以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
実施の形態1
図1は、本発明の実施の形態1にかかる状態監視車上装置1Aの概略構成を示す図である。状態監視車上装置1Aにかかる列車10は、車上装置100を備える。車上装置100は、機器11と、計測装置12と、機器情報取得装置13と、モニタ装置14と、車上中央装置15と、機器情報管理装置200と、機器情報記憶装置16と、車上通信装置20と、アンテナ18と、を備える。
計測装置12は、列車10に搭載された機器11(例えば、ブレーキ、空調装置など)の状態や機器11が備えるセンサなどの状態を取得する装置である。以下、列車10の搭載された機器11の状態や機器11が備えるセンサなどの状態のことを「機器状態」、機器状態を表すデータのことを「機器情報」という。図1では、機器11および計測装置12は1つしか図示されていないが、複数備えていてもよい。
機器情報取得装置13は、計測装置12と接続されており、計測装置12から機器情報が入力される。図1では、機器情報取得装置13は1つしか図示されていないが、複数備えていてもよい。
モニタ装置14は、例えばタッチパネルであり、機器情報を車両の運転士に表示するとともに、運転士からの入力を受け付ける。
車上中央装置15は、モニタ装置14と接続されており、機器情報をモニタ装置14に出力することが可能となっている。車上中央装置15は、列車10の運行管理に必要な情報が入力される。以下、列車10の運行管理に必要な情報のことを「列車制御情報」という。列車制御情報としては、列車位置情報や列車速度情報などが例示できる。列車位置情報には、キロ程情報、在線情報および在線エリア情報などが例示できる。また、列車位置情報は、GPSによる位置情報でもよい。列車制御情報を算出するために必要な情報は、速度発電機(図示しない)や速度センサ(図示しない)などから入力される。
機器情報管理装置200は、車上中央装置15、機器情報取得装置13および車上通信装置20と接続されている。車上中央装置15から列車制御情報を受け取ることが可能となっている。列車位置情報については、車上中央装置15以外の装置から受け取ってもよい。また、機器情報取得装置13から機器情報が入力される。機器情報取得装置13が複数ある場合は、複数の機器情報取得装置13から機器情報が入力される。
機器情報管理装置200は、出力に関する予め決められた条件に基づき、機器情報の出力先を特定し、車上通信装置20に出力する。予め決められた条件の詳細は後述する。機器情報管理装置200は、区域および地上通信装置の特定に関する予め決められた条件に基づき、列車の位置する区域および機器情報を出力する地上通信装置を特定する。予め決められた条件の詳細は後述する。機器情報管理装置200は、機器情報記憶装置16と接続されており、記憶に関する予め決められた条件に基づき、機器情報を機器情報記憶装置16に出力することができる。予め決められた条件の詳細は後述する。
機器情報管理装置200は、機器情報に追加情報を付加することができる。追加情報の具体例としては、機器情報が得られた時間に関する情報、機器情報が得られた場所に関する情報などがある。追加情報により、機器情報が得られた時間や場所が認識可能となる。 機器情報管理装置200は、場所に関する情報を車上中央装置15から列車位置情報などで受信する。
機器情報管理装置200は、時間に関する情報を車上中央装置15から受信、あるいは自身で時計を備えている場合は、その時間を機器情報に付加することができる。また、複数の機器情報取得装置13から機器情報が入力される場合は、各機器情報取得装置13からの機器情報について、同期を取ることができる。基準となる時間情報、例えば機器情報管理装置200自身が備えている時計の情報を用いることで、同期を取ることができる。
機器情報記憶装置16は、機器情報管理装置200から出力された機器情報が入力され、機器情報を記憶し、蓄積することができる。
車上通信装置20は、アンテナ18を介して、列車10の外部に設置される後述する地上通信装置410および地上通信装置420と通信が可能となっている。車上通信装置20は、車上中央装置15から出力された列車制御情報および機器情報管理装置200から出力された機器情報が入力され、アンテナ18を介して地上通信装置410および地上通信装置420に列車制御情報および機器情報を送信する。また、地上通信装置410および地上通信装置420から列車10に送信された情報を、アンテナ18を介して受信する。
図2は、本発明の実施の形態1にかかる列車状態監視システム1Cの状態監視地上システム1Bの概略構成を示す図である。軌道50を走行する列車は、車上装置100を備えている。状態監視地上システム1Bは、地上通信装置410および地上通信装置420を備える。
図2において、状態監視地上システム1Bは、列車10の走行する区域が区域Aおよび区域Bに分けられている。区域Aおよび区域Bは隣接した区域である。図2では、一点鎖線で区切られた区域をそれぞれ区域Aおよび区域Bとして図示している。軌道50は区域Aおよび区域Bに跨って敷設されている。鉄道事業者の管理する領域が広い場合など、領域を複数の区域に分ける場合がある。複数の区域に運行管理装置を配置して、区域ごとに運行管理を行う場合がある。図2は、その一例を示した図である。図2では、駅60が区域Aおよび区域Bの境界に配置されているが、駅60は配置されていなくてもよい。
地上通信装置410は、区域Aに在線している列車10の運行を管理する運行管理装置610と地上ネットワーク510を介して接続されている。地上通信装置410は、地上通信アンテナ411を介して、区域Aに在線している列車10に備える車上通信装置20と通信が可能となっている。地上通信装置410は、車上通信装置20から出力された列車制御情報および機器情報が地上通信アンテナ411を介して入力される。列車制御情報は地上ネットワーク510を介して、運行管理装置610に送られる。また、地上通信装置410は、機器情報を収集する機器情報収集装置41と地上ネットワーク510を介して接続されている。地上通信装置410に入力された機器情報は、地上ネットワーク510を介して、機器情報収集装置41に送られる。図2では、運行管理装置610および機器情報収集装置41は別の装置として記載しているが、共通の装置であってもよい。
地上通信装置420は、区域Bに在線している列車10の運行を管理する運行管理装置620と地上ネットワーク520を介して接続されている。地上通信装置420は、地上通信アンテナ421を介して、区域Bに在線している列車10に備える車上通信装置20と通信が可能となっている。地上通信装置420は、車上通信装置20から出力された列車制御情報および機器情報が地上通信アンテナ421を介して入力される。列車制御情報は地上ネットワーク520を介して、運行管理装置620に送られる。また、地上通信装置420は、機器情報を収集する機器情報収集装置42と地上ネットワーク520を介して接続されている。地上通信装置420に入力された機器情報は、地上ネットワーク520を介して、機器情報収集装置42に送られる。図2では、運行管理装置620および機器情報収集装置42は別の装置として記載しているが、共通の装置であってもよい。
機器情報収集装置41は、機器情報ネットワーク800を介して、地上記憶装置700と接続されている。機器情報収集装置41は、地上通信装置410から送られた機器情報を、機器情報ネットワーク800を介して、地上記憶装置700へ送る。
機器情報収集装置42は、機器情報ネットワーク800を介して、地上記憶装置700と接続されている。機器情報収集装置42は、地上通信装置420から送られた機器情報を、機器情報ネットワーク800を介して、地上記憶装置700へ送る。
地上記憶装置700は、機器情報収集装置41および機器情報収集装置42から送られた機器情報を記憶し、蓄積することが可能となっている。地上記憶装置700は、蓄積した機器情報と公知の統計的手法により、機器11の状態分析を行い、機器11の劣化診断を行うことができる。つまり、機器情報は劣化診断に必要な情報とも換言できる。
図2に示すように、区域によって運行管理装置が変わる場合は、運行管理の接続先を変える必要がある。例えば、区域Aに列車10が在線している場合は、区域Aの運行を管理している運行管理装置610にネットワークを介して接続されている地上通信装置410と接続を確立する。また、区域Bに列車10が在線している場合は、区域Bの運行を管理している運行管理装置620にネットワークを介して接続されている地上通信装置420と接続を確立する。
次に、実施の形態1にかかる状態監視車上装置1Aの動作を説明する。図3は、実施の形態1にかかる状態監視車上装置1Aの機器情報管理装置200の動作を示すフローチャートである。
機器情報管理装置200は、機器情報取得装置13から機器情報が入力される(S101)。入力された機器情報を予め決められた条件に基づき、地上に送信するかを判断する(S102)。判断方法の詳細は、後述する。地上に送信する場合(S102:Yes)、列車10が位置している区域を判断する(S103)。次に、機器情報を送信する地上通信装置を特定する。具体的には、列車10が位置している区域に対応した地上通信装置を特定する(S104)。特定方法の詳細は、後述する。次に、機器情報を予め決められた条件に基づき、列車内で記憶するかを判断する(S105)。判断方法の詳細は、後述する。列車内で記憶しない場合(S105:No)は、機器情報を車上通信装置20に出力する(S106)。列車内で記憶する場合(S105:Yes)は、機器情報を車上通信装置20および機器情報記憶装置16に出力する(S107)。
S102において、地上に送信しない場合(S102:No)は、機器情報を、列車内で記憶するかを判断する(S108)。列車内で記憶する場合(S108:Yes)は、機器情報を機器情報記憶装置16に出力する(S109)。列車内で記憶しない場合(S108:No)は、機器情報を破棄する(S110)。
図3に示すように、機器情報管理装置200は、機器情報を車上通信装置20に出力するか、機器情報記憶装置16に出力するか、破棄するか、を判断する。つまり、機器情報管理装置200は、機器情報の出力先を車上通信装置20、機器情報記憶装置16および破棄(消去)のいずれにするかの特定を行う。
機器情報管理装置200は、予め決められた条件に基づき、地上に送信するか否かの判断を行う。予め決められた条件の第1の具体例としては、車上中央装置15からの指令に基づいて判断する。地上への送信指令を車上中央装置15から受け取った場合に、地上に送信すると判断してもよい。この場合において、車上中央装置15は機器情報管理装置200に対して、定期的に地上への送信指令を送る。機器情報管理装置200は、車上中央装置15から定期的に送られてきた地上への送信指令がストップした場合に、地上に送信しないと判断してもよい。また、車上中央装置15から機器情報管理装置200に対して、地上への送信停止指令が送られてくるまでは地上に送信すると判断してもよい。
また、予め決められた条件の第2の具体例としては、機器情報管理装置200は、列車位置情報および地上への送信要否を関連付けた図示しないデータベースを備えていて、車上中央装置15から列車位置情報を受け取った際、データベースを参照し、地上への送信要否を判断してもよい。データベースは機器情報管理装置200以外の装置に備えていてもよい。
予め決められた条件の第3の具体例としては、列車10の運転状態がある。例えば、惰行運転を行う場合など、機器11にかかる負荷が小さいと考えられるので、機器11の劣化は進行しにくい。この場合、劣化診断に必要な情報である機器情報の地上への送信不要と判断してもよい。
予め決められた条件の第4の具体例としては、機器11に劣化の兆候がない場合、または劣化の兆候が疑われない場合に、機器情報管理装置200は、劣化診断に必要な情報である機器情報の地上への送信不要と判断してもよい。劣化の兆候の有無の判断方法の具体例としては、機器情報が予め決められた閾値を超えたか否かで判断する。
予め決められた条件の第5の具体例としては、列車制御情報を送信する地上通信装置の識別情報により、機器情報の地上への送信要否を判断してもよい。例えば、列車制御情報の出力先が地上通信装置410であれば、機器情報について地上通信装置410に送信する、また、列車制御情報の出力先が地上通信装置420であれば、機器情報について地上通信装置420に送信すると判断してもよい。列車制御情報を送信する地上通信装置によって、機器情報の地上への送信要否を判断してもよい。
また、他の条件で地上に送信するか否かの判断を行ってもよい。
機器情報管理装置200は、予め決められた条件に基づき、列車が位置している区域を判断し、地上通信装置の特定を行う。
予め決められた条件の第1の具体例としては、機器情報管理装置200は、列車位置情報、区域および地上通信装置を関連付けた図示しないデータベースを備えていて、車上中央装置15から列車位置情報を受け取った際、データベースを参照し、区域および地上通信装置を特定してもよい。データベースは機器情報管理装置200以外の装置に備えていてもよい。
予め決められた条件の第2の具体例としては、列車制御情報を送信する地上通信装置の識別情報により、区域および地上通信装置の特定を行ってもよい。例えば、列車制御情報の出力先が地上通信装置410であれば、列車が位置している区域を区域Aと判断し、機器情報について地上通信装置410に送信する、また、列車制御情報の出力先が地上通信装置420であれば、列車が位置している区域を区域Bと判断し、機器情報について地上通信装置420に送信する、として区域および地上通信装置を特定してもよい。この場合、機器情報管理装置200は、区域毎に有する地上通信装置のデータベースを備えていてもよい。データベースは機器情報管理装置200以外の装置に備えていてもよい。
また、他の条件で区域および地上通信装置の特定を行ってもよい。
機器情報管理装置200は、予め決められた条件に基づき、機器情報記憶装置16に記憶するか否かの判断を行う。予め決められた条件の第1の具体例としては、車上中央装置15からの指令に基づいて判断する。機器情報記憶装置16への記憶指令を車上中央装置15から受け取った場合に、機器情報記憶装置16に記憶すると判断してもよい。この場合において、車上中央装置15は機器情報管理装置200に対して、定期的に機器情報記憶装置16への記憶指令を送る。機器情報管理装置200は、車上中央装置15から定期的に送られてきた機器情報記憶装置16への記憶指令がストップした場合に、機器情報記憶装置16に記憶しないと判断してもよい。また、車上中央装置15から機器情報管理装置200に対して、機器情報記憶装置16への記憶停止指令が送られてくるまでは機器情報記憶装置16へ記憶すると判断してもよい。
また、予め決められた条件の第2の具体例としては、機器情報管理装置200は、列車位置情報および機器情報記憶装置16への記憶要否を関連付けた図示しないデータベースを備えていて、車上中央装置15から列車位置情報を受け取った際、データベースを参照し、機器情報記憶装置16への記憶要否を判断してもよい。また、データベースは機器情報管理装置200以外の装置に備えていてもよい。
予め決められた条件の第3の具体例としては、列車10の運転状態がある。例えば、惰行運転を行う場合など、機器11にかかる負荷が小さいと考えられるので、機器11の劣化は進行しにくい。この場合、劣化診断に必要な情報である機器情報の機器情報記憶装置16への記憶は不要と判断してもよい。
予め決められた条件の第4の具体例としては、機器11に劣化の兆候がない場合、または劣化の兆候が疑われない場合に、機器情報管理装置200は、劣化診断に必要な情報である機器情報の機器情報記憶装置16への記憶は不要と判断してもよい。劣化の兆候の有無の判断方法の具体例としては、機器情報が予め決められた閾値を超えたか否かで判断する。
予め決められた条件の第5の具体例としては、機器情報が地上へ送信されたか否かで判断されてもよい。機器情報が地上へ送信された場合は、機器情報が地上記憶装置700で蓄積されるため記憶は不要、機器情報が地上へ送信されていない場合は、機器情報が地上記憶装置700で蓄積されないため記憶は必要と判断してもよい。つまり、機器情報記憶装置16へ記憶するか否かは、機器情報が車上通信装置20へ出力されたか否かに基づいて判断してもよい。
また、他の条件で機器情報記憶装置16へ記憶するか否かの判断を行ってもよい。
機器情報管理装置200に入力される機器情報は、特定されていることが好ましい。例えば、機器情報取得装置13において、計測装置12から入力された機器情報を特定させる。各機器11、各計測装置12は固有IDを有しており、機器情報に機器11の固有IDまたは計測装置12の固有IDを付加することで、または、機器11および計測装置12の固有IDを付加することで、どの機器11、計測装置12に対する機器情報かわかるように特定させる。同一機器から複数の異なる機器情報が入力される場合も各機器情報を特定させる。同一機器の複数の異なる機器情報を識別する情報を付加することもできる。
機器情報管理装置200は、機器情報取得装置13から入力される機器情報がどの機器11、計測装置12に対する機器情報か特定されているため、各機器情報に対して、地上への送信および記憶装置への記憶要否を判断することができる。
地上への送信および機器情報記憶装置16への記憶要否の判断を行う際、予め定められた所定の条件に基づいて送信方法、記憶方法を決定してもよい。予め定められた所定の条件とは、列車10の運転状態および特定の機器情報などがあげられる。例えば、惰行運転を行う場合など、列車10に備えられている電動機にかかる負荷は小さいと考えられるので、電動機に関する機器情報を地上へ送信しないと判断してもよい。地上へ送信する周期を少なくしてもよい。例えば、機器情報が、1秒間に5回、機器情報管理装置200に入力され、上記の判断を行うとした場合に、1回は地上へ送信すると判断し、残りの4回は地上へ送信しないと判断してもよい。地上へ送信する回数を減らすことで、車上通信装置20の負荷を減らすことができるため、効率的なデータ伝送を行うことができる。
また、機器11に劣化の兆候がない場合、または劣化の兆候が疑われない場合に、機器情報管理装置200は、地上へ送信する回数を減らしてもよい。機器11に劣化の兆候がない場合、または劣化の兆候が疑われない場合に機器情報を間引きして地上へ送信することで、車上通信装置20の負荷を減らすことができるため、効率的なデータ伝送を行うことができる。
実施の形態1にかかる列車状態監視システム1Cについて、図2、図4および図5を参照して説明する。図2において、列車は、電車は区域Aに在線しており、矢印70の方向(区域AからBに向かう方向)に進行している。この場合において、列車10に備える車上通信装置20は、地上通信装置410と通信を行う。
図4において、列車は、区域Aおよび区域Bに在線しており、矢印70の方向(区域Aから離れる方向)に進行している。この場合において、列車10に備える車上通信装置20は、地上通信装置420と通信を行う。つまり、車上通信装置20は、接続する地上通信装置を変更する。
図5において、列車は、区域Bに在線しており、矢印70の方向(区域Aから離れる方向)に進行している。この場合において、列車10に備える車上通信装置20は、地上通信装置420と通信を行う。
図2、図4および図5の場合における機器情報管理装置200の動作を説明する。図2の場合において、具体的には、列車10が区域Aに在線している場合において説明する。区域Aにおいては、機器情報を地上へ送信するので、機器情報管理装置200は、地上へ送信すると判断し(S102:Yes)、列車10が位置している区域を判断する(S103)。次に、列車10が位置している区域に基づき、列車10が位置している区域に対応した地上通信装置を地上通信装置410に特定する(S104)。次に、機器情報を、列車内で記憶するかを判断する(S105)。列車内で記憶しない場合(S105:No)は、機器情報を車上通信装置20に出力する(S106)。列車内で記憶する場合(S105:Yes)は、機器情報を車上通信装置20および機器情報記憶装置16に出力する(S107)。
図4の場合において、具体的には、列車10が区域Aから区域Bに進入する場合において説明する。図4の場合において、列車は、接続する地上通信装置を地上通信装置410から地上通信装置420に変更する。区域Bにおいて、機器情報管理装置200は、機器情報を地上へ送信するので、機器情報管理装置200は、地上へ送信すると判断し(S102:Yes)、列車10が位置している区域を判断する(S103)。図4の場合は、区域Bに在線していると判断する。次に、列車10が位置している区域に基づき、列車10が位置している区域に対応した地上通信装置を地上通信装置420に特定する(S104)。次に、機器情報を、列車内で記憶するかを判断する(S105)。列車内で記憶しない場合(S105:No)は、機器情報を車上通信装置20に出力する(S106)。列車内で記憶する場合(S105:Yes)は、機器情報を車上通信装置20および機器情報記憶装置16に出力する(S107)。
図5の場合において、具体的には、列車10が区域Bに在線している場合において説明する。図5の場合における機器情報管理装置200の動作は、図4の場合と同様である。
実施の形態1にかかる状態監視車上装置1Aは、上述したように地上へ送信するか否かを判断する。地上へ送信するか否かを判断する際に、列車位置情報に基づいて行うことが好ましい。機器情報管理装置200は、列車位置情報および地上通信装置を関連付けた図示しないデータベースを備えており、地上へ送信すると判断する際に、データベースを参照して、列車制御情報に含まれる列車位置情報に対応する地上通信装置を特定し、機器情報の出力先を特定してもよい。
図2、図4および図5の場合を例に説明する。図2の場合において、機器情報管理装置200は、列車位置情報から区域Aに在線していると判断し、機器情報を区域Aに対応する地上通信装置410に出力すると特定する。図4の場合において、機器情報管理装置200は、列車位置情報から地上通信装置の接続先が、地上通信装置410から地上通信装置420に変更すると判断し、機器情報を区域Bに対応する地上通信装置420に出力すると特定する。図5の場合において、列車位置情報から区域Bに在線していると判断し、機器情報を区域Bに対応する地上通信装置420に出力すると特定する。
機器情報管理装置200が、列車位置情報に基づいて地上へ送信すると判断する際に、列車位置情報に対応した地上通信装置を特定することで、列車の通信装置の負荷を低減できる。
図6は、実施の形態1にかかる状態監視車上装置1Aの車上通信装置20の概略構成例を示す図である。図6(a)の車上通信装置20は、通信部21を有する。通信部21に列車制御情報および機器情報が入力され、列車制御情報および機器情報をまとめて、アンテナ18に出力することができる。図6(b)の車上通信装置20は、列車制御情報通信部22および機器情報通信部23を有する。列車制御情報通信部22には列車制御情報が入力される。また、機器情報通信部23には機器情報が入力される。列車制御情報通信部22および機器情報通信部23を有するため、列車制御情報および機器情報を分離して出力することも可能である。例えば、列車制御情報および機器情報を出力するタイミングをずらすことで、分離して出力することも可能である。図6(c)の車上通信装置20は、列車制御情報通信部22および機器情報通信部23を有する。また、アンテナ18を複数有する。列車制御情報通信部22および機器情報通信部23を有するため、列車制御情報および機器情報を分離して出力することも可能である。また、アンテナを複数有するため、列車制御情報および機器情報の出力タイミングを合わせることが可能である。図6に示す構成は一例であり、他の構成であってもよい。
上記説明したように、実施の形態1にかかる列車状態監視システム1Cは、列車から出力された機器情報は、地上通信装置410を介して、機器情報収集装置41に送られ、また、地上通信装置420を介して機器情報収集装置42に送られることで、区域によって運行管理装置が変わる場合であっても、機器情報を収集できる。
<変形例1>
図7は、本発明の実施の形態1にかかる状態監視車上装置1Aの変形例の概略構成を示す図である。状態監視車上装置1Aの変形例1にかかる列車10は、車上装置110を備える。機器情報管理装置210が車上通信装置20と接続されていないところが特徴である。
図8は、変形例1の機器情報管理装置210の動作を示すフローチャートである。
図7に示す機器情報管理装置210は、機器情報取得装置13から機器情報が入力される(S111)。入力された機器情報を地上に送信するかを判断する(S112)。地上に送信する場合(S112:Yes)、列車10が位置している区域を判断する(S113)。次に、機器情報を送信する地上通信装置を特定する。具体的には、列車10が位置している区域に対応した地上通信装置を特定する(S114)。次に、機器情報を、列車内で記憶するかを判断する(S115)。列車内で記憶しない場合(S115:No)は、機器情報を車上中央装置15に出力する(S116)。列車内で記憶する場合(S115:Yes)は、機器情報を車上中央装置15および機器情報記憶装置16に出力する(S117)。
S112において、地上に送信しない場合(S112:No)は、機器情報を、列車内で記憶するかを判断する(S118)。列車内で記憶する場合(S118:Yes)は、機器情報を機器情報記憶装置16に出力する(S119)。列車内で記憶しない場合(S118:No)は、機器情報を破棄する(S120)。
変形例1では、機器情報管理装置210が、地上へ送信すると判断した場合に、車上中央装置15へ送信することが特徴である。車上中央装置15において、車上通信装置20に出力する列車制御情報および機器情報をまとめることができるため、伝送が簡略化し、車上通信装置20の負荷を低減できる。
<変形例2>
図9は、本発明の実施の形態1にかかる状態監視車上装置1Aの変形例の概略構成を示す図である。状態監視車上装置1Aの変形例2にかかる列車10は、車上装置120を備える。情報管理装置320が車上中央装置15および車上通信装置20との間に配置されているところが特徴である。情報管理装置320は、機器情報管理装置220を備えている。図9では、機器情報管理装置220を図示しているが、機器情報管理装置は備えていなくてもよい。情報管理装置320に機器情報管理装置の機能を備えていればよい。情報管理装置320は、列車制御情報は車上中央装置15から入力され、機器情報は機器情報取得装置13から入力される。機器情報管理装置220の動作は、上述した機器情報管理装置200の動作と同様である。つまり、変形例2では、情報管理装置320において、予め決められた条件に基づいて、機器情報を地上に送信するか否か、機器情報記憶装置16に記憶するか否かの判断を行う。
変形例2では、情報管理装置320において、車上通信装置20に出力する列車制御情報および機器情報をまとめることができるため、伝送が簡略化し、車上通信装置20の負荷を低減できる。
<変形例3>
図10は、本発明の実施の形態1にかかる状態監視車上装置1Aの変形例の概略構成を示す図である。状態監視車上装置1Aの変形例3にかかる列車10は、車上装置130を備える。情報管理装置330が、車上中央装置15および機器情報管理装置230を備えていることが特徴である。図10では、機器情報管理装置230を図示しているが、機器情報管理装置は備えていなくてもよい。情報管理装置330に機器情報管理装置の機能を備えていればよい。機器情報管理装置230の動作は、上述した機器情報管理装置200の動作と同様である。つまり、変形例3では、情報管理装置330において、予め決められた条件に基づいて、機器情報を地上に送信するか否か、機器情報記憶装置16に記憶するか否かの判断を行う。
変形例3では、情報管理装置330において、車上通信装置20に出力する列車制御情報および機器情報をまとめることができるため、伝送が簡略化し、車上通信装置20の負荷を低減できる。
<変形例4>
図11は、本発明の実施の形態1にかかる状態監視車上装置1Aの変形例の概略構成を示す図である。状態監視車上装置1Aの変形例4にかかる列車10は、車上装置140を備える。車上装置140は、機器情報管理装置240、車上通信装置30およびアンテナ19を備えるところが特徴である。
変形例4では、車上通信装置20および車上通信装置30の複数の通信装置を備える。通信装置を複数備えることで、列車制御情報および機器情報を分離して出力することができる。例えば、機器情報管理装置240は、列車制御情報は車上通信装置20に出力し、機器情報は車上通信装置30に出力することができる。車上通信装置20および車上通信装置30を備えることにより、列車制御情報および機器情報の通信方式を変えることができる。具体的には、車上通信装置20は、列車10の運行管理に必要な情報の通信を行うため、誤り訂正を重視した通信方式で通信することが可能となる。車上通信装置30は、膨大な量のデータを通信するため、大容量通信を重視した通信方式で通信することが可能となる。車上通信装置を複数備える状態監視車上装置1Aとして、図12または図13のような構成であってもよい。図12は、変形例2で示した構成において、車上通信装置30を備えた構成である。図13は、変形例3で示した構成において、車上通信装置30を備えた構成である。
実施の形態1にかかる状態監視車上装置1Aは、第1の地上通信装置410を有する第1の区域と、第2の地上通信装置420を有する第2の区域を含む路線を走行する列車10に搭載された機器11の状態を計測する計測装置12と、第1の地上通信装置410および第2の地上通信装置420と通信する車上通信装置20と、列車10の位置する区域に基づき、該区域が有する地上通信装置を計測装置12が計測した機器11の状態を示す機器情報を通信する地上通信装置として決定する機器情報管理装置200と、を備えることにより、異なる区域における、列車10に搭載されている機器11の状態データの収集を可能にする。
実施の形態1にかかる状態監視車上装置1Aは、機器情報を記憶する機器情報記憶装置16と、を備え、機器情報管理装置200は、記憶に関する予め決められた条件に基づき、機器情報を機器情報記憶装置16へ記憶するか否かを判断することにより、異なる区域における、列車10に搭載されている機器11の状態データの収集を可能にする。
実施の形態1にかかる状態監視車上装置1Aは、列車10の運行管理に必要な列車制御情報を管理する車上中央装置15と、を備え、列車10の位置する区域は、車上中央装置15からの指令に基づいて判断することにより、異なる区域における、列車10に搭載されている機器11の状態データの収集を可能にする。
実施の形態1にかかる状態監視車上装置1Aは、列車10の位置する区域は、列車10の位置情報に基づいて判断することにより、異なる区域における、列車10に搭載されている機器11の状態データの収集を可能にする。
実施の形態1にかかる状態監視車上装置1Aは、列車10の運行管理に必要な列車制御情報を管理する車上中央装置15と、を備え、列車の位置する区域は、列車制御情報を通信する地上通信装置の識別情報に基づいて判断することにより、異なる区域における、列車10に搭載されている機器11の状態データの収集を可能にする。
実施の形態1にかかる状態監視車上装置1Aは、記憶に関する予め決められた条件は、機器情報が車上通信装置20へ出力されたか否かに基づいて判断することにより、異なる区域における、列車10に搭載されている機器11の状態データの収集を可能にする。
実施の形態1にかかる状態監視地上システム1Bは、第1の区域と、第2の区域とを含む路線を走行する列車10の状態監視地上システムにおいて、第1の区域が有する第1の地上通信装置410と、第2の区域が有する第2の地上通信装置420と、第1の地上通信装置410と接続された列車10に搭載された機器11の状態を示す機器情報を収集する第1の機器情報収集装置41と、第2の地上通信装置420と接続された機器情報を収集する第2の機器情報収集装置42と、を備え、第1の機器情報収集装置41と、第2の機器情報収集装置42とは接続されることにより、異なる区域における、列車10に搭載されている機器11の状態データの収集を可能にする。
実施の形態1にかかる状態監視地上システム1Bは、第1の機器情報収集装置41および第2の機器情報収集装置42と接続された地上記憶装置700と、を備えることにより、異なる区域における、列車10に搭載されている機器11の状態データの収集を可能にする。
実施の形態1にかかる列車状態監視システム1Cは、第1の区域と、第2の区域とを含む路線を走行する列車の列車状態監視システムにおいて、第1の区域が有する第1の地上通信装置410と、第2の区域が有する第2の地上通信装置420と、出力に関する予め決められた条件に基づき、列車10に搭載された機器11の状態を示す機器情報をいずれの地上通信装置へ送信するか判断する車上装置100と、第1の地上通信装置410と接続された第1の機器情報収集装置41と、第2の地上通信装置420と接続された第2の機器情報収集装置42と、を備え、第1の機器情報収集装置41と、第2の機器情報収集装置42とは接続されることにより、異なる区域における、列車10に搭載されている機器11の状態データの収集を可能にする。
実施の形態1にかかる列車状態監視システム1Cは、第1の機器情報収集装置41および第2の機器情報収集装置42と接続された地上記憶装置700と、を備えることにより、異なる区域における、列車10に搭載されている機器11の状態データの収集を可能にする。
実施の形態1にかかる列車状態監視システム1Cは、列車10が第1区域に在線している場合、機器情報は、第1の地上通信装置410と、第1の機器情報収集装置41とを経由して地上記憶装置700に記憶され、列車10が第2区域に在線している場合、機器情報は、第2の地上通信装置420と、第2の機器情報収集装置42とを経由して地上記憶装置700に記憶されることにより、異なる区域における、列車10に搭載されている機器11の状態データの収集を可能にする。
実施の形態2
図14は、実施の形態2にかかる列車状態監視システム2Cの状態監視地上システム2Bの概略構成を示す図である。実施の形態2にかかる列車状態監視システム2Cは、地上通信装置430および地上通信装置440に送られる機器情報が異なるところが特徴である。区域を管理する運行管理装置が変わる場合、列車10から送ることができる情報が変わる場合がある。実施の形態2では、区域によって、列車10から送ることができる機器情報が変わる場合について説明する。
図14において、状態監視地上システム2Bは、列車10の走行する区域が区域Aおよび区域Bに分けられている。区域Aおよび区域Bは隣接した区域である。図14では、一点鎖線で区切られた区域をそれぞれ区域Aおよび区域Bとして図示している。軌道50は区域Aおよび区域Bに跨って敷設されている。
地上通信装置430は、区域Aに在線している列車10の運行を管理する運行管理装置630と地上ネットワーク530を介して接続されている。地上通信装置430は、地上通信アンテナ431を介して、区域Aに在線している列車10に備える車上通信装置20と通信が可能となっている。地上通信装置430は、車上通信装置20から出力された列車制御情報および機器情報が地上通信アンテナ431を介して入力される。列車制御情報は地上ネットワーク530を介して、運行管理装置630に送られる。また、地上通信装置430は、機器情報を収集する機器情報収集装置43と地上ネットワーク530を介して接続されている。地上通信装置430に入力された機器情報は、地上ネットワーク530を介して、機器情報収集装置43に送られる。図14では、運行管理装置630および機器情報収集装置43は別の装置として記載しているが、共通の装置であってもよい。
地上通信装置440は、区域Bに在線している列車10の運行を管理する運行管理装置640と地上ネットワーク540を介して接続されている。地上通信装置440は、地上通信アンテナ441を介して、区域Bに在線している列車10に備える車上通信装置20と通信が可能となっている。地上通信装置440は、車上通信装置20から出力された列車制御情報および機器情報が地上通信アンテナ441を介して入力される。列車制御情報は地上ネットワーク540を介して、運行管理装置640に送られる。また、地上通信装置440は、機器情報を収集する機器情報収集装置44と地上ネットワーク540を介して接続されている。地上通信装置440に入力された機器情報は、地上ネットワーク540を介して、機器情報収集装置44に送られる。図14では、運行管理装置640および機器情報収集装置44は別の装置として記載しているが、共通の装置であってもよい。
機器情報収集装置43は、機器情報ネットワーク810を介して、地上記憶装置710と接続されている。機器情報収集装置43は、地上通信装置430から送られた機器情報を、機器情報ネットワーク810を介して、地上記憶装置710へ送る。
機器情報収集装置44は、機器情報ネットワーク810を介して、地上記憶装置710と接続されている。機器情報収集装置44は、地上通信装置440から送られた機器情報を、機器情報ネットワーク810を介して、地上記憶装置710へ送る。
地上記憶装置710は、機器情報収集装置43および機器情報収集装置44から送られた機器情報を記憶し、蓄積することが可能となっている。地上記憶装置710は、蓄積した機器情報と公知の統計的手法により、機器11の状態分析を行い、機器11の劣化診断を行うことができる。
地上通信装置430および地上通信装置440は、列車10から受け取る機器情報が異なる。例えば、列車10から地上通信装置430には、ブレーキ装置、空調装置および台車に関する機器情報が送られる。また、列車10から地上通信装置440には、ブレーキ装置および空調装置に関する機器情報が送られる。つまり、台車に関する機器情報は、地上通信装置430には送られるが、地上通信装置440には送られない。以下、地上通信装置430には、ブレーキ装置、空調装置および台車に関する機器情報が送られ、地上通信装置440には、ブレーキ装置および空調装置に関する機器情報が送られる場合を例に説明する。
図15は、実施の形態2にかかる状態監視車上装置2Aの概略構成を示す図である。実施の形態2にかかる状態監視車上装置2Aは車上装置170を備える。車上装置170の基本構成は実施の形態1の車上装置100と同様である。車上装置170は、機器情報管理装置270を備えるところが特徴である。
図16は、機器情報管理装置270の動作を示すフローチャートである。基本的な動作は、実施の形態1の機器情報管理装置200の動作と同様である。
実施の形態2にかかる列車状態監視システム2Cについて、図14、図17および図18を参照して説明する。図14において、列車は、電車は区域Aに在線しており、矢印70の方向(区域AからBに向かう方向)に進行している。この場合において、列車10に備える車上通信装置20は、地上通信装置430と通信を行う。
図17において、列車は、区域Aおよび区域Bに在線しており、矢印70の方向(区域Aから離れる方向)に進行している。この場合において、列車10に備える車上通信装置20は、地上通信装置440と通信を行う。つまり、車上通信装置20は、接続する地上通信装置を変更する。
図18において、列車は、区域Bに在線しており、矢印70の方向(区域Aから離れる方向)に進行している。この場合において、列車10に備える車上通信装置20は、地上通信装置440と通信を行う。
図14、図17および図18の場合における機器情報管理装置270の動作を説明する。図14の場合において、具体的には、列車10が区域Aに在線している場合において説明する。区域Aにおいては、ブレーキ装置、空調装置および台車に関する機器情報を地上へ送信するので、機器情報管理装置270は、地上へ送信すると判断し(S202:Yes)、列車10が位置している区域を判断する(S203)。次に、列車10が位置している区域に基づき、列車10が位置している区域に対応した地上通信装置を地上通信装置430に特定する(S204)。次に、ブレーキ装置、空調装置および台車に関する機器情報を、列車内で記憶するかを判断する(S205)。列車内で記憶しない場合(S205:No)は、ブレーキ装置、空調装置および台車に関する機器情報を車上通信装置20に出力する(S206)。列車内で記憶する場合(S205:Yes)は、ブレーキ装置、空調装置および台車に関する機器情報を車上通信装置20および機器情報記憶装置16に出力する(S207)。
図17の場合において、具体的には、列車10が区域Aから区域Bに進入する場合において説明する。図17の場合において、列車は、接続する地上通信装置を地上通信装置430から地上通信装置440に変更する。区域Bにおいて、機器情報管理装置270は、ブレーキ装置および空調装置に関する機器情報を地上へ送信するので、地上へ送信すると判断し(S202:Yes)、列車10が位置している区域を判断する(S203)。次に、列車10が位置している区域に基づき、列車10が位置している区域に対応した地上通信装置を地上通信装置430に特定する(S204)。次に、ブレーキ装置および空調装置に関する機器情報を、列車内で記憶するかを判断する(S205)。列車内で記憶しない場合(S205:No)は、機器情報を車上通信装置20に出力する(S206)。列車内で記憶する場合(S205:Yes)は、ブレーキ装置および空調装置に関する機器情報を車上通信装置20および機器情報記憶装置16に出力する(S207)。
また、区域Bにおいて、台車に関する機器情報は地上へ送信しないので、機器情報管理装置270は、地上へ送信しないと判断する(S202:No)。次に、台車に関する機器情報を、列車内で記憶するかを判断する(S208)。列車内で記憶する場合(S208:Yes)は、台車に関する機器情報を機器情報記憶装置に出力する(S209)。列車内で記憶しない場合(S208:No)は、台車に関する機器情報を破棄する(S210)。
図18の場合において、具体的には、列車10が区域Bに在線している場合において説明する。図18の場合における機器情報管理装置270の動作は、図17の場合と同様である。
実施の形態2にかかる状態監視車上装置2Aは、実施の形態1と同様に、実施の形態1で説明した予め決められた条件に基づき、地上へ送信するか否か、機器情報記憶装置16へ記憶するかの判断を行う。また、列車制御情報を送信する地上通信装置の識別情報により、機器情報の地上への送信要否を判断してもよい。例えば、列車制御情報の出力先が地上通信装置430であれば、機器情報について地上に送信する、また、列車制御情報の出力先が地上通信装置440であれば、一部の機器情報については地上に送信しない、など列車制御情報を送信する地上通信装置によって、機器情報の地上への送信要否を判断してもよい。
図14、図17および図18の場合を例に説明する。図14の場合において、機器情報管理装置270は、列車位置情報から区域Aに在線していると判断し、機器情報を区域Aに対応する地上通信装置430に出力すると特定する。図17の場合において、機器情報管理装置270は、列車位置情報から地上通信装置の接続先が、地上通信装置430から地上通信装置440に変更すると判断し、機器情報を区域Bに対応する地上通信装置440に出力すると特定する。図18の場合において、列車位置情報から区域Bに在線していると判断し、機器情報を区域Bに対応する地上通信装置440に出力すると特定する。
機器情報管理装置270が、列車位置情報に基づいて地上へ送信すると判断する際に、列車位置情報に対応した地上通信装置を特定することで、列車の通信装置の負荷を低減できる。
図14の場合において、ブレーキ装置、空調装置および台車に関する機器情報は、列車10から地上通信装置430に送られる。地上通信装置430に送られたブレーキ装置、空調装置および台車に関する機器情報は、地上ネットワーク530を介して、機器情報収集装置43に送られる。機器情報収集装置43に送られたブレーキ装置、空調装置および台車に関する機器情報は、機器情報ネットワーク810を介して、地上記憶装置710に送られ、地上記憶装置710で記憶される。
図17の場合において、ブレーキ装置および空調装置に関する機器情報は、列車10から地上通信装置440に送られる。地上通信装置440に送られたブレーキ装置および空調装置に関する機器情報は、地上ネットワーク540を介して、機器情報収集装置44に送られる。機器情報収集装置44に送られたブレーキ装置および空調装置に関する機器情報は、機器情報ネットワーク810を介して、地上記憶装置710に送られ、地上記憶装置710で記憶される。また、地上通信装置440に送られない台車に関する機器情報は、列車10に搭載されている機器情報記憶装置16に送られ、機器情報記憶装置16で記憶することが好ましい。
図18の場合において、ブレーキ装置および空調装置に関する機器情報は、列車10から地上通信装置440に送られる。地上通信装置440に送られたブレーキ装置および空調装置に関する機器情報は、地上ネットワーク540を介して、機器情報収集装置44に送られる。機器情報収集装置44に送られたブレーキ装置および空調装置に関する機器情報は、機器情報ネットワーク810を介して、地上記憶装置710に送られ、地上記憶装置710で記憶される。また、地上通信装置440に送られない台車に関する機器情報は、列車10に搭載されている機器情報記憶装置16に送られ、機器情報記憶装置16で記憶することが好ましい。
図14、図17および図18では、区域Aから区域Bに進行する場合(矢印70の方向に進行する場合)について説明した。次に、図19、図20および図21を参照して、区域Bから区域Aに進行する場合(矢印71の方向に進行する場合)について説明する。
図19の場合において、具体的には、列車10が区域Bに在線している場合において説明する。区域Bにおいて、ブレーキ装置および空調装置に関する機器情報を地上へ送信する。機器情報管理装置270は、ブレーキ装置および空調装置に関する機器情報について、地上へ送信するので、機器情報管理装置270は、地上へ送信すると判断し(S202:Yes)、列車10が位置している区域を判断する(S203)。次に、列車10が位置している区域に基づき、列車10が位置している区域に対応した地上通信装置を地上通信装置430に特定する(S204)。次に、ブレーキ装置および空調装置に関する機器情報を、列車内で記憶するかを判断する(S205)。列車内で記憶しない場合(S205:No)は、ブレーキ装置および空調装置に関する機器情報を車上通信装置20に出力する(S206)。列車内で記憶する場合(S205:Yes)は、ブレーキ装置および空調装置に関する機器情報を車上通信装置20および機器情報記憶装置16に出力する(S207)。
また、区域Bにおいて、台車に関する機器情報は地上へ送信しないので、機器情報管理装置270は、地上へ送信しないと判断する(S202:No)。次に、台車に関する機器情報を、列車内で記憶するかを判断する(S208)。列車内で記憶する場合(S208:Yes)は、台車に関する機器情報を機器情報記憶装置に出力する(S209)。列車内で記憶しない場合(S208:No)は、台車に関する機器情報を破棄する(S210)。
図20の場合において、具体的には、列車10が区域Bから区域Aに進入する場合において説明する。図20の場合において、列車は、接続する地上通信装置を地上通信装置440から地上通信装置430に変更する。区域Aにおいては、ブレーキ装置、空調装置および台車に関する機器情報を地上へ送信するので、機器情報管理装置270は、ブレーキ装置、空調装置および台車に関する機器情報について、地上へ送信すると判断し(S202:Yes)、列車10が位置している区域を判断する(S203)。次に、列車10が位置している区域に基づき、列車10が位置している区域に対応した地上通信装置を地上通信装置430に特定する(S204)。次に、ブレーキ装置、空調装置および台車に関する機器情報を、列車内で記憶するかを判断する(S205)。列車内で記憶しない場合(S205:No)は、ブレーキ装置、空調装置および台車に関する機器情報を車上通信装置20に出力する(S206)。列車内で記憶する場合(S205:Yes)は、ブレーキ装置、空調装置および台車に関する機器情報を車上通信装置20および機器情報記憶装置16に出力する(S207)。
図21の場合において、具体的には、列車10が区域Aに在線している場合において説明する。図21の場合における機器情報管理装置270の動作は、図20の場合と同様である。
図20の場合または図21の場合において、列車10が、区域Bに在線しているときに、機器情報記憶装置16に記憶した、地上通信装置440に送信していない台車に関する機器情報を、地上通信装置430に出力してもよい。区域Bに在線しているときに、機器情報記憶装置16に記憶した、地上通信装置440に送信していない台車に関する機器情報を、地上通信装置430に出力することにより、区域Bに在線しているときに、機器情報記憶装置16に記憶した、地上通信装置440に送信していない台車に関する機器情報は、地上記憶装置710で記憶することができる。
図19の場合において、ブレーキ装置および空調装置に関する機器情報は、列車10から地上通信装置440に送られる。地上通信装置440に送られたブレーキ装置および空調装置に関する機器情報は、地上ネットワーク540を介して、機器情報収集装置44に送られる。機器情報収集装置44に送られたブレーキ装置および空調装置に関する機器情報は、機器情報ネットワーク810を介して、地上記憶装置710に送られ、地上記憶装置710で記憶される。また、地上通信装置440に送られない台車に関する機器情報は、列車10に搭載されている機器情報記憶装置16に送られ、機器情報記憶装置16で記憶することが好ましい。
図20の場合において、ブレーキ装置、空調装置および台車に関する機器情報は、列車10から地上通信装置430に送られる。地上通信装置430に送られたブレーキ装置、空調装置および台車に関する機器情報は、地上ネットワーク530を介して、機器情報収集装置43に送られる。機器情報収集装置43に送られたブレーキ装置、空調装置および台車に関する機器情報は、機器情報ネットワーク810を介して、地上記憶装置710に送られ、地上記憶装置710で記憶される。また、地上通信装置440に送られていない、機器情報記憶装置16に記憶された台車に関する機器情報は、地上通信装置430に送ることが好ましい。地上通信装置440に送られていない、機器情報記憶装置16に記憶された台車に関する機器情報は、地上通信装置430に送られて、地上ネットワーク530を介して、機器情報収集装置43に送られる。機器情報収集装置43に送られた地上通信装置440に送られていない、機器情報記憶装置16に記憶された台車に関する機器情報は、機器情報ネットワーク810を介して、地上記憶装置710に送られ、地上記憶装置710で記憶される。
図21の場合において、ブレーキ装置、空調装置および台車に関する機器情報は、列車10から地上通信装置430に送られる。地上通信装置430に送られたブレーキ装置、空調装置および台車に関する機器情報は、地上ネットワーク530を介して、機器情報収集装置43に送られる。機器情報収集装置43に送られたブレーキ装置、空調装置および台車に関する機器情報は、機器情報ネットワーク810を介して、地上記憶装置710に送られ、地上記憶装置710で記憶される。また、図20の場合と同様に、地上通信装置440に送られていない、機器情報記憶装置16に記憶された台車に関する機器情報は、地上通信装置430に送ることが好ましい。地上通信装置440に送られていない、機器情報記憶装置16に記憶された台車に関する機器情報は、地上通信装置430に送られて、地上ネットワーク530を介して、機器情報収集装置43に送られる。機器情報収集装置43に送られた地上通信装置440に送られていない、機器情報記憶装置16に記憶された台車に関する機器情報は、機器情報ネットワーク810を介して、地上記憶装置710に送られ、地上記憶装置710で記憶される。
実施の形態2の状態監視車上装置2Aは、実施の形態1の変形例で示した別の構成であってもよい。
実施の形態2の列車状態監視システム2Cは、列車10が位置している区域において地上側に送信できる機器情報は地上側に送信し、地上側に送信できない機器情報は列車10に搭載されている機器情報記憶装置16に記憶する。また、地上側に送信していない、機器情報記憶装置16に記憶した機器情報については、地上側に送信できる状態のときに、送信する。地上記憶装置710には、機器情報が送信できない区域に列車10が在線している際の列車10の機器情報を記憶することができる。地上記憶装置710に、蓄積される機器情報が増えることで、劣化診断の精度が向上する。
実施の形態2にかかる状態監視車上装置2Aは、機器情報は、第1の機器情報および第2の機器情報を含み、機器情報管理装置270は、出力情報に関する予め決められた条件に基づき、機器情報を地上通信装置へ出力するか否かを判断することにより、異なる区域における、列車10に搭載されている機器11の状態データの収集を可能にする。
実施の形態3
図22は、実施の形態3にかかる列車状態監視システム3Cの状態監視地上システム3Bの概略構成を示す図である。運行管理装置650および運行管理装置660を備え、運行管理装置650および運行管理装置660は異なる鉄道事業者が管理する装置であることが特徴である。近年、鉄道事業者の所有する車両が異なる鉄道事業者が運行管理を行う区域に乗りいれる直通運転が行われている。図22は、直通運転の一例を示す図である。
図22において、状態監視地上システム3Bは、列車10の走行する区域が区域Aおよび区域Bに分けられている。区域Aおよび区域Bは隣接した区域である。図22では、一点鎖線で区切られた区域をそれぞれ区域Aおよび区域Bとして図示している。軌道50は区域Aおよび区域Bに跨って敷設されている。
図22において、区域Aは、鉄道事業者Aが運行管理を行う区域である。鉄道事業者Aは、区域Aに在線する列車10の運行管理を行う。区域Aに在線する列車から列車制御情報を受け取り、列車10の在線位置などを把握し、運行管理を行っている。区域Aに在線する列車から列車制御情報および機器情報を受け取るために、区域Aに在線する列車10と通信を行うことができる。その際に、地上通信装置450を介して、区域Aに在線する列車10と通信を行うことで、列車10から列車制御情報および機器情報を受け取ることができる。
地上通信装置450は、区域Aに在線している列車10の運行を管理する運行管理装置650と地上ネットワーク550を介して接続されている。地上通信装置450は、地上通信アンテナ451を介して、区域Aに在線している列車10に備える車上通信装置20と通信が可能となっている。地上通信装置450は、車上通信装置20から出力された列車制御情報および機器情報が地上通信アンテナ451を介して入力される。列車制御情報は地上ネットワーク550を介して、運行管理装置650に送られる。また、地上通信装置450は、機器情報を収集する機器情報収集装置45と地上ネットワーク550を介して接続されている。地上通信装置450に入力された機器情報は、地上ネットワーク550を介して、機器情報収集装置45に送られる。図22では、運行管理装置650および機器情報収集装置45は別の装置として記載しているが、共通の装置であってもよい。
図22において、区域Bは、鉄道事業者Bが運行管理を行う区域である。鉄道事業者Bは、区域Bに在線する列車10の運行管理を行う。区域Bに在線する列車から列車制御情報を受け取り、列車10の在線位置などを把握し、運行管理を行っている。区域Bに在線する列車から列車制御情報および機器情報を受け取るために、区域Bに在線する列車10と通信を行うことができる。その際に、地上通信装置460を介して、区域Bに在線する列車10と通信を行うことで、列車から列車制御情報および機器情報を受け取ることができる。
地上通信装置460は、区域Bに在線している列車10の運行を管理する運行管理装置660と地上ネットワーク560を介して接続されている。地上通信装置460は、地上通信アンテナ461を介して、区域Bに在線している列車10に備える車上通信装置20と通信が可能となっている。地上通信装置460は、車上通信装置20から出力された列車制御情報および機器情報が地上通信アンテナ461を介して入力される。列車制御情報は地上ネットワーク560を介して、運行管理装置660に送られる。また、地上通信装置460は、機器情報を収集する機器情報収集装置46と地上ネットワーク560を介して接続されている。地上通信装置460に入力された機器情報は、地上ネットワーク560を介して、機器情報収集装置46に送られる。図22では、運行管理装置660および機器情報収集装置46は別の装置として記載しているが、共通の装置であってもよい。
機器情報収集装置45は、機器情報ネットワーク820を介して、地上記憶装置720と接続されている。機器情報収集装置45は、地上通信装置450から送られた機器情報を、機器情報ネットワーク820を介して、地上記憶装置720へ送る。
機器情報収集装置46は、機器情報ネットワーク820を介して、地上記憶装置720と接続されている。機器情報収集装置46は、地上通信装置460から送られた機器情報を、機器情報ネットワーク820を介して、地上記憶装置720へ送る。
地上記憶装置720は、機器情報収集装置45および機器情報収集装置46から送られた機器情報を記憶し、蓄積することが可能となっている。地上記憶装置720は、蓄積した機器情報と公知の統計的手法により、機器11の状態分析を行い、機器11の劣化診断を行うことができる。
実施の形態3にかかる状態監視車上装置3Aは、車上装置180を備える。車上装置180の基本構成は実施の形態1の車上装置100と同様である。車上装置180は、機器情報管理装置280を備えるところが特徴である。実施の形態3にかかる状態監視車上装置3Aの機器情報管理装置280の基本動作および判断方法は、機器情報管理装置200と同様である。
上記説明したように、実施の形態3にかかる列車状態監視システム3Cは、列車から出力された機器情報は、地上通信装置450を介して、機器情報収集装置45に送られ、また、地上通信装置460を介して機器情報収集装置46に送られることで、区域によって運行管理を行う鉄道事業者が異なる場合であっても、機器情報を収集できる。
<変形例1>
実施の形態3にかかる列車状態監視システム3Cの変形例1は、区域によって送信できる機器情報が異なる場合である。例えば、鉄道事業者Aが運行を管理する区域Aでは、ブレーキ装置、空調装置および台車に関する機器情報を地上通信装置450に送信でき、鉄道事業者Bが運行を管理する区域Bでは、ブレーキ装置および空調装置に関する機器情報を地上通信装置460に送信できるような場合である。このような場合において、実施の形態2と組み合わせることにより、鉄道事業者Aが運行を管理する区域Aおよび鉄道事業者Bが運行を管理する区域Bに在線しているときのブレーキ装置、空調装置および台車に関する機器情報を、地上通信装置に送ることができ、地上記憶装置720に記憶することができる。つまり、鉄道事業者が異なる区域に在線しているときの機器情報についても、地上記憶装置720に記憶することができる。地上記憶装置720に記憶できる機器情報が増えることにより、劣化診断の精度が向上する。
<変形例2>
変形例1と同様に、区域Aおよび区域Bは、運行を管理する鉄道事業者が異なる。機器情報管理装置280は、区域Aおよび区域Bが、異なる鉄道事業者が運行管理する区域であることを識別する鉄道事業者の識別情報によって、機器情報の出力先を特定してもよい。鉄道事業者の識別情報は、区域変更を示す入力部への入力情報、区域に対応した鍵情報などである。
区域変更を示す入力部への入力情報としては、運転台に設置された区域を示すスイッチまたはモニタ装置14に表示される区域を示すタッチパネルが例示できる。運転台に、区域Aおよび区域Bのスイッチが備えられており、スイッチを押下することで、列車は、鉄道事業者が管理する区域が変更されることを認識できる。モニタ装置14に表示される区域を示すタッチパネルも同様である。モニタ装置14に区域Aおよび区域Bを示す表示がされ、その表示を押下することで、列車は、鉄道事業者が管理する区域が変更されることを認識できる。
区域に対応した鍵情報としては、運転台に挿入する鍵またはICカードなどが例示できる。異なる鉄道事業者が運行を管理する場合、区域Aおよび区域Bにおいて、列車10の運転士を変更する場合がある。列車10の運転士を変更する場合、区域Aおよび区域Bの境界に設置された駅60などに列車10を停止させた後、運転士の交代を行う。運転士は、自身が運転する区域に対応した鍵情報を持っている。運転士交代後、その鍵情報を列車10に認識させることで、運転が可能となる。列車10は、鍵情報により鉄道事業者が管理する区域が変更されることを認識することができる。つまり、鍵情報により鉄道事業者を識別することができる。
図23は、鍵情報により鉄道事業者を識別する場合の機器情報管理装置280の動作を説明する図である。基本動作は、機器情報管理装置200と同様である。が、地上へ送信するか否か、区域の判断、機器情報記憶装置16へ記憶するか否か、の各判断を行う際に、予め決められた条件として、鍵情報を用いるところが特徴である。図22および図24の場合を例に説明する。図24においては、列車は区域Aおよび区域Bの境界に設置されている駅60に停車し、運転士の交代が行われる場合を例に説明する。
図22の場合において、機器情報管理装置280は、機器情報取得装置13から機器情報が入力される(S301)。入力された機器情報を予め決められた条件に基づき、地上に送信するかを判断する(S302)。その際に、列車10の鍵情報を用いる。列車は、区域Aに対応した鍵情報を認識しているので、区域Aに対応した機器情報を地上へ送信すると判断する(S302:Yes)。次に、列車10が位置している区域を判断し、機器情報を送信する地上通信装置を特定する(S303、S304)。鍵情報より、列車10が位置している区域を区域Aと判断し、区域Aに対応した地上通信装置を地上通信装置450に特定する。次に、機器情報を、列車内で記憶するかを判断する(S305)。列車内で記憶しない場合(S305:No)は、機器情報を車上通信装置20に出力する(S306)。列車内で記憶する場合(S305:Yes)は、機器情報を車上通信装置20および機器情報記憶装置16に出力する(S307)。
図24の場合において、具体的には、列車10が区域Aおよび区域Bに在線しており、区域Bを運転するための鍵情報を認識している場合において、説明する。S302において、列車は、区域Bに対応した鍵情報を認識しているので、区域Bに対応した機器情報を地上へ送信すると判断する(S302:Yes)。次に、列車10が位置している区域を判断し、機器情報を送信する地上通信装置を特定する(S303、S304)。鍵情報より、列車10が位置している区域を区域Bと判断し、区域Bに対応した地上通信装置を地上通信装置460に特定する。次に、機器情報を、列車内で記憶するかを判断する(S305)。列車内で記憶しない場合(S305:No)は、機器情報を車上通信装置20に出力する(S306)。列車内で記憶する場合(S305:Yes)は、機器情報を車上通信装置20および機器情報記憶装置16に出力する(S307)。
区域Aおよび区域Bに対応していない機器情報については、実施の形態2と同様に、地上に送信しないと判断する。例えば、実施の形態2を例に説明すれば、台車に関する機器情報については、区域Bでは地上に送信しない、と判断する(S302:No)。以降の説明は省略する。
変形例2において、機器情報管理装置280は、機器情報の出力先を特定するために、区域に対応した列車10の鍵情報に基づいて特定を行う。つまり、列車10が認識している鍵情報に基づいて出力先を特定する。列車10が認識している鍵情報に基づいて出力先を特定することで、より確実に機器情報の出力先を特定することが可能となる。
実施の形態3にかかる状態監視車上装置3Aは、列車10の位置する区域は、列車10が認識している鍵情報に基づいて判断することにより、異なる区域における、列車10に搭載されている機器11の状態データの収集を可能にする。
実施の形態4
図25は、実施の形態4にかかる列車状態監視システム4Cの状態監視地上システム4Bの概略構成を示す図である。
図25において、状態監視地上システム4Bは、列車9および列車10の走行する区域が区域Aおよび区域Bに分けられている。区域Aおよび区域Bは隣接した区域である。図25では、一点鎖線で区切られた区域をそれぞれ区域Aおよび区域Bとして図示している。軌道50は区域Aおよび区域Bに跨って敷設されている。
列車9は鉄道事業者Aが所有する列車である。また、列車10は鉄道事業者Bが所有する列車である。
図25において、区域Aは、鉄道事業者Aが運行管理を行う区域である。鉄道事業者Aは、区域Aに在線する列車9および列車10の運行管理を行う。区域Aに在線する列車から列車制御情報を受け取り、列車9および列車10の在線位置などを把握し、運行管理を行っている。区域Aに在線する列車から列車制御情報および機器情報を受け取るために、区域Aに在線する列車9および列車10と通信を行うことができる。その際に、地上通信装置470を介して、区域Aに在線する列車9および列車10と通信を行うことで、列車9および列車10から列車制御情報および機器情報を受け取ることができる。
地上通信装置470は、区域Aに在線している列車9および列車10の運行を管理する運行管理装置670と地上ネットワーク570を介して接続されている。地上通信装置470は、地上通信アンテナ471を介して、区域Aに在線している列車9および列車10に備える車上通信装置20と通信が可能となっている。地上通信装置470は、車上通信装置20から出力された列車制御情報および機器情報が地上通信アンテナ471を介して入力される。列車制御情報は地上ネットワーク570を介して、運行管理装置670に送られる。また、地上通信装置470は、機器情報を収集する機器情報収集装置47と地上ネットワーク570を介して接続されている。地上通信装置470に入力された機器情報は、地上ネットワーク570を介して、機器情報収集装置47に送られる。図25では、運行管理装置670および機器情報収集装置47は別の装置として記載しているが、共通の装置であってもよい。
図25において、区域Bは、鉄道事業者Bが運行管理を行う区域である。鉄道事業者Bは、区域Bに在線する列車9および列車10の運行管理を行う。区域Bに在線する列車から列車制御情報を受け取り、列車9および列車10の在線位置などを把握し、運行管理を行っている。区域Bに在線する列車から列車制御情報および機器情報を受け取るために、区域Bに在線する列車9および列車10と通信を行うことができる。その際に、地上通信装置480を介して、区域Bに在線する列車9および列車10と通信を行うことで、列車から列車制御情報および機器情報を受け取ることができる。
地上通信装置480は、区域Bに在線している列車9および列車10の運行を管理する運行管理装置680と地上ネットワーク580を介して接続されている。地上通信装置480は、地上通信アンテナ481を介して、区域Bに在線している列車9および列車10に備える車上通信装置20と通信が可能となっている。地上通信装置480は、車上通信装置20から出力された列車制御情報および機器情報が地上通信アンテナ481を介して入力される。列車制御情報は地上ネットワーク580を介して、運行管理装置680に送られる。また、地上通信装置480は、機器情報を収集する機器情報収集装置48と地上ネットワーク580を介して接続されている。地上通信装置480に入力された機器情報は、地上ネットワーク580を介して、機器情報収集装置48に送られる。図25では、運行管理装置680および機器情報収集装置48は別の装置として記載しているが、共通の装置であってもよい。
機器情報収集装置47は、機器情報ネットワーク830を介して、地上記憶装置730および地上記憶装置740と接続されている。機器情報収集装置47は、地上通信装置470から送られた機器情報を、機器情報ネットワーク830を介して、地上記憶装置730または地上記憶装置740に送る。詳細は後述する。
機器情報収集装置48は、機器情報ネットワーク830を介して、地上記憶装置730および地上記憶装置740と接続されている。機器情報収集装置48は、地上通信装置480から送られた機器情報を、機器情報ネットワーク830を介して、地上記憶装置730または地上記憶装置740に送る。詳細は後述する。
地上記憶装置730は、機器情報収集装置47および機器情報収集装置48から送られた鉄道事業者Aが所有する列車9の機器情報を記憶し、蓄積することが可能となっている。
地上記憶装置740は、機器情報収集装置47および機器情報収集装置48から送られた鉄道事業者Bが所有する列車10の機器情報を記憶し、蓄積することが可能となっている。
図26は、実施の形態4にかかる状態監視車上装置4Aの概略構成を示す図である。実施の形態4にかかる状態監視車上装置4Aにかかる列車9および10は、車上装置190を備える。車上装置190の基本構成は実施の形態1の車上装置100と同様である。車上装置190は、機器情報管理装置290を備えるところが特徴である。
車上装置190の動作について説明する。車上装置190は、地上通信装置に機器情報を出力する場合に、機器情報に列車識別情報を付与して出力する。例えば、鉄道事業者Aが所有する列車9の機器情報を地上通信装置に出力する場合、鉄道事業者Aが所有する列車9の機器情報であることがわかるように、機器情報に列車9の列車識別情報を付与する。同様に、鉄道事業者Bが所有する列車10の機器情報を地上通信装置に出力する場合、鉄道事業者Bが所有する列車10の機器情報であることがわかるように、機器情報に列車10の列車識別情報を付与する。その他の基本構成および動作は、状態監視車上装置1Aと同様である。
実施の形態4にかかる状態監視地上システム4Bの基本動作について説明する。図25において、地上通信装置470および地上通信装置480は、列車から送られる機器情報を、列車識別情報に基づいて、出力先を特定する。具体的には、地上通信装置470および地上通信装置480は、列車識別情報より、列車から送られた機器情報が、鉄道事業者Aが所有する列車9から送られた機器情報または鉄道事業者Bが所有する列車10から送られた機器情報であるかを判断する。鉄道事業者Aが所有する列車9から送られた機器情報である場合には、出力先を地上記憶装置730に特定し、地上記憶装置730に向けて出力する。また、鉄道事業者Bが所有する列車10から送られた機器情報である場合には、出力先を地上記憶装置740に特定し、地上記憶装置740に向けて出力する。
実施の形態4にかかる列車状態監視システム4Cでは、異なる区域に在線している際の機器情報について、収集することが可能である。また、機器情報に列車識別情報を付与することによって、鉄道事業者は事業者自身が所有する列車についての機器情報を効率的に収集できる。
実施の形態4において、地上通信装置470および地上通信装置480が、列車識別情報を判断し、出力先を特定する例を示したが、列車識別情報を判断し、出力先を特定する装置は、地上通信装置470および地上通信装置480以外の装置であってもよい。機器情報出力先特定装置が別途あってもよい。機器情報出力先特定装置は、例えば、機器情報収集装置47および機器情報収集装置48から機器情報が入力され、機器情報出力先特定装置が、列車識別情報を判断し、出力先を地上記憶装置730または地上記憶装置740に特定してもよい。
<変形例1>
変形例1では、地上記憶装置730は鉄道事業者Aが所有する地上記憶装置であり、地上記憶装置740は鉄道事業者Bが所有する地上記憶装置であることが特徴である。変形例1では、事業者自身が所有する列車に関する機器情報だけを事業者自身が所有する地上記憶装置に蓄積できるので、事業者自身が所有する地上記憶装置の記憶容量増加を抑えることができる。また、事業者自身が所有する列車に関する機器情報だけを事業者自身が所有する地上記憶装置に蓄積できるので、機器情報を効率的に収集できる。
<変形例2>
変形例2では、地上記憶装置730および地上記憶装置740は鉄道事業者Aが所有する地上記憶装置であることが特徴である。変形例2では、鉄道事業者Aについては、区域Aおよび区域Bに在線している鉄道事業者Aが所有する列車9の機器情報を収集でき、鉄道事業者Aが所有する列車9の機器情報は、地上記憶装置730に記憶される。一方、鉄道事業者Bについては、鉄道事業者Aが運行を管理する区域Aに在線している鉄道事業者Bが所有する列車10の機器情報については収集できない。しかし、鉄道事業者Aが運行を管理する区域Aに在線している鉄道事業者Bが所有する列車10の機器情報については、鉄道事業者Aが所有する地上記憶装置740に記憶している。鉄道事業者Bは、鉄道事業者Aが運行を管理する区域Aに在線している鉄道事業者Bが所有する列車10の機器情報について、鉄道事業者Aから譲渡してもらうことで入手できる。
鉄道事業者Aは、鉄道事業者Bに機器情報を譲渡することで、鉄道事業者Bが運行を管理する区域Bへの乗りいれ費用を低減できる効果がある。また、鉄道事業者Bは、地上記憶装置の維持管理にかかる費用を低減できる効果がある。
実施の形態4にかかる状態監視地上システム4Bは、第1の区域は、第1の鉄道事業者が管理する区域であり、第2の区域は、第2の鉄道事業者が管理する区域であり、第1の機器情報収集装置に接続された第1の地上記憶装置と、第2の機器情報収集装置に接続された第2の地上記憶装置と、を備えることにより異なる区域における、列車9に搭載されている機器11の状態データの収集を可能にする。
実施の形態4にかかる列車状態監視システム4Cは、第1の区域は、第1の鉄道事業者が管理する区域であり、第2の区域は、第2の鉄道事業者が管理する区域であり、第1の機器情報収集装置47に接続された第1の地上記憶装置730と、第2の機器情報収集装置48に接続された第2の地上記憶装置740と、を備えることにより、異なる区域における、列車9に搭載されている機器11の状態データの収集を可能にする。
実施の形態4にかかる列車状態監視システム4Cは、第1の鉄道事業者管理の列車9が第1区域に在線している場合、機器情報は、第1の地上通信装置470と、第1の機器情報収集装置47とを経由して第1の地上記憶装置730に記憶する、第1の鉄道事業者管理の列車9が第2区域に在線している場合、機器情報は、第2地上通信装置480と、第2の機器情報収集装置48とを経由して第1の地上記憶装置730に記憶することにより、異なる区域における、列車10に搭載されている機器11の状態データの収集を可能にする。
なお、上記説明した実施の形態1〜4において、機器情報管理装置200(210,220,230,240,250,260,270,280,290)は、少なくともプロセッサ1003と、メモリ1002と、受信器1004と、送信器1001とを備え、各装置の動作はソフトウェアにより実現することができる図20は、実施の形態1〜4にかかる状態監視車上装置の機器情報管理装置200(210,220,230,240,250,260,270,280,290)を実現するハードウェアの一般的な構成例を示す図である。図27に示す装置は、プロセッサ1003、メモリ1002、受信器1004および送信器1001を備え、プロセッサ1003は受信したデータを用いてソフトウェアによる演算および制御を行う。メモリ1002は受信したデータ、またはプロセッサ1003が演算および制御を行うに際して必要なデータを記憶し、ソフトウェアの記憶も行う。受信器1004は、機器情報管理装置200(210,220,230,240,250,260,270,280,290)に入力される信号または情報を受信するインターフェースである。送信器1001は、機器情報管理装置200(210,220,230,240,250,260,270,280,290)から出力される信号または情報を送信するインターフェースである。なお、プロセッサ1003、メモリ1002、受信器1004および送信器1001は、各々複数設けられていてもよい。
上記説明した実施の形態1から4において、地上通信装置の接続先を変更する場合において、区域Aおよび区域Bの境界で行っているが、境界には限定されない。区域Aの地上通信装置および区域Bの地上通信装置の通信可能エリアが重複し、ハンドオーバー可能な位置で接続先を変更してもよい。
上記説明した実施の形態1から4において、地上通信装置は、列車制御情報および機器情報を別で受信できる構成であってもよい。具体的には、列車制御情報を受信する地上通信装置および機器情報を受信する地上通信装置を設けてもよい。
上記説明した実施の形態1から4において、機器情報管理装置が機器情報に時間、場所に関する情報を付加しているが、付加する装置は情報管理装置であってもよい。また、他の装置であってもよい。
また、各実施の形態を適宜組合せることも可能である。なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲において、各実施の形態を適宜変更、省略したりすることが可能である。