JP6861139B2 - セロトニン代謝抑制剤、飲食品組成物、及び、医薬品 - Google Patents

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本発明は、セロトニン代謝抑制剤、飲食品組成物、及び、医薬品に関する。
セロトニンは、ヒトの食欲、睡眠、記憶、学習、体温調整、気分、行動、心血管機能、平滑筋収縮、及び、内分泌調整等において重要な機能を果たしているとされ、種々の疾病の発生又は治療に関係していると考えられている。セロトニンは、拡散、代謝、及び、再取り込みによって消失し、脳内におけるセロトニンの濃度が減少しすぎると、種々の精神障害、特に、うつ病を発症することがあることが知られている。
従来、脳内におけるセロトニンの濃度を調節する方法として、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、及び、選択的セロトニン再取り込み阻害薬等が知られている。近年、食経験のある食品由来で、かつ、上記機能を有する薬品及び飲食品組成物の開発が進められている。特許文献1には、「臨床上有効量の(1S,3S)−1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−β−カルボリン−3−カルボン酸を含有する、セロトニン再取り込みを阻害することにより改善する疾患又は状態を治療又は予防するための医薬品又は飲食品。」が記載されている。
国際公開第2010/021247号
本発明は、セロトニンの代謝を抑制することによって改善する疾患又は状態を治療又は予防できるセロトニン代謝抑制剤を提供することを課題とする。また、本発明は、セロトニン代謝抑制用の飲食品組成物を提供することも課題とする。
本発明者らは、上記課題を達せすべく鋭意検討した結果、特定のカフェ酸エステルがセロトニン代謝抑制作用を有することを見出し、以下の構成により上記課題を達成できることを見出した。
[1] モノカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸、及び、トリカフェオイルキナ酸からなる群から選択される少なくとも1種のカフェ酸エステル類を有効成分として含有する、セロトニン代謝抑制剤。
[2] カフェ酸エステル類が植物に由来する、[1]に記載のセロトニン代謝抑制剤。
[3] 植物が、キク科植物、及び、ヒルガオ科植物からなる群から選択される少なくとも1種である、[2]に記載のセロトニン代謝抑制剤。
[4] カフェ酸エステル類が、トリカフェオイルキナ酸である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のセロトニン代謝抑制剤。
[5] モノカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸、及び、トリカフェオイルキナ酸からなる群から選択される少なくとも1種のカフェ酸エステル類を有効成分として含有する、セロトニン代謝抑制用の飲食品組成物。
[6] 有効成分として、モノカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸、及び、トリカフェオイルキナ酸からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、セロトニン代謝を抑制することにより改善する疾患又は状態を治療又は予防するための医薬品又は飲食品組成物。
本発明によれば、セロトニンの代謝を抑制することによって改善する疾患又は状態を治療又は予防できるセロトニン代謝抑制剤を提供することができる。また、本発明は、セロトニン代謝抑制用の飲食品組成物、及び、医薬品を提供することもできる。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明者らは、モノカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸、及び、トリカフェオイルキナ酸からなる群から選択される少なくとも1種のカフェ酸エステル類(以下「CQA」ともいう。)が脳内モノアミンの一種であるセロトニンの代謝を抑制する作用を有することを初めて見出し、本発明を完成させた。
本発明の実施形態に係るセロトニン代謝抑制剤は、CQAを有効成分として含有する。
CQAとしては、3−カフェオイルキナ酸(3−CQA)、4−カフェオイルキナ酸(4−CQA)、及び、5−カフェオイルキナ酸(5−CQA)等のモノカフェオイルキナ酸(MCQA);3,4−ジカフェオイルキナ酸(3,4−DCQA)、3,5−ジカフェオイルキナ酸(3,5−DCQA)、及び、4,5−ジカフェオイルキナ酸(4,5−DCQA)等のジカフェオイルキナ酸(DCQA);3,4,5−トリカフェオイルキナ酸(3,4,5−TCQA)、及び、1,3,5−トリカフェオイルキナ酸(1,3,5−TCQA)等のトリカフェオイルキナ酸(TCQA);1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸(1,3,4,5−tetraCQA)等のテトラカフェオイルキナ酸が挙げられる。なかでも、セロトニン代謝抑制剤がより優れた本発明の効果を有する点で、CQAとしては、DCQA又はTCQAが好ましく、ヒト神経細胞のエネルギー代謝をより高める点で、TCQAがより好ましい。
なお、CQAは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
CQAは、カルボキシル基を含有してもよいし、その塩であってもよい。塩を形成するための塩基性物質としては、特に制限されないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化マグネシウム、及び、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;水酸化アンモニウム等の無機塩基、アルギニン、リジン、ヒスチジン、及び、オルニチン等の塩基性アミノ酸;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及び、トリエタノールアミン等の有機塩基が挙げられ、なかでも、特にアルカリ金属、又は、アルカリ土類金属の水酸化物が好ましい。
CQAは、植物から抽出できる。すなわち、本実施形態に係るセロトニン代謝抑制剤が含有するCQAは植物に由来する、言いかえれば植物由来であることが好ましい。CQAを含有する植物としては、特に制限されないが、例えば、ヒルガオ科植物、及び、キク科植物等が挙げられる。
ヒルガオ科植物としては、サツマイモ、ヒルガオ、アサガオ、ヨルガオ、ヨウサイ、ルコウソウ、ネナシカズラ、エボルブルス、及び、エンサイ等が挙げられる。
キク科植物としては、キクイモ、ノコギリソウ、ゴボウ、ヨモギ、アスター、バッカリス、ヒナギク、キンセンカ、エゾギク、ベニバナ、ヤグルマギク、ネモフィラ、シュンギク、マーガレット、イソギク、チコリ、ムルチコーレ、チョウセンアザミ、アレチノギク、キバナコスモス、タンポポ、ダリア、ムラサキバレンギク、ヒメジョオン、フジバカマ、ツワブキ、ガーベラ、ハハコグサ、ミヤコワスレ、ヒマワリ、ヨメナ、レタス、センボンヤリ、カミツレ、シネラリア、フキ、ヤーコン、アキノキリンソウ、ノゲシ、ウルシニア、ヒャクニチソウ、及び、アーティチョーク等が挙げられる。
本実施形態に係るセロトニン代謝抑制剤が含有するCQAは、上記植物以外の植物から抽出したものも使用できる。なお、植物からCQAを抽出する方法としては特に制限されず、公知の方法を使用できる。
植物からCQAを抽出する方法としては、例えば、国際公開第2017/169384号の0011〜0036段落に記載の方法が挙げられ、上記方法は、本明細書に組み込まれる。
また、上記植物としては、植物中のCQAの含有量を増加させたものも使用できる。植物中のCQAの含有量を増加させる方法としては、例えば、特開2016−106621号公報の0018〜0037段落に記載された方法が挙げられ、上記内容は本明細書に組み込まれる。
また、CQAは合成により製造してもよい。なお、本明細書において合成とは、化学合成、及び、生合成を意図する。CQAの合成には、公知の方法を用いることができる。例えば、特開2016−74606号公報の0009〜0075段落に記載された方法、及び、特開2015−199674号公報の0009〜0078段落に記載された方法等を用いることもでき、上記内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態に係るセロトニン代謝抑制剤は、セロトニンの代謝を抑制することにより改善する疾患(例えば、うつ)又は状態の治療又は予防に使用することが好ましい。
本実施形態に係るセロトニン代謝抑制剤の投与量、及び、投与回数は、症状、年齢、体重、及び、投与形態等によって異なるが、経口投与する場合には、マウスであれば、通常、体重1kgあたり、0.01〜1000mg/日が好ましく、ヒトであれば、体重1kgあたり0.05〜10mg/日が好ましい。上記の量は1日あたり1回分の投与量としてもよく、数回分(例えば1日につき2又は3回の合計)としてもよい。
本発明の実施形態に係るセロトニン代謝抑制剤は、有効成分としてCQAを含有する。
セロトニン代謝抑制剤中におけるCQAの含有量は特に制限されないが、通常、セロトニン代謝抑制剤全質量に対して、15質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、45質量%以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、100質量%が挙げられ、80質量%以下の場合が多い。
また、セロトニン代謝抑制剤はCQAを含有していれば、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、賦形剤が挙げられる。
賦形剤としては、例えば、固形物として、乳糖、カオリン、ショ糖、結晶セルロース、コーンスターチ、タルク、寒天、ペクチン、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、レシチン、及び、塩化ナトリウム等が挙げられ、液状物として、グリセリン、落花生油、ポリビニルピロリドン、オリーブ油、エタノール、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、及び、水等が挙げられる。
本発明の実施形態に係るセロトニン代謝抑制剤は、賦形剤以外にも、必要に応じて、基剤、界面活性剤、保存剤、乳化剤、着色剤、矯臭剤、香料、安定化剤、防腐剤、酸化防止剤、潤沢剤、抗菌剤、溶解補助剤、懸濁化剤、結合剤、及び、崩壊剤等を含有してもよい。
本実施形態に係るセロトニン代謝抑制剤の剤型としては、特に制限されず、例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、トローチ剤、シロップ剤、乳液、軟ゼラチンカプセル、ゲル、ペースト、注射剤、クリーム、ジェル、ローション、及び、貼付剤等が挙げられる。
本実施形態に係るセロトニン代謝抑制剤の摂取(又は、投与)方法としては特に制限されず、吸入、注腸、点眼、点耳、経鼻、皮膚上塗布、及び、経口等が挙げられる。
なかでも、より優れたセロトニン代謝抑制効果を有する点で、本実施形態に係るセロトニン代謝抑制剤は、経口摂取用であることが好ましい。
また、上記セロトニン代謝抑制剤は、有効成分であるCQAに加えて、所望により、抗うつ効果を有する他の有効成分を含有してもよい。この場合、他の有効成分はCQAとの併用に際し安全なものが好ましい。
本発明の第二の実施形態に係る飲食品組成物は、モノカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸、及び、トリカフェオイルキナ酸からなる群から選択される少なくとも1種のカフェ酸エステル類を有効成分として含有する、セロトニン代謝抑制用の飲食品組成物である。
上記飲食品組成物は、CQAを含有する。飲食品組成物が含有するCQAとしては、セロトニン代謝抑制剤が含有するCQAとして既に説明したとおりである。
本明細書において、飲食品組成物とは、ヒトが日常的に食品又は飲料として摂取するもの、健康の保持増進に資する食品として利用される健康食品、及び、動物用の飼料のうち、植物そのもの及び動物そのものを除いたものを意味する。飲食品組成物としては、例えば、ジュース、菓子類、パン類、及び、スープ類等、並びに、その添加成分;ドッグフード、及び、キャットフード等のペットフード又はその添加成分;等が挙げられる。これら飲食品組成物の製造方法としては特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
上記実施形態に係る飲食品組成物が含有するCQAの含有量としては、セロトニンの代謝を抑制することができれば特に制限されず、また、飲食品の1日あたりの目安摂取量、及び、摂取回数等によって異なるが、CQAとして、体重1kgあたり0.05〜10mg/日となる量が好ましい。上記を1日あたりの目標摂取量としてもよく、数回分(例えば1日につき2又は3回の合計)としてもよい。
CQAは、既に説明した植物に含有されているものの、その含有量は非常に少ない。例えば、CQAの含有量が多いとされているサツマイモの葉部に含有されるCQAの平均量は、5−CQA、4,5−CQA、3,5−CQA、3,4−CQA、及び、3,4,5−CQAの順に、凍結乾燥試料100gあたり、それぞれ0.45g、0.80g、1.68g、0.35g、及び、0.09gとされている(九州沖縄農業研究センター研究成果情報平成13年度「サツマイモ葉の総ポリフェノール含量及びポリフェノール組成」http://www.naro.affrc.go.jp/org/karc/seika/kyushu_seika/2001/2001085.htmlより)。
ここで、サツマイモ葉部の水分含有量を85〜95%とすると、例えば、体重60kgのヒトが本実施形態に係る飲食品と同程度のCQAを摂取しようとすれば、少なくとも600g/日以上のサツマイモ葉部を摂取しなければならないことになる。
一方、日本人の一日の野菜摂取量の平均値は、国民健康・栄養調査(平成25年)によると、283.1gとなっている。以上に鑑みると、既存のサツマイモ葉自体によって本発明の実施形態に係る飲食品と同様の効果を得ることは困難であり、言い換えれば、本発明の上記実施形態に係る飲食品組成物によって初めて、セロトニン代謝を抑制することにより改善する疾患又は状態を治療又は予防する効果が得られたものである。
本発明の実施形態に係る医薬品は、有効成分として、モノカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸、及び、トリカフェオイルキナ酸からなる群から選択される少なくとも1種を含有し、有効成分として、ジカフェオイルキナ酸、及び、トリカフェオイルキナ酸からなる群から選択される少なくとも1種を含有することがより好ましく、有効成分として、トリカフェオイルキナ酸を含有することが更に好ましい。
なお、CQAは、例えば塩酸塩のような薬学的に許容される塩の形態で使用してもよく、体内でCQAとなるような塩(プロドラッグ)の形で使用してもよい。
セロトニン代謝を抑制することにより改善する疾患又は状態としてはうつ病、うつ病の合併症、学習意欲の減少、パニック障害、及び、強迫性障害等が挙げられ、なかでも、上記医薬品は、うつ病の治療又は予防により優れた効果を発揮する。
なお、医薬品の剤型、用法、及び、用量等は、セロトニン抑制剤の形態として既に説明したとおりである。
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
[試験例1]
カニクイザルを用いたマイクロダイアリシス法により、CQAの脳内セロトニン含有量への影響を検討した。カニクイザル(雌、6−7歳)3頭を被験体とし、TCQA(合成品;合成方法は後述する)、ジカフェオイルキナ酸(DCQA;PhytoLab GmbH & Co. KG製、3,5−Dicaffeoylquinic acid)、並びに、サツマイモ葉抽出物(TCQA、及び、DCQAを含有する)をそれぞれ経口投与した。各試験群において被験体としたのは同一のカニクイザル3頭であり、各群の試験前には十分にウォッシュアウト期間を設け、各群の試験開始時の被験体の脳内セロトニン含有量が同程度となるよう調整した。
各試験群において、投与から3時間経過した後のCSF(cerebrospinal fluid:脳脊髄液)を採取し、5−HIAA(ヒドロキシインドール酢酸、セロトニンの主たる代謝物)を定量し、3頭の平均値を求めて5−HIAAの含有量とした。結果は、CQAを投与しない場合の脳内5−HIAA含有量を対照として、各試験群における5−HIAA含有量と、対照の5−HIAA含有量とを比較して、以下の基準により評価した。結果は表1に示した。なお、5−HIAAの含有量が対照と比較してより低いほうが、セロトニンの代謝がより抑制されていると推測され、より好ましい。
評価基準
A:5−HIAAの含有量が対照と比較して、30質量%未満だった。
B:5−HIAAの含有量が対照と比較して、30質量%以上、50質量%未満だった。
C:5−HIAAの含有量が対照と比較して、50質量%以上だった。
Figure 0006861139
表1に示した結果から、TCQA、DCQA、及び、サツマイモ葉抽出物を経口投与したカニクイザルのCSF中では、5−HIAA含有量の低下が確認された。5−HIAAはセロトニンの主たる代謝物であることから、TCQA、DCQA、及び、サツマイモ葉抽出物の経口投与により、セロトニンの代謝が抑制されたことが示された。
(TCQAの準備)
TCQAは、特開2016−074606号公報の0077〜0085段落に記載された方法に準じて合成した。
(サツマイモ葉抽出物の準備)
サツマイモ地上部(茎頂部を含む8節)を刈り取って得られた植物500kgを洗浄し、水切りをした後に、植物を10mm間隔で裁断した。続いて、裁断した植物を送帯式茶蒸し機にて、120℃で加熱して、加熱済み植物を得た。次いで、加熱済み植物を用いて、加熱済み植物の含水率が5.0質量%以下となるまで送風乾燥機(設定温度70℃)にて乾燥して、乾燥済み植物47kgを得た。
得られた乾燥済み植物を、パワーミル(昭和化学機械工作所製,ヘリンボーンスクリーン巾5mm使用)にて粉砕した。粉砕した乾燥植物の36kgに、80体積%エタノール水溶液432Lを加え、窒素雰囲気下、80℃にて1時間抽出して、抽出物を得た。抽出物はろ過し、得られたろ液に、ろ過後の残渣物を80体積%エタノール水溶液144Lで2回洗浄した液を加えた。得られた液に活性炭3.6kgを加え、窒素雰囲気下45℃にて攪拌後、吸引ろ過して活性炭を除くことにより、抽出液を得た。
上記抽出液を70kgまで減圧濃縮して、減圧濃縮後の抽出液と、カラムに充填した合成樹脂(三菱化学株式会社製、商品名「ダイヤイオンHP20」)50Lと、を接触させて、合成樹脂に抽出液を吸着させた。合成樹脂に吸着させた抽出液を純水150L、次いで20体積%エタノール水溶液150Lで洗浄した後、30体積%エタノール水溶液150L、40体積%エタノール水溶液150L、60体積%エタノール水溶液150Lの順で流出させた液をそれぞれ回収した。回収した3種の流出液は、それぞれ濃縮乾固した後、TCQA、DCQAの含量をHPLC測定により求め、DCQA/TCQA質量比が、17/1となるように調整し、混合した。以上のようにしてTCQA、DCQAをそれぞれ1.9質量%、32.3質量%含有するサツマイモ葉抽出物509gを得た。
[試験例2]
サツマイモ葉由来のトリカフェオイルキナ酸(TCQA)、ジカフェオイルキナ酸(DCQA)による、うつ状態の改善効果を、ヒト介入試験で確認した。なお、試験はプラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較法で実施した。
試験例1と同様の抽出方法により、サツマイモ葉からTCQA、及び、DCQAを含有するエキス末を得た。このエキス末をソフトカプセルに封入したものと、上記ソフトカプセルと外観が同等のプラセボを準備し、被験者(各群10名)に対し、それぞれ6週間経口投与した(それぞれCQA投与群、プラセボ群とした)。なお、CQA投与群では、TCQA、及び、DCQAの投与量は、それぞれ14.4mg/day、245mg/day(なお、プラセボ群はいずれも0mg/dayである。)とした。
投与期間終了後、GDS−S−J(Geriatric Depression Scale−Short Version−Japanese:高齢者用うつ尺度短縮版−日本語版)を用いて、各群の被験者のうつ状態を評価した。その結果、CQA投与群は、プラセボ群に対し、GDS−S−Jのスコアが有意に改善した。

Claims (5)

  1. トリカフェオイルキナ酸を有効成分として含有する、セロトニン代謝抑制剤。
  2. 前記トリカフェオイルキナ酸が植物に由来する、請求項1に記載のセロトニン代謝抑制剤。
  3. 前記植物が、キク科植物、及び、ヒルガオ科植物からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項2に記載のセロトニン代謝抑制剤。
  4. トリカフェオイルキナ酸を有効成分として含有する、セロトニン代謝抑制用の飲食品組成物。
  5. 有効成分として、トリカフェオイルキナ酸を含有する、セロトニン代謝を抑制することにより改善する疾患又は状態を治療又は予防するための医薬品又は飲食品組成物。
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