JP6859785B2 - プラスチックボトル - Google Patents
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Description
ポリエチレンテレフタレート樹脂を主原料とするプラスチックボトルであって、口部、肩部、胴部及び底部を有し、容積が5L以上35L以下であり、口部内径(D1)と胴部内径(D2)との比(D1/D2)が0.1以上0.3以下であり、内面にガスバリア性膜を有し、酸素透過率が0.10cc/m2/day以下である、プラスチックボトル
を開示する。
図1に示すように、プラスチックボトル10は、ポリエチレンテレフタレート樹脂を主原料とするプラスチックボトルであって、口部1、肩部2、胴部3及び底部4を有し、容積が5L以上35L以下であり、口部内径(D1)と胴部内径(D2)との比(D1/D2)が0.1以上0.3以下であり、内面にガスバリア性膜5を有し、酸素透過率が0.10cc/m2/day以下である。
プラスチックボトル10は、ガスバリア性膜5を除いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を主原料とする。「主原料」とは、ガスバリア性膜5を除くプラスチックボトルを構成する原料の90質量%以上がPET樹脂であることを意味する。好ましくは、当該原料の95質量%以上、より好ましくは98質量%以上をPET樹脂とする。エチレンテレフタレート単位を有する他のポリエステル系共重合体も使用することができ、耐熱性を向上させるために、ナイロン系樹脂や、ポリエチレンナフタレート樹脂等を混合しても良い。一方、言うまでもないが、プラスチックボトル10は、原料として金属化合物のスカベンジャーを含まない。スカベンジャーを含む場合、リサイクルが困難となり、上記課題を解決することができない。
プラスチックボトル10は、図1に示すように、口部1、肩部2、胴部3及び底部4を有する。これら口部1、肩部2、胴部3及び底部4の形状は、特に限定されるものではない。特に図1に示すように、口部1、肩部2及び胴部3の水平断面形状が円形状であるものが好ましい。後述するガスバリア性膜5をボトル内面により均一に設けることができるためである。
プラスチックボトル10は、内面にガスバリア性膜5が設けられる。ガスバリア性膜5は、後述する酸素透過率を達成可能なものであれば、特に限定されるものでない。例えば、ダイアモンドライクカーボン(Diamond like Carbon; DLC)膜やSi含有膜やSi含有DLC膜やアルミナ膜等が挙げられる。中でもDLC膜が好ましい。
プラスチックボトル10は、酸素透過率が0.10cc/m2/day以下である必要がある。好ましくは、0.09cc/m2/day以下である。また、プラスチックボトル10は、酸素透過率が0.06cc/pkg/day以下であることが好ましい。より好ましくは0.05cc/pkg/day以下である。このような酸素透過率であれば、例えば、炭酸を含む飲料が充填されるサーバー用容器として用いることができる。
プラスチックボトル10の用途は特に限定されるものではないが、内部に液体が充填されることが好ましい。液体の種類は特に限定されないが、例えばジュース、ビール等の炭酸飲料を含む各種飲料、食用油、工業用油等の各種油、醤油等の調味料などが挙げられ、炭酸ガスや風味の抜け防止や大気中の酸素透過に依る酸化防止に有効である。特に、上述の通り、本開示のプラスチックボトル10は、ガスバリア性に優れることから、炭酸を含む飲料のサーバー用容器として用いることもできる。
プラスチックボトル10の製造方法は特に限定されない。例えば、以下の方法によって製造することが好ましい。すなわち、未成膜プラスチックボトルの内面に化学蒸着法によってガスバリア性膜5を成膜する工程を備える、プラスチックボトルの製造方法である。ここで、ガスバリア性膜5としてDLC膜を採用する場合、化学蒸着法によるDLC膜5の成膜において、プラスチックボトルのガスバリア性の点から2000W以上6000W以下の高周波電力を採用することが好ましく、更にボトル口部のDLC膜による着色の抑制の点から3000W以上5000W以下がより好ましい。
<膜厚(nm)>
口部膜厚は、口部天面から下方へ10mmの位置の膜厚とした。
胴部膜厚は、容器全高の半分の高さ位置の膜厚とした。
膜厚測定は、容器内面に黒色マジックインキで線を書いてマスキングを行ってDLC成膜した後に、エタノールでマスキングを除去し、その箇所を小坂研究所株式会社製高精度微細形状測定器ET4000A機を用いて測定した。
エリプソメーターJ.A.Woollam製M−2000X機を用いて、入射角45〜75度、測定波長380〜780nmの条件で偏光状態を表す振幅反射率Psi(Ψ)と位相差Delta(Δ)の2つの値を測定し、得られたスペクトルをフレネルの反射係数やスネルの法則などの光理論に基づいた光学モデルで解析し、屈折率を得た。
屈折率は、膜の密度に関係があり、一般的に、密度が大きければ屈折率は大きくなる。密度が大きければ、膜も緻密になり、バリア性も向上するものと考えられる。
容器全高の半分の高さ位置の容器の一部を切り出し、ブルカー製白色干渉顕微鏡Contour GTX機を用い、測定範囲720μm角、接眼レンズ倍率1.0倍、対物レンズ倍率10倍の条件で測定し、3次元表面粗さを解析した。
膜表面形状が粗過ぎると膜の状態が悪く、3次元表面粗さSaが10nm以下程度であると、概して良好なガスバリア性を得易い傾向がある。
容器全高の半分の高さ位置の容器胴部内面に、シリコンウェハー20mm角を貼り付けてDLC成膜を行い、測定に供した。
株式会社エリオ二クス製ナノインデンテーション試験機ENT−2100、三角錐(バーコビッチ型)圧子を用い、3回測定した平均値を算出した。測定においては、基材(シリコンウェハー)の影響が現れないように、圧子押し込み深さはDLC膜表面から膜厚の5分の1から10分の1相当の深さとし、DLC膜の硬度を測定解析した。
容器全高の半分の高さ位置の容器胴部内面に、シリコンウェハー20mm角を貼り付けてDLC成膜を行い、分析に供した。
測定は、Thermo Fisher Scientific製Nicolet Almega XR機を用い、 励起波長532nm、分解能約10cm−1、照射径1μφm(対物レンズ100倍、ピーンホール径25μm)、励起出力1%(試料位置において0.1mW以下)、露光時間30秒、積算回数6回の条件で行い、以下のスペクトル解析を行った。
DLC膜に由来するスペクトルは、およそ1800cm−1から1000cm−1の範囲のピークに現れ(例えば、図2参照。)、また、DLC膜中に含まれるDLCの原料由来の水素元素量に比例して蛍光強度が高くなり、ラマンスペクトルのベースライン強度が高くなる。
上記ピークの約1500cm−1のピークトップ波数位置におけるピーク強度I(t)、その位置のベースライン強度I(N)、I(t)からベースラインの強度I(N)を差し引いたピーク強度I(S)から、I(S)/I(N)を算出した。
I(S)/I(N)は、炭素−炭素結合量と炭素−水素結合量の相対的な比率が表れ、この値が高いほどDLC膜が硬質となり、概してガスバリア性が良好な傾向が得られる。
およそ1800cm−1から1000cm−1の範囲のピークについて、フォークト関数を用いて、DLCの六員環ネットワークの終端に帰属すると考えられるピークトップ約1500cm−1のピーク(D−band)と、sp2結合のグラファイト構造に帰属されるピークトップ約1330cm−1のピーク(G−band)と、帰属不明のピークトップ約1200cm−1のピークとの3つにピーク分離解析を行い、D−bandとG−bandの各ピークトップ強度I(D)、I(G)との比からI(D)/I(G)を算出した。
I(D)/I(G)値が高いほど、概してガスバリア性が良好な傾向が得られる。
MOCON社製OX−TRAN2/61機を用い、ボトル開口に上記装置用のアダプターヘッドを装着して、測定23℃50RH%条件下でのボトル当たりの酸素透過率(cc/pkg/24h・air)を測定した。また、ボトル内表面積値を用い、単位面積当たりの酸素透過率(cc/m2/24・air)を算出した。
ボトルを正立させて目視観察し、次の基準で評価した。
◎ 極薄い黄褐色
○ 薄い黄褐色
△ やや濃い黄褐色
× 濃い黄褐色
2.1.ブロー成形
<実施例1〜5、比較例1、2(容積20L)>
ガスバリア性膜を成膜するための未成膜プラスチックボトルとして、ポリエチレンテレフタレート樹脂製の有底円筒状のパリソンとボトル形状の金型とを用い、2ステップブロー成形法(コールドパリソン法)によって得られたボトルを用意した。ボトルの容積は20L、胴部内径(D2)は235mm、口部内径(D1)と胴部内径(D2)との比(D1/D2)は0.2とした。
実施例1とパリソン形状、金型形状を変えた他は同様の方法で、ガスバリア性膜を成膜するためのプラスチックボトルを得た。ボトルの容積は15L、胴部内径(D2)は235mm、口部内径(D1)と胴部内径(D2)との比(D1/D2)は0.2とした。
実施例1とパリソン形状、金型形状を変えた他は同様の方法で、ガスバリア性膜を成膜するためのプラスチックボトルを得た。ボトルの容積は1L、胴部内径(D2)は106mm、口部内径(D1)と胴部内径(D2)との比(D1/D2)は0.2とした。
実施例1とパリソン形状、金型形状を変えた他は同様の方法で、ガスバリア性膜を成膜するためのプラスチックボトルを得た。ボトルの容積は0.5L、胴部内径(D2)は70.5mm、口部内径(D1)と胴部内径(D2)との比(D1/D2)は0.3とした。
図3に概略的に示すように、ボトルの大きさに合わせた外部電極と、容器口部上方のチャンバー壁に排気口を有するCVD装置に、ブロー成形した未成膜ボトルを収容し、細孔を先端部に設けたガス供給管を兼ねたφ10mmの内部電極をボトル内部のボトル全高1/2(50%)の位置に配設して真空排気を行い、容器内部の到達圧力が15Paとなった後に、高純度アセチレンガスを所定の流量で導入し、所定の高周波電源、出力(電力)、時間でプラズマ化学蒸着によって、ボトル内面にDLC膜を成膜した。成膜条件及び成膜されたDLC膜の性状について、下記表1に示す。
一方で、高周波出力を1000Wと小さくした場合、酸素透過率が0.13cc/m2/dayと大きくなった(比較例1)。胴部のDLC膜の性状を確認したところ、DLC膜が実施例1〜5と比べて軟質であり、硬度測定において下地(Siウエハ)の影響が現れるほどであった。また、I(D)/I(G)やI(S)/I(N)(有機成分に対する無機成分の比)が実施例1〜5と比べて小さく、また、実施例1〜5に比べて膜が脆かった。
さらに、ガスバリア性膜を有さない場合、当然ながら、酸素透過率を十分小さなものとすることができなかった(比較例2、3)。
尚、実施例1〜5と参考例1、2とを比べた場合、実施例1〜5における酸素透過率が参考例1、2に匹敵するものであることがわかる。すなわち、上記した成膜条件にてボトルの内面にDLC膜を設けることで、ボトル容積を大容積とした場合においても、ガスバリア性に優れるプラスチックボトルが製造可能であることが分かった。
2 肩部
3 胴部
4 底部
5 ガスバリア性膜
10 プラスチックボトル
Claims (5)
- ポリエチレンテレフタレート樹脂を主原料とするプラスチックボトルであって、
口部、肩部、胴部及び底部を有し、
容積が5L以上35L以下であり、
口部内径(D1)と胴部内径(D2)との比(D1/D2)が0.1以上0.3以下であり、
内面にDLC膜を有し、
前記胴部の内面における前記DLC膜のラマン分光分析におけるI(D)/I(G)が0.14以上であり、かつ、I(S)/I(N)が0.7以上であり、
酸素透過率が0.10cc/m2/day以下である、
プラスチックボトル。 - 前記胴部の内面における前記DLC膜の厚みが15nm以上50nm以下であり、
前記口部の内面における前記DLC膜の厚みが100nm以上1000nm以下である、
請求項1に記載のプラスチックボトル。 - 酸素透過率が0.06cc/pkg/day以下である、
請求項1又は2に記載のプラスチックボトル。 - ブロー成形ボトルの内面に前記ガスバリア性膜を有するものである、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラスチックボトル。 - 炭酸を含む飲料が充填される、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のプラスチックボトル。
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