JP6854305B2 - 地盤改良装置 - Google Patents

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Description

本発明は、地盤改良装置に関する。
特許文献1に、地盤改良装置が開示されている。地盤改良装置は、次の構成を備えている。すなわち、地盤上に配置される掘削機が備えたオーガロッドの下端部に配置されるロッド本体と、掘削翼と、掘削翼よりもロッド本体の上部に配置され改良対象土を撹拌する撹拌翼と、掘削翼および撹拌翼の途中に配置され改良対象土に処理剤(セメントスラリー)を突出する吐出翼とを備えている。
掘削機に設けられるオーガロッドは、掘削機に対して上下動可能とされ、且つ軸心方向を中心に正逆回転可能に設けられ、この動作に伴って、ロッド本体も上下動可能であり、正逆回転可能とするものである。また、掘削翼は、掘削用ブレードと、掘削用ブレードにおいて正転方向の前端部に突設されるビットと、後端部に設けられる下部撹拌プレートとを備える。
上記地盤改良装置を用いた地盤改良工法の概要を説明する。この地盤改良工法は、オーガロッドの下部にロッド本体を組付けることで地盤改良装置をオーガロッドに組付け、オーガロッドを正回転させて、地盤改良装置を地盤に対して貫入させると、掘削用ブレードのビットが地盤を掘削して貫入し、吐出翼が、処理剤を改良対象土に吐出し、撹拌翼により処理剤と改良対象土を撹拌する。そして、地盤改良装置を逆回転させると、これらを引抜く途中でも、撹拌翼により処理剤と改良対象土とが撹拌される。
実開昭56−125423号公報
ところで、地盤改良装置の正転時、掘削用ブレードのビットで掘削されて掘削用ブレードですくい上げられた土は、下部撹拌プレート(図の符号8,9)で撹拌されると特許文献1の地盤改良装置に記載されている。しかしながら、特許文献1では、下部撹拌プレート(8)で土を垂直面内で撹拌し、下部撹拌プレート(9)が水平面内で撹拌するため、下部撹拌プレート(8,9)が回転抵抗となって掘削効率が悪くなる。
そこで本発明は、掘削効率を維持しつつ、処理剤と改良対象土の撹拌が円滑に行われる地盤改良装置の提供を目的とする。
本発明は、地盤における改良対象土と、処理剤とを撹拌させて円柱状の造成体を形成する地盤改良装置であって、正転によって地盤に貫入し逆転によって地盤から引抜かれるロッド本体と、該ロッド本体の内部を通って前記処理剤を地盤に吐出可能な吐出路と、該ロッド本体の下部に放射状に配置され該ロッド本体と一体的に回転する複数の掘削翼と、該掘削翼よりも前記ロッド本体の上部に配置され前記ロッド本体と一体的に回転して地盤を撹拌する撹拌翼とを備え、前記掘削翼は、前記ロッド本体の外周から径方向外向きに突設されて正転方向の前方へ向け下傾斜する板状の掘削ブレードと、該掘削ブレードの下端部に離間するように複数並べられて該下端部から下傾斜方向下向きに突出するビットとを備え、前記少なくとも一つの掘削翼は、前記掘削ブレードに配置された一つまたは複数の撹拌子をさらに備え、該撹拌子は、前記掘削ブレードにおける逆転方向の前方側の設置面から、逆転方向における前方向に突設され、しかも突出先端が前記ビットの下端部よりも上側に配置されたことを特徴としている。
本発明の構成を有する地盤改良装置によれば、ロッド本体を正転させて地盤に貫入させると、ロッド本体に一体的に回転する複数の掘削翼が、その掘削ブレードに配置されたビットによって地盤中の改良対象土を掘削し、ロッド本体に一体的に回転する撹拌翼によって地盤が撹拌され、また、ロッド本体の吐出路を通って処理剤が地盤に吐出されれば、撹拌翼によって地盤と処理剤とが撹拌される。そして、掘削ブレードに配置された撹拌子は、掘削ブレードにおける逆転方向の前方側の設置面から逆転方向の前方側に突設され、しかも突出先端がビットの下端部よりも上側に配置されているから、ロッド本体を正転させても掘削ブレードの正転方向後方側に隠れるため、回転抵抗となりにくい。一方、ロッド本体を逆転させて地盤から引抜くと、撹拌子は、掘削ブレードの設置面から逆転方向の前方側に突設されているので、改良対象土と処理剤を撹拌することができる。
本発明では、前記吐出路は、前記ロッド本体の下部に設けられて前記処理剤を前記ロッド本体の外部に吐出するための下部吐出口と、該下部吐出口より前記ロッド本体の上部に設けられて前記処理剤を前記ロッド本体の外部に吐出するための上部吐出口とを備え、前記吐出路は、前記ロッド本体の貫入時に前記下部吐出口から前記処理剤が吐出され、前記ロッド本体の引抜き時に前記上部吐出口から前記処理剤が吐出されるように、前記吐出路における処理剤の吐出口を切替える弁装置を備えた構成を採用できる。
上記構成を有する地盤改良装置によれば、ロッド本体を正転させて貫入すると、吐出路の弁装置により処理剤が下部吐出口から吐出され、処理剤と改良対象土が撹拌翼で撹拌され、ロッド本体を逆転させて引抜くと、吐出路の弁装置により処理剤が上部吐出口から吐出され、処理剤と改良対象土が撹拌翼で撹拌される。
本発明の地盤改良装置によれば、掘削効率を維持しつつ、処理剤と改良対象土の撹拌が円滑に行われる。
本発明の一実施形態の地盤改良装置を取付けた掘削機の正面図である。 同正面図である。 同側面図である。 同掘削翼の拡大図である。 同吐出路において食込歯が上動している状態の断面図である。 同吐出路において食込歯が下動している状態の断面図である。 同下回動体の断面図である。 同地盤改良工法を表すサイクル図である。
以下、本発明の一実施形態に係る地盤改良装置を、図1ないし図8を参照して説明する。図1に示すように、地盤改良装置1は、地盤2における改良対象土3と処理剤(以下、セメントスラリーと称する)とを撹拌させて、地盤2中に円柱状の造成体4を形成するものである。
〔全体構成の説明〕
図1に示すように、地盤改良装置1は、掘削機5に敷設され地盤2に対して垂直方向に配設されたオーガロッド6の先端に取付けられる。図2、図3に示すように、地盤改良装置1は、オーガロッド6の先端に着脱自在に取付けられるロッド本体7と、ロッド本体7の下端に配設された食込歯8と、ロッド本体7の下部(下端よりも上側)に放射状に配置され、ロッド本体7と一体的に回転する複数の掘削翼9と、掘削翼9よりもロッド本体7の上部に配置されロッド本体7と一体的に回転して地盤2を撹拌する撹拌翼10と、掘削翼9と撹拌翼10との間に配置される共回り防止翼11と、ロッド本体7の内部を通ってセメントスラリー12を地盤2に吐出可能な吐出路13とを備える。
ロッド本体7の内部断面構造としては後に詳述するものとし、このロッド本体7の外郭は、上下に沿う杆状(断面が環状)に形成されている。具体的に、ロッド本体7の外郭は、オーガロッド6(図1参照)の先端(下端)に取付けられるジョイント15と、ジョイント15に対し下方に取付けられる上回動体16と、上回動体16のさらに下方に取付けられる下回動体18とを備えている。上回動体16と下回動体18との境界部分に、前記共回り防止翼11が配置される。
オーガロッド6は、掘削機5の駆動を制御する制御装置(図示せず)の機能により、オーガロッド6の上端に敷設された駆動装置(アースーオーガ駆動装置とも言う)20の回転によって地盤2に貫入される。また、前記制御装置の機能により、駆動装置20を回転させることによって、オーガロッド6を上昇させて、ロッド本体7は地盤2から引抜かれる。オーガロッド6は、地盤2への貫入時には、制御装置の機能により駆動装置20が軸心回りに正転方向D1に回転し、地盤2への引抜き時には、駆動装置20が逆転方向D2に回転する(図1参照)。
〔食込歯〕
図2、図3に示すように、ロッド本体7の下端に配設された食込歯8は、先端がロッド本体7の貫入時に先立って地盤2に貫入されるよう尖った板状に形成されている。食込歯8は、その外周に配置された先端ビット28を備えている。先端ビット28は、食込歯8の板面の両側にあって、その先端をロッド本体7の軸心に向くよう形成されている。
図1に示すように、食込歯8の上端は、ロッド本体7の軸心方向を径方向に跨ぐように逆門型に形成され、ロッド本体7の脚部材21,21の径方向中間に、ロッド本体7の下端に当接する当接面22が形成されている。
当接面22の途中には、ロッド本体7の下端に突出して開放する下部吐出口23が配置されている。そして、当接面22の途中には下部吐出口23用の受口24が形成されている。この受口24は、下部吐出口23を形成する下吐出管路25の底面(ロッド本体7の下端に相当する)が一体に当接される。なお、下部吐出口23、下吐出管路25については、ロッド本体7の内部断面を説明する際に、後に詳述する。
食込歯8は、ロッド本体7の地盤2への貫入時に、地盤2に対する抵抗力によりロッド本体7に対して上昇し、ロッド本体7の引抜き時に下降するよう、上限、下限が設定されている。上動、下限を設定する手段として、当接面22、および上下方向に長い長孔27が形成された案内板26を備える。この案内板26は、下回動体18の下部側面に一体的に形成されており、脚部材21,21に形成されたピン(図示せず)が案内板26の長孔27に遊嵌されて、上動、下限が設定されている。
すなわち、ロッド本体7の下端が受口24に到達した際に、ロッド本体7に対する食込歯8の上動が制限され、案内板26の長孔27の周面にピンが係止することでロッド本体7に対する食込歯8の下動が制限される。
〔掘削翼、掘削ビット、撹拌子〕
掘削翼9は、一対の掘削ブレード30,31と、各掘削ブレード30,31に複数個配置された掘削ビット(ビットに相当する)32,33と、各掘削ブレード30,31に複数個配置された撹拌子34,35とを備える。
掘削ブレード30,31は、ロッド本体7の下部(下端よりも上側)であり、ロッド本体7の外周に対し180°間隔で配置されている。また、掘削ブレード30,31は、ロッド本体7に対し基端側を一体化して、放射状の板状に形成されている。
掘削ブレード30,31の構成は同一である。このため、一つの掘削ブレード30の構成によって、掘削ブレード31の構成を兼用する。掘削ブレード30は、前方を下傾斜させた上面30a、下面30bを有し、上面30a、下面30bを前後、および横方向で連続する前面30c、背面30d、側面30eを有している。
掘削ブレード30,31に固定された掘削ビット32,33は、掘削ブレード30,31にロッド本体7を中心として掘削ブレード30,31の径方向に離間するよう並べて複数固定されている。掘削ビット32,33は、掘削ブレード30,31に対し、正転方向D1の前方向に突出して形成され、掘削ブレード30,31の上面30a、下面30bの傾斜よりも急峻な傾斜で、正転方向の前向きに突出して配置されている(図2参照)。また、掘削ビット32,33の先端32a,33aは、掘削ブレード30,31より下方に配置されている。
掘削ブレード30,31は前述のように一対で配置されており、X掘削翼として一方の掘削ブレード30に配置された掘削ビットを第一掘削ビット32とし、また、Y掘削翼として他方の掘削ブレード31に配置された掘削ビットを第二掘削ビット33とすると、X掘削翼とY掘削翼(ロッド本体7に隣合う掘削ブレード30,31に相当する)において、掘削ブレード30の第一掘削ビット32は、掘削ブレード30の長さ方向に等間隔で配置され、第二掘削ビット33は、掘削ブレード31の長さ方向に等間隔で配置され、第一掘削ビット32、第二掘削ビット33は、ロッド本体7を中心として、互いに離間して、互いの間に配置される。
図2、図3に示すように、撹拌子34,35は、掘削ブレード30,31の傾斜方向に対して直交するよう下傾斜されている。この撹拌子34,35は、掘削ブレード30,31に対して同様の構成であるから、撹拌子34によって、撹拌子35の構成を兼用する。
図4に示すように、撹拌子34はそれぞれ板状に形成され、掘削ブレード30の背面30d(逆転方向の前方側の設置面)に逆転方向の前向きに、且つ下向きで固定(突設)されている。撹拌子34は、X掘削翼における第一掘削ビット32の間に配置されている。撹拌子34は、掘削ブレード30の背面30dに沿って固定される面を下面34aとし、この下面34aと平行に配される面を上面34bとしている。また、撹拌子34は、下面34aおよび上面34bを連続する側面34c、背面34dを備えている。撹拌子34は、上面34bを面一の面とし、下面34aをわずかに下方から突出させることで、後側が肉厚とされている。また、後側の背面34dにおける下端部は、第一掘削ビット32(第二掘削ビット33)の先端32aよりも高い位置に形成されている。撹拌子34の背面34dと、第一掘削ビット32の先端32aの高さの相違が、寸法H1とされる。
上記のような構成と同様にして、Y掘削翼の掘削ブレード31における撹拌子35は、第二掘削ビット33の間に配置されている。したがって、X掘削翼の掘削ブレード30における撹拌子34、掘削ブレード31における撹拌子35は、ロッド本体7を中心として、互いに離間して互いの間に配置される。
〔撹拌翼〕
図2、図3に示すように、撹拌翼10は、ロッド本体7に対して上下一組とした撹拌翼10を備える。撹拌翼10の構成は、ロッド本体7を中心とする周方向の配置が異なるだけで同様であるから、上側の撹拌翼10をもってその構成を兼用するする。
図3に示すように、撹拌翼10は、一対の撹拌ブレード36,37を放射状に備えて、撹拌ブレード36,37は、ロッド本体7の外周に対し180°間隔で配置されている。また、撹拌ブレード36,37は、ロッド本体7に対し基端側を一体化して板状に形成されている。撹拌ブレード36,37は、ロッド本体7を中心に、掘削ブレード30,31と同等の径方向長さに設定されている。
このような撹拌ブレード36,37は、ロッド本体7の正転方向D1の回転において、前方が下傾斜され、前方が下傾斜する上面36a,37a、下面36b,37bを有している。また、撹拌ブレード36,37は、ロッド本体7から下面36b,37bに沿って延長される補強部材38を備えている。
〔共回り防止翼〕
図2、図3に示すように、共回り防止翼11は、掘削ブレード30,31と撹拌ブレード36,37との間に配置されている。共回り防止翼11は、防止ブレード本体40,41と、軸受機構部44とを備えている。防止ブレード本体40,41は、ロッド本体7を中心として、掘削ブレード30,31および撹拌ブレード36,37より長い半径とされて、ロッド本体7の外周から放射状に配置される。
掘削ブレード30,31および撹拌ブレード36,37(掘削翼9および撹拌翼10)は、ロッド本体7に一体的に形成されて、ロッド本体7とともに回転可能とされている。しかしながら、防止ブレード本体40,41は、軸受機構部44を介して、ロッド本体7と相対回転するよう構成されている。この場合の相対回転とは、防止ブレード本体40,41が駆動力を持たずに、ロッド本体7に対してフリーな状態である。
軸受機構部44を説明する。軸受機構部44は、ロッド本体7の上回動体16に、外側に突出するよう形成された上鍔部45と、下回動体18に、外側に突出するよう形成された下鍔部46と、介装部材17とを備える。介装部材17は、上鍔部45と下鍔部46の途中に配置される。また、軸受機構部44は、上鍔部45と下鍔部46の途中に遊嵌されて、二つ割りに形成された軸受本体47,47を備えている。上鍔部45と下鍔部46との間に、軸受本体47,47が、ロッド本体7に対して遊嵌される。
防止ブレード本体40,41は、軸受本体47,47の周方向途中に、且つ上下方向途中に水平方向となるよう配置されており、板状に形成された短手方向が、上下方向に沿って配置されている。
〔吐出路〕
吐出路13の構成について述べる。図5に示すように、吐出路13は、オーガロッド6(駆動装置20)から供給されたセメントスラリー12を、ロッド本体7の外部へ吐出させる。
ここで便宜上、吐出路13の構成に先立って介装部材17の詳細を述べる。介装部材17は、ロッド本体7の上回動体16と下回動体18との間に介装されている。介装部材17は、円形の外周面がロッド本体7に対して露出され、外周面は、上回動体16と下回動体18とに面一である。介装部材17の内部の中心には、下方に対して順に拡径される弁座孔17aが形成されている。弁座孔17aの外周には、上回動体16と下回動体18を連通する連通孔17bが形成されている。連通孔17bは、上端部が小径で、下端部ほど大径となるよう形成されている。
吐出路13は、上回動体16に固定された第一管路60と、上回動体16に固定された上吐出管路61と、昇降自在な弁装置62と、下回動体18に昇降自在な第二管路63と、下回動体18に昇降自在な前記下吐出管路25とを備える。
第一管路60は、ロッド本体7の一部を構成するジョイント15の径方向中心に内嵌されるとともに、上回動体16に上下方向で内嵌される。また、第一管路60の下端は、ロッド本体7の上端から、介装部材17の弁座孔17aの上端、すなわち弁座孔17aの最小孔まで延長されている。第一管路60の上下方向途中部分は、取付部材64に支持されている。この取付部材64は、上回動体16の下部に内嵌されて、環状に形成されている。
上吐出管路61はその上部に、上吐出管路61に連通されて、水平方向に突出する延長管65を備えている。この延長管65は、上回動体16の上下方向途中部分で、外側に突出し、その突出部分に上部吐出口66が形成されている。上吐出管路61の下端は介装部材17の連通孔17bを始点とし、延長管65の端部である上部吐出口66を終点としている。この上部吐出口66は、例えば、撹拌ブレード36の直下に配置される。
第一管路60および第二管路63は、弁装置62により、その流路を切替えられる。ここで弁装置62を説明する。弁装置62は、第一弁装置67を備える。第一弁装置67は、前記介装部材17、および第一弁本体70、および下動ストッパ71を備えている。
第一弁本体70は、下回動体18の上部に配置され、上部本体73と下部本体78とを備えており、これらは一体的に形成される。第一弁本体70は、上動および下動を規制されている。第一弁本体70の上動は介装部材17によって制限され、第一弁本体70の下動は、下回動体18の上下方向途中に内嵌固定された下動ストッパ71によって制限される。第一弁本体70の外周と下回動体18の内周との間に、共通流路72が形成されている。
さらに第一弁本体70を説明すると、第一弁本体70は、上部に配置された上部本体73を有する。上部本体73は、円盤状に形成された上円盤部74と、上円盤部74の径方向中央に形成された突出部75とを備える。上円盤部74は、連通孔17bを覆うことが可能である。
突出部75は内空断面とされて、その内部に、第一管路60の流路に連通可能な導入路76が形成されている。導入路76の外径は、介装部材17の弁座孔17aに対応するよう、上方から下方にかけて順に拡径される。第一弁本体70の上動は、上円盤部74の上面と介装部材17の下面が当接することで制限される。第一弁本体70の上動は、上円盤部74の上面と介装部材17の下面が当接可能とすることで制限されるが、第一弁本体70が下動している間は、介装部材17の下面と上円盤部74の上面との間の隙間は、共通流路72に連通する上流路77として構成される(図6参照)。下動ストッパ71は中空状に形成され、下回動体18の高さ方向途中部に嵌合固定されている。
第一弁本体70は、上部本体73の下部に配置された下部本体78を備えている。下部本体78は、上部本体73との間に分岐流路79を介して配置されている。この分岐流路79は、第一弁本体70の中心から放射状に延長されて、共通流路72に連通されている。
下部本体78は、円盤状に形成された下円盤部80と、下円盤部80の径方向の下部に形成されて、第二管路63の上端に接合(内嵌)される接合部81とを備える。第一弁本体70の下動は、下円盤部80の下面が下動ストッパ71の上面と当接することで制限される。
また、第一弁本体70の下動は、下円盤部80の下面が下動ストッパ71の上面と当接することで制限されるが、第一弁本体70が上動している間は、下円盤部80の下面と下動ストッパ71の上面との間の隙間は、共通流路72に連通する下流路82として構成される。第二管路63は、下回動体18の径方向中心に内嵌される。第二管路63の上端は、下部本体78の接合部81を外嵌し、下端は下回動体18の下端部まで延長されている。
ところで、下動ストッパ71のうち、第二管路63を外嵌する部分、すなわち下動ストッパ71の上部には、第二管路63の上部に形成された流入口83に連通する凹部84が形成されており、この凹部84は第二管路63よりも大径に形成されている。そして、第一弁本体70が上動している際に、凹部84から流入口83を介して第二管路63にセメントスラリー12が流入される。
図5、図6に戻り、下吐出管路25は、第二管路63の下部に内嵌するよう配置されている。また、下吐出管路25は、第二管路63に対し、上下動可能に配置され、下吐出管路25は、下回動体18に対して下端が突出するよう配置されている。第二管路63と下吐出管路25との間に、下吐出管路25を上下動可能とする昇降手段を備えている。この昇降手段としてばね体を用いている。
すなわち、昇降手段は、第二管路63のうち、下動ストッパ71の直下の外周に固定された環状の上保持環85と、第二管路63のうち、下端部の外周に固定された環状の下保持環86と、上保持環85と下保持環86との中間に昇降自在に配置された環状の昇降環87とを備える。また、昇降手段は、上保持環85と昇降環87をばね座として配置される上コイルばね88と、昇降環87と下保持環86をばね座として配置される下コイルばね89とを備える。そして、下吐出管路25の上部は、昇降環87に外嵌して固定されている。
弁装置62は、第二弁装置68をさらに備えている。第二弁装置68は、下吐出管路25の内部で、第二管路63の下側に配置される。第二弁装置68は、下吐出管路25に内嵌する板状の弁座90と、弁座90の下部に取付けられた第二弁本体91とを備える。弁座90には弁座孔92が形成され、第二弁本体91は弁座孔92を着脱可能に覆う。下吐出管路25の底には、前述したように、ロッド本体7の径方向を跨ぐ脚部材21,21の中間位置に、ロッド本体7の下端に当接する当接面22が形成されている。
当接面22の上部には、第二管路63を中心とする放射状の下部吐出口23が形成されている。この下部吐出口23は、下吐出管路25が上下動しても、下回動体18に対して突出する位置に配置される。また、下部吐出口23は、掘削ビット32,33のうち、掘削ブレード30,31の下側に配置されている。
図5ないし図7に示すように、下回動体18と下吐出管路25との間の隙間には、下吐出管路25の昇降を案内するための案内スリーブ93が配置されている。案内スリーブ93は、下回動体18に対し複数のボルト94によって固定されている。案内スリーブ93は、その上端が下動ストッパ71の下部外周に嵌め込まれ、下回動体18の下端まで延長されている。
〔施工方法(貫入)〕
上記構成を備えた地盤改良装置1における施工方法を説明する。なお、地盤改良装置1の施工方法では、掘削機5が備えたオーガロッド6にジョイント15を介して取付けられた状態としている。また、地盤改良装置1は、掘削機5が有する制御装置の機能により、駆動装置20の回転によって、地盤2に正回転方向で貫入される。地盤改良装置1を地盤2に正回転方向で貫入されるのは、予め決められた所定深度である(図8参照)。
〔貫入の概ねの説明〕
地盤改良装置1の貫入の際の施工方法の概ねを説明する。地盤改良装置1の貫入の際、地盤2の状態によっては、加水により地盤2をほぐした状態としておく。地盤改良装置1の貫入時は、地盤改良装置1の先端ビット28が地盤2に貫入され、続いて食込歯8とともに貫入される。さらに、ロッド本体7を地盤2に貫入すると、掘削翼9が地盤2に貫入される。また、さらにロッド本体7を地盤2に貫入すると、共回り防止翼11、撹拌翼10が地盤2に順次貫入される。そして、掘削翼9の第一掘削ビット32、第二掘削ビット33の先端32a,33aが貫入された時点が、前記所定深度である。また、地盤改良装置1の貫入および引抜きにおいて、貫入では下部吐出口23、引抜きでは上部吐出口66からセメントスラリー12を吐出させる。
〔貫入による掘削工程〕
次に、掘削翼9における貫入時の掘削工程を詳細に説明する。ロッド本体7を正転して地盤2に貫入させると、ロッド本体7に一体的に回転する食込歯8、食込歯8に後続して複数の掘削翼9が、その掘削ブレード30,31に配置された第一掘削ビット32、第二掘削ビット33により、地盤2を掘削する。第一掘削ビット32、第二掘削ビット33の先端32a,33aは、掘削ブレード30,31よりも下方に配置されているから、掘削ブレード30,31よりも第一掘削ビット32、第二掘削ビット33が先行する。
そして、第一掘削ビット32、第二掘削ビット33は、掘削ブレード30,31においてロッド本体7を中心に離間する間に配置されるから、地盤2において改良対象土3となる底面を満遍なく掘削することができる。また、ロッド本体7の貫入によれば、ロッド本体7を中心に、第一掘削ビット32、第二掘削ビット33が螺旋状に動いて改良対象土3における底面を掘削する。
掘削ブレード30,31に配置された撹拌子34,35は、掘削ブレード30の背面30dに固定されて掘削ブレード30,31に対して逆転方向D2側に向いて下傾斜され、しかも図4に示すように、撹拌子34,35における背面34dの下端部は、第一掘削ビット32、第二掘削ビット33の先端32aよりもH1だけ高い位置に形成されている。このため、第一掘削ビット32、第二掘削ビット33による掘削を邪魔することがなく、撹拌子34,35があったとしても、地盤2の抵抗に対する掘削抵抗が少なくて済む。
掘削ブレード30は、前方を下傾斜させた上面30aを有しており、第一掘削ビット32、第二掘削ビット33によって掘削された地盤2は、上面30aに移行し後方へ移行して改良対象土3となる底面が掘削される。
食込歯8の動作を記す。地盤改良装置1を地盤2に貫入する前は、ロッド本体7に形成された案内板26に、食込歯8に形成されたピンが遊嵌されて、食込歯8は下動している(図6参照)。しかしながら、地盤改良装置1を地盤2に貫入すると、食込歯8が地盤2から抵抗を受ける。そうすると、食込歯8がロッド本体7に対して上動して、ロッド本体7の下端に、食込歯8の当接面22が当接する(図5参照)。
食込歯8が上動すると、ロッド本体7の下端に、食込歯8の当接面22が当接して、食込歯8の上動が制限される。そこで、セメントスラリー12をオーガロッド6から吐出路13(ジョイント15内部の吐出路13)に供給する。そうすると、下吐出管路25に固定された昇降手段の昇降環87が上昇(上動)し、上保持環85と昇降環87をばね座として配置される上コイルばね88の付勢力により保持環85に内嵌された第二管路63が弾性に抗して上昇し、第二管路63の上部に嵌合された第一弁装置67の下部本体78が上昇するとともに、第一弁装置67の上部本体73が上昇して介装部材17の連通孔17bを被覆し、また介装部材17の弁座孔17aに突出部75が嵌合する。
そうすると、セメントスラリー12は、第一弁本体70のうちの導入路76に供給され、分岐流路79、下流路82、第二管路63の上部に形成された流入口83に順に至り、第二管路63を流れて、下吐出管路25内に至る。そして、第二弁装置68の弁座孔92を流れて第二弁本体91を押圧して下部吐出口23から吐出される。すなわち、ロッド本体7の貫入時の貫入抵抗(この場合では、正転方向D1に回転する)で、セメントスラリー12を下部吐出口23から吐出させることができる。なお、後述するように、セメントスラリー12の下部吐出口23からの吐出は、地盤改良装置1が所定深度まで到達するまで行われる。
食込歯8に後続して掘削ブレード30,31を貫入し、さらにロッド本体7を貫入すると、掘削ブレード30,31よりも長い径を有する共回り防止翼11の防止ブレード本体40,41が貫入されて、防止ブレード本体40,41が、改良対象土3の外径よりも外側に貫入される。
〔貫入による撹拌工程〕
次に、貫入時における撹拌翼10の撹拌工程を説明する。撹拌ブレード36,37は、ロッド本体7の正転方向D1の回転において、前方が下傾斜され、前方が下傾斜する上面36a,37a、下面36b,37bを有している。このため、掘削翼9で掘削された地盤2が、撹拌翼10とは別に撹拌ブレード36,37によって撹拌される。また、撹拌ブレード36,37は、ロッド本体7から下面36b,37bに沿って延長される補強部材38を備えて、撹拌ブレード36,37はロッド本体7に強固に固定されているから、地盤2の撹拌が安定する。
また、掘削ブレード30,31、撹拌ブレード36,37よりも長い径を有する防止ブレード本体40,41が軸受機構部44回りに回転自在に貫入されて、防止ブレード本体40,41が、改良対象土3の外径よりも外側に貫入されるので、掘削ブレード30,31、撹拌ブレード36,37がともに正転方向D1に回転しても、地盤2は共回りをせずに、ロッド本体7を中心に撹拌される。また、この防止ブレード本体40,41によって地盤2は共回りをせずに、ロッド本体7を中心に撹拌される。
このように、掘削翼9においては、地盤改良装置1の貫入時に、第一掘削ビット32、第二掘削ビット33による掘削を邪魔することがなく、撹拌子34,35があったとしても、地盤2の抵抗に対する掘削抵抗が少なくて済むから、地盤2の抵抗に対する掘削翼9の掘削を妨げない。このため、地盤改良装置1の貫入が短時間で終了する。
地盤改良装置1の貫入の際には撹拌子34,35も回転するが、撹拌子34,35は、第一掘削ビット32、第二掘削ビット33に先行され、撹拌子34,35の傾斜によって、地盤2とセメントスラリー12との混合物が掘削され、撹拌子34,35は第一掘削ビット32、第二掘削ビット33の間に配置されている。このため、撹拌子34,35の撹拌による地盤2およびセメントスラリー12の混合物が第一掘削ビット32、第二掘削ビット33の両側に流れる傾向にあるから、地盤2およびセメントスラリー12の混合物が水平方向に流れにくい。このことから、地盤改良装置1の貫入の際に撹拌子34,35が存在しても、地盤2からの抵抗を受けにくいから、撹拌抵抗の上昇もない。
〔先端処理工程〕
地盤改良装置1が所定深度まで到達すると、先端処理工程(ダブリング)として、ロッド本体7の正回転を継続したまま(セメントスラリー12を下部吐出口23から吐出させずに)、ロッド本体7を上側の撹拌翼10位置まで上動させ、その後、所定深度まで再び到達させる(セメントスラリー12を下部吐出口23から吐出)。
〔引抜きによる概ねの説明〕
地盤改良装置1の引抜きの際の施工方法の概ねを説明する。地盤改良装置1では、先端処理工程の後にロッド本体7を逆転方向D2させた状態で、上部吐出口66からセメントスラリー12を吐出し、掘削翼9においては撹拌子34,35によりセメントスラリー12と地盤2を撹拌し、共回り防止翼11によりセメントスラリー12と地盤2を撹拌する。なお、ロッド本体7を逆転方向D2させた状態で、上部吐出口66からセメントスラリー12を吐出させる機構としては、後に詳述する。
〔引抜きによるセメントスラリーの吐出〕
地盤改良装置1を地盤2に貫入する前は、ロッド本体7に形成された案内板26に、食込歯8に形成されたピンが遊嵌されて、食込歯8は下動し、地盤改良装置1を地盤2に貫入すると、食込歯8が地盤2から抵抗を受け、食込歯8が上動して、ロッド本体7の下端に、食込歯8の当接面22が当接して、食込歯8の上動が制限されて、セメントスラリー12を下部吐出口23から吐出させることができる。
これに対し、ロッド本体7の引抜きにより、上部吐出口66からセメントスラリー12を吐出させるには、次に示す通りである。すなわち、ロッド本体7を引抜く(この場合では、逆転方向D2に回転する)と、地盤2の抵抗がなくなる。このため、ロッド本体7の下端に対し当接面22が離間して、ロッド本体7に形成された案内板26の長孔27の底面に食込歯8に形成されたピンが当接し、食込歯8の下動が制限される。
食込歯8が下動すると、昇降環87と下保持環86をばね座として配置される下コイルばね89が、その付勢に抗して縮み、上保持環85と昇降環87をばね座として配置される上コイルばね88が伸びて第二管路63が下動し、第二管路63の上部に固定されている第一弁本体70の接合部81が下動するとともに、下円盤部80の下面が下動ストッパ71の上面に当接して、下動ストッパ71の凹部84を塞ぐ。また、第一弁本体70が下動すると上部本体73も下動し、突出部75が介装部材17の連通孔17bから下方に離間するとともに、介装部材17の下面と上部本体73の上面に、上流路77が形成される。
そして、セメントスラリー12は、第一管路60から導入路76に供給され、上流路77から連通孔17bを通り、上吐出管路61から延長管65に供給されて、上部吐出口66から吐出される。つまり、吐出路13は、食込歯8に対し地盤2の抵抗が解除されると(引抜き時)、セメントスラリー12が上部吐出口66から吐出されるよう構成されている。
〔引抜きによる撹拌工程〕
引抜き工程における掘削翼9の機能について説明する。引抜き工程では、掘削翼9の第一掘削ビット32、第二掘削ビット33については、上部吐出口66からセメントスラリー12を吐出させているので、第一掘削ビット32、第二掘削ビット33も、セメントスラリー12と地盤2の撹拌に供せられる。
ここで、掘削翼9における撹拌子34,35の機能について説明する。撹拌子34,35は、掘削ブレード30の背面30dに固定されて掘削ブレード30,31に対して逆転方向D2側に向いて下傾斜されている。すなわち、引抜き工程におけるロッド本体7の逆転方向D2では、第一掘削ビット32、第二掘削ビット33に先行して撹拌子34,35がセメントスラリー12と地盤2の撹拌に供せられる。また、撹拌子34,35は、掘削ブレード30の背面30dに沿って固定される面を上面34bとしているから、セメントスラリー12と地盤2の混合物は、上面34bから前方に至るようにして上昇させられる傾向にあり、引抜き工程では、ロッド本体7(掘削ブレード30,31)が上昇しており掘削ブレード30,31は、前方を下傾斜させた上面30aを有していることことに相俟って、撹拌性が良好である。
また、撹拌子34,35は、上面34bと平行に配置された下面34aを有しており、セメントスラリー12と地盤2の混合物は、撹拌子34,35は下面34aにも入り込む。そしてこの混合物の前方には、掘削ビット32,33を備えており、撹拌子34,35は掘削ビット32,33の間に配置されている。
このため、セメントスラリー12と地盤2の混合物は、水平方向に流れるのではなく、掘削ビット32,33の側面にも供給されるから、混合物は、撹拌子34,35と掘削ビット32,33とが共同することで撹拌性が好い。しかも、撹拌子34,35は、上面34bを面一とし下面34aをわずかに下方から突出させることで後側が肉厚とされているから、背面34dによる混合物の撹拌性能も良好である。
共回り防止翼11については、掘削ブレード30,31、撹拌ブレード36,37よりも長い径を有する防止ブレード本体40,41が軸受機構部44回りに回転自在に貫入されて、防止ブレード本体40,41が、改良対象土3の外径よりも外側に貫入される。このため、掘削ブレード30,31、撹拌ブレード36,37がともに逆転方向D2に回転しても、地盤2は共回りをせずに、ロッド本体7を中心に撹拌され。
地盤改良装置1の引抜きは、セメントスラリー12における上部吐出口77からの吐出は、所定深度から上側の撹拌翼10(上部吐出口66)が地盤2から露出するまで供給され、また、引抜きは、所定深度から地盤改良装置1の食込歯8が露出するまで行われる。
また、地盤改良装置1の貫入時に、セメントスラリー12を下部吐出口23から吐出するが、引抜き時にセメントスラリー12を上部吐出口66からも吐出させるので、造成体4の必要強度について、セメントスラリー12の量が最小限で済み、造成体4を形成した際に、地盤2の表面に突出する残土の量も少なくて済む。
地盤改良装置1は、上記施工方法に限定されるものではない。上記施工方法では、地盤改良装置1の貫入の際にはセメントスラリー12を下部吐出口23から地盤2に吐出した。しかしながら、地盤2の硬さによっては、セメントスラリー12の代わりに、地盤2に対する加水のための水を、下部吐出口23から吐出し、その後の引抜きの際に、セメントスラリー12を上部吐出口66から吐出して造成体4を形成することもできる。この場合では、貫入の際には水(加水)を下部吐出口23から地盤2に吐出し、引抜きの際にセメントスラリー12を上部吐出口66から吐出するから、セメントスラリー12の量が最小で済むといった効果がある。なお、加水のための水は、本発明の工法を行うための処理剤の一部としてあげられる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、撹拌子34,35は、掘削ブレード30,31の双方に設けていたが、掘削ブレード30,31のうち、いずれか一方に設けることもできる。この場合も、撹拌子34,35による撹拌性が良好であり、地盤改良装置1の貫入抵抗も少ない。
また、撹拌子34,35の形状は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、下面34aおよび上面34bの角度については、掘削ブレード30,31の背面30dに沿わなくてもよく、背面30dに対して急峻に沿うよう、上記実施形態よりも上傾斜、あるいは下傾斜していてもよい。
また、上記実施形態では、撹拌子34,35は、掘削ビット32,33の間に配置していたが、撹拌子34,35は掘削ビット32,33の側面を超えていてもよい。また、上記実施形態の撹拌子34,35は、上面34bを面一とし、下面34aをわずかに下方から突出させることで、後側が肉厚とされているが、厚みは同一であってもよい。また、撹拌子34,35は板状に形成したが、撹拌子34,35の下面34aおよび上面34bを上方に湾曲させたり、下方に湾曲させたりしてもよい。
さらに、上記実施形態では、撹拌子34,35は、それぞれの掘削ビット32,33の間に配置したが、撹拌子34,35は、掘削ビット32,33に対向するよう、掘削ブレード30,31の逆転方向の前方側の背面30dから逆転方向に突設するよう形成してもよい。
また撹拌子34,35は、各掘削ブレード30,31に複数設ける必要はなく、例えば一つの掘削ブレードであってもよい。この場合、撹拌子34,35は、各掘削ブレード30,31の長さに沿うよう一つだけ形成するようにして、掘削ブレード30,31を逆転した前方側の背面30dから逆転方向に突設するよう形成してもよい。なお、撹拌子34,35の設置面は背面30dでなくてもよく、掘削ブレード30,31に接合した設置面とすることもできる。
上記実施形態では、上部吐出口66(延長管65)は、上側の撹拌翼10の下側に配置した。しかしながら、下側の撹拌翼10の下側に設けることもできる。この場合では、地盤改良装置1の引抜きに際し、上部吐出口66が露出すれば、セメントスラリー12の供給を中止する。
上記実施形態では、第二管路63と下吐出管路25とは別体に形成した。しかしながら、第二管路63と下吐出管路25とは一体に形成することもできる。この場合、昇降手段は、例えば、下動ストッパ71の下面に、第二管路63と下吐出管路25とを下方に付勢するばねによって構成することができる。
上記実施形態では、吐出路13は、地盤2の抵抗に応じて、弁装置62におけるセメントスラリー12の流路を下部吐出口23と、上部吐出口66に切替えた。しかしながら、弁装置62のような弁を設けることなく、例えば下部吐出口23と、上部吐出口66の切替えは、掘削機5に敷設した切替スイッチによって行ってもよい。例えば、下部吐出口23と上部吐出口66との間に切替弁を設け、切替スイッチによって切替弁を移動させることが考えられる。また、下部吐出口23と上部吐出口66とを異なる流路で形成し、下部吐出口23と上部吐出口66との切替えを切替スイッチで行うこともできる。
1…地盤改良装置、2…地盤、3…改良対象土、4…造成体、5…掘削機、6…オーガロッド、7…ロッド本体、8…食込歯、9…掘削翼、10…撹拌翼、11…共回り防止翼、12…セメントスラリー、13…吐出路、16…上回動体、17…介装部材、17a…弁座孔、17b…連通孔、18…下回動体、19…支柱、20…駆動装置、21,21…脚部材、22…当接面、23…下部吐出口、24…受口、25…下吐出管路、26…案内板、27…長孔、28…先端ビット、30,31…掘削ブレード、30a…上面、30b…下面、30c…前面、30d…背面、30e…側面、32…第一掘削ビット、32,33…掘削ビット、32a,33a…先端、33…第二掘削ビット、34,35…撹拌子、34a…下面、34b…上面、34c…側面、34d…背面、35…撹拌子、36,37…撹拌ブレード、36a,37a…上面、36b,37b…下面、40,41…防止ブレード本体、44…軸受機構部、47,47…軸受本体、60…第一管路、61…上吐出管路、62…弁装置、63…第二管路、65…延長管、66…上部吐出口、67…第一弁装置、68…第二弁装置、70…第一弁本体、71…下動ストッパ、72…共通流路、73…上部本体、74…上円盤部、75…突出部、76…導入路、77…上流路、78…下部本体、79…分岐流路、80…下円盤部、81…接合部、82…下流路、83…流入口、85…上保持環、85…保持環、86…下保持環、87…昇降環、90…弁座、91…第二弁本体、92…弁座孔、93…案内スリーブ、D1…正転方向、D2…逆転方向

Claims (2)

  1. 地盤における改良対象土と、処理剤とを撹拌させて円柱状の造成体を形成する地盤改良装置であって、
    正転によって地盤に貫入し逆転によって地盤から引抜かれるロッド本体と、該ロッド本体の内部を通って前記処理剤を地盤に吐出可能な吐出路と、該ロッド本体の下部に放射状に配置され該ロッド本体と一体的に回転する複数の掘削翼と、該掘削翼よりも前記ロッド本体の上部に配置され前記ロッド本体と一体的に回転して地盤を撹拌する撹拌翼とを備え、
    前記掘削翼は、前記ロッド本体の外周から径方向外向きに突設されて正転方向の前方へ向け下傾斜する板状の掘削ブレードと、該掘削ブレードの下端部に離間するように複数並べられて該下端部から下傾斜方向下向きに突出するビットとを備え、
    前記少なくとも一つの掘削翼は、前記掘削ブレードに配置された一つまたは複数の撹拌子をさらに備え、
    該撹拌子は、板状であり、前記掘削ブレードの延びる方向において前記掘削ブレードにおける前記ビットの間に配置され、前記掘削ブレードにおける逆転方向の前方側の設置面から、逆転方向における前方向に突設され、しかも突出先端が前記ビットの下端部よりも上側に配置されていることを特徴とする地盤改良装置。
  2. 前記吐出路は、前記ロッド本体の下部に設けられて前記処理剤を前記ロッド本体の外部に吐出するための下部吐出口と、該下部吐出口より前記ロッド本体の上部に設けられて前記処理剤を前記ロッド本体の外部に吐出するための上部吐出口とを備え、
    前記吐出路は、前記ロッド本体の貫入時に前記下部吐出口から前記処理剤が吐出され、前記ロッド本体の引抜き時に前記上部吐出口から前記処理剤が吐出されるように、前記吐出路における処理剤の吐出口を切替える弁装置を備えたことを特徴とする請求項1に記載の地盤改良装置。
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