以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本発明の一実施形態に係る光導波路は、長尺状のコア部と、前記コア部を囲むように配置されるクラッド層とを備える。そして、前記コア部の短手方向に存在する前記クラッド層の内の最も薄い薄厚部の厚みが、0〜0.5μmである。このような光導波路は、前記薄厚部を、他の光導波路のコア部や薄厚部に接触させることにより、接触させた光導波路同士の光学的な接続を好適に行うことができる。
また、前記コア部は、長尺状で、かつ、長手方向に垂直な断面形状が矩形状であるものが挙げられる。このようなコア部の場合、前記光導波路は、前記コア部の長手方向に延びる4側面の各側面上に存在する前記クラッド層の内、最も薄い部分(薄厚部)の厚みが、0〜0.5μmである。すなわち、前記コア部の長手方向に延びる1側面上の部分が、他の3側面上の部分より薄い部分が薄厚部であり、その厚みは、上述したように、0〜0.5μmである。
また、前記光導波路の具体例としては、例えば、図1に示すような光導波路が挙げられる。前記光導波路11は、図1に示すように、前記コア部12と、前記コア部12を囲むように配置される前記クラッド層13とを備える。そして、前記クラッド層13は、前記コア部12を支持する第1クラッド層14と、前記第1クラッド層14上の前記コア部12を、前記第1クラッド層14とともに囲むように配置される第2クラッド層15とを備える。この光導波路11において、前記薄厚部15aは、図1に示すように、第2クラッド層15の、前記コア部12と第1クラッド層14と接触している面(下面)に対向する面(上面)上に存在する部分である。そして、この薄厚部15aの厚みT1は、上述したように、0.5μm以下である。なお、図1は、本発明の一実施形態に係る光導波路の斜視図である。
また、前記光導波路は、前記コア部の短手方向に存在する、前記薄厚部以外の厚みが、前記薄厚部より厚い。この薄厚部より厚いクラッド層によって、前記コア部は、囲まれているので、コア部が損傷してしまうこと、すなわち、コア部が倒れたり、潰れたりすることを充分に抑制できる。具体的には、図1に示す光導波路11の場合であれば、第2クラッド層15の、前記コア部12の上面上に存在する部分である薄厚部15aは薄くても、前記コア部12の下面上に存在する第1クラッド層14は厚い。また、第2クラッド層15の、前記コア部12の上面及び下面以外の長手方向に延びる側面上に存在する部分は厚い。このように、薄厚部より厚いクラッド層によって、前記コア部12は、囲まれているので、コア部12が損傷してしまうことを充分に抑制できる。
また、前記薄厚部15aの厚みは、上述したように、0〜0.5μmであり、0〜0.3μmであることが好ましい。前記薄厚部15aが厚すぎると、コア部12と、接触させた光導波路のコア部との距離が長くなってしまい、光導波路同士の光学的な接続を阻害する傾向がある。また、前記薄厚部15aの厚みは、光導波路同士の光学的な接続を確保する点では、薄ければ薄いほどよく、0μmであってもよい。すなわち、前記光導波路としては、例えば、図2に示すように、前記薄厚部がなく、コア部の露出している部分がある光導波路21であってもよい。光導波路21は、前記薄厚部がないこと以外、図1に示す光導波路11と同様である。
また、前記第2クラッド層15の厚みは、前記コア部の厚みに0.5μmを加えた厚み以下であることが好ましい。また、図2に示すように、前記薄厚部がない場合には、前記第2クラッド層15の厚みは、前記コア部の厚み以下であることが好ましい。前記第2クラッド層15が厚すぎると、前記薄厚部15aが薄くても、前記第2クラッド層15の存在により、コア部12と、接触させた光導波路のコア部との距離が長くなってしまう傾向がある。このため、光導波路同士の光学的な接続を阻害する傾向がある。また、前記第2クラッド層15の厚みは、前記薄厚部があってもなくても、前記コア部の厚みの1/2以上であることが好ましい。前記第2クラッド層15が薄すぎると、コア部の損傷を抑制するという効果を充分に発揮できない傾向がある。
また、前記薄厚部15aの厚みは、長手方向に沿って、できるだけ均一であることが好ましい。前記薄厚部15aの最も厚い箇所と薄い箇所との差が、0.2μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。この差が大きすぎると、前記薄厚部15aの表面上の凹凸が大きくなり、この凹凸での散乱により、外部への光の漏れが発生して、光導波路同士の光学的な接続に影響を与える傾向がある。
また、前記コア部12の厚み(コア部12の上面と下面との距離)T2は、5〜40μmであることが好ましく、10〜20μmであることが好ましい。また、コア部12の幅(コア部12の側面間距離)T3は、5〜40μmであることが好ましく、10〜20μmであることが好ましい。コア部12の厚みや幅が小さすぎると、コア部中に光が伝送されにくくなり、伝送損失が大きくなる傾向がある。また、コア部12の厚みや幅が大きすぎると、薄厚部15aがあっても、光の漏れ出しが少なくなり、光導波路同士の光学的な接続を好適に行えなくなる傾向がある。
また、前記光導波路の開口数(NA)は、0.2以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。なお、開口数(NA)は、コア部の屈折率をn1とし、クラッド層の屈折率をn2としたときの、(n1×n1−n2×n2)1/2で表される。この開口数が大きすぎると、前記薄厚部がない場合、コア部12からの光の漏れ出しが少なくなり、光導波路同士の光学的な接続に影響を与える傾向がある。
また、前記光導波路は、前記コア部と前記クラッド層とが接していなくてもよく、それらの間にすき間があってもよい。例えば、図3に示すように、前記コア部12の上面及び下面以外の長手方向に延びる側面と第2クラッド層15との間にすき間がある光導波路31であってもよい。前記コア部12の前記側面と第2クラッド層15との距離(前記すき間の長さ)T4は、コアの幅T3に対して、1/4以下であることが好ましく、1/8以下であることがより好ましい。また、前記コア部12と第2クラッド層15とは接していてもよいので、前記距離T4は、0μmであってもよい。前記距離T4が大きすぎると、コア部の損傷を抑制するという効果を充分に発揮できない傾向がある。なお、図3は、本発明の他の実施形態に係る光導波路の斜視図である。
また、前記第2クラッド層15は、コア部12の長手方向の全てにわたって設けられていなくてもよく、図3に示すように、分断されていてもよい。第2クラッド層15の長手方向の長さL1は、コア部12の長手方向の長さL2に対する比(L1/L2)で、0.5以上であることが好ましく、0.7以上であることが好ましい。また、第2クラッド層15が、図3に示すように、分断されている場合は、このL1は、コア部12の側面に存在する複数の第2クラッド層15の長さL1の合計長さである。また、前記第2クラッド層15は、コア部12の長手方向の全てにわたって設けられていてもよいので、前記比は1であってもよい。また、前記比が小さすぎると、コア部の損傷を抑制するという効果を充分に発揮できない傾向がある。
また、前記光導波路は、上述したように、前記薄厚部を、他の光導波路のコア部や薄厚部に接触させるだけで、近接光による光移動が可能である。このことから、前記光導波路2個を用い、前記薄厚部を接触させることによって、光導波路同士が光学的に接続された光導波路結合体が得られる。すなわち、前記光導波路は、このような光導波路結合体用に用いることによって、光導波路同士の光学的な接続を実現することができる。
また、本発明の他の実施形態に係る光導波路結合体は、前記光導波路を2個備え、前記薄厚部同士を接触させる。前記光導波路結合体の具体例としては、例えば、図4〜6に示すような光導波路結合体が挙げられる。前記光導波路結合体41は、図4及び図5に示すように、一方の光導波路11と他方の光導波路11とを、それぞれの薄厚部15aが接触するように重ねたものである。なお、図4は、本発明の他の一実施形態に係る光導波路結合体の斜視図であり、図5は、図4に示す光導波路結合体の切断面線Vで切断した断面図である。このような光導波路結合体41は、一方の光導波路11と他方の光導波路11とを接触させるだけで、光学的に接続することができる。また、前記光導波路結合体41では、薄厚部がある光導波路同士を結合させているが、一方又は両方の光導波路が、薄厚部のないもの、例えば、図2に示すような光導波路であってもよい。また、図3に示すような、コア部とクラッド層との間にすき間がある光導波路であってもよい。
また、前記光導波路結合体は、一方の光導波路11のコア部12と他方の光導波路11のコア部12との距離(コア部間距離)T5は、図5に示すように、光導波路11の薄厚部15aの2つ分の厚みである。このため、前記コア部間距離T5は、0〜1μmであり、0〜0.5μmであることが好ましく、0〜0.3μmであることがより好ましい。前記コア部間距離T5が大きすぎると、光導波路同士の光学的な接続を阻害する傾向がある。また、前記コア部間距離T5は、光導波路同士の光学的な接続を確保する点では、小さければ小さいほどよく、0μmであってもよい。すなわち、図2に示すように、前記薄厚部がなく、コア部が露出している部分がある光導波路21を用いた光導波路結合体であってもよい。また、光導波路同士の光学的な接続を確保するという観点からは、前記コア部間距離T5が0.5μm以下であることが好ましい。このため、前記光導波路結合体は、前記コア部間距離T5が0.5μm以下となるように、用いる光導波路を選択することが好ましい。例えば、薄厚部の厚みが0.5μmの光導波路を用いる場合は、接触させる光導波路としては、薄厚部のない光導波路を用いることが好ましい。
また、一方の光導波路11の薄厚部15aと他方の光導波路11の薄厚部15aとが接触している距離(接触距離)L3は、コア部間距離T5等によっても、最適な距離が異なり、図6に示すように、コア部間の光の移動が行うことができれば、特に限定されない。この接触距離L3としては、例えば、5〜30mmであることが好ましく、10〜20mmであることがより好ましい。この接触距離L3が短すぎると、コア部間の光の移動が充分に行われず、光導波路同士の光学的な接続を阻害する傾向がある。また、前記接触距離L3が長すぎると、光導波路同士の光学的な接続をするための部分が長くなり、製品の小型化等を阻害するおそれがある。なお、図6は、図4に示す光導波路結合体の切断面線VIで切断した断面図である。
また、一方の光導波路11の薄厚部15aと他方の光導波路11の薄厚部15aとが接触している箇所は、図4に示すように、それぞれの光導波路11の長手方向の端部であることが好ましい。
また、前記光導波路の製造方法としては、上記の構成を有する光導波路を製造することができれば、特に限定されない。前記光導波路の製造方法としては、例えば、以下の製造方法が挙げられる。
本発明の他の一態様に係る光導波路の製造方法は、第1クラッド層の表面上に、コア部を形成する工程(コア部形成工程)と、前記第1クラッド層の、前記コア部が形成された側に、前記コア部の厚みに0.5μmを加えた厚み以下になるように、第2クラッド層を形成する工程(クラッド層形成工程)とを備える。このような製造方法であれば、前記コア部の前記第1クラッド層と接触している面(下面)と対向する面(上面)上に存在する、第2クラッド層の部分の厚みを0〜0.5μmとした光導波路を製造することができる。すなわち、上述したような、前記薄厚部の厚みが0〜0.5μmである光導波路を製造することができる。
前記光導波路の製造方法の具体例としては、例えば、図7に示すような方法が挙げられる。まず、図7(a)〜(d)に示すように、第1クラッド層(下部クラッド層)14を備えた基板17の、第1クラッド層14上にコア部12を形成する。なお、この工程が、コア部形成工程に相当する。なお、以下には、光導波路の製造方法としては、硬化性樹脂を用いて製造する場合を中心に説明するが、熱可塑性樹脂を用いて製造してもよい。この場合、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、及びポリアミド樹脂等が挙げられる。
具体的には、まず、図7(a)に示すように、基板17の表面上に第1クラッド層14を形成する。
前記基板17としては、光電気複合配線板の基板として用いられるものであれば、特に限定されない。この基板17としては、有機基板であってもよく、無機基板であってもよい。有機基板の具体例としては、例えば、エポキシ基板、アクリル基板、ポリカーボネート基板、及びポリイミド基板等が挙げられる。また、無機基板の具体例としては、例えば、シリコン基板やガラス基板等が挙げられる。また、基板上に予め回路が形成されたプリント回路基板のようなものであってもよい。また、前記基板17としては、表面が平滑なものであることが好ましい。
前記第1クラッド層14の形成方法としては、基板17の表面上に第1クラッド層14を形成できる方法であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、以下の方法が挙げられる。第1の例としては、基板17の表面上に、第1クラッド層14を形成するための所定の屈折率を有する硬化性樹脂材料からなる樹脂フィルムを貼り合せた後、硬化させる方法が挙げられる。また、第2の例としては、第1クラッド層14を形成するための液状の硬化性樹脂材料を基板17の表面上に塗布した後、硬化させる方法が挙げられる。また、第3の例としては、第1クラッド層14を形成するための硬化性樹脂材料のワニスを基板17の表面上に塗布した後、硬化させる方法が挙げられる。なお、第1クラッド層14を形成させる際には、密着性を高めるために、予め、基板17の表面にプラズマ処理等を施しておくことが好ましい。
また、第1クラッド層14を形成するために樹脂フィルムを貼り合せた後、硬化させるより具体的な方法としては、例えば、以下のような方法が用いられる。まず、基板17表面に硬化性樹脂からなる樹脂フィルムを重ねるように載置した後、加熱プレスにより貼り合せる、又は、基板17表面に硬化性樹脂からなる樹脂フィルムを、透明性の接着剤により貼り合わせる。そして、貼り合せられた樹脂フィルムに、光等のエネルギ線を照射すること、又は、加熱することにより硬化させる。
また、第1クラッド層14を形成するための、液状の硬化性樹脂材料、または、硬化性樹脂材料のワニスを塗布した後、硬化させるより具体的な方法としては、例えば、以下のような方法が用いられる。まず、基板17表面に液状の硬化性樹脂材料又は硬化性樹脂材料のワニスを、スピンコート法、バーコート法、又は、ディップコート法等を用いて塗布させる。そして、塗布された液状の硬化性樹脂材料又は硬化性樹脂材料のワニスに、光等のエネルギ線を照射すること、又は、加熱することにより硬化させる。
第1クラッド層14を形成するための硬化性樹脂材料としては、後に形成されるコア部12の材料よりも導波光の伝送波長における屈折率が低くなるようなものが用いられる。具体的には、その伝送波長における屈折率として、例えば、1.5〜1.55程度であるものが挙げられる。このような硬化性樹脂材料の種類としては、このような屈折率を有する、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂等が挙げられる。
また、第1クラッド層14を形成する際に用いられる硬化性樹脂材料としては、硬化後、上記屈折率を満たす等のクラッド層として使用可能なものとなるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、上述したように、光等のエネルギ線や熱によって硬化するもの等が挙げられる。より具体的には、例えば、感光性材料等が挙げられる。また、前記硬化性樹脂材料からなる樹脂フィルムとしては、具体的には、例えば、半硬化状態の感光性高分子材料をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等に塗布して得られるドライフィルム、いわゆるドライフィルムフォトレジスト(単に、「感光性フィルム」とも称する。)等が挙げられる。このドライフィルムとしては、例えば、光硬化性のエポキシ系ドライフィルム材料等が挙げられ、より具体的には、特開2009−265340号公報に記載のものが挙げられる。
また、第1クラッド層14を形成する際に用いられる硬化性樹脂材料として、光硬化性のものを用いた場合、硬化時の露光条件としては、感光性材料の種類に応じて適宜選択されるが、例えば、超高圧水銀灯を用い、波長365nmの光線を、500〜2500mJ/cm2となるように露光する条件等が選ばれる。また、光硬化させた後に、熱による後キュアを行うことも硬化を確実にする点から有効である。後キュアの条件としては、温度80〜160℃程度、時間20〜120分間程度が好ましい。しかしながら、特にこの範囲に限られるものではなく、感光性材料によって最適化することが重要であることは言うまでもない。
第1クラッド層14の厚みは、特に限定されない。具体的には、例えば、5〜40μm程度であることが好ましい。
次に、図7(b)に示すように、形成された第1クラッド層14の外表面に、感光性材料からなるコア材料層18を形成する。
ここで、感光性材料とは、エネルギ線が照射された部分の、後述する現像で用いる液体に対する溶解性が変化する材料である。具体的には、例えば、エネルギ線を照射する前には、後述する現像で用いる液体に対して溶解しにくいが、エネルギ線を照射した後には、溶解しやすくなる材料が挙げられる。また、他の例としては、エネルギ線を照射する前には、後述する現像で用いる液体に対して溶解しやすいが、エネルギ線を照射した後には、溶解しにくくなる材料が挙げられる。感光性材料とは、具体的には、例えば、感光性高分子材料等が挙げられる。また、エネルギ線とは、溶解性を変化させることができるものであれば、特に限定されない。具体的には、取扱の容易さ等から、紫外線が好ましく用いられる。感光性材料としては、一般的に、紫外線が照射された部分の、溶解性が変化する感光性高分子材料が好ましく用いられる。より具体的には、紫外線が照射された部分が硬化されて、後述する現像で用いる液体に対して溶解しにくくなる感光性高分子材料が好ましく用いられる。
コア材料層18の形成方法としては、コア材料層を形成することができれば、特に限定されない。具体的には、例えば、以下の方法が挙げられる。第1の例としては、第1クラッド層14の外表面に、コア材料層を形成するための所定の屈折率を有する感光性高分子材料からなる樹脂フィルム(感光性フィルム)を貼り合せる方法が挙げられる。第2の例としては、コア材料層を形成するための液状の感光性高分子材料を塗布する方法が挙げられる。第3の例としては、コア材料層を形成するための感光性高分子材料のワニスを塗布した後、乾燥させる方法が挙げられる。なお、コア材料層を形成させる際にも、第1クラッド層14の外表面を活性化させて密着性を高めるために、予め、プラズマ処理等を施しておくことが好ましい。
コア材料層18を形成するために樹脂フィルムを貼り合せるより具体的な方法としては、例えば、以下のような方法が用いられる。第1クラッド層14の外表面に硬化性樹脂からなる樹脂フィルムを重ねるように載置した後、加熱プレスにより貼り合せる。
また、コア材料層18を形成するための液状の硬化性樹脂材料、又は、硬化性樹脂材料のワニスを塗布する方法のより具体的な方法としては、例えば、以下のような方法が用いられる。第1クラッド層14の外表面に液状の硬化性樹脂材料又は硬化性樹脂材料のワニスを、スピンコート法、バーコート法、又は、ディップコート法等を用いて塗布した後、必要に応じて乾燥させる。
感光性高分子材料からなる樹脂フィルム(感光性フィルム)としては、半硬化状態の感光性高分子材料をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等に塗布して得られるドライフィルム等が挙げられる。なお、このようなドライフィルムは、通常、保護フィルムにより保護されている。このドライフィルムとしては、例えば、光硬化性のエポキシ系ドライフィルム材料等が挙げられ、より具体的には、特開2009−265340号公報に記載のものが挙げられる。
コア材料層18を形成するための感光性高分子材料としては、第1クラッド層14の材料よりも導波光の伝送波長における屈折率が高いものが用いられる。具体的には、その伝送波長における屈折率として、例えば、1.55〜1.6程度であるものが挙げられる。コア材料層を形成するための感光性高分子材料の種類としては、このような屈折率を有する、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂等を樹脂成分とする感光性材料が挙げられる。なお、コア部12と第1クラッド層14との接着性の観点から、コア材料層を形成するための感光性高分子材料は、第1クラッド層14を形成するための硬化性樹脂材料と同系統のものであることが好ましい。
コア材料層18の厚みは、特に限定されない。具体的には、例えば、5〜40μm程度であることが好ましい。
コア材料層18を露光して硬化等させる前に、コア材料層に熱処理を施してもよい。そうすることにより、コア材料層の表面の凹凸、気泡、ボイド等を消失させて平滑になる。熱処理温度は、コア材料層の表面の凹凸、気泡、ボイド等が消失して平滑になるような粘度になる温度が好ましく、コア材料層を形成する硬化性樹脂材料の種類によって適宜選択される。また、熱処理時間としては、10〜30分間程度であることが、コア材料層の表面の凹凸、気泡、ボイド等を消失させて平滑になるという効果が充分に得られる点から好ましい。なお、熱処理の手段は特に限定されず、所定の温度に設定したオーブン中で処理する方法やホットプレートで加熱する等の方法が用いられる。
次に、図7(c)に示すように、コア材料層18に対して、フォトマスク19を介して露光光20を照射して、コア材料層18に対して所定形状のパターン露光を行う。そうすることによって、コア材料層18の、コア部に相当する部分18aが硬化する。また、このような露光は、感光性材料を光により変質(硬化等)させうる波長の光を必要な光量で露光する方法であれば、特に限定なく用いることができる。具体的には、例えば、ここで用いる露光光として、紫外線等のエネルギ線を用いる方法等が挙げられる。そして、取扱の容易さ等から、紫外線が好ましく用いられる。また、フォトマスクをコア材料層の表面に接触するように載置して露光するコンタクト露光や、コア材料層の外表面に接触しないように所定の間隔を保持した状態で露光する投影型露光等の、何れの露光方法を用いてもよい。
また、露光条件としては、感光性材料の種類に応じて適宜選択されるが、例えば、超高圧水銀灯を用い、波長365nmの光線を、500〜2500mJ/cm2となるように露光する条件等が選ばれる。また、光硬化させた後に、熱による後キュアを行うことも硬化を確実にする点から有効である。後キュアの条件としては、温度80〜160℃程度、時間20〜120分間程度が好ましい。しかしながら、特にこの範囲に限られるものではなく、感光性材料によって最適化することが重要であることは言うまでもない。
次に、現像処理を行うことにより、図7(d)に示すような、コア部12を形成する。
コア部12を形成させるための現像処理としては、コア材料層の感光性材料がポジ型の場合には、露光されなかった部分、ネガ型の場合には、露光された部分を現像液で洗い流すことにより、不要な部分を除去する工程である。また、ここで用いる現像液としては、有機溶剤が用いられる。前記現像剤としては、例えば、アセトン、イソプロピルアルコール、トルエン、エチレングリコール、及びこれらを所定割合で混合させたもの等が挙げられる。さらに、例えば、特開2007−292964号公報で開示されているような水系の現像液も好ましく用いられうる。現像方法としてはスプレーにより現像液を噴射する方法や超音波洗浄を利用する方法等が挙げられる。
そして、最後に、図7(e)及び図7(f)に示すように、第1クラッド層14の、コア部12が形成された側に、第2クラッド層15を形成する。その際、第2クラッド層15の厚みが、コア部12の厚みに0.5μmを加えた厚み以下になるように、第2クラッド層15を形成する。そうすることによって、上述したような、薄厚部の厚みT1が0〜0.5μmである光導波路が形成される。なお、この工程が、クラッド層形成工程に相当する。
また、第2クラッド層15の形成方法としては、特に限定されない。具体的には、例えば、以下のような方法が挙げられる。第1の例としては、図7(e)及び図7(f)に示すように、第2クラッド層14を形成するための硬化性樹脂材料からなる樹脂フィルム22を貼り合せた後、光等のエネルギ線、熱等で硬化させる方法が挙げられる。第2の例としては、第2クラッド層14を形成するための液状の硬化性樹脂材料を塗布した後、光等のエネルギ線、熱等で硬化させる方法が挙げられる。第3の方法としては、第2クラッド層14を形成するための硬化性樹脂材料のワニスを塗布した後、光等のエネルギ線、熱等で硬化させる方法が挙げられる。
第2クラッド層14を形成するための硬化性樹脂材料としては、コア部12の材料よりも導波光の伝送波長における屈折率が低くなるような硬化性樹脂材料であれば、特に限定なく用いられ、通常は、第1クラッド層14を形成した材料と同様の種類の硬化性樹脂材料が用いられる。また、第1クラッド層14を形成する際に用いられる硬化性樹脂材料としては、例えば、感光性材料等が挙げられる。また、前記樹脂フィルムとしては、具体的には、例えば、半硬化状態の感光性高分子材料をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等に塗布して得られるドライフィルム、いわゆるドライフィルムフォトレジスト(単に、「感光性フィルム」とも称する。)等が挙げられる。このドライフィルムとしては、例えば、光硬化性のエポキシ系ドライフィルム材料等が挙げられ、より具体的には、特開2009−265340号公報に記載のものが挙げられる。
次に、第2クラッド層15の形成方法として、前記第1の例について、説明する。この方法の具体的な方法としては、例えば、以下のような方法が用いられる。まず、第1クラッド層14の、コア部12が形成された側に、硬化性樹脂からなる樹脂フィルム22を重ねるように載置した後、加熱プレスにより貼り合せる。そして、貼り合せられた樹脂フィルムに、光等のエネルギ線を照射すること、又は、加熱することにより硬化させる。このような方法は、形成された第2クラッド層15の厚みが、コア部12の厚みに0.5μmを加えた厚み以下になるように、前記樹脂フィルムの厚みや貼り合わせる際の条件等を調整する。例えば、第2クラッド層15の厚みが厚くなりすぎそうな場合は、用いる樹脂フィルムの厚みを薄くすることや、貼り合わせ時に、樹脂フィルムに加える力を大きくすること等が挙げられる。このような樹脂フィルムを用いる方法を用いたクラッド層形成工程は、前記第1クラッド層の、前記コア部が形成された側に、ドライフィルム状の材料を積層する工程である。ドライフィルム状の材料(樹脂フィルム)は一定の厚みであるので、第2クラッド層の厚みを調整しやすい。よって、このような工程によれば、薄厚部の厚みを適切に調整でき、光導波路同士の光学的な接続を好適に行うことができる光導波路をより容易に製造することができる。
また、樹脂フィルムの厚みは、形成する第2クラッド層の厚みに応じて、調整する。この樹脂フィルムの厚みを調整する際、コア部の体積を考慮することが好ましい。樹脂フィルムを、コア部が形成された第1クラッド層に積層すると、コア部の体積分、第2クラッド層が厚くなる。このため、樹脂フィルムの厚みは、形成する第2クラッド層の厚みより少し薄くすることが好ましい。具体的には、基板面積に対するコア部の面積の比率(コア部の面積/基板面積×100)をX%としたとき、樹脂フィルムの厚みを、形成する第2クラッド層の厚みから、X/(100−X)×100(%)程度薄くすることが好ましい。また、コア部が露出した光導波路を形成する場合には、樹脂フィルムの厚みを、コア部の厚みから、X/(100−X)×100(%)程度薄くすることが好ましい。より具体的には、樹脂フィルムの厚みが、基板面積に対するコア部の面積の比率が9%である場合、約9.89%(=9/(100−9)×100)程度、コア部の厚みから薄いことが好ましい。
また、積層時の条件としては、特に限定されない。具体的には、コア部の上に積層される樹脂フィルムが好適に除去できるような条件であることが好ましい。
具体的には、積層時の加熱条件としては、特に限定されない。樹脂フィルムの溶融粘度が、コア部の上に積層される樹脂フィルムが好適に除去できるような温度条件となることが好ましい。具体的には、樹脂フィルムの溶融粘度が、500Pa・s以下となる温度条件であることが好ましく、100Pa・s以下となる温度条件であることがより好ましい。
また、積層時の加圧条件としては、特に限定されない。コア部の上に積層される樹脂フィルムが好適に除去できるような圧力条件であることが好ましい。具体的には、積層時の加圧条件としては、0.2〜0.4MPaであることが好ましい。
また、積層時の加熱加圧時間としては、特に限定されない。コア部の上に積層される樹脂フィルムが好適に除去できるような時間であればよく、加熱条件や加圧条件によって異なる。具体的には、積層時の加熱加圧時間としては、樹脂フィルムの溶融粘度が、500Pa・s以下である場合には、120〜300秒であることが好ましい。また、樹脂フィルムの溶融粘度が、100Pa・s以下である場合には、50〜150秒であることが好ましい。
また、積層時に加熱加圧しても、コア部の上のクラッド層の厚み、すなわち、薄厚部の厚みが0.5μm以下とならない場合、この第2クラッド層を一部除去してもよい。例えば、コア部周辺の第2クラッド層のみを除去してもよい。具体的には、第2クラッド層を形成するための層が、上記のように感光性材料からなるものである場合、コア部周辺以外が硬化されるように選択露光した後、現像して、コア部周辺の第2クラッド層のみを除去してもよい。また、感光性材料からなるもの以外の場合等は、例えば、反応性イオンエッチング(RIE)等の物理化学的なエッチングや、UV−YAG(3倍・4倍)のようなレーザを用いたレーザ加工等を用いて、コア部周辺の第2クラッド層のみを除去してもよい。
また、次に、第2クラッド層15の形成方法として、前記第2の例及び第3の例について、説明する。第2クラッド層15を形成するための、液状の硬化性樹脂材料、または、硬化性樹脂材料のワニス(液状の材料)を塗布した後、硬化させるより具体的な方法としては、例えば、以下のような方法が用いられる。まず、第1クラッド層15の、コア部12が形成された側の表面上に液状の硬化性樹脂材料又は硬化性樹脂材料のワニスを、スピンコート法、バーコート法、又は、ディップコート法等を用いて塗布させる。そして、塗布された液状の硬化性樹脂材料又は硬化性樹脂材料のワニスに、光等のエネルギ線を照射すること、又は、加熱することにより硬化させる。前記塗布方法としては、具体的には、液状の硬化性樹脂材料や硬化性樹脂材料のワニスを、コア部の近傍に供給し、スキージをコアの長手方向に沿って動かし、余分なものを除去する。そうすることによって、コア部12が形成された第1クラッド層14上に、第2クラッド層を形成するための材料を層状に形成し、この材料を硬化等によって、第2クラッド層15にする。
また、スキージを使用する場合、製造中の光導波路のコア部表面にスキージを接触させて動かすことになる。このため、コア部の表面が傷つかないように、スキージの形状や加重等に注意する必要がある。また、スキージは、液状の材料と反応したり、しみ込んだりしないものが好ましい。スキージとしては、例えば、光導波路と接触させた際、その形状が、曲率半径Rが1〜5mmとなるようなものが好ましい。また、スキージの材質としては、例えば、シリコーン樹脂やポリテトラフルオロエチレン等の樹脂、及びアルミニウム等の金属等が挙げられる。また、接触時の加重や走行速度は、液状の材料の粘度やコア部の硬さ等によっても異なるが、接触時の加重は、例えば、500g以下であることが好ましい。また、接触時の走行速度は、例えば、50mm/秒以下であることが好ましい。
第2クラッド層14を形成するための硬化性樹脂材料としては、コア部12の材料よりも導波光の伝送波長における屈折率が低くなるような硬化性樹脂材料であれば、特に限定なく用いられ、通常は、第1クラッド層14を形成した材料と同様の種類の硬化性樹脂材料が用いられる。
そして、第1クラッド層の、コア部が形成された面上に形成された、第2クラッド層を形成するためのクラッド材料層を露光して、硬化させる。そうすることによって、図1〜3に示すような光導波路が得られる。例えば、第2クラッド層とコア部との厚みが同じになるように製造すると、図2に示すような光導波路が得られる。
また、第2クラッド層14の厚みとしては、特に限定されないが、第1クラッド層14の上にコア部12と同程度の厚みであることが好ましい。
また、第2クラッド層とコア部との厚みが同じにし、上記露光の際、前記コア部の幅より少し広い幅を覆うマスクを重ねた状態で、露光し、現像することで、図3に示す光導波路が得られる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲は実施例により何ら限定されるものではない。
はじめに、本実施例で用いた樹脂フィルムの製造方法について説明する。
(クラッド用樹脂フィルムの製造)
液状脂肪族エポキシ樹脂(ダイセル化学工業株式会社製のセロキサイド2021P)25質量部、3官能の芳香族エポキシ樹脂(株式会社プリンテック製のVG3101)20質量部、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製の1006FS)55質量部、及び光カチオン硬化開始剤(株式会社アデカ製のSP−170)1質量部の各配合成分を、ガラス容器内に秤量した。このガラス容器内に、溶剤として、2−ブタノンとトルエンとの混合溶剤を加えた。このガラス容器内の配合物を、80℃の還流下で攪拌した。そうすることによって、固形分が全て溶解されたワニスが得られた。得られたワニスを、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の孔径1μmのメンブランフィルタで濾過して、固形状の異物を除去した後、減圧脱泡した。このように調製したワニスを、株式会社ヒラノテクシード製のコンマコータヘッドのマルチコータを用いて、PETフィルム(東洋紡績株式会社製のA4100)に塗布した。この塗布されたPETフィルムを、125℃で乾燥させ、所定厚みの樹脂層とした。その樹脂層の上に、カバーフィルム(離型フィルム)として、配向性ポリプロピレンフィルム(OPP)を熱ラミネートした。そうすることによって、クラッド用樹脂フィルムを得た。このとき、上記塗布時の厚み(塗布厚)を調整することで、得られたクラッド用樹脂フィルムの厚みが、8μmのものと、10μmのものを製造した。
(コア用樹脂フィルムの製造)
用いる材料として、液状脂肪族エポキシ樹脂(ダイセル化学工業株式会社製のセロキサイド2021P)19質量部、3官能の芳香族エポキシ樹脂(株式会社プリンテック製のVG3101)23質量部、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製の1006FS)58質量部、光カチオン硬化開始剤(株式会社アデカ製のSP−170)1質量部、及び酸化防止剤(株式会社アデカ製のAO−60)1質量部を用いる以外、上記クラッド用樹脂フィルムと同様にして、コア用樹脂フィルムを製造した。このとき、布時の厚み(塗布厚)を調整することで、得られたコア用樹脂フィルムの厚みが、10μmのものを製造した。
上記クラッド用樹脂フィルム及び上記コア用樹脂フィルムをそれぞれ硬化させたものの屈折率を、株式会社アタゴ製の屈折率測定装置を用いて測定した。その結果、クラッド用樹脂フィルムを硬化させたもの(クラッド層)の屈折率は、1.577であり、コア用樹脂フィルムを硬化させたもの(コア部)の屈折率は、1.584であった。そして、これらから算出される開口数(NA)は、約0.15であった。
(光導波路A)
まず、140mm×120mmのガラスエポキシ基板(パナソニック株式会社製のR1766)の、両面の銅箔をエッチングにより除去した。このエッチオフしたものを基板として用いた。この基板の表面に、上述の方法により製造した、厚み10μmのクラッド用樹脂フィルムを、真空ラミネーター(V−130)を用いて、60℃、0.2MPaの条件でラミネートした。そして、超高圧水銀灯を用いて、2J/cm2の条件で紫外光を、ラミネートしたクラッド用樹脂フィルムに照射した。その後、クラッド用樹脂フィルムの離型フィルムを剥離した。その後、150℃で30分間熱処理した。そうすることによって、基板上に、クラッド用樹脂フィルムが硬化した第1クラッド層(下部クラッド層)が形成された。
次に、この第1クラッド層に、酸素プラズマ処理を施した後、その表面上に、上述の方法により製造した、厚み10μmのコア用樹脂フィルムを、真空ラミネーター(V−130)を用いて、60℃、0.2MPaの条件でラミネートした。
そして、幅10μm、長さ120mmの直線パターンのスリットを形成したガラスマスクを、コア用樹脂フィルムの表面に載置した。その後、照射光が略平行光になるように調整された超高圧水銀灯で2J/cm2の光量で紫外光を、コア用樹脂フィルムに照射し、コア用樹脂フィルムの、スリットに対応する部分を光硬化させた。
次に、コア用樹脂フィルムの離型フィルムを剥離した。その後、140℃で10分間熱処理を行なった。そして、現像液として55℃に調整した水系フラックス洗浄剤(荒川化学工業株式会社製のパインアルファST−100SX)を用いて現像処理した。そうすることによって、コア部用樹脂フィルムの未露光部分が溶解除去される。そして、さらに、水で仕上げ洗浄した後エアブローした。その後、100℃で10分間乾燥させた。そうすることによって、図1に示すようなコア部(幅10μm、高さ10μm)が形成された。
次に、下部クラッド層及びコア部を被覆するようにして、上述の方法により製造した、厚み8μmのクラッド用樹脂フィルムを、真空ラミネーター(V−130)を用いて、80℃、0.4MPaの条件で、120秒間ラミネートした。そして、超高圧水銀灯を用いて、2J/cm2の条件で紫外光をクラッド用樹脂フィルムに照射した。その後、クラッド用樹脂フィルムの離型フィルムを剥離した。その後、140℃で10分間熱処理した。そうすることによって、下部クラッド層及びコア部を被覆するように、第2クラッド層(上部クラッド層)を形成した。すなわち、下部クラッド層とコア部と上部クラッド層とからなる光導波路Aが形成された。この光導波路Aの断面形状を観察したところ、図1に示すような光導波路であって、コア部上に存在する上部クラッド層(薄厚部)の厚みT1が0.2μmであった。
(光導波路B)
第2クラッド層を製造する際の、クラッド用樹脂フィルムのラミネートが、80℃、0.3MPa、90秒間の条件で行うこと以外、光導波路Aの製造方法と同様にした。そうすることによって得られた光導波路Bの断面形状を観察したところ、図1に示すような光導波路であって、コア部上に存在する上部クラッド層(薄厚部)の厚みT1が0.5μmであった。
(光導波路C)
第2クラッド層を製造する際のクラッド用樹脂フィルムとして、厚み10μmのクラッド用樹脂フィルムを用いること以外、光導波路Aの製造方法と同様にした。そうすることによって得られた光導波路Cの断面形状を観察したところ、図1に示すような光導波路であって、コア部上に存在する上部クラッド層(薄厚部)の厚みT1が2μmであった。
(光導波路D)
第2クラッド層を製造する際、クラッド用樹脂フィルムをラミネートした後、幅10μm、長さ120mmの直線パターンだけがマスクされたガラスマスクを、クラッド用樹脂フィルムの表面に載置した。その後、照射光が略平行光になるように調整された超高圧水銀灯で2J/cm2の光量で紫外光を、クラッド用樹脂フィルムに照射して、クラッド用樹脂フィルムを光硬化させた。その後、クラッド用樹脂フィルムの離型フィルムを剥離した。その後、140℃で10分間熱処理した。そうすることによって得られた光導波路Dの断面形状を観察したところ、図2に示すような光導波路であって、コア部上に存在する上部クラッド層(薄厚部)の厚みT1が0μmであった。
(光導波路結合体)
図4〜6に示すように、上記光導波路A〜Dのうちの、2つの光導波路の前記コア部上に存在する上部クラッド層(薄厚部)同士を、接触距離L3が10cmになるように接触させた。その際、光導波路としては、表1に示す組合せで接触させた。そして、このようにして得られた光導波路結合体の結合効率を、以下のように測定した。
まず、一方の光導波路のコア部の端面(他方の光導波路と接触させていない側の端面)に、コア径10μmのNA0.21の光ファイバの端部を、マッチングオイル(シリコーンオイル)を介して、接続した。また、他方の光導波路のコア部の端面(一方の光導波路と接触させていない側の端面)に、コア径200μmのNA0.4の光ファイバの端部を、マッチングオイル(シリコーンオイル)を介して、接続した。850nmのVCSEL光源からの光を、一方の光導波路に接続された光ファイバを介して、光導波路に入射させた。そして、他方の光導波路からの出射光を、他方の光導波路に接続された光ファイバを介してパワーメータに入射させ、その出射光の光量を測定した。この光量を、光導波路結合体の光量とした。そして、2つの光導波路を接続するのではなく、1つの光導波路を用いて、同様に、出射光の光量を測定した。この光量を、光導波路の光量とした。光導波路の光量に対する光導波路結合体の光量の比を算出し、この比を結合効率とした。
この結果を表1に示す。その際、用いた光導波路の組合せ及びコア部間距離T5も示す。
表1から、薄厚部の厚みT1が0〜0.5μmである光導波路を用いた光導波路結合体1〜3は、薄厚部の厚みT1が0.5μmを超える光導波路を用いた場合(光導波路結合体4)より、結合効率が高いことがわかった。このことから、薄厚部の厚みT1が0〜0.5μmである光導波路は、光導波路同士の光学的な接続を好適に行うことができることがわかった。このことは、薄厚部の厚みT1が薄いと、コア部中を伝送される光が、近接光として、前記薄厚部から光導波路外部に漏れ出し、この漏れ出した光を利用して、他の光導波路と光学的な接続ができると考えられる。
また、薄厚部の厚みT1が0〜0.5μmである光導波路(光導波路A、B、D)は、接続させる光導波路によっては、より好適な光学的な接続ができることがわかった。
また、光導波路結合体において、コア部間距離T5が0.5μm以下である場合(光導波路結合体1,2)は、そうでない場合と比較して、結合効率が高かった。このことから、コア部間距離T5が0.5μmとなるように、光導波路を選択して組み合わせることが好ましいことがわかった。