド:標的複合体を遊離スキャフォールドから分離するステップと;(c)低下した多様性を有することにより、また標的に結合する能力がある提示されたスキャフォールド内に豊富に存在することにより(a)におけるライブラリーと識別される新しいポリペプチドディスプレイライブラリーを得るため、(b)の分離されたスキャフォールドの複製を引き起こすステップと;d)任意選択的に(c)の新しいライブラリーを伴うステップ(a)とステップ(b)を繰り返すステップと;e)(d)から得られる種の提示されるスキャフォールドをコードする領域の核酸配列を決定し、したがって標的に結合する能力があるペプチド配列を推定するステップとを含む。
別の実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、ライブラリースクリーンからの同定後、さらに無作為化してもよい。一実施形態では、本発明の方法は、ライブラリーから同定されるスキャフォールドの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つまたは少なくとも6つのループを本明細書に記載の方法を用いてさらに無作為化するステップを含む。別の実施形態では、さらに無作為化されたスキャフォールドは、標的に結合する能力があるスキャフォールドを同定する後続の方法に従う。この方法は、(a)前記のさらに無作為化されたスキャフォールドを固定化されたまたは分離可能な標的と接触させるステップと、(b)さらに無作為化されたスキャフォールド:標的複合体を遊離スキャフォールドから分離するステップと、(c)(b)の分離されたスキャフォールドの複製を引き起こすステップと、任意選択的にステップ(a)〜(c)を繰り返すステップと、(d)前記のさらに無作為化されたスキャフォールドをコードする領域の核酸配列を決定し、したがって標的に結合する能力があるペプチド配列を推定するステップとを含む。
さらなる実施形態では、さらに無作為化されたスキャフォールドは、最初のライブラリーにおいて予め無作為化された、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つの無作為化されたループを含む。他のさらなる実施形態では、さらに無作為化されたスキャフォールドは、最初のライブラリーにおいて予め無作為化されなかった、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つの無作為化されたループを含む。
本発明はまた、少なくとも1つ以上の標的に結合する少なくとも2つのTn3スキャフォールドを得るための方法を提供する。この方法は、特定の応答を誘発するように協同的に作用する薬剤のスクリーニングを可能にする。2つ以上のスキャフォールドの協同を必要とするアゴニスト活性が要求されるとき、かかるスクリーニングを用いることが有利な場合がある。この方法は、多量体複合体を形成するためのライブラリーの再編成を伴わない協同的な薬剤のスクリーニングを可能にする。一実施形態では、本発明の方法は、標的リガンドを本発明のライブラリーとスキャフォールド:標的リガンド複合体の形成を可能にする条件下で接触させるステップと、前記スキャフォールドを(少なくとも2つの同一のまたは異なるスキャフォールドを極めて接近させて結び付ける薬剤と定義される)架橋剤と会合させる(スキャフォールドの架橋は検出可能な応答を誘発する)ステップと、複合体から標的に結合する前記スキャフォールドを得るステップとを含む。さらなる実施形態では、架橋剤は、スキャフォールドに特異的な抗体、またはその断片、その断片のエピトープタグに特異的な抗体、二量体化ドメイン、例えばFc領域、コイルドコイルモチーフ(例えば限定はされないが、ロイシンジッパー)、化学架橋剤、または当該技術分野で公知の別の二量体化ドメインである。
親和性成熟
本発明のTn3スキャフォールドの発生は、1つ以上のインビトロまたはインビボ親和性成熟ステップを含んでもよい。一部の実施形態では、Tn3単量体サブユニットは、単一の親和性成熟ステップを経ることができる。他の実施形態では、Tn3単量体サブユニットは、2つ以上の親和性成熟ステップを経ることができる。一般には親Tn3スキャフォールドにおけるアミノ酸変化、または詳細には親和性成熟Tn3スキャフォールドの所望される抗原への結合を改善する親Tn3スキャフォールドのループにおけるアミノ酸変化をもたらすような任意の親和性成熟手法を用いることができる。
これらのアミノ酸変化は、例えば、ランダム突然変異誘発、「ウォークスルー」突然変異誘発、および「ルックスルー」突然変異誘発を介して達成され得る。かかる突然変異誘発は、例えば、エラープローンPCR、酵母または細菌の「ミューテーター」株、FnIIIに基づく結合分子の全部もしくは一部のアブイニシオ合成中の無作為なまたは規定された核酸変化の取り込みを用いることによって達成され得る。親和性成熟および/または突然変異誘発を実施するための方法は、例えば、米国特許第7,195,880号明細書;米国特許第6,951,725号明細書;米国特許第7,078,197号明細書;米国特許第7,022,479号明細書;米国特許第5,922,545号明細書;米国特許第5,830,721号明細書;米国特許第5,605,793号明細書、米国特許第5,830,650号明細書;米国特許第6,194,550号明細書;米国特許第6,699,658号明細書;米国特許第7,063,943号明細書;米国特許第5,866,344号明細書およびPCT公開の国際公開第06023144号パンフレットに記載されている。
かかる親和性成熟方法は、抗原に対する改善された親和性を有するTn3スキャフォールドを選択するため、抗原結合スクリーニングアッセイのストリンジェンシーを高めることをさらに必要とする場合がある。ここで、タンパク質−タンパク質相互作用アッセイのストリンジェンシーを高めるための当該技術分野で理解されている方法を用いることができる。一実施形態では、Tn3スキャフォールドの所望される抗原に対する親和性を低減するため、アッセイ条件の1つ以上が変更される(例えばアッセイ緩衝液の塩濃度)。別の実施形態では、Tn3スキャフォールドが所望される抗原に結合するのに許容される時間の長さが減少する。
別の実施形態では、競合的結合ステップをタンパク質−タンパク質相互作用アッセイに加えることができる。例えば、Tn3スキャフォールドは、まず所望される固定化抗原に結合することが可能になり得る。次に、抗原に対して最低の親和性を有するTn3スキャフォールドが固定化抗原から溶出され、改善された抗原結合親和性を有するTn3スキャフォールドの選択をもたらすように、固定化抗原との結合に対して競合することに役立つ特定濃度の非固定化抗原が添加される。アッセイ条件のストリンジェンシーは、アッセイに添加される非固定化抗原の濃度を増加させることにより、さらに高めることができる。
スクリーニング方法はまた、改善された抗原結合性を有する1つ以上のTn3スキャフォールドに対して濃縮するため、複数回の選択を必要とすることがある。一実施形態では、選択の各回において、さらなるアミノ酸突然変異がTn3スキャフォールドに導入される。別の実施形態では、抗原に対する増加した親和性を有するTn3スキャフォールドを選択するため、選択の各回において所望される抗原に結合するストリンジェンシーが高められる。
一部の実施形態では、親和性成熟は、Tn3のBC、DE、およびFGループ部分の飽和突然変異誘発によって実施される。一部の実施形態では、飽和突然変異誘発は、Kunkel突然変異誘発を用いて実施される。他の実施形態では、飽和突然変異誘発は、PCRを用いることにより実施される。
一部の実施形態では、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、または5回を超える親和性成熟が適用される。一部の実施形態では、飽和突然変異誘発は1つのループのみに適用されるが、一部の他の実施形態では、1つのループのみまたはループの一部が1回の親和性成熟中に突然変異を受ける。一部の実施形態では、2つ以上のループまたは1つ以上のループの一部が同一回の親和性成熟中に突然変異を受ける。
他の実施形態では、BC、DE、およびFGループは、同一回の親和性成熟中に同時に突然変異を受ける。
同じ標的の異なるエピトープに結合する多量体Tn3スキャフォールドを構築するための単量体の場合、各結合特異性は独立的にスクリーニングすることができる。
一部の実施形態では、ループはファージディスプレイライブラリーを用いて無作為化される。一部の実施形態では、Tn3スキャフォールドの所望される標的への結合は、当該技術分野で理解された方法を用いて判定され得る。さらに、スクリーニングにおいて同定されたTn3スキャフォールドのアミノ酸配列は、当該技術分野で理解された方法を用いて決定することができる。
一部の実施形態では、本発明の親和性成熟した単量体のスキャフォールドは、表面プラズモン共鳴または当該技術分野で公知の他のアッセイによる測定として、CD40Lに対する親和性における、親和性成熟前の同じTn3スキャフォールドと比べて、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも40倍、少なくとも60倍、少なくとも80倍、または少なくとも100倍以上の増加を呈する。一部の実施形態では、本発明の親和性成熟した単量体のスキャフォールドは、表面プラズモン共鳴または当該技術分野で公知の他のアッセイによる測定として、5μM未満、1μM未満、500μM未満、250μM未満、100μM未満、または50μM未満の解離定数(Kd)を有する。
望ましい改善された結合特性、例えば、増加した親和性または他の望ましい特性、例えば好ましい薬物動態特性、高い効力、低い免疫原性、増加もしくは低減された交差反応性などを有するTn3スキャフォールドを開発するため、これらの親和性成熟方法を適用することができる。
タンデムリピートの作製
タンデム構築物の連結物、すなわち2つのCD40Lに特異的な単量体サブユニットを連結することによって形成される二量体は、限定はされないがII型およびIIS型制限酵素を含む、当該技術分野で公知の制限酵素を用いてのオリゴヌクレオチドの制限部位でのライゲーションにより作製してもよい。
本発明の多量体Tn3スキャフォールドは、C末端および/またはN末端および/または本明細書に記載のようなドメイン間にリンカーを含んでもよい。さらに、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つまたはポリペプチドスキャフォールドを含む本発明のスキャフォールドは、限定はされないが、
(i)VL、CL、VHおよびCH1ドメインを有するFab断片;
(ii)1つ以上のシステイン残基をCH1ドメインのC末端に有するFab断片であるFab’断片;
(iii)VHおよびCH1ドメインを有するFd断片;
(iv)VHおよびCH1ドメインならびに1つ以上のシステイン残基をCH1ドメインのC末端に有するFd’断片;
(v)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインを有するFv断片;
(vi)VHドメインからなるdAb断片;
(vii)単離されたCDR領域;
(viii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab’断片を含む二価断片であるF(ab’)2断片;
(ix)一本鎖抗体分子(例えば、一本鎖Fv;scFv);
(x)同じポリペプチド鎖内に軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む、2つの抗原結合部位を有する「二重特異性抗体」;
(xi)相補的軽鎖ポリペプチドと一緒になって抗原結合領域の対を形成する、タンデムFdセグメントの対(VH−CH1−VH−CH1)を含む「線状抗体」;
(xii)全長抗体;および
(xiii)ヒンジ領域および/またはCH1領域の全部もしくは一部をさらに含んでもよい、CH2−CH3を含むFc領域
から選択される抗体部分を含む二量体化ドメインに融合または複合されてもよい。
Tn3スキャフォールドの生成
本発明のTn3スキャフォールドの組換え発現は、Tn3スキャフォールドをコードするポリヌクレオチドを有する発現ベクターの構築を必要とする。Tn3スキャフォールドをコードするポリヌクレオチドが得られていると、Tn3スキャフォールドの生成用のベクターは、組換えDNA技術により当該技術分野で周知の技術を用いて生成してもよい。したがって、Tn3スキャフォールドをコードするヌクレオチド配列を含有するポリヌクレオチドを発現することによってタンパク質を調製するための方法が本明細書に記載される。スキャフォールドポリペプチドをコードする配列を有する発現ベクターと適切な転写および翻訳制御シグナルを構築するため、当業者に周知の方法を用いることができる。これらの方法として、例えば、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組換えが挙げられる。したがって、本発明は、プロモーターに作動可能に連結された、本発明のTn3スキャフォールドをコードするヌクレオチド配列を含む複製可能なベクターを提供する。
本発明のTn3スキャフォールドを生成するため、発現ベクターは従来技術によって宿主細胞に移され、次に遺伝子導入細胞は従来技術によって培養される。したがって、本発明は、異種プロモーターに作動可能に連結された本発明のスキャフォールドをコードするポリヌクレオチドを含有する宿主細胞を含む。好適な宿主細胞として、限定はされないが、細菌(例えば大腸菌(E.Coli)および枯草菌(B.subtilis))などの微生物が挙げられる。
本発明のTn3スキャフォールドを発現させるため、種々の宿主−発現ベクター系を利用してもよい。かかる宿主−発現系は、目的のコード配列が生成され、続いて精製され得るための媒体を表すが、適切なヌクレオチドコード配列の形質転換または遺伝子導入の際、本発明のスキャフォールドを原位置で発現し得る細胞も表す。これらは、限定はされないが、スキャフォールドコード配列を有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAもしくはコスミドDNAの発現ベクターで形質転換される細菌(例えば、大腸菌(E.Coli)および枯草菌(B.subtilis))などの微生物または哺乳類細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、NSO、および3T3細胞)を含む。
本発明のTn3スキャフォールドの生成にとって有用な方法が、例えば、国際特許出願公開の国際公開第2009/058379号パンフレットに開示されている。本発明のスキャフォールドが組換え発現により生成されていると、それはタンパク質の精製についての当該技術分野で公知の任意の方法により精製してもよい。
一部の実施形態では、本発明のスキャフォールドは、組換え発現中にグリコシル化され得るアミノ酸残基を置換することにより、脱グリコシル化形態で生成され得る。具体的な一実施形態では、組換え発現中のグリコシル化を阻止するため、グリシン−セリンリンカー(例えば、配列番号131または配列番号132)中のセリンアミノ酸が、アラニン、グリシン、ロイシン、イソロイシンもしくはバリンなどの他のアミノ酸残基によって置換され得る(例えば、配列番号140、141、142および143を参照)。一部の具体的な実施形態では、N−グリコシル化部位は本発明のTn3スキャフォールドから除去される。他の実施形態では、本発明のスキャフォールドは、組換え発現後、脱グリコシル化され得る。例えば酵素カクテルを用いての組換え発現後のインビトロ脱グリコシル化の方法は当該技術分野で公知である(例えば、QA−bio,Palm Desert,CAによって市販されているPFGase F、Enodo F Multi、Orela O−linked Glycan Release、Enzymatic CarboRelease、およびEnzymatic DeGlycoMx脱グリコシル化キット)。
米国特許公開の米国特許出願公開第2010−0298541A1号明細書に記載のように、研究室における本発明のTn3スキャフォールドの生成は、分析用スケールリアクターまたは生成用スケールリアクターにおいてスキャフォールドを生成するため、スケールアップすることができる。
分泌されるTn3スキャフォールドのスケーラブルな生成
本発明のTn3スキャフォールドは、細胞内にまたは分泌形態として生成され得る。一部の実施形態では、分泌されるスキャフォールドは、適切にフォールディングされ、完全に機能的である。本発明のTn3スキャフォールドは、スケーラブルなプロセスにより生成され得る。一部の実施形態では、スキャフォールドは、分析用スケールバイオリアクター(例えば限定はされないが、5L、10L、15L、30L、もしくは50Lのバイオリアクター)において本発明のスキャフォールドを生成するためにスケールアップ可能である、研究室における本発明のスケーラブルなプロセスにより生成され得る。他の実施形態では、Tn3スキャフォールドは、生成用スケールバイオリアクター(例えば限定はされないが、75L、100L、150L、300L、もしくは500L)において本発明のTn3スキャフォールドを生成するためにスケールアップ可能である、研究室における本発明のスケーラブルなプロセスにより生成され得る。一部の実施形態では、本発明のスケーラブルなプロセスは、研究室において実施される生成プロセスと比べて、生成効率における低下をほとんどもたらさない。
リンカー
多量体Tn3スキャフォールドにおける単量体サブユニットは、タンパク質および/または非タンパク質リンカーによって連結され得、ここで、各リンカーは少なくとも2つの単量体サブユニットに融合される。好適なリンカーは、タンパク質リンカー、非タンパク質リンカー、およびそれらの組み合わせからなり得る。リンカーの組み合わせは、ホモマーまたはヘテロマーであり得る。一部の実施形態では、本発明の多量体Tn3スキャフォールドは複数の単量体サブユニットを含み、ここで、すべてのリンカーは同一である。他の実施形態では、多量体Tn3スキャフォールドは複数の単量体サブユニットを含み、リンカーの少なくとも1つは、残りのリンカーとは機能的または構造的に異なる。一部の実施形態では、リンカーは、標的への結合に直接的または間接的に関与することにより、多量体Tn3スキャフォールドの活性に自ら寄与し得る。
一部の実施形態では、タンパク質リンカーはポリペプチドである。リンカーポリペプチドは、2つ以上の単量体サブユニットを、それらが所望される活性を保持するように互いに対して正確な立体構造をとるような方法で連結させるのに十分な長さを有する必要がある。
一実施形態では、ポリペプチドリンカーは、1〜約1000のアミノ酸残基、1〜約50のアミノ酸残基、1〜25のアミノ酸残基、1〜20のアミノ酸残基、1〜15のアミノ酸残基、1〜10のアミノ酸残基、1〜5のアミノ酸残基、1〜3のアミノ酸残基を含む。本発明はまた、ポリペプチドリンカー配列をコードする核酸、例えばDNA、RNA、または両方の組み合わせを提供する。ポリペプチドリンカーに含めるために選択されるアミノ酸残基は、本発明の多量体Tn3スキャフォールドの活性または機能と有意に干渉しない特性を呈する必要がある。したがって、ポリペプチドリンカーは、全体として、本発明のTn3多量体スキャフォールドの活性もしくは機能と合致しない、または内部フォールディングに干渉する、または本発明の多量体Tn3スキャフォールドのCD40Lへの結合を著しく妨害することになる1つ以上の単量体サブユニット内のアミノ酸残基と結合もしくは他の相互作用を形成することになる変化を呈さない必要がある。
ポリペプチドを連結し、新規な連結された融合ポリペプチドにするための天然および人工ペプチドリンカーの使用は、文献において周知である。したがって、2つ以上の単量体サブユニットを融合するリンカーは、天然リンカー、人工リンカー、またはその組み合わせである。一部の実施形態では、本発明のTn3多量体スキャフォールド内に存在するすべてのペプチドリンカーのアミノ酸配列は同一である。他の実施形態では、本発明の多量体Tn3スキャフォールド内に存在するペプチドリンカーの少なくとも2つのアミノ酸配列は異なる。
一部の実施形態では、ポリペプチドリンカーは、立体構造的柔軟性を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドリンカー配列は、(G−G−G−G−X)m(式中、×はアラニン(A)、セリン(S)、グリシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)またはバリン(V)であり、mは正の整数である)アミノ酸配列を含む(例えば配列番号209を参照)。具体的な実施形態では、ポリペプチドリンカー配列は、(G−G−G−G−S)m(式中、mは正の整数である)アミノ酸配列を含む(例えば配列番号147を参照)。別の具体的な実施形態では、ポリペプチドリンカー配列は、(G−G−G−G−G)m(式中、mは正の整数である)アミノ酸配列を含む(例えば配列番号148を参照)。さらに別の具体的な実施形態では、ポリペプチドリンカー配列は(G−G−G−G−A)m(式中、mは正の整数である)アミノ酸配列を含む(例えば配列番号149を参照)。一部の実施形態では、ポリペプチドリンカーは、本質的に不定形の天然または人工ポリペプチドである(例えば、Schellenberger et al.,Nature Biotechnol.27:1186−1190,2009を参照;Sickmeier et al.,Nucleic Acids Res.35:D786−93,2007も参照)。
ペプチドリンカーは、非ポリペプチド部分に対する付着基を含むアミノ酸残基が導入されるような方法で修飾され得る。かかるアミノ酸残基の例は、システイン残基であってもよく(次に非ポリペプチド部分が引き続いて付着される)、またはアミノ酸配列は、インビボN−グリコシル化部位を含んでもよい(それにより、ペプチドリンカーに対して糖部分(インビボ)が付着する)。
一部の実施形態では、ポリペプチド多量体中に存在するすべてのペプチドリンカーのアミノ酸配列は同一である。あるいは、ポリペプチド多量体中に存在するすべてのペプチドリンカーのアミノ酸配列は異なってもよい。
本発明は、治療部分に複合されるTn3スキャフォールドの使用をさらに包含する。Tn3スキャフォールドは、治療部分、例えば細胞毒、例えば細胞分裂阻害剤または細胞破壊剤、治療薬または放射性金属イオン、例えばαエミッタに複合させてもよい。細胞毒または細胞毒性薬は、細胞に対して有害な任意の作用物質を含む。
CD40Lに特異的なTn3スキャフォールド
本発明は、CD40Lに特異的に結合するTn3スキャフォールドを提供する。具体的な実施形態では、本発明のスキャフォールドは、ヒトCD40Lに特異的に結合する。他の具体的な実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、マウス、ニワトリ、アカゲザル、カニクイザル、ラット、またはウサギに由来するCD40L相同体に結合する。一部の実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、CD40Lの曝露されたエピトープに結合する。かかる実施形態は、細胞上で内因性に発現されるCD40Lおよび/または受容体を異所性に発現するように遺伝子導入された細胞を含む。
一部の実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、単量体CD40L上に提示されるエピトープを認識する。他の実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、三量体型のCD40L上に提示されるエピトープを認識する。他の実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、膜結合CD40L上に提示されるエピトープを認識する。他の実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、可溶性CD40L上に提示されるエピトープを認識する。
さらに他の実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、単量体CD40Lに結合し、CD40L分子のオリゴマー化を阻止するかまたはそれに干渉する。さらに他の実施形態では、本発明のスキャフォールドは、CD40LとCD40との相互作用を低減または阻害する。他の実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、CD40Lによって媒介される細胞シグナル伝達を刺激する。さらに他の実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、CD40Lによって媒介される細胞シグナル伝達に拮抗する。
本発明はまた、本明細書に記載のTn3スキャフォールドを用いてCD40L活性を調節する方法を提供する。一部の実施形態では、本発明の方法は、CD40LをCD40Lに特異的なスキャフォールドと接触させるステップと、CD40とCD40Lとの間の相互作用を遮断するステップとを含む。他の実施形態では、本発明の方法は、CD40Lを発現する細胞をCD40Lに特異的なTn3スキャフォールドと接触させるステップと、細胞表面からのCD40Lのタンパク質分解切断を阻止するステップとを含む。他の実施形態では、本発明の方法は、CD40L単量体をCD40Lに特異的なTn3スキャフォールドと接触させるステップと、CD40Lのオリゴマー化を阻止するステップとを含む。他の実施形態では、CD40Lの二量体化またはオリゴマー化は、多量体Tn3スキャフォールドの使用を通じて達成してもよい。
一部の実施形態では、本発明の方法は、当該技術分野で公知のルーチンアッセイによる測定として、CD40媒介性免疫応答(例えば、Elqueta et al.229:152−172,2009を参照)、またはCD40のCD40Lへの結合によって開始される下流シグナル伝達経路を低下させる、CD40Lに特異的なスキャフォールドの投与を含む。
何らの特定の理論に拘束されることを望むものではないが、本発明のCD40Lスキャフォールドは、例えば、CD40LのCD40への結合を阻止することにより、可溶性CD40Lに結合して隔離することにより、CD40LとCD40との相互作用を改変しても結合を阻止しないことにより、可溶性CD40Lを得るため、細胞表面からのCD40Lのメタロプロテアーゼ媒介性酵素切断を阻止または増強することにより、細胞表面CD40Lエンドサイトーシスを阻止または増強することにより機能しうる。
特定のCD40Lに結合する配列
一部の実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは、CD40Lに結合する少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つのループ配列を含む、CD40Lに特異的な単量体サブユニットを含む。
一部の実施形態では、CD40Lに特異的な単量体サブユニットは、309(ナイーブTn3ライブラリーから単離された親309ファミリークローン;配列番号20)、309FGwt(ヒト化FGループを有する親309クローン;配列番号22)、340(親和性成熟309クローン;配列番号24)、341(親和性成熟309クローン;配列番号26)、342(親和性成熟309クローン;配列番号28または配列番号146)、343(親和性成熟309クローン;配列番号30)、344(親和性成熟309クローン;配列番号32)、345(親和性成熟309クローン;配列番号34)、346(親和性成熟309クローン;配列番号36)、347(親和性成熟309クローン;配列番号38)、348(親和性成熟309クローン;配列番号40)、349(親和性成熟309クローン;配列番号42)、311(ナイーブTn3ライブラリーから単離された親311ファミリークローン;配列番号44)、311K4E(親和性成熟の1回目からの変異体311ファミリークローン;配列番号46);311K4E_1(親和性成熟の2回目からの変異体311ファミリークローン;配列番号48)、311K4E_2(親和性成熟の2回目からの変異体311ファミリークローン;配列番号50)、311K4E_3(親和性成熟の2回目からの変異体311ファミリークローン;配列番号52)、311K4E_4(親和性成熟の2回目からの変異体311ファミリークローン;配列番号54)、311K4E_5(親和性成熟の2回目からの変異体311ファミリークローン;配列番号56)、311K4E_7(親和性成熟の2回目からの変異体311ファミリークローン;配列番号58)、311K4E_8(親和性成熟の2回目からの変異体311ファミリークローン;配列番号60)、311K4E_9(親和性成熟の2回目からの変異体311ファミリークローン;配列番号62)、311K4E_10(親和性成熟の2回目からの変異体311ファミリークローン;配列番号64)、311K4E_11(親和性成熟の2回目からの変異体311ファミリークローン;配列番号66)、311K4E_12(親和性成熟の2回目からの変異体311ファミリークローン;配列番号68)、311K4E_13(親和性成熟の2回目からの変異体311ファミリークローン;配列番号70)、311K4E_14(親和性成熟の2回目からの変異体311ファミリークローン;配列番号72)、311K4E_15(親和性成熟の2回目からの変異体311ファミリークローン;配列番号74)、311K4E_16(親和性成熟の2回目からの変異体311ファミリークローン;配列番号76)、311K4E_19(親和性成熟の2回目からの変異体311ファミリークローン;配列番号78)、311K4E_20(親和性成熟の2回目からの変異体311ファミリークローン;配列番号80)、および311K4E_21(親和性成熟の2回目からの変異体311ファミリークローン;配列番号82)から選択されるCD40Lに結合する単量体クローンの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つのループ配列を含む。
一部の実施形態では、CD40Lに特異的な単量体サブユニットは、表2に列挙されるループ配列から選択される少なくとも1つのループ配列を含む。他の実施形態では、CD40Lに特異的な単量体サブユニットは、表2に列挙されるBCループ配列から選択される少なくとも1つのBCループ配列を含む。他の実施形態では、CD40Lに特異的な単量体サブユニットは、表2に列挙されるDEループ配列から選択される少なくとも1つのDEループ配列を含む。他の実施形態では、CD40Lに特異的な単量体サブユニットは、表2に列挙されるFGループ配列から選択される少なくとも1つのFGループ配列を含む。
一部の実施形態では、CD40Lに特異的な単量体サブユニットは、表2に列挙されるBCループ配列から選択されるBCループ配列;および表2に列挙されるDEループ配列から選択されるDEループ配列を含む。他の実施形態では、CD40Lに特異的な単量体サブユニットは、表2に列挙されるBCループ配列から選択されるBCループ配列;および表2に列挙されるFGループ配列から選択されるFGループ配列を含む。他の実施形態では、CD40Lに特異的な単量体サブユニットは、表2に列挙されるDEループ配列から選択されるDEループ配列;および表2に列挙されるFGループ配列から選択されるFGループ配列を含む。一部の実施形態では、CD40Lに特異的な単量体サブユニットは、1つ、2つまたは3つの異なるTn3クローンに由来するループ配列に対応するループ配列を含む。
特定の実施形態では、CD40Lに特異的な単量体スキャフォールド配列が、配列のC末端にリンカーおよび/またはヒスチジンタグ(例えばHis−8タグ)、または追加的なN末端アミノ酸を含む場合、これらのC末端のリンカーおよび/またはヒスチジンタグと追加的なN末端アミノ酸は除去され得ることから、対応するアミノ酸配列は、C末端のリンカーおよびHisタグ配列とN末端の追加的な1つもしくは複数のアミノ酸の欠失を含む。
一部の実施形態では、CD40Lに特異的なTn3スキャフォールドは、単一の単量体サブユニット、例えば342クローン配列(親和性成熟309クローン;配列番号28および/または配列番号146)を含む。他の実施形態では、CD40Lに特異的なスキャフォールドは、2つ以上の単量体サブユニット、例えば2つの342クローン単量体サブユニット(配列番号28および/または配列番号146)をタンデムに含む(例えば配列番号135を参照)。具体的な実施形態では、本発明のTn3スキャフォールドは変異体HSA(例えば配列番号134および配列番号135を参照)に複合される。さらなる実施形態では、HSAは多量体Tn3スキャフォールドのN末端またはC末端のいずれかに複合され得る。
具体的な実施形態では、CD40Lに特異的なTn3スキャフォールドは、単一の311K4E_12単量体サブユニット、GSリンカー、およびC34S HSA変異体(例えば配列番号201を参照)を含む。別の具体的な実施形態では、CD40Lに特異的なTn3スキャフォールドは、βストランドC CELTYG変異体を有する単一の311K4E_12単量体サブユニット、全グリシンリンカー、およびC34S HSA変異体(例えば配列番号202を参照)を含む。別の具体的な実施形態では、CD40Lに特異的なTn3スキャフォールドは、タンデムでの2つの311K4E_12サブユニット、および2つのGSリンカーを含み、ここで、第1のGSリンカーはサブユニットを互いに連結し、第2のGSリンカーは1つのサブユニットをC34S HSA変異体(例えば配列番号203を参照)に連結する。さらに別の具体的な実施形態では、CD40Lに特異的なTn3スキャフォールドは、タンデムでの2つの311K4E_12サブユニット、および2つの全グリシンリンカーを含み、ここで、第1の全グリシンリンカーはサブユニットを互いに連結し、第2の全グリシンリンカーは1つのサブユニットをC34S HSA変異体(例えば配列番号204を参照)に連結する。
具体的な一実施形態では、CD40Lに特異的なTn3スキャフォールドは、GSリンカー(例えば配列番号205を参照)を介してタンデムに連結された2つの309サブユニットを含む。別の具体的な実施形態では、CD40Lに特異的なTn3スキャフォールドは、C34S HSA変異体(例えば配列番号206を参照)に連結された単一の309サブユニットを含む。別の具体的な実施形態では、CD40Lに特異的なTn3スキャフォールドは、タンデムでの2つの309サブユニット、および2つのGSリンカーを含み、ここで、第1のGSリンカーはサブユニットを互いに連結し、第2のGSリンカーは1つのサブユニットをC34S HSA変異体(例えば配列番号207を参照)に連結する。
具体的な実施形態では、CD40Lに特異的なTn3スキャフォールドは、単一の342単量体サブユニット、GSリンカー、およびC34S HSA変異体(例えば配列番号134を参照)を含む。別の具体的な実施形態では、CD40Lに特異的なTn3スキャフォールドは、単一の342単量体サブユニット、全グリシンリンカー、およびC34S HSA変異体(例えば配列番号144を参照)を含む。別の具体的な実施形態では、CD40Lに特異的なTn3スキャフォールドは、タンデムでの2つの342サブユニット、および2つのGSリンカーを含み、ここで、第1のGSリンカーはサブユニットを互いに連結し、第2のGSリンカーは1つのサブユニットをC34S HSA変異体(例えば配列番号135を参照)に連結する。さらに別の具体的な実施形態では、CD40Lに特異的なTn3スキャフォールドは、タンデムでの2つの342サブユニット、および2つの全グリシンリンカーを含み、ここで、第1の全グリシンリンカーはサブユニットを互いに連結し、第2の全グリシンリンカーは1つのサブユニットをC34S HSA変異体(例えば配列番号145を参照)に連結する。さらに別の具体的な実施形態では、CD40Lに特異的なTn3スキャフォールドは、GSリンカー(例えば配列番号208を参照)によってタンデムに連結された2つの342サブユニットを含む。
具体的な実施形態では、CD40Lに特異的なTn3スキャフォールドは含む。別の具体的な実施形態では、CD40Lに特異的なTn3スキャフォールドは、タンデムでの、311サブユニット、または311由来のサブユニット(例えば311K4E_12)および309サブユニット、または309由来のサブユニット(例えば342)と、2つのGSリンカーを含み、ここで、第1のGSリンカーはサブユニットを互いに連結し、第2のGSリンカーは1つのサブユニットをC34S HSA変異体(例えば配列番号135を参照)に連結する。さらに別の具体的な実施形態では、CD40Lに特異的なTn3スキャフォールドは、タンデムでの、311サブユニット、または311由来のサブユニット(例えば311K4E_12)および309サブユニット、または309由来のサブユニット(例えば342)と、2つの全グリシンリンカーを含み、ここで、第1の全グリシンリンカーはサブユニットを互いに連結し、第2の全グリシンリンカーは1つのサブユニットをC34S HSA変異体(例えば配列番号145を参照)に連結する。
CD40Lに特異的なタンデム二価Tn3スキャフォールドと血清アルブミン(SA)の融合体の例が図2Aに示される(図9Aも参照)。具体的なリンカーが図2Aに提供されるが、他のリンカーが本明細書中に提供されるものとして検討される。野生型成熟SA、例えばマウス血清アルブミン(MSA)またはヒト血清アルブミン(HSA)を用いてもよいが、成熟SA中の1つ以上のシステイン(C)アミノ酸残基を例えばセリン(S)、アラニン(A)、グリシン(G)などと置換してもよいことは検討される。
代表的な構築物が下記に示される。SAの配列には下線が引かれる。リンカーはボックスで示される。極めて多数の変形形態が本発明の範囲内に含まれることは理解されるであろう。例えば、リンカーが改変されてもよい(幾つかの非限定例が本明細書中に提供される)、1番目もしくは2番目のN末端アミノ酸残基(SQ)が不在であってもよい、かつ/または代わりのアミノ酸残基と置換されてもよい、タグ(例えば6xHisタグ)が組み込まれてもよい、代わりのCD40Lに特異的なスキャフォールド(例えばフィブロネクチンの10番目のFn3ドメインに基づくもの)が類似の構築物中で用いられてもよいなどである。
342一価HSA構築物1(配列番号134)
[342単量体]−(G4S)2リンカー−HSAC34S
Figure 0006862348
342一価HSA構築物2(配列番号144)
[342単量体]−G10リンカー−HSAC34S
Figure 0006862348
342二価HSA構築物1(配列番号135)
[342単量体]−(G4S)3リンカー−[342単量体]−(G4S)2リンカー−HSAC34S
Figure 0006862348
342二価HSA構築物2(配列番号145)
[342単量体]−G15リンカー−[342単量体]−G10リンカー−HSAC34S
Figure 0006862348
311K4E_12一価HSA構築物1(配列番号201)
[311K4E_12単量体]−(G4S)2リンカー−HSAC34S
Figure 0006862348
311K4E_12一価HSA構築物2(配列番号202)
[311K4E_12単量体]−G10リンカー−HSAC34S
Figure 0006862348
311K4E_12二価HSA構築物1(配列番号203)
[311K4E_12単量体]−G43リンカー−[311K4E_12単量体]−(G4S)2リンカー−HSAC34S
Figure 0006862348
311K4E_12二価HSA構築物2(配列番号204)
[311K4E_12単量体]−G15リンカー−[311K4E_12単量体]−G10リンカー−HSAC34S
Figure 0006862348
医薬組成物
別の態様では、本発明は、薬学的に許容できる担体と一緒に調合された本発明のアルブミン融合タンパク質の1つもしくは組み合わせを含有する組成物、例えば限定はされないが医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、医薬組成物は、スキャフォールド、例えばTn3スキャフォールドを有するアルブミン融合タンパク質を含む。別の実施形態では、医薬組成物は、配列番号134、135、201、202、203、204、205、206、207もしくは208のアルブミン融合タンパク質を含み、ここで、その組成物は20ng/mg未満の宿主細胞タンパク質を有し、また46位、151位もしくは両方でのトリプトファンは酸化されない。他の実施形態は、本発明に従って精製されたアルブミン融合タンパク質を含む薬学的に許容できる製剤に関する。その製剤は、好適には緩衝液、糖、および乳化剤を含んでもよい。一実施形態では、緩衝液はリン酸ナトリウム緩衝液であり、糖はスクロースであり、かつ乳化剤はポリソルベート80である。請求項100または101に記載の医薬製剤は凍結乾燥される。
本発明は、例えば以下の実施形態を包含する:
[実施形態1]アルブミン融合タンパク質における精製中のトリプトファンおよび/またはメチオニンの酸化を低減する方法であって、前記アルブミン融合タンパク質を含む組成物を以下の精製プロセス:
(a)親和性マトリックス;
(b)アニオン交換マトリックス
に供するステップを含み、前記アルブミン融合タンパク質が、オクタン酸を含む溶出緩衝液を適用することによって前記親和性マトリックスから溶出される、方法。
[実施形態2]前記溶出緩衝液が約2mM〜約100mMのオクタン酸を含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態3]親和性マトリックスが、
(1)約2%〜約20%の、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、および2−メチル−2,4−ペンタンジオールからなる群から選択されるポリオール;
(2)0.05M〜2.0Mの、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、および臭化リチウムから選択される塩;
(3)約0.02M〜約0.2Mの硫酸ナトリウム;
(4)約0.01%〜約1%の非イオン性界面活性剤;
(5)約0.05M〜約1.0Mの尿素;または
(6)約0.02M〜約0.5Mのニコチンアミド
を含む洗浄用緩衝液で洗浄される、実施形態1または2に記載の方法。
[実施形態4]アルブミン融合タンパク質における精製中のトリプトファンおよび/またはメチオニンの酸化を低減する方法であって、前記アルブミン融合タンパク質を含む組成物を以下の精製プロセス:
(a)親和性マトリックス;
(b)アニオン交換マトリックス
に供するステップを含み、前記親和性マトリックスが、
(1)約2%〜約20%の、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、および2−メチル−2,4−ペンタンジオールからなる群から選択されるポリオール;
(2)0.05M〜2.0Mの、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、および臭化リチウムから選択される塩;
(3)約0.02M〜約0.2Mの硫酸ナトリウム;
(4)約0.01%〜約1%の非イオン性界面活性剤;
(5)約0.05M〜約1.0Mの尿素;または
(6)約0.02M〜約0.5Mのニコチンアミド
を含む洗浄用緩衝液で洗浄される、方法。
[実施形態5]前記洗浄用緩衝液が、約5%〜約15%のポリオール、約0.2M〜約0.8Mの塩、約0.2M〜約0.8Mの硫酸ナトリウム、約0.02%〜約0.4%の非イオン性界面活性剤、または約0.2M〜約1.0Mの尿素を含む、実施形態3または4に記載の方法。
[実施形態6]前記ポリオールが1,2−プロパンジオールであり、前記塩が塩化ナトリウムであり、かつ前記非イオン性界面活性剤がトリトンX−100である、実施形態3、4または5のいずれかに記載の方法。
[実施形態7]前記洗浄用緩衝液が、(1)約0.5Mの塩化ナトリウム;(2)約0.5Mの硫酸ナトリウム;または(3)約10%の1,3−プロパンジオールを含む、実施形態3または4に記載の方法。
[実施形態8]前記溶出緩衝液が、ビストリス、トリス、リン酸、塩、キレート剤、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態1、2、3、5、6または7に記載の方法。
[実施形態9]前記溶出緩衝液が50mMのビストリスである、実施形態8に記載の方法。
[実施形態10]前記洗浄用緩衝液が5.5〜7.0のpHである、実施形態3または4に記載の方法。
[実施形態11]前記親和性マトリックスがローディング緩衝液で平衡化される、実施形態3または4に記載の方法。
[実施形態12]前記親和性マトリックスが色素親和性マトリックスである、実施形態1〜11のいずれかに記載の方法。
[実施形態13]前記アニオン交換マトリックスがデキストラン表面増量剤で高度に架橋されたアガロースを含む、実施形態1〜12のいずれかに記載の方法。
[実施形態14]前記アルブミン融合タンパク質がステップ溶出を用いて前記アニオン交換マトリックスから溶出される、実施形態1〜13のいずれかに記載の方法。
[実施形態13]前記アルブミン融合タンパク質が勾配溶出を用いてアニオン交換から溶出される、実施形態1〜13のいずれかに記載の方法。
[実施形態14]前記アニオン交換マトリックス溶出緩衝液が、NaCl、KCl、CaCl 2 、HCl、LiCl、NaBr、KBr、およびLiBrからなる群から選択される塩を含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態15]前記塩がNaClであり、かつ20〜400mMの量で存在する、実施形態14に記載の方法。
[実施形態16]前記アニオン交換マトリックスが、50mMのビストリスおよび20mMのNaClをpH7.0で含むローディング緩衝液で平衡化される、実施形態1〜15のいずれかに記載の方法。
[実施形態17]前記組成物を、アニオン交換膜を通過させるステップをさらに含む、実施形態1〜16のいずれかに記載の方法。
[実施形態18]前記アニオン交換膜が第4級アミンで修飾されたポリエーテルスルホンベース膜である、実施形態17に記載の方法。
[実施形態19]前記組成物が、10mMを超える塩濃度と8未満のpHとを有するフロースルー緩衝液中で前記アニオン交換膜を通過させられる、実施形態17に記載の方法。
[実施形態20]前記フロースルー緩衝液が10mM〜220mMの塩濃度と6〜8のpHとを有する、実施形態19に記載の方法。
[実施形態21]前記フロースルー緩衝液が6〜7.5のpHで50mM〜220mMの塩濃度を有する、実施形態20に記載の方法。
[実施形態22]アニオン交換マトリックス溶出液をダイアフィルトレーションに供する、実施形態1〜21のいずれかに記載の方法。
[実施形態23]ダイアフィルトレーション用の緩衝液がpH7.0で50mMのビストリスと50mMのNaClとを含む、実施形態22に記載の方法。
[実施形態24]前記膜が予め調整される、実施形態17〜22のいずれかに記載の方法。
[実施形態25]前記膜が平衡化される、実施形態17〜22のいずれかに記載の方法。
[実施形態26]前記組成物を疎水性相互作用マトリックスに供するステップをさらに含む、実施形態1〜25のいずれかに記載の方法。
[実施形態27]前記疎水性相互作用マトリックスまたはマルチモーダルマトリックスが、Capto Butyl、Capto Phenyl、Capto Butyl、Butyl−S Fast Flow、Toyopearl Hexyl、Toyopearl Butyl、Toyopearl Phenyl、Toyopearl PPG、Toyopearl Ether、Toyopearl PPG−600M、およびToyopearl Phenyl−650M、Toyopearl PPG−600M、TSKgel Phenyl、TSKgel Ether、Macro−Prep Methyl、Capto MMC、Eshmuno HCX、Nuvia cPrime、またはToyopearl MX−Trp−650Mからなる群から選択される、実施形態26に記載の方法。
[実施形態28]前記疎水性相互作用マトリックスに、クエン酸塩、硫酸ナトリウムまたは硫酸アンモニウムを含む緩衝液が負荷される、実施形態26に記載の方法。
[実施形態29]前記疎水性相互作用マトリックスが、低レベルのクエン酸塩、[硫酸?]ナトリウムまたは硫酸アンモニウムを含む溶出緩衝液で溶出される、実施形態26に記載の方法。
[実施形態30]前記組成物を限界濾過に供するステップをさらに含む、実施形態1〜29のいずれかに記載の方法。
[実施形態31]前記組成物をダイアフィルトレーションに供するステップをさらに含む、実施形態1〜30のいずれかに記載の方法。
[実施形態32]前記組成物をナノ濾過に供するステップをさらに含む、実施形態1〜31のいずれかに記載の方法。
[実施形態33]前記組成物をサイズ排除クロマトグラフィーに供するステップをさらに含む、実施形態1〜32のいずれかに記載の方法。
[実施形態34]ウイルス不活化プロセスをさらに含む、実施形態1〜33のいずれかに記載の方法。
[実施形態35]前記ウイルス不活化プロセスが、アルブミン融合タンパク質を含む前記組成物をトリトンX−100、ツイーン80、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ノノキシノール−9、ポリオキサマー、ステアリルアルコール、またはソルビタンモノステアレートで処理するステップを含む、実施形態34に記載の方法。
[実施形態36]前記ウイルス不活化プロセスが前記ステップ(a)のプロセス後および前記ステップ(b)のプロセス前に実施される、実施形態34に記載の方法。
[実施形態37]トリトンX−100が、約30〜約240分にわたって保持される約0.01%〜約1%のトリトンX−100の最終濃度(w/w)まで添加される、実施形態38に記載の方法。
[実施形態38]酸化されたトリプトファン残基を本質的に含まないアルブミン融合タンパク質を含む組成物を得る方法であって、トリプトファンが酸化されたアルブミン融合タンパク質とトリプトファンが酸化されていないアルブミン融合タンパク質とを含む組成物を疎水性相互作用マトリックスに供するステップを含み、トリプトファンが酸化されたアルブミン融合タンパク質とトリプトファンが酸化されていないアルブミン融合タンパク質とが異なる時間に前記疎水性相互作用マトリックスから溶出され、それにより、前記トリプトファンが酸化されたアルブミン融合タンパク質を前記トリプトファンが酸化されていないアルブミン融合タンパク質から分離する、方法。
[実施形態39]トリプトファン/メチオニン残基の酸化を本質的に含まないアルブミン融合タンパク質を単離する方法であって、アルブミン融合タンパク質を含む組成物を、以下の精製プロセス:
(a)親和性マトリックスクロマトグラフィープロセス;
(b)アニオン交換クロマトグラフィープロセス;および
(c)疎水性相互作用マトリックスクロマトグラフィープロセス
に供するステップを含み、オクタン酸を含む溶出緩衝液が前記親和性マトリックスに適用され、トリプトファンが酸化されたアルブミン融合タンパク質とトリプトファンが酸化されていないアルブミン融合タンパク質とが異なる時間に前記疎水性相互作用マトリックスから溶出され、それにより、前記トリプトファンが酸化されたアルブミン融合タンパク質を前記トリプトファンが酸化されていないアルブミン融合タンパク質から分離する、方法。
[実施形態40]アルブミン融合タンパク質を精製する方法であって、アルブミン融合タンパク質を含む組成物を、疎水性相互作用マトリックスおよび以下の精製プロセス:
(a)オクタン酸を含む溶出緩衝液が適用される親和性マトリックス;および/または (b)アニオン交換マトリックス
の1つ以上に供するステップを含み、親和性マトリックスが、(1)約2%〜約20%の、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール、および2−メチル−2,4−ペンタンジオールからなる群から選択されるポリオール;(2)0.05M〜2.0の、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、および臭化リチウムから選択される塩;(3)約0.02M〜約0.2Mの硫酸ナトリウム;(4)約0.01%〜約1%の非イオン性界面活性剤;(5)約0.05M〜約1.0Mの尿素;または(6)約0.02M〜約0.5Mのニコチンアミドを含む洗浄用緩衝液で洗浄され、
得られる精製されたアルブミン融合タンパク質が、酸化されたトリプトファン残基を本質的に含まない、方法。
[実施形態41]アルブミン融合タンパク質を精製する方法であって、
(a)前記アルブミン融合タンパク質を含む組成物を親和性マトリックスに適用するステップと;
(b)前記アルブミン融合タンパク質を前記(a)の親和性マトリックスから溶出させて第1の溶出液を得るステップと;
(c)前記第1の溶出液をアニオン交換マトリックスに適用するステップと;
(d)前記アルブミン融合タンパク質を前記アニオン交換マトリックスから溶出させて第2の溶出液を得るステップと;
(e)前記第2の溶出液をアニオン交換膜に適用するステップと;
(f)前記アルブミン融合タンパク質を、アニオン交換膜を通過させてフロースルーを得るステップと;
(g)前記フロースルーを疎水性相互作用マトリックスに適用するステップと;
(h)前記アルブミン融合タンパク質を前記疎水性相互作用マトリックスから溶出させて第3の溶出液を得るステップと
を含み、前記第3の溶出液が前記精製されたアルブミン融合タンパク質を含む、方法。
[実施形態42]前記アルブミン融合タンパク質中のアルブミンがヒト血清アルブミン(HSA)である、実施形態1〜41のいずれかに記載の方法。
[実施形態43]前記HSAが変異体HSAである、実施形態42に記載の方法。
[実施形態44]前記変異体HSAのアミノ酸配列が配列番号133である、実施形態43に記載の方法。
[実施形態45]前記アルブミン融合タンパク質が、3番目のフィブロネクチンIII型(FnIII)ドメインを含むスキャフォールド部分を含む、実施形態1〜44のいずれかに記載の方法。
[実施形態46]前記FnIIIドメインがヒトテネイシンC(Tn3スキャフォールド)由来である、実施形態45に記載の方法。
[実施形態47]前記アルブミン融合タンパク質がスキャフォールドを含む、実施形態1〜46のいずれかに記載の方法。
[実施形態48]前記スキャフォールドがトリプトファン残基を含む、実施形態47に記載の方法。
[実施形態49]前記トリプトファン残基の酸化が前記アルブミン融合タンパク質の活性を低下させる、実施形態48に記載の方法。
[実施形態50]前記スキャフォールドがCD40Lに特異的に結合する、実施形態47〜49のいずれかに記載の方法。
[実施形態51]前記Tn3スキャフォールドが単一のCD40Lに特異的な単量体サブユニットを含む、実施形態50に記載の方法。
[実施形態52]前記Tn3スキャフォールドがタンデムに連結された2つのCD40Lに特異的な単量体サブユニットを含む、実施形態51に記載の方法。
[実施形態53]前記2つのCD40Lに特異的な単量体サブユニットが直接的に連結される、実施形態52に記載の方法。
[実施形態54]前記2つのCD40Lに特異的な単量体サブユニットがリンカーによって連結される、実施形態52に記載の方法。
[実施形態55]前記リンカーがペプチドリンカーを含む、実施形態54に記載の方法。
[実施形態56]前記ペプチドリンカーが(G m X) n 配列を含み、ここで、
(a)Xがセリン(S)、アラニン(A)、グリシン(G)、Leu(L)、イソロイシン(I)、またはバリン(V)であり;
(b)mおよびnが整数であり;
(c)mが1、2、3または4であり;かつ
(d)nが1、2、3、4、5、6、または7である、実施形態55に記載の方法。
[実施形態57]前記ペプチドリンカーが配列番号131、配列番号132、配列番号142または配列番号143を含む、実施形態56に記載の方法。
[実施形態58]前記Tn3スキャフォールドがβストランドを含み、少なくとも1つのCD40Lに特異的な単量体サブユニットの前記βストランドが配列番号3のβストランドに対して少なくとも90%の配列同一性を有する、実施形態45に記載の方法。
[実施形態59]前記Tn3スキャフォールドがβストランドAを含み、前記βストランドAが少なくとも1つの突然変異を除いて配列番号11を含む、実施形態45に記載の方法。
[実施形態60]前記Tn3スキャフォールドがβストランドBを含み、前記βストランドBが少なくとも1つの突然変異を除いて配列番号12を含む、実施形態45に記載の方法。
[実施形態61]前記Tn3スキャフォールドがβストランドCを含み、前記βストランドCが少なくとも1つの突然変異を除いて配列番号13または14を含み、配列番号13または14中のシステインが置換されない、実施形態45に記載の方法。
[実施形態62]前記Tn3スキャフォールドがβストランドDを含み、前記βストランドDが少なくとも1つの突然変異を除いて配列番号15を含む、実施形態45に記載の方法。
[実施形態63]前記Tn3スキャフォールドがEβとして含み、βストランドEが少なくとも1つの突然変異を除いて配列番号16を含む、実施形態45に記載の方法。
[実施形態64]前記Tn3スキャフォールドがFβとして含み、βストランドDが少なくとも1つの突然変異を除いて配列番号17を含み、配列番号17中のシステインが置換されない、実施形態45に記載の方法。
[実施形態65]前記Tn3スキャフォールドがβストランドGを含み、前記βストランドGが少なくとも1つの突然変異を除いて配列番号18を含む、実施形態45に記載の方法。
[実施形態66]前記CD40Lに特異的な単量体サブユニットがアミノ酸配列:
Figure 0006862348
を含み、ここで、
(a)X AB 、X BC 、X CD 、X DE 、X EF 、およびX FG がそれぞれAB、BC、CD、DE、EF、およびFGループの配列中に存在するアミノ酸残基を表し;
(b)X 1 がアミノ酸残基AまたはTを表し;かつ
(c)前記ループの長さnが2〜26の整数である、実施形態50〜54のいずれかに記載の方法。
[実施形態67]前記ABループの前記配列が配列番号4または配列番号136を含み、前記CDループの前記配列が配列番号6を含み、かつ前記EFループの前記配列が配列番号8または配列番号137を含む、実施形態66に記載の方法。
[実施形態68]前記BCループの前記配列が、配列番号83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、および168からなる群から選択される配列を含む、実施形態67に記載の方法。
[実施形態69]前記DEループの前記配列が、配列番号94、95、96、97、98、および169からなる群から選択される配列を含む、実施形態67に記載の方法。
[実施形態70]前記FGループの前記配列が、配列番号9、99、139、および170からなる群から選択される配列を含む、実施形態67に記載の方法。
[実施形態71]前記BCループの前記配列が、配列番号100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、および174からなる群から選択される配列を含む、実施形態67に記載の方法。
[実施形態72]前記DEループの前記配列が、配列番号118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、および175からなる群から選択される配列を含む、実施形態67に記載の方法。
[実施形態73]前記FGループの前記配列が、配列番号129、130、および177からなる群から選択される配列を含む、実施形態67に記載の方法。
[実施形態74](a)前記BCループの前記配列が配列番号83を含み、前記DEループの前記配列が配列番号94を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号9または139を含むか;
(b)前記BCループの前記配列が配列番号83を含み、前記DEループの前記配列が配列番号94を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号99を含むか;
(c)前記BCループの前記配列が配列番号84を含み、前記DEループの前記配列が配列番号95を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号9または139を含むか;
(d)前記BCループの前記配列が配列番号85を含み、前記DEループの前記配列が配列番号94を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号9または139を含むか;
(e)前記BCループの前記配列が配列番号86を含み、前記DEループの前記配列が配列番号96を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号9または139を含むか;
(f)前記BCループの前記配列が配列番号87を含み、前記DEループの前記配列が配列番号97を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号9または139を含むか;
(g)前記BCループの前記配列が配列番号88を含み、前記DEループの前記配列が配列番号95を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号9または139を含むか;
(h)前記BCループの前記配列が配列番号89を含み、前記DEループの前記配列が配列番号94を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号9または139を含むか;
(i)前記BCループの前記配列が配列番号90を含み、前記DEループの前記配列が配列番号94を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号9または139を含むか;
(j)前記BCループの前記配列が配列番号91を含み、前記DEループの前記配列が配列番号95を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号9または139を含むか;
(k)前記BCループの前記配列が配列番号92を含み、前記DEループの前記配列が配列番号98を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号9または139を含むか;または
(l)前記BCループの前記配列が配列番号93を含み、前記DEループの前記配列が配列番号94を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号9または139を含む、実施形態67に記載の方法。
[実施形態75](a)前記BCループの前記配列が配列番号100を含み、前記DEループの前記配列が配列番号118を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
(b)前記BCループの前記配列が配列番号101を含み、前記DEループの前記配列が配列番号119を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
(c)前記BCループの前記配列が配列番号102を含み、前記DEループの前記配列が配列番号120を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
(d)前記BCループの前記配列が配列番号103を含み、前記DEループの前記配列が配列番号121を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
(e)前記BCループの前記配列が配列番号104を含み、前記DEループの前記配列が配列番号122を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
(f)前記BCループの前記配列が配列番号105を含み、前記DEループの前記配列が配列番号121を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
(g)前記BCループの前記配列が配列番号106を含み、前記DEループの前記配列が配列番号123を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
(h)前記BCループの前記配列が配列番号107を含み、前記DEループの前記配列が配列番号123を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
(i)前記BCループの前記配列が配列番号108を含み、前記DEループの前記配列が配列番号118を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
(j)前記BCループの前記配列が配列番号109を含み、前記DEループの前記配列が配列番号123を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
(k)前記BCループの前記配列が配列番号110を含み、前記DEループの前記配列が配列番号121を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
(l)前記BCループの前記配列が配列番号111を含み、前記DEループの前記配列が配列番号123を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号130を含むか;
(m)前記BCループの前記配列が配列番号108を含み、前記DEループの前記配列が配列番号121を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
(n)前記BCループの前記配列が配列番号112を含み、前記DEループの前記配列が配列番号124を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
(o)前記BCループの前記配列が配列番号113を含み、前記DEループの前記配列が配列番号125を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
(p)前記BCループの前記配列が配列番号114を含み、前記DEループの前記配列が配列番号118を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
(q)前記BCループの前記配列が配列番号115を含み、前記DEループの前記配列が配列番号126を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
(r)前記BCループの前記配列が配列番号116を含み、前記DEループの前記配列が配列番号127を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;または
(s)前記BCループの前記配列が配列番号117を含み、前記DEループの前記配列が配列番号128を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含む、実施形態67に記載の方法。
[実施形態76]前記ABループが配列番号136を含む、実施形態75に記載の方法。
[実施形態77]前記CD40Lに特異的な単量体サブユニットが、配列番号20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42および146からなる群から選択される配列を含む、実施形態75に記載の方法。
[実施形態78]前記CD40Lに特異的な単量体サブユニットがアミノ酸配列:
Figure 0006862348
を含み、ここで、
(a)X 1 がアミノ酸残基のセリン(S)またはロイシン(L)を表し;
(b)X 2 がアミノ酸残基のアスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を表し;
(c)X 3 がアミノ酸残基のヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、バリン(V)、フェニルアラニン(F)またはトリプトファン(W)を表し;
(d)X 4 がアミノ酸残基のアラニン(A)、グリシン(G)、グルタミン酸(E)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(e)X 5 がアミノ酸残基のグルタミン酸(E)、ロイシン(L)、グルタミン(Q)、セリン(S)、アスパラギン酸(D)またはアスパラギン(N)を表し;
(f)X 6 がアミノ酸残基のフェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(g)X 7 がアミノ酸残基のイソロイシン(I)、バリン(V)、ヒスチジン(H)、グルタミン酸(E)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(h)X 8 がアミノ酸残基のグリシン(G)、トリプトファン(W)またはバリン(V)を表し;
(i)X 9 がアミノ酸残基のトリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(j)X 10 がアミノ酸残基のセリン(S)、グルタミン(Q)、メチオニン(M)またはヒスチジン(H)を表し;
(k)X 11 がアミノ酸残基のトリプトファン(W)またはヒスチジン(H)を表し;かつ
(l)X 12 がアミノ酸残基のアルギニン(R)またはセリン(S)を表す、実施形態50〜54のいずれかに記載の方法。
[実施形態79]前記CD40Lに特異的な単量体サブユニットが、配列番号44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、および82からなる群から選択される配列を含む、実施形態78に記載の方法。
[実施形態80]前記CD40Lに特異的な単量体サブユニットがアミノ酸配列:
Figure 0006862348
を含み、ここで、
(a)X 1 がアミノ酸残基のリジン(K)またはグルタミン酸(E)を表し;
(b)X 2 がアミノ酸残基のトレオニン(T)またはイソロイシン(I)を表し;
(c)X 3 がアミノ酸残基のアスパラギン(N)またはアラニン(A)を表し;
(d)X 4 がアミノ酸残基のセリン(S)、ロイシン(L)、アラニン(A)、フェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を表し;
(e)X 5 がアミノ酸残基のチロシン(Y)、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、イソロイシン(I)またはセリン(S)を表し;
(f)X 6 がアミノ酸残基のチロシン(Y)、セリン(S)、アラニン(A)またはヒスチジン(H)を表し;
(g)X 7 がアミノ酸残基のアスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(h)X 8 がアミノ酸残基のロイシン(L)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(i)X 9 がアミノ酸残基のヒスチジン(H)、プロリン(P)、セリン(S)、ロイシン(L)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(j)X 10 がアミノ酸残基のグリシン(G)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)またはチロシン(Y)を表し;
(k)
(l)X 11 がアミノ酸残基のアラニン(A)またはトレオニン(T)を表し;
(m)X 12 がアミノ酸残基のセリン(S)、アスパラギン(N)、グルタミン酸(E)、アスパラギン(R)またはアスパラギン酸(D)を表し;
(n)X 13 がアミノ酸残基のセリン(S)、グルタミン(Q)、トレオニン(T)、アスパラギン(N)またはアラニン(A)を表し;
(o)X 14 がアミノ酸残基のプロリン(P)、バリン(V)、イソロイシン(I)もしくはアラニン(A)、またはアミノ酸なしを表し;
(p)X 15 がアミノ酸残基のイソロイシン(I)またはアミノ酸なしを表し;
(q)X 16 がアミノ酸残基のグルタミン酸(E)またはリジン(K)を表し;かつ
(r)X 17 がアミノ酸残基のセリン(S)またはアスパラギン(N)を表す、実施形態78に記載の方法。
[実施形態81]前記Tn3スキャフォールドが、配列番号134、135、205、206、207および208からなる群から選択される配列を含む、実施形態46に記載の方法。
[実施形態82]前記Tn3スキャフォールドが、配列番号201、202、203、および204からなる群から選択される配列を含む、実施形態46に記載の方法。
[実施形態83]前記CD40LがヒトCD40Lである、実施形態50に記載の方法。
[実施形態84]前記CD40Lが、膜結合CD40L(配列番号1)、可溶性CD40L(配列番号2)、またはその断片である、実施形態83に記載の方法。
[実施形態85]前記スキャフォールドがCD40Lに結合し、かつCD40LのCD40への結合を阻止する、実施形態50〜84のいずれかに記載の方法。
[実施形態86]前記スキャフォールドがCD40Lに結合し、かつCD40媒介性シグナル伝達を破壊する、実施形態50〜85のいずれかに記載の方法。
[実施形態87]前記スキャフォールドが、約1μM以下、または約500nM以下、または約100nM以下、または約50nM以下、または約25nM以下、または約10nM以下、または約5nM以下、または約2nM以下の親和性(Kd)でCD40Lに結合する、実施形態50〜86のいずれかに記載の方法。
[実施形態88]CD40Lに特異的な単量体サブユニットが、配列番号2の142〜155位、200〜230位、または247〜251位に位置するアミノ酸を含むCD40Lエピトープに特異的に結合する、実施形態50〜87のいずれかに記載の方法。
[実施形態89]実施形態1〜88のいずれかに記載の方法によって得られるアルブミン融合タンパク質組成物。
[実施形態90]前記精製されたアルブミン融合タンパク質の相対効力が>90%である、実施形態89に記載の組成物。
[実施形態91]アルブミン融合タンパク質を含む組成物であって、20ng/mg未満の宿主細胞タンパク質を有し、トリプトファン残基の15%未満が酸化されている、組成物。
[実施形態92]前記トリプトファン残基の5%未満が酸化されている、実施形態91に記載の組成物。
[実施形態93]総タンパク質に対する5%未満のアミノ酸残基が酸化されている、実施形態94に記載の組成物。
[実施形態94]アルブミン融合タンパク質を含む組成物であって、5×10 -3 ng/mg未満のDNAを有し、トリプトファン残基の15%未満が酸化されている、組成物。
[実施形態95]前記トリプトファン残基の5%未満が酸化されている、実施形態94に記載の組成物。
[実施形態96]総タンパク質に対する20%未満の前記アミノ酸残基が酸化されている、実施形態95に記載の組成物。
[実施形態97]アルブミン融合タンパク質を含む組成物であって、20ng/mg未満の宿主細胞タンパク質を有し、前記アルブミン融合タンパク質が>90%の相対活性を有する、組成物。
[実施形態98]アルブミン融合タンパク質を含む組成物であって、5×10 -3 ng/mg未満のDNAを有し、前記アルブミン融合タンパク質が>90%の相対活性を有する、組成物。
[実施形態99]配列番号134、135、201、202、203、204、205、206、207または208のアルブミン融合タンパク質を含む組成物であって、20ng/mg未満の宿主細胞タンパク質を有し、46位、151位または両方のトリプトファンが酸化されない、組成物。
[実施形態100](a)実施形態90〜99のいずれかに記載の組成物;
(b)緩衝液;
(c)糖;および
(d)乳化剤
を含む薬学的に許容できる製剤。
[実施形態101]前記緩衝液がリン酸ナトリウム緩衝液であり、前記糖がスクロースであり、かつ前記乳化剤がポリソルベート80である、実施形態100に記載の製剤。
[実施形態102]凍結乾燥される、実施形態100または101に記載の製剤。
均等物
当業者は、本明細書に記載の本発明の具体的な実施形態に対する多数の均等物を理解するか、または単にルーチン実験を用いるのみで確認することができるであろう。かかる均等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許および特許出願は、あたかも各々個別の刊行物、特許または特許出願が参照により本明細書中に援用されることが詳細かつ個別に示されるのと同程度まで、ここで参照により本明細書に援用される。
ここで、本発明は、以下の実施例を参照して説明される。これらの実施例はあくまで例示的なものであり、本発明は、決してこれらの実施例に限定されるものとして解釈されるべきでないばかりか、本明細書に提供される教示内容の結果として明白になるあらゆる変形形態を包含するように解釈されるべきである。
実施例1
化学物質
プロピレングリコールはAlfa Aesar(Ward Hill,MA,USA)から入手した。スクロースはPfanstiehl(Waukegan,Il,USA)から入手した。トリトンX−100および硫酸ナトリウムはEMD Millipore(Billerica,MA,USA)から入手した。ビストリス、ビストリスHCl、およびニコチンアミドはSigma−Aldrich(St.Louis、MO,USA)から入手した。氷酢酸、アルギニン、グリシン、酢酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、トリス、および尿素は、JT Baker(Center Valley,PA,USA)から入手した。
タンパク質
本研究で用いられるタンパク質のアルブミン融合タンパク質#1(AFP−1)(配列番号145)は、ヒト血清アルブミンに融合された、ヒトフィブロネクチンIII型タンパク質ドメインに由来する2つの同一のテネイシンC(TnC)ドメインからなるCD40L拮抗剤である。(ヒトTnCの3番目のフィブロネクチンIII型タンパク質ドメイン由来の)各Tn3ドメインは、ヒトCD40Lに結合し、ヒトCD40とのその相互作用を阻害する。ヒト血清アルブミン融合体は、その分子の好適な薬物動態特性を保証する。そのタンパク質は、当業者が精通した技術を用いて、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において発現される。組換えヒトアルブミン(rHSA;米において発現される)は、Sigma−Aldrichから凍結乾燥粉末として購入した(カタログ番号A9731)。表3は、rHSAおよびAFP−1の特性の概要である。
Figure 0006862348
総タンパク質濃度の測定
すべてのプロセス中間体(清澄化培地および場合によりCibacron blue色素クロマトグラフィープールを除く)におけるタンパク質濃度を、業界で共通の標準的な分光光度的手順を用いて280nmでの吸光度により測定した。吸光係数として、AFP−1に対して0.98(mg/mL)-1cm-1、rHSAに対して0.531(mg/mL)-1cm-1を用いた。
HSA親和性高性能液体クロマトグラフィー
分析用高性能HSA親和性クロマトグラフィー(HSA−HPLC)をAgilent 1200 HPLCシステム(Palo Alto,CA,USA)とともに、Life Technologies(Grand Island、NY,USA)から入手したPoros CaptureSelect HSAカラムを用いて実施した。平衡化緩衝液相は10〜50mMのリン酸ナトリウム、3.5mL/分でpH7.2であり、生成物は100mMのグリシン、pH2.0緩衝液で溶出させた。10〜100ugの試料を適切に注射し、溶出特性を280nmでの分光光度計を用いて監視した。データを収集し、Agilent製のChemStationソフトウェアを用いて分析し、生成物に特異的な濃度を、精製タンパク質を用いて作成した検量線から判定した。
色素親和性クロマトグラフィー
Cibacron blue色素親和性クロマトグラフィーは、20cmのベッド高を有する小規模クロマトグラフィーカラム内で典型的な結合および溶出条件下で実施した。すべての実行は、GE Healthcare(Piscataway,NJ,USA)製のAKTA Explorer液体クロマトグラフィーシステムを用いて実行し、カラムは300cm/時で操作した。ベースライン条件下において、カラムは、50mMのビストリス(またはリン酸塩)、50mMのNaCl、pH6.0で平衡化し、次に(清澄化細胞培養液中のHSA−HPLC力価に基づいて)樹脂1Lあたり最大25gのタンパク質を負荷した。負荷後、カラムを再平衡化し、50mMのビストリス(またはリン酸塩)、pH7.0で洗浄し、次に50mMのビストリス(またはリン酸塩)、25mMのオクタン酸ナトリウム、10mMのEDTA、pH7.0で溶出した。生成物ピークを生成物ピークのリーディング側とテーリング側での100mAUの吸光度基準に基づいて収集した。最適化(実施例2参照)中、追加洗浄を再平衡化と50mMリン酸塩、pH7洗浄中にカラムに適用した。Capto Blue(high sub)樹脂はGE Healthcare(Piscataway,NJ,USA)から入手した。Toyopearl AF−Blue HC−650M樹脂はTosho Biosciences(King of Prussia,PA,USA)から入手した。
アニオン交換クロマトグラフィー
アニオン交換クロマトグラフィー(AEX)は、20cmのベッド高に充填された小型クロマトグラフィーカラム内で典型的な結合および溶出条件下で実施した。すべての実行は、GE Healthcare製のAKTA Explorer液体クロマトグラフィーシステムを用いて実行し、カラムは300cm/時で操作した。ベースライン条件下において、カラムは、50mMのビストリス、20mMの塩化ナトリウム、pH7.0で平衡化し、タンパク質を負荷し、次に平衡化緩衝液で洗浄した。カラムをpH7.0でのビストリス緩衝液中で20〜400mMの塩化ナトリウムの段階的または10カラム容積(CV)線形勾配を用いて溶出した。生成物ピークは、生成物ピークのリーディング側およびテーリング側に対する100mAUの吸光度基準に基づいて収集した。Capto Q樹脂は、GE Healthcare(Piscataway,NJ,USA)から入手した。
アニオン交換膜クロマトグラフィー
アニオン交換膜クロマトグラフィー(AEMC)を典型的なフロースルー条件下で実施した。すべての実行は、GE Healthcare製のAKTA Explorer液体クロマトグラフィーシステムを用いて実行し、カラムは10MV/分で操作した。ベースライン条件下において、膜は50mMのビストリス、50mMの塩化ナトリウム、pH7.0で平衡化し、次に負荷材料は膜を通過させた。フロースルー生成物ピークは、生成物ピークのリーディング側およびテーリング側に対する100mAUの吸光度基準に基づいて収集した。最適化(実施例2を参照)中、10〜220mMのNaClおよびpH6〜8の緩衝液条件を用いた。Mustang Q膜は、Pall Life Sciences(Port Washington,NY,USA)から入手した。
疎水性相互作用クロマトグラフィー
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)は、20cmのベッド高を有する小規模クロマトグラフィーカラム内で典型的な結合および溶出条件下で実施した。すべての実行は、GE Healthcare(Piscataway,NJUSA)製のAKTA Explorer液体クロマトグラフィーシステムを用いて実行し、カラムは130〜300cm/時で操作した。ベースライン条件下において、カラムは50mMのビストリス、1Mのクエン酸ナトリウム、pH7.0で平衡化した。負荷物は1(重量)部のタンパク質溶液を2重量部の50mMのビストリス、2Mのクエン酸ナトリウム、pH7.0で希釈することにより調製し、次にカラムに樹脂1Lあたり最大25gのタンパク質を負荷した。負荷後、カラムを平衡化緩衝液で再平衡化し、次に20カラム容積にわたる1Mから0mMのクエン酸ナトリウムでのクエン酸ナトリウムの線形勾配で溶出した。生成物ピークを画分で収集するとともに、早期に溶出する材料を酸化生成物中で濃縮した。Toyopearl PPG 600MおよびToyopearl Phenyl 650M樹脂は、Tosoh Bioscience(King of Prussia,PA,USA)製であり;Capto MMCおよびButyl−S Fast Flow樹脂はGE Healthcare(Piscataway,NJ,USA)製であった。
分析用サイズ排除クロマトグラフィー
分析用高性能サイズ排除クロマトグラフィー(SEC−HPLC)を、Agilent 1200 HPLCシステム(Palo Alto,CA,USA)とともに、Tosoh Biosciences(King of Prussia,PA USA)から入手したTSK−GEL G3000SWXLカラム(7.8mm×30cm)を用いて実施した。移動相は、30℃、0.8mL/分で22分間、0.1Mのリン酸ナトリウム、0.1Mの硫酸ナトリウム、10%イソプロパノール、pH6.8であった。250ugの試料を適切に注射し、Bio−Rad(Hercules,CA USA)からの分子量標準を用いてカラムを較正した。280nmでの分光光度計を用いて溶出特性を監視し、データを収集し、Agilent製のChemStationソフトウェアを用いて分析した。結果は、約12分後に認められた緩衝液関連ピークを除き、すべての他のピークと比べた生成物単量体ピークの面積パーセントとして報告する。移動相に10%のイソプロパノールを伴わずにSEC−HPLC法を実行するとき、トリプトファン酸化単量体として同定された単量体ピークに対するフロントショルダー(完全には溶解されない)が認められる。したがって、単量体および凝集体を測定するかまたはトリプトファン酸化を推定するため、SEC−HPLCアッセイの操作方法に応じてそれを用いることができる。
実施例2
アルブミン融合タンパク質の精製(500L規模)
組換えヒトアルブミン(rHSA)は、フロースルークロマトグラフィー膜、トリトンウイルス不活化ステップ、および限界濾過/ダイアフィルトレーションステップといった3つの結合および溶出クロマトグラフィーカラムを含むプロセスで精製した。rHSAプロセス用の出発物質を作製するため、モノクローナル抗体(mAb)プロセスからの細胞培養上清において、プロテインAクロマトグラフィーの実行中、非結合材料を回収することにより抗体を枯渇させ、次に凍結乾燥したrHSA粉末を、抗体を含まない上清中に溶解させた。この出発物質は、宿主細胞タンパク質、DNA、および小分子不純物を含み、それらは典型的にはCHO細胞培養下で発現されるアルブミン融合タンパク質の細胞培養上清中に存在することになる。
図1に示すrHSA精製プロセスは、約700mLの上清を精製するために用いた。表4は1L規模の精製からの性能パラメータを示す。表でわかるように、クロマトグラフィー単位操作に対するステップ収率は、Capto Blue(high sub)を例外として一般に高かった。図2は、rHSAのCibacron blue(high sub)色素親和性クロマトグラムを示す。図でわかるように、大きい吸光度ピークが負荷中および0.5MのNaCl洗浄中に認められる。この実行単独から、低収率は、カラムへの過剰負荷(すなわち、カラムがrHSAで飽和され、rHSAのすべてが上清から捕捉されたのではなかったこと)が原因であったか、または0.5MのNaCl洗浄が理由であったかは未知である。いすれの場合でも、収率低下がカラム負荷および洗浄ステップ条件の最適化により最少化され得る可能性は高い。
Figure 0006862348
rHSAプロセス中間体の生成物品質属性の概要を表5に示す。表でわかるように、HCPおよびDNAは、精製プロセスとともに低レベルまで十分に制御され、完全に精製された材料中でHCPは<10ng/mgで測定され、DNAは1.7×10-4ng/mgで測定される。HCPはCapto Blueカラムよりも2ログ超、CaptoQおよびPPG−600Mカラムからさらに1ログ(以上)減少する。5ログ超のDNAがCaptoQカラムにより除去され、さらに1ログ(以上)がCapto BlueおよびMustang Qステップにより除去される。さらなる凝集体の除去が精製プロセス中の複数のステップにわたり認められた。全体として、プロセスはrHSAの精製に非常に成功し、アルブミン融合タンパク質の精製のための開始点として用いることができた。
Figure 0006862348
実施例3
アルブミン融合タンパク質の精製(500L規模)
組換えヒト血清アルブミン融合タンパク質AFP−1(HSA融合体またはアルブミン融合体)をCHO細胞内で発現させ、フロースルークロマトグラフィー膜、トリトンウイルス不活化ステップ、ナノフィルターといった3つの結合および溶出クロマトグラフィーカラム、および2つの中間的な限界濾過/ダイアフィルトレーションステップを含むプロセスを用いて精製する。
アルブミン融合体精製プロセスを図3に示す。図3に示す精製プロセスは、2つの500Lのバイオリアクターを精製するためにスケールアップした。表6は、2つの500Lのバイオリアクター規模の精製から得られた性能パラメータを示す。表でわかるように、クロマトグラフィー単位操作のためのステップ収率およびプール容積は、ロット間で一致している。ロット1およびロット2における全プロセス収率(UF/DFおよびナノ濾過を含む)は、それぞれ48%および53%であった。プロセス中間体の生成物品質属性の概要を表7に示す。全体的性能(すなわちプロセス収率)および生成物品質(絶対レベルおよびLRV)は、rHSAの精製に用いられる精製プロセスとまさに同等である。これは特に、HCP除去(Capto Blue(high sub)およびCapto Q)およびDNAクリアランス(Capto QおよびMustang Q)の大部分に関与するステップに該当する。
Figure 0006862348
Figure 0006862348
Capto Blue(high sub)樹脂を用いるCibacron blue色素親和性クロマトグラフィーをAFP−1精製プロセス用の捕捉カラムとして用いる。図4は、300cm/時で操作されたAFP−1におけるCibacron blue色素クロマトグラフィーの代表的なクロマトグラフを示す。図4でわかるように、約6カラム容積(CV)から始まる大きいODシグナルによって示されるように、負荷中に大きいフロースルーピークが見られる。このフロースルーピークは、宿主細胞タンパク質(HCP)およびDNAを含む条件培地中に存在するプロセス関連不純物の大部分を含む。負荷後、カラムを再平衡化し、次に異なる緩衝液、すなわち、最初にpH6.0で0.5MのNaClを含有する緩衝液、その後の再平衡化に続く、pH7.0で10%プロピレングリコールを含有する緩衝液で洗浄する。その洗浄により、生成物プール中のHCPおよびDNAレベルが、これら不純物をCibacron blue色素リガンドおよび/またはアルブミン融合タンパク質から解離させることにより低下する。次に、カラムをオクタン酸ナトリウムおよびEDTAを含有する緩衝液で溶出する。表7でわかるように、Capto Blue(high sub)クロマトグラフィー後、生成物中間体は、条件培地と比べてより少ないDNA(0.6〜0.7ログのクリアランス)とより少ないHCP(2.7〜2.9ログのクリアランス)とを有する。さらに、Capto Blue(high sub)生成物は、高単量体(≧98.0%)と低レベルの酸化生成物とを有する。
Cibacron blue色素クロマトグラフィーでの初期捕捉後、潜在的なエンベロープウイルスを不活化するため、生成物をトリトンX−100で処理する。本実施例では、Capto Blue(high sub)プールに10%トリトンX−100を最終濃度が0.5%トリトンX−100(w/w)になるまで添加し、室温で130分間維持する。これらの条件下で効率的なウイルス不活化が達成される(詳細は実施例5を参照)。
トリトンX−100処理後、アルブミン融合タンパク質を、結合および溶出モードでのCapto Qカラムを用いるアニオン交換クロマトグラフィーで精製する。図5は、300cm/時で操作したAFP−1における代表的なCapto Qクロマトグラムを示す。図5でわかるように、約7CVから始まる大きいODシグナルによって示されるように、負荷中に大きいフロースルーピークが見られる。このフロースルーピークは、先行ステップからのトリトンX−100を含有する。負荷後、カラムを再平衡化し、次に(pH7.0で)10CVにわたる0.4MのNaClへの線形NaCl勾配で溶出する。表7でわかるように、Capto Q中間体は、Capto Blue(high sub)プールよりも少ないHCP(1.3〜1.5ログのクリアランス)と著しくより少ないDNA(6〜6.7ログのクリアランス)を有する。Capto Qが(凝集生成物を低減することにより)単量体含量を増加させる能力を有し、またAFP−1の酸化に関与する不純物を除去することも認めることができる(詳細は実施例7を参照)。
Mustang Q膜クロマトグラフィーステップを用いる精製のために調製するため、Capto Q生成物を50mMのビストリス、50mMのNaCl、pH7.0に対してダイアフィルトレーションする。図6は、10MV/時で操作した代表的なMustang Q膜クロマトグラムを示す。膜の事前の調整および平衡化後、生成物を膜に適用し、フロースルー中で収集する一方、不純物を膜に結合させる。2MのNaClでストリップするとき、不純物と一部の生成物との両方を含む大きいピークが認められる(ストリップピークは図6中のクロマトグラムに含まれない)。表7でわかるように、DNAはMustang Q膜によりさらに減少する(0.6〜1ログのクリアランス)。
最終のクロマトグラフィーステップは、Toyopearl PPG−600Mを用いる疎水性相互作用カラムである。図7は、130cm/時で操作したAFP−1における代表的なToyopearl PPG−600Mクロマトグラムを示す。1Mクエン酸塩を含有する緩衝液で平衡化後、生成物をカラム上に負荷する。生成物が精製プロセスにおけるこの段階までかなり純粋であることから、フロースルーピークは全く認められない。負荷後、カラムを再平衡化し、次にクエン酸塩を全く含有しない緩衝液に対する勾配で溶出する。生成物を鋭いピークで溶出させ、HIC−HPLCにより酸化生成物含量についてアッセイされる画分で回収する。HIC−HPLCによる15%未満の酸化種を含有する全画分をプールし、先にナノ濾過を行う。
Viresolve Vpro+を用いるナノ濾過を、タンパク質精製の当業者にとって標準的な技術を用いて実施する。ナノ濾過の目標は、潜在的なウイルス粒子を除去することである。ナノ濾過後、生成物を濃縮し、ダイアフィルトレーションし、かつ10mMリン酸塩、250mMスクロース、0.02%ポリソベート80中で調合する。ナノ濾過の完了(または調合)後、生成物プールを精製プロセス中に生成物に導入されるさらなる不純物について試験する。表8は、プロセス関連不純物試験の概要である。表8に見られるように、初期プロセスステップ(ブルー色素クロマトグラフィーおよびウイルス不活化ステップ)におけるプロセスに導入される緩衝液成分とCibacron blue色素リガンドとは、その後の精製ステップにより、非常に低いレベルまで減少する。
Figure 0006862348
実施例4
Cibacron blue色素親和性クロマトグラフィー
Capto Blue(high sub)とToyopearl AF−Blue HC−650Mとを結合能力の観点で比較し、不純物を清澄化細胞培養液から除去した。表9は、清澄化細胞培養液中でのAFP−1の動的結合能力の概要である。Capto Blue(high sub)では、動的結合能力はpHと間接的な相関を示し、この場合、pH5は最高の結合能力(樹脂1Lあたり37.4gのAFP−1)を有し、pH8は最低の結合能力(12.3g/L)を有した。高い結合能力が望ましい一方、pH5での操作は、pH6以下での分子において凝集割合が増加することに起因し、それほど望ましくない(データは示さず)。したがって、高い結合能力と生成物安定性を均衡させるため、pH6を最適pHとして選択した。Capto Blue(high sub)およびToyopearl AF−Blue HC−650Mにおける動的結合能力の比較によると、pH6でのCapto Blue(high sub)における動的結合能力がほぼ2倍であることが示された。
Figure 0006862348
これら2つの樹脂を清澄化細胞培養液からの不純物クリアランスについて比較するため、各カラムをベースライン条件下で操作し、カラムにその動的結合能力の75〜80%まで充填し(Capto Blue(high sub)に対して17.5g/L、Toyopearl AF−Blue HC−650Mに対して10.0g/L)、25mMのオクタン酸ナトリウムを用いてカラムから溶出させた。表10は、清澄化細胞培養液からのAFP−1の捕捉および精製に用いた2つのCibacron blue色素樹脂の比較を示す。表10でわかるように、両方の樹脂に対する収率は類似し(25mMのオクタン酸を用いる溶出の場合)、典型的な収率は>90%である。さらに、両方の樹脂はHCPおよびDNAのレベルを清澄化細胞培養液から有効に低下させるが、Toyopearl AF−Blue HC−650Mクロマトグラフィーは、Capto Blue(high sub)と比べて、わずかにより良好なHCPおよびDNAクリアランスを示した。
Figure 0006862348
AFP−1では、作製プロセスとして、Capto Blue(high sub)樹脂をそのより高い結合能力のために選択した。Capto Blue(high sub)を用いる捕捉ステップを最適化するため、カラム負荷ならびに洗浄および溶出用緩衝液組成物を含む幾つかの要素を検討した。表10でわかるように、カラム負荷はDNAに対する効果を全く有しなかったが、HCPクリアランスに対してわずかな効果を示した。試験したカラム負荷の極値(10g/Lまたは25g/Lの負荷)でのHCPクリアランスは、中間的負荷(17.5g/Lの負荷)での場合よりも有効である。したがって、スループットを増加させ、さらにHCP除去を増加させるため、その動的結合能力またはその近傍でカラムを操作することは有利である。
溶出緩衝液組成物をCibacron blue色素クロマトグラフィー捕捉ステップに対して最適化した。図8は、Cibacron blue色素クロマトグラフィー用の溶出緩衝液の比較を示す。図8および表10でわかるように、オクタン酸は、Cibacron blue色素カラムからの溶出において、2M NaClと比べてはるかにより有効な選択である。本実施例の場合、2M NaClは、60%の収率およびクロマトグラムで見られる広範な溶出特性に基いてカラムからのAFP−1の不完全な溶出を示した。実行した2M NaClの生成物品質によると、25mMのオクタン酸を用いる溶出と比べて、HCPレベルがはるかにより高く、単量体レベルがはるかにより低いことが示された。さらに、2M NaCl(単独または溶媒との組み合わせ)を用いる場合、これらの溶出緩衝液がコスト高になり、プロセス内での次のクロマトグラフィーカラムへの結合を促進するための緩衝液交換ステップがプロセスに必要であり得ることから、作製上の観点からそれほど望ましくないことになる。
Cibacron blue色素捕捉ステップの展開における最終ステップは洗浄最適化であった。アルブミンが多種の分子に結合でき、同じことがアルブミン融合タンパク質にも言えることは周知である。したがって、不純物(HCPおよびDNAなど)がアルブミン融合タンパク質と相互作用し、所望される生成物と同時精製し得ることが想定される。不純物クリアランスを改善する目的で、Cibacron blue色素クロマトグラフィー樹脂に対するアルブミン融合タンパク質の強力な結合を利用し、数回の洗浄について、不純物とCibacron blue色素リガンドとの間または不純物とリガンドに結合されたアルブミン融合タンパク質との間の相互作用を破壊することにより試験した。イオン剤、カオトロピック剤、コスモトロピック剤、界面活性剤および弱溶剤を含む様々なタイプの洗浄を用いた。さらに、pHのいくらかなりの効果を判定するため、各洗浄はpH6およびpH7で試験した。
表11は、Cibacron blue色素クロマトグラフィーに対して試験した洗浄の概要である。表11でわかるように、洗浄のpHはHCP除去にとって極めて重要である。pH7では、試験したすべての洗浄がHCP低減により有効であり、ほとんどの洗浄がHCPをpH6での同一の洗浄と比べて2倍以上低減した。試験した洗浄のうち、pH7での0.5M NaClはHCP低減に最も有効であり、対照実行と比べて、HCPにおける7倍を超える低減を示した。HCPクリアランスと異なり、DNAクリアランスは、pH6〜7のpHによる影響を受けなかった。試験したすべての洗浄のうち、イオン洗浄(NaClおよびNa2SO4)のみが対照実行と比べて改善されたDNAクリアランスを示した。これらの場合、対照実行と比べて、DNAにおける4〜5倍の低減が認められた。10%プロピレングリコールを含有する実行の場合により高い単量体レベルが認められたが、試験した幾つかの洗浄の場合に単量体レベルにおけるわずかな増加が認められたことも注目すべきである。pHに伴う単量体純度における影響は全く認められなかった。
表11中のデータに基づき、0.5M NaClはHCPおよびDNAクリアランスの観点で非常に有効な洗浄であり、10%プロピレングリコールは単量体純度を増加させるのに有効な洗浄である。ここで、10%プロピレングリコール洗浄は、Capto Blueプールにおける生成物の酸化の可能性を低下させるのにも有効であったことは注目されるべきである(さらなる詳細については実施例7を参照)。収率は、0.5M NaCl洗浄による負の影響を最も受け、収率はpH6および7でそれぞれ5%および14%低下した。興味深いことに、試験した他の洗浄では収率低下が全く認められなかった。これらの結果に基づき、pH6で0.5M NaClを含有する洗浄およびpH7で10%プロピレングリコールを含有する洗浄を実施例3における作製プロセスに組み込んだ。
Figure 0006862348
実施例5
トリトンX−100ウイルス不活化
5.4〜5.5の範囲内の等電点を有するアルブミン融合分子であるAFP−1の場合、低pH処理は分子の生成物品質に対して(凝集および沈殿が認められ)有害であると判定した。したがって、ウイルス不活化についてはトリトンX−100処理を選択した。低pH処理と同様、トリトンX−100の添加は、ウイルスの周りのエンベロープを破壊し、ウイルスを不活化することになる。低pH処理と異なり、トリトンX−100は、AFP−1の生成物品質に対して測定可能な影響を有しない。
トリトンX−100によるウイルス不活化を、エンベロープウイルスモデルとして異種指向性マウス白血病ウイルス(XMuLV)を用いて試験した。すなわち、Cibacron blue色素クロマトグラフィーにより精製した材料を10%(w/w)のトリトンX−100とともにトリトンX−100の最終濃度が0.5%(w/w)になるまで添加し、所定時間インキュベートし、次に感染性について当業者に周地のプレートに基づく方法を用いて試験した。ログ減少値(LRV)をトリトンX−100処理の前後に試料に対して実行した感染性アッセイからのXMuLV力価に基づいて計算した。
表12は、XMuLVウイルス不活化において得られたLRVの概要である。表でわかるように、0.5%(w/w)トリトンX−100による処理は、XMuLV不活化のための有効な方法である。トリトンX−100処理の直後に測定した試料では、4.73および>5.15のLRV値が二連実験において得られた。120分のインキュベーション終了までに、両方の試験は、>5.15ログのXMuLVの不活化を示した。これらのLRVは、モノクローナル抗体に対する低pH処理で得られた値と同じ範囲内である。
Figure 0006862348
トリトンX−100処理後、アニオン交換クロマトグラフィーを用いて生成物を精製する(精製プロセスについては図3を参照)。アニオン交換クロマトグラフィー中、アルブミン融合体は固定相に強力に結合される一方、一部の不純物はカラムをフロースルーする。トリトンX−100はアニオン交換カラムにより保持されず、280nmでのその吸光度に起因し、アニオン交換カラムのフロースルー中に認めることができる。図5は、カラム充填中に強い280nmの吸光度シグナルを伴う代表的なアニオン交換クロマトグラムを示す。トリトンX−100のさらなるクリアランスが疎水性相互作用クロマトグラフィー中に達成されることがあるが、トリトンX−100は、生成物とともに疎水性カラムに結合することが想定される。したがって、生成物からのトリトンX−100の除去は、それほど強固でなく、トリトンX−100とアルブミン融合タンパク質との間の選択性に左右される。図3に示すプロセスによる精製後、トリトンX−100レベルが0.1μg/mL未満で測定された(表5を参照)。
実施例6
アニオン交換膜クロマトグラフィー
フロースルーモードで操作されるアニオン交換(AEX)膜は、宿主細胞タンパク質(HCP)、DNA、およびウイルスなどの宿主細胞不純物の優れた除去をもたらし得る。pIが典型的には7.5〜9.5の範囲内である場合のモノクローナル抗体(mAb)では、フロースルーAEX膜がおよそ中性pHで操作され、収率がしばしば(塩濃度または伝導率とは無関係に)>95%であるとき、生成物結合はほとんど重要でない。pHがmAbのpIに接近すると、結合が生じる可能性があり、収率が低下する場合がある。mAbでは、宿主細胞の不純物クリアランスは高pHおよび低塩(または伝導率)の条件下で達成される。したがって、典型的なmAbでは、操作条件は、伝導率が最小化され、pHが可能な限り高い一方でpI未満を維持するように最適化される。
低いpIを有するアルブミン融合タンパク質では、フロースルーAEX膜クロマトグラフィーステップの展開および最適化はより複雑であり、事前に予測することができない。典型的なmAbと異なり、中性付近のあらゆるpH値で標的分子のAEX膜への結合が一部存在する可能性が高く、(より少ないタンパク質変化に起因して)より低いpHおよび(アルブミン融合タンパク質とクロマトグラフィーリガンドとの間の相互作用を遮蔽することになる)より高い塩濃度で結合低下が想定される。したがって、より高い収率は、より低いpHおよびより高い塩濃度で想定されることになる。他方、塩およびpHに関連した不純物クリアランスにおける傾向は、より高いpHおよびより低い塩濃度がより高い不純物クリアランスをもたらす場合のmAbで見られる傾向を反映するものと想定される。したがって、高収率(低pHおよび高塩)と高純度(高pHおよび低塩)との間で均衡させる必要があり、pH、塩濃度、および膜負荷を所与の生成物に対して最適化する必要がある。
AFP−1におけるAEX膜クロマトグラフィーステップを最適化するため、pH(pH6.0〜8.0)、NaCl濃度(10〜220mM)、および膜負荷(0.5〜2.5g/mLの膜)を多変量実験設計(DoE)において検討した。この試験では、ステップ収率および不純物クリアランスに対する効果を判定するためのエッジに沿う2つの中央ポイント条件および2つの追加ポイントとともに設計空間のコーナーが試験される場合でのスクリーニング設計を用いた。表13は、AFP−1におけるAEX膜最適化実験の概要である。表13でわかるように、収率は3つすべての要素による影響を受け、また一般に、より高い収率が低pH、低塩、およびより高い負荷で得られると想定される傾向に従った。他方、DNAクリアランスは、より良好なクリアランスがより高いpHおよびより低い塩で得られると想定される傾向に従わなかった。その代わり、DNAクリアランスは、10mMのNaCl、pH8で最悪であることが認められた。興味深いことに、その効果は単一の要素によって引き起こされなかった。例えば、不純物クリアランスの増加は、強い結合条件(pH8.0、10mMのNaCl)と比べると、弱い(pH6、220mMのNaCl)および中程度の(pH6、10mMのNaClまたはpH8、110mMのNaCl)結合条件下で認められた。試験した最強の結合条件下に限り、不純物クリアランスが負の影響を受けた。この結果に対する1つの説明が、アルブミン融合タンパク質と不純物との間の競合的結合であってもよい。強い結合条件下において、アルブミン融合タンパク質は、DNAに対するより低い結合能力および生成物に対するより低い収率をもたらすことになる結合部位に対する競合で優位に立つ場合がある。試験したすべての条件において、HCPクリアランスが全く認められず、凝集体レベルが比較的不変のままであったことも注目すべきである。
Mustang Qステップにおける上記の最適化試験を完了させる前、収率と不純物クリアランスとの間で均衡させることが必要になることは想定された。しかし、実際に試験では逆のことが認められた。図9は、pHとNaCl濃度の関数としてのステップ収率およびDNAのログ減少値(LRV)の概要である。図でわかるように、収率とDNAクリアランスとの両方は、低pHおよびより高いNaCl濃度(赤の輪郭によって示される)で最適であることが示された。これはDNAにおける想定外の発見であったが、同様の効果がウイルスクリアランスの場合に認められる場合がある。
Figure 0006862348
実施例7
疎水性相互作用クロマトグラフィーを用いる酸化変異体の制御
本研究で用いたタンパク質は、組換えヒト血清アルブミンに連結された2つのTn3スキャフォールドを含むアルブミン融合タンパク質である。各Tn3スキャフォールドは、CD40Lリガンドに結合する能力がある活性部位を含む。アルブミン融合タンパク質は、8つのメチオニン残基(分子のアルブミン部分に6つと、各Tn3スキャフォールドに1つ)および7つのトリプトファン残基(分子のアルブミン部分に5つ、および各Tn3スキャフォールドに1つ)を含む。表面領域近傍にあるメチオニン残基およびトリプトファン残基は、細胞培養および/または精製プロセス中に酸化され得る。図10は、ペプチドマッピング質量分析によって決定される酸化の関数としての相対の効力を示す。明らかなように、分子のアルブミン(M498およびM529)またはTn3(M74およびM17)部分に対するメチオニン酸化は、効力低下に寄与しない。他方、分子の(BCループ上の)活性部位近傍のTn3スキャフォールド上で生じるトリプトファン酸化(W46およびW151)は、分子における効力の低下をもたらす。したがって、トリプトファン酸化は、作製プロセス全体を通して十分に制御される必要がある。
AFP−1の展開および作製中のトリプトファン酸化を監視するため、ペプチドマッピング質量分析、SEC−HPLC、およびHIC−HPLCを展開の様々な段階で用いた。メチオニンレベルおよびトリプトファンレベルをかなり正確に測定するために質量分析が使用可能であるが、それは低スループットであり、より多くの時間および資源を伴うことから、典型的には重要な試料の特徴付けのためにそれは用いられる。他方、インプロセス試験ではより迅速なHPLC法が使用可能であるが、両方のHPLCアッセイは欠点を有する。例えば、SEC−HPLCはトリプトファン酸化を測定可能であるが、トリプトファンショルダーが天然分子から完全に分離されるわけでないことから推定に過ぎない一方、HIC−HPLCは酸化レベルを正確に測定可能であるが、メチオニン酸化とトリプトファン酸化との間を識別することができない。AFP−1酸化のより十分な理解を得るため、展開および作製中に3つすべての方法を利用した。AFP酸化定量の特異性を改善することを意図して、TN3トリプトファン(W46およびW151)酸化を含むペプチドの検出を注視するため、RP−HPLC法を開発した。その方法は、AFP−1の将来のインプロセス試験および品質管理のために用いることができる。
良好な結果をもたらす酸化制御方法は、酸化の阻害と作製プロセス中に形成する酸化種の除去との両方を包含する。図11は、Capto BlueおよびCapto Qプールにおける時間の関数としてのトリプトファン酸化を示す。これらの実行では、プールは、名目上、精製プロセスにおける作動pHの典型であるpH7〜pH8であった。図11でわかるように、Capto Blueプールにおける(SEC−HPLCによって測定される)トリプトファン酸化は、バイオリアクターに応じて変動し、10%プロピレングリコール洗浄を用いたときに加え、プールをより低い温度で貯蔵したときに低下した。さらに、10mM EDTAのCapto Blueプールへの添加によってもトリプトファン酸化が緩徐化した(データは示さず)。図9でわかるように、Capto Qプールにおけるトリプトファン酸化は無視できるように思われ、Capto Qプールは室温であってもかなり安定的である。
AFP−1のトリプトファン酸化の根本原因をさらに試験するため、Cibcron Blue色素の存在および/または高塩濃度が酸化を引き起こさないことを示すための実験を実施した。AFP−1のトリプトファン酸化が初期プロセス試料(条件培地またはCapto Blueプール)中に見出される成分での特有の組み合わせと露光を必要とすることが認められた。トリプトファン酸化の1つの有望な供給源が酵素、例えばトリプトファン2,3−ジオキシゲナーゼ(TDO2)またはトリプトファンヒドロキシラーゼ(TPH)であり、それら両方はトリプトファンを特異的に酸化し得る。TDO2が抗TDO2ウエスタンブロットを用いてCM中で陽性に同定されており(図12参照)、AFP−1のトリプトファン酸化を引き起こす可能性がある点は注目すべきである。
初期プロセスステップ中に酸化が生じると、酸化変異体のレベルは、後の下流プロセスにおいて制御される必要があり得る。AFP−1では、トリプトファン酸化を含む過剰量の酸化を除去するため、疎水性相互作用クロマトグラフィーステップを利用した。図13は、AFP−1における代表的なHICクロマトグラムを示す。図でわかるように、複数のHIC樹脂およびマルチモーダルな(カチオン交換/HIC)樹脂をAFP−1の精製について検討した。試験したすべての樹脂において、AFP−1は勾配の中央近くで溶出し、トリプトファン酸化の除去に好適であった。HICをAFP−1における勾配溶出中に用いるとき、(メチオニンおよびトリプトファン酸化を含む)酸化生成物は天然生成物より早期に溶出し、ピークの前に濃縮される。調製用スケール条件下において、酸化種がピークの前に濃縮されるが、明確な酸化生成物ピークを見るための分解能が十分でない。
展開中、Butyl−S Fast Flow(Butyl−S)とToyopearl PPG−600M(PPG−600M)との両方を、酸化生成物を除去するために各カラムが使用可能か否かを見るためにスケールアップし、線形勾配モードで操作した。それぞれの場合、溶出プールを0.5カラム容積の断片でピーク最大まで分画し、次に残存する生成物ピークを単一の最終画分で収集した。両方の実行では、それら画分の酸化された含量(HIC−HPLCによる)および効力について試験した。図14は、Butyl−SまたはPPG−600Mクロマトグラフィーの実行中に採取した画分における相対効力対HIC−HPLC初期種含量を示す。両方の場合において、(図の右側から始まる)早期に溶出する画分は、(HIC−HPLCによる測定として)より多くの酸化生成物を含有し、後に溶出する画分(図の左側)よりも低い効力を有した。これらの条件下において、分取HICを用いて酸化レベルを制御し、結果として生成物の効力を制御することができる。
結論
上記は、臨床的または商業的製造に適し得るスケーラブルな技術を用いて、組換えヒトアルブミン(rHSA)およびアルブミン融合タンパク質を精製するための様々な手法を概説している。宿主関連不純物、例えばHCP、DNA、およびウイルスを低減するため、プロセス中の初期ステップを最適化した。Cibacron blue色素クロマトグラフィー捕捉ステップは、HCPを低減するための徹底した洗浄を含み、オクタン酸を伴う選択的溶出を用いた。トリトンX−100ウイルス不活化は、生成物品質に影響を与えることのないエンベロープウイルスの不活化にとって強固な方法であることが示された。DNAを極めて低いレベルまで低減するため、AEXカラムおよび膜クロマトグラフィーステップを最適化した。興味深いことに、膜クロマトグラフィーステップは、本研究の前に想定された低pHおよび高塩で最適であることが示された。最終的に、精製プロセスは、それほど強力でないことが示される酸化変異体のレベルを制御するように設計した。制御方法は、Cibacron blueクロマトグラフィーステップ中のプロピレングリコール洗浄と、トリプトファン酸化を制限しやすくするためのEDTAの溶出緩衝液への添加とを含んだ。さらに、疎水性相互作用クロマトグラフィーを酸化生成物の除去のための有効な選択肢として用いた。精製プロセスは、500Lのバイオリアクターを精製するためにスケールアップし、バッチ間の収率および生成物品質の観点で一貫していることが示された。
上に示される実施例は、本発明の様々な態様および本発明の方法の実行について例示する。これらの実施例は、本発明の多種の実施形態の詳細な説明を提供することを意図していない。したがって、理解を明確化することを目的に、本発明が例示および実施例によって一部が詳述されているが、当業者は、多数の変化形態および修正形態が添付の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなくなされ得ることを容易に理解するであろう。
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許および特許出願は、あたかも各々の個別の刊行物、特許または特許出願が参照により本明細書中に援用されることが詳細かつ個別に示されるのと同程度まで、ここで参照により本明細書に援用される。

Claims (16)

  1. アルブミン融合タンパク質を精製する方法であって、アルブミン融合タンパク質を含む組成物を、以下の精製プロセス:
    (a)親和性マトリックスであって、オクタン酸を含む溶出緩衝液が該親和性マトリックスに適用され、該親和性マトリックスが、(1)約2%〜約20%の、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール、および2−メチル−2,4−ペンタンジオールからなる群から選択されるポリオール;(2)0.05M〜2.0Mの、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、および臭化リチウムから選択される塩;(3)約0.02M〜約0.2Mの硫酸ナトリウム;(4)約0.01%〜約1%の非イオン性界面活性剤;(5)約0.05M〜約1.0Mの尿素;または(6)約0.02M〜約0.5Mのニコチンアミド、を含む洗浄用緩衝液で洗浄される;および
    (b)アニオン交換マトリックス;および
    (c)疎水性相互作用マトリックス
    に供するステップを含み、
    得られる精製されたアルブミン融合タンパク質が、5%未満の酸化されたトリプトファン残基を有する、方法。
  2. 前記アルブミン融合タンパク質中のアルブミンがヒト血清アルブミン(HSA)である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記HSAが変異体HSAである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記変異体HSAのアミノ酸配列が配列番号133である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記アルブミン融合タンパク質が、フィブロネクチンIII型(FnIII)ドメインを含むスキャフォールド部分を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記FnIIIドメインがヒトテネイシンC(Tn3スキャフォールド)由来である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記アルブミン融合タンパク質がスキャフォールドを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記スキャフォールドがトリプトファン残基を含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記トリプトファン残基の酸化が前記アルブミン融合タンパク質の活性を低下させる、請求項8に記載の方法。
  10. 前記スキャフォールドがCD40Lに特異的に結合する、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記スキャフォールドが、アミノ酸配列:
    Figure 0006862348
    を含むCD40Lに特異的な単量体サブユニットを含み、ここで、
    (a)XAB、XBC、XCD、XDE、XEF、およびXFGがそれぞれAB、BC、CD、DE、EF、およびFGループの配列中に存在するアミノ酸残基を表し;
    (b)X1がアミノ酸残基AまたはTを表し;かつ
    (c)前記ループの長さnが2〜26の整数である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記ABループの前記配列が配列番号4または配列番号136を含み、前記CDループの前記配列が配列番号6を含み、かつ前記EFループの前記配列が配列番号8または配列番号137を含む、請求項11に記載の方法。
  13. (a)前記BCループの前記配列が配列番号83を含み、前記DEループの前記配列が配列番号94を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号9または139を含むか;
    (b)前記BCループの前記配列が配列番号83を含み、前記DEループの前記配列が配列番号94を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号99を含むか;
    (c)前記BCループの前記配列が配列番号84を含み、前記DEループの前記配列が配列番号95を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号9または139を含むか;
    (d)前記BCループの前記配列が配列番号85を含み、前記DEループの前記配列が配列番号94を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号9または139を含むか;
    (e)前記BCループの前記配列が配列番号86を含み、前記DEループの前記配列が配列番号96を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号9または139を含むか;
    (f)前記BCループの前記配列が配列番号87を含み、前記DEループの前記配列が配列番号97を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号9または139を含むか;
    (g)前記BCループの前記配列が配列番号88を含み、前記DEループの前記配列が配列番号95を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号9または139を含むか;
    (h)前記BCループの前記配列が配列番号89を含み、前記DEループの前記配列が配列番号94を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号9または139を含むか;
    (i)前記BCループの前記配列が配列番号90を含み、前記DEループの前記配列が配列番号94を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号9または139を含むか;
    (j)前記BCループの前記配列が配列番号91を含み、前記DEループの前記配列が配列番号95を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号9または139を含むか;
    (k)前記BCループの前記配列が配列番号92を含み、前記DEループの前記配列が配列番号98を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号9または139を含むか;または
    (l)前記BCループの前記配列が配列番号93を含み、前記DEループの前記配列が配列番号94を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号9または139を含む、請求項12に記載の方法。
  14. (a)前記BCループの前記配列が配列番号100を含み、前記DEループの前記配列が配列番号118を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
    (b)前記BCループの前記配列が配列番号101を含み、前記DEループの前記配列が配列番号119を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
    (c)前記BCループの前記配列が配列番号102を含み、前記DEループの前記配列が配列番号120を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
    (d)前記BCループの前記配列が配列番号103を含み、前記DEループの前記配列が配列番号121を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
    (e)前記BCループの前記配列が配列番号104を含み、前記DEループの前記配列が配列番号122を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
    (f)前記BCループの前記配列が配列番号105を含み、前記DEループの前記配列が配列番号121を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
    (g)前記BCループの前記配列が配列番号106を含み、前記DEループの前記配列が配列番号123を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
    (h)前記BCループの前記配列が配列番号107を含み、前記DEループの前記配列が配列番号123を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
    (i)前記BCループの前記配列が配列番号108を含み、前記DEループの前記配列が配列番号118を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
    (j)前記BCループの前記配列が配列番号109を含み、前記DEループの前記配列が配列番号123を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
    (k)前記BCループの前記配列が配列番号110を含み、前記DEループの前記配列が配列番号121を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
    (l)前記BCループの前記配列が配列番号111を含み、前記DEループの前記配列が配列番号123を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号130を含むか;
    (m)前記BCループの前記配列が配列番号108を含み、前記DEループの前記配列が配列番号121を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
    (n)前記BCループの前記配列が配列番号112を含み、前記DEループの前記配列が配列番号124を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
    (o)前記BCループの前記配列が配列番号113を含み、前記DEループの前記配列が配列番号125を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
    (p)前記BCループの前記配列が配列番号114を含み、前記DEループの前記配列が配列番号118を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
    (q)前記BCループの前記配列が配列番号115を含み、前記DEループの前記配列が配列番号126を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;
    (r)前記BCループの前記配列が配列番号116を含み、前記DEループの前記配列が配列番号127を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含むか;または
    (s)前記BCループの前記配列が配列番号117を含み、前記DEループの前記配列が配列番号128を含み、かつ前記FGループの前記配列が配列番号129を含む、請求項12に記載の方法。
  15. 前記CD40Lに特異的な単量体サブユニットが、配列番号20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42および146からなる群から選択される配列を含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記アルブミン融合タンパク質が、配列番号134、135、201、202、203、204、205、206、207および208からなる群から選択される配列を含む、請求項6に記載の方法。
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