JP6855003B2 - マイクロデバイス、計測ユニットおよび検査装置 - Google Patents

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Description

本発明は、生体物質の分析や化学反応などに使用されるマイクロデバイス(マイクロ流体デバイス)に関し、流体制御機構を備えたマイクロデバイス(マイクロ流体デバイス)ならびにそれを備えた検査装置に関する。
近年、微細加工技術の発展に伴い、微細な流路構造やバルブ構造を集積したマイクロ統合分析システム(Micro Total Analysis System:μTAS)が注目を集めている。当該分野の研究開発の発展の中、最も有望な応用分野は個人レベルでの血中マーカー分析に基づくヘルスケアである。しかしながら、現在実現しているμTASのシステムはシリンジポンプや、バルブ集積システムやプロセッサーからなる外部制御システムが大型で複雑であり、チップデバイスの構造も複雑で製造コストが高く、個人向け製品としては採算性の観点で課題が多い。
このため、液体や流路内壁の物性の影響をほとんど受けず、安価且つ簡便な制御機構で動作可能な微細流路のバルブ構造、これを備えるマイクロデバイス等を本願発明者は特許文献1に開示している。
特許文献1には、下流側容器に気体排出口を設けると共に、上流側容器のうち気体導入口を設けたものを第1上流側容器、気体導入口を設けないものを第2上流側容器とし、第1上流側容器と下流側容器を繋ぐ流路を第1流路、第1上流側容器と第2上流側容器又は前記第1流路と第2上流側容器とを繋ぐ流路を第2流路とし、第1上流側容器から前記第1流路を介して下流側容器への送液を開始した時点では、当該第1上流側容器内の液体によって第2流路の一部が封鎖されており、送液中の所定の時点又は送液が終了した時点で当該封鎖が解除されることで、第2上流側容器からの送液が自動的に開始されるように構成したバルブ構造およびこれを備えたマイクロデバイスが開示されている。
特開2013-088211
特許文献1に示されたバルブ構造はさまざまな利点を有するが、それでも、気体導入口を設けない第2上流側容器側に、第1上流側容器側の液体のリークの虞が存在する。このようなリークを生ずるとマイクロデバイスで使用する液体に不純物が混在する虞がある。生体検査や化学分析でのマイクロデバイスの実際の使用を考えた場合、マイクロデバイスは安定でかつ簡易なものが求められる。したがって、上述の虞を排除したうえで、回転数の切り替えや外部からバルブの開閉をせずに、能動的に逐次的な流体の制御がなされるマイクロデバイスが求められている。
本発明のマイクロデバイスは、 少なくとも二つ以上のチャネル(a,b)と、第1の容器(13)を有する第1のサブデバイスとを備え、前記チャネルの各々は、第2の容器(12a)と、第2のサブデバイスとを備え、前記第2のサブデバイスは第3の容器(14a)と、一端が前記第2の容器の出力口に繋がれ、他端(11ae)が前記第3の容器の入力口に繋がれた第1の流路(11a)と、一端(15as)が前記第3の容器の出力口に繋がれ、他端(15ae)が前記チャネルごとに設けられた前記第1の容器の入力口に接続された第2の流路(15a)とを、具備し、前記第1の流路の各々は、長さ・太さ・形状の少なくとも1つが互いに異なり、前記第2の容器、前記第2のサブデバイス、前記第1のサブデバイスの順に、流路の上流側位置の基準点から離れるように構成され、前基準点を中心に回転することにより発生する遠心力または重力を力として利用し、
前記第2の流路は、前記外力の方向に逆らう方向に向かって流路を形成した第1の流路部と、前記外力の方向に従う方向に向かって流路を形成した第2の流路部とを有する第1のサイフォン構造部を備える。
また、本発明のマイクロデバイスは、少なくとも二つ以上のチャネル(a,b)と、第1の容器(13)を有する第1のサブデバイスとを備え、前記チャネルの各々は、第2の容器(12a)と、第2のサブデバイスとを備え、前記第2のサブデバイスは一端が前記第2の容器の出力口に繋がれた第1の流路(11a)を具備し、前記チャネルの各々は、前記第1の流路の他端を経由し独立して前記第1の容器の前記チャネルごとに設けられた入力口にそれぞれ接続され、前記第1の流路の各々は、長さ・太さ・形状の少なくとも1つが互いに異なり、前記第2の容器、前記第2のサブデバイス、前記第1のサブデバイスの順に、流路の上流側位置の基準点から離れるように構成され、前記基準点を中心に回転することにより発生する遠心力または重力を外力として利用し、前記第2の容器、前記第2のサブデバイスまたは前記第1のサブデバイスのうちの少なくともひとつと前記基準点とを結ぶ方向と前記外力の方向とが為す角度は、使用中一定である。
従来技術のリークの虞を排除したうえで、回転数の切り替えや外部からバルブの開閉をせずに、能動的に逐次的な流体の制御が安定してなされるマイクロデバイスを実現することができる。また、その1つの有効な実現構造を提供する。
実施例1のマイクロデバイスを示す図 本発明のマイクロデバイスが搭載されたディスクを示す図 図2に示すディスクの断面図 本発明のマイクロデバイスの動作を説明する図 本発明のマイクロデバイスの動作を説明する図 本発明のマイクロデバイスの動作を説明する図 本発明のマイクロデバイスの動作を説明する図 実施例2のマイクロデバイスを示す図 酵素免疫測定法(一例)を説明する図 実施例2のマイクロデバイスの動作検証のためのマイクロデバイスの図 図10のマイクロデバイスの各チャネルの液体がチャンバーに流れ込むまでの時間の測定結果を示す図 実施例3のマイクロデバイスを示す図 実施例4のマイクロデバイスを示す図 実施例5のマイクロデバイスを示す図 実施例6のマイクロデバイスを示す図 実施例6のマイクロデバイスの一部を示す図
本発明のマイクロデバイスで用いる液体としては、生体物質の検査や分析では、たとえば血液・蛋白・遺伝子などを含む溶液、微生物・動植物細胞などの固体成分を含む溶液があげられる。また、化学分析では、各種化学物質を含む環境水、土壌抽出水などがあげられる。さらに、それらの検査や分析に対しては、分析時に使用する各種の試薬、バッファ液、洗浄水などがあげられる。本明細書中ではこれらマイクロデバイスで用いる各種液体をまとめて単に「液体」と記載する。また、この「液体」がマイクロデバイスに搭載された状態あるいはマイクロデバイスの流路を流れる状態にあるとき「流体」と称する。
本明細書においては、本発明のマイクロデバイスの使用時に、当初液体を収容するほうを「上流」と称し、収容された液体が移動していくほうを「下流」と称する。また本発明のマイクロデバイスの各構成物の配置の関係において、後述する基準点に近い側を「上」「上部」「上側」、遠い側を「下」「下部」「下側」と称する。
図1に、本発明のマイクロデバイス(マイクロ流体デバイス:以下単にマイクロデバイスと称する)の第1の実施例(実施例1)を示す。図1に示すように、本実施例のマイクロデバイス18は、2つのチャネル(a,b)と、両チャネルがともに接続されたチャンバー(chamber)(反応器)13とを備えている。以降本明細書では、「チャネル」はチャンバーに繋がるまでの経路および/あるいはその構成物を総称して使用する。各チャネルa,bのそれぞれは、プライマリリザーバー(Primary reservoir)(あるいは初段容器)12a、12bと、セカンダリリザーバー(Secondary reservoir)(あるいは次段容器)14a、14bとを備える。流路11a、11bは、プライマリリザーバー12a、12bの最下部に設けられた出力口(11as、11bs)からセカンダリリザーバー14a、14bの最上部に設けられた入力口(11ae、11be)とに接続されている。流路15a、15bは、セカンダリリザーバー14a、14bの最下部に設けられた出力口(15as、15bs)からチャンバー最上部に設けられた入力口(15ae、15be)とに接続されており、チャンバー13で両チャネル(a、b)は合流する。このようにチャネルaおよびチャネルbは、互いに独立して構成され、各々の流路はチャンバー13に独立して接続されている。各流路(11a、11b、15a、15b)は細管で構成される。
マイクロデバイス18は、回転軸位置7(基準点)に対してプライマリリザーバー12a、12b、セカンダリリザーバー14a、14b、チャンバー13の順に近い位置に配置されるように構成されている。つまり当初液体を収容するリザーバー(容器)側を上部に、液体が流れていく側にあるチャンバーを下部にそれぞれ配置する。なお、回転軸位置7については後述するが、マイクロデバイス18はその動作時には回転軸位置7からチャンバー13の方向に外力が与えられるように構成される。図1においては、回転軸位置7から図1の下の方向に外力が与えられるように、言い換えるとマイクロデバイスの上部から下部に外力が与えられるように、構成される。回転軸位置7はマイクロデバイスの上流側を定義づける基準点でもある。
チャネルaを構成するプライマリリザーバー12aとセカンダリリザーバー14aとを結ぶ流路11aと、チャネルbを構成するプライマリリザーバー12bとセカンダリリザーバー14bとを結ぶ流路11bとは、互いに長さが異なるように構成される。ここでは流路11bが流路11aよりも長く構成されているものとする。なお、本実施例では、互いに長さが異なる構成を示したが、プライマリリザーバーからセカンダリリザーバーまでそれぞれのチャネルに流す液体が通過するために必要な時間差を生じせしめるため、流路(11a、11b)の太さ・形状が互いに異なるように構成されてもよい。あるいは、上述の時間差を生じせしめるため流路(11a、11b)の長さ・太さ・形状の少なくとも1つが互いに異なるように構成されていてもよい。流路11aおよび11bは細管で構成されているため液体が通過するためにそれぞれ所定の時間を有し、抵抗流路として機能する。
セカンダリリザーバー14a、14bそれぞれとチャンバー13とを結ぶ流路15a、15bには、各々サイフォン構造部(16a、16b)が形成される。このサイフォン構造部は、回転軸位置7に向かう方向(第1の方向)に流路を形成した第1の流路部(16a1)と、それとは逆に外力が働く方向(第2の方向)に流路を形成した第2の流路部(16a2)とを備えている。また、第1の流路部は第2の流路部よりもセカンダリリザーバー側に(上流側に)形成されている。ここで、第1の方向に向くベクトルの外力方向に対するベクトル成分が、外力の方向に対し正反対の方向であり、第2の方向に向くベクトルの外力方向に対するベクトル成分が、外力の方向に対し同一の方向であるように構成されていればよい。したがって第1の方向は外力に逆らう方向、第2の方向は外力に従う方向である。また、必要に応じ外力方向とは角度のずれを備えるように構成されていてもよいし、この条件を満たす範囲で蛇行していてもよい。図1に示す第1の実施例では、サイフォン構造部の第1の流路部16a1と第2の流路部16a2とは屈曲点16amでつながった構成である。ここで、屈曲点16amは回転軸位置(基準点)7から見てセカンダリリザーバー14aの入力口(11ae)と出力口(15as)の間に位置している。つまり、回転軸位置7と屈曲点(16am)との間隔は、回転軸位置7とセカンダリリザーバー14aの最上部(11ae)との間隔と、最下部(15as)との間隔の間(中間)の値である。なお、実際の設計時には、屈曲点(16am)は、当初プライマリーリザーバーに注入した液体の全てをセカンダリーリザーバーに移したときのセカンダリーリザーバーの水位(上部液面)の位置以下に設置する。
なお、図示していないがプライマリリザーバー12a、12b、セカンダリリザーバー14a、14b、チャンバー13には、それぞれベント(Vent)を有する。少なくとも各ベントはマイクロデバイス使用時には必要に応じて開放されている。
このように構成されたマイクロデバイス18は、図2に示すようにディスク80上の区画(81、82・・・)に1つずつ配置され、ディスク80上に1つまたは複数個備えられ、計測ユニット88を構成する。区画81にはマイクロデバイス18−1が、区画82にはマイクロデバイス18−2が配置され、必要に応じて同様にマイクロデバイス18が備えられる。なお、広義の意味では測定ユニット88自身もマイクロデバイスである。また、ディスク80は、例えばCD(コンパクトディスク)やDVD(デジタルビデオディスク)と同等の基板であればよい。ディスク80の中心にはディスク80を回転させるディスク駆動装置の回転軸を受ける穴を有する。この穴の中心が前述の回転軸位置7に相当する。このようにして作成された測定ユニット88は、ディスクの駆動装置などとともに装置として組み込まれ生体検査装置や化学分析装置などの検査装置を構成する。
図3は、ディスク80上に形成されたマイクロデバイス18−1に示すラインL16の部分の断面構造を示したものである。ライン16は、図1に示すマイクロデバイス18のセカンダリリザーバー14aと流路15aに形成されたサイフォン部16bの断面構造である。94はディスク80の基材部であり、そのうえにポリジメチルシロキサン(Polydimethylsiloxane:PDMS)シート(PDMSシート)93を備える。さらにこのPDMSシート上に形成したPDMS層92に、リソグラフィー手法を用いてセカンダリリザーバー部95と、サイフォン部の細管96とが形成されている。PDMS層の上部はテーピング91されている。リソグラフィー手法でマイクロデバイスの流路(場合によっては容器部分も)を形成できることは、精密でかつ形状にばらつきの少ないコピーを安価にかつ大量に生産できる。このことは、半導体プロセスの実績からも明らかである。
上述のように構成された本発明のマイクロデバイスの流体制御機構について流体制御の原理とともに説明する。図4から図7は本発明のマイクロデバイスの動作を説明する図である。図4から図7では実施例1のマイクロデバイス18を例として示している。なお、ここでは、説明のためチャンバー13をそれぞれチャネルごとに分けてチャンバー13a、13bとして示している。所望のマイクロデバイスの流体制御において、2つのチャネルa、bに流す液体をチャンバーにて混合させる場合には1つのチャンバー13として構成すればよいが、その動作は同様である。
上述のように構成されたマイクロデバイス18の液体制御機構は2段階のシーケンスを目的としている。この実施例での構成では、セカンダリリザーバー14a、14bからチャンバー13へ液体(fla、flb)が注入される順序を制御できるものである。
まず、マイクロデバイス18が構成されたディスクをテーピング91が上となるように水平に配置する。そして、図4に示すように、まず初めにプライマリリザーバー12a、12bにそれぞれ所望の液体を収容する。本実施例においては、プライマリリザーバー12a、12b上のテーピング91に穴を設けることによりそこに注入することが可能である。
次にマイクロデバイス18が搭載されたディスク80上の計測ユニット88を回転軸位置7を中心に回転させる(たとえば図2のR1の方向)。この時ディスク80の回転数は所望の回転数であってよく、回転数の設定値を一定としていてよい。この結果、チャネルaのプライマリリザーバー12aおよびチャネルbのプライマリリザーバー12bに注入された液体に遠心力が印加される。本実施例ではこの遠心力が上述の外力(F10)に相当する。したがって所望通り外力が回転軸位置7からマイクロデバイス18のチャンバー13の方向に印加される。液体(fla、flb)はそれぞれ抵抗流路(11a、11b)に注入され、その後セカンダリリザーバー(14a、14b)に流れ込む。セカンダリリザーバーの先にはサイフォン構造部(16a、16b)があるため、液体(fla、flb)はいったんセカンダリリザーバーに蓄積される。チャネルa、bの液体(fla、flb)それぞれに同じ体積力(遠心力)が働いているので抵抗流路の短いチャネルaほうがチャネルbよりもより速くセカンダリリザーバーに液体を蓄積する(図5)。
そして一定の量の液体がセカンダリリザーバーに蓄積された後、液体はサイフォン構造部を乗り越えチャンバー13に流れ込み、チャンバー13へ液体が注入される。チャネルaほうがチャネルbよりもより速くセカンダリリザーバーに液体を蓄積されるため、チャンバー13aへの液体の注入はチャネルaが先となる(図5、図6)。
チャネルbは、流路11bが長いため、その抵抗が大きく、液体flbのセカンダリリザーバー14bへの蓄積が遅くなるため、チャネルaより遅れてチャンバー13bへ液体flbが注入される(図7)。
おおよそセカンダリリザーバーに蓄積された液体の上部液面が、サイフォン構造部の屈曲点より上のレベルまで達するとサイフォン構造部を液体が流れ始める。したがって図5のチャネルaに示すように屈曲点16amの位置までセカンダリリザーバーに蓄積された液体の上部液面のレベルがレベルlb1からレベルla1の間に達してからチャンバー13への液体の流入が始まる。この屈曲点16amの位置を変えることによってもチャネルaを通過する液体の時間制御が行える。
以上説明したことから、本実施例にあっては回転数の切り替えや、外部からバルブの開閉をせずに能動的に逐次的な流体の制御を実現できる。また、デバイス上に複雑なバルブ機構を搭載することなく、定常回転に於いても能動的に逐次的な液体の制御を実現できる。しかも2つの液体はチャネルを独立して構成しているため、チャンバー13ではじめて混合させることができ流路途中での液体の混在等を避けることができる。単一の回転数によって生じさせた遠心力を外力として特段の外部トリガを与えることなく、流路への空気のリークなどによる2つの液体の意図しないタイミングでの混在を起こさずに、2以上の液体を時間差をつけてチャンバーに供給することができる。分析結果にばらつきが生じる原因の1つとなりうるチャンバーでの液体の混在タイミングがずれることを防ぐ。また、チャンバー以外での液体の混在は分析結果にばらつきが生じる原因の1つとなりうるので、チャンバー以外での液体の混在を生じせしめないことは重要である。
また、図2、図3を用いて本発明の測定ユニットや検査装置の例を説明した。しかしながら測定ユニット(広義としてのマイクロデバイス)の実施の形態は、上述のようなディスクに限られない。たとえば、スティック状の遠心管あるいはアダプターにマイクロデバイスを形成し遠心機で外力をかけるような構成をとることも可能である。近年は、3Dプリンターによりこのようなスティック状の遠心管あるいはアダプターが作成可能である。
図3では、PDMS層の上にテーピング91による封しを施す構成とした。テーピング91に代えてチャンバーや細管をPDMS層92に中空構造で構成することも可能である。
図8に本発明の第2の実施例を示す。また、図9に酵素免疫測定法(Enzyme−Linked Immuno−sorbent assay:ELISA)の一例を説明する図を示す。図8はマイクロデバイスによる酵素免疫測定法による検査の実現することを念頭に構成した実施例であり、実施例1で示した構成にさらに2つのチャネルを加え4チャネル構成としたものである。したがってチャネル数が増えたこと以外に実質的に実施例1と同様である。
本実施例2のマイクロデバイス68は、4つのチャネル(a、b、c、d)と、全チャネルがともに接続されたチャンバー(chamber)53とを備えている。各チャネルa、b、c、dのそれぞれは、プライマリリザーバー(Primary reservoir)52a〜52dと、セカンダリリザーバー(Secondary reservoir)54a〜54dと、プライマリリザーバー(52a〜52d)とセカンダリリザーバー(54a〜54b)とをそれぞれ接続する流路(51a〜51d)が備えられている。さらにチャネルa〜チャネルdはセカンダリリザーバー(52a〜52d)とチャンバー53と接続する流路55a〜55dを各々独立して備える。
マイクロデバイス68も、マイクロデバイス18と同様に、回転軸位置(基準点)7に対してプライマリリザーバー52a〜52d、セカンダリリザーバー54a〜54d、チャンバー53の順に近い位置に配置されるように構成されている。
また各チャネルの流路51a〜51dは、その流路の長さが51a<51b<51c<51dとなるように、また互いに異なるように構成される。長さに代えて、太さや形状を変えて、細管で構成された流路51a〜51dそれぞれを液体が通過するための所定の時間が51a<51b<51c<51dとなるように(つまりプライマリリザーバー52aから52dに格納された流体(液体)は、チャネルa、チャネルb、チャネルc、チャネルdの順にチャンバー53に到達するように)抵抗流路を構成している。
流路55a〜55dには、各々サイフォン構造部(56a〜56d)が形成され、その構造は実施例1と同様である。なお、プライマリリザーバー52a〜52d、セカンダリリザーバー54a〜54b、チャンバー53には、それぞれベント(Vent)を有する。図8においては、セカンダリリザーバー54a〜54b、チャンバー53のそれぞれに対応するベント57a〜57d、57zを示す。各ベントはマイクロデバイス使用時には必要に応じて開放しておく。また、チャンバー53からの排液はサイフォン構造部56z(第2のサイフォン構造部)を備えた流路を介して排液槽58へなされるよう構成される。サイフォン構造部56zも、サイフォン構造部(56a〜56d)や実施例1でのサイフォン構造部(16a、16b)と同様に、回転軸位置7に向かう方向(第3の方向)に流路を形成した流路部(第3の流路部)と、それとは逆に外力が働く方向(第4の方向)に流路を形成した流路部(第4の流路部)とを備えている。つまり第3の方向は外力に逆らう方向であり、第4の方向は外力に従う方向である。
マイクロデバイス68も、マイクロデバイス18と同様に図2に示すようにディスク80上に構成され、その構造は同じである。
図9に示す酵素免疫測定法の一例は次のとおりである。
ステップ1(S101):事前準備として、ピペット(106)等で血液(102)を試験管101等に適量とり、遠心分離により血液の上澄み(血漿)103を取り出す。この血漿に被検物質(107)が含まれる。その一方、あらかじめ補足用抗体104と検出用標識抗体103とをチャンバー内に塗布した反応器(チャンバー)105を準備する。ここで検出用標識抗体103は抗体に酵素や蛍光色素が標識されているものであり、HRP(Horse Radish Peroxidase)がもっとも良く用いられる。
ステップ2(S102):血漿を準備したチャンバー105へ投入(S102−1)し血漿中の被検物質107としばらく反応させた(S102−2)のち、血漿を除去する(S102−3)。この時点でチャンバー105の内壁には被検物質107に補足用抗体104と検出用標識抗体103との反応物が付着している(107b)。107aは一方だけ付着したもの。
ステップ3(S103):余分な血漿を洗い流すため、リン酸緩衝生理食塩水(Phosphate Buffered Saline:PBS)108を用いてチャンバー105の内壁を洗浄する。なおPBSに界面活性剤を添加したものを用いる事が多い。なお、この洗浄は複数回行われることが多い。
ステップ4(S104):洗浄後の発色試薬(基質)109の注入を行いチャンバー105の内壁に付着している被検物質107に補足用抗体104と検出用標識抗体103との反応物の発色を促す(S104−1)。発色試薬としてはテトラメチルベンジジン(TMBZ)などが使われる。所定の時間が経過したのち、発色反応を停止させるためにさらに1M(mol/l)の硫酸H2SO4を投入する(S104−2)。チャンバー105にはTMBZ(109)に硫酸の加わった溶液110ができる。
ステップ5(S105):ステップ4にて発色を停止させた状態で被検物質107の発色度合を吸光度法などを用いて計測し、被検物質107の量を測定する。
このような酵素免疫測定の本発明のマイクロデバイス62での実施は次のようにして実現できる。すなわちマイクロデバイス62のチャンバー53の内壁にあらかじめステップ1(S101)に示す補足用抗体104と検出用標識抗体103とを塗布したものを準備する。次にチャネルaのプライマリリザーバー52aに血液の上澄み(血漿)を、チャネルbのプライマリリザーバー52bに洗浄液(たとえばPBS)を、チャネルcのプライマリリザーバー52cに基質(TMBZ)を、チャネルdのプライマリリザーバー52dに停止薬(1M−H2SO4)をそれぞれ準備する。この後、マイクロデバイス62を搭載したディスク80を一定の回転数で回転させ外力とし遠心力を印加する。マイクロデバイス68は上述のとおり構成され所定の回転数で印加される遠心力によりシーケンシャルに分析を実行する。プライマリリザーバー52aから52dに格納された流体(液体)は、チャネルa、チャネルb、チャネルc、チャネルdの順にチャンバー53に到達するように構成されている。なお、ここでは各チャネルの流体が完全にチャンバー53に注入された後、十分な時間で所望の時間間隔をもって次の流体がチャンバー53に入るように流路51a〜51dの長さ(あるいは太さ・形状、それらの混合)を備えるものとする。したがって、補足用抗体104と検出用標識抗体103が内壁に塗布されたチャンバー53に血液の上澄み(血漿)を注入し、十分血漿中の被検物質(107)と反応させ、続いて洗浄液によるチャンバー53の洗浄、基質注入による発色、停止薬による発色反応の停止を続けて実願することが可能である。
また、各チャネルa〜チャネルdに備えたサイフォン構造部により、セカンダリリザーバー54a〜54dには所望の量の流体(液体)が溜まるまで液体は溜めおかれ、所定の量が蓄積された後、一気にチャンバー53に注入することができるため、より実際の分析方法と同じ状態を実現できることとなる。これも実施例1と同様である。
所定の時間基質を反応させた後に反応を停止する停止薬がチャンバー53に到達するようにし、かつ、基質溶液と停止薬の混合液がサイフォン構造部56zに到達しないようにして排液槽58に流れでないようにすれば、チャンバー53内の混合液を比色法等の方法により分析結果を得る事が出来る。
なお、本応用例は一例にしかすぎず、さまざまな生体検査・化学分析に適用が可能である。
図10は、実施例2のマイクロデバイスの動作検証のために構成したマイクロデバイスである。これは図9の分析手法を図8のマイクロデバイスで実現できるかの動作検証のために作成したものである。
図10のマイクロデバイス68’は、チャンバー53を各チャネルごとに分けて構成(53a〜53d)し、排液槽58およびチャンバーから排液槽58への流路56zとを省略した構成である。マイクロデバイス68’ならびにそれを備えたディスク80等は実施例1と同じつくりである。ベント57za〜57zdはチャンバー53に相当する各チャネルごとに分けて記した容器(53a〜53d)にそれぞれ対応して作成している。これらベント57za〜57zdはチャンバーを1つにまとめた場合は、1つのベント57zとして構成される。ベントホールはテープ表面に穴をあけることにより作成している。
図2、図3に示すマイクロデバイスと同じように作成したマイクロデバイス68’を用いた実験では一定の回転数(1700rmp)で回転させた。この時のマイクロデバイスは、図3に示すPDMS層の膜圧が3mmであるように構成した。実験では、マイクロデバイスに流す液体としては青色に着色した水を用いて可視化し、デバイスの回転開始からチャンバーへの液体の注入が開始されるまでの時間を測定した。観察方法には、サーボモータとストロボスコープからなる撮影システムを利用し、ストロボのフラッシュをデバイスの回転に同期させて撮影する方法を採用した。この結果、1)マイクロデバイス68’の素材であるPDMS(上述)は疎水性のため液体をプライマリリザーバーに注入しただけでは流路には流れ込まずマイクロデバイス68を回転させ遠心力がかかると流れ始めること、2)セカンダリリザーバーの流体の蓄積は最も抵抗流路の短いチャネルaが最も速く最初に流体がサイフォン構造部を乗り越えチャンバー53aへの注入を開始し続いてチャネルb、c、dの順に蓄積を開始し全チャネルの液体がそれぞれのチャンバー53a〜53dに移動することがそれぞれ確認できた。
図11は図10のマイクロデバイス68’の各チャネルの液体がチャンバーに流れ込むまでの時間の測定結果を示したものである。これは、同様の実験を3度行い、マイクロデバイスの回転の開始(すなわち各チャネルのプライマリリザーバーに収容された液体が同時に外力を受けた時点)からチャンバー53a〜53dへの液体の注入が開始されるまでにかかる時間を測定し、その測定結果の平均と標準偏差を示している。いずれの実験でもシーケンスの順序が入れ替わることはなく高い再現性が確認できている。図11に示すように、本実験では、回転を止めることなく定常回転下で5分間以上の流体制御を実現している。
さらにデバイスの回転速度や、流路の長さや径を調整することで、さらに自由度の高い設計を実現できる。これにより、上述の酵素免疫測定法(ELISA)等の化学分析プロセスの自動化にも対応可能なマイクロデバイスが作成できることがわかる。
本発明の第3の実施例(実施例3)を図12に示す。これは図1の実施例からセカンダリリザーバーと、セカンダリリザーバーとチャンバーとを結ぶ流路とを取り除いた一番シンプルな構成であり、その他は実施例1と同様である。
各チャネル(a、b)はプライマリリザーバー(1a、2b)と流路(1a、1b)とをそれぞれ備え、チャネルaの流路1aは、プライマリリザーバー2aとチャンバー3に、チャネルbの流路1bは、プライマリリザーバー2bとチャンバー3に、それぞれ独立して接続されるように構成されている。流路1と流路2とは、実施例1と同様、流路の長さ・太さ・形状の少なくとも1つが互いに異なるように構成され、チャネルa、bからの液体の注入開始が逐次的に異なるように構成されている。
これは、実施例1でサイフォン構造部を備えなくとも分析のシーケンスの対応が可能である場合には、さらにマイクロデバイスの構成が簡素化できるので有用である。
本発明の第4の実施例(実施例4)を図13に示す。これは図1の実施例におけるマイクロデバイス18のサイフォン構造部16aを変更したものであり、その他の構成は実施例1と同様である。
第4の実施例におけるマイクロデバイス78のサイフォン部16a’は、屈曲点16amを、セカンダリリザーバー14aの最上部(11ae)よりもさらに上部になるように構成したものである。ここではチャネルaについて述べるがチャネルbについても同様にしている。
上述の通り、おおよそセカンダリリザーバーに蓄積された液体の上部液面が、サイフォン構造部の屈曲点より上のレベルまで達するとサイフォン構造部を液体が流れ始める。したがって図13のチャネルaに示すように屈曲点16amの位置まで液体が満たされるためには、流入側の上部液面は図13に示すレベルlb2からレベルla2に達する必要がある。すなわち、本実施例においては、セカンダリリザーバー14aが液体で満杯に満たされた後、チャンバー13への液体の流入が始まる。実際の動作にあたっては、マイクロデバイスの構造や溶液の性質、使用時の環境条件等により、サイフォン構造部を流れ出す液面のレベルは変動する。実施例1においては、サイフォン構造部を流れ出す液面レベルがla1,lb1のあたりにあるため、その変動の影響を強く受ける。一方、本実施例ではセカンダリリザーバー14aが満杯になった時点で液体がセカンダリリザーバー14aと流路11aに満たされるように変化するので、この時点で一気にサイフォン構造部を流れ出すように制御できる。したがって、サイフォン構造部を流れ出す時間の変動を抑えることができる。
本実施例の第5の実施例(実施例5)を図14に示す。図14も図1に示すマイクロデバイス18のサイフォン構造部16aの変更を行ったものである。簡略化のため図14はサイフォン構造部16a’’のみ記している。本実施例のサイフォン構造部16a’’は、屈曲点16amにおいて流路15aの細管の太さを第1の流路部16a1、第2の流路部16a2と比較し太く構成されている。ここでは第1の流路部16a1、第2の流路部16a2の細管の断面積S2が屈曲点での細管の断面積S1よりも小さく構成している。つまり屈曲点16amでの断面積S2が他より大きいように交際される。
このようにすることに、サイフォン構造部の屈曲点を通過する時点で、流路に流れる液体と細管との表面張力を緩和することが可能となる。この結果、液体にかける外力が小さくても容易に屈曲点を液体が通過することが可能となり、分析時に回転数を下げることができ、その結果各チャネルを液体が通過するために要する時間を長くすることができる。このことは、本マイクロデバイスを用いた分析にかけられる時間を長くすることに繋がり、実施例2で示した生体検査のような分析のための反応に時間を要する場面で大きな効果を表すこととなる。これについては他の生体検査や化学分析も同様である。
図15は第6の実施例(実施例6)のマイクロデバイスの全体図を示す。図15に示すマイクロデバイス208のチャネルaは、プライマリリザーバー111a(第2の容器)、流路112a(第1の流路)、セカンドリザーバー114a(第3の容器)、流路115a(第2の流路)から構成される。またマイクロデバイス208はチャンバー113(第1の容器)は、チャネルaと、さらに2つのチャネルとがそれぞれ独立して接続される。チャンバー113から排液槽118(第4の容器)に繋がる流路115z(第3の流路)を備える。流路115aはサイフォン構造部116a(第1のサイフォン構造部)を備え、流路115zはサイフォン構造部116z(第2のサイフォン構造部)を備える。サイフォン構造部115aは、実施例2のサイフォン構造部(56a〜56d)や実施例1でのサイフォン構造部(16a、16b)と同様に、回転軸位置7に向かう方向(第1の方向)に流路を形成した第1の流路部と、それとは逆に外力が働く方向(第2の方向)に流路を形成した第2の流路部とを備えている。サイフォン構造部116zも、実施例2のサイフォン構造部56zと同様に、回転軸位置7に向かう方向(第3の方向)に流路を形成した流路部(第3の流路部)と、それとは逆に外力が働く方向(第4の方向)に流路を形成した流路部(第4の流路部)とを備えている。
図16はマイクロデバイス208の一部を簡易化して表した図であり、チャンルaのセカンドリザーバー114a、流路115aと、チャンバー113、流路115z、排液槽118のみを抜き出したものである。また、図16ではチャンバー113には接続されるチャネルaのみを示し、接続された他のチャネルは簡易化のため図示していない。
生体検査や化学分析においては、検査や分析の手順にあわせて、チャンバーには試料や試薬、洗浄液が所定の順番で所定の量、注入されることが要求される。たとえば図9に示すような酵素免疫測定法を使った生体検査をする場合、試料(血漿)や発色試薬(基質)などは所定の量が着実にチャンバー113に入らなければならない。また試料(血漿)はあらかじめチャンバー113内に塗布された補足用抗体104と検出用標識抗体103とに反応させるため所定の時間チャンバー113内に留め置く必要がある。したがって所定の量の試料を途切れることなくチャンバー113に注入される必要がある。
試料(血漿)をチャンバー113に注入するためのチャネルaは、プライマリリザーバー111aに収容した試料がセカンダリリザーバー114aにほぼすべてが移動した時点でサイフォン構造部116aの屈曲点116amを液体が超え、一気に試料がチャンバー113に流れ込むように設計される。しかしながら、実際にはマイクロデバイスの製造ばらつきや検査時の環境条件(環境温度・気圧・気圧など)の変化がある。このため、プライマリリザーバー111aや流路112aにまだ試料が残っているにも関わらず、セカンダリリザーバー114aに溜まった試料が屈曲点116amを超えて先にチャンバー113に注入される場合が想定される。続けてセカンダリリザーバー114aに流入する試料は、流路115aを試料が満たしているならば続けて流れるが、上段の流路112aからの試料の流入が少なければ気泡が入ってしまう。そうなると後続の試料は再びセカンダリチャンバー113に溜まることとなる。その結果、当初設計した量の試料がチャンバー113に流入せず検査が不正確になる。
これを防ぐために、セカンダリリザーバー114aの出力口115asとチャンバー113の入力口115ae(第2のポイント)は回転軸位置(基準点)7を中心とする円の円周(L4a)上にのるように構成する。つまりチャンバー114aの出力口115asとチャンバー113の入力口115aeそれぞれの回転軸位置(基準点)7からの距離が等しくなるように構成する。こうすることによって、試料がすべてセカンダリリザーバー114aに移る前に溜まった試料が流路115aに流れ出しても、セカンダリリザーバー114aの液面が出力口115asより下がらす液体をとどめておくことができる。したがって後続して流入する液体も逐次チャンバー113に流し込むことが可能となる。
セカンダリリザーバー114aの出力口から流路115aへ液体が流入するには、流路115aの毛管力よりも出力口の液体の水頭圧が大きくなることにより流入が始まる。実施例6のより効果的な構成を実現するためには、セカンダリリザーバー114aの出力口がこの毛管力と水頭圧とが等しくなるポイント(第1のポイント)とすればよい。そしてそのポイントとチャンバーの入力口のポイントとを基準点7からの距離が同じとなるように構成すればよい。
一方、試料の液体をチャンバー113から送出し、チャンバーを洗浄して反応を止める場面では、チャンバー113に溜まった液体を完全に流し切ることが望まれる。したがってチャンバー113の出力口(115zs)は、排液槽118の入力口よりも基準点側に寄せた構造とすることが望ましい。回転軸位置(基準点)7を中心とした円の円周L4bよりも外側、つまり下流側に排液槽の入力口(115ze)を構成する。詳細には、チャンバー(113)の出力口と流路(115z)とがつながる位置(第3のポイント)と基準点7との距離に比べ、排液槽(118)の入力口と流路(115z)とがつながる位置(第4のポイント)と基準点との距離を大きくとり、チャンバー(113)の出力口から流路(115z)に流れ込む液体の第5のポイントでの水頭圧がチャンバー(113)の出力口側の流路(115z)の毛管力に比べ大きくする。
以上説明した本発明のマイクロデバイスは、生体検査や化学検査などで使用する液体のリークや混在の虞を解決して、さらにその検査ステップをシーケンシャルに実行可能とする。このため、1.最初に液体を収容するプライマリリザーバー(第2の容器)と、2.収容された液体に時間差をつけて移送する第1のサブデバイスと、3.移送された液体を順次反応させる(場合によっては反応物を排出させる)チャンバー(第1の容器)を備える第2のサブデバイスとから構成される。
実施例1では、プライマリリザーバー(第2の容器)は、図1の12aや12bがこれに相当する。第2のサブデバイスは、流路11a、11b(第1の流路)、セカンダリリザーバー14a、14b(第3の容器)、流路15a、15b(第2の流路)よりなる。サイフォン構造部(16a、16b)も第2のサブデバイスの構成要素である。第1のサブデバイスは、チャンバー13(第1の容器)がこれに相当する。
実施例2では、プライマリリザーバー(第2の容器)は、図8の52a〜52dがこれに相当する。第2のサブデバイスは、流路51a〜51d(第1の流路)、セカンダリリザーバー54a〜54d(第3の容器)、流路55a〜55d(第2の流路)よりなる。サイフォン構造部(56a〜56b)も第2のサブデバイスの構成要素である。第1のサブデバイスは、チャンバー53、流路55z(第3の流路)、排液槽58(第4の容器)がこれに相当する。サイフォン構造部(56z)も第2のサブデバイスの構成要素である。なお、動作説明を行った図10のように、図8のマイクロデバイス68から流路55z(第3の流路)、排液槽58(第4の容器)を削った構成のマイクロデバイス68’では、実施例1とチャネル数が異なったもので、他は実施例1と同じ構成であり、第1のサブデバイスはチャンバー53がこれに相当する。
実施例3では、プライマリリザーバー(第2の容器)は、図12の2aや2bがこれに相当する。第2のサブデバイスは、流路1a、1b(第1の流路)がこれに相当する。第1のサブデバイスは、チャンバー13(第1の容器)がこれに相当する。
実施例4のマイクロデバイス78は図13のようにサイフォン構造部(16a’)が置き換わっただけのものであり実施例1や実施例2と同様に第1、第2のサブデバイスは定義づけられる。なおサイフォン構造部(16a’)も第2のサブデバイスの構成要素である。
実施例5も図14のようにサイフォン構造部16a’’にサイフォン構成部を変えただけであり、実施例1や実施例2、実施例4と同様に第1、第2のサブデバイスは定義づけられる。
実施例6のプライマリリザーバー(第2の容器)は、図15の111aがこれに相当する。第2のサブデバイスは、流路112a(第1の流路)、セカンダリリザーバー114a(第3の容器)、流路115a(第2の流路)よりなる。サイフォン構造部116aも第2のサブデバイスの構成要素である。第1のサブデバイスは、チャンバー113(第1の容器)、流路115z(第3の流路)、排液槽118(第4の容器)がこれに相当する。サイフォン構造部116z(第2のサイフォン構造部)も第1のサブデバイスの構成要素である。実施例6ではプライマリリザーバー111aの図15の図面左側のリザーバーから流路を経由してチャンバー113に繋がるチャネルも備えられているが、ここではそれらを特にカテゴライズしない。したがって実施例6(図15)も実施例2の一変形例である。
なお、本明細書において、外力はディスクの回転によって生じせしめた遠心力を使った例を示しているが、原理的には重力を利用することも可能である。
以上説明したように本発明は、1つの外力を遠心力を利用して与えるのみで実現できる。また外部からバルブの開閉を必要としない。液体の流れる時間に差をつけた流路や、サイフォン構造部の構成で、従来例のようなリークの虞も排除した能動的に逐次的な流体の制御がなされるマイクロデバイスを実現することができる。
たとえば、生体検査・化学分析に利用が可能である。
a〜d チャネル
1a〜1b、11a〜11b、51a〜51d、111a プライマリリザーバー
2a〜2b、12a〜12b、52a〜52d、112a 流路
3、13、53、113 チャンバー
14a〜14b、14a〜14d、114a セカンダリリザーバー
15a〜15b、55a〜55d、115a、115z 流路
15a’〜15b’ 流路
16a〜16b、56a〜56d、116a、116z サイフォン構成部
16am、56am、116am、116zm 屈曲点
16a’、16a’’ サイフォン構成部
1as〜1bs、11as〜11bs プライマリリザーバー出力口
1ae〜1be、11ae〜11be セカンダリリザーバー入力口
15as〜15bs、115as セカンダリリザーバー出力口
15ae〜15be、115ae チャンバー入力口
115zs チャンバー出力口
118 排液槽
115ze 排液槽入力口
57a〜57d、57za〜57zd、57z ベント
7 回転軸位置(基準点)
8、18、18−1、18−2、78、208 マイクロデバイス
80 ディスク
81、82 区画
91 テーピング
92 PDMS層
93 PDMSシート
94 基材部
95 セカンダリリザーバー部
96 細管
fla、flb 液体
F10 外力

Claims (11)

  1. 少なくとも二つ以上のチャネル(a,b)と、
    第1の容器(13)を有する第1のサブデバイスと
    を備え、
    前記チャネルの各々は、
    第2の容器(12a)と、
    第2のサブデバイスと
    を備え、
    前記第2のサブデバイスは
    第3の容器(14a)と、
    一端が前記第2の容器の出力口に繋がれ、他端(11ae)が前記第3の容器の入力口に繋がれた第1の流路(11a)と、
    一端(15as)が前記第3の容器の出力口に繋がれ、他端(15ae)が前記チャネルごとに設けられた前記第1の容器の入力口に接続された第2の流路(15a)とを、
    具備し、
    前記第1の流路の各々は、長さ・太さ・形状の少なくとも1つが互いに異なり、
    前記第2の容器、前記第2のサブデバイス、前記第1のサブデバイスの順に、流路の上流側位置の基準点から離れるように構成され、
    基準点を中心に回転することにより発生する遠心力または重力を力として利用し、
    前記第2の流路は、前記外力の方向に逆らう方向に向かって流路を形成した第1の流路部と、前記外力の方向に従う方向に向かって流路を形成した第2の流路部とを有する第1のサイフォン構造部を備える、
    マイクロデバイス。
  2. 少なくとも二つ以上のチャネル(a,b)と、
    第1の容器(13)を有する第1のサブデバイスと
    を備え、
    前記チャネルの各々は、
    第2の容器(12a)と、
    第2のサブデバイスと
    を備え、
    前記第2のサブデバイスは
    一端が前記第2の容器の出力口に繋がれた第1の流路(11a)を
    具備し、
    前記チャネルの各々は、前記第1の流路の他端を経由し独立して前記第1の容器の前記チャネルごとに設けられた入力口にそれぞれ接続され、
    前記第1の流路の各々は、長さ・太さ・形状の少なくとも1つが互いに異なり、
    前記第2の容器、前記第2のサブデバイス、前記第1のサブデバイスの順に、流路の上流側位置の基準点から離れるように構成され、
    さらに第3の容器(14a)と
    一端(15as)が前記第3の容器の出力口に繋がれた第2の流路(15a)とを
    備え、
    前記第1の流路(11a)の他端(11ae)が前記第3の容器の入力口に繋がれ、
    前記チャネルの第2の流路の他端(15ae)が前記チャネルごとに設けられた前記第1の容器の入力口に接続され、
    前記基準点を中心に回転することにより発生する遠心力または重力を外力として利用し、
    前記第2の流路の各々は、前記外力の方向に逆らう方向に向かって流路を形成した第1の流路部と、前記外力の方向に従う方向に向かって流路を形成した第2の流路部とを有する第1のサイフォン構造部を具備し、
    前記第2の容器、前記第2のサブデバイスまたは前記第1のサブデバイスのうちの少なくともひとつと前記基準点とを結ぶ方向と前記外力の方向とが為す角度は、使用中一定であるマイクロデバイス。
  3. 前記第1のサブデバイスは、さらに
    第4の容器(58)と
    一端(55zs)が前記第1の容器の出力口に繋がれた第3の流路(55z)とを
    備え、
    前記第3の流路(55z)の他端(55ze)が前記第4の容器の入力口に繋がれ、
    前記第3の流路は、前記外力の方向に逆らう方向に向かって流路を形成した第3の流路部と、前記外力の方向に従う方向に向かって流路を形成した第4の流路部とを有する第2のサイフォン構造部を備える、
    請求項1または2に記載のマイクロデバイス。
  4. 前記第3の容器(114a)の出力口と前記第2の流路(115a)とがつながる第1のポイントと前記基準点との距離と、前記第1の容器(113)の入力口と前記第2の流路(115a)とがつながる第2のポイントと前記基準点との距離との距離が等しい請求項1乃至3のいずれか一項に記載のマイクロデバイス。
  5. 前記第1の流路部と前記第2の流路部とは、第1の屈曲点を介して互いに接続され、
    前記第1の屈曲点と前記基準点との距離が、前記第3の容器のもっとも前記基準点に近いポイントと前記基準点との距離よりも長い請求項1乃至4のいずれか一項に記載のマイクロデバイス。
  6. 前記第1の屈曲点での流路を形成する細管の断面積が、前記第1のサイフォン構造部の流路の前記屈曲点以外のポイントでの細管の断面積よりも大きい請求項5に記載のマイクロデバイス。
  7. 前記第1の容器(113)の出力口と前記第3の流路(115z)とがつながる第3のポイントと前記基準点との距離に比べ、前記第4の容器(118)の入力口と前記第3の流路(115z)とがつながる第4のポイントと前記基準点との距離が長い請求項3に記載のマイクロデバイス。
  8. 前記マイクロデバイスが、ディスク上に形成され、前記基準点が前記ディスクの中心である請求項1乃至7のいずれか一項に記載のマイクロデバイス。
  9. 前記ディスクが、PMDS(Polydimethylsiloxane)層を備え、前記PMDS層に、前記マイクロデバイスの流路を形成した請求項8に記載のマイクロデバイス。
  10. 請求項8または9に記載のマイクロデバイスを前記ディスク上に、1つまたは複数形成した計測ユニット。
  11. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載のマイクロデバイスを備えたことを特徴とする検査装置。
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