JP6857063B2 - 光触媒と吸着剤との複合体 - Google Patents

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本発明は、光触媒と吸着剤との複合体に関する。
詳細には、本発明は、可視光応答型で光触媒活性が高い酸化タングステンとハイシリカゼオライトとの複合体に関する。さらに詳細には、酸化タングステンとハイシリカゼオライトとの複合体である可視光応答型光触媒−吸着剤複合体に関する。
近年、日本における住宅は、高湿・高温に強い土壁・漆喰を用いた伝統的木造建築から、アルミサッシ製窓、断熱性および/または遮音性が高い壁を用い、耐震性に優れ、冷暖房の省エネ効果が高く、気密性が高い1戸建て住宅および/またはマンションへと変化してきた。
これらの住宅および/またはマンションでは、その気密性が高いが故に、壁紙、室内塗装、建具および家具などから発生した揮発性有機化合物(VOC)および/または台所のごみ、残飯もしくはトイレから発生し得る悪臭が原因と言われる、現代病であるシックハウス症候群の発症が問題になってきている。
上記の揮発性有機化合物は、いずれも温度が上がると気化し易くなり、揮発量が増える性質を有している。そこで、日本のシックハウス症候群の名称が由来し、シックビルディング症候群と称され、室内で塗料を多く使うアメリカでは、その対策として、窓を閉め切り、暖房器具で、室温を30〜40℃に程度に温め、時々換気して室内の空気を入れ替えながら3日間ぐらいかけて化学物質を蒸し出すベイクアウト(加熱)法により、シックビルディング症候群の原因物質を処理・除去している。
しかしながら、このベイクアウト法は、塗料に対しては効果があるものの、複数枚の板が張り合わされた層からなる合板や厚みがあるビニールクロス等から発生するホルムアルデヒド等には、殆ど効果がないことが知られている。
上記の問題を解決するために、近年、脱臭剤および消臭剤とともに、臭い物質を光触媒で分解することが活発に研究されている。
特許文献1は、活性炭表面に光触媒を担持させ、紫外線ランプ等を用いて光触媒を励起させ、臭気成分を分解することを開示しているが、該光触媒が酸化チタンであることも開示している。
特許文献2は、光触媒と吸着剤とをバインダーを用いて塗料化した空気浄化塗料であって、前記吸着剤としてシリカ/アルミナ比が5.6以上92以下のハイシリカ合成ハイシリカゼオライトH型ZSM5を用いた光触媒を用いた空気浄化塗料を開示しているが、該光触媒が酸化チタンであることも開示している。
特許文献3は、気相中の揮発性芳香族化合物を分解するための光触媒体であって、酸化タングステン粒子を主成分として含有し、前記酸化タングステン粒子の表面を酸化チタン粒子で被覆されており、前記酸化チタン粒子の被覆量が、前記酸化タングステン粒子100質量部に対して、チタン換算で3〜45質量部であることを特徴とする揮発性芳香族化合物分解用光触媒体を開示している。
また、特許文献4は、酸化タングステンを含むコア粒子と、上記コア粒子の表面に担持された助触媒を含む光触媒において、ハロゲンがドープされている光触媒材料を開示している。さらに、特許文献4は、上記コア粒子及び助触媒の表面全体を被覆するシェル層を備え、このシェル層が酸化チタンから構成されていることを開示している。
さらに、非特許文献1は、酸化チタン/ZSM−5ゼオライト光触媒によるアセトアルデヒドの完全酸化分解反応に関して記載している。
特開平5−293165号公報 特開平9−249824号公報 2012−110831号公報 2016−137563号公報
J. Jpn. Soc. Powder Powder Metallurgy Vol. 54, No. 3, 175-179、竹内雅人ら、「酸化チタン/ZSM−5ゼオライト光触媒によるアセトアルデヒドの完全酸化分解反応」
上記のように、従来光触媒と吸着剤とから構成される分解・浄化型触媒には、酸化チタンそのものが触媒として、または被覆剤として用いられている。
この酸化チタンは、近年光照射による自浄(セルフクリーニング)作用を有する触媒として知られており、この触媒を含む製品が開発され、トンネル内壁用塗装やビルの外壁塗装、テントおよびサイドミラー等にも用いられている。
しかしながら、酸化チタンは、紫外線には活性を示すが太陽光の大部分を占める可視光を殆ど吸収せず、可視光による触媒活性が弱く、紫外光ではないと自浄作用を十分発揮できないという問題も知られている。
そこで本発明は、紫外線のような高エネルギーの限られた光線ではなく、太陽光を主として構成する可視光で活性化される触媒、すなわち可視光応答型光触媒と吸着剤との複合化物、即ち、可視光応答型光触媒−吸着剤複合体の提供を課題とする。
そこで、本発明らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、揮発性有機化合物を、特定の金属酸化物−吸着剤複合体が吸着し、可視光の照射により分解することを見出し、本研究を完成するに至った。
しかるに、本発明によれば、酸化タングステンおよびハイシリカゼオライトが複合していることを特徴とする可視光応答型光触媒−吸着剤複合体が提供される。
また、本発明によれば、前記吸着剤が、SiO/Al組成比1200〜2200を有するハイシリカゼオライトである前記の可視光応答型光触媒−吸着剤複合体が提供される。
また、本発明によれば、前記吸着剤が、ベータまたはZSM−5結晶形を有する前記の可視光応答型光触媒−吸着剤複合体が提供される。
また、本発明によれば、前記吸着剤が、水素型ハイシリカゼオライトである前記の可視光応答型光触媒−吸着剤複合体が提供される。
また、本発明によれば、前記吸着剤が、細孔径5Å以上7Å未満を有する前記の可視光応答型光触媒−吸着剤複合体が提供される。
また、本発明によれば、前記酸化タングステンが、一次粒径5〜100nmを有する前記の可視光応答型光触媒−吸着剤複合体が提供される。
また、本発明によれば、前記ハイシリカゼオライトが、前記酸化タングステンの重量に対して10〜80重量%添加されている前記の可視応答型光触媒−吸着剤複合体が提供される。
また、本発明によれば、前記可視光応答型光触媒が、さらに助触媒を担持している前記の可視光応答型光触媒−吸着剤複合体が提供される。
また、本発明によれば、前記助触媒が、白金、パラジウムまたは銅、そのハロゲン化物、酸化物、水酸化物または塩であり、酸化タングステンの重量に対して0.01〜3重量%添加されている前記の可視光応答型光触媒−吸着剤複合体が提供される。
また、本発明によれば、前記可視光応答型光触媒−吸着剤複合体が、シックハウス症候群または家庭内悪臭の原因物質を吸着し、分解する前記の可視光応答型光触媒−吸着剤複合体が提供される。
さらに、本発明によれば、前記原因物質が、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ギ酸、酢酸、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、アンモニア、アミン、メルカプタン、硫化水素およびイソ吉草酸等からなる群に含まれる1以上の化合物である前記の可視光応答型光触媒−吸着剤複合体が提供される。
本発明による可視光応答型光触媒−吸着剤複合体は、1戸建て、低層および高層マンションまたは建築物における居住空間、オフィス空間および学校、役場、役所、公会堂などの公共的建築物の室内空間ならびに自家用車、自動車、バスまたは列車の車内空間または船舶もしくは航空機などの客室空間において、壁紙、室内塗装、建具および家具などから発生し得る揮発性有機化合物(VOC)および/または台所または炊事場のごみか、残飯から発生し得る悪臭等を吸着し、室内照明の光により分解できる。
また、本発明による可視光応答型光触媒−吸着剤複合体は、繰り返し使用した場合の吸着機能、酸化分解機能(光触媒機能)が優れ、長期間に亘り使用できる。
したがって、ゴミ箱、残飯に用いるか、空気清浄機、エアコンのフィルターに用いるか、室内または車内で用いるスプレー剤、壁紙への塗布剤、あるいは繊維に練り込むことで衣類、寝具、カーテンまたはカーペットに使用できる。さらに、樹脂に添加するか、成型後の樹脂をコーティングしてトイレ用品やゴミ箱などに用いることができる。
本発明による光触媒と吸着剤との複合体によるLED光照射下におけるアルデヒド残存率の経時変化を示すグラフである。 本発明による光触媒と吸着剤との複合体によるLED光照射下におけるアルデヒドの分解に伴う二酸化炭素生成率の経時変化を示すグラフである。 本発明による複合体形成前の吸着剤の走査型電子顕微鏡写真である。 本発明による光触媒と吸着剤との複合体の走査型電子顕微鏡写真である。 本発明に用いられるハイシリカゼオライトの、粉砕時間に依存する結晶構造の変化を示す図である。
本願明細書において用いられる用語「シックハウス症候群」とは、新築したばかりの家や、リフォームしたばかりの家、または職場が新しいビルに引っ越した途端、室内に入ると気分が悪くなる、だるい、のどや鼻の奥が痛い、目がチカチカする、咳が出て、体の調子が悪くなる比較的新しい症状を意味する。
家族の中でも主婦や幼児に起こる確率が高く、家にいる時間が長いこと、体質的に抵抗力が弱いこと等がその理由として挙げられている。
上記のシックハウス症候群は、アルミサッシ製窓、金属製扉、断熱性および/または遮音性が高い壁を用い、耐震性に優れ、冷暖房の省エネ効果が高く、気密性が高い1戸建て住宅、低層および/または高層マンションを含む建築物における居住空間、オフィス空間および学校、役場、役所、公会堂などの公共的室内空間ならびに自家用車、自動車、バスまたは列車の車内空間または船舶もしくは航空機などの客室空間においては、高い気密性が故に、壁紙、特に壁紙の粘着剤、室内塗装、建具および家具などから発生し得る揮発性有機化合物(VOC)および/または台所、炊事場のゴミや残飯もしくはトイレから発生し得る悪臭が原因となると言われている。
上記の壁紙、壁紙の粘着剤、室内塗装、建具および家具などから発生し得る揮発性有機化学物質としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ギ酸、酢酸、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン等が挙げられる。
また、台所、炊事場のゴミ、残飯またはトイレから発生し得る悪臭の成分としての化学物質としては、アンモニア、アミン、メルカプタン、硫化水素およびイソ吉草酸等が挙げられる。
可視光応答型光触媒
上記の揮発性有機化合物および/または悪臭もしくは生活臭の原因物質の吸着・酸化的分解のために用いられる、本発明による可視光応答型光触媒としては、二酸化チタン(酸化チタン、TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、硫化カドミウム(CdS)および酸化タングステン(WO)が挙げられる。これら光触媒のそれぞれの有機化合物の分解能力には、さほど大きな差はないと言われている。
しかしながら、光触媒としての酸化チタンはその活性化のため、太陽光の中でもエネルギーが高い短波長光(紫外線等)が必要である。
また酸化亜鉛および硫化カドミウムの場合は、長期間の光吸収により触媒自身が分解し、有害な亜鉛イオンまたはカドミウムイオンを発生するので好ましくない。
そこで、本発明による可視光応答型光触媒−吸着剤複合体には、可視光応答型触媒として酸化タングステン(WO)が好適に用いられる。しかしながら、本発明において用いられる酸化タングステンは化学式WOを有する酸化タングステンに限定されず、化学式WO2058、WO2468またはWO2573を有する酸化タングステンも用いることができ、少なくとも酸化タングステンを含む可視光の照射によって光触媒活性を示す可視光応答型の光触媒材料であればよい。
本発明に用いられる酸化タングステン粒子の製造方法としては、パラタングステン酸アンモニウム(APT)を加熱分解する方法、金属タングステン粉末を酸素雰囲気中で加熱する方法等がある。得られる酸化タングステンの粒子径分布が大きい場合は、適当なフィルターを介して粒子径が大きい酸化タングステンを除去してもよい。
酸化タングステン粒子は、粒子径の均一な粒子からなるものであっても、粒子径の不均一な粒子の混合物からなるものであってもよい。
しかしながら、酸化タングステンの一次粒子径は、5nm以上100nm以下であることが好ましい。
酸化タンステンの一次粒子径が、5nmより小さいと凝集して2次粒子を形成し易くなり、100nmより大きいと比表面積が小さくなり、光触媒活性が低下する傾向にある。
なお、ここでいう粒子径とは、BET比表面積に基づいて算出された平均粒子径である。また、光触媒粒子の粒度分布の広がり(大きさ)および分布形状は特に限定されるものではなく、粒度分布のピークが複数存在してもよい。
助触媒
助触媒は、電子吸引性を有する金属または金属化合物から構成され、光触媒の光触媒活性を高める目的で、本発明による可視光応答型光触媒−吸着剤複合体に添加できる。
前記助触媒としては、白金、金、銀、銅、パラジウム、鉄、ニッケル、ルテニウム、イリジウム、ニオブおよびモリブデン等の金属、ならびにそのハロゲン化物、酸化物、水酸化物または塩が挙げられる。
具体的には、白金、金、銀、銅、パラジウム、鉄、ニッケル、ルテニウム、イリジウム、ニオブおよびモリブデン等の金属、ならびにその塩化物、臭化物、ヨウ化物、酸化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、リン酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
助触媒の触媒能力及びコストの観点から、特に白金、パラジウムおよび銅、そのハロゲン化物、酸化物、水酸化物または塩が好ましい。
助触媒の添加方法
酸化タングステン粒子への助触媒の添加方法は:
(1)酸化タングステン粒子と、助触媒を構成する金属粒子または金属化合物粒子とを混練する方法;
(2)酸化タングステン粒子を、助触媒を構成する金属または金属化合物を含む溶液に添加した後、得られた溶液の加熱、あるいは得られた溶液に光照射して酸化タングステンの表面に、助触媒を構成する金属または金属化合物を析出させる方法;
等が挙げられる。
助触媒は、光触媒である酸化タングステンの重量に対して0.01〜3重量%の割合で添加するのが好ましい。
助触媒の添加量が酸化タングステンの重量に対して0.01重量%より少ないと、酸化タングステンの触媒作用において、助触媒としての効果が小さくなり高い光触媒活性が得られない。
また、助触媒の添加量が酸化タングステンの重量に対して3重量%より多いと、酸化タングステン表面における助触媒による表面被覆率が高くなり、酸化タングステンに届く光量が減少し、光触媒としての触媒作用が低下することがあり得るので好ましくない。
吸着剤
上記の化学物質を吸着し、分解する可視光応答型光触媒−吸着剤複合体を構成する吸着剤としては、ゼオライトの中でもハイシリカゼオライトが好適に用いられる。
上記のハイシリカゼオライトは、微粉末、粉末、ビーズまたはペレットのいずれの形状でも構わないが、本発明による可視光応答型光触媒−吸着剤複合体の、塗装、懸濁液の噴霧等への用途を考慮すると、粒径0.1〜20μmを有する粒子が好ましい。
上記のハイシリカゼオライトは、化学物質の吸着能の観点から、陽イオンが、ナトリウムおよびカリウムよりも水素である水素型ハイシリカゼオライトが好ましく、その結晶形はこだわらないが、ベータ形またはZSM−5形が特に好ましい。
上記のハイシリカゼオライトは、化学物質の吸着能の観点からSiO/Al組成比が高いハイシリカゼオライトが好ましく、SiO/Al組成比1200〜2200を有するハイシリカゼオライトが特に好ましい。
一般的に、ゼオライトを構成するシリカ(Si)は周りに4個の酸素(O)をもつ構造をとり、正四面体構造を形成している。アルミナ(Al)は大きさがシリカと似ており、かわりにその位置に入ることがあるが、アルミナは3価のため、Alという1価の負帯電の元素となる。結晶全体が中性を保つ必要があるため、プロトンHがこの役割をするとブレーンステッド酸点となる。通常、これにより触媒活性となる。
一方、アルデヒドの有するカルボニル酸素は、非共有電子対を持っているため、弱いルイス塩基の性質があり、ハイシリカゼオライトのプロトンHに引き寄せられる。したがって、アルミナ比が高い、すなわちブレーンステッド酸点が多いハイシリカゼオライトはアルデヒドとの結合が強く、アルミナ比の低い、すなわちハイシリカゼオライトはアルデヒドとの結合が弱いということが考えられる。
アルデヒドとハイシリカゼオライトの結合力が弱ければ、一度ハイシリカゼオライトに吸着されたアルデヒドは簡単に光触媒で分解されやすく、本発明での所望の効果がえられたものと考えられる。
したがって、SiO/Al組成比が1200より低い場合、ハイシリカゼオライトと揮発性有機化合物のとの吸着力が強く、ハイシリカゼオライトの細孔内に吸着された化学物質がハイシリカゼオライト表面で光触媒により酸化分解を受け難くなっているものと考えられる。また、SiO/Al組成比が2200より高いハイシリカゼオライトは入手が容易ではない。
ハイシリカゼオライトは、揮発性有機化合物または悪臭の原因物質の吸着特性の観点から、細孔径5Å(0.5nm)以上7Å(0.7nm)未満を有するものが好ましい。
本発明による可視光応答型光触媒−吸着剤複合体におけるハイシリカゼオライトの添加量は、酸化タングステン粒子の重量に対して、10〜80重量%が好ましい。
ハイシリカゼオライトの添加量が、10重量%より低い場合にはハイシリカゼオライトによる吸着効果が低くなり、80重量%より高い場合にはハイシリカゼオライトに対する光触媒としての酸化タングステンの相対量が低くなり、十分な光触媒による酸化分解能が得られにくくなるものと思われる。
光触媒複合体の製造方法
水を分散媒体とし、水に対する重量割合にして20%の酸化タングステン分散液に、酸化タングステンの重量に対して5〜25重量%となるようにハイシリカゼオライト粉末を添加し、撹拌混合してから乾燥・粉砕して光触媒複合体を作製する。
複合体の製造時には、予めハイシリカゼオライトを例えばビーズミルなどで粉砕してから光触媒と混合するか、あるいは光触媒とハイシリカゼオライトの混合時にビーズミルなどにて粉砕しながら混合してもよい。
あるいは、10重量%HSZ−891HOAハイシリカゼオライト懸濁液を予めビーズミル(日本コークス工業社製)にて30分、60分または90分間粉砕した粉砕ハイシリカゼオライト懸濁液を、酸化タングステンの重量に対して50重量%となるように、20%の酸化タングステン分散液に添加し、撹拌混合してから乾燥・粉砕して光触媒複合体を作製する。
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
実施例1
市販の粒子径(メジアン径:d50)45〜50μmの酸化タングステン(日本新金属社、99.9%)135gをイオン交換水1215g中に分散させた後、ビーズ径φ0.1mm(ニッカトー)を用いるビーズミル装置(日本コークス工業、MSC50)を用い、周速10m/s、粉砕、分散を360分間行い、メジアン径0.15〜0.20μmの酸化タングステン粒子の分散液を得た。
得られた酸化タングステン粒子の分散液に、酸化タングステン粒子の重量に対して、白金単体での重量の割合が0.025重量%となるように、ヘキサクロロ白金(VI)6水和物(キシダ化学、98.5%)の1%水溶液2.5部添加した。
その後、上記分散液を100℃で加熱して、水分を蒸発させた後、400℃で30分焼成することにより、0.025重量%の白金(助触媒)を担持させた酸化タングステン粒子を得た。
上記光触媒に固形分濃度が約20重量%となるよう水を添加し、得られた光触媒スラリー10gに、ハイシリカゼオライト混合割合が10重量%となるように市販のハイシリカゼオライト粉末(東ソー、HSZ−891HOA、SiO/Al比1,500、結晶形ZSM−5形)0.22gを加え、マグネチックスターラーにて1時間撹拌後、乾燥・粉砕して可視光応答型光触媒−吸着剤複合体を得た。
実施例2
実施例1において、ハイシリカゼオライト混合割合を30重量%となるように加えた以外は、実施例1と全く同様にして、可視光応答型光触媒−吸着剤複合体を得た。
実施例3
実施例1において、ハイシリカゼオライト混合割合が20重量%となるように市販のハイシリカゼオライト粉末(東ソー、HSZ−990HOA、SiO/Al比1,700、結晶形ベータ形)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、可視光応答型光触媒−吸着剤複合体を得た。
実施例4
市販のハイシリカゼオライト粉末(東ソー、HSZ−891HOA、SiO/Al比1,500、結晶形ZSM−5形)の10重量%水懸濁液を予めビーズミル(日本コークス工業社製)にて30分間粉砕し、この粉砕ハイシリカゼオライト懸濁液を、酸化タングステンの重量に対して50重量%となるように、20%の酸化タングステン分散液に添加し、撹拌混合してから乾燥・粉砕して可視光応答型光触媒−吸着剤複合体を得た。
実施例5
実施例4において、粉砕ハイシリカゼオライト懸濁液の調製の際に、粉砕時間を60分間に変更した以外は、実施例4と全く同様にして、可視光応答型光触媒−吸着剤複合体を得た。
実施例6
実施例4において、粉砕ハイシリカゼオライト懸濁液の調製の際に、粉砕時間を90分間に変更した以外は、実施例4と全く同様にして、可視光応答型光触媒−吸着剤複合体を得た。
比較例1
実施例1において、ハイシリカゼオライト混合割合が10重量%となるように市販のハイシリカゼオライト粉末(東ソー、HSZ−390HUA、SiO/Al比500、結晶形Y形)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、可視光応答型光触媒−吸着剤複合体を得た。
比較例2
実施例1において、ハイシリカゼオライト混合割合が40重量%となるように市販のハイシリカゼオライト粉末(東ソー、HSZ−860NHA、SiO/Al比70、結晶形ZSM−5形)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、可視光応答型光触媒−吸着剤複合体を得た。
比較例3
比較例2において、ハイシリカゼオライト混合割合が10重量%となるように加えた以外は、比較例2と全く同様にして、可視光応答型光触媒−吸着剤複合体を得た。
比較例4
実施例1において、ハイシリカゼオライトを用いないこと以外は、実施例1と全く同様にして、可視光応答型光触媒を得た。
比較例5
市販の二酸化チタン粉末(キシダ化学、99.5%)80gと尿素240gを混合し、400〜600℃で3時間焼成することで窒素ドープの酸化チタン粒子を可視光応答型光触媒として得た。
比較例6
実施例4において、粉砕ハイシリカゼオライト懸濁液の調製の際に、粉砕時間を240分間に変更し、酸化タングステンを用いなかった以外は、実施例4と全く同様にして、可視光応答型光触媒を含まない吸着剤を得た。
なお、比較例6における吸着剤の調製の際に、粉砕時間を変更して得られたハイシリカゼオライトの粉砕時間に依存する結晶構造の変化を図5に示した。
以下の表1に実施例1〜6および比較例1〜6で得られた可視光応答型光触媒−吸着剤複合体および可視光応答型光触媒のそれぞれの特性を示す。
Figure 0006857063
実施例1〜6および比較例1〜6で得られた可視光応答型光触媒−吸着剤複合体、可視光応答型光触媒または吸着剤を用い、揮発性有機化合物の吸着・分解能の試験を、モデル化合物としてアセトアルデヒドを用いて行った。
可視光応答型光触媒−吸着剤複合体の評価照度
現在、事務所衛生基準規則では、精密な作業を行う場所では300Lx以上の照度、普通の作業を行う場所では100Lx以上の照度であることが規定されている。
また、通常、30W蛍光灯2灯を使用する八畳間では、300Lxの照度である。
さらに、晴れた日中、室内の南窓から約1mの室内の照度は、通常3,000〜5,000Lxであること等に基づき、本発明による可視光応答型光触媒−吸着剤複合体の以下の評価照度を500Lxおよび1,000Lxとした。
可視光応答型光触媒−吸着剤複合体または可視光応答型光触媒によるアセトアルデヒドの酸化分解能(アセトアルデヒド残存率)
可視光応答型光触媒−吸着剤複合体または可視光応答型光触媒10mgをシャーレに入れ、そのシャーレを5Lのガスバッグに入れ、さらにアセトアルデヒドを300ppmの濃度となるように、そのガスバッグ内に導入した。
その後、そのガスバッグに対して白色LED(照度1000Lx)を照射し、アセトアルデヒドの残存量の経時変化および二酸化炭素の発生率をガス検知管で測定した。
以下の表に、白色LED(照度1000Lx)を照射下におけるアセトアルデヒドの残存率および二酸化炭素の発生率をそれぞれ示す。
Figure 0006857063
Figure 0006857063
*発生量100%を超えた分については、測定誤差と考えられる。
二酸化炭素生成率=時間ごとの二酸化炭素量(ppm)/(アセトアルデヒド注入量(ppm)×2)
アセトアルデヒドは、炭素原子2個からなる化合物であるので、アセトアルデヒドが完全に酸化分解された際には、使用したアセトアルデヒドの2倍のモル濃度の二酸化炭素が理論上発生する。
上記の結果から、比較例5の二酸化チタンによるアセトアルデヒドの消失速度は、比較例4による酸化タングステン単体と同程度であったが、二酸化炭素の発生量が少ないことが判った。
これは、比較例5による二酸化チタンの場合、可視光線による二酸化チタンの活性化の度合いが紫外線より弱いため、アセトアルデヒドが完全に酸化分解されず、アセトアルデヒドの酸化分解反応過程で、中間体である酢酸、メタン、メタノール、ホルムアルデヒドまたはギ酸の段階で酸化分解反応が止まってしまうためと考えられる。
また、比較例6に示すようにハイシリカゼオライトをビーズミルで粉砕すると、結晶構造が破壊されることにより吸着性能が低下する。したがって、粉砕処理時間及びハイシリカゼオライトの添加量を適宜調整することにより光触媒複合体としての所望される特性を得ることができた。
可視光応答型光触媒−吸着剤複合体によるアセトアルデヒドの繰り返し分解能の加速試験評価
試験条件
実施例1によるHSZ−891HOAハイシリカゼオライト10重量%の可視光応答型光触媒−吸着剤複合体0.2gをシャーレに入れ、アセトアルデヒド30ppmが入った5Lのガスバックに入れ、白色LED(照度1000Lx)を照射し、24時間後のガスバックに存在するアセトアルデヒドの残存量から、可視光応答型光触媒−吸着剤複合体によるガスパック内におけるアセトアルデヒドの消臭率(%)を、初期の濃度(30ppm)に対し、消臭できた割合を消臭率として算出した。加速試験として、上記の使用したガスパックに24時間後に再びアセトアルデヒドを30ppmとなるように加え白色LED(照度1000Lx)を照射24時間後に消臭率を測定することを全15回行い、その結果を以下の表に示した。
Figure 0006857063
上記の結果から、本発明による可視光応答型光触媒−吸着剤複合体は、30ppmのアセトアルデヒドを繰り返し加える加速試験を行っても、8回目迄はその90%以上を酸化分解することが分かり、本発明による可視光応答型光触媒−吸着剤複合体は通常の使用ではあり得ない程の過酷な試験でも十分にその効果を維持することが判った。
本発明の可視光応答型光触媒−吸着剤複合体は、揮発性有機化合物の、高い吸着能力、および可視光応答型光触媒による高い分解能力を有するので、壁紙、壁紙用接着剤、壁用塗料、カーペット、フィルター等に添加して長期間に亘り使用できる。また容器に入れて、室内において脱臭剤として提供され得る。

Claims (8)

  1. 可視光応答型光触媒としての酸化タングステンおよび吸着剤としてのハイシリカゼオライトが複合しており、
    前記酸化タングステンが、一次粒径5〜100nmを有し、
    前記ハイシリカゼオライトが、SiO 2 /Al 2 3 組成比1200〜2200を有する水素型ハイシリカゼオライトであり、かつ前記酸化タングステンの重量に対して10〜80重量%添加されている
    ことを特徴とする可視光応答型光触媒−吸着剤複合体。
  2. 前記吸着剤が、ベータまたはZSM−5結晶形を有する請求項1に記載の可視光応答型光触媒−吸着剤複合体。
  3. 前記吸着剤が、細孔径5Å以上7Å未満を有する請求項1または2に記載の可視光応答型光触媒−吸着剤複合体。
  4. 前記可視光応答型光触媒が、さらに助触媒を担持している請求項1〜のいずれか1つに記載の可視光応答型光触媒−吸着剤複合体。
  5. 前記助触媒が、白金、パラジウムまたは銅、そのハロゲン化物、酸化物、水酸化物または塩である請求項に記載の可視光応答型光触媒−吸着剤複合体。
  6. 前記助触媒が、酸化タングステンの重量に対して0.01〜3重量%添加されている請求項またはに記載の可視光応答型光触媒−吸着剤複合。
  7. 前記可視光応答型光触媒−吸着剤複合体が、シックハウス症候群または家庭内悪臭の原因物質を吸着し、分解する請求項1〜のいずれか1つに記載の可視光応答型光触媒−吸着剤複合体。
  8. 前記原因物質が、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ギ酸、酢酸、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、アンモニア、アミン、メルカプタン、硫化水素およびイソ吉草酸からなる群に含まれる1以上の化合物である請求項に記載の可視光応答型光触媒−吸着剤複合体。
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