JP6850517B1 - 鉗子装置及び鉗子装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

鉗子装置10は、把持部12a,12bと、把持部12a,12bを保持する支持体14と、支持体14を回転可能に支持する第1の回転軸16と、第1の回転軸16を保持するベース部品18と、第1の回転軸16と同軸に配置されている複数のガイドプーリ20と、を備える。支持体14は、第1の回転軸16が貫通する筒状部を有する。複数のガイドプーリ20は、筒状部の外周に回転可能に支持されている。

Description

本発明は、手術用ロボットのマニピュレータに用いられる鉗子装置に関する。
近年、術者の負担軽減や、医療施設の省人化を図るためにロボット(マニピュレータ)を利用した医療処置の提案がされている。外科分野では、術者が遠隔操作可能な手術用マニピュレータを操作して患者の処置を行う、手術用マニピュレータシステムに関する提案が行われている。
例えば、特許文献1には、捕捉具のヨー運動やピッチ運動を実現しつつ、捕捉部を構成する一対の顎部の開閉を実現できるように、複数のプーリに所定の順番で巻き付けられた各ケーブルの駆動を制御するロボット手首部が開示されている。
特表2016−518160号公報
しかしながら、前述のロボット手首は、複数のプーリを支持した延長軸棒を有する第2ヨークを第1ヨークに保持させるためには、分割された第1ヨークで複数のプーリを支持した延長軸棒を両側から挟み込んだ後、分割された第1ヨークを接合しなければならない。そのため、組立性に改善の余地がある。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的の一つは、組立性の良好な鉗子装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の鉗子装置は、把持部と、把持部を保持する支持体と、支持体を回転可能に支持する回転軸と、回転軸を保持するベース部品と、回転軸と同軸に配置されている複数の第1のプーリと、を備える。支持体は、回転軸が貫通する筒状部を有する。複数の第1のプーリは、筒状部の外周に回転可能に支持されている。
この態様によると、筒状部の外周に複数の第1のプーリが支持された状態の支持体は、ベース部品に対して回転軸を介して保持される。そのため、支持体が直接ベース部品に保持される場合と比較して、組立性の改善を図りやすい。
ベース部品は、対向する一対のアームを有してもよい。回転軸は、軸方向の両端が一対のアームに固定されていてもよい。これにより、自由端となり得る一対のアーム同士が回転軸で固定されるため、ベース部品全体の剛性が増す。
第1のプーリは、把持部を動作させる駆動力を伝達する第1のワイヤが掛かっており、第1のワイヤは、把持部を動作させる際に、回転軸から支持体が受ける垂直抗力が減少するように第1のプーリに掛かっていてもよい。支持体は、該支持体を回転軸を中心に回転させる駆動力を伝達する第2のワイヤが掛かる第2のプーリが形成されていてもよい。これにより、第2のワイヤの張力によって回転軸から支持体が受ける垂直抗力を、把持部を動作させる際の第1のワイヤの張力によって減少することで、回転軸に対して支持体が回転する際の摩擦力が低減する。その結果、把持部の動作がスムーズとなり制御性が良化する。
本発明の別の態様は、鉗子装置の製造方法である。この方法は、把持部を保持している支持体を準備する工程と、支持体を回転可能に支持する回転軸が挿入される貫通孔が形成されている筒状部の外周に、複数のプーリを装着する工程と、回転軸が挿入される穴が形成されているベース部品に対して、穴と貫通孔とが直線的に並ぶように支持体を位置決めする工程と、穴から回転軸を挿入し、該回転軸をベース部品に固定する工程と、を含む。
この態様によると、分割したベース部品で支持体を挟んでからベース部品同士を接合するといった工程が不要となる。あるいは、支持体と第1のプーリとベース部品のそれぞれの穴を同軸に配置しながら、回転軸を支持体に対して圧入するといった工程が不要となる。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、組立性の良好な鉗子装置を実現できる。
本実施の形態に係る鉗子装置の斜視図である。 図1の鉗子装置をA方向から見た正面図である。 図1の鉗子装置をB方向から見た側面図である。 図1の鉗子装置をC方向から見た側面図である。 図3に示す鉗子装置のD−D断面図である。 図5の領域Rの拡大図である。 本実施の形態に係るガイドプーリの正面図である。 図7に示すガイドプーリのE−E断面図である。 本実施の形態に係る支持体の斜視図である。 本実施の形態に係る鉗子装置の製造方法を説明するためのフローチャートを示す図である。
以下、本発明を実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一又は同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述される全ての特徴やその組合せは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
(鉗子装置)
図1は、本実施の形態に係る鉗子装置の斜視図である。図2は、図1の鉗子装置をA方向から見た正面図である。図3は、図1の鉗子装置をB方向から見た側面図である。図4は、図1の鉗子装置をC方向から見た側面図である。
各図に示す鉗子装置10は、一対の把持部12a,12bと、一対の把持部12a,12bを保持する支持体14と、支持体14を回転可能に支持する第1の回転軸16と、第1の回転軸16を保持するベース部品18と、第1の回転軸16と同軸に配置されている4つのガイドプーリ20と、一対の把持部12a、12bを回転可能に支持し、支持体14に保持される第2の回転軸22と、第2の回転軸22と同軸に保持される4つのジョープーリ24と、4つのガイドプーリ20と4つのジョープーリ24との間に掛けられた4本のワイヤ26,28,30,32と、支持体14を第1の回転軸16を中心に回転させるためのワイヤ38,40と、を備えている。
(ガイドプーリ20)
図5は、図3に示す鉗子装置10のD−D断面図である。図6は、図5の領域Rの拡大図である。図5及び図6に示すように、ガイドプーリ20は、第1の回転軸16に対して傾斜するように、支持体14の一部である円筒の環状部14aを介して第1の回転軸16に回転可能に支持されている。これにより、ワイヤ26,28,30,32のそれぞれは、ガイドプーリ20に対する実質的なフリートアングルが小さくなり、ガイドプーリ20のガイド溝20aのエッジ20bと干渉しにくくなる。なお、ガイドプーリ20は、支持体14を介さずに第1の回転軸16に直接支持されていてもよい。
図7は、本実施の形態に係るガイドプーリ20の正面図である。図8は、図7に示すガイドプーリ20のE−E断面図である。本実施の形態に係るガイドプーリ20は、第1の回転軸16が貫通する円形の開口部20cの中心線CLに対して、内周面20dが傾斜している。内周面20dは、第1の回転軸16が挿入された支持体14の環状部14aに対して摺動する。これにより、フリートアングルがあるワイヤから受ける力でガイドプーリ20が自律的に傾斜する。なお、ガイドプーリ20が直接第1の回転軸16に支持されている場合、ガイドプーリ20の内周面20dは、第1の回転軸16の外周面に直接摺動することになる。
図8に示すように、ガイドプーリ20は、中心線CLと直交し内径dが最も小さい平面Pから中心線CLに沿って離れるに従って、内径dが徐々に広がるように内周面20dが形成されている。換言すると、内周面20dは、円錐形状やすり鉢形状、あるいはテーパ面として形成されていてもよい。また、平面Pを挟んで内周面20dと反対側の内周面20eも、内周面20dと同様の形状に加工されている。
なお、本実施の形態に係るガイドプーリ20は、内周面20d及び内周面20eと中心線CLとが成す角αが3〜7°の範囲である。また、ガイドプーリ20の一方の端面20fは、平面Pに対して角度α傾斜しており、一方の端面20fと内周面20dとの成す角は90°である。また、ガイドプーリ20の他方の端面20gは、平面Pと平行である(中心線CLに対して直交している)。したがって、ガイドプーリ20は平面Pを挟んで左右が非対称の環状部材である。
本実施の形態に係るガイドプーリ20は、図5や図6に示すように、支持体14を挟んで両側に2つずつ隣接して配置されている。そして、図6に示すように、2つのガイドプーリ20を並べて環状部14aに装着する際には、他方の端面20g同士が向かい合わせになるようにしている。その結果、隣接する2つのガイドプーリ20の一方(ガイドプーリ20A)は、傾斜した状態で支持体14に当接し、隣接する2つのガイドプーリ20の他方(ガイドプーリ20B)は、傾斜した状態でベース部品18に当接する。これにより、ガイドプーリ20が傾斜した際に、ガイドプーリ20の第1の回転軸方向Xへの位置が精度良く決まる。
それぞれのガイドプーリ20は、図2に示すように、掛けられた複数のワイヤ26,28がジョープーリ24の外周に向けて外側に広がるように、第1の回転軸16に対して傾斜している。これにより、一対の把持部12a,12bでの操作トルクを増大させやすい直径の大きなジョープーリ24を用いても、ガイドプーリ20におけるワイヤの干渉を抑制できる。
次に、ベース部品18について説明する。本実施の形態に係るベース部品18は、図2や図5に示すように、第1の回転軸16の両端を保持する一対のアーム18a,18bと、一対のアーム18a,18bに保持され、ガイドプーリ20よりも上流側にある4つのガイドプーリ34を回転可能に支持する第3の回転軸36とを有している。なお、本実施の形態に係る第3の回転軸36は、一対のアーム18a,18bのそれぞれに設けられている。
アーム18a,18bは、第3の回転軸36を保持する根本部分18cよりも第1の回転軸16を保持する先端部分18dの方が薄肉である。換言すると、先端部分18d同士の間隔は、根本部分18c同士の間隔よりも広い。これにより、図3に示すように、フリートアングルのあるワイヤ26,28が支持体14とともに第1の回転軸16を中心に屈曲(図3の矢印F方向)した場合であっても、アーム18a,18bと干渉しにくくなる。
また、アーム18a(アーム18b)の先端部分18dの周方向の幅W1は、根本部分18cの周方向の幅W2よりも狭い。これにより、ワイヤとの干渉を考慮する必要のある先端部分18dにU字状の逃がし部を形成しつつ、先端部分18dの周方向の幅よりも根本部分18cの周方向の幅を大きくすることでアームの剛性の低下を抑えられる。
また、図5に示すように、本実施の形態に係るジョープーリ24の外径G1は、一対のアーム18a,18bの根本部分18c同士の間隔G2より大きい。つまり、本実施の形態に係る鉗子装置10は、筒状のベース部品18の内径の大きさの割に外径の大きなジョープーリ24を採用することが可能となる。
(支持体の組立性)
図9は、本実施の形態に係る支持体の斜視図である。図5や図6に示すように、本実施の形態に係る鉗子装置10は、一対の把持部12a,12bと、一対の把持部12a,12bを保持する支持体14と、支持体14を回転可能に支持する第1の回転軸16と、第1の回転軸16を保持するベース部品18と、第1の回転軸16と同軸に配置されている複数のガイドプーリ20と、を備える。支持体14は、図9に示すように、第1の回転軸16が貫通する筒状部としての環状部14aを有する。複数のガイドプーリ20は、環状部14aの外周に回転可能に支持されている。なお、回転軸とは、自身が回転するものだけではなく、支持する部材が回転する際の軸となるものであればよく、他の部材に対して固定されている軸であってもよい。
このように構成された鉗子装置10において、環状部14aの外周に複数のガイドプーリ20が支持された状態の支持体14は、ベース部品18に対して第1の回転軸16を介して保持される。そのため、支持体14が直接ベース部品18に保持される場合と比較して、組立性の改善を図りやすい。
また、本実施の形態に係るベース部品18は、対向する一対のアーム18a,18bを有している。また、第1の回転軸16は、軸方向の両端が一対のアーム18a,18bに対して圧入嵌合されることで強固に固定されている。これにより、自由端となり得る一対のアーム18a,18bの先端部同士が回転軸で固定されるため、ベース部品18全体の剛性が増す。
また、ワイヤ26,28,30,32のそれぞれは、把持部12aや把持部12bを動作させる駆動力を伝達するためのものである。具体的には、ワイヤ26及びワイヤ32は、把持部12bのジョープーリ24に掛かっており、把持部12bは、ワイヤ26が引かれると開く方向に動き、ワイヤ32が引かれると閉じる方向に動く。また、ワイヤ28及びワイヤ30は、把持部12aのジョープーリ24に掛かっており、把持部12aは、ワイヤ28が引かれると閉じる方向に動き、ワイヤ30が引かれると開く方向に動く。
また、4つのガイドプーリ20のそれぞれは、対応するワイヤ26,28,30,32が掛かっている。ワイヤ26,28,30,32は、把持部12a,12bを動作させる際に、第1の回転軸16から支持体14が受ける垂直抗力が減少するように、対応するガイドプーリ20に掛かっている。詳述すると、ワイヤ26,28,30,32は、図2に示すように、対応するガイドプーリ20とガイドプーリ34との間を通り、ガイドプーリ20の下側(第1の回転軸16を挟んで把持部12a,12bと反対側)から掛かっている。
したがって、把持部12a,12bを動作させる際に、ワイヤ26,28,30,32の少なくともいずれかに張力が発生すると、その張力によってガイドプーリ20を介して支持体14に力が働く。本実施の形態に掛かる鉗子装置10の場合、ワイヤ26,28,30,32で発生する張力によって、支持体14に把持部12a,12bの方向へ向かう力が加わる。
また、支持体14は、支持体を第1の回転軸16を中心に回転させる駆動力を伝達するワイヤ38,40が掛かる支持体プーリ42が一体的に形成されている。そのため、ワイヤ38,40の一方を引っ張ることで支持体14を回転させようとすると、支持体プーリ42に掛かっているワイヤ38,40の張力によって、支持体14が第1の回転軸16側に押し付けられる。その際に、第1の回転軸16から支持体14が受ける垂直抗力が発生し、摩擦力の増大の一因となる。
しかしながら、本実施の形態に係る鉗子装置10においては、前述のように把持部12a,12bを動作させる際のワイヤ26,28,30,32の張力によってガイドプーリ20に図2の上向きの力が発生する。このガイドプーリ20に働く力によって、ワイヤ38,40に起因する垂直抗力を減少させることで、第1の回転軸16に対して支持体14が回転する際の摩擦力が低減する。その結果、把持部12a,12bの動作がスムーズとなり鉗子装置10の制御性が良化する。
(鉗子装置の製造方法)
次に、本実施の形態に係る鉗子装置10の製造方法について説明する。図10は、本実施の形態に係る鉗子装置の製造方法を説明するためのフローチャートを示す図である。この方法は、はじめに、把持部12a,12bを保持している支持体14を準備する(S10)。次に、支持体14を回転可能に支持する第1の回転軸16が挿入される貫通孔44(図5参照)が形成されている環状部14aの外周に、複数のガイドプーリ20を装着する(S12)。次に、第1の回転軸16が挿入される穴18e,18fが形成されているベース部品18に対して、穴18e,18fと貫通孔44とが直線的に並ぶように支持体14を位置決めする(S14)。そして、穴18eから第1の回転軸16を挿入し、最終的に第1の回転軸16の両端をベース部品18の穴18,18fに対して圧入することで、第1の回転軸16がベース部品18に対して強固に固定される(S16)。なお、各プーリにワイヤを掛ける工程は、前述の製造の妨げにならないタイミングで行えばよい。
この製造方法によれば、分割したベース部品で支持体を挟んでからベース部品同士を接合するといった工程が不要となる。あるいは、支持体とプーリとベース部品のそれぞれの穴を同軸に配置し、その位置を保持しながら、回転軸を支持体に対して圧入するといった調整の難しい工程が不要となる。
以上、本発明を上述の実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
本発明は、手術用ロボットのマニピュレータに利用できる。
10 鉗子装置、 12a,12b 把持部、 14 支持体、 14a 環状部、 16 第1の回転軸、 18 ベース部品、 18a,18b アーム、 18e,18f 穴、 20 ガイドプーリ、 26,28,30,32,38,40 ワイヤ、 42 支持体プーリ、 44 貫通孔。

Claims (4)

  1. 把持部と、
    把持部を保持する支持体と、
    前記支持体を回転可能に支持する回転軸と、
    前記回転軸を保持するベース部品と、
    前記回転軸と同軸に配置されている複数の第1のプーリと、を備え、
    前記支持体は、前記回転軸が貫通する筒状部を有し、
    前記複数の第1のプーリは、前記筒状部の外周に回転可能に支持されていることを特徴とする鉗子装置。
  2. 前記ベース部品は、対向する一対のアームを有し、
    前記回転軸は、軸方向の両端が前記一対のアームに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の鉗子装置。
  3. 前記第1のプーリは、前記把持部を動作させる駆動力を伝達する第1のワイヤが掛かっており、
    前記第1のワイヤは、前記把持部を動作させる際に、前記回転軸から前記支持体が受ける垂直抗力が減少するように前記第1のプーリに掛かっており、
    前記支持体は、該支持体を前記回転軸を中心に回転させる駆動力を伝達する第2のワイヤが掛かる第2のプーリが形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉗子装置。
  4. 把持部を保持している支持体を準備する工程と、
    前記支持体を回転可能に支持する回転軸が挿入される貫通孔が形成されている筒状部の外周に、複数のプーリを装着する工程と、
    前記回転軸が挿入される穴が形成されているベース部品に対して、前記穴と前記貫通孔とが直線的に並ぶように前記支持体を位置決めする工程と、
    前記穴から前記回転軸を挿入し、該回転軸を前記ベース部品に固定する工程と、
    を含むことを特徴とする鉗子装置の製造方法。
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