以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る光導波路の製造方法は、コア部の形状に対応する凹部が表面上に形成されたクラッド層を形成するクラッド層形成工程と、前記凹部にコア用材料を充填させる充填工程と、前記コア用材料からコア部を形成するコア部形成工程とを備える。前記光導波路の製造方法としては、具体的には、図1に示すような製造方法が挙げられる。まず、図1(a)に示すようなクラッド層11を形成する。このクラッド層11は、後述するコア部の形状に対応する凹部11aが表面上に形成された層である。このようなクラッド層11を形成する工程は、前記クラッド層形成工程に相当する。次に、図1(b)に示すように、前記凹部11aにコア用材料を充填させ、このコア用材料を硬化等によって、コア部12にする。なお、図1は、本実施形態に係る光導波路の製造方法を説明する概略断面図である。
このような製造方法は、コア部12を形成するためのコア用材料をクラッド層11に囲まれた状態にし、この状態のコア用材用材料から、コア部12を形成する。このため、コア部12として、微細なものを形成するときであっても、コア部12を形成するためのコア用材料が、クラッド層に囲まれているので、クラッド層からのコア部の剥離の発生を抑制することができる。また、この製造方法によれば、図1(b)に示すように、コア部12の露出している部分(露出部)12aがある光導波路10を製造することができる。また、得られた光導波路2個を、露出したコア部同士が接触するように結合することで、光導波路同士の好適な光学的な接続を実現できる。さらに、得られた光導波路10は、クラッド層11の、コア部が形成された側の表面上に、薄いクラッド層を別途設けてもよい。このようにして得られた光導波路は、コア部の一部がクラッド層の薄厚部で覆われた光導波路となる。このような光導波路であっても、この薄厚部同士が接触するように結合することで、光導波路同士の好適な光学的な接続を容易に実現できる。よって、上記製造方法によれば、微細で、かつ、光導波路同士の光学的な接続を容易に実現可能な光導波路を好適に製造できる光導波路の製造方法を提供することができる。
また、前記クラッド層形成工程は、前記クラッド層11を形成することができれば、特に限定されない。前記クラッド層形成工程の一例としては、例えば、第1クラッド層上に、感光性材料からなるクラッド材料層を形成する工程と、前記凹部が形成された第2クラッド層が前記第1クラッド層上に形成されるように、前記クラッド材料層から、前記第2クラッド層を形成する第2クラッド層形成工程とを備える工程等が挙げられる。この第2クラッド層形成工程は、例えば、前記クラッド材料層を選択露光し、その後、現像することによって、前記第1クラッド層上に、前記凹部以外の箇所に、第2クラッド層を形成する工程等が挙げられる。このような工程によれば、前記第2クラッド層によって、前記凹部が形成することができる。よって、前記凹部が形成された、第1クラッド層と第2クラッド層とからなるクラッド層を好適に形成することができる。また、前記クラッド層形成工程としては、例えば、後述する工程以外に、形成したクラッド層に対して、前記凹部が形成されるように、レーザ加工や機械加工等を施す工程であってもよい。
次に、本実施形態に係る光導波路の製造方法の一例について説明する。前記光導波路の製造方法の具体例としては、例えば、図2に示すような方法が挙げられる。なお、図2は、本実施形態に係る光導波路の製造方法の一例を示す概略図である。
なお、以下には、光導波路の製造方法としては、硬化性樹脂を用いて製造する場合を中心に説明するが、熱可塑性樹脂を用いて製造してもよい。この場合、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、及びポリアミド樹脂等が挙げられる。
まず、図2(a)に示すように、基板13上に、第1クラッド層(下部クラッド層)14を形成する。すなわち、第1クラッド層14を備えた基板13を形成する。
前記基板13としては、光電気複合配線板の基板として用いられるものであれば、特に限定されない。この基板13としては、有機基板であってもよく、無機基板であってもよい。有機基板の具体例としては、例えば、エポキシ基板、アクリル基板、ポリカーボネート基板、及びポリイミド基板等が挙げられる。また、無機基板の具体例としては、例えば、シリコン基板やガラス基板等が挙げられる。また、基板上に予め回路が形成されたプリント回路基板のようなものであってもよい。また、前記基板13としては、表面が平滑なものであることが好ましい。
前記第1クラッド層14の形成方法としては、基板13の表面上に第1クラッド層14を形成できる方法であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、以下の方法が挙げられる。第1の例としては、基板13の表面上に、第1クラッド層14を形成するための所定の屈折率を有する硬化性樹脂材料からなる樹脂フィルムを貼り合せた後、硬化させる方法が挙げられる。また、第2の例としては、第1クラッド層14を形成するための液状の硬化性樹脂材料を基板13の表面上に塗布した後、硬化させる方法が挙げられる。また、第3の例としては、第1クラッド層14を形成するための硬化性樹脂材料のワニスを基板13の表面上に塗布した後、硬化させる方法が挙げられる。なお、第1クラッド層14を形成させる際には、密着性を高めるために、予め、基板13の表面にプラズマ処理等を施しておくことが好ましい。
また、第1クラッド層14を形成するために樹脂フィルムを貼り合せた後、硬化させるより具体的な方法としては、例えば、以下のような方法が用いられる。まず、基板13表面に硬化性樹脂からなる樹脂フィルムを重ねるように載置した後、加熱プレスにより貼り合せる、又は、基板13表面に硬化性樹脂からなる樹脂フィルムを、透明性の接着剤により貼り合わせる。そして、貼り合せられた樹脂フィルムに、光等のエネルギ線を照射すること、又は、加熱することにより硬化させる。
また、第1クラッド層14を形成するための、液状の硬化性樹脂材料、または、硬化性樹脂材料のワニスを塗布した後、硬化させるより具体的な方法としては、例えば、以下のような方法が用いられる。まず、基板13表面に液状の硬化性樹脂材料又は硬化性樹脂材料のワニスを、スピンコート法、バーコート法、又は、ディップコート法等を用いて塗布させる。そして、塗布された液状の硬化性樹脂材料又は硬化性樹脂材料のワニスに、光等のエネルギ線を照射すること、又は、加熱することにより硬化させる。
第1クラッド層14を形成するための硬化性樹脂材料としては、後に形成されるコア部12の材料よりも導波光の伝送波長における屈折率が低くなるようなものが用いられる。具体的には、その伝送波長における屈折率として、例えば、1.5〜1.55程度であるものが挙げられる。このような硬化性樹脂材料の種類としては、このような屈折率を有する、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂等が挙げられる。
また、第1クラッド層14を形成する際に用いられる硬化性樹脂材料としては、硬化後、上記屈折率を満たす等のクラッド層として使用可能なものとなるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、上述したように、光等のエネルギ線や熱によって硬化するもの等が挙げられる。より具体的には、例えば、感光性材料等が挙げられる。また、前記硬化性樹脂材料からなる樹脂フィルムとしては、具体的には、例えば、半硬化状態の感光性高分子材料をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等に塗布して得られるドライフィルム、いわゆるドライフィルムフォトレジスト(単に、「感光性フィルム」とも称する。)等が挙げられる。このドライフィルムとしては、例えば、光硬化性のエポキシ系ドライフィルム材料等が挙げられ、より具体的には、特開2009−265340号公報に記載のものが挙げられる。
また、第1クラッド層14を形成する際に用いられる硬化性樹脂材料として、光硬化性のものを用いた場合、硬化時の露光条件としては、感光性材料の種類に応じて適宜選択されるが、例えば、超高圧水銀灯を用い、波長365nmの光線を、500〜2500mJ/cm2となるように露光する条件等が選ばれる。また、光硬化させた後に、熱による後キュアを行うことも硬化を確実にする点から有効である。後キュアの条件としては、温度80〜160℃程度、時間20〜120分間程度が好ましい。しかしながら、特にこの範囲に限られるものではなく、感光性材料によって最適化することが重要であることは言うまでもない。
第1クラッド層14の厚みは、特に限定されない。具体的には、例えば、5〜40μm程度であることが好ましい。
次に、図2(b)に示すように、形成された第1クラッド層14の外表面に、第2クラッド層を形成するための、感光性材料からなるクラッド材料層15を形成する。
ここで、感光性材料とは、エネルギ線が照射された部分の、後述する現像で用いる液体に対する溶解性が変化する材料である。具体的には、例えば、エネルギ線を照射する前には、後述する現像で用いる液体に対して溶解しにくいが、エネルギ線を照射した後には、溶解しやすくなる材料が挙げられる。また、他の例としては、エネルギ線を照射する前には、後述する現像で用いる液体に対して溶解しやすいが、エネルギ線を照射した後には、溶解しにくくなる材料が挙げられる。感光性材料とは、具体的には、例えば、感光性高分子材料等が挙げられる。また、エネルギ線とは、溶解性を変化させることができるものであれば、特に限定されない。具体的には、取扱の容易さ等から、紫外線が好ましく用いられる。感光性材料としては、一般的に、紫外線が照射された部分の、溶解性が変化する感光性高分子材料が好ましく用いられる。より具体的には、紫外線が照射された部分が硬化されて、後述する現像で用いる液体に対して溶解しにくくなる感光性高分子材料が好ましく用いられる。
クラッド材料層の形成方法としては、クラッド材料層を形成することができれば、特に限定されない。具体的には、例えば、以下の方法が挙げられる。第1の例としては、第1クラッド層14の外表面に、クラッド材料層を形成するための所定の屈折率を有する感光性高分子材料からなる樹脂フィルム(感光性フィルム)を貼り合せる方法が挙げられる。第2の例としては、クラッド材料層を形成するための液状の感光性高分子材料を塗布する方法が挙げられる。第3の例としては、クラッド材料層を形成するための感光性高分子材料のワニスを塗布した後、乾燥させる方法が挙げられる。なお、クラッド材料層を形成させる際にも、第1クラッド層14の外表面を活性化させて密着性を高めるために、予め、プラズマ処理等を施しておくことが好ましい。
クラッド材料層を形成するために樹脂フィルムを貼り合せるより具体的な方法としては、例えば、以下のような方法が用いられる。第1クラッド層14の外表面に硬化性樹脂からなる樹脂フィルムを重ねるように載置した後、加熱プレスにより貼り合せる。
また、クラッド材料層を形成するための液状の硬化性樹脂材料、又は、硬化性樹脂材料のワニスを塗布する方法のより具体的な方法としては、例えば、以下のような方法が用いられる。第1クラッド層14の外表面に液状の硬化性樹脂材料又は硬化性樹脂材料のワニスを、スピンコート法、バーコート法、又は、ディップコート法等を用いて塗布した後、必要に応じて乾燥させる。
感光性高分子材料からなる樹脂フィルム(感光性フィルム)としては、半硬化状態の感光性高分子材料をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等に塗布して得られるドライフィルム等が挙げられる。なお、このようなドライフィルムは、通常、保護フィルムにより保護されている。
第2クラッド層を形成するための硬化性樹脂材料としては、コア部12の材料よりも導波光の伝送波長における屈折率が低くなるような硬化性樹脂材料であれば、特に限定なく用いられ、通常は、第1クラッド層14を形成した材料と同様の種類の硬化性樹脂材料が用いられる。
クラッド材料層15を露光して硬化等させる前に、クラッド材料層に熱処理を施してもよい。そうすることにより、クラッド材料層の表面の凹凸、気泡、ボイド等を消失させて平滑になる。熱処理温度は、クラッド材料層の表面の凹凸、気泡、ボイド等が消失して平滑になるような粘度になる温度が好ましく、クラッド材料層を形成する硬化性樹脂材料の種類によって適宜選択される。また、熱処理時間としては、10〜30分間程度であることが、クラッド材料層の表面の凹凸、気泡、ボイド等を消失させて平滑になるという効果が充分に得られる点から好ましい。なお、熱処理の手段は特に限定されず、所定の温度に設定したオーブン中で処理する方法やホットプレートで加熱する等の方法が用いられる。
次に、図2(c)に示すように、クラッド材料層15に対して、フォトマスク16を介して露光光17を照射して、クラッド材料層15に対して所定形状のパターン露光を行う。そうすることによって、クラッド材料層15の、前記凹部以外の部分15aが硬化する。また、このような露光は、感光性材料を光により変質(硬化等)させうる波長の光を必要な光量で露光する方法であれば、特に限定なく用いることができる。具体的には、例えば、ここで用いる露光光として、紫外線等のエネルギ線を用いる方法等が挙げられる。そして、取扱の容易さ等から、紫外線が好ましく用いられる。また、フォトマスクをクラッド材料層の表面に接触するように載置して露光するコンタクト露光や、クラッド材料層の外表面に接触しないように所定の間隔を保持した状態で露光する投影型露光等の、何れの露光方法を用いてもよい。また、前記凹部の大きさは、前記凹部が最終的に得られるコア部の形状に対応するものであるので、前記コア部の大きさ程度である。具体的には、前記凹部の大きさは、上記のようなリソグラフィ法を用いた場合であれば、前記コア部の大きさに対して、露光に用いる光の回折、拡散による太り、及び硬化収縮等を加味した大きさであることが好ましい。また、コンタクト露光は、マスクをクラッド材料層に密着させることにより、露光に用いる光の回折及び拡散による太りを抑制できる点で好ましい。また、投影型露光の場合であっても、露光に用いる光の回折及び拡散による太りを考慮して、マスクとクラッド材料層との間の距離が10μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。
また、露光条件としては、感光性材料の種類に応じて適宜選択されるが、例えば、超高圧水銀灯を用い、波長365nmの光線を、500〜2500mJ/cm2となるように露光する条件等が選ばれる。
また、前記露光は、クラッド材料層15の、前記凹部以外の部分15aを硬化させることができればよく、例えば、紫外線レーザ光による直接描画法であってもよい。
そして、かかる露光をした後に、熱による後キュアを行うことも硬化を確実にする点から有効である。後キュアの条件としては、温度80〜160℃程度、時間20〜120分間程度が好ましい。しかしながら、特にこの範囲に限られるものでは無く、感光性材料によって最適化することが重要であることは言うまでもない。
次に、現像処理を行うことにより、図2(d)に示すような、第1クラッド層14上に、前記凹部以外の箇所に第2クラッド層18を形成する。この第2クラッド層18と第1クラッド層14とから、コア部の形状に対応する凹部11aが表面上に形成されたクラッド層11が得られる。
第2クラッド層18を形成させるための現像処理としては、クラッド材料層の感光性材料がポジ型の場合には、露光されなかった部分、ネガ型の場合には、露光された部分を現像液で洗い流すことにより、不要な部分を除去する工程である。また、ここで用いる現像液としては、例えば、アセトンやイソプロピルアルコール、トルエン、エチレングリコール、又は、これらを所定割合で混合させたもの等が挙げられる。さらに、例えば、特開2007−292964号公報で開示されているような水系の現像液も好ましく用いられうる。現像方法としてはスプレーにより現像液を噴射する方法や超音波洗浄を利用する方法等が挙げられる。
第2クラッド層の厚みは、後述するコア部の厚みと同程度であることが好ましく、コア部の厚み以下の厚みであることが好ましい。具体的には、例えば、5〜40μm程度であることが好ましい。
また、前記クラッド層形成工程としては、上述したように、形成したクラッド層に対して、前記凹部が形成されるように、レーザ加工等を施す工程であってもよい。この場合は、具体的には、例えば、反応性イオンエッチング(RIE)等の物理化学的なエッチングや、UV−YAG(3倍・4倍)のようなレーザを用いたレーザ加工等を用いた加工等が挙げられる。このようなクラッド層形成工程は、例えば、感光性材料からなるもの以外、例えば、熱可塑性樹脂を用いた場合等に有効である。
次に、図2(e)に示すように、前記凹部11aにコア用材料21を充填させる。この充填方法としては、後述する。
また、コア用材料21としては、感光性材料からなるものが挙げられる。この場合、図2(e)に示すように、紫外線等のエネルギ線を照射して、硬化させる。そうすることによって、図2(f)に示すように、前記凹部11a内にコア部12が形成された光導波路10が得られる。この光導波路10のコア部12が形成された面上に、薄い第3クラッド層を形成させてもよい。
また、コア用材料としては、クラッド層11の材料よりも導波光の伝送波長における屈折率が高いものが用いられる。具体的には、その伝送波長における屈折率として、例えば、1.55〜1.6程度であるものが挙げられる。コア用材料の種類としては、このような屈折率を有する、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂等を樹脂成分とする感光性材料が挙げられる。これらの中でも特に、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。よって、コア用材料としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂と光カチオン硬化剤とを含有する樹脂組成物が、耐熱性の高い導波路が得られ、また、プリント基板等と複合化することができる点から好ましい。なお、コア部とクラッド層との接着性の観点から、コア用材料は、クラッド層を形成するための硬化性樹脂材料と同系統のものであることが好ましい。
また、コア部12の厚みは、特に限定されない。具体的には、例えば、5〜40μm程度であることが好ましい。
また、前記充填工程としては、前記凹部にコア用材料を充填させることができれば、特に限定されない。前記充填工程としては、例えば、以下の方法が挙げられる。第1の例としては、クラッド層11の外表面に、所定の屈折率を有する感光性高分子材料からなる樹脂フィルム(感光性フィルム)を貼り合せることによって、前記凹部にコア用材料を充填させる方法が挙げられる。第2の例としては、液状の感光性高分子材料又は感光性高分子材料のワニスを前記凹部に流し込む方法が挙げられる。
樹脂フィルムを貼り合せるより具体的な方法としては、例えば、以下のような方法が用いられる。図3は、本実施形態に係る光導波路の製造方法における充填工程の一例を説明する概略断面図である。クラッド層11の外表面に硬化性樹脂からなる樹脂フィルムを重ねるように載置した後、加熱プレスにより貼り合せる。すなわち、この充填工程は、図3に示すように、前記コア用材料として、ドライフィルム状の材料等の樹脂フィルム31を用い、クラッド層11の、凹部11aが形成された面上に、この樹脂フィルム31を積層する工程である。そうすることによって、前記凹部11aに前記コア用材料が充填される。
感光性高分子材料からなる樹脂フィルム(感光性フィルム)としては、半硬化状態の感光性高分子材料をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等に塗布して得られるドライフィルム等が挙げられる。なお、このようなドライフィルムは、通常、保護フィルムにより保護されている。このドライフィルムとしては、例えば、光硬化性のエポキシ系ドライフィルム材料等が挙げられ、より具体的には、特開2009−265340号公報に記載のものが挙げられる。
コア用材料としては、クラッド層11の材料よりも導波光の伝送波長における屈折率が高いものが用いられる。具体的には、その伝送波長における屈折率として、例えば、1.55〜1.6程度であるものが挙げられる。コア用材料の種類としては、このような屈折率を有する、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂等を樹脂成分とする感光性材料が挙げられる。
そして、前記凹部11aに充填されたコア用材料を露光等によって、コア部12にする。そうすることによって、図3(b)に示すように、光導波路10が得られる。また、このような露光は、感光性材料を光により変質(硬化等)させうる波長の光を必要な光量で露光する方法であれば、特に限定なく用いることができる。具体的には、例えば、ここで用いる露光光として、紫外線等のエネルギ線を用いる方法等が挙げられる。そして、取扱の容易さ等から、紫外線が好ましく用いられる。
また、露光条件としては、感光性材料の種類に応じて適宜選択されるが、例えば、超高圧水銀灯を用い、波長365nmの光線を、500〜2500mJ/cm2となるように露光する条件等が選ばれる。また、光硬化させた後に、熱による後キュアを行うことも硬化を確実にする点から有効である。後キュアの条件としては、温度80〜160℃程度、時間20〜120分間程度が好ましい。しかしながら、特にこの範囲に限られるものではなく、感光性材料によって最適化することが重要であることは言うまでもない。
コア用材料を露光して硬化等させる前に、コア用材料に熱処理を施してもよい。そうすることにより、コア用材料の表面の凹凸、気泡、ボイド等を消失させて平滑になる。熱処理温度は、コア用材料の表面の凹凸、気泡、ボイド等が消失して平滑になるような粘度になる温度が好ましく、コア用材料を形成する硬化性樹脂材料の種類によって適宜選択される。また、熱処理時間としては、10〜30分間程度であることが、コア用材料の表面の凹凸、気泡、ボイド等を消失させて平滑になるという効果が充分に得られる点から好ましい。なお、熱処理の手段は特に限定されず、所定の温度に設定したオーブン中で処理する方法やホットプレートで加熱する等の方法が用いられる。
また、前記充填工程として、前記ドライフィルム状の材料(樹脂フィルム)を用いた場合について、説明する。図4は、本実施形態に係る光導波路の製造方法におけるクラッド層形成工程の一例を説明する図である。図5は、本実施形態に係る光導波路の製造方法における充填工程及びコア部形成工程の一例を説明する図である。また、図4は、図5に示す充填工程を実施するためのクラッド層を形成するためのクラッド層形成工程を示す。
上記のような樹脂フィルムを用いた場合、前記凹部に好適に充填されるように、まず、クラッド層11として、以下のようなものを用いる。例えば、クラッド層の製造において、第2クラッド層18を製造する際、図2(c)に示すマスクとして、図4(a)に示すようなマスク16を用いる。このマスク16は、前記凹部(第1凹部)11aを形成するための部分16aと、この凹部11aに接続した第2凹部を形成するための部分16bとを有する。このマスク16を用いて、第2クラッド層18を形成させると、クラッド材料層15が、図4(b)に示すように、第1凹部11aと、それに接続される第2凹部11bとが形成されたクラッド層11が得られる。
そして、このクラッド層11上に、図5(a)に示すように、樹脂フィルムを積層する。そうすることで、図5(b)に示すように、コア用材料21が第1凹部11aに充填される。この樹脂フィルムとしては、前記第1凹部11aに好適に充填するために、その面積が、第1凹部11aと第2凹部11bとを合計した面積の0.9〜1倍程度であることが好ましい。また、この樹脂フィルムの厚みは、前記第1凹部11aに好適に充填するために、第1凹部11aの深さの0.9倍以上であることが好ましい。また、コア部12の表面が、クラッド層11の表面と同一面になるようにするためには、この樹脂フィルムの厚みは、0.9〜1倍程度であることが好ましい。
また、積層時の条件としては、特に限定されない。具体的には、樹脂フィルムが第1凹部11aに好適に充填できるような条件であることが好ましい。
具体的には、積層時の加熱条件としては、特に限定されない。樹脂フィルムの溶融粘度が、200Pa・s以下となる温度条件であることが好ましく、50Pa・s以下となる温度条件であることがより好ましい。また、積層時の加圧条件としては、特に限定されない。具体的には、積層時の加圧条件としては、0.3〜0.6MPaであることが好ましい。また、積層時の加熱加圧時間としては、特に限定されない。具体的には、積層時の加熱加圧時間としては、加熱条件や加圧条件によって異なるが、樹脂フィルムの溶融粘度が、樹脂フィルムの溶融粘度が、50Pa・s以下である場合には、50〜200秒であることが好ましい。また、200Pa・s以下である場合には、150〜300秒であることが好ましい。
そして、図5(c)に示すように、第1凹部11aに相当する位置に開口部51aのあるマスク51を重ねた状態で、露光する。
以上の方法は、クラッド層形成工程が、第1凹部11aとそれに接続される第2凹部11bとを表面上に形成されたクラッド層を形成する工程であり、前記充填工程が、前記第1凹部11aだけではなく、前記第2凹部11bの少なくとも一部に、コア用材料を充填させる工程である。このような方法によれば、図5(d)に示すように、第1凹部にコア部12を形成することができる。そして、第1凹部11aにコア用材料を好適に充填させることができるので、好適なコア部12を形成することができる。なお、開口部51aの幅が、第1凹部11aより狭いマスクを用いることで、第1凹部とコア部との間にすき間のある光導波路が得られる。
次に、液状の硬化性樹脂材料、又は、硬化性樹脂材料のワニスを塗布する方法のより具体的な方法としては、例えば、以下のような方法が用いられる。図6は、本実施形態に係る光導波路の製造方法における充填工程の他の一例を説明する概略断面図である。第1クラッド層14の外表面に液状の硬化性樹脂材料又は硬化性樹脂材料のワニスを、スピンコート法、バーコート法、又は、ディップコート法等を用いて塗布した後、必要に応じて乾燥させる。すなわち、この充填工程は、コア用材料として、液状の硬化性樹脂材料及び硬化性樹脂材料のワニス等の液状の材料を用いる。そして、図6に示すように、クラッド層11の表面上に形成された凹部11aに、前記液状の材料61を流し込む工程である。そうすることによって、前記凹部11aに前記コア用材料が充填される。
具体的には、また、クラッド層11の、凹部11aが形成された面上に、前記液状の材料61を滴下する。その後、図6(a)に示すように、クラッド層11上の液状の材料61を、スキージ62を移動させて、凹部11aに流し込む。そうすることによって、図6(b)に示すように、コア用材料として液状の材料61が凹部11aに充填される。そうすることによって、凹部11a全体に、液状の材料61を好適に充填させることができる。その後、凹部に充填された液状の材料を硬化等によって、コア部12にする。そうすることによって、クラッド層11の凹部にコア部12が形成された光導波路10が得られる。
また、余った液状の材料64は、図6(b)に示すように、スキージ62によって、除去される。また、前記液状の材料61は、その粘度が、50Pa・s以下であることが好ましく、10Pa・s以下であることがより好ましい。図6(a)では、凹部11aの幅方向に移動させている図を示しているが、凹部11aの長手方向に沿って移動させることが好ましい。
また、スキージ62を使用する場合、製造中の光導波路の表面にスキージ62を接触させて動かすことになる。このため、光導波路の表面が傷つかないように、スキージの形状や加重等に注意する必要がある。また、スキージ62は、液状の材料61と反応したり、しみ込んだりしないものが好ましい。スキージとしては、例えば、光導波路と接触させた際、その形状が、曲率半径Rが1〜5mmとなるようなものが好ましい。また、スキージの材質としては、例えば、シリコーン樹脂やポリテトラフルオロエチレン等の樹脂、及びアルミニウム等の金属等が挙げられる。また、接触時の加重や走行速度は、液状の材料の粘度やクラッド層の硬さ等によっても異なるが、接触時の加重は、例えば、500g以下であることが好ましい。また、接触時の走行速度は、例えば、50mm/秒以下であることが好ましい。
また、前記液状の材料としては、例えば、エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社製のエポキシ系屈折率調整樹脂やダイキン工業株式会社製のオプトダインシリーズ等を使用することができる。
また、前記光導波路の製造方法は、上記のいずれの方法であっても、前記凹部以外の箇所にコア用材料が残留する場合には、その不要なコア用材料を除去することが好ましい。具体的には、コア用材料が、上記のように感光性材料からなるものである場合、マスクを用いた露光と現像によって、所望のコア部以外を除去することができる。また、感光性材料からなるもの以外の場合等は、例えば、反応性イオンエッチング(RIE)等の物理化学的なエッチングや、UV−YAG(3倍・4倍)のようなレーザを用いたレーザ加工等を用いて、不要な部分を除去してもよい。
また、前記光導波路の製造方法は、上記のいずれの方法であっても、図1(b)に示すように、コア部12の露出している部分(露出部)12aがある光導波路10を製造することができる。このような光導波路10の上に、別途、上述した第1クラッド層の形成方法と同様の方法で、第3クラッド層を設けてもよい。
以上のような、本実施形態に係る光導波路の製造方法に対して、従来の光導波路の製造方法は、例えば、以下のような方法である。その一例を説明する。図7は、従来の光導波路の製造方法を説明するための概略図である。
まず、図7に示すように、基板71上に第1クラッド層72を形成させる。その後、図7(b)に示すように、第1クラッド層72上にコア材料層73を形成させる。その後、図7(c)及び図7(d)に示すように、コア材料層73を、マスク74を用いて、選択露光し、現像することによって、第1クラッド層72上にコア部75を形成させる。ここで、従来の方法であれば、第1クラッド層72の一側面上のみに、コア部75が形成される。コア部として微細なものを製造しようとすると、コア部が剥離する場合があった。その後、図7(e)に示すように、第1クラッド層72上のコア部75を覆うように第2クラッド層76を形成させる。そうすることによって、第1クラッド層72と第2クラッド層76とからなるクラッド層77でコア部75を被覆した光導波路が得られる。
このような光導波路の製造方法によれば、上述したように、コア部として微細なものを製造しようとすると、コア部が剥離する場合があった。これに対して、本実施形態に係る光導波路の製造方法では、コア部を形成する際、クラッド層に囲まれた状態で形成するので、コア部のクラッド層からの剥離を充分に抑制できる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲は実施例により何ら限定されるものではない。
はじめに、本実施例で用いた樹脂フィルムの製造方法について説明する。
(クラッド用樹脂フィルムの製造)
液状脂肪族エポキシ樹脂(ダイセル化学工業株式会社製のセロキサイド2021P)25質量部、3官能の芳香族エポキシ樹脂(株式会社プリンテック製のVG3101)20質量部、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製の1006FS)55質量部、及び光カチオン硬化開始剤(株式会社アデカ製のSP−170)1質量部の各配合成分を、ガラス容器内に秤量した。このガラス容器内に、溶剤として、2−ブタノンとトルエンとの混合溶剤を加えた。このガラス容器内の配合物を、80℃の還流下で攪拌した。そうすることによって、固形分が全て溶解されたワニスが得られた。得られたワニスを、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の孔径1μmのメンブランフィルタで濾過して、固形状の異物を除去した後、減圧脱泡した。このように調製したワニスを、株式会社ヒラノテクシード製のコンマコータヘッドのマルチコータを用いて、PETフィルム(東洋紡績株式会社製のA4100)に塗布した。この塗布されたPETフィルムを、125℃で乾燥させ、所定厚みの樹脂層とした。その樹脂層の上に、カバーフィルム(離型フィルム)として、配向性ポリプロピレンフィルム(OPP)を熱ラミネートした。そうすることによって、クラッド用樹脂フィルムを得た。このとき、上記塗布時の厚み(塗布厚)を調整することで、得られたクラッド用樹脂フィルムの厚みが、10μmのものを製造した。
(コア用樹脂フィルムの製造)
用いる材料として、液状脂肪族エポキシ樹脂(ダイセル化学工業株式会社製のセロキサイド2021P)19質量部、3官能の芳香族エポキシ樹脂(株式会社プリンテック製のVG3101)23質量部、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製の1006FS)58質量部、光カチオン硬化開始剤(株式会社アデカ製のSP−170)1質量部、及び酸化防止剤(株式会社アデカ製のAO−60)1質量部を用いる以外、上記クラッド用樹脂フィルムと同様にして、コア用樹脂フィルムを製造した。このとき、布時の厚み(塗布厚)を調整することで、得られたコア用樹脂フィルムの厚みが、10μmのものを製造した。
上記クラッド用樹脂フィルム及び上記コア用樹脂フィルムをそれぞれ硬化させたものの屈折率を、株式会社アタゴ製の屈折率測定装置を用いて測定した。その結果、クラッド用樹脂フィルムを硬化させたもの(クラッド層)の屈折率は、1.577であり、コア用樹脂フィルムを硬化させたもの(コア部)の屈折率は、1.584であった。そして、これらから算出される開口数(NA)は、約0.15であった。
(実施例1)
まず、140mm×120mmのガラスエポキシ基板(パナソニック株式会社製のR1766)の、両面の銅箔をエッチングにより除去した。このエッチオフしたものを基板として用いた。この基板の表面に、上述の方法により製造した、厚み10μmのクラッド用樹脂フィルムを、真空ラミネーター(V−130)を用いて、60℃、0.2MPaの条件で、90秒間ラミネートした。そして、超高圧水銀灯を用いて、2J/cm2の条件で紫外光を、ラミネートしたクラッド用樹脂フィルムに照射した。その後、クラッド用樹脂フィルムの離型フィルムを剥離した。その後、150℃で30分間熱処理した。そうすることによって、基板上に、クラッド用樹脂フィルムが硬化した第1クラッド層(下部クラッド層)が形成された。
次に、この第1クラッド層に、酸素プラズマ処理を施した後、その表面上に、再度、上記クラッド用樹脂フィルムを、真空ラミネーター(V−130)を用いて、60℃、0.2MPaの条件で、90秒間ラミネートした。そして、図4(a)に示すような、凹部(第1凹部:幅10μm、長さ110mm)と、この第1凹部に接続した第2凹部とに相当する部分に光があたらないようにするマスク(クロムパターンが形成されたガラスマスク)を、クラッド用樹脂フィルムの表面に載置した。その後、照射光が略平行光になるように調整された超高圧水銀灯で2J/cm2の光量で紫外光を、クラッド用樹脂フィルムに照射した。
次に、クラッド用樹脂フィルムの離型フィルムを剥離した。その後、140℃で10分間熱処理を行なった。そして、現像液として55℃に調整した水系フラックス洗浄剤(荒川化学工業株式会社製のパインアルファST−100SX)を用いて現像処理した。そうすることによって、クラッド用樹脂フィルムの未露光部分が溶解除去される。そして、さらに、水で仕上げ洗浄した後エアブローした。その後、100℃で10分間乾燥させた。そうすることによって、図4(b)に示すような、第1凹部が第2凹部とともに形成されたクラッド層が形成された。
次に、上述の方法により製造した、厚み10μmのコア用樹脂フィルムを、100mm×110mmの大きさに切断した。この切断したコア用樹脂フィルムを、クラッド層の、第1凹部が形成された側の表面上に、真空ラミネーター(V−130)を用いて、100℃、0.5MPaの条件で、180秒間ラミネートした。
そして、図5(c)に示すように、幅12μm、長さ120mmの直線パターンのスリットを形成したガラスマスクを、そのスリットが第1凹部の位置になるように、コア用樹脂フィルムの表面に載置した。その後、照射光が略平行光になるように調整された超高圧水銀灯で2J/cm2の光量で紫外光を、コア用樹脂フィルムに照射し、コア用樹脂フィルムの、スリットに対応する部分を光硬化させた。
次に、コア用樹脂フィルムの離型フィルムを剥離した。その後、140℃で10分間熱処理を行なった。そして、現像液として55℃に調整した水系フラックス洗浄剤(荒川化学工業株式会社製のパインアルファST−100SX)を用いて現像処理した。そうすることによって、コア部用樹脂フィルムの未露光部分が溶解除去される。そして、さらに、水で仕上げ洗浄した後エアブローした。その後、100℃で10分間乾燥させた。そうすることによって、図1(b)及び図5(d)に示すような、クラッド層の凹部にコア部が充填された光導波路が形成された。この光導波路は、コア部上にクラッド層の存在しない、コア部が露出した光導波路だった。すなわち、この光導波路は、コア部上に存在する上部クラッド層の厚みが0μmであった。
(実施例2)
まず、140mm×120mmのガラスエポキシ基板(パナソニック株式会社製のR1766)の、両面の銅箔をエッチングにより除去した。このエッチオフしたものを基板として用いた。この基板の表面に、上述の方法により製造した、厚み10μmのクラッド用樹脂フィルムを、真空ラミネーター(V−130)を用いて、60℃、0.2MPaの条件で、90秒間ラミネートした。そして、超高圧水銀灯を用いて、2J/cm2の条件で紫外光を、ラミネートしたクラッド用樹脂フィルムに照射した。その後、クラッド用樹脂フィルムの離型フィルムを剥離した。その後、150℃で30分間熱処理した。そうすることによって、基板上に、クラッド用樹脂フィルムが硬化した第1クラッド層(下部クラッド層)が形成された。
次に、この第1クラッド層に、酸素プラズマ処理を施した後、その表面上に、再度、上記クラッド用樹脂フィルムを、真空ラミネーター(V−130)を用いて、60℃、0.2MPaの条件で、90秒間ラミネートした。そして、幅10μm、長さ120mmの直線パターンのスリットを形成したガラスマスクを、クラッド用樹脂フィルムの表面に載置した。その後、照射光が略平行光になるように調整された超高圧水銀灯で2J/cm2の光量で紫外光を、クラッド用樹脂フィルムに照射した。
次に、クラッド用樹脂フィルムの離型フィルムを剥離した。その後、140℃で10分間熱処理を行なった。そして、現像液として55℃に調整した水系フラックス洗浄剤(荒川化学工業株式会社製のパインアルファST−100SX)を用いて現像処理した。そうすることによって、クラッド用樹脂フィルムの未露光部分が溶解除去される。そして、さらに、水で仕上げ洗浄した後エアブローした。その後、100℃で10分間乾燥させた。そうすることによって、幅10μm、深さ10μm、長さ120mmの凹部が形成されたクラッド層が形成された。
次に、液状の材料(液状樹脂)として、エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社製のエポキシ系屈折率調整樹脂(屈折率:1.58、粘度1Pa・s)を用い、この液状樹脂を、前記凹部を満たすように流し込んだ。その後、ポリテトラフルオロエチレン製のスキージを、前記凹部の長手方向に沿って、加重300g、操作速度30mm/秒で動かした。クラッド層表面にあふれ出した液状樹脂を掻き出すことで、凹部のみに液状樹脂を充填させた。
そして、超高圧水銀灯を用いて、2J/cm2の条件で紫外光を液状樹脂に照射した。その後、140℃で30分間熱処理した。そうすることによって、そうすることによって、図1(b)及び図6(c)に示すような、クラッド層の凹部にコア部が充填された光導波路が形成された。この光導波路は、コア部上にクラッド層の存在しない、コア部が露出した光導波路だった。すなわち、この光導波路は、コア部上に存在する上部クラッド層の厚みが0μmであった。
以上のように、コア部の形状に対応する凹部が表面上に形成されたクラッド層を形成し、その凹部にコア用材料を充填させ、前記コア用材料からコア部を形成した場合(実施例1,2)は、幅10μmの微細なコア部を、好適に形成することができた。このことは、コア用材料を、前記凹部に充填されたまま、コア部にすることによると考えられる。また、このような製造方法によれば、コア部の露出している部分がある光導波路を製造することができる。このような光導波路2個を、露出したコア部同士が接触するように結合することで、光導波路同士の好適な光学的な接続を実現できる。
また、コア用材料として、ドライフィルム状の材料を用い、前記クラッド層の、前記凹部が形成された面上に、前記コア用材料を積層する方法(実施例1)であっても、コア用材料として、液状材料を用い、前記凹部に前記コア用材料を流し込む方法(実施例2)であってもよい。
(比較例)
実施例1と同様にして、第1クラッド層(下部クラッド層)を形成した。
次に、この第1クラッド層に、酸素プラズマ処理を施した後、その表面上に、上述の方法により製造した、厚み10μmのコア用樹脂フィルムを、真空ラミネーター(V−130)を用いて、60℃、0.2MPaの条件でラミネートした。
そして、幅10μm、長さ110mmの直線パターンのスリットを100本形成したガラスマスクを、コア用樹脂フィルムの表面に載置した。その後、照射光が略平行光になるように調整された超高圧水銀灯で2J/cm2の光量で紫外光を、コア用樹脂フィルムに照射し、コア用樹脂フィルムの、スリットに対応する部分を光硬化させた。
次に、コア用樹脂フィルムの離型フィルムを剥離した。その後、140℃で10分間熱処理を行なった。そして、現像液として55℃に調整した水系フラックス洗浄剤(荒川化学工業株式会社製のパインアルファST−100SX)を用いて現像処理した。そうすることによって、コア部用樹脂フィルムの未露光部分が溶解除去される。そして、さらに、水で仕上げ洗浄した後エアブローした。その後、100℃で10分間乾燥させた。そうすることによって、幅10μm、高さ10μmのコア部が形成された。
このとき、100本のコア部の一部に剥離、すなわち、コア剥離が生じた。現像強度を弱めることで、コア部へのダメージ低減を試みたが、弱くしすぎると、現像により除去されるべきフィルムが残ってしまうこと、すなわち、現像残が発生することがわかった。種々、現像強度を検討した結果、現像残とコア剥離とを同時に解決する条件が見つからなかった。なお、現像処理としては、超音波洗浄を用い、その超音波洗浄の強度としては、150mW/cm2(弱)と250mW/cm2(強)とで行った。また、その洗浄時間を変えて行った。
一方、実施例1においては、第一凹部が100本並列に並ぶようにマスクを設計し、その他を同様に作製することで、10um×110mmのコアを100本形成した。この実施例1では、現像残がなくなるような強度で現像処理を実施しても、コア剥離は発生しなかった。
これらの結果について表1に示す。なお、残像残の発生を目視で確認できなかった場合は、「○」と評価し、残像残の発生を目視で確認できた場合は、「×」と評価した。また、コア剥離については、コア部100本中、コア部の剥離を目視で確認できなかった本数を測定した。すなわち、この本数が多いほど、コア剥離が発生していないことがわかる。
表1から、実施例1であれば、現像条件として、現像残が発生しない条件で現像しても、コア剥離が発生しないことがわかった。また、比較例であれば、現像条件として、現像残が発生しない条件で現像すると、コア剥離が発生することがわかった。
これにより、本発明に係る実施形態では、細線導波路の生産性に効果があることがわかった。