以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
図1は、実施形態に係る測定装置1の構成を例示する図である。本図において、第1の光71の光の経路は破線の矢印で示し、第2の光72の光の経路は点線の矢印で示している。本実施形態に係る測定装置1は、出射口32から光を出射し、物体60で反射された反射光を受光する測定装置である。測定装置1は、光源10、第1素子12、第2素子13、および制御部50を備える。光源10は、光を出力する。第1素子12は、通過する光の偏光方向に応じて、その光の方向を変化させる。第2素子13は、光路のうち第1素子12と出射口32との間に位置し、印加される電圧に応じて透過する光の偏光方向を変化させる。制御部50は、第2素子13に印加される電圧を制御する。そして、光源10から出力された後であり、かつ出射口32から出射される前の第1の光71と、物体60で反射された後の第2の光72とが第2素子13を通過する。以下に詳しく説明する。
光源10で出力されてから出射口32から出射されるまでの光を第1の光71と呼ぶ。また、物体60で反射されてから、後述する第1受光器16に入射するまでの光を第2の光72と呼ぶ。なお、第2の光72は物体60による反射光である。
測定装置1は、物体60に光を照射し、反射光を受光して物体60までの距離を測定する測定装置である。具体的には測定装置1では、たとえば光の出射タイミングと反射光の受光タイミングとの差に基づいて、測定装置1から物体60までの距離が算出される。光はたとえば赤外光である。ただし、光の波長は特に限定されず可視光であってもよい。光源10はたとえばレーザダイオードである。光源10から出力される光はたとえばパルス光である。
測定装置1の光源10から出力され、出射口32を通って出射されたパルス光は、外部の物体60で反射されて少なくとも一部が測定装置1に向かって戻る。そして、反射光が測定装置1に入射する。測定装置1に入射した反射光は第1受光器16で検出される。ここで、測定装置1では光源10から光が出射されてから反射光が第1受光器16で検出されるまでの時間が測定される。そして、測定された時間と光の伝搬速さを用いて測定装置1と物体60との距離が算出される。測定装置1はたとえばライダー(LIDAR:Laser Imaging Detection and Ranging, Laser Illuminated Detection and Ranging またはLiDAR:Light Detection and Ranging)装置やレーダ装置等である。また、測定装置1はたとえば移動体に搭載されうる。移動体はたとえば自動車、列車等の車両である。
上記した通り、第1素子12は通過する光の偏光方向に応じて、その光の方向を変化させる。第1素子12はたとえば偏光ビームスプリッタである。第1素子12はたとえば、入射した光の偏光方向が第1の偏光方向である場合、その光をそのまま直進させる。そして、第1素子12は、入射した光の偏光方向が第1の偏光方向とは異なる第2の偏光方向である場合、その光を内部の反射面で反射させる。反射面で反射された光の進行方向は、たとえば90°変化する。たとえば第1の偏光方向はP偏光であり、第2の偏光方向はS偏光である。
図2(a)および図2(b)は、第2素子13の構成を例示する図である。図2(a)は第2素子13が一つの電気光学材料130を含む例を示し、図2(b)は第2素子13が複数の電気光学材料130を含む多段構成である例を示している。第2素子13は、たとえばニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛、タンタル酸ニオブ酸カリウム等の電気光学材料130を含む。上記した通り、第2素子13は、印加される電圧に応じて透過する光の偏光方向を変化させる素子である。
図2(a)および図2(b)において、光の経路を破線矢印で示している。図2(a)および図2(b)の例において、電気光学材料130には光の進行方向に垂直な方向の電界が印加される。たとえば第2素子13が電気光学材料130を含む場合、電気光学材料130の第1面には第1電極134が設けられ、第1面とは反対側の第2面には第2電極135が設けられている。そして、第1電極134と第2電極135との間に電圧Vが印加される。たとえば電気光学材料130には、第1の光71として直線偏光の光が入射する。
図2(a)の例において、この直線偏光の方向は、第2素子13の光学軸(第1の軸および第2の軸)に対して非平行であり、たとえば45°傾けて配置されている。第2素子13に電圧Vが印加されると、電圧の印加方向に応じて結晶内の特定方向の屈折率が変化するため、電気光学材料130を通過する光の偏光状態が変化する。すなわち、電圧Vの印加により、結晶の複屈折性が変化するため、透過する光のうち第1の軸方向の偏光成分と第2の軸方向の偏光成分との間の位相関係が変化する。そして、第1素子12を基準としたP偏光成分とS偏光成分との比率は、第2素子13の第1の軸方向の偏光成分と第2の軸方向の偏光成分との位相差に応じて変化する。電気光学素子の温度依存性をキャンセルする手法である図2(b)の例では、二つの同じ長さの結晶が連続して配置されている。その際、二つの結晶の主軸はお互いに対して90°回転させてある。ただし、後述するように、電気光学素子からの出射光が、入射する光の直線偏光に対して90°回転した直線偏光になるように自動制御する場合は、温度特性もキャンセルできるので、この場合は図2(b)の例は必要なくなる。
たとえば第1素子12から出射して第2素子13に入射する第1の光71は、第2の光72として第1素子12に入射するまでに第2素子13を二度通過する。そして、第1素子12から出射した第1の光71の偏光方向と、第1素子12に入射する第2の光72の偏光方向との関係は、光の通過時に第2素子13に印加される電圧を調整することで制御することができる。
第2素子13に入射する光の偏光方向と、第2素子13から出射する光の偏光方向とのなす角をθとすると、一例として、電圧Vが0Vのときθ=0であり、電圧Vの大きさが大きいほど上記の位相差が大きくなる。そして、入射光が直線偏光である場合、上記位相差が大きくなるにしたがって、出射光の偏光は順に、楕円偏光、円偏光、楕円偏光、入射とは90°回転した直線偏光へと変化する。本実施形態において、出射光が入射光とは90°回転した直線偏光になるように使用することで最大の効果を奏する。
たとえば第1の光71は、印加電圧が0Vの第2素子13を入射時の直線偏光のまま透過する。そして、物体60で反射した第2の光72が再び第2素子13に入射するタイミングで、直線偏光が90°回転するような印加電圧を瞬間的に加える。そうすることにより、第1素子12において光路を分離できる。
なお、第2素子13から出射する光は円偏光または楕円偏光であっても良い。その場合、偏光方向とは偏光の主軸方向をいい、θは偏光の主軸方向の変化角度に相当する。
また、V>0のときにθ>0とすると、V<0のときにθ<0となる。すなわち、電圧の極性を変えることにより、光の偏光方向の変化の向きを変えることができる。電圧Vは、制御部50により制御される。
なお、第2素子13としては、電気光学材料130を含む電気光学素子の代わりにファラデー素子または液晶を用いることもできる。第2素子13、すなわち偏光を変化させる素子として、電気光学素子、ファラデー素子、および液晶のいずれを用いても、本実施形態に係る構成を実現することができる。
図1に戻り、本実施形態の測定装置1は、第1素子12から第1の方向に出力された第2の光72を受光する第1受光器16をさらに備える。本図の例において、第1の方向は、第1素子12への入射方向と平行な方向である。第2の光72は、物体60からの反射光である。そして、第1受光器16は、第2素子13および第1素子12を通過した第2の光72を受光する。第1受光器16はたとえばフォトダイオード等の受光素子である。
また、測定装置1は、光の出射方向を変更する可動反射部14を備える。可動反射部14はたとえば出射口32に対する反射面の角度が可変のMEMSミラーである。MEMSミラーの可動は一軸であっても二軸であってもよい。そして、光源10と第1素子12との間には、コリメートレンズ11が配置されており、第1素子12と第1受光器16との間には集光レンズ19が配置されている。光源10、コリメートレンズ11、第1素子12、第2素子13、可動反射部14、集光レンズ19、および第1受光器16は、筐体30に収容されている。制御部50は、筐体30の内側に設けられていても良いし、外側に設けられていても良い。筐体30には出射口32として開口が設けられている。出射口32には、たとえば透光性の窓がはめ込まれていてもよい。
図1の例において、光の経路について以下に詳しく説明する。ただし、光の経路は本図の例に限定されない。たとえば、光源10と第1受光器16は、互いに位置を入れ替えても良い。本図の例においてまず、光源10から出力された光は、第1の光71としてコリメートレンズ11を通過した後、第1素子12に入射する。そして、第1の光71は、進行方向が90°曲げられて第1素子12から出射する。第1素子12から出射した第1の光71は、第2素子13を通過する。ここで、光が第2素子13を通過する間、第2素子13には第1の電圧V1[V]が印加されている。なお、V1は0Vでもよい。第2素子13から出射した光は可動反射部14で反射され、出射口32を通って筐体30の外に出射される。出射された光は外部の物体60で反射される。
物体60で反射された光の少なくとも一部が出射口32を通って再び筐体30の内部に入射する。ここで、出射口32から入射する第2の光72は、出射口32を通って出射される第1の光71と同軸であるとする。筐体30の内部に入射した第2の光72は可動反射部14を介して、再び第2素子13に入射する。第1の光71と第2の光72とは、第2素子13を互いに逆方向に通過する。第2の光72が第2素子13を通過する間、第2素子13には第2の電圧V2[V]が印加されている。なお、V2は0Vでもよい。たとえばV1はV2とは異なっている。第2素子13を通過した第2の光72は第1素子12に入射する。そして第2の光72は第1素子12から、第2の光72の偏光方向に応じた方向に出射される。その結果、第2素子13を通った第2の光72は、第1の光71とは異なる光路をたどり、集光レンズ19を介して光源10とは異なる位置にある第1受光器16に入射する。ここで、集光レンズ19は、第1受光器16の受光面に光を集光する。なお、可動反射部14の反射面の角度は、第1の光71の反射時と、第2の光72の反射時とで同じであっても良いし、わずかに異なっていても良い。すなわち、第2素子13から出射した第1の光71の光路と、第2素子13に入射する第2の光72の光路とは、一致していても良いし、わずかに異なっていても良い。
本実施形態の測定装置1では、光源10から出射口32へと進む第1の光71と、出射口32から第1受光器16へと進む第2の光72の両方が第2素子13を通過する。そして、たとえば第1の光71が通る時と、第2の光72が通る時とで、第2素子13に印加される電圧を変化させる。こうして、第1素子12を通過する際の第1の光71と第2の光72の偏光方向を互いに異ならせることができる。そして、第1素子12を介して、第2の光72を光源10とは異なる位置にある第1受光器16に導くことができる。
特に第1素子12から出射する第1の光71の偏光方向と第1素子12に入射する第2の光72の偏光方向とを互いに直交させることで効果を最大限発揮することができる。第1の電圧V1および第2の電圧V2は特に限定されず、第1素子12から出射する第1の光71の偏光方向と第1素子12に入射する第2の光72の偏光方向とが互いに直交するように、第2素子13の特性に応じて適宜設定することができる。
具体的には、第1素子12から出射した第1の光71がS偏光である場合、その光が第2素子13を通過し、物体60で反射され、再度第2素子13を通過して第1素子12に戻る間に、上記した第1の軸方向の偏光成分と第2の軸方向の偏光成分との間に180°の位相差が生じるようにすれば、第1素子12には第2の光72としてP偏光の光を入射させることができる。そして、第1素子12に入射した第2の光72のほぼ全てを第1受光器16に導くことができる。
なお、測定装置1は、第1素子12を通過した反射光を第1受光器16に導くミラー等をさらに備えてもよい。そうすれば、筐体30内での光学系の設計、配置自由度を高め、測定装置1の小型化を図ることができる。
図3は、実施形態に係る測定装置1の機能構成を例示するブロック図である。本実施形態係る測定装置1は、駆動回路20、電圧源22、駆動回路24、検出回路26、および算出部52をさらに備える。駆動回路20は、光源10の駆動回路である。駆動回路20は、制御部50による制御に基づいて、光を出力させるための駆動信号を光源10に入力する。パルス光はたとえば一定間隔で出力される。電圧源22は、制御部50による制御に基づいて、第2素子13に偏光方向を変化させるための電圧を印加する。駆動回路24は、可動反射部14の駆動回路である。駆動回路24は、制御部50による制御に基づいて、可動反射部14に駆動信号を入力する。可動反射部14は、駆動信号に基づいて、測定装置1からの光の出射方向を変化させる。
測定装置1において、たとえば光源10は、パルス光を繰り返し出射する。そして、可動反射部14は、光の出射方向を一軸または二軸方向に変化させ、光で所定の範囲を走査するように制御される。そうすることにより、測定装置1の周囲に存在する物体60が検出できる。なお、測定装置1は、可動反射部14を備える代わりに、光源10を駆動する駆動部を有していても良い。その場合、光源10の向きを変えることによって、測定装置1からの光の出射方向を変化させることができる。
検出回路26は、第1受光器16の検出回路である。検出回路26はたとえば電流−電圧変換回路および増幅回路を含んで構成されうる。たとえば第1受光器16がフォトダイオードである場合、第1受光器16に光が入射することにより生じる電流は、検出回路26により検出信号に変換される。
制御部50は、電圧源22を制御することで、第2素子13に印加される電圧を制御する。また、制御部50は、駆動回路20および駆動回路24をさらに制御することにより、距離の測定を実現する。
算出部52は、第1受光器16の検出結果に基づいて測定装置1と物体60との距離を算出する。すなわち、算出部52は、光源10から光が出射されてから反射光が第1受光器16で検出されるまでの時間と、光の伝搬速さとを用いて測定装置1と物体60との距離を算出する。具体的には、算出部52は、制御部50から、光源10の出力タイミングを示すトリガ信号を受信する。また、算出部52は、第1受光器16の検出回路26から受光タイミングを示す信号を受信する。そして、算出部52は、受信した各信号に基づき出力タイミングから受光タイミングまでの時間を計測する。次いで、算出部52は計測した時間と光の伝搬速さとを用いて測定装置1と物体60との距離を算出する。なお、算出部52は、光源10の出力タイミングを示すトリガ信号を制御部50から受信する代わりに、光源10または駆動回路20から受信しても良い。また、光の伝搬速さを示す情報は、たとえば後述するストレージデバイス108から読み出して、算出部52が用いることができる。
図4は、測定装置1のハードウエア構成を例示する図である。本図において測定装置1は、集積回路100を用いて実装されている。集積回路100は、例えば SoC(System On Chip)である。
集積回路100は、バス102、プロセッサ104、メモリ106、ストレージデバイス108、入出力インタフェース110、及びネットワークインタフェース112を有する。バス102は、プロセッサ104、メモリ106、ストレージデバイス108、入出力インタフェース110、及びネットワークインタフェース112が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ104などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。プロセッサ104は、マイクロプロセッサなどを用いて実現される演算処理装置である。メモリ106は、RAM(Random Access Memory)などを用いて実現されるメモリである。ストレージデバイス108は、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリなどを用いて実現されるストレージデバイスである。
入出力インタフェース110は、集積回路100を周辺デバイスと接続するためのインタフェースである。本図において、入出力インタフェース110には光源10の駆動回路20、電圧源22、可動反射部14の駆動回路24、および第1受光器16の検出回路26が接続されている。
ネットワークインタフェース112は、集積回路100を通信網に接続するためのインタフェースである。この通信網は、例えば CAN(Controller Area Network)通信網である。なお、ネットワークインタフェース112が通信網に接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。
ストレージデバイス108は、制御部50および算出部52の機能を実現するためのプログラムモジュールをそれぞれ記憶している。プロセッサ104は、このプログラムモジュールをメモリ106に読み出して実行することで、制御部50および算出部52の機能を実現する。
集積回路100のハードウエア構成は本図に示した構成に限定されない。例えば、プログラムモジュールはメモリ106に格納されてもよい。この場合、集積回路100は、ストレージデバイス108を備えていなくてもよい。
以上、本実施形態によれば、測定装置1は第1素子12および第2素子13を備える。第1素子12は、通過する光の偏光方向に応じて、その光の方向を変化させる。第2素子13は、光路のうち第1素子12と出射口32との間に位置し、印加される電圧に応じて透過する光の偏光方向を変化させる。したがって、第2素子13を通った反射光の光路を出射光の光路からずらし、反射光の多くを第1受光器16で受光することができる。また、第1受光器16に入射する、第1の光71の迷光成分を低減できる。ひいては、高効率、低ノイズでの反射光の検出、および高感度での距離測定が可能となる。
(実施例1)
図5は、実施例1に係る光の偏光方向を例示する図である。本実施例に係る測定装置1は、実施形態に係る測定装置1と同様の構成を有する。
本実施例において、制御部50は、第1の光71が第2素子13を透過する時と、第2の光72が第2素子13を透過する時とで、第2素子13に異なる電圧が印加されるよう電圧を制御する。以下に詳しく説明する。
本図の例において、光源10から出力された第1の光71は偏光方向が紙面に垂直な方向であるS偏光の光である。そして、第1素子12は、S偏光の第1の光71を反射面で反射させることにより、光の進む方向を変化させる。そして、第1の光71は第2素子13を通り、出射口32の外部に出射される。ここで、第1の光71が第2素子13を通る間、第2素子13には第1の電圧V1が印加される。なお、以下では第2素子13の印加電圧が0Vであるときに光の偏光状態が変化しない例について説明するが、本例に限定されない。本例においてまず、V1=0Vであるとすると、第2素子13の通過中に第1の光71の偏光方向は変化せず、S偏光のまま出射口32から出射されることとなる。
本図の例において、物体60で反射された光は出射された光と同じS偏光のまま出射口32に入射する。出射口32から入射した第2の光72は、第2素子13を通った後第1素子12に入射する。ここで、第2の光72が第2素子13を通る間、第2素子13には第2の電圧V2が印加される。ただし、V2は0Vではない所定の電圧であるとする。そして、第2素子13の通過中に第2の光72の偏光方向は90°変化し、P偏光の光となる。すなわち、第1の光71が第2素子13を通過する間の偏光方向の変化分と、第2の光72が第2素子13を通過する間の偏光方向の変化分との差は90°である。したがって、第2の光72は第1素子12の反射面で反射されず、第1素子12を直進する。第1素子12から出射した第2の光72は、集光レンズ19を介して第1受光器16に入射する。なお、所定の電圧は、第2素子13の特性に応じて予め求めることができ、たとえば予めストレージデバイス108に保持されている。そして、制御部50がストレージデバイス108から所定の電圧を読み出して、制御に用いることができる。
制御部50が第2素子13に印加される電圧を制御する方法について、以下に説明する。本実施例において光源10は、複数のパルス光を順に出力する。そして、制御部50は、光源10からパルス光が出力されてから、予め定められた基準時間t1が経過するまでの間、第2素子13に第1の電圧V1が印加され、基準時間t1が経過した時点で第2素子13に印加される電圧が第2の電圧V2に切り替わるよう電圧を制御する。以下に詳しく説明する。
本実施例において第1の電圧V1と、第2の電圧V2は互いに異なる電圧である。第1の電圧V1および第2の電圧V2のうち、いずれか一方は0Vであってもよい。なかでも、制御部50は、出射される前の光が第2素子13を透過する時に第2素子13に電圧が印加され、反射光が第2素子13を透過する時には第2素子13に電圧が印加されないよう電圧を制御してもよい。このようにV2=0Vとすることにより、測定装置1における消費電力を低減することができる。
基準時間t1を示す情報は、たとえば予めストレージデバイス108に保持されており、それを制御部50が読み出して用いることができる。基準時間t1は、パルス光が光源10で出力されてから第2素子13を通過し終えるまでに要する時間以上の長さに設定されている。そうすることで、第1の光71が第2素子13を通過する間に第2素子13に第1の電圧V1が印加される。また、基準時間t1は、一つのパルス光が光源10で出力されてから次のパルス光が光源10で出力されるまでの時間よりも短く設定されている。なお、光源10からのパルス光の出力間隔は一定とすることができる。
第2の電圧V2の印加を終了するタイミングとしては、たとえば以下の第1例および第2例として説明するタイミングがある。
図6(a)は、第1の電圧V1と第2の電圧V2の切り替え方法の第1例を示すタイミングチャートである。また、図6(b)は、第1の電圧V1と第2の電圧V2の切り替え方法の第2例を示すタイミングチャートである。
第1例に係る方法では、図6(a)に示すように、制御部50は、次のパルス光が光源10から出力されるまでの間、第2素子13に第2の電圧V2が印加されるよう電圧を制御する。そうすることで、第2の光72の通過時に第2素子13に第2の電圧V2が印加される。制御部50は、次のパルス光が光源10から出力される時に、第2素子13に印加する電圧を第2の電圧V2から、再度第1の電圧V1に切り替える。
第2例に係る方法では、図6(b)に示すように、制御部50は、第1受光器16が第2の光72を検出し終わるまでの間、第2素子13に第2の電圧V2が印加されるよう電圧を制御する。そうすることで、第2の光72の通過時に第2素子13に第2の電圧V2が印加される。本実施例において制御部50は、検出回路26から第1受光器16での光の検出信号を取得し、検出信号が立ち下がった時に、第2素子13に印加する電圧を第2の電圧V2から、再度第1の電圧V1に切り替える。なお、次のパルス光が光源10から出力されるまでに第1受光器16で反射光が検出されなかった場合、制御部50は、次の光が光源10から出力される時に、第2素子13に印加する電圧を第2の電圧V2から、再度第1の電圧V1に切り替える。
以上、本実施例によれば、実施形態と同様に、測定装置1は第1素子12および第2素子13を備える。第1素子12は、通過する光の偏光方向に応じて、その光の方向を変化させる。第2素子13は、光路のうち第1素子12と出射口32との間に位置し、印加される電圧に応じて透過する光の偏光方向を変化させる。したがって、第2素子13を通った反射光の光路を出射光の光路からずらし、反射光の多くを第1受光器16で受光することができる。また、第1受光器16に入射する、第1の光71の迷光成分を低減できる。ひいては、高効率、低ノイズでの反射光の検出、および高感度での距離測定が可能となる。
(実施例2)
図7は、実施例2に係る測定装置1の構成を例示する図である。本実施例に係る測定装置1は、実施形態と同様の構成を有する。
本実施例において、光源10は、複数のパルス光を順に出力する。測定装置1は、第1素子12から第1の方向とは異なる第2の方向に出力された第2の光72を受光する第2受光器17をさらに備える。そして制御部50は、第1受光器16の検出結果および第2受光器17の検出結果に基づいて次のパルス光に対する電圧を制御する。以下に詳しく説明する。
第2受光器17は、たとえばフォトダイオード等の受光素子である。本実施例において、第1素子12から第1の方向に出力された第2の光72は第1受光器16に受光されるのに対し、第1の方向とは異なる第2の方向に出射され、第1受光器16に受光されなかった第2の光72の少なくとも一部は、第2受光器17に受光される。
物体60の表面の形状や材質等によっては、互いに異なる偏光成分の間の位相差が反射時に変化して、光の偏光状態が変化することがあり得る。たとえば、物体60への照射光が直線偏光である場合、反射光は楕円偏光に変化することがあり得る。その場合、出射口32から出射した第1の光71の偏光方向と、出射口32に入射した第2の光72の偏光方向とは必ずしも一致しない。その場合、第1の光71が第2素子13を通過する間の偏光方向の変化分と、第2の光72が第2素子13を通過する間の偏光方向の変化分との差が90°となるようにしても、出射口32から入射した全ての第2の光72を第1受光器16に導くことはできない。一部の第2の光72は第1素子12から、第1の方向とは異なる第2の方向に出力されることとなる。
それに対し、本実施例の測定装置1は第2受光器17を備える。第2受光器17は、第1素子12から第2の方向に出力された第2の光72を受光するよう配置されており、たとえば光源10に隣接して設けられる。また、第2受光器17は、第2受光器17の受光面が光源10の外周を囲むように設けられていても良い。第2の光72は、ある程度大きなスポット径を有することから、第2受光器17は光源10の外側の漏れ光を受光することができる。すなわち第2受光器17は第1受光器16に導かれなかった第2の光72のうち少なくとも一部を受光することができる。測定装置1は、第2受光器17の検出回路(不図示)をさらに備える。第2受光器17の検出回路は、第1受光器16の検出回路26と同様である。
制御部50が、第1受光器16の検出結果および第2受光器17の検出結果に基づいて次のパルス光に対する電圧を制御する方法について、以下に説明する。簡単のため、第1の光71が第2素子13を通過する間に、第1の軸方向の偏光成分と第2の軸方向の偏光成分との間に生じた位相差が0°であったとする。すなわち、第1の光71は、偏光状態を変えずに第2素子13を透過する。ただし、電圧の制御方法は本例に限定されない。
m番目のパルス光について、第2の光72が第2素子13を通過する間に、第2の電圧V2によって、第2素子13の第1の軸方向の偏光成分と第2の軸方向の偏光成分との間に生じた位相差がΔΦ2[deg]であったとする。ここで、AV2,m=ΔΦ2が成り立つ。ただし、mは1以上の整数であり、Aは定数であり、V2,mはm番目のパルス光の第2の光72に対する第2の電圧V2である。
制御部50は、m番目のパルス光について、第1受光器16の検出回路26から検出結果を取得し、また、第2受光器17の検出回路から検出結果を取得する。両受光器の検出結果はいずれも光の受光強度を示す情報である。第2受光器17の受光強度は第1素子12から第2の方向に出力された光の強度に比例する。また、その比例定数は事前の試験等により求められ、ストレージデバイス108に予め保持されている。制御部50はストレージデバイス108から比例定数を読み出し、第2受光器17の受光強度に乗ずることで、第1素子12から第2の方向に出力された光の強度I2を算出する。一方、制御部50は第1受光器16の受光強度を、第1素子12から第1の方向に出力された光の強度I1とみなす。
強度I1は第1素子12に入射した第2の光72のP偏光成分の大きさに対応し、強度I2は第1素子12に入射した第2の光72のS偏光成分の大きさに対応する。そして、強度I1と強度I2との比率に基づいて、第2素子13通過後の第2の光72の第1の軸方向の偏光成分と第2の軸方向の偏光成分との間の位相差Φ[deg]が算出される。ここで、この位相差が180°であるとき、第1素子12から出射する第1の光71の偏光方向と第1素子12に入射する第2の光72の偏光方向とを互いに直交させることができ、最も高効率で第2の光72を第1受光器16に導くことができる。したがって、第2の光72では、さらに(180−Φ)の位相差が生じることが好ましいと分かる。
以上より、m+1番目のパルス光については、AV2,m+1=ΔΦ2+(180−Φ)となるようにする。すなわち、AV2,m+1=AV2,m+(180−Φ)が成り立つように、V2,m+1を決定する。ここで、V2,m+1はm+1番目のパルス光に対する第2の電圧V2である。こうすることで、m+1番目のパルス光について、第2の光72を高効率で第1受光器16に導くことができる。なお、定数Aを示す情報は、第2素子13の特性に応じて定まり、予めストレージデバイス108に記憶されている。そして、制御部50はそれを読み出して用いることができる。
なお、1番目のパルス光については、予め定められた第1の電圧V1の初期値および第2の電圧V2の初期値を用いればよい。第1の電圧V1の初期値および第2の電圧V2の初期値は予めストレージデバイス108に記憶されており、制御部50はそれを読み出して用いることができる。
また、第1電圧V1と第2電圧V2とを切り替えるタイミングは、実施例1で説明した例と同様とすることができる。
以上、本実施例によれば、実施形態と同様に、測定装置1は第1素子12および第2素子13を備える。第1素子12は、通過する光の偏光方向に応じて、その光の方向を変化させる。第2素子13は、光路のうち第1素子12と出射口32との間に位置し、印加される電圧に応じて透過する光の偏光方向を変化させる。したがって、第2素子13を通った反射光の光路を出射光の光路からずらし、反射光の多くを第1受光器16で受光することができる。また、第1受光器16に入射する、第1の光71の迷光成分を低減できる。ひいては、高効率、低ノイズでの反射光の検出、および高感度での距離測定が可能となる。
くわえて、制御部50が、第1受光器16の検出結果および第2受光器17の検出結果に基づいて次のパルス光に対する電圧を制御する。したがって、出射口32から出射した第1の光71の偏光方向と、出射口32に入射した第2の光72の偏光方向とが必ずしも一致しない場合であっても、第2の光72の主な偏光方向の光を第1受光器16に効率良く導くことができる。
(実施例3)
実施例3に係る測定装置1は、実施形態と同様の構成を有する。本実施例において、光源10は複数のパルス光を順に出力する。そして、制御部50は、k番目のパルス光の第2の光72が第2素子13を通過したときの電圧V2,kと、k番目のパルス光の第2の光72を第1受光器16が検出した受光強度Pkと、k−1番目のパルス光の第2の光72を第1受光器16が検出した受光強度Pk−1とを用いて、k+1番目のパルス光の第2の光72が第2素子13を通過するときの電圧V2,k+1を決定する。ここで、kは2以上の整数である。以下に詳しく説明する。
図8は、本実施例に係る制御部50の処理内容について説明するための図である。本実施例では、いわゆる山登り法が用いられる。すなわち、k−1番目のパルス光に対する受光強度Pk−1とk番目のパルス光に対する受光強度Pkとを比較し、k+1番目のパルス光に対する第2電圧V2を決定する。
たとえば、ある第2の電圧V2を用いたk−1番目のパルス光について、点α1のように受光強度Pk−1が得られており、第2の電圧V2を変化させたk番目のパルス光について受光強度Pk−1より大きな点β1のような受光強度Pkが得られたとする。この場合、第2の電圧V2の変化に対して受光強度は増加傾向にあるため、引き続き同じ方向に第2の電圧V2を変化させてk+1番目のパルス光に対する第2の電圧V2を決めればよい。一方、k−1番目のパルス光について、点α2のように受光強度Pk−1が得られており、k番目のパルス光について受光強度Pk−1より小さな点β2のような受光強度Pkが得られたとする。この場合、第2の電圧V2の変化に対して受光強度は減少傾向にあるため、第2の電圧V2の変化方向を反転させてk+1番目のパルス光に対する第2の電圧V2を決めればよい。この様な処理を繰り返すことにより、第2の電圧V2は、受光強度の極大値をとるよう導かれる。
制御部50が行う処理について具体的に説明する。制御部50は、k−1番目のパルス光について、第1受光器16の検出回路26から検出結果として第1受光器16が検出した受光強度Pk−1を取得する。また、制御部50は、k番目のパルス光について、第1受光器16が検出した受光強度Pkを取得する。k番目のパルス光について、第2の光72が第2素子13を通過したときに第2素子13に印加された電圧が第2の電圧V2,kであったとする。制御部50は、たとえばV2,k+1=V2,k+Bk+1×ΔV2の式で求められる電圧V2,k+1を、k+1番目のパルス光に対する第2の電圧V2,k+1として決定する。ここで、Bk+1はk+1番目のパルス光に対応づけられた係数である。Pk≧Pk−1であるとき、Bk+1=Bkとする。一方、Pk<Pk−1であるとき、Bk+1=−1×Bkとする。ここで、Bkはk番目のパルス光に対応づけられた係数であり、たとえば+1または−1である。k≧2のとき、V2,kはV2,k=V2,k−1+Bk×ΔV2で求められている。ΔV2は予め定められた電圧の標準変化量である。標準変化量を示す値、1番目のパルス光すなわちk=1についての第2の電圧V2,kおよびBkは、それぞれ予め定められてストレージデバイス108に記憶されており、制御部50はそれを読み出して用いることができる。
なお、第1電圧V1としては、予め定められ、ストレージデバイス108に保持された電圧値を制御部50が読み出して用いることができる。また、第1電圧V1と第2電圧V2とを切り替えるタイミングは、実施例1で説明した例と同様とすることができる。
以上、本実施例によれば、実施形態と同様に、測定装置1は第1素子12および第2素子13を備える。第1素子12は、通過する光の偏光方向に応じて、その光の方向を変化させる。第2素子13は、光路のうち第1素子12と出射口32との間に位置し、印加される電圧に応じて透過する光の偏光方向を変化させる。したがって、第2素子13を通った反射光の光路を出射光の光路からずらし、反射光の多くを第1受光器16で受光することができる。また、第1受光器16に入射する、第1の光71の迷光成分を低減できる。ひいては、高効率、低ノイズでの反射光の検出、および高感度での距離測定が可能となる。
くわえて、制御部50は、k番目のパルス光の第2の光72が第2素子13を通過したときの電圧V2,kと、k番目のパルス光の第2の光72を第1受光器16が検出した受光強度Pkと、k−1番目のパルス光の第2の光72を第1受光器16が検出した受光強度Pk−1とを用いて、k+1番目のパルス光の第2の光72が第2素子13を通過するときの電圧V2,k+1を決定する。したがって、出射口32から出射した第1の光71の偏光方向と、出射口32に入射した第2の光72の偏光方向とが必ずしも一致しない場合であっても、第1受光器16による第2の光72の受光効率を高めることができる。
(実施例4)
実施例4に係る測定装置1は、実施形態と同様の構成を有する。本実施例に係る測定装置1において、制御部50は、各々が複数の画素からなる複数のフレームを生成するよう出射口32からの光の出射方向を制御する。また、光源10は複数の画素の情報を得るための複数のパルス光を順に出力する。そして制御部50は、n番目のフレームの一の画素iについてパルス光の第2の光72が第2素子13を通過したときの第2の電圧V2,n,iと、その第2の光72を第1受光器16が検出した受光強度Pn,iと、n−1番目のフレームの画素iについてパルス光の第2の光72を第1受光器16が検出した受光強度Pn−1,iとを用いて、n+1番目のフレームの画素iについて第2の光72が第2素子13を通過するときの第2の電圧V2,n+1,iを決定する。以下に詳しく説明する。
なお、nは1以上の整数である。iは各フレーム中の画素を特定する記号であり、たとえば一つのフレームが1600×1200の画素数で成り立つ場合、iは1以上1920000以下の整数である。フレームごとに画素iが存在し、複数のフレームにおいて画素iの位置は一致している。以下、n番目のフレームの画素iの情報を得るためのパルス光を、パルス光Ln,iと呼ぶ。
図9は、フレームについて説明するための図である。制御部50は、駆動回路24を介して可動反射部14を制御し、フレームを生成する。具体的にはたとえば、出射方向を第1の方向(本図中、x方向)に直線的に繰り返し変化させながらパルス光を繰り返し出力し、物体との距離を測定する。それとともに、一つの直線状の動きごとに、第1の方向に垂直な第2の方向(本図中、y方向)に所定の幅だけ出射方向をシフトさせる。そうすることにより、矩形状の領域160を光で走査することができる。領域160を一度走査して得たデータセットを一つのフレームと呼ぶ。このように走査して、測定装置1の周囲の物体の方向と距離を取得することで、周囲の三次元情報を得ることができる。制御部50は、領域160を走査し終えると、本図中点線で示す様に出射方向を初めの方向に戻し、次のフレームを生成するように再度領域160を走査する。こうして、複数のフレームが走査される。
制御部50が第2素子13に印加される電圧を制御する方法について以下に詳しく説明する。本方法では、ある画素での受光結果が、次のフレームの同じ画素での第2の電圧V2に反映される。
制御部50はn−1番目のフレームの画素iに対応するパルス光Ln−1,iについて、第1受光器16の検出回路26から検出結果として第1受光器16が検出した受光強度Pn−1,iを取得する。また、制御部50は、n番目のフレームの画素iに対応するパルス光Ln,iについて、第1受光器16が検出した受光強度Pn,iを取得する。n番目のフレームの画素iについて、パルス光Ln,iの第2の光72が第2素子13を通過したときの電圧が第2の電圧V2,n,iであったとする。制御部50は、たとえばV2,n+1,i=V2,n,i+Bn+1,i×ΔV2の式で求められる電圧V2,n+1,iを、n+1番目のフレームの画素iの情報を得るパルス光Ln+1,iに対する第2の電圧V2,n+1,iとして決定する。ここで、Bn+1,iはn+1番目のフレームの画素iの情報を得るパルス光Ln+1,iに対応づけられた係数である。Pn,i≧Pn−1,iであるとき、Bn+1,i=Bn,iとする。一方、Pn,i<Pn−1,iであるとき、Bn+1,i=−1×Bn,iとする。ここで、Bn,iはn番目のフレームの画素iの情報を得るためのパルス光Ln,iに対応づけられた係数であり、たとえば+1または−1である。n≧2のとき、V2,n,iはV2,n,i=V2,n−1,i+Bn,i×ΔV2で求められている。ΔV2は予め定められた電圧の標準変化量である。標準変化量を示す値、1番目のフレームの各画素のパルス光すなわちn=1についての第2の電圧V2,n,iおよびBn,iは、それぞれ予め定められてストレージデバイス108に記憶されており、制御部50はそれを読み出して用いることができる。
このようにしてすべての画素iについて第2の電圧V2を決定する。
なお、第1電圧V1としては、予め定められ、ストレージデバイス108に保持された電圧値を制御部50が読み出して用いることができる。また、第1電圧V1と第2電圧V2とを切り替えるタイミングは、実施例1で説明した例と同様とすることができる。
以上、本実施例によれば、実施形態と同様に、測定装置1は第1素子12および第2素子13を備える。第1素子12は、通過する光の偏光方向に応じて、その光の方向を変化させる。第2素子13は、光路のうち第1素子12と出射口32との間に位置し、印加される電圧に応じて透過する光の偏光方向を変化させる。したがって、第2素子13を通った反射光の光路を出射光の光路からずらし、反射光の多くを第1受光器16で受光することができる。また、第1受光器16に入射する、第1の光71の迷光成分を低減できる。ひいては、高効率、低ノイズでの反射光の検出、および高感度での距離測定が可能となる。
くわえて、制御部50は、n番目のフレームの一の画素iについてパルス光の第2の光72が第2素子13を通過したときの第2の電圧V2,n,iと、その第2の光72を第1受光器16が検出した受光強度Pn,iと、n−1番目のフレームの画素iについてパルス光の第2の光72を第1受光器16が検出した受光強度Pn−1,iとを用いて、n+1番目のフレームの画素iについて第2の光72が第2素子13を通過するときの第2の電圧V2,n+1,iを決定する。したがって、出射口32から出射した第1の光71の偏光方向と、出射口32に入射した第2の光72の偏光方向とが必ずしも一致しない場合であっても、第1受光器16による第2の光72の受光効率を高めることができる。
(実施例5)
図10は、実施例5に係る測定装置1の構成を例示する図である。本図において、第1の光71の光の経路は破線の矢印で示し、第2の光72の光の経路は点線の矢印で示している。本実施例に係る測定装置1は、実施形態に係る測定装置1と同様の構成を有している。また、本実施例に係る測定装置1は、制御部50が第2素子13に印加される電圧を制御する方法を除いて実施例4に係る測定装置1と同じである。
また、本実施例に係る測定装置1は、物体60からの光の偏光状態を検出する偏光検出部18をさらに備える。そして制御部50は、偏光検出部18の検出結果に基づいて、第2の光72が第2素子13を通過するときの電圧を決定する。以下に詳しく説明する。
偏光検出部18は、たとえば偏光イメージングカメラである。偏光検出部18は、できるだけ第1の光71および第2の光72の光軸に近い光軸の光を受光できるように配置されることが好ましい。偏光検出部18はたとえば、物体60からの光のうち、複数の偏光方向成分の強度をそれぞれ検出する。具体的には、偏光検出部18では各画素に対し四つの受光セグメントが設けられている。複数の偏光方向はたとえば基準軸とのなす角がそれぞれ0°、45°、90°、135°である。そして、各受光セグメントで各偏光方向成分の受光強度が検出される。光の反射では、物体の表面状態等によって、反射時に偏光成分間の位相差や偏光度が変化する可能性がある。したがって、偏光検出部18で物体60からの光の主な偏光状態を検出した上で、その偏光状態の光を効率よく第1受光器16に導けるよう、第2素子13に印加する電圧を制御する。
偏光検出部18が取得する画像の各画素と、測定装置1の距離測定で得られるフレームの各画素とは、およそ同じ位置の情報を示している画素同士で対応付けられている。制御部50は、偏光検出部18からある画素の偏光状態を示す情報を取得する。また、制御部50は、取得した偏光状態を示す情報を用いて、たとえば、光の偏光の主軸方向、主軸方向成分の強度、特定の偏光方向成分の強度、P偏光とS偏光の強度比、または偏光度を算出する。
そして制御部50は、フレームのうちその画素に対応する画素の情報を得るためのパルス光について、第2の光72が第2素子13を通過する際に第2素子13に印加する第2の電圧V2を、算出した光の偏光の主軸方向、主軸方向成分の強度、特定の偏光方向成分の強度、P偏光とS偏光の強度比、または偏光度を示す情報を用いて決定する。具体的には、光の偏光の主軸方向、主軸方向成分の強度、特定の偏光方向成分の強度、P偏光とS偏光の強度比、または偏光度を示す情報と、印加すべき第2の電圧V2とを関連付ける関連付け情報が予めストレージデバイス108に保持されている。関連付け情報は、事前の試験等により得られ、ストレージデバイス108に保持させておくことができる。関連付け情報はテーブルや数式等であり得る。制御部50は、ストレージデバイス108から関連付け情報を読み出して用い、光の偏光の主軸方向、主軸方向成分の強度、特定の偏光方向成分の強度、P偏光とS偏光の強度比、または偏光度を示す情報に基づいて、印加すべき第2の電圧V2を求めることができる。同様にして、制御部50はすべての画素について第2の電圧V2を決定する。
なお、第1電圧V1としては、予め定められ、ストレージデバイス108に保持された電圧値を制御部50が読み出して用いることができる。また、第1電圧V1と第2電圧V2とを切り替えるタイミングは、実施例1で説明した例と同様とすることができる。
以上、本実施例によれば、実施形態と同様に、測定装置1は第1素子12および第2素子13を備える。第1素子12は、通過する光の偏光方向に応じて、その光の方向を変化させる。第2素子13は、光路のうち第1素子12と出射口32との間に位置し、印加される電圧に応じて透過する光の偏光方向を変化させる。したがって、第2素子13を通った反射光の光路を出射光の光路からずらし、反射光の多くを第1受光器16で受光することができる。また、第1受光器16に入射する、第1の光71の迷光成分を低減できる。ひいては、高効率、低ノイズでの反射光の検出、および高感度での距離測定が可能となる。
くわえて、制御部50は、偏光検出部18の検出結果に基づいて、第2の光72が第2素子13を通過するときの電圧を決定する。したがって、出射口32から出射した第1の光71の偏光方向と、出射口32に入射した第2の光72の偏光方向とが必ずしも一致しない場合であっても、第1受光器16による第2の光72の受光効率を高めることができる。
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 出射口から光を出射し、物体で反射された反射光を受光する測定装置であって、
光を出力する光源と、
通過する光の偏光方向に応じて、当該光の方向を変化させる第1素子と、
光路のうち前記第1素子と前記出射口との間に位置し、印加される電圧に応じて透過する光の偏光方向を変化させる第2素子と、
前記電圧を制御する制御部とを備え、
前記光源から出力された後であり、かつ前記出射口から出射される前の第1の光と、前記物体で反射された後の第2の光とが前記第2素子を通過する測定装置。
2. 1.に記載の測定装置において、
前記第1素子から第1の方向に出力された前記第2の光を受光する第1受光器と、
前記第1受光器の検出結果に基づいて当該測定装置と前記物体との距離を算出する算出部とをさらに備える測定装置。
3. 2.に記載の測定装置において、
前記制御部は、前記第1の光が前記第2素子を透過する時と、前記第2の光が前記第2素子を透過する時とで、前記第2素子に異なる前記電圧が印加されるよう前記電圧を制御する測定装置。
4. 3.に記載の測定装置において、
前記第1の光が前記第2素子を通過する間の偏光方向の変化分と、前記第2の光が前記第2素子を通過する間の偏光方向の変化分との差は90°である測定装置。
5. 2.から4.のいずれか一つに記載の測定装置において、
前記光源は、複数のパルス光を順に出力し、
前記制御部は、前記光源から前記パルス光が出力されてから、予め定められた基準時間が経過するまでの間、前記第2素子に第1の電圧が印加され、前記基準時間が経過した時点で前記第2素子に印加される電圧が第2の電圧に切り替わるよう前記電圧を制御する測定装置。
6. 5.に記載の測定装置において、
前記制御部は、次の前記パルス光が前記光源から出力されるまでの間、前記第2素子に前記第2の電圧が印加されるよう前記電圧を制御する測定装置。
7. 5.に記載の測定装置において、
前記制御部は、前記第1受光器が前記第2の光を検出し終わるまでの間、前記第2素子に前記第2の電圧が印加されるよう前記電圧を制御する測定装置。
8. 2.に記載の測定装置において、
前記光源は、複数のパルス光を順に出力し、
前記第1素子から前記第1の方向とは異なる第2の方向に出力された前記第2の光を受光する第2受光器をさらに備え、
前記制御部は、前記第1受光器の検出結果および前記第2受光器の検出結果に基づいて次の前記パルス光に対する前記電圧を制御する測定装置。
9. 2.に記載の測定装置において、
前記光源は複数のパルス光を順に出力し、
前記制御部は、k番目の前記パルス光の前記第2の光が前記第2素子を通過したときの前記電圧と、k番目の前記パルス光の前記第2の光を前記第1受光器が検出した受光強度P k と、k−1番目の前記パルス光の前記第2の光を前記第1受光器が検出した受光強度P k−1 とを用いて、k+1番目の前記パルス光の前記第2の光が前記第2素子を通過するときの前記電圧を決定する測定装置。
10. 2.に記載の測定装置において、
前記制御部は、各々が複数の画素からなる複数のフレームを生成するよう前記出射口からの光の出射方向を制御し、
前記光源は前記複数の画素の情報を得るための複数のパルス光を順に出力し、
前記制御部は、n番目の前記フレームの一の前記画素について前記パルス光の前記第2の光が前記第2素子を通過したときの前記電圧と、当該第2の光を前記第1受光器が検出した受光強度と、n−1番目の前記フレームの当該画素について前記パルス光の前記第2の光を前記第1受光器が検出した受光強度とを用いて、n+1番目の前記フレームの当該画素について前記第2の光が前記第2素子を通過するときの前記電圧を決定する測定装置。
11. 2.に記載の測定装置において、
前記物体からの光の偏光状態を検出する偏光検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記偏光検出部の検出結果に基づいて、前記第2の光が前記第2素子を通過するときの前記電圧を決定する測定装置。
12. 1.から11.のいずれか一つに記載の測定装置において、
前記第1素子は偏光ビームスプリッタであり、前記第2素子は電気光学材料を含む測定装置。