JP2017077918A - プラスチック容器及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】細長い部分にもガスバリア性膜を均一に成膜してなるプラスチック容器を提供する。【解決手段】細長い所定の部分(A)を有するプラスチック容器において、部分(A)を長さ方向に3等分割して、開口側から底部側に向かって部分(A1)、部分(A2)、部分(A3)とし、部分(A1)の長さ方向中央部におけるガスバリア性膜の厚みをT1、部分(A2)の長さ方向中央部におけるガスバリア性膜の厚みをT2、部分(A3)の底部側末端から3mm上のガスバリア性膜の厚みをT3とした場合において、T1及びT2が10nm以上100nm以下であり、T1及びT2の平均厚みTaveに対するT3の比(T3/Tave)が0.4超である、プラスチック容器とする。【選択図】図3

Description

本発明は、医薬品、医薬用品、食品、工業部品等の内容物の保管、輸送に用いるプラスチック容器に関する。
内容物の保管、輸送に用いる容器としてガラス容器が広く利用されている。しかしながら、ガラス容器は割れやすく、重量も大きい。割れ防止や軽量化の観点から、ガスバリア性と透明性とを兼備したプラスチック容器のニーズが高まっている。プラスチック容器の内面へのガスバリア性膜の成膜は、一般にプラズマ化学蒸着法(CVD法)によって行われている(特許文献1、2)。しかしながら、ドリンク剤や調味料などに用いられる内径40mm以下の小型容器に対してプラズマ化学蒸着法を実施することは技術的難易度が高い。特に、内径20mm以下且つ長さ30mm以上の細長い形状を有する容器は、CVD法によってガスバリア性膜を成膜する場合に局所的にプラズマ焼けが発生する場合がある。プラズマ焼けによって、プラスチック容器が熱変形したり、異常放電のスパーク痕が付いたり、局所的な膜厚となってガスバリア性と透明性とが両立できなくなる場合がある。
特開2013−256708号公報 特許第3746761号
そこで、本発明は、熱変形や異常放電のスパーク痕がなく、細長い部分にもガスバリア性膜が全体的に成膜されてなるプラスチック容器及びその製造方法を提供することを課題とする。
第1の本発明は、
略同軸上に延在する中空の胴部と、該胴部の一端に存在する開口と、該胴部の他端を塞ぐ底部とを有し、内面にガスバリア性膜を有するプラスチック容器であって、
前記胴部は、内径5mm以上20mm以下且つ長さ30mm以上150mm以下の部分(A)を一箇所に有し、
前記胴部は、その全体において、内径5mm以上であり、
前記部分(A)の一端に前記開口が存在しているか、又は、前記部分(A)の一端と前記開口との間に内径が20mm超且つ長さ100mm以下の開口側太径部を有するとともに該開口側太径部の一端に前記開口が存在しており、
前記部分(A)の他端と前記底部とが直接一体とされているか、又は、前記部分(A)の他端と前記底部との間に内径が20mm超且つ長さ200mm以下の底部側太径部を有するとともに該底部側太径部の他端と前記底部とが直接一体とされており、
前記部分(A)を長さ方向に3等分割して、前記開口側から前記底部側に向かって部分(A)、部分(A)、部分(A)とし、前記部分(A)の長さ方向中央部における前記ガスバリア性膜の厚みをT、前記部分(A)の長さ方向中央部における前記ガスバリア性膜の厚みをT、前記部分(A)の底部側末端から3mm上の前記ガスバリア性膜の厚みをTとした場合において、
及びTが10nm以上100nm以下であり、
及びTの平均厚みTaveに対するTの比(T/Tave)が0.4超である、
プラスチック容器
を提供して前記課題を解決するものである。
「略同軸上に延在する中空の胴部」とは、中空の胴部の中心軸が略直線であることを意味する。すなわち、胴部は細長の中空部である。ただし、胴部は一部が縮径・拡径していてもよい。尚、胴部は断面形状が円形状であることが好ましいが、楕円や多角形状等の円形状以外の形状とすることも可能である。この場合、胴部の「内径」とは、当該楕円や多角形等に内包される円の最大直径をいう。
「胴部の一端に存在する開口」とは、胴部の一端において中空形状が閉じられることなく開いた状態にされていることを意味する。
「胴部の他端を塞ぐ底部」とは、胴部の他端を閉じて容器の底を形成する部分である。底部の形状は、特に限定されないが、例えば、胴部の断面形状が円形状である場合は、半球状(底面が曲線状)、円柱状(底面が平ら状)、円錐状(底面が尖り状)等とすることができる。胴部と底部との境界が明瞭である場合(例えば、胴部が直線状で底部が曲線状である場合や、胴部が直線状で底部が胴部から折れ曲がるようにして伸びる直線状の場合)は、当該境界を基準として胴部と底部とを判断する。ただし、底部の長さ(容器の内面の底から胴部との境界部に至るまでの高さ)は、20mm以内とすることが好ましい。一方、図1に示すように、胴部と底部との境界がない場合(開口から底にかけて内径が徐々に減少し、底が尖っている場合等)は、容器の内面の底(内面のうち最も下となる位置)から上方5mmまでの部分を底部とし、5mmよりも上の部分を胴部とする。
「内面」とは、プラスチック容器の内壁をいう。
「部分(A)を一箇所に有し」とは、胴部の当該一箇所以外に部分(A)を有さないことを意味する。ここで、部分(A)は、上記の内径の要件を満たす範囲で、途中で縮径や拡径がされていてもよい。
「部分(A)の他端と底部とが直接一体とされ」とは、部分(A)と底部との間にこれら以外の部分が存在しないことを意味する。
「底部側太径部の他端と底部とが直接一体とされ」とは、底部側太径部と底部との間にこれら以外の部分が存在しないことを意味する。
「部分(A)の長さ方向中央部」とは、部分(A)を長さ方向に2等分割した場合に、その分割線上を意味する。尚、当該分割線上において、ガスバリア性膜の厚みが一定でない場合、当該分割線上のガスバリア性膜の厚みの平均値をTとする。
「部分(A)の長さ方向中央部」とは、部分(A)を長さ方向に2等分割した場合に、その分割線上を意味する。尚、当該分割線上において、ガスバリア性膜の厚みが一定でない場合、当該分割線上のガスバリア性膜の厚みの平均値をTとする。
「厚みT」についても、部分(A)の底部側末端から3mm上のガスバリア性膜の厚みが一定でない場合、その平均値をTとする。
第1の本発明において、ガスバリア性膜が、Si含有膜、ダイアモンドライクカーボン膜、又は、アルミナ膜であることが好ましい。
第1の本発明において、開口にキャップを装着することができる。或いは、開口の天面部にシールを貼り付けることができる。
第2の本発明は、
外部電極及び内部電極を有する真空チャンバの前記外部電極の内側に未成膜プラスチック容器を収容し、且つ、前記内部電極の先端と未成膜プラスチック容器の開口との距離を0mm以上30mm以下とする、設置工程と
前記設置工程の後で、プラズマ化学蒸着によって前記未成膜プラスチック容器の内面にガスバリア性膜を成膜する、成膜工程と、
を備え、
前記未成膜プラスチック容器は、略同軸上に延在する中空の胴部と、該胴部の一端に存在する開口と、該胴部の他端を塞ぐ底部とを有し、
前記胴部は、内径5mm以上20mm以下且つ長さ30mm以上150mm以下の部分(A)を一箇所に有し、
前記胴部は、その全体において、内径5mm以上であり、
前記部分(A)の一端に前記開口が存在しているか、又は、前記部分(A)の一端と前記開口との間に内径が20mm超且つ長さ100mm以下の開口側太径部を有するとともに該開口側太径部の一端に前記開口が存在しており、
前記部分(A)の他端と前記底部とが直接一体とされているか、又は、前記部分(A)の他端と前記底部との間に内径が20mm超且つ長さ200mm以下の底部側太径部を有するとともに該底部側太径部の他端と前記底部とが直接一体とされており、
前記設置工程において、前記外部電極と前記未成膜プラスチック容器との間に、前記未成膜プラスチック容器の外形に沿って、開口側に誘電体を、底部側に導電体を、連続的に配置し、
前記部分(A)の周囲において、該部分(A)の開口側端部から前記導電体に至るまでの前記誘電体の長さLを、前記部分(A)の長さの50%以上90%以下とし、該部分(A)の底部側端部から前記誘電体に至るまでの前記導電体の長さLを、前記部分(A)の長さの10%以上50%以下とする、
プラスチック容器の製造方法
を提供して前記課題を解決するものである。
「未成膜プラスチック容器」とは、ガスバリア性膜を成膜していないプラスチック容器を意味する。
本発明によれば、熱変形や異常放電のスパーク痕がなく、細長い部分にもガスバリア性膜が全体的に成膜されてなるプラスチック容器及びその製造方法を提供することができる。このようなプラスチック容器によれば、細長い部分に内容物がフィットして、振動を受けても内容物の破損を防ぐことができる。また、全体的なガスバリア性膜によって、内容物の酸化、腐食、腐敗、変質を抑えることができる。特に、内容物の形状にフィットさせることが可能であるため、容器中の空間容積が小さく、ガス(酸素、水蒸気)の透過量が小さく、内容物の酸化、腐食、腐敗、変質をより一層抑えることができる。
胴部と底部との境界が不明瞭なプラスチック容器における胴部及び底部について説明するための断面概略図である。 プラスチック容器の形状について説明するための断面概略図である。 部分(A)におけるガスバリア性膜の厚みの測定箇所について説明するための断面概略図である。 プラズマ化学蒸着において、部分(A)の周囲に配される誘電体及び導電体について説明するための断面概略図である。 実施例1における誘電体11及び導電体12の配置を概略的に示す図である。
1.プラスチック容器
本発明は、略同軸上に延在する中空の胴部と、該胴部の一端に存在する開口と、該胴部の他端を塞ぐ底部とを有し、内面にガスバリア性膜を有するプラスチック容器であって、
前記胴部は、内径5mm以上20mm以下且つ長さ30mm以上150mm以下の部分(A)を一箇所に有し、
前記胴部は、その全体において、内径5mm以上であり、
前記部分(A)の一端に前記開口が存在しているか、又は、前記部分(A)の一端と前記開口との間に内径が20mm超且つ長さ100mm以下の開口側太径部を有するとともに該開口側太径部の一端に前記開口が存在しており、
前記部分(A)の他端と前記底部とが直接一体とされているか、又は、前記部分(A)の他端と前記底部との間に内径が20mm超且つ長さ200mm以下の底部側太径部を有するとともに該底部側太径部の他端と前記底部とが直接一体とされており、
前記部分(A)を長さ方向に3等分割して、前記開口側から前記底部側に向かって部分(A)、部分(A)、部分(A)とし、前記部分(A)の長さ方向中央部における前記ガスバリア性膜の厚みをT、前記部分(A)の長さ方向中央部における前記ガスバリア性膜の厚みをT、前記部分(A)の底部側末端から3mm上の前記ガスバリア性膜の厚みをTとした場合において、
及びTが10nm以上100nm以下であり、
及びTの平均厚みTaveに対するTの比(T/Tave)が0.4超である
ことを特徴とする。
1.1.胴部及び底部の材質
本発明において、プラスチック容器を構成する胴部や底部の材質は、従来のプラスチック容器において用いられてきたプラスチックをいずれも採用できる。例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイミド、アクリル樹脂等である。透明性、耐熱性、強度の点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルフォン、又は、ポリカーボネートからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
1.2.ガスバリア性膜
本発明において、プラスチック容器の内面に成膜されるガスバリア性膜は、酸素又は水蒸気等の透過を抑制可能であれば、その組成は特に限定されるものではない。特に、SiO膜、SiON膜、SiOC膜、SiONC膜、Si含有ダイアモンドカーボン膜等のSi含有膜、ダイアモンドライクカーボン膜(DLC膜)、又は、アルミナ膜であることが好ましい。中でも、化学的に不活性であること、柔軟性によりプラスチック容器の伸縮に追従性があることから、DLC膜が好ましい。尚、ガスバリア性膜は、異なる組成の膜を複数重ねたものであってもよい。
DLC膜としては、アモルファスカーボン膜、水素化アモルファスカーボン膜、テトラヘドラルアモルファスカーボン膜、水素化テトラヘドラルアモルファスカーボン膜などを例示することができる。DLC膜中には、窒素や酸素が含まれていてもよい。その場合、炭素原子数100に対し、窒素原子数、酸素原子数が好ましくは各20以下、より好ましくは各15以下である。各原子数はESCAで分析可能である。
ガスバリア性膜の厚みは、後述の部分(A)において所定の要件を満たしていればよい。部分(A)以外の部分におけるガスバリア性膜の厚みは、下限が好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上であり、上限が好ましくは120nm以下、より好ましくは100nm以下である。
1.3.プラスチック容器の形状
上述した通り、プラスチック容器は、略同軸上に延在する中空の胴部と、該胴部の一端に存在する開口と、該胴部の他端を塞ぐ底部とを有している。
1.3.1.胴部
胴部は、略同軸上に延在する中空の部分である。胴部は、その全体において、内径が5mm以上である。すなわち、後述する部分(A)よりも内径の小さな部分を有さない。
胴部の断面形状は特に限定されるものではないが、円形状であることが好ましい。ガスバリア性膜を均質均等に成膜することが一層容易となるためである。ただし、楕円や多角形状等の円形状以外の形状とすることも可能である。この場合の「内径」とは、当該多角形等に内包可能な円の最大直径をいう。
(部分(A))
本発明においては、胴部が内径5mm以上20mm以下且つ長さ30mm以上150mm以下の部分(A)を一箇所に有する。また、胴部は部分(A)以外に開口側太径部や底部側太径部を有していてもよい。
本発明の効果がより顕著となる点で、部分(A)の内径がより小さいことが好ましい。すなわち、部分(A)の内径の上限は、好ましくは18mm以下、より好ましくは15mm以下である。また、本発明の効果がより顕著となる点で、部分(A)の長さが長いことが好ましい。すなわち、部分(A)の長さの下限は、好ましくは40mm以上、より好ましくは50mm以上である。
部分(A)の内径の下限については、好ましくは7mm以上、より好ましくは10mm以上である。また、部分(A)の長さの上限は、好ましくは120mm以下、より好ましくは100mm以下である。
(開口側太径部、底部側太径部)
本発明において、胴部は部分(A)以外に開口側太径部や底部側太径部を有していてもよい。開口側太径部とは内径が20mm超且つ長さ100mm以下の部分をいう。また、底部側太径部とは内径が20mm超且つ長さ200mm以下の部分をいう。言うまでもないが、開口側太径部や底部側太径部のように内径が大きい(20mm超)場合、ガスバリア性膜を容易に均質均等に成膜可能である。それゆえ、これら太径部の内径の上限は特に限定されるものではない。
1.3.2.開口
本発明に係るプラスチック容器には、胴部の一端に開口が存在する。胴部の一端において中空形状が閉じられることなく開いた状態にされている。当該開口から容器内に医薬品等の内容物を導入可能である。
1.3.3.底部
本発明に係るプラスチック容器には、胴部の他端に底部が設けられており、胴部の他端が底部によって塞がれている。すなわち、底部は、胴部の他端を閉じて容器の底を形成する。底部の形状は、例えば、胴部の断面形状が円形状である場合は、半球状、円柱状、円錐状等とすることができる。胴部と底部との境界が明瞭である場合(例えば、胴部が直線状で底部が曲線状である場合や、胴部が直線状で底部が胴部から折れ曲がるようにして伸びる直線状の場合)は、当該境界を基準として胴部と底部とを判断する。ただし、底部の長さ(容器の内面の底から胴部との境界部に至るまでの高さ)は、20mm以内とすることが好ましい。一方、図1に示すように、胴部と底部との境界がない場合(開口から底にかけて内径が徐々に減少し、底が尖っている場合等)は、容器の内面の底(内面のうち最も下となる位置)から上方5mmまでの部分を底部とし、5mmよりも上の部分を胴部とする。
1.3.4.胴部、開口、底部の位置関係
図2を参照しつつ胴部、開口、底部の位置関係について説明する。以下、容器の開口側を「一端」側、容器の底部側を「他端」側として説明する。尚、図2では、部分(A)の内径が上限値である20mmである例について示している。図2では、部分(A)の内面形状が長さ方向に一直線状である形態について説明しているが、本発明はこの形態に限定されない。部分(A)の内面形状は長さ方向に曲線状であってもよいし、複数の直線によって構成されていてもよい。また、図2では、後述の開口側太径部や底部側太径部の内面形状が、2つの直線によって構成された形態について説明しているが、本発明はこの形態に限定されない。開口側太径部や底部側太径部の内面形状は長さ方向に一直線状であってもよいし、曲線状であってもよいし、3つ以上の直線によって構成されていてもよい。
本発明においては、部分(A)を含む胴部と開口と底部とが、以下に説明する4つの構成のうちのいずれかを採る。当該構成を採ることで、胴部は、「内径5mm以上20mm以下且つ長さ30mm未満の部分」や「内径5mm以上20mm以下且つ長さ150mm超の部分」を有さないことが自明である。
本発明に係るプラスチック容器の形状は、図2(A)に示すような形状とすることができる。すなわち、胴部2が部分(A)からなる。具体的には、部分(A)の一端に開口1が存在しており、且つ、部分(A)の他端と底部3とが直接一体とされている。
或いは、本発明に係るプラスチック容器の形状は、図2(B)に示すような形状とすることができる。すなわち、胴部2の上部を太径、下部を細径とすることができる。具体的には、部分(A)の一端と開口1との間に内径が20mm超且つ長さ100mm以下の開口側太径部を有するとともに当該開口側太径部の一端に開口1が存在しており、且つ、部分(A)の他端と底部3とが直接一体とされている。
或いは、本発明に係るプラスチック容器の形状は、図2(C)に示すような形状とすることができる。すなわち、胴部2の上部を細径、下部を太径とすることができる。具体的には、部分(A)の一端に開口1が存在しており、且つ、部分(A)の他端と底部との間に内径が20mm超且つ長さ200mm以下の底部側太径部を有するとともに当該底部側太径部の他端と底部とが直接一体とされている。
或いは、本発明に係るプラスチック容器の形状は、図2(D)に示すような形状とすることができる。すなわち、胴部2の上部を太径、中部を細径、下部を太径とすることができる。具体的には、部分(A)の一端と開口1との間に内径が20mm超且つ長さ100mm以下の開口側太径部を有するとともに当該開口側太径部の一端に開口が存在しており、且つ、部分(A)の他端と底部との間に内径が20mm超且つ長さ200mm以下の底部側太径部を有するとともに当該底部側太径部の他端と底部とが直接一体とされている。
1.3.5.容器厚み(肉厚)
本発明に係るプラスチック容器の胴部や底部の厚み(肉厚)は、特に限定されるものではないが、下限が好ましくは0.2mm以上、より好ましくは0.3mm以上であり、上限が好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1.0mm以下である。このような厚みとすることで、十分な強度を有するとともに、低コストであるプラスチック容器とすることができる。また、後述するプラズマ化学蒸着をより適切に行うことができる。
1.3.6.容積
本発明に係るプラスチック容器は、その容積の下限が好ましくは5cm以上、より好ましくは10cm以上、さらに好ましくは15cm以上であり、上限が好ましくは500cm以下、より好ましくは100cm以下である。本発明では、このような小型容器に対して、内面にガスバリア性膜が均質均等に成膜されている点に特徴を有する。
1.4.部分(A)におけるガスバリア性膜の厚み条件
図3に示すように、本発明に係るプラスチック容器は、部分(A)を長さ方向に3等分割して、開口側から底部側に向かって部分(A)、部分(A)、部分(A)とし、部分(A)の長さ方向中央部におけるガスバリア性膜の厚みをT、部分(A)の長さ方向中央部におけるガスバリア性膜の厚みをT、部分(A)の底部側末端から3mm上のガスバリア性膜の厚みをTとした場合において、以下の厚み条件を満たすことを特徴とする。
まず、本発明に係るプラスチック容器の部分(A)において、T及びTが10nm以上100nm以下である。これにより、部分(A)において、十分なガスバリア性を確保することができる。T及びTは、下限が好ましくは25nm以上であり、上限が好ましくは75nm以下である。
また、本発明に係るプラスチック容器の部分(A)において、T及びTの平均厚みTaveに対するTの比(T/Tave)が0.4超である。すなわち、部分(A)において、ガスバリア性膜が均質均等に成膜されたものといえる。T/Taveは下限が好ましくは0.6以上、より好ましくは0.62以上、さらに好ましくは0.65超であり、上限が好ましくは0.9以下、より好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.78以下である。
1.5.ガスバリア性
本発明に係るプラスチック容器は、23℃50RH%における酸素透過率(容器当たり)が、0.0030cc/pkg/24h・air未満が好ましく、0.0020cc/pkg/24h・air未満がより好ましく、0.0010cc/pkg/24h・air未満がさらに好ましい。
また、単位面積当たりの23℃50RH%における酸素透過率は、0.96cc/m/24h・air未満が好ましく、0.64cc/m/24h・air未満がより好ましく、0.48cc/m/24h・air未満がさらに好ましい。
一方で、本発明に係るプラスチック容器は、40℃90RH%における水蒸気透過率(容器当たり)が、0.0050g/pkg/24h未満が好ましく、0.0035g/pkg/24h未満がより好ましい。
また、単位面積当たりの40℃90RH%における水蒸気透過率は、1.6g/m/24h未満が好ましく、1.1g/m/24h未満がより好ましい。
1.6.容器の密封
本発明に係るプラスチック容器は、開口にキャップを装着することで密封することができる。或いは、開口の天面部にシールを貼り付けることによっても密封することができる。キャップはネジ式、打栓式、嵌合式等、種々の形態を採り得る。シールは、アルミニウム箔やガスバリア性膜を有するフィルムを、他のフィルムと積層させたガスバリア性フィルムを用い、これを熱融着、或いは、接着剤や粘着剤を用いて貼付すればよい。本発明に係るプラスチック容器は、内容物の性状に合わせて、真空化、不活性ガス封入等を行うことで、容器全体のガスバリア性を高めることができる。これにより、内容物の変質を一層抑制することができる。
以上の通り、本発明に係るプラスチック容器は、細長い部分(A)にもガスバリア性膜を全体的に成膜してなるものである。このようなプラスチック容器によれば、細長い部分に内容物がフィットして、振動を受けても内容物の破損を防ぐことができる。また、全体的に成膜されたガスバリア性膜によって、内容物の酸化、腐食、腐敗、変質を抑えることができる。特に、内容物の形状にフィットさせることが可能であるため、容器中の空間容積が小さく、ガス(酸素、水蒸気)の透過量が小さく、内容物の酸化、腐食、腐敗、変質をより一層抑えることができる。
2.プラスチック容器の製造方法
本発明に係るプラスチック容器は、以下の製造方法により製造することができる。すなわち、本発明に係る製造方法は、
外部電極及び内部電極を有する真空チャンバの前記外部電極の内側に未成膜プラスチック容器を収容し、且つ、前記内部電極の先端と未成膜プラスチック容器の開口との距離を0mm以上30mm以下とする、設置工程と
前記設置工程の後で、プラズマ化学蒸着によって前記未成膜プラスチック容器の内面にガスバリア性膜を成膜する、成膜工程と、
を備え、
前記未成膜プラスチック容器は、略同軸上に延在する中空の胴部と、該胴部の一端に存在する開口と、該胴部の他端を塞ぐ底部とを有し、
前記胴部は、内径5mm以上20mm以下且つ長さ30mm以上150mm以下の部分(A)を一つだけ有し、
前記胴部は、その全体において、内径5mm以上であり、
前記部分(A)が前記開口を構成しているか、又は、前記部分(A)と前記開口との間に内径が20mm超且つ長さ100mm以下の開口側太径部を有するとともに該開口側太径部が前記開口を構成しており、
前記部分(A)と前記底部とが直接一体とされているか、又は、前記部分(A)と前記底部との間に内径が20mm超且つ長さ200mm以下の底部側太径部を有するとともに該底部側太径部と前記底部とが直接一体とされており、
前記設置工程において、前記外部電極と前記未成膜プラスチック容器との間に、前記未成膜プラスチック容器の外形に沿って、開口側に誘電体を、底部側に導電体を、連続的に配置し、
前記部分(A)の周囲において、該部分(A)の開口側端部から前記導電体に至るまでの前記誘電体の長さLを、前記部分(A)の長さの50%以上90%以下とし、該部分(A)の底部側端部から前記誘電体に至るまでの前記導電体の長さLを、前記部分(A)の長さの10%以上50%以下とする、
ことを特徴とする。
2.1.設置工程
2.1.1.未成膜プラスチック容器
未成膜プラスチック容器(ガスバリア性膜を有さないプラスチック容器)は、上述の胴部、開口及び底部の要件を満たすものである。すなわち、未成膜プラスチック容器は、略同軸上に延在する中空の胴部と、該胴部の一端に存在する開口と、該胴部の他端を塞ぐ底部とを有し、胴部は、内径5mm以上20mm以下且つ長さ30mm以上150mm以下の部分(A)を一つだけ有し、胴部は、その全体において、内径5mm以上であり、部分(A)が開口を構成しているか、又は、部分(A)と開口との間に内径が20mm超且つ長さ100mm以下の開口側太径部を有するとともに該開口側太径部が開口を構成しており、部分(A)と底部とが直接一体とされているか、又は、部分(A)と底部との間に内径が20mm超且つ長さ200mm以下の底部側太径部を有するとともに該底部側太径部と底部とが直接一体とされている。このような未成膜プラスチック容器は、例えば、公知の射出成形、押出成形等により試験管形状のプリフォームを成形し、次いで金型を用い、二軸延伸ブロー成形、ダイレクトブロー成形等で所定の形状に成形することにより、容易に得ることができる。
2.1.2.外部電極及び内部電極を有する真空チャンバ
外部電極及び内部電極を有する真空チャンバ自体は公知である。例えば、特開2013−256708号公報に記載されたような外部電極及び内部電極を有する真空チャンバを採用できる。真空チャンバには、通常、排気手段(排気ポンプ、バルブ等)、ガス供給手段(原料、マスフローコントローラー、バルブ等)、電力供給手段(電源、整合器、バルブ等)等が接続される。
本発明では、所定の形状の未成膜プラスチック容器を外部電極の内側に収容する。外部電極の内壁は、容器形状と対応する形状である。外部電極は、周方向又は垂直方向に分割されたものを、互いに気密的に組み合わせて用いてもよい。外部電極の材質は特に限定されず、公知の外部電極と同様とすればよい。外部電極は、プラズマ放電を発生させる交流電界とすることが可能な電源(高周波電源、低周波電源、交流電源、マイクロ波電源等)に整合器を介して接続される。
内部電極は、グランド電位に接続し、容器の開口の外部に配置される。内部電極の材質は、タングステン、ステンレス鋼、アルミニウム等、種々の材質を採用できる。また内部電極内を通してガスの導入を行うことも可能である。例えば、中空筒状の内部電極の先端部に単数又は複数の細孔を設け、ガスを導出可能とする。その場合、内部電極を容器の中に挿入して成膜を繰り返すと、内部電極に異物が付着し、放電不良が生じ易くなる。また、本発明が対象とする容器は、内径が小さいことから、内部電極と容器内壁との接触を避ける観点からも、内部電極を容器内部に挿入することはしない。本発明に係る設置工程では、内部電極は容器の中に挿入せず、容器の開口の上方に設置する。具体的には、開口と内部先端との距離は0mm以上30mm以下とする。
2.1.3.誘電体及び導電体
本発明に係る設置工程では、図4(A)に示すように、外部電極15と未成膜プラスチック容器20との間に、未成膜プラスチック容器20の外形に沿って、開口側に誘電体11を、底部側に導電体12を、連続的に配置する。
誘電体11の材質は、プラズマの集中を抑制でき、耐熱性、耐圧性、強度が高く、高周波損失が少ないものを選択する。例えば、ガラス、セラミック、プラスチック等である。特に、プラスチックは、割れない、軽量、易成形性の利点があり、耐熱性を有する組成とすることで誘電体として最適なものとなる。例えば、硬質塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂から選ばれる少なくとも一種が好ましい。尚、誘電性、絶縁性の点から、誘電体の厚み(L、Lと直交する方向の厚み)は1mm以上20mm以下が好ましい。より好ましくは5mm以上15mm以下である。
導電体12の材質は、プラズマを誘引可能な程度の導電性を有する材質であればよい。例えば、ステンレス鋼、アルミニウム等である。導電性及び軽量性の点で、アルミニウムが好ましい。
従来においては、容器の外周を外部電極のみで覆う形態(特許3746761号)、又は、外部電極と容器との間に誘電体のみを配置する形態(特開2013−256708号公報)にて、プラズマ化学蒸着を行っていた。しかしながら、本発明者は、このような形態では、内径5mm以上20mm以下且つ長さ30mm以上150mm以下の部分(A)を有する容器に対して、プラズマが当該部分(A)の奥底まで行き渡らずに局所的にプラズマ密度が高くなることを知見した。結果として、部分(A)の開口側や中央部にプラズマ焼けが発生し、局所的に厚膜となって外観不良を生じる問題があった。
そこで本発明では、外部電極15と容器20との間に、誘電体11と導電体12とを垂直方向に組み合わせる。尚、図4に示すように、周方向には同一の誘電体11又は導電体12を配置する。或いは、筒状の誘電体11及び導電体12を垂直方向に組み合わせるものとする。外部電極15と個々の誘電体11及び導電体12とは、互いに気密的に配置することが好ましい。これにより異常放電を抑制できる。一方、誘電体11と導電体12の内面は、容器20の形状に対応した形状とする。容器20と誘電体11及び導電体12との間には隙間があってもよい。
本発明では、部分(A)の底部側に導電体12を配することにより、プラズマを底部側に誘引させることができる。一方で、部分(A)の開口側に誘電体11を配することにより、開口側や中央部にプラズマが集中することを防ぐことができる。そのため、部分(A)の開口側や中央部におけるプラズマ焼けを抑制でき、部分(A)の内面全体において、ガスバリア性膜の厚みムラを抑制できる。
具体的には、本発明では、図4(B)に示すように、部分(A)の周囲において、部分(A)の開口側端部から導電体12に至るまでの誘電体11の長さLを、部分(A)の長さの50%以上90%以下とし、部分(A)の底部側端部から誘電体11に至るまでの導電体12の長さLを、部分(A)の長さの10%以上50%以下とする。
長さLは、下限が好ましくは部分(A)の長さの75%以上であり、上限が好ましくは88%以下である。
長さLは、下限が好ましくは部分(A)の長さの12%以上であり、上限が好ましくは25%以下である。
が短過ぎる場合、開口側や中央部におけるプラズマの集中を防止できない虞がある。一方、L2が短過ぎる場合、プラズマ誘引効果が不十分となる。L及びLを上記範囲とすることで、電源をシビアに整合(マッチング)させずとも、若干のマッチングポイントの調整だけで、部分(A)の内面全体にガスバリア性膜を成膜できる。
2.2.成膜工程
本発明においては、上述の設置工程にて、外部電極の内側、且つ、誘電体及び導電体の内側に未成膜プラスチック容器を収容し、且つ、内部電極を容器開口の外部の所定の位置に設置した後で、プラズマ化学蒸着によって容器内にガスバリア性膜を成膜することができる。プラズマ化学蒸着法とは、減圧下で発生させたプラズマによって原料ガスを解離、イオン化させて成膜種を生成させ、被着体に堆積、成膜させる方法である。
Si含有膜の原料ガスとしては、シラン、テトラエトキシシラン、トリメチルシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。反応ガスは酸素、窒素、アンモニア等である。
DLC膜の原料ガスは、アセチレン、エチレン、プロピレン等の不飽和炭化水素化合物;メタン、エタン、プロパン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。中でも、エチレン又はアセチレンガスを単独使用することが好ましい。
Si含有DLC膜の原料ガスは、Si含有炭化水素ガスや、DLC膜の原料ガスと有機ケイ素化合物との混合物でもよい。
アルミナ膜の原料ガスは、トリメチルアルミニウム等が挙げられる。反応ガスには酸素を用いる。
上記の原料ガスには少量の水素、有機化合物が混合されていてもよい。また、原料ガスをアルゴン、ヘリウム等の希ガスで希釈してもよい。
プラズマ化学蒸着法によりガスバリア性膜を成膜する場合、真空排気(減圧)とガス導入を行い、内部が所定の圧力(真空度)となった時点で原料ガスをプラズマ化させて成膜する。成膜時の内部圧力は、良好な膜質や物性と成膜所要時間との兼ね合いから、1Pa以上50Pa以下とすることが好ましい。原料ガスの導入は、内部電極を通しても、チャンバ内部に直接導入してもよい。特に、ガス導入管と内部電極を兼用することで、部品数を低減でき、成膜成分が部品に付着、落下し容器成膜へ異物混入することを防ぐことができる。
チャンバ内部を所定の真空度とし、原料ガスを供給し、且つ、外部電極とグランド電位の内部電極との間に電圧を印加して、外部電極に収容している容器の内部にプラズマを発生させることで、容器内面にガスバリア性膜を成膜することができる。例えば、電源として高周波電源を用いる場合、その周波数は汎用の13.56MHzとすることができる。出力は50〜1000W、好ましくは100〜500Wである。成膜時間は0.2〜4.0秒、好ましくは1.0〜3.0秒とすることができる。
以上の通り、本発明に係る製造方法によれば、外部電極と容器との間に誘電体と導電体とを所定の条件で組み合わせて配置することにより、電源をシビアに整合(マッチング)させずとも、若干のマッチングポイントの調整だけで、容器の部分(A)の内面全体にガスバリア性膜を成膜できる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。
1.実施例1〜3、比較例1〜4
1.1.ガスバリア性膜の成膜法及び成膜条件
図4に示すようなプラズマ化学蒸着装置により、部分(A)を有するプラスチック容器の内面にガスバリア性膜を成膜し、各種評価を行った。具体的には、空間容積350cmの成膜装置において、容器を設置した後で真空排気を行い、容器内部の到達圧力を15Paとしたうえで、原料ガスを導入し、3.0秒間成膜を行った。原料ガスに高純度アセチレンを使用し、ガス流量は100sccmとした。プラズマ発生用電源としては13.56MHzの高周波電源を用いて、設定出力を250Wとした。内部電極としてはガス導入管を兼ねたφ10mm、細孔φ1mmの電極を用いた。細孔の位置は管の先端部であり、細孔の数は1つであった。外部電極と容器との間に、導電体と誘電体とをそれぞれ配置するものとした。導電体としてはアルミニウム(厚さ15mm)を、誘電体としてはフッ素樹脂(厚さ15mm)を使用した。容器の部分(A)を長さ方向に4等分し、開口側から底部側に向かってa、b、c、d位置とし、下記表1のように、誘電体と導電体との配置を変化させるものとした。尚、下記表1の「配置5」においては、d位置をさらに垂直方向に2等分し、上側をd−1位置、下側をd−2意図とした。参考までに、図5に、実施例1における誘電体11及び導電体12の配置を概略的に示す。
1.2.容器
ポリエチレンテレフタレートを射出ブロー成形し、部分(A)を有する容器を作製した。作製した容器は、図2(A)に示すような、胴部全体が部分(A)(肉厚0.5mm、内径20mm、長さ50mm)からなるものとした。底部は半球状とした。
1.3.評価
1.3.1.外観
肉眼でプラズマ焼けや異常放電痕の有無及び色むらを観察した。評価基準を以下の通りとした。結果を表1に示す。
◎:全体的に褐色
全体的に十分な膜厚で成膜されていると推察される
○:全体的にやや褐色
全体的に成膜されているが膜厚が薄いと推察される
△1:全体的に淡褐色
全体的に膜厚不十分と推察される
△2:胴部がやや褐色で底部が淡褐色
全体的に成膜されているものの、胴部の膜厚が薄めで底部の膜厚が不十分と推察される
△3:胴部が部分的に褐色
全体的に成膜されているものの、胴部の膜厚が厚めと推察される
×1:胴部が局所的に濃褐色
胴部にプラズマ焼けが強く起き局所的に厚膜になっていると推察される
×2:着色なし
ほぼ未蒸着と推察される
1.3.2.膜厚
プラズマ化学蒸着の後で、プラスチック容器断面の薄切片を切り出し、日立ハイテクノロジー社製透過型電子顕微鏡(TEM)H7650で観察した。
具体的には、部分(A)を長さ方向に3等分割して、開口側から底部側に向かって部分(A)、部分(A)、部分(A)とし、部分(A)の長さ方向中央部におけるガスバリア性膜の厚みをT、部分(A)の長さ方向中央部におけるガスバリア性膜の厚みをT、部分(A)の底部側末端から3mm上のガスバリア性膜の厚みをTとした(図3)。結果を表1に示す。
1.3.3.ガスバリア性
MOCON社製OX−TRAN2/61を用い、23℃50RH%条件下での容器当たりの酸素透過率(cc/pkg/24h・air)を測定した。容器開口に上記装置用のアダプターヘッドを装着して測定するものとした。評価基準を以下の通りとした。結果を表1に示す。
◎:0.0010以上0.0020未満
○:0.0020以上0.0030未満
△:0.0030以上0.0040未満
×:0.0040以上
Figure 2017077918
表1に示す結果から明らかなように、T及びTが10nm以上100nm以下であり、T及びTの平均厚みTaveに対するTの比(T/Tave)が0.4超である場合に、外観及びガスバリア性が良好なプラスチック容器となり得ることが分かった。
また、表1に示す結果から明らかなように、プラズマ化学蒸着の際は、外部電極と容器との間に、容器の外形に沿って、開口側に誘電体を、底部側に導電体を、連続的に配置し、且つ、容器の部分(A)の周囲において、部分(A)の開口側端部から導電体に至るまでの誘電体の長さLを、部分(A)の長さの50%以上90%以下とし、部分(A)の底部側端部から誘電体に至るまでの導電体の長さLを、部分(A)の長さの10%以上50%以下とすることで、上記したような外観及びガスバリア性が良好なプラスチック容器を製造できることが分かった。
2.実施例4、5
2.1.ガスバリア性膜の成膜法及び成膜条件
実施例1と同様とした。
2.2.容器
ポリエチレンテレフタレートを射出ブロー成形し、部分(A)を有する容器を作製した。作製した容器は、図2(A)に示すような、胴部全体が部分(A)からなるものとした。内径と長さは表2の通りであった。底部は半球状とした。
2.3.評価
実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2017077918
表2に示す結果から明らかなように、部分(A)の内径がさらに小さく、又は、長さがさらに長い場合においても、外観及びガスバリア性が良好なプラスチック容器を製造することができた。以上のことから、内径5mm以上20mm以下且つ長さ30mm以上150mm以下の部分(A)に対して、同様の結果が奏されると考えられる。
3.実施例6、7
3.1.ガスバリア性膜の成膜法及び成膜条件
実施例1と同様とした。ただし、後述の開口側太径部の周囲には導電体を配置した。
3.2.容器
ポリエチレンテレフタレートを射出ブロー成形し、部分(A)を有する容器を作製した。作製した容器は、図2(B)に示すような、開口側太径部を有するものとした。それぞれ内径と長さは表3の通りであった。底部は半球状とした。
2.3.評価
実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2017077918
表3に示す結果から明らかなように、開口側太径部を有する場合においても、外観及びガスバリア性が良好なプラスチック容器を製造することができた。底部側太径部を有する場合にも同様の効果が奏されるものと考えられる。
尚、上記のガスバリア性の評価における酸素透過率は「容器当たり」の値である。単位面積当たりの酸素透過率(cc/m/24h・air)は、容器の大きさ(内面積)に応じて異なる。表1〜3の「ガスバリア性」に係る◎、○、△、×の評価基準を、単位面積当たりの評価基準に換算した場合、以下の通りとなる。
実施例1〜3と比較例1〜4の容器の場合
◎:0.32以上0.64未満
○:0.64以上0.96未満
△:0.96以上1.3未満
×:1.3以上
実施例4の容器の場合
◎:0.35以上0.71未満
実施例5の容器の場合
○:0.11以上0.21未満
実施例6の容器の場合
◎:0.16以上0.33未満
実施例7の容器の場合
○:0.14以上0.28未満
本発明に係るプラスチック容器は、医薬品、医薬用品、食品、工業部品等の内容物の保管、輸送に用いるプラスチック容器として好適に利用可能である。
1 開口
2 胴部
3 底部
11 誘電体
12 導電体
15 外部電極
20 容器

Claims (4)

  1. 略同軸上に延在する中空の胴部と、該胴部の一端に存在する開口と、該胴部の他端を塞ぐ底部とを有し、内面にガスバリア性膜を有するプラスチック容器であって、
    前記胴部は、内径5mm以上20mm以下且つ長さ30mm以上150mm以下の部分(A)を一箇所に有し、
    前記胴部は、その全体において、内径5mm以上であり、
    前記部分(A)の一端に前記開口が存在しているか、又は、前記部分(A)の一端と前記開口との間に内径が20mm超且つ長さ100mm以下の開口側太径部を有するとともに該開口側太径部の一端に前記開口が存在しており、
    前記部分(A)の他端と前記底部とが直接一体とされているか、又は、前記部分(A)の他端と前記底部との間に内径が20mm超且つ長さ200mm以下の底部側太径部を有するとともに該底部側太径部の他端と前記底部とが直接一体とされており、
    前記部分(A)を長さ方向に3等分割して、前記開口側から前記底部側に向かって部分(A)、部分(A)、部分(A)とし、前記部分(A)の長さ方向中央部における前記ガスバリア性膜の厚みをT、前記部分(A)の長さ方向中央部における前記ガスバリア性膜の厚みをT、前記部分(A)の底部側末端から3mm上の前記ガスバリア性膜の厚みをTとした場合において、
    及びTが10nm以上100nm以下であり、
    及びTの平均厚みTaveに対するTの比(T/Tave)が0.4超である、
    プラスチック容器。
  2. 前記ガスバリア性膜が、Si含有膜、ダイアモンドライクカーボン膜、又は、アルミナ膜である、請求項1に記載のプラスチック容器。
  3. 前記開口にキャップを装着した、又は、前記開口の天面部にシールを貼り付けた、請求項1又は2に記載のプラスチック容器。
  4. 外部電極及び内部電極を有する真空チャンバの前記外部電極の内側に未成膜プラスチック容器を収容し、且つ、前記内部電極の先端と未成膜プラスチック容器の開口との距離を0mm以上30mm以下とする、設置工程と
    前記設置工程の後で、プラズマ化学蒸着によって前記未成膜プラスチック容器の内面にガスバリア性膜を成膜する、成膜工程と、
    を備え、
    前記未成膜プラスチック容器は、略同軸上に延在する中空の胴部と、該胴部の一端に存在する開口と、該胴部の他端を塞ぐ底部とを有し、
    前記胴部は、内径5mm以上20mm以下且つ長さ30mm以上150mm以下の部分(A)を一箇所に有し、
    前記胴部は、その全体において、内径5mm以上であり、
    前記部分(A)の一端に前記開口が存在しているか、又は、前記部分(A)の一端と前記開口との間に内径が20mm超且つ長さ100mm以下の開口側太径部を有するとともに該開口側太径部の一端に前記開口が存在しており、
    前記部分(A)の他端と前記底部とが直接一体とされているか、又は、前記部分(A)の他端と前記底部との間に内径が20mm超且つ長さ200mm以下の底部側太径部を有するとともに該底部側太径部の他端と前記底部とが直接一体とされており、
    前記設置工程において、前記外部電極と前記未成膜プラスチック容器との間に、前記未成膜プラスチック容器の外形に沿って、開口側に誘電体を、底部側に導電体を、連続的に配置し、
    前記部分(A)の周囲において、該部分(A)の開口側端部から前記導電体に至るまでの前記誘電体の長さLを、前記部分(A)の長さの50%以上90%以下とし、該部分(A)の底部側端部から前記誘電体に至るまでの前記導電体の長さLを、前記部分(A)の長さの10%以上50%以下とする、
    プラスチック容器の製造方法。
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