以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、第1グループの実施例及び具体例について説明する。第1グループは、結合ユニットが中間体と第1及び第2の直動案内機構とを含み、第1及び第2の主車輪がオムニ車輪であり、横移動機構として第1及び第2のブレーキ機構又は第1及び第2の回転可能方向切替機構を備える。
<実施例1−1> 実施例1−1の移動装置10について、図1〜図4を参照しながら説明する。図1は、移動装置10の構成を概念的に示す説明図である。図2〜図4は、移動装置10の動作の説明図である。図1〜図4や、他の実施例の同様の図において、紙面上で右方向が移動装置の右方向、紙面上で左方向が移動装置の左方向、紙面に垂直かつ紙面表側から裏側へ向かう方向が移動装置の前方向、紙面に垂直かつ紙面裏側から表側へ向かう方向が移動装置の後方向を示すとする。
図1に示すように、移動装置10は、2個の車輪ユニット20,22と、第1及び第2の直動案内機構30,32と、中間体12とを備えている。中間体12の左側に、第1の直動案内機構30を介して、第1の車輪ユニット20が結合され、中間体12の右側に、第2の直動案内機構32を介して、第2の車輪ユニット22が結合されている。直動案内機構30,32は、車輪ユニット20,22と中間体12とを、移動装置10の左右方向(すなわち、第1の方向)に相対移動が自在であるように結合する。
直動案内機構30,32は、例えば後述する具体例1のように、第一部材と、第一部材に沿って直線移動自在に配置された第二部材とを有し、中間体12に第二部材が固定され、車輪ユニット20,22に第一部材が固定される。第二部材が第一部材に対して相対移動する方向が、移動装置10の左右方向となるように、直動案内機構30,32は配置される。なお、中間体12に第一部材が固定され、車輪ユニット20,22に第二部材が固定されてもよい。
直動案内機構30,32の第一部材に対して第二部材が相対的に移動する動作を、直動案内機構30,32の伸縮と呼ぶことにする。直動案内機構30,32の伸縮により、車輪ユニット20,22と中間体12との間の左右方向の距離が変化する。
車輪ユニット20,22は、直動案内機構30,32の第一部材又は第二部材に固定される本体21,23と、オムニ車輪60,62を回転自在に支持する車輪支持部60k,62kとが、一体に形成されている。すなわち、第1及び第2の車輪ユニット20,22は、第1及び第2の主車輪としてオムニ車輪60,62を含んでいる。
オムニ車輪60,62は、円板状のホイール本体の外周に沿って1個又は複数個のローラーが回転自在に支持され、ローラーはホイール本体の径方向外側に突出している。オムニ車輪60,62は、ホイール本体が回転し、ローラーがホイール本体と一体となって移動するとき(以下、単に「ホイール本体が回転する」ともいう。)には一方向に移動し、ローラーがホイール本体に対して相対的に回転するとき(以下、単に「ローラーが回転する」ともいう。)には他の一方向に移動する。一般には、ローラーの回転中心軸の方向は、ホイール本体の回転中心軸まわりの周方向と略一致し、ホイール本体が回転するときに移動する方向と、ローラーが回転するときに移動する方向とは直交するが、斜めに交差するように構成することも可能である。
2つのオムニ車輪60,62は同じ構成であり、それぞれのホイール本体の外径(支持面4に接しているローラーの接地点とホイール本体の回転中心軸との間の距離の2倍)が同じであり、それぞれのホイール本体の回転中心軸が移動装置10の左右方向と平行、かつ同軸になるように配置されている。そのため、オムニ車輪60,62のローラーが同じ速度で同じ方向に回転するとき、移動装置10は移動装置10の左右方向(第1の方向)に移動し、オムニ車輪60,62のホイール本体が同じ方向に同じ速度で回転するとき、移動装置10は移動装置10の前後方向(すなわち、第1の方向に垂直な第2の方向)に移動する。オムニ車輪60,62は、互いに第1の方向に対向するように、車輪ユニット20,22に配置される。
各車輪ユニット20,22には、オムニ車輪60,62のローラーのホイール本体に対する相対的な回転(以下、「ローラーの回転」という。)を禁止する状態と、ローラーの回転の禁止を解除する状態とを切り替える不図示のブレーキ機構が備えられている。車輪ユニット20,22は、ブレーキがONのとき、ローラーの回転が禁止されるため、左右方向の移動が禁止され、ブレーキがOFFのとき、ローラーの回転の禁止が解除されるため、左右方向の移動が可能となる。
ブレーキ機構は、例えば、円板状のブレーキパッドが、オムニ車輪のホイール本体の回転中心軸と同軸でオムニ車輪のホイール本体の角速度と同じ角速度で回転し、かつホイール本体の回転中心軸方向に移動可能に、オムニ車輪60,62に隣接して配置されるように構成する。ブレーキパッドをローラーに接触させることによってローラーの回転を阻止し、ブレーキパッドをローラーから離すことによってローラーの回転を可能にする。
ブレーキパッドは、ローラーを挟むようにオムニ車輪の両側に配置し、ローラーの両側から接触させても、オムニ車輪の片側のみに配置し、ローラーの片側のみから接触させてもよい。ローラーの両側から接触させる場合、オムニ車輪の両側に設置された2枚のブレーキパッドをオムニ車輪に近付く方向にそれぞれ移動させ、ローラーに接触させる。
あるいは、オムニ車輪と一方のブレーキパッドを、オムニ車輪のホイール本体の回転中心軸方向に移動可能に配置し、かつ、他方のブレーキパッドは回転中心軸方向に移動不可能に配置し、移動可能な一方のブレーキパッドを回転中心軸方向に動かし、一方のブレーキパッドでオムニ車輪を付勢してオムニ車輪を回転軸方向に移動させ、オムニ車輪のローラーを他方のブレーキパッドに接触させるようにしてもよい。
オムニ車輪60,62のホイール本体の回転、直動案内機構30,32の伸縮、オムニ車輪60,62のローラーのブレーキのON/OFFの切り替えは、能動的に行うことができる。ここで言う「能動的に行う」には、モータなどの駆動源によって行う場合だけでなく、移動装置の使用者などの人が行う場合も含む。すなわち、操作する意図をもって駆動されることを意味する。モータなどの駆動源を使わず、人が行う場合は、それらの部分は、それら単体では受動的なものとなる。以降の実施例においても、「能動的」の意味は同じである。
次に、移動装置10の動作について説明する。移動装置10は、オムニ車輪60,62のホイール本体の回転、直動案内機構30,32の伸縮、ブレーキのON/OFFを適宜に組み合わせることによって、左右方向の移動と、前後方向の移動と、旋回とが可能である。
移動装置10の前後方向の移動は、オムニ車輪60,62のローラーのブレーキをONにしてローラーの回転を禁止した状態で、オムニ車輪60,62のホイール本体を同じ方向に同じ回転速度で回転すれば、実現できる。
移動装置10の旋回は、オムニ車輪60,62のローラーのブレーキをONにしてローラーの回転を禁止した状態で、オムニ車輪60,62のホイール本体を同じ方向に互いに異なる回転速度で回転させたり、オムニ車輪60,62のホイール本体を互いに異なる方向に回転させたり、オムニ車輪60,62の一方のホイール本体のみを回転させたりすれば、実現できる。
移動装置10の左右方向(横方向)の移動は、直動案内機構30,32の伸縮と、オムニ車輪60,62のローラーのブレーキのON/OFFの切り替えを適宜な順序で行うことにより、実現できる。以下では、移動装置10を右方向に移動させる場合について、図2〜図4を参照しながら、3つの横移動方法を説明する。図2〜図4において、斜線が付されたオムニ車輪60,62はローラーのブレーキがONの状態、斜線が付されていないオムニ車輪60,62はローラーのブレーキがOFFの状態を示している。
第1の横移動方法について、図2を用いて説明する。第1の横移動方法では、2つの直動案内機構30,32のうち、第2の直動案内機構32のみを伸縮させる。
図2(a)のように、第2の直動案内機構32が縮んでいる状態で、かつ、第1のオムニ車輪60のローラーのブレーキがON、第2のオムニ車輪62のローラーのブレーキがOFFの状態を初期状態とする。
まず、図2(b)のように、第2の直動案内機構32を伸ばす。このとき、第1の車輪ユニット20は、オムニ車輪60のローラーのブレーキがONであるため、左右方向(横方向)に移動しない。第2の車輪ユニット22は、オムニ車輪62のローラーのブレーキがOFFであるため、第2の直動案内機構32を伸ばした長さと同じ距離だけ右方向に移動する。中間体12は、第1の車輪ユニット20と同様に、横方向に移動しない。
このとき、第2の車輪ユニット22が第1の方向(左右方向)の少なくとも一方側(右側)への移動が可能であり、かつ、第1の車輪ユニット20が第1の方向の少なくとも他方側(左側)への移動が禁止されている第1の横移動可能状態である。第2の直動案内機構32を伸ばすことによって、第1の車輪ユニット20が静止したまま、第2の車輪ユニット22を第1の方向の一方側(右側)に移動させることができる。
次に、図2(c)のように、第1のオムニ車輪60のローラーのブレーキをOFF、第2のオムニ車輪62のローラーのブレーキをONにする。
そして、図2(d)のように、第2の直動案内機構32を縮める。このとき、第2の車輪ユニット22はオムニ車輪62のローラーのブレーキがONであるため、横方向に移動しない。第1の車輪ユニット20は、オムニ車輪60のローラーのブレーキがOFFであるため、第2の直動案内機構32を縮めた長さと同じ距離だけ右方向に移動する。中間体12は、第1の車輪ユニット20と同様に、第1の車輪ユニット20と同じ距離だけ右方向に移動する。
このとき、第2の車輪ユニット22が第1の方向の少なくとも他方側(左側)への移動が禁止され、かつ、第1の車輪ユニット20が第1の方向の少なくとも一方側(右側)への移動が可能である第2の横移動可能状態である。第2の直動案内機構32を縮めることによって、第2の車輪ユニット22が静止したまま、第1の車輪ユニット20を第1の方向の一方側(右側)に移動させることができる。
以上の動作を繰り返すことで、移動装置10は右方向へ任意の距離を移動することができる。中間体12から見ると、この右方向への移動は、停止と移動を繰り返す断続的な運動である。
以上では第2の直動案内機構32のみを伸縮させる場合について説明したが、第1の直動案内機構30のみを伸縮させることによっても、同様の動作で、移動装置10は右方向に移動することができる。
第2の横移動方法について、図3を用いて説明する。第2の横移動方法では、第1及び第2の直動案内機構30,32を同時に伸縮させる。
図3(a)のように、第1及び第2の直動案内機構30,32が縮んでいる状態で、かつ、第1のオムニ車輪60のローラーのブレーキがON、第2のオムニ車輪62のローラーのブレーキがOFFの状態を初期状態とする。
まず、図3(b)のように、第1及び第2の直動案内機構30,32を伸ばす。このとき、第1の車輪ユニット20は、オムニ車輪60のローラーのブレーキがONであるため、横方向に移動しない。第2の車輪ユニット22は、オムニ車輪62のローラーのブレーキがOFFであるため、第2の直動案内機構32を伸ばした長さと第1の直動案内機構30を伸ばした長さとを足し合わせた距離だけ、右方向に移動する。中間体12は、第1の直動案内機構30を伸ばした長さと同じ距離だけ、右方向に移動する。
すなわち、第1の横移動可能状態で、第1及び第2の直動案内機構30,32を伸ばすことによって、第1の車輪ユニット20が静止したまま、第2の車輪ユニット22を第1の方向の一方側(右側)に移動させる。
次に、図3(c)のように、第1のオムニ車輪60のローラーのブレーキをOFF、第2のオムニ車輪62のローラーのブレーキをONにする。そして、図3(d)のように、第1及び第2の直動案内機構30,32を縮める。この場合、第2の車輪ユニット22はオムニ車輪62のローラーのブレーキがONであるため、横方向に移動しない。第1の車輪ユニット20は、オムニ車輪60のローラーのブレーキがOFFであるため、第2の直動案内機構32を縮めた長さと第1の直動案内機構30を縮めた長さとを足し合わせた距離だけ、右方向に移動する。中間体12は、第2の直動案内機構32を縮めた長さと同じ距離だけ、右方向に移動する。
すなわち、第2の横移動可能状態で、第1及び第2の直動案内機構30,32を縮めることによって、第2の車輪ユニット22が静止したまま、第1の車輪ユニット20を第1の方向の一方側(右側)に移動させる。
以上の動作を繰り返すことで、移動装置10は右方向へ任意の距離を移動することができる。中間体12から見ると、この右方向への移動は、停止と移動を繰り返す断続的な運動である。
第3の横移動方法について、図4を用いて説明する。第3の横移動方法では、第1及び第2の直動案内機構30,32を別々に伸縮させる。
図4(a)のように、初期状態では、第1の直動案内機構30は縮んだ状態で、第2の直動案内機構32は十分に伸縮できる程度の長さに伸びた状態であり、かつ、第1のオムニ車輪60のローラーのブレーキがOFF、第2のオムニ車輪62のローラーのブレーキがONの状態である。
まず、図4(b)のように、第2の直動案内機構32を縮めながら、第1の直動案内機構30を伸ばし、そして第1のオムニ車輪60のローラーのブレーキをONにする。
次に、図4(c)のように、第2の直動案内機構32を縮めることと第1の直動案内機構30を伸ばすことを続けながら、第2のオムニ車輪62のローラーのブレーキをOFFにする。
次に、図4(d)のように、第1の直動案内機構30を伸ばすことを続けながら、第2の直動案内機構32を素早く伸ばす。すなわち、第1の横移動可能状態で、第1及び第2の直動案内機構30,32を伸ばすことによって、第1の車輪ユニット20が静止したまま、第2の車輪ユニット22を第1の方向の一方側(右側)に移動させる。
次に、図4(e)のように、第1の直動案内機構30を伸ばすことを続けながら、第2の直動案内機構32を縮め、そして第2のオムニ車輪60のローラーのブレーキをONにする。
次に、図4(f)のように、第1の直動案内機構30を伸ばすことと第2の直動案内機構32を縮めることを続けながら、第1のオムニ車輪60のローラーのブレーキをOFFにする。
次に、図4(g)のように、第2の直動案内機構32を縮めることを続けながら、第1の直動案内機構30を素早く縮める。すなわち、第2の横移動可能状態で、第1及び第2の直動案内機構30,32を縮めることによって、第2の車輪ユニット22が静止したまま、第1の車輪ユニット20を第1の方向の一方側(右側)に移動させる。
以上の動作を繰り返すことで、移動装置10は右方向へ任意の距離を移動することができる。第3の横移動方法では、中間体12が右方向に移動を開始した後は、どの段階でも少なくとも1つの直動案内機構30,32の伸縮によって中間体12は右方向に駆動されるため、中間体12から見ると、この右方向への移動は、常に右方向への移動を行う連続的な運動である。
なお、第1ないし第3の横移動方法において左右を入れ替えることによって、左方向への移動も可能である。
なお、第1ないし第3の横移動方法のいずれの場合も、初期状態において第1及び第2の直動案内機構30,32が横移動に必要な範囲で十分に伸縮することが可能であれば、上記とは異なる初期状態であってもよい。
なお、第1ないし第3の横移動方法のいずれの場合も、移動の途中で移動装置10や中間体12の慣性による移動を利用してもよい。直動案内機構30,32は伸縮自在であるため、例えば、移動装置10が右方向に移動している途中で2つのオムニ車輪60,62のローラーのブレーキを一時的にOFFにすると、右方向に駆動をしなくても、すなわち直動案内機構30,32の能動的な伸縮を停止しても、しばらくの間は移動装置10は右方向に移動し続ける。また、中間体12が右方向に移動している途中で2つの直動案内機構30,32の伸縮を一時的に受動的に動作可能にすると、すなわち直動案内機構30,32の能動的な伸縮を一時的に停止し、自由に伸縮可能にすると、右方向に駆動をしなくても、しばらくの間は慣性力によって中間体12は右方向に移動し続ける。
本実施例の動作の特徴をまとめる。本実施例の移動装置10は、第1及び第2のオムニ車輪60,62のホイール本体の回転により、前後方向の移動と旋回が可能である。直動案内機構30,32の伸縮とオムニ車輪60,62のローラーのブレーキのON/OFFの切り替えにより、左右方向(横方向)に移動することができる。前後方向の移動と左右方向の移動を同時に行うことで、すなわち、オムニ車輪60,62のホイール本体を同じ方向に同じ速度で回転させながら、第1ないし第3の横移動方法を実施することで、斜め方向に移動することができる。
オムニ車輪60,62のホイール本体の回転、直動案内機構30,32の伸縮、ブレーキのON/OFFの切り替えは、人の力で駆動して実現してもよいし、モータなどの駆動源で駆動して実現してもよい。図1に示したオムニ車輪60,62に加えて他の車輪を備えていてもよく、能動的に駆動されない補助的な車輪が備えられていてもよい。2つのオムニ車輪60,62のホイール本体の回転中心軸は、互いに平行で高さが異なるように配置されてもよい。
<具体例1> 実施例1−1の移動装置の具体的な構成例として、具体例1の移動装置10sについて、図5〜図12を参照しながら説明する。
図5は、移動装置10sの側面図である。図6は、移動装置10sの要部平面図である。図6において、中間体12を鎖線で示し、背もたれ板12a及び足載せ板12bの図示を省略している。
図5に示すように、移動装置10sは、使用者2が座る中間体12に、背もたれ板12aと足載せ板12bとが結合されている。図6に示すように、中間体12の後部左側に、第1のオムニ車輪60を含む第1の車輪ユニット20が、第1の直動案内機構30を介して結合されている。中間体12の後部右側に、第2のオムニ車輪62を含む第2の車輪ユニット22が、第2の直動案内機構32を介して結合されている。中間体12の前部左側に、第3のオムニ車輪66が回転自在に支持されている。中間体12の前部右側に、第4のオムニ車輪68が回転自在に支持されている。図5に示すように、オムニ車輪60,62,66,68は、地面や床面等の支持面4に接する。
図6に示すように、直動案内機構30,32は、棒状の第一部材30b,32bと、第一部材30b,32bに沿って直線移動自在に配置された第二部材30a,32aとを有する。第二部材30a,32aは中間体12に固定されている。第一部材30b,32bは、第二部材30a,32aに対して相対移動すると、中間体12から突出する。直動案内機構30,32は、第一部材30b,32bが第二部材30a,32aに対して相対移動する方向が、移動装置10sの左右方向と平行になるように配置されている。
直動案内機構30,32は、中間体12の適宜位置に設けられたロック機構29によって、第一部材30b,32bの第二部材30a,32aに対する相対移動が禁止される。なお、第1及び第2の直動案内機構30,32は、一直線上に揃えて配置してもよい。ロック機構29は省略可能である。
車輪ユニット20,22は、直動案内機構30,32の第一部材30b,32bのうち中間体12から突出する側の端部に、本体21,23が固定され、本体21,23に設けられた軸部21z,23zに、オムニ車輪60,62のホイール本体が回転自在に支持されている。本体21,23には、オムニ車輪60,62のローラーのブレーキを操作するための第1及び第2の操作部である第1及び第2のレバー50,52が設けられている。
図7及び図8は、移動装置10sの要部断面図であり、支持面4に垂直、かつオムニ車輪60,62のホイール本体34の回転中心軸を通る断面を示している。図9は、図7の線A−Aに沿って見た要部側面図である。図10は、図7の線B−Bに沿って見た要部断面図である。図11は、図7の線C−Cに沿って見た要部断面図である。
図7及び図8に示すように、第1及び第2のオムニ車輪60,62は、ホイール本体34と、ホイール本体34の外周に沿って配置された複数のローラー36とを有する。ローラー36は、ホイール本体34の回転中心軸を中心とする仮想円周に沿う回転軸を中心として回転自在にホイール本体34に支持され、ホイール本体34よりも径方向外側にはみ出ている。
第1及び第2のオムニ車輪60,62のホイール本体34は、第1及び第2の車輪ユニット20,22の本体21,23に設けられた軸部21z,23zに、軸受35を介して回転自在に支持されている。ホイール本体34には、中間体12とは反対側に露出するように環状部材38が固定され、環状部材38とホイール本体34とは一体となって回転する。
図7〜図11に示すように、第1及び第2のオムニ車輪60,62に隣接して、それぞれ、第1及び第2のオムニ車輪60,62のローラー36の回転を禁止又は許可する第1及び第2の操作機構26,28が設けられている。第1及び第2の操作機構26,28は、支持部44と、第1及び第2のブレーキである当接部材40と、ばね40xと、第1及び第2の操作部である第1及び第2のレバー50,52と、Lアーム54とを含んでいる。
支持部44は、中空円筒状の形状を有し、ホイール本体34と同軸、かつ、中間体12側に突出するように、ホイール本体34に固定されている。
当接部材40は、中心に丸穴40p,40qが形成され円形の外形を有する一対の側板40s,40tが同軸かつホイール本体34の回転中心軸方向に所定の間隔を設けて結合されている。当接部材40の一方の側板40tの丸穴40qに、隙間を設けて支持部44が挿入され、当接部材40の径方向の移動範囲が規制されている。
ばね40xは、当接部材40とホイール本体34とを接続し、その張力によって、当接部材40をホイール本体34側に引き寄せ、当接部材40がローラー36の外周面に押し当てられるようにする。当接部材40は、ホイール本体34と一体となって回転する。当接部材40がローラー36の外周面に接すると、ローラー36の回転が禁止される。
なお、当接部材40は、ローラー36の外周面に接する構成に限らず、ローラー36の外周面以外の部分、例えば軸直角端面に接して、ローラー36の回転を禁止するように構成してもよい。
第1及び第2のレバー50,52は、第1及び第2の車輪ユニット20,22の本体21,23に形成された貫通穴21x,23xに移動自在に挿通され、本体21,23の両側に、第1及び第2のレバー50,52の移動範囲を規制するフランジ50s,50t;52s,52tが形成されている。なお、第1及び第2のレバー50,52の移動方向は、矢印80で示す上下方向に限らず、移動装置10sの左右方向とは異なる方向であればよい。
Lアーム54は、第1片54aと第2片54bがL字状に結合されている。Lアーム54は、第1片54aと第2片54bとの結合部54cが、第1及び第2の車輪ユニット20,22の本体21,23の下部に固定されたリンク支持部55に、リンク結合されている。Lアーム54の第1片54aは、第1及び第2のレバー50,52の下部にリンク結合されている。Lアーム54の第2片54bには軸受56が固定されている。軸受56は、当接部材40の一対の側板40s,40tの間の空間42内に配置されている。
図7に示す初期状態では、当接部材40が第1及び第2の回転禁止位置に配置されている。すなわち、当接部材40は、ばね40xの張力によってローラー36に押し付けられ、すべてのローラー36の外周面に接してローラー36の回転を禁止している。支持面4に接しているローラー36sも回転が禁止されているため、第1及び第2のオムニ車輪60,62は、左右方向の移動が不可能である。
このとき、環状部材38が回されると、当接部材40とホイール本体34とは一体となって回転し、支持面4に接しているローラー36sが交代する。当接部材40によってすべてのローラー36の回転が禁止されているため、支持面4に接しているローラー36sの回転禁止状態が継続される。そのため、環状部材38が回されると、第1及び第2のオムニ車輪60,62は、左右方向(横方向)に移動することなく、前後方向にのみ移動する。
図8において矢印82で示すように、第1及び第2のレバー50,52が上げられると、当接部材40は第1及び第2の回転許可位置に配置される。すなわち、第1及び第2のレバー50,52に連動してLアーム54が傾き、Lアーム54の第2片54bに固定された軸受56が、当接部材40の他方の側板40sに当接して当接部材40を傾け、当接部材40は、支持面4に接しているローラー36sから離れる。これによって、支持面4に接しているローラー36sは回転禁止が解除され、回転が可能になるため、第1及び第2のオムニ車輪60,62は、左右方向の移動が可能になる。
このとき、環状部材38が回されると、当接部材40は、ホイール本体34と略一体となって回転する。すなわち、支持面4に接しているローラー36sから当接部材40が離れた状態が保たれるように、当接部材40は、ホイール本体34に対する傾き方向を変えながら回転する。そのため、環状部材38が回されると、第1及び第2のオムニ車輪60,62は、移動装置10sの左右方向(横方向)に移動可能な状態で、前後方向に移動する。
第1及び第2のレバー50,52が上げられた状態のまま、第1及び第2のレバー50,52が左右方向に押し出され、あるいは引き寄せられると、第1及び第2のレバー50,52を支持している第1及び第2の車輪ユニット20,22の本体21,23と、第1及び第2の車輪ユニット20,22の本体21,23に支持されている第1及び第2のオムニ車輪60,62とは、第1及び第2のレバー50,52と一体となって左右方向に移動する。
次に、移動装置10sの操作について説明する。図5に示すように中間体12に座った使用者2が、左手で第1のレバー50を操作し、右手で第2のレバー52を操作することによって、移動装置10sを移動装置10sの左右方向、すなわち横方向に移動させることができる。また、中間体12に座った使用者2が、第1及び第2のオムニ車輪60,62に固定された環状部材38を手で回すことによって、一般的な車椅子と同様に、移動装置10sを移動装置10sの前後方向に移動させたり、移動装置10sの向きを変えたりすることができる。
具体例として、中間体12に座った使用者2が、前述した第2の横移動方法によって移動装置10sを左右方向に移動させる手順について、図12を参照しながら説明する。図12は、移動装置10sの動作の説明図であり、移動装置10sを上から見た状態を示している。図12では、中間体12を鎖線で示し、背もたれ板12a及び足載せ板12bの図示を省略している。
(1) まず、図12(a)に示すように、第1及び第2の第一部材30b,32bが中間体12に収納された状態で、ロック機構29を操作してロックを解除し、第1及び第2の第二部材30a,32aに対して第1及び第2の第一部材30b,32bを相対移動自在にする。
(2) 次いで、図12(b)において矢印90,92で示すように、左手で第1のレバー50を下げた状態のまま左方向に押し出すとともに、右手で第2のレバー52を上げた状態のまま右方向に押し出す。
第1のレバー50が下がることによってローラーの回転が禁止された第1のオムニ車輪60は静止している。この状態で、第1のレバー50を左方向に押し出すことによって第1の第一部材30bが中間体12から繰り出され、それに伴って中間体12は第1のオムニ車輪60から離れる右方向に移動する。
また、第2のレバー52が上がることによって左右方向の移動が許可された第2のオムニ車輪62は、中間体12が第1のオムニ車輪60から離れる右方向に移動することによって右方向に移動する。これに加え、第2のレバー52を右方向に押し出すことによって第2の第一部材32bが中間体12から繰り出され、それに伴って第2のオムニ車輪62は中間体12から離れる右方向に移動する。
なお、上記(2)の段階において、第1及び第2のレバー50,52を同時に操作すると操作が理解しやすいが、第1及び第2のレバー50,52を操作する順序は任意である。例えば、第1及び第2のレバー50,52の一方の押し出しが完了した後に他方を押し出しても、第1及び第2のレバー50,52を交互に何回かに分けて押し出しても構わない。
(3) 次いで、図12(c)において矢印94,96で示すように、左手で第1のレバー50を上げた状態のまま右方向に引き寄せるとともに、右手で第2のレバー52を下げた状態のまま左方向に引き寄せる。
これによって、図12(d)に示すように、第1のレバー50が上がることによって左右方向に移動可能である第1のオムニ車輪60が、中間体12に近付く方向に移動して、第1の第一部材30bが中間体12に収納される。また、第2のレバー52が下がることによって左右方向の移動が禁止された第2のオムニ車輪が静止している状態で、第2のレバー52を左方向に引き寄せることによって、中間体12は、静止している第2のオムニ車輪62に近付く方向に移動し、中間体12に第2の第一部材32bが収納される。
なお、上記(3)の段階でも、上記(2)の段階と同様に、第1及び第2のレバー50,52を操作する順序は任意である。
(4) 必要に応じて上記(2)及び(3)の段階を繰り返し、中間体12を右方向の所望位置まで移動させる。
中間体12が所望位置まで移動したときに、第1及び第2のオムニ車輪60,62が中間体12から繰り出されている場合には、例えば、第1及び第2のレバー50,52のうち一方を下げた状態とし、他方を上げた状態のまま中間体12側に引き寄せ、次いで、他方を下げた状態とし、一方を上げた状態のまま中間体12側に引き寄せることよって、第1及び第2の第一部材30b,32bが中間体12に収納された状態にする。
(5) 次いで、第1及び第2のレバー50,52を下げて、第1及び第2のオムニ車輪60,62の左右方向の移動が禁止された状態にするとともに、ロック機構29を操作してロックし、第1及び第2の第二部材30a,32aに対する第1及び第2の第一部材30b,32bの相対移動を禁止する。
上記(1)〜(5)の段階によって、移動装置10sに座った使用者2の操作によって、移動装置10sを左右方向に移動させることができる。上記(5)の段階が完了すると、移動装置10sは、左右方向に移動させることができない。
移動装置10sを左右方向に移動させるための上記(1)〜(5)の段階中に、第1及び第2のオムニ車輪60,62のホイール本体34は回転可能であるので、上記(1)〜(5)の段階中に、第1及び第2のオムニ車輪60,62の環状部材38を回すことによって、移動装置10sを前後方向に移動させることや、移動装置10sの向きを変えることも可能である。
移動装置10sは、第1及び第2のオムニ車輪60,62のローラー36をモータなどの駆動源を用いて回転駆動することなく、中間体12を左右方向に移動させることが可能である。そのため、オムニ車輪のローラーをモータなどの駆動源を用いて回転駆動する場合に比べ、簡単な構成で左右方向(横方向)の移動が可能である。
また、移動装置10sは、第1及び第2のオムニ車輪60,62の外部に、第1及び第2の操作機構26,28が設けられている。そのため、第1及び第2のオムニ車輪60,62の内部に、支持面4に接しているローラー36sの回転を禁止する第1及び第2のブレーキを設ける場合に比べ、移動装置10sの構成を簡単にすることができる。
なお、第3及び第4のオムニ車輪66,68は、第1及び第2のオムニ車輪60,62と同じ構成でも異なる構成でも構わない。第3及び第4のオムニ車輪66,68は、少なくとも左右方向と前後方向とに移動可能であればよく、さらに左右方向と前後方向の両方に交差する斜め方向にも移動可能であってもよい。例えば、第3及び第4のオムニ車輪66,68に、キャスターのように移動可能な方向が自在に変わる車輪を用いてもよい。
第1及び第2のオムニ車輪60,62とは別に備える車輪は、第3及び第4のオムニ車輪66,68の2個に限らず、1個でも、3個以上でも構わない。さらには、例えば、中間体12を吊り下げたり、磁力の反発力を利用して中間体12を支持面4から浮かせたりして、支持面4の上方に中間体12を移動自在に配置することによって、移動装置10sが第1及び第2のオムニ車輪60,62以外の車輪を全く備えない構成とすることも可能である。
第1及び第2のブレーキである当接部材40は、少なくとも、支持面4に接しているローラー36sの回転を禁止すればよく、支持面4に接しているローラー36s以外のローラーの回転を許可しても構わない。
<実施例1−2> 実施例1−2の移動装置10aについて、図13及び図14を参照しながら説明する。本実施例の移動装置10aは、実施例1−1の移動装置10と略同じ構成であるが、オムニ車輪60,62の横方向の受動移動(以下、単に「移動」ともいう。)の許可/禁止を切り替える方式が異なる。以下では、実施例1−1と同じ構成部分には同じ符号を用い、実施例1−1との相違点を中心に説明する。
図13は、本実施例の移動装置10aの構成を概念的に示す説明図である。図13に示すように、本実施例の移動装置10aの車輪ユニット20a,22aは、オムニ車輪60,62のローラーの回転を許可/禁止するブレーキ機構の代わりに、第1及び第2の回転可能方向切替機構60y,62yを備えている。回転可能方向切替機構60y,62yは、オムニ車輪60,62のローラーの一方向への回転を許可し、反対方向への回転を禁止し、かつ、ローラーの回転許可/禁止方向を切り替えることができる。回転可能方向切替機構60y,62yは、例えば、一方向クラッチ(ワンウェイクラッチ)を組み合わせたものや、爪の角度を切り替えることで回転可能方向を変更可能なラチェット機構などである。
オムニ車輪60,62のホイール本体の回転、直動案内機構30,32の伸縮、回転可能方向切替機構60y,62yが許可/禁止する回転方向の切り替えは、能動的に行うことができる。
移動装置10aは、ホイール本体の回転中心軸が同軸になるように配置された第1及び第2のオムニ車輪60,62のホイール本体の回転によって、前後方向の移動と旋回ができる。また、移動装置10aは、直動案内機構30,32の伸縮とオムニ車輪60,62のローラーについて回転を許可/禁止する方向の切り替えにより、左右方向に移動できる。
以下に、実施例1−1で説明した第2の横移動方法に相当する横移動方法について、図14を用いて説明する。図14は、移動装置10aの動作の説明図である。図14において、矢印は、オムニ車輪60,62のローラーのうち支持面4に接しているローラーについて、回転可能方向切替機構60y,62yによって選択されている回転可能方向を示す。移動装置10aが右方向に移動する場合を説明する。
図14(a)のように、第1及び第2の直動案内機構30,32が縮んでいる状態で、かつ、第1及び第2のオムニ車輪60,62のローラーのうち支持面4に接しているローラーが、回転可能方向切替機構60y,62yにより、右方向移動に相当する方向にのみ回転可能となっている状態を、初期状態とする。
まず、図14(b)のように、第1及び第2の直動案内機構30,32を伸ばす。この場合、第1の車輪ユニット20aは、オムニ車輪60の左方向への移動が禁止されているため、左右方向(横方向)に移動しない。一方、第2の車輪ユニット22aは、オムニ車輪62の右方向への移動が許可されているため、第2の直動案内機構32を伸ばした長さと第1の直動案内機構30を伸ばした長さを足し合わせた距離だけ右方向に移動する。中間体12は、第1の直動案内機構30を伸ばした長さと同じ距離だけ右方向に移動する。
次に、図14(c)のように、第1及び第2の直動案内機構30,32を縮める。この場合、第2の車輪ユニット22は、オムニ車輪62の左方向への移動が禁止されているため、横方向に移動しない。第1の車輪ユニット20は、オムニ車輪60の右方向への移動が許可されているため、第2の直動案内機構32を縮めた長さと第1の直動案内機構30を縮めた長さを足し合わせた距離だけ右方向に移動する。中間体12は、第2の直動案内機構32を縮めた長さと同じ距離だけ右方向に移動する。
以上の動作を繰り返すことで、移動装置10aは右方向へ任意の距離を移動することができる。中間体12から見ると、この右方向への駆動は、停止と移動を繰り返す断続的な運動である。
以上では、実施例1−1の第2の横移動方法に相当する横移動方法を取り上げて説明したが、本実施例の移動装置10aは、実施例1−1の第1又は第3の横移動方法に相当する横移動方法を用いても、同様に左右方向に移動することができる。また、左方向への移動は、回転可能方向切替機構60y,62yが許可する回転方向を反対方向にすることによって可能となる。
移動装置10aを前後に移動させる場合や旋回をさせる場合などで、横方向移動が不要な場合は、第1のオムニ車輪60のローラーの回転可能方向切替機構60yが許可する回転方向と、第2のオムニ車輪62のローラーの回転可能方向切替機構62yが許可する回転方向とを、互いに反対方向となるようにすれば、移動装置10aの横方向移動が禁止された状態となる。
本実施例の移動装置10aの動作の特徴は、実施例1−1の移動装置10の動作の特徴と同様である。
オムニ車輪60,62のホイール本体の回転、直動案内機構30,32の伸縮、回転可能方向切替機構60y,62yが許可/禁止する回転方向の切り替えは、人の力で駆動して実現してもよいし、モータなどの駆動源で駆動して実現してもよい。図13に示した車輪60,62に加えて他の車輪を備えていてもよく、能動的に駆動されない補助的な車輪が備えられていてもよい。受動的な移動を禁止するブレーキ機構、あるいはブレーキと同等の機能を有する別部分が備えられていてもよい。2つのオムニ車輪60,62のホイール本体の回転中心軸は、互いに平行で高さが異なるように配置されてもよい。
次に、第2グループの実施例及び具体例について説明する。結合ユニットは、中間体と、第1及び第2の直動案内機構とを含む。横移動機構は、(a)第1及び第2の規制車輪を含む第1及び第2の規制機構、(b)第1及び第2の解除車輪を含む第1及び第2の車輪切替機構、又は(c)第1及び第2の主車輪切替機構、を含む。
<実施例2−1> 実施例2−1の移動装置10bについて、図15を用いて説明する。実施例2−1の移動装置10bは、実施例1−1の移動装置10とは、オムニ車輪60,62の横方向の受動移動の許可/禁止を切り替える構成が異なる。
図15は、実施例2−1の移動装置10bの構成を概念的に示す説明図である。図15に示すように、実施例2−1の移動装置10bは、実施例1−1の移動装置10と同じ構成に、第1及び第2の規制車輪として、さらに別のオムニ車輪61,63(切替用オムニ車輪61,63と呼ぶ)を、第1及び第2の車輪ユニット20b,22bに1個ずつ追加している。切替用オムニ車輪61,63は、車輪ユニット20b,22bの本体21b,23bに回転自在に支持されている。切替用オムニ車輪61,63は、切替用オムニ車輪61,63のホイール本体の回転中心軸が、移動装置10bの前後方向と平行になるように配置されており、ホイール本体の回転により左右方向に移動し、ローラーの回転により前後方向に移動する。
車輪ユニット20b,22bには、オムニ車輪60,62のローラーの回転を許可/禁止するブレーキ機構が備えられていないが、第1及び第2の規制機構として、切替用オムニ車輪61,63と切替用オムニ車輪61,63のホイール本体の回転の許可/禁止を切り替えることができるブレーキ機構(図示せず)が備えられている。
2つのオムニ車輪60,62のホイール本体の回転中心軸は、図15では同軸に配置されているが、互いに平行かつ支持面4からの高さが異なるように配置してもよい。2個のオムニ車輪60,62及び2個の切替用オムニ車輪61,63は、すべてが同時に支持面4に接地するように配置されている。このためにサスペンションなどの高さ調節機構を備えていてもよい。
オムニ車輪60,62のホイール本体の回転、直動案内機構の伸縮、ブレーキのON/OFFの切り替えは能動的に行うことができる。
次に、移動装置10bの動作について説明する。
切替用オムニ車輪61,63のローラーは回転自在であるため、オムニ車輪60,62のホイール本体を回転させることで、移動装置10bは前後方向の移動と旋回が可能である。
また、切替用オムニ車輪61,63のホイール本体のブレーキのON/OFFを切り替えることで、車輪ユニット20b,22bの左右方向の移動を禁止または許可する状態を切り替えることができる。このため、本実施例の移動装置10bは、実施例1−1の移動装置10と同様の方法で横方向に移動することができる。
本実施例の動作の特徴は、実施例1−1の動作の特徴と同様である。
オムニ車輪60,62のホイール本体の回転、直動案内機構30,32の伸縮、ブレーキのON/OFFの切り替えは、人の力で駆動して実現してもよいし、モータなどの駆動源で駆動して実現してもよい。図15に示したオムニ車輪60〜63に加えて他の車輪を備えていてもよく、能動的に駆動されない補助的な車輪が備えられていてもよい。
実施例2−1において、オムニ車輪60,62は第1及び第2の主車輪であり、切替用オムニ車輪61,63は第1及び第2の規制車輪である。
<実施例2−2> 実施例2−2の移動装置10cについて、図16を参照しながら説明する。本実施例の移動装置10cは、実施例2−1の移動装置10bとは、オムニ車輪60,62の横方向の受動移動の許可/禁止を切り替える構成が異なる。
図16は、実施例2−2の移動装置10cの構成を概念的に示す説明図である。図16に示すように、実施例2−2の移動装置10cは、第1及び第2の車輪ユニット20c,22cに、第1及び第2の規制車輪として、切替用オムニ車輪61,63の代わりに普通車輪70,72を含む第1及び第2の規制機構を備える点で、実施例2−1の移動装置10bと異なる。普通車輪70,72は、外周にローラーがなく、車輪を回転させると1方向に駆動されるが、駆動される方向と交差する方向には能動的にも受動的にも移動できない車輪である。
普通車輪70,72は、車輪支持部70k,72kに回転自在に支持されている。車輪支持部70k,72kと、車輪ユニット20c,22cの本体21c,23cとは、直動案内機構46,48(切替用直動案内機構46,48と呼ぶ)を介して結合されている。第1及び第2の規制機構は、切替用直動案内機構46,48の伸縮によって、普通車輪70,72を鉛直方向に能動的に移動させて、普通車輪70,72が支持面4に接する接触位置と、支持面4から離れた退避位置とに移動させることができる。普通車輪70,72は、支持面4に接地したときに前後方向に移動する向きに配置されている。
2つのオムニ車輪60,62のホイール本体及び2つの普通車輪70,72の回転中心軸は、支持面4に接地した状態で同軸に、又は互いに平行かつ高さが異なるように配置されている。
オムニ車輪60,62のホイール本体の回転、直動案内機構30,32の伸縮、切替用直動案内機構46,48の伸縮は、能動的に行うことができる。
本実施例の移動装置10cの動作について説明する。
オムニ車輪60,62のホイール本体を回転させることで、移動装置10cは前後方向の移動と旋回が可能である。普通車輪70,72が支持面4に接しているとき、オムニ車輪60,62は左右方向の移動が禁止される。普通車輪70,72が支持面4から離れているとき、オムニ車輪60,62の左右方向の移動は許可される。
例えば、図16(b)は、第1の普通車輪70が支持面4に接しており、第1の車輪ユニット20cは左右方向の移動が禁止された状態である。第2の普通車輪72は支持面4から離れており、第2の車輪ユニット22cは左右方向の移動が許可された状態である。
このため、普通車輪70,72が支持面4に接した状態と接していない状態とを切り替えることで、本実施例の移動装置10cは、実施例1−1の移動装置10と同様に、第1ないし第3の横移動方法を用いて、左右方向に駆動することができる。
移動装置10cは、前後方向の移動と左右方向の移動を同時に行うことができるので、前後方向の移動と左右方向の移動を同時に行うことによって斜め方向に移動することができる。
本実施例の動作の特徴は、実施例1−1の動作と同様である。
オムニ車輪60,62のホイール本体の回転、直動案内機構30,32の伸縮、切替用直動案内機構46,48の伸縮は、人の力で駆動して実現してもよいし、モータなどの駆動源で駆動して実現してもよい。図16(a)に示した車輪60,62,70,72に加えて他の車輪を備えていてもよく、能動的に駆動されない補助的な車輪が備えられていてもよい。オムニ車輪60,62のホイール本体を能動的に回転させず、普通車輪70,72を能動的に回転させるように構成してもよい。
オムニ車輪60,62を第1及び第2の主車輪と考えると、普通車輪70,72は第1及び第2の規制車輪であり、(a)普通車輪70と切替用直動案内機構46とを含む第1の規制機構は、切替用直動案内機構46の伸縮によって、第1の規制車輪である普通車輪70を、支持面4に接する第1の接触位置と、支持面4から離れた第1の退避位置とに移動させることができ、(b)普通車輪72と切替用直動案内機構48とを含む第2の規制機構は、切替用直動案内機構48の伸縮によって、第2の規制車輪である普通車輪72を、支持面4に接する第2の接触位置と、支持面4から離れた第2の退避位置とに移動させることができる。
普通車輪70,72を、支持面4に接しながら第2の方向にのみ移動可能である第1及び第2の主車輪と考えると、オムニ車輪60,62は第1及び第2の解除車輪であり、(a)オムニ車輪60と切替用直動案内機構46とを含む第1の車輪切替機構は、切替用直動案内機構46の伸縮によって、第1の主車輪である普通車輪70が支持面4から離れ、第1の解除車輪であるオムニ車輪60が支持面4に接している第1の解除状態と、第1の主車輪である普通車輪70が支持面4に接している第1の規制状態とにすることができ、(b)オムニ車輪62と切替用直動案内機構48とを含む第2の車輪切替機構は、切替用直動案内機構48の伸縮によって、第2の主車輪である普通車輪72が支持面4から離れ、第2の解除車輪であるオムニ車輪62が支持面4に接している第2の解除状態と、第2の主車輪である普通車輪72が支持面4に接している第2の規制状態とにすることができる。
<具体例2> 実施例2−2の移動装置の具体的な構成の一例として、具体例2の移動装置10tについて、図17を参照しながら説明する。
図17は、移動装置10tの要部断面図である。図17に示すように、具体例2の移動装置10tは、オムニ車輪60,62のローラー36のうち支持面4に接しているローラー36sの回転を禁止又は許可する第1及び第2の操作機構26a,28aの構成が、具体例1の移動装置10sの第1及び第2の操作機構26,28とは異なる。
具体例2の移動装置10tの第1及び第2の操作機構26a,28aは、具体例1の移動装置10sの第1及び第2の操作機構26,28と同様に、第1及び第2のレバー50,52が、車輪ユニット20c,22cの本体21c,23cに、移動自在に支持されている。第1及び第2のレバー50,52の下端に、第1及び第2の規制車輪である普通車輪70,72が回転自在に支持されている。普通車輪70,72の回転中心軸は、第1及び第2のオムニ車輪60,62のホイール本体34の回転中心軸と平行に保たれている。第1及び第2のレバー50,52を下げると普通車輪70,72が支持面4に接し、普通車輪70,72は普通車輪70,72の回転中心軸方向、すなわち左右方向の移動が、支持面4との摩擦によって禁止される。第1及び第2のレバー50,52を上げると普通車輪70,72が支持面4から離れる。
第1及び第2のオムニ車輪60,62と普通車輪70,72とは一体に移動する。そのため、普通車輪70,72が左右方向に移動不自在に支持面4に接すると、第1及び第2のオムニ車輪60,62は左右方向の移動が禁止される。普通車輪70,72が支持面4から離れているとき、第1及び第2のオムニ車輪60,62は左右方向の移動が許可される。すなわち、普通車輪70,72は、第1及び第2のレバー50,52の移動に連動して、左右方向に移動不自在に支持面4に接する第1及び第2の接触位置、又は支持面4から離れている第1及び第2の退避位置に配置される。
具体例2においても、具体例1と同様に、第1及び第2のレバー50,52を下げることによって、第1及び第2のオムニ車輪60,62の左右方向の移動が禁止され、第1及び第2のレバー50,52を上げることによって、第1及び第2のオムニ車輪60,62の左右方向の移動禁止が解除される。第1及び第2のレバー50,52のうち一方を上げた状態のまま第1及び第2のレバー50,52を押し出し、又は引き寄せることによって、第1及び第2のオムニ車輪60,62を左右方向に移動させることができる。そのため、具体例2においても、具体例1と同じ操作によって、移動装置を左右方向に移動させることができる。
また、第1及び第2のレバー50,52を下げた状態で環状部材38を回すことによって、移動装置を、左右方向の移動が禁止された状態で、第2の方向(すなわち、前後方向)に移動させたり、移動装置の向きを変えたりすることができる。
普通車輪70,72は、第1及び第2のオムニ車輪60,62の外部に設けることができるため、第1及び第2のオムニ車輪60,62の内部に第1及び第2のブレーキを設ける場合に比べ、構成を簡単にすることができる。
<実施例2−2a> 図18は、実施例2−2aの移動装置10dの構成を概念的に示す説明図である。図18に示すように、本実施例の移動装置10dは、実施例2−2の移動装置10cに対して、普通車輪70,72とオムニ車輪60,62の配置を入れ替えたものである。
普通車輪70,72は能動的に回転でき、その回転により前後方向に移動するように、車輪ユニット20d,22dの本体21d,23dに支持されている。オムニ車輪60,62は車輪支持部60k,62kに回転自在に支持され、車輪支持部60k,62kと車輪ユニット20d,22dの本体21d,23dとは、切替用直動案内機構46,48を介して相対移動可能に結合されている。切替用直動案内機構46,48はオムニ車輪60,62を鉛直方向に能動的に移動させることができ、オムニ車輪60,62を支持面4に接触させたり、支持面4から離したりすることができる。
普通車輪70,72は第1及び第2の主車輪であり、オムニ車輪60,62は第1及び第2の解除車輪である。オムニ車輪60,62と切替用直動案内機構46,48は、第1及び第2の車輪切替機構である。
2つのオムニ車輪60,62のホイール本体及び2つの普通車輪70,72の回転中心軸は、支持面4に接地した状態で同軸または互いに平行で高さが異なるように配置されている。
普通車輪70,72の回転、直動案内機構30,32の伸縮、切替用直動案内機構46,48の伸縮は、能動的に行うことができる。
本実施例の移動装置10dの動作は、実施例2−2の移動装置10cと同様である。ただし、オムニ車輪60,62及び普通車輪70,72が支持面4に接した状態と離れた状態を切り替える方法が異なる。
普通車輪70,72を接地させる場合、切替用直動案内機構46,48を縮めることでオムニ車輪60,62を支持面4から離し、普通車輪70,72のみを接地させる。この場合、各車輪ユニット20d,22dの左右方向の移動は禁止されるが、普通車輪70,72を回転させることによって、移動装置10dを前後方向に移動させたり、旋回させたりすることができる。
普通車輪70,72を支持面4から離す場合、切替用直動案内機構46,48を伸ばし、オムニ車輪60,62を接地させるとともに、車輪ユニット20d,22dを持ち上げることで普通車輪70,72を支持面4から離す。この場合、車輪ユニット20d,22dの左右方向の移動は許可される。車輪ユニット20d,22dの一方を持ち上げる場合は、移動装置10d全体がわずかに傾く。
例えば、図18(b)では、第1の車輪ユニット20dは、普通車輪70が接地しているから横方向の移動が禁止された状態であり、第2の車輪ユニット22dは、オムニ車輪62が接地し、普通車輪72が支持面4から離れているから、横方向の移動が許可された状態である。
なお、車輪ユニット20d,22dの横方向の移動が禁止された状態にするために、普通車輪70,72とオムニ車輪60,62の両方が支持面4に接するようにしてもよい。
本実施例の移動装置10dは、前後、左右方向の移動と旋回が可能である。オムニ車輪60,62のホイール本体の回転を能動的に行えるように構成した場合、斜め方向にも移動することができる。
普通車輪70,72の回転、直動案内機構30,32の伸縮、切替用直動案内機構46,48の伸縮は、人の力で駆動して実現してもよいし、モータなどの駆動源で駆動して実現してもよい。図18(a)に示した車輪60,62,70,72に加えて、他の車輪を備えてもよく、能動的に駆動されない補助的な車輪を備えていてもよい。普通車輪70,72を能動的に回転させず、オムニ車輪60,62のホイール本体を能動的に回転させるように構成してもよい。
第1及び第2のオムニ車輪60,62の代わりに、回転軸が前後方向に平行となるように配置された普通車輪を使ってもよい。この場合、回転軸が前後方向に平行となるように配置された普通車輪が支持面4に接し、普通車輪70,72が支持面4から離れた状態では、横方向の移動が許可された状態となり、回転軸が前後方向に平行となるように配置された普通車輪が支持面4から離れ、普通車輪70,72が支持面4に接した状態では、横方向の移動が禁止された状態となる。
普通車輪70,72を第1及び第2の主車輪と考えると、オムニ車輪60,62は第1及び第2の解除車輪であり、(a)オムニ車輪60と切替用直動案内機構46とを含む第1の車輪切替機構は、切替用直動案内機構46の伸縮によって、第1の主車輪である普通車輪70が支持面4から離れ、第1の解除車輪であるオムニ車輪60が支持面4に接している第1の解除状態と、第1の主車輪である普通車輪70が支持面4に接している第1の規制状態とにすることができ、(b)オムニ車輪62と切替用直動案内機構48とを含む第2の車輪切替機構は、切替用直動案内機構48の伸縮によって、第2の主車輪である普通車輪72が支持面4から離れ、第2の解除車輪であるオムニ車輪62が支持面4に接している第2の解除状態と、第2の主車輪である普通車輪72が支持面4に接している第2の規制状態とにすることができる。
オムニ車輪60,62を第1及び第2の主車輪と考えると、普通車輪70,72は第1及び第2の規制車輪であり、(a)普通車輪70と切替用直動案内機構46とを含む第1の規制機構は、切替用直動案内機構46の伸縮によって、第1の規制車輪である普通車輪70を、支持面4に接する第1の接触位置と、支持面4から離れた第1の退避位置とに移動させることができ、(b)普通車輪72と切替用直動案内機構48とを含む第2の規制機構は、切替用直動案内機構48の伸縮によって、第2の規制車輪である普通車輪72を、支持面4に接する第2の接触位置と、支持面4から離れた第2の退避位置とに移動させることができる。
<実施例2−2b> 図19は、実施例2−2bの移動装置10eの構成を概念的に示す説明図である。図19に示すように、本実施例の移動装置10eは、実施例2−2の移動装置10cと比較すると、普通車輪70,72とオムニ車輪60,62の両方を切替用直動案内機構46〜49を介して車輪ユニット20e,22eの本体21e,23eに結合した点が異なる。
切替用直動案内機構46〜49はオムニ車輪60,62や普通車輪70,72を鉛直方向に能動的に移動させることができ、オムニ車輪60,62や普通車輪70,72を支持面4に接触させたり、支持面4から離したりすることができる。オムニ車輪60,62のホイール本体と普通車輪70,72の両方あるいは片方は能動的に回転させることができ、能動的に回転させられない場合は受動的に回転自在である。普通車輪70,72とオムニ車輪60,62の向きは実施例2−2と同様である。2つのオムニ車輪60,62のホイール本体及び2つの普通車輪70,72の回転中心軸は、支持面4に接地した状態で同軸または互いに平行で高さが異なるように配置されている。
オムニ車輪60,62のホイール本体と普通車輪70,72の両方あるいは片方の回転、直動案内機構30,32の伸縮、切替用直動案内機構46〜49の伸縮は能動的に行うことができる。
本実施例の移動装置10eの動作は、実施例2−2の移動装置10cと同様である。ただし、オムニ車輪60,62と普通車輪70,72が支持面4に接した状態と離れた状態を切り替える方法が異なる。
各車輪ユニット20e,22eにおいて、普通車輪70,72を接地させる場合、普通車輪70,72が接続された切替用直動案内機構46,48を伸ばすことで普通車輪70,72を接地させ、オムニ車輪60,62が接続された切替用直動案内機構47,49を縮めることでオムニ車輪60,62を支持面4から離す。この場合、各車輪ユニット20e,22eは、普通車輪70,72のみが接地しており、車輪ユニット20e,22eの左右方向の移動は禁止される。なお、第1及び第2の車輪ユニット20e,22eの横方向の移動が禁止された状態にするために、普通車輪70,72とオムニ車輪60,62の両方が支持面4に接するようにしてもよい。
各車輪ユニット20e,22eにおいて、オムニ車輪60,62を支持面4に接触させる場合、オムニ車輪60,62が接続された切替用直動案内機構47,49を伸ばすことでオムニ車輪60,62を接地させ、普通車輪70,72が接続された切替用直動案内機構46,48を縮めることで普通車輪70,72を支持面4から離す。この場合、各車輪ユニット20e,22eは、オムニ車輪60,62のみが支持面4に接触しており、車輪ユニット20e,22eの左右方向の移動は許可される。
例えば、図19(b)では、第2の車輪ユニット22eは、普通車輪72が接地しているから、横方向の移動が禁止された状態であり、第1の車輪ユニット20eは、オムニ車輪60のみが接地しているから、横方向の移動が許可された状態である。
普通車輪70,72は第1及び第2の規制車輪であり、オムニ車輪60,62は第1及び第2の主車輪である。普通車輪70,72と切替用直動案内機構46〜49は、第1及び第2の規制機構である。別の見方をすると、普通車輪70,72は第1及び第2の主車輪であり、オムニ車輪60,62は第1及び第2の解除車輪である。オムニ車輪60,62と切替用直動案内機構46〜49は、第1及び第2の車輪切替機構である。
本実施例の移動装置10eは、前後、左右方向の移動と旋回ができる。オムニ車輪60,62のホイール本体の回転を能動的に行えるように構成した場合、斜め方向にも移動することができる。
普通車輪70,72やオムニ車輪60,62のホイール本体の両方あるいは片方の回転、直動案内機構30,32の伸縮、切替用直動案内機構46〜49の伸縮は、人の力で駆動して実現してもよいし、モータなどの駆動源で駆動して実現してもよい。図19(a)に示した車輪60,62,70,72に加えて他の車輪を備えていてもよく、能動的に駆動されない補助的な車輪が備えられていてもよい。
オムニ車輪60,62の代わりに、回転軸が前後方向に平行となるように配置された普通車輪を使ってもよい。この場合、各車輪ユニット20e,22eは、回転軸が前後方向に平行となるように配置された普通車輪が支持面4に接し、普通車輪70,72が支持面4から離れた状態では、横方向の移動が許可された状態となり、回転軸が前後方向に平行となるように配置された普通車輪が支持面4から離れ、普通車輪70,72が支持面4に接した状態では、横方向の移動が禁止された状態となる。
普通車輪70,72を第1及び第2の主車輪と考えると、オムニ車輪60,62は第1及び第2の解除車輪であり、(a)オムニ車輪60と切替用直動案内機構46,47とを含む第1の車輪切替機構は、切替用直動案内機構46,47の伸縮によって、第1の主車輪である普通車輪70が支持面4から離れ、第1の解除車輪であるオムニ車輪60が支持面4に接している第1の解除状態と、第1の主車輪である普通車輪70が支持面4に接している第1の規制状態とにすることができ、(b)オムニ車輪62と切替用直動案内機構48,49とを含む第2の車輪切替機構は、切替用直動案内機構48,49の伸縮によって、第2の主車輪である普通車輪72が支持面4から離れ、第2の解除車輪であるオムニ車輪62が支持面4に接している第2の解除状態と、第2の主車輪である普通車輪72が支持面4に接している第2の規制状態とにすることができる。
オムニ車輪60,62を第1及び第2の主車輪と考えると、普通車輪70,72は第1及び第2の規制車輪であり、(a)普通車輪70と切替用直動案内機構46,47とを含む第1の規制機構は、切替用直動案内機構46,47の伸縮によって、第1の規制車輪である普通車輪70を、支持面4に接する第1の接触位置と、支持面4から離れた第1の退避位置とに移動させることができ、(b)普通車輪72と切替用直動案内機構48,49とを含む第2の規制機構は、切替用直動案内機構48,49の伸縮によって、第2の規制車輪である普通車輪72を、支持面4に接する第2の接触位置と、支持面4から離れた第2の退避位置とに移動させることができる。
<実施例2−3> 図20は、実施例2−3の移動装置10fの構成を概念的に示す説明図である。図20に示すように、本実施例の移動装置10fは、実施例2−2bと同様に、各車輪ユニット20f,22fが普通車輪70,72とオムニ車輪60,62とを有しており、普通車輪70,72とオムニ車輪60,62とが支持面4に接するか離れるかを切り替えることができるものであるが、切り替える方法が実施例2−2bと異なる。
各車輪ユニット20f,22fは、普通車輪70,72が回転部材24f,26fに支持されており、回転部材24f,26fが回転ジョイント25,27を介して、車輪ユニット20f,22fの本体21f,23fに結合されている。普通車輪70,72は、接地した状態で回転すると前後方向に移動するように配置され、能動的に回転させることができる。回転ジョイント25,27の回転軸は前後方向と平行であり、回転部材24f,26fは能動的に回転させることができる。さらに、回転部材24f,26fには、オムニ車輪60,62が回転自在に支持されている。オムニ車輪60,62の向きは、ホイール本体の回転軸が前後方向に対して垂直となる方向である。中間体12、直動案内機構30,32の構成は実施例2−2bと同じである。2つの普通車輪70,72の回転中心軸は、普通車輪70,72が接地したときに同軸となるように配置されているが、互いに平行で高さが異なるように配置してもよい。オムニ車輪60,62のホイール本体の回転中心軸は、普通車輪70,72の回転中心軸と同一平面内に存在するように配置されている。
普通車輪70,72の回転、直動案内機構30,32の伸縮、回転部材24f,26fの回転ジョイント25,27周りの回転は、能動的に行うことができる。
本実施例の移動装置10fの動作について説明する。回転部材24f,26fを回転ジョイント25,27周りに回転させることで、普通車輪70,72を支持面4に接触させてオムニ車輪60,62を支持面4から離したり、普通車輪70,72を支持面4から離してオムニ車輪60,62を支持面4に接触させることができる。例えば、図20(b)は、第1の車輪ユニット20fでは普通車輪70が接地した状態で、第2の車輪ユニット22fではオムニ車輪62が接地した状態である。このため、各車輪ユニット20f,22fにおいて、支持面4に接している車輪を、オムニ車輪60,62か普通車輪70,72に切り替えることで、本実施例の移動装置は、実施例2−2bの移動装置10eと同様に横方向の移動が可能である。
普通車輪70,72は第1及び第2の主車輪であり、オムニ車輪60,62は第1及び第2の解除車輪である。オムニ車輪60,62と回転ジョイント25,27は、第1及び第2の車輪切替機構である。別の見方をすると、普通車輪70,72は第1及び第2の規制車輪であり、オムニ車輪60,62は第1及び第2の主車輪である。普通車輪70,72と回転ジョイント25,27は、第1及び第2の規制機構である。
本実施例の移動装置10fは、前後、左右方向の移動と旋回ができる。オムニ車輪60,62のホイール本体の回転を能動的に行えるように構成した場合、斜め方向にも移動することができる。
普通車輪70,72の回転、直動案内機構30,32の伸縮、回転部材24f,26fの回転ジョイント25,27周りの回転は、人の力で駆動して実現してもよいし、モータなどの駆動源で駆動して実現してもよい。図20(a)に示した車輪60,62,70,72に加えて他の車輪を備えていてもよく、能動的に駆動されない補助的な車輪が備えられていてもよい。普通車輪70,72を能動的に回転させず、オムニ車輪60,62のホイール本体を能動的に回転させるように構成してもよい。
オムニ車輪60,62の代わりに、回転軸が前後方向に平行となるように配置された普通車輪を使ってもよい。この場合、各車輪ユニット20f,22fは、回転軸が前後方向に平行となるように配置された普通車輪が支持面4に接し、普通車輪70,72が支持面4から離れた状態では、横方向の移動が許可された状態となり、回転軸が前後方向に平行となるように配置された普通車輪が支持面4から離れ、普通車輪70,72が支持面4に接した状態では、横方向の移動が禁止された状態となる。
図20(a)に示すように第1の車輪ユニット20fでは普通車輪70の右側にオムニ車輪60があるが、左側にオムニ車輪60があってもよく、第2の車輪ユニット22fでは普通車輪72の左側にオムニ車輪62があるが、右側にオムニ車輪62があってもよい。
普通車輪70,72を第1及び第2の主車輪と考えると、オムニ車輪60,62は第1及び第2の解除車輪であり、(a)オムニ車輪60と回転ジョイント25とを含む第1の車輪切替機構は、回転ジョイント25の回転によって、第1の主車輪である普通車輪70が支持面4から離れ、第1の解除車輪であるオムニ車輪60が支持面4に接している第1の解除状態と、第1の主車輪である普通車輪70が支持面4に接している第1の規制状態とにすることができ、(b)オムニ車輪62と回転ジョイント27とを含む第2の車輪切替機構は、回転ジョイント27の回転によって、第2の主車輪である普通車輪72が支持面4から離れ、第2の解除車輪であるオムニ車輪62が支持面4に接している第2の解除状態と、第2の主車輪である普通車輪72が支持面4に接している第2の規制状態とにすることができる。
オムニ車輪60,62を第1及び第2の主車輪と考えると、普通車輪70,72は第1及び第2の規制車輪であり、(a)普通車輪70と回転ジョイント25とを含む第1の規制機構は、回転ジョイント25の回転によって、第1の規制車輪である普通車輪70を、支持面4に接する第1の接触位置と、支持面4から離れた第1の退避位置とに移動させることができ、(b)普通車輪72と回転ジョイント27とを含む第2の規制機構は、回転ジョイント27の回転によって、第2の規制車輪である普通車輪72を、支持面4に接する第2の接触位置と、支持面4から離れた第2の退避位置とに移動させることができる。
図21は、変形例の移動装置10gの構成を概念的に示す説明図である。図21に示すように、車輪ユニット20g,22gの本体21g,23gに回転ジョイント25,27を介して結合された回転部材24g,26gに、普通車輪70,72と、普通車輪70,72の左側と右側の両方に配置されたオムニ車輪60,62,64,66とが回転自在に支持される構成としてもよい。
<実施例2−4> 図22は、実施例2−4の移動装置10hの構成を概念的に示す説明図である。図22に示すように、本実施例の移動装置10hは、実施例2−3の移動装置10fと略同じ構成であるが、車輪ユニット20h,22hの本体21h,23hに回転ジョイント25,27を介して結合された回転部材24h,26hに、それぞれ2個のオムニ車輪60,64;62,66が配置される点、オムニ車輪60,62,64,66のホイール本体の回転軸が移動装置10hの前後方向に平行である点、オムニ車輪60,62,64,66のホイール本体には一方向回転機構60x,62x,64x,66xが設けられている点が、実施例2−3と異なる。
一方向回転機構60x,62x,64x,66xは、一方向クラッチ(ワンウェイクラッチ)やラチェット機構などであり、一方向への回転を許可し、反対方向への回転を禁止するものである。各オムニ車輪60,62,64,66のホイール本体の回転可能方向は、図22において矢印で示す方向である。すなわち、各回転部材24h,26hにおいて、左側に配置されているオムニ車輪64,62は、接地したときに左方向に移動する方向に回転可能であり、右側に配置されているオムニ車輪60,66は、接地したときに右方向に移動する方向に回転可能である。2つの普通車輪70,72の回転中心軸は、同軸に配置されているが、互いに平行で高さが異なるように配置してもよい。
各車輪ユニット20h,22hを右側に移動させる場合は、各回転部材24h,26hの右側のオムニ車輪60,66を接地させ、左側に移動させる場合は、各回転部材24h,26hの左側のオムニ車輪64,62を接地させる。
回転部材24h,26hの回転ジョイント25,27は能動的に動かしてもよいが、直動案内機構30,32の伸縮に伴い回転部材24h,26hを回転させる力が生じるため、回転部材24h,26hの回転ジョイント25,27は、必ずしも能動的に動かす必要はない。
例えば、普通車輪70,72が接地しているとき、直動案内機構30,32を伸縮して車輪ユニット20h,22hの本体21h,23hを右側または左側に動かすと、普通車輪70,72は左右方向には移動しないため、回転部材24h,26hを回転ジョイント25,27周りに回転させる運動が生じる。
普通車輪70,72が接地している状態で、車輪ユニット20h,22hの本体21h,23hが右方向に動くと、回転部材24h,26hの右側のオムニ車輪60,66が接地し、車輪ユニット20h,22hの本体21h,23hが左方向に動くと、回転部材24h,26hの左側のオムニ車輪64,62が接地する。
回転部材24h,26hの右側のオムニ車輪60,66が接地した状態で、車輪ユニット20h,22hの本体21h,23hが右方向に動くと、オムニ車輪60,66のホイール本体は回転可能であるため、オムニ車輪60,66は右方向に移動する。回転部材24h,26hの右側のオムニ車輪60,66が接地した状態で、車輪ユニット20h,22hの本体21h,23hが左方向に動くと、オムニ車輪60,66のホイール本体は回転禁止であるため、回転部材24h,26hを回転ジョイント25,27周りに回転させる運動が生じ、普通車輪70,72が接地する状態に復帰する。
回転部材24h,26hの左側のオムニ車輪64,62が接地した状態についても同様であり、車輪ユニット20h,22hの本体21h,23hが左方向に動くと、オムニ車輪64,62は左方向に移動し、車輪ユニット20h,22hの本体21h,23hが右方向に動くと、普通車輪70,72が接地する状態に復帰する。
普通車輪70,72の回転、直動案内機構30,32の伸縮は能動的に行うことができる。
普通車輪70,72が支持面4に接した状態では、普通車輪70,72を駆動することにより、移動装置10hは前後方向の移動と旋回が可能である。回転部材24h,26hの右側のオムニ車輪60,66が接地した状態では、実施例1−2で回転可能方向切替機構が右方向移動を許可している状態と同じであるので、実施例1−2と同じ方法で右方向に移動できる。同様に、回転部材24h,26hの左側のオムニ車輪64,62が接地した状態では左方向に移動できる。
普通車輪70,72は第1及び第2の主車輪であり、オムニ車輪60,64;62,66は第1及び第2の解除車輪である。オムニ車輪60,64;62,66と回転ジョイント25,27は、第1及び第2の車輪切替機構である。別の見方をすると、普通車輪70,72は第1及び第2の規制車輪であり、オムニ車輪60,64;62,66は第1及び第2の主車輪である。普通車輪70,72と回転ジョイント25,27は、第1及び第2の規制機構である。
本実施例の移動装置10hは、前後、左右の移動と旋回が可能である。
普通車輪70,72の回転、直動案内機構30,32の伸縮は、人の力で駆動して実現してもよいし、モータなどの駆動源で駆動して実現してもよい。回転部材24h,26hの回転ジョイント25,27周りの回転は、直動案内機構30,32の伸縮に伴い受動的に回転されてもよいし、人力で駆動されてもモータなどの駆動源で駆動されてもよい。図22に示した車輪に加えて他の車輪を備えていてもよく、能動的に駆動されない補助的な車輪が備えられていてもよい。
オムニ車輪60,62,64,66の代わりに、回転軸が前後方向に平行となるように配置された普通車輪を使ってもよい。この場合、回転軸が前後方向に平行となるように配置された普通車輪が支持面4に接し、普通車輪70,72が支持面4から離れた状態では、横方向の移動が許可された状態となり、回転軸が前後方向に平行となるように配置された普通車輪が支持面4から離れ、普通車輪70,72が支持面4に接した状態では、横方向の移動が禁止された状態となる。
普通車輪70,72を第1及び第2の主車輪と考えると、オムニ車輪60,62,64,66は第1及び第2の解除車輪であり、(a)オムニ車輪60,64と回転ジョイント25とを含む第1の車輪切替機構は、回転ジョイント25の回転によって、第1の主車輪である普通車輪70が支持面4から離れ、第1の解除車輪であるオムニ車輪60又は64が支持面4に接している第1の解除状態と、第1の主車輪である普通車輪70が支持面4に接している第1の規制状態とにすることができ、(b)オムニ車輪62,66と回転ジョイント27とを含む第2の車輪切替機構は、回転ジョイント27の回転によって、第2の主車輪である普通車輪72が支持面4から離れ、第2の解除車輪であるオムニ車輪62又は66が支持面4に接している第2の解除状態と、第2の主車輪である普通車輪72が支持面4に接している第2の規制状態とにすることができる。
オムニ車輪60,62,64,66を第1及び第2の主車輪と考えると、普通車輪70,72は第1及び第2の規制車輪であり、(a)普通車輪70と回転ジョイント25とを含む第1の規制機構は、回転ジョイント25の回転によって、第1の規制車輪である普通車輪70を、支持面4に接する第1の接触位置と、支持面4から離れた第1の退避位置とに移動させることができ、(b)普通車輪72と回転ジョイント27とを含む第2の規制機構は、回転ジョイント27の回転によって、第2の規制車輪である普通車輪72を、支持面4に接する第2の接触位置と、支持面4から離れた第2の退避位置とに移動させることができる。
<実施例2−5> 図23は、実施例2−5の移動装置10iの構成を概念的に示す説明図である。図23に示すように、本実施例の移動装置10iは、実施例2−2の移動装置10cの構成に近いが、普通車輪70,72に接続しているものは切替用直動案内機構46,48ではなく、回転ジョイント76,78である点が異なる。
普通車輪70,72は支持面4に接しており、回転ジョイント76,78により鉛直軸周りに旋回することができ、移動方向を前後、左右、斜めなど様々な方向に切り替えることができる。2つのオムニ車輪60,62のホイール本体の回転中心軸は、同軸に配置されているが、互いに平行で高さが異なるように配置してもよい。普通車輪70,72の回転中心軸は、普通車輪70,72の移動方向が前後方向となっているとき、オムニ車輪60,62のホイール本体の回転中心軸と同軸または互いに平行で高さが異なるように配置されている。2個のオムニ車輪60,62及び2個の普通車輪70,72はすべて同時に接地するように配置されている。このためにサスペンションなどの高さ調節機構を備えていてもよい。
オムニ車輪60,62の回転、直動案内機構30,32の伸縮、回転ジョイント76,78の回転は、能動的に行うことができる。
本実施例の移動装置10iの動作について説明する。普通車輪70,72の移動方向が前後方向となっているとき、オムニ車輪60,62を駆動することで、前後方向の移動と旋回が可能である。また、このときは、左右方向には能動的にも受動的にも移動不可能であるから、車輪ユニット20i,22iの横方向の移動は禁止される。普通車輪70,72の移動方向が左右方向となっているとき、車輪ユニット20i,22iの横方向の移動は許可される。このため、普通車輪70,72の向きを切り替えることで、本実施例の移動装置10iは、実施例1−1の移動装置10と同様の方法で横方向に移動することができる。
普通車輪70,72は第1及び第2の規制車輪であり、オムニ車輪60,62は第1及び第2の主車輪である。普通車輪70,72と回転ジョイント76,78は、第1及び第2の規制機構である。
本実施例の移動装置10iは、前後、左右方向の移動と旋回が可能である。普通車輪70,72の向きを、移動装置10iの移動方向に応じて適切に調整すれば、斜め方向の移動も可能である。
オムニ車輪60,62のホイール本体の回転、直動案内機構30,32の伸縮、回転ジョイント76,78の回転は、人の力で駆動して実現してもよいし、モータなどの駆動源で駆動して実現してもよい。図23に示した車輪に加えて他の車輪を備えていてもよく、能動的に駆動されない補助的な車輪が備えられていてもよい。
オムニ車輪60,62は第1及び第2の主車輪であり、普通車輪70,72は第1及び第2の規制車輪である。普通車輪70と回転ジョイント76とを含む第1の規制機構は、回転ジョイント76の回転によって、第1の規制車輪である普通車輪70の向きを、支持面4に接しながら第1の方向への移動が可能である第1の向きと、支持面4に接しながら第2の方向への移動が可能である第2の向きとに切り替えることができる。普通車輪72と回転ジョイント78とを含む第2の規制機構は、回転ジョイント78の回転によって、第2の規制車輪である普通車輪72の向きを、支持面4に接しながら第1の方向への移動が可能である第3の向きと、支持面4に接しながら第2の方向への移動が可能である第4の向きとに切り替えることができる。
<実施例2−6> 図24は、実施例2−6の移動装置10jの構成を概念的に示す説明図である。図24に示すように、本実施例の移動装置10jでは、車輪ユニット20j,22jは、それぞれ2個のオムニ車輪60,64;62,66を備えており、各オムニ車輪60,62,64,66は、切替用直動案内機構46〜49を介して、車輪ユニット20j,22jの本体21j,23jに結合されている。切替用直動案内機構46〜49は、オムニ車輪60,62,64,66を鉛直方向に能動的に移動させることができ、オムニ車輪60,62,64,66を支持面4に接地させたり支持面4から離したりすることができる。各オムニ車輪60,62,64,66のローラーには、一方向回転機構60x,62x,64x,66xが備えられており、ローラーの回転可能方向が一方向に制限されている。一方向回転機構60x,62x,64x,66xには、一方向クラッチ(ワンウェイクラッチ)やラチェット機構などを用いてもよい。
図24において矢印は、支持面4に接しているローラーが回転可能な方向を示している。各車輪ユニット20j,22jの一方のオムニ車輪60,66は、接地したときに右方向に移動可能な方向にローラーが回転可能であり、他方のオムニ車輪64,62は、接地したときに左方向に移動可能な方向にローラーが回転可能である。ローラーが互いに反対方向に回転する2種類のオムニ車輪60,66;64,62は、各車輪ユニット20j,22jにおいて左側、右側のどちらに配置されてもよい。その他の構成は、実施例2−1と同じである。4つのオムニ車輪60,62,64,66のホイール本体の回転中心軸は、接地したときに同軸になるように配置されているが、互いに平行で高さが異なるように配置してもよい。
オムニ車輪60,62,64,66のホイール本体の回転、直動案内機構30,32の伸縮、切替用直動案内機構46〜49の伸縮は、能動的に行うことができる。
本実施例の移動装置10jの動作について説明する。各車輪ユニット20j,22jについて、右方向に移動可能なオムニ車輪60,66と、左方向に移動可能なオムニ車輪64,62とのうち、いずれか一方を接地させ、他方を支持面4から離すことで、車輪ユニット20jが移動可能な方向を、右方向または左方向に切り替えることができる。このため、本実施例の移動装置10jは、実施例1−2の移動装置10aと同様の方法で横方向に移動することができる。
各車輪ユニット20j,22jの右方向に移動可能なオムニ車輪60,66及び左方向に移動可能なオムニ車輪64,62の両方を同時に接地させると、車輪ユニット20j,22jは左右方向の移動が禁止された状態となる。移動装置10jを前後方向に移動する場合や旋回する場合には、車輪ユニット20j,22jの左右方向移動が禁止された状態にすることで、左右方向の受動的な移動が拘束される。
オムニ車輪60,64は、第1の主車輪の一方側車輪と他方側車輪である。オムニ車輪62,66は、第2の主車輪の一方側車輪と他方側車輪である。切替用直動案内機構46,47を含む第1の主車輪切替機構は、切替用直動案内機構46,47の伸縮によって、第1の主車輪であるオムニ車輪60,64の一方が支持面4に接し、他方が支持面4から離れている第1の状態と、他方が支持面4に接し、一方が支持面4から離れている第2の状態とを切り替えることができる。切替用直動案内機構48,49を含む第2の主車輪切替機構は、切替用直動案内機構48,49の伸縮によって、第2の主車輪であるオムニ車輪62,66の一方が支持面4に接し、他方が支持面4から離れている第3の状態と、他方が支持面4に接し、一方が支持面4から離れている第4の状態とを切り替えることができる。
本実施例の移動装置10jは、前後、左右方向の移動と旋回ができる。また、斜め方向の移動が可能である。
オムニ車輪60,62,64,66のホイール本体の回転、直動案内機構30,32の伸縮、切替用直動案内機構46〜49の伸縮は、人の力で駆動して実現してもよいし、モータなどの駆動源で駆動して実現してもよい。図24に示した車輪に加えて他の車輪を備えていてもよく、能動的に駆動されない補助的な車輪が備えられていてもよい。
第2グループの移動装置10c,10d,10e,10jに備えられた切替用直動案内機構46〜49は、回転軸が鉛直方向以外の方向である回転ジョイントに置き換えられてもよい。すなわち、回転ジョイント周りの回転により、オムニ車輪60,62と、普通車輪70,72若しくはオムニ車輪64,66とについて、支持面4に接地した状態と離れた状態を切り替えるように構成してもよい。オムニ車輪60,62と、普通車輪70,72若しくはオムニ車輪64,66とについて、支持面4に接地した状態と支持面4から離れた状態を切り替えるように構成される限り、複数のジョイントが組み合わされていてもよい。
次に、第3グループの実施例について説明する。第3グループは、結合ユニットが中間体と第1及び第2の直動案内機構とを含み、第1及び第2の主車輪は支持面に接しながら第2の方向にのみ移動可能であり、横移動機構として第1及び第2の主車輪移動機構を備える。
<実施例3−1> 図25(a)は、実施例3−1の移動装置の構成を概念的に示す説明図である。
図25(a)に示すように、本実施例の移動装置10kは、主車輪である普通車輪70,72が、前後方向に移動可能となるように、車輪ユニット20k,22kの本体21k,23kに回転自在に支持されている。
第1及び第2の車輪ユニット20k,22kの本体21k,23kに直動案内機構30,32の第二部材がそれぞれ固定され、直動案内機構30,32の第一部材が回転ジョイント14,16を介して中間体12kに結合されている。第1及び第2の回転ジョイント14,16の回転軸は前後方向に平行であり、能動的に回転させることができる。回転ジョイント14,16の回転によって、車輪ユニット20k,22kは持ち上げられ、普通車輪70,72は支持面4から離れる。
第1の回転ジョイント14は、第1の主車輪である普通車輪70を、支持面4に接する第1の接触位置と、支持面4から離れた第1の退避位置とに移動させる第1の主車輪移動機構である。第2の回転ジョイント16は、第2の主車輪である普通車輪72を、支持面4に接する第2の接触位置と、支持面4から離れた第2の退避位置とに移動させる第2の主車輪移動機構である。普通車輪70,72は、支持面4に接しながら第2の方向にのみ移動が可能である。
中間体12kには、オムニ車輪64が配置されている。オムニ車輪64は、ホイール本体の回転により前後方向に移動し、ローラーの回転により横方向に移動する向きに配置されている。オムニ車輪64は、支持面4に接しながら第1の方向と第2の方向とに移動することができる中間体車輪である。
第1及び第2の普通車輪70,72と、オムニ車輪64の計3個の車輪は、同時に接地することができる。2つの普通車輪70,72の回転中心軸と、オムニ車輪64のホイール本体の回転中心軸とは、常に同一平面内にあるように配置されている。
普通車輪70,72の回転、直動案内機構30,32の伸縮、回転ジョイント14,16の回転は、能動的に行うことができる。
本実施例の移動装置10kの動作について説明する。第1及び第2の普通車輪70,72を回転させることで、移動装置10kは前後方向の移動と旋回ができる。
図26、図27を用いて、移動装置10kが右方向に移動する場合を説明する。図26、図27は、移動装置10kの動作の説明図である。ここでは、第1及び第2の直動案内機構30,32を同時に伸縮させる場合の横移動方法を説明する。
図26(a)のように、第1及び第2の直動案内機構30,32が縮んでいる状態で、かつ、第1及び第2の普通車輪70,72、オムニ車輪64がすべて接地している状態を初期状態とする。
まず、図26(b)のように、第2の回転ジョイント16を回転させて、第2の普通車輪72を支持面4から離れた第2の退避位置に移動させる。この際、移動装置10kや使用者の全体の重心Gの左右方向の位置が、第1の普通車輪70とオムニ車輪64の間にある状態にする。この状態で、図26(c)のように、第1及び第2の直動案内機構30,32を伸ばす。第1の車輪ユニット20kは普通車輪70を介して接地しているため、横方向に移動しない。中間体12kはオムニ車輪64を介して接地しているため、第1の直動案内機構30を伸ばした長さと同じ距離だけ右方向に移動する。この間も、移動装置10kや使用者の全体の重心Gの左右方向位置が、第1の普通車輪70とオムニ車輪64の間にある状態を保持する。
次に、図26(d)のように、第2の回転ジョイント16を回転させて、第2の普通車輪72を支持面4に接する第2の接触位置に移動させ、接地させる。
その後、図27(e)のように、第1の回転ジョイント14を回転させて、第1の普通車輪70を支持面4から離れた第1の退避位置に移動させる。この際、重心Gの左右方向位置が、第2の普通車輪72とオムニ車輪64の間にある状態にする。この状態で、図27(f)のように、第1及び第2の直動案内機構30,32を縮める。第2の車輪ユニット22kは普通車輪72を介して接地しているため、横方向に移動しない。中間体12kは、オムニ車輪64を介して接地しているため、第2の直動案内機構32を縮めた長さと同じ距離だけ右方向に移動する。この間も、重心Gの左右方向位置が、第2の普通車輪72とオムニ車輪64の間に存在する状態を保持する。
直動案内機構30,32が縮んだのち、図27(g)のように、第1の回転ジョイント14を回転させて、第1の普通車輪70を支持面4に接する第1の接触位置に移動させ、接地させる。
以上の動作を繰り返すことで、移動装置10kは右方向へ任意の距離を移動することができる。中間体12kから見ると、この右方向への移動は、停止と移動を繰り返す断続的な運動である。
以上では第1及び第2の直動案内機構30,32を同時に伸縮させる場合について説明しており、実施例1−1で説明した第2の横移動方法に相当する方法である。実施例1−1で説明した第3の横移動方法のように、第1及び第2の直動案内機構30,32を別々に伸縮させることで、本実施例の移動装置10kは連続的に横方向に移動することができる。
本実施例の移動装置10kは、前後、左右の移動と旋回が可能である。オムニ車輪64のホイール本体を能動的に回転できるようにすれば、斜め方向への移動も可能である。
普通車輪70,72の回転、直動案内機構30,32の伸縮、回転ジョイント14,16の回転は、人の力で駆動して実現してもよいし、モータなどの駆動源で駆動して実現してもよい。図25(a)に示した車輪64,70,72に加えて他の車輪を備えていてもよく、能動的に駆動されない補助的な車輪が備えられていてもよい。
オムニ車輪64のホイール本体の回転は、能動的に回転できてもよいし、受動的に回転自在に支持されていてもよい。オムニ車輪64は、ホイール本体の回転により前後方向に移動し、ローラーの回転により横方向に移動する向きとは異なる向きに配置されてもよい。
重心Gの移動は、使用者が体を傾ける方法や、質量をもったものや使用者の体の一部または全部を右側または左側に移動させる方法などで実現する。重心Gを移動させるだけでなく、中間体12kに接続されたオムニ車輪64を、中間体12kに対して右側または左側に相対的に移動させる機構を備えることで、重心Gの左右方向位置を、第1又は第2の普通車輪70,72とオムニ車輪64の間に位置するように調整してもよい。または、前述の補助的な車輪を設け、重心Gを移動させることなく、重心Gを支持面4に投影した点が、車輪の接地点が作る多角形の内側に常に存在するように構成してもよい。
回転ジョイント14,16は、その回転によって普通車輪70,72を支持面4から離すことができればよく、直動案内機構30,32と中間体12kとを結合する代わりに、車輪ユニット20k,22kの本体21k,23kと直動案内機構30,32とを結合してもよいし、車輪ユニット20k,22kの本体21k,23kと車輪支持部とを結合してもよい。回転ジョイント14,16の位置は、その回転により、普通車輪70,72が支持面4などと干渉することなく、普通車輪70,72を支持面4に接地させた状態と支持面4から離した状態を円滑に切り替えることができる限り、移動装置10kにおいてどこに配置されてもよい。
回転ジョイントの回転軸は、鉛直方向以外の方向であればよい。例えば図25(b)の移動装置10rの回転ジョイント15,17のように、回転ジョイント15,17の回転軸が左右方向と平行となるようにしてもよい。
普通車輪70,72が支持面4に接地し、オムニ車輪64が支持面4から離れた状態も実現できるのであれば、オムニ車輪64は接地した状態では左右方向のみ移動可能な車輪でもよく、接地した状態では前後方向に移動できない車輪でもよい。すなわち、オムニ車輪64は、オムニ車輪ではなく、普通車輪で左右方向のみ移動可能にしたものでもよい(左右方向のみ移動可能な普通車輪は左右移動時には支持面4に接地させるが、前後移動時には支持面4から離す)。
<実施例3−2> 図28は、実施例3−2の移動装置の構成を概念的に示す説明図である。
図28(a)に示すように、本実施例の移動装置10mは、実施例3−1の移動装置10kの構成に近いが、回転ジョイント14,16が無く、直動案内機構30,32と中間体12mとが結合されている点、オムニ車輪64が切替用直動案内機構45を介して中間体12mに接続されている点が異なる。
2つの普通車輪70,72及びオムニ車輪64のホイール本体の回転中心軸は、支持面4に接地した状態で同軸または互いに平行で高さが異なるように配置されている。
普通車輪70,72の回転、直動案内機構30,32の伸縮、切替用直動案内機構45の伸縮は、能動的に行うことができる。
本実施例の移動装置10mの動作について説明する。第1及び第2の普通車輪70,72を回転させることで、移動装置10mは前後方向の移動と旋回ができる。
オムニ車輪64が接続された切替用直動案内機構45を伸ばし、オムニ車輪64が2つの普通車輪70,72よりも下方向に突き出た状態にする。移動装置10mや使用者の全体の重心(以下、単に重心という。)を左側に移動させると、移動装置10mが傾き、第1の普通車輪70とオムニ車輪64が接地し、かつ、第2の普通車輪72が支持面4から離れる。重心を右側に移動させると、第2の普通車輪72とオムニ車輪64が接地し、かつ、第1の普通車輪70が支持面4から離れる。このため、本実施例の移動装置10mは、実施例3−1の移動装置10kと同様の方法で横方向に移動することができる。
第1及び第2の主車輪移動機構は、切替用直動案内機構45と、重心を右側又は左側に移動させる不図示の機構(例えば、重心を右側又は左側に移動させる機構、あるいは、中間体12mに乗っている使用者が、重心を右側又は左側に移動させるときに掴む取手)とを含む。第1の普通車輪70は、支持面4に接しながら第2の方向にのみ移動が可能である第1の主車輪である。第2の普通車輪72は、支持面4に接しながら第2の方向にのみ移動が可能である第2の主車輪である。
本実施例の移動装置10mは、前後、左右方向への移動と旋回が可能である。オムニ車輪64のホイール本体を能動的に回転できるようにすれば、斜め方向への移動も可能である。
普通車輪70,72の回転、直動案内機構30,32の伸縮、切替用直動案内機構45の伸縮は、人の力で駆動して実現してもよいし、モータなどの駆動源で駆動して実現してもよい。図28(a)に示した車輪64,70,72に加えて他の車輪を備えていてもよく、能動的に駆動されない補助的な車輪が備えられていてもよい。
重心移動は、使用者が体を傾ける方法や、質量をもったものや使用者の体の一部または全部を右側または左側に移動させる方法などで実現できる。重心を直接的に移動させるだけでなく、中間体12mに対してオムニ車輪64を右側または左側に相対的に移動させる機構を備えることで、重心の左右方向位置を普通車輪70,72とオムニ車輪64の間に位置するように調整し、切替用直動案内機構45を伸ばした時に移動装置10mが傾く方向を変更してもよい。
図28(b)の移動装置10nのように、車輪ユニット20n,22nに切替用直動案内機構46,48を設け、オムニ車輪64を上下に動かさずに、普通車輪70,72を上下に動かす構成でもよい。また、オムニ車輪64と、普通車輪70,72の両方を別々に上下に動かす構成でもよい。
また、切替用直動案内機構45;46,48が結合するのは、オムニ車輪64の車輪支持部64kと中間体12m、または普通車輪70,72の車輪支持部70k,72kと車輪ユニット20n,22nの本体21n,23nではなく、車輪ユニット20m,22m;20n,22nと直動案内機構30,32、または中間体12m,12nと直動案内機構30,32でもよい。
普通車輪70,72を上下させる構成では、左右方向の移動時に、重心移動により移動装置を傾ける動作の代わりに、切替用直動案内機構46,48を縮めて普通車輪70,72を支持面4から離し、実施例3−1のように車輪の接地点がつくる多角形の内側に常に重心を支持面に投影した点が存在するように調整する動作を行ってもよい。
普通車輪70,72が支持面4に接地し、オムニ車輪64が支持面4から離れた状態も実現できるのであれば、オムニ車輪64は接地した状態では左右方向のみ移動可能な車輪でもよく、接地した状態では前後方向に移動できない車輪でもよい。すなわち、オムニ車輪64は、オムニ車輪ではなく、普通車輪で左右方向のみ移動可能にしたものでもよい(左右方向のみ移動可能な普通車輪は左右移動時には支持面4に接地させるが、前後移動時には支持面4から離す)。
以上に説明した第3グループの移動装置において、第1及び第2の主車輪切替機構として備えられた切替用直動案内機構45,46,48または回転ジョイント14〜17は、普通車輪70,72とオムニ車輪64の上下方向の位置関係を入れ替えることができる限り、一方または両方が複数配置されてもよく、また、移動装置内のどこに配置されてもよく、また、どの方向に配置されてもよい。
次に、第4グループの実施例4について説明する。
<実施例4> 図29は、実施例4の移動装置10pの構成を概念的に示す説明図である。実施例4は、中間体の無い構成の例である。
図29に示すように、本実施例の移動装置10pは、実施例1−1の移動装置10の構成に近いが、中間体を備えていない点、直動案内機構31が1つであり、直動案内機構31が2つの車輪ユニット20p,22pを結合している点が、実施例1−1の移動装置と異なる。直動案内機構31は結合ユニットであり、第1の車輪ユニット20pと第2の車輪ユニット22pとが第1の方向に互いに接近したり離れたりすることができるように、第1の車輪ユニット20pと第2の車輪ユニット22pとを結合する。直動案内機構31の代わりに、直動案内機構以外の案内機構や、リンク機構、ジョイント(継手)などを用いてもよい。
本実施例の移動装置10pの動作について説明する。第1及び第2のオムニ車輪60,62のホイール本体の回転により、前後方向の移動と旋回ができる。オムニ車輪60,62のローラーにはブレーキがあるため、実施例1−1で説明した第1の横移動方法のように、1つの直動案内機構31のみを伸縮させる方法を用いることで、本実施例の移動装置は横方向に移動できる。
本実施例の移動装置10pは、前後、左右方向の移動と旋回が可能である。また、斜め方向の移動も可能である。
オムニ車輪60,62のホイール本体の回転、直動案内機構31の伸縮、ブレーキのON/OFFの切り替えは、人の力で駆動して実現してもよいし、モータなどの駆動源で駆動して実現してもよい。図29に示したオムニ車輪60,62に加えて他の車輪を備えていてもよく、能動的に駆動されない補助的な車輪が備えられていてもよい。
実施例1−1の移動装置10の構造で、第1又は第2の車輪ユニット20,22と中間体12を、直動案内機構30又は32を介さずに接合させた移動装置は、本実施例に相当する。
本実施例の横移動機構は、実施例1−1の移動装置10の横移動機構に限らず、第1グループ、第2グループ、第5グループの他の移動装置の横移動機構であってもよい。
次に、第5グループの実施例について説明する。第5グループは、結合ユニットが中間体と第1及び第2の直動案内機構とを含み、第1及び第2の主車輪は第2の方向にのみ移動可能であり、横移動機構は第1及び第2の主車輪移動機構と第1及び第2の重心移動機構とを含む。
<実施例5> 図30は、実施例5の移動装置10qの構成を概念的に示す説明図である。図30に示すように、本実施例の移動装置10qは、図28(b)の実施例3−2の移動装置10nの構成に近いが、中間体12にはオムニ車輪がない点で、実施例3−2の移動装置10nとは異なる。第1及び第2の普通車輪70,72は主車輪であり、切替用直動案内機構46は、第1の主車輪移動機構であり、切替用直動案内機構48は、第2の主車輪移動機構である。
本実施例の移動装置10qは、第1及び第2の普通車輪70,72の回転により、前後方向の移動と旋回ができる。また、直動案内機構30,32の伸縮と、切替用直動案内機構46,48の伸縮とを組み合わせることによって、横方向の移動が可能である。
図31、図32を用いて、移動装置10qが右方向に移動する場合を説明する。図31、図32は、移動装置10qの動作の説明図である。ここでは、第1及び第2の直動案内機構30,32を同時に伸縮させる場合の横移動方法を説明する。
図31(a)のように、第1及び第2の直動案内機構30,32が縮んでいる状態を初期状態とする。
まず、図31(b)のように、第2の切替用直動案内機構48を素早く伸ばして停止させることによって、第2の車輪ユニット22qを跳ね上げて、第2の車輪ユニット22qの普通車輪72が支持面4から離れた状態にする。この状態の間に、図31(c)のように、第1及び第2の直動案内機構30,32を伸ばす。このとき、第1の車輪ユニット20qは普通車輪70を介して接地しているため、横方向に移動しない。中間体12は、第1の直動案内機構30を伸ばした長さと同じ距離だけ第1の方向の一方側(接地した状態で右方向となる方向)に移動する。
第2の切替用直動案内機構48は、第2の重心移動機構であり、第2の主車輪である普通車輪72が支持面4に接している状態で第2の車輪ユニット22qの重心を支持面4から離れる方向に移動させることによって、第2の主車輪である普通車輪72が支持面4から離れるようにすることができる。第2の主車輪である普通車輪72は、支持面4に接しながら第2の方向にのみ移動可能である。
次に、図31(d)のように、第2の車輪ユニット22qの普通車輪72が支持面4に接する状態になる。素早く伸ばして停止させた第2の切替用直動案内機構48は、元の長さまで縮める。
次に、図32(e)のように、第1の切替用直動案内機構46を素早く伸ばして停止させ、第1の車輪ユニット20qを跳ね上げて、第1の車輪ユニット20qの普通車輪70が支持面4から離れた状態にする。この状態の間に、図32(f)のように、第1及び第2の直動案内機構30,32を縮める。第2の車輪ユニット22qは普通車輪72を介して接地しているため、横方向に移動しない。中間体12は、第2の直動案内機構32を縮めた長さと同じ距離だけ第1の方向の一方側(接地した状態で右方向となる方向)に移動する。
第1の切替用直動案内機構46は、第1の重心移動機構であり、第1の主車輪である普通車輪70が支持面4に接している状態で第1の車輪ユニット20qの重心を支持面4から離れる方向に移動させることによって、第1の主車輪である普通車輪70が支持面4から離れるようにすることができる。第1の主車輪である普通車輪70は、支持面4に接しながら第2の方向にのみ移動可能である。
次に、図32(g)のように、第1の車輪ユニット20qの普通車輪70が支持面4に接する状態になる。素早く伸ばして停止させた第1の切替用直動案内機構46は、元の長さまで縮める。
以上の動作を繰り返すことで、移動装置10qは右方向へ任意の距離を移動することができる。中間体12から見ると、この右方向への駆動は、停止と移動を繰り返す断続的な運動である。
以上では第1及び第2の直動案内機構30,32を同時に伸縮させる場合について説明しており、実施例1−1で説明した第2の横移動方法に相当する方法である。本実施例の移動装置10qは、実施例1−1で説明した第3の横移動方法と同様に、第1及び第2の直動案内機構30,32を別々に伸縮させることによっても、連続的に横方向に駆動することができる。
本実施例の移動装置10qは、前後、左右の移動と旋回が可能である。
普通車輪70,72の回転、直動案内機構30,32の伸縮、切替用直動案内機構46,48の伸縮は、人の力で駆動して実現してもよいし、モータなどの駆動源で駆動して実現してもよい。
図30に示した普通車輪70,72に加えて他の車輪を備えていてもよく、能動的に駆動されない補助的な車輪が備えられていてもよい。
あるいは、普通車輪70,72を支持面4から離すために、伸ばされた状態の切替用直動案内機構46,48を縮めて、普通車輪70,72を上方向に加速させてもよい。この場合、移動装置10qが傾いて上方向に加速させた普通車輪70,72が接地するまでの間、第1及び第2の直動案内機構30,32を伸縮させることが可能である。
普通車輪70,72を支持面4から離す重心移動機構は、切替用直動案内機構46,48以外にも様々なものが考えられる。
例えば、重心移動機構として、移動装置の上で質量をもったものを加速あるいは減速させる機構を備えることで、車輪ユニットの普通車輪を支持面から離すことができる。質量を持ったものを直線的にあるいは曲線的に加速あるいは減速させてもよく、質量を持ったものの回転運動においてその回転を加速あるいは減速させてもよい。使用者が体を早く動かしたり、体を傾けたりすることで、車輪ユニットの普通車輪を支持面から離すことができる。
あるいは、図25(a)に示す実施例3−1の移動装置10kの構成からオムニ車輪64をなくしたものを用いて、第2の回転ジョイント16を素早く時計回りに回転させて停止させることで、第2の車輪ユニット22kを跳ね上げて、第2の車輪ユニット22kの普通車輪72を支持面4から離すことができる。あるいは、第2の回転ジョイント16を素早く反時計回りに回転させることで、第2の車輪ユニット22kの普通車輪72を支持面4から離すことができる。この場合、第1及び第2の回転ジョイント14,16は、第1及び第2の重心移動機構である。
使用者が普通車輪70.72を上方向に持ち上げて支持面4から離すために、移動装置に取手が取り付けられていてもよい。この場合、取手は重心移動機構である。
<まとめ> 以上に説明した移動装置は、簡単な構成で前後方向に加え横方向にも移動できる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。
例えば、第1の車輪ユニットと第2の車輪ユニットとに設ける横移動を可能にするための横移動機構は、第1の車輪ユニットと第2の車輪ユニットとで構成が同じ場合を説明したが、第1の車輪ユニットと第2の車輪ユニットと構成が異なっても構わない。
実施例で説明した第1の直動案内機構30は、「第1の車輪ユニットと中間体とを、第1の方向に互いに接近したり離れたりすることができるように結合する第1の結合機構」の一例であり、第2の直動案内機構32は、「第2の車輪ユニットと中間体とを、第1の方向に互いに接近したり離れたりすることができるように結合する第2の結合機構」の一例である。第1及び第2の結合機構は、直動案内機構以外の案内機構や、リンク機構、ジョイント(継手)などを用いて構成してもよい。
第1及び第2の主車輪は、第1の方向に互いに対向するように、第1及び第2の車輪ユニットに配置されるが、互いに異なる寸法でも、互いに異なる構成でも構わない。また、第1及び第2の主車輪が、それぞれの回転軸が一直線上に並ぶようには第1及び第2の車輪ユニットに配置されていない構成としてもよい。この場合、第1及び第2の主車輪は、それぞれの回転軸が互いに平行ではない状態で、互いに第1の方向に対向するように、第1及び第2の車輪ユニットに配置されても構わない。