JP7464271B2 - 分離装置及び分離方法、並びに検査装置及び検査方法 - Google Patents

分離装置及び分離方法、並びに検査装置及び検査方法 Download PDF

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Description

本発明は、分離装置及び分離方法、並びに検査装置及び検査方法に関する。
血液は採血によって容易に採取可能であるため、最も頻繁に用いられる臨床試料の一つである。血液は、液体成分である血漿又は血清と、固体成分である血球等とを含む。血液からの有用な情報は、主として液体成分に含まれている生体成分の分析によって得られるので、生体成分を分析する際には、血液を液体成分と固体成分とに分離する固液分離が行われる。
近年、試料・試薬の微量化、分析工程の高速化、及び自動化を目指して生体成分の分析の微量化技術が開発されており、血液の固液分離を効率よく実現することが技術的課題の一つとして挙げられる。
また、生体成分の分析では、血液の液体成分に含まれるタンパク質等の夾雑成分が計測原理上、化学的及び物理的な阻害要因となるため、生体成分の分析ではタンパク質等の夾雑成分を除去する前処理が行われている。したがって、生体成分の分析を臨床に適用するには、血液の固液分離や血液の液体成分の前処理から計測までを連続的かつ自動的に実行可能な技術の提供が求められており、中でも、血液の固液分離や前処理を自動化することが技術的課題の一つである。
そこで、例えば、血液の固液分離や前処理の自動化方法として遠心式マイクロ流体デバイスが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この遠心式マイクロ流体デバイスは遠心力駆動であることから、血液の固液分離や血液の液体成分の前処理を簡易な方法で実現できるものと期待されている。
しかしながら、上記遠心式マイクロ流体デバイスにおける血液の固液分離や前処理方法としては、比較的技術的な難易度が低い血液の固液分離に関する技術が報告されているにすぎず、血液の液体成分に対して分離促進剤を添加し、混合撹拌を行い、タンパク質を変性させた上で除去するような、より複雑な前処理を簡易かつ確実に実現できる技術の開発が求められているのが現状である。
特開2004-109082号公報
本発明は、従来における前述の諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、溶液から夾雑成分を除去するような、より複雑な前処理をワンステップで効率よく行うことができる分離装置、及び分離方法、並びに検査装置及び検査方法を提供することを目的とする。
前述の課題を解決するための手段としての本発明の分離装置は、溶液に対し、外力を印加した状態で分離促進剤を混合し、前記溶液に含まれる成分の内、前記分離促進剤との接触により前記溶液から分離可能となった分離成分を分離する溶液分離部と、前記溶液分離部において前記溶液から前記分離成分が分離された分離後溶液を移送させる分離後溶液移送機構と、を有する。
本発明の分離方法は、外力を印加しても互いに分離しない成分を含む溶液に対し、外力を印加した状態で分離促進剤を混合し、前記溶液に含まれる成分の内、前記分離促進剤との接触により前記溶液から分離可能となった分離成分を分離する溶液分離工程と、前記溶液分離部において前記溶液から前記分離成分が分離された分離後溶液を移送させる分離後溶液移送工程と、を含む。
本発明の検査装置は、本発明の分離装置と、前記分離装置によって分離された分離後溶液に対し検査を行う検査部と、を有する。
本発明の検査方法は、本発明の分離方法によって分離された分離後溶液に対し検査を行う検査工程を含む。
本発明によると、溶液から夾雑成分を除去するようなより複雑な前処理をワンステップで効率よく行うことができる分離装置、及び分離方法、並びに検査装置及び検査方法を提供することができる。
図1は、第1実施形態の分離装置の一例を示す概略図である。 図2Aは、第1実施形態の分離装置を用いて本発明の分離方法を行う様子を示す概略図である(その1)。 図2Bは、第1実施形態の分離装置を用いて本発明の分離方法を行う様子を示す概略図である(その2)。 図2Cは、第1実施形態の分離装置を用いて本発明の分離方法を行う様子を示す概略図である(その3)。 図2Dは、第1実施形態の分離装置を用いて本発明の分離方法を行う様子を示す概略図である(その4)。 図3は、第1実施形態の分離装置を用いて、混合撹拌槽内への分離促進剤の注入流量と混合溶液の撹拌効果の関係を示すグラフである。 図4は、分離促進剤の混合撹拌槽への注入流量が0.1μL/s、0.04μL/s、及び予め完全に撹拌した混合溶液について、混合撹拌槽の画像解析を行った結果を示す図である。 図5は、従来方法(手作業)により前処理を行った分離後溶液(分離後血清)のMSスペクトルである。 図6は、第1実施形態の分離装置を用いた本発明の分離方法により前処理を行った分離後溶液(分離後血清)のMSスペクトルである。 図7は、第2実施形態の分離装置の一例を示す概略図である。 図8Aは、第2実施形態の分離装置を用いた本発明の分離方法の一例を示す図である(その1)。 図8Bは、第2実施形態の分離装置を用いた本発明の分離方法の一例を示す図である(その2)。 図8Cは、第2実施形態の分離装置を用いた本発明の分離方法の一例を示す図である(その3)。 図8Dは、第2実施形態の分離装置を用いた本発明の分離方法の一例を示す図である(その4)。 図8Eは、第2実施形態の分離装置を用いた本発明の分離方法の一例を示す図である(その5)。 図9は、分離装置をディスク上にセットして回転させることにより遠心力をかける状態の一例を示す図である。 図10は、図9のL1-L1線での断面図である。 図11は、第3実施形態の分離装置の一例を示す図である。 図12Aは、第3実施形態の分離装置を用いた本発明の分離方法の一例を示す図である(その1)。 図12Bは、第3実施形態の分離装置を用いた本発明の分離方法の一例を示す図である(その2)。 図12Cは、第3実施形態の分離装置を用いた本発明の分離方法の一例を示す図である(その3)。 図12Dは、第3実施形態の分離装置を用いた本発明の分離方法の一例を示す図である(その4)。 図12Eは、第3実施形態の分離装置を用いた本発明の分離方法の一例を示す図である(その5)。 図13は、第4実施形態の分離装置の一例を示す図である。 図14は、第1実施形態の検査装置の一例を示す図である。 図15は、第2実施形態の検査装置の一例を示す図である。
(分離装置及び分離方法)
本発明の分離装置は、溶液に対し、外力を印加した状態で分離促進剤を混合し、前記溶液に含まれる成分の内、前記分離促進剤との接触により前記溶液から分離可能となった分離成分を分離する溶液分離部と、前記溶液分離部において前記溶液から前記分離成分が分離された分離後溶液を移送させる分離後溶液移送機構と、を有し、更に必要に応じてその他の部を有する。
本発明の分離方法は、外力を印加しても互いに分離しない成分を含む溶液に対し、外力を印加した状態で分離促進剤を混合し、前記溶液に含まれる成分の内、前記分離促進剤との接触により前記溶液から分離可能となった分離成分を分離する溶液分離工程と、前記溶液分離部において前記溶液から前記分離成分が分離された分離後溶液を移送させる分離後溶液移送工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の分離方法は、本発明の分離装置により実施することができ、溶液分離工程は溶液分離部により行うことができ、分離後溶液移送工程は分離後溶液移送機構により行うことができ、その他の工程はその他の部により行うことができる。
本発明の分離方法及び本発明の分離装置によると、溶液から夾雑成分を除去するような複雑な前処理をワンステップで、工数が少なく短時間で効率よく行うことができる。
<溶液分離工程及び溶液分離部>
溶液分離工程は、外力を印加しても互いに分離しない成分を含む溶液に対し、外力を印加した状態で分離促進剤を混合し、前記溶液に含まれる成分の内、前記分離促進剤との接触により前記溶液から分離可能となった分離成分を分離する工程であり、溶液分離部によって行われる。
-溶液-
溶液としては、外力を印加しても互いに分離しない成分を含む溶液であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、血清、血漿、唾液、胃液、膵液、胆汁、尿、涙液、鼻汁、浸出液、漏出液、脳脊髄液等の生体試料;微生物、動物細胞、植物細胞等を含む溶液;海水、陸水、土壌、河底土、湖底土、海底土、排水等の環境試料;分析時に使用する各種の試薬、バッファ液、洗浄水などが挙げられる。これらの中でも、生体成分の分析においては、血液を固液分離した液体成分である血清又は血漿が好適である。
-分離促進剤-
分離促進剤としては、溶液との接触により分離成分を生じさせることができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール溶液、含水エタノール、アセトン、アセトニトリル、トリクロロ酢酸、過塩素酸などが挙げられる。含水エタノールとしては、50%エタノール水溶液が好適である。
これらの中でも、溶液が血漿である場合には、分離促進剤としてはアルコール溶液が好ましい。
-分離成分-
分離成分とは、溶液に含まれる成分の内、外力を印加しても分離せず、分離促進剤との接触により溶液から分離可能となった成分であり、「余剰成分」又は「夾雑成分」を意味し、ある分析における対象成分以外の成分を意味する。
分離成分としては、生体試料の場合には、例えば、タンパク質(ペプチドを含む)、ヌクレオチド(オリゴヌクレオチドを含む)、脂質、糖質、低分子代謝物(アミノ酸、核酸、有機酸等)などが挙げられる。
これらの中でも、溶液が血漿であり、分離促進剤がアルコール溶液である場合には、タンパク質が挙げられる。
-外力-
外力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、遠心力、重力、押圧力などが挙げられる。これらの中でも、分離装置を搭載した回転体を、回転軸位置(基準点)を中心に回転させることにより生じる遠心力が好ましい。
分離装置に外力を印加することにより、溶液から分離成分を分離する力、分離後溶液を移送する力などが生じる。
更に、分離装置に外力を印加することにより、分離装置内の溶液等をチャンバーや流路に流す力が生じる。なお、以下の説明では、外力の印加方向の上流側を単に「上流側」又は各部の「上部」と称し、下流側を単に「下流側」又は各部の「下部」若しくは「底部」と称する。
外力が遠心力である場合には、例えば、円盤状の分離装置を載置した回転体を回転させることにより、分離装置に遠心力を印加して溶液等を流す力を生じさせてもよい。
外力が重力である場合には、例えば、一端から他端に溶液等を移送することで分注ができる構造を有する柱状の分離装置とし、分注する際には一端を他端より高い位置にすることにより、溶液や流体試料を流す力を生じさせてもよい。
外力が押圧力である場合には、例えば、分離装置に設けられた溶液等が充填されている容器をアクチュエータなどで押圧することにより、溶液等を流す力を生じさせてもよい。
溶液分離部は、分離促進剤を移送する分離促進剤移送路を有し、分離促進剤移送路が分離促進剤を溶液分離部に導入する速度を適宜調節することが、溶液と分離促進剤の混合撹拌が促進される点から好ましい。
分離促進剤移送路における分離促進剤を溶液分離部に導入する速度の調節方法としては、例えば、分離促進剤移送路の流路の形状、構造、長さ、大きさを調整する方法などが挙げられる。
溶液分離部としての溶液分離容器、及び分離促進剤移送路等は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリジメチルシロキサン(Polydimethylsiloxane:PDMS)等の材料を用いてリソグラフィー手法により作製することができる。また、より剛性が高い材料として、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、シクロオレフィン(COP)などを用いて、射出成形等により、溶液分離容器や分離促進剤移送路等を作製することもできる。
溶液分離容器は、効率よく遠心力を印加するため、回転可能な回転体上に配置されていることが好ましい。この場合、分離後溶液移送機構も一緒に回転体上に搭載してもよく、分離後溶液移送機構を別体としても構わない。
回転体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円盤状のディスクが好適である。円盤状のディスクとしては、例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)等と同様なものを用いることができる。
回転体上に溶液分離容器を載置し、回転体を、回転軸位置を中心に回転させることにより溶液分離容器に対し遠心力を印加することができる。回転体の回転数としては、所望の回転数であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、回転数を上下に調整する制御が不要である点から、一定の回転数であることが好ましい。
回転体上に複数個の溶液分離容器を搭載することにより、一度に複数の分離を同時に効率良く行うことができる。
また、回転体上に分離装置と検査装置とを連結させてセットにすることにより、溶液からの分離成分の分離と、分離した分離後溶液の検査までをワンステップで自動実施することができる。この場合、検査装置による検査を分離装置に印加された外力と同じ外力が印加された状態で分離後溶液に対し検査を行うことができる。
<分離後溶液移送工程及び分離後溶液移送機構>
分離後溶液移送工程は、前記溶液分離部において前記溶液から前記分離成分が分離された分離後溶液を移送させる工程であり、分離後溶液移送機構により実施される。
分離後溶液移送機構としては、例えば、分離後溶液に対して外力を印可する機構である抽出用加圧機構などが挙げられる。
抽出用加圧機構としては、例えば、抽出用加圧媒体注入槽と、時間調整機構である水時計と、加圧槽とを有し、抽出用加圧媒体を加圧する。
抽出用加圧媒体としては、液体及び気体の少なくともいずれかであって、かつ溶液と非相溶であることが好ましい。
液体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、アルコール等の親水性溶媒、オイルなどが挙げられる。オイルとしては、例えば、流動パラフィン、ミネラルオイルなどが挙げられる。
気体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、空気、窒素やアルゴン等の不活性気体などが挙げられる。なお、試料に対して極端に溶解性が高いアンモニア等は用いられない。
抽出用加圧媒体を移送させる移送機構としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、抽出用加圧媒体容器、屈曲状流路、及びサイフォン構造の少なくともいずれかを有することが好ましい。移送機構を設けることにより、溶液分離容器内に抽出用加圧媒体を移送する時間が適正となるように調整することができ、例えば、溶液分離容器内で溶液と固形分とに分離が完了後に、抽出用加圧媒体を溶液分離容器内に移送するように調整することができる。
屈曲状流路としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、「つづら折れ(ヘアピンカーブ)状」、「くの字状」、「コの字状」、「Sの字状」、「Yの字状」、「Tの字状」、「十字状」、又はこれらの組み合わせなどが挙げられる。
屈曲状流路を採用することにより、直線状流路に比べて流路の長さが長くなるため、加圧媒体が流路を通過する時間が長くなるように調整することができる。
抽出用加圧媒体容器は、固液分離容器の前に(上流に)設けられ、屈曲状流路と流路を介して連通しており、抽出用加圧媒体を一時的に収容する容器である。
抽出用加圧媒体容器を固液分離容器の前に(上流に)設けることにより、固液分離容器内に抽出用加圧媒体を移送する時間を稼ぐことができる。
抽出用加圧媒体容器の大きさ、形状、構造、数などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
抽出用加圧機構としての抽出用加圧媒体注入槽、水時計、加圧槽、及びこれらを接続する流路は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリジメチルシロキサン(Polydimethylsiloxane:PDMS)等の材料を用いてリソグラフィー手法により作製することができる。
<分離後溶液収容工程及び分離後溶液収容部>
分離後溶液収容工程は、分離後溶液移送工程において移送された分離後溶液を収容する工程であり、分離後溶液は分離後溶液収容部に移送される。
分離後溶液収容部の大きさ、形状、構造、数などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
分離後溶液収容部に収容された分離後溶液は、分離後溶液収容部と検査装置とを連通する流路によって、検査部に運ばれ、検査部において検査が行われる。なお、流路を省略して、分離後溶液収容部と検査部が直接連結していてもよい。
分離後溶液収容部及び分離対象移送流路などは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶液分離部と同じ材料及び製造方法により作製することができる。
次に、本発明の分離方法及び本発明の分離装置は、互いに非相溶で比重の異なる2以上の成分を含む流体試料に対し外力を印加して、流体試料を溶液と固形分とに分離する固液分離部と、固液分離部によって分離された前記溶液に対し圧力を印加して前記溶液を前記溶液分離部に移送させる溶液移送機構と、を更に有することが好ましい。
このような本発明の分離方法及び分離装置によると、流路の途中にバルブや電磁弁等を設けることなく、簡易な時間調整機構を搭載すれば定常回転でも制御可能であり、互いに非相溶で比重の異なる2以上の成分を含む流体試料から極めて純度の高い溶液を固液分離することができる。例えば、流体試料としての血液を、血球等の固形分と、液体成分である血漿又は血清とに固液分離することができる。
ここで、時間調整機構とは、流体試料や加圧媒体の時間を調整することができる機構であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水時計、流路の形状、構造、長さ、大きさの調整、又は中継容器、サイフォン構造などが挙げられる。
<固液分離工程及び固液分離部>
固液分離工程は、互いに非相溶で比重の異なる2以上の成分を含む流体試料に対し外力を印加して、溶液と固形分とに分離する工程であり、固液分離部により実施される。
流体試料としては、互いに非相溶で比重の異なる2以上の成分を含むものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、互いに非相溶で比重の異なる固体と液体とからなる試料などが挙げられる。
互いに非相溶で比重の異なる固体と液体とからなる試料としては、例えば、血液、唾液、胃液、胆汁、尿等の生体試料などが挙げられる。これらの中でも、生体成分の分析の試料としては血液が好適である。
血液は、液体成分としての血漿と、固体成分としての血球、血小板などを含む。血球としては、例えば、赤血球、白血球などが挙げられる。
血液中の固体成分の割合はヘマトクリット値として表すことができる。ヒト血液のヘマトクリット値は、通常、40%~60%である。
外力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記溶液分離部で説明した外力と同様なものが挙げられる。これらの中でも、分離装置を載せた回転体を、回転軸位置(基準点)を中心に回転させることにより生じる遠心力が好ましい。
外力を印加することにより、互いに非相溶で比重の異なる2以上の成分を含む流体試料を溶液と固形分とに分離する力などが生じる。
固液分離部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、固液分離容器を有することが好ましい。
固液分離容器は、該固液分離容器内で流体試料に対し外力としての遠心力を印加して流体試料を溶液と固形分とに分離することができるものであれば大きさ、形状、構造、数などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
固液分離部としての固液分離容器及び接続する流路は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリジメチルシロキサン(Polydimethylsiloxane:PDMS)等の材料を用いてリソグラフィー手法により作製することができる。
また、固液分離部などは、どのような材料を用いたとしても、外力や圧力の変化により多少は形状が変化するため、剛性が高い材料を使用することが好ましい。このような剛性が高い材料としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、シクロオレフィン(COP)などが挙げられる。これらの材料を用いて、射出成形等の一般的な成形方法により、固液分離部などを作製することができる。
また、弾性による変形を小さくする場合には、固液分離容器及び固液分離容器に接続する流路の断面形状を正方形や円形等のアスペクト比が1に近い形状とすることが好ましい。これにより、固液分離容器及び固液分離容器に接続する流路の変形による液面位置の変動を小さくすることができる。
固液分離容器は、効率よく遠心力を印加するため、回転可能な回転体上に配置されていることが好ましい。この場合、溶液移送機構も一緒に回転体上に搭載してもよく、溶液移送機構を別体としても構わない。
回転体としては、溶液分離部で説明した回転体と同様のものを用いることができる。
回転体上に分離容器を載置し、回転体を、回転軸位置を中心に回転させることにより分離容器に対し遠心力を印加することができる。回転体の回転数としては、所望の回転数であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、回転数を上下に調整する制御が不要である点から、一定の回転数であることが好ましい。
回転体上に複数個の固液分離容器を搭載することにより、一度に複数の固液分離を同時に効率良く行うことができる。
また、回転体上に分離装置と検査装置とを連結させてセットにすることにより、流体試料の分離から該分離した分離後溶液の検査までをワンステップで自動実施することができる。この場合、検査装置による検査を分離装置に印加された外力と同じ外力が印加された状態で分離対象に対し検査を行うことができる。
<溶液移送工程及び溶液移送機構>
溶液移送工程は、固液分離工程において分離された溶液に対し圧力を印加して前記溶液を固液分離部に移送させる工程であり、溶液移送機構により行われる。
前記圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、分離された溶液を加圧するように印加されることが好ましい。これにより、溶液中の気泡の発生及び気泡の膨張を抑えることができ、溶液について検査装置で正確に検査を行うことができる。
溶液移送機構は、固液分離容器内に加圧媒体を移送させ、加圧媒体による圧力によって固液分離容器内の溶液を分離容器外に移送させることができる。
加圧媒体としては、分離後溶液移送機構の抽出用加圧媒体と同様なものを用いることができる。
固液分離容器内に加圧媒体を移送させる移送機構としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、分離後溶液移送機構の抽出用媒体を移送させる機構と同じものが挙げられる。
移送機構を設けることにより、固液分離容器内に加圧媒体を移送する時間が適正となるように調整することができ、例えば、固液分離容器内で溶液と固形分とに分離が完了後に、加圧媒体を固液分離容器内に移送するように調整することができる。
加圧媒体容器と固液分離容器とを繋ぐ流路にはサイフォン構造を設けることが好ましい。サイフォン構造を設けることにより、加圧媒体容器内の加圧媒体の注入量が所定量以上になった際に、固液分離容器内に加圧媒体を円滑に移送させることができる。
サイフォン構造としては、サイフォンの原理により、加圧媒体を固液分離容器内に連続的に移送できる構造であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加圧媒体容器と固液分離容器とを連通する流路に設けられたU字状構造などが挙げられる。
更に、溶液移送機構としては、加圧媒体容器と固液分離容器の間に設けられ、加圧媒体が注入することで生じる圧力により固液分離容器内の溶液を固液分離容器外に移送させる内圧調整容器を有することが好ましい。
溶液移送機構としての内圧調整容器を有することにより、加圧媒体として、内圧調整容器内の気体を用いることができる。気体は、互いに非相溶で比重の異なる2以上の成分を含む流体試料と接しても相溶することがないので、加圧媒体として好適である。例えば、固体を含む液体試料が血液である場合には、加圧媒体容器に導入する加圧媒体としてオイル以外にも、水を用いることができる。
内圧調整容器の大きさ、形状、構造、数などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
溶液移送機構としての加圧媒体容器、屈曲状流路、サイフォン構造、及び内圧調整容器等による分離対象を加圧する時間としては、分離完了の時間を基準とし、更に、例えば、流路の長さ、流路の直径、加圧媒体の粘性、回転体上の分離装置の配置(回転体の回転軸位置からの距離)、回転体の回転数、及び加圧媒体の密度などから、加圧媒体に加わる遠心力を求め、これらを総合的に判断して、計算することにより適宜設計することができる。
溶液移送機構としての加圧媒体容器、屈曲状流路、サイフォン構造、及び内圧調整容器などは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分離後溶液移送機構と同じ材料及び製造方法により作製することができる。
<収容工程及び収容部>
収容工程は、移送工程において移送された溶液を収容する工程であり、収容部により実施される。
収容部の大きさ、形状、構造、数などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
固液分離容器内で分離された溶液を固形分等のコンタミネーションが生じないように収容部に移送させるため、固液分離容器の溶液が存在する位置に開孔する分離対象移送流路で固液分離容器と収容部とを連通させることが好ましい。例えば、流体試料として血液を用い、溶液として血漿を収容部に移送する際には、血液のヘマトクリット値に基づき、固形分である血球が混入しない位置に分離対象移送流路の取出孔を設けることができる。
また、分離対象移送流路の形状を適正化すること、及び固液分離容器の溶液が存在する位置に開孔した分離対象移送流路で固液分離容器と収容部とを連通させる際に固液分離容器との接続角度を適正化することが、固形分によるコンタミネーションが生じない点から好ましい。
収容部に収容された溶液は、溶液分離部により分離成分を分離された分離後溶液とされ、分離後溶液移送機構によって分離後溶液収容部に収容され、分離後溶液収容部と検査装置とを連通する流路によって、検査部に運ばれ、検査部において検査が行われる。
なお、収容部及び分離対象移送流路などは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、固液分離部と同じ材料及び製造方法により作製することができる。
<その他の部>
その他の部としては、例えば、ベント、調量部、制御部などが挙げられる。
ベントとしては、例えば、固液分離容器、溶液分離容器、収容部、分離後溶液収容部、加圧媒体容器、抽出用加圧媒体容器、圧力調整容器等の各容器と連通させて設けられている。固液分離容器等にベントを設けることにより、固液分離容器内の空気を効率よく逃がすことができる。
制御部としては、例えば、定常回転するモーター等のシンプルな制御装置が利用可能である。
分離装置の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶液分離部、固液分離部、分離後溶液移送機構、溶液移送機構、分離後溶液収容部及び収容部が一体であってもよく、少なくともいずれかが別体であってもよく、それぞれが別体であってもよい。
分離装置の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、外力が遠心力であれば、回転可能な回転体上に配置可能な形状が好ましく、平板状、円盤状などが更に好ましい。また、分離装置の形状としては、円盤状の円の中心から所定の角度で切り取った形状(いわゆる「扇形」)であってもよい。
ここで、本発明の分離装置の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。また、下記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
<分離装置の第1実施形態>
図1は、第1実施形態の分離装置の一例を示す概略図である。この図1の分離装置1は、血液に抗凝固剤を加えて血球等の固形分を除去した溶液である血漿から、タンパク質等の夾雑成分を除去した分離後溶液を抽出する装置である。なお、第1実施形態の分離装置の溶液である血漿としては、後述する第2又は第3実施形態の分離装置によって血液を血漿と固形分に分離した溶液(血漿)を用いることが好ましい。
この図1の分離装置1は、溶液(血漿)が注入され、収容される溶液注入槽2と、分離促進剤(50%エタノール水溶液)が注入され、収容される分離促進剤注入槽3と、溶液としての血漿と分離促進剤としての50%エタノール水溶液とを混合して混合溶液とする混合撹拌槽5と、混合溶液から夾雑成分を除去して分離後溶液に精製する分離精製槽7と、分離後溶液に対して外力を印可してサンプル抽出槽9に移送する図1中点線で囲んだ抽出用加圧機構Bと、を有している。なお、図1中Aは回転体の回転軸位置を表す。
抽出用加圧機構Bは、抽出用加圧媒体注入槽4と、水時計6と、加圧槽8とを有し、抽出用加圧媒体による分離後溶液に対する加圧を制御する。
まず、図2Aに示すように、溶液(血漿)は溶液注入槽2に注入され、分離促進剤(50%エタノール水溶液)は分離促進剤注入槽3に注入されている。抽出用加圧機構Bの抽出用加圧媒体注入槽4には加圧媒体(水)が注入されている。これらの部材を有する分離装置1を回転体10としてのコンパクトディスク状プラットフォーム(図示を省略)に搭載し、回転軸位置Aの周りに回転させて遠心力CFを印加する。
次に、回転体10の回転を開始すると、溶液(血漿)は溶液注入槽2から混合撹拌槽5に直ちに注入され、溶液(血漿)からやや遅れて分離促進剤としての50%エタノール水溶液が分離促進剤注入槽3から分離促進剤移送路としての屈曲状流路3aを介して混合撹拌槽5に注入され、50%エタノール水溶液と溶液(血漿)が混合撹拌される。分離促進剤移送路3aの流路の形状、構造、長さ、大きさを調整することによって分離促進剤(50%エタノール水溶液)の流速を適切に調節することができる。これによって、50%エタノール水溶液と溶液(血漿)との混合撹拌が促進される。
溶液及び分離促進剤の混合撹拌槽5への注入と同時に、抽出用加圧媒体としての水が抽出用加圧媒体注入槽4から水時計6に移動を開始する。
次に、回転体10の回転を続けると、図2Bに示すように、混合撹拌槽5が50%エタノール水溶液と溶液(血漿)との混合溶液によって満たされると、混合溶液は分離精製槽7に移動する。このとき、溶液(血漿)と50%エタノール水溶液の混合体積比は混合撹拌槽5に注入される溶液(血漿)の体積と混合撹拌槽5の容積に応じて調整できる。この混合溶液の分離精製槽への移動によって分離促進剤と溶液(血漿)の混合はより促進される。なお、この混合溶液の分離精製槽への移動の段階では、抽出用加圧媒体としての水は水時計6を徐々に満たしている状況である。
次に、この状態において、回転体10の回転を維持すると、図2Cに示すように、混合溶液に遠心力が印加されるため、混合溶液中で変性されるタンパク質等の夾雑成分は遠心分離され、分離後溶液が得られる。上記遠心分離が十分に進んだ段階において、水時計6が抽出用加圧媒体としての水により満たされ、抽出用加圧媒体の加圧槽8への移動が開始する。
次に、図2Dに示すように、加圧槽8が抽出用加圧媒体としての水により満たされると、抽出用加圧媒体としての水に置換された空気は分離精製槽7内の分離後溶液(分離後血漿)を加圧するため、分離精製槽7内の分離後溶液の上澄み部のみがサンプル抽出槽9に移動し、収容される。
以上により、溶液(血漿)中からタンパク質等の夾雑成分を除去した分離後溶液(分離後血漿)がワンステップで効率よく得られる。
[実験1]
図1に示す第1実施形態の分離装置1を用い、溶液として着色水(サフラニン0.2%水溶液)を使用し、混合撹拌槽内への分離促進剤(50%エタノール水溶液)の注入流量と混合溶液の撹拌効果について実験を行った。
50%エタノールの混合撹拌槽への注入流量が0.1μL/s、0.04μL/s、及び予め完全に撹拌した混合溶液について、混合撹拌槽の長手方向位置を変えて、画像解析により輝度を測定した。結果を図3に示した。図3の結果から、50%エタノールの注入流量が0.1μL/sよりも0.04μL/sの方が完全に撹拌した混合溶液の色調分布に近いことがわかる。したがって、50%エタノールの注入流量と混合溶液の撹拌性能との間に相関が認められた。
また、50%エタノールの混合撹拌槽への注入流量が0.1μL/s、0.04μL/s、及び予め完全に撹拌した混合溶液について、混合撹拌槽の画像解析を行った結果を図4に示した。図4の結果から、撹拌が不十分であると混合撹拌槽の長手方向に色調のグラデーションが生じることがわかった。
以上の結果から、本発明の分離装置によると、分離促進剤の注入流量を少なくすることによって混合溶液の撹拌を促進する効果が得られることがわかった。
[実験2]
従来方法(手作業)と、図1に示す第1実施形態の分離装置を用いた本発明の分離方法とにより、溶液として血清(ヒトプール血清、コスモ・バイオ株式会社製)、分離促進剤として50%エタノール水溶液を用い、前処理を行った分離後溶液(分離後血清)について、探針エレクトロスプレーイオン化質量分析装置を用いて質量分析を行った。図5は、従来方法(手作業)により前処理を行った分離後溶液(分離後血清)のMSスペクトルである。図6は、図1に示す第1実施形態の分離装置を用いた本発明の分離方法により前処理を行った分離後溶液(分離後血清)のMSスペクトルである。
図5及び図6の結果から、従来方法(手作業)で前処理した分離後溶液(分離後血清)から検出される質量電荷比(m/z)ピークが、第1実施形態の分離装置を用いた本発明の分離方法により前処理を行った分離後溶液(分離後血清)においても失われずに検出されていることがわかった。このことから、本発明の分離装置を用いた本発明の分離方法は、従来方法(手作業)と同レベル正確さで、溶液から夾雑成分を除去するようなより複雑な前処理をワンステップで効率よく行うことができることがわかった。
<分離装置の第2実施形態>
図7は、第2実施形態の分離装置40を示す平面図である。この図7の第2実施形態の分離装置40は、加圧媒体導入チャンバー21と、試料導入チャンバー22と、加圧媒体チャンバー24と、分離部としての分離チャンバー31と、収容部としての収容チャンバー23とを有する。
加圧媒体導入チャンバー21と加圧媒体チャンバー24との間には、屈曲状流路26を有する。加圧媒体チャンバー24と分離チャンバー31との間には、中継流路36を有し、中継流路の途中にはサイフォン構造27が設けられている。
加圧媒体の移送機構としての屈曲状流路26、加圧媒体チャンバー24、中継流路36、及びサイフォン構造27の働きにより、分離チャンバー31内で分離された分離対象に圧力を印加して分離対象を収容チャンバー23に収容する。
試料導入チャンバー22と分離チャンバー31との間には、試料導入チャンバー22に導入された互いに非相溶で比重の異なる2以上の成分を含む流体試料を分離チャンバー31に移送する試料移送流路32が設けられている。
分離チャンバー31と収容チャンバー23との間には、分離チャンバー31によって分離された分離対象を収容チャンバー23に移送する分離対象移送流路28が設けられている。
各流路26、36、32、及び28は、いずれも細管で構成されており、長さ、太さ、及び形状の少なくとも1つが互いに異なるように構成してもよい。
なお、図7中29、34、及び35は、各チャンバー内の空気を逃がすためのベントである。図7中Aは、回転軸位置(基準点)を示す。
加圧媒体導入チャンバー21には、加圧媒体が所定量導入される。加圧媒体としては、液体及び気体の少なくともいずれかであって、分離対象と非相溶であることが好ましい。
試料導入チャンバー22には、互いに非相溶で比重の異なる2以上の成分を含む流体試料が所定量導入される。
試料導入チャンバー22に導入された、互いに非相溶で比重の異なる2以上の成分を含む流体試料は、外力を印加することにより分離チャンバー31に移送される。その後、互いに非相溶で比重の異なる2以上の成分を含む流体試料は、更に外力が印加されることにより、分離チャンバー31内で、溶液と固形分とに分離される。
移送機構としての屈曲状流路26、加圧媒体チャンバー24、中継流路36、及びサイフォン構造27により、分離チャンバー31内に加圧媒体を移送させる。この加圧媒体による圧力によって、分離チャンバー31内で分離された溶液が収容チャンバー23に移送される。この際、加圧媒体と、互いに非相溶で比重の異なる2以上の成分を含む流体試料とは分離チャンバー31内で接するため、加圧媒体と流体試料とは非相溶であることが好ましい。そして、収容チャンバー23内に収容されている溶液は、第1実施形態の分離装置の溶液分離部における分離対象の溶液となる。これにより、固形分を分離した溶液を用いて溶液から夾雑物質を除去する前処理をワンステップで効率よく行うことができる。
ここで、図8A~図8Eに示すように、第2実施形態の分離装置40としての血液分離装置を用い、互いに非相溶で比重の異なる2以上の成分を含む流体試料としての血液の分離を行った。
まず、図8Aに示すように、加圧媒体としてのミネラルオイルを加圧媒体導入チャンバー21内にピペットを用いて5μL導入する。
一方、互いに非相溶で比重の異なる2以上の成分を含む流体試料としての血液を試料導入チャンバー22内にピペットを用いて10μL導入する。
次に、図9に示すように、分離装置40をディスク90上に搭載し、回転方向R1、1,500rpmで回転させることにより、図7に示す分離装置40の試料導入チャンバー22内の血液25、及び加圧媒体導入チャンバー21内のオイル33に対し、遠心力CFを印加することができる。ディスク90の中心には、このディスク90を回転させるディスク駆動装置の回転軸を受ける穴を有する。この穴が分離装置40の回転軸位置Aに相当する(図7参照)。
なお、分離装置40は、図9に示すように、ディスク90上の区画(91、92・・・)にそれぞれ1つずつ配置して、複数の分離装置40を搭載することができる。
図10は、ディスク90上に搭載された分離装置40のL1-L1線での断面構造を示し、L1-L1線は、図7に示す分離装置40の加圧媒体チャンバー24と中継流路36に形成されたサイフォン構造27の断面を表す。94はディスク90の基材部である。基材部94の上にポリジメチルシロキサン(Polydimethylsiloxane:PDMS)シート(PDMSシート)93を有する。PDMSシート93上に形成したPDMS層92に、リソグラフィー手法を用いて加圧媒体チャンバー部95と、サイフォン構造の細管96とが形成されている。PDMS層92の上にはカバー層91が設けられている。この場合、材料の弾性の影響を減じるには、各チャンバーの断面形状を正方形や円形等のアスペクト比が1に近い形状とすることが好ましい。なお、より剛性が高い材料として、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、シクロオレフィン(COP)などを用いて、射出成形等により、リザーバーや流路等を作製することもできる。
次に、図8Bに示すように、加圧媒体導入チャンバー21内のオイル33は、外力としての遠心力CFが印加されると、屈曲状流路26を通過し加圧媒体チャンバー24内に注入される。その際、加圧媒体チャンバー24は、加圧媒体チャンバー24内と連通するベント29を有しているので、加圧媒体チャンバー24内にオイル33がスムーズに注入される。
一方、試料導入チャンバー22内の血液25は、外力としての遠心力CFが印加されると、試料移送流路32を通り分離チャンバー31に注入される。その際、分離チャンバー31は、分離チャンバー31内と連通するベント34を有しているので、分離チャンバー31内に血液25がスムーズに注入される。
次に、図8Cに示すように、加圧媒体導入チャンバー21内のオイル33は、遠心力CFが所定時間印加されると、屈曲状流路26を通過して加圧媒体チャンバー24内に所定量まで溜まる。
一方、分離チャンバー31内の血液25は、遠心力CFが所定時間印加されると、分離チャンバー31内で血漿25aと血球25bとに分離される。
次に、図8Dに示すように、更に遠心力CFが印加されると、加圧媒体チャンバー24内に溜まったオイル33の量が所定量を超える。すると、サイフォンの原理により、U字形状のサイフォン構造27を乗り越えて分離チャンバー31内にオイルが注入する。すると、オイル33の圧力によって分離チャンバー31内の血漿25aが、分離対象移送流路28を通じて収容チャンバー23に移送される。その際、収容チャンバー23は、収容チャンバー23内と連通するベント35を有しているので、収容チャンバー23内に血漿25aがスムーズに注入される。
この第2実施形態の検査装置では、分離チャンバー31内において、オイル33と血漿25aとが接するが、両者は非相溶であるため、血漿25aがオイル33で汚染されることはない。
分離対象移送流路28は、分離チャンバー31の収容チャンバー23側の血漿25aが存在する位置に開孔するように接続されている。
次に、図8Eに示すように、更に遠心力CFが印加されると、分離チャンバー31内にオイル33が更に注入される。このオイル33の圧力によって収容チャンバー23内に分離チャンバー31内の血漿25aの大部分が注入され、収容される。以上により、血液分離が完了する。
このように、第2実施形態の分離装置としての血液分離装置は、オイル33が分離チャンバー31内に注入されるまでの時間を予め設計しておくことにより、血液分離が完了した後、血漿にオイル33の圧力を印加するように調整することができる。
なお、図示を省略しているが、分離チャンバー31は、図1の第1実施形態の分離装置1の溶液注入槽2と流路を介して連通しており、第2実施形態の分離装置40で分離された血漿の前処理を行うことができる。
<分離装置の第3実施形態>
図11は、第3実施形態の分離装置80の一例を示す平面図である。この図11の第3実施形態の分離装置80は、加圧媒体チャンバー62と分離部としての分離チャンバー65との間に、内圧調整チャンバー63を有する以外は、図7の第2実施形態の分離装置40と同様の構成である。なお、図11の分離装置80において、既に説明した第2実施形態の検査装置18と同一の構成については、その説明を省略する。
この第3実施形態の分離装置80によれば、加圧媒体導入チャンバー61に導入する加圧媒体として分離対象である溶液と相溶する加圧媒体であっても用いることができ、加圧媒体の選択幅を広げることができる。
試料導入チャンバー64と分離チャンバー65との間には、試料導入チャンバー64に導入された互いに非相溶で比重の異なる2以上の成分を含む流体試料を分離チャンバー65に移送する試料移送流路73が設けられている。
分離チャンバー65と収容チャンバー66との間には、分離チャンバー65内で分離された分離対象を収容チャンバー66に移送する分離対象移送流路74が設けられている。
内圧調整チャンバー63内は、加圧媒体としての空気が満たされており、内圧調整流路81を介して分離チャンバー65と連通している。
加圧媒体導入チャンバー61と加圧媒体チャンバー62との間には、連結流路79を介して屈曲状流路68が設けられている。
加圧媒体チャンバー62と内圧調整チャンバー63との間には、中継流路70を有し、中継流路70の途中にサイフォン構造69が設けられている。
各流路73、74、81、79、70、及び68は、いずれも細管で構成されており、長さ、太さ、及び形状の少なくとも1つが互いに異なるように構成してもよい。
なお、図11中67、71、72は、各チャンバー内の空気を逃がすためのベントである。図11中Aは、回転軸位置(基準点)を示す。
第3実施形態において、固液分離が完了し収容チャンバー23内に収容されている溶液は、第1実施形態の分離装置の溶液分離部における分離対象の溶液となる。
ここで、図12A~図12Eに示すように、第3実施形態の分離装置80としての血液分離装置を用いて、互いに非相溶で比重の異なる2以上の成分を含む流体試料としての血液の分離を行った。
まず、図12Aに示すように、加圧媒体としての水76を加圧媒体導入チャンバー61内にピペットを用いて30μL導入する。
一方、互いに非相溶で比重の異なる2以上の成分を含む流体試料としての血液77を試料導入チャンバー64内にピペットを用いて10μL導入する。
次に、第2実施形態の分離装置40と同様にして、第3実施形態の分離装置80をディスク90上に搭載し、回転軸位置Aを中心に、回転方向R1、1,500rpmで回転させることにより、試料導入チャンバー64内の血液77、及び加圧媒体導入チャンバー61内の水76に対し、遠心力CFを印加する。
次に、図12Bに示すように、水76は、加圧媒体導入チャンバー61から屈曲状流路68を通り加圧媒体チャンバー62に注入される。その際、加圧媒体チャンバー62は、加圧媒体チャンバー62内と連通するベント67を有しているので、加圧媒体チャンバー62内に水76がスムーズに注入される。
一方、血液77は、試料導入チャンバー64から試料移送流路73を通り分離チャンバー65に注入される。その際、ベント72及びベント71が設けられているため、血液77がスムーズに分離チャンバー65内に注入される。
次に、図12Cに示すように、分離チャンバー65内に注入された血液77は、遠心力CFを所定時間印加することにより、血漿77aと血球77bとに分離される。
一方、水76は、加圧媒体チャンバー62内にU字状のサイフォン構造69を乗り越えるまで注入される。
次に、図12Dに示すように、更に遠心力CFが印加されると、水76は、サイフォンの原理により、U字形状のサイフォン構造69を乗り越えて内圧調整チャンバー63に注入され、内圧調整チャンバー63内の空気78に圧力をかける。その際、内圧調整チャンバー63は、内圧調整チャンバー63内と連通するベント71を有しているので、水76が内圧調整チャンバー63内にスムーズに注入される。そして、内圧調整チャンバー63内に水が所定量注入されると、内圧調整チャンバー63は密閉構造となる。
一方、内圧調整チャンバー63からの空気78の圧力によって分離チャンバー65内の血漿77aが、分離対象移送流路74を通じて収容チャンバー66に移送される。その際、収容チャンバー66は、収容チャンバー66内と連通するベント72を有しているので、血漿77aが収容チャンバー66内にスムーズに注入される。
次に、図12Eに示すように、更に遠心力CFが印加されると、分離チャンバー65内の血漿77aが収容チャンバー66に注入され、収容される。以上により、血液分離が完了する。
この第3実施形態の分離装置80としての血液分離装置は、流体試料を分離対象と非分離対象とに分離する十分な分離時間が経った後、内圧調整チャンバー63に加圧媒体を注入することにより、内圧調整チャンバー63内の気体の圧力を上昇させて、この気体の圧力によって、分離チャンバー65内の血漿77aを収容チャンバー66に移送することができる。
なお、図示を省略しているが、収容チャンバー66は、図1の第1実施形態の分離装置1の溶液注入槽2と流路を介して連通しており、第3実施形態の分離装置80で分離された血漿の前処理を行うことができる。
<分離装置の第4実施形態>
図13は、第4実施形態の分離装置110の一例を示す平面図である。この図13の第4実施形態の分離装置110は、図1の第1実施形態の分離装置1と、図11の第3実施形態の分離装置80の変形例とを集積したものであり、既に説明した第1実施形態の分離装置1及び第3実施形態の分離装置80と同一の構成については、その説明を省略する。
図13中66は収容チャンバーであり、第3実施形態の分離装置80の収容チャンバー66と第1実施形態の分離装置1の混合撹拌槽5を兼ねており、この収容チャンバー66内に収容された溶液を、そのまま第1実施形態の分離装置1で前処理することができる。
図13中109は分離促進剤調整チャンバーであり、分離促進剤である50%エタノールの計量と、分離促進剤を溶液(血漿)と混合するタイミングまで分離促進剤の添加を遅延させることができる。
図13中107はオーバーフロー部、図13中108は抽出されたサンプルである。
まず、血液を試料導入チャンバー64に注入する。分離促進剤としての50%エタノールを分離促進剤注入槽3に注入する。加圧媒体としての水を加圧媒体導入チャンバー61及び抽出用加圧媒体注入槽4に注入する。これらの部材を有する分離装置110を回転体10としてのコンパクトディスク状プラットフォーム(図示を省略)に搭載し、回転軸位置Aの周りに回転させて遠心力CFを印加する。
次に、回転体10の回転を開始すると、血液が試料導入チャンバー64から分離チャンバー65に移動し、血球分離が開始する。分離促進剤としての50%エタノールが分離促進剤注入槽3から分離促進剤調整チャンバー109に移動し、タイマーカウント及び分離促進剤の計量を開始する。
加圧媒体としての水が加圧媒体導入チャンバー61から加圧媒体チャンバー62に移動する。加圧媒体としての水が抽出用加圧媒体注入槽4から水時計6に移動し、タイマーカウント及び加圧媒体としての水の計量を開始する。
次に、回転体10の回転を続けると、加圧媒体としての水が加圧媒体チャンバー62から内圧調整チャンバー63に移動し、加圧を開始する。血球分離された血漿が分離チャンバー65から収容チャンバー66に移動する。分離促進剤としての50%エタノールが分離促進剤調整チャンバー109から収容チャンバー66に移動し、血漿と分離促進剤とが混合される(一次ミキシング)。
次に、回転を続けると、混合溶液が収容チャンバー66から分離精製槽7に移動し、混合溶液が混合される(二次ミキシング)。すると、分離精製槽7において、タンパク質等の夾雑物質は沈澱し、除去され、精製サンプルが得られる。
次に、回転を続けると、加圧媒体としての水が水時計6から加圧槽8に移動し、加圧が開始する。分離精製槽7中の精製サンプルが加圧され、分離精製槽7からサンプル抽出槽9に移動し、血漿からタンパク質等の夾雑成分が除去された抽出サンプル108が得られる。
第4実施形態の分離装置110によると、血液の固液分離と、血漿から夾雑物質を除去する前処理をワンステップで効率よく行うことができる。
(検査装置及び検査方法)
本発明の検査装置は、分離装置と、検査部とを有し、更に必要に応じてその他の部を有する。
本発明の検査方法は、分離工程と、検査工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の検査方法は、本発明の検査装置により実施することができ、分離工程は分離装置により行うことができ、検査工程は検査部により行うことができ、その他の工程はその他の部により行うことができる。
<分離装置及び分離工程>
分離装置としては、本発明の分離装置を用いることができ、その内容については、上述したとおりである。
分離工程としては、本発明の分離方法からなる分離工程を用いることができ、その内容については、上述したとおりである。
<検査部及び検査工程>
検査工程は、分離装置によって分離された分離後溶液に対し検査を行う工程であり、検査部により実施される。
溶液分離部と検査部との間には、溶液分離部で分離された分離後溶液を検査部まで移送する流路を有することが好ましい。
検査部は、分離装置に印加された外力と同じ外力が印加された状態で分離後溶液に対し検査を行うことが好ましい。これにより、検査装置は、分離装置による分離後溶液の分離を行った後、得られた分離後溶液について検査部で検査を行うことができる。
検査部としては、分離後溶液に対し検査を行うことができる部であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、微細な流路構造やバルブ構造を集積したマイクロ統合システム(Micro Total Analysis System:μTAS)などが好適に挙げられる。
このようなμTASとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2013-088211号公報に記載の検査装置、特開2017-75807号公報に記載の検査装置、国際公開第2019/146734号などが挙げられる。
また、検査部としては、探針エレクトロスプレーイオン化(PESI)法を用いた質量分析を行うことができる。
PESI法を用いたイオン化部は、分離後溶液を針状部材で採取した後、直ちにイオン化が行われるため、リアルタイムな質量分析が可能である。
このようなPESI法を用いたイオン化手段としては、例えば、国際公開第2010/047399号パンフレット、特開2018-181600号公報等に開示されたものを用いることができる。
<その他の部及びその他の工程>
検査装置のその他の部としては、例えば、制御部などが挙げられる。
検査方法のその他の工程としては、例えば、制御工程などが挙げられる。
制御部としては、例えば、定常回転するモーター等のシンプルな制御装置が利用可能である。
ここで、本発明の検査装置の実施形態について、図面を参照して更に詳細に説明する。
<検査装置の第1実施形態>
図14は、第1実施形態の検査装置18の一例を示す平面図である。この図14の第1実施形態の検査装置18は、2つのチャネルa、bと、2つのチャネルa、bがともに接続されたチャンバー13と、を備える。
なお、図示を省略しているが、第1実施形態の検査装置18は、図1の第1実施形態の分離装置1のサンプル抽出槽9、又は図13の第4実施形態の分離装置110の収容チャンバー66と流路を介して連通しており、第1実施形態の分離装置1又は第4実施形態の分離装置110で分離された分離後溶液を試料として用いることができるように構成されている。
以下、「チャネル」は、チャンバーに繋がるまでの経路及びその構成物の少なくともいずれかを総称する。
チャネルa及びbは、それぞれ、第1リザーバー12a、12bと、第2リザーバー14a、14bと、を備える。
流路11a及び11bは、第1リザーバー12a、12bの最下部に設けられた出力口11as、11bsから第2リザーバー14a、14bの最上部に設けられた入力口11ae、11beに接続する。
流路15a及び15bは、第2リザーバー14a、14bの最下部に設けられた出力口15as、15bsからチャンバー最上部に設けられた入力口15ae、15beと、に接続されており、チャンバー13でチャネルa、bは合流する。
チャネルa及びbは、互いに独立して構成され、各々の流路はチャンバー13に独立して接続される。
各流路11a、11b、15a、及び15bは、いずれも細管で構成されている。
第1実施形態の検査装置18は、回転軸位置Aに対して第1リザーバー12a、12b、第2リザーバー14a、14b、及びチャンバー13の順に近い位置に配置されている。即ち、当初、液体を収容するリザーバー側を上部に、液体が流れていく側にあるチャンバー13を下部にそれぞれ配置する。
回転軸位置Aは、第1実施形態の検査装置18の動作時には回転軸位置Aからチャンバー13の方向に外力が与えられるように構成されている。図14の第1実施形態の検査装置18においては、回転軸位置Aから図14の下の方向、即ち、第1実施形態の検査装置18の上部から下部に外力が与えられるように構成されている。回転軸位置Aは、検査装置18の上流側を定義づける基準点でもある。
チャネルaを構成する第1リザーバー12aと第2リザーバー14aとを結ぶ流路11aと、チャネルbを構成する第1リザーバー12bと第2リザーバー14bとを結ぶ流路11bとは、互いに長さが異なるように構成されている。図14の第1実施形態の検査装置18においては、流路11bは流路11aよりも長く構成されている。
図14の第1実施形態の検査装置18においては、互いに長さが異なる構成を示したが、第1リザーバー12a、12bから第2リザーバー14a、14bまでそれぞれのチャネルに流す液体が通過するために必要な時間差を生じさせるため、流路11a、11bの太さ及び形状が互いに異なるように構成してもよい。また、時間差を生じさせるために流路11a、11bの長さ、太さ、及び形状の少なくとも1つが互いに異なるように構成してもよい。流路11a、11bは、細管で構成されているので液体が通過するためにそれぞれ所定の時間を有し、抵抗流路として機能する。なお、第2リザーバー14a、14bの体積や位置が異なるように構成してもよい。
第2リザーバー14a、14bのそれぞれとチャンバー13とを結ぶ流路15a、15bには、各々サイフォン構造16a、16bが設けられている。
サイフォン構造16a、16bは、回転軸位置Aに向かう第1方向に流路を形成した第1流路部16a1と、第1流路部16a1とは逆に外力が働く第2方向に流路を形成した第2流路部16a2とを備える。
第1流路部16a1は、第2流路部16a2よりも第2リザーバー側(上流側)に形成されている。
ここで、第1方向に向くベクトルの外力方向に対するベクトル成分が、外力の方向に対し正反対の方向であり、第2方向に向くベクトルの外力方向に対するベクトル成分が、外力の方向に対し同一の方向である。即ち、第1方向は外力に逆らう方向、第2方向は外力に従う方向である。必要に応じて、第1方向及び第2方向は、外力方向とは角度のずれを備えるように構成されていてもよいし、この条件を満たす範囲で蛇行していてもよい。
第1実施形態の検査装置18は、サイフォン構造の第1流路部16a1と第2流路部16a2とが屈曲点16amでつながっている。屈曲点16amは回転軸位置Aから見て第2リザーバー14aの入力口11aeと出力口15asの間に位置している。即ち、回転軸位置Aと屈曲点16amとの間隔は、回転軸位置Aと第2リザーバー14aの最上部である入力口11aeとの間隔と、最下部である出力口15asとの間隔の間(中間)の値である。
なお、実際の設計時には、屈曲点16amは、当初、第1リザーバー12aに注入した液体の全てを第2リザーバー14aに移したときの第2リザーバー14aの水位(上部液面)の位置以下に設置する。また、屈曲点16am、16bmの位置が異なるように構成してもよい。
図14中に図示していないが、第1リザーバー12a、12b、第2リザーバー14a、14b、及びチャンバー13は、それぞれベントを有する。これら各ベントは、検査装置18を使用時には必要に応じて開放されている。
<検査装置の第2実施形態>
図15は、第2実施形態の検査装置127の平面図である。この図15の第2実施形態の検査装置127は、酵素免疫測定法による検査を実施する実施形態であり、第1実施形態の検査装置18において、2つのチャネルを更に加えて4チャネルとした以外は、第1実施形態の検査装置18と同様である。なお、第2実施形態の検査装置127において、既に説明した第1実施形態の検査装置18と同一の構成については、同じ参照符号を付してその説明を省略する。
第2実施形態の検査装置127は、4つのチャネルa、b、c、dと、4つのチャネルがともに接続されたチャンバー53と、を備える。
4つのチャネルa~dは、それぞれ、第1リザーバー52a~52dと、第2リザーバー54a~54dと、第1リザーバー52a~52dと、第2リザーバー54a~54bとをそれぞれ接続する流路51a~51dと、第2リザーバー54a~54bとチャンバー53とを接続する流路55a~55dと、を各々独立して備えている。
なお、図示を省略しているが、第2実施形態の検査装置127は、図1の第1実施形態の分離装置1のサンプル抽出槽9、又は図13の第4実施形態の分離装置110の収容チャンバー66と流路を介して連通しており、第1実施形態の分離装置1又は第4実施形態の分離装置110で分離された分離後溶液を試料として用いることができるように構成されている。
第2実施形態の検査装置127は、第1実施形態の検査装置18と同様に、回転軸位置(基準点)Aに対して第1リザーバー52a~52d、第2リザーバー54a~54d、及びチャンバー53の順に近い位置に配置されている。
各チャネルの流路51a~51dは、それぞれの流路の長さが51a<51b<51c<51dとなるように、また互いに異なるように構成されている。流路の長さに変えて、流路の太さ及び流路の形状を変えて、細管で構成された流路51a~51dのそれぞれを液体が通過するための所定の時間が51a<51b<51c<51dとなるように、抵抗流路を構成する。即ち、第1リザーバー52a~52dに収容された流体(液体)は、チャネルa、チャネルb、チャネルc、及びチャネルdの順にチャンバー53に到達するように構成されている。
流路55a~55dには、各々サイフォン構造56a~56dが形成されており、その構造は第1実施形態の検査装置18と同様である。
なお、第1リザーバー52a~52d、第2リザーバー54a~54b、及びチャンバー53は、それぞれベントを有している。
図15においては、第2リザーバー54a~54b、及びチャンバー53のそれぞれに対応するベント57a~57d、及び57zを示す。各ベントは検査装置を使用時には必要に応じて開放している。
チャンバー53からの排液は、サイフォン構造56zを備えた流路を介して排液槽58へ送られるよう構成されている。
サイフォン構造56zは、サイフォン構造56a~56d及び第1実施形態の検査装置18でのサイフォン構造16a、16bと同様に、回転軸位置Aに向かう第3方向に流路を形成した第3流路部と、第3方向とは逆に外力が働く第4方向に流路を形成した第4流路部とを備えている。即ち、第3方向は外力に逆らう方向であり、第4方向は外力に従う方向である。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 溶液に対し、外力を印加した状態で分離促進剤を混合し、前記溶液に含まれる成分の内、前記分離促進剤との接触により前記溶液から分離可能となった分離成分を分離する溶液分離部と、
前記溶液分離部において前記溶液から前記分離成分が分離された分離後溶液を移送させる分離後溶液移送機構と、
を有することを特徴とする分離装置である。
<2> 前記溶液分離部に、前記分離促進剤を移送する分離促進剤移送路を有し、
前記分離促進剤移送路が前記分離促進剤を前記溶液分離部に導入する速度を調節する、
前記<1>に記載の分離装置である。
<3> 前記溶液が血清であり、前記分離促進剤がアルコール溶液である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の分離装置である。
<4> 互いに非相溶で比重の異なる2以上の成分を含む流体試料に対し外力を印加して、前記流体試料を溶液と固形分とに分離する固液分離部と、
前記固液分離部によって分離された前記溶液に対し圧力を印加して前記溶液を前記溶液分離部に移送させる溶液移送機構と、を更に有する、前記<1>から<3>のいずれかに記載の分離装置である。
<5> 前記圧力が、分離された前記溶液を加圧するように印加される、前記<4>に記載の分離装置である。
<6> 前記溶液移送機構によって移送された前記溶液を収容する溶液収容部を有する、前記<4>から<5>のいずれかに記載の分離装置である。
<7> 前記固液分離部が、固液分離容器を有し、前記固液分離容器内で前記流体試料に対し前記外力としての遠心力を印加して前記流体試料を前記溶液と前記固形分とに分離する、前記<4>から<6>のいずれかに記載の分離装置である。
<8> 前記溶液移送機構が、前記固液分離容器内に加圧媒体を移送させ、前記加圧媒体による圧力によって前記固液分離容器内の前記溶液を前記固液分離容器外に移送させる、前記<7>に記載の分離装置である。
<9> 前記加圧媒体が、液体及び気体の少なくともいずれかであって、かつ前記溶液と非相溶である、前記<8>に記載の分離装置である。
<10> 前記固液分離容器が、回転可能な回転体上に配置された、前記<7>から<9>のいずれかに記載の分離装置である。
<11> 前記<1>から<10>のいずれかに記載の分離装置と、
前記分離装置によって分離された分離後溶液に対し検査を行う検査部と、を有することを特徴とする検査装置である。
<12> 前記検査部が、前記分離装置に印加された外力と同じ外力が印加された状態で前記分離後溶液に対し検査を行う、前記<11>に記載の検査装置である。
<13> 外力を印加しても互いに分離しない成分を含む溶液に対し、外力を印加した状態で分離促進剤を混合し、前記溶液に含まれる成分の内、前記分離促進剤との接触により前記溶液から分離可能となった分離成分を分離する溶液分離工程と、
前記溶液分離工程において、前記溶液から前記分離成分が分離された分離後溶液を移送させる分離後溶液移送工程と、
を含むことを特徴とする分離方法である。
<14> 前記<13>に記載の分離方法によって分離された前記分離後溶液に対し検査を行う検査工程を含むことを特徴とする検査方法である。
前記<1>から<10>のいずれかに記載の分離装置、前記<11>から<12>のいずれかに記載の検査装置、前記<13>に記載の分離方法、及び前記<14>に記載の検査方法によると、従来における前述の諸問題を解決し、前述の本発明の目的を達成することができる。
1 分離装置
2 溶液注入槽
3 分離促進剤注入槽
4 抽出用加圧媒体注入槽
5 混合撹拌槽
6 水時計
7 分離精製槽
8 加圧槽
9 サンプル抽出槽
10 回転体
18 検査装置
21 加圧媒体導入チャンバー
22 試料導入チャンバー
23 収容チャンバー
24 加圧媒体チャンバー
26 屈曲状流路
27 サイフォン構造
31 分離チャンバー
40 分離装置
61 加圧媒体導入チャンバー
62 加圧媒体チャンバー
63 内圧調整チャンバー
64 試料導入チャンバー
65 分離チャンバー
66 収容チャンバー
68 屈曲状流路
69 サイフォン構造
80 分離装置
109 分離促進剤調整チャンバー
110 分離装置
127 検査装置
A 回転軸位置

Claims (14)

  1. 外力を印加しても互いに分離しない成分を含む溶液に対し、前記外力として遠心力を印加した状態で分離促進剤を混合し、前記溶液に含まれる成分の内、前記分離促進剤との接触により前記溶液から分離可能となった分離成分を分離する溶液分離部と、
    前記溶液分離部において前記溶液から前記分離成分が分離された分離後溶液を移送させる分離後溶液移送機構と、を有し、
    前記溶液分離部は、分離精製槽と混合撹拌槽を有し、
    前記混合撹拌槽で混合された混合溶液は、前記分離精製槽において前記遠心力の中心から最も離れた位置から前記分離精製槽に移送され、
    前記分離後溶液移送機構は、抽出用加圧媒体注入槽を有し、抽出用加圧媒体を加圧する抽出用加圧機構であり、
    前記抽出用加圧機構は、前記抽出用加圧媒体を前記分離精製槽内に移送することを特徴とする分離装置。
  2. 前記溶液分離部に、前記分離促進剤を移送する分離促進剤移送路を有し、
    前記分離促進剤移送路が前記分離促進剤を前記溶液分離部に導入する速度を調節する、
    請求項1に記載の分離装置。
  3. 前記溶液が血清であり、前記分離促進剤がアルコール溶液である、請求項1から2のいずれかに記載の分離装置。
  4. 互いに非相溶で比重の異なる2以上の成分を含む流体試料に対し外力を印加して、前記流体試料を溶液と固形分とに分離する固液分離部と、
    前記固液分離部によって分離された前記溶液に対し圧力を印加して前記溶液を前記溶液分離部に移送させる溶液移送機構と、を更に有する、請求項1から3のいずれかに記載の分離装置。
  5. 前記圧力が、分離された前記溶液を加圧するように印加される、請求項4に記載の分離装置。
  6. 前記溶液移送機構によって移送された前記溶液を収容する溶液収容部を有する、請求項4から5のいずれかに記載の分離装置。
  7. 前記固液分離部が、固液分離容器を有し、前記固液分離容器内で前記流体試料に対し前記外力としての遠心力を印加して前記流体試料を前記溶液と前記固形分とに分離する、請求項4から6のいずれかに記載の分離装置。
  8. 前記溶液移送機構が、前記固液分離容器内に加圧媒体を移送させ、前記加圧媒体による圧力によって前記固液分離容器内の前記溶液を前記固液分離容器外に移送させる、請求項7に記載の分離装置。
  9. 前記加圧媒体が、液体及び気体の少なくともいずれかであって、かつ前記溶液と非相溶である、請求項8に記載の分離装置。
  10. 前記固液分離容器が、回転可能な回転体上に配置された、請求項7から9のいずれかに記載の分離装置。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載の分離装置と、
    前記分離装置によって分離された分離後溶液に対し検査を行う検査部と、を有することを特徴とする検査装置。
  12. 前記検査部が、前記分離装置に印加された外力と同じ外力が印加された状態で前記分離後溶液に対し検査を行う、請求項11に記載の検査装置。
  13. 外力を印加しても互いに分離しない成分を含む溶液に対し、外力を印加した状態で分離促進剤を混合撹拌槽で混合し、前記溶液に含まれる成分の内、前記分離促進剤との接触により前記溶液から分離可能となった分離成分を分離精製槽で分離する溶液分離工程と、
    前記溶液分離工程において、前記溶液から前記分離成分が分離された前記分離精製槽内の分離後溶液に対して、抽出用加圧機構によって抽出用加圧媒体を前記分離精製槽内に移送することで前記分離後溶液を移送させる分離後溶液移送工程と、
    を含み、
    前記抽出用加圧機構は、抽出用加圧媒体注入槽を有し、前記抽出用加圧媒体を加圧することを特徴とする分離方法。
  14. 請求項13に記載の分離方法によって分離された前記分離後溶液に対し検査を行う検査工程を含むことを特徴とする検査方法。
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