JP6857807B2 - インクジェット印刷方法 - Google Patents
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Description
(第1の実施の形態)
インクジェットによる印刷において、印刷対象に着弾するインクの着弾位置が狙いの位置からずれる位置ズレが発生する。この位置ズレを、以下の工程で補正する。すなわち、距離測定工程と、飛翔速度角度測定工程と、テスト印刷工程と、実印刷工程とによって補正する。図1の側面図で説明する。
<距離測定工程>
距離測定工程では、製品である実印刷対象105の厚みを厚み測定部117で測定し、ノズル102の面と実印刷対象105の表面との間隔距離を算出する。テスト基板104の厚みが不明な場合、テスト基板104の厚みも測定する。
なお、実印刷工程以外で使用する基板を、テスト基板としている。
< 飛翔速度角度測定工程>
飛翔速度角度測定工程では、角度速度測定部120が、複数のノズル102から吐出されるインクの飛翔角度及び飛翔速度をそれぞれ測定する。
<テスト印刷工程>
テスト印刷工程132では、テスト基板104にテスト印刷を実施する。図1に示すように、インクジェットヘッド101の下を、テスト基板104が左から右へ通り抜ける。この時に、インクジェットヘッド101は、テスト基板104が真下を通過するときに、インクを吐出する。インクジェットヘッド101の各ノズル102から吐出されるインクは、ノズル102毎に異なる飛翔角度及び飛翔速度で、テスト基板104に着弾する。
<実印刷工程>
実印刷工程133では、実際の生産基板である実印刷対象105に印刷を行う工程である。実印刷工程133では、テスト印刷工程132での初期位置ズレと厚み位置ズレとを、テスト印刷工程132でのインク着弾位置に対して補正し、製品である実印刷対象105に実際に印刷する。
なお、初期位置ズレがなく、テスト印刷工程132でのインク着弾位置が、目的の着弾位置の場合、目的の着弾位置に対して補正する。
<現象>
(1)インクの角度曲がりが生ずる場合
この場合、テスト印刷工程132において、角度曲がりが生ずるインク着弾位置110は、理想のインク着弾位置109に対して、ズレが生じる。
この場合、テスト印刷工程132におけるインク着弾位置110と、実印刷工程133におけるインク着弾位置113との間には、角度位置ズレ115が生じる。この角度位置ズレ115は、インクの飛翔角度及び印刷対象の厚みの差ΔGによって変化する。したがって、この角度位置ズレ115を補正するためには、インクの飛翔角度を記憶し、印刷対象の厚みの差ΔGを考慮する必要がある。
この場合、上記(2)の場合のテスト印刷工程132におけるインク着弾位置110よりも、さらにズレ、インク着弾位置111となる。
前述のように、順に、距離測定工程、飛翔速度角度測定、テスト印刷工程132、実印刷工程133を実施して補正する。
(1)距離測定工程
距離測定工程において、厚み測定部117は、レーザー118をテスト基板104、実印刷対象105に照射し、表面複数点でテスト基板104、実印刷対象105の厚みを測定する。例えば、表面を縦横均等に5点ずつ合計25点で測定する。なお、テスト基板104、実印刷対象105の厚みが事前にわかっていれば、その厚みを使用できる。特に、テスト基板104は共通のものを使用する場合は、以前のデータを使用して省略できる。
(2)飛翔速度角度測定
次に飛翔速度角度測定について述べる。飛翔速度と飛翔角度は、例えば、下記の方法で測定可能である。
テスト印刷工程132は上記で説明した。ここでは、インクの角度位置ズレ115とインクの飛翔速度による速度位置ズレ116の計算を以下で説明する。なお、以下の計算は、補正値算出部122よって実行される。
<角度位置ズレ115>
実印刷工程133における飛翔角度によってずれる角度位置ずれ115の着弾位置xaは、次の(式1−1)よって算出される。
ここで、x0はテスト印刷工程132の着弾位置を、Δxaはテスト印刷工程132と実印刷工程133における飛翔角度による角度位置ズレ115を、Gはテスト印刷工程132のヘッドとテスト基板104との間の距離を、ΔGはテスト基板104と実印刷対象105との厚みの差を示す。θはインクの角度曲がりがある場合の飛翔角度であり、テスト基板104からノズル102の面に向けた法線と、インクの飛翔方向とによって形成される角度である。
<速度位置ズレ116>
実印刷工程133における飛翔速度によりズレた着弾位置xvは、次の(式1−2)によって算出される。
ここで、Δxvはテスト印刷工程132と実印刷工程133とにおける飛翔速度による速度位置ズレ116を、vfはインクの飛翔速度を、vsは印刷対象(テスト基板104、実印刷対象105)の移動速度を示す。GとΔGは、上記(式1−1)と同じである。
ここで、mは液滴の質量、aは加速度、gは重力加速度、Dは空気から受ける抗力を示す。
ここで、ρは空気の密度、vfはインクの飛翔速度、Sはインク(液滴)の断面積、Cdは抵抗係数を示す。
ここで、rはインクの半径を示す。空気中をインクが飛翔する場合のレイノルズ数は1000を大きく下回る。この場合の抵抗係数Cdは、レイノルズ数より次の(式1−6)にて表される。
空気から受ける抗力Dは、(式1−4)に(式1−5)及び(式1−6)を代入し、次の(式1−7)のように算出される。つまり、抗力Dは、インクの飛翔速度vfの関数である。
そして、(式1−7)を(式1−3)に代入して、次の(式1−8)を得る。
そして、加速度aをdv/dtと書き換えて、次の(式1−9)を得る。
そして、(式1−9)をvfについて解くと、次の(式1−10)を得る。
ここで、vf0はインクの飛翔速度の初速を示す。そして、(式1−10)を時間積分することにより、ノズル102の面から飛翔しているインクまでの距離Zについて、次の式(式1−11)を得る。
図3に、ノズル102の面から飛翔しているインクまでの距離Zと、飛翔速度vfとの関係を測定した実験結果のグラフを示す。この関係は、(式1−10)、(式1−11)によって得られる。
ここで、vf0は、インクの飛翔速度の初速、Aはインクの密度と体積によって決定する係数、Zはノズル102の面から飛翔中のインクまでの距離を示す。
ここで、分子は実印刷工程133でのノズル102の面から印刷対象までの距離を示し、分母はインクの飛翔開始から着弾するまでの時間を示す。(式1−13)を、次の(式1−14)に変形する。
そして、(式1−14)のvfaveを、(式1−2)のvfに代入し、次の(式1−15)を得る。
vf0=5m/s、vs=100mm/s、G=1mm、ΔG=0.1mm、A=−2600(実験で求めた値)の場合、xv=22.1μmと算出される。
ここで補正係数Cfを、次の(式1−17)のように定義する。
補正係数Cf(角度位置ズレ115Δxaと速度位置ズレ116Δxv)を実印刷工程133で使用する。
(第2の実施の形態)(角度測定)
図4に、第2の実施の形態に関するインクジェット吐出時の側面図を示す。
ここで、G1はノズル102から印刷対象Aまでの距離、G2はノズル102から印刷対象Bまで距離、x1は印刷対象Aにおける位置ズレ量、x2は印刷対象Bにおける位置ズレ量を示す。
なお、着弾位置ズレΔxaは、複数のノズル102からの平均インクの着弾位置を基準に、上記基準とインク102の着弾位置との距離をズレ量とする。このズレ量から、ノズル102から吐出されるインクの飛翔角度を算出できる。ここで、複数のノズル102は、同じインクジェットヘッド101のノズルであり、図5の図面に垂直方向に配置されたノズルである。図5と同じ、配置関係である別のノズルである。
着弾位置の再現性の高い印刷機において、(式2−2)によって算出したインクの飛翔角度は、式(2−1)によって算出したインクの飛翔角度とほぼ一致することを確認した。例えば、Δxn=3μm、Δxa=10μm、G=0.5mmの場合、インクの飛翔角度θxは、14mradと算出される。
この実施の形態は、実施の形態1の工程の一部として実施される。また、この実施の形態は、テスト印刷工程での塗布結果により実施することができる。テスト印刷工程とは、別に行なってもよい。
(第3の実施の形態)(速度測定)
図6に、第3の実施の形態に関するインクジェット吐出時の側面図を示す。
図6の右図において、印刷対象の移動スピードが低速時の位置ズレをΔx1、印刷対象の低速時の移動スピードをvs1と表すと、Δx1は、次の(式3−2)で算出できる。
印刷対象の移動スピードが高速時の位置ズレをΔx2、印刷対象の高速時の移動スピードをvs2と表すと、Δx2は、次の(式3−3)で算出できる。
(式3−3)と(式3―2)との差分は、次の(式3−4)で算出できる。
(式3−4)に、(式3−1)を代入することにより、次の(式3−5)が得られる。
そして、(式3−5)を液滴の飛翔時間vf0の算出式に変形すると、次の(式3−6)となる。
これにより、異なる印刷対象に着弾したインクのズレ量からインクの飛翔速度vf0を求めることができる。
第4の実施形態では、風の影響対策について説明する。
図10に、第5の実施の形態に関するインクジェット吐出時の波形図を示す。
縦軸が、ノズルにかけられる印加電圧Vで横軸が、時間tである。
実施の形態1で、インクの速度を考慮するが、過度に速度が遅いノズルの場合、十分でない。過度に速度が遅いとは、平均速度の半分より小さい速度である。この場合、単純に入力する波形の形状を変更する方法がある。しかし、ノズル102毎の体積が不均一になる可能性が高い。
なお、飛翔速度小波形502と飛翔速度大波形501とは、印加電圧が一定のラインから下の凹部の面積が等しい。面積が等しいことで、インク量が変えない。
飛翔速度が相対的に速いノズル102については、振幅が比較的大きく且つ立ち上がり及び立ち下がりが比較的遅い飛翔速度小波形502を適用する。なお、飛翔速度が相対的に速いノズル102とは、平均速度の2倍より速いノズルである。
<注記>
上述した実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲を実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
102 ノズル
104 テスト基板
105 実印刷対象
109 インク着弾位置
110 インク着弾位置
111 インク着弾位置
113 インク着弾位置
114 インク着弾位置
115 角度位置ズレ
116 速度位置ズレ
117 厚み測定部
118 レーザー
119 厚み記憶部
120 角度速度測定部
121 角度速度記憶部
122 補正値算出部
123 ステージ
124 印刷制御システム
132 テスト印刷工程
133 実印刷工程
207 印刷対象
208 設計位置
301 印刷対象
302 インク着弾位置
305 インク着弾位置
306 インク着弾位置
401 インク
403 印刷対象
404 移動方向
405 層流風
406 乱流風
407 乱流風
501 飛翔速度大波形
502 飛翔速度小波形
Claims (12)
- 印刷対象とノズルとの距離を測定する距離測定工程と、
前記ノズルから吐出するインクの飛翔速度及び飛翔角度を測定する速度角度測定工程と、
テスト基板にインクを印刷し前記インクの着弾位置を求め、前記距離測定工程の結果からの前記印刷対象と前記テスト基板との間の厚み差と、前記速度角度測定工程の結果の前記インクの飛翔速度及び飛翔角度と、に基づいて前記着弾位置からの位置ずれである厚み位置ズレを算出するテスト印刷工程と、
前記着弾位置に対して前記厚み位置ズレを調整して前記ノズルから前記インクを吐出して前記印刷対象に印刷を実行する実印刷工程と、
を備えるインクジェット印刷方法。 - 前記実印刷工程は、前記テスト印刷工程での前記インクの着弾位置に対して、前記厚み位置ズレを調整する、
請求項1に記載のインクジェット印刷方法。 - 前記テスト印刷工程での前記インクの着弾位置が、前記テスト印刷工程での目的のインクの着弾位置から位置ズレしている場合は、初期位置ズレとして、前記実印刷工程でさらに調整する、
請求項1または2に記載のインクジェット印刷方法。 - 前記厚み位置ズレは、前記インクの飛翔角度により発生する角度位置ズレと、前記インクの飛翔速度により発生する速度位置ズレとの合計である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット印刷方法。 - 前記速度角度測定工程は、前記インクの着弾位置に基づいて、前記ノズルから吐出されるインクの飛翔角度を算出する、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット印刷方法。 - 複数の前記ノズルからの平均インクの着弾位置を基準に、前記基準からの前記インクの着弾位置のズレ量から、前記ノズルから吐出されるインクの飛翔角度を算出する、
請求項5に記載のインクジェット印刷方法。 - 前記速度角度測定工程は、前記インク着弾位置に基づいて、前記ノズルから吐出されるインクの飛翔速度を算出する、
請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット印刷方法。 - 印刷対象とノズルとの相対速度を変化させた、2つのインク着弾位置に基づいて、前記ノズルから吐出されるインクの飛翔速度を算出する、
請求項7に記載のインクジェット印刷方法。 - 前記実印刷工程では、さらに、印刷対象の位置に対するインクの着弾位置ごとの場所ズレ量に基づいて、インクの着弾位置を補正し、
前記場所ズレ量は、1つの前記印刷対象の1つの前記実印刷に対して、前記実印刷の初期は、前記実印刷の後期より大きい請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット印刷方法。 - 前記実印刷工程では、さらに、印刷対象の位置に対するインクの着弾位置ごとの場所ズレ量に基づいて、インクの着弾位置を補正し、
前記場所ズレ量は、1つの前記印刷対象の1つの前記実印刷に対して、前記印刷対象の端部と中央部での風の影響を考慮する請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット印刷方法。 - 前記場所ズレ量は、複数並んだ前記ノズルの端部は、複数並んだ前記ノズルの中央部より大きい請求項9または10に記載のインクジェット印刷方法。
- 前記実印刷工程で、さらに、吐出波形の面積を変えず、前記吐出波形の立ち上がり及び立ち下がりの時間を調整する、
請求項1〜11のいずれか1項に記載のインクジェット印刷方法。
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