JP6862313B2 - Zr含有混合物の電解回収方法及びZr含有混合物の電解回収装置 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、主に溶融塩電解を用いて原子炉用のZr(ジルコニウム)含有燃料からアクチニドを回収する電解回収方法及びZr含有混合物の電解回収装置に関する。
一般的に、U−Pu−Zr等の合金を材料とする使用済み金属燃料からアクチニドを回収する場合、溶融塩を用いた電解回収が行われる。この場合、回収対象となるアクチニドよりも標準酸化還元電位が貴な母材金属のZrが溶融塩中に溶出すると、陰極回収物中のZr混入率が高まる。
このため、アクチニドを選択的に溶融塩中に溶解させて析出回収するために、Zrが溶融塩中へ溶出しないように電位や電流密度を制御して電解回収が行われている。
電力中央研究所報告「溶融塩電解法による金属燃料からのZr回収技術の開発―液体金属電極上でのZrの電気化学挙動―」(2007年5月)
溶融塩を用いた電解回収では、アクチニドの溶解により金属燃料の表面領域にZrポーラス層(Zrリッチな層)が形成される。しかし、金属燃料中のZrの比率が大きい場合、アクチニドは母材金属のZrマトリクスに阻まれこの層におけるアクチニドイオンの拡散速度が遅くなり、Zrポーラス層中のアクチニドイオンの濃度が高まりやすくなる。やがてZrポーラス層のバルク中アクチニドイオンが飽和溶解度を超えると、表面領域のZrが溶出を始める。
このため、Zrがイオンとして溶融塩中へ溶出してしまい、陰極回収物中のZr混入率が高まるという問題が生じる。一方で、アクチニドを選択的に溶融塩に溶出させる場合は、Zrポーラス層のアクチニドイオンの拡散が律速となるため電位や電流密度を小さく制御する必要があり、処理時間が長くなる等、処理効率は低下する。
このため、金属燃料中のZr比率が比較的高い場合であっても、陰極析出物中のZr混入率を抑えて高い処理効率で電解回収できる技術が求められていた。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、Zr混入率が抑制された陰極析出物を高い処理効率で得ることができるZr含有混合物の電解回収方法及びZr含有混合物の電解回収装置を提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係るZr含有混合物の電解回収方法は、Zr含有混合物から所望の金属を電解回収する方法であって、液体金属及び溶融塩を内部に有する反応槽において、前記Zr含有混合物が保持された陽極を前記溶融塩に浸漬する浸漬ステップと、陰極を前記溶融塩に装荷して、前記陽極の電位を前記Zr含有混合物のZrを溶解可能な電位に調整して電解反応させる電解ステップと、前記Zr含有混合物から溶解した前記溶融塩中のZrイオンと前記Zr含有混合物に含まれる前記金属とのイオン交換によって還元されたZrを、前記液体金属の相に移行させるZr濃度調整ステップと、前記金属を含んで前記陰極に析出した陰極析出物を回収する回収ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明の実施形態に係るZr含有混合物の電解回収方法は、Zr含有混合物から所望の金属を電解回収する方法であって、反応槽内に配置された液体金属に前記Zr含有混合物を浸漬して溶解させる溶解ステップと、反応槽内の溶融塩に陰極を装荷して、前記液体金属を陽極として電圧を印加して、前記陽極の電位をZrが溶解可能な電位よりも小さい電位で電解反応させる電解ステップと、前記金属を含んで前記陰極に析出した陰極析出物を回収する回収ステップと、を含み、前記陽極とする前記液体金属は、容器内に注入されて、前記溶融塩中に配置されることを特徴とする。
本発明の実施形態により、Zr混入率が抑制された陰極析出物を高い処理効率で得ることができるZr含有混合物の電解回収方法及びZr含有混合物の電解回収装置が提供される。
第1実施形態に係るZr含有混合物の電解回収装置の構成を示す縦断面図。 第1実施形態に適用される陽極の一例を示す構成図。 第1実施形態において、イオン交換反応により、溶融塩中のZrイオン濃度が低下して、アクチニドの濃度が上昇する状態を説明する説明図。 Zr含有混合物の表面の電解阻害要因を除去するために、陽極内に投入されたボールを混合物の表面に衝突させる構成の一例を示す説明図。 第1実施形態に係るZr含有混合物の電解方法を用いて、使用済み金属燃料から再度燃料となる製品を作製するフローチャート。 第2実施形態に係るZr含有混合物の電解回収装置の構成を示す縦断面図。 第2実施形態に係るZr含有混合物の電解方法を用いて、使用済み金属燃料から再度燃料となる製品を作製するフローチャート。
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
本実施形態では、処理対象となるZr含有混合物15(以下、適宜「混合物15」と省略する)として、ZrとU、Pu等のアクチニドとの合金を主成分として構成されて、Zr含有比率が高い(例えば、Zrの含有比率が40wt%程度)使用済金属燃料を想定しており、アクチニドを電解回収の対象とする。なお、Zr含有混合物15には、アクチニドやZrに加えて、核分裂生成物(FP)等が含まれている。
第1実施形態に係る電解回収装置10は、溶融塩12が上層に、液体金属プール13が下層に配置される反応槽11と、Zr含有混合物15を保持して溶融塩12に浸漬される陽極14と、溶融塩12に浸漬される陰極16と、陰極16と陽極14との間に電圧を印加する直流電源17と、両極間に印加される電圧等を制御する制御装置21と、を備えている。
反応槽11は、溶融塩12及び液体金属プール13を内部に保持する容器であり、その下層には、液体金属が注入された液体金属プール13が配置される。そして、液体金属プール13の上に溶融塩12が注入されて配置される。なお、図1では反応槽11の上部は開放しているが、反応槽11の上部を蓋などで閉止して、電解反応が行われる反応槽11の内部をArガス等の不活性ガスが注入された不活性雰囲気とすることが望ましい。
液体金属プール13中の液体金属として、カドミウム(Cd)、リチウム(Li)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、ビスマス(Bi)等の金属が使用されるが、これらに限定されない。また、液体金属には合金も使用することができる。なお、液体金属は、溶融塩12よりも比重の大きいものが選択される。
溶融塩12として、塩化リチウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化カルシウム等の金属ハロゲン化物、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫酸塩、金属硝酸塩などの溶融塩若しくはこれらの混合物が例示される。
溶融塩12内には、Zr含有混合物15を保持した陽極14と、陰極16とが浸漬される。
陽極14は、導電材料で構成されて、混合物15を内部に収容可能な容器である。陽極14は、溶融塩12に浸漬された際に内部が溶融塩12で満たされるように、一部が開放されており、図1においては上部が開放されている。陽極14は、例えば混合物15を内部に収容するために、導電材料を用いて円筒型やかご型などに形成される。
図2は陽極14の構成例を示しており、金属製のワイヤーや板材などを格子状に構成することでかご型に形成させたものである。混合物15は、陽極14を構成するかご型の容器の上方の開口部から装荷されて、陽極14内に収容される。格子状に構成された陽極14により側面や底面に形成される開口部分は、溶融塩12の流入口となる。
なお、図2では、円柱状の混合物15を陽極14内に装荷する構成を示しているが、装荷される混合物15の数、配置、形状は図1に限定されるものでは無い。また、混合物15は、燃料被覆管に収容された状態で陽極14に装荷されても良い。
陰極16は、固体状の電極を用いても良いし、液体状のCd等の液体金属を内部に保持する電極を用いても良い。
溶融塩12内に浸漬された陽極14と陰極16の間に直流電源17を用いて電圧印加することで電解反応が生じる。
混合物15中のZrの比率は大きくアクチニドの溶解により形成されるZrポーラス層におけるアクチニドイオンの拡散速度が遅いため、アクチニドの溶融塩12中への溶出を促進するため、陽極14の電位を、Zr含有混合物15中のZrが溶解する電位に設定してZrを溶解し、Zrマトリクスからアクチニドを解放する。Zrの標準酸化還元電位は、アクチニドより貴となるため、陽極14の電位をZrの標準酸化還元電位より貴となる電位に設定することで、Zr含有混合物15中のZr及びアクチニドが酸化されて、溶融塩12中にイオンとして溶解可能となる。
なお、陽極14自体の崩壊を防止するため、陽極電位はアクチニドとZrまでが溶解し、陽極構造材に用いられる代表的な構成元素のFe等の溶解を抑制するように制御する。また、Zr含有混合物15の代表的な構成元素のZrやアクチニド元素よりも標準酸化還元電位が貴な金属を用いることもできる。
直流電源17から電圧が両極間に印加されて電解反応が開始されると、Zrが溶解するため、アクチニドは混合物15中のZrマトリクスから解放されて、溶融塩12中にイオンとして容易に溶出する。そして、陰極16では、還元反応が生じて、アクチニドが金属Zr等の随伴物を伴う状態で析出される。ただし、溶融塩12中のZrイオン濃度が上昇しているため、陰極16で析出される陰極析出物のZr混入率が高まるおそれがある。
ここで、溶融塩12中では、Zrイオンと混合物15中に含まれているアクチニド金属や陰極16に析出したアクチニド金属等との間で電子の交換反応(イオン交換反応)が生じている。また、溶融塩12中のZrイオンと混合物15から液体金属プール13に移行したアクチニド金属との間で電子の交換反応が生じている。
イオン交換反応が生じると、イオン化していたZrは還元されて金属Zrとなる一方、アクチニドはイオン化して溶融塩12に溶解する。そして、金属Zrは、液体金属プール13に移行して液体金属と合金化して閉じ込められる。
そこで、第1実施形態では、直流電源17の電圧印加を停止し、電解反応を一時的に停止する。これにより、陰極16での金属析出は停止されて、溶融塩12中に存在していたZrイオンは、イオン交換反応により還元されて金属Zrとなり、液体金属プール13に移行する。これにより、溶融塩中のZrイオン濃度は低下する。
一方、反応槽11中のアクチニドがイオン化して溶融塩12中に溶解するため、アクチニドの濃度は上昇する。
また、溶融塩12中のZrイオン濃度が高い場合、陰極16に析出したアクチニドと溶融塩12中のZrイオンとの間でイオン交換反応が生じるおそれがあるが、電解反応を停止させることで、Zrイオンは陰極16に引き寄せられないため、陰極16に析出したアクチニドが再度溶融塩12中にイオンとなって溶出することが抑制される。
そして、溶融塩12中のZrイオン濃度が抑制され、アクチニドの濃度が高い状態で電解反応を再開することで、陰極16では、Zr混入率が抑制されたアクチニドを含む陰極析出物が得られる。
なお、電解反応を一時的に停止する代わりに(または、停止とともに)、溶融塩12中に混合物15をさらに追加で投入しても良い。これにより、増加された混合物15中のアクチニド金属と溶融塩12中のZrイオンとのイオン交換反応によって、Zrイオンが還元される一方、アクチニドをイオン化される。これにより、溶融塩12中のZrイオン濃度を低下させるとともにアクチニドイオン濃度を上昇できる。
さらに、溶融塩12中に、Zrイオンを還元させる還元剤を投入して、Zrイオンの溶融塩12中のイオン濃度を調整して良い。
制御装置21は、直流電源17から両極間に印加される電圧や陰極16の回収等の電解回収運転を制御する装置である。制御装置21の主な機能として、溶融塩12への物質の溶解を選択的に制御すること、特にZrを溶解可能な電位を設定し、直流電源17への電圧調整の指令や運転シーケンスの制御(例えば、電解運転と電解運転の停止とを交互に実施すること)を行う。
図3は、第1実施形態において、イオン交換反応により、溶融塩12中のZrイオン濃度が低下して、アクチニドの濃度が上昇する状態を説明する説明図である。
溶融塩12中のZrイオン濃度が高い状態となったときに、直流電源17からの電圧の供給を停止し、電解反応を一時的に停止する。
溶融塩12中では、混合物15から溶解したZrイオンと、混合物15中に含まれるアクチニド(または混合物15から液体金属プール13中に移行しているアクチニド)とZrイオンとのイオン交換反応が生じる。下記式(1)は、アクチニドをUとした場合の、Zrイオンとのイオン交換反応を示している。
イオン交換反応:4U + 3ZrCl → 4UCl + 3Zr 式(1)
イオン交換反応により生じた金属Zrは、液体金属プール13に移行して、液体金属と合金を形成して閉じ込められる。一方、イオン交換反応によりアクチニドはイオン化して溶融塩12中に溶解する。このため、溶融塩中のZrイオン濃度は低下する一方、アクチニドの濃度は上昇する。
この後に、電解反応を再開して、電解反応の一時停止と電解反応を繰り返すことで、Zr混入率が抑制され、アクチニドの濃度が制御された陰極析出物18を得ることができる。
また、陽極14において、混合物15の表面の電解阻害要因をボールミル等の機構により機械的に破壊しても良い。
図4は、Zr含有混合物15の表面の電解阻害要因を除去するためのボールミルの構成の一例を示す説明図である(陽極14を横から見た図)。
ボール19を陽極14内に挿入して、陽極14の上部を蓋などで閉止する。陽極14を回転させるための駆動機構(図示省略)を反応槽11の上方に設けて、陽極14全体を回転させることで、ボール19を混合物15の表面に衝突させる。
ボール19との衝突によって、混合物15の表面に形成されるZrポーラス層が除去されることで、混合物15中のアクチニドの溶融塩12中への溶出が促進される。
図5は、第1実施形態に係るZr含有混合物15の電解方法を用いて、使用済み金属燃料から再度燃料製品を作製するフローを示すフローチャートである(適宜、図1参照)。
液体金属プール13を下層に配置し、この液体金属プール13の上に溶融塩12が内部に配置された反応槽11において、Zr含有混合物15が保持された陽極14を溶融塩12に浸漬する(S10:浸漬ステップ)。
陰極16を溶融塩12に装荷して、陽極14の電位を混合物15内のZrを溶解可能な電位に調整して電解反応させる(S11:電解ステップ)。
電解反応を一時的に停止して、溶融塩12中のZrイオンとZr含有混合物15に含まれる金属とのイオン交換反応によってZrイオンを還元させて、金属Zrを液体金属の相に移行させることで溶融塩12中のZrイオン濃度を低下させる(S12:Zr濃度調整ステップ)。
そして、電解回収が終了するまで、電解反応と電解反応の一時停止とを繰り返して行う(S13:NO)。電解回収は、陰極16における析出量、運転時間等により設定された運転条件に基づいて継続される。なお、電解反応と電解反応の一時停止を必ずしも繰り返す必要は無く、これらの処理を1回で終了しても良い。
電解回収の終了後に、アクチニドを含んで陰極16に析出した陰極析出物を回収する(S14:回収ステップ)。なお、陰極16を溶融塩12から引き出して回収する回収機構(図示省略)を具備して、電解回収の終了後に制御装置21からの指令に基づいて陰極16を溶融塩12から自動で取り出しても良い。
電解回収終了後に、得られた陰極析出物を電極から分離処理して、金属インゴットとして回収する。そして、回収物の成分分析等の計量を行って、所定のスペックとなるように成分を調整した後にリサイクルされた金属燃料の製品(アクチニド及びZrを含む燃料)を得ることができる(S15、S16)。
また、陰極析出物の組成が、電解回収運転のバッチ毎に異なる場合には、各バッチの成分分析の結果に基づいて、異なるバッチで得られた析出物を所定の比率で混合して、アクチニド及びZrの含有率が所定のスペックとなるように調整することで、金属燃料の製品を得ることができる。
なお、電解回収に伴い生じるZrやFP等の廃棄物は、電解回収装置10の反応槽11内に蓄積させても良い。例えばZrであれば、液体金属プール13中に蓄積していくが、この液体金属を別途蒸留し分離することでZrを回収しても良い。回収したZrは、燃料被覆管等の他の金属と混合して金属廃棄物として廃棄しても良い。
溶融塩12中に蓄積したFPは、ゼオライトに吸着させ、溶融塩12の再生と共にFPの回収を行っても良い。また、FPを吸着したゼオライトは、ソーダライト廃棄物として廃棄しても良い。
このように、第1実施形態に係るZr含有混合物15の電解方法では、電解電圧を調整して、アクチニドとともにZrも同時に溶解させ溶融塩12中へ溶出させる。そして、イオン交換反応を用いて、溶融塩12中のZrイオン濃度を低減させる一方、溶融塩12中のアクチニドのイオン濃度を上昇させる。
混合物15に含まれるZrの溶解を許容するため、電位や電流密度を小さく制御する必要は無く、処理時間等の処理効率は向上する。そして、溶融塩12中のZrイオン濃度が低減されるため、Zr混入率が抑制された、アクチニドを含む陰極析出物を回収できる。
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る電解回収装置10の構成を示す縦断面図である。図6において第1実施形態(図1)と共通の構成又は機能を有する部分は、同一符号で示し、重複する説明を省略する。
第2実施形態に係る電解回収装置10では、反応槽11内に配置される液体金属20に混合物15を浸漬して溶解させて、液体金属20を陽極14とする。そして、陽極14の電位をZrが溶解可能な電位よりも小さい電位で電解反応を行い、アクチニドを選択的に溶融塩12中に溶解させて、アクチニドを陰極16で析出回収する。
液体金属20が容器内に注入されて収容されている。液体金属20内に混合物15が浸漬されて溶解される。混合物15が溶解された液体金属20は、溶融塩12中に配置されて陽極14となる。液体金属20として、カドミウム(Cd)、リチウム(Li)アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、ビスマス(Bi)等の金属が使用されるが、これらに限定されない。また、液体金属には合金も使用することができる。なお、液体金属は、溶融塩12よりも比重の大きいものが選択される。
なお、溶融塩12の下に配置された液体金属プール13に混合物15を浸漬して溶解させて、液体金属プール13全体を陽極14としても良い。
混合物15が液体金属20中に溶解することで、アクチニド等の金属はZrマトリクスから解放される。
陽極14と、溶融塩12内に装荷された陰極16との間に直流電源17を用いて電圧印加することで電解反応が生じる。
陽極14の電位は、陽極14中に溶解しているアクチニドを選択的に溶融塩12中に溶出させるように、Zrの標準酸化還元電位よりも卑に設定する。電位をZrの標準酸化還元電位よりも卑に設定することで、液体金属20中にZrが留まるため、溶融塩12中のZrイオン濃度が低く維持される。
液体金属20中への混合物15の溶解により、Zrマトリクスがアクチニドのイオン化を阻害しないため、Zrの溶融塩12中への溶出を抑制しつつ、アクチニドを優先的に溶融塩12中にイオンとして溶出させることができる。
また、塩化ジルコニウム(ZrCl)や塩化カドミウム(CdCl)等、ZrやCdよりも標準酸化還元電位が卑なアクチニドに対して選択的に働く酸化剤を溶融塩12中に投入して、液体金属20中に溶解しているアクチニドをイオンとして溶融塩12中に溶出させても良い。
このように、液体金属20へ混合物15を溶解させて、陽極14の電位をZrが溶解可能な電位よりも小さい電位で電解反応を行うことで、溶融塩12中のZrイオン濃度を上昇させること無く電解回収を実施することでき、Zr混入率が抑制された陰極析出物18を得ることができる。
なお、第1実施形態と同様に、電解反応時における陽極14の電位を、Zrが溶解可能な電位に設定して処理速度を早めることもできる。
この場合、溶融塩12中のZrイオン濃度が高まるおそれがあるため、電解回収を一時停止、または、混合物15などをさらに溶融塩12中へ投入して、液体金属20中に溶解しているアクチニド金属と溶融塩12中のZrイオンとのイオン交換反応によってZrイオンを還元して液体金属プール13中に金属として移行させることで、溶融塩12中のZrイオン濃度を抑制しても良い。
図7は、第2実施形態に係るZr含有混合物15の電解方法を用いて、使用済み金属燃料から再度燃料製品を作製するフローを示すフローチャートである(適宜、図6参照)。
反応槽11内に配置された液体金属20にZr含有混合物15を浸漬して溶解させる(S20:溶解ステップ)。液体金属20は、陽極14として溶融塩12中に配置される。
アクチニドに対して選択的に働く酸化剤を投入して、液体金属20中に溶解しているアクチニドをイオンとして溶融塩12中に溶出させる(S21)。
そして、溶融塩12中に陰極16を装荷して、液体金属20を陽極14として電圧を印加して電解反応を行う。このとき、陽極14の電位をZrが溶解可能な電位よりも小さい電位に設定する(S22:電解ステップ)。
アクチニドを含んで陰極16に析出した陰極析出物を回収する(S23:回収ステップ)。以降のS24、S25は、第1実施形態と同様となるため説明を省略する。
このように、第2実施形態に係るZr含有混合物15の電解方法では、混合物15を液体金属20に浸漬して、アクチニドとともにZrも同時に液体金属中に溶解させる。そして、電解電圧を調整して、Zrイオンの溶解中への溶解を抑制しつつアクチニドを溶融塩12中に溶解させて陰極16で析出回収する。これにより、Zr混入率が抑制された陰極析出物を高い処理効率で得ることができる。
以上述べた各実施形態のZr含有混合物の電解回収方法によれば、アクチニドとともにZrが同時に溶解することを許容しつつ、溶融塩中のZrイオン濃度を抑制して、アクチニドのイオン濃度を高く調整することで、Zr混入率が抑制された陰極析出物を高い処理効率で得ることができる。
なお、本実施形態の適用範囲はZr比率が高い金属燃料の場合に限定するものでは無く、例えばU−TRU(超ウラン元素)−10wt%Zr金属燃料等のZr比率が低い場合でも適用でき、窒化物燃料からのアクチニド回収等にも適用できる。また、原子力事故により発生した炉心溶融物等のZr、ウラン、プルトニウム等を含有する放射性物質の分離回収にも適用できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…電解回収装置、11…反応槽、12…溶融塩、13…液体金属プール、14…陽極、15…Zr含有混合物(混合物)、16…陰極、17…直流電源、18…陰極析出物、19…ボール、20…液体金属、21…制御装置。

Claims (12)

  1. Zr含有混合物から所望の金属を電解回収する方法であって、
    液体金属及び溶融塩を内部に有する反応槽において、前記Zr含有混合物が保持された陽極を前記溶融塩に浸漬する浸漬ステップと、
    陰極を前記溶融塩に装荷して、前記陽極の電位を前記Zr含有混合物中のZrを溶解可能な電位に調整して電解反応させる電解ステップと、
    前記Zr含有混合物から溶解した前記溶融塩中のZrイオンと前記Zr含有混合物に含まれる前記金属とのイオン交換によって還元されたZrを、前記液体金属の相に移行させるZr濃度調整ステップと、
    前記金属を含んで前記陰極に析出した陰極析出物を回収する回収ステップと、を含むことを特徴とするZr含有混合物の電解回収方法。
  2. Zr含有混合物から所望の金属を電解回収する方法であって、
    反応槽内に配置される液体金属に前記Zr含有混合物を浸漬して溶解させる溶解ステップと、
    反応槽内の溶融塩に陰極を装荷して、前記液体金属を陽極として電圧を印加して、前記陽極の電位をZrが溶解可能な電位よりも小さい電位で電解反応させる電解ステップと、
    前記金属を含んで前記陰極に析出した陰極析出物を回収する回収ステップと、を含み、
    前記陽極とする前記液体金属は、容器内に注入されて、前記溶融塩中に配置されることを特徴とするZr含有混合物の電解回収方法。
  3. 前記陽極とする前記液体金属は、前記容器内において前記溶融塩の下層に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のZr含有混合物の電解回収方法。
  4. 前記電解反応を一時的に停止して、イオン交換によって還元されたZrを、前記液体金属の相に移行させることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載のZr含有混合物の電解回収方法。
  5. 前記Zr含有混合物を前記陽極にさらに装荷して、イオン交換によって還元されたZrを、前記液体金属の相に移行させることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載のZr含有混合物の電解回収方法。
  6. 前記溶融塩中に還元剤を投入してZrイオンを還元させ、前記溶融塩中のZrイオン濃度を調整することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載のZr含有混合物の電解回収方法。
  7. 前記溶融塩中に酸化剤を投入して、前記Zr含有混合物から所望の前記金属をイオンとして前記溶融塩中に溶出させることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載のZr含有混合物の電解回収方法。
  8. 前記陽極は、前記Zr含有混合物の表面に衝撃を与えて、前記Zr含有混合物の表面の電解阻害要因を機械的に破壊する構成を備えることを特徴とする請求項に記載のZr含有混合物の電解回収方法。
  9. 前記陽極の陽極電位を、陽極構造材自体の溶解を抑制するように制御することを特徴とする請求項1または請求項に記載のZr含有混合物の電解回収方法。
  10. 前記陽極の陽極構造材に、Zrよりも標準酸化還元電位が貴な金属を用いることを特徴とする請求項1、8、9のいずれか一項に記載のZr含有混合物の電解回収方法。
  11. 液体金属及び溶融塩を内部に有する反応槽と、
    Zr含有混合物が保持されて、前記溶融塩に装荷される陽極と、
    前記陽極と前記溶融塩に装荷された陰極との間に電圧を印加する直流電源と、
    前記直流電源を用いて、前記陽極の電位を前記Zr含有混合物中のZrを溶解可能な電位に調整して電解反応させる制御装置と、を備え
    前記制御装置は、前記電解反応を一時的に停止させて、前記Zr含有混合物から溶解した前記溶融塩中のZrイオンと前記Zr含有混合物に含まれる金属とのイオン交換によって還元されたZrを、前記液体金属の相に移行させること特徴とするZr含有混合物の電解回収装置。
  12. 液体金属及び溶融塩を内部に有する反応槽と、
    Zr含有混合物が内部に浸漬された前記液体金属を陽極として、前記溶融塩に装荷された陰極との間に電圧を印加する直流電源と、
    前記直流電源を用いて、前記陽極の電位をZrが溶解可能な電位よりも小さい電位で電解反応させる制御装置と、を備え
    前記陽極とする前記液体金属は、容器内に注入されて、前記溶融塩中に配置されること特徴とするZr含有混合物の電解回収装置。
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