JP6862079B1 - ポリエステル系シュリンクフィルムの製造方法及びポリエステル系シュリンクフィルムの使用方法 - Google Patents

ポリエステル系シュリンクフィルムの製造方法及びポリエステル系シュリンクフィルムの使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐衝撃性に優れ、収縮率が均一なポリエステル系シュリンクフィルムの製造方法等を提供する。【解決手段】下記工程(1)〜(2)を含むポリエステル系シュリンクフィルムの製造方法。(1)非結晶性ポリエステルを樹脂全体量の90〜100重量%含む原材料を、準備及び混合する工程(2)原材料より作成した原反シートから、下記特性i)〜iv)を有するポリエステル系シュリンクフィルムを作成する工程であって、i)収縮前のフィルムの厚さを10〜40μmとし、ii)収縮前の耐衝撃強度A1を20〜60J/mmとし、iii)収縮後(温水80℃、10%)の耐衝撃強度A2を21.5〜45J/mm、A2/A1×100を60〜110%とし、iv)温水80℃、10秒での収縮率B1を35〜80%、温水90℃、10秒での収縮率B2を45〜85%、B1/B2×100を70〜90%とするポリエステル系シュリンクフィルムを作成する工程【選択図】図1

Description

本発明は、ポリエステル系シュリンクフィルムの製造方法及びポリエステル系シュリンクフィルムの使用方法に関する。
より詳しくは、耐衝撃性に優れ、かつ、収縮温度付近における収縮率が均一なポリエステル系シュリンクフィルムの製造方法及びそのフィルムの使用方法に関する。
従来、ペットボトル等の各種容器におけるラベルや装飾効果を発揮するため、シュリンクフィルムの主成分として、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂等が使用されている。
そして、汎用品であって低価格であり、かつ、廃棄処理が容易なことから、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等を主成分としてなるポリオレフィン系シュリンクフィルムが、好んで用いられている(例えば、特許文献1参照)。
より具体的には、プロピレン系樹脂を含む両表面層と、メタロセン触媒によって重合された結晶性プロピレン樹脂又は、エチレン系樹脂を含む内部層を有する少なくとも3層以上の多層構成を、延伸倍率が縦倍率より横倍率が大きくなるように、面積延伸倍率が20倍以上の延伸条件で二軸延伸加工し、下記(a)〜(d)をすべて満足するポリオレフィン系多層シュリンクフィルムである。
(a)厚みが6〜11μmの範囲である。
(b)引張弾性率が0.8GPa以上である。
(c)120℃での熱収縮率が35%以上である。
(d)40℃雰囲気中で7日間保管後の収縮率が4%以下である。
(e)引裂強度が30mN以上である。
また、透明性が高く、耐衝撃性や低温収縮性に優れ、かつ、生分解性を備えたポリエステル系シュリンクフィルムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
すなわち、乳酸を脱水縮合した構造単位と、ジカルボン酸とジオールを脱水縮合したポリエステル構造単位及び/又はジカルボン酸とポリエーテルポリオールを脱水縮合したポリエーテルポリエステル構造単位とを含む、重量平均分子量1〜70万の乳酸系ポリマーからなるシュリンクフィルムである。
そして、厚みが10〜120μm、1%収縮開始温度が35〜80℃、フィルムのフィルムインパクト試験での耐衝撃強度が6kgf・cm以上、延伸方向の最大収縮率が35〜90%であるポリエステル系シュリンクフィルムである。
特開2011−126247号公報(特許請求の範囲等) 特許第3482743号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、特許文献1に記載されたポリオレフィン系シュリンクフィルムは、多層構造であっても、弾性率の値が小さく、耐熱性が低く、かつ、比較的透明性に乏しい等の欠点を有していた。
そのため、高速自動包装適性や印刷適性が劣り、また、引裂強度の低下により、自動包装機で付与されるエアー抜きの針孔から破れが生じやすくなるという製造上の問題があった。
また、特許文献2に記載された、乳酸を脱水縮合した構造単位を含むポリエステル系シュリンクフィルムは、特殊なポリエステル樹脂を用いていること等から、製造コストが高く、経済的に不利であるという問題が見られた。
更に、かかる乳酸由来の構造単位を含むシュリンクフィルムは、機械的強度が低い上に、吸水性が高く、そのため、収縮温度や結晶性の違いによって、収縮率のばらつきが大きいという問題点が見られた。特に、吸水性との関係で、100℃程度の収縮温度付近の温度における収縮率のばらつきが大きいという問題が見られた。
しかも、従来のシュリンクフィルムは、特許文献2に記載された、乳酸を脱水縮合した構造単位を含むポリエステル系シュリンクフィルムを含めて、収縮前の耐衝撃強度、収縮後の耐衝撃強度、更には、収縮温度付近の収縮率等の好適範囲について何ら考慮していなかった。
そのため、従来のシュリンクフィルムは、耐衝撃性に劣り、更には、収縮温度付近における収縮性のばらつきの大きいシュリンクフィルムしか得られないという問題が見られた。
そこで、本発明の発明者らは、乳酸由来の構造単位を事実上含まない場合において、所定の耐衝撃強度を所定範囲内の値に制限し、かつ収縮温度付近の収縮率の比率等を制限することによって、均一かつ安定的に収縮するシュリンクフィルムが得られることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、優れた耐衝撃性を有し、かつ、収縮温度付近における収縮率の均一性や安定性に優れたシュリンクフィルム等の製造方法及びそれらのフィルム等の使用方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、ポリエステル樹脂に由来したポリエステル系シュリンクフィルムの製造方法であって、少なくとも下記工程(1)〜(2)を含むことを特徴とするポリエステル系シュリンクフィルムの製造方法が提供され、上述した問題を解決することができる。
(1)少なくとも非結晶性ポリエステル樹脂からなる原材料であって、非結晶性ポリエステルを樹脂全体量の90〜100重量%の範囲で含む原材料を、準備及び混合する工程
(2)原材料から原反シートを作成し、当該原反シートから、下記特性i)〜iv)を有するポリエステル系シュリンクフィルムを作成する工程であって、
i)収縮前のポリエステル系シュリンクフィルムの厚さを10〜40μmの範囲内の値とし、
ii)振り子式フィルムインパクトテスターにより測定される、収縮前の耐衝撃強度をA1とし、それを20〜60J/mmの範囲内の値とし、
iii)80℃の温水中で、10%収縮させた後に、振り子式フィルムインパクトテスターにより測定される耐衝撃強度をA2としたときに、A2を21.5〜45J/mmの範囲内の値とし、かつ、A1との関係で、A2/A1×100で表される数値を60〜110%の範囲内の値とし、
iv)80℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の収縮率をB1とし、90℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の収縮率をB2としたときに、B1を35〜80%の範囲内の値とし、B2を45〜85%の範囲内の値とし、かつ、B1/B2×100で表される数値を70〜90%の範囲内の値とするポリエステル系シュリンクフィルムを作成する工程
すなわち、本発明のポリエステル系シュリンクフィルムの製造方法によって得られたポリエステル系シュリンクフィルムであれば、非結晶性ポリエステル樹脂の含有量を具体的に制限することによって、耐衝撃強度や、収縮温度付近における収縮率を所望範囲に、更に容易に調整しやすくできるとともに、ヘイズ値等についても、定量性をもって制御しやすくなる。
なお、樹脂全体量のうち、非結晶性ポリエステル樹脂の残分は、結晶性ポリエステル樹脂やポリエステル樹脂以外の樹脂が寄与する値である。
また、収縮前のフィルム厚さを所定範囲内の値に具体的に制限することによって、A2/A1×100で表される数値やB1/B2×100で表される数値等を、それぞれ所定範囲内の値に更に容易に制御しやすくなる。
また、耐衝撃強度のA1を所定範囲内の値に具体的に制限することによって、収縮前のポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、振り子式フィルムインパクトテスターにより測定される所定範囲の数値である、良好な耐衝撃強度を得ることができる。
また、耐衝撃強度のA2を所定範囲内の値に具体的に制限することによって、A2/A1×100で表される数値を、所定範囲内の値に制御しやすくなる。
また、A2/A1×100で表される数値を、所定範囲内の値に具体的に制限することによって、A1やA2の耐衝撃強度の値が多少ばらついた場合であっても、所定影響因子の要因を低下させることによって、所定条件で収縮させたポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、良好な耐衝撃強度A1やA2に由来した所定割合(A2/A1×100)を得ることができる。
更にまた、収縮率のB1および収縮率のB2を、それぞれ所定範囲内の値に具体的に制限することによって、B1/B2×100で表される数値を、所定範囲内の値に制御しやすくなる。
また、B1/B2×100で表される数値を、所定範囲内の値に具体的に制限することによって、耐衝撃強度のA1やA2の値が多少ばらついた場合であっても、所定影響因子の要因を低下させて、ポリエステル系シュリンクフィルムの収縮温度付近(例えば、80〜90℃、以下同様である。)において、安定的かつ均一な収縮率に由来した所定割合(B1/B2×100)を得ることができる。
よって、このように、非結晶性ポリエステル樹脂の含有量、収縮前のフィルム厚さ、A1、A2、B1、B2、(A2/A1×100)及び(B1/B2×100)を、それぞれ所定範囲内の値に制限することによって、優れた耐衝撃性を有し、かつ、収縮温度付近における収縮率の均一性や安定性に優れたシュリンクフィルムが得られる製造方法を提供することができる。
その上、後述するように、所定の落下試験において、良好な結果を得ることができる。
また、本発明を構成するにあたり、工程(2)において、収縮前のフィルムのMD方向における延伸倍率を100〜200%の範囲内の値とすることが好ましい。
このように収縮前のフィルムのMD方向における延伸倍率を所定範囲内の値に具体的に制限することにより、A2/A1×100で表される数値やB1/B2×100で表される数値等を、それぞれ所定範囲内の値に更に容易かつ定量性をもって制御しやすくなる。
また、本発明を構成するにあたり、工程(2)において、収縮前のフィルムのTD方向における延伸倍率を300〜600%の範囲内の値とすることを特徴とすることが好ましい。
このように収縮前のフィルムのMD方向のみならず、TD方向における延伸倍率を所定範囲内の値に具体的に制限することによって、A2/A1×100で表される数値やB1/B2×100で表される数値等を、それぞれ所定範囲内の値に更に容易かつ定量性をもって制御しやすくなる。
また、本発明を構成するにあたり、工程(2)において、特性v)として、収縮前のフィルムのJIS K 7105に準拠して測定されるヘイズ値を5%以下の値とすることが好ましい。
このようにヘイズ値を所定範囲内の値に具体的に制限することによって、ポリエステル系シュリンクフィルムの透明性についても、定量性をもって制御しやすくなる。
また、本発明の別の態様は、ポリエステルに由来したポリエステル系シュリンクフィルムの使用方法であって、少なくとも下記工程(1´)〜(4´)を含むことを特徴とするポリエステル系シュリンクフィルムの使用方法である。
(1´)下記特性i)〜v)を有するポリエステル系シュリンクフィルムから長尺筒状物を形成する工程であって、
i)非結晶性ポリエステルを、樹脂全体量の90〜100重量%の範囲で含み、
ii)収縮前のポリエステル系シュリンクフィルムの厚さを10〜40μmの範囲内の値とし、
iii)振り子式フィルムインパクトテスターにより測定される、収縮前の耐衝撃強度をA1とし、それを20〜60J/mm範囲内の値とし、
iv)80℃の温水中で、10%収縮させた後に、振り子式フィルムインパクトテスターにより測定される耐衝撃強度をA2としたときにA2を21.5〜45J/mmの範囲内の値とし、A1との関係で、A2/A1×100で表される数値を60〜110%の範囲内の値とし、
v)80℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の収縮率をB1とし、90℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の収縮率をB2としたときに、B1を35〜80%の範囲内の値とし、B2を45〜85%の範囲内の値とし、B1/B2×100で表される数値を70〜90%の範囲内の値とするポリエステル系シュリンクフィルムから長尺筒状物を形成する工程
(2´)長尺筒状物を、自動ラベル装着装置に供給し、必要な長さに切断する工程
(3´)必要な長さに切断された長尺筒状物を、内容物を充填したPETボトルに外嵌する工程
(4´)長尺筒状物を外嵌したPETボトルを、熱風トンネル又はスチームトンネルの内部を通過させ、長尺筒状物を、均一に加熱して熱収縮させる工程
すなわち、本発明のポリエステル系シュリンクフィルムの使用方法で用いるポリエステル系シュリンクフィルムであれば、非結晶性ポリエステル樹脂の含有量を具体的に制限することによって、耐衝撃強度や、収縮温度付近における収縮率を所望範囲に、更に容易に調整しやすくできるとともに、ヘイズ値等についても、定量性をもって制御しやすくなる。
また、収縮前のフィルム厚さを所定範囲内の値に具体的に制限することによって、A2/A1×100で表される数値やB1/B2×100で表される数値等を、それぞれ所定範囲内の値に更に容易に制御しやすくなる。
また、耐衝撃強度のA1を所定範囲内の値に具体的に制限することによって、収縮前のポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、振り子式フィルムインパクトテスターにより測定される所定範囲の数値である、良好な耐衝撃強度を得ることができる。
また、耐衝撃強度のA2を所定範囲内の値に具体的に制限することによって、A2/A1×100で表される数値を、所定範囲内の値に制御しやすくなる。
また、A2/A1×100で表される数値を、所定範囲内の値に具体的に制限することによって、A1やA2の耐衝撃強度の値が多少ばらついた場合であっても、所定影響因子の要因を低下させることによって、所定条件で収縮させたポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、良好な耐衝撃強度A1やA2に由来した所定割合(A2/A1×100)を得ることができる。
更にまた、収縮率のB1および収縮率のB2を、それぞれ所定範囲内の値に具体的に制限することによって、B1/B2×100で表される数値を、所定範囲内の値に制御しやすくなる。
また、B1/B2×100で表される数値を、所定範囲内の値に具体的に制限することによって、耐衝撃強度のA1やA2の値が多少ばらついた場合であっても、所定影響因子の要因を低下させて、ポリエステル系シュリンクフィルムの収縮温度付近において、安定的かつ均一な収縮率に由来した所定割合(B1/B2×100)を得ることができる。
よって、このように、非結晶性ポリエステル樹脂の含有量、収縮前のフィルム厚さ、A1、A2、B1、B2、(A2/A1×100)及び(B1/B2×100)を、それぞれ所定範囲内の値に制限することによって、優れた耐衝撃性を有し、かつ、収縮温度付近における収縮率の均一性や安定性に優れたシュリンクフィルムの使用方法を提供することができる。
また、本発明を構成するにあたり、工程(1´)において、特性vi)として、収縮前のフィルムのMD方向における延伸倍率を100〜200%の範囲内の値とすることが好ましい。
このように収縮前のフィルムのMD方向における延伸倍率を所定範囲内の値に具体的に制限することにより、A2/A1×100で表される数値やB1/B2×100で表される数値等を、それぞれ所定範囲内の値に更に容易かつ定量性をもって制御しやすくなる。
また、本発明を構成するにあたり、工程(1´)において、特性vii)として、収縮前のフィルムのTD方向における延伸倍率を300〜600%の範囲内の値とすることを特徴とすることが好ましい。
このように収縮前のフィルムのMD方向のみならず、TD方向における延伸倍率を所定範囲内の値に具体的に制限することによって、A2/A1×100で表される数値やB1/B2×100で表される数値等を、それぞれ所定範囲内の値に更に容易かつ定量性をもって制御しやすくなる。
また、本発明を構成するにあたり、工程(1´)において、特性viii)として、収縮前のフィルムのJIS K 7105に準拠して測定されるヘイズ値を5%以下の値とすることが好ましい。
このようにヘイズ値を所定範囲内の値に具体的に制限することによって、ポリエステル系シュリンクフィルムの透明性についても、定量性をもって制御しやすくなる。
図1(a)〜(c)は、それぞれポリエステル系シュリンクフィルムの異なる形態を説明するための図である。 図2は、ポリエステル系シュリンクフィルムにおける、収縮前の耐衝撃強度(A1)と、所定加熱条件(温水80℃、10秒)で収縮させた場合の収縮率(B1)との関係を説明するための図である。 図3は、ポリエステル系シュリンクフィルムにおける、収縮前の耐衝撃強度(A1)と、所定加熱条件(温水90℃、10秒)で収縮させた場合の収縮率(B2)との関係を説明するための図である。 図4は、ポリエステル系シュリンクフィルムにおける、収縮後(温水80℃、10%)の耐衝撃強度(A2)と、所定加熱条件(温水80℃、10秒)における収縮率(B1)との関係を説明するための図である。 図5は、ポリエステル系シュリンクフィルムにおける、収縮後(温水80℃、10%)の耐衝撃強度(A2)と、所定加熱条件(温水90℃、10秒)における収縮率(B2)との関係を説明するための図である。 図6は、ポリエステル系シュリンクフィルムにおける、収縮後(温水80℃、10%)の耐衝撃強度(A2)/収縮前の耐衝撃強度(A1)の比率と、所定加熱条件(温水80℃、10秒)における収縮率(B1)と、の関係を説明するための図である。 図7は、ポリエステル系シュリンクフィルムにおける、収縮後(温水80℃、10%)の耐衝撃強度(A2)/収縮前の耐衝撃強度(A1)の比率と、所定加熱条件(温水90℃、10秒)における収縮率(B2)と、の関係を説明するための図である。 図8は、ポリエステル系シュリンクフィルムにおける、収縮後(温水80℃、10%)の耐衝撃強度(A2)/収縮前の耐衝撃強度(A1)の比率と、所定加熱条件(温水80℃、10秒)における収縮率(B1)/所定加熱条件(温水90℃、10秒)における収縮率(B2)の比率と、の関係を説明するための図である。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、ポリエステル樹脂に由来したポリエステル系シュリンクフィルムであって、下記(a)〜(c)の構成を満足することを特徴とするポリエステル系シュリンクフィルムである。
(a)振り子式フィルムインパクトテスターにより測定される、収縮前の耐衝撃強度をA1とし、それを20〜60J/mmの範囲内の値とする。
(b)80℃の温水中で10%収縮させた後に、振り子式フィルムインパクトテスターにより測定される耐衝撃強度をA2としたときに、A1との関係で、A2/A1×100で表される数値を60〜110%の範囲内の値とする。
(c)温水80℃、10秒の条件で収縮させた場合の収縮率をB1とし、温水90℃、10秒の条件で収縮させた場合の収縮率をB2としたときに、B1/B2×100で表される数値を70〜90%の範囲内の値とする。
以下、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムの構成に分けて、具体的に各種パラメータ等を説明する。
1.ポリエステル樹脂
基本的に、ポリエステル樹脂の種類は問わないが、通常、ジオール及びジカルボン酸からなるポリエステル樹脂、ジオール及びヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル樹脂、ジオール、ジカルボン酸、及びヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル樹脂、あるいは、これらのポリエステル樹脂の混合物であることが好ましい。
ここで、ポリエステル樹脂の化合物成分としてのジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、1,4ーシクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、芳香族ジオール等の少なくとも一つが挙げられる。
また、同じくポリエステル樹脂の化合物成分としてのジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪酸ジカルボン酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、1,4ーシクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、あるいは、これらのエステル形成性誘導体等の少なくとも一つが挙げられる。
また、同じくポリエステル樹脂の化合物成分としてのヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、ヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン等の少なくとも一つが挙げられる。
また、非結晶性ポリエステル樹脂として、例えば、テレフタル酸少なくとも80モル%からなるジカルボン酸と、エチレングリコール50〜80モル%及び、1,4ーシクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール及びジエチレングリコールから選ばれた1種以上のジオール20〜50モル%からなるジオールよりなる非結晶性ポリエステル樹脂を好適に使用できる。必要に応じ、フィルムの性質を変化させるために、他のジカルボン酸及びジオール、あるいはヒドロキシカルボン酸を使用してもよい。また、それぞれ単独でも、あるいは、混合物であっても良い。
一方、結晶性ポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート等があるが、それぞれ単独であっても、あるいは混合物であっても良い。
また、ポリエステル樹脂が、非結晶性ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂との混合物である場合、良好な耐熱性や収縮率等を得るために、ポリエステル系シュリンクフィルムを構成する樹脂の全体量に対し、非結晶性ポリエステル樹脂の配合量を、90〜100重量%の範囲内の値とすることが好ましく、91〜100重量%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
2.構成(a)
構成(a)は、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、振り子式フィルムインパクトテスターにより測定される、収縮前の耐衝撃強度(A1と称する場合がある。)を20〜60J/mmの範囲内の値とする旨の必要的構成要件である。
この理由は、このように収縮前の耐衝撃強度を所定範囲内の値とすることにより、ポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、良好な耐衝撃強度を得ることができるためである。
より具体的には、収縮前の耐衝撃強度(A1)が20J/mm未満の値になると、機械的強度が低下し、ポリエステル系シュリンクフィルムに対する高速自動包装適性や印刷適性等が劣ったり、あるいは、自動包装機で付与されるエアー抜きの針孔から破れが生じやすくなったりする場合があるためである。
一方、収縮前の耐衝撃強度(A1)が60J/mmを超えた値になると、収縮温度付近において、良好かつ均一な収縮率を得ることが困難となる場合があるためである。
したがって、構成(a)として、収縮前の耐衝撃強度を23〜50J/mmの範囲内の値とすることがより好ましく、25〜40J/mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
ここで、図2及び図3に、それぞれ、収縮前のポリエステル系シュリンクフィルムの耐衝撃強度(A1)と、所定条件で加熱処理したポリエステル系シュリンクフィルムの収縮率(B1、B2)との関係を示す。
これらの図2及び図3中に示される測定データは、いずれもかなりばらついており、収縮前のポリエステル系シュリンクフィルムの耐衝撃強度(A1)と、所定条件で加熱処理したポリエステル系シュリンクフィルムの収縮率(B1、B2)との相関関係に乏しいことが理解される。
また、図4及び図5に、それぞれ、所定条件で収縮させた後のポリエステル系シュリンクフィルムの耐衝撃強度(A2)と、所定条件で加熱処理したポリエステル系シュリンクフィルムの収縮率(B1、B2)との関係を示す。
これらの図4及び図5に中に示されるデータは、いずれもかなりばらついており、収縮後のポリエステル系シュリンクフィルムの耐衝撃強度(A2)と、所定条件で加熱処理したポリエステル系シュリンクフィルムの収縮率(B1、B2)との相関関係に乏しいことが理解される。
なお、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムにおける収縮率は、下記式で定義される。
収縮率(%)=(L-L)/L×100
:熱処理前のサンプルの寸法(長手方向又は幅方向)
:熱処理後のサンプルの寸法(Lと同じ方向)
3.構成(b)
構成(b)は、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムの耐衝撃強度をA1とし、80℃の温水中、10%収縮させた後に、振り子式フィルムインパクトテスターにより測定される耐衝撃強度をA2としたときに、A2/A1×100で表される数値を60〜110%の範囲内の値とする旨の必要的構成要件である。
この理由は、このようにA2/A1×100で表される数値を所定範囲内の値とすることにより、構成(a)等の耐衝撃強度の値が多少ばらついた場合であっても、所定影響因子の要因を低下させ、ポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、良好な耐衝撃強度及び所定割合を得ることができるためである。
より具体的には、A2/A1×100で表される数値が、60%未満の値になったり、あるいは、110%を超えたりすると、ポリエステル系シュリンクフィルムの収縮率(B1、B2)のばらつきが大きくなって、80〜90℃等の収縮温度付近において、安定的かつ均一な収縮率を得ることが困難となる場合があるためである。
したがって、構成(b)として、A2/A1×100で表される数値を65〜105%の範囲内の値とすることがより好ましく、68〜100%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
そして、A2/A1×100で表される数値を所定範囲内により確実に制御すべく、80℃の温水中で、10%収縮させた後に、振り子式フィルムインパクトテスターにより測定される耐衝撃強度A2を20〜45J/mmの範囲内の値とすることが好ましく、23〜40J/mmの範囲内の値とすることがより好ましく、25〜38J/mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
ここで、図6及び図7に、それぞれ、A2/A1×100の数値と、所定条件で加熱処理したポリエステル系シュリンクフィルムの収縮率(B1、B2)との関係を示す。
そして、図6中に示される測定データのばらつきに関し、A2/A1×100の数値と、80℃、10秒で加熱処理したポリエステル系シュリンクフィルムの収縮率(B1)との関係において、それなりの相関関係(一次式による近似で、相関係数(R)が、0.57)があることが理解される。
同様に、図7中に示される測定データのばらつきに関し、A2/A1×100の数値と、90℃、10秒で加熱処理したポリエステル系シュリンクフィルムの収縮率(B2)との関係において、それなりの相関関係(一次式による近似で、相関係数(R)が、0.54)があることが理解される。
4.構成(c)
構成(c)は、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムにつき、80℃、10秒の条件で収縮させた場合の収縮率をB1とし、90℃、10秒の条件で収縮させた場合の収縮率をB2としたときに、B1/B2×100で表される数値を70〜90%の範囲内の値とする旨の必要的構成要件である。
この理由は、このようにB1/B2×100で表される数値を所定範囲内の値とすることにより、構成(a)や構成(b)の耐衝撃強度の値が多少ばらついた場合であっても、所定影響因子の要因を下げて、ポリエステル系シュリンクフィルムの収縮温度付近において、安定的かつ均一な収縮率を得ることができるためである。
より具体的には、B1/B2×100で表される数値が、70%未満になったり、あるいは、90%を超えたりすると、それぞれ収縮率のばらつきが大きくなって、収縮温度付近において、安定的かつ均一な収縮率を得ることが困難となる場合があるためである。
したがって、構成(c)として、B1/B2×100で表される数値を72〜88%の範囲内の値とすることがより好ましく、75〜86%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
ここで、図8(a)、図8(b)に、B1/B2×100で表される数値と、A2/A1×100の数値との関係を示す。
とすると、A2/A1×100の数値が60%未満になると、B1/B2×100で表される数値のばらつきが大きくなる場合がある。
また、A2/A1×100の数値が110%を過ぎると、B1/B2×100で表される数値のばらつきが、若干大きい傾向が得られている。
よって、A2/A1×100の数値を60〜110%の範囲内の値とすることが、B1/B2×100で表される数値の均一化、安定化のためには有効であると考えられる。
したがって、よりB1/B2×100で表される数値の均一化、安定化のためには、A2/A1×100の数値を62〜108%の範囲内の値とすることが好ましく、65〜105%の範囲内の値とすることが更に好ましいと言える。
5.任意的構成要件
(1)構成(d)
また、構成(d)は、80℃の温水中で、10%収縮させた際のポリエステル系シュリンクフィルムにつき、振り子式フィルムインパクトテスターにより測定される耐衝撃強度(A2)を20〜45J/mmの範囲内の値とする旨の任意的構成要件である。
この理由は、このように、かかるA2を具体的に制限することにより、A2/A1×100で表される数値を、所定範囲内の値に制御しやすくなるためである。
より具体的には、耐衝撃強度のA2が、20J/mm未満の値になると、高速自動包装適性や印刷適性が劣ったり、あるいは、自動包装機で付与されるエアー抜きの針孔から破れが生じやすくなったりする場合があるためである。
一方、耐衝撃強度のA2が、45J/mmを超えた値になると、収縮温度付近において、安定的かつ均一な収縮率を得ることが困難となる場合があるためである。
したがって、構成(d)として、耐衝撃強度のA2を23〜43J/mmの範囲内の値とすることがより好ましく、25〜40J/mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
(2)構成(e)
また、構成(e)は、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムにつき、80℃、10秒の条件で収縮させた場合の収縮率であるB1を35〜80%の範囲内の値とし、かつ、90℃、10秒の条件で収縮させた場合の収縮率であるB2を40〜85%の範囲内の値とする旨の任意的構成要件である。
この理由は、かかるB1及びB2を、それぞれ具体的に制限することにより、結果として、B1/B2×100で表される数値を、所定範囲内の値に制御しやすくなふぇるためである。
逆に言えば、収縮率のB1が、35%未満の値になったり、あるいは、80%を超えたりした値になると、それぞれB1/B2×100で表される数値を、所定範囲内の値に制御することが困難となる場合があるためである。
一方、収縮率のB2が、40%未満の値になったり、あるいは、85%を超えた値になったりすると、装飾用ラベルとして、PETボトルに装着した際に、ラベルがボトルにしっかりと密着せず、隙間が生じる場合があるためである。
また、それぞれB1/B2×100で表される数値を、所定範囲内の値に制御することが困難となる場合もあるためである。
したがって、構成(e)として、収縮率のB1を40〜75%の範囲内の値とし、収縮率のB2を45〜80%の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、構成(e)として、収縮率のB1を45〜70%の範囲内の値とし、収縮率のB2を50〜75%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、ポリエステル系シュリンクフィルムにつき、80℃、10秒の条件で収縮させた場合の収縮率であるB1、及び、90℃、10秒の条件で収縮させた場合の収縮率であるB2を、それぞれ所定範囲内の値に調整して、B1/B2×100で表される数値を、所定範囲内の値に制限することが好ましい。
より具体的には、B1/B2×100で表される数値を70〜90%の範囲内の値とすることが好ましく、72〜88%の範囲内の値とすることがより好ましく、75〜86%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
この理由は、ポリエステル系シュリンクフィルムの収縮温度付近における収縮率の値をより狭く制限し、収縮時の温度反応性を良好なものとし、PETボトルの装飾用ラベル等としての歩留まりを高めることができるためである。
(3)構成(f)
また、構成(f)は、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムにつき、収縮前のフィルム厚さを10〜100μmの範囲内の値とする旨の任意的構成要件である。
この理由は、このように収縮前のフィルム厚さを所定範囲内の値に具体的に制限することにより、A2/A1×100で表される数値やB1/B2×100で表される数値等を、それぞれ所定範囲内の値に更に容易に制御しやすくなるためである。
より具体的には、収縮前のフィルム厚さが10μm未満の値になったり、あるいは、100μmを超えたりすると、それぞれ収縮率や耐衝撃強度の調整が困難となって、A2/A1×100で表される数値やB1/B2×100で表される数値等の正確な調整もまた、困難となる場合があるためである。
したがって、構成(f)として、収縮前のフィルム厚さを10〜100μmの範囲内の値とすることがより好ましく、25〜40μmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
(4)構成(g)
また、構成(g)は、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムにつき、収縮前のフィルムのMD方向における延伸倍率を100〜200%の範囲内の値とする旨の任意的構成要件である。
この理由は、このように収縮前のフィルムのMD方向における延伸倍率を所定範囲内の値に具体的に制限することにより、A2/A1×100で表される数値やB1/B2×100で表される数値等を、それぞれ所定範囲内の値に更に容易かつ定量性をもって制御しやすくなるためである。
より具体的には、収縮前のフィルムのMD方向における延伸倍率が、100%未満の値になると、製造上の歩留まりが著しく低下する場合があるためである。
一方、MD方向における延伸倍率が200%を超えると、TD方向における収縮率に影響し、その収縮率の調整自体が困難となる場合があるためである。
したがって、構成(g)として、収縮前のフィルムのMD方向における延伸倍率を110〜180%の範囲内の値とすることがより好ましく、120〜170%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
(5)構成(h)
また、構成(h)は、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムにつき、収縮前のフィルムのTD方向における延伸倍率を300〜600%の範囲内の値とする旨の任意的構成要件である。
この理由は、このように収縮前のフィルムのMD方向のみならず、TD方向における延伸倍率を所定範囲内の値に具体的に制限することにより、A2/A1×100で表される数値やB1/B2×100で表される数値等を、それぞれ所定範囲内の値に更に容易かつ定量性をもって制御しやすくなるためである。
より具体的には、収縮前のフィルムのTD方向における延伸倍率が、300%未満の値になると、TD方向における収縮率が著しく低下し、使用可能なポリエステル系シュリンクフィルムの用途が過度に制限される場合があるためである。
一方、収縮前のフィルムのTD方向における延伸倍率が、600%を超えた値になると、収縮率が著しく大きくなって、使用可能なポリエステル系シュリンクフィルムの用途が過度に制限されたり、あるいは、その延伸倍率自体を一定に制御することが困難となったりする場合があるためである。
したがって、構成(h)として、収縮前のフィルムのTD方向における延伸倍率を350〜550%の範囲内の値とすることがより好ましく、400〜500%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
(6)構成(i)
また、構成(i)は、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムにつき、収縮前のフィルムのJIS K 7105に準拠して測定されるヘイズ値を5%以下の値とする旨の任意的構成要件である。
この理由は、このようにヘイズ値を所定範囲内の値に具体的に制限することにより、ポリエステル系シュリンクフィルムの透明性についても、定量性をもって制御しやすくなるためである。
より具体的には、収縮前のフィルムのヘイズ値が、5%を超えた値になると、透明性が低下し、PETボトルに対する装飾用途等への適用が困難となる場合があるためである。
一方、収縮前のフィルムのヘイズ値が、過度に小さくなると、安定的に制御することが困難になって、生産上の歩留まりが著しく低下する場合がある。
したがって、構成(i)として、収縮前のフィルムのヘイズ値を0.1〜3%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜1%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
(7)構成(j)
また、構成(j)は、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムにつき、非結晶性ポリエステル樹脂を、全体量の90〜100重量%含む旨の任意的構成要件である。
この理由は、このように非結晶性ポリエステル樹脂の含有量を所定範囲内の値に具体的に制限することにより、構成(a)や構成(b)の耐衝撃強度の値が多少ばらついた場合であっても、適宜配合量等を調整し、所定影響因子の要因を低下させることができるためである。
したがって、結果として、ポリエステル系シュリンクフィルムの耐衝撃強度や、収縮温度付近における収縮率を所望範囲に調整できるとともに、ヘイズ値等についても、定量性をもって制御しやすくなる。
より具体的には、非結晶性ポリエステル樹脂の含有量が90%未満の値になると、ポリエステル系シュリンクフィルムの耐衝撃強度や、収縮温度付近における収縮率の制御が困難となる場合があるためである。
但し、非結晶性ポリエステル樹脂の含有量が過度に多くなると、所定影響因子の要因を低下させる範囲が著しく狭くなる可能性がある。
したがって、構成(j)として、非結晶性ポリエステル樹脂の含有量を、全体量の90〜100重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、91〜100重量%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
(8)その他
第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルム中、又は、その片面、あるいは両面に、各種添加剤を配合したり、それらを付着させたりすることが好ましい。
より具体的には、加水分解防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、着色剤、有機フィラー、無機フィラー、有機繊維、無機繊維等の少なくとも一つを、ポリエステル系シュリンクフィルムの全体量に対して、通常、0.01〜10重量%の範囲で配合することが好ましく、0.1〜1重量%の範囲で配合等することがより好ましい。
また、図1(b)に示すように、これらの各種添加剤の少なくとも一つを含む他の樹脂層10a、10bを、ポリエステル系シュリンクフィルム10の片面、又は両面に、積層することも好ましい。
その場合、ポリエステル系シュリンクフィルムの厚さを100%としたときに、追加で積層する他の樹脂層の単層厚さ又は合計厚さを、通常、0.1〜10%の範囲内の値とすることが好ましい。
そして、他の樹脂層を構成する主成分としての樹脂は、ポリエステル系シュリンクフィルムと同様のポリエステル樹脂であっても良く、あるいは、それとは異なるアクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂等の少なくとも一つであることが好ましい。
更に、ポリエステル系シュリンクフィルムを多層構造にして、加水分解防止効果や機械的保護を更に図ったり、あるいは、図1(c)に示すように、ポリエステル系シュリンクフィルムの収縮率が、面内で均一になったりするように、ポリエステル系シュリンクフィルム10の表面に、収縮率調整層10cを設けることも好ましい。
かかる収縮率調整層は、ポリエステル系シュリンクフィルムの収縮特性に応じて、接着剤、塗布方式、あるいは加熱処理等によって、積層することができる。
より具体的には、収縮率調整層の厚さは、0.1〜3μmの範囲であって、所定温度におけるポリエステル系シュリンクフィルムの収縮率が過度に大きい場合には、それを抑制するタイプの収縮率調整層を積層することが好ましい。
また、所定温度におけるポリエステル系シュリンクフィルムの収縮率が過度に小さい場合には、それを拡大するタイプの収縮率調整層を積層することが好ましい。
よって、ポリエステル系シュリンクフィルムとして、収縮率が異なる各種シュリンクフィルムを作成することなく、収縮率調整層によって、所望の収縮率を得ようとするものである。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムの製造方法に関する実施形態である。
1.原材料の準備及び混合工程
まずは、原材料として、非結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、ゴム系樹脂、帯電防止剤、加水分解防止剤等の、主剤や添加剤を準備することが好ましい。
次いで、攪拌容器内に、秤量しながら、準備した結晶性ポリエステル樹脂や非結晶性ポリエステル樹脂等を投入し、攪拌装置を用いて、均一になるまで、混合攪拌することが好ましい。
2.原反シートの作成工程
次いで、均一に混合した原材料を、絶乾状態に乾燥することが好ましい。
次いで、典型的には、押し出し成形を行い、所定厚さの原反シートを作成することが好ましい。
より具体的には、例えば、押出温度180℃の条件で、L/D24、押出スクリュー径50mmの押出機(田辺プラスチック(株)製)により、押し出し成形を行い、所定厚さ(通常、10〜100μm)の原反シートを得ることができる。
3.ポリエステル系シュリンクフィルムの作成
次いで、得られた原反シートにつき、シュリンクフィルム製造装置を用い、ロール上やロール間を移動させながら、加熱押圧して、ポリエステル系シュリンクフィルムを作成する。
すなわち、所定の延伸温度、延伸倍率で、フィルム幅を基本的に拡大させながら、加熱押圧しながら、所定方向に延伸することにより、ポリエステル系シュリンクフィルムを構成するポリエステル分子を所定形状に結晶化させることが好ましい。
そして、その状態で固化させることによって、装飾やラベル等として用いられる熱収縮性のポリエステル系シュリンクフィルムを作成することができる。
4.ポリエステル系シュリンクフィルムの検査工程
作成したポリエステル系シュリンクフィルムにつき、連続的又は間断的に、下記特性等を測定し、所定の検査工程を設けることが好ましい。
すなわち、所定の検査工程によって、下記特性等を測定し、所定範囲内の値に入ることを確認することによって、より均一な収縮特性等を有するポリエステル系シュリンクフィルムとすることができる。
1)ポリエステル系シュリンクフィルムの目視検査
2)厚さむら測定
3)引張弾性率測定
4)引裂強度測定
5)SSカーブによる粘弾性特性測定
そして、第2の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムの製造において、下記(a)〜(c)の測定を加味することが好ましいと言える。
(a)振り子式フィルムインパクトテスターにより測定される、収縮前の耐衝撃強度A1。
(b)80℃の温水中で、10%収縮させた後に、振り子式フィルムインパクトテスターにより測定される耐衝撃強度をA2としたときに、A2/A1×100で表される数値。
(c)80℃、10秒の条件で収縮させた場合の収縮率をB1とし、90℃、10秒の条件で収縮させた場合の収縮率をB2としたときに、B1/B2×100で表される数値。
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、ポリエステル系シュリンクフィルムの使用方法に関する実施形態である。
したがって、公知のシュリンクフィルムの使用方法を、いずれも好適に適用することができる。
例えば、ポリエステル系シュリンクフィルムの使用方法を実施するに際して、まずは、ポリエステル系シュリンクフィルムを、適当な長さや幅に切断するとともに、長尺筒状物を形成する。
次いで、当該長尺筒状物を、自動ラベル装着装置(シュリンクラベラー)に供給し、更に必要な長さに切断する。
次いで、内容物を充填したPETボトル等に外嵌する。
次いで、PETボトル等に外嵌したポリエステル系シュリンクフィルムの加熱処理として、所定温度の熱風トンネルやスチームトンネルの内部を通過させる。
そして、これらのトンネルに備えてなる赤外線等の輻射熱や、90℃程度の加熱蒸気を周囲から吹き付けることにより、ポリエステル系シュリンクフィルムを均一に加熱して熱収縮させる。
よって、PETボトル等の外表面に密着させて、ラベル付き容器を迅速に得ることができる。
ここで、本発明のポリエステル系シュリンクフィルムによれば、少なくとも構成(a)〜(b)を満足することによって、構成(a)の耐衝撃強度の値が多少ばらついた場合であっても、所定影響因子の要因を下げて、ポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、好適な耐衝撃強度を得ることができる。
したがって、後述するように、所定の落下試験において、良好な結果を得ることができる。
しかも、構成(c)を満足することによって、構成(a)や構成(b)の耐衝撃強度の値が多少ばらついた場合であっても、所定影響因子の要因を低下させて、ポリエステル系シュリンクフィルムの収縮温度付近において、安定的かつ均一性に富んだ収縮性を得ることができる。
更に、本発明のポリエステル系シュリンクフィルムは、乳酸由来の構造単位を事実上含まないことから、保管条件における厳格な湿度管理等が不要になるという利点もある。
以下、本発明を実施例に基づき、詳細に説明する。但し、特に理由なく、本発明の権利範囲が、実施例の記載によって狭められることはない。
なお、実施例において、用いた樹脂は、以下の通りである。
(PETG1)
ジカルボン酸:テレフタル酸100モル%、ジオール:エチレングリコール70モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール25モル%、ジエチレングリコール5モル%からなる非結晶性ポリエステル
(PETG2)
ジカルボン酸:テレフタル酸100モル%、ジオール:エチレングリコール72モル%、ネオペンチルグリコール25モル%、ジエチレングリコール3モル%からなる非結晶性ポリエステル
(APET)
ジカルボン酸:テレフタル酸100モル%、ジオール:エチレングリコール100モル%からなる結晶性ポリエステル
(PBT)
ジカルボン酸:テレフタル酸100モル%、ジオール:1,4−ブタンジオール100モル%からなる結晶性ポリエステル
[実施例1]
1.ポリエステル系シュリンクフィルムの作成
攪拌容器内に、非結晶性ポリエステル樹脂(PETG1)を100重量部用いた。
次いで、この原料を絶乾状態にしたのち、押出温度180℃の条件で、L/D24、押出スクリュー径50mmの押出機(田辺プラスチック(株)製)により、押し出し成形を行い、厚さ100μmの原反シートを得た。
次いで、シュリンクフィルム製造装置を用い、原反シートから、延伸温度83℃、延伸倍率(MD方向:105%、TD方向:480%)で、厚さ30μmのポリエステル系シュリンクフィルムを作成した。
2.ポリエステル系シュリンクフィルムの評価
(1)厚さ
得られたポリエステル系シュリンクフィルムの厚さ(所望値である30μmを基準値として)を、マイクロメータを用いて測定し、以下の基準に準じて評価した。
◎:厚さのばらつきが基準値±0.1μmの範囲内の値である。
〇:厚さのばらつきが基準値±0.5μmの範囲内の値である。
△:厚さのばらつきが基準値±1.0μmの範囲内の値である。
×:厚さのばらつきが基準値±3.0μmの範囲内の値である。
(2)耐衝撃強度1
ASTM−D3420に準拠して、振り子の先端部が半円球である、T.S.S.フィルムインパクトテスター(東洋精機製作所製)を用いて、収縮前のポリエステル系シュリンクフィルムの耐衝撃強度(J/mm、A1)を測定し、以下の基準に準じて評価した。
◎:25〜40J/mmの範囲内の値である。
〇:23〜50J/mmの範囲内の値であって、かつ、25〜40J/mmの範囲外の値である。
△:20〜60J/mmの範囲内の値であって、かつ、23〜50J/mmの範囲外の値である。
×:20〜60J/mmの範囲外である。
(3)耐衝撃強度2
耐衝撃強度1の測定と同様に、80℃の温水中で、10%収縮させた後のポリエステル系シュリンクフィルムの耐衝撃強度(J/mm、A2)を測定し、以下の基準に準じて評価した。
◎:25〜38J/mmの範囲内の値である。
〇:23〜40J/mmの範囲内の値であって、かつ、25〜38J/mmの範囲外の値である。
△:20〜45J/mmの範囲内の値であって、かつ、23〜40J/mmの範囲外の値である。
×:20〜45J/mmの範囲外である。
(4)耐衝撃強度3
収縮前後のポリエステル系シュリンクフィルムの耐衝撃強度(A2/A1)から、A2/A1×100を算出し、以下の基準に準じて評価した。
◎:65〜105%の範囲内の値である。
〇:60〜110%の範囲内の値であって、65〜105%の範囲外である。
△:50〜120%の範囲内の値であって、60〜110%の範囲外である。
×:50〜120%の範囲外の値である。
(5)収縮率1
得られたポリエステル系シュリンクフィルム(TD方向)を、恒温槽を用いて、80℃の温水に、10秒間浸漬し(B1条件)、熱収縮させた。
次いで、それぞれの加熱処理前後の寸法変化から、下式に準じて、収縮率(B1)を算出し、以下の基準に準じて評価した。
収縮率=(熱収縮前のフィルムの長さ−熱収縮後のフィルムの長さ)/熱収縮前のフィルムの長さ×100
◎:収縮率(B1)が35〜80%の範囲内の値である。
〇:収縮率(B1)が30〜85%の範囲内の値であって、かつ、35〜80%の範囲外の値である。
△:収縮率(B1)が25〜90%の範囲内の値であって、かつ、30〜85%の範囲外の値である。
×:収縮率(B1)が25〜90%の範囲外の値である。
(6)収縮率2
得られたポリエステル系シュリンクフィルム(TD方向)を、恒温槽を用いて、90℃の温水に、10秒間浸漬し(B2条件)、熱収縮させた。
次いで、それぞれの加熱処理前後の寸法変化から、下式に準じて、収縮率(B2)を算出し、以下の基準に準じて評価した。
収縮率=(熱収縮前のフィルムの長さ−熱収縮後のフィルムの長さ)/熱収縮前のフィルムの長さ×100
◎:収縮率(B2)が50〜75%の範囲内の値である。
〇:収縮率(B2)が45〜80%の範囲内の値であって、かつ、50〜75%の範囲外の値である。
△:収縮率(B2)が40〜85%の範囲内の値であって、かつ、45〜80%の範囲外の値である。
×:収縮率(B2)が40〜85%の範囲外の値である。
(7)収縮率3
得られたポリエステル系シュリンクフィルムの収縮率(TD方向のB1、B2)から、B1/B2×100を算出し、以下の基準に準じて評価した。
◎:収縮率3が、75〜85%の範囲内の値である。
〇:収縮率3が、70〜90%の範囲内の値であって、かつ、75〜85%の範囲外の値である。
△:収縮率3が、65〜98%の範囲内の値であって、かつ、70〜90%の範囲外の値である。
×: 収縮率3が、65〜98%の範囲外の値である。
(8)ヘイズ
JIS K 7105に準拠して、得られたポリエステル系シュリンクフィルムのヘイズ値を測定し、以下の基準に準じて評価した。
◎:1%以下の値である。
〇:3%以下の値である。
△:5%以下の値である。
×:5%を超えた値である。
(9)落下試験
市販の飲料水が充填された状態の円柱状PETボトルを準備した(商品名:エビアン、容積:500ml)。
次いで、ポリエステル系シュリンクフィルムを幅26cmにスリットして得た長尺状のシュリンクフィルムに、長手方向に沿って幅1mmのミシン目を設け、幅方向端部に1,3−ジオキソランを塗布し、重ね代が約1cmとなるよう幅方向端部同士を重ね合わせて接着し、直径約8cmの筒状フィルムとした。さらに、この筒状フィルムを長手方向に5cm毎に切りだし、複数の筒状ラベルを得た。
次いで、当該筒状ラベルを準備した円柱状PETボトルに被せ、85℃に保持された蒸気トンネルの中を、ベルトコンベアの上にのせるとともに、6m/minの通過速度で移動させ、筒状ラベルが円柱状PETボトルに密着するよう熱収縮させた。
次いで、ラベル状のポリエステル系シュリンクフィルムを、ラベル残り幅がミシン目残り1個となるようにミシン目を引き裂いて、落下試験用サンプルとした。
次いで、コンクリート製の床面に対して、1.5mの高さから、落下試験用サンプルを自然落下させ、ラベル状のポリエステル系シュリンクフィルムが、目視にて切断又は破損等されるまでの回数を測定し、以下の基準に沿って、落下試験性を評価した。
◎:3回以上の落下試験に耐える。
〇:2回以上の落下試験に耐える。
△:1回の落下試験に耐える。
×:1回の落下試験に耐えない。
[実施例2〜9]
実施例2〜9において、表1及び表2に示すように、それぞれ構成(a)〜(c)等の値を変えて、実施例1と同様に、ポリエステル系シュリンクフィルムを作成し、評価した。
すなわち、実施例2において、非結晶性ポリエステル樹脂(PETG1)を原材料とし、押出条件を変えて、厚さ25μmのポリエステル系シュリンクフィルムを作成したほかは、実施例1と同様に評価した。
また、実施例3において、非結晶性ポリエステル樹脂(PETG1)を原材料とし、押出条件を変えて、厚さ30μmのポリエステル系シュリンクフィルムを作成したほかは、実施例1と同様に評価した。
また、実施例4において、非結晶性ポリエステル樹脂(PETG1)を90重量部及び結晶性ポリエステル樹脂(APET)を10重量部の割合で混合し、それを原材料とし、押出条件を変えて、厚さ30μmのポリエステル系シュリンクフィルムを作成したほかは、実施例1と同様に評価した。
また、実施例5において、非結晶性ポリエステル樹脂(PETG1)を90重量部及び結晶性ポリエステル樹脂(PBT)を10重量部の割合で混合し、それを原材料とし、押出条件を変えて、厚さ25μmのポリエステル系シュリンクフィルムを作成したほかは、実施例1と同様に評価した。
また、実施例6において、非結晶性ポリエステル樹脂(PETG2)のみを原材料とし、押出条件を変えて、厚さ40μmのポリエステル系シュリンクフィルムを作成したほかは、実施例1と同様に評価した。
また、実施例7において、非結晶性ポリエステル樹脂(PETG2)のみを原材料とし、押出条件を変えて、厚さ39μmのポリエステル系シュリンクフィルムを作成したほかは、実施例1と同様に評価した。
また、実施例8において、非結晶性ポリエステル樹脂(PETG2)のみを原材料とし、押出条件を変えて、厚さ21μmのポリエステル系シュリンクフィルムを作成したほかは、実施例1と同様に評価した。
また、実施例9において、非結晶性ポリエステル樹脂(PETG2)のみを原材料とし、押出条件を変えて、厚さ22μmのポリエステル系シュリンクフィルムを作成したほかは、実施例1と同様に評価した。
[比較例1]
比較例1において、表1及び表2に示すように、構成要件(b)を満足しない、ポリエステル系シュリンクフィルムを作成し、実施例1と同様に、評価した。
すなわち、実施例1と同じ非結晶性ポリエステル樹脂(PETG1)のみを原材料にして、構成要件(b)を満足しない、厚さ25μmのポリエステル系シュリンクフィルムを作成した。
[比較例2]
比較例2において、表1及び表2に示すように、構成要件(b)及び構成要件(c)を満足しない、ポリエステル系シュリンクフィルムを作成し、実施例1と同様に、ポリエステル系シュリンクフィルムを作成し、評価した。
すなわち、非結晶性ポリエステル樹脂(PETG2)のみを原材料にして、構成要件(b)及び構成要件(c)を満足しない、厚さ29μmのポリエステル系シュリンクフィルムを作成した。
Figure 0006862079
Figure 0006862079
Figure 0006862079
本発明によれば、従来のポリオレフィン系シュリンクフィルムや、乳酸を脱水縮合した構造単位を含むポリエステル系シュリンクフィルムの欠点を解消し、耐衝撃性に優れ、かつ、収縮温度付近における収縮率が均一なポリエステル系シュリンクフィルムを得ることができる製造方法等を提供することができるようになった。
10:ポリエステル系シュリンクフィルム
10a:他の樹脂層1
10b:他の樹脂層2
10c:収縮率調整層

Claims (8)

  1. 少なくとも下記工程(1)〜(2)を含むことを特徴とするポリエステル系シュリンクフィルムの製造方法。
    (1)少なくとも非結晶性ポリエステル樹脂からなる原材料であって、非結晶性ポリエステルを樹脂全体量の90〜100重量%の範囲で含む原材料を、準備及び混合する工程
    (2)前記原材料から原反シートを作成し、当該原反シートから、下記特性i)〜iv)を有するポリエステル系シュリンクフィルムを作成する工程であって、
    i)収縮前の前記ポリエステル系シュリンクフィルムの厚さを10〜40μmの範囲内の値とし、
    ii)振り子式フィルムインパクトテスターにより測定される、収縮前の耐衝撃強度をA1とし、それを20〜60J/mmの範囲内の値とし、
    iii)80℃の温水中で、10%収縮させた後に、振り子式フィルムインパクトテスターにより測定される耐衝撃強度をA2としたときに、前記A2を21.5〜45J/mmの範囲内の値とし、かつ、前記A1との関係で、A2/A1×100で表される数値を60〜110%の範囲内の値とし、
    iv)80℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の収縮率をB1とし、90℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の収縮率をB2としたときに、前記B1を35〜80%の範囲内の値とし、前記B2を45〜85%の範囲内の値とし、かつ、B1/B2×100で表される数値を70〜90%の範囲内の値とするポリエステル系シュリンクフィルムを作成する工程
  2. 前記工程(2)において、収縮前のフィルムのMD方向における延伸倍率を100〜200%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系シュリンクフィルムの製造方法。
  3. 前記工程(2)において、収縮前のフィルムのTD方向における延伸倍率を300〜600%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステル系シュリンクフィルムの製造方法。
  4. 前記工程(2)において、特性v)として、収縮前のフィルムのJIS K7105に準拠して測定されるヘイズ値を5%以下の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリエステル系シュリンクフィルムの製造方法。
  5. 少なくとも下記工程(1´)〜(4´)を含むことを特徴とするポリエステル系シュリンクフィルムの使用方法。
    (1´)下記特性i)〜v)を有するポリエステル系シュリンクフィルムから長尺筒状物を形成する工程であって、
    i)非結晶性ポリエステルを、樹脂全体量の90〜100重量%の範囲で含み、
    ii)収縮前の前記ポリエステル系シュリンクフィルムの厚さを10〜40μmの範囲内の値とし、
    iii)振り子式フィルムインパクトテスターにより測定される、収縮前の耐衝撃強度をA1とし、それを20〜60J/mmの範囲内の値とし、
    iv)80℃の温水中で、10%収縮させた後に、振り子式フィルムインパクトテスターにより測定される耐衝撃強度をA2としたときに、前記A2を21.5〜45J/mmの範囲内の値とし、前記A1との関係で、A2/A1×100で表される数値を60〜110%の範囲内の値とし、
    v)80℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の収縮率をB1とし、90℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の収縮率をB2としたときに、前記B1を35〜80%の範囲内の値とし、前記B2を45〜85%の範囲内の値とし、B1/B2×100で表される数値を70〜90%の範囲内の値とするポリエステル系シュリンクフィルムから長尺筒状物を形成する工程
    (2´)前記長尺筒状物を、自動ラベル装着装置に供給し、必要な長さに切断する工程
    (3´)必要な長さに切断された前記長尺筒状物を、内容物を充填したPETボトルに外嵌する工程
    (4´)前記長尺筒状物を外嵌した前記PETボトルを、熱風トンネル又はスチームトンネルの内部を通過させ、前記長尺筒状物を、均一に加熱して熱収縮させる工程
  6. 前記工程(1´)において、特性vi)として、収縮前のフィルムのMD方向における延伸倍率を100〜200%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項5に記載のポリエステル系シュリンクフィルムの使用方法。
  7. 前記工程(1´)において、特性vii)として、収縮前のフィルムのTD方向における延伸倍率を300〜600%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項5又は6に記載のポリエステル系シュリンクフィルムの使用方法。
  8. 前記工程(1´)において、特性viii)として、収縮前のフィルムのJIS K7105に準拠して測定されるヘイズ値を5%以下の値とすることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載のポリエステル系シュリンクフィルムの使用方法。
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