以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
図1に示すカラー画像形成装置1の中央には、4つのプロセスユニット9Y,9M,9C,9Kが画像形成装置1に対して着脱可能に設けられた画像形成部2が配置されている。各プロセスユニット9Y,9M,9C,9Kは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。
具体的な各プロセスユニット9としては、表面上に現像剤としてのトナーを担持可能なドラム状の回転体である、潜像担持体としての感光体ドラム10と、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させる帯電ローラ11と、感光体ドラム10の表面にトナーを供給する現像ローラ13を有する現像装置12等を備えている。感光体ドラム10は、例えば直径30mmで、線速140mm/sで回転する。
プロセスユニット9の上方には、露光部3が配置されている。露光部3は、画像データに基づいて、レーザ光Lを発するように構成されている。
画像形成部2の直下には転写部4が配置されている。転写部4は、駆動ローラ14及び従動ローラ15に周回走行可能に張架されている無端状の中間転写ベルト16、各プロセスユニット9の感光体ドラム10に対して中間転写ベルト16を挟んだ対向位置に配置されている一次転写ローラ17等で構成されている。各一次転写ローラ17はそれぞれの位置で中間転写ベルト16の内周面を押圧しており、中間転写ベルト16の押圧された部分と各感光体ドラム10とが接触する箇所に一次転写ニップが形成されている。
また、中間転写ベルト16の駆動ローラ14と、中間転写ベルト16を挟んで駆動ローラ14に対向した位置には二次転写ローラ18が配設されている。二次転写ローラ18は中間転写ベルト16の外周面を押圧しており、二次転写ローラ18と中間転写ベルト16とが接触する箇所に二次転写ニップが形成されている。
給紙部5は、画像形成装置1の下部に位置しており、記録媒体としての用紙Pを収容した給紙カセット19や、給紙カセット19から用紙Pを搬出する給紙ローラ20等からなっている。
搬送路6は、給紙部5から搬出された用紙Pを搬送する搬送経路であり、一対のレジストローラ21の他、後述する排紙部8に至るまで、搬送ローラ対が搬送路6の途中に適宜配置されている。
定着部7は、加熱源によって加熱される定着ローラ22、その定着ローラ22を加圧可能な加圧ローラ23等を有している。
排紙部8は、画像形成装置1の搬送路6の最下流に設けられる。この排紙部8には、用紙Pを外部へ排出するための一対の排紙ローラ24と、排出された用紙Pをストックするための排紙トレイ25とが配設されている。
定着部7から排紙部8へ至る途中には、用紙Pを反転した状態で搬送路6へ戻し、用紙Pの両面に画像を形成するための反転搬送路6aが設けられる。そして、用紙Pの搬送方向を変更するための分岐爪26や、反転搬送路6a上には両面ローラ対27等が設けられる。
画像形成部2、露光部3、転写部4等は、用紙Pに画像を形成するための画像形成手段である。
画像形成装置1の右端部は、回動軸30aを中心に回動することで筐体本体に対して開閉可能な反転ユニット30になっている。
以下、図1を参照して上記画像形成装置1の基本的動作について説明する。
画像形成装置1において、画像形成動作が開始されると、各プロセスユニット9Y,9C,9M,9Kの感光体ドラム10の表面に静電潜像が形成される。各感光体ドラム10に露光部3によって露光される画像情報は、所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。各感光体ドラム10上には静電潜像が形成され、各現像装置12に蓄えられたトナーが、ドラム状の現像ローラ13によって感光体ドラム10に供給されることにより、静電潜像は顕像であるトナー画像(現像剤像)として可視像化される。
転写部4では、駆動ローラ14の回転駆動により中間転写ベルト16が図の矢印Aの方向に走行駆動される。また、各一次転写ローラ17には、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、一次転写ニップにおいて転写電界が形成され、各感光体ドラム10に形成されたトナー画像は一次転写ニップにて中間転写ベルト16上に順次重ね合わせて転写される。
一方、画像形成動作が開始されると、画像形成装置1の下部では、給紙部5の給紙ローラ20が回転駆動することによって、給紙カセット19に収容された用紙Pが搬送路6に送り出される。搬送路6に送り出された用紙Pは、レジストローラ21によってタイミングを計られて、二次転写ローラ18と駆動ローラ14との間の二次転写ニップに送られる。このとき、中間転写ベルト16上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、二次転写ニップに転写電界が形成されている。二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト16上のトナー画像が用紙P上に一括して転写される。
トナー画像が転写された用紙Pは、定着部7へと搬送され、定着ローラ22と加圧ローラ23とによって用紙Pが加熱及び加圧されてトナー画像が用紙Pに定着される。そして、トナー画像が定着された用紙Pは、定着ローラ22から分離され、搬送ローラ対によって搬送され、排紙部8において排紙ローラ24によって排紙トレイ25へと排出される。
一方、用紙Pの両面に画像が形成される場合には、排紙ローラ24が用紙Pを挟持した状態で、排紙ローラ24が排紙方向と逆方向へ回転して用紙Pが逆方向へ搬送されると共に、ソレノイド等の駆動手段によって分岐爪26が回転して定着部7の下流側の搬送路6が塞がれ、用紙Pが反転搬送路6aへと送り出される。
そして、用紙Pは、反転搬送路6a上の両面ローラ対27等によって反転搬送路6a上を運ばれ、用紙Pの表裏が反転した状態で再び搬送路6に戻される。その後、おもて面と同様に、裏面へ画像が形成され、画像が定着された後、排紙トレイ25へ排出される。
以上の説明は、用紙P上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット9Y,9C,9M,9Kのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニット9を使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
次に、本実施形態の現像装置12およびその周辺の構成について図2を用いて説明する。
現像装置12は、現像剤担持体としての現像ローラ13と、現像容器31と、現像容器31内に蓄えられたトナーを撹拌するアジテータ32や撹拌パドル33、現像ローラ13の表面にトナーを供給する供給ローラ34、現像ローラ13に当接し、その層厚を一定以下に規制する規制部材35等を有する。現像容器31に蓄えられたトナーは、一例として、平均粒径が6.5μmのポリエステル系重合トナーを用いた一成分現像剤である。
現像ローラ13は、厚さ4mm、ゴム硬度50度(JISA)の導電性のウレタンゴム層を有し、その直径が16mmの長さで形成される。規制部材35はその厚さが0.1mm、先端部の曲げ角度αが15度(図3参照)に設定され、例えばステンレス部材によって形成される。供給ローラ34は、金属製の芯金と、その表面に被覆された厚み100〜500μmの導電性発泡ウレタンからなるローラ部とによって形成され、その直径が13mmである。以上の各部材の構成および寸法などは一例であり、適宜その変更が可能である。
現像容器31に蓄えられるトナーは、アジテータ32や撹拌パドル33の回転によって現像容器31内で撹拌されながら、自重によって供給ローラ34の側へ移動する。
画像形成動作時には、供給ローラ34、現像ローラ13、そして感光体ドラム10がそれぞれ図2の矢印方向へ回転する。供給ローラ34は、回転動作に伴って、その表面のローラ部で付近のトナーを捕捉する。供給ローラ34は、線速200mm/sで回転する。
現像ローラ13と供給ローラ34は、それぞれカウンタ方向に回転しながら当接し、この際、供給ローラ34に捕捉されたトナーが、現像ローラ13の表面に供給される。
現像ローラ13が規制部材35に当接することにより、現像ローラ13の表面に形成されたトナー層がその厚みを一定以下に規制されると共に、規制部材35からトナーに電荷が付与される。そして、現像ローラ13と感光体ドラム10の当接位置において、現像ローラ13から感光体ドラム10にトナーが供給され、感光体ドラム10表面に形成された静電潜像が可視像化される。
本実施形態では、供給ローラ34と現像ローラ13、および感光体ドラム10のそれぞれに電圧を印加する印加機構が設けられ、それぞれの部材に電圧を印加して部材間に電位差を設けることにより、トナーを移動させたい方向へ誘導し、それぞれの部材間でのトナーの移動が円滑に行われるようにする。本実施形態では、供給ローラ34の印加バイアス電圧が−200V、現像ローラ13の印加バイアス電圧が−150〜−100V、感光体ドラム10の静電潜像の電位が−30〜−50Vに設定される。負極性に帯電したトナーは、供給ローラ34から現像ローラ13へ、そして、現像ローラ13から感光体ドラム10の静電潜像部分へ移動する。
規制部材35には、現像ローラ13に印加された電圧よりも100V低い電圧が印加され、具体的には−250〜−200Vの電圧が印加される。これにより、負極性に帯電したトナーが規制部材35から現像ローラ13の側へ移動する向きの電界が形成される。
本実施形態の様に、現像ローラ13のトナー層厚を一定以下に規制する規制部材35を設けた構成では、現像ローラ13と規制部材35の間(以下、規制ニップとも呼ぶ)にトナー等が長時間滞留して固着し、白スジ等の異常画像の形成につながる場合がある。
本実施形態では、トナー等の固着を防止するために、非画像形成時に、規制ニップに滞留するトナー等を取り除くためのクリーニングモードが実施される。以下、本実施形態のクリーニングモードについて図4のタイミングチャートを用いて説明する。図4の例では、2枚の用紙Pに画像を形成し、画像形成動作開始前と画像形成動作終了後にクリーニングモードを実施した場合について示している。
まず、作業者が画像形成装置1を操作する等により、印刷(画像形成)開始の信号が発信されると、本実施形態のクリーニングモードが実行される。クリーニングモードでは、印加機構により規制部材35に直流電圧および交流電圧が印加され、現像ローラ13と規制部材35の間に交番電界が形成される。直流電圧として−150Vの電圧が、交流電圧としてピーク間電圧1000V、周波数500Hzの正弦波の電圧がそれぞれ印加され、現像ローラ13と規制部材35の電位差が50〜250Vになる。現像ローラ13と規制部材35の電位差が大きくなり過ぎないように設定することで、規制ニップにおける放電現象の発生を防止できる。
そして、所定の時間クリーニングモードを実行すると、規制部材35への交流電圧の印加を停止してクリーニングモードを終了し、画像形成動作へ移行する。
そして、感光体ドラム10および現像ローラ13が回転動作を開始し、現像ローラ13に直流電圧が印加される。この際、感光体ドラム10も帯電ローラ11により帯電動作が行われる。
現像ローラ13や感光体ドラム10等の各部材が回転動作を開始し、電圧が印加されると、前述した様にそれぞれの部材の電位差によってトナーの供給が行われ、現像装置12に蓄えられたトナーが感光体ドラム10に供給され、感光体ドラム10表面の静電潜像が可視像化される。図示例では、2枚の用紙Pに画像を形成しており、1枚目の用紙Pに画像を形成後、2枚目の用紙Pに画像形成を開始するまでの間に、わずかな非画像形成時間が存在する。
規制部材35には、画像形成時には交流電圧が印加されず、クリーニングモード時のみ交流電圧が印加される。画像形成時に規制部材35に交流電圧を印加すると、交流電圧の周波数の変動に応じて、現像ローラ13に形成されるトナー層の厚みにムラが生じ、感光体ドラム10上に形成された画像のムラにつながる。クリーニングモード時のみ規制部材35に交流電圧を印加することで、後述するクリーニングモードによるトナーの固着防止の効果を得ると共に、画像形成時において、交流電圧の印加に伴う画像ムラが生じることを防止できる。
2枚の用紙Pに対する画像形成動作を完了すると、現像ローラ13や感光体ドラム10等の各部材の回転動作が停止され、これらの部材への電圧の印加が停止される。これにより、画像形成動作を終了し、再度クリーニングモードへ移行する。
画像形成動作開始前と同様に、規制部材35に直流電圧を継続して印加すると共に、交流電圧の印加を開始し、現像ローラ13と規制部材35の間に交番電界が形成され、クリーニングモードが実行される。
そして、クリーニングモードを所定の時間だけ実行した後、規制部材35への電圧の印加が停止され、クリーニングモードを終了する。なお、それぞれのクリーニングモードの実施時間は、本実施形態では1secに設定される。
本実施形態では、非画像形成時に規制部材35に交流電圧に直流電圧を重畳した重畳電圧を印加するクリーニングモードを実行する。これにより、規制部材35と現像ローラ13の間に交番電界を形成し、規制ニップに存在する所定の極性を有するトナーに対して、規制部材35と現像ローラ13の間を往復運動する力を発生させることができる。
この際、現像ローラ13を停止した状態でクリーニングモードを実行することにより、規制ニップに滞留する同一のトナーを規制部材35と現像ローラ13の間で繰り返し往復運動させることができる。これにより、トナー同士の衝突を促し、トナー間に相互作用を及ぼすことによって、規制部材35とトナーの付着力を低下させて規制ニップに滞留するトナーの固着を防止できる。さらに、規制部材35に直流電圧を印加することによって、付着力が小さくなったトナーを、静電力によって規制ニップから遠ざける(現像ローラ13側へ移動させる)ことができる。
また、現像ローラ13を回転させた状態で現像ローラ13と規制部材35の間に交番電界を形成した場合、規制部材35が振動して騒音の原因になるが、本実施形態ではこのような不具合を防止することもできる。
クリーニングモード時に規制部材35に印加される交流電圧のピーク間電圧は、周波数500Hz前後では1000V〜2000Vの範囲内であることが望ましい。ピーク間電圧が1000Vより小さくなると、トナーの往復運動が弱くなり、規制ニップに滞留したトナーの除去力が低下する。また、ピーク間電圧を2000Vより大きくすると、規制部材35と現像ローラ13の間で放電現象が発生してしまうためである。
この場合、前述した様に現像ローラ13と規制部材35の平均電位差が50〜250Vであるから、ピーク間電圧は、この平均電位差の4〜40倍の範囲に設定されることになる。現像ローラ13と規制部材35の平均電位差に対して、そのピーク間電圧が4〜40倍という大きな交流電圧を印加することにより、規制ニップにおけるトナーの付着力を低下させ、トナーの固着防止に対して十分な効果を得ることができる。
クリーニングモード時には規制部材35に交流電圧および直流電圧を印加するものとしたが、交流電圧のみを印加して、現像ローラ13と規制部材35の間に交番電界を形成するようにしてもよい。ただし、規制部材35に直流電圧を印加し、付着力が小さくなったトナーを規制ニップから遠ざけることにより、規制ニップに滞留したトナーの除去力が向上するので、本実施形態のクリーニングモードがより好ましい。
本実施形態では、連続した画像形成動作の合間以外の時間(画像形成動作の開始前および画像形成動作の終了後)にクリーニングモードを実行することで、画像形成時間が延長されることを防止できる。つまり、連続した画像形成動作の合間にクリーニングモードを実行した場合、一度現像ローラ13等の各部材の動作を停止してクリーニングモードを実施し、その後、再び現像ローラ13等を回転させて画像形成動作を再開するため、全体の画像形成動作を終了するまでの時間が長くなるが、本実施形態の構成により、画像形成時間が延長されることを防止できる。また、画像形成動作終了後のみにクリーニングモードを実行してもよい。画像形成動作開始前のクリーニングモードを省略することにより、作業者等により画像形成動作の指示が出されてから画像形成動作が終了するまでの時間をさらに短縮することができる。
これとは反対に、画像形成動作の合間にクリーニングモードを実行することもできる。例えば、大量の用紙Pが一度に連続して画像形成される場合に、所定の枚数毎にクリーニングモードを実行する設定とし、画像形成動作の途中で規制ニップにトナーが固着することを防止できる。また、現像装置12の連続稼働時間や画像形成装置1の連続画像形成時間(連続稼働時間)が所定の時間を超えた場合に、所定の時間を超える毎にクリーニングモードを実行してもよい。
さらに、画像形成動作を行った用紙Pの累計枚数、現像装置12の累計稼働時間や画像形成装置1の累計稼働時間に応じて、クリーニングモードの実施時間を変更することができる。
装置の累計稼働時間が大きくなるに従って、現像装置12に収容されたトナーの外添剤が埋没、遊離する等、トナーの劣化が進行し、規制部材35に対するトナーの付着力が増加する。このため、現像ローラ13と規制部材35の間に交番電界を形成しても、トナーが規制部材35から除去されにくくなり、クリーニングモードを一定の時間で実施した場合には、装置の累計稼働時間が大きくなる程、規制部材35からのトナー除去効果が減少していく。しかし、画像形成装置1の累計稼働時間等に応じて、クリーニングモードの実施時間を長くすることで、画像形成装置1の累計時間等が大きくなっても、規制部材35に対する一定のトナー固着防止効果を維持することができる。
クリーニングモードにおいて、規制部材35に印加する電圧は、一方の極性のみでなく、一方の極性の電圧を印加したクリーニングモードを実行後、他方の極性の電圧を印加するクリーニングモードを実行してもよい。これにより、トナーと逆の帯電極性を有する逆帯電性のトナーや外添剤等を規制ニップから取り除くことができる。
本実施形態では、規制部材35に直流電圧および交流電圧を印加することで、規制部材35と現像ローラ13の間に交番電界を形成し、クリーニングモードを実行している。これに対して、現像ローラ13に電圧を印加することによりクリーニングモードを実行してもよい。しかしこの場合、現像ローラ13と供給ローラ34あるいは感光体ドラム10との間にも交番電界が形成され、部材間で想定外のトナーの移動が生じたり、画像形成時に各部材間に形成される電界を直流電界へ切り換えることが必要になってくる。このため、規制部材35に電圧を印加する本実施形態のクリーニングモードがより好ましい。
(実験1)
以上のクリーニングモードによるトナーの固着防止効果を確認するために、本実施形態の現像装置を用いて、一定枚数の用紙Pの画像形成を行った後、用紙Pにベタ画像を形成し、白スジの発生の有無を確認する比較実験を行った。
実験では、上記で説明した実施形態のクリーニングモードを実施した場合(実施例)と、クリーニングモードを実施しない場合(比較例1)と、現像ローラ13が回転している状態でクリーニングモードを実施する場合(比較例2)とのそれぞれについて、白スジの発生の有無およびその発生本数の結果を比較した。また、それ以外の条件については、上記で説明した本実施形態と同一の設定とした。比較例2では、クリーニングモードから画像形成時まで、継続して現像ローラ13が回転する。
実験は、用紙全体に対する画像の面積率が2%の横帯画像をA4縦サイズの用紙Pに2枚連続で印刷し、実施例と比較例2では、それぞれ印刷開始前および2枚の印刷終了後にクリーニングモードを実施している。そして、この動作を1万6千枚の印刷を終えるまで繰り返し、4千枚印刷する毎にA4縦サイズの用紙Pにベタ画像を形成し、白スジの発生本数をそれぞれ目視により計測した。以上の条件で行った実験の結果を表1に示す。
表1より、実施例では1万6千枚印刷後のベタ画像にも白スジの発生は確認されず、全ての結果で白スジが0本という結果になった。これに対して比較例1および2では、印刷枚数が増えるごとに白スジの本数も増加し、比較例1では8千枚の印刷後に初めて白スジが発生し、1万6千枚印刷後は7本の白スジが発生している。また、比較例2では、1万2千枚の印刷後に初めて白スジが発生し、1万6千枚印刷後は2本の白スジが発生している。
比較例1と比較例2の結果の比較により、クリーニングモードの実施によって規制ニップにおけるトナーの固着を防止し、白スジの発生を抑制できることがわかる。また、比較例2と実施例の比較により、現像ローラ13の回転を停止させた状態でクリーニングモードを実施することにより、規制ニップにおけるトナーの固着、およびそれに伴う白スジの発生をより確実に防止できることがわかる。
(実験2)
次に、画像形成動作を行った用紙の累計枚数(出力枚数)の増加に応じて、クリーニングモードの実施時間(印加機構による電圧印加時間)を長くした場合の、規制部材35へのトナー固着防止効果の実験結果について説明する。
実験では、最初の電圧印加時間を1secとし、電圧印加時間を常に1secにした場合(実施例1)と、出力枚数が1万6千枚目から電圧印加時間を線形に増加させた場合(実施例2)のそれぞれの画像形成装置について、トナー固着防止効果を比較した。実施例1と実施例2の電圧印加時間は、図5に示すとおりで、実施例2では、出力枚数が1万6千枚から、4千枚毎に0.2secだけ電圧印加時間が長くなるように、電圧印加時間を線形に増加させている。
実験では、用紙全体に対する画像の面積率が2%の横帯画像をA4縦サイズの用紙Pに2枚連続で印刷し、印刷開始前および2枚の印刷終了後にクリーニングモードを実施している。そして、この動作を3万2千枚の印刷を終えるまで繰り返し、1万6千枚目から4千枚印刷する毎にA4縦サイズの用紙Pにベタ画像を形成し、白スジの発生本数をそれぞれ目視により計測した。以上の条件で行った実験の結果を表2に示す。
実施例1の結果から、電圧印加時間を一定とした場合には、2万枚の時点から白スジの発生が確認され、その後、白スジの本数が7本まで増加している。出力枚数が増加するに従って、前述したトナーの劣化が起こり、クリーニングモードの実施による規制部材35からのトナー除去効果が低下していることがわかる。
また、実施例2では、3万2千枚まで白スジの発生は確認されず、出力枚数に応じて電圧印加時間を長くすることにより、クリーニングモードの実施による規制部材35からのトナー除去効果を維持できることがわかる。なお、実験では電圧印加時間を出力枚数に応じて線形に増加させるものとしたが、これに限らず、ステップ関数的に増加させてもよいし、1枚目の出力から適宜、印加時間を増加させていってもよい。
さらに、以上で説明したクリーニングモードを実施後に、感光体ドラム10および現像ローラ13の回転動作をさせることもできる。
例えば、図6に示すように、規制部材35のクリーニングモード実施後に、感光体ドラム10および現像ローラ13に、画像形成動作時と逆方向への回転である逆転動作をさせ(図6の範囲Ta)、一旦回転動作を停止(図6の範囲Tb)した後、感光体ドラム10および現像ローラ13に、画像形成動作時と同じ方向への回転である正転動作をさせ(図6の範囲Tc)、その後回転動作を停止する(図6の2度目の範囲Tb)。図6の実施例では、このTa〜Tb〜Tc〜Tbのサイクルを2回繰り返している。また、この回転動作のサイクルは、規制部材35に電圧を印加しない状態で行う。
クリーニングモード実施後は、規制部材35と現像ローラ13の間に形成された交番電界の影響により、規制部材35に付着したトナーが外れやすい状態になっている。このため、クリーニングモード実施後に、感光体ドラム10および現像ローラ13に逆転動作をさせることで、規制部材35に付着したトナーを物理的に規制部材35から除去し、現像ローラ13の側へ移動させることができる。この際、規制部材35(および現像ローラ13)に電圧を印加しない状態で行うことにより、規制部材35に付着したトナーの帯電性に依存することなく、機械的にトナーの除去が可能になる。
また、この逆転動作後に、感光体ドラム10および現像ローラ13の正転動作を実施することで、逆転動作によって乱れた現像ローラ13表面のトナー薄層を均すことができる。トナー薄層が乱れた状態で長期間、画像形成動作がなされずにそのままの状態が継続すると、現像ローラ13表面のトナーつぶれが生じ、異常画像の原因となってしまうが、本実施形態の正転動作によりこれらの不具合を防止している。
また、前述のサイクルを2回繰り返すことで、上記のトナー除去効果および異常画像形成の防止効果を確実に得ることができるため、より好ましい。さらに、現像ローラ13の正転動作を、現像ローラ13の1回転分以上するようにすることが好ましい。これにより、現像ローラ13の全周のトナー薄層を均すことができる。
以上で説明したクリーニングモードでは、現像ローラ13を回転させずに現像ローラ13と規制部材35の間に交番電界を形成することで、規制部材35の表面に付着したトナーを除去する方法について説明した。以下のクリーニングモードでは、画像形成動作前に、現像ローラ13を回転させながら交番電界を形成する方法について説明する。
図7に示すように、画像形成装置1が起動されると、印加機構により規制部材35に直流電圧および交流電圧が印加され、現像ローラ13と規制部材35の間に交番電界が形成される。そして、この電圧の印加と同時に、現像ローラ13および感光体ドラム10が、画像形成時と同じ方向への回転である正転動作を行う。規制部材35には、直流電圧として−150Vの電圧が、交流電圧としてピーク間電圧1000V、周波数500Hzの正弦波の電圧がそれぞれ印加される。そして、画像形成動作が終了した後、現像ローラ13を回転させずに再びクリーニングモードを実施する。
画像形成前の現像ローラ13は、その表面に電位ムラ(例えば、規制部材35との対向位置において、現像ローラ13の幅方向に形成されるスジ状の電位ムラ)が残り、その表面の電位が均一でない場合がある。しかし、上記のように、画像形成装置1の起動直後に、現像ローラ13を回転させた状態でクリーニングモードを実施することにより、現像ローラ13表面の電位ムラを均し、良好な画像を形成することができる。
以上の説明では、画像形成装置1の起動直後に現像ローラ13を回転させた状態で交番電界を形成する例を示した。しかし、これに限らず、画像形成装置1が待機した状態から画像形成動作の指令が出された場合や、画像形成装置1がスリープモード等の所定のモードから復帰して画像形成動作を開始する前等、画像形成動作を開始する前に、現像ローラ13を回転させた状態で交番電界を形成してもよい。これにより、上記のように、現像ローラ13表面の電位ムラを均し、良好な画像を形成することができる。
上記の現像ローラ13を回転させた状態でのクリーニングモードは、現像ローラ13を1回転以上させて実施することが望ましい。これにより、現像ローラ13の全周の表面の電位を均すことができる。
また、画像形成装置1の連続印刷枚数が所定の枚数を超えた場合や現像装置12の連続稼働時間や画像形成装置1の連続画像形成時間(連続稼働時間)が所定の時間を超えた場合に、現像ローラ13を回転させずにクリーニングモードを実施する構成において、この現像ローラ13を回転させない状態でのクリーニングモードを実施後に、現像ローラ13を回転させて行う上記のクリーニングモードを実施してもよい。
画像形成動作が連続して行われることにより、規制部材35にトナーが固着しやすくなっている。この場合、まず現像ローラ13を回転させずにクリーニングモードを実施することで、規制部材35に付着したトナーを除去することができる。そして、その後、現像ローラ13を回転させてクリーニングモードを実施することで、現像ローラ13の表面の電位ムラを均すことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
本発明に係る画像形成装置は、図1に示すカラー画像形成装置に限らず、モノクロ画像形成装置や、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。